説明

二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法

【課題】二次空気供給量が変動しても、未燃物質を効果的に完全燃焼する。
【解決手段】前壁21Fの中央部から二次空気を吹き込み燃焼ガスを分断する前壁ノズル22Fと、仕切り壁21Rの左右両側から二次空気を吹き込み旋回流CAを形成する仕切り壁ノズル22Rと、旋回流CAの中心部近傍に下流側から二次空気を吹き込み滞留させる挿入ノズル22Sの3系統でそれぞれ流速で二次空気供給量を制御する。挿入ノズル22Sの流速を制御し、かつ残りのノズル22F,22Rを最大流速域に保持するA工程と、前壁ノズル22Fの流速を制御し、かつ仕切り壁ノズル22Rの流速を最大流速域に、挿入ノズル22Sの流速を最小流速域にそれぞれ保持するB工程と、仕切り壁ノズル22Rの流速を制御し、かつ残りのノズル22F,22Sを最小流速域に保持するC工程とを有し、C工程を二次空気低供給域で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーカ式焼却炉や廃棄物溶融炉、電気式溶融炉などにおいて、一次燃焼室の下流側に配置された二次燃焼室に、二次燃焼空気を供給して未燃物質を二次燃焼させる二次燃焼空気の吹き込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却処理する際に発生する燃焼ガスには、ダイオキシンなどの有害未燃物質が含まれており、この有害未燃物質を低減する方法として、二次燃焼室に二次燃焼空気(以下、二次空気という)を吹き込むことで、完全燃焼させる方法がある。この時の二次空気と燃焼ガスの混合状態が未燃物質の低減効果を大きく左右する。
【0003】
本発明者等は、従来、二次燃焼室内に燃焼ガスの流れに悪影響を与えることなく攪拌(混合)を良好に行うことができるストーカ式のごみ焼却炉を特許文献1で提案した。これは、前壁の中央部から複数段に二次空気を吹き込んで燃焼ガスを左右に分断するとともに、この分断部の左右両側に旋回流を形成して燃焼ガスと二次空気とを攪拌混合し、さらに左右の旋回流の中心部に上方(下流側)から二次空気を吹き込んで燃焼ガスの吹き抜けを防止する挿入ノズルを配置したものである。
【0004】
また特許文献2の図9には、前壁面の両側と後壁面の中央からそれぞれ二次空気を吹き込み、左右に旋回流を形成するものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−201548号公報
【特許文献2】特開平07−103440号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ごみ焼却炉の二次燃焼室では、二次空気と燃焼ガスの混合状態と滞留時間とが未燃物質の低減効果を大きく左右する。
また供給熱量(ごみの発熱量×ごみ投入量)が変化すると、適正な燃焼空気量を保持し、かつ炉内温度を維持するために二次空気供給量も変動させる必要があるが、特許文献1および2には、二次空気の吹き込み方法について言及されていない。従来では、通常必要な理論空気量から得られた二次空気を供給できるように、供給配管に介装された流量調整用のダンパにより二次空気供給量を制御していた。この場合に、特に二次空気供給量が低減された時に、燃焼ガスへの二次空気の貫通力が低下して、二次空気と燃焼ガスの混合性が悪化し、未燃物質の完全燃焼ができないおそれがあった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決して、二次空気供給量の変動に対応して、二次空気の流速を制御することにより、未燃物質を効果的に完全燃焼することができる二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1記載の発明は、一次燃焼室から流入される燃焼ガスの流れ方向の下流側に設置された二次燃焼室に、前後一方の壁面の中央部に上下方向に複数段に配置されて二次空気を水平方向に吹き込む複数の第1噴出口と、前後他方の壁面の左右両側でかつ第1噴出口の上流側に配置されて左右の側壁に沿って水平方向に二次空気を吹き込む第2噴出口と、第2噴出口の下流側に配置されて第1噴出口と第2噴出口から吹き込まれた二次空気により形成される2つの旋回流の中心部近傍に、下流側から二次空気を吹き込む第3噴出口とを具備した二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法であって、第1噴出口、第2噴出口および第3噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速の3系統で二次空気供給量を制御し、第1噴出口および第2噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速を最大流速域に保持した状態で、第3噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するA工程と、第2噴出口から供給される二次空気の流速を最大流速域に保持するとともに第3噴出口から供給される二次空気の流速を最小流速域に保持した状態で、第1噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するB工程と、第1噴出口および第3噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速を最小流速域に保持した状態で、第2噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するC工程とを有し、二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域でC工程を行い、第1噴出口、第2噴出口および第3噴出口の二次空気の最大流速域を40m/秒以上とし、最小流速域を30m/秒以下としたものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、二次空気供給量が最も大きい二次空気高供給域から最も小さい二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時に、A工程とB工程とC工程を順次行い、二次空気供給量が最も小さい二次空気低供給域から最も大きい二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時に、C工程とB工程とA工程を順次行うものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、一次燃焼室から流入される燃焼ガスの流れ方向の下流側に設置された二次燃焼室に、前後一方の壁面の中央部に上下方向に複数段に配置されて二次空気を水平方向に吹き込む複数の第1噴出口と、前後他方の壁面の左右両側でかつ第1噴出口の上流側に配置されて左右の側壁に沿って水平方向に二次空気を吹き込む第2噴出口と、第2噴出口の下流側に配置されて第1噴出口と第2噴出口から吹き込まれた二次空気により形成される2つの旋回流の中心部近傍に、下流側から二次空気を吹き込む第3噴出口とを具備した二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法であって、第2噴出口から供給される二次空気の第1流速と、第1噴出口および第3噴出口から供給される二次空気の第2流速からなる2系統で二次空気供給量を制御し、第1流速を最大流速域に保持した状態で、第2流速を最小流速域と最大流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を変化させるE工程と、第2流速を最小流速域に保持した状態で、第1流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するF工程とを有し、二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域でF工程を行い、第1流速および第2流速の最大流速域を40m/秒以上し、最小流速域を30m/秒以下としたものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成において、二次空気供給量が最も大きい二次空気高供給域から最も小さい二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時に、E工程とF工程を順次行い、二次空気供給量が最も小さい二次空気低供給域から最も大きい二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時に、F工程とE工程を順次行うものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、被焼却物の発熱量と投入量による供給熱量に基づいて求められる二次空気供給量の増減に対応して、第1〜第3噴出口から二次燃焼室に吹き込む二次空気供給量を制御する時に、第1〜第3噴出口から吹き込まれる二次空気の流速を、A〜C工程において第1〜第3噴出口ごとにそれぞれ単独で制御することにより、供給熱量の増減に対応して二次空気供給量を容易に追従制御することができる。また供給熱量が最も減少される二次空気低供給域で、第1噴出口および第3噴出口からの二次空気の流速を最小流速域の30m/秒以下に保持しつつ、第2噴出口から吹き込まれて旋回力の高い二次空気の流速を最小流速域の30m/秒以下から最大流速域の40m/秒以上の間で増減させることにより、二次空気供給量が少なくても、旋回流を十分確保して燃焼ガスの滞留時間を十分に延ばすことができ、未燃物質の完全燃焼を行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、二次空気高供給域から二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時にA工程とB工程とC工程を順次行い、逆に二次空気低供給域から二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時にC工程とB工程とA工程とを順次行うことにより、第1〜第3噴出口の二次空気の流速を、第1〜第3噴出口ごとに単独で制御するだけの簡単な操作で、二次空気の流速を制御して未燃物質を効果的に完全燃焼することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、被焼却物の発熱量と投入量から求められる二次空気供給量の増減に対応して、第1,第3噴出口から供給される二次空気の第2流速と、第2噴出口の二次空気の第1流速とを2系統で制御することにより、供給熱量の増減に対応して二次空気供給量を容易に追従制御することができる。また被焼却物の供給熱量が少なくなり、供給熱量が最も減少される二次空気低供給域でF工程を行い、第2流速を最小流速域の30m/秒以下に保持しつつ、旋回力の高い第1流速を最小流速域の30m/秒から最大流速域の40m/秒の間で増減させるので、二次空気供給量が少なくても、旋回流を十分確保して燃焼ガスの滞留時間を十分に延ばすことができ、未燃物質の完全燃焼を行うことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、二次空気高供給域から二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時にE工程とF工程を順次行い、逆に二次空気低供給域から二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時にF工程とE工程を順次行うことにより、二次空気の流速を、第1,第3噴出口と、第2噴出口とで制御するだけの簡単な操作で二次空気の流速を制御して未燃物質を効果的に完全燃焼することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
図1,図2に示すように、この二次燃焼室21は、たとえばストーカ式ごみ焼却炉において、一次燃焼室15の上部に設けられるものである。炉本体11の前部には、被焼却物であるごみを所定量ずつ供給するごみ供給口12が設けられており、ごみ供給口12から炉本体11の底部のストーカ13上に供給されたごみが、前部から後部に送られつつ乾燥燃焼され、焼却灰や焼却残滓を炉本体11の後部に設けられた灰排出口14から排出するように構成されている。前記ストーカ13は前部上位から後部下位に傾斜されて、前部の乾燥火格子部13aから燃焼火格子部13bを介して後燃焼火格子部13cに連続して配置され、各火格子部13a〜13cの下部に設けられた乾燥用、燃焼用、後燃焼用の風箱(図示せず)から各火格子部13a〜13cを介してそれぞれ一次燃焼空気が吹き込まれる。そして燃焼火格子部13b上にごみを燃焼させる一次燃焼室15が形成される。
【0016】
一次燃焼室15の上方で燃焼ガスの流れ方向の下流側に設置された二次燃焼室21は、下部にごみ供給口12が設けられた前壁(一方の壁面)21Fと、この前壁21Fに奥行Dをあけて対面される仕切り壁(他方の壁面)21Rと、前壁21Fと仕切り壁21Rの左右側面をそれぞれ連結する左右の側壁21Sとで平面視が矩形断面に形成されている。そして、たとえばこの二次燃焼室21は、炉本体11の処理量に対応して、前壁21Fと仕切り壁21R間の奥行きDが2.5〜7.0mの範囲に形成されるとともに、左右の側壁21S間の横幅Wがたとえば2.5〜8.0mの範囲に形成され、また高さHが8.0〜15.0mの範囲に形成される。
【0017】
この二次燃焼室21内に燃焼ガス中に二次空気を吹き込む二次空気ノズルは、前壁21Fに幅方向および高さ方向の略中央部に設けられた複数の前壁ノズル(第1噴出口)22Fと、仕切り壁21Rの左右両側に配置された複数の仕切り壁ノズル(第2噴出口)22Rと、左右の側壁21Sの上方部に貫通して設けられた複数の挿入ノズル(第3噴出口)22Sとで構成されている。
【0018】
仕切り壁ノズル22Rは、最下段の前壁ノズル22Fより下位(上流側)で、左右の側壁21Sにそれぞれ所定距離SLまで接近して配置され、側壁21Sに平行に水平方向に二次空気流RAを吹き込む。これら二次空気流RAは、前壁21Fに衝突して中央部側に迂回し、一次燃焼室15から二次燃焼室21に流入する燃焼ガスに上流側で最初に旋回力を与えて旋回流を形成する。左右の仕切り壁ノズル22Rは、それぞれ同一の水平断面上で、SL=横幅W×0.2以内の所定距離に配置されており、この距離が横幅W×0.2を越えると旋回流が形成しにくいためであるが、仕切り壁ノズル22Rが側壁21Sにあまり接近すると、側壁21Sが抵抗となって二次空気が減速されるとともに、側壁21Sを部分的に冷却しすぎて壁面に悪影響を及ぼすおそれがあるので、たとえば横幅W×0.03以上に設定されている。また仕切り壁ノズル22Rの上下位置は、最下段の前壁ノズル22Fと二次燃焼室21の下限のDH=たとえば3m以内の範囲に設置される。
【0019】
前壁ノズル22Fは、前壁21Fで幅方向および高さ方向のほぼ中央部(中間部)で、鉛直線に沿って所定のノズル配置ピッチHfをあけて複数段(図では3段)に配置されている。これら前壁ノズル22Fからそれぞれ水平方向前方に吹き込まれた二次空気流FAにより、燃焼ガス流を左右両側に分断するとともに、仕切り壁ノズル22Rから吹き込まれた二次空気流RAと共に、左右両側にそれぞれ旋回流CAを形成する。
【0020】
これら前壁ノズル22Fのノズル配置ピッチHfは、ノズル口径の2倍以上で8倍以下とされ、ノズル配置ピッチHfが、ノズル口径の2倍以下では、隣接する前壁ノズル22Fの二次空気流FAが互いに重り合い、混合状態が低下して独立したノズルの二次空気流と変わらなくなるからであり、ノズル口径の8倍を越えると、二次空気流FAがそれぞれ独立してしまい、燃焼ガスを左右に分断する作用を奏しないからである。ここで、前壁ノズル22Fのノズル口径がたとえば78mmの場合、ノズル配置ピッチHfは500mmに設定される。
【0021】
挿入ノズル22Sは、左右の側壁21Sに、上段の前壁ノズル22Fより上方(下流側)で二次燃焼室21の上限以下の範囲UHで、奥行D方向のほぼ中央部分をそれぞれ貫通し、さらに二次燃焼室21内に所定距離突出して下方に湾曲され、左右の挿入ノズル22Sからの二次空気流SAを、左右の旋回流CAの中心部近傍に上方(下流側)からそれぞれ吹き込むように構成されている。これら挿入ノズル22Sから吹き込んだ二次空気流SAにより、各旋回流CAの中心部分における燃焼ガスの吹き抜けを防止するとともに、燃焼ガスの滞留時間を延ばすことができる。
【0022】
これら二次空気ノズル22F,22R,22Sは、図3に示すように、エアブロアユニット31に接続されて二次空気が供給される主エア供給供給管32が、前壁ノズル分配管33Fと仕切り壁ノズル分配管33Rと挿入ノズル分配管33Sに分岐されている。そして前壁ノズル分配管33Fは、分岐管34A〜34Cを介して前壁ノズル22Fにそれぞれ接続され、前壁ノズル分配管33Fに電動式の前壁ノズル流速制御弁(エアダンパー)35Fが介在されるとともに、前記分岐管34A〜34Cに流量制御弁(エアダンパー)36Fがそれぞれ介在されている。また仕切り壁ノズル分配管33Rは、左右の分岐管34RR,34RLを介して仕切り壁ノズル22Rに接続され、仕切り壁ノズル分配管33Rに電動式の仕切り壁ノズル流速制御弁(エアダンパー)35Rが介在されるとともに、前記分岐配管34RR,34RLに流量制御弁(エアダンパー)36RR,36RLがそれぞれ介在されている。さらに挿入ノズル分配管33Sは、左右の分岐配管34SR,34SLを介して挿入ノズル22Sに接続され、挿入ノズル分配管33Sに電動式の挿入ノズル流速制御弁(エアダンパー)35Sが介在されるとともに、前記分岐配管34SR,34SLに流量制御弁(エアダンパー)36SR,36SLがそれぞれ介在されている。
【0023】
またこのごみ焼却炉には、供給熱量(ごみの発熱量とごみ投入量)から求められる理論空気比に基づいて二次空気供給量を演算する燃焼制御装置37が設けられており、この燃焼制御装置37により、エアブロアユニット31による二次空気供給量が制御されるとともに、各ノズル分配管33F,33R,33Sや分岐配管34A〜34C,34RR,34RL,34SR,34SL、各二次空気ノズル22F,22R,22Sの流路抵抗が考慮されて、流速制御弁35F,35R,35Sがそれぞれ操作され、各二次空気ノズル22F,22R,22Sの出口の二次空気流速をそれぞれ制御するように構成されている。
【0024】
上記構成において、一次燃焼室15から二次燃焼室21に流入した燃焼ガス中に、最初に左右の仕切り壁ノズル22Rからそれぞれ二次空気流RAが左右の側壁21Sに沿ってそれぞれ水平方向に吹き込まれ、二次空気と燃焼ガスを混合攪拌して未燃物質の燃焼を促進し、さらに旋回流CAをそれぞれ形成して二次空気の滞留時間を延長し未燃物を燃焼させる。
【0025】
ついで、前壁ノズル22Fから水平方向に吹き込まれた二次空気流FAにより、燃焼ガスが中央部で左右に分断され、仕切り壁ノズル22Rからの二次空気流RAと共に2つの旋回流CAの旋回をそれぞれ形成して燃焼を促進させ、二次空気の滞留時間を延長して未燃物を効果的に燃焼する。
【0026】
さらに挿入ノズル22Sから左右の旋回流CAの中心部近傍に上方から吹き込まれた二次空気流SAにより、各旋回流CAの中心部における燃焼ガスの吹き抜けを防止しつつ、燃焼ガスの滞留時間を延ばし、未燃物質の燃焼を促進させる。
【0027】
なお、上記構成において、仕切り壁ノズル22Rおよび挿入ノズル22Sを、左右にそれぞれ複数本ずつ設けることもできる。
[二次空気の吹き込み方法]
次に上記構成における二次燃焼空気の吹き込み方法を、二次空気供給量と二次空気流速とに基づいてシミュレーションにより求めた図4のグラフと、その時の二次燃焼室21出口の一酸化炭素濃度を示す表1を参照して説明する。
【0028】
ここで、シミュレーションに用いた二次燃焼室21のデータは、横幅Wが3.15m、奥行きDが3.15m、高さHが9.95mである。また前壁ノズル22Fの口径は78mm×3本、仕切り壁ノズル22Rの口径は78mm×2本、挿入ノズル22Sの口径は27mm×24個(1本のノズルに12個の噴出口が形成されている)で、それぞれのノズル噴出口の断面積比は前壁ノズル22F:仕切り壁ノズル22R:挿入ノズル22S≒1.50:1.00:1.46である。
【0029】
(第1の二次空気の吹き込み方法)
上記構成において、図4に示すように、前壁ノズル22F(第1噴出口)、仕切り壁ノズル22R(第2噴出口)および挿入ノズル22S(第3噴出口)からそれぞれ供給される二次空気の流速による3系統で二次空気供給量を制御するものである。
【0030】
図4に示すように、二次空気供給量が最も大きい二次空気高供給域a−bでA工程が行われる。このA工程は、前壁ノズル22Fおよび仕切り壁ノズル22Rからそれぞれ供給される二次空気の流速を最大流速域(40m/秒以上)に保持した状態で、挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速を最大流速域(40m/秒以上)と最小流速域(30m/秒以下)の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減する。
【0031】
二次空気供給量が中程度の二次空気中供給域b−cでB工程が行われる。このB工程では、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域(40m/秒以上)に保持するとともに挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速を最小流速域(30m/秒以下)に保持した状態で、前壁ノズル22Fから供給される二次空気の流速を最大流速域(40m/秒以上)と最小流速域(30m/秒以下)の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減する。
【0032】
二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域b−cでC工程が行われる。このC工程は、前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sからそれぞれ供給される二次空気の流速を最小流速域(30m/秒以下)に保持した状態で、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域(40m/秒以上)と最小流速域(30m/秒以下)の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減する。
【0033】
たとえば、前壁ノズル22F、仕切り壁ノズル22Rおよび挿入ノズル22Sの二次空気の各流速がそれぞれ最大流速域にある場合、点aから点dまで二次空気供給量を減少させる手順を説明する。
【0034】
1)点a−b間でA工程を行う。点a−b間は、被焼却物の発熱量と投入量から求められる供給熱量が多く、二次空気を多く必要とする二次空気高供給域であり、二次空気供給量は、点aで約6720mN/h、点bで約5170mN/hである。点aで挿入ノズル22Sの二次空気の流速は約49m/秒にあり、また前壁ノズル22Fおよび仕切り壁ノズル22Rの二次空気の各流速は約66m/秒にあり、点aにおけるこれら二次空気の流速は、それぞれ最大流速域である40m/秒以上にある。また点aにおける二次燃焼室21出口の一酸化炭素濃度は0.2ppmである。
【0035】
燃焼制御装置37により、供給熱量が減少されてエアブロアユニット31からの二次空気供給量を減少制御する場合、前壁ノズル22Fおよび仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速を最大流速域内に保持した状態で、挿入ノズル流速制御弁35Sを操作して挿入ノズル22Sの二次空気の流速を、約49m/秒から漸次絞って、最小流速域である約流速27m/秒まで減速させ、二次空気供給量を点aの約6720mN/hから点bの約5170mN/hまで減少させる。この点bにおける二次燃焼室21出口の一酸化炭素濃度は2.3ppmである。
【0036】
なお、このシミュレーションでは、点a−b間の二次空気高供給域(高供給熱量域)で、前壁ノズル22Fと仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速を、最大流速域内で、約66m/秒から約55m/秒まで絞っている。
【0037】
2)点b−c間ではB工程を行う。点b−c間は、供給熱量が中程度で、必要とする二次空気も中間の二次空気中供給域にあり、二次空気供給量は、点bで約5170mN/h、点cで約3620mN/hである。また点bでは、前壁ノズル22Fと仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速が55m/秒付近にあり、さらに挿入ノズル22Sの二次空気の流速が約27m/秒にある。
【0038】
燃焼制御装置37により、挿入ノズル22Sの二次空気の流速を最小流速域である流速約27m/秒に保持するとともに、切り壁ノズル22Rの二次空気の流速を最大流速域である約55m/秒に保持した状態で、エアブロアユニット31からの二次空気供給量を減少制御し、前壁ノズル流速制御弁35Fを操作して前壁ノズル22Fの二次空気の流速を、55m/秒付近から漸次絞って最小流速域である流速約22m/秒(点c)まで減速させ、これにより二次空気供給量を点bの約5170mN/hから約3620mN/hまで減少させる。この点cにおける二次燃焼室21出口の一酸化炭素濃度は40ppmである。
【0039】
3)点c−d間でC工程を行う。点c−d間は、供給熱量が少なく、必要とする二次空気が少ない二次空気低供給域であり、二次空気供給量は、点cで約3620mN/h、点dで約2300mN/hである。また点cでは、仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速が最大流速域の約55m/秒にあり、また前壁ノズル22Fの二次空気の流速が最小流速域の約22m/秒にあり、さらに挿入ノズル22Sの二次空気の流速が最小流速域の約27m/秒にある。
【0040】
この点cから、燃焼制御装置37により、エアブロアユニット31からの二次空気供給量を減少制御して、前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sの二次空気の流速を最小流速域に保持した状態で、仕切り壁ノズル流速制御弁35Rを操作して仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速を、約55m/秒から漸次絞って流速約20m/秒まで低下させ、二次空気供給量を約3620mN/hから約2300mN/hまで減少させる。
【0041】
【表1】

表1によれば、二次空気流量が約2900mN/h〜約6720mN/hにおける二次燃焼室21の出口の一酸化炭素濃度は、十分に低い範囲に保持されていることがわかる。
【0042】
また、第1の二次空気の吹き込み方法において、A工程とB工程で前壁ノズル22Fと挿入ノズル22Sとを入れ替えて二次空気の流速を制御しても、表1とほぼ同様の結果を得ることができた。
【0043】
[比較例]
また比較例として、図7に示すように、二次空気ノズル22F,22R,22Sの各二次空気の流速を、点aから二次空気供給量を減少させる場合、挿入ノズル22Sの二次空気の流速を一定に保持した状態で、前壁ノズル22Fと仕切り壁ノズル22Rの二次空気の流速を減少させた後、点c〜点dの範囲で挿入ノズル22Sの二次空気の流速を減速させるシミュレーションを行った結果、表2に示すように、二次燃焼室21の出口の一酸化炭素濃度は本発明よりも増大する結果となった。
【0044】
【表2】

この結果、表2に示すように、二次空気供給量が減少される点cの約3,620mN/h以下の範囲で、挿入ノズル22Sの二次空気の流速を制御しても、二次燃焼室21の出口での一酸化炭素濃度の低減効果が得られず、十分に未燃物質の完全燃焼ができない。また二次空気供給量が減少された約4220mN/h以下の範囲では、前壁ノズル22Fからの二次空気流FAと仕切り壁ノズル22Rからの二次空気流RAとが未燃物質の完全燃焼に有効であることがわかった。これに、二次空気流FAと二次空気流RAのうち、二次空気流RAは、二次空気流FAに比較して、一次燃焼室15から二次燃焼室21に流入する燃焼ガスに、最初に旋回力を付与して燃焼ガスを十分に攪拌混合しかつ旋回流CAを形成すること、また仕切り壁ノズル22Rが十分な口径を有することから、一酸化炭素の低減に対してより効果があると考えられ、二次空気供給量を減少させる際には、できるだけ、仕切り壁ノズル22Rからの二次空気流RAの流速を確保することが重要であることがわかる。
【0045】
ここで必要な二次空気供給量は、ごみの組成とごみ投入量から求められる理論空気比により算出される。
なお、本発明において、二次空気の流速を範囲で示しているのは、燃焼ガスに対して十分な貫通力を得るための二次空気流速が、二次燃焼室21の前壁21Fと仕切り壁21Rとの壁間距離により変化するためであり、壁間距離l〜lと十分な貫通力が得られる二次空気流速v〜vとの間には、図6に示すような関係がある。
【0046】
なお、ここで、前壁ノズル22F、仕切り壁ノズル22R、挿入ノズル22Sの二次空気の各流速の最大流速域を40m/秒以上とし、最小流速域30m/秒以下とした。図4では最大流速域と最小流速域間が、全体の制御流速域に比較して小さいが、これは各ノズル22F,22R,22Sの二次空気の各流速は、二次燃焼室21の大きさにより最大流速域と最小流速域を変位させる必要があるからである。
【0047】
シミュレーションに用いた二次燃焼室21は、横幅Wが3.15m、奥行きDが3.15m、高さHが9.95mであるが、二次燃焼室21の横幅W=3.15m±0.5m、奥行きD=3.15m±0.5m、高さH=9.95m±1.0mでは、図4に示すように、最大流速域は50m/秒の近傍値以上、最小流速域が30m/秒以下が好適値となる。
【0048】
そして二次燃焼室21がさらに大きくなる場合には、各ノズル22F,22R,22Sの二次空気の各流速を上昇させて最大流速域および最小流速域を上げ、反対に二次燃焼室21の小さくなる場合には、二次空気の各流速を低下させて最大流速域および最小流速域を下げる必要があり、実用的な最大流速域は40〜50m/秒以上であり、また最小流速域は20〜30m/秒以下である。
【0049】
[第2の二次燃焼空気の吹き込み方法]
上記構成において、図5に示すように、仕切り壁ノズル22R(第2噴出口)から供給される二次空気の流速を第1流速とし、前壁ノズル22F(第1噴出口)および挿入ノズル22S(第3噴出口)からそれぞれ供給される二次空気の流速を第2流速として、これら第1流速と第2流速の2系統で二次空気供給量を制御するものである。この第2流速で供給される前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sの二次空気供給量比は、各ノズルの口径(断面積)と本数から求められる合計断面積比となる。
【0050】
図5に示すように、二次空気供給量が大きい二次空気高供給域e−gでE工程が行われる。このE工程は、第1流速を最大流速域(40m/秒以上)に保持した状態で、第2流速を最大流速域(40m/秒以上)と最小流速域(30m/秒以下)の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減する。
【0051】
二次空気供給量が小さい二次空気低供給域g−hでF工程が行われる。このF工程は、第2流速を最小流速域(30m/秒以下)に保持した状態で、第1流速を最大流速域(40m/秒以上)と最小流速域(30m/秒以下)の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減する。
【0052】
たとえば、前壁ノズル22F、仕切り壁ノズル22Rおよび挿入ノズル22Sの二次空気の各流速がそれぞれ最大流速域にある場合、点eから点hまで二次空気供給量を減少させる手順を説明する。
【0053】
1)点eでは、二次空気供給量は約6720mN/hであり、第2流速は57m/秒付近にある。また点eにおける二次燃焼室出口の一酸化炭素濃度は0.2ppmである。燃焼制御装置37により、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域に保持した状態で、前壁ノズル流速制御弁35Fおよび挿入ノズル流速制御弁35Sをそれぞれ操作して第2流速を、約57m/秒付近から漸次絞って流速約23m/秒付近(点g)まで減速させ、エアブロアユニット31からの二次空気供給量を約6720mN/hから約3620mN/hまで低下させる。この時の点gにおける二次燃焼室出口の一酸化炭素濃度は48ppmである。(E工程)
2)点gから、燃焼制御装置37により、第2流速を最小流速域に保持した状態で、仕切り壁ノズル流速制御弁35Rを操作して第1流速を、55m/秒付近から漸次絞って流速約20m/秒(点h)まで低下させ、エアブロアユニット31からの二次空気供給量を約3620mN/hから約2300mN/hまで減少させる。(F工程)
上記第2の二次空気の吹き込み方法における二次燃焼室21の出口の一酸化炭素濃度は、表3の通りであり、一酸化炭素濃度が十分に低い範囲に保持されていることがわかる。
【0054】
【表3】

もちろん、各ノズル22F,22R,22Sのすべての二次空気の各流速が最小流速域にある時に二次空気供給量を漸次増大させる場合には、F工程→E工程の順に実施すればよい。また途中から二次空気供給量を増減させる場合にも、二次空気供給量に対応して適用位置がF工程かE工程を選択的に適用することができる。
【0055】
なお、第2の二次空気の吹き込み方法でも、二次燃焼室21の横幅W=3.15m±0.5m、奥行きD=3.15m±0.5m、高さH=9.95m±1.0mでは、図5に示すように、最大流速域は50m/秒以上、最小流速域が25m/秒以下が好適値である。
【0056】
そして二次燃焼室21がさらに大きくなる場合には最大流速域および最小流速域を上げ、反対に二次燃焼室21の小さくなる場合には、最大流速域および最小流速域を下げる必要がある。
【0057】
[実施の形態1の効果]
上記第1の二次空気の吹き込み方法によれば、前壁ノズル22Fおよび仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速がそれぞれ最大流速域にある二次空気高供給域(点a−b間)では、供給熱量の増減に対応してA工程を行う。A工程では、前壁ノズル22Fおよび仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域に保持しつつ、挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速を最大流速域と最小流速域との間で増減して二次空気供給量を調整する。
【0058】
また、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速がそれぞれ最大流速域で、かつ挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速が最小流速域にある二次空気中供給域(点b−c間)では、供給熱量の増減に対応してB工程を行う。このB工程は、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域に保持するとともに、挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速を最小流速域に保持しつつ、前壁ノズル22Fから供給される二次空気の流速を最大流速域と最小流速域との間で増減して二次空気供給量を調整する。
【0059】
さらに、前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速が最小流速域にある二次空気低供給域(点c−d間)では、供給熱量の増減に対応してC工程を行う。このC工程では、前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sから供給される二次空気の流速を最小流速域に保持しつつ、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の流速を最大流速域と最小流速域との間で増減して二次空気供給量を調整する。
【0060】
したがって、A〜C工程では、各ノズル22F,22R,22Sから供給される二次空気の流速をそれぞれ単独で減少させ、残りのノズルから供給される二次空気の流速を最大流速域または最小流速域に保持するので、容易に二次空気供給量を制御することができる。
【0061】
また二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域(点c−d間)では、二次空気の流速が低下されて旋回力が弱く混合攪拌が不足しやすいため、燃焼ガスの滞留時間も短くなりやすいが、本発明では、二次空気低供給域でC工程を行い、仕切り壁ノズル22Rの二次空気流RAの流速を最後に増減して、二次空気流RAにより燃焼ガスに旋回力を付与し、燃焼ガスを十分に攪拌混合しかつ旋回流CAを形成することができ、二次空気低供給域における燃焼ガスの混合、攪拌を良好に行えて、燃焼ガスの十分な滞留時間を確保することができ、未燃物質をほぼ完全燃焼させることができる。
【0062】
さらに各ノズル22F,22R,22Sからの二次空気が最大流速域となる二次空気高供給域から、供給熱量の減少に対応して二次空気供給量を低減する場合、A工程、B工程、C工程の順に行うことで、各ノズル22F,22R,22Sからの二次空気供給量の制御を二次空気の流速により容易に行うことができる。反対に、各ノズル22F,22R,22Sからの二次空気が最小流速域となる二次空気低供給域から供給熱量の増大に対応して二次空気供給量を増加させる場合には、C工程、B工程、A工程の順に行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
第2の二次空気の吹き込み方法によれば、仕切り壁ノズル22Rから供給される二次空気の第1流速が最大流速域にある二次空気高供給域(点e−g間)では、供給熱量の増減に対応してE工程を行い、第1流速を最大流速域に保持しつつ、第2流速を最大流速域と最小流速域との間で増減して二次空気供給量を調整する。
【0064】
また前壁ノズル22Fおよび挿入ノズル22Sから供給される二次空気の第2流速が最小流速域にある二次空気低供給域(点g−h間)では、第2流速を最小流速域に保持しつつ、第1流速を最大流速域と最小流速域との間で増減して二次空気供給量を調整する。したがって、容易に二次空気供給量を制御することができて、未燃分を完全燃焼させることができる。
【0065】
また、二次空気供給量が減少される二次空気低供給域では、二次空気の流速が低下されて旋回力が弱く混合攪拌が不足しやすいため、燃焼ガスの滞留時間も短くなりやすいが、この範囲でF工程を行い、第1流速(二次空気流RA)を最後に増減させることにより、二次空気流RAにより燃焼ガスに旋回力を付与して燃焼ガスを十分に攪拌混合しかつ旋回流CAを形成することができ、二次空気低供給域における燃焼ガスの混合、攪拌を良好に行えて、燃焼ガスの十分な滞留時間を確保することができ、未燃物質をほぼ完全燃焼させることができる。
【0066】
さらに各ノズル22F,22R,22Sからの二次空気が最大流速域となる二次空気高供給域から二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少する場合、E工程からF工程を行うことにより、二次空気ノズル22F,22R,22Sからの二次空気供給量を容易に制御することができて、未燃分を完全燃焼させることができる。反対に二次空気低供給域から二次空気高供給域まで二次空気供給量を増加させる場合には、F工程、E工程の順に行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
なお、他の実施の形態として、前壁21Fに仕切り壁ノズル22Rを配置するとともに、後壁に前壁ノズル22Fを配置しても、同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るストーカ式ごみ焼却炉の実施の形態を示す概略斜視図である。
【図2】二次燃焼室の構造を示し、(a)は平面視の概略断面図、(b)は側面視の概略断面図である。
【図3】二次空気ノズルと配管系統を説明する斜視図である。
【図4】二次空気の第1の吹き込み方法の二次空気供給量と二次空気流速を示すグラフである。
【図5】二次空気の第2の吹き込み方法の二次空気供給量と二次空気流速を示すグラフである。
【図6】前後壁間距離と二次空気流速の燃焼ガスへの貫通速度を示すグラフである。
【図7】二次空気の比較例の吹き込み方法の二次空気供給量と二次空気流速を示すグラフである。
【符号の説明】
【0069】
11 炉本体
12 ごみ供給口
13 ストーカ
13b 燃焼火格子
14 灰排出口
15 一次燃焼室
21 二次燃焼室
21F 前壁
21R 仕切り壁
21S 側壁
22F 前壁ノズル
22R 仕切り壁ノズル
22S 挿入ノズル
31 エアブロアユニット
33F 前壁ノズル分配管
33R 仕切り壁ノズル分配管
33S 挿入ノズル分配管
35F 前壁ノズル流速制御弁
35R 仕切り壁ノズル流速制御弁
35S 挿入ノズル流速制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次燃焼室から流入される燃焼ガスの流れ方向の下流側に設置された二次燃焼室に、前後一方の壁面の中央部に上下方向に複数段に配置されて二次空気を水平方向に吹き込む複数の第1噴出口と、前後他方の壁面の左右両側でかつ第1噴出口の上流側に配置されて左右の側壁に沿って水平方向に二次空気を吹き込む第2噴出口と、第2噴出口の下流側に配置されて第1噴出口と第2噴出口から吹き込まれた二次空気により形成される2つの旋回流の中心部近傍に、下流側から二次空気を吹き込む第3噴出口とを具備した二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法であって、
第1噴出口、第2噴出口および第3噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速の3系統で二次空気供給量を制御し、
第1噴出口および第2噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速を最大流速域に保持した状態で、第3噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するA工程と、
第2噴出口から供給される二次空気の流速を最大流速域に保持するとともに第3噴出口から供給される二次空気の流速を最小流速域に保持した状態で、第1噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するB工程と、
第1噴出口および第3噴出口からそれぞれ供給される二次空気の流速を最小流速域に保持した状態で、第2噴出口の二次空気の流速を最大流速域と最小流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するC工程とを有し、
二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域でC工程を行い、
第1噴出口、第2噴出口および第3噴出口の二次空気の最大流速域を40m/秒以上とし、最小流速域を30m/秒以下とした
ことを特徴とする二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法。
【請求項2】
二次空気供給量が最も大きい二次空気高供給域から最も小さい二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時に、A工程とB工程とC工程を順次行い、
二次空気供給量が最も小さい二次空気低供給域から最も大きい二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時に、C工程とB工程とA工程を順次行う
ことを特徴とする請求項1記載の二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法。
【請求項3】
一次燃焼室から流入される燃焼ガスの流れ方向の下流側に設置された二次燃焼室に、前後一方の壁面の中央部に上下方向に複数段に配置されて二次空気を水平方向に吹き込む複数の第1噴出口と、前後他方の壁面の左右両側でかつ第1噴出口の上流側に配置されて左右の側壁に沿って水平方向に二次空気を吹き込む第2噴出口と、第2噴出口の下流側に配置されて第1噴出口と第2噴出口から吹き込まれた二次空気により形成される2つの旋回流の中心部近傍に、下流側から二次空気を吹き込む第3噴出口とを具備した二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法であって、
第2噴出口から供給される二次空気の第1流速と、第1噴出口および第3噴出口から供給される二次空気の第2流速からなる2系統で二次空気供給量を制御し、
第1流速を最大流速域に保持した状態で、第2流速を最小流速域と最大流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を変化させるE工程と、
第2流速を最小流速域に保持した状態で、第1流速を最小流速域と最大流速域の間で漸次変化させて二次空気供給量を増減するF工程とを有し、
二次空気供給量が最も減少される二次空気低供給域でF工程を行い、
第1流速および第2流速の最大流速域を40m/秒以上し、最小流速域を30m/秒以下とした
ことを特徴とする二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法。
【請求項4】
二次空気供給量が最も大きい二次空気高供給域から最も小さい二次空気低供給域まで二次空気供給量を減少させる時に、E工程とF工程を順次行い、
二次空気供給量が最も小さい二次空気低供給域から最も大きい二次空気高供給域まで二次空気供給量を増大させる時に、F工程とE工程を順次行う
ことを特徴とする請求項3記載の二次燃焼室における二次燃焼空気の吹き込み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−121747(P2009−121747A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296164(P2007−296164)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】