二次電池、二次電池の製造装置および製造方法
【課題】複数の電極リード束ねた状態で複数回折曲げ等行う場合でも、電極リード自体またはその両端の電極タブや電極端子との接合部分での損傷を防止でき、生産性も良い二次電池を提供する。
【解決手段】電極端子8と、並んで配置された複数の電極板4と、前記電極端子と前記複数の電極板4とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板4とを電気的に接続する積層された複数の接続板材7と、を具備し、前記積層された複数の接続板材7は、前記電極端子と前記複数の電極板4との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴とする二次電池1。
【解決手段】電極端子8と、並んで配置された複数の電極板4と、前記電極端子と前記複数の電極板4とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板4とを電気的に接続する積層された複数の接続板材7と、を具備し、前記積層された複数の接続板材7は、前記電極端子と前記複数の電極板4との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴とする二次電池1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、二次電池の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層式の二次電池の電極体は、電極タブを端縁に有する正負電極板を、セパレータを介して交互に積層した構造となっている。特許文献1には、電極板から引き出された電極タブを束ねた状態で直接電極端子に接続する二次電池が開示されている。
【0003】
特許文献1において、電極タブが例えば数百枚と多い場合には、電極タブの結束や電極端子への接続が困難な作業となる。また、電極タブ自体は電極板と同様に数μm〜数mmと薄いため応力集中を受けやすい。特に、電極タブと電極端子との接続部分では、電極タブが破れるなどの損傷を受けやすく、損傷による短絡等の電池性能低下といった不具合が発生するおそれがあった。
【0004】
一方、特許文献2には、電極体を複数の束に分割した二次電池が開示されている。この特許文献2に開示の二次電池は、電極体を分割した束毎に電極タブが束ねられて集電(電極)リードに接合され、さらに電極リードも束ねられて電極端子に接合された後に折畳まれた状態で電池ケースに収納している。これにより、全ての電極タブを直接電極端子に接続する場合に比べ、電極端子への接続本数が少なくて済むため、製造の効率化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−242957号公報
【特許文献2】特開2005−5215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図14に示すように、特許文献2に開示された電極リード107は、束ねられた状態で1回だけ折畳まれている。ここで特許文献2に開示された電極リード107は弾性部材としても機能し、蓋とケース本体内に電極を安定して収納させることができるが、図14に示された電極リード107の配置では1回だけ折畳まれるのみなので弾性部材として機能を充分に発揮できない。
【0007】
また、さらなる課題として、電極リード107自体の厚みによって各電極リード107両端部の相対的な位置関係が強制的に変化させられることになる。この場合、電極リード107の両端部は電極タブ105や電極端子108に接合・固定されているので、電極リード107の束の内側の電極リード107aには圧縮力が発生し、外側の電極リード107bには引っ張り力が発生する。
【0008】
従って、電極リード107自体またはその両端部の電極タブ105や電極端子108との接合部分(もしくは固定部分)で損傷を受けるおそれがある。すなわち、電極リード107と電極タブ105または電極端子108との接合部分では、内側の電極リード107aと外側の電極107bとでは互いに逆向きの応力が発生し、これにより電極リードが上記接合部分で破断するおそれがある。
また、折曲げを考慮して個々の電極リード107の長さを予め変えておくことで、損傷を防止することができるが、部品点数の増加や結束作業の困難性から生産性の悪化が懸念される。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、複数の電極リードを束ねた状態で折畳む場合でも、電極リード自体またはその両端部の電極タブや電極端子との接合部分での損傷を防止し、生産性の良い二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の二次電池は、電極端子と、並んで配置された複数の電極板と、前記電極端子と前記複数の電極板とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板とを電気的に接続する積層された複数の接続板材と、を具備し、前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴としている。
【0011】
ここで接続板材としては導電性の金属板材、例えば電極板の一縁端に設けられる電極タブ、あるいは電極タブに接続される電極リードなどが挙げられる。
【0012】
上記構成によれば、積層された複数の接続板材が蛇行状に折畳まれるため、電池ケースと蓋との間で充分な弾性機能を発揮し、これにより電池ケース内において電極などを安定して収納させておくことができるとともに、電極端子等と接続部材との間の損傷を軽減・防止できる。
【0013】
また、本発明の二次電池の製造方法は、積層された複数の電極板と電気的に接続された複数の接続板材の一方の端部を、電池蓋に設けられた電極端子に固定して電気的に接合する工程と、前記接続板材が前記電極端子と固定された後に、前記接続板材を蛇行状に折畳む工程と、を少なくとも含むことを特徴とすることを特徴としている。
【0014】
この方法によれば、製造された二次電池における電極リードの束は蛇行状に折畳まれるため、電池ケースと蓋との間で充分な弾性機能を発揮し、これにより電池ケース内において電極などを安定して収納させておくことができるとともに、電極端子等と接続部材との間の損傷を軽減・防止できる。
【0015】
さらに、本発明の二次電池の製造装置は、積層された複数の電極板からなる第1および第2の電極ユニットと、一端が前記第1および第2の電極ユニットにそれぞれ対応して接続され且つ他端が電池蓋に固定された電極端子に接続された第1および第2の接続部材とを備えた二次電池の製造装置であって、
前記第1および第2の接続板材を前記積層の方向である第1の方向に折り曲げる第1の押さえ機構と、前記第1の押さえ機構が折り曲げた前記第1および第2の接続板材を、前記電極板の面方向であって前記面から外向きの第2の方向に折り曲げる第2の押さえ機構と、前記第2の方向に折り曲げられた前記第1および第2の接続板材の端部に前記第1の方向から前記電池蓋に固定された前記電極端子を当接し、前記電極端子と前記第1および第2の接続板材とを接続する電池蓋接続機構と、前記電池蓋を支える電池蓋固定機構と、前記電極端子と接続された前記第1および第2の接続板材を、前記第1の方向とは逆方向の第3の方向に折り曲げる第3の押さえ機構と、を有し、
前記第3の押さえ機構と前記電池蓋固定機構とが共同して動作することで、前記電池蓋の面を前記第1の方向と平行に配置し且つ前記電池蓋と前記第1および第2の電極ユニットとの間に前記当接された部分が配置されることを特徴とする。
【0016】
この製造装置によれば、接続部材を蛇行させるのみならず、電池蓋の面を電極ユニットの積層方向に向けるので、電池ケースへの電極体の挿入および電池ケースと電池蓋との溶接等による固定が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
複数の接続板材(電極タブや電極リードなど)を束ねた状態で折曲げを行う場合でも、電極リード自体またはその両端部の電極タブや電極端子との接合部分での損傷を防止でき、これにより生産性も良い二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースの一部破断した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニットのY方向断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニットの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースのY方向断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースのX方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る二次電池1の準備工程および電極リード接合工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニット積層工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極タブ折曲げ工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極リード折曲げ工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞工程を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞工程を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極リードの束の折畳み装置を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞後の状態図である。
【図14】特許文献2の電極リードに生じる圧縮力と引っ張り力の作用図である。
【図15】本発明の二次電池の生産方法に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る二次電池の実施形態について図1から図5を参照して説明する。本実施形態の二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池がある。以下の説明においては、各図に示すXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。ここで、X方向は電極板の積層方向、Z方向は電極タブが電極板から突出する方向、Y方向はX方向とZ方向に直行する方向である。
【0020】
図1に示す本実施形態の二次電池1は、電池ケース2、電池蓋3、電極板4(正極板41、負極板42)、電極タブ5(正極タブ51、負極タブ52)、セパレータ6、電極リード7(正極リード71、負極リード72)、電極端子8(正極端子81、負極端子82)、スペーサ9、電極ユニット10、及び電極体15を備える。二次電池1において、電極体15は、複数の電極板ユニット10に分割されている。分割された各電極板ユニット10は、正極板41、負極板42、及びセパレータ6を有し、複数の正極板41と負極板42がセパレータ6を介してX方向に交互に積層した構造となっている。
【0021】
なお電極板4と電極端子8とを電気的に接続する接続板材としては、電極タブ5を束ねて直接電極端子8と接合する場合、あるいは電極リード7を介して電極板4と電極端子8とを接合させる場合などが考えられるが、本実施の形態においては電極リード7を介する例を用いて以下に説明する。
【0022】
図2および図3は、電極ユニット10の構成を説明する図である。図2に示すように、正極板41の+Z方向の縁端から突出する複数の正極タブ51は、電極ユニット10の−X方向に略垂直に折曲げられ束ねられている。束ねられた複数の正極タブ51は、電極板ユニット10の−X方向の縁端位置で+Z方向に略垂直に折曲げられ、正極リード71と接合されている。図2に示すように、電極板ユニット10の−X方向の端部にある正極タブ51は、+Z方向に略垂直に折曲げられた複数の他の正極タブ51と束ねられ、正極リード71と接合されている。
【0023】
ここで、複数の正極タブ51と正極リード71との接合は超音波接合等により行う。このように、本実施例の電極ユニット10は、電極ユニット10内に有する複数の正極タブ51を束ね正極リード71と接合する構成をしている。電極板ユニット10内に有する複数の負極タブ52についても、同様に束ねられ負極リード72と接合している。
【0024】
図3に、複数の正極タブ51が正極リード71と接合した構成と負極タブ52が束ねられ負極リード72と接合した構成を示す。なお、電極ユニット10において、積層された正極板41、負極板42及びセパレータ6は、積層ずれが起こらないように固縛部材11により固定されている。なお固縛部材11には、典型的には絶縁テープが用いられる。
【0025】
図4は本実施形態の二次電池1の電池ケースのY方向断面図であり、図5は本実施形態の二次電池1の電池ケースのX方向断面図である。図4および図5に示すように、電極ユニット10毎に束ねられた複数の正極タブ51は、各電極ユニット10に対応する正極リード71(1つの電極ユニットに対して1つの正極リードが対応する)とそれぞれ固定して電気的に接合される。そして、複数の正極リード71も互いに束ねられ、正極端子81と固定して電気的に接合された後、図4に示すように蛇行状に偶数回だけ折畳まれる。
【0026】
本実施形態においては、束ねられた正極リード71はS字状に2回折畳まれて電池ケース2に収納される。同様に、電極ユニット10毎に束ねられた複数の負極タブ52は、各電極ユニット10に対応する負極リード72と電気的に接合される。そして、複数の負極リード72も互いに束ねられ、負極端子82と電気的に接合された後、図4に示すようにS字状に2回折畳まれ電池ケース2に収納される。
【0027】
なお、図4および図5に示すように、電池蓋3の内面3aと電極ユニット10の上面10aとの隙間にはそれぞれに当接するスペーサ9が配置されている。スペーサ9はPET(ポリエチレンテレフタレート)などの絶縁材料で構成されており、後述のとおり折り曲げた電極リード7の配置位置を固定する機能などを担う。なお、このスペーサ9は必須ではなく適宜省略が可能である。
【0028】
図4においては、正極リード71および負極リード72は蛇行状に2回折畳まれているが、電池ケース内での電極の安定性だけを考慮するのであれば、少なくとも蛇行状となっていればよい。蛇行状であると、正極および負極リードにバネのような弾性力が働くため、電極体15を電池ケース2内部の所定位置に安定して収納することができる。
【0029】
上述した本実施形態の二次電池1において、各電極ユニット10に対応する複数の正極リード71は、お互いに束ねられた構成をし、複数の正極リード71が図4に示すようにS字状に2回折畳まれた構成である。また、各電極ユニット10に対応する複数の負極リード72は、お互いに束ねられた構成をし、図4に示すようにS字状に折畳まれた構成である。このように、複数の電極リード7(正極リード71および負極リード72)がS字状に2回折畳まれているため、これら電極リード7の両端部がそれぞれ電極タブ5と電極端子8に予め接合・固定した状態で折畳まれた際に、電極リード7に圧縮力、引張力が発生してしまうのを抑制でき、電極リード7自体またはその両端部の電極タブ5や電極端子8との接合部分での損傷を防止できる。
【0030】
この点を詳しく述べると、互いに束ねられた正極および負極の電極リード7は、S字状に折畳まれる前に電極タブ5に一方の端部が、電極端子8に他方の端部が接合される。この状態から、正極および負極の電極リード7をU字状に折り曲げると、電極リード7の両端が固定されているため、それぞれの接合部分にストレス(電極リード7の束における中心に位置する電極リード7を基準に外側の電極リードは引っ張り力、内側の電極リードは圧縮力)が発生する。 この接合部分に発生するストレスは、上記電極リード7の束における中心から離れるにつれて大きくなる。
【0031】
その後、S字とするために、もう一度、U字状の折り曲げを行うと、正極および負極の電極リード7は2回折曲げられているため、一方の折り曲げにより引張り力が生じても他方の折り曲げにより圧縮力を受ける。従って、結局、接合部分において生じるストレスは相殺される。
【0032】
よって、図4に示すようにS字状に正極および負極の電極リード7を折曲げることにより、電極リード7の接合部付近に発生するストレスを相殺して上記接合部分における損傷を防止することができる。また、複数の電極リードを折り曲げることで、それぞれの電極リード7に生ずる撓みを防ぐことができる。
【0033】
また、個々の電極リード7の長さを、折曲げを考慮して予め変えておく必要もないので生産性が向上する。さらに、上述した安定性の向上、すなわち、各電極板ユニット10が電池ケース2内に固定されるので、外的な衝撃や振動に対する各電極板ユニット10の位置ずれが抑制され、電極板4、電極タブ5、電極リード7等の損傷が防止されることで短絡等の電池性能低下を回避することができる。
【0034】
なお、電池ケース2内に配置された電極などの位置ずれをより確実に抑制するために、当該スペーサ9を介して電池蓋3の押し付け力を各電極ユニット10に作用させて、電極ユニット10がスペーサ9と電池ケース2の底板部分との間で押圧された状態とするようにしてもよい。
【0035】
次に、上述した本実施形態の二次電池の生産方法に係る各ステップについて、図15に示すフローチャート、および図6乃至図13を用いて説明する。
なお、図12は後述のステップS4以降で用いる電極リード7の束の折畳み装置50を示す。当該折畳み装置50は3つの押さえ機構25、26、27と電池蓋固定機構30とを備える。押さえ機構25、26、27はそれぞれ押さえ部材21、22、211を有する。アクチュエータ23、24は±X方向に、アクチュエータ212は±Z方向に進退できるようになっている。また、電池蓋固定機構30はY軸周りに回転しつつXおよびZ方向に移動可能となっている。
【0036】
(ステップS1 準備工程)
電極タブ5と電極リード7との電気的な接続の前に準備工程を行う。具体的には、図6に示すように、先ず、電極ユニット10毎に電極板4の+Z方向の端縁から突出する複数の電極タブ5は、押さえ部材20により電極ユニット10の−X方向に寄せて束ねられる。
【0037】
(ステップS2 電極リード接合工程)
図6に示すように、電極ユニット10毎に電極タブ5の束と該電極ユニット10と対応する電極リード7とを接合し、電気的に接続させる。電極タブ5と電極リード7との接合は超音波接合等により行う。
【0038】
(ステップS3 電極ユニット積層工程)
図7に示すように、電極リード接合工程で電極リード7がそれぞれ電極タブ5に接合された複数の電極ユニット10をX方向に積層し、固縛部材11により固縛する。なお、この電極板ユニット積層工程は、ステップS1およびステップS2の前に行ってもよい。
【0039】
(ステップS4 電極タブ折曲げ工程)
続いて図8に示すように、各電極ユニット10の電極リード7を押さえ部材21により−Z方向に押さえ付けながら、各電極タブ5の束を電極板4の積層方向である+X方向に折曲げる。その結果、電極リード7は+X方向に束ねられる。ここで、押さえ部材211は電極体15の脇に配置され、ステップS5での動作に向けて待機している。
【0040】
(ステップS5 電極リード折曲げ工程)
そして図9に示すように、電極体15の脇に配置された押さえ部材211を+Z方向へ移動させることで、電極リード7の束は押さえ部材21の+X方向縁端位置で+Z方向に折曲げられ、その先端側が+Z方向に沿って配設された状態となる。
【0041】
(ステップS6 電極端子接合工程)
次に図9に示すように、電極リード7の束を電池蓋3に設けられた電極端子8に接合して電気的に接続する。この接合は、例えばリベット止めで行われる。具体的には、+Z方向に折曲げられた電極リード7の束を新たに折曲げることなく、当該束の端部の−X方向側と電池蓋3の内側にある電極端子8の端子面とを接合する。
なお、接合作業を容易とするために、電極端子8と接合される前に電極リード7の束の端部を所定位置で切り揃え、切り揃えた当該端部を予め一体となるよう接合または固縛しておいてもよい。
【0042】
(ステップS7 電池蓋閉塞工程)
そして図10に示すように、押さえ部材21を固定した状態で、+Z方向にやや上方で押さえ部材21と平面的に重なるように押さえ部材22を+X方向から−X方向に挿入する。さらに、電池蓋3を支えて配置される電池蓋固定機構30が、押さえ部材21の動作と同期して−X方向から+X方向、+Z方向から−Z方向へと順次電池蓋3を押し出す。すると電池蓋3は、図10に示す矢印Pのように時計回りに90度回転しながら電極体15の積層方向に垂直な向きに移動する。このような位置に電池蓋3が向くことで、当接された部分が各電極ユニット10と電池蓋3との間に配置される。また、電池ケース2への電極体15の挿入および電池ケース2と電池蓋3との溶接が容易となる。
【0043】
これにより、図11に示すように電極リード7の束はS字状になるように折曲げられる。その後、押さえ部材21および22を取り除いた後、電極リード7の束を−Z方向に電池蓋3で押え付けながらS字状となった状態を維持しつつ、電池ケース2の開口部に電池蓋3を図13に示すように固定して二次電池1が完成する。
なお電極リード7は蛇行状に偶数回だけ(本例ではS字状となるように2回)折畳まれているが、電池ケース内での電極の安定性だけを考慮するのであれば、偶数回折畳むことに限定されず3回以上の奇数回折畳んでもよい。すなわち蛇行状に折畳まれていればよい。
電極の安定性のみならず、電極リード7と電極端子8等との接合部付近に発生するストレスを相殺して上記接合部における損傷を軽減・防止するためには、電極リード7を電極端子8と接合・固定した後に、偶数回だけ蛇行状に折畳む構成が望ましい。
折畳み装置50では、電極リード7を電極端子8と接合・固定した後に、2回だけ電極リード7を折り曲げてS字状とするよう押さえ機構25、26、27が配置されているが、3回以上の奇数回、もしくは4回以上の偶数回折り曲げて蛇行させる場合には、適宜、押さえ機構をさらに追加すればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 二次電池
2 電池ケース
3 電池蓋
3a 電池蓋内面
4 電極板
41 正極板
42 負極板
5、105 電極タブ
51 正極タブ
52 負極タブ
6 セパレータ
7、107 電極リード
71 正極リード
72 負極リード
8、108 電極端子
81 正極端子
82 負極端子
9 スペーサ
10 電極ユニット
10a 電極ユニット上面
11 固縛部材
15 電極体
20、21、22、211 押さえ部材
23、24、212 アクチュエータ
25、26、27 押さえ機構
30 電池蓋固定機構
50 折畳み装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、二次電池の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層式の二次電池の電極体は、電極タブを端縁に有する正負電極板を、セパレータを介して交互に積層した構造となっている。特許文献1には、電極板から引き出された電極タブを束ねた状態で直接電極端子に接続する二次電池が開示されている。
【0003】
特許文献1において、電極タブが例えば数百枚と多い場合には、電極タブの結束や電極端子への接続が困難な作業となる。また、電極タブ自体は電極板と同様に数μm〜数mmと薄いため応力集中を受けやすい。特に、電極タブと電極端子との接続部分では、電極タブが破れるなどの損傷を受けやすく、損傷による短絡等の電池性能低下といった不具合が発生するおそれがあった。
【0004】
一方、特許文献2には、電極体を複数の束に分割した二次電池が開示されている。この特許文献2に開示の二次電池は、電極体を分割した束毎に電極タブが束ねられて集電(電極)リードに接合され、さらに電極リードも束ねられて電極端子に接合された後に折畳まれた状態で電池ケースに収納している。これにより、全ての電極タブを直接電極端子に接続する場合に比べ、電極端子への接続本数が少なくて済むため、製造の効率化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−242957号公報
【特許文献2】特開2005−5215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図14に示すように、特許文献2に開示された電極リード107は、束ねられた状態で1回だけ折畳まれている。ここで特許文献2に開示された電極リード107は弾性部材としても機能し、蓋とケース本体内に電極を安定して収納させることができるが、図14に示された電極リード107の配置では1回だけ折畳まれるのみなので弾性部材として機能を充分に発揮できない。
【0007】
また、さらなる課題として、電極リード107自体の厚みによって各電極リード107両端部の相対的な位置関係が強制的に変化させられることになる。この場合、電極リード107の両端部は電極タブ105や電極端子108に接合・固定されているので、電極リード107の束の内側の電極リード107aには圧縮力が発生し、外側の電極リード107bには引っ張り力が発生する。
【0008】
従って、電極リード107自体またはその両端部の電極タブ105や電極端子108との接合部分(もしくは固定部分)で損傷を受けるおそれがある。すなわち、電極リード107と電極タブ105または電極端子108との接合部分では、内側の電極リード107aと外側の電極107bとでは互いに逆向きの応力が発生し、これにより電極リードが上記接合部分で破断するおそれがある。
また、折曲げを考慮して個々の電極リード107の長さを予め変えておくことで、損傷を防止することができるが、部品点数の増加や結束作業の困難性から生産性の悪化が懸念される。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、複数の電極リードを束ねた状態で折畳む場合でも、電極リード自体またはその両端部の電極タブや電極端子との接合部分での損傷を防止し、生産性の良い二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の二次電池は、電極端子と、並んで配置された複数の電極板と、前記電極端子と前記複数の電極板とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板とを電気的に接続する積層された複数の接続板材と、を具備し、前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴としている。
【0011】
ここで接続板材としては導電性の金属板材、例えば電極板の一縁端に設けられる電極タブ、あるいは電極タブに接続される電極リードなどが挙げられる。
【0012】
上記構成によれば、積層された複数の接続板材が蛇行状に折畳まれるため、電池ケースと蓋との間で充分な弾性機能を発揮し、これにより電池ケース内において電極などを安定して収納させておくことができるとともに、電極端子等と接続部材との間の損傷を軽減・防止できる。
【0013】
また、本発明の二次電池の製造方法は、積層された複数の電極板と電気的に接続された複数の接続板材の一方の端部を、電池蓋に設けられた電極端子に固定して電気的に接合する工程と、前記接続板材が前記電極端子と固定された後に、前記接続板材を蛇行状に折畳む工程と、を少なくとも含むことを特徴とすることを特徴としている。
【0014】
この方法によれば、製造された二次電池における電極リードの束は蛇行状に折畳まれるため、電池ケースと蓋との間で充分な弾性機能を発揮し、これにより電池ケース内において電極などを安定して収納させておくことができるとともに、電極端子等と接続部材との間の損傷を軽減・防止できる。
【0015】
さらに、本発明の二次電池の製造装置は、積層された複数の電極板からなる第1および第2の電極ユニットと、一端が前記第1および第2の電極ユニットにそれぞれ対応して接続され且つ他端が電池蓋に固定された電極端子に接続された第1および第2の接続部材とを備えた二次電池の製造装置であって、
前記第1および第2の接続板材を前記積層の方向である第1の方向に折り曲げる第1の押さえ機構と、前記第1の押さえ機構が折り曲げた前記第1および第2の接続板材を、前記電極板の面方向であって前記面から外向きの第2の方向に折り曲げる第2の押さえ機構と、前記第2の方向に折り曲げられた前記第1および第2の接続板材の端部に前記第1の方向から前記電池蓋に固定された前記電極端子を当接し、前記電極端子と前記第1および第2の接続板材とを接続する電池蓋接続機構と、前記電池蓋を支える電池蓋固定機構と、前記電極端子と接続された前記第1および第2の接続板材を、前記第1の方向とは逆方向の第3の方向に折り曲げる第3の押さえ機構と、を有し、
前記第3の押さえ機構と前記電池蓋固定機構とが共同して動作することで、前記電池蓋の面を前記第1の方向と平行に配置し且つ前記電池蓋と前記第1および第2の電極ユニットとの間に前記当接された部分が配置されることを特徴とする。
【0016】
この製造装置によれば、接続部材を蛇行させるのみならず、電池蓋の面を電極ユニットの積層方向に向けるので、電池ケースへの電極体の挿入および電池ケースと電池蓋との溶接等による固定が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
複数の接続板材(電極タブや電極リードなど)を束ねた状態で折曲げを行う場合でも、電極リード自体またはその両端部の電極タブや電極端子との接合部分での損傷を防止でき、これにより生産性も良い二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースの一部破断した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニットのY方向断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニットの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースのY方向断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池ケースのX方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る二次電池1の準備工程および電極リード接合工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極板ユニット積層工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極タブ折曲げ工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極リード折曲げ工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞工程を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞工程を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る二次電池1の電極リードの束の折畳み装置を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態に係る二次電池1の電池蓋閉塞後の状態図である。
【図14】特許文献2の電極リードに生じる圧縮力と引っ張り力の作用図である。
【図15】本発明の二次電池の生産方法に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る二次電池の実施形態について図1から図5を参照して説明する。本実施形態の二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池がある。以下の説明においては、各図に示すXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。ここで、X方向は電極板の積層方向、Z方向は電極タブが電極板から突出する方向、Y方向はX方向とZ方向に直行する方向である。
【0020】
図1に示す本実施形態の二次電池1は、電池ケース2、電池蓋3、電極板4(正極板41、負極板42)、電極タブ5(正極タブ51、負極タブ52)、セパレータ6、電極リード7(正極リード71、負極リード72)、電極端子8(正極端子81、負極端子82)、スペーサ9、電極ユニット10、及び電極体15を備える。二次電池1において、電極体15は、複数の電極板ユニット10に分割されている。分割された各電極板ユニット10は、正極板41、負極板42、及びセパレータ6を有し、複数の正極板41と負極板42がセパレータ6を介してX方向に交互に積層した構造となっている。
【0021】
なお電極板4と電極端子8とを電気的に接続する接続板材としては、電極タブ5を束ねて直接電極端子8と接合する場合、あるいは電極リード7を介して電極板4と電極端子8とを接合させる場合などが考えられるが、本実施の形態においては電極リード7を介する例を用いて以下に説明する。
【0022】
図2および図3は、電極ユニット10の構成を説明する図である。図2に示すように、正極板41の+Z方向の縁端から突出する複数の正極タブ51は、電極ユニット10の−X方向に略垂直に折曲げられ束ねられている。束ねられた複数の正極タブ51は、電極板ユニット10の−X方向の縁端位置で+Z方向に略垂直に折曲げられ、正極リード71と接合されている。図2に示すように、電極板ユニット10の−X方向の端部にある正極タブ51は、+Z方向に略垂直に折曲げられた複数の他の正極タブ51と束ねられ、正極リード71と接合されている。
【0023】
ここで、複数の正極タブ51と正極リード71との接合は超音波接合等により行う。このように、本実施例の電極ユニット10は、電極ユニット10内に有する複数の正極タブ51を束ね正極リード71と接合する構成をしている。電極板ユニット10内に有する複数の負極タブ52についても、同様に束ねられ負極リード72と接合している。
【0024】
図3に、複数の正極タブ51が正極リード71と接合した構成と負極タブ52が束ねられ負極リード72と接合した構成を示す。なお、電極ユニット10において、積層された正極板41、負極板42及びセパレータ6は、積層ずれが起こらないように固縛部材11により固定されている。なお固縛部材11には、典型的には絶縁テープが用いられる。
【0025】
図4は本実施形態の二次電池1の電池ケースのY方向断面図であり、図5は本実施形態の二次電池1の電池ケースのX方向断面図である。図4および図5に示すように、電極ユニット10毎に束ねられた複数の正極タブ51は、各電極ユニット10に対応する正極リード71(1つの電極ユニットに対して1つの正極リードが対応する)とそれぞれ固定して電気的に接合される。そして、複数の正極リード71も互いに束ねられ、正極端子81と固定して電気的に接合された後、図4に示すように蛇行状に偶数回だけ折畳まれる。
【0026】
本実施形態においては、束ねられた正極リード71はS字状に2回折畳まれて電池ケース2に収納される。同様に、電極ユニット10毎に束ねられた複数の負極タブ52は、各電極ユニット10に対応する負極リード72と電気的に接合される。そして、複数の負極リード72も互いに束ねられ、負極端子82と電気的に接合された後、図4に示すようにS字状に2回折畳まれ電池ケース2に収納される。
【0027】
なお、図4および図5に示すように、電池蓋3の内面3aと電極ユニット10の上面10aとの隙間にはそれぞれに当接するスペーサ9が配置されている。スペーサ9はPET(ポリエチレンテレフタレート)などの絶縁材料で構成されており、後述のとおり折り曲げた電極リード7の配置位置を固定する機能などを担う。なお、このスペーサ9は必須ではなく適宜省略が可能である。
【0028】
図4においては、正極リード71および負極リード72は蛇行状に2回折畳まれているが、電池ケース内での電極の安定性だけを考慮するのであれば、少なくとも蛇行状となっていればよい。蛇行状であると、正極および負極リードにバネのような弾性力が働くため、電極体15を電池ケース2内部の所定位置に安定して収納することができる。
【0029】
上述した本実施形態の二次電池1において、各電極ユニット10に対応する複数の正極リード71は、お互いに束ねられた構成をし、複数の正極リード71が図4に示すようにS字状に2回折畳まれた構成である。また、各電極ユニット10に対応する複数の負極リード72は、お互いに束ねられた構成をし、図4に示すようにS字状に折畳まれた構成である。このように、複数の電極リード7(正極リード71および負極リード72)がS字状に2回折畳まれているため、これら電極リード7の両端部がそれぞれ電極タブ5と電極端子8に予め接合・固定した状態で折畳まれた際に、電極リード7に圧縮力、引張力が発生してしまうのを抑制でき、電極リード7自体またはその両端部の電極タブ5や電極端子8との接合部分での損傷を防止できる。
【0030】
この点を詳しく述べると、互いに束ねられた正極および負極の電極リード7は、S字状に折畳まれる前に電極タブ5に一方の端部が、電極端子8に他方の端部が接合される。この状態から、正極および負極の電極リード7をU字状に折り曲げると、電極リード7の両端が固定されているため、それぞれの接合部分にストレス(電極リード7の束における中心に位置する電極リード7を基準に外側の電極リードは引っ張り力、内側の電極リードは圧縮力)が発生する。 この接合部分に発生するストレスは、上記電極リード7の束における中心から離れるにつれて大きくなる。
【0031】
その後、S字とするために、もう一度、U字状の折り曲げを行うと、正極および負極の電極リード7は2回折曲げられているため、一方の折り曲げにより引張り力が生じても他方の折り曲げにより圧縮力を受ける。従って、結局、接合部分において生じるストレスは相殺される。
【0032】
よって、図4に示すようにS字状に正極および負極の電極リード7を折曲げることにより、電極リード7の接合部付近に発生するストレスを相殺して上記接合部分における損傷を防止することができる。また、複数の電極リードを折り曲げることで、それぞれの電極リード7に生ずる撓みを防ぐことができる。
【0033】
また、個々の電極リード7の長さを、折曲げを考慮して予め変えておく必要もないので生産性が向上する。さらに、上述した安定性の向上、すなわち、各電極板ユニット10が電池ケース2内に固定されるので、外的な衝撃や振動に対する各電極板ユニット10の位置ずれが抑制され、電極板4、電極タブ5、電極リード7等の損傷が防止されることで短絡等の電池性能低下を回避することができる。
【0034】
なお、電池ケース2内に配置された電極などの位置ずれをより確実に抑制するために、当該スペーサ9を介して電池蓋3の押し付け力を各電極ユニット10に作用させて、電極ユニット10がスペーサ9と電池ケース2の底板部分との間で押圧された状態とするようにしてもよい。
【0035】
次に、上述した本実施形態の二次電池の生産方法に係る各ステップについて、図15に示すフローチャート、および図6乃至図13を用いて説明する。
なお、図12は後述のステップS4以降で用いる電極リード7の束の折畳み装置50を示す。当該折畳み装置50は3つの押さえ機構25、26、27と電池蓋固定機構30とを備える。押さえ機構25、26、27はそれぞれ押さえ部材21、22、211を有する。アクチュエータ23、24は±X方向に、アクチュエータ212は±Z方向に進退できるようになっている。また、電池蓋固定機構30はY軸周りに回転しつつXおよびZ方向に移動可能となっている。
【0036】
(ステップS1 準備工程)
電極タブ5と電極リード7との電気的な接続の前に準備工程を行う。具体的には、図6に示すように、先ず、電極ユニット10毎に電極板4の+Z方向の端縁から突出する複数の電極タブ5は、押さえ部材20により電極ユニット10の−X方向に寄せて束ねられる。
【0037】
(ステップS2 電極リード接合工程)
図6に示すように、電極ユニット10毎に電極タブ5の束と該電極ユニット10と対応する電極リード7とを接合し、電気的に接続させる。電極タブ5と電極リード7との接合は超音波接合等により行う。
【0038】
(ステップS3 電極ユニット積層工程)
図7に示すように、電極リード接合工程で電極リード7がそれぞれ電極タブ5に接合された複数の電極ユニット10をX方向に積層し、固縛部材11により固縛する。なお、この電極板ユニット積層工程は、ステップS1およびステップS2の前に行ってもよい。
【0039】
(ステップS4 電極タブ折曲げ工程)
続いて図8に示すように、各電極ユニット10の電極リード7を押さえ部材21により−Z方向に押さえ付けながら、各電極タブ5の束を電極板4の積層方向である+X方向に折曲げる。その結果、電極リード7は+X方向に束ねられる。ここで、押さえ部材211は電極体15の脇に配置され、ステップS5での動作に向けて待機している。
【0040】
(ステップS5 電極リード折曲げ工程)
そして図9に示すように、電極体15の脇に配置された押さえ部材211を+Z方向へ移動させることで、電極リード7の束は押さえ部材21の+X方向縁端位置で+Z方向に折曲げられ、その先端側が+Z方向に沿って配設された状態となる。
【0041】
(ステップS6 電極端子接合工程)
次に図9に示すように、電極リード7の束を電池蓋3に設けられた電極端子8に接合して電気的に接続する。この接合は、例えばリベット止めで行われる。具体的には、+Z方向に折曲げられた電極リード7の束を新たに折曲げることなく、当該束の端部の−X方向側と電池蓋3の内側にある電極端子8の端子面とを接合する。
なお、接合作業を容易とするために、電極端子8と接合される前に電極リード7の束の端部を所定位置で切り揃え、切り揃えた当該端部を予め一体となるよう接合または固縛しておいてもよい。
【0042】
(ステップS7 電池蓋閉塞工程)
そして図10に示すように、押さえ部材21を固定した状態で、+Z方向にやや上方で押さえ部材21と平面的に重なるように押さえ部材22を+X方向から−X方向に挿入する。さらに、電池蓋3を支えて配置される電池蓋固定機構30が、押さえ部材21の動作と同期して−X方向から+X方向、+Z方向から−Z方向へと順次電池蓋3を押し出す。すると電池蓋3は、図10に示す矢印Pのように時計回りに90度回転しながら電極体15の積層方向に垂直な向きに移動する。このような位置に電池蓋3が向くことで、当接された部分が各電極ユニット10と電池蓋3との間に配置される。また、電池ケース2への電極体15の挿入および電池ケース2と電池蓋3との溶接が容易となる。
【0043】
これにより、図11に示すように電極リード7の束はS字状になるように折曲げられる。その後、押さえ部材21および22を取り除いた後、電極リード7の束を−Z方向に電池蓋3で押え付けながらS字状となった状態を維持しつつ、電池ケース2の開口部に電池蓋3を図13に示すように固定して二次電池1が完成する。
なお電極リード7は蛇行状に偶数回だけ(本例ではS字状となるように2回)折畳まれているが、電池ケース内での電極の安定性だけを考慮するのであれば、偶数回折畳むことに限定されず3回以上の奇数回折畳んでもよい。すなわち蛇行状に折畳まれていればよい。
電極の安定性のみならず、電極リード7と電極端子8等との接合部付近に発生するストレスを相殺して上記接合部における損傷を軽減・防止するためには、電極リード7を電極端子8と接合・固定した後に、偶数回だけ蛇行状に折畳む構成が望ましい。
折畳み装置50では、電極リード7を電極端子8と接合・固定した後に、2回だけ電極リード7を折り曲げてS字状とするよう押さえ機構25、26、27が配置されているが、3回以上の奇数回、もしくは4回以上の偶数回折り曲げて蛇行させる場合には、適宜、押さえ機構をさらに追加すればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 二次電池
2 電池ケース
3 電池蓋
3a 電池蓋内面
4 電極板
41 正極板
42 負極板
5、105 電極タブ
51 正極タブ
52 負極タブ
6 セパレータ
7、107 電極リード
71 正極リード
72 負極リード
8、108 電極端子
81 正極端子
82 負極端子
9 スペーサ
10 電極ユニット
10a 電極ユニット上面
11 固縛部材
15 電極体
20、21、22、211 押さえ部材
23、24、212 アクチュエータ
25、26、27 押さえ機構
30 電池蓋固定機構
50 折畳み装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子と、
並んで配置された複数の電極板と、
前記電極端子と前記複数の電極板とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板とを電気的に接続する積層された複数の接続板材と、を具備し、
前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板とに両端が固定された状態で、前記電極端子と前記複数の電極板との間において前記蛇行状に偶数回だけ折畳まれてなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記接続板材は、前記電極板の一縁端に設けられた電極タブを複数束ねる電極リードであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
積層された複数の電極板からなる第1および第2の電極ユニットと、一端が前記第1および第2の電極ユニットにそれぞれ対応して接続され且つ他端が電池蓋に固定された電極端子に接続された第1および第2の接続部材とを備えた二次電池の製造装置であって、
前記第1および第2の接続板材を前記積層の方向である第1の方向に折り曲げる第1の押さえ機構と、
前記第1の押さえ機構が折り曲げた前記第1および第2の接続板材を、前記電極板の面方向であって前記面から外向きの第2の方向に折り曲げる第2の押さえ機構と、
前記第2の方向に折り曲げられた前記第1および第2の接続板材の端部に前記第1の方向から前記電池蓋に固定された前記電極端子を当接し、前記電極端子と前記第1および第2の接続板材とを接続する電池蓋接続機構と、
前記電池蓋を支える電池蓋固定機構と、
前記電極端子と接続された前記第1および第2の接続板材を、前記第1の方向とは逆方向の第3の方向に折り曲げる第3の押さえ機構と、
を有し、
前記第3の押さえ機構と前記電池蓋固定機構とが共同して動作することで、前記電池蓋の面を前記第1の方向と平行に配置し且つ前記電池蓋と前記第1および第2の電極ユニットとの間に前記当接された部分が配置されることを特徴とする二次電池の製造装置。
【請求項5】
積層された複数の電極板と電気的に接続された複数の接続板材の一方の端部を、電池蓋に設けられた電極端子に固定して電気的に接合する工程と、
前記接続板材が前記電極端子と固定された後に、前記接続板材を蛇行状に折畳む工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項1】
電極端子と、
並んで配置された複数の電極板と、
前記電極端子と前記複数の電極板とにその両端が接合され、当該電極端子と複数の電極板とを電気的に接続する積層された複数の接続板材と、を具備し、
前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板との間において蛇行状に折畳まれてなることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記積層された複数の接続板材は、前記電極端子と前記複数の電極板とに両端が固定された状態で、前記電極端子と前記複数の電極板との間において前記蛇行状に偶数回だけ折畳まれてなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記接続板材は、前記電極板の一縁端に設けられた電極タブを複数束ねる電極リードであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
積層された複数の電極板からなる第1および第2の電極ユニットと、一端が前記第1および第2の電極ユニットにそれぞれ対応して接続され且つ他端が電池蓋に固定された電極端子に接続された第1および第2の接続部材とを備えた二次電池の製造装置であって、
前記第1および第2の接続板材を前記積層の方向である第1の方向に折り曲げる第1の押さえ機構と、
前記第1の押さえ機構が折り曲げた前記第1および第2の接続板材を、前記電極板の面方向であって前記面から外向きの第2の方向に折り曲げる第2の押さえ機構と、
前記第2の方向に折り曲げられた前記第1および第2の接続板材の端部に前記第1の方向から前記電池蓋に固定された前記電極端子を当接し、前記電極端子と前記第1および第2の接続板材とを接続する電池蓋接続機構と、
前記電池蓋を支える電池蓋固定機構と、
前記電極端子と接続された前記第1および第2の接続板材を、前記第1の方向とは逆方向の第3の方向に折り曲げる第3の押さえ機構と、
を有し、
前記第3の押さえ機構と前記電池蓋固定機構とが共同して動作することで、前記電池蓋の面を前記第1の方向と平行に配置し且つ前記電池蓋と前記第1および第2の電極ユニットとの間に前記当接された部分が配置されることを特徴とする二次電池の製造装置。
【請求項5】
積層された複数の電極板と電気的に接続された複数の接続板材の一方の端部を、電池蓋に設けられた電極端子に固定して電気的に接合する工程と、
前記接続板材が前記電極端子と固定された後に、前記接続板材を蛇行状に折畳む工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−165475(P2011−165475A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26738(P2010−26738)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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