説明

二次電池の制御システム

【課題】ニッケル水素電池からなる二次電池の昇温抑止を効率的に行う。
【解決手段】二次電池21の放電動作を開始させる前、電池温度がリミット温度TLを下回るよう、エアコン23による二次電池21の冷却を実行させる。二次電池21の放電動作を開始させた後、少なくとも電池温度が吸熱反応によって下降傾向を示す期間において、エアコン23による二次電池21の冷却は行わない。さらに、放電動作の開始後に電池温度が上昇傾向に転じたとしても直ちにエアコン23による冷却動作を開始させるのではなく、電池温度が上昇傾向に転じた後、先ず、二次電池21の放電電流を減少させる第1制御を行なう。そして、前記第1制御から所定期間経過後、電池温度がなおも上昇傾向を示している場合に、エアコン23による二次電池21の冷却を開始させる第2制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電時に吸熱反応を示すニッケル水素電池からなる二次電池の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力需要家において負荷平準化等を行うことを目的として電力貯蔵装置が導入されつつある。電力貯蔵装置には充放電サイクルを実行することができる二次電池が用いられるが、この二次電池としてニッケル水素電池が用いられる場合がある。ニッケル水素電池はエネルギー密度が高い等の利点があるが、高温環境に置かれると電池性能が劣化すると共に、寿命も低下する不具合がある。従って、ニッケル水素電池を用いる場合、電池温度が所定値以上に上昇しないように冷却する必要がある。
【0003】
ニッケル水素電池の昇温抑止技術として、例えば特許文献1〜3に開示された技術がある。特許文献1の制御装置は、電池温度が一定範囲(60℃〜90℃)に至ったときは放電動作を一定時間経過後に停止し、上限温度(90℃)を超過下場合は、即時に放電動作を停止させる。一方、特許文献2の制御装置では、電池の周囲温度が所定の閾値温度を超えると電池の冷却ファンを稼働させ、前記閾値温度を下回るまで冷却されたら前記冷却ファンを停止させる。また、特許文献3の制御装置は、電池温度が所定温度以上に至ったときや放電電流値が所定値を超過したときに放電動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−269784号公報
【特許文献2】特開2004−80914号公報
【特許文献3】特開2001−95158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、3の制御装置のように、電池温度の昇温が計測される度にニッケル水素電池の放電動作を停止させたのでは、電力貯蔵装置の装置効率が低下し、十分な負荷平準化効果を発揮させることができない。また、特許文献2の制御装置のように、所定の閾値温度を基準として冷却装置を動作させたのでは冷却に要するコストが上昇してしまう問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、ニッケル水素電池からなる二次電池の昇温抑止を効率的に行うことが出来る二次電池の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る二次電池の制御システムは、ニッケル水素電池からなる二次電池と、前記二次電池の温度を計測する温度計測手段と、前記二次電池を冷却する冷却手段と、前記二次電池の充放電動作及び前記冷却手段の動作を制御する制御手段と、前記二次電池の放電動作を実行させ得る上限温度として予め定められた第1閾値温度を記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記二次電池の放電動作を開始させる前、前記温度計測手段が計測する温度が前記第1閾値温度を下回るよう、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を実行させ、前記二次電池の放電動作を開始させた後、少なくとも前記温度計測手段が計測する温度が下降傾向を示す期間において、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を停止させることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
ニッケル水素電池は、放電時に吸熱反応が発生する。このため、一定の条件下では、放電時に電池温度は下降乃至は維持される。また、電池温度が所定温度以上で放電動作を行うと、電池性能や寿命が低下する。上記構成では、このようなニッケル水素電池の特性に鑑みて、前記制御手段は、二次電池の放電動作を開始させる前、前記温度計測手段が計測する温度が前記第1閾値温度を下回るよう、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を実行させる。そして、放電開始後は、前記吸熱反応によって電池温度が下降傾向を示す期間においては、前記冷却手段による前記二次電池の冷却が行われないように制御を行う。このような制御が行われることで、前記第1閾値温度を超過する環境で二次電池の放電動作が行われることが回避されると共に、無用な冷却動作の実行を抑止することができる。
【0009】
上記構成において、前記制御手段は、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた後、前記二次電池の放電電流を減少させる第1制御を行い、前記第1制御から所定期間経過後、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向を示している場合に、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を開始させる第2制御を行うことが望ましい(請求項2)。
【0010】
ニッケル水素電池の放電時において、電池温度の上昇要因となるのは放電電流が流れることに伴うジュール熱である。上記構成によれば、電池温度が上昇傾向に転じても、直ちに冷却手段による冷却動作を開始させるのではなく、放電電流を減少させる第1制御を行う。そして、この第1制御から所定期間経過後、なおも電池温度が上昇傾向を示している場合、前記冷却動作を開始させる。従って、無用な冷却動作の実行を一層確実に抑止することができる。
【0011】
上記構成において、前記記憶手段は、前記第1閾値温度よりも低い所定の第2閾値温度をさらに記憶し、前記制御手段は、前記二次電池の放電電流を、予め定められた最小値まで減少させることが可能であって、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を超過している場合、前記第1制御において前記放電電流を前記最小値まで減少させることが望ましい(請求項3)。
【0012】
この構成によれば、電池温度が前記第2閾値温度を超過している場合、直ちに放電電流が最小値まで減少される。従って、二次電池の放電動作を継続させつつ、電池温度の上昇要因を最小に抑制することができる。
【0013】
この場合、前記制御手段は、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を下回っている場合において、前記第1制御において、前記放電電流を前記最小値よりも大きい所定値まで減少させ、前記第1制御から所定期間経過後、前記温度計測手段が計測する温度がなお上昇傾向を示している場合に、前記放電電流を前記所定値から前記最小値まで減少させる第3制御を行うことが望ましい(請求項4)。
【0014】
電池温度が前記第2閾値温度を下回っている場合、放電動作を実行させ得る上限温度である第1閾値温度に至るまでは比較的余裕のある状態と言える。そこで、上記構成では、電池温度が上昇傾向に転じた時点で電池温度が前記第2閾値温度を下回っている場合は、直ちに放電電流を最小値まで減少させず、前記所定値までの減少に止める。これにより、過剰に二次電池の放電動作が抑制されてしまうことを防止することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記第3制御の後、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を超過したときに、前記第2制御を行うことが望ましい(請求項5)。
【0016】
この構成によれば、前記冷却手段による冷却動作の開始を可及的に送らせることができ、システムの効率を一層向上させることができる。
【0017】
上記構成において、前記記憶手段は、前記第2閾値温度よりも低い所定の第3閾値温度をさらに記憶し、前記制御手段は、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第3閾値温度を下回っている場合、前記第1制御を行わず、しかる後、前記温度計測手段が計測する温度が前記第3閾値温度を超過したとき、前記第1制御を行うことが望ましい(請求項6)。
【0018】
電池温度が前記第3閾値温度を下回っている場合、前記第1閾値温度に至るまではさらに余裕のある状態と言える。上記構成では、このような場合に、二次電池の放電動作を優先して放電電流の抑制動作を実行しないようにする。これにより、一層効果的に二次電池を運用することができる。
【0019】
上記構成において、前記二次電池は、電力貯蔵装置に備えられた二次電池であり、前記制御手段は、前記電力貯蔵装置の平準化制御を行うものであることが望ましい(請求項7)。
【0020】
電力貯蔵装置においては、二次電池の放電停止が可及的に回避されること、並びに電池の冷却コストを抑制することが特に求められる。従って、本発明の適用用途として特に好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ニッケル水素電池からなる二次電池の昇温抑止を効率的に行うことが出来き、また本来の二次電池としての放電動作も確保することができる。従って、ニッケル水素電池からなる二次電池を効率良く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る二次電池の制御システムの概要を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムの制御部の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】放電動作前後の電池温度の推移を示すグラフである。
【図4】二次電池の制御例を説明するための、電池温度の変化を示すグラフである。
【図5】二次電池の制御例を説明するための、電池温度の変化を示すグラフである。
【図6】二次電池の制御例を説明するための、電池温度の変化を示すグラフである。
【図7】二次電池の放電制御動作を示すフローチャートである。
【図8】二次電池の放電制御動作を示すフローチャートである。
【図9】二次電池の放電制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る二次電池の制御システムの概要を示すブロック図である。本実施形態においては、ニッケル水素電池からなる二次電池を用いた電力貯蔵装置Sの負荷平準化制御に、本発明に係る制御システムを適用する場合を例示する。
【0024】
電力貯蔵装置Sは、二次電池収容部20、インバータ31、変圧器32及び制御部40(制御手段)を含む。二次電池収容部20は、二次電池の収容空間を区画するハウジング200と、ハウジング200内に設置され単位セルである二次電池21を多数個備える二次電池スタック210と、二次電池21の温度を計測する温度センサ22(温度計測手段)と、ハウジング200の壁面に取り付けられたエアコン(エアーコンデショナー)23(冷却手段)とを含む。
【0025】
電力貯蔵装置Sは、電力を消費する負荷1を有する電力需要家に対する電力供給系統に接続されている。負荷1は、200V又は100Vの電力を供給する商用電力系統10に、受電口11を介して配電線12で電気的に接続されている。電力貯蔵装置Sは、配電線12から分岐する分岐配電線13に電気的に接続され、商用電力系統10から電力の供給を受けて、二次電池21に電力を貯蔵する。負荷1は、通常は商用電力系統10のみから電力の供給を受けるが、負荷平準化動作時には電力貯蔵装置Sから電力の供給を受ける。
【0026】
二次電池スタック210は、電力の貯蔵及び供給のために充放電動作が繰り返されるものであって、単位セルである複数個の二次電池21が直列接続された電池モジュールからなる。図1では簡略化して示しているが、複数個の二次電池スタック210が並列乃至は直列接続された状態で、ハウジング200内に収容されている。
【0027】
二次電池21は、本実施形態では充電式のニッケル水素電池からなる。ニッケル水素電池は、例えば水酸化ニッケルを主活物質とする正極、水素を可逆的に吸蔵及び放出する水素吸蔵合金を主材料とする負極、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性電解液及び不織布セパレータを備えて構成される。ニッケル水素電池は、放電時に吸熱反応が発生する。このため、一定の条件下では、放電時に二次電池21の電池温度は下降乃至は維持される。また、ニッケル水素電池は、電池温度が所定温度以上の状態で放電動作を行うと、電池性能や寿命が低下する特性を有している。本実施形態では、このようなニッケル水素電池の特性を考慮して、二次電池21の放電動作を制御する。
【0028】
温度センサ22は、例えば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等の直接接触型の温度センサであり、二次電池スタック210(二次電池21)の電池温度を計測する。温度センサ22の装着態様は任意であり、二次電池21のセル間にプローブ部を配置しても良いし、二次電池スタック210の外表面にプローブ部を添設する態様としても良い。
【0029】
エアコン23は、冷暖房機能を有する空調装置であって、通常はハウジング200の室内を冷房することで、二次電池21を冷却する。なお、エアコン23に代えて、外気をハウジング200内に取り入れて二次電池スタック210に吹き付ける冷却ファンを用いるようにしても良い。
【0030】
インバータ31は、交流−直流変換機能を備える電気機器であり、例えばPWMインバータである。二次電池21の放電時には、二次電池21から放電される直流電力を、負荷1に応じた電圧値または電流値もしくは電力値の交流電力に変換して負荷1に供給する。なお、インバータ31から出力される交流電圧の波形整形のために、ACフィルタを設けることが望ましい。また、インバータ31は、二次電池21の充電時においては、商用電力系統10から供給される交流電力を直流電力に変換して二次電池21に供給する整流器として機能する。
【0031】
変圧器32は、負荷1に繋がる商用電力系統10及び配電線12と、電力貯蔵装置Sの系統とを電気的に絶縁する機能を有すると共に、本来の昇圧機能を発揮して電力貯蔵装置Sの系統を配電線12に連係させる機能を有する。すなわち、変圧器32は、二次電池21の充電時には商用電力系統10の交流電圧を降圧してインバータ31に入力する。一方、二次電池21の放電時には、二次電池21が放電する直流電圧をインバータ31が交流電圧に変換し、変圧器32が当該交流電圧を所定の電圧値まで昇圧して負荷1に供給するものである。
【0032】
制御部40は、電力貯蔵装置Sの動作を統括的に制御するコントローラである。制御部40は、インバータ31を通して二次電池21の充放電動作を制御すると共に、温度センサ22が検知する電池温度の情報に基づき適時エアコン23を動作させて二次電池21を冷却させる動作を制御する。
【0033】
図2は、制御部40の機能ブロック図である。制御部40は、計時部41、記憶部42及びCPU(Central Processing Unit)43を備える。CPU43は、記憶部42に予め格納されている制御プログラムを実行することで、ソフトウェア的に充放電制御部431、温度データ処理部432、エアコン制御部433及び放電電流制御部434を具備するように機能する。
【0034】
計時部41は、一定周期でクロック信号を発生させるクロック発信器を備え、このクロック信号を、CPU43に出力する。当該クロック信号は、例えば電池温度の計測タイミングの決定のために活用される。
【0035】
記憶部42は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備え、電力貯蔵装置Sの動作に必要な制御プログラムや、各種設定データを記憶する。さらに本実施形態では、記憶部42は、後記で説明する二次電池21の放電動作を実行させ得る上限温度として予め定められたリミット温度TL(第1閾値温度)と、放電電流を減少させる制御を開始する電流減少開始温度T1(第3閾値温度)と、エアコンによる二次電池21の冷却を開始する冷却開始温度T2(第2閾値温度)とを記憶する。なお、上記各温度間の関係は、TL>T2>T1である。
【0036】
CPU43の充放電制御部431は、二次電池21の充電時に、商用電力系統10から供給される電力を用いて、例えば定電圧・定電流充電方式で二次電池21を充電させる。このとき、充放電制御部431は、インバータ31に設定電圧及び設定電流の指示信号を与える。また、充放電制御部431は、二次電池21の放電時に、二次電池21から放電される直流電力を、所定の設定電圧および設定電流ならびに電力値に変換するよう、インバータ31に指示信号を与える。
【0037】
温度データ処理部432は、温度センサ22の出力電圧等を受信し、その出力電圧に基づき二次電池21の電池温度を求める。また、温度データ処理部432は、計時部41から与えられるクロック信号を利用して、電池温度データを計時的に整理し、電池温度が上昇傾向又は下降傾向、若しくは維持傾向であるかを判定する。
【0038】
エアコン制御部433は、エアコン23の動作を制御するものであって、温度データ処理部432により求められた前記電池温度及びその動向に基づいて、エアコン23のON−OFFを制御する。本実施形態では、エアコン制御部433は、少なくともニッケル水素電池(二次電池21)が放電を開始した後、吸熱反応により電池温度が下降傾向を示す期間においては、エアコン制御部433はエアコン23をON状態としない点に特徴を有する。
【0039】
放電電流制御部434は、二次電池21の放電時における放電電流を所定の値に設定する制御を行う。放電電流制御部434の主な役目は、二次電池21の電池温度が上昇傾向を示す場合において、エアコン23をON状態とする前に、放電電流を制限して電池温度の上昇を抑止する、若しくは電池温度を下降に転換させることにある。なお、放電電流制御部434が設定する放電電流の下限値(最小値)が、インバータ31及び変圧器32の機器効率を考慮して予め定められる。かかる放電電流の下限値は、機器効率が一定レベルより低下するポイントを参照して決定される。
【0040】
図3は、二次電池21の放電動作前後の電池温度の推移を実験的に取得した例を示すグラフである。ここでは、時刻P02から二次電池21の放電動作が開始され、時刻P04で放電動作が停止された場合を例示している。なお、この二次電池21のリミット温度TLは40℃である。
【0041】
時刻P02に至る直前の時刻P01まで、エアコン23がON状態とされ、二次電池21の電池温度がリミット温度TLを下回るよう、二次電池21の周囲温度(ハウジング200内の空調温度)が調整されている。エアコン23の動作及びその残余効果によって、時刻P02まで電池温度は下降傾向を示している。一方、周囲温度は、エアコン23がOFF状態とされた時刻P02以降、上昇傾向を示している。
【0042】
時刻P02で二次電池21の放電動作が開始されると、放電電流が流れ始める。実際の電力貯蔵装置Sでは、この二次電池21が発生する電力は、上述の通りインバータ31で交流電力に変換されて負荷1に供給される。ここで、電池温度に注目すると、時刻P02から時刻P03までの20分強の期間は、二次電池21の放電動作が実行されているにも拘わらず、電池温度が下降傾向を示していることが判る。既述の通り、これはニッケル水素電池においては、放電動作時に吸熱反応が発生することに依る。かかる現象が生じることから、二次電池21としてニッケル水素電池が採用されている場合は、放電動作の開始から一定期間(時刻P02〜P03)は、少なくともエアコン23をON状態とする必要がないことが判る。
【0043】
時刻P03以降、電池温度は上昇に転じる。これは、放電電流が流れることに伴い二次電池21内でジュール熱が発生し、吸熱反応で吸収される熱を上回る熱が発生するからである。しかしながら、電池温度が上昇傾向に転じたとしても、直ちに二次電池21の冷却が必要な状況ではないことは、図3における電池温度の推移から明らかである。従って、時刻P03以降も、エアコン23はOFF状態としても差し支えない。
【0044】
図3では、電池温度がリミット温度TLに近づいた時刻P04で、二次電池21の放電動作が停止された例を示している。この時刻P04においてエアコン23がON状態とされれば、放電動作を継続させることが可能となる。また、電池温度の上昇要因は放電電流によるジュール熱であるので、時刻P03から時刻P04へ至るまでの時間、つまり二次電池21の強制冷却若しくは放電動作の停止措置が必要な状態に至るまでの時間は、前記放電電流を制限することで延長させることが可能である。
【0045】
本実施形態の制御システムは、以上の知見に基づいたものである。すなわち、基本的な制御思想として、
(1)二次電池21の放電動作を開始させる前、電池温度がリミット温度TLを下回るよう、エアコン23による二次電池21の冷却を実行させる、
(2)二次電池21の放電動作を開始させた後、少なくとも電池温度が下降傾向を示す期間において、エアコン23による二次電池21の冷却を停止させる、
ようにする。
【0046】
さらに、放電動作の開始後に電池温度が上昇傾向に転じたとしても直ちにエアコン23による冷却動作を開始させるのではなく、
(3)電池温度が上昇傾向に転じた後、先ず、二次電池21の放電電流を減少させる第1制御を行なわせ、
(4)前記第1制御から所定期間経過後、電池温度がなおも上昇傾向を示している場合に、エアコン23による二次電池21の冷却を開始させる第2制御を行う、
ようにする。
【0047】
このような制御を行うため、次の3つの閾値温度が予め設定される。
(A)リミット温度TL(第1閾値温度);当該温度を超過する電池温度で二次電池21の放電動作を実行させると、電池性能や寿命が低下するとされる温度。ニッケル水素電池のメーカがスペックで動作上限値として設定している温度を用いる。電池温度がリミット温度TL以上であるとき、二次電池21の放電動作は行わない。
(B)冷却開始温度T2(第2閾値温度);リミット温度TLよりも所定温度だけ低い温度であって、エアコン23による二次電池21の冷却を実行させる目安となる温度。電池温度が冷却開始温度T2以下であるとき、エアコン23はOFF状態とされる。
(C)電流減少開始温度T1(第3閾値温度);冷却開始温度T2よりも所定温度だけ低い温度であって、放電電流制御部434による放電電流の制限を実行させる目安となる温度。電池温度が電流減少開始温度T1以下であるとき、放電電流の制限は行わない。
【0048】
続いて、図4〜図6に基づき、二次電池21の放電動作の、実際の制御例について説明する。図4〜図6の縦軸に示されているTL、T2、T1は、それぞれ上述のリミット温度、冷却開始温度、電流減少開始温度であり、横軸は時間であって、各図は電池温度(W1、W2、W3)の時間変化の例をそれぞれ示している。
【0049】
図4は、初期電池温度が冷却開始温度T2を超過しており、且つ、放電動作の開始後に電池温度が上昇に転じたときの電池温度も冷却開始温度T2を超過している場合の制御例である。充放電制御部431によって二次電池21の放電動作が時刻P11から開始されると、図4の実線W1で示すように吸熱反応の効果によって一定の期間だけ電池温度は低下する。温度データ処理部432は、温度センサ22から所定のサンプリング周期で計測値データを取得し、このような電池温度の変化傾向を求める。
【0050】
時刻P12で電池温度が上昇傾向に転じたと温度データ処理部432が判定すると、まず、放電電流制御部434によって放電電流を減少させる第1制御が実行される。ここで、電池温度が上昇傾向に転じた時点において冷却開始温度T2を超過しているので、放電電流制御部434は放電電流Iを最小値Iminまで一気に減少させる。これはジュール熱の発生を最小限に抑え、電池温度の上昇を最大限に規制するためである。
【0051】
時刻P12から所定期間経過後の時刻P13において、温度データ処理部432によって電池温度が上昇傾向を継続しているか否かが判定される。実線W1では、電池温度は上昇傾向にあるので、このP13の時点でエアコン制御部433がエアコン23をONとし、二次電池21の冷却を行う第2制御を開始させる。ここでは、エアコン23の冷却効果によって、その後の時刻P14から電池温度が下降傾向に転じている例を示している。
【0052】
もし、点線W11で示すように、電池温度の減少が顕著となり、電池温度が時刻P15で冷却開始温度T2を下回ると、エアコン制御部433はエアコン23をOFFとする制御を行う。一方、点線W12で示すように、エアコン23の冷却動作に拘わらず電池温度の上昇が止まらず、リミット温度TLもしくはその近傍まで電池温度が上昇すると(時刻P16)、充放電制御部431は二次電池21の放電動作を停止させる。これらに対し、点線W13で示すように、時刻P13において電池温度が下降傾向に再び転じたときは、エアコン23による冷却動作は実行されない。
【0053】
次に、図5は、初期電池温度が冷却開始温度T2を超過しているが、放電動作の開始後に電池温度が上昇に転じたときの電池温度が冷却開始温度T2と電流減少開始温度T1との間である場合の制御例である。二次電池21の放電動作が時刻P21から開始されると、図5の実線W2で示すように吸熱反応の効果によって一定の期間だけ電池温度は下降する。
【0054】
時刻P22で電池温度が上昇傾向に転じたと温度データ処理部432が判定すると、放電電流制御部434によって放電電流を減少させる第1制御が実行される。ここで、電池温度が上昇傾向に転じた時刻P22において、電池温度は、電流減少開始温度T1は超過しているものの冷却開始温度T2を下回っている。この場合、放電電流制御部434は、放電電流Iを最小値Iminまで一気に減少させるのではなく、前記第1制御にて最小値Iminよりも大きい所定値Iまで減少させる。そして、前記第1制御から所定期間経過後、電池温度がなお上昇傾向を示している場合に、放電電流を前記所定値から最小値Iminまで減少させる第3制御を行う。
【0055】
図5の実線W2の例では、時刻P22で放電電流が所定値Iまで減少される(第1制御)。時刻P22から所定期間経過後の時刻P23において、温度データ処理部432によって電池温度が上昇傾向を継続しているか否かが判定される。実線W2の例では時刻P23の時点で上昇傾向を示しているので、放電電流制御部434は、放電電流を所定値Iよりも低いI(但し、Imin<I)まで減少させる(第3制御)。さらに、時刻P23から所定期間経過後の時刻P24において、温度データ処理部432によって電池温度が上昇傾向を継続しているか否かが判定される。実線W2の例では時刻P24の時点でも上昇傾向を示しているので、放電電流制御部434は、放電電流を最小値Iminまで減少させる。なお、放電電流の減少手法は任意であり、上記よりもさらに細かいステップで放電電流を最小値Iminまで減少させても良い。
【0056】
時刻P24で放電電流が最小値Iminまで減少されたにも拘わらず電池温度が上昇を続け、時刻P25において冷却開始温度T2を超過した場合、エアコン制御部433がエアコン23をONとし、二次電池21の冷却を行う上述の第2制御が開始されることになる。それ以降は、図4で説明した制御が援用される。
【0057】
これに対し、点線W21で示すように、時刻P23で放電電流がIまで減少されたことにより、電池温度が時刻P24の時点で下降傾向に転じている場合、時刻P24において放電電流のさらなる減少は実行されない。また、点線W22で示すように、時刻P24で放電電流が最小値Iminまで減少されたことにより、電池温度がほぼ一定に維持される傾向となり、冷却開始温度T2を下回り続ける場合は、エアコン23がONとされることなく、放電電流=最小値Iminでの放電動作が継続される。
【0058】
最後に、図6は、初期電池温度が冷却開始温度T2を下回っており、放電動作の開始後に電池温度が上昇に転じたときの電池温度が電流減少開始温度T1を下回っている場合の制御例である。二次電池21の放電動作が時刻P31から開始されると、図6の実線W3で示すように吸熱反応の効果によって一定の期間だけ電池温度は下降する。
【0059】
この例では、電池温度が上昇傾向に転じた時刻P32で、電池温度が電流減少開始温度T1を下回っているので、放電電流制御部434は特段放電電流を減少させない(第1制御の不実行)。しかる後、時刻P33において電池温度が電流減少開始温度T1を超過すると、放電電流制御部434は放電電流を例えば所定値Iまで減少させる第1制御を行う。その後は、図5で説明した制御が援用される。すなわち、第1制御が実行された時刻P33から所定期間経過後の時刻P34において、温度データ処理部432によって電池温度が上昇傾向を継続しているか否かが判定される。実線W3の例では時刻P34の時点で上昇傾向を示しているので、放電電流はさらに減少されることになる。
【0060】
これに対し、点線W31で示すように、電池温度が下降傾向を示したならば、放電電流のさらなる減少は実行されない。そして、時刻P35で電池温度が電流減少開始温度T1を下回った場合は、放電電流制御部434は放電電流の減少制御を解除する。その後、時刻P36で電池温度が再び電流減少開始温度T1を超過したら、放電電流制御部434は放電電流を減少させるものである。
【0061】
続いて、上記で説明した制御部40の放電時における動作を説明する。図7〜図9は、二次電池21の放電制御動作を示すフローチャートである。CPU43の充放電制御部431は、温度データ処理部432が温度センサ22から取得している電池温度Tと、記憶部42に記憶されているリミット温度TLとを比較して、電池温度Tがリミット温度TL以下であるか否かを確認する(ステップS1)。T<TLである場合(ステップS1でYES)、充放電制御部431は二次電池21の放電動作を開始させる(ステップS2)。同時に、エアコン制御部433は、エアコン23をOFF状態とする(ステップS3)。一方、電池温度Tがリミット温度TLを超過している場合(ステップS1でNO)、充放電制御部431は、放電動作不実行の決定を行い(ステップS9)、処理を終える。なお、本実施形態では、放電動作の開始時に電池温度Tがリミット温度TLを超過しないよう、エアコン23による冷却動作をエアコン制御部433が予め実行するので、ステップS9の判定が行われることは、原則として無い。
【0062】
ステップS3の後、温度データ処理部432により、電池温度Tの変化傾向が求められ、電池温度Tが上昇傾向であるか否かが判定される(ステップS4)。上述の通り、放電開始後から一定期間は、吸熱反応によってニッケル水素電池からなる二次電池21の電池温度Tは一般に下降する。電池温度Tが下降傾向であると温度データ処理部432が判定した場合(ステップS4でNO)、そのまま待機する。
【0063】
これに対し、電池温度Tが上昇傾向であると判定された場合(ステップS4でYES)、その上昇傾向に転じたときの電池温度Tが、電流減少開始温度T1を超過しているか否かが判定される(ステップS5)。電池温度Tが、電流減少開始温度T1を下回っている場合(ステップS5でNO)、そのまま待機する。なお、当該電池温度は、図6に示す実線W3の時刻P32の時点の電池温度に相当する。
【0064】
電池温度Tが、電流減少開始温度T1を超過している場合(ステップS5でYES)、今度は電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過しているか否かが判定される(ステップS6)。電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過している場合(ステップS6でYES)、さらに、電池温度Tが、リミット温度TLを超過しているか否かが判定される(ステップS7)。リミット温度TLを超過していれば(ステップS7でYES)、充放電制御部431は二次電池21の放電動作を停止させ(ステップS8)、処理を終える。
【0065】
ステップS6において、電池温度Tが、冷却開始温度T2を下回っている場合(ステップS6でNO)、図8に示すフローが実行される。なお、当該電池温度は、図5に示す実線W2の時刻P22の時点の電池温度に相当する。まず、放電電流制御部434により、二次電池21の放電電流Iが最小値Iminより大きいか否かが判定される(ステップS11)。放電電流Iが最小値Iminより大きい場合(ステップS11でYES)、放電電流制御部434は放電電流Iを所定値だけ減少させる第1制御を行う(ステップS12)。一方、放電電流Iが最小値Iminに至っている場合(ステップS11でNO)、ステップS6に戻る。
【0066】
ステップS12の第1制御の後、温度データ処理部432は、所定時間のカウントを行いつつ(ステップS13)、電池温度データを連続的に求める。所定時間経過後(例えば図5の時刻P23)、電池温度Tが、電流減少開始温度T1を超過しているか否かの判定が行われる(ステップS14)とともに、電池温度Tが上昇傾向を示しているか否かが判定される(ステップS15)。電池温度Tが上昇傾向を示している場合(ステップS15でYES)、ステップS11に戻り、放電電流をさらに減少させる制御が行われる。電池温度Tが上昇傾向を示す限りにおいて、最終的に放電電流Iは最小値Iminまで減少される。これに対し、電池温度Tが上昇傾向を示していない場合(ステップS15でNO)、放電電流制御部434は放電電流のそれ以上の減少の停止を決定し(ステップS16)、ステップS14に戻って処理を繰り返す。
【0067】
また、ステップS14において、電池温度Tが、電流減少開始温度T1を下回っている場合(ステップS14でNO)、放電電流制御部434は放電電流の減少制御を停止する(ステップS17)。これにより、放電電流は負荷1の需要に応じた放電電流となる。その後、所定時間のカウントが実行され(ステップS18)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。
【0068】
次に、上記ステップS7において、電池温度Tが、リミット温度TLを下回っている場合(ステップS7でNO)、図9に示すフローが実行される。なお、当該電池温度は、図4に示す実線W1の時刻P12の時点の電池温度に相当する。この場合、放電電流制御部434により、二次電池21の放電電流Iが最小値Iminより大きいか否かが判定される(ステップS21)。放電電流Iが最小値Iminより大きい場合(ステップS21でYES)、放電電流制御部434は放電電流Iを最小値Iminまで一気に減少させる第1制御を行う(ステップS22)。
【0069】
ステップS22の第1制御の後、温度データ処理部432は、所定時間のカウントを行いつつ(ステップS23)、電池温度データを連続的に求める。所定時間経過後(例えば図4の時刻P13)、電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過しているか否かの判定が行われる(ステップS24)。電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過している場合(ステップS24でYES)、さらに電池温度Tが上昇傾向を示しているか否かが判定される(ステップS25)。電池温度Tが上昇傾向を示していない場合(ステップS25でNO)、ステップS24に戻り現状が維持される。
【0070】
一方、電池温度Tが、冷却開始温度T2を下回っている場合(ステップS24でNO)、放電電流制御部434は放電電流Iの減少を解除する(ステップS26)。なお、このステップS26では、放電電流Iの減少を完全に解除するのではなく、例えば最小値Iminから1ステップ上昇させるようにすることが望ましい。その後、所定時間のカウントが実行され(ステップS27)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。
【0071】
また、ステップS25において電池温度Tが上昇傾向を示している場合(ステップS25でYES)、エアコン制御部433によりエアコン23がON状態とされ、二次電池21の冷却動作が開始される(第2制御;ステップS28)。
【0072】
その後、電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過しているか否かの判定が行われる(ステップS29)。電池温度Tが、冷却開始温度T2を超過している場合(ステップS29でYES)、さらに電池温度Tがリミット温度TLを超過しているか否かが判定される(ステップS30)。電池温度Tがリミット温度TLを超過している場合(ステップS30でYES)、ステップS8に進み、放電動作が停止される。電池温度Tがリミット温度TLを下回っている場合(ステップS30でNO)、ステップS29に戻って処理が繰り返される。ここで、電池温度Tが上昇傾向であるか否かを判定し、上昇傾向にある場合はエアコン23の出力を増加させ、冷却効果を高めるようにしても良い。
【0073】
また、ステップS29で、電池温度Tが冷却開始温度T2を下回っている場合(ステップS29でNO)、エアコン制御部433によりエアコン23がOFF状態とされる(ステップS31)。そして、電池温度Tが上昇傾向であるか否かが判定される(ステップS32)。電池温度Tが上昇傾向である場合(ステップS32でYES)、ステップS5に戻って処理が繰り返される。一方、電池温度Tが上昇傾向でない場合(ステップS32でNO)、ステップS26に進んで処理が繰り返される。
【0074】
以上説明した本実施形態に係る二次電池の制御システムによれば、制御部40は、二次電池21の放電動作を開始させる前、電池温度がリミット温度TLを下回るよう、エアコン23による二次電池21の冷却を実行させる。そして、放電開始後は、吸熱反応によって電池温度が下降傾向を示す期間においては、エアコン23による二次電池21の冷却が行われないように制御を行う。従って、リミット温度TLを超過する環境で二次電池21の放電動作が行われることが回避されると共に、エアコン23による無用な冷却動作の実行を抑止することができる。
【0075】
さらに、電池温度が上昇傾向に転じても、直ちにエアコン23による冷却動作を開始させるのではなく、放電電流制御部434が放電電流を減少させる第1制御を行う。そして、この第1制御から所定期間経過後、なおも電池温度が上昇傾向を示している場合、エアコン23による二次電池21の冷却動作を開始させる。従って、無用な冷却動作の実行を一層確実に抑止することができる。
【符号の説明】
【0076】
S 電力貯蔵装置
1 負荷
20 二次電池収容部
21 二次電池
22 温度センサ(温度計測手段)
23 エアコン(冷却手段)
31 インバータ
32 変圧器
40 制御部(制御手段)
41 計時部
42 記憶部
43 CPU
431 充放電制御部
432 温度データ処理部
433 エアコン制御部
434 放電電流制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル水素電池からなる二次電池と、
前記二次電池の温度を計測する温度計測手段と、
前記二次電池を冷却する冷却手段と、
前記二次電池の充放電動作及び前記冷却手段の動作を制御する制御手段と、
前記二次電池の放電動作を実行させ得る上限温度として予め定められた第1閾値温度を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記二次電池の放電動作を開始させる前、前記温度計測手段が計測する温度が前記第1閾値温度を下回るよう、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を実行させ、
前記二次電池の放電動作を開始させた後、少なくとも前記温度計測手段が計測する温度が下降傾向を示す期間において、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を停止させることを特徴とする二次電池の制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた後、前記二次電池の放電電流を減少させる第1制御を行い、
前記第1制御から所定期間経過後、前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向を示している場合に、前記冷却手段による前記二次電池の冷却を開始させる第2制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の二次電池の制御システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1閾値温度よりも低い所定の第2閾値温度をさらに記憶し、
前記制御手段は、
前記二次電池の放電電流を、予め定められた最小値まで減少させることが可能であって、
前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を超過している場合、前記第1制御において前記放電電流を前記最小値まで減少させることを特徴とする請求項2に記載の二次電池の制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を下回っている場合において、
前記第1制御において、前記放電電流を前記最小値よりも大きい所定値まで減少させ、
前記第1制御から所定期間経過後、前記温度計測手段が計測する温度がなお上昇傾向を示している場合に、前記放電電流を前記所定値から前記最小値まで減少させる第3制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の二次電池の制御システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第3制御の後、前記温度計測手段が計測する温度が前記第2閾値温度を超過したときに、前記第2制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の二次電池の制御システム。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記第2閾値温度よりも低い所定の第3閾値温度をさらに記憶し、
前記制御手段は、
前記温度計測手段が計測する温度が上昇傾向に転じた時点において、前記温度計測手段が計測する温度が前記第3閾値温度を下回っている場合、前記第1制御を行わず、
しかる後、前記温度計測手段が計測する温度が前記第3閾値温度を超過したとき、前記第1制御を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の二次電池の制御システム。
【請求項7】
前記二次電池は、電力貯蔵装置に備えられた二次電池であり、
前記制御手段は、前記電力貯蔵装置の平準化制御を行うものである、請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池の制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256485(P2012−256485A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128307(P2011−128307)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】