説明

二次電池の温度推定方法および二次電池の制御方法

【課題】 二次電池の内部温度を正確に推定することのできる二次電池の温度推定方法,および,二次電池の性能を十分に発揮することのできる二次電池の制御方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の二次電池の温度推定方法は,交流インピーダンス法を用いて取得した,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係である内部抵抗マップを用いる。そして,二次電池の内部温度である蓄電部の温度を,まず,内部抵抗マップに基づいて蓄電部の内部抵抗を求め,さらに,求められた内部抵抗を用いて蓄電部の発熱量を算出し,算出された発熱量を用いることにより推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,二次電池の内部温度である蓄電部の温度を推定する二次電池の温度推定方法,および,その方法により推定された二次電池の内部温度に基づいた二次電池の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,二次電池は,携帯電話やノート型パソコンなどを始めとするポータブル電子機器のみならず,ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両用の電源として注目されている。
【0003】
車両用の電源として用いられる二次電池は,ポータブル電子機器に用いられるものと比べて大きな電力を必要とするため,大型である。また,車両用の二次電池は,走行状態の変化に応じてハイレートでの充放電が繰り返されるため,発熱が大きい。このため,大型で発熱が大きい二次電池においては,特にその内部温度が高くなる傾向にある。
【0004】
また,二次電池は,その温度に適した使用をしなければならない。特に,高温状態の二次電池をそのままハイレートで充放電し続けることは,二次電池の劣化を促進させることとなるからである。
【0005】
このため,大型で発熱が大きい二次電池においては,その内部温度を正確に推定することが重要である。推定される内部温度と実際の内部温度との誤差が大きく信頼性が低い場合には,その誤差を想定した分の余裕を持たせつつ使用しなければならないからである。すなわち,二次電池の性能に,過剰な制限を掛けることとなるのである。また,二次電池の内部温度を実測することは,コストを増大させるため好ましくない。
【0006】
例えば特許文献1には,二次電池の内部温度は内部抵抗と一定の関係を有し,また,内部抵抗はSOC(State Of Charge)の値と一定の関係を有することが開示されている。このため,二次電池の内部温度を,等価回路を用いて推定した内部抵抗をSOCの算出値により補正し,さらに補正後の内部抵抗との関係により推定している。これにより,二次電池の内部温度を,精度良く推定できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−135075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで,特許文献1においては,二次電池の内部抵抗とSOCとの関係,および,内部抵抗と内部温度との関係を,予め実験により取得しているとされている。しかし,これらの取得方法については開示されていない。そこで,これらの関係を,通常二次電池に流れる電流である直流電流を用いて二次電池を充放電させつつ取得することが考えられる。
【0009】
しかし,直流電流を用いた場合,これらの関係を正確に取得することができない。二次電池に直流電流が流れた時には,内部抵抗,SOC,内部温度の全てが変化するからである。すなわち,直流電流を用いて二次電池を充放電させつつ内部抵抗とSOCとの関係を取得している間にも,二次電池の内部温度は変化している。また,直流電流を用いて二次電池を充放電させつつ内部抵抗と内部温度との関係を取得している間にも,二次電池のSOCは変化しているのである。このため,これらの取得された関係と実際の関係とには,大きな誤差があるおそれがある。これにより,取得された関係を用いて推定される二次電池の内部温度と実際の二次電池の内部温度とにも,大きな誤差があるおそれがあった。
【0010】
さらに,二次電池の内部抵抗とSOCと内部温度との関係は,二次電池の充放電が開始されてから,これが継続されている間にも変化する。よって,この継続時間との関係も考慮しなければ,正確な二次電池の内部温度を推定することができないのである。
【0011】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,二次電池の内部温度を正確に推定することのできる二次電池の温度推定方法,および,二次電池の性能を十分に発揮することのできる二次電池の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の二次電池の温度推定方法は,正極板および負極板をセパレータを介して重ねた蓄電部を有する電極体を内部に備える二次電池を対象とし,交流インピーダンス法を用いて取得した,二次電池の内部抵抗と,二次電池の充放電が開始されてからの継続時間と,二次電池の満充電状態の電池容量に対する残電池容量の比であるSOCと,蓄電部の温度との関係である内部抵抗マップを予め用意しておき,二次電池の充放電が開始されるとともに,予め前記継続時間を分割して定めた時間毎に,蓄電部の内部抵抗を,内部抵抗マップに基づいて求め,求められた内部抵抗を用いて蓄電部の発熱量を算出し,算出された発熱量を用いて二次電池の充放電が継続されている時刻における蓄電部の推定温度を算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法である。
【0013】
本発明者は,交流インピーダンス法を用いることにより,二次電池の内部抵抗と継続時間とSOCと温度との正確な関係である内部抵抗マップを取得した。そして,この内部抵抗マップを用いて求められる二次電池の内部抵抗は,正確である。さらに,正確に求められた内部抵抗を用いて算出される蓄電部の発熱量は,正確である。よって,二次電池の内部温度である蓄電部の温度を,正確な発熱量を用いることにより,正確に推定することができる。
【0014】
また上記に記載の二次電池の温度推定方法において,蓄電部を幅方向と厚さ方向とにそれぞれ複数分割した,複数の部分領域を定めておき,蓄電部の内部抵抗を,蓄電部の複数の部分ごとに求め,蓄電部の発熱量を,蓄電部の複数の部分ごとに算出し,蓄電部の推定温度をさらに,蓄電部の複数の部分ごとに,蓄電部の幅方向と厚さ方向とで異なる熱伝導率に基づいたシミュレーションを行うことにより算出することが好ましい。
【0015】
蓄電部は,正極板と負極板とセパレータとが重なる部分である。そして,蓄電部の幅方向においては,正極板および負極板が,正極端部から負極端部まで連続している。つまり,蓄電部の幅方向には,熱伝導率の高い正極板および負極板の集電体により熱が伝わりやすい。このため,蓄電部の幅方向においては,熱伝導率が高い。一方,蓄電部の厚さ方向においては,正極板および負極板が,セパレータを介して交互に存在する。また,蓄電部における正極板および負極板には,それぞれ活物質層が形成されている。つまり,蓄電部の厚さ方向には,特に熱伝導率が低い酸化物からなる正極活物質層が存在する。このため,蓄電部の厚さ方向においては,熱伝導率が低い。すなわち,蓄電部の温度を,幅方向と厚さ方向とに分割した蓄電部の部分ごとに,幅方向と厚さ方向とで異なる熱伝導率に基づいたシミュレーションにより算出することで,正確に推定することができる。
【0016】
また,上記に記載の二次電池の温度推定方法において,蓄電部の複数の部分のうち少なくとも表面に位置する第1の部分から検出された検出温度と,第1の部分の推定温度,および,二次電池から検出された検出電圧と,内部抵抗マップを用いて求められた内部抵抗より算出した推定電圧とをそれぞれ比較し,第1の部分の検出温度と推定温度との差,および,二次電池の検出電圧と推定電圧との差の少なくとも一方が,それぞれについて予め定めた許容範囲を超えていた場合,その差分に応じて内部抵抗マップに基づいて求められた蓄電部の複数の部分ごとの内部抵抗を,第1の部分の検出温度と推定温度との差,および,二次電池の検出電圧と推定電圧との差のいずれもが許容範囲内となるように補正することが好ましい。
【0017】
蓄電部の内部の温度を検出することは容易ではないが,その表面の温度を検出することは比較的容易である。よって,蓄電部を分割した部分のうち表面に位置する部分の温度を検出し,これと同じ部分の推定温度と比較することにより,実際の温度に対して推定温度の誤差が大きい場合にこれを検知することができる。また,内部抵抗マップを用いて求められた内部抵抗より推定した推定電圧を,実際の検出電圧と比較することで,蓄電部の推定温度の誤差が大きい場合にこれを検知することができる。内部抵抗マップを用いて求められた内部抵抗は,推定温度の算出にも用いられているからである。さらに,これらの比較の差分に応じて内部抵抗を補正することにより,正確な内部抵抗を求めることができる。
【0018】
また,上記に記載の二次電池の温度推定方法において,補正後の蓄電部の複数の部分ごとの内部抵抗を用いて,蓄電部の複数の部分ごとの推定温度および推定電圧のそれぞれを再度算出することが好ましい。補正後の内部抵抗は,その補正前よりも正確である。よって,補正後の内部抵抗を用いて蓄電部の推定温度を算出し直すことにより,正確な蓄電部の温度を推定することができるのである。
【0019】
また,上記に記載の二次電池の温度推定方法において,二次電池として冷却装置を備えるものを対象とし,蓄電部の複数の部分ごとの推定温度をさらに,冷却装置による二次電池からの吸熱量に基づいたシミュレーションを行うことにより算出することが好ましい。
【0020】
二次電池の温度上昇を抑制するため,二次電池には冷却装置を備えたものが用いられる。この場合には,蓄電部の温度を,冷却装置による吸熱量を考慮したシミュレーションにより算出することで,正確に推定することができる。
【0021】
また,上記に記載の二次電池の温度推定方法において,蓄電部の複数の部分のうち少なくとも表面に位置する第1の部分から検出された検出温度と,第1の部分の推定温度とを比較し,第1の部分の検出温度と推定温度との差が,予め定めた許容範囲を超えていた場合,その差分に応じて吸熱量を,第1の部分の検出温度と推定温度との差が許容範囲内となるように補正することが好ましい。
【0022】
冷却装置を備えた二次電池においては,蓄電部の温度を,冷却装置による吸熱量を考慮しつつ推定することが好ましい。しかし,常に正確な吸熱量を求めることは困難であり,求められた吸熱量の誤差が大きい場合もある。そこで,蓄電部を分割した部分のうち表面に位置する部分の温度を検出し,これと同じ部分の推定温度と比較することにより,吸熱量の誤差が大きい場合にこれを検知することができる。さらに,この比較の差分に応じて吸熱量を補正することで,正確な吸熱量を求めることができる。
【0023】
また,上記に記載の二次電池の温度推定方法において,補正後の吸熱量に基づいて,蓄電部の複数の部分ごとの推定温度を再度算出することが好ましい。補正後の吸熱量は,その補正前よりも正確である。よって,補正後の吸熱量を用いて蓄電部の推定温度を算出し直すことにより,正確な蓄電部の温度を推定することができるのである。
【0024】
また本発明の二次電池の制御方法は,上記に記載の二次電池の温度推定方法により算出された蓄電部の推定温度に基づいて二次電池を制御する二次電池の制御方法であって,蓄電部の推定温度が予め定めた温度よりも高い場合には,二次電池に流れる電流を制限することを特徴とする二次電池の制御方法である。
【0025】
斯かる二次電池の制御方法は,上記に記載の二次電池の温度推定方法により正確に算出された蓄電部の推定温度に基づいて二次電池の使用を制限する。このため,二次電池の性能に過剰な制限を掛けることなく,二次電池の性能を十分に発揮させることができる。
【0026】
また本発明の二次電池の制御方法は,上記に記載の二次電池の温度推定方法により算出された蓄電部の推定温度に基づいて二次電池を制御する二次電池の制御方法において,蓄電部の推定温度が予め定めた温度よりも高い場合には,二次電池の冷却効果が大きくなるように冷却装置の冷却状態を制御することを特徴とする二次電池の制御方法である。
【0027】
斯かる二次電池の制御方法は,上記に記載の二次電池の温度推定方法により正確に算出された蓄電部の推定温度に基づいて冷却を行う。このため,不必要な冷却を行うことがなく,冷却に必要とする電力を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば,二次電池の内部温度を正確に推定することのできる二次電池の温度推定方法,および,二次電池の性能を十分に発揮することのできる二次電池の制御方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態に係る車両を説明するための図である。
【図2】実施形態に係る二次電池システムを説明するための図である。
【図3】実施形態に係る二次電池の断面図である。
【図4】実施形態に係る二次電池の電極体を説明するための図である。
【図5】実施形態に係る内部抵抗マップである。
【図6】実施形態に係る内部抵抗マップのうち,二次電池の温度を0℃で一定とし,SOCを30%,40%,50%,60%とした時のそれぞれにおける内部抵抗と継続時間との関係を示したグラフ図である。
【図7】実施形態に係る内部抵抗マップのうち,二次電池のSOCを60%で一定とし,温度を0℃,10℃,20℃,30℃とした時のそれぞれにおける内部抵抗と継続時間との関係を示したグラフ図である。
【図8】実施形態に係る二次電池の蓄電部の分割を説明するための図である。
【図9】実施形態に係る二次電池の蓄電部の平面図である。
【図10】実施形態に係る二次電池の内部温度の推定方法の手順を示すフローチャートである。
【図11】充放電されている間の蓄電部の温度の分布のイメージを表した図である
【図12】実験に用いた,内部抵抗とSOCとの関係のみを示した内部抵抗マップである。
【図13】実験に用いた,内部抵抗と継続時間とSOCとの関係のみを示した内部抵抗マップである。
【図14】実験における継続時間と電圧との関係を示すグラフ図である。
【図15】実験における継続時間と内部温度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,ハイブリッド自動車の二次電池システムについて本発明を具体化したものである。
【0031】
[全体の概略構成]
図1に本形態に係る車両1を示す。車両1は,エンジン3,フロントモータ4およびリアモータ5を併用して駆動可能なハイブリッド自動車である。この車両1は,図1に示すように,車体2の内部にエンジン3,フロントモータ4,リアモータ5,二次電池システム6,ケーブル7,車両ECU80を備えている。
【0032】
図2は,二次電池システム6を説明するための概略構成図である。二次電池システム6は,図2に示すように,組電池10,コントローラ20を有している。コントローラ20は,演算部21,メモリ22,通信部23,電流検出部30,電圧検出部40,温度検出部50,冷却状態検出部60,冷却状態制御部70を有している。
【0033】
コントローラ20は,各検出部からの情報を基に,演算部21において組電池10の状態を算出する。詳細は後に詳述するが,演算部21は,組電池10のSOCや組電池10の温度状態などを算出する。また,演算部21は,通信部23を介し,車両ECU80と接続されている。車両ECU80は,通信部23からの組電池10の情報を基に,車両1において最適な電力で,組電池10を使用する。
【0034】
組電池10は,複数の二次電池100を互いに直列に接続したものである。本形態の二次電池100は,リチウムイオン二次電池である。
【0035】
図3に本形態に係る二次電池100の断面図を示す。図3に示すように,二次電池100は,電極体120と,電解液130と,これら電極体120および電解液130を収容する電池ケース140とを備えている。電池ケース140は電池ケース本体141と封口板142とを備えている。また,封口板142は,絶縁部材143を備えている。
【0036】
図4は,電極体120の斜視図である。電極体120は,図4に示すように,扁平形状をした捲回型の電極体である。電極体120は,正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを挟み込みつつ捲回することにより製造されたものである。また,図4に示すように,電極体120のX方向を幅方向,Y方向を厚さ方向,Z方向を高さ方向とする。
【0037】
正極板は,集電体であるアルミニウム箔の表面に,正極活物質層を形成してなる帯状のものである。正極活物質層には,リチウムイオンを吸蔵および放出することができる正極活物質が含まれている。正極活物質として,コバルト酸リチウム(LiCoO),マンガン酸リチウム(LiMnO),ニッケル酸リチウム(LiNiO)などに代表されるリチウム金属酸化物を用いることができる。
【0038】
負極板は,集電体である銅箔の表面に,負極活物質層を形成してなる帯状のものである。負極活物質層には,リチウムイオンを吸蔵および放出することができる負極活物質が含まれている。負極活物質として,炭素系材料,リチウム遷移金属複合酸化物,リチウム遷移金属複合窒化物などを用いることができる。
【0039】
セパレータは,正極板と負極板との短絡を防止しつつ,リチウムイオンを透過させることができる多孔質部材である。この多孔質部材の材質として,ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE)などを用いることができる。
【0040】
電極体120は,図4に示すように,蓄電部121,正極端部122,負極端部123を有している。正極端部122は,電極体120の幅方向Xの右端部分である。負極端部123は,電極体120の幅方向Xの左端部分である。蓄電部121は,正極端部122と負極端部123とで挟まれた,電極体120の幅方向Xの中央部分である。
【0041】
正極端部122は,正極板のみで構成されている部分である。また,正極板の正極端部122の部分においては,正極活物質層が形成されておらず,アルミニウム箔が露出している。負極端部123は,負極板のみで構成されている部分である。また,負極板の負極端部123の部分においては,負極活物質層が形成されておらず,銅箔が露出している。
【0042】
蓄電部121は,正極板,負極板,セパレータにより構成されている部分である。そして,正極板の蓄電部121の部分においては,正極活物質層が形成されている。また,負極板の蓄電部121の部分においては,負極活物質が形成されている。このため,蓄電部121は,充放電に寄与することができる部分である。
【0043】
また二次電池100においては,図3に示すように,正極端部122には,正極端子150が接続されている。負極端部123には,負極端子160が接続されている。正極端子150および負極端子160はそれぞれ,電極体120と接続されていない側の端151,161を,封口板142に設けられた絶縁部材143を介し,電池ケース140の外部に突出させている。なお,組電池10においては,複数の二次電池100が,正極端子150および負極端子160により直列に接続されている。
【0044】
さらに,複数の二次電池100はそれぞれ,正極端子150および負極端子160を介し,電極体120の蓄電部121において,充電および放電を行う。そして,二次電池100は,充放電に伴い蓄電部121において発熱する。
【0045】
また,組電池10には,図2に示すように,発熱した二次電池100を冷却するため,組電池10の外部より冷却媒体を取り込むための吸気口11と,熱交換後の冷却媒体を組電池10の外部に排出するための排出口12とを備えている。本形態における冷却媒体は,空気である。さらに,排出口12には,ファン13が備えられている。ファン13は,冷却風を組電池10内に効率良く流すためのものであり,モータ14により駆動される冷却装置である。
【0046】
コントローラ20が備える電流検出部30は,組電池10と接続された回路を流れる電流値を検出するためのものである。電圧検出部40は,組電池10を構成する二次電池100のそれぞれの電圧を検出するためのものである。
【0047】
温度検出部50は,組電池10を構成する二次電池100のそれぞれの実際の内部温度を検出するためのものである。ここで,本形態の温度検出部50は,すべての二次電池100について,その発熱源である蓄電部121の一部の温度を検出する。このため,蓄電部121のうち,後に詳述する蓄電部A1の部分には,温度センサが取り付けられている。
【0048】
冷却状態検出部60は,組電池10の冷却状態を検出するためのものである。このため,吸気口11には,組電池10に吸気される冷却風の温度を検出する吸気温度センサ61が備えられている。排出口12には,組電池10から排出される冷却風の温度を検出するための排出温度センサ62が備えられている。そして,冷却状態検出部60は,吸気温度センサ61および排出温度センサ62により,冷却風の吸気温度および排出温度を検出する。
【0049】
冷却状態制御部70は,演算部21が組電池10の冷却が必要であると判断した際に,モータ14を駆動し,ファン13を動作させる。また,演算部21が組電池10の冷却が不要であると判断した際には,これを停止させる。またこれにより,演算部21は,ファン13が動作しているかどうかを,いつでも把握している。
【0050】
メモリ22は,二次電池100についての種々のデータを記憶している。例えば,蓄電部121の熱伝導率の異方性や二次電池100の内部抵抗マップ200(図5参照)である。
【0051】
蓄電部121の熱伝導率の異方性は,蓄電部121の構造と関係している。蓄電部121の熱伝導率は一様ではなく,その構造上,特に幅方向Xと厚さ方向Yとで異なるのである。前述したように,蓄電部121は,正極板,負極板,セパレータが捲回されることにより構成されている部分である。蓄電部121の部分における正極板および負極板においては,その集電体の表面に活物質層が形成されている。そして,蓄電部121の幅方向Xにおいては,正極端部122から負極端部123まで,正極板,負極板が連続している。一方,蓄電部121の厚さ方向Yにおいては,正極板および負極板がセパレータを介して交互に存在する。
【0052】
そして,蓄電部121の幅方向Xにおいては,熱伝導率が高い。蓄電部121の幅方向Xには,正極板および負極板の集電体である熱伝導率の高いアルミニウム箔および銅箔が連続しているからである。一方,蓄電部121の厚さ方向Yにおいては,熱伝導率が低い。蓄電部121の厚さ方向Yには,特に熱伝導率の低い正極活物質層に含まれるリチウム金属酸化物が存在するからである。そして,メモリ22は,幅方向Xにおいては高く,厚さ方向Yにおいては低い蓄電部121の熱伝導率の異方性を記憶している。
【0053】
内部抵抗マップ200は,予め実験により作成されたものであり,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係を表わすものである。内部抵抗は,二次電池100の充放電時における二次電池100の内部の抵抗である。継続時間は,二次電池100の充放電が開始されてから,これが継続されている時間である。SOCは,二次電池100の残電池容量を,満充電状態の電池容量に対する比で表わしたものである。温度は,二次電池100の内部温度である蓄電部121の温度である。
【0054】
ここにおいて,二次電池100の内部抵抗と継続時間とSOCと温度との正確な関係を,二次電池100に直流電流を流すことにより取得することは困難である。二次電池100に直流電流が流れた際には,これらすべてのパラメーターが変化してしまうからである。
【0055】
そこで,本発明者は,交流インピーダンス法を用いた実験を行うことにより,図5に示す二次電池100の内部抵抗マップ200を作成した。詳細には,二次電池100を用いて実験用の回路を作製し,その回路に交流電流を流しつつ,二次電池100の内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係を取得した。
【0056】
実験用の回路に交流電流を流した際の二次電池100のインピーダンスZは,以下の式で表わされる。
Z=Re(Z)+jIm(Z) (1)
【0057】
式(1)に示すように,インピーダンスZは,その実部Re(Z)と虚部Im(Z)とにより表わされる。そして,二次電池100に交流電流が流れた時のインピーダンスZの実部Re(Z)を,二次電池100の内部抵抗とした。
【0058】
また,交流電流が流れている間の二次電池100は,交流電流の半周期毎に充電と放電とを繰り返す。よって,二次電池100に流した交流電流の周波数fの2倍の逆数(1/2f)を,二次電池100の充電または放電開始後の継続時間とした。
【0059】
また,交流電流が流れている間の二次電池100のSOCは,交流電流が流れる前のSOCからほとんど変化しない。交流電流を流すことにより,二次電池100は充電と放電とを絶えず繰り返すこととなるからである。さらに,二次電池100のSOCは,交流電流を流す前に充放電させることにより,所望の値とすることができる。
【0060】
また,本実験は,二次電池100を,その環境温度を制御できる温度制御装置に収容した状態で行った。二次電池100は,交流電流が流れた場合であっても発熱する。このため,交流電流が流れている間の温度制御装置は,二次電池100の環境温度を制御することにより,二次電池100の全体の温度を一定に保つことができる。つまり,二次電池100の発熱分を,冷却することができる。さらに,温度制御装置は,交流電流を流す前に,二次電池100の環境温度を変化させることができる。これにより,二次電池100の全体を,交流電流を流す前に所望の温度とすることができる。
【0061】
このように,本実験においては,二次電池100のSOCと温度とをそれぞれ,一定の値に固定しつつ交流電流を流すことができる。また,二次電池100に流す交流電流の周波数fにより,継続時間1/2fのパラメーターは決定する。すなわち,本実験においては,継続時間とSOCと温度とのパラメーターを変化させることなく,その状態の二次電池100の内部抵抗を取得することができる。よって,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係を正確に取得することができるのである。
【0062】
また,継続時間とSOCと温度とのパラメーターはそれぞれ,個別に変化させることもできる。すなわち,周波数fを変化させることにより,継続時間1/2fのパラメーターを内部抵抗マップ200に必要とする範囲内で変化させた。また,交流電流を流す毎に二次電池100のSOCおよび温度を,それぞれ内部抵抗マップ200に必要とする範囲内で個別に変化させた。そして,継続時間とSOCと温度とのパラメーターを変化させたそれぞれの条件ごとに内部抵抗を測定することにより,内部抵抗マップ200を完成させた。
【0063】
本形態においては,二次電池100に交流電流を,5〜0.005Hzの範囲の種々の周波数fで流した。そして,その時に測定されたインピーダンスZの実部Re(Z)の値を,充電または放電開始後これが1/2f(0.1〜100s)継続されている時の内部抵抗とした。具体的には,周波数fが5Hzの交流電流を流すことにより,継続時間1/2fが0.1sの時の内部抵抗を測定した。さらに,継続時間1/2fが1〜100sの範囲において1s間隔となるような0.5〜0.005Hzの範囲の種々の周波数fの交流電流を流すことにより,継続時間1/2fの1〜100sの範囲における内部抵抗を測定した。すなわち,内部抵抗マップ200に用意されている継続時間のパラメーターは,0.1s,および,1〜100sの範囲においては1s間隔である。
【0064】
また,本形態の二次電池100においては,内部抵抗マップ200に必要とするSOCの範囲を,0〜100%の範囲とした。また,必要とする二次電池100の内部温度の範囲を,−20〜50℃の範囲とした。
【0065】
図6および図7は,図5に示す内部抵抗マップ200の一部をグラフ化したものである。図6および図7において,横軸は,継続時間(1/2f)である。また,縦軸は,二次電池100の内部抵抗(インピーダンスZの実部Re(Z))である。
【0066】
図6は,二次電池100の温度を0℃で一定とし,SOCを30%,40%,50%,60%とした時のそれぞれにおける内部抵抗と継続時間との関係を示したグラフ図である。図6に示すように,内部抵抗の値は,SOCが30%,40%,50%,60%の順に高くなるにつれ,低くなっている。
【0067】
図7は,二次電池100のSOCを60%で一定とし,温度を0℃,10℃,20℃,30℃とした時のそれぞれにおける内部抵抗と継続時間との関係を示したグラフ図である。図7に示すように,内部抵抗の値は,温度が0℃,10℃,20℃,30℃の順に高くなるにつれ,低くなっている。
【0068】
さらに,図6および図7に示すように,内部抵抗の値は,SOCおよび温度が一定であっても,継続時間が長いほど高くなっている。そして,メモリ22は,以上のような交流インピーダンス法を用いて取得した,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係である内部抵抗マップ200を記憶している。
【0069】
なお,本形態においては,交流電流の周波数fを5〜0.005Hzの範囲内としている。このため,本形態の内部抵抗マップ200に用意されている継続時間1/2fは,0.1〜100sの範囲である。しかし,内部抵抗マップ200において継続時間100s以降の範囲が必要である場合には,この範囲を,さらに周波数fの低い交流電流を用いることで取得することができる。また,継続時間100s以降の範囲を,0.1〜100sの範囲を基にした外挿により求めることも可能である。
【0070】
また,図2に示す演算部21は,メモリ22,電流検出部30,電圧検出部40,温度検出部50,冷却状態検出部60からの情報を基に,組電池10を構成する個々の二次電池100のそれぞれのSOCおよび内部温度を算出する。
【0071】
演算部21は,二次電池100のうち,発熱源である蓄電部121の温度を推定する。詳細には,演算部21は,図8に示すように,蓄電部121を複数の部分に分割し,その部分ごとの温度を推定することにより,二次電池100の内部温度の分布を推定する。本形態においては,蓄電部121を,幅方向Xおよび厚さ方向Yにそれぞれ5分割している。すなわち,蓄電部121を蓄電部A1〜A25の25の部分に分割している。そして,演算部21は,蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれについて温度を推定する。
【0072】
なお,本形態においては,蓄電部121を,幅方向Xおよび厚さ方向Yにそれぞれ5分割しているが,分割数はこれに限られるものではない。また,蓄電部121を,幅方向Xおよび厚さ方向Yのみに分割しているが,幅方向Xおよび厚さ方向Yに加え高さ方向Zに分割してもよい。
【0073】
図9は,図8を上から見た時の蓄電部121である。前述したように,図9に示す蓄電部A1の部分には,温度センサ51が取り付けられている。そして,蓄電部A1の部分は,蓄電部121のうち表面に位置する部分である。蓄電部121の内部に温度センサ51を取り付けることは困難であるが,その表面であれば容易に取り付けることができるからである。なお,本形態の組電池10においては,すべての二次電池100の蓄電部A1の部分に温度センサ51が取り付けられている。
【0074】
通信部23は,演算部21が算出した個々の二次電池100のSOCおよび内部温度の分布を,車両ECU80に伝達する。車両ECU80は,通信部23より取得した個々の二次電池100の情報に応じて,組電池10を充電または放電させる。例えば,車両ECU80は,組電池10の充電を,例えば車両1の走行中におけるエンジン3の回転の余力によって行う。また例えば,走行状態であった車両1が制動する場合において,その制動時に回生充電を行う。また,車両ECU80は,組電池10からの放電を,例えば車両1を走行させるため,フロントモータ4およびリアモータ5が駆動される場合に行う。そして,車両ECU80は,組電池10を構成する個々の二次電池100について取得した内部温度に応じて,組電池10を充放電させる。
【0075】
[内部温度の推定方法]
本形態に係る二次電池システム6による,二次電池100の内部温度の推定方法について図10のフローチャートを用いて説明する。図2に示す二次電池システム6は,組電池10を構成する個々の二次電池100についてその内部温度の推定を,充電または放電が開始されるとともに所定時間t毎にシミュレーションにより行っている。
【0076】
以下においては,二次電池システム6による,あるn回目における内部温度の推定方法について説明する。ここで,以下に説明するn回目は,充放電が開始された後,第1回目を除いた2回目以降のことである。第1回目における二次電池100の内部温度の推定方法については,n回目の説明の後に説明する。
【0077】
二次電池システム6は,所定時間t毎に以下の処理を繰り返すことにより,n回目の時刻における二次電池100の内部温度を推定する。よって,充放電が開始された時刻からn回目の時刻までは,充放電がnt時間の間継続されている。また,n回目における二次電池100の内部温度の推定は,図10のフローチャートに示す手順により行われる。なお,本形態における所定時間tは,1sである。
【0078】
そして,n回目における二次電池システム6は,メモリ22において,所定時間t前の前回(n−1回目)に算出した,二次電池100ごとの前回SOC(n−1)を記憶している。加えてメモリ22は,二次電池100ごとのさらに蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれについて,前回温度TeA1(n−1)〜TeA25(n−1)を記憶している。前回SOC(n−1)および前回温度TeA1(n−1)〜TeA25(n−1)の記憶は,前回において,以下に述べるn回目の手順と同様の手順で算出されたものである。そして,これらの記憶は,後述するステップS108において,組電池10を構成する個々の二次電池100ごとに記憶されたものである。
【0079】
まず,n回目における二次電池システム6は,電流検出部30,電圧検出部40,温度検出部50,冷却状態検出部60のそれぞれにおいて,電流値I,電圧V,温度TA1,冷却状態Cを検出する(S101)。演算部21は,各検出部が検出値を検出するとともにこれを受信する。
【0080】
また,演算部21は,n回目における二次電池100のSOC(n)を算出する(S102)。SOC(n)は,所定時間t間に変化したSOCの変化量を,メモリ22に記憶された前回SOC(n−1)に加算することにより算出される。そして,該SOCの変化量は,所定時間t間の電流値Iを積算することにより算出される。
【0081】
次に,演算部21は,二次電池100の蓄電部121を分割した蓄電部A1〜A25のそれぞれについて,n回目における推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)を算出する(S103)。また同時に,n回目における二次電池100の推定電圧Ve(n)を算出する(S103)。
【0082】
推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)の算出方法について説明する。推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)は,前回温度TeA1(n−1)〜TeA25(n−1)にそれぞれ,蓄電部A1〜A25の部分の所定時間t間に変化した温度である変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25を加算することにより算出される。また,変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25は,蓄電部A1〜A25の部分の所定時間t間の充放電によるそれぞれの発熱量QA1〜QA25を用いたシミュレーションを行うことにより算出される。
【0083】
ここでは,発熱量QA1〜QA25を代表して,蓄電部A1の部分の発熱量QA1の算出方法について述べることとする。蓄電部A1の部分の発熱量QA1は,所定時間t間の蓄電部A1の部分の内部抵抗RA1と電流値Iとにより算出される。具体的には,以下の式(2)を用いて算出される。
QA1=RA1・I・t (2)
【0084】
内部抵抗RA1は,内部抵抗マップ200を用いて求めることができる。詳細には,演算部21は,まず,メモリ22より,前回SOC(n−1),前回温度TeA1(n−1)を取得する。また,充放電が開始された時刻から前回(n−1回目)の時刻までは,充放電が(n−1)t時間の間継続されている。よって,これを継続時間(n−1)tとし,前回SOC(n−1)および前回温度TeA1(n−1)とともに,メモリ22に記憶されている内部抵抗マップ200に参照させ,蓄電部A1の部分の内部抵抗RA1を求める。
【0085】
また,演算部21は,蓄電部A1の部分の内部抵抗RA1と同様に,蓄電部A2〜A25の部分のそれぞれの内部抵抗RA2〜内部抵抗RA25についても求める。さらに,蓄電部A1の部分の発熱量QA1と同様に,蓄電部A2〜A25の部分のそれぞれの発熱量QA2〜QA25についても算出する。
【0086】
図11は,充放電されている間の蓄電部121の温度の分布のイメージを表した図である。図11においては,蓄電部A1〜A25の部分のうち,温度が高い部分ほどハッチングを密に施している。すなわち,図11に示すように,充放電中の蓄電部121においては,その中央に位置する部分の温度ほど高く,外周に近い部分の温度ほど低いのである。
【0087】
これにより,前回温度TeA1(n−1)〜TeA25(n−1)はそれぞれ異なる値である。つまり,それぞれ異なる前回温度を用いて求められた内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25は,図7において前述したように,それぞれ異なる値となる。よって,それぞれ異なる内部抵抗を用いて算出された発熱量QA1〜QA25についても,それぞれ異なる値となる。すなわち,n回目における蓄電部121の発熱量は一様ではなく,蓄電部A1〜A25の部分ごとに異なるのである。
【0088】
さらに,蓄電部A1〜A25の部分の発熱量QA1〜QA25はそれぞれ,蓄電部A1〜A25の部分の変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25に影響を与える。蓄電部A1〜A25の部分はそれぞれ,互いに隣り合う部分同士において伝熱し合うからである。また,この伝熱の多くは,蓄電部121の内側に位置する部分から外側に位置する部分へと起きる。蓄電部121は,その外周より放熱するからである。
【0089】
そこで,本形態の演算部21は,変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25を,蓄電部A1〜A25の部分の発熱量QA1〜QA25の相互の伝熱の影響を考慮しつつ算出する。詳細には,演算部21は,変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25を,発熱量QA1〜QA25を用い,メモリ22に記憶された蓄電部121の熱伝導率の異方性に基づいたシミュレーションを行うことにより算出する。
【0090】
さらに,変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25は,ファン13による冷却の影響をも受ける。このため,演算部21は,まず,冷却状態検出部60より受信した組電池10に流れる冷却風の吸気温度と排出温度との冷却状態Cより,冷却風が組電池10の全体から吸熱した吸熱量を算出する。次に,組電池10の全体からの吸熱量に二次電池100ごとに異なる係数を乗じることにより,個々の二次電池100ごとの吸熱量を算出する。本形態においては,二次電池100ごとに異なる係数を,組電池10のうち吸気口11に近い二次電池100ほど大きい値としている。吸気口11に近い二次電池100ほど,冷却風による冷却効果が大きいからである。そして,演算部21は,変化温度ΔTeA1〜ΔTeA25を,発熱量QA1〜QA25および蓄電部121の熱伝導率の異方性とともに,冷却風による吸熱量を考慮したシミュレーションを行うことにより算出する。
【0091】
次に,推定電圧Veの算出方法について説明する。推定電圧Veは,蓄電部121の内部抵抗Rと電流値Iとにより算出される。ここで,蓄電部121の内部抵抗Rは,蓄電部A1〜A25の部分の内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25を,並列に合成することにより算出された合成抵抗である。
【0092】
次に,演算部21は,温度TA1と推定温度TeA1(n)とを比較し,これらの差が予め定めた許容範囲内であるか否かを判定する(S104)。また,電圧Vと推定電圧Veとを比較し,これらの差についても予め定めた許容範囲内であるか否かを判定する(S104)。
【0093】
すなわち,少なくとも蓄電部A1の部分の推定温度TeA1(n)と実際の温度TA1との差が大きい場合には,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のすべての信頼性が低いからである。また,推定電圧Veの算出には,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)の算出に用いた内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25を用いている。このため,電圧Vと推定電圧Veとを比較することにより,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)の算出に用いた内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25の値が信頼性の高い値であるか否かを判定することができるのである。そして,これらの比較により,ステップS103で算出した推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のすべてが,信頼性の高い値であるか否かの判定を行っているのである。
【0094】
演算部21は,温度TA1と推定温度TeA1(n)との差および電圧Vと推定電圧Veとの差の少なくとも一方が,それぞれの予め定めた許容範囲を超えていた場合(S104:No),これらの差に応じた補正を行う(S105)。具体的には,内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25の値,冷却風による二次電池100ごとの吸熱量を,温度TA1と推定温度TeA1(n)との差分および電圧Vと推定電圧Veとの差分に応じた係数を乗じることにより補正する。そして,補正した内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25,吸熱量を用いることにより,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)および推定電圧Veを再度算出する。なお,ステップS105において内部抵抗RA1〜内部抵抗RA25,吸熱量の補正に用いた係数は,これらに補正が必要な時にのみ変動する値であり,これらを最初に算出したステップS103においては初期値として1を用いている。このため,この係数についてステップS103においては述べていない。
【0095】
一方,演算部21は,温度TA1と推定温度TeA1(n)の差および電圧Vと推定電圧Veとの差のいずれもが,それぞれの予め定めた許容範囲内である場合(S104:Yes),ステップS106の手順を行う。すなわち,ステップS103で算出した推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のすべての信頼性が高いと判定するのである。
【0096】
次に,演算部21は,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のいずれもが,予め定めた許容温度内か否かを判定する(S106)。演算部21は,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のうち少なくとも1つの温度が許容温度を超えていた場合(S106:No),冷却状態制御部70によりモータ14を駆動させ,ファン13による組電池10の冷却を行う(S107)。またこの時には,車両ECU80に,二次電池100の内部温度が許容温度を超えて高いことを,通信部23を介して伝達する。そして,車両ECU80は,それ以上二次電池100の内部温度が上昇しないよう,組電池10に流れる電流を制限する(S107)。すなわち,車両ECUは,組電池10の充放電を制限するのである。
【0097】
演算部21は,推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)のいずれもが予め定めた許容温度よりも低い場合(S106:Yes),この情報を車両ECU80に通信部23を介して伝達する。そしてこの場合の車両ECU80は,組電池10に流れる電流を制限することなく充放電を継続する。
【0098】
その後,演算部21は,n回目において算出したSOC(n)および推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)をメモリ22に記憶させる(S108)。以上により,n回目における二次電池100の内部温度の推定を完了する。また,n回目において算出したSOC(n)および推定温度TeA1(n)〜TeA25(n)の記憶は,次の所定時間t後の次回(n+1回目)における二次電池100の内部温度の推定に使用されることとなる。
【0099】
次に,充放電が開始された後,第1回目における二次電池システム6による,二次電池100の内部温度の推定方法について説明する。二次電池システム6は,充放電が開始された第1回目においても,前述したn回目における方法と同様の手順で二次電池100の内部温度の推定を行う。
【0100】
しかし,充放電が開始された第1回目においては,充放電が開始された時刻と前回(n−1回目)の時刻とが同じであるため,継続時間(n−1)tが0である。すなわち,継続時間0sは内部抵抗マップ200に存在せず,これを用いて内部抵抗を求めることができない。よって,第1回目においては,継続時間0sに極めて近い代用値として,内部抵抗マップ200の継続時間0.1sを用いることとしている。
【0101】
また,充放電が開始された第1回目においては,所定時間t前の前回に算出した二次電池100の前回SOCおよび蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれの前回温度が存在しない。そこで,充放電が開始された第1回目においては,前回SOCとして,前回の充放電時に最後に算出した二次電池100のSOCの記憶を用いる。
【0102】
また,二次電池システム6は,組電池10の充放電が終了した後においても,蓄電部A1〜A25の部分の推定温度がすべて環境温度と同じ温度になるまでこれを算出し続ける。よって,この間に再び組電池10の充放電が開始された場合には,第1回目に用いる前回温度として,その直前の蓄電部A1〜A25の部分の推定温度を用いる。
【0103】
そして,前回の充放電が終了後,蓄電部A1〜A25の部分の温度がすべて環境温度と同じ温度となった後に充放電が開始された場合には,第1回目に用いる前回温度として,充放電が開始された時の蓄電部A1部分の温度TA1を用いる。この場合には,充放電が開始された時において,二次電池100の内部温度は均一である。このため,蓄電部A1〜A25の前回温度をすべて充放電が開始された時の蓄電部A1部分の温度TA1として,第1回目の二次電池100の内部温度の推定を開始するのである。
【0104】
[効果の確認]
本発明者は,この発明の効果を,以下の実験により確認した。すなわち,実験用の二次電池100を単独で放電させつつ,それぞれ異なる内部抵抗マップを用いた実施例および比較例1,2の内部温度の推定方法を比較する実験を行った。実施例および比較例1,2の内部温度の推定方法の手順はいずれも,図10において前述した方法の手順と同じである。実施例および比較例1,2において異なるのは,ステップS103で用いる内部抵抗マップのみである。そして,それぞれ異なる内部抵抗マップを用いた実施例および比較例1,2の内部温度の推定方法により電圧および内部温度を推定し,これらをそれぞれ実際に検出した実測電圧および実測温度と比較した。
【0105】
また,二次電池100を放電させる前の初期条件はいずれも,温度を0℃とし,SOCを60%とした。さらに,二次電池100を,満充電容量(Ah)に対する電流値(A)の比で表わされるCレートが10Cの電流で放電させた。
【0106】
ここにおいて,実施例1に用いた内部抵抗マップは,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係をすべて示した内部抵抗マップ200(図5)である。これに対し,比較例1においては,図12に示す,内部抵抗とSOCとの関係のみを示した内部抵抗マップ300を用いた。すなわち,比較例1においては,蓄電部A1〜A25の部分の内部抵抗を求める際,二次電池100が放電され始めてからの継続時間および温度の変化(図12中ドットハッチングで示した部分)が考慮されないものを用いた。また,比較例2おいては,図13に示す,内部抵抗と継続時間とSOCとの関係のみを示した内部抵抗マップ400を用いた。すなわち,比較例2においては,蓄電部A1〜A25の部分の内部抵抗を求める際,二次電池100が放電され始めてからの温度の変化(図13中ドットハッチングで示した部分)が考慮されないものを用いた。
【0107】
本実験の結果を図14および図15に示す。図14は,実験における継続時間と電圧との関係を示すグラフ図である。図15は,実験における継続時間と内部温度との関係を示すグラフ図である。図14および図15においては,実施例の結果を実線で,比較例1の結果を破線で,比較例2の結果を一点鎖線で示している。二点鎖線は,図14においては実測電圧を,図15においては実測温度を示している。
【0108】
図14に示すように,比較例1により推定される電圧は,継続時間が長くなるとともに,実測電圧よりも高くなっている。また,比較例2により推定される電圧は,継続時間が長くなるとともに,実測電圧よりも低くなっている。すなわち,比較例1,2により推定された電圧は,継続時間が長くなるとともに,実測電圧との誤差が大きくなっている。これに対し,実施例においては,継続時間が長くなっても,実測電圧と近い電圧が精度よく推定されている。
【0109】
また,図15に示す内部温度はいずれも,蓄電部A13の部分の温度である。本実験において,蓄電部A13の部分の温度について比較したのは,蓄電部A1〜A25の部分のうち,この部分が最も中央に位置する部分だからである。
【0110】
蓄電部121の表面に近い部分の温度は,用いる内部抵抗マップが異なるものであっても,比較的に精度よく推定することができる。蓄電部121の表面の一部分(本形態においては蓄電部A1の部分)について実際の温度を検出(温度センサ51)し,同じ部分の推定温度と比較して補正を行うからである。また,図11に示すように,蓄電部121の表面に近い部分同士の温度差は小さいからである。
【0111】
一方,蓄電部121の中央に近い部分の推定温度ほど,実際の温度との差が大きくなりやすい。図11に示すように,蓄電部121の中央に近い部分の温度ほど,表面の温度との差が大きいからである。よって,本実験においては,蓄電部121の最も中央に位置する蓄電部A13の部分の温度について比較を行っているのである。
【0112】
なお,本実験に用いた二次電池100においては,蓄電部A13の実測温度を検出するため,この部分に温度センサを取り付けている。しかし,製品として製造する二次電池100の蓄電部A13の部分には,温度センサ51を取り付けることができない。蓄電部A13の部分に温度センサを取り付けることにより,二次電池100のコストが大幅に増加してしまうからである。
【0113】
そして,図15に示すように、比較例1により推定される温度は,継続時間が長くなるとともに,実測温度よりも低くなっている。また,比較例2により推定される温度は,継続時間が長くなるとともに,実測温度よりも高くなっている。すなわち,比較例1,2により推定される温度は,継続時間が長くなるとともに,実測温度との誤差が大きくなっている。これに対し,実施例においては,継続時間が長くなっても,実測温度と近い温度が精度よく推定されている。
【0114】
よって,本実験により,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係をすべて示した内部抵抗マップを用いることにより,二次電池の電圧と内部温度とを共に,精度良く推定できることが分かった。また,内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係のうち,継続時間や温度の変化を考慮しない内部抵抗マップを用いた場合には,これらを精度よく推定することができないことが分かった。内部抵抗と継続時間とSOCと温度とは,それぞれが相互に影響するからである。すなわち,本実験においては検討していないが,SOCの変化を考慮しない内部抵抗マップを用いた場合においても,当然二次電池の電圧と内部温度とを共に精度良く推定することはできない。
【0115】
以上詳細に説明したように,本形態の二次電池システム6は,組電池10とコントローラ20とを備えている。また,コントローラ20のメモリ22には,予め交流インピーダンス法を用いて取得された二次電池100の内部抵抗と継続時間とSOCと温度との関係である内部抵抗マップ200が記憶されている。そして,演算部21は,組電池10の充放電が開始されるとともに,蓄電部121を分割した蓄電部A1〜A25の部分の内部抵抗をそれぞれ,内部抵抗マップ200に基づいて求める。さらに,求めた内部抵抗を用いて蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれの発熱量を算出する。加えて,算出された発熱量と蓄電部121の熱伝導率の異方性と冷却による吸熱量とに基づいたシミュレーションを行い,蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれの推定温度を算出する。これにより,二次電池100の内部温度である蓄電部A1〜A25の部分のそれぞれの温度を,正確に推定することのできる二次電池の温度推定方法が実現されている。
【0116】
また,本形態の車両ECU80は,上記により正確に推定された二次電池100の内部温度に応じて組電池10の充放電を制御し,さらに組電池10の冷却を行う。これにより,二次電池100の性能を十分に発揮することのできる二次電池の制御方法が実現されている。
【0117】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本形態ではリチウムイオン二次電池について本発明を適用したが,その他の二次電池についても本発明を適用することができる。また例えば,本形態ではハイブリッド自動車について本発明を適用したが,プラグインハイブリッド自動車,電気自動車などのその他の車両についても本発明を適用することができる。また例えば,捲回型の電極体に限らず,捲回しないで負極板と正極板とを積層した積層型の電極体を有する二次電池にも適用することができる。
【0118】
また例えば,本形態においては,二次電池100の内部温度を推定する時間間隔である所定時間tを1sとして説明したが,これに限るものではない。所定時間tは,予め用意した内部抵抗マップの継続時間のパラメーターの範囲内であればよい。本形態の内部抵抗マップ200においては,1〜100sの範囲内を1s間隔で用意している。よって,内部抵抗マップ200を用いる場合,所定時間tは,例えば2sであってもよいし10sであってもよい。
【0119】
また例えば,本形態では,二次電池100の蓄電部121のうち,蓄電部A1の部分にのみ温度センサ51を取り付けているが,これに限るものではない。すなわち,温度センサ51は,蓄電部121の表面であればどこに取り付けられていてもよい。この場合には,図10のステップS104において,温度センサ51が取り付けられた部分の検出温度と推定温度との比較を行えばよい。また,温度センサ51は,蓄電部121の表面に2箇所以上取り付けられていても良い。そしてこの場合には,さらに推定温度の精度を高くすることができる。
【0120】
また例えば,本形態では,組電池10を構成するすべての二次電池100の蓄電部A1の部分に温度センサ51を取り付けている。そして,二次電池100の内部温度をそれぞれ,蓄電部A1の部分について検出した温度TA1に基づいて個別に補正しているが,これに限るものではない。組電池においては,これを構成する二次電池の温度の分布の傾向を,予め実験などにより取得することができる。具体的には,本形態の組電池10においては,吸気口11より冷却風を取り込み,これを排出口12より排出している。このため,吸気口11に近い位置にある二次電池100ほど低温となる傾向にある。この傾向を具体的に取得し得れば,組電池10を構成する二次電池100のうち,少なくとも1つの二次電池100の蓄電部A1の部分の温度TA1のみを検出すればよい。その温度TA1に基づいて,その他の二次電池100を補正することができるからである。
【符号の説明】
【0121】
100…二次電池
120…電極体
121…蓄電部
200…内部抵抗マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の温度推定方法において,
正極板および負極板をセパレータを介して重ねた蓄電部を有する電極体を内部に備える二次電池を対象とし,
交流インピーダンス法を用いて取得した,前記二次電池の内部抵抗と,前記二次電池の充放電が開始されてからの継続時間と,前記二次電池の満充電状態の電池容量に対する残電池容量の比であるSOCと,前記蓄電部の温度との関係である内部抵抗マップを予め用意しておき,
前記二次電池の充放電が開始されるとともに,予め前記継続時間を分割して定めた時間毎に,
前記蓄電部の内部抵抗を,前記内部抵抗マップに基づいて求め,
求められた内部抵抗を用いて前記蓄電部の発熱量を算出し,
算出された発熱量を用いて前記二次電池の充放電が継続されている時刻における前記蓄電部の推定温度を算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池の温度推定方法において,
前記蓄電部を幅方向と厚さ方向とにそれぞれ複数分割した,複数の部分領域を定めておき,
前記蓄電部の内部抵抗を,前記蓄電部の複数の部分ごとに求め,
前記蓄電部の発熱量を,前記蓄電部の複数の部分ごとに算出し,
前記蓄電部の推定温度をさらに,前記蓄電部の複数の部分ごとに,
前記蓄電部の幅方向と厚さ方向とで異なる熱伝導率に基づいたシミュレーションを行うことにより算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池の温度推定方法において,
前記蓄電部の複数の部分のうち少なくとも表面に位置する第1の部分から検出された検出温度と,前記第1の部分の推定温度,および,
前記二次電池から検出された検出電圧と,前記内部抵抗マップを用いて求められた内部抵抗より算出した推定電圧とをそれぞれ比較し,
前記第1の部分の検出温度と推定温度との差,および,前記二次電池の検出電圧と推定電圧との差の少なくとも一方が,それぞれについて予め定めた許容範囲を超えていた場合,その差分に応じて前記内部抵抗マップに基づいて求められた前記蓄電部の複数の部分ごとの内部抵抗を,前記第1の部分の検出温度と推定温度との差,および,前記二次電池の検出電圧と推定電圧との差のいずれもが前記許容範囲内となるように補正することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の二次電池の温度推定方法において,
補正後の前記蓄電部の複数の部分ごとの内部抵抗を用いて,前記蓄電部の複数の部分ごとの推定温度および推定電圧のそれぞれを再度算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか1つに記載の二次電池の温度推定方法において,
前記二次電池として冷却装置を備えるものを対象とし,
前記蓄電部の複数の部分ごとの推定温度をさらに,
前記冷却装置による前記二次電池からの吸熱量に基づいたシミュレーションを行うことにより算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池の温度推定方法において,
前記蓄電部の複数の部分のうち少なくとも表面に位置する第1の部分から検出された検出温度と,前記第1の部分の推定温度とを比較し,
前記第1の部分の検出温度と推定温度との差が,予め定めた許容範囲を超えていた場合,その差分に応じて前記吸熱量を,前記第1の部分の検出温度と推定温度との差が前記許容範囲内となるように補正することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の二次電池の温度推定方法において,
補正後の吸熱量に基づいて,前記蓄電部の複数の部分ごとの推定温度を再度算出することを特徴とする二次電池の温度推定方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1つに記載の二次電池の温度推定方法により算出された前記蓄電部の推定温度に基づいて前記二次電池を制御する二次電池の制御方法において,
前記蓄電部の推定温度が予め定めた温度よりも高い場合には,前記二次電池に流れる電流を制限することを特徴とする二次電池の制御方法。
【請求項9】
請求項5から請求項7までのいずれか1つに記載の二次電池の温度推定方法により算出された前記蓄電部の推定温度に基づいて前記二次電池を制御する二次電池の制御方法において,
前記蓄電部の推定温度が予め定めた温度よりも高い場合には,前記二次電池の冷却効果が大きくなるように前記冷却装置の冷却状態を制御することを特徴とする二次電池の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−101884(P2013−101884A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245888(P2011−245888)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】