説明

二次電池システム及び二次電池の充電システム

【課題】異常な状態となった二次電池が継続使用されてしまうのを防止できるようにする。
【解決手段】二次電池1と、二次電池1が異常となったか否かを検知する異常検知部OCと、その異常検知部OCの検出情報に基づいて外部接続機器に対して信号を出力する信号生成回路2とが備えられた二次電池システムにおいて、前記信号生成回路2に、少なくとも第1状態と第2状態とに状態を保持可能な回路素子が備えられ、信号生成回路2は、前記回路素子が前記第1状態あるいは前記第2状態であるかに基づいて、前記外部接続機器への信号の出力状態を変化させるように構成され、信号生成回路2は、前記異常状態を異常検知部OCが検知したときに、前記回路素子を前記第1状態から前記第2状態へ切換操作し、且つ、前記回路素子が前記第1状態へ復帰しないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池と、前記二次電池の異常を検知する異常検知部と、その異常検知部の検出情報に基づいて、前記二次電池と連係して動作する外部接続機器に対して信号を出力する信号生成回路とが備えられた二次電池システム、及び、二次電池の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような二次電池システムは、例えば、いわゆる電池パックとして構成されることや、あるいは、二次電池の筐体に二次電池の監視回路を組み込んだ構成として提供される場合が多く、例えば上記外部接続機器を充電器として、充電器と二次電池システムを接続する場合では、充電器にて二次電池を充電する際に、二次電池に対して過大な電流あるいは電圧が印加されてしまった場合等の二次電池が異常な状態となったときの対策のための回路と二次電池とを組み合わせて構成することができる。
このような構成としては、例えば、電池パック内に充電器から二次電池への充電電流の供給経路に電流遮断装置を二次電池システム側に配置する構成や、充電器に対して充電禁止信号を出力して、充電器自体の充電動作を停止させる構成、更には、下記特許文献1に記載のように、その両方を備える構成等が考えられている。
下記特許文献1に記載のように、二次電池側から充電器に対して充電禁止信号を出力する構成では、充電器側の充電電流遮断機能を利用することで、製造コストの上昇を可及的に抑制しながら、二次電池への充電電流を停止させるための構成を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一旦異常な状態となった二次電池システムは、その異常な状態が改善されたときでも、継続使用されるのは好ましくない。
例えば、充電器側の充電電流遮断機能を利用する構成では、その機能が充電器側でリセットされてしまうと、二次電池に対して充電動作が再開されてしまうことになり、過大な電流等が印加されてしまう等の異常な状態となった二次電池を再使用してしまうことになり、好ましくない。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、異常な状態となった二次電池が継続使用されてしまうのを防止できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、二次電池と、前記二次電池の異常を検知する異常検知部と、その異常検知部の検出情報に基づいて、前記二次電池と連係して動作する外部接続機器に対して信号を出力する信号生成回路とが備えられた二次電池システムにおいて、前記信号生成回路に、少なくとも第1状態と第2状態とに保持される回路素子が備えられ、前記信号生成回路は、前記回路素子が前記第1状態あるいは前記第2状態であるかに基づいて、前記外部接続機器への信号の出力状態を変化させるように構成され、前記信号生成回路は、前記異常検知部が前記二次電池の異常を検知したときに、前記回路素子を前記第1状態から前記第2状態へ切り換え、且つ、前記回路素子が前記第1状態へ復帰しないように構成されている。
【0006】
すなわち、少なくとも第1状態と第2状態とに状態を保持可能な回路素子を信号生成回路に備えて、信号生成回路における外部接続機器への信号の出力状態を、上記回路素子がどのような状態にあるかに依存させる。
上記回路素子に対する制御操作として、二次電池が異常状態となったときに、上記回路素子を第1状態から第2状態へ切換操作し、且つ、上記回路素子が第1状態へ復帰しないようにすることで、二次電池が異常状態となったときの出力状態を保持することができる。
【0007】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記回路素子の前記第1状態が、前記信号生成回路の通電経路の一部を閉状態とする状態であり、前記回路素子の前記第2状態が、前記信号生成回路の通電経路の一部を開状態とする状態である。
すなわち、上記回路素子は、信号生成回路の通電経路を開閉操作するだけで、上記第1状態と上記第2状態とに切換操作できるので、回路素子の構成を簡素化することができる。
更に、前記第2状態を、前記信号生成回路の通電経路の一部を開状態とする状態に設定することで、前記第2状態を前記信号生成回路の通電経路の一部を閉状態とする状態に設定する場合に比べて、より安全性の高い運用が可能となる。
すなわち、前記第2状態を、前記信号生成回路の通電経路の一部を閉状態とする状態に設定したのでは、前記信号生成回路の通電経路に断線が生じた場合、回路素子が前記第2状態となっているにも拘わらず、前記第1状態にあるかのような信号を出力して、二次電池システムが継続使用されてしまう可能性もあるが、前記第2状態を、前記信号生成回路の通電経路の一部を開状態とする状態に設定することで、そのような事態を回避できる。
【0008】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記回路素子がヒューズであり、前記ヒューズを溶断させることによって、前記第1状態から前記第2状態へ切り換える。
すなわち、通電経路の開閉切換をヒューズの溶断操作によって行うので、回路素子の構成を一層簡素化でき、上記閉状態(前記第1状態)から上記開状態(前記第2状態)への切り換えを確実に行える。
【0009】
又、本出願の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれかの発明の構成に加えて、前記異常検知部が、前記二次電池の電流又は電圧が予め設定されている設定値に達したときに異常として検知するように構成されている。
すなわち、二次電池の異常としては、二次電池に過度な電流が流れた状態や、二次電池に過度な電圧が印加された状態が典型的であり、二次電池の異常状態を的確に検出できる。
【0010】
又、本出願の第5の発明は、上記第3の発明の構成に加えて、前記ヒューズは温度ヒューズにて構成され、前記異常検知部は、前記二次電池が異常となったことを検知するに伴って、前記温度ヒューズを加熱する加熱素子に、前記温度ヒューズを溶断させるための電流を流すように構成されている。
すなわち、異常検知部の検知動作に基づいて溶断されるヒューズとしては、ヒューズの通電電流が設定値になるに伴って溶断する形式のヒューズ(電流ヒューズ)を利用することも可能であるが、上記ヒューズを温度ヒューズにて構成して、それを溶断させる加熱素子と組み合わせることで、ヒューズを溶断させるために必要な電力を小さくすることが可能となる。それ故、信号生成回路の回路構成を簡素化することができる。
【0011】
又、本出願の第6の発明は、上記第5の発明の構成に加えて、前記温度ヒューズは、前記二次電池の負極よりも高電位側箇所と前記信号を出力する制御出力端子とを結ぶ配線の途中箇所に直列接続した状態で2個備えられ、その2個の温度ヒューズの接続位置と前記異常検知部の出力とを結ぶ配線の途中箇所に前記加熱素子が配置され、前記2個の温度ヒューズと前記加熱素子とが1つのパッケージに収納されている。
すなわち、信号生成回路において、異常検知部の検知情報に基づいて温度ヒューズを溶断させて、それに応じた信号を出力するという回路動作のためには、温度ヒューズを1個のみ備えれば用が足りることになる。
しかしながら、通常、温度ヒューズとその温度ヒューズを加熱する加熱する加熱素子とは、1つのパッケージ内に内蔵されて供給されており、回路実装上の観点からは、1つのパッケージに2個の温度ヒューズが直列接続で配置されていることが有利である。
つまり、これら2個の温度ヒューズを加熱する加熱素子は、直列接続されている2個の温度ヒューズの接続位置に接続されるので、加熱素子から見て温度ヒューズが対称に配置されていることになる。
従って、直列接続されている2個の温度ヒューズの何れが二次電池側に接続されるか、あるいは、外部接続機器側に接続されるかを自由に設定できることになり、温度ヒューズと加熱素子とを1つのパッケージに収納した回路部品の配置自由度が大となる。それ故、回路設計における利便性を向上させることができる。
【0012】
又、本出願の第7の発明は、上記第1〜第6のいずれかの発明の構成に加えて、前記外部接続機器が前記二次電池を充電する充電器であり、前記信号生成回路は、前記回路素子が前記第1状態から前記第2状態へ切り換えられるに伴って、前記充電器に充電動作を停止させる信号を出力するように構成されている。
すなわち、二次電池が異常状態に陥る事態は、二次電池が充電器によって充電されているときに発生する場合が多く、そのような場合において、二次電池の継続使用を的確に防止することができる。
【0013】
又、本出願の第8の発明は、上記第7の発明の二次電池システムと、その二次電池システムに着脱可能に取り付けられる前記充電器とが備えられて二次電池の充電システムが構成されている。
二次電池システムに充電器を着脱して、適宜に二次電池を充電できるシステムにおいて、二次電池が異常状態となった場合に、その情報を信号生成回路の回路素子に保持させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信号生成回路に備える回路素子の状態によって、二次電池が異常状態となったという情報を保持させることで、異常な状態となった二次電池が継続使用されてしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかる二次電池システムの構成図
【図2】本発明の別実施形態にかかる二次電池システムの構成図
【図3】本発明の別実施形態にかかる二次電池システムの構成図
【図4】本発明の別実施形態にかかる二次電池システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の二次電池システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態の二次電池システムBSは、図1に示すように、二次電池システムBSに着脱可能に取り付けられる充電器CHと共に、二次電池の充電システムを構成している。
二次電池システムBSには充電器CHにて充電される二次電池1が備えられ、充電器CHは、二次電池1と連係して動作する外部接続機器となっている。
本実施の形態の二次電池システムBSは、二次電池1に過大な電流が流れたときを、二次電池1の異常として設定しており、その異常として設定されている状態(すなわち、異常状態)となったか否かを検知する異常検知部OCと、その異常検知部OCの検出情報に基づいて、充電器CHに対して信号を出力する信号生成回路2とが備えられて、これらを二次電池1と一体化して、例えば、いわゆる電池パックの形態や、あるいは、二次電池1の筐体に信号生成回路2等を固定した形態で提供されるものである。
信号生成回路2が充電器CHに対して出力する信号は、本実施の形態では、二次電池1に対する充電動作を停止させるための充電禁止信号として出力される。
二次電池1としては、例えば、非水電解液二次電池であるリチウムイオン電池の他、ニッケル水素電池等の各種の二次電池を用いることができる。
本実施の形態では、二次電池1として、複数の単電池1aを直列接続して組電池として構成した場合を例示している。
【0017】
異常検知部OCは、二次電池1に流れる電流を検出する電流センサ21と、電流センサ21の検出信号に基づいて、二次電池1に過電流が流れたか否かを検出する過電流検出回路22と、過電流検出回路22の出力信号によってオンオフするバイポーラ型のトランジスタ23とが備えられて構成され、信号生成回路2は、トランジスタ23のコレクタに接続される抵抗加熱式の加熱素子であるヒータ24aと、ヒューズの1種である温度ヒューズ24bとを主要部として構成されている。温度ヒューズ24bは、二次電池1の負極よりも高電位側箇所(具体的には、二次電池1の正極)と上記充電禁止信号を出力する制御出力端子11と結ぶ配線の途中箇所に配置して、その温度ヒューズ24bの制御出力端子11側にヒータ24aを接続している。
【0018】
過電流検出回路22は、電流センサ21の検出信号が、予め設定されている設定値(以下において、「充電停止用設定値」と称する)よりも低い値になっているときは、トランジスタ23に対してLレベルの信号を出力し、上記充電停止用設定値に達するとトランジスタ23に対してHレベルの信号を出力する。
上記充電停止用設定値は、二次電池1に対して充電動作を継続することが好ましくないものとして予め設定されている電流値に相当するものである。
従って、二次電池1の電流が、充電を停止すべきものとして予め設定されている設定値(上記充電停止用設定値)に達したときを、上記異常状態となったものと検知している。
【0019】
異常検知部OCの出力であるトランジスタ23のコレクタは、ヒータ24aに接続されている。
ヒータ24aと温度ヒューズ24bとは、単一のパッケージPKに収納された1つの回路部品として配置されており、ヒータ24aに所定の電流が通電されると、ヒータ24aで発生する熱で温度ヒューズ24bを溶断させる構造となっている。
電気回路上でのヒータ24aと温度ヒューズ24bとの接続箇所は、パッケージPKの出力端子24cを経て、充電器CHに対して「充電禁止信号」を出力するための制御出力端子11へと引き出されている。
すなわち、温度ヒューズ24bは、溶断していない状態で、信号生成回路2の通電経路の一部を閉状態とする第1状態と、溶断した状態で、信号生成回路2の通電経路の一部を開状態とする第2状態とに状態を保持可能な回路素子であり、温度ヒューズ24bが上記第1状態あるいは第2状態であるかに基づいて、充電器CHへの信号の出力状態を変化させている。
【0020】
上記構成の二次電池システムBSの二次電池1を充電する充電器CHは、二次電池1に対して充電電流を供給する正負の「充電出力」の他に、「制御入力」を備えている。
この「制御入力」は、上記「充電禁止信号」を受け入れる入力端子であり、この「制御入力」は、二次電池システムBSの制御出力端子11に接続されている。
充電器CHの「制御入力」は充電器CH内部側でプルダウン接続されており、「制御入力」にHレベルの信号が入力されている状態にておいてのみ、充電出力端子から二次電池1に対して充電動作する。
一方、「制御入力」が、Lレベルになっているか、あるいは、開放されている場合は、二次電池1に対する充電動作を停止する。
【0021】
次に、上記構成の二次電池システムBSの動作を概略的に説明する。
二次電池システムBSと充電器CHとが接続されて、通常通り正常に充電動作が行われている状態では、電流センサ21の検出信号は上記充電停止用設定値よりも十分に小さく、トランジスタ23のベースに対する過電流検出回路22の出力はLレベルであり、トランジスタ23はオフ状態を維持する。このため、ヒータ24aには電流は流れない。
この状態では、二次電池1の正極電圧が温度ヒューズ24bを経て、制御出力端子11から出力される。
従って、充電器CHの「制御入力」Hレベル入力であり、充電器CHの「充電出力」から二次電池1への充電電流が供給され続ける。
一方、何らかの事情により、充電器CHから二次電池1へ供給される電流が過大となる場合、あるいは、図1では図示を省略しているが、二次電池システムBSと充電器CHとの間に別の電流源が存在して、その別の電流源から過大な電流が二次電池1に流れ込んだ場合、電流センサ21の検出信号が上記充電停止用設定値に達すると、過電流検出回路22はトランジスタ23のベースに対する出力がHレベルとなり、トランジスタ23がオフ状態からオン状態へと切り替わる。
これによって、二次電池1の正極から温度ヒューズ24bを経てヒータ24aへ通電され、ヒータ24aが温度ヒューズ24bを加熱して溶断させる。すなわち、温度ヒューズ24bを上記第1状態から上記第2状態へ切り換える。上記第2状態への切り換え後の温度ヒューズ24bは、上記第1状態へ復帰することはない。
温度ヒューズ24bが溶断すると、二次電池1の正極からの電気配線が遮断され、制御出力端子11の出力信号はHレベルからLレベルに移行する。制御出力端子11の出力レベルがLレベルとなっている状態が、上記「充電禁止信号」を出力する出力状態である。
制御出力端子11から充電器CHの「制御入力」へ入力される信号がHレベルからLレベルに移行すると、「充電出力」からの二次電池1への充電電流の供給を停止し、充電動作を停止する。
この後、充電器CH側でリセット操作を行い、接続している二次電池システムBSへの充電動作の再開が指示されたとしても、二次電池システムBSにおける信号生成回路2の温度ヒューズ24bが溶断した状態(第2状態)であるので、「充電禁止信号」が出力されている状態を保持しており、充電器CHが充電動作を再開することはない。又、「充電禁止信号」の状態をモニターすることにより、二次電池システムBSの異常を確認することができる。
【0022】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、信号生成回路2を構成する温度ヒューズ24b及びヒータ24aの夫々1個を1つのパッケージに収納した場合を例示して説明しているが、図2に示すように、2個の温度ヒューズ26a,26bと加熱素子である1個のヒータ26cとを1つのパッケージに収納した回路部品を用いることもできる。ヒータ26cに通電することで、温度ヒューズ26a,26bを溶断させるように配置されているのは上記実施の形態と同様であり、ここでは、基本的にヒータ26cが2個の温度ヒューズ26a,26bを同時に溶断させる。
【0023】
2個の温度ヒューズ26a,26b及びヒータ26cの配線形態としては、2個の温度ヒューズ26a,26bを直列に接続して、それを二次電池1の負極よりも高電位側箇所(具体的には、二次電池1の正極)と上記充電禁止信号を出力する制御出力端子11とを結ぶ配線の途中箇所に配置し、その2個の温度ヒューズ26a,26bの接続位置と上記異常検知部OCの出力であるトランジスタ23のコレクタとを結ぶ配線の途中箇所にヒータ26cを配置している。
図2から明らかなように、温度ヒューズ26a,26bの配線は、ヒータ26cとの接続位置に対して対称であり、入力と出力とを入れ替えても全く同様に動作する自由度を有している。
温度ヒューズ26a,26b及びヒータ26c以外の構成は、充電器CHの構成も含めて上記実施の形態と同様である。
【0024】
図2で示す二次電池システムBSの動作は、上記実施の形態とほぼ同様であるが、簡単に説明する。
二次電池システムBSと充電器CHとが接続されて、通常通り正常に充電動作が行われている状態では、トランジスタ23はオフ状態であり、二次電池1の正極電圧が温度ヒューズ24bを経て、制御出力端子11へと出力され、充電器CHの「充電出力」から二次電池1への充電電流が供給され続ける。
【0025】
一方、何らかの事情により、充電器CHから二次電池1へ供給される電流が過大となる場合、あるいは、図2では図示を省略しているが、二次電池システムBSと充電器CHとの間に別の電流源が存在して、その別の電流源から過大な電流が二次電池1に流れ込んだ場合、電流センサ21の検出信号が上記充電停止用設定値に達すると、トランジスタ23がオフ状態からオン状態へと切り替わり、温度ヒューズ26aを経てヒータ26cへ通電され、ヒータ26cが温度ヒューズ26a,26bを加熱して溶断させる。
温度ヒューズ26a,26bが溶断すると、制御出力端子11の出力信号は「開放」の状態に移行する。ここでは、制御出力端子11の出力レベルが「開放」となっている状態が、上記「充電禁止信号」を出力する出力状態である。
制御出力端子11から充電器CHの「制御入力」へ入力される信号が「開放」に移行すると、「充電出力」からの二次電池1への充電電流の供給を停止し、充電動作を停止する。
【0026】
この後、充電器CH側でリセット操作を行い、接続している二次電池システムBSへの充電動作の再開が指示されたとしても、二次電池システムBSにおける信号生成回路2の温度ヒューズ26a,26bが溶断した状態であるので、「充電禁止信号」が出力されている状態を保持しており、充電器CHが充電動作を再開することはない。
尚、2個の温度ヒューズのうち、温度ヒューズ26aが温度ヒューズ26bより先行して溶断し、温度ヒューズ26bが溶断しなかった場合は、上記実施の形態の動作と全く同様の動作をすることになる。
【0027】
(2)上記実施の形態では、異常検知部OCとして、電流センサ21にて二次電池1に流れる電流を検出する場合を例示しているが、異常検知部OCが二次電池1の電圧を検出して、その検出電圧が、予め設定されている設定値に達したときに、信号生成回路が上記「充電禁止信号」を出力するように構成しても良い。
更には、異常検知部OCは、温度センサ,液漏れセンサあるいは電池膨れ検出のための圧力センサ等を備えて、二次電池1の過度な温度上昇、二次電池1の液漏れあるいは二次電池1の過度な膨張等を、上記異常状態として検知するようにしても良く、上記異常状態の態様は適宜に設定できる。
【0028】
(3)上記実施の形態では、信号生成回路2に備えるヒューズとして、温度ヒューズ24bを例示しているが、通常の電流ヒューズを使用しても良い。この場合、ヒータ24aは不要となるが、トランジスタ23のコレクタ−エミッタ間に流す電流をある程度大きな電流とする必要がある。
(4)上記実施の形態では、温度ヒューズ24bを加熱させるためにヒータ24aに流す電流をオンオフする手段として、バイポーラ型のトランジスタを例示しているが、FET等の他のオンオフ手段を使用しても良い。
(5)上記実施の形態では、二次電池1の電流を検出する手段として電流センサ21を例示しているが、シャント抵抗を使用しても良い。
【0029】
(6)上記実施の形態では、第1状態と第2状態とに状態を保持可能な回路素子として温度ヒューズ24bを例示しているが、このような状態を保持可能な回路素子としては、温度ヒューズ24b以外にも、ラッチングリレーや不揮発性ロジックカウンタ等の各種の回路素子が存在し、温度ヒューズ24bに代えてそれらの回路素子を使用しても良い。
例えば、図3に、上記実施の形態におけるヒータ24a及び温度ヒューズ24bの代わりにラッチングリレー31を使用した場合を示す。
ラッチングリレー31は、接触片31bと二次電池1の正極に接続される接点31cとがノーマリクローズ(常閉)として接触しており、この状態が上記第1状態である。
【0030】
上記実施の形態と同様の構成の異常検知部OCが、二次電池1に過大な電流が流れたことを検知すると、トランジスタ23がオフ状態からオン状態へと切り替わり、ラッチングリレー31のセットコイル31aに通電される。
これによって、接触片31bが接点31dと接触状態に切り替わる。この状態が上記第2状態である。
この第1状態から第2状態への切換によって、制御出力端子11の出力レベルが「開放」となり、この状態が上記「充電禁止信号」を出力する出力状態である。
ラッチングリレー31は、セットコイル31aに逆向きの電流を流すか、あるいは、別途リセットコイルを備えて、接触片31bを変位させない限り、上記第2状態を保持し、上記第1状態へは復帰しない。
【0031】
次に、温度ヒューズ24bに代えて、不揮発性ロジックカウンタを使用して信号生成回路2を構成した場合を図4に示す。
図4に示す信号生成回路は、不揮発性ロジックカウンタ41と、カウント動作のためのクロック信号を供給するクロック回路42と、上記実施の形態と同様の過電流検出回路22の検出信号に基づいてカウント制御用の信号を生成するAND回路43と、不揮発性ロジックカウンタ41の出力を反転させるNOT回路44とを主要部として構成されている。
不揮発性ロジックカウンタ41は、不揮発性レジスタを備えて、電源遮断時でもカウント値を保持する機能を有する回路素子である。図4では4ビットのカウンタとして示しているが、使用するのはこのうち1ビットのみであり、図4の回路例では最下位ビットを使用している。尚、不揮発性ロジックカウンタ41には、図示されている端子以外にも、プリセット用のデータ入力等の入出力端子を備えているが、直接的に動作に関係しない端子の記載を省略している。
【0032】
不揮発性ロジックカウンタ41のカウント出力端子「QA」は、「Lレベル」と「Hレベル」との2つの出力値を持ち、初期値の「Lレベル」が上記第1状態に相当し、「Hレベル」が上記第2状態に相当して、電源が遮断された場合でも、この2つの何れかの状態を保持する。従って、信号生成回路2から充電器CHの制御入力への信号は、制御出力端子11が「Lレベル」のときが、充電動作を停止させる信号となる。
不揮発性ロジックカウンタ41は、それのイネーブル入力である「ENP」と「ENT」とが何れも「Hレベル」入力となっているときに、クロック回路42からのクロック信号が「CLK」に入力されると、そのクロック信号をカウントする。
【0033】
過電流検出回路22は、上記実施の形態と同様に、電流センサ21の検出信号が、上記充電停止用設定値よりも低い値になっているときは、「Lレベル」の信号を出力し、上記充電停止用設定値に達すると「Hレベル」の信号を出力する。
過電流検出回路22が上記異常状態になったことを検知して、AND回路43に「Hレベル」を出力すると、NOT回路44の出力が「Hレベル」であるので、不揮発性ロジックカウンタ41の「ENP」入力が「Hレベル」となる。他方のイネーブル入力「ENT」は、回路の電源電圧である「Vcc」に接続されて「Hレベル」となっているので、この時点で、不揮発性ロジックカウンタ41がカウント動作可能な状態となる。
この状態で、クロック信号が「CLK」に入力されると、そのクロックをカウントして「QA」が「Hレベル」、すなわち、上記第2状態に切り換えられる。
この結果、NOT回路44の出力が「Lレベル」となって、充電動作を停止させる信号として、制御出力端子11から充電器CHの制御入力へ送信される。
NOT回路44の出力は、AND回路43へも入力されており、NOT回路44の出力が「Lレベル」となったために、AND回路43の出力が「Lレベル」となって、不揮発性ロジックカウンタ41のカウント動作を停止させる。すなわち、過電流検出回路22からの入力信号がどのように変化しても、クロック回路42から継続して入力されるクロック信号をカウントせず、出力「QA」は「Hレベル」(上記第2状態)を維持して、「Lレベル」(上記第1状態)へは復帰しない。
【0034】
(7)上記実施の形態では、外部接続機器として充電器CHを例示しているが、各種の負荷や警報機等を外部接続機器として接続する場合にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 二次電池
2 信号生成回路
24a,26c 加熱素子
24b,26a ヒューズ
CH 充電器
OC 異常検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、前記二次電池の異常を検知する異常検知部と、その異常検知部の検出情報に基づいて、前記二次電池と連係して動作する外部接続機器に対して信号を出力する信号生成回路とが備えられた二次電池システムであって、
前記信号生成回路に、少なくとも第1状態と第2状態とに保持される回路素子が備えられ、
前記信号生成回路は、前記回路素子が前記第1状態あるいは前記第2状態であるかに基づいて、前記外部接続機器への信号の出力状態を変化させるように構成され、
前記信号生成回路は、前記異常検知部が前記二次電池の異常を検知したときに、前記回路素子を前記第1状態から前記第2状態へ切り換え、且つ、前記回路素子が前記第1状態へ復帰しないように構成されている二次電池システム。
【請求項2】
前記回路素子の前記第1状態が、前記信号生成回路の通電経路の一部を閉状態とする状態であり、前記回路素子の前記第2状態が、前記信号生成回路の通電経路の一部を開状態とする状態である請求項1記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記回路素子がヒューズであり、前記ヒューズを溶断させることによって、前記第1状態から前記第2状態へ切り換える請求項2記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記異常検知部が、前記二次電池の電流又は電圧が予め設定されている設定値に達したときに異常として検知するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記ヒューズは温度ヒューズにて構成され、
前記異常検知部は、前記二次電池が異常となったことを検知するに伴って、前記温度ヒューズを加熱する加熱素子に、前記温度ヒューズを溶断させるための電流を流すように構成されている請求項3記載の二次電池システム。
【請求項6】
前記温度ヒューズは、前記二次電池の負極よりも高電位側箇所と前記信号を出力する制御出力端子とを結ぶ配線の途中箇所に直列接続した状態で2個備えられ、その2個の温度ヒューズの接続位置と前記異常検知部の出力とを結ぶ配線の途中箇所に前記加熱素子が配置され、
前記2個の温度ヒューズと前記加熱素子とが1つのパッケージに収納されている請求項5記載の二次電池システム。
【請求項7】
前記外部接続機器が前記二次電池を充電する充電器であり、
前記信号生成回路は、前記回路素子が前記第1状態から前記第2状態へ切り換えられるに伴って、前記充電器に充電動作を停止させる信号を出力するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池システム。
【請求項8】
請求項7記載の二次電池システムと、その二次電池システムに着脱可能に取り付けられる前記充電器とが備えられた二次電池の充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−161236(P2012−161236A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263291(P2011−263291)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】