説明

二次電池容器用積層材及び二次電池容器

【課題】
二次電池の容器または外装材として使用する耐振動性、耐衝撃性に優れた積層材とそれを用いた二次電池用容器を提供する。
【解決手段】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)、ポリオレフィン発泡層(B)、アルミニウム箔(C)、ポリプロピレンフィルム(D)がこの順に積層された積層材であって、Dが無延伸フィルムであり、CとDの間に変性ポリオレフィン層が設けられており、かつDのヤング率が500MPa以下であることを特徴とする積層材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に使用する積層材、詳しくは、二次電池の容器または外装材として使用する耐振動性、耐衝撃性に優れた積層材とそれを用いた二次電池用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護運動の高まりを背景として電気自動車、ハイブリット自動車、電気自動二輪車等の導入が促進されている。これらには、リチウムイオン二次電池の利用が有望視されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池用外装材には、アルミニウム箔をバリヤー構成とするラミネート材が使用されつつある。要求性能としては、i)水蒸気透過性が極めて低いこと、ii)内部電解液のもれがないこと、iii)耐電解液特性にすぐれ経時後内層部のフィルムのデラミネーション(剥離)等がないこと、iv)プレス成形でき、成形後アルミニウム箔のピンホール又はクラックができないこと、v)成形後内層フィルムにクラックが生じず、電池作成時リード線とラミネート材中のアルミニウムとの導通がないこと、vi)110℃等の高温にも一時的に耐える耐熱性を有すること、等が挙げられる。
【0004】
これらを満足する積層材としては、外装樹脂フィルム/第1の接着剤層/化成処理アルミニウム箔/第2の接着剤層/シーラントフィルムが積層した積層材であって、シーラントフィルムが、α−オレフィンの含有量が2〜10重量%であるプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体とからなり、これに滑剤として、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを500〜2500ppmと、エチレンビスオレイン酸アミドを500〜2500ppm含有させたことを特徴とする二次電池容器用積層材(特許文献1)、外装樹脂フィルム/接着剤層/化成処理アルミニウム箔/プライマー層/シーラントフィルムが積層した積層材であって、シーラントフィルムが、α−オレフィンの含有量が2〜10重量%であるプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体と、2〜40重量%のエラストマーまたはポリブテンのいずれか1以上とのブレンド品で、0.5%重量%以下の滑剤を含むことを特徴とする二次電池容器用積層材(特許文献2)、等が提案され、実用化されている。
【0005】
また、電子部品包装用袋として静電気による破壊や湿度による影響を受け品質の低下を防ぐための包装用袋であって、電子部品を袋内部に収納する際に電子部品のエッジが強く当たったり、電子部品を袋詰めにして移送する際に、電子部品や外部の突起で破袋し易く、いわゆる突刺し耐性を改善させた、金属箔を挟んで一方の側に熱可塑性樹脂層(A)が、又他方の側に熱可塑性樹脂層(B)が積層された積層フィルムであって、金属箔と熱可塑性樹脂層とは押出しラミネーションにより貼り合わされ、且つ熱可塑性樹脂層(A)の引張強度をSa、破断時の伸びをEaとし、熱可塑性樹脂層(B)の引張強度をSb、破断時の伸びをEbとした場合、上記熱可塑性樹脂層(A)及び熱可塑性樹脂層(B)は、引張強度の比がSa/Sb=1/2乃至1/20、伸びの比がEa/Eb=1/0.8乃至1/0.01の関係を有し、熱可塑性樹脂層(A)及び熱可塑性樹脂層(B)の少なくとも一方において、金属箔とは反対側の表面に熱シール材層を積層させた、電子部品包装用積層フィルム(特許文献3)等が提案され、これを二次電池容器用積層材として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-288865号公報
【特許文献2】特開2003-288866号公報
【特許文献3】特開平7-76375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、電気自動車、ハイブリット自動車、電気自動二輪車にこれらの二次電池容器用積層材を用いた場合、道路走行中の振動により、外装積層材に亀裂が入ったり、破れたりして、電解液のもれが起きたり、電解液が飛散するおそれがある。また、自動車等が衝突したときの衝撃により外装材が破れたり、中の発電要素が外に飛び出し、外装材を破壊する恐れがある。
【0008】
本発明の課題は、道路走行中の振動によっても、外層積層材に亀裂が入ったり、破れたりせず、内部電解液のもれ、飛散の恐れのない、また、自動車等が衝突したとき等の衝撃によっても外装積層材が破壊しない、二次電池容器用積層材と容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)、ポリオレフィン発泡層(B)、アルミニウム箔(C)、ポリプロピレンフィルム(D)がこの順に積層された積層材であって、Dが無延伸フィルムであり、CとDの間に変性ポリオレフィン層が設けられており、かつDのヤング率が500MPa以下であることを特徴とする積層材によって、従来よりも耐振動性、耐衝撃性に優れた二次電池用積層材が作成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
Aは積層材全体、ひいては積層材内部の電池を防護する機能を担う。Bは道路からの振動、内部電池による振動を吸収する機能、及び外面から侵入する水分を発泡層の中に留める機能を有する。Cは外面から水分が電池内部に侵入するのを防ぐ機能を有する。Dは積層材のD側同士を重ね合わせシール(接着)させ外装材を袋化、容器化させる機能を有する。
【0011】
また、CとDの間の変性ポリオレフィン層の変性ポリオレフィンはグラフト変性ポリプロピレンであり、官能基がグラフト反応により導入されたグラフト変性ポリプロピレンが好ましい。
【0012】
また、Bの破断強度が1MPa以上、破断伸度が200%以上であることが好ましい。
【0013】
また、Aの破断強度は100MPa以上、破断伸度は80%以上であることが好ましい。さらに、本発明は、上記記載の二次電池用積層材によって形成した二次電池容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本発明の二次電池容器は、耐振動性、耐衝撃性に優れ、電気自動車、ハイブリット自動車、電気自動二輪車等に搭載されても、道路走行中の振動により、外装積層材に亀裂が入ったり、破れたりして、内部電解液のもれが起きたり、電解液が飛散するおそれはない。また、衝突時の衝撃により外装積層材が破れたりして内部発電要素が飛び出したりすることはない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0016】
本発明において、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)(以下、単にAと略すことがある。)とは、テレフタール酸とエチレングリコールを主成分としエステル結合によって重合されたポリエチレンテレフタレート、2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを主成分としエステル結合によって重合されたポリエチレンナフタレート、乳酸がエステル結合によって重合されたポリ乳酸が、二軸延伸により分子配向された高強度フィルム、またはテレフタール酸誘導体とパラ‐フェニレンジアミン誘導体とがアミド基により結合された芳香族ポリアミドを溶液製膜によりフィルムとした高剛性耐熱性フィルムであり、公知のものが使用できる。
【0017】
芳香族ポリアミドとしてはパラフェニレンジアミンとテレフタル酸クロライドを溶液重合して得られるポリパラフェニレンテレフタルアミド、60から95モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、40から5モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエ−テル、100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドより溶液重合して得られるポリ2−クロルパラフェニレン4、4’−ジアミノジフェニルエ−テル2−クロルテレフタルアミド、ポリベンズアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド等が用いられる。芳香族ポリアミドの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基などの置換基で置換されていても良い。重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていても良い。
【0018】
パラ系アラミドからなるフィルムは、例えば次のようにして得る事ができる。N−メチルピロリドン(以下、NMPという)に、芳香族ジアミン成分として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、重合し、これを水酸化リチウムで中和して、芳香族ポリアミド溶液を得る。本ポリマ溶液をフィルタ−を通し、その後、スリット間隙を形成する一対のリップを持つ口金を通してベルト上に流延し、熱風で加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し、次に水/NMP比が、それぞれ1/1,2/1,5/1及び10/0の濃度比を持つ複数の水槽内へ、フィルムを順次導入して、残存溶媒および無機塩の抽出を行ない、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって芳香族ポリアミドフィルムとする。この間にフィルム長手方向と幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で乾燥と熱処理を行なった後、徐冷する等により、パラ系アラミドフィルムを得る。
【0019】
本発明において、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)を用いないと、アルミニウム箔(C)を保護するポリオレフィン発泡層(B)が外部からの振動時の力によりすぐに磨り減って破れてしまい好ましくない。
【0020】
Aの破断強度は100MPa以上、破断伸度は80%以上であること、より望ましくは破断強度は150〜480MPa、破断伸度は80〜250%が好ましい。
【0021】
破断強度が100MPa以上であれば、電池外側からの振動時の力により外装が変形し難く、亀裂が入り難く、破れ難く、破断強度が480MPa以下であると、電池用容器を成形するときの加工特性(絞り性)が良好なので、破断強度は100MPa以上であることがより好ましい。
【0022】
破断伸度が80%以上であると、電池用容器を成形するときの加工特性(絞り性)が良好で、破断伸度が250%以下であると、電池内部の振動の力により外装に亀裂が入りにくく易く破れにくいので、破断伸度は80〜250%がより好ましい。
【0023】
なお、Aの厚さは5μmより厚いと、電池容器成形時、電解液が付着した場合、外層が破れにくく、30μmより薄いと加工特性(絞り性)が良好なので、Aの厚さは5〜30μmがより好ましい。
【0024】
本発明において、ポリオレフィン発泡層(B)には発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の発泡体が用いられ、耐衝撃性の観点から、独立気泡構造を有する発泡ポリオレフィンが好ましく、特に発泡ポリプロピレン、発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
【0025】
ポリオレフィン発泡層が電池用容器の積層材の構成材としてフィルムAの容器内側に配置されることにより、自動車等の道路上での振動、走行衝突時時に受ける衝撃がポリオレフィン発泡層に吸収され、電池容器の耐振動性、耐衝撃性が向上する。独立気泡型は独立気泡の圧縮性により、連続気泡型に比べ、耐衝撃性が高く好ましい。また独立気泡型の方が水分を吸収しにくく好ましい。
【0026】
また、Bの破断強度は1MPa以上、より好ましくは、1.5MPa以上、破断伸度は200%以上、より好ましくは240%以上であることが更に望ましい。破断強度が1MPa以上であり、破断伸度が200%以上であると、自動車の走行時の振動の外部との摩擦でBが磨耗しにくくなり、またBがより破断しがたくなる。
【0027】
ポリオレフィン発泡層の厚みは2mm以上であると、耐衝撃性がより向上し、厚さは6mm以下であると、当該ポリオレフィン発泡体が市場で入手しやすいので、厚さは2〜6mmがより好ましい。
【0028】
独立気泡型ポリオレフィン発泡体としては、東レ株式会社製「トーレペフ」等を購入することにより利用できる。
【0029】
本発明のアルミニウム箔(C)(以下、単にCと略すことがある。)は公知のアルミニウム箔が使用でき、その成分も公知の純アルミニウムおよびアルミニウム合金が使用できる。具体的には、厚み15μm以上であると、容器内部の電池の振動により、また、容器外部の振動時の力により、アルミニウム箔に変形や亀裂が生じにくくなり、好ましい。さらに、この厚み15μm以上であると、容器外側からの水分を外装材容器内部に侵入させない機能をより発現させ、侵入水分が電池を形成する電解液と反応しフッ酸等が生成されるのを防ぎ、好ましい。厚みの上限は特にはないが、80μm以下がコストの点で好ましい。アルミニウムの純度は特に制限されず、工業用の純アルミニウム、(JIS)3003、3004、5052、8021、8079等の合金等公知のものが採用できるが、マンガン、鉄、ケイ素から選ばれる少なくとも1成分が1.0重量%以上含まれているのが好ましい。上限は特に制限されるものではないが、箔を製造する関係上、2.0重量%程度である。マンガン、鉄またはケイ素を1.0重量%以上含むことにより、積層材のコシ(剛性)が向上しピンホールやクラックの防止に効果がある。また調質についても、焼きなまし材、圧延上がり材、それらの中間材のいずれでも適用可能で、要求特性に応じて適宜選択できるが、焼きなまし材が成形性、接着性等の点で好ましい。また、必要に応じて水、洗剤、酸、アルカリまたは有機溶剤等で洗浄等を施しておくことが好ましい。
【0030】
本発明において、ポリプロピレンフィルム(D)(以下、単にDと略すことがある。)は、無延伸フィルムでヤング率が500MPa以下の公知のポリプロピレンフィルムを用いることができる。
【0031】
無延伸フィルムであると、延伸フィルムに比べてヒートシール温度が低くなり、二次電池用容器を熱シールにより成形し易くなり好ましい。無延伸の場合、シール時にポリプロピレン分子の絡み合いが進みやすいからである。
【0032】
また、Dのヤング率は500MPa以下、より好ましくは450MPa以下であることが望ましい。ヤング率が500MPaを上まわると、電池外側からの振動時の力が容器内部の電池に伝わり易くなり電池が振動しやすくなり、また容器内部の電池の振動の力がアルミニウム箔(C)に伝わりやすくなり、DとC、CとBとが剥離しやすくなり、好ましくないからである。
【0033】
Dのフィルム厚さについては、厚さが25μm以上であると、電池の容器を成形するためのシール強度が向上し、シールがはがれにくくなり、液漏れが起こりにくくなり、厚さが100μm以下であると、当該厚みの無延伸ポリプロピレンフィルムは市場で入手しやすいので、厚さは、25〜100μmであることがより好ましい。
【0034】
本発明において、アルミニウム箔(C)とポリプロピレンフィルム(D)の間に変性ポリオレフィン層が設けられている。
【0035】
ここで変性ポリオレフィン(以下、変性POと略すことがある。)とは官能基成分を有するポリオレフィンであるが、変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンにアミノ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、シラン基、アクリル酸基、アクリル酸エステル基等のアルミニウムと結合性を有する官能基が導入されたもの、主モノマーとしてのエチレン、プロピレン等のオレフィンとアクリル酸、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレート、アクリル酸メチル等のコモノマーを重合して得られるオレフィン共重合体等公知のものが用いられる。特に、官能基がグラフト結合されたグラフト変性ポリプロピレンが好ましい。すなわち、主骨格を構成するポリプロピレンの全部または一部に不飽和カルボン酸またはその無水物がグラフト共重合してなるグラフト共重合体である。変性ポリプロピレンの主骨格を構成するポリプロピレンは、プロピレンのホモ重合体、またはプロピレンと他の単量体とからなるブロック共重合体またはランダム共重合体である。他の単量体としては、例えば、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン等が挙げられ、これらはポリプロピレン中に1種または2種以上の組合せが含まれていてもよい。ポリプロピレン中の他の単量体の含有量は、通常、10重量%以下である。これらの中でも、コストの面から、プロピレンホモ重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましい。変性ポリプロピレンにすべくポリプロピレンにグラフト共重合される不飽和カルボン酸またはその無水物(以下、「グラフト単量体」という)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水グルタコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸無水物などが挙げられる。変性ポリプロピレンは、これらのグラフト単量体を1種単独または2種以上の組合せを含んでいてもよい。これらの中でも、コスト面および物性面から、マレイン酸、無水マレイン酸、ナジック酸、無水ナジック酸が好ましい。この変性ポリプロピレンにおけるグラフト単量体の含有量は、アルミニウム箔との接着性、およびポリロピレンフィルムとの接着性に優れる接着剤組成物が得られる点で、0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0036】
変性ポリオレフィンは、アルミニウム箔(C)とポリプロピレンフィルム(D)の両方と結合しやすく、変性ポリオレフィン層により自動車等の走行時の振動によるDとCの剥離しやすさが低減される。
【0037】
変性ポリオレフィン層は、厚さが10μm以上では、CとDの剥離がしにくくなり、厚さが50μm以下であると、振動により変性ポリオレフィン層が破れにくくなるので、変性ポリオレフィン層の厚さは10μmから50μmであることがより好ましい。
【0038】
変性ポリオレフィン層は、変性ポリオレフィン樹脂を用いて押出コート・ラミネーション法によりCとDの間に設けることができる。又、変性ポリオレフィンからなるフィルムを用いてもよく、Cと変性ポリオレフィンフィルムとDを重ね合わせて熱ラミネート法によって設けることができる。
【0039】
本発明の二次電池容器用積層材はA/B/C/Dの順に積層されていなければならない。Dは積層材を電池用容器として成形する際に、DとDを重ね合わせシールさせる機能を持つので、最内層である必要がある。アルミニウム箔Cは袋外部からの振動力、衝撃力をなるべく受けないようにするため、また外部の酸素によって酸化されないように、なるべく最外層より内側になるように、Dの上に積層する必要がある。Cを外部からの力から保護するために、BをCの上に設け、Bが外部とこすれて磨耗しないようにするため、Aを最外層に設ける必要がある。
【0040】
Aを最外層に用いず、B/A/C/D、B/C/A/Dとすると、Bが外部との摩擦ですぐに磨り減ってしまい、電池用容器がすぐに破れてしまう。A/C/B/D等、Cを最外層から2番目に積層すると、外部の振動がアルミニウム箔に吸収されずに伝わりCにすぐに亀裂が入り、電池用容器がすぐに破れてしまう。Cを最外層に積層すると外部からの力でCがすぐに変形し、磨り減り、破壊され易くなり好ましくない。
【0041】
本発明の積層材の製造方法は特に限定されるものではないが、次の方法によって形成できる。
【0042】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)とポリオレフィン発泡層(B)とアルミニウム箔(C)はスプレー法、ロールコーター法、刷毛抜け法等によって接着することができる。接着剤としては、クロロプレン系、アクリル系、ポリエステル系成分等の接着剤を使用することができる。具体的には、ノガワケミカル(株)製のダイアボンド(クロロプレン系)、サイデン化学(株)製のサイビノール(クロロプレン系)、住友スリーエム(株)製の水性ボンド7(アクリル系)、日立化成ポリマー(株)製のハイボンド(ポリエステル系)等を挙げることができる。また、両面接着テープ、例えば日東電工の両面接着テープNo.5713を用いて接着することができる。
【0043】
アルミニウム箔(C)とポリプロピレンフィルム(D)は、ドライラミネート法によって接着することができる。接着剤としては、ポリオール系主剤とイソシアネート系硬化剤との通常の二液タイプのものを使用することができる。具体的には、三井化学ポリウレタン(株)製のタケラック(ポリオール系主剤)/タケネート(イソシアネート系硬化剤)二液タイプを挙げることができる。また、押出・コートラミネート法によっても接着することができる。押出し・コート樹脂としては各種ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、エバール、ポリメチルペンテン、酸変性樹脂等が用いられる。酸変性樹脂の具体例として、三菱化学株式会社製の“モディック”等を用いることができる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、前述の変性ポリオレフィンを溶融押出しした層をCとD間のサンドイッチ層として用い、ラミネートしてCとDを積層させることができる。あるいは、前述の変性ポリオレフィンからなるフィルムをCとDの間に重ね合わせ、加熱、加圧して熱ラミネート法によってCとDを積層することができる。
【0044】
AとBを接着しA/B積層材とし、このB側にCを接着しA/B/C積層材とし、このC側とDを積層させA/B/C/D積層材を得ることができる。あるいは、AとBを接着しA/B積層材とし、別にCとDを積層しC/D積層材とし、A/B積層材とC/D積層材とをBとCを重ね合わせ接着させ、A/B/C/D積層材を製造できる。
【0045】
二次電池容器は、本発明の積層材から積層材片を2枚切り出し、ポリプロピレンフ
ィルム(D)が内側になるように重ね、その三辺をヒートシールにより融着して袋を作成
することにより作成できる。また積層材を1枚切り出し、一端をポリプロピレンフィルム
(D)が内側になるように折り曲げ、側面の二辺をヒートシールにより融着して袋を作成
することによっても作成できる。
【0046】
また、二次電池容器は、本発明の積層材から積層材片を2枚切り出し、1枚の積層材を
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)が外側になるように金型により絞り成形し、発電要素を封入
するための絞り成型部を設けた成形材と、他の1枚の積層材とをポリプロピレン(D)側
に重ね合わせ、ヒートシールにより融着して容器を作成することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0048】
(1)破断強度、破断伸度、ヤング率
引張り試験機(テンシロン)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルム、発泡層の長手方向、幅方向について、25℃、65%RHの環境下にてJIS−K7127(1999年)に準拠して、破断強度、破断伸度、ヤング率値を測定した。評価は長手方向、幅方向それぞれの破断強度、破断伸度、ヤング率を各5回ずつ測定し、長手方向と幅方向の平均値を用いた。
【0049】
(2)フィルム、アルミニウム箔、発泡層厚さ
電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製 商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにてフィルム厚さ、アルミニウム箔の厚さ、発泡層の厚さを測定した。
【0050】
(3)CとDの間の変性ポリオレフィン層の厚み
A/B/C/D積層材の小片(2mm×2mm)をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製の商品名「エポマウント」)中に包埋し、ミクロトームを用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型光学顕微鏡(株式会社 ニコン インスツルメントカンパニー製“エクリプスE100”)により倍率500倍で観察して求めた。
【0051】
(4)耐振動性
本発明の積層材から20cm×15cmの積層材片を2枚切り出し、1枚の積層材より10cm×5cm、奥行き5mmの発電要素を封入するための絞り成型部をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)が外側になるように長辺10cm、短辺5cm、コーナー2mm、ダイス肩R1.2mm、ポンチ肩0.5mmの金型を用いてプレス圧力7kg/cmの圧力をかけ、成形深さ5mmの容器状に成形し、その容器部に、下記試験液を20g入れ、電池構成体模擬体としてアルミニウム板(3mm厚さ×6cm×5cm)を入れた後、他方の非成形積層材を、ポリプロピレンフィルム(D)が内側になるように重ね、四辺をヒートシールにより融着して容器を作成した。
【0052】
試験液はエチレンカーボネート/エチレンメチルカーボネート=1/1(重量比)に六フッ化リン酸リチウム塩( 濃度1.5mol/L)を加えたものを使用した。
【0053】
本試験液・アルミニウム板含有容器を振動試験機(アイデックス株式会社製 “BF−50UD”)に固定し、室温で、振幅0.75mm(縦方向)、10Hz→55Hz→10Hzを60秒で掃引、これを1サイクルとして8時間行った後の、容器の破れ、液漏れの状態を目視で観察し、以下の基準で評価し、○、○〜△および△は実用範囲、×および××は実用範囲外とした。
【0054】
○: 破れ、液漏れ変化が観察されず。
【0055】
○〜△:容器に液漏れはないが、わずかに亀裂が見られる。
【0056】
△: 袋に目視できる亀裂、破れはないが、液もれが、わずかに観察される。
×:袋に亀裂が明らかに見られ、そこから液漏れが発生している。
××:袋が破れて液の大部分が漏れている。
【0057】
(5)耐衝撃性
上記(4)で作成した試験液・アルミニウム板封入容器を長辺と短辺で形成される面を下側にして、大理石の試験台に5メートルの高さから繰り返し落下させた(時速35kmの衝突に相当)。
100回繰り返して落下させた後の、容器の破れ、液漏れの状態を目視で観察し、以下の基準で評価し、○、○〜△および△は実用範囲、×および××は実用範囲外とした。
○: 破れ、液漏れ変化が観察されず。
○〜△:容器に液漏れはないが、わずかに亀裂が見られる。
△: 容器にわずかに亀裂が見られ、液もれが、わずかに観察される。
×:容器に亀裂が明らかに見られ、そこから液漏れが発生している。
××:容器が破れて液の大部分が漏れている。
【0058】
[実施例1]
厚さ25μm、破断強度が165MPa、破断伸度が215%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)(帝人デュポンフィルム株式会社製“テフレックス”FT3)と、厚さ2mmの破断強度が1.6MPa、破断伸度が246%のポリオレフィン発泡層(B)(発泡ポリプロピレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15020 AP61)をロールコーター法によって、住友スリーエム株式会社製のアクリル系水性接着剤“水性ボンド7”を用いてA/B積層材を作成した。ここで、接着剤塗布量は固形分としてA側に20g/mとし、A/B貼り合わせ後、50℃、72時間のエージング処理を行った。
【0059】
A/B積層材と、厚さ40μmのアルミニウム箔(C)(住軽アルミ箔株式会社製“ベスパ”8021)を、BとCを重ね合わせ、ロールコーター法によって、住友スリーエム株式会社製のアクリル系水性接着剤“水性ボンド7”を用いてA/B/C積層材を作成した。ここで接着剤塗布量はC側に固形分として20g/mとし、B/C貼り合わせ後、55℃、72時間のエージング処理を行った。
【0060】
A/B/C積層材に、厚さ70μmの破断強度が35MPa、破断伸度が655%、ヤング率が415MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(D)(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1146”)を、140℃の溶融温度で、10μmの厚みで押出した変性ポリオレフィン(三井化学株式会社製、官能基グラフト変性ポリプロピレン“アドマー QE840”)をCとD間のサンドイッチ層に用い、ラミネートし、本発明のA/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0061】
[実施例2]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)のかわりに、厚さ15μm、破断強度が160MPa、破断伸度が128%の二軸延伸ポリ乳酸フィルム(ユニチカ株式会社製“テラマック”TF)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0062】
[実施例3]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)のかわりに厚さ12μm、破断強度が310MPa、破断伸度が85%の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製“テオネックス”Q51)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0063】
[実施例4]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)のかわりに厚さ4.5μm、破断強度が480MPa、破断伸度が80%の二軸延伸パラ系アラミドフィルム(東レ株式会社製「ミクトロン」(登録商標)GQ)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0064】
[実施例5]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)として、厚さ12μm、破断強度が240MPa、破断伸度が118%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」(登録商標)P60)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0065】
[実施例6]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)として厚さ40μm、破断強度が33MPa、破断伸度が570%、ヤング率380MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1153”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0066】
[実施例7]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)として厚さ100μm、破断強度が37MPa、破断伸度が730%、ヤング率が500MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1147”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0067】
[実施例8]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)として厚さ80μm、破断強度が37MPa、破断伸度が730%、ヤング率が500MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1147”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0068】
[実施例9]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)として厚さ25μm、破断強度が40MPa、破断伸度が480%、ヤング率が500MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1181”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0069】
[実施例10]
実施例1において、変性ポリオレフィンのサンドイッチ層の厚みを30μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0070】
[実施例11]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして、三井化学式会社製接着性ポリエチレン(官能基グラフト変性ポリエチレン)“アドマー NE827”に変え、サンドイッチ層厚みを30μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0071】
[実施例12]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして三井・デュポン・ポリケミカル株式会社製エチレン・酢酸ビニル共重合体“エバフレックスEV550”に変え、サンドイッチ層厚みを40μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0072】
[実施例13]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして、住友化学株式会社製特殊エチレン系コポリマー(エチレン/メタクリレートジメタクリレート/アクリル酸メチル=70/3/27wt%)“ボンドファスト 7L”に変え、溶融温度を105℃としたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0073】
[実施例14]
実施例1において、変性ポリオレフィンを、東洋紡績株式会社製、ポリオレフィン用ホットメルト接着剤、“トーヨータック M100”に変え、溶融温度を160℃としたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0074】
[実施例15]
実施例1において、変性ポリオレフィンを、三菱化学株式会社製ポリプロピレン系接着性樹脂(官能基グラフト変性ポリプロピレン“モディック P553A”に変え、溶融温度を168℃、サンドイッチ層厚みを50μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0075】
[実施例16]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして、三菱化学株式会社製ポリプロピレン系接着性樹脂(官能基グラフト変性ポリプロピレン“モディック P553A”を用いて、溶融温度を168℃、サンドイッチ層厚みを60μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0076】
[実施例17]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして、三菱化学株式会社製ポリプロピレン系接着性樹脂(官能基グラフト変性ポリプロピレン“モディック P553A”を用い、溶融温度を168℃、サンドイッチ層厚みを6μmとしたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0077】
[実施例18]
実施例1において、変性ポリオレフィンとして、三菱化学株式会社製低密度線状ポリエチレン系接着性樹脂(官能基グラフト変性ポリエチレン“モディック M502”を用いて、溶融温度を124℃としたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0078】
[実施例19]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)のかわりに、厚さ12μm、破断強度が310MPa、破断伸度が85%の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製“テオネックス”Q51)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0079】
[実施例20]
実施例1において、A/B/C積層材とDの間に、厚さ30μmの官能基グラフト変性ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製“アドマーフィルム QE−060C”)を重ね合わせ、ロール温度150℃、ロール圧力30kg/cm、送り速度20m/分で熱ラミネート法により熱圧着して、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0080】
[実施例21]
実施例1において、Cとして、厚さを7μmとしたこと以外は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0081】
[実施例22]
実施例1において、Cとして、厚さを80μmとしたこと以外は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0082】
[実施例23]
実施例1において、Bを、厚さ3mm、破断強度が1.3MPa、破断伸度が356%のポリオレフィン発泡層(発泡ポリプロピレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15030 AP66)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0083】
[実施例24]
実施例1において、Bを、厚さ1.5mm、破断強度が1.4MPa、破断伸度が316%のポリオレフィン発泡層(発泡ポリプロピレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15015 AP67)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0084】
[実施例25]
実施例1において、Bを、厚さ6mm、破断強度が1.0MPa、破断伸度が429%のポリオレフィン発泡層(発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)13060 AM00)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0085】
[実施例26]
実施例1において、Bを、厚さ6mm、破断強度が0.5MPa、破断伸度が290%のポリオレフィン発泡層(発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)30060 AL00)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0086】
[実施例27]
実施例1において、Bを、厚さ2mm、破断強度が0.8MPa、破断伸度が211%のポリオレフィン発泡層(発泡ポリエチレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15020 AA00)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0087】
[実施例28]
実施例1において、Bを、厚さ5mm、破断強度が0.3MPa、破断伸度が162%のポリオレフィン発泡層(発泡ポリエチレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)30050 AG00)としたこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0088】
[実施例29]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)として厚さ50μm、破断強度が60MPa、破断伸度が365%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製“テフレックス FT7”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0089】
[実施例30]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)として厚さ14μm、破断強度が70MPa、破断伸度が88%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製“ティアファイン TF110”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0090】
[実施例31]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)として、ポリエチレンテレフタレートを40重量%、ポリエステル(B)としてイソフタル酸酸10モル共重合ポリブチレンテレフタレートを60重量%を用い、平均粒径1.2μmの球状シリカ粒子を0.012重量%含有するよう調整した。ポリマーチップを150℃で3時間真空乾燥したのち単軸押出機に供給し、通常の口金から吐出後、静電印加しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを非粘着シリコーンロール(硬度73°)にて延伸温度70℃にて長手方向に2.0倍延伸後、テンター内で110℃で幅方向に2.0倍延伸し、次いで、フィルム温度180℃にて5秒間熱処理しながら幅方向にリラックス4%することにより、厚さ30μm、破断強度が101MPa、破断伸度が189%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。その他は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0091】
[比較例1]
実施例1において、ポリオレフィン発泡層(B)を設けなかった。その他は実施例1と同様にし、A/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0092】
[比較例2]
実施例1において、変性ポリオレフィンを用いず、かわりに、宇部興産株式会社製高密度ポリエチレン“UBEポリエチレンL719”を用いて、溶融温度を108℃としたこと以外は同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0093】
[比較例3]
実施例1において、A/B/C積層材と無延伸ポリプロピレンフィルム(D) (東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1146”)を、CとDを重ね合わせ、ドライラミネート法によって、三井化学ポリウレタン株式会社製の“タケラック A−910(ポリオール系主剤)”/“タケネート A−3(イソシアネート系硬化剤)”二液タイプ(100重量部/10重量部)接着剤を用いてA/B/C/D積層材を作成した。ここで接着剤塗布量はC側に固形分として6g/mとし、C/D貼り合わせ後、45℃、80時間のエージング処理を行った。その他は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0094】
[比較例4]
実施例1において、ポリプロピレンフィルム(D)として厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東レ株式会社製二軸延伸ポリプロピレンフィルム「トレファン」(登録商標)2500H)を用いた。その他は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。ヒートシールが出来ず、袋が作成できず、二次電池用容器が作成できなかった。
【0095】
[比較例5]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)として厚さ40μm、破断強度が38MPa、破断伸度が510%、ヤング率が630MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1111”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0096】
[比較例6]
実施例1において、Dとして、厚さ60μmの破断強度が47MPa、破断伸度が635%、ヤング率が630MPaの無延伸のポリプロピレンフィルム(D)(東レフィルム加工株式会社製「トレファン」(登録商標)NO 3301)を用いた。その他は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0097】
[比較例7]
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)を用いなかった。A/B積層材を作成せずに、その他は実施例1と同様にし、B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0098】
[比較例8]
実施例1において、Dとして、厚さ40μmの破断強度が38MPa、破断伸度が500%、ヤング率585MPaの無延伸のポリプロピレンフィルム(D)(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1128”)を用いた。その他は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0099】
[比較例9]
実施例1においてA/B積層材とCとを、AとCとを重ね合わせ、実施例1の接着剤、接着剤塗布量、エージング処理を同様にして、B/A/C積層材を作成した。後は実施例1と同様にしてB/A/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0100】
[比較例10]
厚さ12μm、破断強度が240MPa、破断伸度が118%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)(東レ株式会社製「ルミラー」(登録商標)P60)と、厚さ40μmのアルミニウム箔(C)(住軽アルミ箔株式会社製“ベスパ”8021)を、ドライラミネート法によって、三井化学ポリウレタン株式会社製の“タケラック A−910(ポリオール系主剤)”/“タケネート A−3(イソシアネート系硬化剤)”二液タイプ(100重量部/10重量部)接着剤を用いてA/C積層材を作成した。ここで接着剤塗布量はA側に固形分として6g/mとし、A/C貼り合わせ後、45℃、80時間のエージング処理を行った。
【0101】
厚さ2mm、破断強度が1.6MPa、破断伸度が246%のポリオレフィン発泡層(B)(発泡ポリプロピレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15020 AP61)と、厚さ70μmの破断強度が35MPa、破断伸度が655%、ヤング率が415MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(D)(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1146”)をロールコーター法によって、住友スリーエム株式会社製のアクリル系水性接着剤“水性ボンド7”を用いてB/D積層材を作成した。ここで、接着剤塗布量は固形分としてD側に20g/mとし、B/D貼り合わせ後、50℃、72時間のエージング処理を行った。
【0102】
A/C積層材とB/D積層材を、140℃の溶融温度で、10μmの厚みで押出した変性ポリオレフィン(三井化学株式会社製、官能基グラフト変性ポリプロピレン“アドマー QE840”)をCとB間のサンドイッチ層に用い、ラミネートし、A/C/B/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0103】
[比較例11]
厚さ70μmの破断強度が35MPa、破断伸度が655%、ヤング率が415MPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(D)(東洋紡績株式会社製“パイレンフィルム‐CT P1146”)と、厚さ2mm、破断強度が1.6MPa、破断伸度が246%のポリオレフィン発泡層(B)(発泡ポリプロピレン、東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標)15020 AP61)をロールコーター法によって、住友スリーエム株式会社製のアクリル系水性接着剤“水性ボンド7”を用いてD/B積層材を作成した。ここで、接着剤塗布量は固形分としてD側に20g/mとし、D/B貼り合わせ後、50℃、72時間のエージング処理を行った。
【0104】
D/B積層材と、厚さ40μmのアルミニウム箔(C)(住軽アルミ箔株式会社製“ベスパ”8021)を、BとCを重ね合わせ、ロールコーター法によって、住友スリーエム株式会社製のアクリル系接着剤“水性ボンド7”を用いてD/B/C積層材を作成した。ここで接着剤塗布量はB側に固形分として20g/mとし、D/B/C貼り合わせ後、50℃、80時間のエージング処理を行った。
【0105】
D/B/C積層材に、厚さ12μm、破断強度が240MPa、破断伸度が118%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)(東レ株式会社製「ルミラー」(登録商標)P60)とを、140℃の溶融温度で、10μmの厚みで押出した変性ポリオレフィン(三井化学株式会社製、官能基グラフト変性ポリプロピレン“アドマー QE840”)をCとA間のサンドイッチ層に用い、ラミネートし、A/C/B/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0106】
[比較例12]
実施例1において、Bのかわりに、厚さ70μmの破断強度が36MPa、破断伸度が645%のポリエチレンフィルム)(東洋紡績株式会社製“リックスフィルム”L6101を用いたいた。その他は実施例1と同様にし、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0107】
[比較例13]
実施例1において二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)のかわりに、厚さ25μm、破断強度が240MPa、破断伸度が100%の二軸延伸ナイロン(Ony)フィルム(ユニチカ株式会社製“エンブレム”ON)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0108】
[比較例14]
実施例1においてポリプロピレンフィルム(D)のかわりに、厚さ70μm、破断強度が34MPa、破断伸度が605%、ヤング率が165MPaの無延伸線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡績株式会社製“リックスフィルム”L6102)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/C/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0109】
[比較例15]
実施例1においてアルミニウム箔(C)のかわりに、厚さ40μm、破断強度が230MPa、破断伸度が181%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」(登録商標)S10を使用したこと以外は実施例1と同様にして、A/B/A/D積層材を作成した。特性は表1に示す。
【0110】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の積層材は加工性が良く、本発明の積層材から作成した容器は耐薬品性、耐振動性、耐衝撃性に優れるので、本発明の積層材は電気自動車、ハイブリット自動車、電気自動二輪車に搭載される二次電池用容器用の積層材として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)、ポリオレフィン発泡層(B)、アルミニウム箔(C)、ポリプロピレンフィルム(D)がこの順に積層された積層材であって、Dが無延伸フィルムであり、CとDの間に変性ポリオレフィン層が設けられており、かつDのヤング率が500MPa以下であることを特徴とする二次電池容器用積層材。
【請求項2】
前記変性ポリオレフィン層がグラフト変性ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1記載の二次電池容器用積層材。
【請求項3】
Bの破断強度が1MPa以上、破断伸度が200%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池容器用積層材。
【請求項4】
Aの破断強度が100MPa以上、破断伸度が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の二次電池容器用積層材。
【請求項5】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸またはパラ系アラミドからなるフィルム(A)、ポリオレフィン発泡層(B)、アルミニウム箔(C)をこの順に積層し、ヤング率が500MPa以下の無延伸のポリプロピレンフィルム(D)を、CとDの間に変性ポリオレフィン層を設けて積層することを特徴とする二次電池容器用積層材の製造方法。
【請求項6】
前記変性ポリオレフィン層がグラフト変性ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項5記載の二次電池容器用積層材の製造方法。
【請求項7】
前記Bの破断強度が1MPa以上、破断伸度が200%以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の二次電池容器用積層材の製造方法。
【請求項8】
前記Aの破断強度が100MPa以上、破断伸度が80%以上であることを特徴とする請求項5〜7いずれかに記載の二次電池容器用積層材の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池容器用積層材によって形成した二次電池容器。

【公開番号】特開2012−59379(P2012−59379A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198514(P2010−198514)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000222462)東レフィルム加工株式会社 (142)
【Fターム(参考)】