説明

二次電池異常判定システム

【課題】電池の容器電位に基づいて、容易に電池の異常を検出することのできる異常判定システムを提供する。
【解決手段】正極および負極を収容した電池容器を備えた二次電池と、第1の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に接続し、第2の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に遮断するスイッチ部と、前記電池容器の電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部の測定した電圧から前記二次電池の異常を判定する判定部とを有し、前記判定部は、所定のタイミングで前記第2の制御信号を前記スイッチ部に出力した後、前記電圧測定部が測定した電圧の単位時間当たりの電圧降下が所定の閾値以上ある場合に異常と判定し、前記判定を行った後に前記第1の制御信号を前記スイッチ部に出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の異常を判定する異常判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池、例えばリチウム二次電池の軽量化を図るために、当該電池の容器としてアルミ系材料を用いたものが存在する(金属の電池容器を電池缶という)。しかしながら、アルミ系材料は、リチウムイオン(Liイオン)と反応した場合、電池内部にある電極積層体の充放電に伴う電界分布状況如何によっては電池缶を介した電気化学的反応が生ずることがある。この場合、Liイオンが電池缶内面に析出すると当該部位はLiAlへと合金化するため、容器強度の低下や腐食反応の進行に伴う缶の破損を生ずるおそれがある。このようなアルミ系材料の電池容器の合金化の反応を回避するために、容器内面等を絶縁物で被覆する方法が考えられる。しかしながら、容器内面を絶縁物で被覆したとしても、その被覆の一部に欠損(コーティングむらやコーティングのピンホール等)が生じ、リチウムイオンを含む非水電解液が電池容器の内面に付着する可能性もある。このような場合においては、アルミ系材料の電池容器の合金化の反応を回避するために、電池の正極端子と容器とを抵抗素子等の電流制限手段を介して接続して電池缶のLiイオンによる電気化学的反応を防止する技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−186591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の技術によれば、電池容器が電池缶であって、正極端子と電池容器とを電流制限手段を介して接続するので、通常状態(正常な状態)では電池容器は正極端子と同電位となり、電解液と接する可能性のある電池内面のLi析出を防止することが可能となる。電解液中に含まれるリチウムイオンと、アルミ系材料の電池容器による当該電池容器のLiAlへの合金化は、電池容器が負極と同電位となるような還元雰囲気下で電気化学的に進行するものであるため、電池容器の電位をリチウムイオンとのLiALへの合金化を阻止できる電位域に保つことにより電池容器の合金化を防止することができる。また、このような電位域に電池容器の電位が保たれているかどうかを判断するために、特許文献1の技術では容器電位を容器電圧計測手段によって計測しているが、正極端子と電池間とが電流制限手段を介して接続されているにもかかわらず、電池缶の電位が所定の電位域に保たれていない場合には、例えば電池缶内面と電極との間のインピーダンス低下や電解液減少などが発生している可能性があり、電池缶の電位を測定して二次電池2の状態を監視することは、有意なことである。
しかしながら、上述のような容器電圧計測手段によって容器電位を計測する方法は、合金化を阻止できる電位域に容器電位があるか否かによって、当該電位域にあれば正常、当該電位域になければ異常と判断するものである。従って、実際には電池自体に異常が発生していても当該電位域にあれば正常と判断してしまうため、電池異常を早期に検出することができない。
【0005】
そこで、この発明は二次電池の容器電位に基づいて、任意のタイミングで容易に二次電池の異常を検出することのできる異常判定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、正極および負極を収容した電池容器を備えた二次電池と、第1の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に接続し、第2の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に遮断するスイッチ部と、前記電池容器の電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部の測定した電圧から前記二次電池の異常を判定する判定部とを有し、前記判定部は、所定のタイミングで前記第2の制御信号を前記スイッチ部に出力した後、前記電圧測定部が測定した電圧の単位時間当たりの電圧降下が所定の閾値以上ある場合に異常と判定し、前記判定を行った後に前記第1の制御信号を前記スイッチ部に出力することを特徴とする異常判定システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池の異常を容易に判定することが可能となる。これにより、電池異常の早期発見に繋がり、安定性向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係るリチウム二次電池の概略外観図である。
【図2】実施例1に係るリチウム二次電池の内部構成を模式的に示した図である。
【図3】実施例1に係る異常判定システムの概略回路図である。
【図4】容器電圧の正常時と異常時の例を示す図である。
【図5】実施例2に係る異常判定システムの概略回路図である。
【図6】実施例3に係る異常判定システムの概略回路図である。
【図7】異常判定システムの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1による異常判定システムを図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るリチウム二次電池の概略外観図である。
図2は本発明の実施例1に係るリチウム二次電池の内部構成を模式的に示した図である。
図1において、符号1はリチウム二次電池、2は電池容器、3は絶縁物、4は正極端子、5は負極端子、10は同電位保持器、20は制御装置である。また、図2において、符号2〜4は図1と同一の各構成であり、6は正極集電体、8は負極集電体である。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るリチウム二次電池1は、アルミ系材料で形成された電池容器2を備えている。アルミ系材料としては、例えば、A3000系(A3003,A3004),A1500系,A5000系等が挙げられる。また、この電池容器2には、絶縁物3を介して正極端子4と負極端子5とが取り付けられている。上記正極端子4には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能なマンガン酸リチウム(LiMn2O4)が正極活性物質として塗布された正極集電体6(正極)が接続されている。この正極集電体6は、電池容器2の内部に収容されている。また、負極端子5には、カーボン或いはグラファイトで成形された負極集電体8(負極)が接続されている。この負極集電体8は、電池容器2内に収容されている。更に、電池容器2には、リチウムイオンを含む非水電解液が収容されている。
【0011】
また、電池容器2の内面は、非水電解液と直接接していても構わないが、変性ポリオレフィン等の絶縁物で被覆されたものを用いることも出来る。この場合、電池容器2内に収容されている非水電解液中に放出されたリチウムイオンとアルミ系材料で形成された電池容器2とのLiAlへの合金化を一次的に防止することができる。
なお、上記リチウム二次電池1の構造や材料は一例であり、各種公知の構造、材料を用いることが可能である。
【0012】
このような構成を備えるリチウム二次電池1において、正極端子4と電池容器2とは、内部に抵抗素子とリレー等のスイッチ回路を有する同電位保持器10を介して電気的に接続されている。後述のとおり、上記抵抗素子と上記スイッチ回路は直列に接続されており、例えば上記抵抗素子の一端が正極端子4に電気的に接続され、上記スイッチ回路の一端が電池容器2に電気的に接続されている。上記スイッチ回路が開の場合には、正極端子4と電池容器2との間の電気的な接続が遮断され、上記スイッチ回路が閉の場合には、正極端子4と電池容器2とが電気的に接続される。
そして、上記スイッチ回路は通常は閉となっている。電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などの移動体としての電池システムや家庭などに設置される定置用の電池システムに組まれた場合に、電池容器2が接地されるなどして電流経路が生じることを回避するため、電池容器2はプラスチックなどの絶縁物の容器に収容され、または電池容器2外部が当該絶縁物で被覆されている。従って、上記スイッチ回路が閉の場合に、正極端子4と電池容器2とを同電位に保持することが可能となる。
この結果、電池容器2の電位を、リチウムイオンとのLiAlへの合金化が阻止できる電位域に保つことができるので、仮に、上記電池容器2の内面に施された上記被覆の一部に欠損が生じ、リチウムイオンを含む非水電解液が電池容器2の内面に付着したとしても、その付着部分における上記リチウムイオンとのLiAlへの合金化反応を抑制することが可能となる。この結果、電池容器2の変質や電池性能の低下を確実に防ぐことができる。
なお、上記リチウムイオンとのLiAlへの合金化を阻止できる電位域とは、例えば、負極端子5に対する容器電圧が0.3V乃至0.5V以上をいう。
そして、本実施例においては、同電位保持器10と制御装置20とを含んで異常判定システム100を構成している。
【0013】
図3は実施例1に係る異常判定システムの概略回路図である。かかる異常判定システムは、すなわち上記電池システムのことである。移動体である電気自動車や非移動体である定置用の電気システムを稼動した際に、電気システムでは組み込まれた二次電池の異常判定を行う。リチウム二次電池1は電力負荷(図示なし)(例えば、電力モータ)に電力を供給する。
上記移動体としては、上記電力負荷が車輪に接続されたフォークリフトなどの産業車両、電気自動車、ハイブリッド自動車、さらには上記電力負荷がプロペラまたはスクリューに接続された飛行機または船などがある。上記非移動体としては、家庭用の電力負荷(例えば、電気器具)に電力供給する家庭用電源システムなどがある。
この図が示すように、異常判定システム100は、同電位保持器10と制御装置20とを含んで構成されている。
そして制御装置20は、電池異常の監視・制御装置であるCMU(Cell Monitor Unit)11(電圧測定部、異常判定部)、CMUの制御に基づいてグランドとスイッチ回路であるリレー14のコイルの一端との間に導通経路を形成すべくON/OFF動作を行うさらなるスイッチ回路としてのトランジスタ13、リレー14のコイルの他端に接続された電源15、正極端子4と電池容器2に接続されてこれら各々の電位をアナログ信号として受け、このアナログ信号をデジタル信号に変換してCMU11に出力するADC(Analog Digital Converter)16を備えている。
この制御装置20は、上述の電力負荷、例えば電気モータの回転速度を調整する負荷制御装置(図示せず)、後述の表示部、CMUが複数存在する場合にこれら複数のCMUの情報を集中管理する後述のBMUなどを含んでいる。
また、同電位保持器10は、リチウム二次電池1の正極端子4と電池容器2とをリレー14を介して電気的に接続する抵抗素子12(電流制限部)、前記トランジスタのON/OFFに基づいて節点を開閉するリレー14(切断部)とを備えている。そして、異常判定システム100は、このような構成を備えることにより、後述のとおり、リチウム二次電池1の異常を判定する動作を行う。
【0014】
図4は容器電圧の正常時と異常時の例を示す図である。
CMU11は、正極端子4と電池容器2との間の電気的経路が遮断された後の電池容器2の容器電圧をADC16から受信して監視し、(b)で示すような単位時間Δtあたりに閾値以上の電圧降下ΔVが発生した場合(例えば、1秒あたりに1Vの電圧降下があった場合)にはリチウム二次電池1の異常と判定する。かかる閾値は、二次電池の用途に応じて予め設定され、例えばCMU11内の不揮発性メモリに保存された上、工場より出荷されることとなる。
判定時においては、リレー14が開となるようCMU11が制御するので正極端子4と電池容器2との間の電気経路が切断され、電池容器2に蓄積された電荷が自己放電などにより減少する。これにより(a)で示すような、単位時間Δtあたりに閾値以下となるある程度の電圧降下が発生する。CMU11は、この状態を正常と判定する。
しかしながら、電池の異常、すなわちリチウム二次電池の腐食、液漏れ、内部短絡などが発生する場合には、単位時間Δtあたりに閾値以上の電圧降下が発生する。CMU11はこれを検出することにより、リチウム二次電池1が異常と判定する。
【0015】
なお、リレー14の切断は、一定周期ごとに行ってもよいし(例えば1日毎)、電池システムのユーザー、例えば電気自動車のドライバーがトリガーをかけてもよい。(図7に電気自動車の例を示す)。すなわち、予め定められた、または、電気自動車のドライバーなどのシステムのユーザーから所定の指示を受け付けた電池異常判定タイミングにおいて、CMU11は、トランジスタ13をONし、これによりリレー14が閉から開となる。
予め定められたタイミングでCMU11がリレー14を閉から開にする動作は次のように行われる。まず、BMU(Battery Management Unit)(図示せず)が、タイマー(図示せず)により例えば工場出荷時に設定された所定のタイミングでCMUへ検査信号を送信する。この検査信号を受信したCMU11は、スイッチ回路であるリレー14を開にして正極端子4と電池容器2との間の電気的経路を遮断すべく、スイッチ回路であるトランジスタ13へグランドと電源15間に電流を流すよう制御信号(第2の制御信号)を出力する。ここではトランジスタ13はNPN型であるので、エミッタに正電位を印加するような制御信号となる。トランジスタ13はバイポーラでなくともCMOSトランジスタでもよい。CMOSトランジスタの方が電流損失の少ないことから、制御用のスイッチとして用いられる場合に適している。
システムのユーザーがトリガーをかける場合には、システム内のコントローラ(トリガー装置。図示せず)のスイッチを押すなどユーザーがトリガーをかける旨の意思表示をすることで、当該コントローラからトリガー信号がBMUに送信され、トリガー信号を受信したBMUは、上記所定のタイミングに関係なくCMU11へ上記検査信号を送信する。これにより、リレー14が開にされ、正極端子4と電池容器2との間の電気的経路が遮断される。
正極端子4と電池容器2との間の電気的経路が遮断された後のCMU11による容器電圧の監視および電池異常判定は上述のとおりである。
また、リレー14の切断は上記の例の他、電気自動車に搭載されたナビゲーションシステムなどに搭載される図示しない加速度センサーを利用することが考えられる。すなわちこの加速度センサーから所定値以上の加速度が検出された場合には、電気自動車に搭載されたシステム内の上記コントローラからトリガー信号がBMUに送信され、トリガー信号を受信したBMUは、上記所定のタイミングに関係なくCMU11へ上記検査信号を送信する。なお加速度の所定値としては、例えば電気自動車が障害物と接触した場合に通常生ずるであろう加速度の値などであり、このような場合には電池容器の内面に欠損が生じた可能性があるからである。
【0016】
CMU11による判定結果、すなわち電池が正常または異常との判定結果はデジタル信号としてCMU11からBMUに送信される。判定結果を送信した後、CMUはスイッチ回路であるトランジスタ13へグランドと電源15間の電流を遮断するよう制御信号リレー14を閉にする制御信号(第1の制御信号)を送信し、正極端子4と電池容器2との間の電気的経路の遮断を解いてこの電気的経路を復活させる。電池容器が電池缶である場合には、上述のように当該電気的経路によって電池容器と正極端子または正極の電位を同電位としておくと合金化が防止でき、結果として電池寿命を延ばすことができる。従って、判定時以外には、この電気的経路を遮断することのないように制御するものである。
上記予め定められたタイミングで電池の異常判定を行う場合には、当該判定結果を受信したBMUは、電池が異常の場合に異常信号を送信し、当該異常信号を受信した電池システムの表示部300は発光または音を発生させるなどして電池が異常であることをユーザーに認識させる。予め定められたタイミングで異常判定を行う場合には、システムが電池の異常判定を行っていることをユーザーが認識していないため、電池が正常である場合にあえてユーザーに正常であることを通知する必要はない。従って、電池が正常の場合には、BMUは上記表示装置に電池が正常であることを示す正常信号を送信しなくてもよい。
一方、ユーザーがトリガーをかける場合には、電池が正常か異常かをユーザーがあえて知りたい場合であるので、当該判定結果を受信したBMUは、電池が正常、異常のいずれの場合でも、それぞれ正常信号、異常信号を送信する。そして、当該正常信号または異常信号を受信した表示部300は、発光または音で電池が正常か異常かをユーザーに通知し、認識させることができる。
【0017】
なお、CMU11はADC16から正極端子4と電池容器2のいずれの電位も受信している。これは、CMU11が上記異常判定とは別に、これら2つの電位を監視していることによる。これら2つの電位がそもそも異なる場合には、電池容器2に電流経路が発生したなど明らかに電池が故障した異常状態であることを意味する。
予め定められたタイミングまたはユーザーのトリガーにより、CMU11は正極端子4と電池容器2との間の電気的経路を遮断する制御を行うと上述したが、この動作の直前に上記2つの電位を比較し、許容される範囲よりも大きい電位差がある場合には、CMU11は上記遮断する制御を行わずに、上記異常の判定結果としてのデジタル信号をBMUへ送信するとしてもよい。異常の判定結果であるので、BMUは必ず異常信号を表示部300へ送信し、電池異常であることをユーザーに通知、認識させることになる。
【0018】
以上、実施例1について説明したが、上述の異常判定システムの動作によれば、任意のタイミングで、リチウム二次電池の異常を容易に判定し、ユーザーが認識することが可能となる。これにより、電池異常の早期発見に繋がり、安定性向上が期待できる。
【0019】
(実施例2)
図5は実施例2に係る異常判定システムの概略回路図である。
本実施例では、それぞれ直列に接続された複数のリチウム二次電池1で組電池を構成しており、異常判定システム100は、各リチウム二次電池1それぞれの異常判定を行う。
本図では、組電池は4つの電池1が直列に接続され、各電池のそれぞれに対応して、リレー14、トランジスタ13が設けられる。CMU11が4つのトランジスタ13を制御し、ADC16が各電池のそれぞれの正極端子およびそれぞれの電池容器の電位を受けてCMU11に出力する点を除けば、各電池に対する電池異常判定の動作は実施例1で述べたと同様である。
【0020】
(実施例3)
図6は実施例3に係る異常判定システムの構成を示す図である。
この図において、直列接続された複数の電池からなる組電池(ここでは4つの電池)が、複数並列に接続されており、それぞれの組電池の端部に切り離し部30が配置されている。図示しないものの、各電池のそれぞれに対応してリレー14、トランジスタ13が設けられ、各組電池ごとにCMUが配置されて(ここでは3つの組電池があるので3つのCMUが配置される)、自己に接続された4つの電池セルの監視・制御を行うことになる。
各CMUが行う電池異常判定の制御は、実施例2と同様である。
切り離し部30は、各CMUのいずれかから異常信号を受信したBMUが、異常信号を送信したCMUが監視する組電池を、リレーの開閉等により電気的に切り離す処理を行う。
このような制御を行うことで、例えば電気自動車で電池に異常が発生した場合に、全く移動できなくしてしまうのではなく、スピードが遅くなっても移動ができるようにすることができる。
【0021】
なお、上述の各実施例においては、異常判定システム100がトランジスタ13やリレー14を用いて正極端子4と電池容器2とを切断する場合の例を示しているが、これに限らず、CMU11やBMUからの制御によって当該接続を切断することのできる切断手段であればどのようなものあっても良い。
【符号の説明】
【0022】
1・・・リチウム二次電池
2・・・電池容器
3・・・絶縁物
4・・・正極端子
5・・・負極端子
6・・・正極集電体
8・・・負極集電体
10・・・同電位保持器
20・・・制御装置
100・・・異常判定システム
11・・・CMU
12・・・抵抗素子
13・・・トランジスタ
14・・・リレー
15・・・電源
16・・・ADC
17・・・BMU
30・・・切り離し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極を収容した電池容器を備えた二次電池と、
第1の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に接続し、第2の制御信号に応じて前記正極と前記電池容器とを電気的に遮断するスイッチ部と、
前記電池容器の電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧測定部の測定した電圧から前記二次電池の異常を判定する判定部とを有し、
前記判定部は、所定のタイミングで前記第2の制御信号を前記スイッチ部に出力した後、前記電圧測定部が測定した電圧の単位時間当たりの電圧降下が所定の閾値以上ある場合に異常と判定し、前記判定を行った後に前記第1の制御信号を前記スイッチ部に出力することを特徴とする異常判定システム。
【請求項2】
異常信号を受けて異常表示を行う表示部をさらに有し、
前記判定部は、前記異常と判定した場合に、前記表示部に前記異常信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の異常判定システム。
【請求項3】
トリガー信号を送信するトリガー装置をさらに有し、
前記判定部は、前記トリガー信号を受信した場合に、前記所定のタイミングに関わらず、前記第2の制御信号を前記スイッチ部に出力した後、前記電圧測定部が測定した電圧の単位時間当たりの電圧降下が所定の閾値以上ある場合に異常と判定し、前記判定を行った後に前記第1の制御信号を前記スイッチ部に出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常判定システム。
【請求項4】
前記異常判定システムは、前記二次電池から電力を受けて駆動する電力負荷を備えた移動体であることを特徴とする請求項3に記載の異常判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−99684(P2011−99684A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252647(P2009−252647)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】