説明

二流体ノズルを用いた噴霧システム

【課題】二流体ノズルを用いた噴霧システムを特に美容室や家庭における美容・保健用途に適用するにあたり、システムの小型化、簡略化および操作、保守の容易さを図る。
【解決手段】高圧の気体を供給するコンプレッサ2と、液体を貯留する着脱可能な液体容器3と、気体と液体とを混合して液滴を噴霧する二流体ノズル4と、を有する噴霧システム1であって、一端側がコンプレッサ2に通じ、他端側は二股分岐部12により分岐してその一方が二流体ノズル4に通じるノズル供給用気体管13を構成し、他方が液体容器3に通じる容器供給用気体管14を構成する気体管10と、一端側が液体容器3内の底部に臨み、他端側が二流体ノズル4に通じる液体管11と、を備え、容器供給用気体管14から供給される気体の加圧作用により液体容器3内の液体を液体管11を介して二流体ノズル4に送水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二流体ノズルを用いた噴霧システムに係り、特に二流体ノズルを用いて発生する極めて微細な液滴の効率的な気化により、空間の温度/湿度を制御するシステムおよびこれを種々の分野に適用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体に対して高圧の空気の流れによるエネルギーを付与して微細な液滴を噴霧するようにした構造を有する二流体方式のノズルは液滴の気化性が高く噴霧時に周辺に濡れを生じない、いわゆるドライミストを発生させることができ、このような特性に着目して密閉空間および半開放空間の温度/湿度を制御する方法が種々の産業技術の分野で試みられている。たとえば微細な液滴を用いて病室等における殺菌や消臭を行うこと(特許文献1)等が提案されている。
【0003】
二流体方式のノズルでは供給された流体(たとえば水)をノズル先端部から外部に噴出させる際に高圧の加圧空気の流れを作用させて極めて微細な粒径の液滴として噴霧するようになされている。このような二流体ノズルは気化効率の高い極めて微細な液滴を発生させる点で優れており、前記特許文献1等に見られるような病院の空間における清浄化やその他の一般的な居室内の空調のために二流体ノズルを用いることが試みられている。
【0004】
しかし、このような用途に適用する場合、二流体ノズルは比較的高い圧力の空気を必要とするためエアコンプレッサなどの動力源の規模が大きくなり、消費電力が増大して運転コストがかさむと共に動力源の大型化による騒音の問題が生じる。また比較的低い圧力でより的確で迅速な調温/調湿を行うためには液滴の粒径をより微細化すると共にその分布を均一なものとして気化効率を一層高めることが求められる。
【0005】
これに対し本出願人は特願2009−202511号により液体粒子の微細化とコンプレッサの消費電力の低減の両立を図れる二流体ノズルを用いた噴霧システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−46338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特願2009−202511号に記載の噴霧システムは、その後の開発段階で美容室や家庭における保湿によるスキンケア、マッサージ等の美容・保健用途や消臭、殺菌等の空気清浄化などの多目的の用途にも特に有効であることが判明した。これらの用途では一般への普及のためシステムの小型化、簡略化および多目的に使用する際の操作の容易さが一層必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高圧の気体を供給するコンプレッサと、液体を貯留する着脱可能な液体容器と、気体と液体とを混合して液滴を噴霧する二流体ノズルと、を有する噴霧システムであって、一端側がコンプレッサに通じ、他端側は二股分岐部により分岐してその一方が二流体ノズルに通じるノズル供給用気体管を構成し、他方が液体容器に通じる容器供給用気体管を構成する気体管と、一端側が液体容器内の底部に臨み、他端側が二流体ノズルに通じる液体管と、を備え、前記容器供給用気体管から供給される気体の加圧作用により液体容器内の液体を前記液体管を介して二流体ノズルに送水することを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施態様では、液体容器の注入口に容器を着脱するカプラが取り付けられ、前記容器供給用気体管は、前記液体管を内部に挿通させた二重管として前記カプラに取り付けられることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の一実施態様では、前記カプラは、液体容器の注入口に取り付けられる螺子着脱式の第1カプラと、前記容器供給用気体管が取り付けられ、前記第1カプラに対し注入口の軸方向にスナップ係合する第2カプラと、から構成されることを特徴とする。
【0011】
また本発明の一実施態様では、前記二股分岐部を構成する第1三又コネクタと、2つの接続口を用いて容器供給用気体管に介設される第2三又コネクタと、第2三又コネクタの残りの接続口に連結気体管を介して取り付けられ、この連結気体管の端部を閉塞する中継コネクタと、を備え、前記液体管は、容器供給用気体管と第2三又コネクタと連結気体管の各内部を挿通し、前記中継コネクタを介して二流体ノズルに通じることを特徴とする。
【0012】
また本発明の一実施態様では、前記液体容器が注入口としての頸部に着脱ねじ部を有する汎用のペットボトルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、噴霧システムの配管系統として、一端側がコンプレッサに通じ、他端側は二股分岐部により分岐してその一方が二流体ノズルに通じるノズル供給用気体管を構成し、他方が液体容器に通じる容器供給用気体管を構成する気体管と、一端側が液体容器内の底部に臨み、他端側が二流体ノズルに通じる液体管と、を備えるものであり、容器供給用気体管から供給される気体の加圧作用により液体容器内の液体を液体管を介して二流体ノズルに送水する。
コンプレッサからの加圧空気はノズル供給用気体管を介して二流体ノズルに供給されるとともに、その一部は容器供給用気体管を介して液体容器中の水面に導びかれその圧力により水が液体管で容器外に導かれて二流体ノズルに供給される。
本発明によれば、加圧空気を供給するコンプレッサの動力が水の供給駆動源として共用されるため、水の供給駆動源としての専用の水供給モータや水道水供給のための配管設備を別途設ける必要がなく、システム全体の小型化および製作コストの削減が図れる。部品点数も減少するため保守作業の簡素化およびメンテナンス頻度の減少も図れる。また、液体をコンプレッサの空気圧で供給するようになされた着脱可能な液体容器を備えているので、液体を供給するための水道水配管の設置などを必要とせず任意の場所に移動させて使用することができる。
【0014】
ここで、空気を液体容器に流入させるとともに液体容器内の水を容器外に流出させる配管経路を形成するためには、原理的には液体容器のキャップに容器供給用気体管と液体管の2本を挿通する孔を形成して空気、水を液体容器に対して流入、流出させればよい。しかし、液体容器を例えば容量1〜2L程度のPETボトルから構成した場合、その小径のキャップに液体管及び気体管の夫々の挿通孔を気密に形成することは困難である。
本発明では、液体容器の注入口にカプラを取り付け、容器供給用気体管を、液体管を内部に挿通させた二重管としてカプラに取り付ける構造をとることにより、挿通孔を設けることなく、小さなカプラにおいても容器供給用気体管および液体管を通す挿通孔の形成を容易にしている。
【0015】
一般的なPETボトルは、螺条を形成した頸部とこの頸部に取り付けられる螺子着脱式のキャップとを有している。仮にこのキャップに前記容器供給用気体管を気密に取り付けた場合には、キャップを回転させた際に容器供給用気体管も一緒に回転してしまい、容器供給用気体管のねじれ反力のためにキャップの円滑な脱係合が損なわれることになる。
本発明は、カプラを、液体容器の注入口に取り付けられる螺子着脱式の第1カプラと、容器供給用気体管が取り付けられ、第1カプラに対し注入口の軸方向にスナップ係合する第2カプラとから分割構成したため、第2カプラを上方に引き抜くだけで容器供給用気体管をPETボトルから分離させることができ、次いで第1カプラを液体容器から外して容器を交換することができる。
【0016】
また、本発明は、配管系統において、二股分岐部を構成する第1三又コネクタと、2つの接続口を用いて容器供給用気体管に介設される第2三又コネクタと、第2三又コネクタの残りの接続口に連結気体管を介して取り付けられ、この連結気体管の端部を閉塞する中継コネクタと、を備えるものとし、液体管を、容器供給用気体管と第2三又コネクタと連結気体管の各内部を挿通し、中継コネクタを介して二流体ノズルに連通させる。
これによれば、配管系統を簡素化できるとともに、製作コストの削減が一層図れる。
【0017】
さらに、液体容器として汎用のペットボトルを用い、これをシステムに対して着脱可能に構成することにより新たな液体の補給を容器自体の交換によって容易に行なうことができ、システムの便宜性が向上する。現在ペットボトルの頸部の形状については国際規格は存在しないが、ほとんどのものが自主的に定められた統一規格に合わせてつくられており、本発明による容器をこの規格に合致させることにより実用上の容器互換性が著しく高められ多目的な用途に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る二流体ノズルを用いた噴霧システムの構成ブロック図である。
【図2】本発明に係る二流体ノズルを用いた噴霧システムの一例の外観図である。
【図3】中継コネクタの断面図である。
【図4】第1カプラおよび第2カプラの断面図である。
【図5】二流体ノズルの一例の説明図である。
【図6】本発明の変形例に係る二流体ノズルを用いた噴霧システムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の二流体ノズルを用いた噴霧システムは、美容室や家庭における皮膚のスキンケア、マッサージ等の美容・保健用途、空気清浄化の用途の他、病室におけるウイルス抑止目的で用いる噴霧用途等、様々な目的で適用することができる。
【0020】
図2において、本発明の二流体ノズルを用いた噴霧システム1は、高圧の気体を供給するコンプレッサ2と、液体を貯留する液体容器3と、気体と液体とを混合して液滴を噴霧する二流体ノズル4とを備える。気体は一般的には空気であり、液体としてはは例えば水その他保湿、消臭、美容、殺菌用の種々の薬液が用いられる。
【0021】
コンプレッサ2は例えばその駆動制御用の制御盤6とともにケース5に取付けられる。美容室や家庭における美容・保健用途としての噴霧システムでは、コンプレッサ2は1気圧程度またはそれ以下の出力定格のものでも充分であり、外形としてたとえば15cm角、20cm長程度の小型サイズの市販品を使用できる。ケース5にはコンプレッサ2の圧力を示す圧力ゲージ7が取り付けられるとともに液体容器3を着脱自在に収納する容器ポケット8が形成されている。ケース5にはスタンド9が立設され、このスタンド9の上端に二流体ノズル4が着脱自在に取り付けられる。二流体ノズル4への気体および液体の供給はそれぞれ気体管10、液体管11を介して行われる。
【0022】
二流体ノズル4は、ノズル内で気体と液体とを混合してノズル先端から液滴を噴霧可能なものであれば特に限定されるものではないが、たとえば図5に示す気体の旋回流を伴う二流体ノズル4等を使用することができる。図5(a)は二流体ノズルの概略を示す断面図であり、図5(b)は第1気流旋回部の説明図、図5(c)は第2気流旋回部の説明図である。なおここで図1、2に概略を示すノズル4とは気体、液体の流入口のレイアウト位置が異なっているが、二流体の混合、噴霧のための内部の構造は同一である。
【0023】
二流体ノズル4は、液体供給器42、気体供給器43、液膜形成壁44、供給された気体の一部を旋回させる第1気流旋回部45、残りの気体を旋回させる第2気流旋回部46および円筒状の外筒47とから構成される。図5(a)に示すように、液膜形成壁44は、噴射口48に向けて漸次縮径となるように環状に立設され、その円形開口縁44bは尖端に形成され、内周壁面44aは液膜の形成部位となる。液体供給器42には、第1気流旋回部45に臨むように、円周方向に沿って複数の液体噴射孔42bが貫通形成されている。液体供給器42の端壁42aは円錐形状の突起形状の中心体42cとなって液膜形成壁44の円形開口縁44bの近傍まで軸方向に延びている。
第1気流旋回部45は、液体供給器42の端壁42aから環状に立ち上がり形成されて液膜形成壁44の基部44cに当接する壁部45bを有しており、この壁部45bには、気体供給器43の流路43aと連通し、図5(b)に示すように、半径流方式で、第1の気流に旋回を与える溝形状の流路45aが複数形成されている。第2気流旋回部46は、液膜形成壁44の基部44cの外周縁から環状に立ち上がり形成されて外筒47の端壁47aに当接する壁部46bを有しており、この壁部46bには、気体供給器43の流路43aと連通し、図5(c)に示すように、半径流方式で、第2の気流に旋回を与える溝形状の流路46aが複数形成されている。
外筒47の端壁47aには円形の開口が形成されており、液膜形成壁44の円形開口縁44bで形成された噴射口48と同心に配設されるように環状噴射口49が形成される。
【0024】
二流体ノズル4の構成は以上からなり、液体は、液体供給器42の液体噴射孔42bから噴射されて液膜形成壁44の内周壁面44aに付着し、液膜として形成される。一方気体は、その一部が気体供給器43の流路43aから第1気流旋回部45の各流路45aに流れ込むことにより、液膜形成壁44の内側において第1の旋回気流が発生し、この第1の旋回気流により、液膜に対し剪断力が作用し液体の微粒化が行われ液膜形成壁44の円形開口縁44bから液滴が放出される。また、残りの気体が第2気流旋回部46の各流路46aに流れ込むことにより、液膜形成壁44の外側において第2の旋回気流が発生する。この第2の旋回気流によってさらなる剪断力が作用し、一層、液体粒子が微粒化する。
【0025】
図1は本発明の構成ブロック図である。本発明の噴霧システム1は、一端側がコンプレッサ2に通じ、他端側は二股分岐部12により分岐してその一方が二流体ノズル4に通じるノズル供給用気体管13を構成し、他方が液体容器3に通じる容器供給用気体管14を構成する前記気体管10と、一端側が液体容器3内の底部に臨み、他端側が二流体ノズル4に通じる前記液体管11とを備える。
【0026】
以下具体例を説明すると、コンプレッサ2のエア供給口にはコンプレッサ接続気体管15が取り付けられ、このコンプレッサ接続気体管15の下流端には前記二股分岐部12としての第1三又コネクタ16が取り付けられる。第1三又コネクタ16の残り2つの接続口の内、一方の接続口にノズル供給用気体管13が取り付けられ、他方の接続口に容器供給用気体管14が取り付けられる。ノズル供給用気体管13は異径コネクタ17およびノズル接続気体管18を介して二流体ノズル4に通じる。
【0027】
一方、容器供給用気体管14には第2三又コネクタ19が介設されており、第2三又コネクタ19の第1の接続口は容器供給用気体管14Aを介して第1三又コネクタ16と接続し、第2三又コネクタ19の第2の接続口は容器供給用気体管14Bを介して液体容器3と接続している。第2三又コネクタ19の第3の接続口には連結気体管20を介して中継コネクタ21が取り付けられる。図3に示すように、この中継コネクタ21は連結気体管20の端部を閉塞するものであり、中継コネクタ21内において、連結気体管20と液体管11との間には環状のシール部材25が介設され、これにより連結気体管20の端部が閉塞される。以上の各気体管は例えば樹脂製のチューブから構成され、径寸法例はコンプレッサ接続気体管15、ノズル供給用気体管13、容器供給用気体管14(容器供給用気体管14A、14B)および連結気体管20が6ミリ、ノズル接続気体管18が4ミリである。
【0028】
次に、図4を合わせて参照すると、液体容器3の注入口を構成する頸部3Aには第1カプラ22が取り付けられ、この第1カプラ22に第2カプラ23が着脱自在に取り付けられる。液体容器3は例えば外周に螺条が形成された頸部3Aを有する汎用のPETボトルであり、第1カプラ22は頸部3Aの螺条に螺合する態様で液体容器3に取り付けられる。
【0029】
第1カプラ22および第2カプラ23は合成樹脂部材からなり、両者の係合は樹脂の弾性変形を伴う注入口3Aの軸方向のスナップ係合からなる。具体的には第2カプラ23は第1カプラ22に対して上方から覆いかぶさるように取り付けられ、第1カプラ22の上端周りに形成された環状の凹部22Aに第2カプラ23の内壁に形成された環状の凸部23Aがスナップ係合する。両カプラには気体および液体管11を通すための貫通孔が適宜に形成されている。
【0030】
容器供給用気体管14Bの下流端は第2カプラ23の上端に気密に取り付けられ、液体管11の一端は容器供給用気体管14Bと両カプラ23、22の内部を挿通して液体容器3内の底部まで延設される。つまり、容器供給用気体管14Bは液体管11を内部に挿通させた二重管として第2カプラに取り付けられる。液体管11の他端側は容器供給用気体管14Bと第2三又コネクタ19と連結気体管20の各内部を挿通したうえで図3に示すように中継コネクタ21の内部に固定される。液体管11はこの中継コネクタ21および連結液体管24、異径コネクタ26、ノズル接続液体管27を介して二流体ノズル4に通じる。以上の各液体管も例えば樹脂製のチューブから構成され、径寸法例は液体管11が3ミリ、連結液体管24が4ミリ、ノズル接続液体管27が3ミリである。
【0031】
前記のように本発明の噴霧システムは調湿、スキンケア、殺菌、消臭等の種々の用途に対応して用いられ、そのための噴霧液として水、スキンケア処理薬液、殺菌剤、消臭剤等種々のものが用いられる。
ここで液体溶液として例えば汎用のPETボトルなどを用いれば、前記のようにこれらのボトルはほとんどのものが頸部の螺条の形状が標準的に規格化されて互換性があるので、種々の水や薬液の入ったボトルをシステムのカプラ側の螺合部に対して容易に着脱交換することができ、システムの多目的化が得られる。標準規格外のPETボトルと交換する必要に備えて第一カプラ22として他の代表的な規格のPETボトルに対応する螺合部を備えたものを複数種オプションとして用意しておけば、これらの第一カプラのみを取替えることでほとんどの種類のPETボトルとの交換に対応することができる。
【0032】
液体容器3としては保湿処理等に用いる水や薬液等を経時変化した状態で使用しないように小容量の容器を用いて短時間に使い切って新たなものと交換することが好ましい。例えば数時間又は一日ごとの交換を考えれば容量1〜2L程度のPETボトルが適している。
【0033】
「作用」
コンプレッサ2で加圧された空気は第1三又コネクタ16においてノズル供給用気体管13側と容器供給用気体管14側に分流される。ノズル供給用気体管13側に流れた空気は異径コネクタ17およびノズル接続気体管18を介して二流体ノズル4に供給される。容器供給用気体管14側に流れた空気は第2カプラ23および第1カプラ22を介して液体容器3内の水面上の空間に流入し液体容器3内を加圧する。この加圧作用により液体容器3内の水が液体管11に流入し、中継コネクタ21および連結液体管24、ノズル接続液体管27を介して二流体ノズル4に供給される。水の単位時間当たりの消費量は僅かであり、第1三又コネクタ19においてほとんどの空気はノズル供給用気体管13側に流れる。
連結気体管20に入り込んでいる空気は中継コネクタ21において閉塞されているため、中継コネクタ21以降は水のみが液体管11により二流体ノズル4に供給される。
【0034】
コンプレッサ2によるノズル噴霧動作で液体を使い切った液体容器3を新たな容器と交換する際には、第2カプラ23を上方に引き抜いて第1カプラ22から外し、次いで第1カプラ22を回し螺子を緩めて頸部3Aから外し、ここに新たな容器と螺合させて交換が行われる。仮に第2カプラ23を介在させることなく、螺子着脱式とした第1カプラ22に容器供給用気体管14を取り付けた場合には、容器交換のために第1カプラ22を回転させた際に容器供給用気体管14も一緒に回転するので容器供給用気体管14のねじれ反力のために第1カプラ22の円滑な脱係合が損なわれることになるが、本発明では、第2カプラ23を上方に引き抜くだけで容器供給用気体管14および液体管11を液体容器3から分離させることができ、第1カプラ22を液体容器3から容易に外すことができる。
【0035】
「変形例」
図6は噴霧システム1の変形例の構成ブロック図である。
コンプレッサ2のエア供給口にはコンプレッサ接続気体管15が取り付けられ、このコンプレッサ接続気体管15の下流端に二股分岐部12としての三又コネクタ30が取り付けられる。三又コネクタ30の残り2つの接続口の内、一方の接続口にノズル供給用気体管13が取り付けられ、他方の接続口に容器供給用気体管14が取り付けられる。ノズル供給用気体管13は、グリップ部31に取り付けられた二流体ノズル4に通じる。グリップ部31は、例えば美容室や家庭などにおいて二流体ノズル4を顔に向けて噴霧する場合などに手で把持する部位となる。グリップ部31は二流体ノズル4と一体に形成されたものでもよいし、二流体ノズル4に組み付けられる別部材であってもよい。
【0036】
容器供給用気体管14の他端は第2カプラ23の上端に気密に取り付けられる。本変形例においても、液体管11の一端は容器供給用気体管14と第2カプラ23、第1カプラ22の内部を挿通して液体容器3内の底部まで延設される。液体管11の他端側は容器供給用気体管14と三又コネクタ33とノズル供給用気体管13の各内部を挿通したうえでグリップ部31に取り付けられた二流体ノズル4に通じる。グリップ部31の図示しない内部配管構造により、ノズル供給用気体管13からの空気と液体管11からの水とが分離されて図5に示す二流体ノズル4の気体供給器43の入口及び液体供給器42の入口に夫々に供給される。
【0037】
当該変形例によっても、コンプレッサ2で加圧された空気は三又コネクタ30においてノズル供給用気体管13側と容器供給用気体管14側に分流される。ノズル供給用気体管13側に流れた空気はグリップ部31を経由して二流体ノズル4に供給される。容器供給用気体管14側に流れた空気は第2カプラ23および第1カプラ22を介して液体容器3内の水面上の空間に流入し液体容器3内を加圧する。この加圧作用により液体容器3内の水が液体管11に流入してグリップ部31を経由し二流体ノズル4に供給される。水の単位時間当たりの消費量は僅かであり、三又コネクタ30においてほとんどの空気はノズル供給用気体管13側に流れる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は図面に記載したものに限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 噴霧システム
2 コンプレッサ
3 液体容器
4 二流体ノズル
10 気体管
11 液体管
12 二股分岐部
13 ノズル供給用気体管
14 容器供給用気体管
16 第1三又コネクタ
19 第2三又コネクタ
20 連結気体管
21 中継コネクタ
22 第1カプラ
23 第2カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧の気体を供給するコンプレッサと、
液体を貯留する着脱可能な液体容器と、
気体と液体とを混合して液滴を噴霧する二流体ノズルと、
を有する噴霧システムであって、
一端側がコンプレッサに通じ、他端側は二股分岐部により分岐してその一方が二流体ノズルに通じるノズル供給用気体管を構成し、他方が液体容器に通じる容器供給用気体管を構成する気体管と、
一端側が液体容器内の底部に臨み、他端側が二流体ノズルに通じる液体管と、
を備え、
前記容器供給用気体管から供給される気体の加圧作用により液体容器内の液体を前記液体管を介して二流体ノズルに送水することを特徴とする二流体ノズルを用いた噴霧システム。
【請求項2】
液体容器の注入口に容器を着脱するカプラが取り付けられ、
前記容器供給用気体管は、前記液体管を内部に挿通させた二重管として前記カプラに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の二流体ノズルを用いた噴霧システム。
【請求項3】
前記カプラは、
液体容器の注入口に取り付けられる螺子着脱式の第1カプラと、
前記容器供給用気体管が取り付けられ、前記第1カプラに対し注入口の軸方向にスナップ係合する第2カプラと、
から構成されることを特徴とする請求項2に記載の二流体ノズルを用いた噴霧システム。
【請求項4】
前記二股分岐部を構成する第1三又コネクタと、
2つの接続口を用いて容器供給用気体管に介設される第2三又コネクタと、
第2三又コネクタの残りの接続口に連結気体管を介して取り付けられ、この連結気体管の端部を閉塞する中継コネクタと、
を備え、
前記液体管は、容器供給用気体管と第2三又コネクタと連結気体管の各内部を挿通し、前記中継コネクタを介して二流体ノズルに通じることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の二流体ノズルを用いた噴霧システム。
【請求項5】
前記液体容器が注入口としての頸部に着脱ねじ部を有する汎用のペットボトルであることことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の二流体ノズルを用いた噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−224443(P2011−224443A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94943(P2010−94943)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(511123142)株式会社3 Soul Company (1)
【Fターム(参考)】