二液混合吐出容器
【課題】第1液と第2液との混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が簡便な二液混合吐出容器を提供すること。
【解決手段】隣接する第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、及び袋状領域2A又は2Bと隔壁を介して連結された吐出口3を有する二液混合容器1と、吐出口3に装着される吐出具7とを備え、袋状領域2A及び2Bにはそれぞれ二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2が充填され、袋状領域2Aと袋状領域2Bとは外力により連通可能に独立しており、袋状領域2A又は2Bと吐出口3とは前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、袋状領域2Aと袋状領域2Bとを外力により連通させて第1液F1と第2液F2とを混合させ、混合組成物を得た後、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で前記隔壁を破壊することにより、袋状領域2A又は2Bと吐出口3とを連通させて、混合組成物を吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出するようになしてある。
【解決手段】隣接する第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、及び袋状領域2A又は2Bと隔壁を介して連結された吐出口3を有する二液混合容器1と、吐出口3に装着される吐出具7とを備え、袋状領域2A及び2Bにはそれぞれ二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2が充填され、袋状領域2Aと袋状領域2Bとは外力により連通可能に独立しており、袋状領域2A又は2Bと吐出口3とは前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、袋状領域2Aと袋状領域2Bとを外力により連通させて第1液F1と第2液F2とを混合させ、混合組成物を得た後、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で前記隔壁を破壊することにより、袋状領域2A又は2Bと吐出口3とを連通させて、混合組成物を吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出するようになしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液混合硬化型組成物の第1液と第2液とを混合させ、その混合組成物を外部に吐出する二液混合吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、二つの隣接する区画を有する閉鎖部材にそれぞれ個々の成分が充填されており、前記二区画を連通させて二成分を混合せしめ、その後、ダクトから混合組成物を外部に吐出するようになしてある二成分製品用パックが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特表2003−525817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の二成分製品用パックにおいては、使用時において、ダクトにおける封止された端部をねじり取ることにより、ダクトを介して前記二区画と外部とを連通させてから、混合組成物を外部に吐出しており、混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、第1液と第2液との混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が簡便な二液混合吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、隣接する第1袋状領域、第2袋状領域、及び該第1袋状領域又は該第2袋状領域と隔壁を介して連結された吐出口を有する二液混合容器と、該吐出口に装着される吐出具とを備え、前記第1袋状領域には、二液混合硬化型組成物の第1液が充填され、前記第2袋状領域には、該二液混合硬化型組成物の第2液が充填され、前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とは、外力により連通可能に独立しており、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と前記吐出口とは、前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とを外力により連通させて、前記第1液と前記第2液とを混合させ、混合組成物を得た後、前記吐出具を前記吐出口に装着する際に該吐出具で前記隔壁を破壊することにより、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と該吐出口とを連通させて、前記混合組成物を該吐出口を介して前記吐出具から外部に吐出するようになしてある二液混合吐出容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二液混合吐出容器によれば、第1液と第2液との混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の二液混合吐出容器を、その好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の二液混合吐出容器10は、図1〜図4に示すように、隣接する第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、及び第2袋状領域2Bと隔壁35を介して連結された吐出口3を有する二液混合容器1と、吐出口3に装着される吐出具7とを備えている。第1袋状領域2Aには、二液混合硬化型組成物の第1液F1が充填され、第2袋状領域2Bには、該二液混合硬化型組成物の第2液F2が充填され、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、外力により連通可能に独立しており、第2袋状領域2Bと吐出口3とは、隔壁35が破壊されることにより連通可能になっている。第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを外力により連通させて、第1液F1と第2液F2とを混合させ、混合組成物を得た後、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で隔壁35を破壊することにより、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させて、混合組成物を吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出するようになしてある。
【0009】
本実施形態の二液混合吐出容器について詳細に説明する。
本実施形態の二液混合吐出容器10は、図1に示すように、二液混合容器1と吐出具7とを備えている。
まず、二液混合容器1について詳述する。二液混合容器1には、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bが、正面に向けて突出するように隣接して設けられている。第2袋状領域2Bには、吐出口3がその吐出方向を下方に向けて設けられている。
【0010】
第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bは、図1及び図2に示すように、基材シート4に、それぞれ、第1収容部5A及び第2収容部5Bを有する柔軟なフィルム5を融着させて形成されている。
基材シート4は、二液混合容器1の基材となるシートで、基材シート4の正面視形状は、四隅が丸みを帯びた矩形状となっている。
【0011】
基材シート4としては、フィルム5と融着して、二液混合容器1における、内部に二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2がそれぞれ充填された第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するとき、並びに本発明の二液混合吐出容器に外力を加えて使用するときに、基材シート4が破断することのない強度を有するものであれば種々のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂を単独で又はポリマーアロイとしてシート状にしたものを用いることができる。また、2以上のシートを積層したラミネートシートを用いることもできる。
基材シート4の厚さは、好ましくは40μm〜200μmである。本実施形態においては、基材シート4としてポリアミド(厚さ30μm)とポリプロピレン(厚さ60μm)のラミネートシートを用いている。
【0012】
フィルム5は、図1及び図2に示すように、基材シート4に部分的に融着されて、二液混合容器1の第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するもので、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bにそれぞれ対応する第1収容部5A及び第2収容部5Bを有している。
第1収容部5A(第1袋状領域2A)は、全体形状が、正面視で、上面及び底面をそれぞれ上方及び下方に配置した略三角柱形状を有している。第2収容部5B(第2袋状領域2B)は、第1収容部5Aと第2収容部5Bとの中間線を対称線として、第1収容部5Aと線対称の形状を有している。
【0013】
フィルム5としては、二液混合容器1における、内部に二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2がそれぞれ充填された第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するとき、並びに本発明の二液混合吐出容器に外力を加えて使用するときに、フィルム5が破断することのない強度を有すると共に、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bに外力を付与すると容易に変形する柔軟性を有しているものであれば種々のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂を単独で又はポイマーアロイとしてシート状にしたものを用いることができる。また、2以上のシートを積層したラミネートシートを用いることもできる。
【0014】
フィルム5の原体の厚さは、好ましくは40μm〜300μmである。フィルム5における第1収容部5A及び第2収容部5Bは、対応する形状を有する金型を用いた真空成型や圧空成型などにより形成することができる。第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bをそれぞれ形成する第1収容部5A及び第2収容部5Bのフィルムの厚さは、原体フィルムの厚さより幾分薄くなり、30μm〜150μm程度が好ましい。
本実施形態においては、フィルム5の原体として、ポリアミド(厚さ30μm)とポリプロピレン(厚さ170μm)のラミネートシートを用いており、第1収容部5A及び第2収容部5Bのフィルムの厚さは30〜100μmである。
【0015】
基材シート4とフィルム5とは、領域間シール部S1〔図2(a)における右下がり破線ハッチング部分〕及び外周シール部S2〔図2(a)における散点ハッチング部分〕により、第1袋状領域2A、第2袋状領域2B及び吐出口3以外の部分において融着されている。
領域間シール部S1は、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間の領域に形成されているもので、外力により剥離可能となっている(詳細は後述)。また、外周シール部S2は、基材シート4における、第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、吐出口3及び領域間シール部S1以外の領域に形成されているもので、通常の外力では剥離しない十分なシール強度で接合されている(詳細は後述)。
【0016】
第1袋状領域2Aには、二液混合硬化型組成物の第1液F1が充填されており、第2袋状領域2Bには、二液混合硬化型組成物の第2液F2が充填されている。尚、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bには、余分な空気が極力封入されていないことが好ましい。
また、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、外力により連通可能に独立している。具体的には、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、それらの間の領域に形成されている領域間シール部S1により隔離されている。そして、第1袋状領域2A及び/又は第2袋状領域2Bを押圧することにより、領域間シール部S1に基材シート4とフィルム5とを剥離する力が加わると、基材シート4とフィルム5とが剥離して、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを連通する領域間連通路61〔図9(a)参照〕が形成されるようになっている。
【0017】
次に、二液混合容器1のシール部について詳述する。
領域間シール部S1の幅〔図2(a)における上下方向の幅:第1袋状領域2Aから第2袋状領域2Bに向かう方向と直交する方向の幅〕は、正面視で、第1袋状領域2Aの幅〔図2(a)における上下方向の幅〕及び第2袋状領域2Bの幅〔図2(a)における上下方向の幅〕と略同じになっている。即ち、領域間シール部S1は、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間の領域の全幅に亘って設けられている。
【0018】
領域間シール部S1がこのように前記領域の全幅に亘って設けられていると、領域間シール部S1の剥離による第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの連通が効果的に行われ、連通した袋状領域(2A,2B)において、第1液F1と第2液F2との混合が容易となる。
領域間シール部S1の形成方法に制限はないが、例えば、基材シート4に、EVA系パートコート剤等のコート剤を塗布し、その乾燥後にフィルム5を重ね合わせ、基材シート4とフィルム5とをヒートシール接合することにより形成することができる。また易剥離フィルムを基材シート4に貼り合わせてフィルム5とをヒートシール接合することにより形成することもできる。
【0019】
領域間シール部S1のシール強度は、取り扱い時、輸送時等において、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5A又は第2袋状領域2Bのフィルム5の第2収容部5Bが意図せず押圧された状況において、領域間シール部S1が剥離せず、且つ第1袋状領域2A内の第1液F1と第2袋状領域2B内の第2液F2との混合時において、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5A及び/又は第2袋状領域2Bのフィルム5の第2収容部5Bを意図的に押圧した際には、領域間シール部S1が剥離して、領域間連通路61が形成される大きさとなっていれば、適宜の大きさに設定することができる。
具体的には、領域間シール部S1のシール強度は、好ましくは50〜800gf/15mm、更に好ましくは300〜500gf/15mmである。ここに、シール強度の測定は、JIS K 6854−2に準じた180度剥離試験により、15mm幅の試験片を用いて行う。
【0020】
また、外周シール部S2のシール強度は、第1シール部S1のシール強度よりも大きく、使用時において剥離しないことを前提とした大きさとなっている。具体的には、外周シール部S2のシール強度は、好ましくは1500gf/15mm以上、更に好ましくは2500gf/15mm以上である。
【0021】
次に、二液混合容器1の吐出口3について詳述する。
第2袋状領域2Bには、図1〜図4に示すように、吐出口3が、外力により連通可能に設けられている。詳細には、第2袋状領域2Bと吐出口3とは、吐出口3に設けられた、外力により破壊可能な隔壁35により隔離され、隔壁35が破壊されることにより連通可能となっている。
【0022】
吐出口3は、図3に示すように、吐出パイプ31、吐出口本体32及び隔壁35を主体として構成されている。
吐出口3は、合成樹脂、金属等から形成することができる。本実施形態においては、基材シート4及びフィルム5との接合性、外観、触感等を考慮し、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂から射出成形(インジェクション成形)により一体的に形成されている。
【0023】
吐出パイプ31は、円筒形のパイプ部材で、その内部に、図14に示すように、混合後硬化前の混合組成物Fが流通可能になっている。吐出パイプ31の内周面には、凹状環31Aが形成されている。
吐出口本体32は、吐出パイプ31を包接するもので、吐出パイプ31の外周に外接する一対の湾曲板状の本体外周部33を有している。本体外周部33の外周には、リブ33Aが設けられている。
【0024】
隔壁35は、第2袋状領域2Bと吐出口3の吐出パイプ31とを隔離するもので、吐出口本体32の本体上縁部34に、第2袋状領域2Bに隣接して設けられている。このように、隔壁35が第2袋状領域2Bに隣接して設けられているので、隔壁35の破壊前において、吐出口3の吐出パイプ31に第2液F2が流入することがなく、吐出口3の吐出パイプ31への第2液F2の流入に起因する第1液F1と第2液F2との未混合が発生することがない。
【0025】
隔壁35は、円盤状で、中心角が60度の扇形の隔壁片36が6個集合して形成されている。隣接する隔壁片36間、及び隔壁片36の円弧部分と本体上縁部34との間は、隔壁35を破壊し易くするための薄肉部37により連結されている。そのため、隔壁35は、外力が加わると、通常、隔壁片36の形状を維持したまま薄肉部37が破断することにより、破壊されるようになっている。
【0026】
薄肉部37は、外力が加わったときに脆く破断せず、伸びながら破断するような物性を有していることが好ましい。このように伸びながら破断する薄肉部37が形成された隔壁35においては、隔壁35が破壊したときに、その破片が吐出口3に連結した状態で残り、該破片が吐出口3から分離して吐出口3の吐出パイプ31を塞いだり、吐出口3の外部に排出されることを防止できる。
【0027】
前述の構成を有する吐出口3は、基材シート4とフィルム5とにより吐出口本体32の本体外周部33が挟持された形態で、基材シート4及びフィルム5に接合固定されている。吐出口3と基材シート4及びフィルム5との接合手段には制限はないが、例えば、ヒートシール接合、接着等により接合することができる。
【0028】
次に、吐出具7について詳述する。
二液混合容器1の吐出口3の吐出パイプ31の内周には、図1及び図4に示すように、吐出具7が装着されるようになっている。本実施形態における吐出具7は、へそ等の身体凹部の開口部を拡開して、二液混合硬化型組成物である身体凹部清浄剤(詳細は後述)の注入をより容易とする拡開具を兼ねている。即ち、身体凹部への挿入に伴って、該身体凹部を徐々に拡開し得る構造を有している。以下の説明においては、「へそ」をもって身体凹部を代表することとする。
【0029】
吐出具7は、図5〜図7に示すように、円筒状の筒状部73と、筒状部73の上端部73Aに設けられた尖鋭形状を有する尖鋭部71と、筒状部73の外周面から延出して設けられたつば部74と、筒状部73の外周面から所定間隔で延設された複数個のフィン部75とを備えている。
尖鋭部71には、混合組成物が吐出口3から流入する剤流入口78が設けられている。筒状部73の下端部73Bには、剤流入口78に連通する剤排出口76が設けられている。
吐出具7は、合成樹脂、金属等から形成することができる。本実施形態においては、外観、触感等を考慮し、ポリエチレン等の合成樹脂から射出成形(インジェクション成形)により一体的に形成されている。
【0030】
尖鋭部71は、図7に示すように、平面視で120度離間する3個の尖鋭枠部71Aを備えており、3個の尖鋭枠部71Aから、全体視で尖鋭形状に構成されている。隣接する尖鋭枠部71Aの間は、それぞれ流入孔部78Aとなっており、3個の流入孔部78Aから剤流入口78が構成されている。尖鋭部71の下端には、凸条環71Bが形成されている。
筒状部73においては、尖鋭部71Aの剤流入口78と下端部73Bの剤排出口76とは連通し、剤管路79が形成されている。そのため、剤流入口78から流動体が流入すると、剤管路79を介して剤排出口76から該流動体が排出されるようになっている。
【0031】
つば部74は、筒状部73の下端部73Bから上端部73Aに向けて凹んだお椀状の形状を有している。
フィン部75は、筒状部73の外周面において、筒状部73の下端部73B近傍からつば部74の下面に亘って、該外周面からの高さが徐々に高くなるように60度間隔で6個設けられている。フィン部75は、吐出具7を所定方向とは逆方向に、即ち剤排出口76から吐出口3に挿入しようとした際の逆さ挿入防止機構としても作用する。
【0032】
つば部74の面方向の大きさ及び形状は、へその開口部を閉蓋し、吐出具7のへそ凹部への過挿入を防止し得る大きさ及び形状となっている。フィン部75の大きさ及び形状は、へそ凹部における窄まった開口部を、吐出具7の挿入に伴って徐々に拡開できる大きさ及び形状となっている。
【0033】
つば部74の最下端(周縁部)と筒状部73の下端部73Bとの距離L1〔図6(a)参照〕は、へそ凹部の深さより若干短くなっており、具体的には10〜15mmが好ましい。つば部74の最上端と尖鋭部71の先端との距離L2〔図6(a)参照〕は、8〜15mmが好ましい。お椀状のつば部74における凹み深さL3〔つば部74の最下端とつば部74の凹みの最深部との距離、図6(d)参照〕は、身体凹部清浄剤をへそ凹部内に注入した際に、へそ凹部から溢れた身体凹部清浄剤をストックし得る深さを有していればよく、具体的には0〜5mmが好ましい。
【0034】
前述の構成を有する二液混合容器1及び吐出具7によれば、図8に示すように、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で隔壁35を破壊することにより、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させて、第2袋状領域2B内の混合組成物Fを吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出できるようになっている。
【0035】
詳細には、吐出具7を吐出口3に装着する際に、吐出具7の尖鋭部71により隔壁35が押圧され、比較的強度の弱い薄肉部37が破断して、隔壁35が破壊される。そして、吐出具7で隔壁35を破壊した後、吐出具7を吐出口3に更に挿入すると、吐出具7の凸条環71Bが吐出口3の凹条環31Aに嵌合し、ストッパー機構として作用する。その結果、吐出具7が吐出口3に固定した状態で、第2袋状領域2Bと吐出口3とが連通し、第2袋状領域2B内の混合組成物Fが吐出口3を介して吐出具7の剤排出口76から外部に吐出されるようになっている。
【0036】
次に、本発明の二液混合吐出容器における二液混合容器に収納される二液混合硬化型組成物について詳述する。二液混合硬化型組成物としては、例えば、シリコーンゴム系組成物、エポキシ系組成物、ウレタン系組成物、アルギン酸系ゲル化組成物等が挙げられる。
本実施形態においては、身体凹部に注入された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる組成物が用いられている。特に、二液混合硬化型の液状シリコーンゴム組成物が好ましく用いられる。
【0037】
二液混合硬化型の液状シリコーンゴム組成物としては、例えば、第1液がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベースからなり、第2液が架橋剤を含有する硬化剤ベースからなるからなるものが挙げられる。かかる二液混合硬化型組成物は、更に、硬化触媒を第1液又は第2液に含有していてもよい。
第1液におけるジオルガノポリシロキサンとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサン又は分子内に2個以上のビニル基を有するビ
ニル化ジオルガノポリシロキサンが用いられ、いずれを使用するかに応じて架橋剤、硬化触媒も選定される。
【0038】
次に、本実施形態の二液混合吐出容器10の一使用方法について、図9〜図15を参照しながら説明する。
先ず、図9に示すように、手指Hを用いて、二液混合容器1の第1袋状領域2A内の第1液F1が第2袋状領域2Bに向けて移動するように、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5Aを押圧する。尚、図9(b)においては、吐出口3の図示を省略している。
この押圧により、第1液F1が領域間シール部S1に向けて押し出され、領域間シール部S1において基材シート4とフィルム5とを剥離する力が加わる。その結果、領域間シール部S1が剥離し、領域間連通路61が形成されて、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとが連通する。
【0039】
こうして、第1袋状領域2A内の第1液F1と第2袋状領域2B内の第2液F2とが領域間連通路61を介して混合可能となる。即ち、図10に示すように、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを左右の手指Hで交互に押圧することによって、連通した袋状領域(2A,2B)内で第1液F1と第2液F2とを混合する。尚、図10(b)及び(c)においては、吐出口3の図示を省略している。
【0040】
次に、図11に示すように、二液混合容器1の吐出口3の吐出パイプ31に、吐出具7を尖鋭部71から挿入して装着する。
詳述すると、図8に示すように、吐出具7の尖鋭部71により吐出口3の隔壁35が押圧され、比較的強度の弱い薄肉部37が破断して隔壁35が破壊する。尚、隔壁35の破壊形態は、図8に示す破壊形態に限らず、様々である。また、隔壁35を破壊する際に、第2袋状領域2B内の第2液が意図せず吐出されないようにすることが好ましい。
このようにして、第2袋状領域2Bと吐出口3とが連通すると共に、吐出口3に吐出具7が装着される。
【0041】
次に、図12に示すように、二液混合容器1の吐出口3に装着された吐出具7を、つば部74がへそ凹部N近傍の腹の表面に当接するまで、へそ凹部Nに挿入する。この挿入過程において、窄まっているへそ凹部Nの開口部が、フィン部75で押圧されて徐々に拡開される。
【0042】
この状態下で、図13に示すように、二液混合容器1を第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間を折り畳み線として、換言すると領域間連通路61を折り畳み線として折り畳む。このとき、連通した袋状領域(2A,2B)内で混合された混合組成物Fを、予め吐出口3に近い領域である第2袋状領域2B側に片寄せておいてから折り畳むのが好ましい。
【0043】
そして、図14に示すように、対向する基材シート4の上から手指Hで押圧することにより、第2袋状領域2Bを挟圧する。その結果、第2袋状領域2B内の混合組成物Fは、吐出口3に向けて押し出され、吐出口3の吐出パイプ31から排出される。吐出口3から排出された混合組成物Fは、更に、吐出具7において、剤流入口78から流入して剤排出口76から吐出され、へそ凹部Nの内部に注入される。
【0044】
そして、混合組成物Fを、吐出具7の先端部である剤排出口76を被覆するまで注入し、そのまま所定時間放置して硬化させる。その硬化時間は、身体凹部清浄剤Fの組成及び物性や、へそ凹部Nへのその注入量等により異なる。身体凹部清浄剤F(混合組成物)は、硬化するとゲル状又はゴム状になり、吐出具7と一体化する。
【0045】
その後、図15に示すように、二液混合容器1における折り畳んだ基材シート4を摘み、硬化した身体凹部清浄剤Fを吐出具7と共にへそ凹部Nから引き抜く。その結果、へそ凹部Nの底部周辺に付着していたへそのゴマ(汚れ)Dが、身体凹部清浄剤Fに同伴した状態で、へそ凹部Nから除去される。
【0046】
以上の説明の通り、本実施形態の二液混合吐出容器10によれば、吐出具7を二液混合容器1の吐出口3に装着するだけで、第2袋状領域2Bと吐出口3とを隔離する隔壁35が破壊されて、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させることができ、その後、第2袋状領域2B内の混合組成物Fを、吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出することができる。そのため、混合組成物Fを外部に吐出可能な状態にする操作が簡便である。
【0047】
また、仮に、第2袋状領域2Bと吐出口3との隔離する構成を、領域間シール部S1と同様に、シール部から構成すると、このシール部のシール強度を、領域間シール部S1のシール強度よりも大きく且つ外周シール部S2のシール強度よりも小さく3段階に設定する必要がある。しかし、シール強度を3段階にしたシール加工は、中間のシール強度のシール条件の設定範囲が極めて狭く、技術的に極めて困難である。
【0048】
而して、本実施形態の二液混合吐出容器10においては、二液混合容器1における第2袋状領域2Bと吐出口3との隔離する構成を、シール部ではなく、隔壁35から構成しているため、シール強度を3段階にしたシール加工を行う必要がなく、前記実施形態のようにシール強度を2段階にしたシール加工(領域間シール部S1と外周シール部S2)で足りる。そのため、二液混合容器1の製造が技術的に容易である。
【0049】
また、吐出具7の剤流入口78が二以上(前記実施形態においては3個)の流入孔部78Aから構成されているため、混合組成物Fは、剤流入口78から剤管路79に流入する際にその流動が乱れ、更に混合されることになる。つまり、二以上の流入孔部78Aがスタティックミキサーの役目をすることになる。その結果、混合組成物Fにおける未混合部分を減少させることができる。
【0050】
更に、吐出具7の剤流入口78が二以上の流入孔部78Aから構成されているため、混合組成物Fが吐出具7の剤流入口78を介して剤排出口76から吐出される際に、混合組成物Fの不快な流動音の発生を防止することができる(消音効果)。この消音効果の原理は定かではないが、混合組成物Fが二以上の流入孔部78Aによって分流して剤管路79に流入するため、混合組成物Fのスムーズな流動が阻害され、剤管路79内の空気溜まりが先に剤排出口76から吐出されたり、混合組成物Fにおける大きな気泡が細かく砕かれて、剤管路79内に大きな空気溜まりを作らないこと等が考えられる。
【0051】
しかも、吐出具7が拡開具を兼ねているため、吐出具7をへそ凹部Nに挿入するだけでへそ凹部Nの開口部を拡開して身体凹部清浄剤Fを注入し易くでき、更に、へそ凹部N内に身体凹部清浄剤Fを効率的に注入できるため、へそ凹部Nの拡開操作及び身体凹部清浄剤組成物Fのへそ凹部Nへの注入操作が簡便である。
【0052】
また、本実施形態の二液混合吐出容器10を用い、図9〜図15に示す使用方法でへそ掃除を行うと、へそ凹部NからへそのゴマDを簡便な操作で除去することができる。その際に、爪で引っ掻いたり、綿棒で掻き出す場合に比して、へそ凹部Nの内表面に傷を付けたり、腹膜に刺激を与えることがない。
具体的には、二液混合容器1の第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを外力により連通させて、第1液F1と第2液F2とを混合させ、その後、第2袋状領域2Bと吐出口3とを、吐出具7で隔壁35を破壊することにより連通させて、混合組成物Fを吐出口3を介して吐出具7からへそ凹部Nに吐出するようになしてあるため、第1液F1と第2液F2との混合操作及び混合組成物Fの吐出操作を一連の操作で簡便に行うことができる。
【0053】
隔壁35は、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bと吐出口3とを隔離し、破壊されることにより第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させることができるものであれば、その構成に制限はない。吐出口3における隔壁35の位置も制限はない。
【0054】
吐出具7は、二液混合容器1の吐出口3の隔壁を破壊でき、吐出口3から流入する混合組成物Fを吐出できるものであれば、拡開具を兼ねているものに制限されず、また必ずしも用いる必要はない。
【0055】
第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの形状は、前述の実施形態における形状に制限されない。例えば、半球状、円錐状、円錐台状、矩形状、四角錘状等の形状とすることができる。第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの配置位置も、前述の実施形態における配置位置に制限されない。
【0056】
第1袋状領域及び第2袋状領域は、基材シートに、第1収容部及び第2収容部を有する柔軟なフィルムを融着させて形成されたものに制限されない。
前記実施形態におけるフィルム5は、第1収容部5A及び第2収容部5Bの両方を有しているが、第1収容部5A又は第2収容部5Bの一方のみを有するフィルムをそれぞれ基材シート4に融着させて、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成することができる。
【0057】
本発明の二液混合吐出容器の使用方法は、前述した使用方法に制限されない。
二液混合容器1の第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを連通させる際には、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの両方に外力を付与してもよく、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bの一方のみに外力を付与してもよい。
また、第1液F1と第2液F2との混合は、第1袋状領域2A内及び第2袋状領域2B内の両方を使用して行うのが好ましいが、第1袋状領域2A内のみ又は第2袋状領域2B内のみで行うこともできる。
【0058】
身体凹部清浄剤Fをへそ凹部N内に注入した後、吐出具7をへそ凹部Nに挿入したまま、吐出口3を含む二液混合容器1を吐出具7から取り外して、身体凹部清浄剤Fを硬化させることができる。
本発明の二液混合吐出容器は、へそ凹部のへそのゴマの除去以外にも、耳垢、手足の爪垢の除去等にも適用することができ、また、人間以外に、ペット等の動物にも適用することができる。
。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の二液混合吐出容器の一実施形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)に示すA−B−C−D切断線で切断した部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示す二液混合吐出容器における二液混合容器を示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は左側面図である。
【図3】図3は、図2に示す二液混合容器における吐出口を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−B−C−D切断線で切断した部分断面図、(c)は底面図である。
【図4】図4は、図2に示す二液混合容器における吐出口に吐出具を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、吐出具を示す斜視図で、(a)は下端部側から視た図、(b)は上端部側から視た図である。
【図6】図6は、吐出具を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(c)に示すD−D断面図である。
【図7】図7は、吐出具における尖端部近傍を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】図8は、吐出具により二液混合容器の吐出口の隔壁を破壊する経過を示す半断面図で、(a)は隔壁の破壊直前を示す図、(b)は隔壁の破壊直後を示す図である。
【図9】図9は、図1に示す二液混合吐出容器の一使用方法の一手順を示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図10】図10は、図9に示す手順の次の手順を示す図で、(a)は正面図、(b)は第1袋状領域を押圧した状態を示す底面図、(c)は第2袋状領域を押圧した状態を示す底面図である。
【図11】図11は、図10に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図12】図12は、図11に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図13】図13は、図12に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図14】図14は、図13に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図15】図15は、図14に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 二液混合容器
2A 第1袋状領域
2B 第2袋状領域
3 吐出口
31 吐出パイプ
31A 凹条環
32 吐出口本体
33 本体外周部
33A リブ
34 本体上縁部
35 隔壁
36 隔壁片
37 薄肉部
4 基材シート
5 フィルム
5A 第1収容部
5B 第2収容部
61 領域間連通路
7 吐出具
71 尖鋭部
71A 尖鋭枠部
71B 凸条環
73 筒状部
73A 上端部
73B 下端部
74 つば部
75 フィン部
76 剤排出口
78 剤流入口
78A 流入孔部
79 剤管路
10 二液混合吐出容器
D 汚れ
F 身体凹部清浄剤(混合組成物)
F1 第1液
F2 第2液
H 手指
N へそ凹部
S1 領域間シール部
S2 外周シール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液混合硬化型組成物の第1液と第2液とを混合させ、その混合組成物を外部に吐出する二液混合吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、二つの隣接する区画を有する閉鎖部材にそれぞれ個々の成分が充填されており、前記二区画を連通させて二成分を混合せしめ、その後、ダクトから混合組成物を外部に吐出するようになしてある二成分製品用パックが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特表2003−525817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の二成分製品用パックにおいては、使用時において、ダクトにおける封止された端部をねじり取ることにより、ダクトを介して前記二区画と外部とを連通させてから、混合組成物を外部に吐出しており、混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、第1液と第2液との混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が簡便な二液混合吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、隣接する第1袋状領域、第2袋状領域、及び該第1袋状領域又は該第2袋状領域と隔壁を介して連結された吐出口を有する二液混合容器と、該吐出口に装着される吐出具とを備え、前記第1袋状領域には、二液混合硬化型組成物の第1液が充填され、前記第2袋状領域には、該二液混合硬化型組成物の第2液が充填され、前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とは、外力により連通可能に独立しており、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と前記吐出口とは、前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とを外力により連通させて、前記第1液と前記第2液とを混合させ、混合組成物を得た後、前記吐出具を前記吐出口に装着する際に該吐出具で前記隔壁を破壊することにより、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と該吐出口とを連通させて、前記混合組成物を該吐出口を介して前記吐出具から外部に吐出するようになしてある二液混合吐出容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二液混合吐出容器によれば、第1液と第2液との混合組成物を外部に吐出可能な状態にする操作が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の二液混合吐出容器を、その好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の二液混合吐出容器10は、図1〜図4に示すように、隣接する第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、及び第2袋状領域2Bと隔壁35を介して連結された吐出口3を有する二液混合容器1と、吐出口3に装着される吐出具7とを備えている。第1袋状領域2Aには、二液混合硬化型組成物の第1液F1が充填され、第2袋状領域2Bには、該二液混合硬化型組成物の第2液F2が充填され、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、外力により連通可能に独立しており、第2袋状領域2Bと吐出口3とは、隔壁35が破壊されることにより連通可能になっている。第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを外力により連通させて、第1液F1と第2液F2とを混合させ、混合組成物を得た後、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で隔壁35を破壊することにより、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させて、混合組成物を吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出するようになしてある。
【0009】
本実施形態の二液混合吐出容器について詳細に説明する。
本実施形態の二液混合吐出容器10は、図1に示すように、二液混合容器1と吐出具7とを備えている。
まず、二液混合容器1について詳述する。二液混合容器1には、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bが、正面に向けて突出するように隣接して設けられている。第2袋状領域2Bには、吐出口3がその吐出方向を下方に向けて設けられている。
【0010】
第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bは、図1及び図2に示すように、基材シート4に、それぞれ、第1収容部5A及び第2収容部5Bを有する柔軟なフィルム5を融着させて形成されている。
基材シート4は、二液混合容器1の基材となるシートで、基材シート4の正面視形状は、四隅が丸みを帯びた矩形状となっている。
【0011】
基材シート4としては、フィルム5と融着して、二液混合容器1における、内部に二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2がそれぞれ充填された第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するとき、並びに本発明の二液混合吐出容器に外力を加えて使用するときに、基材シート4が破断することのない強度を有するものであれば種々のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂を単独で又はポリマーアロイとしてシート状にしたものを用いることができる。また、2以上のシートを積層したラミネートシートを用いることもできる。
基材シート4の厚さは、好ましくは40μm〜200μmである。本実施形態においては、基材シート4としてポリアミド(厚さ30μm)とポリプロピレン(厚さ60μm)のラミネートシートを用いている。
【0012】
フィルム5は、図1及び図2に示すように、基材シート4に部分的に融着されて、二液混合容器1の第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するもので、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bにそれぞれ対応する第1収容部5A及び第2収容部5Bを有している。
第1収容部5A(第1袋状領域2A)は、全体形状が、正面視で、上面及び底面をそれぞれ上方及び下方に配置した略三角柱形状を有している。第2収容部5B(第2袋状領域2B)は、第1収容部5Aと第2収容部5Bとの中間線を対称線として、第1収容部5Aと線対称の形状を有している。
【0013】
フィルム5としては、二液混合容器1における、内部に二液混合硬化型組成物の第1液F1及び第2液F2がそれぞれ充填された第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成するとき、並びに本発明の二液混合吐出容器に外力を加えて使用するときに、フィルム5が破断することのない強度を有すると共に、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bに外力を付与すると容易に変形する柔軟性を有しているものであれば種々のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂を単独で又はポイマーアロイとしてシート状にしたものを用いることができる。また、2以上のシートを積層したラミネートシートを用いることもできる。
【0014】
フィルム5の原体の厚さは、好ましくは40μm〜300μmである。フィルム5における第1収容部5A及び第2収容部5Bは、対応する形状を有する金型を用いた真空成型や圧空成型などにより形成することができる。第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bをそれぞれ形成する第1収容部5A及び第2収容部5Bのフィルムの厚さは、原体フィルムの厚さより幾分薄くなり、30μm〜150μm程度が好ましい。
本実施形態においては、フィルム5の原体として、ポリアミド(厚さ30μm)とポリプロピレン(厚さ170μm)のラミネートシートを用いており、第1収容部5A及び第2収容部5Bのフィルムの厚さは30〜100μmである。
【0015】
基材シート4とフィルム5とは、領域間シール部S1〔図2(a)における右下がり破線ハッチング部分〕及び外周シール部S2〔図2(a)における散点ハッチング部分〕により、第1袋状領域2A、第2袋状領域2B及び吐出口3以外の部分において融着されている。
領域間シール部S1は、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間の領域に形成されているもので、外力により剥離可能となっている(詳細は後述)。また、外周シール部S2は、基材シート4における、第1袋状領域2A、第2袋状領域2B、吐出口3及び領域間シール部S1以外の領域に形成されているもので、通常の外力では剥離しない十分なシール強度で接合されている(詳細は後述)。
【0016】
第1袋状領域2Aには、二液混合硬化型組成物の第1液F1が充填されており、第2袋状領域2Bには、二液混合硬化型組成物の第2液F2が充填されている。尚、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bには、余分な空気が極力封入されていないことが好ましい。
また、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、外力により連通可能に独立している。具体的には、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとは、それらの間の領域に形成されている領域間シール部S1により隔離されている。そして、第1袋状領域2A及び/又は第2袋状領域2Bを押圧することにより、領域間シール部S1に基材シート4とフィルム5とを剥離する力が加わると、基材シート4とフィルム5とが剥離して、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを連通する領域間連通路61〔図9(a)参照〕が形成されるようになっている。
【0017】
次に、二液混合容器1のシール部について詳述する。
領域間シール部S1の幅〔図2(a)における上下方向の幅:第1袋状領域2Aから第2袋状領域2Bに向かう方向と直交する方向の幅〕は、正面視で、第1袋状領域2Aの幅〔図2(a)における上下方向の幅〕及び第2袋状領域2Bの幅〔図2(a)における上下方向の幅〕と略同じになっている。即ち、領域間シール部S1は、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間の領域の全幅に亘って設けられている。
【0018】
領域間シール部S1がこのように前記領域の全幅に亘って設けられていると、領域間シール部S1の剥離による第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの連通が効果的に行われ、連通した袋状領域(2A,2B)において、第1液F1と第2液F2との混合が容易となる。
領域間シール部S1の形成方法に制限はないが、例えば、基材シート4に、EVA系パートコート剤等のコート剤を塗布し、その乾燥後にフィルム5を重ね合わせ、基材シート4とフィルム5とをヒートシール接合することにより形成することができる。また易剥離フィルムを基材シート4に貼り合わせてフィルム5とをヒートシール接合することにより形成することもできる。
【0019】
領域間シール部S1のシール強度は、取り扱い時、輸送時等において、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5A又は第2袋状領域2Bのフィルム5の第2収容部5Bが意図せず押圧された状況において、領域間シール部S1が剥離せず、且つ第1袋状領域2A内の第1液F1と第2袋状領域2B内の第2液F2との混合時において、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5A及び/又は第2袋状領域2Bのフィルム5の第2収容部5Bを意図的に押圧した際には、領域間シール部S1が剥離して、領域間連通路61が形成される大きさとなっていれば、適宜の大きさに設定することができる。
具体的には、領域間シール部S1のシール強度は、好ましくは50〜800gf/15mm、更に好ましくは300〜500gf/15mmである。ここに、シール強度の測定は、JIS K 6854−2に準じた180度剥離試験により、15mm幅の試験片を用いて行う。
【0020】
また、外周シール部S2のシール強度は、第1シール部S1のシール強度よりも大きく、使用時において剥離しないことを前提とした大きさとなっている。具体的には、外周シール部S2のシール強度は、好ましくは1500gf/15mm以上、更に好ましくは2500gf/15mm以上である。
【0021】
次に、二液混合容器1の吐出口3について詳述する。
第2袋状領域2Bには、図1〜図4に示すように、吐出口3が、外力により連通可能に設けられている。詳細には、第2袋状領域2Bと吐出口3とは、吐出口3に設けられた、外力により破壊可能な隔壁35により隔離され、隔壁35が破壊されることにより連通可能となっている。
【0022】
吐出口3は、図3に示すように、吐出パイプ31、吐出口本体32及び隔壁35を主体として構成されている。
吐出口3は、合成樹脂、金属等から形成することができる。本実施形態においては、基材シート4及びフィルム5との接合性、外観、触感等を考慮し、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂から射出成形(インジェクション成形)により一体的に形成されている。
【0023】
吐出パイプ31は、円筒形のパイプ部材で、その内部に、図14に示すように、混合後硬化前の混合組成物Fが流通可能になっている。吐出パイプ31の内周面には、凹状環31Aが形成されている。
吐出口本体32は、吐出パイプ31を包接するもので、吐出パイプ31の外周に外接する一対の湾曲板状の本体外周部33を有している。本体外周部33の外周には、リブ33Aが設けられている。
【0024】
隔壁35は、第2袋状領域2Bと吐出口3の吐出パイプ31とを隔離するもので、吐出口本体32の本体上縁部34に、第2袋状領域2Bに隣接して設けられている。このように、隔壁35が第2袋状領域2Bに隣接して設けられているので、隔壁35の破壊前において、吐出口3の吐出パイプ31に第2液F2が流入することがなく、吐出口3の吐出パイプ31への第2液F2の流入に起因する第1液F1と第2液F2との未混合が発生することがない。
【0025】
隔壁35は、円盤状で、中心角が60度の扇形の隔壁片36が6個集合して形成されている。隣接する隔壁片36間、及び隔壁片36の円弧部分と本体上縁部34との間は、隔壁35を破壊し易くするための薄肉部37により連結されている。そのため、隔壁35は、外力が加わると、通常、隔壁片36の形状を維持したまま薄肉部37が破断することにより、破壊されるようになっている。
【0026】
薄肉部37は、外力が加わったときに脆く破断せず、伸びながら破断するような物性を有していることが好ましい。このように伸びながら破断する薄肉部37が形成された隔壁35においては、隔壁35が破壊したときに、その破片が吐出口3に連結した状態で残り、該破片が吐出口3から分離して吐出口3の吐出パイプ31を塞いだり、吐出口3の外部に排出されることを防止できる。
【0027】
前述の構成を有する吐出口3は、基材シート4とフィルム5とにより吐出口本体32の本体外周部33が挟持された形態で、基材シート4及びフィルム5に接合固定されている。吐出口3と基材シート4及びフィルム5との接合手段には制限はないが、例えば、ヒートシール接合、接着等により接合することができる。
【0028】
次に、吐出具7について詳述する。
二液混合容器1の吐出口3の吐出パイプ31の内周には、図1及び図4に示すように、吐出具7が装着されるようになっている。本実施形態における吐出具7は、へそ等の身体凹部の開口部を拡開して、二液混合硬化型組成物である身体凹部清浄剤(詳細は後述)の注入をより容易とする拡開具を兼ねている。即ち、身体凹部への挿入に伴って、該身体凹部を徐々に拡開し得る構造を有している。以下の説明においては、「へそ」をもって身体凹部を代表することとする。
【0029】
吐出具7は、図5〜図7に示すように、円筒状の筒状部73と、筒状部73の上端部73Aに設けられた尖鋭形状を有する尖鋭部71と、筒状部73の外周面から延出して設けられたつば部74と、筒状部73の外周面から所定間隔で延設された複数個のフィン部75とを備えている。
尖鋭部71には、混合組成物が吐出口3から流入する剤流入口78が設けられている。筒状部73の下端部73Bには、剤流入口78に連通する剤排出口76が設けられている。
吐出具7は、合成樹脂、金属等から形成することができる。本実施形態においては、外観、触感等を考慮し、ポリエチレン等の合成樹脂から射出成形(インジェクション成形)により一体的に形成されている。
【0030】
尖鋭部71は、図7に示すように、平面視で120度離間する3個の尖鋭枠部71Aを備えており、3個の尖鋭枠部71Aから、全体視で尖鋭形状に構成されている。隣接する尖鋭枠部71Aの間は、それぞれ流入孔部78Aとなっており、3個の流入孔部78Aから剤流入口78が構成されている。尖鋭部71の下端には、凸条環71Bが形成されている。
筒状部73においては、尖鋭部71Aの剤流入口78と下端部73Bの剤排出口76とは連通し、剤管路79が形成されている。そのため、剤流入口78から流動体が流入すると、剤管路79を介して剤排出口76から該流動体が排出されるようになっている。
【0031】
つば部74は、筒状部73の下端部73Bから上端部73Aに向けて凹んだお椀状の形状を有している。
フィン部75は、筒状部73の外周面において、筒状部73の下端部73B近傍からつば部74の下面に亘って、該外周面からの高さが徐々に高くなるように60度間隔で6個設けられている。フィン部75は、吐出具7を所定方向とは逆方向に、即ち剤排出口76から吐出口3に挿入しようとした際の逆さ挿入防止機構としても作用する。
【0032】
つば部74の面方向の大きさ及び形状は、へその開口部を閉蓋し、吐出具7のへそ凹部への過挿入を防止し得る大きさ及び形状となっている。フィン部75の大きさ及び形状は、へそ凹部における窄まった開口部を、吐出具7の挿入に伴って徐々に拡開できる大きさ及び形状となっている。
【0033】
つば部74の最下端(周縁部)と筒状部73の下端部73Bとの距離L1〔図6(a)参照〕は、へそ凹部の深さより若干短くなっており、具体的には10〜15mmが好ましい。つば部74の最上端と尖鋭部71の先端との距離L2〔図6(a)参照〕は、8〜15mmが好ましい。お椀状のつば部74における凹み深さL3〔つば部74の最下端とつば部74の凹みの最深部との距離、図6(d)参照〕は、身体凹部清浄剤をへそ凹部内に注入した際に、へそ凹部から溢れた身体凹部清浄剤をストックし得る深さを有していればよく、具体的には0〜5mmが好ましい。
【0034】
前述の構成を有する二液混合容器1及び吐出具7によれば、図8に示すように、吐出具7を吐出口3に装着する際に吐出具7で隔壁35を破壊することにより、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させて、第2袋状領域2B内の混合組成物Fを吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出できるようになっている。
【0035】
詳細には、吐出具7を吐出口3に装着する際に、吐出具7の尖鋭部71により隔壁35が押圧され、比較的強度の弱い薄肉部37が破断して、隔壁35が破壊される。そして、吐出具7で隔壁35を破壊した後、吐出具7を吐出口3に更に挿入すると、吐出具7の凸条環71Bが吐出口3の凹条環31Aに嵌合し、ストッパー機構として作用する。その結果、吐出具7が吐出口3に固定した状態で、第2袋状領域2Bと吐出口3とが連通し、第2袋状領域2B内の混合組成物Fが吐出口3を介して吐出具7の剤排出口76から外部に吐出されるようになっている。
【0036】
次に、本発明の二液混合吐出容器における二液混合容器に収納される二液混合硬化型組成物について詳述する。二液混合硬化型組成物としては、例えば、シリコーンゴム系組成物、エポキシ系組成物、ウレタン系組成物、アルギン酸系ゲル化組成物等が挙げられる。
本実施形態においては、身体凹部に注入された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となる組成物が用いられている。特に、二液混合硬化型の液状シリコーンゴム組成物が好ましく用いられる。
【0037】
二液混合硬化型の液状シリコーンゴム組成物としては、例えば、第1液がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベースからなり、第2液が架橋剤を含有する硬化剤ベースからなるからなるものが挙げられる。かかる二液混合硬化型組成物は、更に、硬化触媒を第1液又は第2液に含有していてもよい。
第1液におけるジオルガノポリシロキサンとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサン又は分子内に2個以上のビニル基を有するビ
ニル化ジオルガノポリシロキサンが用いられ、いずれを使用するかに応じて架橋剤、硬化触媒も選定される。
【0038】
次に、本実施形態の二液混合吐出容器10の一使用方法について、図9〜図15を参照しながら説明する。
先ず、図9に示すように、手指Hを用いて、二液混合容器1の第1袋状領域2A内の第1液F1が第2袋状領域2Bに向けて移動するように、第1袋状領域2Aのフィルム5の第1収容部5Aを押圧する。尚、図9(b)においては、吐出口3の図示を省略している。
この押圧により、第1液F1が領域間シール部S1に向けて押し出され、領域間シール部S1において基材シート4とフィルム5とを剥離する力が加わる。その結果、領域間シール部S1が剥離し、領域間連通路61が形成されて、第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとが連通する。
【0039】
こうして、第1袋状領域2A内の第1液F1と第2袋状領域2B内の第2液F2とが領域間連通路61を介して混合可能となる。即ち、図10に示すように、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを左右の手指Hで交互に押圧することによって、連通した袋状領域(2A,2B)内で第1液F1と第2液F2とを混合する。尚、図10(b)及び(c)においては、吐出口3の図示を省略している。
【0040】
次に、図11に示すように、二液混合容器1の吐出口3の吐出パイプ31に、吐出具7を尖鋭部71から挿入して装着する。
詳述すると、図8に示すように、吐出具7の尖鋭部71により吐出口3の隔壁35が押圧され、比較的強度の弱い薄肉部37が破断して隔壁35が破壊する。尚、隔壁35の破壊形態は、図8に示す破壊形態に限らず、様々である。また、隔壁35を破壊する際に、第2袋状領域2B内の第2液が意図せず吐出されないようにすることが好ましい。
このようにして、第2袋状領域2Bと吐出口3とが連通すると共に、吐出口3に吐出具7が装着される。
【0041】
次に、図12に示すように、二液混合容器1の吐出口3に装着された吐出具7を、つば部74がへそ凹部N近傍の腹の表面に当接するまで、へそ凹部Nに挿入する。この挿入過程において、窄まっているへそ凹部Nの開口部が、フィン部75で押圧されて徐々に拡開される。
【0042】
この状態下で、図13に示すように、二液混合容器1を第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとの間を折り畳み線として、換言すると領域間連通路61を折り畳み線として折り畳む。このとき、連通した袋状領域(2A,2B)内で混合された混合組成物Fを、予め吐出口3に近い領域である第2袋状領域2B側に片寄せておいてから折り畳むのが好ましい。
【0043】
そして、図14に示すように、対向する基材シート4の上から手指Hで押圧することにより、第2袋状領域2Bを挟圧する。その結果、第2袋状領域2B内の混合組成物Fは、吐出口3に向けて押し出され、吐出口3の吐出パイプ31から排出される。吐出口3から排出された混合組成物Fは、更に、吐出具7において、剤流入口78から流入して剤排出口76から吐出され、へそ凹部Nの内部に注入される。
【0044】
そして、混合組成物Fを、吐出具7の先端部である剤排出口76を被覆するまで注入し、そのまま所定時間放置して硬化させる。その硬化時間は、身体凹部清浄剤Fの組成及び物性や、へそ凹部Nへのその注入量等により異なる。身体凹部清浄剤F(混合組成物)は、硬化するとゲル状又はゴム状になり、吐出具7と一体化する。
【0045】
その後、図15に示すように、二液混合容器1における折り畳んだ基材シート4を摘み、硬化した身体凹部清浄剤Fを吐出具7と共にへそ凹部Nから引き抜く。その結果、へそ凹部Nの底部周辺に付着していたへそのゴマ(汚れ)Dが、身体凹部清浄剤Fに同伴した状態で、へそ凹部Nから除去される。
【0046】
以上の説明の通り、本実施形態の二液混合吐出容器10によれば、吐出具7を二液混合容器1の吐出口3に装着するだけで、第2袋状領域2Bと吐出口3とを隔離する隔壁35が破壊されて、第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させることができ、その後、第2袋状領域2B内の混合組成物Fを、吐出口3を介して吐出具7から外部に吐出することができる。そのため、混合組成物Fを外部に吐出可能な状態にする操作が簡便である。
【0047】
また、仮に、第2袋状領域2Bと吐出口3との隔離する構成を、領域間シール部S1と同様に、シール部から構成すると、このシール部のシール強度を、領域間シール部S1のシール強度よりも大きく且つ外周シール部S2のシール強度よりも小さく3段階に設定する必要がある。しかし、シール強度を3段階にしたシール加工は、中間のシール強度のシール条件の設定範囲が極めて狭く、技術的に極めて困難である。
【0048】
而して、本実施形態の二液混合吐出容器10においては、二液混合容器1における第2袋状領域2Bと吐出口3との隔離する構成を、シール部ではなく、隔壁35から構成しているため、シール強度を3段階にしたシール加工を行う必要がなく、前記実施形態のようにシール強度を2段階にしたシール加工(領域間シール部S1と外周シール部S2)で足りる。そのため、二液混合容器1の製造が技術的に容易である。
【0049】
また、吐出具7の剤流入口78が二以上(前記実施形態においては3個)の流入孔部78Aから構成されているため、混合組成物Fは、剤流入口78から剤管路79に流入する際にその流動が乱れ、更に混合されることになる。つまり、二以上の流入孔部78Aがスタティックミキサーの役目をすることになる。その結果、混合組成物Fにおける未混合部分を減少させることができる。
【0050】
更に、吐出具7の剤流入口78が二以上の流入孔部78Aから構成されているため、混合組成物Fが吐出具7の剤流入口78を介して剤排出口76から吐出される際に、混合組成物Fの不快な流動音の発生を防止することができる(消音効果)。この消音効果の原理は定かではないが、混合組成物Fが二以上の流入孔部78Aによって分流して剤管路79に流入するため、混合組成物Fのスムーズな流動が阻害され、剤管路79内の空気溜まりが先に剤排出口76から吐出されたり、混合組成物Fにおける大きな気泡が細かく砕かれて、剤管路79内に大きな空気溜まりを作らないこと等が考えられる。
【0051】
しかも、吐出具7が拡開具を兼ねているため、吐出具7をへそ凹部Nに挿入するだけでへそ凹部Nの開口部を拡開して身体凹部清浄剤Fを注入し易くでき、更に、へそ凹部N内に身体凹部清浄剤Fを効率的に注入できるため、へそ凹部Nの拡開操作及び身体凹部清浄剤組成物Fのへそ凹部Nへの注入操作が簡便である。
【0052】
また、本実施形態の二液混合吐出容器10を用い、図9〜図15に示す使用方法でへそ掃除を行うと、へそ凹部NからへそのゴマDを簡便な操作で除去することができる。その際に、爪で引っ掻いたり、綿棒で掻き出す場合に比して、へそ凹部Nの内表面に傷を付けたり、腹膜に刺激を与えることがない。
具体的には、二液混合容器1の第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを外力により連通させて、第1液F1と第2液F2とを混合させ、その後、第2袋状領域2Bと吐出口3とを、吐出具7で隔壁35を破壊することにより連通させて、混合組成物Fを吐出口3を介して吐出具7からへそ凹部Nに吐出するようになしてあるため、第1液F1と第2液F2との混合操作及び混合組成物Fの吐出操作を一連の操作で簡便に行うことができる。
【0053】
隔壁35は、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bと吐出口3とを隔離し、破壊されることにより第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bと吐出口3とを連通させることができるものであれば、その構成に制限はない。吐出口3における隔壁35の位置も制限はない。
【0054】
吐出具7は、二液混合容器1の吐出口3の隔壁を破壊でき、吐出口3から流入する混合組成物Fを吐出できるものであれば、拡開具を兼ねているものに制限されず、また必ずしも用いる必要はない。
【0055】
第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの形状は、前述の実施形態における形状に制限されない。例えば、半球状、円錐状、円錐台状、矩形状、四角錘状等の形状とすることができる。第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの配置位置も、前述の実施形態における配置位置に制限されない。
【0056】
第1袋状領域及び第2袋状領域は、基材シートに、第1収容部及び第2収容部を有する柔軟なフィルムを融着させて形成されたものに制限されない。
前記実施形態におけるフィルム5は、第1収容部5A及び第2収容部5Bの両方を有しているが、第1収容部5A又は第2収容部5Bの一方のみを有するフィルムをそれぞれ基材シート4に融着させて、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bを形成することができる。
【0057】
本発明の二液混合吐出容器の使用方法は、前述した使用方法に制限されない。
二液混合容器1の第1袋状領域2Aと第2袋状領域2Bとを連通させる際には、第1袋状領域2A及び第2袋状領域2Bの両方に外力を付与してもよく、第1袋状領域2A又は第2袋状領域2Bの一方のみに外力を付与してもよい。
また、第1液F1と第2液F2との混合は、第1袋状領域2A内及び第2袋状領域2B内の両方を使用して行うのが好ましいが、第1袋状領域2A内のみ又は第2袋状領域2B内のみで行うこともできる。
【0058】
身体凹部清浄剤Fをへそ凹部N内に注入した後、吐出具7をへそ凹部Nに挿入したまま、吐出口3を含む二液混合容器1を吐出具7から取り外して、身体凹部清浄剤Fを硬化させることができる。
本発明の二液混合吐出容器は、へそ凹部のへそのゴマの除去以外にも、耳垢、手足の爪垢の除去等にも適用することができ、また、人間以外に、ペット等の動物にも適用することができる。
。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の二液混合吐出容器の一実施形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)に示すA−B−C−D切断線で切断した部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示す二液混合吐出容器における二液混合容器を示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は左側面図である。
【図3】図3は、図2に示す二液混合容器における吐出口を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−B−C−D切断線で切断した部分断面図、(c)は底面図である。
【図4】図4は、図2に示す二液混合容器における吐出口に吐出具を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、吐出具を示す斜視図で、(a)は下端部側から視た図、(b)は上端部側から視た図である。
【図6】図6は、吐出具を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(c)に示すD−D断面図である。
【図7】図7は、吐出具における尖端部近傍を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】図8は、吐出具により二液混合容器の吐出口の隔壁を破壊する経過を示す半断面図で、(a)は隔壁の破壊直前を示す図、(b)は隔壁の破壊直後を示す図である。
【図9】図9は、図1に示す二液混合吐出容器の一使用方法の一手順を示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図10】図10は、図9に示す手順の次の手順を示す図で、(a)は正面図、(b)は第1袋状領域を押圧した状態を示す底面図、(c)は第2袋状領域を押圧した状態を示す底面図である。
【図11】図11は、図10に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図12】図12は、図11に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図13】図13は、図12に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図14】図14は、図13に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【図15】図15は、図14に示す手順の次の手順を示す正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 二液混合容器
2A 第1袋状領域
2B 第2袋状領域
3 吐出口
31 吐出パイプ
31A 凹条環
32 吐出口本体
33 本体外周部
33A リブ
34 本体上縁部
35 隔壁
36 隔壁片
37 薄肉部
4 基材シート
5 フィルム
5A 第1収容部
5B 第2収容部
61 領域間連通路
7 吐出具
71 尖鋭部
71A 尖鋭枠部
71B 凸条環
73 筒状部
73A 上端部
73B 下端部
74 つば部
75 フィン部
76 剤排出口
78 剤流入口
78A 流入孔部
79 剤管路
10 二液混合吐出容器
D 汚れ
F 身体凹部清浄剤(混合組成物)
F1 第1液
F2 第2液
H 手指
N へそ凹部
S1 領域間シール部
S2 外周シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1袋状領域、第2袋状領域、及び該第1袋状領域又は該第2袋状領域と隔壁を介して連結された吐出口を有する二液混合容器と、該吐出口に装着される吐出具とを備え、
前記第1袋状領域には、二液混合硬化型組成物の第1液が充填され、前記第2袋状領域には、該二液混合硬化型組成物の第2液が充填され、
前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とは、外力により連通可能に独立しており、
前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と前記吐出口とは、前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、
前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とを外力により連通させて、前記第1液と前記第2液とを混合させ、混合組成物を得た後、前記吐出具を前記吐出口に装着する際に該吐出具で前記隔壁を破壊することにより、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と該吐出口とを連通させて、前記混合組成物を該吐出口を介して前記吐出具から外部に吐出するようになしてある二液混合吐出容器。
【請求項2】
前記吐出具は、前記混合組成物が前記吐出口から流入する剤流入口を有しており、該剤流入口は、二以上の流入孔部から構成されている請求項1記載の二液混合吐出容器。
【請求項3】
前記剤流入口は、尖鋭形状を有する尖鋭部に設けられている請求項2記載の二液混合吐出容器。
【請求項4】
前記二液混合硬化型組成物は、身体凹部内の汚れを除去するための身体凹部清浄剤である請求項1〜3の何れかに記載の二液混合吐出容器。
【請求項5】
前記身体凹部清浄剤は、身体凹部に注入された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となるものである請求項4記載の二液混合吐出容器。
【請求項6】
前記身体凹部は、へそ凹部であり、前記吐出具は、該へそ凹部の開口部を拡開する拡開具を兼ねている請求項4又は5に記載の二液混合吐出容器。
【請求項1】
隣接する第1袋状領域、第2袋状領域、及び該第1袋状領域又は該第2袋状領域と隔壁を介して連結された吐出口を有する二液混合容器と、該吐出口に装着される吐出具とを備え、
前記第1袋状領域には、二液混合硬化型組成物の第1液が充填され、前記第2袋状領域には、該二液混合硬化型組成物の第2液が充填され、
前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とは、外力により連通可能に独立しており、
前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と前記吐出口とは、前記隔壁が破壊されることにより連通可能になっており、
前記第1袋状領域と前記第2袋状領域とを外力により連通させて、前記第1液と前記第2液とを混合させ、混合組成物を得た後、前記吐出具を前記吐出口に装着する際に該吐出具で前記隔壁を破壊することにより、前記第1袋状領域又は前記第2袋状領域と該吐出口とを連通させて、前記混合組成物を該吐出口を介して前記吐出具から外部に吐出するようになしてある二液混合吐出容器。
【請求項2】
前記吐出具は、前記混合組成物が前記吐出口から流入する剤流入口を有しており、該剤流入口は、二以上の流入孔部から構成されている請求項1記載の二液混合吐出容器。
【請求項3】
前記剤流入口は、尖鋭形状を有する尖鋭部に設けられている請求項2記載の二液混合吐出容器。
【請求項4】
前記二液混合硬化型組成物は、身体凹部内の汚れを除去するための身体凹部清浄剤である請求項1〜3の何れかに記載の二液混合吐出容器。
【請求項5】
前記身体凹部清浄剤は、身体凹部に注入された後、一定時間経過後に硬化し、該身体凹部内の汚れを同伴して該身体凹部から取り出し可能な形態となるものである請求項4記載の二液混合吐出容器。
【請求項6】
前記身体凹部は、へそ凹部であり、前記吐出具は、該へそ凹部の開口部を拡開する拡開具を兼ねている請求項4又は5に記載の二液混合吐出容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−21307(P2007−21307A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204497(P2005−204497)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】
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