説明

二軸式ミキサ

【課題】 混練軸の同調機構を安価なもので構成し、装置コストの低廉化を図った二軸式ミキサを提供する。
【解決手段】 一方の減速機8にその入力軸9と平行に同調軸19を回転自在に備え、この同調軸19と前記入力軸9とを同調ギヤ20にて噛合させて同調軸19を入力軸9と相反方向に回転させる。また、同調軸19の一端部には第一の同調プーリ21を固着し、この第一の同調プーリ21と他方の減速機8´の入力軸9´の一端部に固着した第二の同調プーリ21´とをタイミングベルト22にて巻回し、各混練軸3、3´の回転を同調させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生コンクリートなどを製造するのに適した二軸式ミキサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートなどを製造するミキサとして、例えば二軸式ミキサがある。図7、図8は、本出願人が以前出願した二軸式ミキサを説明する図面であり、この二軸式ミキサ101、101´は、混練材料を投入する混練槽102内に二本の平行な混練軸103を貫通させ、その端部を混練槽102に固定した軸受104にて回転自在に軸支していると共に、混練軸103の周囲には放射状に多数の混練羽根105を備えている。前記混練軸103の一端側には減速機106を設け、該減速機106の出力軸107と混練軸103とを連結している一方、減速機106の入力軸108に固着したプーリ109と、減速機106上位に備えた駆動用モータ110の出力軸111に固着したプーリ112とをVベルト113にて巻回しており、駆動用モータ110からの駆動力を減速機106を介して混練軸103に伝達して所定の速度で回転させるように構成している(特許文献1参照)。
【0003】
また、各混練軸103を回転させる際にそれぞれの混練羽根105が干渉しないように各種の同調機構が採用されており、例えば図7に示される二軸式ミキサ101では、各混練軸103の端部に固着した同調ギヤ114同士を噛合させて各混練軸103の回転を同調させるようにしている。また、図8に示される二軸式ミキサ101´では、前記同調ギヤに代えて、各減速機106の側方に備えた入力軸108同士をカップリング機構115にて連結しており、これにより各混練軸103の回転の同調を図りながらミキサのコンパクト化も図っている。
【0004】
図9は、図8に示される二軸式ミキサ101´に採用される減速機106であって、前記の通り、各減速機106の入力軸108同士を同調機構であるカップリング機構115にて連結させるため、各入力軸108を対向させるように減速機106の側方に備えている。このとき、入力軸108は、図9に示すように、出力軸107と直行方向に配置されることになるため、出力軸107と同じ軸心上には従入力軸108´を別途配置すると共に、これら入力軸108と従入力軸108´とをベベルギヤ116、116´にて噛合させることにより、入力軸108からの駆動力を直行方向の従入力軸108´を介して出力軸107側に伝達可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−114008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記カップリング機構を採用した二軸式ミキサにて、混練軸の同調用として採用されているベベルギヤは、直交するギヤ同士の噛み合わせ部分に高い精度が求められるため一般的に製作コストが高く付きやすく、そのことが装置コストの低廉化を妨げる一因ともなっている。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、混練軸の同調機構を安価なもので構成し、装置コストの低廉化を図った二軸式ミキサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するために、請求項1記載の二軸式ミキサにあっては、混練材料を投入する混練槽と、該混練槽に回転自在に貫通した二本の平行な混練軸と、各混練軸を相反方向へ回転駆動させるための駆動用モータと、該駆動用モータの回転数を減速して混練軸に伝達する減速機とを備えた二軸式ミキサであって、一方の減速機にその入力軸と平行に同調軸を回転自在に備え、該同調軸と前記入力軸とを同調ギヤにて噛合させて同調軸を入力軸と相反方向に回転させると共に、同調軸の一端部には第一の同調プーリを固着し、該第一の同調プーリと他方の減速機の入力軸の一端部に固着した第二の同調プーリとをタイミングベルトにて巻回して各混練軸の回転を同調させるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載の二軸式ミキサによれば、一方の減速機にその入力軸と平行に同調軸を回転自在に備え、該同調軸と前記入力軸とを同調ギヤにて噛合させて同調軸を入力軸と相反方向に回転させると共に、同調軸の一端部には第一の同調プーリを固着し、該第一の同調プーリと他方の減速機の入力軸の一端部に固着した第二の同調プーリとをタイミングベルトにて巻回して各混練軸の回転を同調させるように構成したので、混練軸の同調機構を比較的安価に構成でき、装置コストの低廉化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る二軸式ミキサの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1の一部を切り欠いた要部拡大図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】従来例を示す図2に相当する図である。
【図8】別の従来例を示す図2に相当する図である。
【図9】図8の減速機部分の一部切り欠き拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の二軸式ミキサにあっては、混練槽に二本の平行な混練軸を備え、これら各混練軸を相反方向へ回転駆動させる駆動用モータを備えていると共に、該駆動用モータの回転数を減速して混練軸に伝達する減速機を備えている。また、一方の減速機にはその入力軸と平行に同調軸を回転自在に備え、該同調軸と前記入力軸とをそれぞれ同調ギヤにて噛合させて同調軸を入力軸と相反方向に回転させるようにしていると共に、同調軸の一端部には第一の同調プーリを固着している。また、他方の減速機の入力軸の一端部にも同様の構造を有する第二の同調プーリを固着しており、これら各同調プーリにタイミングベルトを巻回して各混練軸の回転を同調させるように構成している。
【0012】
なお、各減速機の入力軸は混練軸と同様にそれぞれ相反方向に回転させるため、これら各入力軸同士にタイミングベルトを直接巻回させて同調させるといったことはできないものの、本案の同調機構では、上記の通り、一方の減速機の入力軸と平行に同調軸を別途配置して入力軸と相反方向に回転させるようにしたことにより、この同調軸と他方の減速機の入力軸の回転方向を同一方向に揃えられタイミングベルトによる同調を可能としている。
【0013】
このように、従来装置の混練軸の同調機構に採用されていたベベルギヤに代えて、プーリやタイミングベルトなどの比較的安価な構成品にて同調機構を構成することができ、装置コストの低廉化を図ることが可能となる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1乃至図6は、本発明の二軸式ミキサの一実施例を示す図面であって、図中の1は、各種材料を混練する二軸式ミキサ本体であり、二双の胴より成る混練槽2内に二本の平行な混練軸3(3´)を貫通しており、該混練軸3(3´)の両端部を混練槽2に固設した軸受4にて回転自在に軸支していると共に、各混練軸3(3´)には回転軌跡が混練槽2の内壁に沿うように回転して混練槽2内の材料を混練軸3(3´)方向へ連続的に送り出す二条の螺旋羽根5をアーム6を介して備えている。
【0016】
7(7´)は前記混練軸3(3´)を回転駆動させるための駆動用モータであり、その側方には駆動用モータ7(7´)の回転数を減速して混練軸3(3´)に伝達する減速機8(8´)を配設している。また、前記減速機8(8´)は、駆動用モータ7(7´)からの駆動力を受け取る入力軸9(9´)と、受け取った駆動力を外部へ伝達する出力軸10(10´)とを備えており、前記入力軸9(9´)にはプーリ11(11´)を、駆動用モータ7(7´)の駆動軸12(12´)にもプーリ13(13´)を固着し、これら各プーリ11、13(11´、13´)にはVベルト14(14´)を巻回している一方、前記出力軸10(10´)は混練軸3(3´)と連結している。
【0017】
減速機8(8´)は、縦長に形成したケーシング15(15´)内部の上下位置にそれぞれ入力軸9(9´)と出力軸10(10´)を混練軸3(3´)と平行に回転自在に軸支し、またこれら入力軸9(9´)と出力軸10(10´)の中間位置には複数の回転軸16、17(16´、17´)を平行に軸支していると共に、これら入力軸9(9´)や、回転軸16、17(16´、17´)及び出力軸10(10´)はそれぞれヘリカルギヤ18a、18b、18c(18a´、18b´、18c´)にて噛合させており、入力軸9(9´)の回転を回転軸16、17(16´、17´)を介して出力軸10(10´)に連動させている。また、前記ヘリカルギヤ18a〜18c(18a´〜18c´)は、入力側から出力側に向かうにつれて徐々にその径が大きくなるように形成しており、駆動用モータ7(7´)によって回転する入力軸9(9´)の回転速度を徐々に減速させながらトルクを増加させて出力軸10(10´)に伝達させる構成としている。
【0018】
また、一方の減速機8には、その入力軸9と平行に同調軸19を回転自在に軸支し、該同調軸19と入力軸9とを同調ギヤ20にて噛合させ、同調軸19を入力軸9と相反方向に回転させるようにしている。また、同調軸19の一端部に第一の同調プーリ21を固着している一方、他方の減速機8´の入力軸9´の一端部に第二の同調プーリ21´を固着しており、これら各同調プーリ21、21´にはタイミングベルト22を巻回して各混練軸3、3´の回転を同調させるように図っている。
【0019】
なお、各減速機8、8´の入力軸9、9´は混練軸3、3´と同様に相反方向に回転させるため、これら各入力軸9、9´同士にタイミングベルトを直接巻回して同調させるといったことはできないが、本案の同調機構においては、一方の減速機8の入力軸9と平行に同調軸19を別途配置し、同調ギヤ20にて入力軸9と相反方向に回転させるようにしたことにより、この同調軸19に固着される同調プーリ21と、他方の減速機8´の入力軸9´に固着される同調プーリ21´の回転方向を同一方向に揃えることができ、それによってタイミングベルト22での同調を可能としている。
【0020】
このように、本発明によれば、二軸式ミキサの同調機構をプーリやタイミングベルトなどの比較的安価な構成品にて構成することが可能となり、装置コストの低廉化が期待できる。
【0021】
なお、本実施例においては、同調機構をプーリやタイミングベルトにて構成したが、例えば、プーリに代えてスプロケットを、タイミングベルトに代えてチェーンを採用することもできる。
【符号の説明】
【0022】
1…二軸式ミキサ 2…混練槽
3、3′…混練軸 5…螺旋羽根
6…アーム 7、7´…駆動用モータ
8、8´…減速機 9、9´…入力軸
10、10´…出力軸 19…同調軸
20…同調ギヤ 21、21´…同調プーリ
22…タイミングベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練材料を投入する混練槽と、該混練槽に回転自在に貫通した二本の平行な混練軸と、各混練軸を相反方向へ回転駆動させるための駆動用モータと、該駆動用モータの回転数を減速して混練軸に伝達する減速機とを備えた二軸式ミキサであって、一方の減速機にその入力軸と平行に同調軸を回転自在に備え、該同調軸と前記入力軸とを同調ギヤにて噛合させて同調軸を入力軸と相反方向に回転させると共に、同調軸の一端部には第一の同調プーリを固着し、該第一の同調プーリと他方の減速機の入力軸の一端部に固着した第二の同調プーリとをタイミングベルトにて巻回して各混練軸の回転を同調させるように構成したことを特徴とする二軸式ミキサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−173053(P2011−173053A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38029(P2010−38029)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】