説明

二軸押出機、それを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

【課題】炭化物の生成を効果的に抑制し、欠点個数の少ないフィルムを得るための、二軸押出機及び製造方法を提供する。
【解決手段】二軸押出機のスクリュー2の最外径6をDとした際に、第1ベント下のスクリューピース7の原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることを特徴とする二軸押出機である、さらに該二軸押出機を用いた工程を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である、さらに二軸押出機の原料投入部3から窒素ガスを導入する該フィルムの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物量の極めて少ない熱可塑性樹脂フィルムを製造可能な装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を使用してフィルムを製膜する際に押出機の脱気性能や添加剤の分散性の観点から二軸押出機が使用されることがある。二軸押出機を用いて溶融・混練する場合、押出材料に随伴された空気(以下、随伴空気)存在下でのスクリュー回転による剪断発熱、押出機シリンダーからの熱によって、押出材料の一部が酸化または熱分解してゲル化物・炭化物等(以下、ゲル化物)が生成し製膜したフィルムの欠点となることがある。
【0003】
随伴空気による酸化劣化防止対策としては、窒素ガスを押出機の供給口等から供給し酸素濃度を低減することによって、ゲル化物の生成を抑制する技術が特許文献1に開示されている。しかし、窒素ガスを供給する方法は、随伴空気を置換するだけの窒素ガスを供給すると、材料がスクリュー流路を逆流・供給口へ吹上げる現象を引き起こしやすく、搬送能力を低下かつ不安定にし、溶融樹脂の吐出も不安定にする現象を引き起こすことがあった。とくに材料が粉体である場合、搬送能力の低下、吐出の不安定化につながりやすかった。また、異物量を減少させる効果に限界があった。また、特許文献2には固体輸送ゾーンの途中にニーディングディスクを使用してホッパー側から混入した空気の押出機奥部への進入を遮断し酸化劣化を防止する方法が記載されているが、固体輸送部分に使用するニーディング部分では熱可塑性樹脂に剪断熱がより多くかかることなり、固体輸送部が順送りのスクリューピースのみで構成される場合と比較して熱がより多くかかることとなり、ポリマの酸化劣化、熱劣化を招きやすい。特許文献3にはベント孔前後で溶融しない程度に熱可塑性樹脂を昇降圧し、ベント孔では真空引きをしない方法が記載されているが、ベント孔で真空引きをしないことから、押出後の熱可塑性樹脂の粘度が低下し、フィルム製膜時の破れやフィルム強度の低下につながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−206216号公報
【特許文献2】特開2008−155570号公報
【特許文献3】特開2002−292626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、炭化物の生成を効果的に抑制し、欠点個数の少ないフィルムを得るための、二軸押出機及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
1) 二軸押出機のスクリューの最外径をDとした際に、第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることを特徴とする二軸押出機。
2) 前記1)に記載の二軸押出機を用いた工程を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
3) 前記二軸押出機の原料投入部から窒素ガスを導入することを特徴とする、前記2)に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、欠点個数の少ないフィルムを得るための、二軸押出機及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の二軸押出機の模式図の一例
【図2】実施例3の二軸押出機の模式図
【図3】実施例4の二軸押出機の模式図
【図4】比較例1の二軸押出機の模式図
【図5】比較例3の二軸押出機の模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1に本発明の二軸押出機の例を示す。図1において1は押出機のシリンダー、2はスクリュー、3は原料投入部、4は第1ベント孔、5は第2ベント孔である。なお、これは一例であり、本発明の二軸押出機はこれに限定されない。
【0011】
本発明の二軸押出機では、スクリューは複数のスクリューピースから構成されている。つまり図1中の2のスクリューは各ピースに分割されている。なお、本発明の二軸押出機では、各スクリューピースの原料搬送方向の長さは、スクリューの最外径をDとしたときに、Dに数字を乗じた長さとする。
【0012】
ここでスクリューの最外径とは、スクリューを回転させたときのスクリューの端部の軌道のうち一番長い径のことである。図1においては、6の長さである。
【0013】
例えば、あるスクリューピースの原料搬送方向の長さが、スクリュー外径と同じであれば、そのスクリューピースの原料搬送方向の長さは1.0Dとなる。
【0014】
本発明の二軸押出機では、少なくとも1つのベントを有する。なお、二軸押出機が複数のベントを有する場合には、押出機の原料搬送方向(原料が流れる方向)において、原料投入部に近い側のベントから、順に第1ベント、第2ベント、第3ベント・・・等と定義する。
【0015】
そして本発明の二軸押出機では、第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることが重要である。つまり図1では、第1ベント下のスクリューピースであるスクリューピース7及び8の長さが、0.5D〜1.25Dである。なお、第1ベント下のスクリューピースが複数ある場合には、第1ベント下の少なくとも1つのスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることが重要であり、特に好ましくは、第1ベント下の全てのスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dである。
【0016】
ここでベント下のスクリューピースとは、ベント孔の端部のうち、原料投入部に最も近いベント孔端部から原料搬送方向に対して垂直な線(図1における9)上にあたるスクリューピース(図1におけるスクリューピース7)と、原料投入部に最も遠いベント孔端部から原料搬送方向に対して垂直な線(図1における10)上にあたるスクリューピース(図1におけるスクリューピース8)と、その間にあるスクリューピースの全てを意味する。
【0017】
第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが0.5Dより短いと、原料搬送方向に対して垂直方向のスクリュー周りのポリマ厚みが厚くなってしまい、脱気効果が低下して、ゲル化物が生成しやすくなり、得られるフィルムは欠点個数の多いものになってしまう。また、ベント孔直下でポリマを滞留させてしまうことになるので、ポリマの搬送方向への推進力が弱まり、ベント孔の側へポリマが吸い込まれて、押出不能になりやすい。第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが1.25Dより長くなると、第1ベント下での滞留時間が短くなってしまい、ベントによる脱気が不十分となりゲル化物が生成しやくなり、得られるフィルムは欠点個数の多いものになってしまう。
【0018】
なお、本発明の二軸押出機のスクリューの最外径Dの長さは、特に限定されないが、好ましくは20mm以上450mm以下である。
【0019】
また本発明の二軸押出機に用いる第1ベント下以外のスクリューピースの原料搬送方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは0.2D以上2.0D以下である。
【0020】
本発明の二軸押出機のスクリューを構成するスクリューピースの数は、特に限定されないが、好ましくは10個以上150個以下である。
【0021】
本発明の二軸押出機において、第1ベント下のスクリューピースの数は、特に限定されないが、好ましくは1個以上8個以下である。
【0022】
二軸押出機のスクリューを構成するスクリューピースとしては、樹脂送り用スクリューピースとミキシング用スクリューピースなどがあるが、本発明ではいずれのスクリューピースを使用することも可能である。なお、樹脂送り用スクリューピースを使用する場合には、順フルフライトのスクリューピースを用いることが好ましい。
【0023】
なお、ベント下のスクリューピースとしては、通常、樹脂送り用スクリューピースを用いることから、本発明の二軸押出機では、ベント下のスクリューピースは順フルフライトのスクリューピースが好ましく用いられる。
【0024】
なお、本発明の二軸押出機は、前述の通り第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることを特徴とするが、本発明のフィルムの製造方法は、前述の二軸押出機を用いた工程を有する方法である。
【0025】
本発明の二軸押出機は、図1中の3の原料投入部から、図1中の11のような細管を使用して、窒素ガスを導入して使用することが好ましい。
【0026】
二軸押出機の原料投入部から導入する窒素ガスの1時間あたりの流量は、二軸押出機の1時間あたりの吐出ポリマ容積の0.5〜20倍(体積比)であることが望ましい。二軸押出機の原料投入部から導入する窒素ガス流量が、二軸押出機の吐出ポリマ容積の0.5倍(体積比)より少ないと、酸素濃度が高くなってしまいゲル化物が生成しやすくなり、製膜フィルムは欠点個数の多いものになってしまうことがある。また、二軸押出機の原料投入部から導入する窒素ガス流量が、二軸押出機の吐出ポリマ容積の20倍(体積比)より多いと搬送能力の低下、吐出の不安定化につながることがある。また、二軸押出機の原料投入部から導入する窒素ガス流量を、二軸押出機の吐出ポリマ容積の20倍(体積比)より多くしても、さらに欠点個数が減少することはない。
【0027】
これらのことから、好ましい本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、前述の二軸押出機を用いた工程を有し、該二軸押出機の原料投入部から窒素ガスを導入することを特徴とする製造方法である。
【0028】
本発明の二軸押出機を使用して得られるフィルムや、本発明の製造方法により得られるフィルムは、欠点個数が少ないフィルムとなる。フィルムの欠点個数が多い場合、該フィルムを使用して加工された成型加工品は外観上劣るものとなったり、光学用フィルムとして使用した際には、画像に影響を与える等の不具合が発生する。
【0029】
本発明の二軸押出機の原料投入部から供給するのに好ましい熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位に有するポリエステルは、安価であり、非常に多岐にわたる用途に用いることができるので好ましい。
【0030】
本発明でいうところのポリエステルとしては、典型的なものは、ジカルボン酸とジオールとの重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。これらは、カルボン酸あるいはアルコールの形で重縮合するのみならず、エステル化誘導体など誘導体としてから重縮合体とできることはいうまでもない。
【0031】
次に、本発明のフィルム製造方法を、例を挙げて以下に説明する。
【0032】
まず熱可塑性樹脂ペレットを用意し、本発明の二軸押出機の原料投入部に供給する。二軸押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除かれる。このとき、二軸押出機は、1台であっても、複数台であってもよい。また複数台の二軸押出機を用いる場合は、フィルターを通過した熱可塑性樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。
【0033】
このようにして得られた溶融体は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
【0034】
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
【0035】
逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、フィルムを構成する樹脂にポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としてはフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
【0036】
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
【0037】
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては、積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以上であり、ガラス転移温度+120以下の温度が好ましい。
【0038】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
【0039】
本発明で得られるフィルムは、欠点個数が少ないフィルムである。フィルムの欠点個数が多いとフィルム使用して加工された成型加工品は外観上劣るものとなったり、光学用フィルムとして使用した場合に画像に影響を与える等の不具合が発生する。
【実施例】
【0040】
本発明の二軸押出機を用いて得られたフィルムを評価するための、フィルムの欠点個数の測定法を記載する。
(欠点個数の測定法)
得られたフィルムから幅方向に等間隔5カ所で10cm×10cm四方のフィルムサンプルを採取し、顕微鏡にてそれぞれのフィルムサンプルを観察し、異物の長径が50μm以上の欠点個数を数える。5サンプルの欠点個数の平均値をフィルムの欠点個数とする。
【0041】
(実施例1)
添加剤として平均粒径1μmのシリカ粒子を0.1質量%含有するガラス転移温度Tgが78℃、融点Tmが255℃、固有粘度が0.62dl/gであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを、最外径Dが105mmの二軸押出機に供給し、押出機にて280℃の溶融状態とした。
【0042】
押出機からの溶融樹脂の吐出量は550kg/hに設定した。用いた二軸押出機の原料投入部に20l/minの窒素ガスを供給し、図1の構成のスクリュー、すなわち図1中の第1ベント下のスクリューピース7、8の原料搬送方向の長さが1.0Dである全長3307.5mmのスクリューを使用した。
【0043】
溶融したポリマは、その最終の厚みが990μmとなるように形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸フィルムとした。その後未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.1倍縦延伸した。続いて縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り、厚み89μmのフィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0044】
(実施例2)
用いた二軸押出機に窒素ガスの供給をしなかったこと以外は実施例1と同様に製膜して、フィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0045】
(実施例3)
使用したスクリューが図2の構成、すなわち図2中の第1ベント下のスクリューピースが、スクリューピース12から15であり、これらの原料搬送方向の長さが0.5Dであること以外は実施例1と同様に製膜しフィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0046】
(実施例4)
使用したスクリューが図3の構成、すなわち図3中の第1ベント下のスクリューピースが、スクリューピース16及び17であり、これらの原料搬送方向の長さが1.25Dであること以外は実施例1と同様に製膜しフィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
使用したスクリューが図4の構成、すなわち図4中の第1ベント下のスクリューピース18及び19の原料搬送方向の長さが1.5Dであること以外は実施例1と同様に製膜しフィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
使用したスクリューが図4の構成のものを使用し、窒素ガスの供給をしなかったこと以外は実施例1と同様に製膜しフィルムを得た。得られたフィルムの欠点個数の測定結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
使用したスクリューが図5の構成、すなわち図5中の第1ベント下のスクリューピースが、スクリューピース20から25であり、これらの原料搬送方向の長さが全て0.25Dであること以外は実施例1と同様に実施しようとしたが、ベント孔の側へポリマが吸い込まれて押出不能となって、フィルムを得ることができなかった。
【0050】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は二軸押出機を使用して製造した異物の少ない熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【符号の説明】
【0052】
1 押出機のシリンダー
2 スクリュー
3 原料投入部
4 第1ベント孔
5 第2ベント孔
6 スクリュー最外径D
7 第1ベント下のスクリューピース
8 第1ベント下のスクリューピース
9 第1ベントにおいて、原料投入部に最も近いベント孔端部から原料搬送方向に対して垂直な線
10 第1ベントにおいて、原料投入部に最も遠いベント孔端部から原料搬送方向に対して垂直な線
11 窒素ガス供給配管
12 第1ベント下のスクリューピース
13 第1ベント下のスクリューピース
14 第1ベント下のスクリューピース
15 第1ベント下のスクリューピース
16 第1ベント下のスクリューピース
17 第1ベント下のスクリューピース
18 第1ベント下のスクリューピース
19 第1ベント下のスクリューピース
20 第1ベント下のスクリューピース
21 第1ベント下のスクリューピース
22 第1ベント下のスクリューピース
23 第1ベント下のスクリューピース
24 第1ベント下のスクリューピース
25 第1ベント下のスクリューピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸押出機のスクリューの最外径をDとした際に、第1ベント下のスクリューピースの原料搬送方向の長さが、0.5D〜1.25Dであることを特徴とする二軸押出機。
【請求項2】
請求項1に記載の二軸押出機を用いた工程を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記二軸押出機の原料投入部から窒素ガスを導入することを特徴とする、請求項2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−158126(P2012−158126A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20328(P2011−20328)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】