説明

二酸化炭素の捕捉を加速するためのプロセス

本発明は、概して、ガス流、特に燃焼排ガス、改質器からの水素ガス、天然ガス、またはセメント窯からのガスからの二酸化炭素の除去に関する。炭素捕捉に使用するための固定化酵素および他のシステムも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ガス流、特に炎管ガス、改質器からの水素ガス、天然ガス、またはセメント窯からのガスからの二酸化炭素の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
工業ガス流から二酸化炭素(CO)を捕捉して、エネルギー費用および大気中のCOの環境影響を削減するための技術が開発されている。CO排出の主な排出源は、発電所、セメント窯、天然ガス処理施設、アンモニア工場、および水素工場を含む。捕捉されたCOは、隔離、石油採収率増加、または藻類の成長促進を含む、複数の用途を有し得る。水素、アンモニア、および天然ガスの場合、ガス流の価値を増加するためには、COの除去が必要不可欠である。
【0003】
現在、いくつかの別のCO捕捉技術が、商業的実践および開発の種々の段階にある。これらには、アミン(特にモノエタノールアミン−MEA)を用いた化学吸着、物理吸着、膜分離、および低温蒸留が含まれる。加えて、燃焼前に炭素または非酸素ガス構成要素を除去する酸素燃焼およびガス化複合発電等の技術は、炎管ガスを排除する手段として検討されている。アミンを用いた化学吸着は、現在、大部分のガス流において、特に天然ガス中の低レベルのCOの精製のためのCO除去の最も低コストの方法である。MEAシステムがより反応性であるため好まれるが、約400万BTU/COトンでの、MEAから吸着されたCOを除去するためのエネルギー負荷は非常に高く、最大約3分の1の発電所のボイラー出力を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の種々の態様の中で、システムは、ガス流、特に炎管ガス、改質器からの水素ガス、天然ガス、またはセメント窯からのガスから二酸化炭素を除去するための固定化炭酸脱水酵素を含む。
【0005】
別の態様は、CO含有ガスからCOを除去するためのプロセスであり、該プロセスは、水性液をCO含有ガスと接触させて、COの水性液への拡散を促進することと、水性液中のCOを高分子固定化材料の中に封入された固定化された炭酸脱水酵素と接触させ、COの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体を形成することとを含み、該高分子固定化材料は、(i)炭酸脱水酵素を安定化させるか、または(ii)ミセル材料または反転ミセル材料を含むかのいずれかである。
【0006】
また別の態様は、上述のプロセスであり、該プロセスは、ガスの入口および液体の出口を含む底部と、液体の入口およびガスの出口を含む上部と、高分子固定化材料が、(i)炭酸脱水酵素を安定化させるか、または(ii)ミセル材料または反転ミセル材料を含むかのいずれかである、高分子固定化材料に封入された固定化された炭酸脱水酵素で被覆される複数の粒子を収容する中間部とを備える、反応槽中で実施される。プロセスは、液体の入口から入り、反応槽の下方に流れる水性液を、ガスの入口から入り、反応槽の上方に流れるCO含有ガスと接触させ、COの水性液への拡散を促進し、固定化された炭酸脱水酵素の存在下で、水性液中のCOの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体ならびに処理されたガスを形成することと、液体出口から処理された液体を排出することと、ガスの出口から処理されたガスを排出することとを含む。
【0007】
本発明のさらなる態様は、CO含有ガスからCOを除去するための反応槽であり、ガスの入口および液体の出口を収容する底部と、液体の入口およびガスの出口を収容する上部と、高分子固定化材料が、(i)炭酸脱水酵素を安定化させるか、または(ii)ミセル材料または反転ミセル材料を含むかのいずれかである、高分子固定化材料に封入された炭酸脱水酵素で被覆される複数の粒子を収容する中間部とを備える。炭酸脱水酵素は、COの水素イオンおよび重炭酸イオンへの水和を触媒することができる。
【0008】
また別の態様は、高分子固定化材料に封入することにより固定化された酵素であり、該材料は、酵素より小さい化合物に対して透過性であり、酵素は、親水性部分、疎水性部分、または両親媒性部分によりイオン修飾されるか、または共有結合的に修飾される。
【0009】
高分子固定化材料に封入することにより固定化された酵素であり、該固定化材料は、酵素より小さい化合物に対して透過性であり、式5、6、7、または8


のいずれかの構造を有し、式中、R21およびR22は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、R23およびR24は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキル基の平均数は、少なくとも0.1であることを条件とし、R25は、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキルの平均数は、少なくとも0.1であることを条件とし、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキルの平均数は、少なくとも0.1であることを条件とし、m、n、o、およびpは、少なくとも10の整数である。
【0010】
別の態様は、CO含有ガスからCOを除去するためのシステムであり、第1および第2の反応槽を備え、該第1の反応槽は、上述の反応槽であり、該第2の反応槽は、高分子固定化材料に封入された炭酸脱水酵素で被覆される粒子を収容し、該炭酸脱水酵素は、水素イオンおよび重炭酸イオンの濃縮されたCOおよび水への変換を触媒することができる。
【0011】
さらなる態様は、CO含有ガスからCOを除去するためのプロセスであり、水性液をCO含有ガスと接触させ、COの水性液への拡散を促進することと、水性液中のCOを固定化された炭酸脱水酵素と接触させ、COの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体を形成する。水性液は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソ−ペンチルアミン、sec−ペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、イソ−ヘキシルアミン、sec−ヘキシルアミン、tert−ヘキシルアミン、エチレンジアミン、(2−メチルブチル)アミン、2−アミノペンタン、3−(tert−ブトキシ)プロピルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1−エチルプロピルアミンジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、N−エチルメチルアミン、N−イソプロピルメチルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−エチルブチルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、クロロ(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジエチルプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0012】
また別の態様は、炭酸脱水酵素が、ウシ炭酸脱水酵素またはヒト炭酸脱水酵素である、上述のプロセス、反応槽、またはシステムである。具体的には、炭酸脱水酵素は、ウシ炭酸脱水酵素II、ヒト炭酸脱水酵素IV、または修飾されたヒト炭酸脱水酵素IVである。
【0013】
他の目的および特徴は、一部は明白であり、一部は以後指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】炭酸脱水酵素により触媒された反応、および炭酸脱水酵素触媒なしの反応についての炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、4℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、25mgの(0.5mg/mL)炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図2】CO脱着装置を伴ったCO吸着装置の概略図である。
【図3A】実施例1に表示されるデータを収集するために使用された充填層反応器の概略図である。
【図3B】吸着装置およびストリッパを有する炭素捕捉システムの概略図である。
【図4】COが、重炭酸に変換される時、時間に対するpHを一定に保つように反応器に添加された2Mの水酸化ナトリウム量のグラフであり、炭酸脱水酵素は、トリトン−X100で処理され、テトラエチルアンモニウム修飾されたナフィオン(登録商標)に固定化された。
【図5】COが、重炭酸に変換される時、時間に対するpHを一定に保つように反応器に添加された2Mの水酸化ナトリウム量のグラフであり、炭酸脱水酵素は反応器に存在しない。
【図6】実施例2Aに記載される、非固定化された炭酸脱水酵素および酵素不在により触媒された二酸化炭素への重炭酸の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、40℃で、0.1MのNaCO、50sccm COで、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素および50分の実行時間を使用して実施された。
【図7】実施例2Aに記載される、非固定化された炭酸脱水酵素および酵素不在により触媒された二酸化炭素への重炭酸の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、40℃で、0.1MのNaCO、50sccm COで、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素および16時間の実行時間を使用して実施された。
【図8】実施例2Bに記載される、非固定化された炭酸脱水酵素により触媒された二酸化炭素への重炭酸の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、40℃で、0.1M、0.5M、および2MのNaCO、50sccm COで、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図9】実施例2Cに記載される、非固定化された炭酸脱水酵素により触媒された二酸化炭素への重炭酸の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、20℃および40℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図10】実施例2Dに記載される、2つの異なる実行で、固定化された炭酸脱水酵素により触媒された二酸化炭素への重炭酸の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、40℃で、0.1MのNaCO、50sccm COで、トリトン−X100で処理され、テトラエチルアンモニウム修飾されたナフィオン(登録商標)で固定化された、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素を使用して実施された。炭酸脱水酵素触媒が使用されない実験も実施された。
【図11】可溶性色素を有する、もしくは有さないポリスルホンビーズの写真ならびに断面写真である。
【図12】実施例1Cに記載する、ポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、4℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図13】実施例2Aに記載する、アルギン酸塩に固定化され、ポリスルホンで被覆された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、4℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図14】実施例3に記載する、架橋されたポリ(塩化ビニルベンジル)(PVBC)に固定化された炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、4℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、80mgの炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図15】実施例7に記載する、テトラメチルジアミン化ポリスルホン粒子に固定化された炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、4℃で、0.5MのNaCO、50sccm COで、50mgの炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図16】モノエタノールアミン(MEA)、N,N−ジエチルメチルアミン(DMA)、およびN−メチルジエタノールアミン(MDEA)の溶液中の炭酸脱水酵素(CA)においてmmol/分/Lを単位とした、捕捉された総COのグラフである。
【図17】MEA、DMA、およびMDEA溶液における、μmol/分/mgを単位とした、炭酸脱水酵素の特定の活性のグラフである。
【図18】ペグ化されたポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、20℃で、0.5MのMEA、200sccm Nで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図19】ペグ化されたポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、50℃で、0.5MのMEA、200sccm Nで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図20】ペグ化されたポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、20℃で、0.5MのMDEA、200sccm Nで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図21】ペグ化されたポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素、遊離炭酸脱水酵素、および酵素なしで触媒された炭酸への二酸化炭素の変換の反応の時間に対するpHのグラフであり、実験は、50℃で、0.5MのMDEA、50sccm Nで、25mg(0.5mg/mL)の炭酸脱水酵素を使用して実施された。
【図22】指定された時間の間、70℃に曝露した後、室温で検定された遊離炭酸脱水酵素(CA)含有溶液(0.1mg/mL)の酵素活性のグラフである。
【図23】指定された時間の間の、遊離および固定化された未精製ウシ炭酸脱水酵素II(BCA II)における70℃での酵素活性のグラフである。
【図24】pHスタットを介して検査された溶岩上のポリエチレングリコール(PSf−g−PEG、22重量%PEG、550Da PEG)とグラフトされた、ポリスルホンに固定化された未精製BCA IIの時間に対する酵素活性のグラフである。
【図25】pHスタットを介して検査された溶岩上のPSf−g−PEG(38重量%PEG、550Da PEG)に固定化された未精製BCA IIの時間に対する酵素活性のグラフである。
【図26】指定された時間の間、遊離および固定化されたヒト炭酸脱水酵素IV(HCA IV)の70℃での酵素活性のグラフである。
【図27】溶岩上のPSf−g−PEG(40重量%PEG、550Da PEG)に固定化されたHCA IVの時間に対する酵素活性のグラフである。
【図28】スズおよびジシラノール終結PDMS、MWavg=2750g/mol(全体で20重量%PEG)を用いて架橋された、PMHS−g−PEG(50重量%PEG、500Da PEG)に固定化された未精製BCA IIの残存活性率の5日単純移動平均のグラフである。
【図29】スズおよびジシラノール終結PDMS、MWavg=2750g/mol(全体で20重量%PEG)を用いて架橋された、PMHS−g−PEG(50重量%PEG、500Da PEG)に固定化された未精製BCA IIの熱ショックの結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のシステムは、COの炭酸(CO2-)溶液の水相への吸収速度および反応速度を加速し、重炭酸(HCO-)を形成する。全体的な化学作用は、以下の通りである。
CO2- + HO + CO → 2HCO-
酵素を使用しない反応は、2段階のシーケンスで生じる。
CO2- + HO → OH- + HCO- (1)
CO + OH- → HCO- (2)
10.5を越えるpHで、反応速度は、COの水での低い溶解度により制限される拡散であってもよい。10.5より低いpHで、反応速度は、低濃度のOH-のため、非常に遅い。
【0016】
COの水和をもたらす別の手段は、炭酸脱水酵素(CA)を使用して、反応を触媒することである。酵素触媒された反応は、異なる2段階のシーケンスを有する。
CO + HO → H + HCO- (3)
CO2- + H → HCO- (4)
CO水和[反応(3)]を触媒するためにCAを使用することにより、COの重炭酸形態への変換速度は、特に10.5より低いpHで加速される。25℃での水和反応のKeqは、1.7×10-3であり、平衡での反応は、方程式のCO/HO側を好む。CAの存在下で、平衡に近づく反応速度は、6〜8桁増加する。反応(4)において、炭酸は、反応(3)で産生されたプロトンを捕捉し、より多くの重炭酸およびプロトンを産生する推進力を生成する。反応混合物のpHの減少の速さに認められる、CO水和の反応速度の増加を示すデータを図1に示す。
【0017】
同様に、第2の反応器において、CAは、重炭酸のCO2-、CO、および水へ戻る脱水を触媒する。炭酸は、COの脱水が生じる第1の反応器に再循環され得る。例えば、COの脱水の化学作用は、以下の通りである。
2NaHCO → NaCO + HO + CO (5)
加熱時、重炭酸は、COおよび水を放出し、水和反応に再利用され得る炭酸イオンを形成する。脱水反応器中のCAは、CO水和ユニットのそれと類似し、この反応の速度を増加するはずである。ナトリウムが、別のカチオン(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)で置換される時、金属は、得られる炭酸が、好ましくは水性溶液に可溶性であるように選択される。標準温度および圧力で、COは、約1.8グラム/リットルの溶解度を有し、したがって、COの水相への急速な移行を可能にするシステムが望ましい。

システム設計
【0018】
重炭酸イオンを形成するように、ガス流中の二酸化炭素ガスを水和するために使用されるシステムは、充填層、流動層、または連続攪拌槽を含む、種々の反応器を使用することができる。充填層または流動層反応器が使用される時、反応器に流入するガス流および液体流は、並流または対向流の構成であり得る。例えば、並流システムにおいて、ガス流および液体流は、液体流中のガスの微小気泡の形態で反応器に流入することもあり得る。さらに、反応器の充填は、固定化された炭酸脱水酵素を含む充填材料であり得、例えば、固定化された炭酸脱水酵素は、充填材料上に被覆され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、充填材料は、高表面積を有する。さらに、反応器中の構成は、トレー形式の蒸留塔に類似し得、この場合、充填材料は、(例えば、膜を蛇行形態にそれ自身上に折り返すことにより)ガス流および液体流と接触する表面を最大にするように配向される、固定化炭酸脱水酵素を含む膜を含む。
【0019】
特定の一システムにおいて、2ユニット式連続流動システムは、COガスを水和して、CO吸着装置中で重炭酸イオンを形成し、CO脱着装置中で重炭酸イオンをCO、水、および炭酸イオンに脱水するように使用され得る。いくつかの場合において、ユニットは、充填塔設計を有する。吸着装置10および脱着装置12を含む、この2ユニット式システムの概略図を図2に示す。COガス流14は、吸着装置10の底部に入り、液体流16は、吸着装置10の上部に入る。液体流16は、分配器(図示せず)により、吸着装置10の中間部の充填物(図示せず)の上に分配される。COガス流14が、液体の流れの充填対向流の隙間を通して上方に流れる一方で、液体流16は、充填物の表面を湿らし、吸着装置10を通って下方に流れる。充填物は、液体相とガス相との間に接触面を提供し、その外表面上に固定された炭酸脱水酵素を含む。ガス流中のCOは、液体に吸着され、処理されたガス流18は、吸着装置の上から流出する。液体は、塔から下に流れる時にCOを豊富に含み、重炭酸が形成され、処理された液体流20は、吸着装置の塔底から流出する。処理された液体流20は、脱着装置12の上部に送り出され、分配器(図示せず)により、そこに固定化された炭酸脱水酵素を有する充填物に渡って分配される。液体流20内の重炭酸は、二酸化炭素、水、および炭酸に変換される。COを産生するこの反応の反応速度は、大気圧以下で操作することによって、熱を加え、脱着装置12からのCOの除去速度を増加することにより増加され得る。水および炭酸は、再利用され、吸着装置10に流入する液体流16と混合され、二酸化炭素は、ガス流22として脱着装置の上から流出し、所望に応じてさらに処理され得る。
【0020】
代替的に、吸着装置は、標準の反応器充填材料(充填塔に通常使用されるバールサドル、インタロックスサドル、ラシヒリングもしくはパールリング充填物等)上に固定化される炭酸脱水酵素を有することができ、微小気泡COガスおよび水性炭酸溶液と接触させて、COガスを水性炭酸溶液中に運搬するために、ガスと液体との間の表面積を増加することができる。
【0021】
他の実施形態において、システムは、膜26を有する図2Bに示す反応器24を含み、この場合、COを含有するガス流28は、膜の第1の表面30と接触し、水性炭酸流34は、膜の第2の表面32上である。膜は、少なくともCOガスに透過性であるが、水性炭酸流34に不透過性であるか、または第1の表面30は、流れ34に不透過性であるかのいずれかである。膜26は、本明細書に記載されるように、固定化された炭酸脱水酵素を支持することができる。ガス流28中のCOガスは、固定化された炭酸脱水酵素および流れ34と相互作用することができ、重炭酸に変換される。重炭酸は、固定化された酵素と接触する流れ34により吸収され得る。膜材料は、多糖、イオン交換樹脂、処理されたシリコンオキシド、多孔金属構造、炭素棒もしくは炭素管、黒鉛繊維、ケイ素ビーズ、セルロース膜、ゲルマトリックス(例えば、ポリアクリルアミドゲル、ポリ(アクリロイルモルホリン)ゲル、ナイロンメッシュ等)であり得る。この構成に使用され得る高表面積/体積膜システムは、米国特許第6,524,843号に記載されている。
【0022】
脱着装置は、標準の反応器充填材料上に固定化された炭酸脱水酵素、および吸着装置からの重炭酸溶液の供給物を有することができる。COを産生するためのこの反応の反応速度は、熱を加えることにより増加され得、脱着装置からのCOの除去は、大気圧以下で操作することによって増加され得る。
【0023】
これらのシステム設計は、特定の用途または処理されるガス流に応じて、異なる構成に組み合わされ得る。例えば、システムの仕様を、産生物流に要求される供給物流のCO含有量および全体的な純度、回収率、ならびに汚染物質レベルに、両方の流れの温度および圧力条件に沿って、合わせることができる。固定化された酵素の使用は、対応する遊離酵素と比較して、システムの操作条件の範囲を広げる。本明細書に記載する充填塔は、脱着装置として本明細書に記載される膜反応器と併せて、吸着装置として使用され得る。代替的に、本明細書に記載する膜反応器は、吸着装置として使用され得、本明細書に記載される充填塔は、脱着装置として使用され得る。
【0024】
また、システム設計は、概して、図3Bに図示される通りであり得る。例えば、炭素捕捉プロセスユニットは、標準の吸着ユニットと、剥離(反応蒸溜)ユニットとを含む。炭素捕捉システム(CCS)の主な構成要素は、吸着ユニット操作、剥離ユニット操作、および2つのユニット操作間の熱交換構成要素である。周辺機器は、標準の制御ハードウェアおよびソフトウェア、流量監視および調節(例えば、制御弁、流量計)、ポンプ、pH監視(例えば、pH計)、温度監視(例えば、温度モニター)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。追加機器は、プロセスを監視し、制御する手段を提供し得る。

炭酸脱水酵素
【0025】
本明細書に記載するシステムに使用される炭酸脱水酵素(CA)は、二酸化炭素の重炭酸イオンおよびプロトンへの変換、ならびに重炭酸イオンおよびプロトンの二酸化炭素への変換を触媒する。いくつかの炭酸脱水酵素の形態が自然界に存在する。炭酸脱水酵素は、哺乳類、植物、藻類、および細菌で発見される。酵素は、通常、3つのクラス(例えば、α、β、およびγの炭酸脱水酵素)に分けられる。哺乳類の炭酸脱水酵素は、αクラスに属し、植物の炭酸脱水酵素は、βクラスに属し、温泉で成長するメタン生成細菌からの炭酸脱水酵素は、γクラスに属する。異なるクラスの構成要素は、シーケンスまたは構造の類似性を持たないが、同じ機能を行い、活性部位で亜鉛イオンを必要とする。
【0026】
哺乳類の炭酸脱水酵素において、少なくとも14の既知のイソ型が存在する。これらの哺乳類のCA酵素は、組織または細胞区画の位置(例えば、細胞基質、ミトコンドリア、分泌、および膜関連)により4つの広範なサブグループに分けられる。最も速い回転速度を有することで知られるCAは、CA IIである。CA IVは、特に高温安定性を有することが知られており、この安定性は、酵素の2つのジスルフィド架橋からの基部と考えられている。
【0027】
好適な実施形態のいくつかにおいて、ウシ炭酸脱水酵素IIまたはヒト炭酸脱水酵素IVが使用される。ヒト炭酸脱水酵素IVは、William S.Sly at St.Louis Universityから入手可能であり、以下の参考文献により詳細に記載されている:T.Okuyama,S Sato,X.L.Zhu,A.Waheed,and W.S.Sly,Human carbonic anhydrase IV:cDNA cloning,sequence comparison,and expression in COS cell membranes,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1992,89(4),1315−1319 and T.Stams,S.K.Nair,T.Okuyama,A.Waheed,W.S.Sly,D.W.Christianson,Crystal structure of the secretory form of membrane−associated human carbonic anhydrase IV at 2.8−Å resolution,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1996,93,13589−13594。
【0028】
炭酸脱水酵素の活性部位を模倣する化合物も使用され得る。例えば、種々の金属複合体は、炭酸脱水酵素活性部位を模倣するために使用されている。例えば[Zn(3,6,9,12,20,23,26,29−オクタアザトリシクロ[29.3.1.114,18]ヘキサトリアコンタ−1(34),14,16,18(36),31(35),32−ヘキサエン)(CO)]Br−7HOおよび[Zn(3,6,9,12,20,23,26,29−オクタアザトリシクロ[29.3.1.114,18]ヘキサトリアコンタ−1(34),14,16,18(36),31(35),32−ヘキサエン)(CO)]Br・0.5CHCOCH・5HO(Qi et al.,Inorganic Chemistry Communications 2008,11,929−934を参照のこと)。また、炭酸脱水酵素の模倣物として、[トリス(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミンZn(OH)2+が使用され、[トリス(2−ベンズイミダゾリル)アミンZn(OH)](ClO、および[トリス(ヒドロキシ−2−ベンズイミダゾリルメチル)アミンZn(OH)]ClO−1.5HOも、COを水和するために使用された(Nakata et al.,The Chemistry Letters,1997,991−992およびEchizen et al.,Journal of Inorganic Biochemistry 2004,98,1347−1360も参照のこと)。

酵素および酵素修飾
【0029】
炭酸脱水酵素を含む酵素、または他の酵素は、本明細書に記載される方法および材料を使用して修飾、および固定化され得る。酵素は、所望の反応を触媒するために使用される。概して、自然に生じる酵素、人工酵素、擬似酵素、および化学的または遺伝子組み換えされている自然に生じる酵素が固定化され得る。加えて、自然または指向性進化により操作された操作酵素が使用され得る。言い換えると、酵素の特性を模倣する有機または無機の分子が、本発明の実施形態に使用され得る。固定化され得る酵素は、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、連結酵素、またはそれらの組み合わせである。使用される他の酵素は、エラープローンPCR法および遺伝子組み換え等の、通常使用される組み換え遺伝子法により取得され得る。さらに、他の適切な酵素は、土壌等の種々の環境から酵素を採掘することにより取得してもよい。加えて、新しい酵素および酵素の形態が、環境の微生物または他の生物源で発見され得る。
【0030】
種々の好適な実施形態において、固定化される酵素は、脂肪分解酵素、グルコース異性化酵素、ニトリラーゼ、グルコースオキシダーゼ、プロテアーゼ(例えば、ペプシン)、アミラーゼ(例えば、真菌アミラーゼ、マルトース生成型アミラーゼ)、セルラーゼ、ラクターゼ、エステラーゼ、カルボヒドラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、β−グルカナーゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、β−グルコシダーゼ、グルタミナーゼ、ペニシリンアシラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、アスパラギン酸β−脱炭酸酵素、シクロデキストリングリコシル基転移酵素、サブチリシン、アミノアシラーゼ、アルコール脱水素酵素、アミノ酸オキシダーゼ、ホスホリパーゼ、ウレアーゼ、コレステラーゼ、デスルフィナーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、ペクチナーゼ、酸化還元酵素、デキストラナーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシターゼ、グルコアミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼ、転化酵素、ナリンガナーゼ(naringanase)、ブロメライン、フィシン、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、キモシン、サーモリシン、トリプシン、トリグリセリダーゼ(triglyceridase)、前胃(pregastric)エステラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、アミダーゼ、グルタミナーゼ、リゾチーム、カタラーゼ、脱水素酵素、ペルオキシダーゼ、リアーゼ、フマラーゼ、ヒスチダーゼ(histidase)、アミノ基転移酵素、連結酵素、環化酵素、ラセミ化酵素、ムターゼ、オキシダーゼ、還元酵素、リグニナーゼ、上に挙げられる、ラッカーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、ニトロゲナーゼ、オキシニトリラーゼ(マンデロニトリルリアーゼ)、またはそれらの組み合わせである。
【0031】
種々の実施形態において、酵素は、グルコースが産生される反応を触媒する。一システムにおいて、β−グルコシダーゼは、セロビオーズをグルコースに加水分解するために使用され得る。さらに、セルラーゼは、セルロースのグルコースへの加水分解を触媒し、アミラーゼは、澱粉またはマルトースのグルコースへの加水分解を触媒する。複合糖質は、最も豊富な生体分子であり、基質の良い供給源であるが、グルコースは、複合糖質よりも広く使用することができるため、糖質は、好ましくはグルコースのような低分子量構成要素に分解される。セルロースは、最も豊富な糖質であり、グルコースサブユニットから形成される。セルロースは、グリコシド結合を加水分解するセルラーゼにより容易に分解される。複合基質のそれらの低分子量構成要素への生体再編成は、酵素を用いた触媒作用により達成され得る。これらの酵素は、多糖(澱粉およびセルロース)および二糖(スクロースおよびラクトース)の多数の反応に使用され得る個別の糖質への消化に使用され得る。
【0032】
他の好適な実施形態において、炭酸脱水酵素は、固定化され得る。炭酸脱水酵素は、二酸化炭素の炭酸(例えば、水性溶液中の重炭酸およびプロトン)への変換、または重炭酸およびプロトンの二酸化炭素への変換を触媒するために使用され得る。
【0033】
この用途の目的のため、「修飾」という用語は、酵素の表面上の種々の官能基が、種々の修飾剤と共有結合的に、イオン的に、または疎水性会合もしくは親水性会合により相互作用することを意味する。種々の酵素への共有結合による修飾は、酵素の疎水性剤、親水化剤、または両親媒性剤との反応により成され得る。これらの相互作用は、酵素に疎水性、親水性、または両親媒性部分を付加する。例えば、モノアミン(例えば、アルキルアミン)、アルデヒド(例えば、ペンタナール、イソブタナール、アセタナール、ヘキサナール、オクタナール、デカナール)、四級アンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナンスロリン系金属複合体、またはそれらの組み合わせの、種々の疎水性剤が使用され得る。種々の実施形態において、疎水性剤は、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ペンタナール、イソブタナール、アセタナール、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、アセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、トリフェニルホスホニウム、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、[Ru(ビピリジン)2+、[Fe(フェナンスロリン)3+、またはそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態において、疎水性剤は、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ペンタナール、イソブタナール、アセタナール、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、アセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、トリフェニルホスホニウム、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0034】
さらに、例えば、ジアミン(例えば、エチレンジアミン)、モノカルボキシレート、二酸(例えば、スベリン酸)、ポリアール、多糖、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、グリコシル、無水物(例えば、コハク酸無水物、ピロメリット酸無水物、グリセリンアルデヒド)、ポリエチレングリコール、アガロース、またはそれらの組み合わせの、親水性剤が、使用され得る。また、例えば、アミノ酸、脂肪酸、脂肪アルコール、脂質、アルキルポリエチレンオキシド、他のポリエチレンオキシド共重合体、アルキルポリグルコシド、またはそれらの組み合わせの、種々の両親媒性修飾剤が使用され得る。さらに、以下に記載される界面活性剤も、酵素を修飾するために使用され得る。共有結合による修飾のための薬剤は、修飾される酵素の官能基と反応性である、またはそれと反応性にさせる官能基を有する。さらに、酵素は、適切な発現系を使用して、または生体外グリコシル化によりグリコシル化され得、この場合、糖部分は酵素に結合される。
【0035】
種々の好適な実施形態において、酵素は、炭酸脱水酵素であり、この場合、酵素は、アルキルアミンであるか、またはポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール等の水溶性重合体のいずれかを用いて、共有結合的に修飾されている。共有結合による修飾に有用なアルキルアミンは、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン等である。
【0036】
酵素は、分子内のランダムな位置で、または分子内の所定の位置で修飾されてもよく、1、2、3、またはそれ以上の結合された化学部分を含む。
【0037】
水溶性重合体は、任意の分子量であり得、分枝または非分枝であり得る。ポリエチレングリコールにおいて、好適な分子量は、取り扱いおよび製造の簡易化のために、約1kDa〜約100kDa(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの調製物において、いくつかの分子が記載される分子量よりも多いまたは幾分少ない重さであることを示す)の間である。所望の特性、具体的には、生物学活性に応じて、他の大きさが使用されてもよい。例えば、ポリエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000,60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または100,000kDaの質量平均分子量を有してもよい。種々の実施形態において、ポリエチレングリコールは、約200Da〜約900Da、約300Da〜約800Da、約400Da〜約700Da、約500Da〜約600Daの質量平均分子量、または約550Daの質量平均分子量を有することができる。
【0038】
上述のように、ポリエチレングリコールは、分枝構造を有してもよい。分枝ポリエチレングリコールは、例えば、米国特許第5,643,575号、Morpurgo et al,Appl.Biochem.Biotechnol.56:59−72(1996)、Vorobjev et al,Nucleosides Nucleotides18:2745−2750(1999)、およびCaliceti et al.,Bioconjug.Chem.10:638−646(1999)に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0039】
ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)は、酵素の機能ドメインへの影響を考慮して酵素に結合されるべきである。当業者に利用可能ないくつかの結合方法、例えば、参照により本明細書に援用される、EP0401384(PEGをG−CSFに結合)があり、また、Malik et al.,Exp.Hematol.20:1028−1035(1992)(塩化トレシルを使用したGM−CSFのペグ化を報告)も参照のこと。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノ基またはカルボキシル基等の反応基を介した、アミノ酸残基を通して共有結合的に結合されてもよい。反応基は、活性化されたポリエチレングリコール分子が結合されてもよいものである。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、リジン、アルギニン、アスパラギン、ならびにグルタミン残基およびN−末端アミノ酸残基を含み、遊離カルボキシル基を有するものは、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、およびC−末端アミノ酸残基を含んでもよい。スルフヒドリル基も、ポリエチレングリコール分子を結合するために、反応基として使用されてもよい。
【0040】
上に示すように、ポリエチレングリコールは、いくつかのアミノ酸残基のいずれかへの連結を介して、酵素に結合されてもよい。例えば、ポリエチレングリコールは、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはシステイン残基への共有結合的結合を介して、酵素に連結され得る。1つ以上の反応化学が、ポリエチレングリコールを酵素の特定のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはシステイン)に、または1つ以上の種類のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、およびそれらの組み合わせ)に結合するために利用されてもよい。
【0041】
上に示すように、酵素のペグ化は、任意の数の手段により達成されてもよい。例えば、ポリエチレングリコールは、直接的に、または介在リンカーのいずれかにより酵素に結合されてもよい。ポリエチレングリコールを酵素に結合するためにリンカーを使用しないシステムは、Delgado et al.,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)、Francis et al.,Inter J.of Hematol.68:1−18(1998)、米国特許第4,002,531号、米国特許第5,349,052号、国際公開第WO95/06058号、および国際公開第WO98/32466号に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0042】
介在リンカーを使用せずポリエチレングリコールを直接酵素のアミノ酸残基に結合するためのシステムの1つは、塩化トレシル(ClSOCHCF)を使用した、モノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の修飾により産生される、トレシル化MPEGを利用する。酵素のトレシル化MPEGとの反応時、ポリエチレングリコールは、酵素のアミン基に直接結合される。したがって、本発明は、本発明の酵素を2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル基を有するポリエチレングリコール分子と反応させることにより産生される、酵素−ポリエチレングリコール共役を含む。
【0043】
ポリエチレングリコールは、また、いくつかの異なる介在リンカーを使用して酵素に結合されてもよい。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,612,460号は、ポリエチレングリコールを酵素に接続するための、ウレタンリンカーを開示している。ポリエチレングリコールがリンカーにより酵素に結合される、酵素−ポリエチレングリコール共役は、酵素のコハク酸MPEG−サクシニミジル、1,1’−カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPEG、炭酸MPEG−2,4,5−トリクロロぺニル、炭酸MPEG−p−ニトロフェノール、および種々のMPEGコハク酸誘導体等の化合物との反応によっても産生され得る。ポリエチレングリコールを酵素に結合するための、いくつかのさらなるポリエチレングリコール誘導体および反応化学は、国際公開第WO98/32466号に記載されており、その開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0044】
各酵素に結合されるポリエチレングリコール部分の数(すなわち、置換の程度)も変動してもよい。例えば、ペグ化酵素は、平均して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20、またはそれ以上のポリエチレングリコール分子に連結されてもよい。同様に、置換の程度の平均は、酵素分子当り、1〜3、2〜4、3〜5、4〜6、5〜7、6〜8、7〜9、8〜10、9〜11、10〜12、11〜13、12〜14、13〜15、14〜16、15〜17、16〜18、17〜19、または18〜20ポリエチレングリコール部分の範囲である。置換の程度を決定するための方法は、例えば、Delgado et al.,Crit.Rev.Thera.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)に論議されている。
【0045】
アミンが酵素を修飾するために使用される時、酵素は、結合剤(例えば、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC))、およびエステル活性化剤(例えば、N−ヒドロキシスルホサクシニミドナトリウム塩(スルホ−NHS))、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリゾール)と混合され、得られた溶液は、5秒間、激しくボルテックスされる。第2の溶液は、アルキルアミンまたはポリエチレングリコールと混合される、pH5.0のMES緩衝液を用いて作製される。この溶液を結合剤/酵素溶液と混合し、5秒間、激しくボルテックスする。混合溶液を一晩、冷蔵庫で保持する。その後、修飾された酵素は、本明細書に記載する固定化材料に固定化され得る。
【0046】
さらに、酵素は、種々の界面活性剤により修飾され得る。例えば、非イオン界面活性剤は、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)コールアミド(BigCHAP)、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)デオキシコールアミド(DeoxyBigCHAP)、ポリオキシエチレンアルコール(例えば、Brij35およびBrij 58P)、2−シクロヘキシルメチル−β−D−マルトシド(Cymal−1)、2−シクロヘキシルエチル−β−D−マルトシド(Cymal−2)、シクロヘキシルペンチル−β−D−マルトシド(Cymal−5)、シクロヘキシルヘキシル−β−D−マルトシド(Cymal−6)、デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、ウンデシル−β−D−マルトシド、デシル−β−D−1−チオマルトピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、ジギトニン、ジメチデシルホスフィンオキシド、ドデシルジメチルホスフィンオキシド、(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL(登録商標)CA630)、N−オクタノイル−N−メチルグルカミン(MEGA−8)、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン(MEGA−9)、N−デカノイル−N−メチルグルカミン(MEGA−10)、ポリオキシエチレンオクチルフェノール(ノニデット(登録商標)P40−置換)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン遮断共重合体(プルロニックF−68)、サポニン、ポリオキシエチレン9−ラウリルエーテル(Thesit(登録商標))、ポリオキシエチレンオクチルフェノール(例えば、トリトンT(登録商標)X−100およびトリトン(登録商標)X−114)、ソルビタンモノラウレートのポリオキシエチレン誘導体(例えば、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、およびTWEEN(登録商標)80)、N,N−ジメチルドデシルアミン−N−オキシド、アルコールエトキシレート(Synperonic A7)、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0047】
例えば、アミドスルホベタイン−14、アミドスルホベタイン−16、C7BzO、3−[(3−コールアミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピルジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、(ドデシルジメチルアンモニオ)アセテート(EMPIGEN(登録商標)BB)、3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ドデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、またはそれらの組み合わせの、双性イオン界面活性剤も使用され得る。
【0048】
酵素が界面活性剤で修飾される時、修飾された酵素は、酵素に適切なpHの緩衝液中で、酵素を界面活性剤と混合することにより調製される。当業者は、特定の酵素に適切なpHの緩衝液を容易に決定することができるだろう。

酵素固定化材料
【0049】
本発明の目的において、(1)室温で、化学転換を連続して触媒した時、少なくとも約30日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、(2)室温で、化学転換を連続して触媒した時、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、(3)約30℃〜約100℃の温度で処理された時、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、(4)室温で、約0〜約13のpHで化学転換を連続して触媒した時、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、(5)非極性溶媒、油、アルコール、アセトニトリル、または高イオン濃度中で、室温で化学転換を連続して触媒した時、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、いずれかの場合、酵素は「安定化」される。典型的に、適切に固定化および安定化された酵素は、少なくとも約5日間〜約1095日間(3年間)、その触媒活性を維持することができるが、溶液中の遊離酵素は、数時間〜数日内にその触媒活性を失う。したがって、酵素の固定化は、安定性に顕著な利点を提供する。触媒活性の維持は、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を有する酵素として定義され、これは、特性の強度が、初期の時間で測定される、化学発光、電気化学、質量分析、分光光度(すなわち、UV−Vis)、放射化学、または蛍光検定等の、産物の酵素媒介性生成を実証する手段により測定され得る。種々の実施形態において、酵素が化学転換を連続して触媒される間、酵素は、その初期の活性の少なくとも約15%を維持する。
【0050】
酵素の安定化に関して、酵素固定化材料は、化学的および/または機械的バリアを提供し、酵素の変性を阻止または妨害する。そのために、酵素固定化材料は、物理的に酵素を閉じ込め、酵素がほどけるのを阻止する。折り畳まれた3次元構造から酵素をほどくプロセスは、酵素の変性の仕組みの1つである。
【0051】
いくつかの実施形態において、酵素固定化材料は、酵素が、少なくとも約5日間〜約730日間(2年間)、その触媒活性を維持するように、酵素を安定化させる。他の実施形態において、固定化された酵素は、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730、800、850、900、950、1000、1050、1095日間、またはそれ以上の間、その初期の触媒活性の少なくとも約75%を維持する。いくつかの場合において、固定化された酵素は、約30〜約1095日間、約45〜約1095日間、約60〜約1095日間、約75〜約1095日間、約90〜約1095日間、約105〜約1095日間、約120〜約1095日間、約150〜約1095日間、約180〜約1095日間、約210〜約1095日間、約240〜約1095日間、約270〜約1095日間、約300〜約1095日間、約330〜約1095日間、約365〜約1095日間、約400〜約1095日間、約450〜1095日間、約500〜約1095日間、約550〜約1095日間、約600〜約1095日間、約650〜約1095日間、約700〜約1095日間、約730〜約1095日間、その初期の触媒活性の少なくとも約75%〜約95%を維持する。種々の実施形態において、固定化された酵素は、少なくとも約5、7、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730、800、850、900、950、1000、1050、1095日間またはそれ以上の間、その初期の触媒活性の少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90もしくは95%、またはそれ以上を維持する。いくつかの場合において、固定化された酵素は、約5〜約1095日間、約7〜約1095日間、約10〜約1095日間、約15〜約1095日間、約20〜約1095日間、約25〜約1095日間、約30〜約1095日間、約45〜約1095日間、約60〜約1095日間、約75〜約1095日間、約90〜約1095日間、約105〜約1095日間、約120〜約1095日間、約150〜約1095日間、約180〜約1095日間、約210〜約1095日間、約240〜約1095日間、約270〜約1095日間、約300〜約1095日間、約330〜約1095日間、約365〜約1095日間、約400〜約1095日間、約450〜約1095日間、約500〜約1095日間、約550〜約1095日間、約600〜約1095日間、約650〜約1095日間、約700〜約1095日間、約730〜約1095日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15〜約95%、約20〜約95%、約25〜約95%、約30〜約95%、約35〜約95%、約40〜約95%、約45〜約95%、約50〜約95%、約55〜約95%、約60〜約95%、約65〜約95%、約70〜約95%、約75〜約95%、約80〜約95%、約85〜約95%、または約90〜約95%を維持する。
【0052】
種々の実施形態において、高温またはpH安定性を有する酵素も、上述の化学転換を活発に触媒する時、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約75%を維持してもよい。
【0053】
他の実施形態において、約2より低い、約3より低い、約4より低い、または約5より低いpHに曝される時、安定化された酵素は、化学転換を連続して触媒される時に、少なくとも約5、10、15、30、40、50、60、75、90日間、またはそれ以上の間、その初期の触媒活性の少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%を維持する。いくつかの場合において、約2より低い、約3より低い、約4より低い、または約5より低いpHに曝される時、安定化された酵素は、化学転換を連続して触媒する時、約5〜90日間、約10〜90日間、約15〜90日間、約20〜90日間、約25〜90日間、約30〜90日間、約35〜90日間、約40〜90日間、約45〜90日間、約50〜90日間、約55〜90日間、約60〜90日間、約65〜90日間、約70〜90日間、約75〜90日間、約80〜90日間、約85〜90日間、その初期の触媒活性の約15〜約95%、約20〜約95%、約25〜約95%、約30〜約95%、約35〜約95%、約40〜約95%、約45〜約95%、約50〜約95%、約55〜約95%、約60〜約95%、約65〜約95%、約70〜約95%、約75〜約95%、約80〜約95%、約85〜約95%、または約90〜約95%を維持する。いくつかの場合において、約2より低い、約3より低い、約4より低い、または約5より低いpHに曝される時、安定化された酵素は、化学転換を連続して触媒する時、少なくとも約5、10、15、30、40、50、60、75、90日間、またはそれ以上の間、その初期の触媒活性の約15〜約95%、約20〜約95%、約25〜約95%、約30〜約95%、約35〜約95%、約40〜約95%、約45〜約95%、約50〜約95%、約55〜約95%、約60〜約95%、約65〜約95%、約70〜約95%、約75〜約95%、約80〜約95%、約85〜約95%、または約90〜約95%を維持する。いくつかの場合において、約9を越える、約10を越える、約11を超える、または約12を超えるpHに曝される時、安定化された酵素は、化学転換を連続して触媒する時、約5〜90日間、約10〜90日間、約15〜90日間、約20〜90日間、約25〜90日間、約30〜90日間、約35〜90日間、約40〜90日間、約45〜90日間、約50〜90日間、約55〜90日間、約60〜90日間、約65〜90日間、約70〜90日間、約75〜90日間、約80〜90日間、約85〜90日間、その初期の触媒活性の約15〜約95%、約20〜約95%、約25〜約95%、約30〜約95%、約35〜約95%、約40〜約95%、約45〜約95%、約50〜約95%、約55〜約95%、約60〜約95%、約65〜約95%、約70〜約95%、約75〜約95%、約80〜約95%、約85〜約95%、または約90〜約95%を維持する。
【0054】
他の実施形態において、非極性溶媒、油、アルコール、アセトニトリル、濃縮イオン溶液、またはそれらの組み合わせ等の薬剤に曝される時、安定化された酵素は、少なくとも約5、10、15、30、40、50、60、75、90日間、またはそれ以上の間、その初期の触媒活性の少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%を維持する。いくつかの場合において、薬剤に曝される時、安定化された酵素は、化学転換を連続して触媒する時、約5〜90日間、約10〜90日間、約15〜90日間、約20〜90日間、約25〜90日間、約30〜90日間、約35〜90日間、約40〜90日間、約45〜90日間、約50〜90日間、約55〜90日間、約60〜90日間、約65〜90日間、約70〜90日間、約75〜90日間、約80〜90日間、約85〜90日間、その初期の触媒活性の約10〜約95%、約15〜約95%、約20〜約95%、約25〜約95%、約30〜約95%、約35〜約95%、約40〜約95%、約45〜約95%、約50〜約95%、約55〜約95%、約60〜約95%、約65〜約95%、約70〜約95%、約75〜約95%、約80〜約95%、約85〜約95%、または約90〜約95%を維持する。これらの場合において、薬剤の濃度は、約1重量%〜約95重量%、5重量%〜約95重量%、10重量%〜約95重量%、15重量%〜約95重量%、20重量%〜約95重量%、30重量%〜約95重量%、40重量%〜約95重量%、50重量%〜約95重量%であり得る。
【0055】
固定化された酵素は、その触媒活性を維持しながら、酵素固定化材料の特定の領域に物理的に閉じ込められた酵素である。担体結合、架橋、および封入を含む、酵素固定化のための種々の方法がある。担体結合は、酵素の水不溶性担体への結合である。架橋は、二官能性または多官能性試薬による酵素の分子間架橋である。封入は、酵素を半透過性材料の格子中へ組み込むことである。酵素の固定化の特定の方法は、酵素固定化材料が、(1)酵素を固定化し、いくつかの実施形態において、(2)酵素を安定化させる限り、特に重要ではない。種々の実施形態において、酵素固定化材料は、酵素より小さい化合物に透過性でもある。酵素は、化学的または物理的相互作用により材料の表面に付着する時、固定化材料に吸収される。さらに、酵素は、材料のポケット内にあるかないかに関わらず、酵素が固定化材料内に含有される時、封入により固定化される。
【0056】
酵素より小さい種々の化合物に対する固定化材料の透過性に関して、固定化材料は、それを通して基材化合物の移動を可能にするため、基材化合物は、酵素と接触することができる。固定化材料は、固定化材料を通して基材化合物の移動を可能にするが、酵素を固定化材料内の実質的に同じ空間に制限する、内部細孔、ミセルポケット、チャネル、開口部、またはそれらの組み合わせを含有するような様式で調製され得る。このような制限は、酵素がその触媒活性を維持することを可能にする。種々の好適な実施形態において、酵素は、酵素と実質的に同じ大きさ、および形状である空間に閉じ込められ、該酵素は、実質的にその触媒活性の全てを維持する。細孔、ミセルポケット、チャネル、または開口部は、上記の必要条件を満たし、固定化される特定の酵素の大きさおよび形状に応じた、物理的な寸法を有する。
【0057】
実施形態のいくつかにおいて、酵素は、好ましくは、固定化材料の細孔内に位置し、化合物は、輸送チャネルを通して固定化材料の内外に移動する。酵素固定化材料の細孔は、約6nm〜約30nm、約10nm〜約30nm、約15nm〜約30nm、約20nm〜約30nm、約25nm〜約30nm、約6nm〜約20nm、または約10nm〜約20nmであり得る。細孔および輸送チャネルの相対的な大きさは、細孔が、酵素を固定化するのに十分大きいが、輸送チャネルは、酵素がそれらを通して移動するのに非常に小さくてもよい。さらに、輸送チャネルは、好ましくは、少なくとも約10nmの径を有する。いくつかの実施形態において、輸送チャネル径に対する細孔径の比は、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であり、輸送チャネル径に対する細孔径の比は、約2:1〜約10:1、約2.5:1〜約10:1、約3:1〜約10:1、約3.5:1〜約10:1、約4:1〜約10:1、約4.5:1〜約10:1、約5:1〜約10:1、約5.5:1〜約10:1、約6:1〜約10:1、約6.5:1〜約10:1、約7:1〜約10:1、約7.5:1〜約10:1、約8:1〜約10:1、約8.5:1〜約10:1、約9:1〜約10:1、または約9.5:1〜約10:1であり得る。また別の実施形態において、好ましくは、輸送チャネルは、少なくとも約2nmの径を有し、輸送チャネル径に対する細孔径の比は、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であり、輸送チャネル径に対する細孔径の比は、約2:1〜約10:1、約2.5:1〜約10:1、約3:1〜約10:1、約3.5:1〜約10:1、約4:1〜約10:1、約4.5:1〜約10:1、約5:1〜約10:1、約5.5:1〜約10:1、約6:1〜約10:1、約6.5:1〜約10:1、約7:1〜約10:1、約7.5:1〜約10:1、約8:1〜約10:1、約8.5:1〜約10:1、約9:1〜約10:1、または約9.5:1〜約10:1であり得る。
【0058】
種々の実施形態のいくつかにおいて、酵素が、大きいまたは凝集される時、酵素固定化材料は、酵素または凝集された酵素と実質的に同じ大きさである細孔の大きさを有することができる。このような酵素固定化材料は、酵素または凝集された酵素を酵素固定化材料内の実質的に同じ空間に制限する細孔を有することができ、材料を通して酵素または凝集された酵素より小さい化合物の拡散を可能にする。この酵素固定化材料は、約15nm〜約2000nm、約50nm〜約2000nm、約100nm〜約2000nm、約200nm〜約2000nm、約300nm〜約2000nm、約400nm〜約2000nm、約500nm〜約2000nm、約600nm〜約2000nm、約700nm〜約2000nm、約800nm〜約2000nm、約20nm〜約1000nm、約50nm〜約1000nm、約100nm〜約1000nm、約200nm〜約1000nm、約300nm〜約1000nm、約400nm〜約1000nm、約500nm〜約1000nm、約600nm〜約1000nm、または約700nm〜約1000nmの平均的な大きさのミセルを有するであろう。
【0059】
これらの実施形態のいくつかにおいて、固定化材料は、ミセルまたは反転ミセル構造を有する。概して、ミセルを構成する分子は、両親媒性であり、つまり、これらは、極性の親水性基および非極性疎水性基を含有する。極性基が凝集物および炭化水素の表面上にあり、非極性基が凝集物内に隔離される場合、分子は、凝集してミセルを形成することができる。反転ミセルは、極性基および非極性基の反対の配向を有する。凝集物を構成する両親媒性分子は、極性基が相互に近位であり、非極性基が相互に近位である限り、様々な方式で配置され得る。また、分子は、非極性基が相互に向かいあい、極性基が相互から離れる向きとなる、二層を形成することができる。代替的に、非極性基が相互から離れる向きとなる一方、極性基が二層において相互に向かいあうことができる、二層を形成することができる。

修飾されたナフィオン(登録商標)
【0060】
好適な実施形態の1つにおいて、ミセル固定化材料は、修飾された全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または修飾された過フッ素化イオン交換重合体)(修飾されたナフィオン(登録商標)または修飾されたフレミオン(登録商標))膜である。過フッ素化イオン交換重合体膜は、アンモニウム(NH)イオンより大きい疎水性カチオンで修飾される。疎水性カチオンは、(1)膜の細孔の大きさを指定し、(2)細孔のpHレベルの維持を補助するための化学緩衝剤として作用する、機能を供給し、この両方とも、酵素を安定化させる。
【0061】
疎水性カチオンの第1の機能に関して、修飾された全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)(ナフィオン(登録商標)またはフレミオン(登録商標))膜を産生するために、全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)を疎水性カチオンで混合成型することによって、細孔の大きさが疎水性カチオンの大きさに依存する固定化材料が提供される。したがって、疎水性カチオンが大きければ、細孔の大きさも大きくなる。疎水性カチオンのこの機能は、疎水性カチオンの大きさを変化させることにより、特定の酵素に合致するように、細孔の大きさを大きく、または小さく作製することを可能にする。
【0062】
疎水性カチオンの第2の機能に関して、全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)膜の特性は、全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体上のアニオン)膜上の−SO-基に対する対イオンとして、疎水性カチオンをプロトンと交換することにより変更される。対イオンのこの変更は、疎水性カチオンが、−SO-部位に対して、プロトンより非常に大きな親和性を有するため、pHに緩衝効果を提供する。膜のこの緩衝効果は、溶液のpHが変化しても、細孔のpHを実質的に未変化に維持する、つまり、細孔のpHは、溶液のpHの変化に侵されない。加えて、膜は、固定化された酵素をさらに保護する、機械的バリアを提供する。
【0063】
修飾された全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)膜を調製するために、第1のステップは、全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)、特にナフィオン(登録商標)を疎水性カチオンの溶液で成型し、膜を形成することである。過剰な疎水性カチオンおよびそれらの塩は、その後、膜から抽出され、膜が再成型される。再成型時、膜は、全フッ素化スルホン酸−PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換重合体)膜の−SO-部位を伴って疎水性カチオンを含有する。膜からの疎水性カチオンの塩の除去は、より安定し、再現可能な膜をもたらすが、これらが除去されない場合、過剰塩は、細孔に封入されるか、または膜に空隙を生じさせることができる。
【0064】
一実施形態において、修飾されたナフィオン(登録商標)膜は、ナフィオン(登録商標)重合体の懸濁液を四級臭化アンモニウム等の疎水性カチオンの塩の溶液で成型することにより調製される。過剰の四級臭化アンモニウムまたは臭化水素は、塩抽出された膜を形成するために再成型される前に膜から除去される。膜の塩抽出は、スルホン酸交換部位で、四級アンモニウムカチオンの存在を維持するが、細孔に封入される可能性がある、または平衡膜に空隙を生じる可能性がある過剰塩からの厄介な問題を排除する。塩抽出された膜の化学的および物理的特性は、酵素固定化前に、ボルタメトリー、イオン交換能測定、および蛍光顕微鏡により特徴付けされた。代表的な疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオン、四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、アルキルトリエチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナンスロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)2+、および[Fe(フェナンスロリン)3+である。
【0065】
好適な実施形態の1つにおいて、疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオンである。特に、疎水性カチオンは、四級アンモニウムカチオンである。別の実施形態において、四級アンモニウムカチオンは、式1

により表され、式中、R、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素以外である。さらなる実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシルであり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素以外である。また別の実施形態において、R、R、R、およびRは、同一であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである。さらに別の実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、ブチルである。さらに別の実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、エチルである。好ましくは、四級アンモニウムカチオンは、テトラエチルアンモニウム(T2A)、テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)、およびそれらの組み合わせである。
【0066】
炭酸脱水酵素は、以下のように、TEAB修飾されたナフィオン(登録商標)中に固定化され得る。臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)修飾されたナフィオン(登録商標)をエタノールに添加し、5.0重量%濃度を有する溶液を作製する。炭酸脱水酵素を緩衝溶液に添加し、界面活性剤を総溶液パーセンテージの0.5%で添加し、均一な溶解が生じるまで攪拌する。溶液が十分に分散されたら、TEAB修飾されたナフィオン(登録商標)溶液を添加し、溶液が十分に均質になるまで攪拌する。固定化された酵素溶液が十分に混合されたら、高表面積支持体上に成型し、4℃で12時間、その後、真空下で2時間乾燥させる。代替的に、高表面炭素支持体を固定化された酵素溶液に添加し、混合し、噴霧し、室温で数時間乾燥させることができる。

疎水性修飾された多糖
【0067】
他の種々の実施形態において、代表的なミセル固定化材料または反転ミセル固定化材料は、疎水性修飾された多糖であり、これらの多糖は、キトサン、セルロース、キチン、澱粉、アミロース、アルギン酸塩、グリコーゲン、およびそれらの組み合わせから選択される。種々の実施形態において、ミセル固定化材料または反転ミセル固定化材料は、ポリカチオン重合体、具体的には、疎水性修飾されたキトサンである。キトサンは、ポリ[β−(1−4)−2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコピラノース]である。キトサンは、典型的に、キチン(ポリ[β−(1−4)−2−アセタミド−2−デオキシ−D−グルコピラノース])の脱アセチル化により調製される。典型的な商業用キトサンは、約85%の脱アセチルを有する。これらの脱アセチル基または遊離アミン基は、ヒドロカルビル、具体的には、アルキル基を用いてさらに官能化され得る。したがって、種々の実施形態において、ミセル疎水性修飾されたキトサンは、式2

の構造に対応し、式中、nは整数であり、R10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または疎水性酸化還元介在物質であり、R11は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または疎水性酸化還元介在物質である。本発明の特定の実施形態において、nは、重合体に約21,000〜約4,000,000、約21,000〜約500,000、好ましくは、約90,000〜約500,000、より好ましくは、約150,000〜約350,000、より好ましくは、約225,000〜約275,000の分子量を付与する整数である。多くの実施形態において、R10は、独立して、水素またはアルキルであり、R11は、独立して水素またはアルキルである。さらに、R10は、独立して、水素またはヘキシルであり、R11は、独立して、水素またはヘキシルである。代替的に、R10は、独立して、水素またはオクチルであり、R11は、独立して、水素またはオクチルである。
【0068】
他の種々の実施形態において、ミセル疎水性修飾されたキトサンは、式2A

に対応する、ミセル疎水性酸化還元介在物質修飾されたキトサンであり、式中、nは、整数であり、R10aは、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質であり、R11aは、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質である。
【0069】
さらに、種々の実施形態において、ミセル疎水性修飾されたキトサンは、式2B

に対応する、修飾されたキトサン、または酸化還元介在物質修飾されたキトサンであり、式中、R11、R12、およびnは、式2に関連して定義される。いくつかの実施形態において、R11およびR12は、独立して、水素、または直鎖状または分枝鎖状アルキル、好ましくは、水素、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、またはドデシルである。種々の実施形態において、R11およびR12は、独立して、水素、ブチル、またはヘキシルである。
【0070】
ミセル疎水性修飾されたキトサンは、疎水性基を用いて、様々な程度に修飾され得る。疎水性修飾の程度は、未修飾のキトサン中の遊離アミン基の数と比較した、疎水性基で修飾される遊離アミン基のパーセンテージにより決定される。疎水性修飾の程度は、酸−塩基滴定および/または核磁気共鳴(NMR)、特にH NMRデータから推定され得る。疎水性修飾のこの程度は、幅広く変化し、少なくとも約0.25、0.5、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、25、30、32、24、26、28、40、42、44、46、48%、またはそれ以上である。好ましくは、疎水性修飾の程度は、約10%〜約45%、約10%〜約35%、約20%〜約35%、または約30%〜約35%である。
【0071】
他の種々の実施形態において、式2Aの疎水性酸化還元介在物質は、1,10−フェナンスロリン(phen)、2,2’−ビピリジン(bpy)、または2,2’,2’’−ターピリジン(terpy)を伴うオスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム、またはコバルトの遷移金属複合体、メチレングリーン、メチレンブルー、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントターピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、修飾された遷移金属リガンド、1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオール、[Re(phen−ジオン)(CO)Cl]、[Re(phen−ジオン)](PF、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ポリ(ナイルブルーA)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)、ポリ(ニュートラルレッド)、またはそれらの組み合わせである。
【0072】
好ましくは、疎水性酸化還元介在物質は、Ru(phen)+2、Fe(phen)+2、Os(phen)+2、Co(phen)+2、Cr(phen)+2、Ru(bpy)+2、Os(bpy)+2、Fe(bpy)+2、Co(bpy)+2、Cr(bpy)+2、Os(terpy)+2、Ru(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Co(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Cr(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Fe(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Os(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、またはそれらの組み合わせである。より好ましくは、疎水性酸化還元介在物質は、Ru(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Co(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Cr(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Fe(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、Os(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2、またはそれらの組み合わせである。種々の好適な実施形態において、疎水性酸化還元介在物質は、Ru(bpy)(4−メチル−4’−(6−ヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2である。
【0073】
修飾因子として疎水性酸化還元介在物質を有する固定化材料において、疎水性酸化還元介在物質は、典型的に、キトサンまたは多糖骨格に共有結合的に結合される。典型的に、キトサンの場合において、疎水性酸化還元介在物質は、−N−C−結合を通してキトサンのアミン官能基の1つに共有結合的に結合される。金属複合体酸化還元介在物質の場合において、金属複合体は、金属複合体のリガンドの1つ以上に結合される、キトサンアミン基からアルキル基への−N−C−結合を通してキトサンに結合される。式2Cに対応する構造は、キトサンに結合される金属複合体の例であり、

式中、nは整数であり、R10cは、独立して、水素であるか、または式2Dに対応する構造であり、R11cは、独立して、水素であるか、または式1Dに対応する構造であり、mは、0〜10の整数であり、Mは、Ru、Os、Fe、Cr、またはCoであり、複素環は、ビピリジル、置換されたビピリジル、フェナンスロリン、アセチルアセトン、およびそれらの組み合わせである。
【0074】
キトサンを修飾するために使用される疎水性基は、(1)固定化材料のミセルの大きさを指定し、(2)許容可能なミセル環境を維持するようにキトサンの化学環境を修飾する、二重機能を供給し、この両方とも酵素を安定化させる。疎水性基の第1の機能に関して、疎水性修飾キトサンは、細孔の大きさが疎水性基の大きさに依存する固定化材料を産生する。したがって、疎水性基を用いたキトサンの大きさ、形状、および修飾の程度は、ミセルの細孔/ポケットの大きさおよび形状に影響を与える。疎水性基のこの機能は、疎水性基の大きさおよび分枝を変化させることにより、特定の酵素に合致するように、ミセルの細孔/ポケットの大きさを大きく、もしくは小さく、または異なる形状に作製することを可能にする。
【0075】
疎水性カチオンの第2の機能に関して、疎水性修飾されたキトサン膜の特性は、疎水性基を用いてキトサンを修飾することにより変更される。キトサンのこの疎水性修飾は、プロトンに利用可能な交換部位の数を増大することにより、細孔の環境に影響を与える。材料のpHに影響を与えることに加え、キトサンの疎水性修飾は、固定化された酵素をさらに保護する、機械的バリアである膜を提供する。
【0076】
疎水性修飾されたキトサン膜における、プロトンに利用可能な交換部位の数を表1に示す。
表1:キトサン重合体の1グラム当りのプロトンに利用可能な交換部位の数

さらに、このようなポリカチオン重合体は、酵素を固定化することができ、また、緩衝溶液中の同じ酵素の活性と比較して、そこに固定化された酵素の活性を増大することができる。種々の実施形態において、ポリカチオン重合体は、疎水性修飾された多糖、具体的には、疎水性修飾されたキトサンである。例えば、記述される疎水性修飾において、グルコースオキシダーゼの酵素活性が測定された。最も高い酵素活性は、t−アミルアルコールに懸濁されたヘキシル修飾されたキトサン中のグルコースオキシダーゼにおいて観察された。これらの固定化膜は、緩衝液中の酵素に対するグルコースオキシダーゼ酵素活性において2.53倍の増加を示した。表2は、種々の疎水性修飾されたキトサンにおけるグルコースオキシダーゼ活性を詳述する。
表2:修飾されたキトサンにおけるグルコースオキシダーゼ酵素活性

【0077】
修飾因子としてアルキル基を有する本発明の疎水性修飾されたキトサンを調製するために、キトサンゲルを酢酸に懸濁した後、アルコール溶媒を添加した。このキトサンゲルにアルデヒド(例えば、ブタナール、ヘキサナール、オクタナール、またはデカナール)を添加した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。得られた産物を減圧濾過で単離し、アルコール溶媒で洗浄した。修飾されたキトサンを40℃の真空オーブンで乾燥させ、鱗状の白色固体を得た。
【0078】
修飾因子として酸化還元介在物質を有する本発明の疎水性修飾されたキトサンを調製するために、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンをリチウムジイソプロピルアミンと接触させた後、ジハロアルカンを添加し、4−メチル−4’−(6−ハロアルキル)−2,2’−ビピリジンを産生することにより、酸化還元介在物質リガンドを誘導化した。次いで、無機塩基の存在下で、このリガンドをRu(ビピリジン)Cl水和物と接触させ、Ru(ビピリジン)Clが枯渇するまで、水−アルコール混合物中で還流した。次いで、産物をアンモニウムヘキサフルオロリン酸、または任意に、過塩酸ナトリウム塩または過塩酸カリウム塩で沈殿させ、再結晶化した。その後、誘導化された酸化還元介在物質(Ru(ビピリジン)(4−メチル−4’−(6−ブロモヘキシル)−2,2’−ビピリジン)+2)を脱アセチル化キトサンと接触させ、加熱した。酸化還元介在物質修飾されたキトサンを、次いで、沈殿させ、再結晶化した。
【0079】
疎水性修飾されたキトサン膜は、エタノールにおいて有利な不溶性を有する。例えば、上述のキトサン酵素固定化材料は、一般的に、最大約99重量%、または99容量%を超えるエタノールを有する溶液中の酵素を固定化し、安定化させるために機能的である。種々の実施形態において、キトサン固定化材料は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくはそれ以上の重量%または容量%のエタノールを有する溶液において機能的である。いくつかの場合において、キトサン固定化材料は約15〜約95重量%または容量%のエタノール、約25〜約95重量%または容量%のエタノール、約35〜約95重量%または容量%のエタノール、約45〜約95重量%または容量%のエタノール、約55〜約95重量%または容量%のエタノール、約65〜約95重量%または容量%のエタノール、約70〜約95重量%または容量%のエタノール、約75〜約95重量%または容量%のエタノール、約80〜約95重量%または容量%のエタノール、約85〜約95重量%または容量%のエタノール、約90〜約95重量%または容量%のエタノールを有する溶液において、機能的である。
【0080】
他の実施形態において、ミセル固定化材料または反転ミセル固定化材料は、疎水性修飾された多糖、具体的には、疎水性修飾されたアルギン酸塩等のポリアニオン重合体である。アルギン酸塩は、β−(1−4)−連結されたD−マンヌロン酸およびα−(1−4)−連結されたL−グルロン酸残基を含有する直鎖状の非分枝鎖状重合体である。非プロトン化形態において、β−(1−4)−連結されたD−マンヌロン酸は、式3A

の構造に対応し、非プロトン化形態において、α−(1−4)−連結されたL−グルロン酸は、3Bの構造に対応する(構造3aおよび3Bは、ヒドロキシル基のC6カルボン酸の炭素への結合、および3Aにおいて、C3の酸素への結合を示すことにより、より良く作製され得る)。

アルギン酸塩は、マンヌロン酸残基の重合体ブロックおよびグルロン酸残基の重合体ブロックからなる不均一重合体である。
【0081】
アルギン酸塩重合体は、種々の方式で修飾され得る。その1つは、アンモニウム(NH)イオンより大きい疎水性カチオンでアルギン酸塩修飾される。疎水性カチオンは、(1)重合体の細孔の大きさを指定し、(2)ミセルのpHレベルの維持を補助するための化学緩衝剤として作用する、二重機能を供給し、この両方とも、酵素を安定化させる。疎水性カチオンの第1の機能に関して、疎水性カチオンでのアルギン酸塩の修飾は、ミセルの大きさが、疎水性カチオンの大きさに依存する固定化材料を産生する。したがって、疎水性カチオンを用いたアルギン酸塩の大きさ、形状、および修飾の程度は、ミセルの細孔/ポケットの大きさおよび形状に影響を与える。疎水性カチオンのこの機能は、疎水性カチオンの大きさおよび分枝を変化させることにより、特定の酵素に合致するように、ミセルの大きさを大きく、もしくは小さく、または異なる形状に作製することを可能にする。
【0082】
疎水性カチオンの第2の機能に関して、アルギン酸塩重合体の特性は、アルギン酸塩上の−CO基に対する対イオンとして、疎水性カチオンをプロトンと交換することにより変更される。対イオンのこの変更は、疎水性カチオンが、−CO部位に対して、プロトンより非常に大きな親和性を有するため、pHに緩衝効果を提供する。アルギン酸塩膜のこの緩衝効果は、溶液のpHが変化しても、ミセルの細孔/ポケットのpHを実質的に未変化に維持する、つまり、細孔のpHは、溶液のpHの変化に侵されない。加えて、アルギン酸塩膜は、固定化された酵素をさらに保護する、機械的バリアを提供する。
【0083】
修飾されたアルギン酸塩膜を調製するために、第1のステップは、アルギン酸塩重合体の懸濁液を疎水性カチオンの溶液で成型し、膜を形成することである。過剰な疎水性カチオンおよびそれらの塩は、その後、膜から抽出され、膜が再成型される。再成型時、膜は、アルギン酸塩膜の−CO部位を伴って疎水性カチオンを含有する。膜からの疎水性カチオンの塩の除去は、より安定し、再現可能な膜をもたらすが、これらが除去されない場合、過剰塩は、細孔に封入されるか、または膜に空隙を生じさせることができる。
【0084】
一実施形態において、修飾されたアルギン酸塩膜は、アルギン酸塩重合体の懸濁液を四級臭化アンモニウム等の疎水性カチオンの塩の溶液で成型することにより調製される。過剰の四級臭化アンモニウムまたは臭化水素は、塩抽出された膜を形成するために再成型される前に膜から除去される。膜の塩抽出は、カルボン酸交換部位で、四級アンモニウムカチオンの存在を維持するが、細孔に封入される可能性がある、または平衡膜に空隙を生じる可能性がある過剰塩からの厄介な問題を排除する。代表的な疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオン、四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、アルキルトリエチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナンスロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)2+、および[Fe(フェナンスロリン)3+である。
【0085】
好適な実施形態の1つにおいて、疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオンである。特に、疎水性カチオンは、四級アンモニウムカチオンである。別の実施形態において、四級アンモニウムカチオンは、式4

により表され、式中、R、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素以外である。さらなる実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシルであり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素以外である。また別の実施形態において、R、R、R、およびRは、同一であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである。さらに別の実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、ブチルである。さらに別の実施形態において、好ましくは、R、R、R、およびRは、エチルである。好ましくは、四級アンモニウムカチオンは、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)、およびそれらの組み合わせである。
【0086】
ミセルの特徴が試験され、ミセル細孔/ポケットは、疎水性であり、構造がミセルであり、外部pH変化を緩衝し、高い細孔相互接続性を有するため、この膜のミセルの細孔/ポケット構造は、酵素固定化に最適である。
【0087】
別の実験において、超低分子量アルギン酸塩およびドデシルアミンを25%エタノールに設置し、還流し、カルボン酸基のアミド化によりドデシル修飾されたアルギン酸塩を産生した。種々のアルキルアミンは、ドデシルアミンと置換され得、様々な数のアルギン酸塩構造の反応性カルボン酸基に結合される、C−C16アルキル基を有するアルキル修飾されたアルギン酸塩を産生する。種々の実施形態において、カルボン酸基の少なくとも約1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48%、またはそれ以上が、アルキルアミンと反応する。いくつかの場合において、カルボン酸基の約2〜約50%、約10〜約50%、約20〜約50%、約30〜約50%、約40〜約50%が、アルキルアミンと反応する。
【0088】
疎水性修飾されたアルギン酸塩膜は、エタノールにおいて有利な不溶性を有する。例えば、上述のアルギン酸塩酵素固定化材料は、一般的に、少なくとも約25重量%または25容量%のエタノールを有する溶液中の酵素を固定化し、安定化させるために機能的である。種々の実施形態において、アルギン酸塩固定化材料は、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90もしくはそれ以上の重量%、または容量%のエタノールを有する溶液において機能的である。いくつかの場合において、アルギン酸塩固定化材料は、約25〜約95重量%または容量%のエタノール、約35〜約95重量%または容量%のエタノール、約45〜約95重量%または容量%のエタノール、約55〜約95重量%または容量%のエタノール、約65〜約95重量%または容量%のエタノール、約70〜約95重量%または容量%のエタノール、約75〜約95重量%または容量%のエタノール、約80〜約95重量%または容量%のエタノール、約85[text cut out]を有する溶液において機能的である。
【0089】
特定の酵素において最も有利な固定化材料を評価するために、選択された酵素を、種々の固定化材料に固定化し、電子伝導体上に沈着させ、電子介在物質(例えば、NAD)を含有する溶液、および/または緩衝溶液中の特定の酵素用の基材で処理することが可能である。特定の固定化材料に固定化された酵素が、固定化後、まだ触媒的に活性酵素である時、蛍光顕微鏡像が得られ、蛍光を示す。酵素活性は、任意の標準の分光検定によっても決定され得る。さらに、酵素活性は、その酵素の生物反応器を使用して決定され得るが、特に炭酸脱水酵素の活性は、実施例1に記載する生物反応器、またはSigma(改訂年月日07/22/96)により発表された炭酸脱水酵素検定を使用することによって測定され得る。炭酸脱水酵素検定は、8.3〜6.3の緩衝された反応混合物のpHの減少に必要とされる時間において、非酵素性ブランクと酵素含有試料との間の実速度の相違を決定することにより、酵素性CO水和の速度を測定する。
【0090】
上述の検定法は、特定の固定化材料が、酵素の触媒活性を維持しながら、酵素を固定化し、かつ安定化させるかどうかを決定する一方式である。例えば、澱粉消費アミラーゼにおいて、最も大きな相対的活性を提供した酵素固定化材料は、t−アミルアルコールに懸濁されたブチルキトサンにおける酵素の固定化により提供される。マルトース消費アミラーゼにおいて、最も大きな相対的活性は、中分子量のデシル修飾されたキトサンにおける酵素の固定化により提供される。
【0091】
本発明の一態様は、高分子固定化材料に封入することにより固定化された酵素を対象とし、該固定化材料は、酵素より小さい化合物に対して透過性であり、式5、6、7、または8

のいずれかの構造を有し、式中、R21、R22、R23、およびR24は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、R25は、水素または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎の置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎の水素原子の平均数は、少なくとも0.1であることを条件とし、m、n、o、およびpは、独立して、約10〜約5000の整数である。これらの実施形態の多くにおいて、酵素固定化材料は、ミセル重合体または反転ミセル重合体を含む。

修飾されたポリスルホン
【0092】
種々の実施形態のいくつかにおいて、固定化材料は、式5

の構造を有し、式中、R21、R22、およびnは、上に定義される。種々の実施形態において、R21およびR22は、独立して、水素、アルキルまたは置換されたアルキルである。種々の実施形態において、R21およびR22は、独立して、水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数であり、具体的には、R26、R27、およびR28は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R26、R27、およびR28は、メチルである。
【0093】
代替的に、R21およびR22は、独立して、水素、または−(CH262728であり26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、R28は、アルキルアミノであり、qは、1、2、または3の整数である。R28がアルキルアミノである時、好適なアルキルアミノ基は、三級アルキルアミノ基である。例えば、アルキルアミノ基は、−CH293031、−CHCH293031、または−CHCHCH293031であり得、R29、R30、およびR31は、独立して、水素またはアルキルである。種々の好適な実施形態において、R29、R30、およびR31は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R29、R30、およびR31は、メチルまたはエチルである。
【0094】
好ましくは、R21、R22、またはR21およびR22は、アルキルまたは置換されたアルキルであり、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキル基の平均数は、約0.1〜約1.4、約0.2〜約1.4、約0.3〜約1.4、約0.3〜約1.2、約0.3〜約1、約0.3〜約0.8、約0.4〜約1.4、約0.4〜約1.2、約0.4〜約1、約0.4〜約0.8、約0.5〜約1.4、約0.5〜約1.2、約0.5〜約1、約0.5〜約0.8である。
【0095】
他の好適な実施形態において、R21およびR22は、独立して、水素、または−(CH−ポリエーテルであり、ここで、qは、1、2、または3の整数である。好適な実施形態において、qは、1である。好適な実施形態のいくつかにおいて、R21およびR22は、独立して、水素、−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R、−CH−O−(CH−CH−O)−R、またはそれらの組み合わせであり、zは、3〜180の整数であり、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド(例えば、Rが、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリールである、−O−(CH−CH−O)−Rまたは−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R)は、約150ダルトン(Da)〜約8000ダルトン(Da)の分子量である。特定の実施形態においてポリエチレンオキシドは、約500Da〜約600Da、具体的には、約550Daの分子量を有する。
【0096】
修飾されたポリスルホンは、良好な化学および熱安定性を有するため、望ましい固定化材料である。加えて、修飾されたポリスルホンは、N−メチルピロリドン(NMP)およびジオキサン等の極性有機溶媒において、有利な溶解特性を有する。この溶解性は、修飾されたポリスルホンビーズが、水または低脂肪族アルコール中での沈殿により調製されることを可能にする。未修飾のポリスルホンは、ビーズにおいて、酵素(例えば炭酸脱水酵素)を固定化し、維持することができる。しかし、炭酸脱水酵素の活性は減少し、低多孔度、したがって、重合体−溶媒界面での未修飾ポリスルホンビーズの低透過性が、基材および産物を酵素の活性部位への、およびそこからの拡散を妨げると仮定されている。多孔度を改善するために、ポリスルホンは、多孔度ならびに材料を通した基材および産物の輸送を増加するように修飾され得る。
【0097】
例えば、ポリスルホンは、アミン基をポリスルホンのベンゼン基に添加することにより修飾され得る。ポリスルホンを四級アミン基で修飾することにより、ポリスルホンの親水性が影響され、そして、多孔度および炭酸/重炭酸イオンの輸送が増加する。また、陽電荷されたアミン基は、静電作用を通して、炭酸脱水酵素を安定化させることができる。疎水性基を親水性重合体に添加するこの修飾は、重合体にミセル凝集物/孔構造も形成してもよい。アミン基をポリスルホンに添加するために、骨格のベンゼン環をクロロメチル化した後、クロロメチル基をアミノ化する。このプロセスは、概して、Jihua,H.;Wentong,W.;Puchen,Y.;Qingshuang,Z.Desalination 1991,83,361 and Park,J.−S.;Park,G.−G.;Park,S.−H.;Yoon,Y.−G.;Kim,C.S.;Lee,W.Y.Macromol.Symp.2007,249−250,174に記載されている。この転換の一般的な反応スキームをスキーム1に示す。反復単位毎に添加されるクロロメチル基の平均数は、Hibbs,M.R.;Hickner,M.A.;Alam,T.M.;McIntyre,S.K.;Fujimoto,C.H.;Cornelius,C.J.Chem.Mater.2008,20,2566に記載される、第1のステップ中に反応体比を操作することにより調整され得る。

スキーム1.アミノ化ポリスルホン形成の反応スキーム
【0098】
加えて、クロロメチル化されたポリスルホン(PSf−CHCl)に添加される三級アミンの選択は、ポリスルホンの特性に影響を与えることができる。例えば、トリメチルアミンは、PSf−CHClをアミノ化するために使用され得、四級ベンジルトリメチルアンモニウムカチオンをもたらす。このベンジルトリメチルアンモニウムカチオンは、高温および/または強塩基溶液への長期曝露により安定的であることが示されている(Sata,T.;Tsujimoto,M.;Yamaguchi,T.;Matsusaki,K.J.Membrane Sci.1996,112,161を参照のこと)。三級ジアミンも、このアミノ化ステップに使用され得、架橋ポリスルホンの一方式を提供し、その機械的および熱的安定性を改善する。ジアミンのクロロメチル化されたポリスルホン溶液への添加は、ポリスルホンを架橋し、混合物を固化する。溶媒は、次いで、水またはメタノールと交換され、より多孔質のアミノ化されたポリスルホンをもたらすことができる。溶液の初期の重合体濃度は、得られるポリスルホンの多孔度を操作することにより調節され得る。アミノ化後の塩素アニオンの重炭酸アニオンとの交換は、酵素活性を阻害する塩素イオンを除去することにより、固定化された炭酸脱水酵素の性能を改善することが可能である。加えて、重炭酸イオンのポリスルホンへの組み込みは、pHの変化から酵素を保護するための緩衝能を提供することが可能である。
【0099】
さらに、ポリスルホンがクロロメチル化されると、他の修飾されたポリスルホン重合体が調製され得る。例えば、クロロメチル基は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)のヒドロキシル末端基と反応し、グラフト化されたPEO測鎖を伴うポリスルホン重合体を作製する(Park,J.Y.;Acar,M.H.;Akthakul,A.;Kuhlman,W.;Mayes,A.M.Biomater.2006,27,856を参照のこと)。一般的な反応スキームをスキーム2に示す。上述の通り、PEO測鎖のグラフト密度に対する調整を提供するように、ポリスルホンのクロロメチル化を操作することができる。加えて、PEO測鎖の分子量は、PEO修飾されたポリスルホンの全体的なPEOの重量負荷に影響を与えるように変更され得、負荷は、重合体の全体的な機械的特性に影響を及ぼす。

スキーム2.PSf−g−PEO形成の反応スキーム
【0100】
PEOのポリスルホンへの組み込みは、これらのビーズの親水性、および炭酸/重炭酸イオンの輸送を改善する。加えて、ポリエチレングリコール修飾された炭酸脱水酵素が酵素である時、PEO修飾されたポリスルホンは、炭酸脱水酵素の周囲に親水性PEO層を提供し、酵素が浸出するのをさらに防ぐ。炭酸脱水酵素のPEO被包は、固定化時のその活性を維持するために重要であってもよい乾燥作用から酵素を保護することもできる。
【0101】
加えて、特定のプロセス条件も、多孔度および重合体のイオン輸送を改善することができる。例えば、微孔質構造をポリスルホン重合体に導入するために、超臨界二酸化炭素の使用を通してポリスルホンを起泡することが可能である(Krause,B.;Mettinkhof,R.;van der Vegt,N.F.A.;Wessling,M.Macromolecules 2001,34,874.を参照のこと)。同様のアプローチは、修飾されたポリスルホンビーズの起泡を可能にするために使用され得る。微孔質は、微孔質キトサンを作製するために使用されるプロセスに類似した凍結乾燥プロセスを使用することにより、ポリスルホンに導入され得る(Cooney,M.J.;Lau,C.;Windmeisser,M.;Liaw,B.Y.;Klotzbach,T.;Minteer,S.D.J.Mater.Chem.2008,18,667.を参照のこと)。ポリスルホンは、水/酢酸混合液に可溶性ではないため、真空下のその固体状態において、かなりの昇華を可能にするポリスルホンに適切な溶媒が要求される。メントールは、ポリスルホンが、わずかに高温のメントールにおいて高濃度で溶解することができることを示唆する、その低融解温度(35℃)およびジオキサンに対する比較可能な溶解パラメータのため、有望な候補である。

修飾されたポリカーボネート
【0102】
特定の実施形態において、固定化材料は、式6

の構造を有し、式中、R23、R24、およびmは、上に定義される。種々の実施形態において、R23およびR24は、独立して、水素、アルキルまたは置換されたアルキルである。種々の実施形態において、R23およびR24は、独立して、水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数であり、具体的には、R26、R27、およびR28は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R26、R27、およびR28は、メチルである。
【0103】
代替的に、R23およびR24は、独立して、水素、または−(CH262728であり、R26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、Rは、アルキルアミノであり、pは、1、2、または3の整数である。R28がアルキルアミノである時、好適なアルキルアミノ基は、三級アルキルアミノ基である。例えば、アルキルアミノ基は、−CH293031、−CHCH293031、または−CHCHCH293031であり得、R29、R30、およびR31は、独立して、水素またはアルキルである。種々の好適な実施形態において、R29、R30、およびR31は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R29、R30、およびR31は、メチルまたはエチルである。
【0104】
他の好適な実施形態において、R23およびR24は、独立して、水素、または−(CH−ポリエーテルであり、qは、1、2、または3の整数である。好適な実施形態のいくつかにおいて、R23およびR24は、独立して、水素、−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R、−CH−O−(CH−CH−O)−R、またはそれらの組み合わせであり、zは、3〜180の整数であり、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド(例えば、Rが、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリールである、−O−(CH−CH−O)−Rまたは−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R)は、約150ダルトン(Da)〜約8000ダルトン(Da)の分子量を有する。
【0105】
好ましくは、R23、R24、またはR23およびR24は、アルキルまたは置換されたアルキルであり、反復単位毎のアルキルまたは置換されたアルキル基の平均数は、約0.1〜約1.4、約0.2〜約1.4、約0.3〜約1.4、約0.3〜約1.2、約0.3〜約1、約0.3〜約0.8、約0.4〜約1.4、約0.4〜約1.2、約0.4〜約1、約0.4〜約0.8、約0.5〜約1.4、約0.5〜約1.2、約0.5〜約1、約0.5〜約0.8である。
【0106】
ポリカーボネートは、ポリスルホンに類似した構造を有する。また、その骨格にベンゼン環も含むため、ポリスルホンにおいて上述する同様の様式で、クロロメチル基を添加することにより官能化され得る。これらのクロロメチル基は、次いで、アミノ化されるか、またはポリスルホンにおいて利用された同様の手順後にPEOをグラフト化させることができる。スキーム3および4は、両方の一般反応スキームを示す。ポリスルホンと同様に、ポリカーボネートは、超臨界二酸化炭素を使用して起泡され得る。

スキーム3.アミノ化されたポリカーボネート形成の反応スキーム


スキーム4.PC−g−PEO形成の反応スキーム

修飾されたポリ(塩化ビニルベンジル)
【0107】
他の実施形態において、固定化材料は、式7

の構造を有し、式中、R25およびoは、上に定義される。種々の実施形態において、R25は、水素、アルキル、または置換されたアルキルである。種々の実施形態において、R25は、水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数であり、具体的には、R26、R27、およびR28は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R26、R27、およびR28は、メチルである。
【0108】
代替的に、R25は、水素、または−(CH262728であり、R26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、R28は、アルキルアミノであり、pは、1、2、または3の整数である。R28がアルキルアミノである時、好適なアルキルアミノ基は、三級アルキルアミノ基である。例えば、好適なアルキルアミノ基は、−CH293031、−CHCH293031、または−C293031であり得、R29、R30、およびR31は、独立して、水素またはアルキルである。種々の好適な実施形態において、R29、R30、およびR31は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルであり、より具体的には、R29、R30、およびR31は、メチルまたはエチルである。
【0109】
好ましくは、R25は、置換されたアルキルであり、反復基毎の置換されたアルキル基の平均数は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、またはそれ以上である。
【0110】
ポリ(塩化ビニルベンジル)(PVBC)は、重合体に含有されるクロロメチル基を有する商業的に入手可能な重合体であるため、クロロメチル化ポリスルホンまたはポリカーボネートにおける上述の合成手順に類似してアミノ化され得る。しかしながら、PVBCは、ポリスルホンおよびポリカーボネートの機械的強度を欠損し、いくらか脆性であり、低ガラス遷移温度を有する。しかしながら、この重合体の機械的および熱的安定性は、三級ジアミンでアミノ化することによって、PVBCを架橋することにより改善され得る。(Varcoe,J.R.;Slade,R.C.T.;Lee,E.L.H.Chem.Commun.2006,1428.を参照のこと)。このプロセスは、PVBCに陽電荷を組み込み、これらの電荷も、静電気作用を通して固定化された酵素を安定化させることができる。スキーム5は、この反応の一般的なスキームを示す。

スキーム5.架橋されたPVBC形成の反応スキーム
【0111】
ジアミンの40重量%のPVBC含有NMP溶液への添加時、ジアミン中のメチレン(−CH−)およびフェニレン(−C−)スペーサーの両方は、架橋された固体フィルムを産生する。以下の構造を有するジアミンは、これらの四級アミンに長期間の安定性を提供するため、選択された。テトラメチルメタンジアミン(TMMDA)の使用は、この溶液を急速に固化し(例えば、10分未満)、TMMDAのPVBCとの反応が速いことを示す。固化されると、TMMDAと架橋されたPVBCは、メタノールまたは水の添加時に膨潤しない。逆に、テトラメチルフェニレンジアミン(TMPDA)の反応は遅く、固化に数時間かかる。固化されると、TMPDAと架橋されたPVBCは、メタノールまたは水のいずれかに曝露されると、顕著に膨潤する(が、その原形は維持する)。TMPDAと架橋されたPVBCは、親水性の高膨潤材料を形成し、これは、剛性のガラス状重合体であるポリスルホンおよびポリカーボネートと比較すると、重合体を通した炭酸/重炭酸イオンの輸送を著しく改善する。ポリスルホンおよびポリカーボネートと同様に、修飾されたPVBCの誘導体化の量は、クロロメチル化反応中、溶液の重合体濃度を調節することにより変更され得る。

修飾されたポリシロキサン
【0112】
種々の実施形態において、固定化材料は、式8

の構造を有し、式中、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎の水素原子の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とする。
【0113】
種々の実施形態において、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、−(置換されたアルキレン)−酸もしくはその塩、−(置換されたアルキレン)−塩基もしくはその塩、−(CHO−(CH−CH−O)−R、−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R、またはそれらの組み合わせであり、qは、2、3、または4の整数であり、Rは、[text cut out]。酸基は、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルファミン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせであり得る。塩基は、アミン塩基、具体的には、三級アミン、四級アミン、窒素複素環、それらの塩、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態において、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、−(CH−O−((CH−O−)CH、−(CH−C(O)−O−(CH−イミダゾリウム、−(CH−O−CH−CH(OH)−N(CH)−(CH−SONaである。
【0114】
式8の構造は、水素化ケイ素結合を含有するポリシロキサンである、ヒドロシロキサンから始めて調製される。例としては、ポリ(メチルヒドロシロキサン)(PMHS)同種重合体、ポリ(フェニルジメチルヒドロシロキシ)シロキサン(PPDMHS)同種重合体、およびポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)またはポリ(フェニルメチルシロキサン)(PPMS)等のPMHSまたはPPDMHSの他のポリシロキサンとの共重合体が挙げられる。具体的には、ポリアルキルヒドロシロキサン(例えば、ポリ(メチルヒドロシロキサン)、ポリ(エチルヒドロシロキサン)、ポリ(プロピルヒドロシロキサン)、ポリアリールヒドロシロキサン(例えば、ポリ(フェニルヒドロシロキサン)、ポリ(トリルヒドロシロキサン))、ポリ(フェニルジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン共−メチルヒドロシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン共−フェニルメチルシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン共−アルキルメチルシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン共−ジフェニルシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン共−フェニルメチルシロキサン)である。これらのポリシロキサンは、望ましいCO溶解度を有する。理論に拘束されることなく、ポリシロキサンの弾性は、CO溶解度を増加すると考えられている。発表された手順を使用して、これらの水素化官能ポリシロキサンは、白金触媒(ヒドロシリル化反応)を使用して、ポリエーテルおよび/またはイオン基をアリル含有化合物と共役することにより、これらでグラフト化することができる。一般的な反応スキームをスキーム6〜8に示す。

スキーム6.ポリエチレングリコール修飾されたポリ(メチルヒドロシロキサン)の合成



スキーム7.カチオン修飾されたポリ(メチルヒドロシロキサン)の合成

スキーム8.アニオン修飾されたポリ(メチルヒドロシロキサン)の合成
【0115】
一般的に、イオンポリシロキサンまたは非イオンポリシロキサンの官能化は、添加されるポリエーテルまたはイオン基の量を調整することにより操作され得る。特に、PMHSの官能化は、反応混合物に添加されるアリルPEG、アリルグリシジルエーテル、および/またはアクリル酸アルキルイミダゾリウムの量を変更することにより変更され得る。官能部位の追加(例えばポリエーテルまたはイオン基)は、イオンポリシロキサンおよび非イオンポリシロキサンの水溶解度を増加する。重合体の水溶解度は、ポリシロキサンに付加される官能部位の数に依存する。さらに、ポリシロキサンは、アリル基を有するポリエーテル、およびアリル基を有するイオン化合物を同反応混合物に添加することにより、ポリエーテルおよびイオン種の両方で官能化され得る。
【0116】
官能化されたPMHSは、次いで、ヒドロシリル化反応または脱水素共役反応の2つの可能な経路を介して、残存Si−H基を使用することによって天然ゴムに近い特性を有するエラストマーの中に架橋され得る。ヒドロシリル化反応は、架橋剤として白金ジビニルテトラメチルジシロキサン複合体およびビニル官能性ポリシロキサン等の白金触媒を使用する。ビニル官能性ポリシロキサンの例としては、ジビニル終結PDMSまたはPPMS、ポリ(ビニルメチルシロキサン)(PVMS)同種重合体、ならびにPVMSおよびPDMSもしくはPPMSの共重合体が挙げられる。脱水素共役反応は、触媒の選択が共役作用に依存する触媒を使用する。スズ触媒は、主に、Si−HがSi−OHと共役し、Si−O−Si連結を形成する、脱水素共役反応で使用される。ジ−n−ブチルジラウリルスズ等のスズ触媒は、架橋剤としてシラノール官能性ポリシロキサンと共に使用される。スズ化合物に加え、亜鉛、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、および白金系の他の遷移金属複合体が使用され得る。具体的な例としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、およびウィルキンソン触媒(ロジウム系金属塩;(PhP)RhCl)が挙げられる。貴金属触媒(主に白金だが、ロジウムも)は、Si−Hが末端ビニル結合と反応し、Si−CH−CH−Siを形成する、ヒドロシリル化反応に使用される。遊離ラジカル発動因子(熱および/またはUV生成)は、ポリシロキサンを含有するビニル、アクリル酸塩、またはメタクリル酸塩を架橋するために使用され得る。スズおよび/またはチタン化合物は、Si−OH基が種々の反応基(アルコキシ、アセトキシ、オキシム、エノキシ(enoxy)、およびアミン)と反応し、Si−O−Si結合を形成する、縮合硬化システムを触媒するために使用される。これらの縮合硬化システムは、湿度感受性であり、水の存在下のみで反応するが、チタンおよび/またはスズ化合物を使用するとその反応を加速する。シラノール官能性ポリシロキサンの例としては、ジシラノール終結PDMSまたはポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)(PTFPMS)、PPMSおよびPDMSのジシラノール終結共重合体、ならびにシラノール−トリメチルシリル修飾されたQ樹脂が挙げられる。架橋密度は、固定化マトリックスにおける金属特性および酵素維持に影響を与える。
【0117】
この固定化手順に対する他の変形は、アニール温度(ウシ炭酸脱水酵素(BCA)に対しては4℃〜60℃)、ヒト炭酸脱水酵素(HCA)に対しては〜80℃))、ならびにスズ触媒選択および負荷を含む。ジブチルジラウリルスズに加えて、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ジメチルヒドロキシ(オレイン酸塩)スズ、およびジオクチルジラウリルスズが、触媒として使用され得る。アニール温度が上昇すると、高反応速度(30分、またはそれ未満で固化する)の維持に必要なスズの触媒量は、減少し、約0.01〜約10容量%、好ましくは、約0.2〜約4容量%の範囲である。
【0118】
重合体片の最終形状も、変動し得る。円柱の径および長さは、異なるアクリル型を使用して変更され得る。代替的に、ポリシロキサンは、固体支持体上に被覆され得る。理想的には、固体支持体の表面は、スズ触媒された架橋反応中にポリシロキサンに共有結合的に結合することができるように、Si−OH基で官能化される。ジシラノール終結重合体架橋剤の種類および分子量も、複合体ポリシロキサンの特性(例えば、密度、機械的強度等)を変更するように変更され得る。PDMS−(OH)の代替としては、ジシラノール終結ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、ジシラノール終結ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、およびジシラノール終結ポリ(ジフェニルシロキサン)である。
【0119】
加えて、PMHS−g−PEGは、種々の分子量の貴金属触媒およびビニル含有ポリシロキサン架橋剤を使用して、異なる作用(ヒドロシリル化)を介して架橋され得る。この反応に対する有用な触媒は、約0.01〜約5容量%、好ましくは約0.02〜約0.5容量%の負荷での白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン複合体、白金−シクロビニルメチルシロキサン複合体、および三塩化トリス(ジブチルスルフィド)ロジウムである。ビニル含有ポリシロキサン架橋剤の例としては、ジビニル終結ポリ(ジメチルシロキサン)、ジビニル終結ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン複合体、ジビニル終結ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(ビニルメチルシロキサン)、ビニルQ樹脂、ビニルT構造重合体、ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、およびポリ(ビニルフェニルシロキサン共−フェニルメチルシロキサン)である。

酵素被包プロセス
【0120】
酵素をポリスルホンに被包するために、酵素は、重合体を溶解するために使用される溶媒によって非活性化されてはならない。酵素被包された重合体ビーズを調製する時に、酵素は、界面活性剤を用いて溶媒中に溶解される。次いで、ポリスルホンを溶液に添加し、完全に溶解するまで攪拌する。ポリスルホン/酵素溶液は、完全な混合が達成されるまで室温で保持される。溶解されたポリスルホン/酵素溶液を、次いで、水、アルコール、または水−アルコール溶液に滴下して添加するが、このプロセスは、図1に示す重合体ビーズを形成する。加えて、図1は、重合体ビーズにおける溶解性種の保持率を図示する。青色ビーズは、20mg/mLの銅フタロシアニンを20重量%のポリスルホン含有1−メチルピロリドン溶液中に混合することにより作製された。次いで、溶液を水のビーカーの中に滴下して添加し、ビーズを形成する。ビーズを水、アルコール、および炭酸溶液で繰り返し洗浄し、ビーズから残ったあらゆる色素を洗い流す。
【0121】
アルギン酸塩に酵素を固定化するために、2%の未修飾アルギン酸塩溶液を酵素で充填し、2重量%の塩化カルシウム中に滴下して添加し、少なくとも30分間攪拌した。次いで、酵素被包されたアルギン酸塩ビーズを取り除き、ペーパータオルで軽く乾燥させる。次に、手でビーズを20重量%のポリスルホン溶液に転がし入れ、ポリスルホンフィルム被包アルギン酸塩ビーズを得る。ポリスルホン被覆なしでは、アルギン酸塩ビーズは、炭酸ナトリウム溶液に溶解するが、ポリスルホンの薄いフィルムがビーズを被覆すると、酵素はアルギン酸塩中に保持されるため、このフィルムは、必要である。このプロセスは、基材拡散を調整するために、他の重合体に使用され得る。
【0122】
ポリ(塩化ビニルベンジル)(PVBC)に酵素を固定化するために、ジオキサンまたは1−メチルピロリドン等の水置換可能な溶媒でPVBC溶液を作製した。次いで、炭酸脱水酵素を溶液に添加し、均一な溶解が生じるまで攪拌した。溶液が十分に分散されたら、ジアミン架橋剤を添加し、溶液がビーズを形成するのに十分に粘稠になるまで攪拌する。しかしながら、攪拌は、溶液がゲルになるほど長くてはならない。粘稠性が、ホールピペットを使用して容易にピペットするのに十分に低い時に、溶液を水のビーカー中に滴下して添加し、過剰な溶媒を除去するために攪拌する。
【0123】
ポリスルホン−グラフト−ポリエチレングリコール(PSf−g−PEG)重合体に酵素を固定化するために、PSf−g−PEGが溶解するまで、乾燥PSf−g−PEGおよび低沸点溶媒(例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン、2−ブタノン、ベンゼン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン)を槽に設置した。支持体材料(例えば、多孔質溶岩、多孔質シリカ、多孔質セラミック、多孔質重合体ビーズ、または他の適切な支持体)をビーカーに設置し、酵素(例えば炭酸脱水酵素)を攪拌しながら添加する。均質化したら、PSf−g−PEGを添加し、支持体材料を被覆するために攪拌する。溶媒が蒸発するまで、続けて内容物を攪拌する。固定化された炭酸脱水酵素被覆された支持体材料を真空オーブンに設置し、残留溶媒を除去し、重炭酸溶液に保存する。
【0124】
代替的に、水混和性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン)と共に乾燥PSf−g−PEGを槽に設置することにより、酵素をPSf−g−PEGに固定化し、PSf−g−PEGが溶解するまで攪拌することができる。PSf−g−PEGが溶解したら、酵素(例えば、炭酸脱水酵素)を添加し、完全に混合する。酵素/PSf−g−PEG溶液を脱イオン水に滴下して添加し、重合体ビーズを形成する。ビーズを重炭酸溶液に保存する。

コア構成要素
【0125】
コアは、固定化された酵素層の支持体を提供し、スプレー乾燥され得る任意の粒子である。コア粒子は、例えば、重合体粒子、炭素粒子、ゼオライト粒子、金属粒子、セラミック粒子、酸化金属粒子、シリカ粒子、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、コア粒子は、不活性コア粒子である。種々の実施形態において、コア粒子は、重合体粒子ではない。好適なコア粒子は、酵素の安定性または酵素に関与する化学転換に有害な影響を与えない。特定の用途において、コア粒子は、固定化された酵素で被覆される時、粒子の意図される使用に応じて、約200nm〜約100μmの平均径を有する。他の用途において、コア粒子は、用途のために設計されたシステムに適切な寸法を有することができる。

被覆された粒子の調製方法
【0126】
被覆された粒子は、酵素を含む溶液を、少なくとも1つのコア粒子、固定化材料、および液体媒体を含む懸濁剤と混合し、得られた混合物をスプレー乾燥させることにより調製される。溶液、懸濁剤、およびスプレー乾燥工程は、以下により詳細に記載される。
【0127】
酵素および溶媒を含む酵素溶液は、被覆手順で使用される。酵素は、溶媒と混ぜ合わされ、溶液が形成されるまで混合される。許容される酵素は、以下により詳細に記載される。溶媒は、水性溶液、具体的には、酢酸緩衝液またはリン酸緩衝液等の緩衝溶液であり得る。緩衝液のpHは、固定化される特定の酵素に許容されるpHを提供するように設計される。また、種々の実施形態において、酵素溶液は、上述のように、電子介在物質を含有することができる。
【0128】
懸濁液は、コア粒子、所望の固定化材料、および液体媒体を混ぜ合わせることにより調製される。代表的なコア粒子および固定化材料は、上述の通りである。液体媒体は、酢酸緩衝液またはリン酸緩衝液等の溶媒または緩衝液であり得る。緩衝液が液体媒体として使用される時、緩衝液のpHは、固定化および被覆される特定の酵素に許容されるpHを提供するように選択される。
【0129】
酵素溶液および懸濁液が調製されたら、これらを混ぜ合わせ、良く混合する。次に、得られた混合物を乾燥させる。乾燥が、固定化された酵素層でコア粒子の被覆ももたらすため、好適な乾燥方法は、スプレー乾燥である。従来のスプレー乾燥法が、本発明の方法に使用され得る。スプレー乾燥の代替としては、流動層顆粒化、スプレー乾燥顆粒化、回転式顆粒化、流動層/スプレー乾燥顆粒化、押出し、および球状化等の、被覆された粒子を形成するための他の従来のプロセスを含む。
【0130】
種々の実施形態のいくつかにおいて、溶液は、約0.1重量%〜約15重量%の酵素、および約85重量%〜約99.1重量%の溶媒を含み、懸濁液は、約0.1重量%〜約50重量%のコア粒子、約4重量%〜約10重量%の酵素固定化材料、および約50重量%〜約75重量%の液体媒体を含む。成型用溶液を作製する他の方式は、緩衝液に粒子と酵素を一緒に混合し、懸濁液を形成した後、可溶化された固定化材料を添加し、混合物を完了するか、または材料の全てを一度に混ぜ合わせ、懸濁液を形成することを含む。
【0131】
種々の好適な実施形態において、酵素と酵素固定化材料との混合物は、スプレー被覆/乾燥法を使用して、支持粒子上に被覆され得る。例えば、エアブラシ(例えば、Paasche VLシリーズ)は、混合物の構成要素のエアロゾルを生成し、これらを標的に向かって推進させるために使用され得る。エアロゾルは、約25psiに調節された圧縮窒素ガスを使用して生成される。エアブラシの先端からシールドまで約40cmの距離から、ポリカーボネートシールド等の表面上に混合物をエアブラシで吹きつける。エアブラシは、ポリカーボネート標的をジグザグパターンで垂直方向下に移動させながら、ラスターパターンで移動し、成型用溶液を塗布することができる。この手順は、シールド上の被覆の厚さを最小にし、乾燥中の粒子−粒子相互作用を最小にするために使用される。大型のヘラ/スクレーパで収集される前に、約20分間、成型用溶液をシールド上で乾燥させる。
【0132】
上述のスプレー乾燥法を使用して被覆できない他の粒子において、粒子は、浸漬被覆、ブラシ被覆、スピン被覆等の、当該分野に公知の方法により被覆され得る。

支持体または基材
【0133】
酵素が、酵素固定化材料内に固定化されると、この固定化された酵素は、支持体上に沈着され得る。基材は、選択された使用に必要な所望の機械的支持体を提供する材料であり得る。例えば、支持体は、固定化された酵素が化学転換の触媒として使用される時、フィルタ、ワイヤメッシュ、多孔質重合体、有機膜および無機膜等であってもよい。

水性液
【0134】
上述の通り、水性液をCO含有ガスと接触させて、COの吸収を補助し、水性液中のCO濃度を増大させる。多くの好適な実施形態において、水性液は、塩基を含む。塩基は、プロトン受容体である。塩基は、水可溶性であり、炭酸脱水酵素を変性しない。塩基は、金属水酸化物、四級アンモニウム水酸化物、金属炭酸塩、四級アンモニウム炭酸塩、四級アンモニウムアルコキシド、金属アミド、金属アルカリ、金属アルコキシド、金属シラノエート(silanoate)、アミン、アルカノールアミン、弱酸の共役塩基、またはそれらの組み合わせであり得る。金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、またはそれらの組み合わせを含むことができる。水酸化アンモニウムも、水性液に使用され得る。金属炭酸塩は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、有機カチオンの炭酸塩、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、有機カチオンの炭酸塩は、テトラアルキルアンモニウム炭酸塩(例えば、テトラメチルアンモニウム炭酸塩、テトラエチルアンモニウム炭酸塩、テトラプロピルアンモニウム炭酸塩、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、テトラペンチルアンモニウム炭酸塩、またはテトラヘキシルアンモニウム炭酸塩)、アルキルトリメチルアンモニウム炭酸塩(例えば、エチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、またはウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩)、アルキルトリエチルアンモニウム炭酸塩(例えば、メチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、プロピルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ペンチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ヘプチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ノニルトリエチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリエチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリエチルアンモニウム炭酸塩、またはウンデシルトリエチルアンモニウム炭酸塩)、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0135】
四級アンモニウム水酸化物、四級アンモニウム炭酸塩、または四級アンモニウムアルコキシドは、水酸化ベンジルトリメチル、水酸化コリン、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化ジメチルドデシルエチルアンモニウム、N,N,N,N′,N′,N′−ヘキサブチルヘキサメチレンジアンモニウム二水酸化物、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサメトニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、水酸化トリブチルメチルアンモニウム、水酸化トリヘキシルテトラデシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラオクタデシルアンモニウム、水酸化メチルトリプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムエトキシド、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラキス(デシル)アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0136】
金属アミド、金属アルコキシド、または金属シラノエートは、リチウムtert−アモキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムトリメチルシラノラート、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシド、カリウムtert−ペントキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムジ−tert−ブトキシド、ナトリウムトリメチルシラノラート、カリウムトリメチルシラノラート、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0137】
アミンは、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチルアミンの環式アミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンDABCO(登録商標)33−LV)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ルチジン、ピペリジン、1,8−(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン、トリペレナミン、アニリン、ベンジルアミン、N−メチルアニリン、イミダゾール、ピロール、ピリジン、モルホリン、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0138】
アミンは、一級アミン、二級アミン、三級アミン、またはそれらの組み合わせであり得る。一級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソ−ペンチルアミン、sec−ペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、イソ−ヘキシルアミン、sec−ヘキシルアミン、tert−ヘキシルアミン、エチレンジアミン、(2−メチルブチル)アミン、2−アミノペンタン、3−(tert−ブトキシ)プロピルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1−エチルプロピルアミン、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに二級アミンは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、N−エチルメチルアミン、N−イソプロピルメチルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−エチルブチルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、クロロ(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、2,2′−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、またはそれらの組み合わせであり得る。加えて、三級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジエチルプロピルアミン、ジエチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0139】
種々の実施形態において、アミンは、三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジエチルプロピルアミン、ジエチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、またはそれらの組み合わせである。
【0140】
アルカノールアミンは、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(Trizma(登録商標)塩基)、プロパノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0141】
弱酸の共役塩基は、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩であり得、対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウムカチオン等の陽イオンであり得る。
【0142】
特に記載のない限り、本明細書に記載されるアルキル基は、好ましくは、主鎖に1〜8個の炭素原子、および最大20個の炭素原子を含有する低級アルキルである。アルキルは、置換または非置換されてもよく、直鎖または分枝鎖であってもよい。非置換されたアルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル等が挙げられる。「置換されたアルキル」のように、「置換された」という用語は、酸素、窒素、硫黄、リン等の種々のヘテロ原子が、主鎖に、またはペンダント基としてのいずれかでアルキル基の炭素原子に結合され得ることを意味する。例えば、置換されたアルキル基は、Xがヘテロ原子である、主鎖で、−C−X−C−断片を有することができる。さらに、置換されたアルキル基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、ホスフィノ、アミノ、ハロ、シリル、ニトロ、エステル、ケトン、複素環、アリール等の、1つ以上の置換基と置換される炭素原子に結合される、少なくとも1つの水素原子を有することができる。
【0143】
本発明をより詳細に記載したが、付属の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、修正および変形が可能であることを理解されたい。

実施例
【0144】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに図示するために提供される。

実施例1:ベンチスケール充填層反応器
【0145】
COを水和するための充填層反応器のフローダイアグラムを図3に示す。図3に示す部品を有する充填層反応器を製作した。反応器の筺体は、両端にPVCキャップを備える3インチ径のPVCパイプで作製された。反応器の充填材料は、重量で0.18重量%の固定化された炭酸脱水酵素で覆われた商業的に入手可能な溶岩であった。固定化された炭酸脱水酵素を以下に記載する。二酸化炭素ガスは、反応器の底部のスパージャを通過して反応器に入り、反応器の上部から大気圧に出た。500mM炭酸ナトリウムの水性溶液は、反応器の上部に入り、反応器の側部から出た。この構成は、二次ポンプを使用せずに反応器の液体レベルを維持することを可能にした。
【0146】
炭酸脱水酵素を充填物上に被覆した後、検査した。試料1Aは、0.18重量%炭酸脱水酵素に100mLの充填容量で、239gの重さの充填物を使用した。428mgウシ炭酸脱水酵素の溶液、0.425mLのトリトンX−100、pH8.3の84.575mLの0.02Mトリス硫酸緩衝液、および15mLの15%臭化テトラエチルアンモニウム修飾されたナフィオン(登録商標)の溶液を調製し、固定化された酵素溶液を形成した。溶液を約5分間ボルテックスした。酵素固定化溶液を溶岩上にピペットで移し、4℃で一晩乾燥させた後、溶岩を反応器に設置する前に、2時間、室温で−30mmHgで、真空オーブンに設置した。試料1Bは、同じ充填容量および充填物の重さであったが、対照として使用するために炭酸脱水酵素を含有しなかった。
【0147】
反応器の流入速度、ガス流および液体流の組成物、充填物の重さ、触媒の重さ、および分離されたmol CO/(h L)を収集した。pHスタットを通して炭酸溶液を再生するために使用された水酸化ナトリウム/水酸化カリウムの量に基づき、分離されたmol CO/(h L)を計算した。全体的なシステムを図3に図示する。4.18L/hの0.5Mの炭酸ナトリウム(NaCO)溶液、および7308L/hのCO流速が反応器に使用された(反応器の条件は最適化されなかった)。
【0148】
どのくらいの二酸化炭素が分離されたかを決定するためにpHスタットを使用する時、記録された時間量において、容量単位に2Mの容量の水酸化ナトリウム(NaOH)を添加した。固定化された炭酸脱水酵素を伴って、およびそれを伴わずに、単位時間(s)毎に添加された水酸化ナトリウムの容量(mL)のグラフを、それぞれ、図4および図5に示す。
【0149】
充填材料が固定化された炭酸脱水酵素で被覆された実験は、0.719mol/hの二酸化炭素が分離されたことを示したが、一方、充填材料が酵素で被覆されなかった実験は、0.471mol/hの二酸化炭素が分離されたことを示した。除去された二酸化炭素の量は、方程式

によって計算され、式中、ΔVは、容量の変化であり、Δtは、時間の変化である。

実施例2:炭酸脱水酵素を使用した重炭酸溶液の脱水
【0150】
重炭酸イオンのCO、水、および炭酸イオンへの変換における反応速度は、密閉システムにおける時間の関数として、pHの変化により監視された。変更されたシステムのパラメータは、反応温度、初期の重炭酸濃度、および反応時間を含む。実験は、0.313mg/mLの炭酸脱水酵素なしの溶液か、または溶液に添加された多孔質支持体上に固定された0.313mg/mLの炭酸脱水酵素を有する、80mLの重炭酸ナトリウム溶液を含有する200mLの三つ口フラスコで実施された。システムの温度は、恒温制御された水浴を使用して、一定の設定値に設定された。中程度の多孔度の半融ガラススパージャを通して、50標準立方センチメートル毎分(sccm)の速度で、窒素ガスをシステムに導入し、反応の過程中に産生されたいくらかの二酸化炭素を除去した。システムの初期のpHは、約8.4であり、pHの変化は、温度補償pHプローブにより監視され、データは3秒間隔で記録が取られた。検査された全ての酵素システムは、酵素を含有しない重炭酸溶液か、またはそこに被覆された固定化された酵素を有さない支持体材料を含有する重炭酸溶液のいずれかの比較可能なブランクと比較された。

実施例2A:遊離酵素含有重炭酸溶液
【0151】
非固定化された炭酸脱水酵素により触媒された重炭酸の脱水は、触媒なしの重炭酸の脱水と比較された。炭酸脱水酵素触媒された反応を非触媒システムと比較した、反応時間に対するpHのグラフを図6に示す。この反応の温度は、40℃に設定され、重炭酸含有溶液の初期濃度は、0.1Mであった。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パドルを装着したオーバーヘッドガラスロッドを使用して、溶液を攪拌した。酵素が、システムに導入された時に、反応のデータ収集が開始され、約50分間、連続して収集された。最初に、酵素システムは、ブランクと比較した時、全体的なシステムにおいて高速のpH変化を実証し、高速は、全実験を通して継続した。45分で、非触媒反応混合物のpHは、同じ経過時間後、炭酸脱水酵素触媒された反応混合物の9.2と比較して、8.9であった。炭酸脱水酵素触媒された反応混合物は、非触媒反応と比較すると、3分の1の時間で0.5pH単位増加した。
【0152】
完了のために、より長い時間反応させた(最大16時間)時、炭酸脱水酵素触媒された反応混合物は、全実験を通して、非触媒反応混合物より高いpH値を維持した。16時間実験の時間に対する反応混合物のpHのグラフを図7に示す。炭酸脱水酵素溶液は、16時間後、10.1のpHで終了した。炭酸ナトリウム溶液は、約11.3のpHであるため、炭酸の濃度は、より長く反応させることが可能であった反応混合物で高かった。

実施例2B:重炭酸濃度の変更
【0153】
重炭酸の初期濃度は、非固定化酵素システムにおいて、0.1Mから2.0Mの値の間で変更された。図8は、0.1、0.5、および2.0Mの初期重炭酸濃度を有する3つの炭酸脱水酵素触媒された反応混合物の反応時間に対するpHのグラフである。最も大きなpHの変化は、低濃度システムで観察された。重炭酸の濃度が、0.5Mに増加されると、システムのpHの変化は、0.1Mで、ブランクシステムと比較可能であったが、0.5Mで、ブランクよりまだわずかに良かった。pH増加および最終pH値の速度は、0.5Mシステムと比較した時、重炭酸濃度が2.0Mに増加される時にわずかに遅くなったのみであった。重炭酸レベルの増加に反応するシステムの逆関係には、多くの原因があり得る。例えば、重炭酸は、炭酸に変換され、したがって、pHをこのような緩衝がないと同じように上昇させないため、重炭酸/炭酸溶液の緩衝能は、システムの濃度が増加すると増加する。さらに、使用されるウシ炭酸脱水酵素の特定の系は、重炭酸脱水反応に対して二酸化炭素水和反応を好む場合があり、反応が進むと、炭酸脱水酵素は、優先的に、新しく形成された炭酸および二酸化炭素を元の重炭酸形態に変換した。最後に、高イオン濃度および高温の組み合わされた作用は、二酸化炭素水和反応における遊離炭酸脱水酵素の活性を減少させることを示しており、同様の結果が重炭酸脱水に対して予測されてもよい。

実施例2C:反応温度
【0154】
非触媒された反応において、重炭酸脱水の速度は、反応混合物の温度が上昇すると増加する。これは、反応混合物を通して蒸気を通過させることにより、反応温度を上昇させ、したがって反応速度を増加し、溶液から産生された二酸化炭素を除去することにより、重炭酸の炭酸への変換において達成された。0.1M重炭酸溶液において、20℃および40℃での、重炭酸の炭酸、CO、および水への炭酸脱水酵素触媒された変換における、時間に対するpHのグラフを図9に示す。非固定化された酵素システムにおいて、反応速度は、高温のシステムに対して室温のシステムがわずかに速かった。これは、以前に試験された重炭酸濃度の結果と同じように、高温およびイオン濃度の組み合わされた作用が酵素の活性を減少させた結果であってもよい。

実施例2D:固定化された炭酸脱水酵素
【0155】
非触媒された反応混合物と比較した、触媒として固定化された炭酸脱水酵素を使用した重炭酸の脱水における、時間に対するpHのグラフを図10に示す。この実施例の炭酸脱水酵素は、乾燥プロセスの間中、酵素の水和を維持するために、0.5%重量のトリトンX界面活性剤を伴う0.5%重量の負荷で、洗浄され粉砕された溶岩支持体(<1cm)上の臭化テトラエチルアンモニウム修飾されたナフィオン(登録商標)に被包された。
【0156】
固定化された炭酸脱水酵素を以下のように調製した。エタノール(2mL)を臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)修飾されたナフィオン(登録商標)(30mg)に添加し、5.0重量%の溶液を作製した。炭酸脱水酵素(50mg)を、0.5%の総溶液パーセンテージで0.02mLのトリトンX−100が添加された、2mLのTrizma塩基緩衝溶液(0.05M、pH 7.6)に添加し、均一な溶解が生じるまで攪拌した。溶液が十分に分散されたら、TEAB修飾されたナフィオン(登録商標)溶液を添加し、溶液が十分に均質になるまで攪拌した。固定化された酵素溶液が十分に混合されたら、高表面積支持体上に成型し、4℃で12時間、その後、真空下で2時間乾燥させた。代替的に、高表面炭素支持体を固定化された酵素溶液に添加し、混合し、噴霧し、室温で数時間乾燥させた。
【0157】
固定化された酵素の活性および性能は、同じ塩濃度および温度での遊離酵素と非常に類似した。さらに、この試料での検査は、非固定化された酵素と比較した、高温(>50C)、高濃度の重炭酸、および作動寿命への曝露を含む。固定化された炭酸脱水酵素を有する同じ充填材料が、実行1および実行2に使用された。性能におけるこの相違は、複数の洗浄と、高炭酸濃度溶液に曝露された後の、固定化された酵素浸出の安定性に起因する場合がある。

実施例3.Printex−95炭素上の炭酸脱水酵素TBAB修飾されたナフィオン(登録商標)の固定化
【0158】
ウシ炭酸脱水酵素(70mg、Sigma−Aldrichから購入)をpH8.3緩衝液の10mLの20mMトリス−SOと混ぜ合わせ、約5秒間、激しくボルテックスした。Printex−95炭素支持体材料(0.5グラム)を酵素溶液と混ぜ合せ、室温で1分間、激しくボルテックスした。臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)修飾されたナフィオン(登録商標)(2mL、15%w/v)含有95%エタノール溶液を酵素/支持体懸濁液に添加し、室温で1分間、激しくボルテックスした。酵素/支持体/ナフィオン(登録商標)/修飾因子溶液を、約20psiで、窒素ガスと共に鏡の上にスプレー乾燥させた。得られた固定化された試料を、30分間、室温で、鏡の上で乾燥させた。乾燥させた固定化された酵素を鏡から剥がし、約4℃で保存した。
【0159】
Sigma(改訂年月日07/22/96)により発表された炭酸脱水酵素検定を使用して、酵素活性を測定し、計算した。検定は、8.3〜6.3の緩衝された反応混合物のpHの減少に必要とされる時間において、非酵素性ブランクと酵素含有試料との間の実速度の相違を決定することにより、酵素性CO水和の速度を測定する。この酵素活性検定は、この実施例および全ての後続の実施例に使用された。
【0160】
得られたデータは、非酵素反応と比べ、固定化された酵素を使用した反応速度に純増加を示さなかった。調製および固定化された材料の検査に使用された酵素の量は、関与しているならば、明白な速度増加を示すことが予想された。

実施例4:Printex−95炭素上の臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)修飾されたナフィオン(登録商標)への炭酸脱水酵素の固定化
【0161】
臭化テトラエチルアンモニウムを修飾因子として使用したことを除き、炭酸脱水酵素を実施例3に記載するように固定化した。同じく、速度の純増加は、この固定化された酵素の検定において観察されなかった。調製および固定化された材料の検査に使用された酵素の量は、関与しているならば、明白な速度増加を示すことが予想された。

実施例5:ポリ(スチレン−co−ジビニルベンゼン)(PS−coDVB)上のヘキサナール修飾されたキトサンへの炭酸脱水酵素の固定化
【0162】
重合体および修飾因子が、それぞれキトサンおよびヘキサナールであったことを除き、前の実施例に記載するように、炭酸脱水酵素を固定化し、酵素/重合体/修飾因子懸濁液をスプレー乾燥させる前に混合した。非酵素対照反応に対するCO水和の速度に、純増加はなかった。調製および固定化された材料の検査に使用された酵素の量は、関与しているならば、明白な速度増加を示すことが予想された。

実施例6:PS−co−DVB上の脱アセチル化キトサン/アセトアルデヒドへの炭酸脱水酵素の固定化
【0163】
重合体および修飾因子が脱アセチル化キトサンおよびアセトアルデヒドであったことを除き、前の実施例に記載するように、炭酸脱水酵素を固定化し、スプレー乾燥させた。支持体は、8μmの大きさの公称粒子のポリ(スチレン−co−ジビニルベンゼン)であった。この固定化材料において、純酵素活性は観察されなかった。調製および固定化された材料の検査に使用された酵素の量は、関与しているならば、明白な速度増加を示すことが予想された。

実施例7:Printex−95炭素上のTEAB修飾されたナフィオン(登録商標)へのトリトンX−100処理された炭酸脱水酵素の固定化
【0164】
ウシ炭酸脱水酵素(70mg;Sigma−Aldrichから購入)をpH8.3緩衝液の10mLの20mMトリス−SOおよび0.050mLのトリトンX−100と混ぜ合わせた。固定化およびスプレー乾燥は、実施例2のように行われた。この工程により固定化されたトリトン処理された酵素は、活性において検査され、固定化された酵素を含有する材料1グラム当り1077単位の活性を有した。

実施例8:Printex−95炭素上のTEAB修飾されたナフィオン(登録商標)へのデシルアミン修飾された炭酸脱水酵素の固定化
【0165】
炭酸脱水酵素(70mg)をpH5.0の5mLの75mM MES緩衝液、その後、7.8mgのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(4mM)および23.8mgのN−ヒドロキシスルホコハク酸イミドナトリウム塩(sulfo−NHS)(11mM)と混ぜ合わせた。溶液を5秒間激しくボルテックスした。第2の溶液をpH5.0の5mLの75mM MES緩衝液で作製し、7.87mgのデシルアミンと混ぜ合わせた。この溶液をEDC/酵素溶液と混ぜ合わせ、5秒間、激しくボルテックスした。混合溶液を一晩、冷蔵庫で保持した。次いで、修飾された酵素を15%(w/v)のTEAB修飾されたナフィオン(登録商標)および1グラムのPrintex−95と混合し、上述のようにスプレー乾燥させた。酵素活性検定は、この修飾が、固定化された酵素を含有する材料1グラム当り3729単位の活性を有することを示した。

実施例9:Printex−95炭素上の(PEG)8修飾された炭酸脱水酵素の固定化
【0166】
デシルアミンの代わりに、Pierce Scientificから得た11.0mgの(PEG)8修飾された炭酸脱水酵素が使用されたことを除き、炭酸脱水酵素(70mg)を実施例8に記載するように溶解し、使用した。一晩、冷蔵した後、修飾された酵素調製物をPrintex−95炭素と混ぜ合わせた後、実施例8のようにスプレー乾燥させた。酵素検定は、この固定化された修飾炭酸脱水酵素調製物が、固定化された酵素を含有する材料1グラム当り3421単位の活性を有することを示した。

実施例10:ポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素
【0167】
ポリスルホンに炭酸脱水酵素を固定化する時、炭酸脱水酵素を8gの1−メチルピロリドンおよび0.05mLのトリトンX−100に溶解した。ポリスルホン(2g、20重量%)を溶液に添加し、完全に溶解するまで攪拌した。ポリスルホン/炭酸脱水酵素溶液は、完全な混合が達成されるまで、室温で保持された。溶解されたポリスルホン/炭酸脱水酵素溶液を、次いで、水、アルコール、または水−アルコール溶液に滴下して添加し、図11に示す重合体ビーズ(試料1A)を形成した。青色ビーズ(試料1B)は、200mgの銅フタロシアニンを10mLの20重量%ポリスルホン含有1−メチルピロリドン溶液中に混合することにより調製された。次に、溶液を水のビーカーの中に滴下して添加することにより、ビーズを形成した。ビーズを水、アルコール、および炭酸溶液で繰り返し洗浄し、ビーズから残ったあらゆる色素を洗い流す。
【0168】
試料1Cは、100mgの炭酸脱水酵素を0.05mLのトリトンX−100を有する10mLの1−メチルピロリドンに溶解し、20重量%ポリスルホン含有1−メチルピロリドンを添加することにより調製された。試料1Aおよび1Bを図11に写真で示す。酵素活性について、試料1Cを検査した。図12は、ポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素のブランク溶液および遊離酵素含有溶液との比較を示す。固定化された酵素は、活性を示したが、活性は、遊離酵素と同様に高くはなかった。実験は、溶液に50sccmの二酸化炭素を散布した三環フラスコに0℃で0.5M炭酸ナトリウムに設置された試料1Cのビーズを使用した。約50分の経過に渡り、温度調節されたpHメータを使用して、pHを監視した。各実行は、時間に対して適切なpHの比較をするために、pHが11.0に達した時に開始された。

実施例11:炭酸脱水酵素固定化されたポリスルホン/アルギン酸塩コアシェル粒状支持体
【0169】
25mgの炭酸脱水酵素を2mLの2重量%アルギン酸塩溶液と混合することにより、炭酸脱水酵素をアルギン酸塩に固定化し、アルギン酸塩ビーズを形成した。この溶液を50mLの2重量%塩化カルシウム溶液の中に滴下して添加し、少なくとも30分間攪拌した。次いで、アルギン酸塩に固定化された炭酸脱水酵素を有するビーズを取り出し、ペーパータオルで軽く乾燥させた。次に、ビーズを20重量%のポリスルホン溶液に手で転がし入れ、薄いポリスルホンフィルム被覆アルギン酸塩ビーズを得る。アルギン酸塩ビーズは、ポリスルホン被覆なしでは、炭酸ナトリウム溶液に溶解する。しかし、薄いポリスルホンのフィルムがビーズを被覆する時、アルギン酸塩は、溶解せず、炭酸脱水酵素は保持される。このプロセスは、基材拡散を有利に調整するように、他の高分子固定化材料にも使用され得る。
【0170】
図13は、ポリスルホンに被包されたアルギン酸塩に固定化された炭酸脱水酵素のブランク溶液との比較を示す。固定化された酵素は、両方の実行の間中、活性を示した。最初の実行は、アルギン酸塩ビーズがポリスルホンで被覆された後、ほぼすぐに行われた。第2の実行は、炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム溶液に一晩浸漬した後、洗浄され、新しい溶液で検査された。得られたデータは、全体的な二酸化炭素に対する拡散制限が作用したことを示唆した。図13に見られるように、第2の実行が、ブランクと密に対応する一方、最初の実行は、反応の最初の20分間、ブランクよりも低速度の反応であったが、酵素を含有する両方の実行は、同じpH値で実験を終了した。実験は、溶液に50sccmの二酸化炭素を散布した三環フラスコ中の0℃の0.5M炭酸ナトリウムから構成された。約50分の経過に渡り、温度調節されたpHメータを使用して、pHを監視した。各実行は、時間に対して適切なpHの比較をするために、pHが11.0に達した時に開始された。

実施例12: 修飾されたポリ(塩化ビニルベンジル)に固定化された炭酸脱水酵素
【0171】
図14は、このジアミン架橋されたPVBC被包された炭酸脱水酵素の活性が、溶液中の遊離酵素の約50%であることを示す。図14に示される試料は、蒸留された、脱イオン水中で2時間激しく攪拌された後に採取され、支持体内に酵素を保持することを実証した。
【0172】
最初に、5mLの20重量%ポリ(塩化ビニルベンジル)含有ジオキサンの溶液を調製した。次いで、80mgの炭酸脱水酵素を溶液に添加し、均一な溶解になるまで攪拌した。溶液が十分に分散されたら、0.435mLのN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタンを添加し、溶液が、ビーズを形成するのに十分な粘稠になるまで攪拌した。しかしながら、攪拌は、溶液がゲルになるほど長くなかった。粘稠性が、ホールピペットを使用して容易にピペットするのに十分に低い時に、溶液を水のビーカー中に滴下して添加し、過剰な溶媒を除去するために攪拌した。

実施例13:アミノ化ポリスルホンの合成
【0173】
ポリスルホン(10g、PSf)および40mLの1,2−ジクロロエタンを3首250mL丸底フラスコに設置し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、ポリスルホンを溶解した。均質になったら、20mLのクロロメチルメチルエーテルおよび2gの塩化亜鉛(ZnCl)をフラスコに添加した。温度計、冷却器、3つ目の開口部を塞ぐためのゴム状隔壁をフラスコに装着した。次いで、攪拌しながら反応混合物を40℃に加熱し、4.5時間、反応させた。次いで、溶液を室温に冷却し、1.2Lのメタノール中に沈殿させた。粗クロロメチル化ポリスルホンを収集し、室温で一晩、真空オーブンで乾燥させた。次いで、この重合体を200mLの1,4−ジオキサンに溶解し、1.2Lのメタノール中に再度沈殿させた。次いで、精製されたクロロメチル化ポリスルホン(PSf−CHCl)を収集し、室温で一晩、真空オーブンで乾燥させた。H NMRの結果は、ポリスルホン骨格のベンゼン環の33%が、クロロメチル化され、反復単位毎の1.3クロロメチル基の平均に対応することを示した。ガラスバイアル中で、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌することにより、20重量%PSf−CHCl含有1,4−ジオキサンの溶液を調製した。
【0174】
トリメチルアミンを介したアミノ化。20重量%PSf−CHCl含有ジオキサン溶液を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、PSf−CHClのビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中で30分間、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌した。次いで、ビーズを収集し、0.04Mトリメチルアミン含有脱イオン水の溶液に24時間浸漬した。次いで、これらを収集し、脱イオン水で洗浄し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。
【0175】
三級ジアミンを介したアミノ化。三級窒素に対するクロロメチル基の等モル比(ジアミンに対するクロロメチル基の1:0.5比に等しい)で、三級ジアミン(N,N,N’,N’−テトラメチルt−1,6−ヘキサンジアミン、TMHDA等)を20重量%PSf−CHCl含有ジオキサン溶液に添加した。例えば、0.32mLのTMHDAを上述の5mLの20重量%PSf−CHCl溶液に添加した(反復単位毎に1.3クロロメチル基)。目立ってより粘稠になるまで、混合物を数分間、攪拌した。次いで、この混合物を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、ビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中で30分間、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌した。次いで、これらを収集し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。

実施例14:アミノ化ポリカーボネートの合成
【0176】
ポリカーボネート(10g、PC)および80mLの1,2−ジクロロエタンを3首250mL丸底フラスコに設置し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、ポリカーボネートを溶解した。均質になったら、20mLのクロロメチルメチルエーテルおよび2gの塩化亜鉛(ZnCl)をフラスコに添加した。温度計、冷却器、3つ目の開口部を塞ぐためのゴム状隔壁をフラスコに装着した。次いで、攪拌しながら反応混合物を40℃に加熱し、4.5時間、反応させた。次いで、溶液を室温に冷却し、1.2Lのメタノール中に沈殿させた。粗クロロメチル化ポリカーボネートを収集し、室温で一晩、真空オーブンで乾燥させた。次いで、この重合体を200mLの1,4−ジオキサンに溶解し、1.2Lのメタノール中に再度沈殿させた。次いで、精製されたクロロメチル化ポリカーボネート(PC−CHCl)を収集し、室温で一晩、真空オーブンで乾燥させた。H NMRの結果は、ポリスルホン骨格のベンゼン環の5%のみが、クロロメチル化され、反復単位毎の0.1クロロメチル基の平均に対応することを示した。ガラスバイアル中で、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌することにより、20重量%PC−CHCl含有N−メチルピロリドン(NMP)の溶液を調製した。
【0177】
トリメチルアミンを介したアミノ化。20重量%PC−CHCl含有NMP溶液を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、PC−CHClのビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中で30分間、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌した。次いで、ビーズを収集し、0.04Mトリメチルアミン含有脱イオン水の溶液に24時間浸漬した。次いで、これらを収集し、脱イオン水で洗浄し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。
【0178】
三級ジアミンを介したアミノ化。三級窒素に対するクロロメチル基の等モル比(ジアミンに対するクロロメチル基の1:0.5比に等しい)で、三級ジアミン(N,N,N’,N’−テトラメチルt−1,6−ヘキサンジアミン、TMHDA等)を20重量%PC−CHCl含有NMP溶液に添加した。例えば、0.04mLのTMHDAを上述の5mLの20重量%PC−CHCl溶液に添加した(反復単位毎に0.1クロロメチル基)。目立ってより粘稠になるまで、混合物を数分間、攪拌した。次いで、この混合物を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、ビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中で30分間、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌した。次いで、これらを収集し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。

実施例15:架橋されたポリ(塩化ビニルベンジル)の合成
【0179】
ガラスバイアル中で、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌することにより、33重量%ポリ(塩化ビニルベンジル)(PVBC)含有ジオキサンの溶液を調製した。PVBCを同時にアミノ化および架橋するために利用される三級ジアミンまたは三級ジアミン混合物の選択は、得られるビーズの化学特性および機械特性に影響を与えるため、最良の性能のために最適化されなければならない。2つの異なるジアミン架橋剤の使用を以下に記載する。
【0180】
N,N,N’,N’−テトラメチル−メタンジアミン(TMMDA)を用いた架橋。TMMDA(0.74mL)を5mLの33重量%PVBCジオキサン溶液(窒素に対するクロロメチル基の等モル比に対応する)に添加した。目立ってより粘稠になるまで、混合物を3分間攪拌した。次いで、この溶液を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、ビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中で30分間、テフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌した。次いで、これらを収集し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。
【0181】
N,N,N’,N’−テトラメチル−フェニレンジアミン(TMPDA)を用いた架橋。TMPDA(0.89g)を5mLの33重量%PVBCジオキサン溶液(窒素に対するクロロメチル基の等モル比に対応する)に添加した。目立ってより粘稠になるまで、混合物を1時間攪拌した。PVBCのTMPDAとの反応は、TMMDAとのその反応より非常に遅かったため、これらの溶液は、ビーズ形成前により長い間攪拌された。次いで、この溶液を500mLの脱イオン水の入ったビーカー中に沈殿させることにより、ビーズを調製した。次いで、ビーズを脱イオン水中に、30分間、浸漬した。これらのビーズは、強い攪拌により破砕する恐れがある親水性の高膨潤材料であったため、これらのビーズは、沈殿後に水中で攪拌されなかった。次いで、これらを収集し、1M水酸化カリウムまたは重炭酸カリウム水性溶液に24時間浸漬し、塩化アニオンを水酸化イオンまたは重炭酸イオンのいずれかと交換した。

実施例16:アミノ化されたポリスルホンに固定化された炭酸脱水酵素
【0182】
図5は、アミノ化高分子固定化材料に見られた、最良の活性の保持を示す。このアミノ化されたポリスルホン固定化された炭酸脱水酵素の活性は、溶液中の遊離酵素の約70%である。図5に示される試料は、脱イオン水中で2時間激しく攪拌された後に採取され、固定化材料内に酵素を保持することを実証した。固定化された炭酸脱水酵素粒子を作製するために、5mlの20重量%クロロメチル化ポリスルホンの溶液をジオキサン中で作製した。次いで、50mgの炭酸脱水酵素を溶液に添加し、均一な溶解が生じるまで攪拌した。溶液が十分に分散されたら、テトラメチルジアミンを添加し、溶液が、ビーズを形成するのに十分な粘稠になるまで攪拌した。しかしながら、攪拌は、溶液がゲルになるほど長くなかった。粘稠性が、ホールピペットを使用して容易にピペットするのに十分に低い時に、溶液を水のビーカー中に滴下して添加し、過剰な溶媒を除去するために攪拌した。

実施例17:炭酸脱水酵素を使用したCO含有アミン溶液の水和
【0183】
水、アミン、およびいくつかの場合、酵素を含有する水性溶液は、それを通して起泡された二酸化炭素を有し、捕捉された二酸化炭素の量は、11(アミン溶液のpH)のpH値を維持するために、溶液に添加された水酸化ナトリウムの量を決定することにより測定された。しかしながら、MDEA検査の1つは、pH8.4(二酸化炭素を有する溶液を散布することにより調節されたpH)で実施された。二酸化炭素は、球状の散布石を通して、200sccmの速度で水性溶液に導入された。
【0184】
使用された固定化材料は、約38%重量(ペグ化PSf)に対応する0.5の官能性の程度にグラフトされたポリエチレンオキシド(PEO;550の平均分子量)を有するポリスルホン(PSf)骨格であった。以下のプロセスを使用して、炭酸脱水酵素(ウシCA)をペグ化PSf球体に固定化した。界面活性剤を有する溶媒中に酵素を溶解した。炭酸脱水酵素をポリスルホンに被包するために、酵素を非活性化しないように溶媒を選択した。重合体を溶液に添加し、完全に溶解するまで攪拌した。完全に混合されるまで、重合体酵素溶液を室温で保持した。次いで、溶解された重合体酵素溶液を水、アルコール、または水−アルコール溶液に滴下して添加し、重合体ビーズを作製した。使用された酵素は、商業的に入手可能なウシ源の哺乳類CAであった。
【0185】
これらの試験に使用された一級アミンは、両方のアミン濃度に0.25mg/mL、および144mM MEA溶液に0.5mg/mLの酵素なし溶液の負荷の酵素溶液、ならびに0.25mg/mL溶液の負荷の固定化された酵素溶液を有する、脱イオン水中12および144mMの濃度で検査されたモノエタノールアミン(MEA)であった。検討された三級アルコールアミンは、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)であり、両方のアミン濃度に0.25mg/mLの負荷の酵素溶液を有する脱イオン水中12および144mMの濃度で検査された。第2の非アルコール三級アミンであるN,N−ジエチルメチルアミン(DMA)は、この試験に含まれ、両方のアミン濃度に0.25mg/mLの負荷の酵素溶液を有する脱イオン水中71および144mMの濃度で検査された。溶液の全ては、室温に保たれ、総容量は、50mLに設定された。
【0186】
酵素寄与率は、アミン溶液の酵素溶液を加えたアミンとの比較を通して、アミン寄与率から分離された。アミンおよび酵素の両方の構成要素において捕捉された総二酸化炭素に関して、この試験の結果を図16に示す。酵素およびアミンの両方で捕捉された二酸化炭素の総量は、pH11での全てのシステムにおいて相対的に同じであった。酵素は、12mM MDEAおよび12mM MDEA/12mM MEA溶液で約25%の最も大きな寄与率であった。酵素は、DMA溶液で総二酸化炭素捕捉の寄与率が最も低かったが、これらの溶液での全体的な二酸化炭素の捕捉は、検査された全てのシステム、および検査された濃度で最も大きく、アミン濃度と無関係のようであった。
【0187】
上に挙げられる全ての条件での酵素の比活性を図17に示す。酵素システムの最も大きな活性は、MEAとMDEAの混合溶液、次いで低濃度のMDEA溶液で観察された。高濃度の同じアミンと比較した時、酵素は、低濃度アルコールアミン溶液で最も高い比活性を有した。これらの酵素活性がアミンによる基材阻害の結果であるのか、またはアミン塩基が高濃度で二酸化炭素の吸収に競合的であるためなのかは、不明である。

実施例18:炭酸脱水酵素を使用した溶液からの二酸化炭素の除去
【0188】
炭酸脱水酵素は、実施例17に記載される水性液から二酸化炭素を除去するために使用された。この試験の実験設計および条件は、実施例17に類似するが、炭酸脱水酵素の基材は、吸収された二酸化炭素であり、固定化された酵素混合物は、高表面積の支持体の粉砕された溶岩(径は約1cm)上に成型され、フィルムに乾燥させた。
【0189】
アミン溶液中の二酸化炭素の反応は、反応温度、アミンの性質(すなわち、一級、二級、または三級アミン)、二酸化炭素の分圧、および反応pHに応じて、カルバミン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、または混合物を産生することができる。基材を産生するために、一定の時間、二酸化炭素ガスをシステムに導入することにより基材を生成し、その後、溶液のpHの変化を監視し、二酸化炭素の放出を追うことが、実験を実施する効率的な方式であると決定された。アミン、MEAおよびMDEAの濃度は、0.05Mであり、反応は、室温および50℃で検査され、酵素質量は、25mgであった。逆反応の産物は、ガラスフリットスパージャを通して、200sccmの速度で、10分間、酵素を有する、および酵素なしのアミン溶液に二酸化炭素を導入することにより生成された。アミンの変換が完了し、逆反応の開始pHおよび温度が、各試料(例えば、ブランクアミン溶液、非固定化された酵素を有するアミン溶液、および固定化酵素を有するアミン溶液)で同じであることを検証するために、この反応のpHを監視した。二酸化炭素曝露後、溶液のpHを監視し、記録しながら、ガラスフリットスパージャを介して、200sccmの速度で、20分間、窒素ガスを溶液に導入した。各事例の酵素の相対的活性は、開始点から20分後の溶液の最終pHまでのpH増加の速度により決定された。pHの増加が速く、最終pHが大きければ、酵素の相対的活性も高い。20℃および50℃でのMEA溶液の結果を、それぞれ図18および図19に示す。20℃で、溶液中の遊離酵素および固定化された酵素の両方は、酵素なしの比較可能な溶液よりも二酸化炭素放出の変換が高かった。固定化された酵素は、遊離酵素より活性が低かったが、おそらく固定化材料からの質量転移作用によるものであろう。50℃では、遊離酵素とブランク溶液との間に相違はなく、固定化された酵素の性能の減少が観察された。
【0190】
20℃および50℃でのMDEA溶液の結果を、それぞれ図20および図21に示す。20℃で、溶液中の遊離酵素および固定化された酵素の両方は、酵素なしの比較可能な溶液よりも二酸化炭素放出の変換が高かった。溶液のpHにおける変更速度は、実験の開始時、溶液中の遊離酵素と比較して、固定化酵素では低かったが、実験の終了時近くでは、両方のシステムのpHは、MDEA溶液においてほぼ同じであった。MDEA溶液中の遊離酵素とブランクMDEA溶液との間に相違はなく、低量の二酸化炭素が、固定化された酵素を有する試料において放出された。
【0191】
反応条件下で、二酸化炭素を有する一級アミンは、カルバミン酸塩を産生するため、炭酸脱水酵素は、基材としてカルバミン酸塩を使用することができないと考えられる。したがって、このシステムにおいて、高温ではなく、低温での酵素システムの改善された性能は、正反応および逆反応の両方において、アルカリ溶液中の二酸化炭素の初期の酵素性の水和および脱水に起因する場合がある。この反応は、低温でアミン反応を支配するようであり、アミン反応は、温度が上昇すると優性になる。

実施例19:炭酸脱水酵素の熱安定性
【0192】
いくつかの炭酸脱水酵素の熱安定性を、二酸化炭素活性を測定することにより試験した。ウシ炭酸脱水酵素II(BCA II、(精製および未精製)およびヒト炭酸脱水酵素IV(HCA IV)の熱安定性を、割り当てられた時間の間、70℃のオーブンで、0.2mg/mL溶液含有脱イオン(DI)水(総量25mL)をインキュベートした後、二酸化炭素活性のpHスタット分析を実施するために、等用量の0.4M NaHCOでこれらを希釈することにより決定した。25mLの脱イオン水がオーブンで70℃に達するのに1.5時間かかると決定されたため、試料がオーブンに入っていた総時間は、温度設定点に達するまでの長い遅延時間を考慮して調節された。これらの結果を図22に要約する。この図に見られるように、HCA IVは、70℃に曝露された32時間後、その初期の活性のほぼ100%を保持することにより、高い熱安定性を示した。逆に、BCA II(未精製)は、70℃で、たった1時間後にその活性の全てを失った。BCA IIの精製は、その熱安定を改善したが、精製されたBCA IIは、それでもHCA IVより熱安定性が低かった。
HCA IVの熱安定性の追加測定は、70℃に曝露された32時間後に見られた酵素の凝集により制限された。HCA IVは、pHスタットを介した二酸化炭素活性検査によりまだ活性状態であった酵素の大きな塊に非可逆的に凝集するようであった。

実施例20:ポリエチレングリコール(PSf−g−PEG)固定化材料でグラフトされたポリスルホンの合成
【0193】
ポリスルホンのクロロメチル化。ポリスルホン(PSf、20g)および200mLの1,2−ジクロロエタンを2首500mL丸底フラスコに設置し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、PSfを溶解した。均質になったら、15mLのクロロメチルメチルエーテルおよび1.5gの塩化亜鉛(II)(ZnCl)をフラスコに添加した。温度計および冷却器をフラスコに装着した。次いで、攪拌しながら反応混合物を40℃に加熱し、一定の時間、反応させた。反応時間は、PSfのクロロメチル化の程度を決定した。例えば、2.5時間の反応時間は、0.55の官能の程度(DF)をもたらし、PSf反復単位毎の平均0.55クロロメチル基を意味する。同様に、2.25時間、2時間、および1.25時間の反応時間は、それぞれ、0.5、0.4、および0.23のDFをもたらす。割り当てられた反応時間後、反応混合物を室温に冷却し、200mLの1,2−ジクロロエタンで希釈し、4.5Lのメタノール中に沈殿させた。次いで、濾過を介してクロロメチル化ポリスルホン(PSf−CHCl)を収集し、室温で一晩、真空オーブンで乾燥させた。
【0194】
ポリ(エチレングリコール)のクロロメチル化されたポリスルホン上へのグラフト。乾燥したら、クロロメチル化ポリスルホン(PSf−CHCl、10g)および250mLの乾燥1,4−ジオキサン(分子ふるい上で乾燥)を500mL丸底フラスコに添加し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、PSf−CHClを溶解した。均質になったら、このフラスコをゴム状隔壁で蓋をし、15分間、窒素でフラッシュした。別の50mL丸底フラスコに、550Daの分子量の1.5モル過剰(PSf−CHClのクロロメチル基に対して)のポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(PEG)を添加した。十分に乾燥した1,4−ジオキサンをこのフラスコに添加し、25容量%のPEG溶液を作製した。例えば、0.55のDFを有するPSf−CHClにおいて、10.3mLのPEGおよび31mLの1,4−ジオキサンを添加した。このフラスコをゴム状隔壁で蓋をし、10分間、窒素でフラッシュした。別の100mL丸底フラスコに、1.5モル過剰(PSf−CHClのクロロメチル基に対して)の水素化ナトリウム(NaH)を添加した。十分に乾燥した1,4−ジオキサンをこのフラスコに添加し、1重量/容量%のNaH溶液を作製した。例えば、0.55のDFを有するPSf−CHClにおいて、0.44gのNaHおよび44mLの1,4−ジオキサンを添加した。次いで、このフラスコにテフロン(登録商標)攪拌棒を装着し、ゴム状隔壁で蓋をし、10分間、窒素でフラッシュした。次いで、攪拌しながら、カニューレを介してPEG溶液をNaH溶液に滴下して添加した。次いで、針で生成された水素ガスを周期的に抜きながら、この反応混合物を室温で3時間攪拌した。3時間後、攪拌しながら、カニューレを介してPEG/NaH溶液をPSf−CHCl溶液に滴下して添加した。次いで、この反応混合物を室温で2日間攪拌した。反応が完了した後、濃縮酢酸を使用して反応混合物をpH7に中和した後、4.5Lの脱イオン水中に沈殿させた。PEG(PSf−g−PEG)でグラフトされたポリスルホンを、濾過を介して収集し、過剰な脱イオン水で洗い流し、40℃の真空オーブンで一晩乾燥させた。PSf−g−CHClのDFは、PSf−g−PEG中のPEGの最終重量パーセントを決定した。例えば、0.55のDFを有するPSf−g−CHClは、40重量%PEGを有するPSf−g−PEGをもたらす。同様に、0.5、0.4、および0.23のDFは、それぞれ、38重量%、33重量%、および22重量%のPEG負荷をもたらす。

実施例21:ポリスルホン−グラフト−ポリ(エチレングリコール)を使用した炭酸脱水酵素の固定化
【0195】
溶媒蒸発法。乾燥ポリスルホン−グラフト−ポリ(エチレングリコール)(PSf−g−PEG、0.25g)および3.5mLのジクロロメタンを蓋付きガラスバイアルに添加し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、PSf−g−PEGを溶解した。50mLのビーカーに、約6gの多孔質の支持体材料および25mgのBCA II(Sigma Aldrich、精製)または10mgのHCA IV(St.Louis University)を添加した。均質化したら、PSf−g−PEG溶液をビーカーに添加し、攪拌して、多孔質の支持体材料を被覆した。溶媒の全てが蒸発するまで、ビーカーの内容物を続けて攪拌した。次いで、被覆された多孔質の支持体材料を、室温で15分間、真空オーブンに移し、保管のために0.2M NaHCOに移す前に、残ったあらゆるジクロロメタンを蒸発させる。
【0196】
溶媒交換法。乾燥ポリスルホン−グラフト−ポリ(エチレングリコール)(PSf−g−PEG、0.33g)、および1.5mLのN−メチルピロリドン(または1,4−ジオキサン等の、この重合体も溶解する比較可能な水混和性溶媒)を蓋付きガラスバイアルに添加し、溶液をテフロン(登録商標)攪拌棒で攪拌し、PSf−g−PEGを溶解した。均質化したら、25mgのBCA II(Sigma Aldrich、未精製)または10mgのHCA IV(St.Louis University)を添加し、十分に混合した。次いで、ホールピペットを介して溶液を250mLの脱イオン水に滴下して添加し、重合体ビーズを形成した。1時間後、保管のため、ビーズを0.2M NaHCOに移した。

実施例22:固定化されたBCA II
【0197】
PSf−g−PEG(33重量%PEG、550 Da PEG)に固定化された未精製BCA IIは、70℃で33時間後(二晩)、その初期の活性の約50%を維持した。70℃で3夜目(さらに16時間)には、残りの活性の消失をもたらした。逆に、未精製BCA IIなしの溶液は、70℃で1時間後にその活性を消失した。遊離酵素と比較した、この固定化された試料の熱安定性を図23に要約する。
【0198】
期日の最も長い寿命試験は、図24に示す、溶岩上のPSf−g−PEG(22重量%PEG、550Da PEG)に固定化された未精製BCA II、ならびに図25に示す溶岩上のPSf−g−PEG(38重量%PEG、550Da PEG)に固定化された未精製BCA IIであった。これらの固定化された試料は、それぞれ60日後、および56日後での活性を実証している。未精製BCA IIなしの溶液の寿命は、決定されなかった。

実施例23 固定化されたHCA IV
【0199】
PSf−g−PEGも、HCA IVを固定化するために使用された。最も高い熱安定性は、その初期活性の約100%が、70℃で、113時間(7晩)後、維持された、PSf−g−PEG(40重量%PEG、550Da PEG)に固定化されたHCA IVにおいて見られた。しかしながら、70℃で8夜目(さらに16時間)には、残りの活性の消失をもたらした。この固定化された試料の熱安定性を遊離酵素と比較し、図26に要約する。前述の通り、溶液中の遊離HCA IVの熱安定性の決定は、長期加熱時間後、大きな凝集物の形成により制限された。寿命試験は、PSf−g−PEG試料に固定化されたHCA IVにおいて継続する。例えば、PSf−g−PEG(40重量%PEG、550Da PEG)に固定化されたHCA IVは、図27に見られる通り、22日後、顕著な活性を実証した。

実施例24:ポリ(エチレングリコール)のポリ(メチルヒドロシロキサン)上へのグラフト
【0200】
ポリ(メチルヒドロシロキサン)(PMHS、MWavg=2250g/mol、30mL)およびアリルオキシ(ポリエチレングリコール)モノメチルエーテル(PEG、MWavg=500g/mol、27mL)を、テフロン(登録商標)磁気攪拌棒を装着した500mL 2首丸底フラスコに添加した。次いで、攪拌しながら、乾燥トルエン(150mL、分子ふるい上で乾燥)を添加し、溶液を均質化した。フラスコに冷却器およびサーモスタットを装着し、加熱用ジャケットに設置した。攪拌しながら80℃に加熱する間、フラスコおよび冷却器を窒素でパージした。次いで、0.8mLの1mM クロロ白金酸(HPtCl)溶液含有2−プロパノールをガス密封シリンジを介して注入した。さらに5分間、窒素バージした後、パージ針およびガス抜き針を取り除いた。蓄積された圧力を緩和するために、反応混合物を攪拌しながら、かつ周期的にガス抜きしながら、反応混合物をゆっくり108℃に加熱した。3日間、攪拌しながら窒素下で、反応を108℃で続けた。反応を室温に冷却した後、活性炭上で攪拌することで停止させ、白金触媒を除去した。30分後、濾過を介して炭を除去した。減圧下でトルエンを除去することにより、PEG(PMHS−g−PEG)でグラフトされた約55mLのPMHSを収集した。この重合体の平均PEGグラフト密度は、H NMRにより4.8であると決定され、PMHS鎖当り平均4.8PEG鎖を有することを意味する。このグラフト密度は、約52重量%のPEG負荷に対応する。PMHS−g−PEG重合体におけるPEG負荷は、反応中に使用されるPMHSに対するPEGの量を変更することにより調節された。さらなるトルエンが、反応混合物の均質化に必要とされる場合がある。

実施例25:ポリ(メチルヒドロシロキサン)−グラフト−ポリ(エチレングリコール)を使用したCAの固定化:
【0201】
ポリ(メチルヒドロシロキサン)−グラフト−ポリ(エチレングリコール)(1mL、PMHS−g−PEG、〜52重量%PEG)、1mLのジシラノール終結ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS−(OH)、MWavg=4200g/mol)、および0.15mLのシラノール−トリメチルシリル修飾されたQ樹脂(50重量%溶液含有デカメチルシクロペンタシロキサン溶媒)をガラスバイアルに一緒に混合した。この混合物に、50mgのBCA II(Sigma Aldrich、未精製)または30mgのHCA IV(St.Louis University)を添加し、十分に混合した。次いで、脱水素共役作用を介した架橋のために、ジブチルラウリルスズ触媒(70μL)を混入した。ホールピペットを介して、溶液をアクリルの円柱型(深さ1/4インチ、径1/8インチ)に移した。数時間、型を4℃の冷蔵庫に設置し、混合物を架橋させた。固化したら、重合体ペレット(全体的に、〜25重量%PEG)を型から取り出し、脱イオン水中で攪拌し、平衡化した。酵素含有ポリシロキサン片のPEG含有率は、異なるPEG重量%のPMHS−g−PEG重合体を使用することにより変更され得る。PEG含有率が増加する場合、いくらかのPMHSまたは水素化物Q樹脂を添加し、架橋密度(使用されるPMHS−g−PEGの10〜50容量%)を改善する。シラノール−トリメチルシリル修飾されたQ樹脂の量も、使用されるPMHS−g−PEGの10〜50容量%の範囲で架橋密度を変更するために調節され得る。
【0202】
図28は、スズ触媒およびジシラノール終結PDMS(MWavg=2750g/mol)を使用して架橋された、PMHS−g−PEG(50重量%PEG)に固定化された未精製BCA IIの寿命試験を要約する。PDMSの量は、固定化マトリックスにおける全体的なPEG含有率が20重量%であるように添加された。この図は、試料中の%残存活性の5日単純移動平均を示すため、エラーバーは含まれていない。この図から見られるように、平均残存活性は、その寿命の82日目まで、60%辺りに完全に定着したままである。
【0203】
図29は、スズ触媒およびジシラノールPDMS(MWavg=2750g/mol)を使用して架橋された、PMHS−g−PEG(50重量%PEG)に固定化された未精製BCA IIの熱安定性を示す。PDMSの量は、固定化マトリックスにおける全体的なPEG含有率が20重量%であるように添加された。この図に見られるように、BCA IIなしの溶液は、70℃で、たった1時間で全ての活性を消失した一方で、酵素は、70℃で、32時間後、その活性の約80%を維持する。
【0204】
本発明またはその好適な実施形態の要素を導入する時、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素が1つ以上存在することを意味するものとする。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、排他的ではなく、挙げられる要素以外の追加要素が存在する場合があることを意味するものとする。
【0205】
上記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有益な結果が獲得されることが理解されるであろう。
【0206】
本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が上記の組成物および使用になされ得るが、上記説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事象は、例示的であり、制限的意味として解釈されるものではないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO含有ガスからCOを除去するためのプロセスであって、前記プロセスは、水性液をCO含有ガスと接触させて、前記COの前記水性液への拡散を促進することと、前記水性液中の前記COを高分子固定化材料の中に封入した固定化炭酸脱水酵素と接触させ、前記COの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体を形成することと、を含み、前記高分子固定化材料は、(i)前記炭酸脱水酵素を安定化させるか、または(ii)ミセル材料または反転ミセル材料を含むかのいずれかである、プロセス。
【請求項2】
前記水性液およびCO含有ガスは、並流配置で接触する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記CO含有ガスは、前記水性液中で微小気泡を形成する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プロセスは、ガスの入口および液体の出口を含む底部と、液体の入口およびガスの出口を含む上部と、固定化された炭酸脱水酵素を含むか、または高分子固定化材料に封入された固定化炭酸脱水酵素で被覆される複数の粒子を含有する中間部とを備える反応槽中で実施され、前記プロセスは、前記液体の入口から入り、前記反応槽の下方に流れる水性液を、前記ガスの入口から入り、前記反応槽の上方に流れるCO含有ガスと接触させ、前記COの前記水性液への拡散を促進し、前記固定化炭酸脱水酵素の存在下で、前記水性液中のCOの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体ならびに処理されたガスを形成することと、前記液体出口から前記処理された液体を排出することと、前記ガスの出口から前記処理されたガスを排出することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記処理された液体を高分子固定化材料に封入された固定化炭酸脱水酵素で被覆された粒子と接触させることをさらに含み、前記炭酸脱水酵素は、前記水素イオンおよび前記重炭酸イオンの濃縮されたCOおよび水への変換を触媒する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記安定化された炭酸脱水酵素は、約30℃〜約100℃の温度で化学転換を連続して触媒する時に、少なくとも約5日間、その初期の触媒活性の少なくとも約15%を維持する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記CO含有ガスは、微小気泡の形態で前記ガスの入口に入る、請求項4〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
CO含有ガスからCOを除去するための反応槽であって、ガスの入口および液体の出口を収容する底部と、液体の入口およびガスの出口を収容する上部と、高分子固定化材料に封入された炭酸脱水酵素で被覆された複数の粒子を収容する中間部と、を備え、前記炭酸脱水酵素は、COの水素イオンおよび重炭酸イオンへの水和を触媒することができ、前記高分子固定化材料は、(i)前記炭酸脱水酵素を安定化させるか、または(ii)ミセル材料または反転ミセル材料を含む、反応槽。
【請求項9】
COをCO含有ガスから除去するためのシステムであって、第1および第2の反応槽を備え、前記第1の反応槽は請求項8に記載の前記反応槽を備え、前記第2の反応槽は、高分子固定化材料に封入された炭酸脱水酵素で被覆された粒子を収容し、前記炭酸脱水酵素は、水素イオンおよび重炭酸イオンの濃縮されたCOおよび水への変換を触媒することができる、システム。
【請求項10】
前記第2反応槽は、ミセル材料または反転ミセル材料を含む固定化材料を収容する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記水性液は、塩基を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記塩基は、金属水酸化物、四級アンモニウム水酸化物、金属炭酸塩、弱酸の共役塩基、四級アンモニウム炭酸塩、四級アンモニウムアルコキシド、金属アミド、金属アルカリ、金属アルコキシド、金属シラノエート(silanoate)、アミン、アルカノールアミン、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アンモニウム、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記塩基は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、有機カチオンの炭酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記塩基は、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化ジメチルドデシルエチルアンモニウム、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサブチルヘキサメチレンジアンモニウム二水酸化物、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサメトニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、水酸化トリブチルメチルアンモニウム、水酸化トリヘキシルテトラデシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラオクタデシルアンモニウム、水酸化メチルトリプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムエトキシド、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラキス(デシル)アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
前記塩基は、リチウムtert−アモキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムトリメチルシラノラート、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシド、カリウムtert−ペントキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムジ−tert−ブトキシド、ナトリウムトリメチルシラノラート、カリウムトリメチルシラノラート、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記塩基は、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンDABCO(登録商標)33−LV)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ルチジン、ピペリジン、1,8−(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン、トリペレナミン、アニリン、ベンジルアミン、N−メチルアニリン、イミダゾール、ピロール、ピリジン、モルホリン、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記塩基は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソ−ペンチルアミン、sec−ペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、イソ−ヘキシルアミン、sec−ヘキシルアミン、tert−ヘキシルアミン、エチレンジアミン、(2−メチルブチル)アミン、2−アミノペンタン、3−(tert−ブトキシ)プロピルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1−エチルプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、N−エチルメチルアミン、N−イソプロピルメチルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−エチルブチルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、クロロ(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジエチルプロピルアミン、ジエチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N、N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記塩基は、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(Trizma(登録商標)塩基)、プロパノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項20】
前記塩基は、モノエタノールアミン(MEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、N,N−ジエチルメチルアミン(DMA)、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項21】
前記塩基は、炭酸イオンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
前記炭酸脱水酵素は、ウシ炭酸脱水酵素またはヒト炭酸脱水酵素を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、またはシステム。
【請求項23】
前記ウシ炭酸脱水酵素は、ウシ炭酸脱水酵素IIを含み、前記ヒト炭酸脱水酵素は、ヒト炭酸脱水酵素IVを含む、請求項22に記載のプロセス、反応槽、またはシステム。
【請求項24】
前記ヒト炭酸脱水酵素またはヒト炭酸脱水酵素IVは、遺伝子組み換えされている、請求項22または23に記載のプロセス、反応槽、またはシステム。
【請求項25】
高分子固定化材料に封入されることにより固定化された酵素であって、前記材料は、前記酵素より小さい化合物に対して透過性であり、前記酵素は、親水性部分、疎水性部分、または両親媒性部分によりイオン修飾されるか、または共有結合的に修飾される、酵素。
【請求項26】
前記炭酸脱水酵素は、界面活性剤との相互作用によりイオン修飾される、請求項1〜25のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項27】
前記界面活性剤は、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)コールアミド、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)デオキシコールアミド、ポリオキシエチレンアルコール、2−シクロヘキシルメチル−β−D−マルトシド、2−シクロヘキシルエチル−β−D−マルトシド、シクロヘキシルペンチル−β−D−マルトシド、シクロヘキシルヘキシル−β−D−マルトシド、デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、ウンデシル−β−D−マルトシド、デシル−β−D−1−チオマルトピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、ジギトニン、ジメチデシルホスフィンオキシド、ドデシルジメチルホスフィンオキシド、(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール、N−オクタノイル−N−メチルグルカミン、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン遮断共重合体、サポニン、ポリオキシエチレン9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ソルビタンモノラウレートのポリオキシエチレン誘導体、N,N−ジメチルドデシルアミン−N−オキシド、アルコールエトキシレート、アミドスルホベタイン−14、アミドスルホベタイン−16、CBzO、3−[(3−コールアミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピルジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート、(ドデシルジメチルアンモニオ)アセテート、3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ドデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、またはそれらの組み合わせである、請求項25または26に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項28】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンオクチルフェノールである、請求項27に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項29】
前記酵素は、疎水性部分により共有結合的に修飾される、請求項1〜25に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項30】
前記酵素は、モノアミン、アルデヒド、四級アンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ビオローゲン、またはそれらの組み合わせにより共有結合的に修飾される、請求項29に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項31】
前記酵素は、親水性部分により共有結合的に修飾される、請求項1〜25のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項32】
前記酵素は、ジアミン、モノカルボキシレート、二酸、ポリアール、多糖、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、グリコシル、無水物、ポリエチレングリコール、アガロース、またはそれらの組み合わせにより共有結合的に修飾される、請求項31に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項33】
前記酵素は、両親媒性部分により共有結合的に修飾される、請求項1〜25のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項34】
前記酵素は、アミノ酸、脂肪酸、脂肪アルコール、脂質、アルキルポリエチレンオキシド、他のポリエチレンオキシド共重合体、アルキルポリグルコシド、またはそれらの組み合わせにより共有結合的に修飾される、請求項33に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項35】
前記固定化材料は、カチオン修飾されたパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体を含む、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項36】
前記固定化材料は、アルギン酸塩を含む、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項37】
前記アルギン酸塩は、カチオン修飾されたアルギン酸塩である、請求項36に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項38】
前記カチオン修飾されたパーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体、またはカチオン修飾されたアルギン酸塩は、NHより大きい疎水性カチオンで修飾される、請求項35または36に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項39】
前記疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオン、四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム(hexdecylpyridinium)、エチジウム、ビオローゲン、メチルビオローゲン、およびベンジルビオローゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル(bipridyl)金属複合体、フェナンスロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)2+、または[Fe(フェナンスロリン)3+を含む、請求項38に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項40】
前記疎水性カチオンは、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項41】
前記疎水性カチオンは、式1

により表される四級アンモニウムカチオンを含み、式中、R、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、水素以外である、請求項38に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項42】
、R、R、およびRは、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルであり、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素以外である、請求項41に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項43】
、R、R、およびRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、請求項41に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項44】
、R、R、およびRはエチルである、請求項41に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項45】
前記酵素固定化材料は、その中の酵素を拘束するのに十分な大きさのミセルを有する、塩抽出されたテトラアルキル−アンモニウム修飾パーフルオロスルホン酸−PTFE共重合体である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項46】
前記ミセルは、前記酵素と実質的に同じ大きさであり、実質的に同じ形状である、請求項45に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項47】
前記テトラアルキル−アンモニウムイオンは、アルキルトリメチルアンモニウムカチオンまたはアルキルトリエチルアンモニウムカチオンを含む、請求項45または44に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項48】
前記固定化材料は、ミセル疎水性修飾された多糖である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項49】
前記多糖はキトサンを含む、請求項48に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項50】
前記ミセル疎水性修飾された多糖は、式2

に対応し、式中、nは整数であり、
10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、または疎水性酸化還元介在物質であり、
11は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、または疎水性酸化還元介在物質である、請求項48または49に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項51】
10は、独立して、水素またはアルキルであり、R11は、独立して水素またはアルキルである、請求項50に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項52】
10は、独立して水素またはヘキシルであり、R11は、独立して、水素またはヘキシルである、請求項50に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項53】
10は、独立して、水素またはオクチルであり、R11は、独立して、水素またはオクチルである、請求項50に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項54】
10は、独立して、水素またはブチルであり、R11は、独立して、水素またはブチルである、請求項50に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項55】
10は、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質であり、R11は、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質である、請求項50に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項56】
前記酵素固定化材料は、疎水性基により修飾されたキトサンのアミン官能性の少なくとも約10%を有する、ミセル疎水性修飾されたキトサンである、請求項48〜55のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項57】
前記酵素固定化材料は、式2A

に対応する構造を有するミセル疎水性酸化還元介在物質で修飾されたキトサンであり、式中、nは整数であり、
10aは、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質であり、
11aは、独立して、水素または疎水性酸化還元介在物質である、請求項48〜56のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項58】
高分子固定化材料に封入することにより固定化された酵素であって、前記固定化材料は、前記酵素より小さい化合物に対して透過性であり、式5、6、7、または8



のいずれかの構造を有し、式中、
21およびR22は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
23およびR24は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
25は、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎の水素原子の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
m、n、o、およびpは、少なくとも10の整数である、酵素。
【請求項59】
前記固定化材料は、前記酵素を封入し、前記固定化材料は、前記酵素より小さい化合物に対して透過性であり、式5、6、7、または8

のいずれかの構造を有し、式中、
21およびR22は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
23およびR24は、独立して、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
25は、水素、アルキル、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル基または置換されたアルキル基の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、または置換されたアルキルであるが、ただし、反復単位毎のアルキル水素原子の平均数が、少なくとも0.1であることを条件とし、
m、n、o、およびpは、少なくとも10の整数である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項60】
前記固定化材料は、式5の構造を有する、請求項58または59に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項61】
21およびR22は、独立して、水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数である、請求項60に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項62】
26、R27、およびR28は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルである、請求項61に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項63】
26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、R28は、アルキルアミノである、請求項61に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項64】
28は、−CH293031、−CHCH293031、または−CHCHCH293031であり、R29、R30、およびR31は、独立して、水素またはアルキルである、請求項63に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項65】
21またはR22は、−(CH−ポリエーテルを含み、qは、1、2、または3の整数である、請求項60に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項66】
qは1である、請求項65に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項67】
21またはR22は、−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R、−CH−O−(CH−CH−O)−R、またはそれらの組み合わせを含み、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリールであり、zは、約200ダルトン(Da)〜約900ダルトン(Da)の分子量と対応する整数である、請求項60に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項68】
前記CH−O−(CH−CH−O)−Rであって、zは、約500Da〜約600Daの分子量と対応する整数である、請求項67に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項69】
前記固定化材料は、式6の構造を有する、請求項58または59に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項70】
23およびR24は、独立して水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数である、請求項69に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項71】
26、R27、およびR28は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、請求項70に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項72】
26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、R28は、アルキルアミノである、請求項70に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項73】
28は、−CH293031、−CHCH293031、または−CHCHCH293031であり、R29、R30、およびR31は、独立して、水素またはアルキルである、請求項72に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項74】
23またはR24は、−(CH−ポリエーテルを含み、pは、1、2、または3の整数である、請求項70に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項75】
前記固定化材料は、式7の構造を有する、請求項58または59に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項76】
25は、水素、または−(CH262728であり、R26、R27、およびR28は、独立して、アルキルであり、qは、1、2、または3の整数である、請求項75に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項77】
26およびR27は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルであり、R28は、アルキルアミノである、請求項76に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項78】
28は、−CH293031、−CHCH293031、または−CHCHCH293031であり、R29、R30およびR31は、独立して、水素またはアルキルである、請求項77に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項79】
前記アルキルアミノ基は、式7の別の反復単位に架橋する、請求項77または78に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項80】
前記固定化材料は、式8の構造を有する、請求項58または59に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項81】
32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、−(置換されたアルキレン)−酸もしくはその塩、−(置換されたアルキレン)−塩基もしくはその塩、−(CHO−(CH−CH−O)−R、−CH−O−(CH(CH)−CH−O)−R、またはそれらの組み合わせであり、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、または置換されたアリールであり、qは、2、3、または4の整数である、請求項80に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項82】
前記酸基は、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸、スルホン酸、硫酸、スルファミン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせを含む、請求項81に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項83】
前記塩基は、三級アミン、四級アミン、窒素複素環、それらの塩、またはそれらの組み合わせを含む、請求項81に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項84】
32およびR33は、独立して水素、アルキル、アリール、−(CH−O−((CH−O)−CH、−(CH−C(O)−O−(CH−イミダゾリウム、または−(CH−O−CH−CH(OH)−N(CH)−(CH−SONaである、請求項80に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項85】
m、n、o、およびpは、10〜5000の整数である、請求項58〜84のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項86】
前記固定化材料は、前記酵素を安定化させる、請求項1〜85のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項87】
前記固定化材料は、ポリスルホンを含む、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項88】
前記酵素は、リパーゼ、グルコースイソメラーゼ、ニトリラーゼ、グルコースオキシダーゼ、プロテアーゼ、炭酸脱水酵素、ペプシン、アミラーゼ、真菌アミラーゼ、マルトース生成型アミラーゼ、セルラーゼ、ラクターゼ、エステラーゼ、カルボヒドラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ(pentosanase)、キシラナーゼ、プルラナーゼ、β−グルカナーゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、β−グルコシダーゼ、グルタミナーゼ、ペニシリンアシラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、アスパラギン酸β−脱炭酸酵素、シクロデキストリングリコシル基転移酵素、サブチリシン、アミノアシラーゼ、アルコール脱水素酵素、アミノ酸オキシダーゼ、ホスホリパーゼ、ウレアーゼ、コレステラーゼ、デスルフィナーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、ペクチナーゼ、酸化還元酵素、デキストラナーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシターゼ、グルコアミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼ、転化酵素、ナリンガナーゼ(naringanase)、ブロメライン、フィシン、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、キモシン、サーモリシン、トリプシン、トリグリセリダーゼ(triglyceridase)、前胃(pregastric)エステラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、アミダーゼ、グルタミナーゼ、リゾチーム、カタラーゼ、脱水素酵素、ペルオキシダーゼ、リアーゼ、フマラーゼ、ヒスタダーゼ(histadase)、アミノ基転移酵素、連結酵素、環化酵素、ラセミ化酵素、ムターゼ、オキシダーゼ、還元酵素、リグニナーゼ、ラッカーゼ、クロロペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、ニトロゲナーゼ、オキシニトリラーゼ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項25〜87のいずれか1項に記載の固定化酵素。
【請求項89】
前記酵素は、炭酸脱水酵素を含む、請求項88に記載の固定化酵素。
【請求項90】
生物燃料電池において電気を生成するため、生物反応器において化学転換を触媒するため、または感知器において検体を検出するための、請求項25〜89のいずれか1項に記載の固定化酵素の使用。
【請求項91】
前記固定化材料は、アルギン酸塩を含み、前記固定化炭酸脱水酵素は、前記酵素のシェル重合体を通過する拡散を制限することができる前記シェル重合体で被覆される、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項92】
前記固定化材料は、アルギニン酸塩を含み、前記固定化炭酸脱水酵素は、前記固定化酵素の溶媒との相互作用を防ぐことができるシェル重合体で被覆される、請求項1〜34のいずれか1項に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項93】
前記シェル重合体は、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルベンジル、またはそれらの組み合わせである、請求項91または92に記載のプロセス、反応槽、システム、または固定化酵素。
【請求項94】
CO含有ガスからCOを除去するためのプロセスであって、前記プロセスは、水性液をCO含有ガスと接触させ、COの前記水性液への拡散を促進することと、前記水性液中のCOを固定化炭酸脱水酵素と接触させ、COの水和を触媒し、水素イオンおよび重炭酸イオンを含有する処理された液体を形成することと、を含み、前記水性液は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソ−ペンチルアミン、sec−ペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、イソ−ヘキシルアミン、sec−ヘキシルアミン、tert−ヘキシルアミン、エチレンジアミン、(2−メチルブチル)アミン、2−アミノペンタン、3−(tert−ブトキシ)プロピルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1−エチルプロピルアミンジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、N−エチルメチルアミン、N−イソプロピルメチルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−エチルブチルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、クロロ(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジエチルプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、またはそれらの組み合わせを含む、プロセス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−504047(P2012−504047A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529362(P2011−529362)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058823
【国際公開番号】WO2010/037109
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(509127631)アケルミン・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AKERMIN, INC.
【Fターム(参考)】