説明

二酸化炭素ガス回収装置

【課題】外部からの入熱量を抑制して省エネルギー化を図ること。
【解決手段】二酸化炭素ガスを含有する被分離ガスと、リーン吸収液と、を導入して接触させ、被分離ガス中の二酸化炭素ガスを吸収液に吸収させてリッチ吸収液を生成する吸収塔2と、吸収塔2からリッチ吸収液が供給されるとともに、リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素ガスを分離させることによりリーン吸収液に再生する再生塔3と、を備え、吸収塔2でリーン吸収液が二酸化炭素ガスを吸収するときの発熱反応で生じた熱を熱媒体を介して移動させ、再生塔3でリッチ吸収液から二酸化炭素ガスが分離するときの吸熱反応の熱源として利用するヒートポンプ6を備えている二酸化炭素ガス回収装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO化学吸収分離法を用いて二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の二酸化炭素ガス回収装置として、例えば下記特許文献1に示されるような構成が知られている。図8に示すように、この二酸化炭素ガス回収装置1000は、二酸化炭素ガスを含有する被分離ガスと、リーン吸収液と、を導入して接触させ、被分離ガス中の二酸化炭素ガスを吸収液に吸収させてリッチ吸収液を生成する吸収塔1001と、吸収塔1001からリッチ吸収液が供給されるとともに、リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素ガスを分離させることによりリーン吸収液に再生する再生塔1002と、を備えている。
また、再生塔1002には、再生塔1002からリーン吸収液を導出して加熱し、再生塔1002に再導入するリボイラー系統1003と、二酸化炭素ガスと吸収液の溶質および溶媒(例えば、水)の蒸気分との混合ガスを再生塔1002から導出して冷却し、前記溶質および溶媒の蒸気分を凝縮させて再生塔1002に再導入するとともに、二酸化炭素ガスを排出する混合ガス冷却系統1004と、が設けられている。
【0003】
この二酸化炭素ガス回収装置1000では、再生塔1002内でリッチ吸収液を加熱するための熱源となる熱は、リボイラー系統1003によって加熱されて再生塔1002に再導入された吸収液を介して供給される。リボイラー系統1003は、外部から供給される熱を熱源として吸収液を加熱するリボイラー本体1005を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−225537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の二酸化炭素ガス回収装置1000では、リボイラー系統1003のリボイラー本体1005から供給された熱は、主に、再生塔1002での吸収液の加熱・再生時に消費されるとともに、混合ガス冷却系統1004での混合ガスの冷却時や、混合ガス冷却系統1004からの二酸化炭素ガス排出時に外部に漏出する。
ここで、前記従来の二酸化炭素ガス回収装置1000では、リボイラー系統1003での外部からの入熱量を抑え、更なる省エネルギー化を図ることが望まれている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外部からの入熱量を抑制して省エネルギー化を図ることができる二酸化炭素ガス回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る二酸化炭素ガス回収装置は、二酸化炭素ガスを含有する被分離ガスと、リーン吸収液と、を導入して接触させ、前記被分離ガス中の前記二酸化炭素ガスを吸収液に吸収させてリッチ吸収液を生成する吸収塔と、前記吸収塔から前記リッチ吸収液が供給されるとともに、前記リッチ吸収液を加熱して前記二酸化炭素ガスを分離させることにより前記リーン吸収液に再生する再生塔と、を備え、前記再生塔には、前記再生塔から吸収液を導出して加熱し、前記再生塔に再導入するリボイラー系統と、前記二酸化炭素ガスと前記吸収液の溶質および溶媒の蒸気分との混合ガスを前記再生塔から導出して冷却し、前記溶質および溶媒の蒸気分を凝縮させて、凝縮液を前記再生塔に再導入するとともに、前記二酸化炭素ガスを排出する混合ガス冷却系統と、が設けられた二酸化炭素ガス回収装置であって、前記吸収塔で前記吸収液が前記二酸化炭素ガスを吸収するときの発熱反応で生じた熱を熱媒体を介して移動させ、前記再生塔で前記リッチ吸収液から前記二酸化炭素ガスが分離するときの吸熱反応の熱源として利用するヒートポンプを備えていることを特徴とする。
ここで吸収液とは、リーン吸収液、リッチ吸収液、もしくはリーン吸収液とリッチ吸収液との混合液を意味する。
【0008】
この発明によれば、前記ヒートポンプを備えているので、再生塔での吸熱反応の熱源として、吸収塔での発熱反応で生じた熱を利用することができる。前記発熱反応で生じた熱は吸熱反応の熱と等しいので、反応熱を内部でのやり取りでキャンセルすることが可能になり、従来、吸熱反応を外部から加熱すると共に、反応発熱は冷却水に廃熱していたが、このような水冷等で廃熱していた反応発熱を再生に必要な吸熱反応の熱源として利用することが可能になり、外部からの入熱量を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
【0009】
また、前記ヒートポンプは、前記吸収塔内に配設された吸収塔充填物に介装され、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、前記吸収塔内の前記吸収液と、で熱交換する第1熱交換器を備えていても良い。
【0010】
この場合、ヒートポンプが前記第1熱交換器を備えているので、吸収塔での発熱反応で生じた熱を、損失少なく高効率に熱媒体に受け取らせることができる。
これにより、吸収塔での発熱反応で生じた熱を、再生塔での吸熱反応の熱源として効果的に利用することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。さらにこの場合、吸収液温度の低下による吸収速度の向上も起こるので、さらなる装置効率の向上も図れる。
【0011】
また、前記ヒートポンプは、前記再生塔内に配設された再生塔充填物に介装され、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、前記再生塔内の前記リッチ吸収液と、で熱交換する第2熱交換器を備えていても良い。
【0012】
この場合、ヒートポンプが前記第2熱交換器を備えているので、熱媒体により移動させられた発熱反応で生じた熱を、再生塔での吸熱反応の熱源として損失少なく高効率に利用することができる。
これにより、吸収塔での発熱反応で生じた熱を、再生塔での吸熱反応の熱源として効果的に利用することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0013】
また、前記吸収塔には、前記被分離ガスから前記二酸化炭素ガスが分離されてなる脱炭酸ガスを導出する導出路が設けられ、前記導出路と前記ヒートポンプとの間には、前記脱炭酸ガスと、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第3熱交換器が介在していても良い。
【0014】
この場合、導出路とヒートポンプとの間に、前記第3熱交換器が介在しているので、導出路側の脱炭酸ガスと、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収塔から導出された脱炭酸ガスの熱を、熱媒体に受け取らせて熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔の発熱反応で生じて脱炭酸ガスに受け渡された熱が外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0015】
また、前記吸収塔には、前記吸収塔の塔頂部に貯留された洗浄液を前記吸収塔から導出して冷却した後、前記吸収塔の塔頂部から再導入する脱炭酸ガス洗浄系統が設けられ、前記脱炭酸ガス洗浄系統と前記ヒートポンプとの間には、前記洗浄液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第4熱交換器が介在していても良い。
【0016】
この場合、吸収塔に前記脱炭酸ガス洗浄系統が設けられているので、被分離ガスから二酸化炭素ガスが分離されてなる脱炭酸ガスが吸収塔の内部を上昇するときに、この脱炭酸ガスに同伴する吸収液の溶質が吸収塔の塔頂部から外部に流出するのを抑制することができる。
また、脱炭酸ガス洗浄系統とヒートポンプとの間に、前記第4熱交換器が介在しているので、脱炭酸ガス洗浄系統側の洗浄液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、洗浄液を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔の発熱反応で生じて洗浄液に受け渡された熱が、外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0017】
また、前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、
前記リッチ供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リッチ吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第5熱交換器が介在していても良い。
【0018】
この場合、リッチ供給路とヒートポンプとの間に、前記第5熱交換器が介在しているので、リッチ供給路側のリッチ吸収液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収塔の発熱反応で生じてリッチ吸収液に受け渡されたリッチ吸収液の熱を、熱媒体に受け取らせて熱媒体を加熱することができる。
なお、当該二酸化炭素ガス回収装置が、再生塔から吸収塔にリーン吸収液を供給するリーン供給路を備え、リーン供給路とリッチ供給路との間に、リーン吸収液とリッチ吸収液とで熱交換するアミン熱交が介在し、第5熱交換器が、リッチ供給路においてアミン熱交よりも上流側に介装されている場合、アミン熱交を通るリッチ吸収液を、前記第5熱交換器で冷却しておくことができる。これにより、アミン熱交において、リッチ供給路側のリッチ吸収液と、リーン供給路側のリーン吸収液と、での熱交換量を増加することが可能になり、リーン供給路側のリーン吸収液を効果的に冷却することができ、再生塔から見た熱回収量を増やすことができる。したがって、例えば、リーン供給路においてアミン熱交よりも下流側に、リーン吸収液を冷却するリーンアミンクーラーを設け、吸収塔に供給されるリーン吸収液を吸収塔に供給する前に予め冷却する場合であっても、この冷却による外部への熱ロスを低減することができる。
【0019】
また、前記吸収塔には、前記吸収塔における塔頂部と塔底部との間の塔中間部から前記吸収液を導出して冷却した後、前記塔中間部から再導入するインタークーラー系統が設けられ、前記インタークーラー系統と前記ヒートポンプとの間には、前記吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第6熱交換器が介在していても良い。
【0020】
この場合、吸収塔に前記インタークーラー系統が設けられているので、塔中間部の吸収液を冷却した後に再導入することが可能になり、吸収塔での吸収液による二酸化炭素ガスの吸収を促進することができる。
また、インタークーラー系統とヒートポンプとの間に、前記第6熱交換器が介在しているので、インタークーラー系統側の吸収液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収液を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔の発熱反応で生じて吸収液に受け渡された熱が、外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0021】
また、前記再生塔から前記吸収塔に前記リーン吸収液を供給するリーン供給路を備え、
前記リーン供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リーン吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第7熱交換器が介在していても良い。
【0022】
この場合、リーン供給路とヒートポンプとの間に、前記第7熱交換器が介在しているので、リーン供給路側のリーン吸収液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、リーン吸収液を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔に供給されるリーン吸収液を冷却することが可能になり、吸収塔でのリーン吸収液による二酸化炭素ガスの吸収を促進することができる。
【0023】
また、前記リボイラー系統と前記ヒートポンプとの間には、前記吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、で熱交換する第8熱交換器が介在していても良い。
【0024】
この場合、リボイラー系統とヒートポンプとの間に、前記第8熱交換器が介在しているので、リボイラー系統側の吸収液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、吸収液に受け取らせて吸収液を加熱することができる。
これにより、リボイラー系統での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
また、前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、前記リッチ供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リッチ吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、で熱交換する第9熱交換器が介在していても良い。
【0026】
この場合、リッチ供給路とヒートポンプとの間に、前記第9熱交換器が介在しているので、リッチ供給路側のリッチ吸収液と、ヒートポンプ側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、再生塔に供給されるリッチ吸収液に受け取らせてリッチ吸収液を加熱することができる。
このように、再生塔に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
なお、当該二酸化炭素ガス回収装置が、再生塔から吸収塔にリーン吸収液を供給するリーン供給路を備え、リーン供給路とリッチ供給路との間に、リーン吸収液とリッチ吸収液とで熱交換するアミン熱交が介在している場合、アミン熱交での加熱量に、第13熱交換器での加熱量が加算される結果、リッチ吸収液の予熱量が増大し、リボイラー系統によって吸収液に与えるべき熱量を更に抑えることができる。したがって、リボイラー系統での外部からの入熱量をより一層抑えることが可能になり、一層更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0027】
また、前記混合ガス冷却系統は、前記混合ガスを圧縮して温度上昇させ昇温混合ガスとする混合ガス圧縮機を備え、前記リボイラー系統と前記混合ガス冷却系統との間には、前記吸収液と前記昇温混合ガスとで熱交換する第10熱交換器が介在していても良い。
【0028】
この場合、混合ガス冷却系統に、混合ガス圧縮機を備えているので、僅かな外部動力を加えることで、外部から加熱することなく、昇温混合ガスが得られ、さらに、リボイラー系統と混合ガス冷却系統との間に、前記第10熱交換器が介在しているので、リボイラー系統側の吸収液と、混合ガス冷却系統側の昇温混合ガスと、で熱交換することで、吸収液を加熱しつつ、昇温混合ガスを冷却することができる。
これにより、リボイラー系統での外部からの入熱量を確実に抑えることが可能になり、効果的に省エネルギー化を図ることができる。
【0029】
また、前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記第10熱交換器を通った後の前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第11熱交換器が介在していても良い。
【0030】
この場合、混合ガス冷却系統とリッチ供給路との間に、前記第11熱交換器が介在しているので、混合ガス冷却系統側の昇温混合ガスと、リッチ供給路側のリッチ吸収液と、で熱交換することで、再生塔に供給されるリッチ吸収液を加熱しつつ、昇温混合ガスを冷却することができる。
このように、再生塔を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
また、混合ガス冷却系統側の昇温混合ガスが、第10熱交換器を通った後に第11熱交換器を通るので、例えば、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱を第10熱交換器で回収した後、未凝縮の前記溶質および溶媒の蒸気分および二酸化炭素ガスからなる残りの昇温混合ガスの顕熱および残った潜熱を第11熱交換器で回収することができる。
【0032】
また、前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、前記混合ガス冷却系統は、前記混合ガスを圧縮して温度上昇させ昇温混合ガスとする混合ガス圧縮機を備え、前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第12熱交換器が介在していても良い。
【0033】
この場合、混合ガス冷却系統に、混合ガス圧縮機を備えているので、僅かな外部動力を加えることで、外部から加熱することなく、昇温混合ガスが得られ、さらに、混合ガス冷却系統とリッチ供給路との間に、前記第12熱交換器が介在しているので、混合ガス冷却系統側の昇温混合ガスと、リッチ供給路側のリッチ吸収液と、で熱交換することで、再生塔に供給されるリッチ吸収液を加熱しつつ、昇温混合ガスを冷却することができる。
このように、再生塔を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統での外部からの入熱量を確実に抑えることが可能になり、効果的に省エネルギー化を図ることができる。
【0034】
また、前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記第12熱交換器を通った後の前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第13熱交換器が介在していても良い。
【0035】
この場合、混合ガス冷却系統とリッチ供給路との間に、前記第12熱交換器および前記第13熱交換器が介在しているので、再生塔を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔に供給されるリッチ吸収液を効果的に予熱しておくことが可能になり、再生塔でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量をより抑えることができる。したがって、リボイラー系統での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0036】
また、混合ガス冷却系統側の昇温混合ガスが、第12熱交換器を通った後に第13熱交換器を通るので、例えば、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱を第12熱交換器で回収した後、未凝縮の前記溶質および溶媒の蒸気分および二酸化炭素ガスからなる残りの昇温混合ガスの顕熱および残った潜熱を第13熱交換器で回収することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る二酸化炭素ガス回収装置によれば、外部からの入熱量を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【図8】従来の二酸化炭素ガス回収装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置を説明する。この二酸化炭素ガス回収装置は、二酸化炭素ガスを含有する被分離ガスから二酸化炭素ガスをCO化学吸収分離法によって吸収分離することで回収し、被分離ガスから二酸化炭素ガスが分離されてなる脱炭酸ガスを生成する。このCO化学吸収分離法には、二酸化炭素ガスを吸収可能な吸収液を用いる。この吸収液としては、例えば、溶質としてモノエタノールアミン(MEA)やジエタノールアミン(DEA)等を採用し、溶媒として水を採用したアミン吸収液などを採用することができる。
なお本実施形態では、以下に示すようにいわゆる自己熱再生により二酸化炭素ガス回収装置の省エネルギー化を図る。
【0040】
図1に示すように、二酸化炭素ガス回収装置1は、被分離ガスと、二酸化炭素ガスを吸収可能なリーン吸収液と、を接触させ、被分離ガス中の二酸化炭素ガスをリーン吸収液に吸収させてリッチ吸収液を生成する吸収塔2と、吸収塔2からリッチ吸収液が供給されるとともに、リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素ガスを分離させることによりリーン吸収液を再生する再生塔3と、吸収塔2から再生塔3にリッチ吸収液を供給するリッチ供給路4と、再生塔3から吸収塔2にリーン吸収液を供給するリーン供給路5と、吸収塔2でリーン吸収液が二酸化炭素ガスを吸収するときの発熱反応で生じた熱を熱媒体を介して移動させ、再生塔3でリッチ吸収液から二酸化炭素ガスが分離するときの吸熱反応の熱源として利用するヒートポンプ6と、を備えている。
【0041】
吸収塔2の塔底部2aには、被分離ガスを導入する導入路2dが設けられている。また、吸収塔2の塔頂部2b内には、下方に向けてリーン吸収液を供給する第1ノズル7が配設されている。そして、吸収塔2における塔頂部2bと塔底部2aとの間の塔中間部2c内には、表面でリーン吸収液と被分離ガスとを接触させる吸収塔充填物8が配設されている。
また吸収塔2には、吸収塔2の塔頂部2bから脱炭酸ガスを導出する導出路9と、吸収塔2の塔頂部2bに貯留された洗浄水(洗浄液)を吸収塔2から導出して冷却した後、吸収塔2の塔頂部2bから再導入する脱炭酸ガス洗浄系統10と、が設けられている。
【0042】
脱炭酸ガス洗浄系統10は、前記第1ノズル7よりも上方に配設され洗浄水が貯留された液受けトレー11と、液受けトレー11よりも上方に配設され下方に向けて洗浄水を供給する第2ノズル12と、液受けトレー11と第2ノズル12とを接続する配管13と、を備えている。
配管13には、液受けトレー11から第2ノズル12に配管13を通して洗浄水を移送する洗浄水循環ポンプ13aと、洗浄水を冷却する水冷式洗浄水クーラー15と、が、液受けトレー11側から第2ノズル12側に向けてこの順に設けられている。
なお洗浄水は、吸収液の溶質と同一(例えば、水)であることが好ましい。ここで吸収液とは、リーン吸収液、リッチ吸収液、もしくはリーン吸収液とリッチ吸収液との混合液を意味する。
【0043】
リッチ供給路4は、吸収塔2の塔底部2aと、再生塔3の塔頂部3b内に配設され下方に向けてリッチ吸収液を供給する第3ノズル16と、を接続している。リッチ供給路4には、吸収塔2の塔底部2aから第3ノズル16にリッチ供給路4を通してリッチ吸収液を移送する吸収塔底ポンプ17が設けられている。
【0044】
再生塔3における塔頂部3bと塔底部3aとの間の塔中間部3c内には、再生塔充填物18が配設されている。この再生塔充填物18の表面を流下する吸収液は、再生塔3内を上昇する吸収液の溶質および溶媒(例えば、水)の蒸気分や、この蒸気分と二酸化炭素ガスとの混合ガスと気液接触する。
【0045】
また再生塔3には、再生塔3から吸収液を導出して加熱し、再生塔3に再導入するリボイラー系統19と、混合ガスを再生塔3から導出して冷却し、前記溶質および溶媒の蒸気分を凝縮させて凝縮液を再生塔3に再導入するとともに、未凝縮の二酸化炭素ガスを排出する混合ガス冷却系統20と、が設けられている。
【0046】
リボイラー系統19は、吸収液を加熱した後、再生塔3の塔底部3aから再導入する。このとき、加熱された吸収液の一部がフラッシュし、吸収液の溶質および溶媒それぞれの一部が蒸気となる。このリボイラー系統19は、再生塔3の塔底部3a内に配設され吸収液が貯留された液受けトレー21と、液受けトレー21と塔底部3aにおいて液受けトレー21よりも下方に位置する蒸気発生部分22とを接続する配管23と、備えている。
配管23には、液受けトレー21から前記蒸気発生部分22に配管23を通して吸収液を移送するリボイラーポンプ24と、外部から供給される熱を熱源として吸収液を加熱するリボイラー本体25と、が、液受けトレー11側から前記蒸気発生部分22側に向けてこの順に設けられている。
図示の例では、リボイラー本体25は、リボイラー系統19と、外部から供給される高温流体(例えば、飽和蒸気)が流通するリボイラー配管26と、の間に介在する熱交換器で構成されている。リボイラー配管26には、リボイラー本体25よりも下流側にスチームトラップ27が設けられている。
【0047】
混合ガス冷却系統20は、前記第3ノズル16よりも上方に配設され、凝縮された前記溶質および溶媒の蒸気分である凝縮液を下方に向けて供給する第4ノズル28と、再生塔3の塔頂と第4ノズル28とを接続する配管29と、を備えている。
配管29には、混合ガスを圧縮することで温度上昇させ昇温混合ガスとする混合ガスコンプレッサー(混合ガス圧縮機)30と、昇温混合ガスを膨張させることで温度低下させる減圧・膨張弁31と、凝縮液と二酸化炭素ガスとを分離する気液分離器32と、凝縮液を気液分離器32から第4ノズル28に配管29を通して移送する凝縮液循環ポンプ29aと、が、再生塔3の塔頂側から第4ノズル28側に向けてこの順に設けられている。
気液分離器32には、この気液分離器32により分離された二酸化炭素ガスを排出する排出路33が設けられている。
【0048】
そして本実施形態では、リボイラー系統19と混合ガス冷却系統20との間には、吸収液と昇温混合ガスとで熱交換する凝縮熱交換器(第10熱交換器)34が介在している。
図示の例では、凝縮熱交換器34には、リボイラー本体25によって加熱される前の吸収液が通る。この凝縮熱交換器34は、リボイラー系統19の配管23においてリボイラーポンプ24とリボイラー本体25との間に介装されるとともに、混合ガス冷却系統20の配管29において混合ガスコンプレッサー30と減圧・膨張弁31との間に介装されている。
【0049】
リーン供給路5は、再生塔3の塔底部3aと、吸収塔2内の前記第1ノズル7と、を接続しており、このリーン供給路5には、再生塔3の塔底部3aから第1ノズル7にリーン供給路5を通してリーン吸収液を移送する再生塔底ポンプ35が設けられている。
また、リーン供給路5とリッチ供給路4との間には、リーン吸収液とリッチ吸収液とで熱交換するアミン熱交36が介在している。
【0050】
ヒートポンプ6は、吸収塔2内の前記吸収塔充填物8に介装された吸収塔内部熱交(第1熱交換器)37と、再生塔3内の前記再生塔充填物18に介装された再生塔内部熱交(第2熱交換器)38と、吸収塔内部熱交37と再生塔内部熱交38とを接続する一対の配管39、40と、を備えている。
【0051】
吸収塔内部熱交37は、吸収塔充填物8を縦断するように介装され、膨張させられ温度低下させられた熱媒体と、吸収塔2内の吸収液と、で熱交換する。
また、再生塔内部熱交38は、再生塔充填物18を縦断するように介装され、圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体と、再生塔3内の吸収液と、で熱交換する。
【0052】
一対の配管39、40のうち、一方の配管39は、再生塔内部熱交38の上部側と吸収塔内部熱交37の下部側とを接続するとともに、この配管39には、熱媒体を膨張させることで温度低下させる熱媒膨張弁41が設けられている。また、他方の配管40は、吸収塔内部熱交37の上部側と再生塔内部熱交38の下部側とを接続するとともに、この配管40には、熱媒体を圧縮することで温度上昇させる熱媒コンプレッサー42が設けられている。
【0053】
熱媒体としては、例えば、吸収塔2での発熱反応で生じる熱を、吸収塔内部熱交37内で蒸発することにより蒸発潜熱として回収するとともに、再生塔内部熱交38内で凝縮することにより凝縮熱を発生させ、この凝縮熱を再生塔3での吸熱反応の熱源とさせることが可能な流体が好ましい。このような流体としては、例えば、ペンタンや水などが挙げられる。
【0054】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置1の作用について説明する。
はじめに、吸収液の流れについて、吸収塔2を起点として説明する。
まず吸収塔2では、塔底部2aに供給された被分離ガスが内部を上昇するとともに、塔頂部2b内の第1ノズル7から供給されたリーン吸収液が内部を下降する。この過程で、被分離ガスとリーン吸収液とが接触し、被分離ガス中の二酸化炭素ガスが、リーン吸収液に吸収されて発熱反応が生じる。
【0055】
ここで本実施形態では、吸収塔2の塔中間部2c内に吸収塔充填物8が配設されている。この吸収塔充填物8は、例えば、多数の狭い隙間を持つフィン構成で、容積あたりのフィン表面積が大きく、また、その隙間は規則的に流路の角度が変化するように構成され、意図的に流れの乱れが起きるようになっている。吸収塔充填物8の表面では、吸収液がフィン上に濡れ壁をなして流下し、吸収塔2内を上昇する被分離ガスと気液接触がなされる。また吸収塔充填物8は、濡れ壁の隙間が狭くかつ一定ピッチで進行角度が変化することで気液の流れを乱し、気液接触を効率化できる構造になっている。したがって、吸収塔充填物8の表面では、上昇する被分離ガスと下降する吸収液とが接触し易く、吸収液による二酸化炭素ガスの吸収が促進される。
【0056】
これにより、リッチ吸収液および脱炭酸ガスが生成される。これらのうち、脱炭酸ガスは、吸収塔2の塔頂部2bに向けて上昇し、導出路9を通して外部に導出される。
なお本実施形態では、吸収塔2に前記脱炭酸ガス洗浄系統10が設けられているので、水冷式洗浄水クーラー15で冷却され再導入された洗浄水によって吸収塔2の塔頂部2b内を冷却することができる。したがって、例えば、吸収液中の溶質が飛散もしくは蒸発して脱炭酸ガスに随伴して上昇したとしても、導出路9に到達する前に洗浄・冷却して除去することが可能になり、吸収液中の溶質が吸収塔2の塔頂部2bから導出路9を通して外部に流出することを抑制することができる。
【0057】
一方、脱炭酸ガスとともに生成されたリッチ吸収液は、吸収塔2内を下降して塔底部2aに貯留された後、リッチ供給路4を通して再生塔3の塔頂部3b内の第3ノズル16に供給される。ここで本実施形態では、リーン供給路5とリッチ供給路4との間にアミン熱交36が介在しており、リッチ吸収液は、リーン供給路5側のリーン吸収液と熱交換することで、リーン吸収液を冷却しつつ加熱される。
【0058】
再生塔3内では、第3ノズル16から供給されたリッチ吸収液が内部を下降するとともに、リボイラー系統19によって加熱された吸収液が塔底部3aから再導入される。このとき、加熱された吸収液の一部が蒸気発生部分22でフラッシュし、吸収液の溶質および溶媒それぞれの一部が蒸気となり、また、再生された二酸化炭素がガスとなり、再生塔3内部を上昇する。この過程で、リッチ吸収液と前記溶質および溶媒の蒸気分とが接触し、前記溶質および溶媒の蒸気分の凝縮熱を熱源として、脱離再生の吸熱反応が起こり、リッチ吸収液から二酸化炭素ガスが分離される。
【0059】
ここで本実施形態では、再生塔3の塔中間部3c内に再生塔充填物18が配設されている。この再生塔充填物18は、例えば、多数の狭い隙間を持つフィン構成で、容積あたりのフィン表面積が大きく、また、その隙間は規則的に流路の角度が変化するように構成され、意図的に流れの乱れが起きるようになっている。再生塔充填物18の表面では、吸収液がフィン上に濡れ壁をなして流下し、再生塔3内を上昇する前記溶質および溶媒の蒸気分と接触し、表面積の大きさや流れの乱れによって効率的に気液接触がなされ、二酸化炭素の分離・放散が促進される。
【0060】
これにより、リッチ吸収液が、リーン吸収液と二酸化炭素ガスとに分離される。これらのうち、二酸化炭素ガスは、前記溶質および溶媒の蒸気分と混合され混合ガスとなり、再生塔3内を上昇する。
【0061】
この混合ガスは、再生塔3の塔頂から混合ガス冷却系統20の配管29に導入された後、この配管29を通る過程で、まず混合ガスコンプレッサー30によって圧縮されて温度上昇させられ昇温混合ガスとなる。その後、昇温混合ガスは、凝縮熱交換器34で、リボイラー系統19側の吸収液と熱交換することで、吸収液を加熱しつつ冷却される。さらにその後、昇温混合ガスは、減圧・膨張弁31によって膨張させられて温度低下させられる。
【0062】
以上により、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分が凝縮されて凝縮液となり、この凝縮液と、二酸化炭素ガスを主体とした未凝縮の二酸化炭素主体ガス(昇温混合ガス)と、が、気液分離器32により分離される。そして凝縮液は、第4ノズル28から再生塔3に再導入されるとともに、未凝縮の二酸化炭素主体ガスは、排出路33を通して外部に排出される。
【0063】
一方、再生塔3内を下降する吸収液は、塔底部3aに貯留された後、分離再生されたリーン吸収液として再生塔3aから導出され、リーン供給路5を通して吸収塔2の塔頂部2b内の前記第1ノズル7に供給される。このとき、リーン吸収液は、前記アミン熱交36で、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と熱交換することで、リッチ吸収液を予熱しつつ冷却される。このことにより、再生塔3側から見た場合、リーン吸収液が外部に持ち出す熱を、外部から供給されるリッチ吸収液の予熱として、熱回収することができる。
【0064】
次に、ヒートポンプ6での熱媒体の流れについて、熱媒膨張弁41を起点として説明する。
熱媒膨張弁41で温度低下させられた熱媒体は、前記一方の配管39を通った後、吸収塔内部熱交37の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、吸収液を冷却しつつ、吸収液が二酸化炭素を化学吸収する際に発生する発熱反応の熱を受け取り蒸発して気化し、その後、前記他方の配管40を通って再生塔内部熱交38の下部部側に移動する。このとき、熱媒体は熱媒コンプレッサー42によって圧縮され、温度上昇させられる。
【0065】
そして熱媒体は、再生塔内部熱交38の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、吸収液を加熱しつつその熱を吸熱反応の熱源として消費させることで冷却・凝縮された後、前記一方の配管39を通って吸収塔内部熱交37の下部側に向けて移動する。このとき、熱媒体は熱媒膨張弁41により圧力低下し、再び温度低下させられ、気・液混合流体となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置1によれば、前記ヒートポンプ6を備えているので、再生塔3での吸熱反応の熱源として、吸収塔2での発熱反応で生じた熱を利用することができる。前記発熱反応で生じた熱は吸熱反応の熱と等しいので、反応熱を内部でのやり取りでキャンセルすることが可能になり、従来、吸熱反応の為に外部から加熱する一方で、反応発熱は冷却水に廃熱していたが、このような水冷等で廃熱していた反応発熱を再生に必要な吸熱反応の熱源として利用することが可能になり、外部からの入熱量を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
【0067】
また、ヒートポンプ6が前記吸収塔内部熱交37を備えているので、吸収塔2での発熱反応で生じた熱を、損失少なく高効率に熱媒体に受け取らせることができる。
さらに、ヒートポンプ6が前記再生塔内部熱交38を備えているので、熱媒体により移動させられた発熱反応で生じた熱を、再生塔3での吸熱反応の熱源として損失少なく高効率に利用することができる。
以上により、外部加熱する一方で冷却水に廃熱するというエネルギーの消費をすることなく、吸収塔2で吸収液が二酸化炭素を化学吸収する発熱反応で生じた熱を、再生塔3で吸収液から二酸化炭素を分離再生する吸熱反応の熱源として効果的に利用することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0068】
また、混合ガス冷却系統20が混合ガスコンプレッサー30を備えているので、僅かな外部動力を加えることで、外部から加熱することなく、昇温混合ガスが得られ、さらに、リボイラー系統19と混合ガス冷却系統20との間に、前記凝縮熱交換器34が介在しているので、リボイラー系統19側の吸収液と、混合ガス冷却系統20側の昇温混合ガスと、で熱交換することで、吸収液を加熱しつつ、昇温混合ガスを冷却することができる。
このように、再生塔3を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、リボイラー系統19での外部からの入熱量を確実に抑えることが可能になり、効果的に省エネルギー化を図ることができる。
【0069】
ここで、以上の効果を一般化して以下の2項目として記述することができる。
(1)反応熱の自己熱再生効果
吸収塔2での反応発熱量は、再生塔3での反応吸熱量に等しい。よって、ヒートポンプ6に要する僅かな動力で、従来外部から加熱により与えていた反応熱は、プロセス内部のやり取りで賄い、外部との熱の授受を無くすことができる。その結果、再生塔3のリボイラー系統19で加えていた外部熱量が従来に比べて低減される。
(2)塔操作に要する潜熱の自己熱再生
再生塔3の塔頂部3bから流出する混合ガスの熱量は、リボイラー系統19で外部から加熱し、吸収液の溶質および溶媒を蒸発させるために消費した熱量から吸収液再生のために要する反応吸熱量を引いたものに等しい。よって混合ガスを圧縮する僅かな動力で、昇温混合ガスを得て、凝縮熱交換器34で、前記混合ガスの熱をリボイラー系統19に与えることができれば、リボイラー系統19で外部から加えるべき熱量は低減する。さらに厳密に言えば、加えるべき熱量は、アミン熱交36での回収漏れ熱量(アミン熱交36から流出するリーン吸収液の顕熱量とアミン熱交36に流入するリッチ吸収液の顕熱熱量との差違)と再生塔3廻りの放熱量の和に見合う熱量になる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0071】
図2に示すように、本実施形態の二酸化炭素ガス回収装置100では、混合ガス冷却系統20の減圧・膨張弁31は前記排出路33に設けられるとともに、混合ガス冷却系統20の配管29における気液分離器32と第4ノズル28との間には、凝縮液循環ポンプ29aに代えてレベル調節弁101が設けられている。
【0072】
またヒートポンプ6は、前記吸収塔内部熱交37を備えていない。そして本実施形態では、導出路9とヒートポンプ6との間には、脱炭酸ガスと、膨張させられ温度低下させられた熱媒体、とで熱交換する脱炭酸ガスクーラー(第3熱交換器)102が介在している。また、脱炭酸ガス洗浄系統10とヒートポンプ6との間には、洗浄水と、膨張させられ温度低下させられた熱媒体と、で熱交換する洗浄水クーラー(第4熱交換器)103が介在している。さらに、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間には、リッチ吸収液と、膨張させられ温度低下させられた熱媒体と、で熱交換するリッチアミン熱交換器(第5熱交換器)104が介在している。
これらの脱炭酸ガスクーラー102、洗浄水クーラー103およびリッチアミン熱交換器104は、ヒートポンプ6において熱媒膨張弁41によって膨張させられ温度低下させられた熱媒体が通り、熱媒体が熱を受け取る熱回収側に介在している。
【0073】
図示の例では、ヒートポンプ6は、複数の配管105、106、107、108と、各配管105、106、107、108を接続する熱媒分配器109および熱媒集合器110を備えている。複数の配管105、106、107、108は、再生塔内部熱交38の上部側と熱媒分配器109とを接続する第1配管105と、熱媒分配器109と熱媒集合器110とを接続する2つの分岐配管106、107と、熱媒集合器110と再生塔内部熱交38の下部側とを接続する第2配管108と、からなる。
【0074】
2つの分岐配管106、107のうち、一方の分岐配管106には、脱炭酸ガスクーラー102および洗浄水クーラー103が、熱媒分配器109側から熱媒集合器110側に向けてこの順に介装されるとともに、他方の分岐配管107には、リッチアミン熱交換器104が介装されている。また、第1配管105には、前記熱媒膨張弁41が設けられるとともに、第2配管108には前記熱媒コンプレッサー42が設けられている。
【0075】
なお図示の例では、吸収塔2に設けられた前記脱炭酸ガス洗浄系統10では、その配管13における洗浄水循環ポンプ13aと第2ノズル12との間に洗浄水クーラー103が介装されるとともに、前記水冷式洗浄水クーラー15が備えられてない。
またリッチ供給路4には、吸収塔底ポンプ17よりも下流側で、かつアミン熱交36よりも上流側にリッチアミン熱交換器104が介装されている。
【0076】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置100の作用について説明する。ここでは、ヒートポンプ6の熱媒体の流れについて、熱媒膨張弁41を起点として説明する。
熱媒膨張弁41により温度低下させられた熱媒体は、第1配管105を通った後、熱媒分配器109で分岐された2つの分岐配管106、107を通る。
【0077】
このうち、前記一方の分岐配管106を通る熱媒体は、脱炭酸ガスクーラー102において、導出路9側の脱炭酸ガスと熱交換することで、吸収塔2から導出される脱炭酸ガスの熱を受け取って加熱される。その後、熱媒体は、洗浄水クーラー103において、脱炭酸ガス洗浄系統10側の洗浄水と熱交換することで、洗浄水を冷却しつつさらに加熱される。
また、前記他方の分岐配管107を通る熱媒体は、リッチアミン熱交換器104において、吸収塔2から流出するリッチ吸収液の熱を受け取って加熱される。
【0078】
そして、両分岐配管106、107を通った熱媒体は熱媒集合器110で合流する。熱媒集合器110で合流した熱媒体は、第2配管108を通って再生塔内部熱交38の下部側に移動する。このとき、熱媒体は熱媒コンプレッサー42によって温度上昇させられる。そして熱媒体は、再生塔内部熱交38の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、吸収液を加熱しつつその熱を吸熱反応の熱源と消費させることで冷却された後、第1配管105を通って熱媒分配器109に向けて移動する。このとき、熱媒体は熱媒膨張弁41により再び温度低下させられる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置100によれば、導出路9とヒートポンプ6との間に、前記脱炭酸ガスクーラー102が介在しているので、導出路9側の脱炭酸ガスと、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収塔2から導出された脱炭酸ガスの熱を、熱媒体に受け取らせて熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔2の発熱反応で生じて脱炭酸ガスに受け渡された熱が外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
また、脱炭酸ガス洗浄系統10とヒートポンプ6との間に、前記洗浄水クーラー103が介在しているので、脱炭酸ガス洗浄系統10側の洗浄水と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、洗浄水を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔2の発熱反応で生じて脱炭酸ガスから洗浄水に受け渡された熱が、外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0081】
また、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間に、前記リッチアミン熱交換器104が介在しているので、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収塔2の発熱反応で生じてリッチ吸収液に受け渡されたリッチ吸収液の熱を、熱媒体に受け取らせて熱媒体を加熱することができる。
また本実施形態では、リッチアミン熱交換器104が、リッチ供給路4においてアミン熱交36よりも上流側に介装されているので、アミン熱交36を通るリッチ吸収液を、前記リッチアミン熱交換器104で冷却しておくことができる。これにより、アミン熱交36において、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、リーン供給路5側のリーン吸収液と、での熱交換量を増加することが可能になり、リーン供給路5側のリーン吸収液を効果的に冷却することができ、再生塔から見た熱回収量を増やすことができる。したがって、例えば、リーン供給路5においてアミン熱交36よりも下流側に、リーン吸収液を冷却する図示しないリーンアミンクーラーを設け、吸収塔2に供給されるリーン吸収液を吸収塔2に供給する前に予め冷却する場合であっても、この冷却による外部への熱ロスを低減することができる。
【0082】
また本実施形態では、吸収塔2内から外部に導出される脱炭酸ガスおよび吸収液の熱を、脱炭酸ガスクーラー102、洗浄水クーラー103、およびリッチアミン熱交換器104で熱媒体が受け取っている。したがって、吸収塔2での発熱反応で生じる熱を、前記吸収塔内部熱交37を設けずに熱媒体で受け取ることが可能になる。これにより、例えば、二酸化炭素ガス回収装置100の簡素化を図ることができる。
なお本実施形態では、ヒートポンプ6は、吸収塔内部熱交37を備えていないものとしたが、備えていても良い。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。また図3では、図面の見易さのため、第2実施形態における構成要素と同一の部分については一部、図示を省略している。
【0084】
図3に示すように、本実施形態の二酸化炭素ガス回収装置200では、吸収塔充填物8は、吸収塔2の塔中間部2c内に上下2分割して配設されるとともに、吸収塔2には、吸収塔2の塔中間部2cから吸収液を導出して冷却した後、塔中間部2cから再導入するインタークーラー系統201が設けられている。
【0085】
インタークーラー系統201は、分割された吸収塔充填物8の間に配設され吸収液が貯留された液受けトレー202と、液受けトレー202よりも下方に配設され下方に向けて吸収液を供給する第5ノズル203と、液受けトレー202と第5ノズル203とを接続する配管204と、を備えている。
配管204には、液受けトレー202から第5ノズル203に配管204を通して吸収液を移送するインタークーラーポンプ205が設けられている。
【0086】
そして本実施形態では、インタークーラー系統201とヒートポンプ6との間には、吸収液と、膨張させられ温度低下させられた熱媒体と、で熱交換する熱媒冷却式インタークーラー(第6熱交換器)206が介在している。また、リーン供給路5とヒートポンプ6との間には、リーン吸収液と、膨張させられ温度低下させられた熱媒体と、で熱交換する熱媒冷却式リーンアミンクーラー(第7熱交換器)207が介在している。
【0087】
図示の例では、ヒートポンプ6は、5つの分岐配管208を備えており、各分岐配管208には、前記脱炭酸ガスクーラー102、前記洗浄水クーラー103、前記リッチアミン熱交換器104、熱媒冷却式インタークーラー206、および熱媒冷却式リーンアミンクーラー207のいずれかが介装されている。
【0088】
なお、インタークーラー系統201では、その配管204におけるインタークーラーポンプ205と第5ノズル203との間に熱媒冷却式インタークーラー206が介装されている。
またリーン供給路5には、アミン熱交36よりも下流側に熱媒冷却式リーンアミンクーラー207が介装されている。
【0089】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置200の作用について説明する。ここでは、ヒートポンプ6の熱媒体の流れについて、熱媒膨張弁41を起点として、熱媒集合器110に到達するまでを説明する。
熱媒膨張弁41により温度低下させられた熱媒体は、第2配管108を通った後、熱媒分配器109で分岐された5つの分岐配管208を通る。
【0090】
このうち、熱媒冷却式インタークーラー206が介装された分岐配管208を通る熱媒体は、熱媒冷却式インタークーラー206において、吸収液と熱交換することで、吸収液を冷却しつつ加熱される。
また、熱媒冷却式リーンアミンクーラー207が介装された分岐配管208を通る熱媒体は、熱媒冷却式リーンアミンクーラー207において、リーン吸収液を冷却しつつ加熱される。
そして、各分岐配管208を通った熱媒体は熱媒集合器110で合流する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置200によれば、リーン供給路5とヒートポンプ6との間に、前記熱媒冷却式リーンアミンクーラー207が介在しているので、リーン供給路5側のリーン吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、リーン吸収液を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、従来は冷却水に廃熱していたリーン吸収液の熱を、廃熱することなく熱媒体の熱として回収することができる。また、吸収塔2に供給されるリーン吸収液を冷却することが可能になり、吸収塔2での吸収液による二酸化炭素ガスの吸収を促進することができる。
【0092】
さらに、吸収塔2に前記インタークーラー系統201が設けられているので、塔中間部2cの吸収液を冷却した後に再導入することが可能になり、吸収塔2での吸収液による二酸化炭素ガスの吸収をより促進することができる。
【0093】
また、インタークーラー系統201とヒートポンプ6との間に、前記熱媒冷却式インタークーラー206が介在しているので、インタークーラー系統201側の吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、吸収液を冷却しつつ、熱媒体を加熱することができる。
これにより、吸収塔2の発熱反応で生じて吸収液に受け渡された熱が、外部に漏出するのを抑制することが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0094】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0095】
図4に示すように、本実施形態の二酸化炭素ガス回収装置300では、リッチ供給路4において吸収塔底ポンプ17とアミン熱交36との間に位置する部分に、リッチ吸収液の流れを分岐するリッチアミン分配器301と、分岐されたリッチ吸収液が流通する2つのリッチ分岐路302、303と、リッチ分岐路302、303が合流するリッチアミン集合器304と、が備えられている。
【0096】
2つのリッチ分岐路302、303のうち、一方のリッチ分岐路302とリーン供給路5との間には、リッチ吸収液とリーン吸収液とで熱交換する第1リッチアミン熱交305が介在している。第1リッチアミン熱交305は、リーン供給路5においてアミン熱交36よりも下流側に介装されており、前記一方のリッチ分岐路302側のリッチ吸収液と、リーン供給路5側のリーン吸収液と、で熱交換することで、再生塔3に供給され再生塔3内で吸熱反応を起こすリッチ吸収液を予熱しつつ、吸収塔2に供給され吸収塔2内で発熱反応を起こすリーン吸収液を冷却することができる。
また、再生塔3に設けられた前記リボイラー系統19の配管23におけるリボイラーポンプ24と凝縮熱交換器34との間にはリボイラー分配器306が設けられており、このリボイラー分配器306からは、再生塔3の塔底部3aに接続される枝配管307が分岐されている。
【0097】
そして本実施形態では、リボイラー系統19とヒートポンプ6との間には、吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体と、で熱交換する熱媒式リボイラーヒーター(第8熱交換器)308が介在している。また、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間には、リッチ吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体と、で熱交換する第2リッチアミン熱交(第9熱交換器)309が介在している。
これらの熱媒式リボイラーヒーター308、第2リッチアミン熱交309および前記再生塔内部熱交38は、ヒートポンプ6において熱媒コンプレッサー42によって圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体が通り、熱媒体が熱を受け渡す熱供給側に介在している。
【0098】
図示の例では、ヒートポンプ6は、複数の配管310、311、312、313、314と、各配管を接続する熱媒分配器315および熱媒集合器316を備えている。複数の配管310、311、312、313、314は、熱媒分配器315と熱媒集合器316とを接続する3つの分岐配管310、311、312と、熱媒集合器316と吸収塔内部熱交37の下部側とを接続する第1配管313と、吸収塔内部熱交37の上部側と熱媒分配器315とを接続する第2配管314と、からなる。
【0099】
3つの分岐配管310、311、312のうち、第1の分岐配管310の中間部には、前記再生塔内部熱交38が設けられ、第2の分岐配管311には、熱媒式リボイラーヒーター308が介装され、第3の分岐配管312には、第2リッチアミン熱交309が介装されている。また、第1配管313には前記熱媒膨張弁41が設けられるとともに、第2配管314には、前記熱媒コンプレッサー42が設けられている。
なお図示の例では、リボイラー系統19では、枝配管307に熱媒式リボイラーヒーター308が介装されるとともに、リッチ供給路4では、2つのリッチ分岐路302、303のうち、前記一方のリッチ分岐路302とは異なる他方のリッチ分岐路303に第2リッチアミン熱交309が介装されている。第2リッチアミン熱交309は、リッチ供給路4においてアミン熱交36よりも上流側に介装されている。
【0100】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置300の作用について説明する。ここでは、ヒートポンプ6の熱媒体の流れについて、熱媒膨張弁41を起点として説明する。
【0101】
熱媒膨張弁41により温度低下させられた熱媒体は、第1配管313を通った後、吸収塔内部熱交37の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、吸収液を冷却しつつ発熱反応の熱を受け取り、その後、第2配管314を通って熱媒分配器315に移動する。このとき、熱媒体は熱媒コンプレッサー42によって温度上昇させられる。そして熱媒体は、熱媒分配器315により分岐され、各分岐配管310、311、312を通る。
【0102】
このうち、第1の分岐配管310を通る熱媒体は、再生塔内部熱交38の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、前記熱を吸熱反応の熱源としてリッチ吸収液に受け渡して加熱する。
また、第2の分岐配管311を通る熱媒体は、熱媒式リボイラーヒーター308において、リボイラー系統19側の吸収液と熱交換することで、その熱を吸収液に受け渡して加熱する。
さらに、第3の分岐配管312を通る熱媒体は、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と熱交換することで、その熱をリッチ吸収液に受け渡して加熱する。
【0103】
そして、各分岐配管310、311、312を通った熱媒体は熱媒集合器316で合流する。熱媒集合器316で合流した熱媒体は、第1配管313を通って吸収塔内部熱交37の下部側に向けて移動する。このとき、熱媒体は熱媒膨張弁41により再び温度低下させられる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置300によれば、リボイラー系統19とヒートポンプ6との間に、前記熱媒式リボイラーヒーター308が介在しているので、リボイラー系統19側の吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、吸収液に受け取らせて吸収液を加熱することができる。
これにより、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0105】
また、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間に、前記第2リッチアミン熱交309が介在しているので、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、再生塔3に供給されるリッチ吸収液に受け取らせてリッチ吸収液を加熱することができる。
このように、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔3でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
また本実施形態のように、リーン供給路5とリッチ供給路4との間に前記アミン熱交36が介在している場合、アミン熱交36での加熱量に、前記第2リッチアミン熱交309での加熱量が加算される結果、リッチ吸収液の予熱量が増大し、リボイラー系統19によって吸収液に与えるべき熱量を更に抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより一層抑えることが可能になり、一層更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0106】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第5実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0107】
図5に示すように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置400では、再生塔3に設けられた前記リボイラー系統19の配管23におけるリボイラーポンプ24と凝縮熱交換器34との間にはリボイラー分配器401が設けられており、このリボイラー分配器401からは、再生塔3の塔底部3aに接続される枝配管402が分岐されている。
【0108】
またヒートポンプ6は、前記再生塔内部熱交38を備えていない。そして本実施形態では、リボイラー系統19とヒートポンプ6との間には、吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体と、で熱交換する熱媒式リボイラーヒーター(第8熱交換器)403が介在している。
図示の例では、ヒートポンプ6の複数の配管404、405は、熱媒集合器110と熱媒分配器109とを接続するとともに前記熱媒コンプレッサー42が設けられた主配管404と、熱媒分配器109と熱媒集合器110とを接続する3つの分岐配管405と、からなる。
【0109】
主配管404には、熱媒体を膨張させることで温度低下させる熱媒膨張タービン406が設けられている。この熱媒膨張タービン406は、熱媒体を膨張させるときに回転動力を得る。そして、主配管404における熱媒コンプレッサー42と熱媒膨張タービン406との間に、前記熱媒式リボイラーヒーター403が介装されている。
また、各分岐配管405には、熱媒冷却式の脱炭酸ガスクーラー102、熱媒冷却式の洗浄水クーラー103および熱媒冷却式のリッチアミン熱交換器104のいずれかが介装されている。
【0110】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置400の作用について説明する。ここでは、ヒートポンプ6の熱媒体の流れについて、熱媒膨張タービン406を起点として説明する。
【0111】
熱媒膨張タービン406により温度低下させられた熱媒体は、主配管404を通った後に熱媒分配器109で分岐され、3つの分岐配管405を通って各熱交換器において加熱され、その後、熱媒集合器110で合流する。熱媒集合器110で合流した熱媒体は、主配管404を通って、熱媒コンプレッサー42によって温度上昇させられた後、熱媒式リボイラーヒーター403において、リボイラー系統19側の吸収液と熱交換することで、熱媒体の熱を吸収液に受け渡して加熱する。その後、主配管404を通って熱媒分配器109に向けて移動する。このとき、熱媒体は熱媒膨張タービン406により再び温度低下させられる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置400によれば、リボイラー系統19とヒートポンプ6との間に、前記熱媒式リボイラーヒーター403が介在しているので、リボイラー系統19側の吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、吸収液に受け取らせて吸収液を加熱することができる。
これにより、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
なお、ヒートポンプ6は、前記再生塔内部熱交38を備えていないものとしたが、備えていても良い。
【0113】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。また図6では、図面の見易さのためにヒートポンプ6の図示を省略している。
【0114】
図6に示すように、本実施形態の二酸化炭素ガス回収装置500では、吸収塔充填物8は、吸収塔2の塔中間部2cに上下2分割して配設されるとともに、吸収塔2には、吸収塔2の塔中間部2c内からリーン吸収液を導出して冷却した後、塔中間部2cから再導入するインタークーラー系統501が設けられている。
また、リーン供給路5には、リーン吸収液を冷却するリーンアミンクーラー502がアミン熱交36よりも下流側に設けられている。
【0115】
また、混合ガス冷却系統20の配管29には、前記減圧・膨張弁31が設けられておらず、この配管29において気液分離器32と前記第4ノズル28との間には、凝縮液循環ポンプ29aに代えてレベル調節弁503が設けられている。
気液分離器32は、凝縮熱交換器34で凝縮された前記溶質および溶媒の蒸気分である凝縮液と、未凝縮の前記溶質および溶媒の蒸気分および二酸化炭素ガスからなる未凝縮の残りの昇温混合ガスと、を分離する。この気液分離器32には、排出路33に代えて、後述する他の気液分離器505を経て再生塔3の塔頂部3bに接続された残ガス流通路504が設けられている。
【0116】
残ガス流通路504内は、気液分離器32により分離された未凝縮の前記残りの昇温混合ガスが通る。残ガス流通路504には、後述する第3リッチアミン熱交(第11熱交換器)514と、前記減圧・膨張弁31と、前記溶質および溶媒の蒸気分の凝縮液と未凝縮の二酸化炭素ガスとを分離する他の気液分離器505と、レベル調節弁506と、が、気液分離器32から再生塔3の塔頂部3bに、この順で配設されている。
他の気液分離器505には、前記排出路33が設けられている。
【0117】
また、リッチ供給路4において吸収塔底ポンプ17とアミン熱交36との間に位置する部分には、リッチ吸収液の流れを分岐するリッチアミン分配器507と、分岐されたリッチ吸収液が流通する3つのリッチ分岐路508、509、510と、リッチ分岐路508、509、510が合流するリッチアミン集合器511と、が備えられている。
【0118】
3つのリッチ分岐路508、509、510のうちの第1リッチ分岐路508と、リーン供給路5と、の間には、リッチ吸収液とリーン吸収液とで熱交換する第1リッチアミン熱交512が介在している。第1リッチアミン熱交512は、リーン供給路5においてアミン熱交36よりも下流側に介装されている。
また、3つのリッチ分岐路508、509、510のうちの第2リッチ分岐路509と、前記リボイラー配管26と、の間には、リッチ吸収液と高温流体とで熱交換する第2リッチアミン熱交513が介在している。第2リッチアミン熱交513は、リボイラー配管26においてスチームトラップ27よりも下流側に介装されている。
【0119】
そして本実施形態では、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間には、凝縮熱交換器34を通った後の昇温混合ガスとリッチ吸収液とで熱交換する第3リッチアミン熱交514が介在している。
第3リッチアミン熱交514は、3つのリッチ分岐路508、509、510のうちの第3リッチ分岐路510に介装されているとともに、残ガス流通路504において減圧・膨張弁31よりも上流側に介装されている。
【0120】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置500の作用について説明する。
はじめに、リッチ供給路4でのリッチ吸収液の流れについて説明する。
リッチ供給路4を通るリッチ吸収液は、リッチアミン分配器507に到達した後、3つの分岐路508、509、510に分岐される。
【0121】
このうち、第1リッチ分岐路508を通るリッチ吸収液は、第1リッチアミン熱交512で、リーン供給路5側のリーン吸収液と熱交換することで、リーン吸収液を冷却しつつ加熱される。
また、第2リッチ分岐路509を通るリッチ吸収液は、第2リッチアミン熱交513で、リボイラー配管26の高温流体と熱交換することで、高温流体から熱を受け取り加熱される。
さらに、第3リッチ分岐路510を通るリッチ吸収液は、第3リッチアミン熱交514で、残ガス流通路504を流通する前記残りの昇温混合ガスと熱交換することで、前記残りの昇温混合ガスを冷却しつつ加熱される。
【0122】
そして、各リッチ分岐路508、509、510を通り加熱されたリッチ吸収液は、リッチアミン集合器511で合流した後、前記第3ノズル16に供給される。
【0123】
次に、混合ガス冷却系統20での混合ガスの流れについて説明する。
再生塔3内を上昇した混合ガスは、混合ガス冷却系統20の配管29を通り、まず混合ガスコンプレッサー30によって圧縮され温度上昇させられ昇温混合ガスとなる。その後、凝縮熱交換器34で、リボイラー系統19側の吸収液と熱交換することで、前記溶質および溶媒の蒸気分が持つ潜熱が回収され、前記溶質および溶媒の蒸気分の少なくとも一部が凝縮されて、凝縮液となる。
次いで、気液分離器32により、前記凝縮液と、未凝縮の前記残りの昇温混合ガスと、が分離され、これらのうち、凝縮液は、配管29を通り再生塔3の塔頂部3bに前記第4ノズル28から供給される。
【0124】
一方、未凝縮の前記残りの昇温混合ガスは、残ガス流通路504を通り、第3リッチアミン熱交514で、第3リッチ分岐路510を通るリッチ吸収液と熱交換することで、ガスの顕熱および一部残った蒸気分の潜熱が回収される。すなわち、前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱が回収されて前記残りの昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分が凝縮されるとともに、前記残りの昇温混合ガス中の二酸化炭素ガスの顕熱が回収される。その後、前記残りの昇温混合ガスが減圧・膨張弁31によって膨張させられて温度低下させられることで、前記残りの昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分が全て凝縮され凝縮液となる。
【0125】
そして、他の気液分離器505により、前記凝縮液と、未凝縮の二酸化炭素ガスと、が分離され、これらのうち、凝縮液は、前記残ガス流通路504を通り再生塔3の塔頂部3bに供給されるとともに、二酸化炭素ガスは、排出路33を通して排出される。
【0126】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置500によれば、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間に、前記第3リッチアミン熱交514が介在しているので、混合ガス冷却系統20側の前記残りの昇温混合ガスと、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、で熱交換することで、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を加熱しつつ、前記残りの昇温混合ガスを冷却することができる。
【0127】
このように、再生塔3を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔3でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0128】
また、混合ガス冷却系統20側の昇温混合ガスが、凝縮熱交換器34を通った後、第3リッチアミン熱交514を通るので、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱を凝縮熱交換器34で回収した後、未凝縮の前記残りの昇温混合ガスの顕熱および残った潜熱を第3リッチアミン熱交514で回収することができる。
【0129】
ここで、第1実施形態と同様に、以上の効果を一般化して記述すると、本実施形態では、前記(1)反応熱の自己熱再生効果と、(2)塔操作に要する潜熱の自己熱再生と、に加えて以下の1項目を記述することができる。
(3)塔操作に要する顕熱の自己熱再生
再生塔3に流入するリッチ吸収液に含まれるCOに相当する顕熱量は、前記残りの昇温混合ガスのガス顕熱に等しい。よって混合ガスを圧縮する僅かな動力で昇温混合ガスを得て、第3リッチアミン熱交514により、その顕熱を回収すれば、再生塔に導入されるリッチ吸収液の予熱量が増加して、リボイラー系統19で外部から加えるべき熱量は低減する。さらに厳密に言えば、加えるべき熱量は、アミン熱交36での回収漏れ熱量(アミン熱交36を流出するリーン吸収液の顕熱量とアミン熱交36に流入するリッチ吸収液の顕熱量との差違)からリッチ吸収液に含まれるCOの顕熱相当熱量を除いた熱量と、再生塔3廻りの放熱量に見合う熱量と、の和になる。
さらにアミン熱交36の伝熱面積を大きく設定し、アミン熱交36での回収漏れ熱量をゼロに近づけると、リボイラー系統19で外部から加えるべき熱量は再生塔3廻りの放熱量だけに見合う熱量にまで低減し、放熱は保温の程度で制御できることから、最終的にリボイラー系統19で外部から加えるべき熱量は、ゼロ近傍とすることが可能となる。
【0130】
なお本実施形態では、第3リッチアミン熱交514において、混合ガス冷却系統20側の前記残りの昇温混合ガスと、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、で熱交換するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、第3リッチアミン熱交514において、二酸化炭素ガスとリッチ吸収液とで熱交換し、二酸化炭素ガスの顕熱回収をしても良い。この場合、例えば、気液分離器32で、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の全てが二酸化炭素ガスから分離されるように、気液分離器32よりも上流側で、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の全てが凝縮されるように、混合ガス冷却系統20を構成しても良い。
【0131】
(第7実施形態)
次に、本発明に係る第7実施形態の二酸化炭素ガス回収装置を説明する。
なお、この第7実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0132】
図7に示すように、本実施形態の二酸化炭素ガス回収装置600では、リッチ供給路4において吸収塔底ポンプ17よりも下流側に位置する部分に、リッチ吸収液の流れを分岐するリッチアミン分配器601と、分岐されたリッチ吸収液が流通する2つのリッチ分岐路602、603と、リッチ分岐路602、603が合流するリッチアミン集合器604と、が備えられている。
2つのリッチ分岐路602、603のうち、一方のリッチ分岐路602とリーン供給路5との間には、前記アミン熱交36が介在している。
【0133】
ヒートポンプ6は、前記再生塔内部熱交38を備えていない。そして本実施形態では、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間には、リッチ吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた熱媒体と、で熱交換する第1リッチアミン熱交(第9熱交換器)605が介在している。
【0134】
図示の例では、ヒートポンプ6は、吸収塔内部熱交37の下部側と上部側とを接続するヒートポンプ配管607を備えている。このヒートポンプ配管607には、前記熱媒コンプレッサー42が設けられるとともに、ヒートポンプ配管607において熱媒コンプレッサー42よりも下流側には、熱媒体を膨張させることで温度低下させる熱媒膨張タービン608が設けられている。この熱媒膨張タービン608は、熱媒体を膨張させるときに回転動力を得る。
【0135】
そして、第1リッチアミン熱交605は、ヒートポンプ配管607において、熱媒コンプレッサー42よりも下流側で、かつ熱媒膨張タービン608よりも上流側に介装されているとともに、リッチ供給路4においてリッチアミン集合器604よりも下流側に介装されている。
【0136】
また、混合ガス冷却系統20の減圧・膨張弁31は前記排出路33に設けられるとともに、混合ガス冷却系統20の配管29における気液分離器32と第4ノズル28との間には、凝縮液循環ポンプ29aに代えてレベル調節弁609が設けられている。さらに図示の例では、凝縮熱交換器34が設けられていない。
【0137】
そして本実施形態では、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間には、昇温混合ガスとリッチ吸収液とで熱交換する第2リッチアミン熱交(第12熱交換器)610が介在している。さらに、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間には、第2リッチアミン熱交610を通った後の昇温混合ガスとリッチ吸収液とで熱交換する第3リッチアミン熱交(第13熱交換器)611が介在している。
【0138】
図示の例では、第2リッチアミン熱交610は、混合ガス冷却系統20の配管29において混合ガスコンプレッサー30よりも下流側で、かつ気液分離器32よりも上流側に介装されるとともに、リッチ供給路4において第1リッチアミン熱交605よりも下流側に介装されている。
また第3リッチアミン熱交611は、混合ガス冷却系統20の排出路33において減圧・膨張弁31よりも上流側に介装されるとともに、リッチ供給路4において、2つのリッチ分岐路602、603のうち、一方のリッチ分岐路602と異なる他方の分岐路603に介装されている。
【0139】
次に、以上のように構成された二酸化炭素ガス回収装置600の作用について説明する。
はじめに、リッチ供給路4でのリッチ吸収液の流れについて説明する。
リッチ供給路4を通るリッチ吸収液は、リッチアミン分配器601に到達した後、2つのリッチ分岐路602、603に分岐される。
【0140】
このうち、一方のリッチ分岐路602を通るリッチ吸収液は、アミン熱交36で、リーン供給路5側のリーン吸収液と熱交換することで、リーン吸収液を冷却しつつ加熱される。
また、他方のリッチ分岐路603を通るリッチ吸収液は、第3リッチアミン熱交611で、混合ガス冷却系統20の排出路33側の二酸化炭素主体ガスと熱交換することで、二酸化炭素主体ガスから熱を受け取り加熱される。
【0141】
そして、各リッチ分岐路602、603を通り加熱されたリッチ吸収液は、リッチアミン集合器604で合流した後、第1リッチアミン熱交605で、ヒートポンプ6の熱媒体と熱交換することで、熱媒体から熱を受け取り加熱される。その後さらにリッチ吸収液は、第2リッチアミン熱交610で、混合ガス冷却系統20の排出路33側の昇温混合ガスと熱交換することで、昇温混合ガスを冷却するとともに加熱される。
以上のようにして加熱されたリッチ吸収液は、その後、前記第3ノズル16に供給される。
【0142】
次に、混合ガス冷却系統20での混合ガスの流れについて説明する。
再生塔3内を上昇した混合ガスは、混合ガス冷却系統20の配管29を通り、まず混合ガスコンプレッサー30によって圧縮され温度上昇させられ昇温混合ガスとなる。その後、第2リッチアミン熱交610で、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と熱交換することで、前記溶質および溶媒の蒸気分が持つ潜熱が回収され、前記溶質および溶媒の蒸気分が凝縮されて凝縮液となる。
【0143】
次いで、気液分離器32により、前記凝縮液と、二酸化炭素ガスを主体とした未凝縮の二酸化炭素主体ガスと、が分離され、これらのうち、凝縮液は、配管29を通り再生塔3の塔頂部3bに前記第4ノズル28から供給される。
【0144】
一方、未凝縮の前記二酸化炭素主体ガスは、排出路33を通り、第3リッチアミン熱交611で、一方のリッチ分岐路602を通るリッチ吸収液と熱交換することで、ガスの顕熱および一部残った蒸気分の潜熱が回収された後、減圧・膨張弁31によって膨張させられて温度低下させられて排出される。このとき、前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱が回収されて前記二酸化炭素主体ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分が凝縮されるとともに、前記二酸化炭素主体ガス中の二酸化炭素ガスの顕熱が回収される。
【0145】
次に、ヒートポンプ6での熱媒体の流れについて、熱媒膨張タービン608を起点として説明する。
熱媒膨張タービン608で温度低下させられた熱媒体は、ヒートポンプ配管607を通った後、吸収塔内部熱交37の下部側から上部側に向けて移動しながら、吸収液と熱交換することで、吸収液を冷却しつつ発熱反応の熱を受け取る。
そして熱媒体は、ヒートポンプ配管607を通って、熱媒コンプレッサー42によって圧縮され、温度上昇させられた後、第1リッチアミン熱交605で、リッチ吸収液と熱交換することで、リッチ吸収液を加熱しつつ冷却される。その後、熱媒体は、ヒートポンプ配管607を通って、吸収塔内部熱交37の下部側に向けて移動する。このとき、熱媒体は熱媒膨張タービン608により再び温度低下させられる。
【0146】
以上説明したように、本実施形態に係る二酸化炭素ガス回収装置600によれば、混合ガス冷却系統20が混合ガスコンプレッサー30を備えているので、僅かな外部動力を加えることで、外部から加熱することなく、昇温混合ガスが得られ、さらに、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間に、前記第2リッチアミン熱交610が介在しているので、混合ガス冷却系統20側の昇温混合ガスと、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、で熱交換することで、再生塔3を流出する混合ガスの持つ熱量により、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を加熱しつつ、昇温混合ガスを冷却することができる。
【0147】
このように、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔3でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量を抑えることが可能になり、効果的に省エネルギー化を図ることができる。
【0148】
また、混合ガス冷却系統20とリッチ供給路4との間に、前記第2リッチアミン熱交610および前記第3リッチアミン熱交611が介在しているので、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を効果的に予熱しておくことが可能になり、再生塔3でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量をより抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0149】
また、混合ガス冷却系統20側の昇温混合ガスが、第2リッチアミン熱交610を通った後に第3リッチアミン熱交611を通るので、例えば、昇温混合ガス中の前記溶質および溶媒の蒸気分の潜熱を第2リッチアミン熱交610で回収した後、未凝縮の二酸化炭素主体ガスの顕熱および残った潜熱を第3リッチアミン熱交611で回収することができる。
【0150】
また、リッチ供給路4とヒートポンプ6との間に、前記第1リッチアミン熱交605が介在しているので、リッチ供給路4側のリッチ吸収液と、ヒートポンプ6側の熱媒体と、で熱交換することで、熱媒体の熱を、再生塔3に供給されるリッチ吸収液に受け取らせてリッチ吸収液を加熱することができる。
【0151】
このように、再生塔3に供給されるリッチ吸収液を予熱しておくことができるので、再生塔3でリッチ吸収液が受け取る必要がある熱量を抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより抑えることが可能になり、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0152】
また本実施形態のように、リーン供給路5とリッチ供給路4との間に前記アミン熱交36が介在している場合、アミン熱交36で、リッチ吸収液を加熱する熱量が小さくなり、リボイラー系統19によって吸収液に与えるべき熱量を更に抑えることができる。したがって、リボイラー系統19での外部からの入熱量をより一層抑えることが可能になり、一層更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0153】
なお本実施形態では、ヒートポンプ6が前記再生塔内部熱交38を備えていないものとしたが、備えていても良い。また本実施形態では、凝縮熱交換器34を備えていてないものとしたが、備えていても良い。さらに本実施形態では、第3リッチアミン熱交611を備えているものとしたが、備えて無くても良い。
【0154】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、混合ガス冷却系統20では、減圧・膨張弁31で昇温混合ガスを温度低下させたが、これに代えて膨張タービンを採用しても良い。この場合、昇温混合ガスを膨張させるときに回転動力を得ることができる。
【0155】
また、前記第1〜第6実施形態では、第7実施形態に示す第2リッチアミン熱交610を備えていないものとしたが、備えていても良い。さらに、前記第1〜第6実施形態では、凝縮熱交換器34を備え、第7実施形態では、第2リッチアミン熱交610を備えているものとしたが、これらは無くても良い。
【0156】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1、100、200、300、400、500、600 二酸化炭素ガス回収装置
2 吸収塔
2a 塔底部
2b 塔頂部
2c 塔中間部
3 再生塔
4 リッチ供給路
5 リーン供給路
6 ヒートポンプ
8 吸収塔充填物
9 導出路
10 脱炭酸ガス洗浄系統
18 再生塔充填物
19 リボイラー系統
20 混合ガス冷却系統
26 リボイラー配管
30 混合ガスコンプレッサー(混合ガス圧縮機)
34 凝縮熱交換器(第10熱交換器)
37 吸収塔内部熱交(第1熱交換器)
38 再生塔内部熱交(第2熱交換器)
102 脱炭酸ガスクーラー(第3熱交換器)
103 洗浄水クーラー(第4熱交換器)
104 リッチアミン熱交換器(第5熱交換器)
201、501 インタークーラー系統
206 熱媒冷却式インタークーラー(第6熱交換器)
207 熱媒冷却式リーンアミンクーラー(第7熱交換器)
308、403 熱媒式リボイラーヒーター(第8熱交換器)
309 第2リッチアミン熱交(第9熱交換器)
514 第3リッチアミン熱交(第11熱交換器)
605 第1リッチアミン熱交(第9熱交換器)
610 第2リッチアミン熱交(第12熱交換器)
611 第3リッチアミン熱交(第13熱交換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素ガスを含有する被分離ガスと、リーン吸収液と、を導入して接触させ、前記被分離ガス中の前記二酸化炭素ガスを吸収液に吸収させてリッチ吸収液を生成する吸収塔と、
前記吸収塔から前記リッチ吸収液が供給されるとともに、前記リッチ吸収液を加熱して前記二酸化炭素ガスを分離させることにより前記リーン吸収液に再生する再生塔と、を備え、
前記再生塔には、
前記再生塔から吸収液を導出して加熱し、前記再生塔に再導入するリボイラー系統と、
前記二酸化炭素ガスと前記吸収液の溶質および溶媒の蒸気分との混合ガスを前記再生塔から導出して冷却し、前記溶質および溶媒の蒸気分を凝縮させて前記再生塔に再導入するとともに、前記二酸化炭素ガスを排出する混合ガス冷却系統と、
が設けられた二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔で前記吸収液が前記二酸化炭素ガスを吸収するときの発熱反応で生じた熱を熱媒体を介して移動させ、前記再生塔で前記リッチ吸収液から前記二酸化炭素ガスが分離するときの吸熱反応の熱源として利用するヒートポンプを備えていることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記ヒートポンプは、前記吸収塔内に配設された吸収塔充填物に介装され、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、前記吸収塔内の前記吸収液と、で熱交換する第1熱交換器を備えていることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記ヒートポンプは、前記再生塔内に配設された再生塔充填物に介装され、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、前記再生塔内の前記リッチ吸収液と、で熱交換する第2熱交換器を備えていることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔には、前記被分離ガスから前記二酸化炭素ガスが分離されてなる脱炭酸ガスを導出する導出路が設けられ、
前記導出路と前記ヒートポンプとの間には、前記脱炭酸ガスと、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第3熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔には、前記吸収塔の塔頂部に貯留された洗浄液を前記吸収塔から導出して冷却した後、前記吸収塔の塔頂部から再導入する脱炭酸ガス洗浄系統が設けられ、
前記脱炭酸ガス洗浄系統と前記ヒートポンプとの間には、前記洗浄液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第4熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、
前記リッチ供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リッチ吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第5熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔には、前記吸収塔における塔頂部と塔底部との間の塔中間部から前記吸収液を導出して冷却した後、前記塔中間部から再導入するインタークーラー系統が設けられ、
前記インタークーラー系統と前記ヒートポンプとの間には、前記吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第6熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記再生塔から前記吸収塔に前記リーン吸収液を供給するリーン供給路を備え、
前記リーン供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リーン吸収液と、膨張させられ温度低下させられた前記熱媒体と、で熱交換する第7熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記リボイラー系統と前記ヒートポンプとの間には、前記吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、で熱交換する第8熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、
前記リッチ供給路と前記ヒートポンプとの間には、前記リッチ吸収液と、圧縮させられ温度上昇させられた前記熱媒体と、で熱交換する第9熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記混合ガス冷却系統は、前記混合ガスを圧縮して温度上昇させ昇温混合ガスとする混合ガス圧縮機を備え、
前記リボイラー系統と前記混合ガス冷却系統との間には、前記吸収液と前記昇温混合ガスとで熱交換する第10熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項12】
請求項11記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、
前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記第10熱交換器を通った後の前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第11熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記吸収塔から前記再生塔に前記リッチ吸収液を供給するリッチ供給路を備え、
前記混合ガス冷却系統は、前記混合ガスを圧縮して温度上昇させ昇温混合ガスとする混合ガス圧縮機を備え、
前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第12熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項14】
請求項13記載の二酸化炭素ガス回収装置であって、
前記混合ガス冷却系統と前記リッチ供給路との間には、前記第12熱交換器を通った後の前記昇温混合ガスと前記リッチ吸収液とで熱交換する第13熱交換器が介在していることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−212510(P2011−212510A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80237(P2010−80237)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】