説明

二酸化炭素分離回収システム及びその制御方法

【課題】二酸化炭素の分離回収を安定的に行うシステムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素を吸収液に吸収させ、吸収液から二酸化炭素を放出、回収するシステムにおいて、吸収液の温度と吸収液の超音波伝播速度あるいは電気伝導率の測定値により吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を算出し、算出された二酸化炭素溶存濃度に基づいて、再生塔リボイラー109への投入熱量、吸収塔への二酸化炭素の供給流量、吸収液の循環液流量、及び吸収液を溜めるための吸収液緩衝タンク115の攪拌条件の少なくともいずれかを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素分離回収システム及びその制御方法に関し、例えば、燃焼排ガス中の二酸化炭素の分離・回収用に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の燃焼生成物である二酸化炭素(CO)の温室効果による地球温暖化の問題が大きくなっている。気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書において、わが国の温室効果ガス排出削減の目標は、対1990年比で8%の削減を達成することとなっている。
【0003】
このような背景の中、燃焼排ガスとアミン系吸収液を接触させ、燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離・回収する方法や、回収された二酸化炭素を大気へ放出することなく貯蔵する方法が、精力的に研究されている。
【0004】
このような吸収液を用いて二酸化炭素を分離・回収する方法の例としては、吸収塔にて燃焼排ガスと吸収液を接触させて、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程と、二酸化炭素を吸収した吸収液を再生塔にて加熱して、吸収液から二酸化炭素を追い出す工程とを含む方法が挙げられる(特許文献1を参照)。なお、二酸化炭素が追い出された吸収液は、再度吸収塔に供給され再使用される。
【0005】
また、特許文献2には、超音波を利用して二酸化炭素の溶存濃度を測定する方法の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−323339号公報
【特許文献2】特開2002−71647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、二酸化炭素分離回収システムにおける処理は、吸収塔にて吸収液に二酸化炭素を吸収させる工程と、吸収した二酸化炭素を再生塔にて吸収液から追い出す工程の、二工程から成り立つ。
【0008】
このシステムを安定的に運転するためには、吸収塔にて吸収液に吸収される二酸化炭素溶存濃度と、再生塔にて吸収液から放出される二酸化炭素溶存濃度を常に一致させることが重要となる。即ち、吸収塔出口のリッチ液二酸化炭素溶存濃度と、吸収塔入口のリーン液二酸化炭素溶存濃度との差分と、再生塔入口のリッチ液二酸化炭素溶存濃度と、再生塔出口のリーン液二酸化炭素溶存濃度との差分を合致させた運転が必要となる。
【0009】
例えば、吸収塔入口のリーン液二酸化炭素溶存濃度より、再生塔出口のリーン液二酸化炭素溶存濃度の方が大きい場合、再生塔リボイラーへの投入熱エネルギーを増やし、再生塔出口のリーン液ローディング量を下げないと、吸収塔において所定の二酸化炭素量を吸収できない。逆に、吸収塔入口のリーン液二酸化炭素溶存濃度より、再生塔出口のリーン液二酸化炭素溶存濃度の方が小さい場合、再生塔リボイラーに必要以上の熱エネルギーを投入していることになる。
【0010】
このように、吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を監視しながら、再生塔リボイラーへの投入熱エネルギーを調整することが、システムを安定的かつ経済的に運転させるために必要となってくる。しかしながら、現在使用されている二酸化炭素溶存濃度の測定手法であるガスクロマトグラフ(TCD:Thermal Conductivity Detector)では、技術面の手間と測定時間(所要時間:15分間)を要してしまう。そのため、この手法では、オンタイムに二酸化炭素溶存濃度を監視できず、その結果、二酸化炭素分離回収システムの安定的な運転を行うことができない。
【0011】
一方で、二酸化炭素分離回収システムの運転により、吸収液成分の分解や、不純生成物イオンの生成が起こることが確認されている。更には、これらが原因で、吸収液の二酸化炭素吸収性能が落ちることも分かっている。そのため、二酸化炭素分離回収システムを安定的に運転させるためには、吸収液成分の補充や不純生成物イオンの除去を適宜行う必要がある。
【0012】
従来、燃焼後二酸化炭素回収方式では、使用する吸収液の組成や物性が運転条件により随時変化してしまうため、オンタイムで吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を測定することは困難であった。そのため、測定条件の固定や、測定サンプルの採取、前処理といった手間や時間を要して、二酸化炭素溶存濃度を測定する必要があった。また、吸収液中のアミンに化学吸着した二酸化炭素の溶存濃度を、オンタイムに把握できる手法は、まだ確立していない。
【0013】
そこで、本発明は、吸収液中の二酸化炭素溶存濃度又はイオン濃度をオンタイムで把握することが可能な二酸化炭素分離回収システム及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の態様の二酸化炭素分離回収システムは、二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、前記システム内を流れる前記吸収液中の超音波伝播速度を測定する1台以上の測定装置とを備え、前記測定装置の各々は、前記吸収液の温度を測定する温度測定部と、前記吸収液中に超音波を発生させる超音波発生部と、前記超音波を利用して前記超音波伝播速度を測定する超音波伝播速度測定部と、前記温度測定部により測定された温度と、前記超音波伝播速度測定部により測定された超音波伝播速度と、前記吸収液における二酸化炭素溶存濃度と超音波伝播速度との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を算出する二酸化炭素溶存濃度算出部とを備え、前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出された二酸化炭素溶存濃度に基づいて、当該システムを制御する。
【0015】
また、本発明の別の態様の二酸化炭素分離回収システムは、二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、前記システム内を流れる前記吸収液の電気伝導率を測定する1台以上の測定装置とを備え、前記測定装置の各々は、前記吸収液の温度を測定する温度測定部と、前記吸収液の電気伝導率を測定する電気伝導率測定部と、前記温度測定部により測定された温度と、前記電気伝導率測定部により測定された電気伝導率と、前記吸収液におけるイオン濃度と電気伝導率との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中のイオン濃度を算出するイオン濃度算出部とを備え、前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出されたイオン濃度に基づいて、当該システムを制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸収液中の二酸化炭素溶存濃度又はイオン濃度をオンタイムで把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【図2】図1の超音波伝播速度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第2実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【図4】図3の電気伝導率測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【図6】図5の超音波伝播速度/電気伝導率測定装置の第1の構成例を示すブロック図である。
【図7】図5の超音波伝播速度/電気伝導率測定装置の第2の構成例を示すブロック図である。
【図8】CO溶存濃度と超音波伝播速度との関係を示したグラフである。
【図9】温度と超音波伝播速度との関係を示したグラフである。
【図10】イオン濃度と電気伝導率との関係を示したグラフである。
【図11】超音波伝播速度測定装置の設置場所について説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【0020】
図1のシステムでは、燃焼排ガスであるCO含有ガス102が、吸収塔101内に供給される。吸収塔101は、CO含有ガス102と吸収液を接触させて、CO含有ガス102中のCOを吸収液に吸収させるよう構成されている。本実施形態では、吸収液として例えば、アミン系吸収液が使用される。
【0021】
吸収塔101の下部には、COを吸収した二酸化炭素溶存濃度の高い吸収液(リッチ液105)が溜まる。吸収塔101の下部に溜まったリッチ液105は、吸収塔101の下部にある出口から排出され、リッチ液移送ポンプ106によって、吸収塔101の出口から、再生塔108の上部にある入口へと移送され、再生塔108の入口からその内部に供給される。
【0022】
再生塔108内に供給されたリッチ液105は、再生塔108の上部から落下し、これに伴い、リーン液104と呼ばれる吸収液が再生塔108の下部に溜まる。再生塔108の下部に溜まったリーン液104は、再生塔108の下部にある出口から排出され、再生塔リボイラー109にて加熱された後、再び再生塔108内に供給される。このように、再生塔108と再生塔リボイラー109との間でリーン液104を循環させつつ加熱することにより、リーン液104中のCOがCOガスとして放出される。このようにして、リーン液104は、COを放出し、その二酸化炭素溶存濃度がリッチ液105よりも低くなる。
【0023】
リーン液104から放出されたCOガスは、リーン液104から同時に蒸発する水蒸気と共に、再生塔108の上部から排出される。排出されたCOガスと水蒸気の混合ガスは、再生塔還流冷却器113にて冷却されることにより、水蒸気が凝縮して水に戻る。そして、この凝縮水とCOガスからなる混合流体は、CO分離器111内に流入する。CO分離器111は、このCOガスを凝縮水から分離し、COガスだけを回収CO排出ライン112から排出する。一方、凝縮水は、CO分離器111の下部の出口から取り出され、還流液ポンプ110により再生塔108に戻される。
【0024】
また、再生塔108の下部に溜まったリーン液104は、再生塔108の下部にある出口から排出された後、その一部がリーン液移送ポンプ116により、再生塔108の出口から、吸収塔101の上部にある入口へと移送され、吸収塔101の入口からその内部に供給される。その後、このリーン液104は、COを吸収させる吸収液として、吸収塔101内で再使用される。
【0025】
図1には更に、再生熱交換器107と、リーン液冷却器114と、リーン液緩衝タンク115が示されている。
【0026】
再生熱交換器107は、吸収塔101の出口から再生塔108の入口へと到る流路と、再生塔108の出口から吸収塔101の入口へと到る流路とが交差する地点に配置されている。再生熱交換器107は、再生塔リボイラー109で加熱されて排出されたリーン液104の余熱で、これから再生塔108に流入しようとするリッチ液105を加熱する熱交換器である。
【0027】
リーン液冷却器114と、リーン液緩衝タンク115は、再生塔108の出口から吸収塔101の入口へと到る流路上に配置されている。リーン液冷却器114は、リーン液104を、再生熱交換器107を経由した後に冷却するための冷却器である。また、リーン液緩衝タンク115は、リーン液冷却器114を経由したリーン液104を、吸収塔101に流入させるまで溜めておくためのタンクである。
【0028】
図1には更に、吸収塔還流冷却器117と、気液分離器118が示されている。
【0029】
吸収塔101において、二酸化炭素分離回収対象ガスである燃焼排ガス(CO含有ガス102)は、吸収液と接触してCOを吸収された後、吸収液から蒸発する水蒸気と共に、吸収塔101の上部から排出される。排出された燃焼排ガスと水蒸気の混合ガスは、吸収塔還流冷却器117にて冷却されることにより、水蒸気が凝縮して水に戻る。そして、この凝縮水と燃焼排ガスからなる混合流体は、気液分離器118内に流入する。気液分離器118は、この燃焼排ガス(気体)と凝縮水(液体)とを分離し、分離された燃焼排ガスを、CO除去排ガス103として排出する。一方、凝縮水は、気液分離器118の下部の出口から取り出され、吸収塔101に戻される。
【0030】
以下、本実施形態におけるシステム制御について、詳細に説明する。本実施形態では、吸収液中のCO溶存濃度(二酸化炭素溶存濃度)をオンタイムで算出し、このCO溶存濃度に基づいてシステム制御を行う。
【0031】
図1のシステムでは、吸収塔101の入口を流れるリーン液104中のCO溶存濃度と、再生塔108の出口を流れるリーン液104中のCO溶存濃度とのマスバランスが崩れている場合、再生塔リボイラー109への投入熱量を変更する必要がある。しかしながら、オンタイムで当該システムをモニタリングできなければ、再生塔リボイラー109への投入熱量のマスバランスの把握が遅れるため、その結果、エネルギーロスやCO回収率の低下を招くおそれがある。
【0032】
そこで、本実施形態では、図1のシステム内に、システム内を流れる吸収液中の超音波伝播速度を測定する1台以上の超音波伝播速度測定装置201を配置する。
【0033】
本実施形態では、これらの測定装置201は、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近に配置される。図1には、これらの箇所に配置された4台の測定装置201が示されている。本実施形態では、これらの測定装置201により、吸収塔101の入口付近を流れるリーン液104、吸収塔101の出口付近を流れるリッチ液105、再生塔108の入口付近を流れるリッチ液105、及び再生塔108の出口付近を流れるリーン液104中の超音波伝播速度が測定される。これらの測定装置201は、本発明の第1から第4の測定装置の例である。本実施形態では、これらの測定装置201はいずれも、吸収液が流れる流路(吸収液配管)に設置される。
【0034】
図2は、図1の超音波伝播速度測定装置201の構成を示すブロック図である。図1の超音波伝播速度測定装置201はいずれも、図2に示す構成を有するものとする。
【0035】
超音波伝播速度測定装置201は、図2に示すように、超音波発生部211と、超音波伝播速度測定部212と、CO溶存濃度算出部213と、温度測定部214とを備えている。
【0036】
超音波発生部211は、測定装置201内を流れる吸収液中に超音波を発生させる装置である。超音波発生部211は例えば、超音波振動子により構成されている。
【0037】
超音波伝播速度測定部212は、この超音波を利用して、この吸収液中の超音波伝播速度を測定する装置である。本実施形態の超音波伝播速度測定部212は、超音波発生部211から一定距離離れた位置にある反射板から、超音波の反射波が返ってくるまでの時間を測定することにより、超音波伝播速度(即ち音速)を測定する。
【0038】
吸収液中の超音波伝播速度は、吸収液中のCO溶存濃度を算出するのに利用可能なパラメータである。このことを、図8を参照して説明する。図8は、吸収液におけるCO溶存濃度と超音波伝播速度との関係を示したグラフである。図8に示すように、吸収液中の超音波伝播速度は、吸収液中のCO溶存濃度に応じて変化する。よって、吸収液中のCO溶存濃度は、吸収液中の超音波伝播速度から算出可能である。
【0039】
ただし、吸収液中の超音波伝播速度は、図9に示すように、吸収液の温度によっても変化する。図9は、吸収液における温度と超音波伝播速度との関係を示したグラフである。図9に示すように、超音波伝播速度には温度依存性がある。そのため、図8に示す相関式は、吸収液の温度に応じて変化する。図8には、吸収液の温度が25℃の場合と60℃の場合の相関式が示されており、相関式が温度に応じて変化する様子が示されている。
【0040】
以上のように、吸収液中のCO溶存濃度は、吸収液中の超音波伝播速度から算出可能であることから、本実施形態では、吸収液における超音波伝播速度とCO溶存濃度との関係を示す相関式を予め求めておき、これを測定装置201内に保存しておく。そして、本実施形態では、この相関式が示す図8のような直線を、CO溶存濃度を検量するための検量線として使用する。これにより、測定装置201は、超音波伝播速度からCO溶存濃度を算出することができる。
【0041】
ただし、上記相関式には温度依存性があるため、本実施形態では、様々な温度における上記相関式を測定装置201内に保存しておく、或いは、上記相関式を温度をパラメータとして含む形で定式化して測定装置201内に保存しておく。これにより、温度補正を考慮に入れたCO溶存濃度の算出が可能となる。
【0042】
そして、本実施形態の測定装置201は、吸収液の温度と、吸収液中の超音波伝播速度と、上記相関式とに基づいて、吸収液中のCO溶存濃度を算出する。以下、この処理に関与するブロックであるCO溶存濃度算出部213と温度測定部214(図2参照)について、詳細に説明する。
【0043】
温度測定部214は、吸収液の温度を測定する温度計である。本実施形態の温度測定部214は、上記の超音波が伝播する場所の近くに配置されている。
【0044】
CO溶存濃度算出部213は、温度測定部214により測定された温度と、超音波伝播速度測定部212により測定された超音波伝播速度と、上記相関式とに基づいて、吸収液中のCO溶存濃度を算出するブロックである。CO溶存濃度算出部213は例えば、上記相関式を格納可能な記憶部と、CO溶存濃度の算出処理を行う演算部により構成されている。
【0045】
以上のように、本実施形態では、吸収液中のCO溶存濃度を、吸収液中の超音波伝播速度から算出するという手法が採用されている。この手法には、ガスクロマトグラフとは異なり、CO溶存濃度をオンタイムで把握できるという利点がある。よって、本実施形態によれば、後述するように、吸収液中のCO溶存濃度をオンタイムでモニタリングしながら、再生塔リボイラー109への投入熱量を調整することで、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。
【0046】
また、吸収液中の超音波伝播速度の変化には、吸収液中のアミンに化学吸着したCOの溶存濃度と、水に物理吸着したCOの溶存濃度とを合わせたCO溶存濃度が寄与する。よって、本実施形態によれば、これら2種類の溶存濃度を合わせたCO溶存濃度を把握することが可能となる。
【0047】
以下、測定装置201により算出されたCO溶存濃度に基づいて行われる本実施形態のシステム制御について、詳細に説明する。
【0048】
図1のシステムでは、上述の通り、4台の測定装置201により、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近を流れる吸収液中のCO溶存濃度が算出される。ここで、吸収塔101の入口付近、吸収塔101の出口付近、再生塔108の入口付近、再生塔108の出口付近のCO溶存濃度をそれぞれ、X1、X2、Y1、Y2と表す。
【0049】
図1のシステムでは更に、これらのCO溶存濃度X1、X2、Y1、Y2を用いて、吸収塔101の入口付近と出口付近のCO溶存濃度X1、X2の差分ΔX(=X2−X1)と、再生塔108の入口付近と出口付近のCO溶存濃度Y1、Y2の差分ΔY(=Y1−Y2)が算出される。そして、図1のシステムでは、吸収塔101における差分ΔXと、再生塔108における差分ΔYとに基づいて、当該システムの制御が行われる。
【0050】
本実施形態では、これらの差分ΔX、ΔYに基づく制御が、次のように行われる。
【0051】
例えば、吸収塔101における差分ΔXよりも、再生塔108における差分ΔYの方が大きい場合、再生塔リボイラー109には必要以上の熱エネルギーが投入されていることになる。そのため、図1のシステムでは、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを小さくするよう、再生塔リボイラー109の動作を制御する。
【0052】
逆に、吸収塔101における差分ΔXよりも、再生塔108における差分ΔYの方が小さい場合には、再生塔リボイラー109に投入される熱エネルギーが不足していることになる。そのため、図1のシステムでは、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを大きくするよう、再生塔リボイラー109の動作を制御する。
【0053】
本実施形態では、上述の通り、CO溶存濃度X1、X2、Y1、Y2をオンタイムで把握することができる。よって、本実施形態によれば、これらのCO溶存濃度X1、X2、Y1、Y2から算出された差分ΔX、ΔYをオンタイムでモニタリングしながら、再生塔リボイラー109への投入熱量を調整することで、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。即ち、本実施形態によれば、システムの安定性を向上させることや、システムの運転コストを低減することが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、ΔXの値とΔYの値とを比較する代わりに、ΔXとΔYとの差が上限又は下限を超えるか否かを判断するようにしてもよい。この場合には、ΔY−ΔXが上限以上になった場合に、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを小さくし、ΔY−ΔXが下限以下になった場合に、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを大きくする。上限及び下限は例えば、±5%(望ましくは±1%)に設定する。具体的に言うと、上限はΔY/ΔX=1.05(望ましくは1.01)、下限はΔY/ΔX=0.95(望ましくは0.99)に設定される。
【0055】
また、本実施形態では、上記のシステム制御において、再生塔リボイラー109への投入熱量を制御する代わりに、吸収塔101へのCO含有ガス102の供給流量、吸収塔101から再生塔108へと流れるリッチ液105の循環液流量、再生塔108、再生塔リボイラー109、及び吸収塔101の間を流れるリーン液104の循環液流量、又はリーン液緩衝タンク115の攪拌条件を制御しても構わない。或いは、これらの動作条件のうちの2つ以上を制御するようにしても構わない。これらの動作条件の制御によっても、システムの安定的かつ経済的な運転は実現可能である。なお、これらの動作条件は、相互のバランスを考慮して設定することが重要であるため、上記のシステム制御の際には、これらの動作条件の2つ以上を制御することが望ましいことが多いと考えられる。
【0056】
また、本実施形態において、差分ΔX、ΔYを算出するブロックや、上記のシステム制御を行うブロックは、図1のシステム内の任意の場所に配置して構わない。例えば、再生塔リボイラー109の動作条件のみを制御対象とする場合には、再生塔リボイラー109に設けた制御部により、差分ΔX、ΔYの算出と、上記のシステム制御を行ってもよい。また、2つ以上の動作条件を制御対象とする場合には、図1のシステムの制御室や現場に設けられたコンピュータで、これらの処理を行ってもよい。
【0057】
また、図1に示す各測定装置201は、吸収液中のCO溶存濃度を算出するためのブロック(211〜214)だけでなく、吸収液の成分分析を行い、吸収液中の異常物質の存在を検出するためのブロックを備えていてもよい。これにより、吸収液の成分分析をオンタイムに行い、吸収液の異常をオンタイムに発見することが可能となり、システムの動作の安定性を更に向上させることが可能となる。
【0058】
また、このような異常検出用のブロック(或いはこのようなブロックを備える測定装置201)は、吸収塔101や再生塔108内の複数箇所(上段部、中段部、下段部)に設置してもよい。これにより、塔内で異常が発生しているか否かをオンタイムで監視することが可能となる。
【0059】
以上のように、本実施形態では、1台以上の測定装置201において超音波伝播速度からCO溶存濃度を算出し、これらのCO溶存濃度に基づいてシステム制御を行う。これにより、本実施形態では、吸収液中のCO溶存濃度をオンタイムで把握すると共に、これらのCO溶存濃度に基づくシステム制御により、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、4台の測定装置201を、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近に設置したが、測定装置201の設置場所や設置台数は、これら以外の場所や台数であっても構わない。
【0061】
また、本実施形態では、CO溶存濃度X1、X2、Y1、Y2から差分ΔX、ΔYを算出し、差分ΔX、ΔYに基づいてシステム制御を行っているが、CO溶存濃度X1、X2、Y1、Y2からその他のパラメータを算出し、当該パラメータに基づいてシステム制御を行っても構わない。
【0062】
(図1のシステムの制御方法の具体例)
次に、図1のシステムの制御方法の具体例について説明する。
【0063】
図1のシステムの制御の第1の例では、吸収塔101の上部(吸収塔頂)から供給されるリーン液104中のCO溶存濃度と、吸収塔101の下部(吸収塔底)から排出されるリッチ液105中のCO溶存濃度とに基づいて、当該システムにおけるCO回収量を演算する。これらのCO溶存濃度としては、第1、第2の測定装置201により測定されたものを利用する。
【0064】
そして、第1の例では、演算されたCO回収量が所定のCO回収量になるように、リーン液104の流量と、リッチ液105の流量とを制御する。これらの流量のバランスを変化させることで、演算されたCO回収量を所定のCO回収量に近付けることが可能である。
【0065】
なお、第1の例では、リーン液104の流量とリッチ液105の流量の両方を制御する代わりに、リーン液104の流量とリッチ液105の流量のいずれか一方のみを制御してもよい。また、第1の例では、演算されたCO回収量が所定のCO回収量になるように、再生塔リボイラー109への投入熱量や、リーン液104の流量とCO含有ガス102の流量との比率を制御してもよい。
【0066】
また、第1の例では、リーン液104及び/又はリッチ液105の流量と、再生塔リボイラー109への投入熱量と、リーン液104の流量とCO含有ガス102の流量との比率、のうちの2つ以上を制御してもよい。例えば、演算されたCO回収量が所定のCO回収量になるように、まず、リーン液104及び/又はリッチ液105の流量を制御し、さらに、再生塔リボイラー109への投入熱量を、当該流量に応じた値に制御してもよい。
【0067】
また、第1の例では、吸収塔101の下部から排出されるリッチ液105中のCO溶存濃度に基づいて、リーン液104の流量、及び/又は再生塔リボイラー109への投入熱量を制御してもよい。理由は、システム中のCOの変化に最も早く応答する量が、リッチ液105中のCO溶存濃度であるからである。この場合には、第1から第4の測定装置201のうち、第1の測定装置201のみを設置するようにしてもよい。
【0068】
一方、図1のシステムの制御の第2の例では、再生塔108の上部(再生塔頂)から供給されるリッチ液105中のCO溶存濃度と、再生塔108の下部(再生塔底)から排出されるリーン液104中のCO溶存濃度とに基づいて、当該システムにおけるCO回収量を演算する。これらのCO溶存濃度としては、第3、第4の測定装置201により測定されたものを利用する。なお、演算されたCO回収量の利用方法は、第1の例と同様である。
【0069】
また、第2の例では、再生塔108の下部から排出されるリーン液104中のCO溶存濃度に基づいて、リーン液104の流量、及び/又は再生塔リボイラー109への投入熱量を制御してもよい。理由は、リーン液104中のCO溶存濃度によって、リーン液104の流量を増やす必要がある、上記熱量を増やしてリーン液104中のCO溶存濃度を低下させる必要がある、等の判断が可能となるからである。この場合には、第1から第4の測定装置201のうち、第4の測定装置201のみを設置するようにしてもよい。
【0070】
本実施形態では、超音波伝搬速度を利用してCO溶存濃度を測定するため、熱源(再生塔リボイラー109)に近い再生塔108付近を流れるリッチ液105やリーン液104中のCO溶存濃度も正確に測定することができる。よって、第2の例によれば、第1の例と同様の高精度な制御が可能となる。
【0071】
以下、第1実施形態の変形例である第2及び第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【0073】
第1実施形態では、図1のシステム内に、システム内を流れる吸収液中の超音波伝播速度を測定する1台以上の超音波伝播速度測定装置201が配置されている。これに対し、第2実施形態では、図3のシステム内に、システム内を流れる吸収液(又は凝縮水)の電気伝導率を測定する1台以上の電気伝導率測定装置202が配置されている。
【0074】
本実施形態では、これらの測定装置202は、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近と、気液分離器118における凝縮水の出口付近と、CO分離器111における凝縮水の出口付近に配置される。図3には、これらの箇所に配置された6台の測定装置202が示されている。
【0075】
本実施形態では、これらの測定装置202により、吸収塔101の入口付近を流れるリーン液104、吸収塔101の出口付近を流れるリッチ液105、再生塔108の入口付近を流れるリッチ液105、再生塔108の出口付近を流れるリーン液104、気液分離器118の出口付近を流れる凝縮水、及びCO分離器111の出口付近を流れる凝縮水の電気伝導率が測定される。これらの測定装置202は、本発明の第1から第6の測定装置の例である。本実施形態では、これらの測定装置202はいずれも、吸収液又は凝縮水が流れる流路(吸収液配管又は凝縮水配管)に設置される。
【0076】
図4は、図3の電気伝導率測定装置202の構成を示すブロック図である。図3の電気伝導率測定装置202はいずれも、図4に示す構成を有するものとする。
【0077】
電気伝導率測定装置202は、図4に示すように、電気伝導率測定部221と、イオン濃度算出部222と、温度測定部223とを備えている。
【0078】
電気伝導率測定部221は、吸収液又は凝縮水の電気伝導率を測定する装置である。また、温度測定部223は、吸収液又は凝縮水の温度を測定する温度計である。電気伝導率測定部221と温度測定部223は、電気伝導率の測定場所と温度の測定場所が近くなるよう、互いに近接して配置されている。
【0079】
吸収液や凝縮水の電気伝導率は、吸収液や凝縮水中のイオン濃度を算出するのに利用可能なパラメータである。このことを、図10を参照して説明する。図10は、吸収液におけるイオン濃度と電気伝導率との関係を示したグラフである。図10に示すように、吸収液の電気伝導率は、吸収液中のイオン濃度に応じて変化する。よって、吸収液中のイオン濃度は、吸収液の電気伝導率から算出可能である。これは、水についても同様であり、凝縮水中のイオン濃度は、凝縮水の電気伝導率から算出可能である。
【0080】
ただし、吸収液や凝縮水の電気伝導率は、超音波伝播速度と同様、吸収液や凝縮水の温度によっても変化する。即ち、電気伝導率には温度依存性がある。そのため、図10に示す相関式は、吸収液の温度に応じて変化する。図10には、吸収液の温度が25℃の場合と60℃の場合の相関式が示されており、相関式が温度に応じて変化する様子が示されている。
【0081】
なお、吸収液や凝縮水の電気伝導率は、より詳細には、吸収液や凝縮水中のトータルイオン濃度(即ち全イオン濃度)に応じて変化する。よって、吸収液や凝縮水中に含まれる不純生成物イオンの多寡も、電気伝導率の大小に寄与している。逆に言えば、電気伝導率の大小は、吸収液や凝縮水中に含まれる不純生成物イオンの多寡を評価するのに利用可能である。このような評価手法の詳細については、後述する。なお、図10に示す横軸は、吸収液中のトータルイオン濃度を示している。
【0082】
以上のように、吸収液や凝縮水中のイオン濃度は、吸収液や凝縮水の電気伝導率から算出可能であることから、本実施形態では、吸収液や凝縮水における電気伝導率とイオン濃度との関係を示す相関式を予め求めておき、当該相関式を測定装置202内に保存しておく。そして、本実施形態では、当該相関式が示す図10のような直線を、イオン濃度を検量するための検量線として使用する。これにより、測定装置202は、電気伝導率からイオン濃度を算出することができる。
【0083】
ただし、上記相関式には温度依存性があるため、本実施形態では、様々な温度における上記相関式を測定装置202内に保存しておく、或いは、上記相関式を温度をパラメータとして含む形で定式化して測定装置202内に保存しておく。これにより、温度補正を考慮に入れたイオン濃度の算出が可能となる。
【0084】
そして、本実施形態の測定装置202は、吸収液や凝縮水の温度と、吸収液や凝縮水の電気伝導率と、上記相関式とに基づいて、吸収液や凝縮水中のイオン濃度を算出する。以下、この処理に関与するブロックであるイオン濃度算出部222(図4参照)について、詳細に説明する。
【0085】
イオン濃度算出部222は、温度測定部223により測定された温度と、電気伝導率測定部221により測定された電気伝導率と、上記相関式とに基づいて、吸収液又は凝縮水中のイオン濃度を算出するブロックである。イオン濃度算出部222は例えば、上記相関式を格納可能な記憶部と、イオン濃度の算出処理を行う演算部により構成されている。
【0086】
以上のように、本実施形態では、吸収液や凝縮水中のイオン濃度を、吸収液や凝縮水の電気伝導率から算出するという手法が採用されている。この手法には、超音波伝播速度からCO溶存濃度を算出する場合と同様に、イオン濃度をオンタイムで把握できるという利点がある。
【0087】
吸収液や凝縮水の電気伝導率からは、上述の通り、吸収液や凝縮水中のトータルイオン濃度が算出される。一方、本実施形態のシステムにおいて、吸収液や凝縮水中に存在し得るイオンは、いわゆる不純生成物イオンである。よって、本実施形態では、吸収液や凝縮水中に不純生成物イオンが生じると、吸収液や凝縮水中のトータルイオン濃度が高まり、これが電気伝導率を増加させることになる。よって、本実施形態では、吸収液や凝縮水の電気伝導率から、吸収液や凝縮水中に含まれる不純生成物イオンのイオン濃度を算出することができる。
【0088】
吸収液中の不純生成物イオンは、吸収液のCO吸収性能を劣化させ、システムのマス&ヒートバランスに影響を与えることが知られている。また、凝縮水は、吸収塔101や再生塔108内の吸収液に戻されるため、凝縮水中の不純生成物イオンもやはり、システムのマス&ヒートバランスに影響を与える。
【0089】
そこで、本実施形態では、吸収液や凝縮水中のイオン濃度をオンタイムでモニタリングし、このイオン濃度に基づいて、システムのマス&ヒートバランスを制御する。例えば、再生塔リボイラー109への投入熱量や、吸収塔101へのCO含有ガス102の供給流量を調整する。これにより、本実施形態では、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。
【0090】
以下、測定装置202により算出されたイオン濃度に基づいて行われる本実施形態のシステム制御について、詳細に説明する。
【0091】
図3のシステムでは、上述の通り、6台の測定装置202により、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近を流れる吸収液や、気液分離器118とCO分離器111の出口付近を流れる凝縮水中のイオン濃度が算出される。ここで、吸収塔101の入口付近、吸収塔101の出口付近、再生塔108の入口付近、再生塔108の出口付近、気液分離器118の出口付近、CO分離器111の出口付近のイオン濃度をそれぞれ、α1、α2、β1、β2、γ1、γ2と表す。
【0092】
そして、図3のシステムでは、これらのイオン濃度α1、α2、β1、β2、γ1、γ2に基づいて、当該システムの制御が次のように行われる。
【0093】
例えば、吸収塔101の近くのイオン濃度α1、α2、γ1が所定の上限値を超えた場合、吸収塔101付近を流れる吸収液のCO吸収性能が、低下していることになる。そのため、図3のシステムでは、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを小さくするよう、再生塔リボイラー109の動作を制御して、再生塔108におけるCOの放出量を減少させる。
【0094】
逆に、再生塔108の近くのイオン濃度β1、β2、γ2が所定の上限値を超えた場合、再生塔108付近を流れる吸収液のCO吸収性能が、低下していることになる。そのため、図3のシステムでは、再生塔リボイラー109への投入熱エネルギーを大きくするよう、再生塔リボイラー109の動作を制御して、再生塔108におけるCOの放出量を増加させる。
【0095】
なお、本実施形態では、上記のシステム制御において、再生塔リボイラー109への投入熱量を制御する代わりに、吸収塔101へのCO含有ガス102の供給流量、吸収塔101から再生塔108へと流れるリッチ液105の循環液流量、再生塔108、再生塔リボイラー109、及び吸収塔101の間を流れるリーン液104の循環液流量、又はリーン液緩衝タンク115の攪拌条件を制御しても構わない。或いは、これらの動作条件のうちの2つ以上を制御するようにしても構わない。これらの動作条件の制御によっても、システムの安定的かつ経済的な運転は実現可能である。
【0096】
また、本実施形態では、イオン濃度α1、α2、β1、β2、γ1、γ2が所定の上限値を超えた場合に更に、吸収液や凝縮水から不純生成物イオンを除去する処理や、ピュア吸収液を交換する処理を行うようにしてもよい。不純生成物イオンの除去は例えば、イオン交換樹脂を使用することで実行可能である。
【0097】
以上のように、本実施形態では、1台以上の測定装置202において電気伝導率からイオン濃度を算出し、これらのイオン濃度に基づいてシステム制御を行う。これにより、本実施形態では、吸収液や凝縮水中のイオン濃度をオンタイムで把握すると共に、これらのイオン濃度に基づくシステム制御により、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。
【0098】
なお、本実施形態では、6台の測定装置202を、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近と、気液分離器118とCO分離器111の出口付近に設置したが、測定装置202の設置場所や設置台数は、これら以外の場所や台数であっても構わない。例えば、4台の測定装置202のみを、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近に設置するようにしても構わない。
【0099】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の二酸化炭素分離回収システムの構成を示す図である。
【0100】
本実施形態では、図5のシステム内に、システム内を流れる吸収液(又は凝縮水)の超音波伝播速度及び電気伝導率を測定する1台以上の超音波伝播速度/電気伝導率測定装置203が配置されている。
【0101】
本実施形態では、これらの測定装置203は、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近と、気液分離器118における凝縮水の出口付近と、CO分離器111における凝縮水の出口付近に配置される。図5には、これらの箇所に配置された6台の測定装置203が示されている。
【0102】
本実施形態では、これらの測定装置203により、吸収塔101の入口付近を流れるリーン液104、吸収塔101の出口付近を流れるリッチ液105、再生塔108の入口付近を流れるリッチ液105、再生塔108の出口付近を流れるリーン液104、気液分離器118の出口付近を流れる凝縮水、及びCO分離器111の出口付近を流れる凝縮水の超音波伝播速度と電気伝導率が測定される。これらの測定装置203は、本発明の第1から第6の測定装置の例である。本実施形態では、これらの測定装置203はいずれも、吸収液又は凝縮水が流れる流路(吸収液配管又は凝縮水配管)に設置される。
【0103】
図6及び図7は、図5の超音波伝播速度/電気伝導率測定装置203の第1及び第2の構成例を示すブロック図である。図5の超音波伝播速度/電気伝導率測定装置203はいずれも、図6又は図7に示す構成を有するものとする。
【0104】
図6の測定装置203は、図2の測定装置201と図4の測定装置202とを組み合わせたような構成を有しており、超音波発生部211と、超音波伝播速度測定部212と、CO溶存濃度算出部213と、温度測定部214と、電気伝導率測定部221と、イオン濃度算出部222と、温度測定部223とを備えている。これらのブロックの構成は、図2及び図4に示すものと同様である。
【0105】
一方、図7の測定装置203は、図6の温度測定部214及び223を、温度測定部231に置き換えたような構成を有している。これは、1台の測定装置203に2個の温度測定部214及び223が存在する無駄を省いたものである。温度測定部231により測定された温度は、CO溶存濃度算出部213によるCO溶存濃度の算出と、イオン濃度算出部222によるイオン濃度の算出とに使用される。
【0106】
なお、図6の温度測定部214及び223はそれぞれ、本発明の第1及び第2の温度測定部の例である。
【0107】
本実施形態によれば、第1及び第2実施形態を組み合わせた態様のシステム制御が可能となる。例えば、本実施形態によれば、吸収液のCO溶存濃度とイオン濃度をオンタイムでモニタリングし、これらCO溶存濃度とイオン濃度に基づいて、システムのマス&ヒートバランス制御を行うことで、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。このようなマス&ヒートバランス制御では、CO溶存濃度とイオン濃度の両方が考慮されるため、第1及び第2実施形態におけるシステム制御よりも適切なシステム制御が可能となる。
【0108】
また、本実施形態では、図6又は図7の差引濃度算出部301により算出される差引濃度に基づいて、システム制御を行ってもよい。差引濃度は、CO溶存濃度算出部213により算出されたCO溶存濃度から、イオン濃度算出部222により算出されたイオン濃度を差し引いたCO溶存濃度である。
【0109】
CO溶存濃度算出部213は、超音波伝播速度からCO溶存濃度を算出するが、このようにして算出されるCO溶存濃度には、CO溶存濃度そのものに加え、不純生成物イオンの効果も含まれてしまう。よって、算出されるCO溶存濃度は、そこから不純生成物イオンの効果を差し引かないと、正確な値とはならない。
【0110】
そこで、本実施形態の差引濃度算出部301では、CO溶存濃度算出部213により算出されたCO溶存濃度から、イオン濃度算出部222により算出されたイオン濃度(不純生成物イオン濃度)を差し引いたCO溶存濃度(差引濃度)を算出する。ただし、CO溶存濃度からイオン濃度を差し引く際に、イオン濃度をCO溶存濃度に換算する必要がある場合には、必要な換算を行った後に差し引きを行う。
【0111】
そして、本実施形態では、算出された差引濃度に基づいて、システム制御を行う。本実施形態によれば、吸収液の差引濃度をオンタイムでモニタリングし、この差引濃度に基づいて、システムのマス&ヒートバランス制御を行うことで、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。このマス&ヒートバランス制御では、正確なCO溶存濃度を使用することができるため、第1実施形態におけるシステム制御よりも正確なシステム制御が可能となる。
【0112】
なお、差引濃度に基づくシステム制御を行う場合には、第1実施形態と同様に、吸収塔101の入口付近と出口付近の差引濃度の差分と、再生塔108の入口付近と出口付近の差引濃度の差分とを算出し、これらの差分に基づきシステム制御を行ってもよい。
【0113】
以上のように、本実施形態では、1台以上の測定装置203において超音波伝播速度と電気伝導率からそれぞれCO溶存濃度とイオン濃度を算出し、CO溶存濃度とイオン濃度に基づいてシステム制御を行う。これにより、本実施形態では、吸収液や凝縮水中のCO溶存濃度とイオン濃度をオンタイムで把握すると共に、CO溶存濃度とイオン濃度に基づくシステム制御により、システムを安定的かつ経済的に運転させることが可能となる。
【0114】
なお、本実施形態では、6台の測定装置203を、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近と、気液分離器118とCO分離器111の出口付近に設置したが、測定装置203の設置場所や設置台数は、これら以外の場所や台数であっても構わない。例えば、4台の測定装置203のみを、吸収塔101と再生塔108の入口付近及び出口付近に設置するようにしても構わない。
【0115】
また、吸収液中の不純生成物イオンの濃度が低い場合には、電気伝導率測定部221により測定される電気伝導率は、不純生成物イオンの影響が少ないため、吸収液中のCOイオン濃度を評価するのに利用可能である。よって、このような場合、イオン濃度算出部222は、電気伝導率測定部221により測定された電気伝導率に基づいて、吸収液中のCOイオン濃度を算出することができる。
【0116】
よって、本実施形態では、CO溶存濃度算出部213により算出されたCO溶存濃度と、イオン濃度算出部222により算出されたCOイオン濃度とに基づいて、上記システムを制御してもよい。
【0117】
これらの濃度の使用方法の例としては、1)これらの濃度の平均値を算出する、2)これらの濃度に差が生じたら異常発生と認識する、3)これらの濃度を使い分ける、などが考えられる。例えば、吸収液中の不純生成物イオンの濃度が高い場合には、イオン濃度算出部222により算出されるCOイオン濃度の誤差が大きいため、その場合には、CO溶存濃度算出部213により算出されたCO溶存濃度を使用することが考えられる。
【0118】
なお、COイオン濃度を算出するイオン濃度算出部222は、第2実施形態にも適用可能である。
【0119】
(測定装置の設置場所)
最後に、個々の測定装置201〜203の設置場所について説明する。
【0120】
図11は、第1実施形態の超音波伝播速度測定装置201の設置場所について説明するための図である。
【0121】
図11には、吸収液が流れる流路(吸収液配管)として、本流に相当する流路Aと、流路Aにバイパスとして設けられたバイパス流路Bが示されている。流路Aの例としては、吸収塔101の出口と再生塔108の入口とを結ぶリッチ液105用の流路や、再生塔108の出口と吸収塔101の入口とを結ぶリーン液104用の流路が挙げられる。
【0122】
測定装置201は、超音波伝播速度を正確に測定するため、吸収液中の気泡の少ない箇所に配置することが望ましい。一般に、本流に相当する流路Aでは、吸収液中の気泡が多いが、そのバイパス流路Bでは、本流に相当する流路Aに比べて、吸収液中の気泡が少ない。そこで、第1実施形態では、各測定装置201を、バイパス流路Bに配置し、バイパス流路Bを流れる吸収液中の超音波伝播速度を測定するようにする。
【0123】
同様に、第2及び第3実施形態では、各測定装置202、203を、吸収液又は凝縮水用の流路のバイパス流路に配置し、バイパス流路を流れる吸収液や凝縮水中の超音波伝播速度や電気伝導率を測定するようにする。
【0124】
なお、吸収塔101の入口付近又は出口付近で超音波伝播速度や電気伝導率を測定する場合には、吸収液の温度は、30〜50℃であることが望ましい。また、再生塔108の入口付近又は出口付近で超音波伝播速度や電気伝導率を測定する場合には、吸収液の温度は、100〜130℃であることが望ましい。
【0125】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第3実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、実施段階にてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、これらの実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の更なる別の実施形態を構成可能である。例えば、1つの実施形態に示された全構成要素から、いくつかの構成要素を削除してもよい。また、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0126】
101:吸収塔、102:CO含有ガス、103:CO除去排ガス、
104:リーン液、105:リッチ液、106:リッチ液移送ポンプ、
107:再生熱交換器、108:再生塔、109:再生塔リボイラー、
110:還流液ポンプ、111:CO分離器、112:回収CO排出ライン、
113:再生塔還流冷却器、114:リーン液冷却器、
115:リーン液緩衝タンク、116:リーン液移送ポンプ、
117:吸収塔還流冷却器、118:気液分離器、
201:超音波伝播速度測定装置、
202:電気伝導率測定装置、
203:超音波伝播速度/電気伝導率測定装置、
211:超音波発生部、212:超音波伝播速度測定部、
213:CO溶存濃度算出部、214:温度測定部、
221:電気伝導率測定部、222:イオン濃度算出部、223:温度測定部、
231:温度測定部、
301:差引濃度算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、
前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、
を備える二酸化炭素分離回収システムであって、
前記二酸化炭素分離回収システムは更に、前記システム内を流れる前記吸収液中の超音波伝播速度を測定する1台以上の測定装置を備え、
前記測定装置の各々は、
前記吸収液の温度を測定する温度測定部と、
前記吸収液中に超音波を発生させる超音波発生部と、
前記超音波を利用して前記超音波伝播速度を測定する超音波伝播速度測定部と、
前記温度測定部により測定された温度と、前記超音波伝播速度測定部により測定された超音波伝播速度と、前記吸収液における二酸化炭素溶存濃度と超音波伝播速度との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を算出する二酸化炭素溶存濃度算出部とを備え、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出された二酸化炭素溶存濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは更に、前記リッチ液を、前記吸収塔の出口から前記再生塔の入口へと移送させるリッチ液移送ポンプと、前記リーン液を、前記再生塔の出口から前記吸収塔の入口へと移送させるリーン液移送ポンプとを備え、
前記測定装置は、前記吸収塔の入口付近を流れる前記リーン液、前記吸収塔の出口付近を流れる前記リッチ液、前記再生塔の入口付近を流れる前記リッチ液、及び前記再生塔の出口付近を流れる前記リーン液中の前記超音波伝播速度をそれぞれ測定する第1から第4の測定装置を含むことを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項3】
二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、
前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、
を備える二酸化炭素分離回収システムであって、
前記二酸化炭素分離回収システムは更に、前記システム内を流れる前記吸収液の電気伝導率を測定する1台以上の測定装置を備え、
前記測定装置の各々は、
前記吸収液の温度を測定する温度測定部と、
前記吸収液の電気伝導率を測定する電気伝導率測定部と、
前記温度測定部により測定された温度と、前記電気伝導率測定部により測定された電気伝導率と、前記吸収液におけるイオン濃度と電気伝導率との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中のイオン濃度を算出するイオン濃度算出部とを備え、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出されたイオン濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは更に、前記リッチ液を、前記吸収塔の出口から前記再生塔の入口へと移送させるリッチ液移送ポンプと、前記リーン液を、前記再生塔の出口から前記吸収塔の入口へと移送させるリーン液移送ポンプとを備え、
前記測定装置は、前記吸収塔の入口付近を流れる前記リーン液、前記吸収塔の出口付近を流れる前記リッチ液、前記再生塔の入口付近を流れる前記リッチ液、及び前記再生塔の出口付近を流れる前記リーン液の前記電気伝導率をそれぞれ測定する第1から第4の測定装置を含むことを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項5】
請求項4に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは更に、
前記吸収塔から排出された二酸化炭素分離回収対象ガスと水蒸気の混合ガスを冷却し、前記水蒸気を水へと凝縮させる吸収塔還流冷却器と、
前記二酸化炭素分離回収対象ガスと前記水とを分離する気液分離器と、
前記再生塔から排出された二酸化炭素ガスと水蒸気の混合ガスを冷却し、前記水蒸気を水へと凝縮させる再生塔還流冷却器と、
前記二酸化炭素ガスを前記水から分離する二酸化炭素分離器とを備え、
前記測定装置は更に、前記気液分離器から前記水が排出される出口付近に配置され、前記水の電気伝導率を測定する第5の測定装置と、前記二酸化炭素分離器から前記水が排出される出口付近に配置され、前記水の電気伝導率を測定する第6の測定装置とを含むことを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記測定装置の各々は更に、
前記吸収液の電気伝導率を測定する電気伝導率測定部と、
前記温度測定部又は前記測定装置内の第2の温度測定部により測定された温度と、前記電気伝導率測定部により測定された電気伝導率と、前記吸収液におけるイオン濃度と電気伝導率との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中のイオン濃度を算出するイオン濃度算出部とを備え、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出された二酸化炭素溶存濃度及びイオン濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項7】
請求項6に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記測定装置の各々は更に、
前記二酸化炭素溶存濃度算出部により算出された二酸化炭素溶存濃度から、前記イオン濃度算出部により算出された不純生成物イオン濃度を差し引いた差引濃度を算出する差引濃度算出部を備え、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出された差引濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記測定装置により算出された二酸化炭素溶存濃度、イオン濃度、又は差引濃度に基づいて、
前記リーン液を加熱する再生塔リボイラーへの投入熱量、
前記吸収塔への前記二酸化炭素の供給流量、
前記リッチ液の循環液流量、
前記リーン液の循環液流量、及び
前記リーン液を溜めるためのリーン液緩衝タンクの攪拌条件、
の少なくともいずれかを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
少なくとも一部の前記測定装置は、前記吸収液又は前記水の流路にバイパスとして設けられたバイパス流路に配置されていることを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項10】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記吸収塔頂から供給される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記吸収塔底から排出される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リーン液及び/又は前記リッチ液の流量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項11】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記吸収塔頂から供給される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記吸収塔底から排出される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記再生塔リボイラーへの投入熱量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項12】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記吸収塔頂から供給される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記吸収塔底から排出される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リーン液の流量と前記吸収塔への前記二酸化炭素の供給流量との比率を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項13】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記吸収塔頂から供給される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記吸収塔底から排出される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リーン液及び/又は前記リッチ液の流量と、前記再生塔リボイラーへの投入熱量と、前記リーン液の流量と前記吸収塔への前記二酸化炭素の供給流量との比率、のうちの2つ以上を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項14】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記吸収塔底から排出される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度に基づいて、前記リーン液の流量、及び/又は前記再生塔リボイラーへの投入熱量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項15】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記再生塔頂から供給される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記再生塔底から排出される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リッチ液及び/又は前記リーン液の流量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項16】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記再生塔頂から供給される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記再生塔底から排出される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記再生塔リボイラーへの投入熱量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項17】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記再生塔頂から供給される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記再生塔底から排出される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リーン液の流量と前記吸収塔への前記二酸化炭素の供給流量との比率を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項18】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記再生塔頂から供給される前記リッチ液中の前記二酸化炭素溶存濃度と、前記再生塔底から排出される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度とに基づいて、前記システムにおける二酸化炭素回収量を演算し、
演算された前記二酸化炭素回収量が所定の二酸化炭素回収量になるように、前記リッチ液及び/又は前記リーン液の流量と、前記再生塔リボイラーへの投入熱量と、前記リーン液の流量と前記吸収塔への前記二酸化炭素の供給流量との比率、のうちの2つ以上を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項19】
請求項8に記載の二酸化炭素回収システムにおいて、
前記二酸化炭素分離回収システムは、
前記再生塔底から排出される前記リーン液中の前記二酸化炭素溶存濃度に基づいて、前記リーン液の流量、及び/又は前記再生塔リボイラーへの投入熱量を制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項20】
請求項3から5のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記イオン濃度算出部は、前記吸収液中の二酸化炭素イオン濃度を算出し、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記二酸化炭素イオン濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項21】
請求項6に記載の二酸化炭素分離回収システムにおいて、
前記イオン濃度算出部は、前記吸収液中の二酸化炭素イオン濃度を算出し、
前記二酸化炭素分離回収システムは、前記二酸化炭素溶存濃度と前記二酸化炭素イオン濃度とに基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システム。
【請求項22】
二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、
前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、
を備える二酸化炭素分離回収システムの制御方法であって、
前記システム内を流れる前記吸収液の温度を測定し、
前記吸収液中に超音波を発生させ、
前記超音波を利用して前記吸収液中の超音波伝播速度を測定し、
測定された前記温度と、測定された前記超音波伝播速度と、前記吸収液における二酸化炭素溶存濃度と超音波伝播速度との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中の二酸化炭素溶存濃度を算出し、
前記二酸化炭素溶存濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システムの制御方法。
【請求項23】
二酸化炭素を吸収液に吸収させ、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液であるリッチ液を排出する吸収塔と、
前記リッチ液から前記二酸化炭素を放出させ、前記リッチ液よりも二酸化炭素溶存濃度が低下した前記吸収液であるリーン液を排出する再生塔と、
を備える二酸化炭素分離回収システムの制御方法であって、
前記システム内を流れる前記吸収液の温度を測定し、
前記吸収液の電気伝導率を測定し、
測定された前記温度と、測定された前記電気伝導率と、前記吸収液におけるイオン濃度と電気伝導率との関係を示し、前記吸収液の温度に応じて変化する相関式とに基づいて、前記吸収液中のイオン濃度を算出し、
前記イオン濃度に基づいて、当該システムを制御することを特徴とする二酸化炭素分離回収システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−152731(P2012−152731A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281295(P2011−281295)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】