説明

二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置

【課題】本発明は、二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、複数の貯蔵タンクから地中注入のための二酸化炭素の取り入れられるように複数個に分枝形成された多岐管部と、入側は多岐管部と連通形成され、出側は地中管井に向かう注入配管と連結されて、多岐管部を通じて取り入れられた二酸化炭素を上記注入配管を通じて供給するように形成された分配チャンバー部と、分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素の温度を調節する温度調節部と、上記分配チャンバー部を通じて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節する流量油圧調節部と、を含む構成からなり、地中注入時の二酸化炭素の温度及び圧力条件の安定性が確保できることは勿論、これをリアルタイムまたは時間帯別に、あるいはユーザ要請によって、何時でもユーザ端末機を通じてモニターリングできる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に関し、より詳しくは、二酸化炭素の地中注入に従う安定性を確保するために、二酸化炭素の圧力及び温度を最適制御すると共に、これを効果的に監視できる二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素貯蔵技術には、地中貯蔵技術をはじめとして海洋貯蔵技術及び鉱物炭酸塩化技術などがある。このうち、海洋貯蔵技術(ocean storage technology)は、気体、液体、固体、または水化物状態で二酸化炭素を海洋や海底の底に貯蔵する技術であって、海洋生態系の破壊の虞及び長期的な二酸化炭素貯蔵に対する不安定性などの問題により現在まで本格的に試したことがない技術である。
【0003】
また、鉱物炭酸塩化技術(mineral carbonation technology)は、二酸化炭素を主にカルシウムとマグネシウムなどの金属酸化物と化学的に反応させて、不溶解性の炭酸塩鉱物状態で二酸化炭素を貯蔵する技術であって、多量の反応エネルギーが要求されると共に、炭酸塩鉱物の貯蔵及び処理自体に環境問題を引き起こす虞があるところ、今までは実現し難い技術に属する。したがって、最近までは地中貯蔵技術が最も効果的な二酸化炭素貯蔵技術として評価されている。
【0004】
地中貯蔵技術(geologic storage technology)は、陸上(または、海底)750〜1000m深度に存在する適合した地層(geologic formation)に二酸化炭素を貯蔵する技術をいう。深度に注入された二酸化炭素は超臨界流体状態で存在するので、挙動が非常にのろく、周辺の地層や地中の流体と反応して固着または溶解される。このような意味から地中貯蔵技術は、地中隔離技術(geologic sequestration technology)と呼ばれることもある。このような二酸化炭素地中貯蔵技術において、地下数Km深さの地中貯蔵対象地層まで大深度試錐孔を安定的に試錐し、押圧装置などの注入施設を用いて、効果的で、かつ安定的に二酸化炭素を注入するためには、高圧注入のための地上設備の設計と運用、漏れ防止などが実現されなければならない。
【0005】
特に、二酸化炭素注入時、温度及び圧力変化に従う二酸化炭素の相変化は重要な管理要素に該当する。したがって、地中注入時、二酸化炭素の温度及び圧力をより効果的に調節して分配できる装置に対する必要性が台頭されるところである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここに、本発明は上記した問題点を解決するために案出したものであって、二酸化炭素の地中注入時、圧力及び温度を最適に調節できる二酸化炭素分配装置を提供することをその目的とする。
【0007】
また、本発明は上記の二酸化炭素分配装置を通じて地中注入される二酸化炭素の温度及び圧力を効果的に監視監督することができるモニターリング手段が備えられた二酸化炭素分配装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を達成するための本発明の態様によれば、複数の貯蔵タンクから地中注入のための二酸化炭素が取り入れられるように複数個に分枝形成された多岐管部と、入側は上記多岐管部と連通形成され、出側は地中管井に向かう注入配管と連結されて、上記多岐管部を通じて取り入れられた二酸化炭素を上記注入配管を通じて供給するように形成された分配チャンバー部と、上記分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素の温度を調節する温度調節部と、上記分配チャンバー部を通じて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節する流量油圧調節部と、を含む二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を提供する。
【0009】
この際、上記温度調節部は、上記注入配管上に取り付けられて、上記分配チャンバー部から流出されて地中注入される二酸化炭素の温度を検出する温度センサーと、上記分配チャンバー部の外縁を覆いかぶせる形態で配置されて、上記分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素を加熱して昇温調節する加熱部と、を含むことが好ましい。
【0010】
このような温度調節部は、上記温度センサーで検出された地中注入される二酸化炭素の温度を既設定された基準値と比較する温度比較部と、上記基準値との比較を通じて上記加熱部により昇温されなければならない二酸化炭素の温度補償値を算出する温度演算部と、上記算出された温度補償値だけ上記分配チャンバー部の内部の二酸化炭素を昇温させるように上記加熱部の動作を制御する温度制御部と、をさらに含むことができる。
【0011】
ここで、上記加熱部は、誘導加熱器(induction heater)であることが好ましい。
【0012】
また、上記流量油圧調節部は、上記注入配管上に取り付けられて地中注入される二酸化炭素の流量を検出する流量検出部と、上記注入配管上に取り付けられて、地中注入される二酸化炭素の油圧を検出する油圧検出部と、上記注入配管上に取り付けられて、上記分配チャンバー部から流出されて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節するように備えられたバルブ部と、を含むことが好ましい。
【0013】
このような流量油圧調節部は、上記流量検出部及び上記油圧検出部を通じて検出された二酸化炭素の流量及び油圧データを既設定された基準値と比較判断し、地中注入される二酸化炭素が適正油圧及び流量で供給できるように上記バルブ部の開閉動作を制御する流量油圧制御部をさらに含むことができる。
【0014】
そして、好ましくは、上記多岐管部の一側には、複数の貯蔵タンクと配管を通じて連結形成されるように拡管形成されたソケットがさらに備えられることが好ましい。
【0015】
また、上記複数の貯蔵タンクの下側には、上記複数の貯蔵タンクの内に貯蔵された二酸化炭素が一定温度に維持できるように加熱する電熱保温器がさらに備えられることができる。
【0016】
併せて、上記複数の貯蔵タンクの出側には、上記分配チャンバー部に供給される二酸化炭素の流動を開閉調節するように備えられたストップバルブと、上記分配チャンバー部に供給される二酸化炭素の油圧を検出するように備えられた圧力ゲージと、がさらに備えられることが好ましい。
【0017】
そして、好ましくは、上記温度調節部及び上記流量油圧調節部を通じて具現される動作信号を有無線通信網を介してリアルタイムまたは時間帯別、あるいはユーザの要請がある度に転送するように備えられた通信インターフェースと、上記通信インターフェースを介して転送を受けたデータを遠隔に位置したユーザの端末機に転送すると共に、ユーザから要請されたフィードバック指令の受信を受けて、上記通信インターフェースを介して上記温度調節部及び上記流量油圧調節部に指令を印加する統合サーバーと、をさらに含むことができる。
【0018】
このような統合サーバーは、上記通信インターフェースを介して転送を受けたデータを別途の貯蔵媒体上に記録保管するように備えられたデータログ部を含むことができる。
【0019】
この際、上記統合サーバーを介して遠隔上のユーザに転送されるデータは、テキスト情報、画像情報、及び音声情報のうち、少なくとも1つの情報に変換されてユーザ端末機における受信可能な形態で転送できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置によれば、二酸化炭素の分配時、その温度及び圧力を最適制御することによって、地中注入される二酸化炭素の安定した相変化が維持できるようにする有利な技術的効果がある。
【0021】
また、本発明の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置によれば、上記のような二酸化炭素の温度及び圧力制御に関する全ての情報をユーザにリアルタイムにモニターリングできるようにすることで、二酸化炭素の地中注入に関する効果的な管理監督が可能になる有利な技術的効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を概略的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置において、地中注入される二酸化炭素の温度及び流量油圧調節機能を説明するために示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に適用可能な遠隔モニターリング手段を示す図である。
【図4】図3に図示された実施形態における統合サーバーの細部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を二酸化炭素貯蔵用試錐孔に適用した形態を示す使用図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置の好ましい実施形態について説明する。
【0024】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になる。
【0025】
しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態により限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現され、単に、本実施形態は本発明の開示が完全であるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせてくれるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるだけである。また、本発明を説明するに当たって、関連した公知技術などが本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合、それに関する詳細な説明は省略する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を概略的に示す図であり、図2は本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置において、地中注入される二酸化炭素の温度及び流量油圧調節機能を説明するために示す図であり、図3は本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に適用可能な遠隔モニターリング手段を示す図であり、図4は図3に図示された実施形態における統合サーバーの細部構成を示すブロック図であり、図5は本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を二酸化炭素貯蔵用試錐孔に適用した形態を示す使用図である。
【0027】
このような図1乃至図5は、本発明の構成関係及び作用効果を概念的に明確に説明するために、その特徴部分のみを概略的に示す図であって、その結果、図解の多様な変形が予想され、図示された特定形態により本発明が制限される必要はない。
【0028】
まず、図1を参照して本発明の好ましい実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置の細部構成を説明する。
【0029】
図1に示すように、本発明の好ましい実施形態に係る二酸化炭素分配装置は、貯蔵タンクから地中注入のための二酸化炭素が取り入れられるように複数配管が分枝形成された多岐管部110と、上記多岐管部110を通じて取り入れられた二酸化炭素を地中管井に連結される注入配管122を通じて供給するように形成された分配チャンバー部120と、上記分配チャンバー部120の内部に取り入れられた二酸化炭素の温度を調節する温度調節部130、及び上記分配チャンバー部120を通じて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節する流量油圧調節部140を含む構成からなる。
【0030】
まず、多岐管部110について説明する。多岐管部110は各々個別的に備えられた複数の貯蔵タンクTから保管中の二酸化炭素を分配チャンバー部120の内側に統合移送できるように形成された配管部材をいう。このために、上記多岐管部110は互いに干渉が生じないように複列配置された多岐管(manifold)形態を有することが好ましい。ここでの複列配置に該当する管体の個数は複数の貯蔵タンクTの個数に対応して設計されることが好ましく、図示された3個の管体の個数に本発明が制限される必要はない。言い換えると、各々個別的な場所で二酸化炭素を保管している複数の貯蔵タンクTは、二酸化炭素の効果的な移送のために、貯蔵タンクTの出側から各々区別された配管114が1つずつ連結形成されるが、このような配管114を介して分配移送された二酸化炭素を分配チャンバー部120の内部に合流させるための役割を上記多岐管部110が担うものである。
【0031】
その上、このような多岐管部110は複数の貯蔵タンクTから連結された配管114との締結便宜性のために、相互連結される一側部位で拡管形成されたソケット112をさらに具備することが好ましい。
【0032】
ここで、複数の貯蔵タンクTの上に備えられる構成を簡略に説明する。
【0033】
複数の貯蔵タンクTは二酸化炭素を臨時または一時的に保管する貯蔵容器をいい、所定の内部体積上に、より多量の二酸化炭素を保管し易い圧縮タンクのものが好ましい。
【0034】
それぞれの貯蔵タンクTの下側には、上記貯蔵タンクTの内部に保管された二酸化炭素の温度状態を適正水準に維持可能であるように電熱保温器119が備えられることが好ましい。このような電熱保温器119に該当する具体的な例としては、外部電源Vsの印加を受けて発熱機能を提供する誘導加熱コイル(induction heating coil)を用いることができる。
【0035】
複数の貯蔵タンクTのそれぞれの出側には、ストップバルブ116及び圧力ゲージ118がさらに備えられる。
【0036】
このようなストップバルブ116は内部流動流体を開き/閉じ方式により調節することで、流体流動を管理する機能を有するバルブであって、複数の貯蔵タンクTの各々から分配チャンバー部120に向けて移動する二酸化炭素の流動を開閉調節する。そして、圧力ゲージ118は複数の貯蔵タンクTの各々から分配チャンバー部120に供給される二酸化炭素の油圧を検出する。
【0037】
本実施形態での貯蔵タンクTから流出される二酸化炭素の設定温度及び圧力は50℃及び40barに定めたが、このような設定温度及び圧力は本発明が適用される実施条件及び環境などによって適切に任意選択可能である。
【0038】
複数の貯蔵タンクTに保管された二酸化炭素は、各々区別された配管114に沿って移動し、かつ上記多岐管部112を通じて分配チャンバー部120の内部で合流する。
【0039】
分配チャンバー部120は、入側120aは上記多岐管部110の出口開口と連通形成され、出側120bは地中管井、即ち試錐孔に向かう注入配管122と連結形成されて、多岐管部110を通じて取り入れられた二酸化炭素を注入配管122を通じて供給する機能を担う。
【0040】
即ち、このような分配チャンバー部120は、多岐管部110を通じて複数の貯蔵タンクTから取り入れられた二酸化炭素を統合し、これをまた出側の注入配管122を通じて地中管井に注入する二酸化炭素分配器の役割を遂行する。
【0041】
より安定した二酸化炭素統合及び分配機能を遂行するために、上記分配チャンバー部120の外装は圧力容器形態のケーシング124を形成しており、上記分配チャンバー部120の外縁周りの上には後述する温度調節部130の細部構成である加熱部133が内蔵された形態からなることができる。このような加熱部133は分配チャンバー部120の内部の二酸化炭素を加熱してユーザが設定した温度まで昇温調節する機能を提供することができる。
【0042】
次に、温度調節部130について説明する。
【0043】
温度調節部130は、前述したように、分配チャンバー部120の内部に取り入れられた二酸化炭素の温度を調節する機能を担う。
【0044】
このために、温度調節部130は地中注入される二酸化炭素の温度を検出する温度センサー131と、分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素を加熱して昇温調節する加熱部133、及び温度センサー131で検出された二酸化炭素の温度を比較し、昇温すべき二酸化炭素温度補償値を算出することは勿論、上記加熱部133を動作制御する制御器(図2の135)を含む構成からなることができる。
【0045】
この際、上記制御器(図2の135)の構成は、図2の説明時に詳細に扱うようにし、ここでは、上記温度センサー131及び加熱部133の構成についてのみ詳細に説明する。
【0046】
温度センサー131は、分配チャンバー部120の出側から連結されて地中管井に向かう注入配管122上に取り付けられ、上記注入配管122を通じて地中管井に向かって供給される二酸化炭素の実際温度を計測するセンシング手段である。このような温度センサー131の具体的な例には、多様なタイプの温度計が全て用可能である。
【0047】
そして、加熱部133は、分配チャンバー部120の説明時に前述したように、分配チャンバー部120の外縁を覆いかぶせる形態に配置される。
【0048】
このような加熱部133は、分配チャンバー部120の内部に取り入れられた二酸化炭素を一定昇温範囲内で加熱する機能を担うが、本実施形態での二酸化炭素維持温度は概略50℃に定めることができるが、このような温度条件も本発明をあんまり制限しない。
【0049】
加熱部130に利用可能な具体的な例には、外部電源(Vs)の印加を受けた後、抵抗列を発生させて分配チャンバー部120の内部の二酸化炭素を昇温調節可能な誘導加熱器(induction heater)が利用可能であるが、このような加熱部130の形態も本発明を限定せず、多様な実施形態毎にその形態を少しずつ異に適用してもよい。
【0050】
このような温度調節部130を図2を参照してより具体的に説明する。
【0051】
図2を参照すると、温度調節部130の構成に制御器135が含まれて、温度センサー131での二酸化炭素温度検出及び加熱部133の駆動が相互連動するように能動制御できることを確認することができる。
【0052】
即ち、温度調節部130に追加構成される制御器135には、温度センサー131で検出された二酸化炭素の温度を既設定された基準値と比較する温度比較部136と、上記基準値との比較を通じて上記加熱部133により昇温されるべき二酸化炭素の温度補償値を算出する温度演算部137と、上記算出された温度補償値だけ上記分配チャンバー部120の内部の二酸化炭素を昇温させるように上記加熱部133の動作を制御する温度制御部138と、を含む。
【0053】
ここで、“既設定された基準値”とは、ユーザが地中管井に注入して供給する二酸化炭素の温度を予め設定して置いた値を意味するものであって、万一、温度センサー131で検出された二酸化炭素の温度が基準値より低い場合には、その差に該当する温度補償値を上記加熱部133の動作を制御することによって昇温調節する。
【0054】
このような温度比較部136、温度演算部137、及び温度制御部138の追加的な構成により、本発明の温度調節機能はより能動的に制御できる。
【0055】
また、図1を参照して、流量油圧調節部140について説明する。
【0056】
流量油圧調節部140は分配チャンバー部120を通じて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節する機能を担う。
【0057】
図示したように、流量油圧調節部140は、分配チャンバー部120を通じて地中注入される二酸化炭素の流量を検出する流量検出部141と、分配チャンバー部120を通じて地中注入される二酸化炭素の油圧を検出する油圧検出部143と、分配チャンバー部120を通じて地中注入される二酸化炭素の流量を開閉調節することは勿論、流動油圧まで調節するように備えられたバルブ部145、147と、を含む構成からなる。
【0058】
ここで、流量検出部141及び油圧検出部143は、図1に示すように、全て注入配管122の上に備えられて、分配チャンバー部120を通じて流出される二酸化炭素の流量及び油圧を効果的に検出する形態からなることができる。但し、このような流量検出部141及び油圧検出部143の配置形態やはり、1つの好ましい実施形態に過ぎないものであり、本発明がこれに制限される必要はない。したがって、本発明が適用される位置、環境、及び多様な条件によって少しずつその実施形態が変わっても関係ない。
【0059】
そして、上記流量検出部141は、通常の流量計を意味するものであって、多様に市販している商用の流量計を適用すれば良いし、併せて油圧検出部143やはり通常の油圧ゲージを意味するものであるので、これもまた商用の油圧ゲージを適用することができる。したがって、これに対する詳細な説明は省略する。
【0060】
また、バルブ部145、147の実施形態においても、本発明はあまり制限される必要がない。即ち、図1に図示されたバルブ部145、147は、流量検出部141を基準に、前、後に各々区分設置された形態からなり、これとは異なり、図2に図示されたバルブ部145a、145b、147は注入配管122の一部区間が二重配管に分枝形成されたそれぞれの管体上で図1の配置形態と異なる実施形態を有することを確認することができる。
【0061】
このような流量油圧調節部140には、流量検出部141、油圧検出部143、及びバルブ部145、147を除いて、流量油圧制御部149の構成が追加的にさらに含まれることができる。
【0062】
流量油圧制御部149の機能及び役割は図2を通じて詳細に確認することができる。
【0063】
即ち、図示された流量油圧制御部149は、流量検出部141及び油圧検出部143を通じて検出された二酸化炭素の流量及び油圧データを既設定された基準値と比較判断し、地中注入される二酸化炭素が適正油圧及び流量で供給できるように、上記バルブ部145a、145b、147の開閉動作を制御する。本実施形態における地中注入される二酸化炭素の設定圧力は40barであるが、このような設定圧力はユーザの設定によって少しずつ異に適用されても関係ない。
【0064】
このような流量油圧制御部149は、流量検出部141及び油圧検出部143と、これと連動して開閉駆動するバルブ部145a、145b、147の相互間の能動的な制御を可能にしてくれることで、より迅速で、かつ正確な条件への二酸化炭素分配機能を可能にしてくれる。
【0065】
次に、図3及び図4を参照して、図3は本発明の好ましい実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に適用可能な遠隔モニターリング手段について説明する。
【0066】
図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置には、追加的に遠隔モニターリング手段がさらに適用できることが分かる。
【0067】
即ち、図示したように、前述した温度調節部130及び流量油圧調節部140で検出された二酸化炭素の温度データ、流量データ、油圧データは勿論、それに従う加熱部133及びバルブ部145、147の動作に対する全ての信号は、通信インターフェース150を介して有無線通信網を用いて統合サーバー160に転送できる。
【0068】
そして、統合サーバー160は、上記通信インターフェース150を介して転送を受けたデータを遠隔に位置したユーザの端末機[例:ユーザのPC170、スマートフォン172]に転送すると共に、ユーザからフィードバックされた指令の受信を受けて上記通信インターフェース150を介して温度調節部130及び流量油圧調節部140に指令を印加する役割も遂行する。
【0069】
併せて、このような統合サーバー160は、上記通信インターフェース150を介して転送を受けたデータを別途の貯蔵媒体上に記録保管するために、データログ部(図示せず)をさらに具備することもできる。
【0070】
ここで、統合サーバー160を通じて遠隔上のユーザに転送されるデータは、テキスト情報、画像情報、及び音声情報のうちの少なくとも1つの情報に変換されてユーザ端末機[例:ユーザのPC170、スマートフォン172]で受信可能な形態で転送できるので、二酸化炭素の分配工程における遠隔監視及び監督が便利になり、延いては、このような機能は二酸化炭素分配工程の体系的な統合管理に助けになる。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置を二酸化炭素貯蔵用試錐孔に適用した形態を示す使用図である。
【0072】
図5を参照すると、本発明に係る二酸化炭素分配装置を通じて複数の貯蔵タンクTの内に保管された二酸化炭素が多岐観110、分配チャンバー部120を通じて統合的に合流され、以後、温度調節部130及び流量油圧調節部140の役割に従って、適正温度及び圧力に維持された状態であって、地盤Gの下の地中管井に注入される形態を確認することができる。この際、試錐孔10の上に固定されたパッカー20により注入配管122は位置固定され、より安定的に二酸化炭素の地中注入が可能になる。
【0073】
このように、本発明の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置によれば、二酸化炭素の分配時、その温度及び圧力を最適制御することによって、地中注入される二酸化炭素の安定した相変化を維持するようにすることができ、二酸化炭素の地中注入過程で発生する全ての情報を遠隔の監督者がリアルタイムにモニターリングすることができるので、より効果的な管理監督が可能になる。
【0074】
以上、本発明に係る二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置に関する好ましい実施形態について説明した。
【0075】
前述し実施形態は全て例示的なものであり、限定的なものでないことと理解されるべきであり、本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって表れ、その特許請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解析されるべきである。
【符号の説明】
【0076】
T 貯蔵タンク
110 多岐管部
120 分配チャンバー部
130 温度調節部
140 流量油圧調節部
150 通信インターフェース
160 統合サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貯蔵タンクから地中注入のための二酸化炭素が取り入れられるように複数個に分枝形成された多岐管部と、
入側は前記多岐管部と連通形成され、出側は地中管井に向かう注入配管と連結されて、前記多岐管部を通じて取り入れられた二酸化炭素を前記注入配管を通じて供給するように形成された分配チャンバー部と、
前記分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素の温度を調節する温度調節部と、
前記分配チャンバー部を通じて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節する流量油圧調節部と、
を含むことを特徴とする、二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項2】
前記温度調節部は、
前記注入配管上に取り付けられて、前記分配チャンバー部から流出されて地中注入される二酸化炭素の温度を検出する温度センサーと、
前記分配チャンバー部の外縁を覆いかぶせる形態で配置されて、前記分配チャンバー部の内部に取り入れられた二酸化炭素を加熱して昇温調節する加熱部と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項3】
前記温度調節部は、
前記温度センサーで検出された地中注入される二酸化炭素の温度を既設定された基準値と比較する温度比較部と、
前記基準値との比較を通じて前記加熱部により昇温されるべき二酸化炭素の温度補償値を算出する温度演算部と、
前記算出された温度補償値だけ前記分配チャンバー部の内部の二酸化炭素を昇温させるように前記加熱部の動作を制御する温度制御部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項4】
前記加熱部は、
誘導加熱器(induction heater)であることを特徴とする、請求項2に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項5】
前記流量油圧調節部は、
前記注入配管上に取り付けられて、地中注入される二酸化炭素の流量を検出する流量検出部と、
前記注入配管上に取り付けられて、地中注入される二酸化炭素の油圧を検出する油圧検出部と、
前記注入配管上に取り付けられて、前記分配チャンバー部から流出されて地中注入される二酸化炭素の流量及び油圧を調節するように備えられたバルブ部と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項6】
前記流量油圧調節部は、
前記流量検出部及び前記油圧検出部を通じて検出された二酸化炭素の流量及び油圧データを既設定された基準値と比較判断し、地中注入される二酸化炭素が適正油圧及び流量で供給できるように前記バルブ部の開閉動作を制御する流量油圧制御部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項7】
前記多岐管部の一側には、
複数の貯蔵タンクと配管を通じて連結形成されるように拡管形成されたソケットがさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項8】
前記複数の貯蔵タンクの下側には、
前記複数の貯蔵タンクの内に貯蔵された二酸化炭素が一定温度に維持できるように加熱する電熱保温器がさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項9】
前記複数の貯蔵タンク出側には、
前記分配チャンバー部に供給される二酸化炭素の流動を開閉調節するように備えられたストップバルブと、
前記分配チャンバー部に供給される二酸化炭素の油圧を検出するように備えられた圧力ゲージと、
がさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項10】
前記温度調節部及び前記流量油圧調節部を通じて具現される動作信号を有無線通信網を介してリアルタイムまたは時間帯別、あるいはユーザの要請がある度に転送するように備えられた通信インターフェースと、
前記通信インターフェースを介して転送を受けたデータを遠隔に位置したユーザの端末機に転送すると共に、ユーザから要請されたフィードバック指令の受信を受けて、前記通信インターフェースを介して前記温度調節部及び前記流量油圧調節部に指令を印加する統合サーバーと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項11】
前記統合サーバーは、
前記通信インターフェースを介して転送を受けたデータを別途の貯蔵媒体上に記録保管するように備えられたデータログ部を含むことを特徴とする、請求項10に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。
【請求項12】
前記統合サーバーを介して遠隔上のユーザに転送されるデータは、テキスト情報、画像情報、及び音声情報のうち、少なくとも1つの情報に変換されてユーザ端末機で受信可能な形態で転送されることを特徴とする、請求項10に記載の二酸化炭素地中注入のための圧力及び温度調節機能が向上した二酸化炭素分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−71298(P2012−71298A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175347(P2011−175347)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(506081530)コリア インスティチュート オブ ジオサイエンス アンド ミネラル リソースズ (21)
【Fターム(参考)】