説明

二重エアゾール容器用のエアゾールバルブおよびそれを用いた二重エアゾール容器

【課題】内容物の飛散を防止する二重エアゾール容器用のエアゾールバルブおよびそれを用いたエアゾール容器を提供する。
【解決手段】耐圧容器および内袋を閉じ、かつ、内容物を通す中心孔16aを備えたハウジング16と、そのハウジングを耐圧容器に固着するためのカップ状のキャップ20とを有している二重エアゾール容器用のエアゾールバルブ13。ハウジング16は、筒状のハウジング本体21と、そのハウジング本体の外周に形成され、内袋および耐圧容器の開口部を閉じる筒状のプラグ部22と、ハウジング本体とプラグ部とを繋ぐ連結部23とを有している。ハウジング本体21とプラグ部23との間には下方に開口し、前記連結部23を下溝底部とした環状の下溝部24が形成されており、ハウジング本体21の側面には上下に延びるスリット状の連通口26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重エアゾール容器用のエアゾールバルブおよびそれを用いた二重エアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
耐圧容器内に内容物および加圧剤を充填し、その加圧剤の力で内容物を吐出させるエアゾール容器は、簡単な操作で内容物を吐出させることができるため、様々な用途に用いられている。このようなエアゾール容器であって、耐圧容器内に収納される内袋に内容物を充填し、耐圧容器と内袋との間に加圧剤を充填した二重エアゾール容器が知られている。この二重エアゾール容器は、内容物と加圧剤とをそれぞれ独立して保管するため、粘性の内容物あるいは発泡剤を含む内容物をそのままの状態で吐出させることができる。このような二重エアゾール容器は、特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4194752号公報
【特許文献2】特許第4354713号公報
【特許文献3】特願2009−299183号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような二重エアゾール容器は、耐圧容器と内袋の間の加圧剤の押圧力で内袋を絞るようにして吐出するため、内袋内は内容物によって密に満たされる。しかし、現実は内袋に内容物を充填し、その後、その内袋をバルブで閉じることになるため、製造工程において内袋内あるいはバルブ内に幾らかの空気(あるいは窒素環境下で内容物を充填する場合は、窒素)が残存する。特に、粘度が高い内容物を用いる場合は気泡として残存する。このような二重エアゾール製品においては、製品を使用者が最初に使用するとき、その残存空気と内容物とが層構造として通路内を進み、吐出口において残存空気が内容物に勢いを与えて吐出させ、その結果、内容物が周囲に飛散してしまうことがある。
この課題に対して、本出願人は、特許文献3に示すように、内袋の開口部にバルブを取り付けたとき、内袋の容積が減少するような構造を備えた内袋を提案している。
本発明は、特許文献3とは異なる手段を用いて、内容物の飛散を防止する二重エアゾール容器用のエアゾールバルブおよびそれを用いたエアゾール容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二重エアゾール容器用のエアゾールバルブは、有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋とを備えている二重エアゾール容器に用いられるものであり、エアゾールバルブは、耐圧容器および内袋を閉じ、かつ、内容物を通す中心孔を備えたハウジングと、そのハウジングを耐圧容器に固着するためのカップ状のキャップとを有している。ハウジングは、筒状のハウジング本体と、そのハウジング本体の外周に形成され、内袋および耐圧容器の開口部を閉じる筒状のプラグ部と、ハウジング本体とプラグ部とを繋ぐ連結部とを有している。ハウジング本体とプラグ部との間には下方に開口し、前記連結部を底部とした環状の下溝部が形成されており、前記ハウジング本体の側面に連通口が形成されている。
【0006】
このようなエアゾールバルブであって、前記連通口が複数個形成されており、それらが等間隔で環状に設けられているものが好ましい。また、その連通口は上下に延びるスリット状であることが好ましい。さらに、その連通口の上端と、前記下溝部の上端(下溝底部)とが同じ高さに設けられているものが好ましい。前記下溝部の空間が、下溝底部にかけて縮径するすり鉢状であることが好ましい。
さらに、前記プラグ部が内袋の開口部を閉じる円筒状の内袋嵌合部と、その内袋嵌合部の上端に形成され、耐圧容器の開口部を閉じる環状のフランジ部とを備えた合成樹脂製のものであり、前記ハウジング本体とプラグ部の内袋嵌合部との間には下方に開口し、前記連結部を底部にした環状の下溝底部が形成されているものが好ましい。
さらに、前記ハウジング本体の下端に下方に突出した突出部が形成されているものが好ましい。
【0007】
本発明の二重エアゾール容器は、有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋と、前記耐圧容器と内袋とを閉じる本発明のエアゾールバルブとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二重エアゾール容器用のエアゾールバルブは、耐圧容器および内袋を閉じ、かつ、内容物を通す中心孔を備えたハウジングと、そのハウジングを耐圧容器に固着するためのカップ状のキャップとを有しており、そのハウジングは、筒状のハウジング本体と、そのハウジング本体の外周に形成され、内袋および耐圧容器の開口部を閉じる筒状のプラグ部と、ハウジング本体とプラグ部とを繋ぐ連結部とを有しており、前記ハウジング本体とプラグ部との間には下方に開口し、前記連結部を下溝底部とした環状の下溝部が形成されており、ハウジング本体の側面に連通口が形成されているため、下溝部が内袋内の内容物を連通口に誘導し、最後まで内容物の残量を少なくして使い切ることができる。また、製造工程において内袋内に空気が残存していても、下溝部は内袋内の残存空気も連通口に誘導するため、その残存空気をハウジング本体内へ集めることができる。そのため、バルブを装着した後、噴射部材を装着する前に、バルブを操作してバルブ内の空気を追い出すことができる。これにより、製品を最初に操作するとき、内容物と残存空気とが層構造を構成せず、内容物の飛び散りを防止できる。
さらに、内容物が少なくなり内袋が収縮するように変形しても、下溝部により内袋と連通口の間に内容物が流れる通路が確保されるため、最後まで吐出することができる。
【0009】
このようなエアゾールバルブであって、連通口が複数個形成されており、それらが等間隔で環状に設けられている場合、内容物のハウジング本体内への導入、および、ハウジング本体内の空気のハウジング本体外へ追い出しが一層スムースに行われる。また、連通口が上下に延びるスリット状である場合は、内袋からハウジング本体内へ通じる連通口が縦長であるため、粘性のある内容物であってもスムースにハウジング内へ移動させることができる。さらに、前記連通口の上端と前記下溝部の上端とが同じ高さに設けられている場合は、ハウジング本体内への内容物の導入、および、ハウジング本体外への残存空気の排出が一層効率よく行える。前記下溝部の空間が、下溝底部にかけて縮径するすり鉢状である場合は残存空気を連通口に一層案内しやすく、残存空気をより確実にハウジング本体へ移動させ、排出することができる。
【0010】
前記プラグ部が円筒状の内袋嵌合部と、その内袋嵌合部の上端に形成される環状のフランジ部とを備えており、前記ハウジング本体とプラグ部の内袋嵌合部との間には下方に開口し、前記連結部を底部にした環状の下溝部が形成されている場合は、内袋嵌合部は下溝部方向に微小な弾性変形が可能であり、内袋の開口部と嵌合して気密にシールすることができる。特に、加圧剤を充填するとき、内袋嵌合部は充填圧力に反発するため、内袋の開口部とのシールが一層高くなり、加圧剤が内袋内に侵入するのを防止できる。
【0011】
前記ハウジング本体の下端に下方に突出した突出部が形成されている場合、エアゾールバルブを組み立てる際の支持部となり、ステム、バネ、ステムラバー等を組み入れが容易となる。
【0012】
本発明の二重エアゾール容器は、有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋と、前記耐圧容器と内袋とを閉じる本発明のエアゾールバルブとを備えているため、使用開始時に内容物が飛び散ったりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のエアゾール容器を示す側面断面図である。
【図2】図2a、bは、それぞれ図1のエアゾールバルブを示す側面断面図、下面図である。
【図3】図3a、b、cは、図1のエアゾール容器を製造する工程図である。
【図4】本発明のエアゾールバルブの他の形態を示す下面図である。
【図5】本発明のエアゾールバルブのさらに他の形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明のエアゾール容器の他の形態を示す側面断面図である。
【図7】本発明のエアゾールバルブのさらに他の形態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1のエアゾール容器10は、有底筒状の耐圧容器11と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋12と、耐圧容器11および内袋12を閉じるエアゾールバルブ13とを有する。このエアゾール容器10は、内袋12内に内容物Aを充填し、耐圧容器11と内袋12との間の隙間に加圧剤Bを充填するものである。
【0015】
耐圧容器11は、図3aに示すように、底部、胴部、肩部および首部を有する硬質性のものであり、首部には環状凹部11aが形成されている。この耐圧容器11は、アルミニウムやブリキなどの金属板からインパクト加工、絞り加工等によって成形された一体成形品である。しかし、複数の部材を二重巻き締めによって連結したものでもよい。また合成樹脂や耐圧ガラス等の他の耐圧性を有する材料で成形してもよい。
内袋12は、図3aに示すように、底部、胴部、肩部、首部およびその首部の上端に設けられた拡径した口部12aを有する可撓性を備えた合成樹脂製のものである。内袋12を耐圧容器の底部に配置させたとき、内袋12の口部上端は耐圧容器11の首部上端よりも上方にあるように構成されている。そのため内袋12は、内容物Aおよび加圧剤Bを充填してエアゾールバルブ13を耐圧容器11に固着するとき、撓ませながら耐圧容器13内に収納される。内袋12は、合成樹脂以外の材料、例えば、アルミニウムなどの軽金属をシート状にして貼り合わせて袋状にしたものや、有底筒状に成型したものから構成されてもよい。なお、金属シートは合成樹脂シートとの複合シートを用いることが好ましい。
【0016】
エアゾールバルブ13は、図2に示すように、内袋12および耐圧容器11を閉じ、中心孔16aを有するハウジング16と、そのハウジングの中心孔16aで上下動自在に収容されるステム17と、そのステム17を常時上向きに付勢するバネ18と、そのステムのステム孔17aを塞ぐステムラバー19と、ハウジング16を耐圧容器11に固着するカップ状のキャップ20とを備えている。
【0017】
ハウジング16は、有底筒状のハウジング本体21と、そのハウジング本体の外周に形成され、内袋および耐圧容器を閉じる筒状のプラグ部22と、ハウジング本体21とプラグ部22とを繋ぐ連結部23とを有している。ハウジング本体21とプラグ部22との間には、連結部23を底部とした上方に開口した環状の上溝部24と、下方に開口した環状の下溝部25とが形成されている。ハウジング16は、合成樹脂製であり、ハウジング本
体21と、プラグ部22と、連結部23とは一体に形成される。しかし、これらをハウジング本体とプラグ部とを別部材とし、連結部23で連結させてもよい。
【0018】
ハウジング本体21内は、底部21aを有する筒状体であり、側面21bに上下に延びるスリット状の連通口26が3本環状に等間隔で形成されている。スリット状の連通口26は、1本としても、2本、4本以上としてもよい。図4a、bでは、それぞれ連通口26を8本、4本設けている。しかし、内袋12内の内容物Aを効率良くハウジング本体21内に導入するべく、2本以上を等間隔に設けるのが好ましい。連通口26の上端は、下溝部25の下溝底部を構成する連結部23の下面と同じ高さとなっている。これにより内袋12からの内容物の導入、および、ハウジング本体外への残存空気の排出が一層効率よくできる。また、連通口26の下端は、底部21aにまで達している。このように下端を底部21aまで延ばすことにより、射出成形により連通口26が簡単に形成できる。
【0019】
ハウジング本体21の内面には、上下方向に延びる6本のリブ21cが環状に設けられている。このリブ21cも2本以上を環状に設けてあれば特にその数は限定されない。そして、ハウジング本体21の上端には、ステムラバーと環状のシールポイントを形成するリング状のシール部21dが形成されている。さらに、ハウジング本体21の下端中央には、底部21aから下方に延びる筒状の突出部21eが形成されている。底部21aには、突出部21eと連通する連通孔21fが形成されている。突出部21eは、エアゾールバルブの組み立てのために設けられている。この突出部21eは、ハウジング本体16にステム17、バネ18およびステムラバー19を組み入れるとき、ハウジング本体16を支える支持部として用いることにより、その組み立てが容易になる。しかし、突出部21eは、設けなくてもよい。
【0020】
プラグ部22は、内袋12の開口部(口部から首部)を閉じる円筒状の内袋嵌合部31と、その内袋嵌合部の上端に形成され、耐圧容器11を閉じる環状のフランジ部32とを備えている。
内袋嵌合部31は、その上部外面に段部31aを有しており、内面31bは下方に向かって中心孔が拡径するようにテーバー状に形成されている。つまり、内袋嵌合部31は下方に向かって薄くなっている。内袋嵌合部31は半径方向(下溝部25方向)に若干の弾性変形ができるように構成されている。この内袋嵌合部12の内部にハウジング本体21が配置されており、内袋嵌合部31の内面とハウジング本体21の外面との間で環状の下溝部25が構成される。内袋嵌合部31の下端は、ハウジング本体21の連通口26の下端よりも上方になるように短く形成されている。このように構成されているため、充填直後に混入した空気をハウジング内に導入しやすく、容易に排出できる。
この内袋嵌合部31は、内袋12の首部に挿入される部位であり、内袋嵌合部31の外径と内袋12の首部の内径とが実質的に同じとなるように、内袋嵌合部31の外面と内袋12の首部の内面とは密に当接するように構成されている。そして、段部31aの外径は、内袋12の口部の内径と実質的に同じとなるように構成されている。
【0021】
フランジ部32は、内袋嵌合部31の外面よりも半径方向外側に突出した部位であり、その下面32aはガスケット11bを介して耐圧容器11の上端に配置される。フランジ部32の内面には、ステムラバー19を保持する保持部32bが形成されている。そして、このフランジ部32の内面(保持部32bより下側)とハウジング本体21の外面との間で環状の上溝部24が構成される。また、フランジ部32は、半径方向(上溝部24方向)に若干の弾性変形できるように構成されている。
【0022】
ステム17は、上端開口部から下方に延びる通路を備え、通路の下端近辺でステム孔17aと連通している。
バネ18は、ステム17の下端とハウジング16の底部21aとの間に支持される。
ステムラバー19は、リング状のものであり、中心孔でステム孔17aを塞ぐものである。
キャップ20は、アルミニウムなどの金属板から下方が開口したコ字状に成型されたものであり、上面にステム17を通す中心孔を備えている。
【0023】
このように構成されたエアゾールバルブ13は、ハウジング16が内袋12の開口(首部)および耐圧容器11の開口(首部)を閉じ、キャップ20を下方に押し付けながらその下端20aを内側にクリンチして、ハウジング16を耐圧容器11に固着する。また、このエアゾールバルブ13のステム17を押し下げることにより、ステム孔17aとステムラバー19との係合が外れ、ハウジング本体21の内部と大気とを連通させることができる。
これにより内袋12内もスリット状の連通口26を介して大気と連通する。このとき、スリット状の連通口26は、上下方向に伸びており、開口面積が十分に大きいため、製造工程において内袋12内に空気が残存していても、その空気をハウジング本体21内に効率よく誘導する。そのため、残存空気が内容物の通路において、内容物と層構造を形成することがない。そのため、エアゾール容器10の操作開始(ステムを下方に押し下げる)時に、その残存空気の勢いによる内容物の飛散を防止できる。
【0024】
図3にエアゾール容器10の製造方法を示す。初めに耐圧容器11内に内袋12を挿入し、内袋12内に内容物Aを充填する(図3a参照)。次いで、内袋12の首部および口部に、エアゾールバルブ13の内袋嵌合部31を挿入し、内袋12の開口部を閉じる。詳しくは、内袋の首部に内袋嵌合部31の本体を挿入し、エアゾールバルブの段部31aに内袋の口部12aを挿入する。このとき、内袋12の口部12a上端は、耐圧容器11の上端より上方に位置しているため、エアゾールバルブ13は耐圧容器11の若干上方で内袋12に保持される。この状態で、加圧剤Bを耐圧容器11と内袋12との間に充填する(アンダーカップ充填)(図3b参照)。最後に、アンダーカップ充填と同時に、キャップ20を下方に押圧し、内袋12を撓ませながら耐圧容器11内に収容し、耐圧容器11の上端とガスケット11bとの間にシールを形成させながら、キャップ20の端部20aを耐圧容器11の環状凹部11aと嵌合するようにカシメて、エアゾールバルブ13を耐圧容器11に固着する(図3c参照)。このとき、耐圧容器の環状凹部11aとエアゾールバルブの段部31aとが内袋の口部12aを介して係合し、シールを形成し、かつ、耐圧容器の上端とエアゾールバルブのフランジ部32の下面とがガスケット11bを介して係合し、シールを形成する。また、キャップ20の端部の力は、外容器の環状凹部11aを介してプラグ部16の内袋嵌合部31に支持される。そのため、内袋嵌合部31は若干弾性変形をし、その反力でキャップ20をより強固に保持する。
【0025】
本発明のエアゾール容器に充填される内容物Aは、特に限定されるものではないが、粘性を有する内容物Aを充填するときにその効果が顕著に現れる。好ましい内容物としては、スキンケアクリーム、シェービングクリーム、シェービングゲル、洗顔クリーム、フェイスパック、殺菌消毒ゲル、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアカラークリーム等が挙げられる。つまり、内袋に充填された内容物Aはバルブのハウジングを内袋の開口部に挿入するときにハウジングの形状に沿って移動するが、粘性を有するためハウジングとの間で隙間ができやすい。本発明のエアゾール容器は、そのように粘性の高い内容物においても、確実に内袋内の空気をハウジングに誘導し、残存空気と内容物とが通路内において層を形成することがなく、操作開始時において内容物Aの飛び散りを抑えることができる。
【0026】
図5のエアゾールバルブ40は、ハウジング本体の連通口41が略円形の孔となっている他は、図2のエアゾールバルブ13と実質的に同じものであり、ハウジング16、ステム17、バネ18、ステムラバー19、キャップ20を備えている。図5では、2個の連通口41は相対するように形成されているが、3個以上設けられていても1個でもよい。
連通口の形状は、略三角、略四角等の多角形であってもよい。連通口41は、その上端が下溝部25の下溝底部とが同じ高さに設けられている。このようなエアゾールバルブ40は、粘性の低い内容物を充填する際、好ましく用いられる。
【0027】
図6のエアゾール容器45は、内袋46がアルミニウムを有底筒状に成型したものであり、その他は図1のエアゾール容器10と実質的に同じものであり、耐圧容器11と、エアゾールバルブ13とを有し、内容物Aを内袋46内に充填し、加圧剤Bを耐圧容器11と内袋46との間の隙間に充填するものである。
内袋46は、底部、胴部、肩部、首部およびその首部の上端に設けられた拡径した口部46aを備え、可撓性を有している。首部にエアゾールバルブの内袋嵌合部31の本体を挿入し、口部46aにエアゾールバルブの段部31aを挿入して、内袋46とエアゾールバルブ13とを連結する。
【0028】
図7のエアゾール容器50は、耐圧容器51がポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂をブロー成型によって有底筒状に成型されたものであり、その他は図1のエアゾール容器10と実質的に同じものであり、内袋12と、エアゾールバルブ13とを有し、内容物Aを内袋12内に充填し、加圧剤Bを耐圧容器51と内袋12との間の隙間に充填するものである。ただし、エアゾールバルブ13は、図2における突出部21eを備えていない点で、図2のエアゾールバルブ13と異なる。
耐圧容器51は、底部、胴部、肩部、首部、口部51aを有している。口部51aの外径は、首部の外径より拡径している。口部51aの内径は内袋の首部の外径と実質的に同じであり、内面は連続している。内袋の首部は口部51aの内面とハウジングの内袋嵌合部との間で挟持され、キャップの下端を内側にクリンプしたときの力により圧縮されてシール作用を奏する。また口部51aの内面上端は、上方に向かって拡径するように段部52が形成されている。
内袋12は底部、胴部、肩部、円筒状の首部、首部の上端から拡径する開口部を有する。この開口部は加圧剤をアンダーカップ充填する場合に、エアゾールバルブの段部31aを保持して容器本体とバルブのフランジ部との間に加圧剤を充填するための通路を確保する。また、内袋嵌合部は加圧剤の充填圧力により内側に若干撓むため、耐圧容器の口部と内袋の首部との間に通路ができる。なお、容器本体の口部内面に縦方向に伸びる溝を設けて加圧剤の充填通路としてもよい。加圧剤を充填した後は、バルブを容器本体の口部に押し付けてキャップの下端を内側に変形させてクリンプするが、このとき内袋の開口部は容器本体の段部52とハウジングの段部31aとに挟持されてシールを形成する。
【符号の説明】
【0029】
A 内容物
B 加圧剤
10 エアゾール容器
11 耐圧容器
11a 環状凹部
11b ガスケット
12 内袋
12a 口部
13 エアゾールバルブ
16 ハウジング
16a 中心孔
17 ステム
17a ステム孔
18 バネ
19 ステムラバー
20 キャップ
20a 端部
21 ハウジング本体
21a 底部
21b 側面
21c リブ
21d シール部
21e 突出部
21f スリット
22 プラグ部
23 連結部
24 上溝部
25 下溝部
26 連通口
31 内袋嵌合部
31a 段部
31b 内面
32 フランジ部
32a 下面
32b 保持部
40 エアゾールバルブ
41 連通口
45 エアゾール容器
46 内袋
46a 口部
50 エアゾール容器
51 耐圧容器
51 口部
52 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋とを備える二重エアゾール容器用のエアゾールバルブであって、
前記耐圧容器および内袋を閉じ、かつ、内容物を通す中心孔を備えたハウジングと、そのハウジングを耐圧容器に固着するためのカップ状のキャップとを有しており、
前記ハウジングは、筒状のハウジング本体と、そのハウジング本体の外周に形成され、内袋および耐圧容器の開口部を閉じる筒状のプラグ部と、ハウジング本体とプラグ部とを繋ぐ連結部とを有しており、前記ハウジング本体とプラグ部との間には下方に開口し、前記連結部を下溝底部とした環状の下溝部が形成されており、
前記ハウジング本体の側面に連通口が形成されている、
二重エアゾール容器用のエアゾールバルブ。
【請求項2】
前記連通口が複数個形成されており、それらが等間隔で環状に設けられている、請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項3】
前記連通口が上下に延びるスリット状である、請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項4】
前記連通口の上端と、前記下溝部の下溝底部とが同じ高さに設けられている、請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項5】
前記下溝部の空間が下溝底部にかけて縮径するすり鉢状である、請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項6】
前記プラグ部が、内袋の開口部を閉じる円筒状の内袋嵌合部と、その内袋嵌合部の上端に形成され、耐圧容器の開口部を閉じる環状のフランジ部とを備えた合成樹脂製のものであり、
前記ハウジング本体とプラグ部の内袋嵌合部との間には下方に開口し、前記連結部を下溝底部にした環状の下溝部が形成されている、
請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項7】
前記ハウジング本体の下端に下方に突出した突出部が形成されている、
請求項1記載のエアゾールバルブ。
【請求項8】
有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器内に収納される有底筒状の内袋と、前記耐圧容器と内袋とを閉じる請求項1〜7記載のエアゾールバルブとを備える二重エアゾール容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−111549(P2012−111549A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264344(P2010−264344)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】