説明

二重エアゾール製品

【課題】内容物の残量が少なくなったことを確認できる二重エアゾール製品を提供する。
【解決手段】内容物の残量が一定量となったとき、それまで吐出されてきた主色内容物A1の色とは異なる色の終色内容物A2が吐出(噴射)されるエアゾール製品10。エアゾール製品10は、可撓性を有する内袋11と、その内袋11を収容する有底筒状の耐圧容器12と、内袋11および耐圧容器12の開口部を塞ぐエアゾールバルブ13(以下、バルブ)と、内袋11に充填される内容物Aと、内袋11と耐圧容器12との間に充填される噴射剤Bとからなり、内袋11は他の部位より強度の強い強化部位を有し、その強化部位が最後に変形するように構成されている。また、終色内容物A2は強化部位が変形することによって吐出されるように充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重エアゾール製品に関する。詳しくは、二重エアゾール製品の内容物の残量確認手段に関する。
【背景技術】
【0002】
二重エアゾール容器は、有底筒状の耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する有底筒状の内袋と、内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブとからなる。この二重エアゾール容器の内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に内容物を充填し、他方に噴射剤を充填することによって二重エアゾール製品となる。このような二重エアゾール製品のバルブを開放する噴射操作を行うことにより、噴射剤が内袋を押圧して内容物が噴射される。
このような二重エアゾール製品は、内容物を噴射剤と分離して吐出することができるため、例えばトリートメント剤、染毛剤など活性が高く金属を腐食しやすい内容物、粘性の高い内容物などを充填し、様々な用途に用いられている。
【0003】
一方、内袋を有しない通常の耐圧容器に内容物と噴射剤を充填した通常のエアゾール製品は、耐圧容器を振ると内容物が移動するため使用者は内容物の残量を感覚や音などで確認できるが、二重エアゾール製品は内容物が内袋に液密状態で充填されているため容器を振っても内容物は移動せず残量を確認するのが困難であった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1の図3のように、内袋内に異なる色からなる内容物を積層させて、少なく充填された色の内容物が最後に吐出させるように構成された二重エアゾール製品が知られている。つまり、使用者は少なく充填された色の内容物が吐出されてきたら残量が少ないことを認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、二重エアゾール製品の内袋は常時噴射剤によって圧力を受けているため、内袋の変形をコントロールし、少なく充填された色の内容物を安定して最後に吐出させることは困難であった。
本発明は、内容物の残量が少なくなったことを確認できる二重エアゾール製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重エアゾール製品は、耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、前記内袋および耐圧容器の口部を塞ぐエアゾールバルブと、前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、他方に充填される噴射剤とからなり、前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、前記内袋が強度の強い強化部位を有しており、その強化部位が最後に変形するように構成されており、前記内容物はそれぞれ色の異なる主色内容物と終色内容物とからなり、前記終色内容物は、前記強化部位が変形することによって吐出されるように充填されていることを特徴としている。
【0007】
このような二重エアゾール製品であって、前記強化部位が内袋の下部または下端に設け
られている、あるいは、前記強化部位が内袋の上部または上端に設けられているものが好ましい。また、前記強化部位が内袋を強化部材で補強することによって構成されている、あるいは、前記強化部位が内袋の形状によって構成されているものが好ましい。
【0008】
本発明の二重エアゾール製品の第2の態様は、耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、他方に充填される噴射剤とからなり、前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、前記噴射剤が圧縮ガスであり、前記内容物がガスが混入することによって発泡する発泡剤を有しており、前記内袋またはエアゾールバルブが噴射剤(圧縮ガス)の圧力が低下したときに圧縮ガスの内袋内への侵入を許す弁を有していることを特徴としている。つまり、内袋が変形し、噴射剤(圧縮ガス)を充填している空間体積が大きくなることによって圧力が低下する事象を利用している。
【0009】
本発明の二重エアゾール製品の第3の態様は、耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、他方に充填される噴射剤とからなり、前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、前記内袋が大きく変形することによって内袋から分離する分離部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の二重エアゾール製品の第4の態様は、耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、他方に充填される噴射剤とからなり、前記剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、前記エアゾールバルブのステムに装着され、複数の吐出孔を備えた吐出部材をさらに備えており、前記噴射剤が圧縮ガスであり、前記ステムから少なくとも2つの吐出孔までの通路の抵抗値が異なることを特徴としている。
【0011】
本発明の二重エアゾール製品の第5の態様は、耐圧容器と、その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、他方に充填される噴射剤とからなり、前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、前記噴射剤が圧縮ガスであり、前記エアゾールバルブに装着され、吐出孔を有する吐出部材をさらに備えており、前記吐出部材が内容物の流圧を検知する圧力センサと、その圧力センサの結果を表示する表示部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二重エアゾール製品は、内容物がそれぞれ色の異なる主色内容物と終色内容物とからなり、かつ、内袋が強度の強い強化部位を有しており、その強化部位が最後に変形するように構成されており、前記終色内容物は、前記強化部位が変形することによって吐出されるように充填されているため、終色内容物が確実に最後に吐出される。これにより使用者は内容物の残量を確認できる。
このような二重エアゾール製品であって、前記強化部位が内袋の下部または下端に設けられている場合、あるいは、前記強化部位が内袋の上部または上端に設けられている場合、内容物もその強化部位に応じて充填することができ、製造容易である。さらに、前記強化部位が内袋に強化部材を固定することによって構成されている場合、あるいは、前記強化部位が内袋の形状によって構成されている場合、内袋以外は従来公知の部品を使用でき、製造容易である。
【0013】
本発明の二重エアゾール製品の第2の態様は、噴射剤が圧縮ガスからなり、内袋が噴射剤(圧縮ガス)の圧力が低下したときに圧縮ガスの内袋内への侵入を許す弁を有しているため、内容物に圧縮ガスが溶解して吐出物が泡立ち始めると内容物の残量が少なくなってきたことがわかる。
【0014】
本発明の二重エアゾール製品の第3の態様は、内袋が大きく変形することによって内袋から分離する分離部材を備えているため、内容物が少なくなると分離部材が耐圧容器内に遊離し、二重エアゾール製品を振ったとき音がする。
【0015】
本発明の二重エアゾール製品の第4の態様は、エアゾールバルブのステムに装着され、複数の吐出孔を備えた吐出部材を備えており、噴射剤が圧縮ガスからなり、前記ステムから少なくとも2つの吐出孔までの通路の抵抗値が異なるため、内容物を吐出することによって噴射剤(圧縮ガス)の圧力が低下すると共に、内容物が吐出される吐出孔の数が減少する。これにより内容物の残量が確実にわかる。
【0016】
本発明の二重エアゾール製品の第5の態様は、噴射剤が圧縮ガスからなり、エアゾールバルブに装着され、吐出孔を有する吐出部材を備えており、吐出部材が内容物の流圧を検知する圧力センサと、その圧力センサの結果を表示する表示部とを備えているため、内袋の変形による内袋と耐圧容器との間の隙間の容積が増えるが、圧力センサによって噴射剤の圧力および内袋の変形度合い
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の二重エアゾール製品の一実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図2aは図1の二重エアゾール製品に用いられる内袋を示す断面側面図であり、図2b〜dは図1の二重エアゾール製品に用いることができる内袋の他の実施形態を示す断面側面図である。
【図3】本発明の二重エアゾール製品の他の実施形態を示す断面側面図である。
【図4】図3の内袋に内容物を充填したときの状態の断面側面図である。
【図5】本発明の二重エアゾール製品の他の実施形態を示す断面側面図である。
【図6】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図7】図7aは本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図7b、図7cはその状態を示す一部拡大図である。
【図8】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図9】図9a、bは本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す状態図である。
【図10】図10a、bは本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す正面図、側面図であり、図10cは本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す正面図である。
【図11】図11a、bは本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1の二重エアゾール製品10は、内容物の残量がある一定となったときにそれまでとは異なる色の内容物が吐出(噴射)されるものであり、可撓性を有する内袋11と、その内袋11を収容する有底筒状の耐圧容器12と、内袋11および耐圧容器12の開口部を塞ぐエアゾールバルブ13(以下、バルブ)と、内袋11に充填される内容物Aと、内袋11と耐圧容器12との間に充填される噴射剤Bとからなる。
【0019】
内袋11は、図2aに示すように、円筒状の胴部11aと、その下端を閉じる底部11
bと、その胴部11aの上端に形成されたテーパー状の肩部11cと、その肩部11cの上端に形成された円筒状の首部11dと、その首部11dの上端に形成されたフランジ部11eとからなる。また、胴部11aの下部あるいは下端の外周には、リング状の強化部材15が固定されている。つまり、この内袋11は、胴部11aの下部が強化部材15によって補強されており、この胴部11aの下部が強化部位となり、二重エアゾール製品10を操作したとき、この内袋11の胴部11aの下部が最後に変形する。
また、強化部材15は、想像線15aで示すように内袋の下部の内周面に固定あるいは配置されてもよい。この場合も同様に内袋11の胴部11aの下部が強化部位となる。
【0020】
図1に戻って、耐圧容器12は、胴部12a、底部12b、肩部12c、ビード部12dを備えた一体成形品である。しかし、他の耐圧性を有する容器を用いても良い。
バルブ13は、筒状のハウジング13aと、そのハウジング内に上下移動自在に収容されるステム13bと、そのステム13bを常時上向きに付勢するバネ13cと、ステム13bのステム孔を塞ぐステムラバー13dと、ハウジング13aの上部を覆い耐圧容器12に固定されるマウンティングカップ13eとを備えている。ハウジング13aの下端に連通孔13fが形成されており、ステム13bを下降させてバルブ13を開くことにより、内容物Aは連通孔13fよりハウジング13a内に導入され、さらに、ステム13bから吐出される。
【0021】
内容物Aは、粘性を有するゲルやクリーム、あるいは、吐出後に発泡する後発泡性ゲルやクリームなどであり、内容物の残量が十分にある状態で吐出される主色内容物A1と、内容物の残量が少ない状態で吐出される終色内容物A2とからなる。主色内容物A1と終色内容物A2とは、色が異なるだけで主成分(効果)は同じとなっている。そのため、使用者は吐出される内容物の色により残量を認識することができる。
この実施形態において、内容物Aは上下2層に、終色内容物A2が下に、主色内容物A1が上に充填されている。さらに、終色内容物A2は、内袋11の強化部材15によって強度が強化された胴部11aの下部によって囲まれた部位にのみ充填されている。この内容物Aの主色内容物A1と終色内容物A2の比率は、
50/50〜90/10、好ましくは60/40〜80/20である。主色内容物A1が90%より多いと(終色内容物A2が10%よりも少ない)、使用者が色変わりを認識した時点で必要量残っていない場合があり、使用途中で使いきってしまう。主色内容物A1が50%より小さくても残量を知らせる終色内容物A2の役割が薄れる。また、粘性の内容物を用いるとき、その粘度としては、500〜100,000(mPa・s)、好ましくは1,000〜80,000(mPa・s)である。100,000(mPa・s)より大きいと主色内容物A1と終色内容物A2を充填するときに両者の間で空気が混入しやすくなり、使用時に飛び散る恐れがあり、500(mPa・s)より小さいと主色内容物A1と終色内容物A2とが内袋内で混合されてしまう。
このような内容物Aとしては、染毛剤やトリートメント剤などのヘアケア剤、保湿剤、パック料、クレンジングなどのスキンケア剤などが挙げられる。
噴射剤Bは、液化石油ガスやジメチルエーテルなどの液化ガス、あるいは、窒素、一酸化窒素、酸素、空気などの圧縮ガスが用いられる。
【0022】
このように構成されているため、エアゾール製品10は、最初に主色内容物A1が吐出され、主色内容物A1が吐出されてから終色内容物A2が吐出される。つまり、最初は内袋11の胴部11aの下部以外が噴射剤によって変形し、最後に胴部11aの下部(強化部位)が変形する。そのため、使用者は終色内容物A2が吐出されてきたら残量がわずかであることを認識することができる。
【0023】
図2b〜図2dの内袋16a〜16cは、内袋11の代わりに用いることができるものである。
図2bの内袋16aは、内袋11と同様に胴部11a、底部11b、肩部11cと、首部11d、フランジ部11eを有しており、内袋11との相違点は胴部11aの下部17aの径が胴部11aに比べて細い点である。
図2cの内袋16bは、内袋11と同様に胴部11a、底部11b、肩部11cと、首部11d、フランジ部11eを有しており、内袋11との相違点は胴部11aの下部17bの肉厚が胴部11aに比べて厚いという点である。
図2dの内袋16cは、内袋11と同様に胴部11a、底部11b、肩部11cと、首部11d、フランジ部11eを有しており、内袋11との相違点は胴部11aの中央部18(下部17cを残した部位)に上下に延びる折線が形成されている点である。
図2b〜dの内袋16a〜16cは、いずれも胴部の下部17a〜17cが胴部の他の部位より外力に対する強度が高く、強化部位として働く。そのため、いずれの内袋16a〜16cを噴射剤で押圧しても、胴部の下部17以外が初めに変形して、最後に胴部の下部17a〜17cが変形する。これらの内袋16a〜16cの下部17a〜17cに終色内容物A2を充填し、他の部位に主色内容物A1を充填することにより、エアゾール製品10と同様の効果が得られる。
【0024】
図3のエアゾール製品20は、内袋21が下端に強化部位として作用する蛇腹21aを備えたものである。蛇腹21aの外径は胴部の外径よりも細くしている。また、耐圧容器12は、胴部、底部、肩部、首部を備えており、首部の下部に環状凹部12fが設けられた一体成形品である。首部12の上端は真っ直ぐに延びている。さらに、バルブ13は、ハウジング13aの上部を覆い耐圧容器を閉じる蓋体13gと、その蓋体の上に設けられ耐圧容器に固定されるキャップ13hとを備えたものである。他の構成は、図1のバルブと実質的に同じである。
【0025】
このエアゾール製品20は、蛇腹21aを軸方向に拡げた状態で内袋21を耐圧容器12に挿入し、その状態で終色内容物A2、主色内容物A1を順番に充填する。そのため、終色内容物A2は、図4に示すように、蛇腹21aの上端より若干下側まで充填する。この状態でも内袋の蛇腹21aは拡げられた状態にあるため、内袋21の上端21bが耐圧容器12の上端より上側に位置する。この状態でバルブ13の蓋体13gを内袋21内に嵌入するが、内袋の上端21bが耐圧容器12の上端より上側にあるため、バルブ13の嵌入操作が容易に行える。バルブ13を内袋21内に嵌入した後、蓋体13gを押下げて耐圧容器12を閉じる。このとき、図3に示すように、内袋21の蛇腹21aが軸方向に縮められる。そして、縮められた蛇腹21aは、半径方向の押圧に対する強度が強くなるため、強化部位として作用する。なお、蛇腹の外径を胴部よりも細くしているため、強化部位はより一層強くなる。最後に、キャップ13hで蓋体13gを固定する。
このようにエアゾール製品20は、製造段階においては、蛇腹21aが拡げられ、その製造を容易にし、製品状態では、蛇腹21aが縮められ強化部位として作用するものである。また、この内袋21は、図1のようなエアゾール容器に用いることもできる。この場合も、内袋内にバルブを嵌入する操作が容易になる。
【0026】
図5のエアゾール製品25は、内袋26の上部に強化部位を設けたものであり、内袋26の上部にリング状の強化部材27を固定したものである。また、バルブ13のハウジング13aの下端には、内袋26の底に向かって先端が延びるディップチューブ28が設けられている。他の構成は図1のエアゾール製品10と実質的に同じである。
この場合、主色内容物A1は下に充填され、終色内容物A2は上に積層して充填される。
このように構成されているため、エアゾール製品25も最初に主色内容物A1が吐出され、主色内容物A1が吐出されてから終色内容物A2が吐出される。つまり、最初に内袋26の胴部が噴射剤によって変形し、最後に内袋26の上部(強化部位)が変形する。そのため、図1のエアゾール製品と同様に、使用者は終色内容物A2が吐出されてきたら残
量がわずかであることを認識することができる。
【0027】
図6のエアゾール製品30は、内容物Aが内袋31と耐圧容器32の間に充填されており、噴射剤Bが内袋31に充填されているものであり、内袋31の下部31aが強化部位となっている。つまり、エアゾール製品30は、可撓性を有する内袋31と、その内袋31を収容する有底筒状の耐圧容器32と、内袋31および耐圧容器32の開口部を塞ぐバルブ33と、内袋31と耐圧容器32との間で強化部位31aの部位まで充填される終色内容物A2と、その他の内袋31と耐圧容器32との間に充填される主色内容物A1と、内袋31に充填される噴射剤Bとからなる。内袋31は、図2cの内袋20bのように下部31aの肉厚が他の部位に比べ厚くなっており、胴部、底部、肩部、首部とからなっている。耐圧容器32は、胴部、底部、肩部、首部とからなるものである。
【0028】
バルブ33は、ハウジング33aと、ステム33bと、ステムラバー33cと、バネ33dと、キャップ33eとからなり、ハウジング33aが内袋31と耐圧容器32との間と連通する連通孔34を有している。また、内袋31と耐圧容器32の間をシールするためにシール材35aと、そのシール材35aをキャップ33eで押圧して固定するための筒状の固定部材36とが設けられている。そして、キャップ33eを耐圧容器32の首部にカシメることによってバルブ33は固定される。つまり、内袋31と耐圧容器32の上端に、シール材35a、固定部材36、ハウジング33aのフランジ部37が積み重ねられ、キャップ33eで押圧しながら閉じられている。さらに内袋31とハウジング31aとの間にシール材35bが設けられている。
【0029】
このように構成されているため、このエアゾール製品30も最初に主色内容物A1が吐出され、主色内容物A1が吐出されてから終色内容物A2が吐出される。内袋31の下部31aを強化する方法としては、内袋の形状に応じて図2a〜dのタイプのいずれを用いてもよい。
【0030】
図7のエアゾール製品40は、噴射剤Bとして圧縮ガスを用いたものであり、エアゾール製品40の使用による圧力低下現象を利用して残量がわずかであることを使用者に認識させるものである。詳しくは、圧力の低下と共に吐出物の形態が変化するものである。
【0031】
エアゾール製品40の内袋41は、円筒状の胴部41aと、その下端に設けられた縮径部41bと、その下端を閉じる底部41cと、胴部41aの上端に形成されたテーパー状の肩部41dと、その肩部41dの上端に形成された円筒状の首部41eと、その首部41eの上端に形成されたフランジ部41fとからなる。また、縮径部41bには、内袋41と耐圧容器12との間の隙間と連通する連通孔42が形成されている。さらに、その連通孔42を塞ぐようにして縮径部41bの外周には弾性を有するリング43が設けられている。この連通孔42とリング43により、噴射剤Bの圧力が低下したときに噴射剤Bの内袋41内への侵入を許す弁を構成している。
【0032】
このように構成されているため、噴射剤Bの圧力が強い間は、リング43が連通孔42を強く押圧し、連通孔42をシールする(図7b参照)。一方、噴射剤の圧力が弱くなってくると、リング43による連通孔42のシール性が弱くなり、噴射剤である圧縮ガスが内袋41内に侵入する(図7c参照)。これにより内袋内の内容物に圧縮ガスが溶解する。そのため、使用者はエアゾール製品40を使用した際に吐出物が発泡してきたら、内容物の残量が少ないことを認識することができる。なお、吐出物の発泡を一層確実にするため、内容物に界面活性剤などの起泡剤を添加してもよい。
【0033】
図8のエアゾール製品45は、バルブ46のハウジング46aの下端から下方に突出した突出部47を備えており、その外周に連通孔47aが形成されている。また、その連通
孔47aを塞ぐようにリング43が設けられたものである。他の構成は、内袋48が強化部位を備えていないこと、内容物が1種類のみであることを除いて、図4のエアゾール製品30と実質的に同じものである。
【0034】
このように構成されているため、噴射剤の圧力が強い間は、リング43が連通孔47aを強く押圧し、連通孔47aをシールし、噴射剤の圧力が弱くなってくると、リング43による連通孔47aのシール性が弱くなる。そのため、噴射剤である圧縮ガスがハウジング46a内に侵入し、内容物に圧縮ガスが混合され、内容物が発泡する。そのため、使用者はエアゾール製品45を使用した際に吐出物が発泡してきたら、内容物の残量が少ないことを認識することができる。
【0035】
次の図9aに示すエアゾール製品50は、吐出される内容物の変化は見られないが、内容物の残量が少なくなると内袋から部材が分離するものである。つまり、内容物の残量が少なくなった状態でエアゾール製品50を振るとその分離した部材によって音がカラカラするものである。
エアゾール製品50は、中央にリング状の分離部材52が固定された内袋51を備えている。他の構成は内容物が1種類のみであることを除いて、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
内袋51は、図2の内袋11と同様に胴部、底部、肩部、首部、フランジ部を備えたものであり、胴部の中央部に環状の凹部51aを備えている点で図2の内袋11と異なる。
【0036】
このように構成されているため、内袋51に内容物Aが充填されている状態では凹部51aによって分離部材52がしっかり保持される。一方、エアゾール製品50を操作して内容物Aを吐出することにより、内袋51が変形すると環状の凹部51aも分離部材52を保持できなくなり、分離部材52が内袋51から分離する(図9b参照)。このように分離部材52は耐圧容器12内で遊離した状態となるため、エアゾール製品50を振ることにより分離部材52と耐圧容器12とが接触して音がなる。
【0037】
図9aのエアゾール製品50では、分離部材52を凹部51aで保持しているが、内袋に内容物Aが充填されている状態で分離部材52を保持し、内袋から内容物Aが吐出されて少なくなってから分離部材52を遊離するように構成されていれば、内袋に環状の突条を形成したり、他の機械的な構造を形成してもよい。さらに、内袋の変形によって分離するように分離部材52を接着剤等で内袋に固定してもよい。
さらに、例えば、図4あるいは図8のように内袋が膨らんでいく二重エアゾール製品では、内袋の外周にリング状の分離部材を設け、内袋が膨らむことにより分離部材が割れて、分離部材が内袋から分離するようにしてもよい。
【0038】
図10a、bのエアゾール製品60は、複数の吐出孔62を有する櫛型の噴射部材61を備えており、かつ、噴射剤として圧縮ガスを用いている。耐圧容器、バルブ、内袋からなるエアゾール容器65は従来公知の二重エアゾール容器が用いられる。
噴射部材61は、バルブのステム13bと係合する円筒状の係合部63と、その係合部の上端に設けられ、吐出孔62が形成された矩形状の櫛部64とからなり、ステム13bと吐出孔62を連通する噴射部材内通路61aが形成されている。なお、係合部63が内容物の導入孔となる。
係合部63は、下端にステム13bを挿入する部位であり、中心に係合部内通路63aが形成されている。
【0039】
櫛部64は、表面の上下中央に並べられた複数の吐出孔62a〜62gと、その吐出孔の両側に上下に並べられた複数の枝66とが形成されている。また櫛部64には、係合部63とそれぞれの吐出孔62とを連通する櫛部内通路64aが形成されている。この櫛部
内通路64aおよび係合部63の係合部内通路63aが噴射部材内通路61aを構成する。
それぞれの吐出孔62a〜62gは、櫛部内通路64aに等間隔で形成されている。つまり、それぞれの吐出孔62a〜62gと導入孔(係合部63)との距離(抵抗値)は異なる。そのため、導入孔(係合部63)から内容物を導入して吐出孔62a〜62gから内容物を吐出させるとき、内容物をそれぞれの吐出孔62a〜62gから吐出させるために必要な力が異なる。
【0040】
このように構成されているため、噴射剤(圧縮ガス)の圧力がある一定の値より大きいと内容物Aはすべての吐出孔62a〜62gの全てから吐出されるが、その圧力が一定値を下回ると内容物Aが吐出される吐出孔62の数が減少する。つまり、エアゾール製品60を使用することによって噴射剤(圧縮ガス)の圧力が低下すると、内容物を吐出する吐出孔62の数が減少する。本実施形態の図10aでは、上の吐出孔62aから順番に吐出されなくなり、図10cでは両端の吐出孔62aから順番に吐出されなくなる。そのため、エアゾール製品60の内容物の残量を確認することができる。例えば、図10aのように櫛部64の表面を三色(G(緑)、Y(黄)、R(赤))に分けることによってその残量が一層わかるようにしてもよい。
また、この図10aの実施形態では、導入孔から吐出孔までの距離によってそれぞれの吐出孔から内容物Aを吐出させるための抵抗値を変えたが、図10cに示すように、吐出孔62a〜62cの孔径を変えてその抵抗値を変えても良い。さらには、通路の径を変えたり、その通路上に抵抗体を設けたりしてもよい。
【0041】
図11のエアゾール製品70は、噴射部材71に圧力センサ72およびその値を表示する表示部73を設けたものである。このものも噴射剤として圧縮ガスを用いている。
噴射部材71は、柱状の基部74と、その側面から外方に突出したノズル75とからなる。
【0042】
基部74は、下端に設けられたステム係合部74aと、側面に設けられたノズル係合部74bと、それらを繋ぐ基部内通路74cとを備えている。基部内通路74cは、ステム係合部74aから上に延び、ノズル係合部74b近辺で略垂直(水平方向)に折れ曲がったものである。そのため、上方に流れる内容物を受ける屈曲した天部74dに圧力センサ72が取り付けられている。さらに、基部74の上面には、圧力センサ72の値によって色が変化して表示するように構成されたランプからなる表示部73が設けられている。
【0043】
ノズル75は、円筒状のものであり、基部がノズル係合部74bに挿入され、先端にノズルチップ76が取り付けられている。
このように構成されているため、噴射部材71を流れる内容物Aが圧力センサ72にぶつかり、その圧力値に基づいて表示部73の色が変化する。この実施の形態では、内容物の減少に伴う圧力降下を利用して表示部73の色等によって内容物の残量を確認することができる。ここでは圧力センサを用いたが、内容物の流速を測る流速センサを用いても良い。
【符号の説明】
【0044】
A 内容物
A1 主色内容物
A2 終色内容物
B 噴射剤
10 二重エアゾール製品
11 内袋
11a 胴部
11b 底部
11c 肩部
11d 首部
11e フランジ部
12 耐圧容器
12a 胴部
12b 底部
12c 肩部
12d ビード部
13 エアゾールバルブ(バルブ)
13a ハウジング
13b ステム
13c バネ
13d ステムラバー
13e マウンティングカップ
13f 連通孔
13g 蓋体
13h キャップ
15 強化部材
15a 想像線
16a、16b、16c 内袋
17a、17b、17c 胴部の下部
18 中央部
20 エアゾール製品
21 内袋
21a 蛇腹
21b 上端
25 エアゾール製品
26 内袋
27 強化部材
28 ディップチューブ
30 エアゾール製品
31 内袋
31a 下部
32 耐圧容器
33 バルブ
33a ハウジング
33b ステム
33c ステムラバー
33d バネ
33e キャップ
34 連通孔
35 シール材
36 固定部材
37 フランジ部
40 エアゾール製品
41 内袋
41a 胴部
41b 縮径部
41c 底部
41d 肩部
41e 首部
41f フランジ部
42 連通孔
43 リング
45 エアゾール製品
46 バルブ
46a ハウジング
47 突出部
47a 連通孔
48 内袋
50 エアゾール製品
51 内袋
51a 環状凹部
52 分離部材
60 エアゾール製品
61 噴射部材
61a 噴射部材内通路
62、62a〜62g 吐出孔
63 係合部
63a 係合部内通路
64 櫛部
64a 櫛部内通路
65 エアゾール容器
66 枝
70 エアゾール製品
71 噴射部材
72 圧力センサ
73 表示部
74 基部
74a ステム係合部
74b ノズル係合部
74c 基部内通路
74d 天部
75 ノズル
76 ノズルチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧容器と、
その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、
前記内袋および耐圧容器の口部を塞ぐエアゾールバルブと、
前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、
他方に充填される噴射剤とからなり、
前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、
前記内袋が強度の強い強化部位を有しており、その強化部位が最後に変形するように構成されており、
前記内容物はそれぞれ色の異なる主色内容物と終色内容物とからなり、
前記終色内容物は、前記強化部位が変形することによって吐出されるように充填されている、二重エアゾール製品。
【請求項2】
前記強化部位が内袋の下部または下端に設けられている、請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項3】
前記強化部位が内袋の上部または上端に設けられている、請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項4】
前記強化部位が内袋を強化部材で補強することによって構成されている、請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項5】
前記強化部位が内袋の形状によって構成されている、請求項1記載の二重エアゾール製品。
【請求項6】
耐圧容器と、
その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、
前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、
前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、
他方に充填される噴射剤とからなり、
前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、
前記噴射剤が圧縮ガスであり、
耐圧容器内の圧力が低下したときに圧縮ガスの内容物が充填されている側への侵入を許す弁を有している、二重エアゾール製品。
【請求項7】
耐圧容器と、
その耐圧容器に収容され、可撓性を有する内袋と、
前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、
前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、
他方に充填される噴射剤とからなり、
前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、
前記内袋が大きく変形することによって内袋から分離する分離部材を備えている、二重エアゾール製品。
【請求項8】
耐圧容器と、
その耐圧容器に収容され、可撓性を有する有底筒状の内袋と、
前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、
前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、
他方に充填される噴射剤とからなり、
前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、
前記エアゾールバルブのステムに装着され、複数の吐出孔を備えた吐出部材をさらに備えており、
前記噴射剤が圧縮ガスであり、
前記ステムから少なくとも2つの吐出孔までの通路の抵抗値が異なる、二重エアゾール製品。
【請求項9】
耐圧容器と、
その耐圧容器に収容され、可撓性を有する有底筒状の内袋と、
前記内袋および耐圧容器の開口部を塞ぐエアゾールバルブと、
前記内袋または内袋と耐圧容器との間の一方に充填される内容物と、
他方に充填される噴射剤とからなり、
前記噴射剤が内袋を押圧することによって内袋が変形し、内容物が噴射される二重エアゾール製品であって、
前記噴射剤が圧縮ガスであり、
前記エアゾールバルブに装着され、吐出孔を有する吐出部材をさらに備えており、
前記吐出部材が内容物の流圧を検知する圧力センサと、その圧力センサの結果を表示する表示部とを備えている、二重エアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−1232(P2012−1232A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136671(P2010−136671)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】