説明

二重底蓋包装用箱

【課題】簡単な構造で蓋片が補強され、異物の侵入や内容物の改ざんを確実に防ぐことができる二重底蓋包装用箱を提供する。
【解決手段】組立状態で略平行に対面する一対の側面16,20の端部から連なって箱体の底面をそれぞれ閉鎖する第一、第二底蓋片74,86を備える。第一底蓋片74には、その折罫線74に対して直角の側縁から延出した折返し片78,80が内側に折り返されて糊付けされている。第二底蓋片86は第一底蓋片74の外側に積層されて、解体用ミシン線90よりも先端側の第二底蓋片86が第一底蓋片74に糊付けされている。上蓋片50は、側面16から延出しその折罫線52に対して直角の側縁から延出した折返し片66,68が内側に折り返されて糊付けされ、上蓋片50の先端側には対面する側面に糊付けされる糊付け片56が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬剤等を収納し改ざん防止効果を高めた二重底蓋包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚のブランクシートから一体に打ち抜かれた箱体形成片を組み立てた包装用箱の一形態として、4側面の上下に上蓋と底蓋が設けられ開口部を閉鎖している構造のものがある。この蓋の構造は、一側面側延出した蓋片とその先端の差込片とから成り、差込片を側面の内側に差し込んで蓋片を側面に係止している。
【0003】
また、特許文献1,2に開示されているように、蓋片を補強するために蓋片の側縁部に折返し部を設け、折返し部を蓋片に糊付けしたものも提案されている。
【特許文献1】実開昭58−174420号
【特許文献2】実開平5−94119号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術の場合、蓋片が撓みやすく、蓋片を折返し部により補強しても、蓋片が湾曲して、箱内の空間と連通し、内部の商品の改ざんや抜き取り等が可能な状態であった。
【0005】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で蓋片が補強され、異物の侵入や内容物の改ざんを確実に防ぐことができる二重底蓋包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、1枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、この箱体形成片には、互いに平行に連接された側面と、組立状態で略平行に対面する一対の側面の端部から連なって箱体の底面をそれぞれ閉鎖する第一、第二底蓋片を備え、前記第一底蓋片には、その折罫線に対して直角の側縁から延出した折返し片が内側に折り返されて糊付けされ、前記第二底蓋片が前記第一底蓋片の外側に糊付けされ、前記第一底蓋片と対向する上蓋片が前記側面の一つから延出し、前記上蓋片の折罫線に対して直角の側縁から延出した折返し片が前記上蓋片の内側に折り返されて糊付けされ、前記上蓋片の先端側には対面する側面に糊付けされる糊付け片が設けられた二重底蓋包装用箱である。
【0007】
前記第二底蓋片には解体用ミシン線が形成され、前記第二底蓋片が前記第一底蓋片の外側に積層されて糊付けされたものである。
【0008】
前記上蓋片と第一底蓋片の内側には、前記側面から延出したフラップが各々位置し、このフラップの先端部は、互いに積層または近接して対向するように形成されたものである。
【0009】
前記第二底蓋片の解体用ミシン線は、平行な一対のミシン線から成り、前記上蓋片の先端部に設けられた糊付け片にも、平行な一対の開封用ミシン線が形成され、この開封用ミシン線の先端側が前記側面に糊付けされ、基端側は開封後に差込片となるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二重底蓋包装用箱は、簡単な構造であり、蓋片の湾曲を抑え、異物の侵入や内容物の改ざんや抜き取りを確実に防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3はこの発明の一実施形態の二重底蓋包装用箱10を示すものであり、この実施形態の二重底蓋包装用箱10は、厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てて設けられている。
【0012】
図1は箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、側面14,16,18,20が、互いに平行に連接して形成されている。さらに側面14の側縁部には、二重底蓋包装用箱10の組立状態で側面20の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。そして、糊付片22、側面14,16,18,20は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0013】
側面14の上下端部には、側面14の折罫線24,26の各端部間に雨滴形状を対称に二分した形状のフラップ32,34が、折罫線36,38を介して一体に形成されている。折罫線36,38には、一定間隔で切り溝が形成され、折り曲げ容易に形成されている。フラップ32,34の先端部は、箱体を形成した折り曲げ状態で、互いに近接して対向するように形成されている。
【0014】
側面16を介して連接された側面18の上下端部にも、側面18の折罫線28,30の各端部間に雨滴形状を対称に二分した形状のフラップ42,44が、折罫線46,48を介して一体に形成されている。折罫線46,48には、一定間隔で切り溝が形成され、折り曲げ容易に形成されている。フラップ42,44の先端部も、箱体を形成した折り曲げ状態で、互いに近接して対向または互いに積層するように形成されている。
【0015】
側面16の、折罫線26,28間に位置する上端部には、上蓋片50が折罫線52で区切られて設けられている。折罫線52には切り溝が一定間隔で形成され、上蓋片50の折罫線52とは反対側の端部には、さらに組立状態で側面20の外側に糊付けされる糊付け片56が、折罫線54を介して一体に形成されている。折罫線54にも切り溝が形成され、糊付け片56は、中央部には折罫線54と平行に2平行な一対の開封用ミシン線58が形成されている。一対の開封用ミシン線58間の一端部には、開封用のつまみ部60が設けられている。糊付け片56の開封用ミシン線58の先端側が、側面20に糊付けされる糊付け部62となり、基端側は開封後に箱内に差し込まれる差込片64となる。
【0016】
上蓋片50の折罫線52,54の両端部間には、上蓋片50の内側に折り返されて糊付けされる折返し片66,68が、折罫線70,72を介して上蓋片50の側縁から延出して形成されている。
【0017】
側面16の、折罫線26,28間に位置する下端部には、第一底蓋片74が折罫線76で区切られて設けられている。折罫線76には切り溝が一定間隔で形成されている。第一底蓋片74の折罫線76と直角の側縁部には、第一底蓋片74の内側に折り返されて糊付けされる折返し片78,80が、折罫線82,84を介して上蓋片50の側縁から延出して形成されている。
【0018】
側面20の折罫線30と直角の側縁部には、組立状態で第一底蓋片74の外側に位置して糊付けされる第二底蓋片86が、折罫線88を介して一体に形成されている。折罫線88にも切り溝が形成され、第二底蓋片86は、第一底蓋片74とほぼ等しい大きさに形成されている。第二底蓋片86の中央部には、折罫線88と平行に2平行な一対の解体用ミシン線90が形成されている。一対の解体用ミシン線90間の一端部には、開封用のつまみ部92が設けられている。そして、第二底蓋片86の解体用ミシン線90の先端側が、第一底蓋片74に糊付けされる。
【0019】
次に、この実施形態の二重底蓋包装用箱10の組立方法について説明する。なお、ここでは図1が二重底蓋包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0020】
まず、上蓋片50の折返し片66,68、及び第一底蓋片74の折返し片78,80の裏面に糊96を塗布し、折返し片66,68を折罫線70,72で正折りし、折返し片78,80を折罫線82,84で正折りし、各々上蓋片50と第一底蓋片74の裏面に糊付けする。次に、糊付け片22の表面に糊付けし、折罫線26を正折りし、折罫線30を正折りして、側面20の端縁部を糊付け片22に糊付けする。
【0021】
この後、収容物を箱内に入れる際に、折罫線24,26,28,30を各々90度に正折りして四角形の箱体にする。このとき、フラップ34,44を正折りして、第一底蓋片74を正折りし、第二底蓋片86を第一底蓋片74の外側に糊付けする。
【0022】
そして、商品を箱内に収納し、フラップ32,42を正折りして、上蓋片50を正折りし、糊付け片56の糊付け部62の裏面に糊付けして、折罫線54で正折りし、糊付け片56を側面20の外側に糊付けする。
【0023】
この実施形態の二重底蓋包装用箱10から商品を取り出すときは、つまみ部60を持って引き、開封用ミシン線58間を破ると上蓋片50が側面20から離れ、開封される。商品を取り出した後は、差込片64を箱体内に差し込んで上蓋片50を閉じることができる。
【0024】
また、不要になった二重底蓋包装用箱10を解体するときは、解体用ミシン線90間の開封用のつまみ部92を持って引き、解体用ミシン線90で第二底蓋片86を破ると、第二底蓋片86の基端部が開閉可能となり、二重底蓋包装用箱10をきれいに折り畳むことができる。
【0025】
この実施形態の二重底蓋包装用箱10によれば、簡単な構造であり、第一底蓋片74と第二底蓋片86により箱体底面が覆われ、箱体底面に隙間が形成されにくいものである。さらに、上蓋片50と第一底蓋片74には、折返し片66,68及び折返し片78,80が設けられ、側縁部を補強しているので、この点からも箱体開口部に隙間が形成されず、抜き取りや改ざんを確実に防止することができ、商品の安全性を確保することができる。
【0026】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、折返し片やフラップの形状等は、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態の二重底蓋包装用箱の展開図である。
【図2】この実施形態の二重底蓋包装用箱の上蓋片を開いた状態の斜視図である。
【図3】この実施形態の二重底蓋包装用箱の第二底蓋片を開いた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
10 二重底蓋包装用箱
12 箱体形成片
14,16,18,20 側面
32,34,42,44 フラップ
50 上蓋片
56 糊付け片
58 開封用ミシン線
64 差込片
66,68,78,80 折返し片
74 第一底蓋片
86 第二底蓋片
90 解体用ミシン線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、この箱体形成片には、互いに平行に連接された側面と、組立状態で略平行に対面する一対の側面の端部から連なって箱体の底面をそれぞれ閉鎖する第一、第二底蓋片を備え、前記第一底蓋片には、その折罫線に対して直角の側縁から延出した折返し片が内側に折り返されて糊付けされ、前記第二底蓋片が前記第一底蓋片の外側に糊付けされ、前記第一底蓋片と対向する上蓋片が前記側面の一つから延出し、前記上蓋片の折罫線に対して直角の側縁から延出した折返し片が前記上蓋片の内側に折り返されて糊付けされ、前記上蓋片の先端側には対面する側面に糊付けされる糊付け片が設けられたことを特徴とする二重底蓋包装用箱。
【請求項2】
前記第二底蓋片には解体用ミシン線が形成され、前記第二底蓋片が前記第一底蓋片の外側に積層されて糊付けされた請求項1記載の二重底蓋包装用箱。
【請求項3】
前記上蓋片と第一底蓋片の内側には、前記側面から延出したフラップが各々位置し、このフラップの先端部は、互いに積層または近接して対向するように形成された請求項1記載の二重底蓋包装用箱。
【請求項4】
前記第二底蓋片の解体用ミシン線は、平行な一対のミシン線から成り、前記上蓋片の先端部に設けられた糊付け片にも、平行な一対の開封用ミシン線が形成され、この開封用ミシン線の先端側が前記側面に糊付けされ、基端側は開封後に差込片となる請求項1または2記載の二重底蓋包装用箱。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−176520(P2007−176520A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375121(P2005−375121)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】