説明

二重筒状織物

【課題】 内外二重の筒状織物を織成すると共に、その内外の筒状織物を接結して一体のものとし、耐圧力や強度を十分に高めた二重筒状織物を提供することを目的とする。
【解決手段】 環状に配置された複数のたて糸4aと、当該たて糸4aと交差してスパイラル状に織り込まれたよこ糸5aとよりなる外層筒状織物2内に、同様に複数のたて糸4bとよこ糸5bとよりなる内層筒状織物3を配置し、その外層筒状織物2と内層筒状織物3とを互いに接結する。
【効果】 外層筒状織物と内層筒状織物とが重なっているので強度が大きく、且つその二層の筒状織物が接結されて一体化しているので、互いにずれることがなく、二層の筒状織物の耐圧力や強度が十分に高いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筒状織物に関するものであって、たて糸とよこ糸とを筒状に織成してなる筒状織物を内外二層に重ね、その両筒状織物を一体に接結した、二重筒状織物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般に筒状織物は、消防用ホースやフレキシブルコンテナなどとして広く使用されているが、それらは例えば特開2007−64370号公報や特開2005−193979号公報などに見られるように、大部分が一重のものであった。
【0003】
消防用ホースの分野においては、耐圧力を向上させるために筒状織物を二重にしたダブルジャケットホースも使用されているが、それらは筒状織物内に他の筒状織物を引き込んで二重にしたものであって、内圧が作用したときに外側と内側の筒状織物に均等に圧力を作用させることが困難であり、耐圧力が十分高いものではなかった。
【0004】
またフレキシブルコンテナにおいても、筒状織物を内外二重にして強度を高めることが考えられるが、使用中に内外の筒状織物がずれるとバランスが崩れ、強度が低下する可能性がある。
【特許文献1】特開2007−64370号公報
【非特許文献1】特開2005−193979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、内外二重の筒状織物を織成すると共に、その内外の筒状織物を接結して一体のものとし、耐圧力や強度を十分に高めた二重筒状織物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而して本発明は、環状に配置された複数のたて糸と、当該たて糸と交差してスパイラル状に織り込まれたよこ糸とよりなる外層筒状織物内に、同様に複数のたて糸とよこ糸とよりなる内層筒状織物を配置し、その外層筒状織物と内層筒状織物とを互いに接結してなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、前記外層筒状織物と内層筒状織物との間に接結たて糸を配置し、当該接結たて糸を外層筒状織物及び内層筒状織物におけるよこ糸と組織させて、外層筒状織物と内層筒状織物とを接結することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外層筒状織物と内層筒状織物とが重なっているので強度が大きく、且つその二層の筒状織物が接結されて一体化しているので、互いにずれることがなく、二層の筒状織物の耐圧力や強度が十分に高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図面は本発明の二重筒状織物1を示すものであって、図1はその横断面図であり、図2はその二重筒状織物を展開した状態の平面図である。
【0010】
而して本発明の二重筒状織物1は、外層筒状織物2と当該外層筒状織物2内に挿通された内層筒状織物3とよりなっており、その外層筒状織物2及び内層筒状織物3はそれぞれ、環状に配置された複数のたて糸4a、4bと、当該たて糸4a、4bと交差してスパイラル状に織り込まれたよこ糸5a、5bとよりなっている。
【0011】
図面においては、外層筒状織物2及び内層筒状織物3はそれぞれ平織り組織により織成されているが、筒状織物2、3の組織は平織り組織に限るものではなく、綾織り組織や畦織り組織などの組織で織成することもできる。
【0012】
6は接結糸であって、当該接結糸6は所定間隔ごとに外層筒状織物2と内層筒状織物3との間に配置されており、当該接結糸6が外層筒状織物2のよこ糸5a及び内層筒状織物3のよこ糸5bと組織されており、当該接結糸6により外層筒状織物2と内層筒状織物3とが一体に接結されている。
【0013】
なお図面の例においては、二重筒状織物1の周方向の四か所において接結されているが、二重筒状織物1の大きさや用途に応じて接結箇所の数を増減することができる。また接結の方法は、図面においては接結糸6を使用した中央接結によっているが、外層筒状織物2及び/又は内層筒状織物3のたて糸4a、4b及び/又はよこ糸5a、5bを互いに組織させて、普通接結により接結することもできる。
【0014】
本発明の二重筒状織物1は、外層筒状織物2と内層筒状織物3とが内外二重になっており、且つその外層筒状織物2と内層筒状織物3とが接結糸6により一体に接結されているので、二重の筒状織物2、3により強度が増強されていると共に、その外層筒状織物2と内層筒状織物3とが接結されていて互いにずれることがないので、二重筒状織物1に作用した力は外層筒状織物2と内層筒状織物3とが均等に負担し、増強された強度がずれにより損なわれることがない。
【0015】
従って消防用ホースにおけるダブルジャケットホースとする場合においては、耐圧性能の高いホースとすることができ、またフレキシブルコンテナとする場合においても、柔軟で強度の高いコンテナを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の二重筒状織物は、上述のようなダブルジャケットの消防用ホースやフレキシブルコンテナに使用するものに限られるものではなく、筒状織物を使用する種々の用途に広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の二重筒状織物の横断面図
【図2】本発明の二重筒状織物を展開した状態の平面図
【符号の説明】
【0018】
1 二重筒状織物
2 外層筒状織物
3 内層筒状織物
4a、4b たて糸
5a、5b よこ糸
6 接結糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配置された複数のたて糸(4a)と、当該たて糸(4a)と交差してスパイラル状に織り込まれたよこ糸(5a)とよりなる外層筒状織物(2)内に、同様に複数のたて糸(4b)とよこ糸(5b)とよりなる内層筒状織物(3)を配置し、その外層筒状織物(2)と内層筒状織物(3)とを互いに接結してなることを特徴とする、二重筒状織物
【請求項2】
前記外層筒状織物(2)と内層筒状織物(3)との間に接結たて糸(6)を配置し、当該接結たて糸(6)を外層筒状織物(2)及び内層筒状織物(3)におけるよこ糸(5a、5b)と組織させて、外層筒状織物(2)と内層筒状織物(3)とを接結したことを特徴とする、請求項1に記載の二重筒状織物

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−270236(P2009−270236A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124173(P2008−124173)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】