交差壁を伴う閉じ構造を織る方法
【課題】繊維強化コンポジットのための織りプリフォーム、およびその製造方法の提供。
【解決手段】
この発明は、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造からなるポリマーマトリックスコンポジットのための繊維プリフォームを機械織りする技術である。特には、この発明は、プリフォームの各セル内に連続した輪状の強化を伴い、外側端に閉じたセルを備える織りプリフォームおよびその形成方法である。織りプリフォームは、縦糸および横糸の両方向に平らに織り、その後に開いて構造の最終的な形を得る。コンポジットの構造部材にするには、樹脂トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸などの方法を用いる。したがって、この方法を用いることにより、いろいろな大きさの複雑な形を今までの織り機で織ることができる。
【解決手段】
この発明は、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造からなるポリマーマトリックスコンポジットのための繊維プリフォームを機械織りする技術である。特には、この発明は、プリフォームの各セル内に連続した輪状の強化を伴い、外側端に閉じたセルを備える織りプリフォームおよびその形成方法である。織りプリフォームは、縦糸および横糸の両方向に平らに織り、その後に開いて構造の最終的な形を得る。コンポジットの構造部材にするには、樹脂トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸などの方法を用いる。したがって、この方法を用いることにより、いろいろな大きさの複雑な形を今までの織り機で織ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強化コンポジット材料のための織りプリフォームに関し、特には、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)から構成される繊維プリフォームを機械織りする方法に関する。
【引用による組み入れ】
【0002】
ここで引用するすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、およびここで述べる製品についての製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0003】
構造的な構成要素あるいは部品を製造するために、強化コンポジット材料を用いることは、今や一般的である。特に、重さが軽いこと、強固、丈夫、耐熱性、自らを支える能力、および形作る上で適合するという、好ましい特性が求められるところでは広く普及している。そのような構成要素あるいは部品は、たとえば、航空、航空宇宙産業、人工衛星、レクレーション分野(レース艇やレーシングカーなど)、およびその他の分野で用いられる。
【0004】
そのような構成要素あるいは部品は、典型的に、マトリックス材料の中に埋め込んだ強化素材から構成される。強化の構成部分は、ガラス、炭素、セラミックス、アラミド、ポリエチレン、および/または、物理的、熱的、化学的および/またはその他の好ましい特性、第1には応力に対する大きな耐久性を示すその他の材料から構成される。そのような強化材料、それらは結局は完成品の構成要素になるのであるが、それらを使用するとき、たとえば非常に大きな強度のようなそれら強化素材の望ましい特性が、完成したコンポジット部品に授けられることになる。構成要素である強化材料は、典型的には、織られたり編まれたり、不織であるいはその他のやり方で強化プリフォームのための好ましい形状および形に形成される。通常、選択理由である強化材料の特性が最大限に活用されるように注意が図られる。また、そのような強化プリフォームについては、マトリックス材料と組み合わせることにより必要な完成品を得たり、あるいは、完成品の最終生産のために役立つ在庫品を得る。
【0005】
必要な強化プリフォームを構成した後、マトリックス材料をプリフォームへと導く。それにより、強化プリフォームは、マトリックス材料で包まれ、マトリックス材料は強化プリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋める。マトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミックス、炭素および/またはその他の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。マトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。しかし、通常、それらは強化プリフォームと同じ材料ではなく、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似しない。なぜなら、第1にコンポジットを用いる通常の目的は、ただ一つの構成材料だけでは得ることができない組合せ特性を完成品で得ることにあるからである。強化プリフォームおよびマトリックス材料は、そのように組み合わされた後、熱硬化処理あるいは他の公知の方法で同じ作業工程において硬化および安定化され、さらに、目的とする構成部品を製造するための他の作業工程に入る。ここで、そのように硬化した時点において、マトリックス材料の固体化したものが、通常、強化材料(たとえば、強化プリフォーム)に非常に強く付着していることに気付くことが大事である。結局、完成品上の応力が、繊維間の接着剤として機能するそのマトリックス材料を特に通して、補強された強化プリフォームの構成材料に有効に移され保持される。
【0006】
構成要素あるいは部品にしばしば求められることは、たとえば平板、薄板、長方形あるいは正方形の立体などの幾何学的に単純な形状以外の形状のものを製造することである。これに応えるための一つの方法は、そのような基本的な幾何学形状を組み合わせることにより、求められる複雑な形態にすることである。そのような典型的な組合せの一つは、上で述べたようにして作った強化プリフォームを互いに角度をもって(典型的には、直角)接合することにより作ったものである。そのような角度をもって強化プリフォームを接合し配列する普通の目的は、1または2以上の端壁を含む強化プリフォームを形作る狙いとする形を作り出すこと、あるいは、強化プリフォームの組合せで得たものおよびコンポジット構造について、圧力や張力などの外力を受けた場合でもたわみや破損に耐えられるように強化することである。とにかく、関連する動機は、構成する構成要素間の各連結をできるだけ強固にすることである。強化プリフォームの構成要素それ自体に求められる非常に大きな強度が与えれれるとき、構造上の「チェーン」における「弱いリンク」となるのが、実際上、連結における弱さである。
【0007】
これらのタイプの構造についての技術の現況といえば、粘着性のファブリックあるいはプリプレグの個々の層を横たえて最終的な形を形成している。結果としての積層プリフォームは、その後、樹脂トランスファー成形(粘着性のファブリックを用いる場合)、あるいは真空バッグ成形および硬化(プリプレグを用いる場合)を行う。関連技術として、米国特許第5,451,448号がある。その技術は、コンポジットの多層のフレキシブルなブランケット断熱材に関し、連続した織りファブリックが多層になった上部織りファブリック層と、下部織りファブリック層と、高温断熱層と、任意の反射遮蔽層およびスペースとを含み、それらのすべてを織りセラミックファブリックを用いて結合したものである。上部織りファブリックと下部織りファブリックの両層とは、織りセラミックファブリックのリブ構造によって、上部ファブリック層あるいは下部ファブリック層のいずれかの表面から角度をもって互いに結合し、それにより、上部ファブリック層と下部ファブリック層およびリブ構造との間に三角形の角柱あるいは台形の角柱を作り出す。
【0008】
米国特許第6,418,973号は、セラミックコンポジットのための織りプリフォームであり、繊維材料の織り糸からなる複数の層と、層間に伸びる構造部材とを備える。構造部材は、層と一緒に流路を定める壁であろう。これが示す方法によれば、個々のシートあるいは層の間に必要な距離をもたせた織り用プリフォームが必要であり、織りの時点でシートを物理的に所定距離離すようにしなければならない。それでは、製造すべき構造物の大きさや形が制限されるだけでなく、一般の織機で容易に製造することができなくなる。加えて、そこにおけるプリフォームは、その外側側面に閉じたセル(区画)がなく、しかも、各セル内に連続した輪状の強化となるような横糸の経路を選択することができない。その結果、プリフォームは、外側側面に開いたセルと、内圧の負荷について非常に弱いセルとを生じる。したがって、プリフォームの各セル内に連続した輪状の強化を伴う閉じたセルを備える織りプリフォーム、およびその形成方法が求められるところである。
【0009】
この発明は、今までの技術の欠点を克服し、織りプリフォームを提供するために手間がかからないなどの利点を得るものである。この発明では、ユニークな平形機械織り技術を採用し、最初に平織りしたプリフォームを形成し、その後で折り開いて最終的な形を得る。
【発明の概要】
【0010】
この発明は、強化コンポジット材料のための織りプリフォーム、およびその形成方法に関する。特に、この発明は、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)から構成されるポリマーマトリックスコンポジットのための繊維プリフォームを機械織りする方法に関する。
【0011】
そこで、この発明の一実施例は、水平方向に向く複数の層によって水平な複数の層と垂直な複数の層とを一体に織った織りプリフォームを含む繊維強化コンポジットである。垂直な複数の層が水平な層間に構造部材として伸び、水平な複数の層は垂直な複数の層と一緒になってプリフォームの内部に複数の貫通セルを定める。織りプリフォームについては、ポリマーマトリックス材料を含浸させることにより最終の構造を形作る。プリフォームは、外側側面に閉じたセルを伴う閉じ構造(囲い)を備えるが、周辺に織った横糸繊維が閉じたセルを定める。それらのセルについては、縦糸方向(外側側面が周辺に織った横糸繊維で定まる方向)あるいは横糸方向に伸ばし、正方形あるいは長方形の形にすることができる。プリフォームは、周辺に織った横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える。
【0012】
この発明の一実施例は、次の各工程を含む繊維強化コンポジットの製造方法である。すなわち、垂直な複数の層とともに、水平な複数の層を一体に織ることによってプリフォームを形成する工程と、織った後でプリフォームを広げる工程であり、それにより、垂直な複数の層が水平な層間に構造部材として伸び、水平な複数の層は垂直な複数の層と一緒になってプリフォームの内部に複数の貫通セルを定めるようにする工程とを含む製造方法である。織りプリフォームについては、トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸によってポリマーマトリックス材料を含浸させることができる。プリフォームは、また、周辺に横糸繊維を織ることによって、外側側面に閉じたセルを伴う閉じ構造(囲い)をもつように織ることができる。セルは、縦糸方向(外側側面が周辺に織った横糸繊維で定まる方向)あるいは横糸方向に伸ばし、正方形あるいは長方形の形にすることができる。プリフォームには、周辺に織った横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を形作ることができる。
【0013】
したがって、この発明の目的は、今までの積層コンポジットにあった個々の層間の樹脂層をなくすことにより、接合部分ですべての繊維を一緒に固定することであり、それにより、層剥離の可能性をなくし、損傷に対する耐性を改善することである。
【0014】
この発明の他の目的は、プリフォームの水平な壁内の繊維のすべてを垂直な壁を通して連続するよう、あるいは逆に、垂直な壁内の繊維を水平な壁を通して連続するようにし、それにより、交差部分における構造の強度を増進することである。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、内部の壁の横糸繊維を外部の壁に織り込むようにプリフォームを織り、それによって、強度の増強、および損失に対する耐性を改善することである。
【0016】
この発明のさらに他の目的は、今までの積層技術でこれらの構造を組み立てるのに必要な手作業のほとんどすべてをなくすことである。この発明のプリフォームは、織って形を作り、単一のものを型の中に置く。それにより、製造時間および費用を低減する。
【0017】
この発明のさらに他の目的は、性能および構造的な効率を改善した一体織りのプリフォームを安価な製造コストで提供し、多数の構造的な構成要素を接合することに関する追加的な工程を避けることである。
【0018】
この発明のさらに他の目的は、切断が必要なエッジに沿う余分な材料をなくすようにエッジをトリミングすることを避け、それにより、時間およびコストを低減すること、そしてまた、粘着付与剤の必要性をなくし、それによって、主要な樹脂との不和合性の問題をなくすことである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、ボルトあるいはリベットのためのドリルによる孔開け、すなわち、複雑な金属構造を形作るとき金属部品を結合するために伝統的に用いていた孔開けを不要とした、コンポジット構造に用いる一体織りのプリフォームを提供することである。
【0020】
この発明のさらに他の目的は、伝統的な金属構造の場合のようには大きさや形が変化せずに、広い温度範囲にわたって非常に安定した一体織りのプリフォームを提供することである。
【0021】
この発明のさらに他の目的は、縦糸方向および横糸方向の両方に平らに織ることができる一体織りのプリフォームを提供することである。このようにして、今までの織り機であらゆる大きさの複雑な形を織ることができる。この発明のプリフォームは、平らに織った後、広げることで構造の最終的な形を得る。それにより、この方法を用いて製造すべき構造のタイプの自由度が増すことになる。
【0022】
この発明は、多くの適用をすることができる。それに限定されるわけではないが、たとえば、流体が開水路を通して流れる熱交換器、電気配線や構造に邪魔をされずに走る液圧管路などの他の構成要素を受け入れる配線管がある構造パネル、そして、妨害用金属片カートリッジを開水路に入れた航空機における妨害用金属片供給システムに用いることができる。
【0023】
これらおよび他の目的ならびに利点については、この発明の説明から明らかになるであろう。繊維強化については、今までの一般的な織り機で織ることができるものである。そこで織られたものは、樹脂の含浸に先立って、好ましくないひずみを繊維に生じさせることなく最終的な形にする。
【0024】
この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的について良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。
【0025】
「繊維(fibers)」および「糸(yarns)」の用語は、全体にわたって交換可能に用いており、同等の意味をもつ。また、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。さらに、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(a)図である。
【図1b】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(b)図である。
【図1c】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(c)図である。
【図2a】この発明の一形態の織りプリフォームを形成する工程を示す(a)図である。
【図2b】この発明の一形態の織りプリフォームを形成する工程を示す(b)図である。
【図3a】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(a)外形図である。
【図3b】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(b)外形図である。
【図3c】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(c)外形図である。
【図4a】この発明の一形態の半渦巻き手法における横糸の典型的な糸経路あるいは横糸シークエンスを示す。
【図4b】この発明の一形態による織りプリフォームの横糸方向における(b)断面図である。
【図4c】この発明の一形態による織りプリフォームの横糸方向における(c)断面図である。
【図5】この発明の一形態による織りプリフォームの外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図6a】この発明の一形態による織りプリフォームの(a)外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図6b】この発明の一形態による織りプリフォームの(b)外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図7a】この発明の一形態による織りプリフォームを示す(a)図であり、プリフォーム織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図7b】この発明の一形態による織りプリフォームを示す(b)図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図8】この発明の一形態による織りプリフォームを織る際の横糸の典型的なシークエンスを示し、プリフォームは3つの水平セルおよび3つの垂直セルを備えている。
【詳細な説明】
【0027】
さて、この発明について添付図面を参照しながらさらに詳しく説明する。図面には、発明の好ましい実施例を示している。しかし、この発明は、多くの異なる形で実施することができ、ここに図示した実施例に限定されるものではない。むしろ、図示した実施例は、この開示が一貫した完結したものであり、当業者に対し、この発明の範囲を充分に伝えるであろう。
【0028】
以下の説明において、同様の参照番号は、図の全体を通して、同様か、あるいは対応する部分を示す。その上、以下の説明において、「垂直の」、「水平な」、「外側の」および「内側の」ならびに類似の表現は、便宜上の用語であり、その用語に限定されるわけではない。
【0029】
図面を参照すると、図1a〜1cは、この発明の一実施例である織りファブリックあるいはプリフォーム50において、十字形の結合60を形成する内容の詳細を示す。この実施例では、プリフォームの内部で横糸がある内壁から他の内壁へと進む。図1aは、特に、縦糸繊維/糸30,40の2つの層と横糸繊維/糸10,20とを織り交ぜることによって作った、ファブリック50の2つの層を示す。その中で、縦糸30は必要なパターンで横糸10とだけ織って上部の層を形成し、そして、縦糸40は必要なパターンで横糸20と織ってファブリック50の下部の層を形成する。それを、プリフォームの内部の垂直壁の高さが所定の高さ「h」になり、内部の水平壁の長さが所定の長さ「l」になるまで行う。垂直壁の所定の高さ「h」および内部の水平壁の所定の長さ「l」は、製造すべきプリフォームの最終的な大きさに基づく。所定の高さ「h」および所定の長さ「l」に到達したら、縦糸30と縦糸40の位置を入れ替える。それにより、縦糸40が上部の層に位置し、縦糸30がファブリックの下部の層に位置することになる。しかし、横糸10,20は、横糸10が縦糸40と織り交わり、横糸20は縦糸30と織り交わるようにそれらの位置を維持する。留意すべきは、ファブリック50の2つの織り層が縦糸繊維/糸および横糸繊維/糸に何ら途切れ(破損)を生じることなく互いに素通りし、そのことが全構造を通して一貫して観察されることである。
【0030】
ファブリック50を織った後、プリフォームは平らなシートとして織り機から外す。プリフォームを図1bに示す矢印方向に引いて広げると、縦糸と横糸とに
途切れ(破損)がない、連続した交差繊維であり、非常に強度が大きい十字形の結合60がある。
【0031】
図2aおよび2bは、この発明の一実施例である織りファブリックあるいはプリフォーム150の形成について示す。図2aは、特に、上で述べた方法により、横糸の5つの層と縦糸51〜55の5つの層とを用いて形成したプリフォーム150の縦糸方向における断面を示す。図2aが示すように、それらの縦糸の層51〜55が、プリフォームの所定の長さの等しい長さの位置で入れ替わっていることが分かる。図2bは、織ったプリフォーム150の最終的な形を示す正面図である。その最終的な形は、織り機から取り外した後で平らなプリフォーム150を引いて開いた際の形である。プリフォーム150は、引いて広げたとき、「卵の仕切りケース」の形をしていることに気付くであろう。これは、正に先の実施例で述べた十字形の結合の集合である。
【0032】
図3a〜3cは、プリフォーム150の外形であり、プリフォーム150の最終的な形を形成する工程を示している。図3aは、特に、織って織り機から外した平らなプリフォーム150を示す。図3bは、一部開いたプリフォーム150の外形図であり、図3cは、最終的な形のプリフォーム150の外形図である。上述したような形のプリフォームを製造する上で、有ひ織り機が最も適切であるが、他の織り技術、たとえばジャカード織りやレピア織り機を用いてこの発明の織りプリフォームを製造することもできる。プリフォームに必要とする厚さおよび密度に基づいて、織りパターン(たとえば、平織り、朱子織り、あや織りなど)を選択することができる。
【0033】
図4a〜4cには、この発明の一実施例であり、織りプリフォーム250の形成方法を示している。織りプリフォーム250は、プリフォームの全体構造を横切る単一の横糸200を備える。その横糸は、半渦巻き手法を適用し、縦糸の2またはそれより多い層と織り交ぜ、プリフォーム中に閉じた縦糸管路あるいはセル220を形成する。この半渦巻き手法における横糸200の典型的な糸経路あるいは横糸シークエンスを、図4aの工程1〜8に示す。ここにおけるプリフォームは、横糸繊維/糸200を輪状になるように連続させるように織る。そのようにして得る構造は、図4cの断面図が示すように、引いて開いたときプリフォーム250の側面のすべてが閉じた構造になる。プリフォーム250の長さ「l1」は織り機の幅によって制限されるだけである。しかし、壁の高さ「h1」については、実際上、どのような大きさにもすることができる。なぜなら、プリフォーム250は、たとえば図4bに示すように、縦糸方向には連続した部品として織り機から外すからである。図5は、織り側壁、両側に閉じたセル220、そして各セル内に輪状の連続した強化を備えるプリフォーム250の外形図を示す。
【0034】
この発明の一実施例は、その内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)を備える繊維プリフォーム100の機械織り方法である。プリフォーム100は、図7aに示すように平らに織り、それから図7bに示すように、折り広げてセル式の構造を形作る。折りは有ひ織り機で行うが、横糸繊維/糸110が内部壁の交差を通して連続するように織り、図7bに示すように、プリフォーム100の側面のすべてが閉じるようにする。図6aに示すように、3つの水平セル445および3つの垂直セル445を伴うプリフォーム450を織る際の典型的な横糸シーケンスあるいは糸経路を図8に示す。図6aに示すように、横糸繊維/糸を内部壁400から外部壁410の中へと連続的に織り、t−結合370を、そして、内部壁400から内部壁400の中へと連続的に織り、十字形の結合360をそれぞれ形成していることが分かるであろう。また、図8において、パターンの繰り返しのすべてを5つの部分集合にしている。2つは水平な内部壁400を外部壁410の中に織り、2つは垂直な内部壁400を外部壁410の中に織り、そして、1つは外部壁のすべてを通る連続した繊維を提供する。5番目の部分集合を追加して繰り返すことによって、必要とする内部壁の厚さに比べて、外部壁の厚さを増すことができる。
【0035】
また、5つの横糸の部分集合は、どの順序で織ることもできる。縦糸方向のパターンについては、横糸繊維を一緒に固定することができるものならどれをも用いることができる(すなわち、平織り、朱子織り、あや織りなど)。図8に示すパターンは、各壁に単一の縦糸層をもつプリフォームを生み出すであろう。同じ手法を用いて、各壁に多数の縦糸層をもつプリフォームを織ることができる。その場合、縦糸層のそれぞれについて図示する横糸経路を1回繰り返し行い、縦糸繊維について、多層を一緒に固定するパターンを織ることが必要である。すなわち、厚さ方向角編み(through thickness angle interlock)、厚さ方向直交(through thickness orthogonal)、層重ね(ply-to-ply)などで固定することができる。たとえば、厚さ方向角編み技術で固定するとき、縦糸繊維を角度(この角度は横糸の間隔によって定まる)をもってプリフォームの全厚さを貫いて通す。また、厚さ方向直交技術で固定するとき、隣接する横糸コラム間のプリフォームの全厚さを貫いて縦糸繊維を通す。そのため、厚さ方向の構成要素は、ファブリックの面に対して多少なりとも直交する。このタイプの技術では、通常、横糸の2つの層間に織ることなく単に通る縦糸「スタファ糸」を含ませる。さらに、層重ね技術で固定するとき、縦糸繊維はプリフォームの全厚さの一部だけを通り、2またはそれより多い層を一緒に固定する。縦糸は、通常、角編みによる固定と同様に、ある角度をもって固定する。たとえば、プリフォームの層1は層2に対し、層2は層3に対し、というように各層を固定する。この実施例では3Dの一体織りのプリフォーム350の形成方法を示す。そのプリフォーム350は、図6bに示すように、2つの織り外壁320および1または2以上の水平な織り内壁330を備える。織り外壁320と水平な織り内壁330とは、多数の垂直な織り内壁340で一体に結合されている。多数の垂直な織り内壁340には、織りプリフォーム350の垂直な外端を含ませることもできるし、含ませなくとも良い。得る構造は、結果的に、図6bに示すように、複合的な結合360,370を伴う多セルの織りプリフォーム350である。図6aには、この実施例の変形のプリフォーム450を示す。プリフォーム450は、少なくとも4つの互いに間隔をもって配置した層410〜440を備え、それら層間には垂直な壁400がある。それらの層と壁とは、構造の縦糸方向に伸びる流路445を定めている。
【0036】
この発明による繊維プリフォームについては、樹脂トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸などの方法を用いて、コンポジット構造部品にすることができる。このように、この発明の一実施例は繊維強化コンポジットである。
【0037】
結果物である構造の典型的な用途には、2方向に(すなわち、強化パネルの基礎部分)強化を要するもの、およびコンパートメントを多数連結する必要があるものを含む。この発明のプリフォームは、多くのものに適用することができる。それに限定されるわけではないが、たとえば、流体が開水路を通して流れる熱交換器、電気配線や構造に邪魔をされずに走る液圧管路などの他の構成要素を受け入れる配線管がある構造パネル、そして、妨害用金属片カートリッジを開水路に入れた航空機における妨害用金属片供給システムに用いることができる。
【0038】
今までの技術を超えるこの発明の利点のいくつかは次のとおりである。
・すべての繊維が結合の部分で一緒に固定されるため、今までの積層コンポジットで行っていた各層の間の樹脂層をなくすことができ、それによって、層剥離の可能性をなくし、損傷に対する耐性を改善することができる。
・プリフォームの水平な壁内の横糸繊維のすべてを垂直な壁を通して連続するよう、あるいは逆に、垂直な壁内の繊維を水平な壁を通して連続するようにし、それにより、強度の増進を図ることができる。2つの内部壁の交差部分の結合は、たとえば図6aや6bに示す十字形の結合360である。
・外部の壁の部分で、内部の壁の横糸繊維を外部の壁に織り込むようにプリフォームを織り、それによって、強度の増強、および損失に対する耐性を改善することができる。内部壁と外部壁の交差部分の結合は、たとえば図6aや6bに示すTあるいはt結合370である。
・この発明の技術を用いることにより、今までの積層技術でこれらの構造を組み立てるのに必要な手作業のほとんどすべてをなくすことができる。この発明のプリフォームは、織って形を作り、単一のものを型の中に置く。それにより、製造時間および費用を低減することができる。
・この発明のプリフォームは、どの側面も閉じ構造であり、それにより、トリミング工程をなくし、時間およびコストをも低減することができる。
・粘着付与剤の必要性がなく、時間およびコストを低減すすることができ、そしてまた、主要な樹脂との不和合性の問題をなくすことができる。
【0039】
以上のように、この発明によれば、その目的および利点を実現することができる。この発明の好ましい実施例について詳しく述べたが、この発明は、それらに限定されるわけではない。この発明の考え方の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定まる。
【符号の説明】
【0040】
10,20 横糸繊維/糸
30,40 縦糸繊維/糸
50 プリフォーム
60 十字形の結合(継手)
100 プリフォーム
110 横糸繊維/糸
150 プリフォーム
200 横糸
220 セル
250 プリフォーム
320 外壁
330 内壁
350 プリフォーム
360 十字形の結合(継手)
370 t−結合(継手)
400 内部壁
410 外部壁
450 プリフォーム
【技術分野】
【0001】
この発明は、強化コンポジット材料のための織りプリフォームに関し、特には、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)から構成される繊維プリフォームを機械織りする方法に関する。
【引用による組み入れ】
【0002】
ここで引用するすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、およびここで述べる製品についての製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0003】
構造的な構成要素あるいは部品を製造するために、強化コンポジット材料を用いることは、今や一般的である。特に、重さが軽いこと、強固、丈夫、耐熱性、自らを支える能力、および形作る上で適合するという、好ましい特性が求められるところでは広く普及している。そのような構成要素あるいは部品は、たとえば、航空、航空宇宙産業、人工衛星、レクレーション分野(レース艇やレーシングカーなど)、およびその他の分野で用いられる。
【0004】
そのような構成要素あるいは部品は、典型的に、マトリックス材料の中に埋め込んだ強化素材から構成される。強化の構成部分は、ガラス、炭素、セラミックス、アラミド、ポリエチレン、および/または、物理的、熱的、化学的および/またはその他の好ましい特性、第1には応力に対する大きな耐久性を示すその他の材料から構成される。そのような強化材料、それらは結局は完成品の構成要素になるのであるが、それらを使用するとき、たとえば非常に大きな強度のようなそれら強化素材の望ましい特性が、完成したコンポジット部品に授けられることになる。構成要素である強化材料は、典型的には、織られたり編まれたり、不織であるいはその他のやり方で強化プリフォームのための好ましい形状および形に形成される。通常、選択理由である強化材料の特性が最大限に活用されるように注意が図られる。また、そのような強化プリフォームについては、マトリックス材料と組み合わせることにより必要な完成品を得たり、あるいは、完成品の最終生産のために役立つ在庫品を得る。
【0005】
必要な強化プリフォームを構成した後、マトリックス材料をプリフォームへと導く。それにより、強化プリフォームは、マトリックス材料で包まれ、マトリックス材料は強化プリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋める。マトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミックス、炭素および/またはその他の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。マトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。しかし、通常、それらは強化プリフォームと同じ材料ではなく、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似しない。なぜなら、第1にコンポジットを用いる通常の目的は、ただ一つの構成材料だけでは得ることができない組合せ特性を完成品で得ることにあるからである。強化プリフォームおよびマトリックス材料は、そのように組み合わされた後、熱硬化処理あるいは他の公知の方法で同じ作業工程において硬化および安定化され、さらに、目的とする構成部品を製造するための他の作業工程に入る。ここで、そのように硬化した時点において、マトリックス材料の固体化したものが、通常、強化材料(たとえば、強化プリフォーム)に非常に強く付着していることに気付くことが大事である。結局、完成品上の応力が、繊維間の接着剤として機能するそのマトリックス材料を特に通して、補強された強化プリフォームの構成材料に有効に移され保持される。
【0006】
構成要素あるいは部品にしばしば求められることは、たとえば平板、薄板、長方形あるいは正方形の立体などの幾何学的に単純な形状以外の形状のものを製造することである。これに応えるための一つの方法は、そのような基本的な幾何学形状を組み合わせることにより、求められる複雑な形態にすることである。そのような典型的な組合せの一つは、上で述べたようにして作った強化プリフォームを互いに角度をもって(典型的には、直角)接合することにより作ったものである。そのような角度をもって強化プリフォームを接合し配列する普通の目的は、1または2以上の端壁を含む強化プリフォームを形作る狙いとする形を作り出すこと、あるいは、強化プリフォームの組合せで得たものおよびコンポジット構造について、圧力や張力などの外力を受けた場合でもたわみや破損に耐えられるように強化することである。とにかく、関連する動機は、構成する構成要素間の各連結をできるだけ強固にすることである。強化プリフォームの構成要素それ自体に求められる非常に大きな強度が与えれれるとき、構造上の「チェーン」における「弱いリンク」となるのが、実際上、連結における弱さである。
【0007】
これらのタイプの構造についての技術の現況といえば、粘着性のファブリックあるいはプリプレグの個々の層を横たえて最終的な形を形成している。結果としての積層プリフォームは、その後、樹脂トランスファー成形(粘着性のファブリックを用いる場合)、あるいは真空バッグ成形および硬化(プリプレグを用いる場合)を行う。関連技術として、米国特許第5,451,448号がある。その技術は、コンポジットの多層のフレキシブルなブランケット断熱材に関し、連続した織りファブリックが多層になった上部織りファブリック層と、下部織りファブリック層と、高温断熱層と、任意の反射遮蔽層およびスペースとを含み、それらのすべてを織りセラミックファブリックを用いて結合したものである。上部織りファブリックと下部織りファブリックの両層とは、織りセラミックファブリックのリブ構造によって、上部ファブリック層あるいは下部ファブリック層のいずれかの表面から角度をもって互いに結合し、それにより、上部ファブリック層と下部ファブリック層およびリブ構造との間に三角形の角柱あるいは台形の角柱を作り出す。
【0008】
米国特許第6,418,973号は、セラミックコンポジットのための織りプリフォームであり、繊維材料の織り糸からなる複数の層と、層間に伸びる構造部材とを備える。構造部材は、層と一緒に流路を定める壁であろう。これが示す方法によれば、個々のシートあるいは層の間に必要な距離をもたせた織り用プリフォームが必要であり、織りの時点でシートを物理的に所定距離離すようにしなければならない。それでは、製造すべき構造物の大きさや形が制限されるだけでなく、一般の織機で容易に製造することができなくなる。加えて、そこにおけるプリフォームは、その外側側面に閉じたセル(区画)がなく、しかも、各セル内に連続した輪状の強化となるような横糸の経路を選択することができない。その結果、プリフォームは、外側側面に開いたセルと、内圧の負荷について非常に弱いセルとを生じる。したがって、プリフォームの各セル内に連続した輪状の強化を伴う閉じたセルを備える織りプリフォーム、およびその形成方法が求められるところである。
【0009】
この発明は、今までの技術の欠点を克服し、織りプリフォームを提供するために手間がかからないなどの利点を得るものである。この発明では、ユニークな平形機械織り技術を採用し、最初に平織りしたプリフォームを形成し、その後で折り開いて最終的な形を得る。
【発明の概要】
【0010】
この発明は、強化コンポジット材料のための織りプリフォーム、およびその形成方法に関する。特に、この発明は、内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)から構成されるポリマーマトリックスコンポジットのための繊維プリフォームを機械織りする方法に関する。
【0011】
そこで、この発明の一実施例は、水平方向に向く複数の層によって水平な複数の層と垂直な複数の層とを一体に織った織りプリフォームを含む繊維強化コンポジットである。垂直な複数の層が水平な層間に構造部材として伸び、水平な複数の層は垂直な複数の層と一緒になってプリフォームの内部に複数の貫通セルを定める。織りプリフォームについては、ポリマーマトリックス材料を含浸させることにより最終の構造を形作る。プリフォームは、外側側面に閉じたセルを伴う閉じ構造(囲い)を備えるが、周辺に織った横糸繊維が閉じたセルを定める。それらのセルについては、縦糸方向(外側側面が周辺に織った横糸繊維で定まる方向)あるいは横糸方向に伸ばし、正方形あるいは長方形の形にすることができる。プリフォームは、周辺に織った横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える。
【0012】
この発明の一実施例は、次の各工程を含む繊維強化コンポジットの製造方法である。すなわち、垂直な複数の層とともに、水平な複数の層を一体に織ることによってプリフォームを形成する工程と、織った後でプリフォームを広げる工程であり、それにより、垂直な複数の層が水平な層間に構造部材として伸び、水平な複数の層は垂直な複数の層と一緒になってプリフォームの内部に複数の貫通セルを定めるようにする工程とを含む製造方法である。織りプリフォームについては、トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸によってポリマーマトリックス材料を含浸させることができる。プリフォームは、また、周辺に横糸繊維を織ることによって、外側側面に閉じたセルを伴う閉じ構造(囲い)をもつように織ることができる。セルは、縦糸方向(外側側面が周辺に織った横糸繊維で定まる方向)あるいは横糸方向に伸ばし、正方形あるいは長方形の形にすることができる。プリフォームには、周辺に織った横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を形作ることができる。
【0013】
したがって、この発明の目的は、今までの積層コンポジットにあった個々の層間の樹脂層をなくすことにより、接合部分ですべての繊維を一緒に固定することであり、それにより、層剥離の可能性をなくし、損傷に対する耐性を改善することである。
【0014】
この発明の他の目的は、プリフォームの水平な壁内の繊維のすべてを垂直な壁を通して連続するよう、あるいは逆に、垂直な壁内の繊維を水平な壁を通して連続するようにし、それにより、交差部分における構造の強度を増進することである。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、内部の壁の横糸繊維を外部の壁に織り込むようにプリフォームを織り、それによって、強度の増強、および損失に対する耐性を改善することである。
【0016】
この発明のさらに他の目的は、今までの積層技術でこれらの構造を組み立てるのに必要な手作業のほとんどすべてをなくすことである。この発明のプリフォームは、織って形を作り、単一のものを型の中に置く。それにより、製造時間および費用を低減する。
【0017】
この発明のさらに他の目的は、性能および構造的な効率を改善した一体織りのプリフォームを安価な製造コストで提供し、多数の構造的な構成要素を接合することに関する追加的な工程を避けることである。
【0018】
この発明のさらに他の目的は、切断が必要なエッジに沿う余分な材料をなくすようにエッジをトリミングすることを避け、それにより、時間およびコストを低減すること、そしてまた、粘着付与剤の必要性をなくし、それによって、主要な樹脂との不和合性の問題をなくすことである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、ボルトあるいはリベットのためのドリルによる孔開け、すなわち、複雑な金属構造を形作るとき金属部品を結合するために伝統的に用いていた孔開けを不要とした、コンポジット構造に用いる一体織りのプリフォームを提供することである。
【0020】
この発明のさらに他の目的は、伝統的な金属構造の場合のようには大きさや形が変化せずに、広い温度範囲にわたって非常に安定した一体織りのプリフォームを提供することである。
【0021】
この発明のさらに他の目的は、縦糸方向および横糸方向の両方に平らに織ることができる一体織りのプリフォームを提供することである。このようにして、今までの織り機であらゆる大きさの複雑な形を織ることができる。この発明のプリフォームは、平らに織った後、広げることで構造の最終的な形を得る。それにより、この方法を用いて製造すべき構造のタイプの自由度が増すことになる。
【0022】
この発明は、多くの適用をすることができる。それに限定されるわけではないが、たとえば、流体が開水路を通して流れる熱交換器、電気配線や構造に邪魔をされずに走る液圧管路などの他の構成要素を受け入れる配線管がある構造パネル、そして、妨害用金属片カートリッジを開水路に入れた航空機における妨害用金属片供給システムに用いることができる。
【0023】
これらおよび他の目的ならびに利点については、この発明の説明から明らかになるであろう。繊維強化については、今までの一般的な織り機で織ることができるものである。そこで織られたものは、樹脂の含浸に先立って、好ましくないひずみを繊維に生じさせることなく最終的な形にする。
【0024】
この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的について良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。
【0025】
「繊維(fibers)」および「糸(yarns)」の用語は、全体にわたって交換可能に用いており、同等の意味をもつ。また、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。さらに、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(a)図である。
【図1b】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(b)図である。
【図1c】この発明の一形態の織りプリフォームにおいて、十字形の結合を形成する工程を示す(c)図である。
【図2a】この発明の一形態の織りプリフォームを形成する工程を示す(a)図である。
【図2b】この発明の一形態の織りプリフォームを形成する工程を示す(b)図である。
【図3a】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(a)外形図である。
【図3b】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(b)外形図である。
【図3c】この発明の一形態による織りプリフォームの形成工程を示す、プリフォームの(c)外形図である。
【図4a】この発明の一形態の半渦巻き手法における横糸の典型的な糸経路あるいは横糸シークエンスを示す。
【図4b】この発明の一形態による織りプリフォームの横糸方向における(b)断面図である。
【図4c】この発明の一形態による織りプリフォームの横糸方向における(c)断面図である。
【図5】この発明の一形態による織りプリフォームの外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図6a】この発明の一形態による織りプリフォームの(a)外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図6b】この発明の一形態による織りプリフォームの(b)外形図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図7a】この発明の一形態による織りプリフォームを示す(a)図であり、プリフォーム織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図7b】この発明の一形態による織りプリフォームを示す(b)図であり、プリフォームは織り側壁、両側で閉じたセル、および各セル内の連続した輪状の強化を備えている。
【図8】この発明の一形態による織りプリフォームを織る際の横糸の典型的なシークエンスを示し、プリフォームは3つの水平セルおよび3つの垂直セルを備えている。
【詳細な説明】
【0027】
さて、この発明について添付図面を参照しながらさらに詳しく説明する。図面には、発明の好ましい実施例を示している。しかし、この発明は、多くの異なる形で実施することができ、ここに図示した実施例に限定されるものではない。むしろ、図示した実施例は、この開示が一貫した完結したものであり、当業者に対し、この発明の範囲を充分に伝えるであろう。
【0028】
以下の説明において、同様の参照番号は、図の全体を通して、同様か、あるいは対応する部分を示す。その上、以下の説明において、「垂直の」、「水平な」、「外側の」および「内側の」ならびに類似の表現は、便宜上の用語であり、その用語に限定されるわけではない。
【0029】
図面を参照すると、図1a〜1cは、この発明の一実施例である織りファブリックあるいはプリフォーム50において、十字形の結合60を形成する内容の詳細を示す。この実施例では、プリフォームの内部で横糸がある内壁から他の内壁へと進む。図1aは、特に、縦糸繊維/糸30,40の2つの層と横糸繊維/糸10,20とを織り交ぜることによって作った、ファブリック50の2つの層を示す。その中で、縦糸30は必要なパターンで横糸10とだけ織って上部の層を形成し、そして、縦糸40は必要なパターンで横糸20と織ってファブリック50の下部の層を形成する。それを、プリフォームの内部の垂直壁の高さが所定の高さ「h」になり、内部の水平壁の長さが所定の長さ「l」になるまで行う。垂直壁の所定の高さ「h」および内部の水平壁の所定の長さ「l」は、製造すべきプリフォームの最終的な大きさに基づく。所定の高さ「h」および所定の長さ「l」に到達したら、縦糸30と縦糸40の位置を入れ替える。それにより、縦糸40が上部の層に位置し、縦糸30がファブリックの下部の層に位置することになる。しかし、横糸10,20は、横糸10が縦糸40と織り交わり、横糸20は縦糸30と織り交わるようにそれらの位置を維持する。留意すべきは、ファブリック50の2つの織り層が縦糸繊維/糸および横糸繊維/糸に何ら途切れ(破損)を生じることなく互いに素通りし、そのことが全構造を通して一貫して観察されることである。
【0030】
ファブリック50を織った後、プリフォームは平らなシートとして織り機から外す。プリフォームを図1bに示す矢印方向に引いて広げると、縦糸と横糸とに
途切れ(破損)がない、連続した交差繊維であり、非常に強度が大きい十字形の結合60がある。
【0031】
図2aおよび2bは、この発明の一実施例である織りファブリックあるいはプリフォーム150の形成について示す。図2aは、特に、上で述べた方法により、横糸の5つの層と縦糸51〜55の5つの層とを用いて形成したプリフォーム150の縦糸方向における断面を示す。図2aが示すように、それらの縦糸の層51〜55が、プリフォームの所定の長さの等しい長さの位置で入れ替わっていることが分かる。図2bは、織ったプリフォーム150の最終的な形を示す正面図である。その最終的な形は、織り機から取り外した後で平らなプリフォーム150を引いて開いた際の形である。プリフォーム150は、引いて広げたとき、「卵の仕切りケース」の形をしていることに気付くであろう。これは、正に先の実施例で述べた十字形の結合の集合である。
【0032】
図3a〜3cは、プリフォーム150の外形であり、プリフォーム150の最終的な形を形成する工程を示している。図3aは、特に、織って織り機から外した平らなプリフォーム150を示す。図3bは、一部開いたプリフォーム150の外形図であり、図3cは、最終的な形のプリフォーム150の外形図である。上述したような形のプリフォームを製造する上で、有ひ織り機が最も適切であるが、他の織り技術、たとえばジャカード織りやレピア織り機を用いてこの発明の織りプリフォームを製造することもできる。プリフォームに必要とする厚さおよび密度に基づいて、織りパターン(たとえば、平織り、朱子織り、あや織りなど)を選択することができる。
【0033】
図4a〜4cには、この発明の一実施例であり、織りプリフォーム250の形成方法を示している。織りプリフォーム250は、プリフォームの全体構造を横切る単一の横糸200を備える。その横糸は、半渦巻き手法を適用し、縦糸の2またはそれより多い層と織り交ぜ、プリフォーム中に閉じた縦糸管路あるいはセル220を形成する。この半渦巻き手法における横糸200の典型的な糸経路あるいは横糸シークエンスを、図4aの工程1〜8に示す。ここにおけるプリフォームは、横糸繊維/糸200を輪状になるように連続させるように織る。そのようにして得る構造は、図4cの断面図が示すように、引いて開いたときプリフォーム250の側面のすべてが閉じた構造になる。プリフォーム250の長さ「l1」は織り機の幅によって制限されるだけである。しかし、壁の高さ「h1」については、実際上、どのような大きさにもすることができる。なぜなら、プリフォーム250は、たとえば図4bに示すように、縦糸方向には連続した部品として織り機から外すからである。図5は、織り側壁、両側に閉じたセル220、そして各セル内に輪状の連続した強化を備えるプリフォーム250の外形図を示す。
【0034】
この発明の一実施例は、その内部に多数の交差部材を伴う閉じ構造(囲い)を備える繊維プリフォーム100の機械織り方法である。プリフォーム100は、図7aに示すように平らに織り、それから図7bに示すように、折り広げてセル式の構造を形作る。折りは有ひ織り機で行うが、横糸繊維/糸110が内部壁の交差を通して連続するように織り、図7bに示すように、プリフォーム100の側面のすべてが閉じるようにする。図6aに示すように、3つの水平セル445および3つの垂直セル445を伴うプリフォーム450を織る際の典型的な横糸シーケンスあるいは糸経路を図8に示す。図6aに示すように、横糸繊維/糸を内部壁400から外部壁410の中へと連続的に織り、t−結合370を、そして、内部壁400から内部壁400の中へと連続的に織り、十字形の結合360をそれぞれ形成していることが分かるであろう。また、図8において、パターンの繰り返しのすべてを5つの部分集合にしている。2つは水平な内部壁400を外部壁410の中に織り、2つは垂直な内部壁400を外部壁410の中に織り、そして、1つは外部壁のすべてを通る連続した繊維を提供する。5番目の部分集合を追加して繰り返すことによって、必要とする内部壁の厚さに比べて、外部壁の厚さを増すことができる。
【0035】
また、5つの横糸の部分集合は、どの順序で織ることもできる。縦糸方向のパターンについては、横糸繊維を一緒に固定することができるものならどれをも用いることができる(すなわち、平織り、朱子織り、あや織りなど)。図8に示すパターンは、各壁に単一の縦糸層をもつプリフォームを生み出すであろう。同じ手法を用いて、各壁に多数の縦糸層をもつプリフォームを織ることができる。その場合、縦糸層のそれぞれについて図示する横糸経路を1回繰り返し行い、縦糸繊維について、多層を一緒に固定するパターンを織ることが必要である。すなわち、厚さ方向角編み(through thickness angle interlock)、厚さ方向直交(through thickness orthogonal)、層重ね(ply-to-ply)などで固定することができる。たとえば、厚さ方向角編み技術で固定するとき、縦糸繊維を角度(この角度は横糸の間隔によって定まる)をもってプリフォームの全厚さを貫いて通す。また、厚さ方向直交技術で固定するとき、隣接する横糸コラム間のプリフォームの全厚さを貫いて縦糸繊維を通す。そのため、厚さ方向の構成要素は、ファブリックの面に対して多少なりとも直交する。このタイプの技術では、通常、横糸の2つの層間に織ることなく単に通る縦糸「スタファ糸」を含ませる。さらに、層重ね技術で固定するとき、縦糸繊維はプリフォームの全厚さの一部だけを通り、2またはそれより多い層を一緒に固定する。縦糸は、通常、角編みによる固定と同様に、ある角度をもって固定する。たとえば、プリフォームの層1は層2に対し、層2は層3に対し、というように各層を固定する。この実施例では3Dの一体織りのプリフォーム350の形成方法を示す。そのプリフォーム350は、図6bに示すように、2つの織り外壁320および1または2以上の水平な織り内壁330を備える。織り外壁320と水平な織り内壁330とは、多数の垂直な織り内壁340で一体に結合されている。多数の垂直な織り内壁340には、織りプリフォーム350の垂直な外端を含ませることもできるし、含ませなくとも良い。得る構造は、結果的に、図6bに示すように、複合的な結合360,370を伴う多セルの織りプリフォーム350である。図6aには、この実施例の変形のプリフォーム450を示す。プリフォーム450は、少なくとも4つの互いに間隔をもって配置した層410〜440を備え、それら層間には垂直な壁400がある。それらの層と壁とは、構造の縦糸方向に伸びる流路445を定めている。
【0036】
この発明による繊維プリフォームについては、樹脂トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸などの方法を用いて、コンポジット構造部品にすることができる。このように、この発明の一実施例は繊維強化コンポジットである。
【0037】
結果物である構造の典型的な用途には、2方向に(すなわち、強化パネルの基礎部分)強化を要するもの、およびコンパートメントを多数連結する必要があるものを含む。この発明のプリフォームは、多くのものに適用することができる。それに限定されるわけではないが、たとえば、流体が開水路を通して流れる熱交換器、電気配線や構造に邪魔をされずに走る液圧管路などの他の構成要素を受け入れる配線管がある構造パネル、そして、妨害用金属片カートリッジを開水路に入れた航空機における妨害用金属片供給システムに用いることができる。
【0038】
今までの技術を超えるこの発明の利点のいくつかは次のとおりである。
・すべての繊維が結合の部分で一緒に固定されるため、今までの積層コンポジットで行っていた各層の間の樹脂層をなくすことができ、それによって、層剥離の可能性をなくし、損傷に対する耐性を改善することができる。
・プリフォームの水平な壁内の横糸繊維のすべてを垂直な壁を通して連続するよう、あるいは逆に、垂直な壁内の繊維を水平な壁を通して連続するようにし、それにより、強度の増進を図ることができる。2つの内部壁の交差部分の結合は、たとえば図6aや6bに示す十字形の結合360である。
・外部の壁の部分で、内部の壁の横糸繊維を外部の壁に織り込むようにプリフォームを織り、それによって、強度の増強、および損失に対する耐性を改善することができる。内部壁と外部壁の交差部分の結合は、たとえば図6aや6bに示すTあるいはt結合370である。
・この発明の技術を用いることにより、今までの積層技術でこれらの構造を組み立てるのに必要な手作業のほとんどすべてをなくすことができる。この発明のプリフォームは、織って形を作り、単一のものを型の中に置く。それにより、製造時間および費用を低減することができる。
・この発明のプリフォームは、どの側面も閉じ構造であり、それにより、トリミング工程をなくし、時間およびコストをも低減することができる。
・粘着付与剤の必要性がなく、時間およびコストを低減すすることができ、そしてまた、主要な樹脂との不和合性の問題をなくすことができる。
【0039】
以上のように、この発明によれば、その目的および利点を実現することができる。この発明の好ましい実施例について詳しく述べたが、この発明は、それらに限定されるわけではない。この発明の考え方の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定まる。
【符号の説明】
【0040】
10,20 横糸繊維/糸
30,40 縦糸繊維/糸
50 プリフォーム
60 十字形の結合(継手)
100 プリフォーム
110 横糸繊維/糸
150 プリフォーム
200 横糸
220 セル
250 プリフォーム
320 外壁
330 内壁
350 プリフォーム
360 十字形の結合(継手)
370 t−結合(継手)
400 内部壁
410 外部壁
450 プリフォーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化コンポジットのための織りプリフォームであり、次の各構成および条件を備える織りプリフォーム。
a)織り材料からなる、水平な複数の層
b)織り材料からなる、垂直な複数の層であり、前記水平な複数の層と統合的に織られる層
c)前記垂直な複数の層は、構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びている
d)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項2】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備える、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項3】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項4】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項5】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項6】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項7】
次の各構成および条件を備える繊維強化コンポジット。
a)織り材料からなる、水平な複数の層を備える織りプリフォーム
b)織り材料からなる、垂直な複数の層であり、前記水平な複数の層と統合的に織られる層
c)前記垂直な複数の層は、構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びている
d)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項8】
前記織りプリフォームに含浸するポリマーマトリックス材料をさらに備える、請求項7のコンポジット。
【請求項9】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備える、請求項7のコンポジット。
【請求項10】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項7のコンポジット。
【請求項11】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項7のコンポジット。
【請求項12】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項7のコンポジット。
【請求項13】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項7のコンポジット。
【請求項14】
次の各構成および条件を備える繊維強化コンポジットの製造方法。
a)水平な複数の層を垂直な複数の層と統合的に織ることによって、プリフォームを形成する工程
b)織った後で前記プリフォームを開くことにより、前記垂直な複数の層が構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びるようにする工程
c)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項15】
前記織りプリフォームにポリマーマトリックス材料を含浸する工程をさらに備える、請求項14の方法。
【請求項16】
前記含浸する工程は、トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸によって行う、請求項15の方法。
【請求項17】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備えるように織る、請求項14の方法。
【請求項18】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項14の方法。
【請求項19】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項14の方法。
【請求項20】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項14の方法。
【請求項21】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項14の方法。
【請求項22】
次の各構成および条件を備える、繊維強化コンポジットのための織りプリフォームの製造方法。
a)水平な複数の層を垂直な複数の層と統合的に織ることによって、前記プリフォームを形成する工程
b)織った後で前記プリフォームを開くことにより、前記垂直な複数の層が構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びるようにする工程
c)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項23】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備えるように織る、請求項22の方法。
【請求項24】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項22の方法。
【請求項25】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項22の方法。
【請求項26】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項22の方法。
【請求項27】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項22の方法。
【請求項1】
繊維強化コンポジットのための織りプリフォームであり、次の各構成および条件を備える織りプリフォーム。
a)織り材料からなる、水平な複数の層
b)織り材料からなる、垂直な複数の層であり、前記水平な複数の層と統合的に織られる層
c)前記垂直な複数の層は、構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びている
d)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項2】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備える、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項3】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項4】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項5】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項6】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項1の織りプリフォーム。
【請求項7】
次の各構成および条件を備える繊維強化コンポジット。
a)織り材料からなる、水平な複数の層を備える織りプリフォーム
b)織り材料からなる、垂直な複数の層であり、前記水平な複数の層と統合的に織られる層
c)前記垂直な複数の層は、構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びている
d)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項8】
前記織りプリフォームに含浸するポリマーマトリックス材料をさらに備える、請求項7のコンポジット。
【請求項9】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備える、請求項7のコンポジット。
【請求項10】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項7のコンポジット。
【請求項11】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項7のコンポジット。
【請求項12】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項7のコンポジット。
【請求項13】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項7のコンポジット。
【請求項14】
次の各構成および条件を備える繊維強化コンポジットの製造方法。
a)水平な複数の層を垂直な複数の層と統合的に織ることによって、プリフォームを形成する工程
b)織った後で前記プリフォームを開くことにより、前記垂直な複数の層が構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びるようにする工程
c)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項15】
前記織りプリフォームにポリマーマトリックス材料を含浸する工程をさらに備える、請求項14の方法。
【請求項16】
前記含浸する工程は、トランスファー成形あるいは化学的気相溶浸によって行う、請求項15の方法。
【請求項17】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備えるように織る、請求項14の方法。
【請求項18】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項14の方法。
【請求項19】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項14の方法。
【請求項20】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項14の方法。
【請求項21】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項14の方法。
【請求項22】
次の各構成および条件を備える、繊維強化コンポジットのための織りプリフォームの製造方法。
a)水平な複数の層を垂直な複数の層と統合的に織ることによって、前記プリフォームを形成する工程
b)織った後で前記プリフォームを開くことにより、前記垂直な複数の層が構造部材として前記水平な複数の層の間に伸びるようにする工程
c)前記水平な複数の層および前記垂直な複数の層は、プリフォームの内部に複数の貫通セルを定める
【請求項23】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維によって定まる外側端に閉じたセルを伴う閉じ構造を備えるように織る、請求項22の方法。
【請求項24】
前記セルが縦糸方向に伸びる、請求項22の方法。
【請求項25】
前記セルが横糸方向に伸びる、請求項22の方法。
【請求項26】
前記プリフォームは、周辺に織る横糸繊維で定まる各セルに連続した輪状の強化を備える、請求項22の方法。
【請求項27】
前記セルは、正方形あるいは長方形の形である、請求項22の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【公表番号】特表2011−506784(P2011−506784A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536989(P2010−536989)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/084687
【国際公開番号】WO2009/076065
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(508135080)アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/084687
【国際公開番号】WO2009/076065
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(508135080)アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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