説明

交通信号制御システム

【課題】 親機信号制御装置から複数の子機信号制御装置に対して異なるタイミングで連動信号を出力させることができ、車両の流れに応じた適切なタイミングで信号灯器を連動して制御することのできる交通信号制御システムを提供する。
【解決手段】 交差点1に設置された親機信号制御装置22と、交差点1の車両の走行方向の下流側または上流側に設置された複数の子機信号制御装置26,29とを備え、親機信号制御装置22は、各子機信号制御装置26,29に対して異なるタイミングで連動信号を出力し、各子機信号制御装置26,29は、連動信号に応じてステップを同期させて信号灯器の動作を切り換え制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通信号制御システムに係り、特に、上りと下りの信号制御を個別に制御することを可能とした交通信号制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現在の日本の道路交通信号機の制御においては、ステップ信号生成部から所定のピッチで出力されるステップ信号に基づいて、1ステップ毎に信号灯器を切り替えるステップ制御方式が採用されている。このステップ制御方式は、ステップ信号の変化がステップ単位にシリアルに行われるため、安全性の点では非常に優れた方式といえる。
【0003】
しかしながら、従来のステップ制御方式においては、各ステップの秒数をカウントするステップカウンタは1種類のみであり、上り下りを別々に制御することはできないという問題を有している。
【0004】
そのため、従来から、信号制御回路に複数のステップカウンタを備え、上り下りの信号制御を独立に行うようにして、交差点の各流入路ごとの交通状況に応じてリアルタイムな信号制御ができるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、このような交通信号制御システムにおいては、従来から、交差点に設置された信号灯器を制御する親機信号制御装置を設けるとともに、この交差点の上流側および下流側に位置する他の交差点の信号灯器を制御する子機信号制御装置を設け、親機信号制御装置から子機信号制御装置に対して連動信号を出力させることにより、各信号灯器の点灯制御を連動させ、車両の流れを円滑に行うように制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−268547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術においては、親機信号制御装置から子機信号制御装置に対して連動信号を出力する場合に、1つの連動信号しか出力することができないという問題を有している。そのため、ある交差点に対してその上流側または下流側に位置する信号灯器を同時に連動させることは可能であるが、車両の流れに応じてそれぞれ別個のタイミングで連動させることができず、車両の流れを止めてしまうおそれがあるという問題を有している。
【0008】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、親機信号制御装置から複数の子機信号制御装置に対して異なるタイミングで連動信号を出力させることができ、車両の流れに応じた適切なタイミングで信号灯器を連動して制御することのできる交通信号制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る交通信号制御システムは、交差点に設置された信号灯器の動作を1ステップごとに切り換えるためのステップ信号を発生する親機制御手段と、前記親機制御手段により発生されたステップ信号に基づいて前記信号灯器の動作を切り換える親機信号制御回路とを備えた親機信号制御装置と、
前記交差点の車両の走行方向の下流側または上流側に設置された複数の信号灯器の動作を1ステップごとに切り換えるためのステップ信号を発生する子機制御手段と、前記子機制御手段により発生されたステップ信号に基づいて前記信号灯器の動作を切り換える子機信号制御回路とを備えた複数の子機信号制御装置と、を備え、
前記親機信号制御装置は、前記各子機信号制御装置に対して異なるタイミングで連動信号を出力し、前記各子機信号制御装置は、前記連動信号に応じて、前記ステップを同期させて前記信号灯器の動作を切り換え制御するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記親機信号制御装置は、前記車両の交通量の多い方向の前記信号灯器のみを青に制御する時差式制御を行うものであり、
前記親機信号制御装置は、前記信号灯器を赤に制御するタイミングで、前記車両の交通量の多い方向の下流側に設置された前記子機信号制御装置に連動信号を出力するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、親機信号制御装置により各子機信号制御装置に対して異なるタイミングで連動信号を出力し、各子機信号制御装置により連動信号に応じてステップを同期させて信号灯器の動作を切り換え制御するようにしているので、各子機信号制御装置ごとに異なるタイミングで連動制御を行うことができ、車両の流れに応じた適切なタイミングで信号灯器の制御を行うことができ、車両の円滑な流れを図ることが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、親機信号制御装置により、車両の交通量の多い方向の信号灯器のみを青に制御する時差式制御を行うとともに、親機信号制御装置により、信号灯器を赤に制御するタイミングで、車両の交通量の多い方向の下流側に設置された子機信号制御装置に連動信号を出力するようにしているので、親機信号制御装置により交通量の多い方向を走行する車両に対して青で制御している状態では、子機信号制御装置により青で制御し、親機信号制御装置により赤に制御するタイミングで子機信号制御装置も赤に制御することができ、車両の流れに応じた適切なタイミングで信号灯器の制御を行うことができ、車両の円滑な流れを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における親機信号制御装置による動作を示す現示階梯図である。
【図4】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における子機信号制御装置による動作を示す現示階梯図である。
【図5】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における親機信号制御装置と子機信号制御装置との連動動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明に係る交通信号制御システムの実施形態を示す概略図である。なお、説明の便宜上、この交差点では、図1の下方から上方に向かって走行する方向を1V方向、上方から下方に向かって走行する方向を2V方向、左方から右方、右方から左方に向かって走行する方向を3V方向とする。
【0016】
図1に示すように、交差点1には、1V方向に走行する1V方向車両2に対する1V方向車両用信号機3、2V方向に走行する2V方向車両4に対する2V方向車両用信号機5、3V方向に走行する3V方向車両6,7に対する3V方向車両用信号機8がそれぞれ設置されている。また、2V方向車両用信号機5には、車両の直進・左折・右折を可能とする矢印方向信号機9が設けられている。また、交差点1には、1V方向および2V方向の歩行者に対する1V・2V方向歩行者用信号機10と、3V方向の歩行者に対する3V方向歩行者用信号機11とが設けられている。
【0017】
また、1V方向の下流側の1V下流側交差点12には、下流側1V・2V方向車両用信号機13および下流側3V方向車両用信号機14が設置されており、1V方向の上流側の1V上流側交差点15には、上流側1V・2V方向車両用信号機16および上流側3V方向車両用信号機17が設置されている。これら1V下流側交差点12および1V上流側交差点15には、1V方向、2V方向の歩行者に対する下流側1V・2V方向歩行者用信号機18および上流側1V・2V方向歩行者用信号機19と、3V方向の歩行者に対する下流側3V方向歩行者用信号機20および上流側3V方向歩行者用信号機21とが設けられている。
【0018】
なお、以下の説明においては、交差点1における1V・2V方向歩行者用信号機10を1P、1V方向車両用信号機3を1V、2V方向車両用信号機5を2V、車両用直進・左折・右折可信号機9を2A、3V方向歩行者用信号機11を3P、3V方向車両用信号機8を3V、でそれぞれ表すこととする。また、1V下流側交差点12および1V上流側交差点15における下流側1V・2V方向歩行者用信号機18および上流側1V・2V方向歩行者用信号機19を1P、下流側1V・2V方向車両用信号機13および上流側1V・2V方向車両用信号機16を1V、下流側3V方向歩行者用信号機20および上流側3V方向歩行者用信号機21を2P、下流側3V方向車両用信号機14および上流側3V方向車両用信号機17を2Vでそれぞれ表すこととする。
【0019】
また、本実施形態においては、図2に示すように、交差点1における1V方向車両用信号機3、2V方向車両用信号機5、3V方向車両用信号機8、矢印方向信号機9、1V・2V方向歩行者用信号機10および3V方向歩行者用信号機11を制御する親機信号制御装置22が設けられており、この親機信号制御装置22には、1ステップごとに信号灯器の動作を切り換えるためのステップ信号を発生する制御手段としての親機制御部23と、この親機制御部23により発生されたステップ信号に基づいて信号灯器の動作を切り換える親機信号制御回路24と、信号灯器を点灯する灯色データをステップ信号に対応して記憶する現示メモリ25と、がそれぞれ設けられている。
【0020】
さらに、本実施形態においては、1V下流側交差点12の下流側1V・2V方向車両用信号機13、下流側3V方向車両用信号機14、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18および下流側3V方向歩行者用信号機20の制御を行う1V下流側信号制御装置26が設けられており、この1V下流側信号制御装置26には、1V下流側制御部27および1V下流側信号制御回路28が設けられている。
【0021】
また、1V上流側交差点15の上流側1V・2V方向車両用信号機16、上流側3V方向車両用信号機17、上流側1V・2V方向歩行者用信号機19および上流側3V方向歩行者用信号機21の制御を行う1V上流側信号制御装置29が設けられており、この1V上流側信号制御装置29には、1V上流側制御部30および1V上流側信号制御回路31が設けられている。なお、1V下流側制御部27および1V上流側制御部30は、前述の親機制御部23と同様の構成であり、1V下流側信号制御回路28および1V上流側信号制御回路31は、前述の親機信号制御回路24と同様の構成であるためその説明を省略する。
【0022】
また、本実施形態においては、親機制御部23は、所定のステップ信号の出力に応じて、1V下流側制御部27および1V上流側制御部30に対してステップを切り換えるための連動信号を出力するように構成されている。すなわち、1V下流側制御部27および1V上流側制御部30に対する連動信号は、交差点1から1V下流側交差点12あるいは1V上流側交差点15に対する車両の流れに応じて適宜設定されるものである。本実施形態においては、2V方向に走行する車両の通行量が比較的多く、交差点1において2V方向車両信号機に矢印方向信号機9が設けられ、1V方向に走行する車両が停止した状態でも2V方向への車両の流れがあるように時差式に制御するものであり、この場合には、1V下流側制御部27は、ステップ1からステップ2に切り替わる際に、図3において連動信号をA信号からB信号に切り換えて出力するように構成されている。また、1V上流側制御部30は、ステップ5からステップ6に切り替わる際に、図3において連動信号をA信号からB信号に切り換えて出力するように構成されている。
【0023】
図3は本発明の信号制御システムにおける交差点1における動作を示す現示階梯図である。なお、図3においては、横軸はステップ数を示し、縦軸は各信号名を示している。また、太い黒線は信号機が青であることを示し、波線は信号機が黄であることを示し、矢印は矢印方向に進行可であることを示し、二重線は信号機が赤であることを示し、縦線は点滅であることを示している。
【0024】
まず、ステップ1では、1V・2V方向歩行者用信号機10は青、1V方向車両用信号機3は青、2V方向車両用信号機5は青、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は横断が可能であり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0025】
次に、ステップ2では、1V・2V方向歩行者用信号機10は点滅、1V方向車両用信号機3は青、2V方向車両用信号機5は青、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は注意しながら横断が可能であり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0026】
次に、ステップ3では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は青、2V方向車両用信号機5は青、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0027】
次に、ステップ4では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は黄、2V方向車両用信号機5は黄、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、注意しながら直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0028】
次に、ステップ5では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は青、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2は停止、2V方向車両4は、直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0029】
次に、ステップ6では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は黄、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2は停止、2V方向車両4は、注意しながら直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0030】
次に、ステップ7では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤とすべて赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、3V方向歩行者用信号機11により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0031】
次に、ステップ8では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は青、3V方向車両用信号機8は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は、1V・2V方向歩行者用信号機10により停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、1V方向車両用信号機3および2V方向車両用信号機5により停止となる。また、3V方向歩行者は、横断可能であり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により直進・左折・右折が可能である。
【0032】
次に、ステップ9では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は点滅、3V方向車両用信号機8は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は、1V・2V方向歩行者用信号機10により停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、1V方向車両用信号機3および2V方向車両用信号機5により停止となる。また、3V方向歩行者は、注意しながら横断可能であり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により直進・左折・右折が可能である。
【0033】
次に、ステップ10では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は、1V・2V方向歩行者用信号機10により停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、1V方向車両用信号機3および2V方向車両用信号機5により停止となる。また、3V方向歩行者は、停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により直進・左折・右折が可能である。
【0034】
次に、ステップ11では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は黄に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は、1V・2V方向歩行者用信号機10により停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、1V方向車両用信号機3および2V方向車両用信号機5により停止となる。また、3V方向歩行者は、停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により注意しながら直進・左折・右折が可能である。
【0035】
次に、ステップ12では、1V・2V方向歩行者用信号機10は赤、1V方向車両用信号機3は赤、2V方向車両用信号機5は赤、矢印方向信号機9は無灯火、3V方向歩行者用信号機11は赤、3V方向車両用信号機8は赤とすべて赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、3V方向車両用信号機8により停止となり、3V方向車両6,7は、3V方向車両用信号機8により停止となる。
【0036】
次に、1V下流側交差点12における信号制御動作について、図4に示す階梯図を参照して説明する。なお、1V上流側交差点15における信号制御動作も同様であるため、その説明を省略する。
【0037】
まず、ステップ1では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は青、下流側1V・2V方向車両用信号機13は青、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は横断が可能であり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、下流側3V方向歩行者用信号機20により停止となり、3V方向車両6,7は、下流側3V方向車両用信号機14により停止となる。
【0038】
次に、ステップ2では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は点滅、下流側1V・2V方向車両用信号機13は青、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は注意しながら横断が可能であり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、下流側3V方向歩行者用信号機20により停止となり、3V方向車両6,7は、下流側3V方向車両用信号機14により停止となる。
【0039】
次に、ステップ3では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は青、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、下流側3V方向歩行者用信号機20により停止となり、3V方向車両6,7は、下流側3V方向車両用信号機14により停止となる。
【0040】
次に、ステップ4では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は青、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、それぞれ直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、下流側3V方向歩行者用信号機20により停止となり、3V方向車両6,7は、下流側3V方向車両用信号機14により停止となる。
【0041】
次に、ステップ5では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は黄、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤とすべて赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、注意しながら直進・左折・右折が可能である。また、3V方向歩行者は、下流側3V方向歩行者用信号機20により停止となり、3V方向車両6,7は、下流側3V方向車両用信号機14により停止となる。
【0042】
次に、ステップ6では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は赤、下流側3V方向歩行者用信号機20は青、下流側3V方向車両用信号機14は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、横断が可能となり、3V方向車両6,7は、直進・右折・左折が可能である。
【0043】
次に、ステップ7では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は赤、下流側3V方向歩行者用信号機20は点滅、下流側3V方向車両用信号機14は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、注意しながら横断が可能となり、3V方向車両6,7は、直進・右折・左折が可能である。
【0044】
次に、ステップ8では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は赤、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は青に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、停止となり、3V方向車両6,7は、直進・右折・左折が可能である。
【0045】
次に、ステップ9では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は赤、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は黄に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、停止となり、3V方向車両6,7は、注意しながら直進・右折・左折が可能である。
【0046】
次に、ステップ10では、下流側1V・2V方向歩行者用信号機18は赤、下流側1V・2V方向車両用信号機13は赤、下流側3V方向歩行者用信号機20は赤、下流側3V方向車両用信号機14は赤とすべて赤に制御される。したがって、1V方向および2V方向歩行者は停止となり、1V方向車両2および2V方向車両4は、停止となる。また、3V方向歩行者は、停止となり、3V方向車両6,7は、停止となる。
【0047】
次に、親機信号制御装置22、1V下流側信号制御装置26および1V上流側信号制御装置29による連動動作について図5を参照して説明する。なお、図5に示す数字はステップ番号を表している。
【0048】
交差点1において、親機信号制御装置22により、ステップ1から制御が行われ、1V下流側交差点12および1V上流側交差点15において、1V下流側信号制御装置26および1V上流側信号制御装置29により、ステップ2から制御が行われている状態で、親機信号制御装置22、1V下流側信号制御装置26および1V上流側信号制御装置29により、順次ステップ信号に基づく制御が行われる。
【0049】
そして、1V下流側信号制御装置26および1V上流側信号制御装置29により、各ステップ信号に基づく制御が行われた後、ステップ1の制御を継続した状態で待機される。そして、親機信号制御装置22の制御がステップ1からステップ2に切り替わる時に、1V下流側信号制御装置26に連動信号が出力され、これにより、1V下流側信号制御装置26により、ステップ1からステップ2に切り換えられ、ステップ2による制御が行われる。一方、親機信号制御装置22の制御がステップ5からステップ6に切り替わる時に、1V上流側信号制御装置29に連動信号が出力され、これにより、1V上流側信号制御装置29により、ステップ1からステップ2に切り換えられ、ステップ2による制御が行われる。
【0050】
このように制御することにより、1V下流側交差点12においては、親機信号制御装置22による制御と連動した制御が行われることになり、親機信号制御装置22により赤に制御されて1V方向車両2が停止するタイミングに連動して、1V下流側信号制御装置26により赤に制御されることになる。これに対して、1V上流側交差点15においては、親機信号制御装置22により矢印方向信号機9を青にして2V方向車両4のみが走行している状態では、1V上流側信号制御装置29も上流側1V・2V方向車両用信号機16を青に制御し、親機信号制御装置22により2V方向車両用信号機5が赤に制御されるタイミングで、1V上流側信号制御装置29により上流側1V・2V方向車両用信号機16を赤に制御することになる。そのため、親機信号制御装置22により青に制御している間は1V上流側信号制御装置29により青に制御することができ、車両の流れを確保することが可能となる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態においては、親機信号制御装置22から1V上流側信号制御装置29および1V下流側信号制御装置26に対して異なるタイミングで連動信号を出力させ。この連動信号に基づいて、各子機信号制御装置26,29により異なるタイミングで連動制御を行うことができるので、車両の流れに応じて、適切なタイミングで信号灯器の制御を行うことができ、車両の円滑な流れを確保することが可能となる。
【0052】
なお、前記実施形態においては、2V方向に走行する車両の通行量が多く、時差式に制御する場合について説明したが、親機信号制御装置22による連動信号は、適宜車両の通行量に応じたタイミングで任意に出力させることが可能である。
【0053】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 交差点
2 1V方向車両
3 1V方向車両用信号機
4 2V方向車両
5 2V方向車両用信号機
6 3V方向車両
7 3V方向車両
8 3V方向車両用信号機
9 矢印方向信号機
10 1V・2V方向歩行者用信号機
11 3V方向歩行者用信号機
12 1V下流側交差点
13 下流側1V・2V方向車両用信号機
14 下流側3V方向車両用信号機
15 1V上流側交差点
16 上流側1V・2V方向車両用信号機
17 上流側3V方向車両用信号機
18 下流側1V・2V方向歩行者用信号機
19 上流側1V・2V方向歩行者用信号機
20 下流側3V方向歩行者用信号機
21 上流側3V方向歩行者用信号機
22 親機信号制御装置
23 親機制御部
20 親機信号制御回路
26 1V下流側信号制御装置
27 1V下流側制御部
28 1V下流側信号制御回路
29 1V上流側信号制御装置
30 1V上流側制御部
31 1V上流側信号制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置された信号灯器の動作を1ステップごとに切り換えるためのステップ信号を発生する親機制御手段と、前記親機制御手段により発生されたステップ信号に基づいて前記信号灯器の動作を切り換える親機信号制御回路とを備えた親機信号制御装置と、
前記交差点の車両の走行方向の下流側または上流側に設置された複数の信号灯器の動作を1ステップごとに切り換えるためのステップ信号を発生する子機制御手段と、前記子機制御手段により発生されたステップ信号に基づいて前記信号灯器の動作を切り換える子機信号制御回路とを備えた複数の子機信号制御装置と、を備え、
前記親機信号制御装置は、前記各子機信号制御装置に対して異なるタイミングで連動信号を出力し、前記各子機信号制御装置は、前記連動信号に応じて、前記ステップを同期させて前記信号灯器の動作を切り換え制御するものであることを特徴とする交通信号制御システム。
【請求項2】
前記親機信号制御装置は、前記車両の交通量の多い方向の前記信号灯器のみを青に制御する時差式制御を行うものであり、
前記親機信号制御装置は、前記信号灯器を赤に制御するタイミングで、前記車両の交通量の多い方向の下流側に設置された前記子機信号制御装置に連動信号を出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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