説明

交通信号制御装置及び交通信号制御方法

【課題】自律分散型の交通信号制御において、渋滞の発生を検出し、検出した渋滞の発生に応じた適切な信号制御を実現すること。
【解決手段】自律分散型の交通信号制御装置20は、自交差点の各流入路の判定地点それぞれについて、当該判定地点に設置された車両感知器40からの感知結果信号(時間占有率)に基づく渋滞の発生有無の検出を行うとともに、該当する流入路の予測した交通流に基づく渋滞の発生有無の推定を行い、これらの検出結果及び推定結果をもとに、当該判定地点における渋滞の発生有無を判定する。そして、判定地点それぞれの判定結果の組合せに予め対応付けて定められている渋滞時用パラメータに、信号制御パラメータを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律分散型の交通信号制御装置、及び自律分散型の交通信号制御装置における交通信号制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律分散型の交通信号制御システムでは、各交差点に設置された交通信号制御装置それぞれが自交差点の交通信号制御を行うものであり、例えば数分先までといった近い将来の自交差点の交通需要を予測し、予測した交通需要に応じて信号制御を行う。具体的には、他の交差点の制御装置との間で予測した流出交通流のデータをやり取りすることで、自交差点への到着交通流の時系列変化を予測し、自交差点の最適な信号制御パラメータを決定して信号制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−182219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1に示した従来の交通信号制御では、予測した交通需要にもとづいて信号制御パラメータを変更していたため、過多の交通需要に対する適切な制御がなされない場合が起こり得た。すなわち、交通需要が多い結果、渋滞が発生してしまっている場合に適切な信号制御がなされない場合があった。渋滞時(過飽和状態)では、渋滞が悪化しても交通量は頭打ちとなって変化しない(増加しない)。このため、予測した交通量と実際の需要とが乖離し、渋滞を更に増長させてしまうといった事態も起こり得た。また、渋滞時には、交差点間の車両速度が遅くなるため到着タイミングの予測誤差が大きくなる。これも、予測した交通量と実際の交通需要とが大きく乖離する原因となっていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、自律分散型の交通信号制御において、渋滞の発生を判定し、判定した渋滞の発生に応じた適切な信号制御を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信する通信手段(例えば、図8の通信制御部200)と、自交差点への到着交通流を予測する到着交通流予測手段(例えば、図8の到着交通流予測部110)と、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測する流出交通流予測手段(例えば、図8の流出交通流予測部140)と、予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する信号制御手段(例えば、図8の制御パラメータ変更部130及び信号制御部150)とを備えた自律分散型の交通信号制御装置(例えば、図8の交通信号制御装置20)であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定する渋滞発生判定手段(例えば、図8の渋滞発生判定部120)と、
前記渋滞発生判定手段の判定に応じて、前記信号制御手段による自交差点の信号制御パラメータを、予め定められた渋滞時用パラメータに変更する渋滞時信号制御手段(例えば、図8の制御パラメータ変更部130)と、
を更に備えた交通信号制御装置である。
【0006】
また、第7の発明は、
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信し、自交差点への到着交通流を予測し、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測し、前記予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する自律分散型の交通信号制御装置における交通信号制御方法であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定し(例えば、図27のステップC9〜C15)、
前記渋滞発生の判定に応じて、前記予測結果に基づく信号制御パラメータを、予め定められた渋滞時用パラメータに変更する(例えば、図26のステップB5〜B7)、
交通信号制御方法である。
【0007】
この第1又は第7の発明によれば、自律分散型の交通信号制御装置において、自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて当該流入路における渋滞発生が判定され、この渋滞発生の判定に応じて、信号制御パラメータが予め定められた渋滞時用パラメータに変更される。これにより、渋滞が発生していないときには、到着交通流の予測結果を基に信号制御パラメータを可変して信号制御し、渋滞の発生を判定すると、この渋滞の解消に最適な信号制御パラメータとして定められた渋滞時用パラメータに変更して信号制御するといった、発生した渋滞を速やかに解消可能な適切な信号制御が実現される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の交通信号制御装置であって、
前記渋滞発生判定手段は、自交差点の流入路に配設された各車両感知器の感知結果に基づき流入路別の渋滞発生を判定し(例えば、図27のステップC9〜C15)、
前記渋滞時信号制御手段は、流入路別の渋滞発生の有無の組合せそれぞれに対して予め定められた渋滞時用パラメータの中から、前記渋滞発生判定手段による流入路別の渋滞発生の有無の組合せに対応する渋滞時用パラメータを選択し、自交差点の信号制御パラメータを当該選択した渋滞時用パラメータに変更する(例えば、図26のステップB5〜B7)、
交通信号制御装置である。
【0009】
この第2の発明によれば、車両感知器の感知結果を基に流入路別の渋滞発生が判定され、流入路別の渋滞発生の有無の組合せそれぞれに対して予め定められた渋滞時用パラメータの中から、判定された流入路別の渋滞発生の有無の組合せに対応する渋滞時用パラメータに、自交差点の信号制御パラメータが変更される。これにより、例えば渋滞の発生有りと判定された流入路の組合せに応じて、流入路毎に、通行権を与える現示の現示時間を相対的に変化させるといったように、どの流入路に渋滞が発生しているのかに応じて、よりきめ細かな交通信号制御が実現される。
【0010】
第3の発明は、
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信する通信手段と、自交差点への到着交通流を予測する到着交通流予測手段と、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測する流出交通流予測手段と、予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する信号制御手段とを備えた自律分散型の交通信号制御装置であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定する渋滞発生判定手段を更に備え、
前記信号制御手段が、前記渋滞発生判定手段による判定がなされた場合に当該判定結果に基づいて信号制御パラメータを補正する補正手段を有する、
交通信号制御装置である。
【0011】
また、第8の発明は、
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信し、交差点への到着交通流を予測し、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測し、前記予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する自律分散型の交通信号制御装置における交通信号制御方法であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定し、
前記渋滞発生の判定がなされた場合に当該判定結果に基づいて信号制御パラメータを補正する、
交通信号制御方法である。
【0012】
この第3又は第8の発明によれば、自律分散型の交通信号制御装置において、自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて当該流入路における渋滞発生が判定され、この渋滞発生の判定がなされた場合に、当該判定結果に基づいて信号制御パラメータが補正される。これにより、渋滞が発生していないときには、流出交通流の予測結果を基に算出した信号制御パラメータを可変して信号制御し、渋滞の発生を判定すると、算出した信号制御パラメータを、この渋滞の解消に最適な値に補正して信号制御するといった、発生した渋滞を速やかに解消可能な適切な信号制御が実現される。
【0013】
第4の発明は、第3の発明の交通信号制御装置であって、
前記補正手段は、渋滞発生が判定された流入路に通行権を与える現示と渋滞発生が判定されていない流入路に通行権を与える現示とが存在する場合に、前者の現示の現示時間が、前記渋滞発生判定手段による判定がなされなかったときに比べて長くするように信号制御パラメータを補正する交通信号制御装置である。
【0014】
この第4の発明によれば、信号制御パラメータの補正は、渋滞発生が判定された流入路に通行権を与える現示時間が、渋滞発生の判定がなされなかったときに比べて長くするように行われる。これにより、渋滞発生が判定された流入路に通行権が有る時間が長くなることで、当該流入路における渋滞が解消されて、より適切な信号制御が実現される。
【0015】
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明の交通信号制御装置であって、
前記流出交通流予測手段により予測された自交差点の各流入路の滞留台数に基づいて流入路別の渋滞発生を推定する渋滞発生推定手段を更に備え、
前記渋滞発生判定手段が、前記車両感知器の感知結果と前記渋滞発生推定手段による推定結果とに基づいて渋滞の発生を判定する、
交通信号制御装置である。
【0016】
この第5の発明によれば、予測された自交差点の各流入路の滞留台数に基づいて流入路別の渋滞発生が推定され、車両感知器の感知結果と渋滞発生の推定結果とに基づいて渋滞の発生が判定される。すなわち、車両感知器の感知結果に加え、更に予測した滞留台数にも基づいて渋滞の発生を判定することで、より精確な渋滞の判定が可能となり、その結果、渋滞の発生状況に応じた適切な信号制御が実現される。
【0017】
第6の発明は、第5の発明の交通信号制御装置であって、
前記渋滞発生判定手段が、流入路別の渋滞発生を、前記車両感知器が配設されている流入路については当該車両感知器の感知結果に基づいて判定し、前記車両感知器が配設されていない流入路については前記渋滞発生推定手段による当該流入路の推定結果に基づいて判定する、
交通信号制御装置である。
【0018】
この第6の発明によれば、流入路別の渋滞発生は、原則、車両感知器の感知結果に基づいて判定され、設置されていない場合には、予測した滞留台数に基づいて判定される。このように、予測した滞留台数に基づく判定結果を補助的に用いることで、実際の交通状況により則した適切な信号制御が実現される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自律分散型の交通信号制御装置において、自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて当該流入路における渋滞発生が判定され、この渋滞発生の判定に応じて、信号制御パラメータが予め定められた渋滞時用パラメータに変更される。これにより、渋滞が発生していないときには、到着交通流の予測結果を基に信号制御パラメータを可変して信号制御し、渋滞の発生を判定すると、この渋滞の解消に最適な信号制御パラメータとして定められた渋滞時用パラメータに変更して信号制御するといった、発生した渋滞を速やかに解消可能な適切な信号制御が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0021】
[システム構成]
図1は、本実施形態の自律分散型交通信号制御システム1の全体構成図である。同図によれば、自律分散型交通信号制御システム1は、管制センタに設置された中央管理装置10と、各交差点に設置された複数の交通信号制御装置20とが、伝送路Nを介して接続されて構成される。また、交通信号制御装置20には、当該装置が設置された交差点(自交差点)に設けられた複数の交通信号機30及び車両感知器40が接続されている。交通信号制御装置20は、隣接交差点等の他の交通信号制御装置20との間でデータの送受信を行い、車両感知器40による感知結果信号等に基づいて、自交差点に設けられた各交通信号機30を制御する。
【0022】
図2は、交通信号制御装置20の制御対象となる交差点の一例を示す図である。同図によれば、交差点は、四つの流入路A〜Dを有する十字交差点であり、流入路A〜Dそれぞれに交通信号機30及び車両感知器40が設置されている。なお、同図は交差点の一例であり、この十字交差点に限らず、例えば三叉路交差点やT字交差点といった他の形状の交差点についても同様に適用可能である。
【0023】
車両感知器40は、例えば超音波式や光学式であり、設置された位置を通過する車両の存在を感知する。そして、感知結果として、一定時間に対する車両の存在を感知した時間の割合である時間占有率を出力する。なお、この車両感知器40を画像式としても良い。この場合、各車線を走行する車両を撮像し画像処理することで、交通量や車両の速度、待ち行列長(渋滞長)を計測する。
【0024】
図3は、車両感知器40の設置例を示す図である。同図によれば、交差点の各流入路には、渋滞の発生有無の判定対象となる地点(判定地点)が定められている。そして、これらの判定地点のうちの幾つかの地点には、当該地点を感知対象とする車両感知器40が設置されている。同図では、流入路Aの判定地点A−1,A−2、流入路Bの判定地点B−1、流入路Cの判定地点C−1及び流入路Dの判定地点D−1のそれぞれに、車両感知器40が設置されている。
【0025】
図4は、この交差点の現示方式の一例を示す図である。同図において、実線矢印は通行権が与えられる車両の動線を示している。すなわち、この交差点では、流入路A,Cの車両交通に通行権を与える現示1φと、流入路B,Dの車両交通に通行権を与える現示2φとが交互に表示される。なお、同図は現示方式の一例であり、この2現示に限らず、3現示以上の多現示方式とすることも可能である。
【0026】
[信号制御の概要]
図5は、交通信号制御装置20における信号制御の概要図である。交通信号制御装置20は、先ず、(1)隣接交差点の交通信号制御装置20から受信した予測流出交通流情報をもとに、自交差点に到着する交通流を予測する。次いで、(2)予測した到着交通流(予測到着交通流)をもとに、自交差点の各交通信号機30の制御パラメータ(サイクル長C及びスプリット)を変更する。そして、(3)変更した制御パラメータに従って、自交差点の各交通信号機30を制御する。また、(4)予測到着交通流及び信号制御パラメータにもとづき、自交差点から流出する交通流(流出交通流)を予測する。そして、流出すると予測した交通流の情報(予測流出交通流情報)を、各隣接交差点の交通信号制御装置20へ送信する。
【0027】
[原理]
(1)流出予測
流出交通流の予測原理について説明する。図6,図7は、流出交通流の予測の原理図であり、図2の流入路A又はCについて示している。流入路A,Cは、図2に示したように、二車線の直進左折レーンと一車線の右折レーンとを有する。また、飽和交通流は、何れの車線も等しく「0.5[台/s]」である。
【0028】
流入路に到着した車両は、交差点内を直進、左折或いは右折方向に進行し、当該進行方向に該当する流入路(方路)から流出する。流入路に到着した車両が何れの方向へ進行するかは、確率的に定められる。具体的には、直進方向へ進行する確率(直進率)は「0.7(70%)」、左折方向へ進行する確率(左折率)は「0.1(10%)」、右折方向へ進行する確率(右折率)は「0.2(20%)」である。
【0029】
(1−1)通行権が無い場合
図6は、流入路に通行権が無い場合の流出予測の説明図である。同図では、図中左側から順に、当該流入路の到着交通流、信号制御パラメータから予測される予定現示、及び各レーンの滞留台数を、図中下方向を時間軸tとして示している。通行権が無い場合、流入路に到着した車両は、そのまま当該流入路に滞留する。すなわち、予定現示が「赤」である時刻tにおいて流入路に到着した車両は、全て当該流入路に滞留する。詳細には、到着台数のうち、「0.8(=直進率「0.7」+左折率「0.1」)」の割合の台数が直進左折レーンに到着し、「0.2(=右折率)」の割合の台数が右折レーンに到着する。そして、時刻tにおける各レーンの滞留台数は、直前の時刻tでの当該レーンの滞留台数にこの到着台数を加算した台数となる。
【0030】
例えば、予定現示が「赤」である時刻tの到着台数は「0.5[台]」である。つまり、「0.4(=0.5×0.8)[台]」が直進左折レーンに到着し、「0.1(=0.5×0.2)[台]」が右折レーンに到着する。そして、時刻tにおける各レーンの滞留台数は、直進左折レーンについては、直前の時刻tにおける滞留台数「3.2[台]」に到着台数「0.4[台]」を加算した「3.6[台]」となり、右折レーンについては、直前の時刻tにおける滞留台数「0.2[台]」に到着台数「0.1[台]」を加算した「0.3[台]」となる。
【0031】
(1−2)通行権が有る場合
図7は、流入路に通行権が有る場合の流出予測の説明図である。同図では、図中左側から順に、当該流入路の到着交通流、予定現示、各レーンの滞留台数、及び流出交通流を、図中下方向を時間tとして示している。通行権が有る場合、流入路に到着した車両は、当該流入路に滞留していた車両とともに交差点内を進行し、他の流入路から流出する。すなわち、予定現示が「青」である時刻tにおいて、流入路に到着した車両は、図6に示した通行権が無い場合と同様に、「0.8(=直進率「0.7」+左折率「0.1」)」の割合の台数が直進左折レーンに到着し、「0.2(右折率)」の割合の台数が右折レーンに到着する。ここで、各レーンに到着した車両は、当該レーンに滞留している車両とともに当該レーンに一時的に滞留しているとみなし、直前の時刻tにおける滞留台数にこの到着台数を加算した台数を、「一時滞留台数」という。
【0032】
そして、各レーンに一時滞留している車両が、直進、左折或いは右折方向の何れかの方向に進行し、他の流入路から流出する。すなわち、直進左折レーンからは、一時滞留している車両が直進方向或いは左折方向に流出する。詳細には、直進左折レーンからは、一時滞留台数の「0.7(直進率)/0.8(直進率「0.7」+左折率「0.1」)」の割合の台数が直進方向に流出し、「0.1(左折率)/0.8(直進率「0.7」+左折率「0.1」)」の割合の台数が左折方向に流出する。また、右折レーンからは、一時滞留している全ての車両が右折方向に流出する。
【0033】
但し、各レーンからの流出台数は、当該レーンの飽和交通流を超えないように定められる。すなわち、一時滞留台数が飽和交通流以下の場合には、一時滞留台数が当該レーンからの流出台数となり、一時滞留台数が飽和交通流を超える場合には、飽和交通流分の台数が当該レーンからの流出台数となる。なお、図2の例では直進左折レーンは二車線であるため、上記一車線当たりの飽和交通流「0.5[台/s]」に、当該レーンの車線数「2」を乗じた「1.0[台/s]」となる。
【0034】
例えば、予定現示が「青」である時刻tにおける到着台数は「0.5[台]」である。すなわち、到着した車両のうち、「0.4(=0.5×(直進率「0.7」+左折率「0.1」))[台]」が直進左折レーンに到着し、「0.1(=0.5×右折率「0.2」)[台]」が右折レーンに到着する。次いで、直進左折レーンでは、直前の時刻tにおける滞留台数「3.6[台]」に到着台数「0.4[台]」を加算した「4.0[台]」が一時滞留台数となるが、この一時滞留台数「4.0[台]」は飽和交通流「1.0[台/s](=0.5×2[車線])」を超えるため、直進左折レーンからの流出台数は「1.0[台]」となる。そして、この流出台数「1.0[台]」のうち、「0.9(≒1.0×0.7/0.8)[台]」が直進方向に進行して流出し、「0.1(≒1.0×0.1/0.8)[台]」が左折方向に進行して流出する。従って、直進左折レーンでの時刻tにおける滞留台数は、「3.0(=4.0−1.0)[台]」となる。
【0035】
一方、右折レーンでは、直前の時刻tにおける滞留台数「0.3[台]」に到着台数「0.1[台]」を加算した「0.4[台]」が一時滞留台数となるが、この一時滞留台数「0.4[台]」は、飽和交通流「0.5[台/s]」に達しないため、右折レーンからの流出台数は「0.4[台]」となる。そして、この流出台数「0.4[台]」の全てが右折方向に流出する。従って、右折レーンでの時刻tにおける滞留台数は、「0.0[台]」となる。
【0036】
但し、車両が交差点内の通過に要する時間Δtを考慮し、時刻tにおいて流入路の各レーンから流出した車両は、交差点通過時間Δt後の時刻(t+Δt)において、進行方向の流入路(方路)から流出することとする。
【0037】
(2)信号制御パラメータの算出
次に、信号制御パラメータの算出原理について説明する。
【0038】
(2−1)交通渋滞の発生有無
先ず、交通渋滞の発生有無を判定する。具体的には、車両感知器40からの感知結果信号にもとづく交通渋滞の発生有無の「検出」、及び予測した到着交通流にもとづく交通渋滞の発生有無の「推定」を行い、この検出結果及び推定結果によって渋滞の発生有無を判定する。
【0039】
交通渋滞の発生有無の「検出」としては、車両感知器40からの感知結果信号をもとに、各流入路における渋滞の発生有無を判定する。具体的には、各流入路の判定地点それぞれについて、当該判定地点に設置されている車両感知器40から入力される感知結果信号をもとに、過去の所定期間(例えば、5分間)の時間占有率の平均値を算出し、算出した平均占有率が所定の閾値(例えば、0.4)を超えるか否かによって、渋滞の発生有無を検出する。すなわち、平均占有率が閾値を超えるならば、渋滞の発生“有り”と検出し、超えないならば、渋滞の発生“無し”と検出する。このとき、平均占有率の算出は、判定地点の流入路に通行権が有る時間帯の占有率のみを用いて行う。但し、車両感知器40が設置されていない判定地点や、車両感知器40が設置されているけれども故障等によって感知結果信号が受信されていない判定地点については、車両感知器40による渋滞の発生の検出結果を“不明”とする。
【0040】
なお、車両感知器40を画像式車両感知器で実現する場合には、計測した待ち行列長(渋滞長)をもとに渋滞の発生有無を検出することにしても良い。具体的には、待ち行列長が各判定地点に達しているか否かに応じて、当該判定地点における渋滞の発生有無を検出する。
【0041】
また、交通渋滞の発生有無の「推定」としては、流出交通流の予測の過程において算出された滞留台数をもとに、各流入路における渋滞の発生有無を判定する。具体的には、流入路それぞれについて、現在の信号制御パラメータから、当該流入路に通行権が有る現示から無い現示に切り替わる次回のタイミングを判定する。次いで、判定した切替タイミングの直前での滞留台数を判定する。なお、滞留台数は、上述した流出交通流の予測の過程において算出される。そして、判定した滞留台数を基に、予測される渋滞長(予測渋滞長)を算出する。予測渋滞長は、例えば、車間距離を含む車両1台あたりの全長(例えば、4[m])に判定した滞留台数を乗じて算出する。
【0042】
続いて、各流入路の判定地点それぞれについて、当該流入路の予測渋滞長が当該判定地点に達しているか否かによって、渋滞の発生有無を推定する。すなわち、予測渋滞長が判定地点に達しているならば渋滞の発生“有り”と推定し、達していないならば渋滞の発生“無し”と推定する。
【0043】
そして、これらの検出結果及び推定結果をもとに、判定地点それぞれの渋滞の発生有無を判定する。すなわち、検出結果が“有り”の判定地点については、渋滞の発生“有り”と判定し、検出結果が“無し”或いは“不明”の判定地点については、推定結果をそのまま判定結果とする。
【0044】
(2−2)交通渋滞の発生“有り”の場合
交通渋滞の発生有無の判定の結果、少なくとも一つの判定地点において渋滞の発生“有り”と判定した場合には、予め定められた渋滞の発生時用の制御パラメータの値に変更する。すなわち、予め、各流入路における渋滞の発生有無の組合せそれぞれに渋滞の発生時用の制御パラメータの値が対応付けて定められており、判定した渋滞の発生有無の組合せに対応付けられている信号制御パラメータの値に変更する。
【0045】
(2−3)交通渋滞の発生“無し”の場合
一方、交通渋滞の発生有無の判定の結果、全ての判定地点において渋滞の発生“無し”と判定した場合には、予測した到着交通流に基づいて信号制御パラメータを算出・変更する。すなわち、式(1)に従ってサイクル長Cを算出する。
【数1】

式(1)において、Lは交差点の損失時間である。λは交差点の需要率であり、各現示iの需要ρiの合計値である。この交差点需要率λは、例えば図4に示す現示方式の交差点では、現示1φ,2φそれぞれの需要率ρ1,ρ2の合計値となる。
【0046】
次いで、スプリットを算出する。スプリットは、サイクル長Cから損失時間Lを減算した時間(C−L)を、各現示iの需要率ρiに比例して配分するように算出する。
【0047】
[交通信号制御装置]
図8は、交通信号制御装置20の内部構成を示すブロック図である。同図によれば、交通信号制御装置20は、処理部100と、通信制御部200と、記憶部300とを備えて構成される。
【0048】
処理部100は、記憶部300に記憶されているプログラムやデータ、通信制御部200を介して外部装置(主に、隣接交差点の交通信号制御装置20)から受信したデータ(予測流出交通流の情報)等に基づいて、交通信号制御装置20の全体制御等の各種処理を行う。この処理部100は、例えばCPU等で実現される。また、処理部100は、到着交通流予測部110と、渋滞発生判定部120と、制御パラメータ変更部130と、流出交通流予測部140と、信号制御部150とを有する。
【0049】
なお、交通信号制御装置20の制御対象となる交差点(自交差点)の構成は、自交差点構成テーブル321により定義されている。図9に、自交差点構成テーブル321のデータ構成の一例を示す。同図によれば、自交差点構成テーブル321は、自交差点の流入路321a毎に、流入路を構成するレーン321bと、車線数321cを対応付けて格納している。
【0050】
また、自交差点に定められている判定地点については、渋滞判定地点テーブル322に定義されている。図10に、渋滞判定地点テーブル322のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞判定地点テーブル322は、自交差点の流入路322a毎に、予め定められている判定地点322bと、その位置322cと、車両感知器40の設置有無322dとを対応付けて格納している。位置322cは、停止線からの距離で表されている。
【0051】
到着交通流予測部110は、隣接交差点の交通信号制御装置20から受信した隣接交差点の予測流出交通流データ331を基に、到着すると予測される交通流(予測交通流)を算出する。具体的には、隣接交差点の予測流出交通流データ331を基に、当該隣接交差点の流入路のうち、自交差点の流入路に繋がる流入路からの流出交通流を、当該隣接交差点から自交差点までの旅行時間だけ遅らせて、自交差点への到着交通流とする。到着交通流予測部110は、この予測到着交通流の算出を、所定時間間隔で繰り返し実行する。
【0052】
予測流出交通流データ331は、交差点から流出すると予測される交通流(予測流出交通流)のデータである。図11に、予測流出交通流データ331の一例を示す。同図(a)によれば、予測流出交通流データ331は、自交差点の予測流出交通流データ331Aと、各隣接交差点の予測流出交通流データ331Bとを含んでいる。自交差点の予測流出交通流データ331Aは、流出交通流予測部140により生成され、隣接交差点の予測流出交通流データ331Bは、他の交通信号制御装置20から受信されたデータである。
【0053】
同図(b)によれば、予測流出交通流データ331は、予測対象の時間範囲内の時刻331a毎に、該当する交差点の各流入路からの流出台数331bを対応付けて格納している。時刻331aは、予測対象の時間範囲である、時刻tから所定時間後(例えば、200秒)の時刻tまでの所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で連続する時刻である。なお、予測時間範囲の開始時刻tは、該当する流出予測が行われた時点の現在時刻である。
【0054】
予測到着交通流データ332は、自交差点に到着すると予測される交通流(到着交通流)のデータである。図12に、予測到着交通流データ332のデータ構成の一例を示す。同図によれば、予測到着交通流データ332は、予測対象の時間範囲内の時刻332a毎に、自交差点の各流入路への到着台数332bを対応付けて格納している。時刻332aは、予測流出交通流データ331と同様に、予測対象の時間範囲である時刻tから所定時間後(例えば、200秒後)の時刻tまでの、所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で連続する時刻である。
【0055】
渋滞発生判定部120は、渋滞発生の有無を判定する。具体的には、先ず、車両感知器40から入力される感知結果信号をもとに、自交差点の各流入路における渋滞の発生有無を検出する。車両感知器40からは、感知結果信号として、該当する判定地点における時間占有率の値が出力されており、この車両感知器40からの感知結果信号が、感知結果データ341として記憶されている。
【0056】
図13に、感知結果データ341のデータ構成の一例を示す。同図によれば、感知結果データ341は、時刻341a毎に、現示341bと、各判定地点の感知結果341cとを対応付けて格納している。時刻341aは、現在時刻tから所定時間前(例えば、100秒前)の時刻t−100までの、所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で連続する時刻である。現示341bは、実際の現示である。感知結果341cは、各判定地点に設置されている車両感知器40から取得された時間占有率を格納している。この感知結果データ341は、所定時間(例えば、1秒間各)で最新の値に更新される。
【0057】
渋滞発生判定部120は、感知結果データ341を参照して、各判定地点について、該当する流入路に通行権が与えられている期間の時間占有率の平均(平均占有率)を算出する。例えば、図3に示した交差点では、判定地点A−1については、該当する流入路Aに通行権が与えられる、現示1φの期間における時間占有率の平均値を算出する。そして、算出した平均占有率が所定の閾値(例えば「0.2」)を超えるならば、当該判定地点において渋滞の発生“有り”を検出したとし、超えないならば、渋滞の発生“無し”を検出したとする。
【0058】
渋滞発生判定部120による交通渋滞の発生有無の検出結果は、渋滞検出結果データ342に格納される。図14に、渋滞検出結果データ342のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞検出結果データ342は、判定地点342a毎に、平均占有率342bと、検出結果342cとを対応付けて格納している。検出結果342cは、渋滞の発生“有り”、“無し”或いは“不明”を示す値が格納される。
【0059】
また、渋滞発生判定部120は、流出交通流予測部140により予測された流出交通流をもとに、自交差点の各流入路における近い将来の渋滞の発生有無を推定する。すなわち、各流入路について、現在の信号制御パラメータから、当該流入路に通行権が有る現示から無い現示に切り替わる次回のタイミングを判定する。次いで、滞留台数データ334を参照して、判定した切替タイミングの直前での当該流入路において予測される滞留台数を判定する。続いて、算出した滞留台数に予め定められた車両1台の全長を乗じて、予測渋滞長を算出する。そして、流入路それぞれについて、算出した予測渋滞長と各判定地点の位置(停止線からの距離)とを比較することで、各判定地点における渋滞の発生有無を推定する。すなわち、予測渋滞長が判定地点に達しているならば、当該判定地点において渋滞の発生“有り”と推定し、達していないならば、渋滞の発生“無し”と推定する。
【0060】
ここで、現在の信号制御パラメータは、信号制御パラメータデータ336に格納されている。図15に、信号制御パラメータデータ336の一例を示す。同図によれば、信号制御パラメータデータ336は、サイクル長336aと、スプリット336bとを格納している。この信号制御パラメータデータ336は、後述のように、制御パラメータ変更部130により生成・更新される。
【0061】
また、滞留台数データ334は、自交差点の各流入路において予測される滞留台数のデータであり、後述のように、流出交通流予測部140により生成・更新される。図16に、滞留台数データ334のデータ構成の一例を示す。同図によれば、滞留台数データ334は、予測対象の時刻範囲内の時刻334a毎に、予定現示334bと、各レーンの滞留台数334cとを対応付けて格納している。予定現示334bは、信号制御パラメータから予測される現示である。
【0062】
そして、渋滞発生判定部120による交通渋滞の発生有無の推定結果は、渋滞推定結果データ343に格納される。図17に、渋滞推定結果データ343のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞推定結果データ343は、流入路343a毎に、予測滞留台数343bと、予測渋滞長343cと、判定地点343dと、推定結果343eとを対応付けて格納している。推定結果343eは、渋滞の発生“有り”或いは“無し”を示す値が格納される。
【0063】
その後、渋滞発生判定部120は、これらの渋滞発生の検出結果及び推定結果をもとに、各流入路における渋滞の発生有無を判定する。すなわち、流入路それぞれについて、検出結果と推定結果との組合せをもとに、渋滞発生有無判定テーブル327に従って、交通渋滞の発生有無を判定する。
【0064】
渋滞発生有無判定テーブル327は、検出結果及び推定結果と判定結果との対応関係を定義したデータテーブルである。図18に、渋滞発生有無判定テーブル327のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞発生有無判定テーブル327は、検出/推定結果の組合せ327aと、渋滞発生有無の判定結果327bとを対応付けて格納している。
【0065】
渋滞発生判定部120による交通渋滞の発生有無の判定結果は、渋滞判定結果データ344に格納される。図19に、渋滞判定結果データ344のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞判定結果データ344は、判定地点344a毎に、検出結果344bと、推定結果344cと、判定結果344cとを対応付けて格納している。
【0066】
渋滞発生判定部120は、この交通渋滞の発生有無の判定を、所定時間間隔で繰り返し実行する。従って、渋滞検出結果データ342、渋滞推定結果データ343及び渋滞判定結果データ344それぞれは、所定時間間隔で更新される。
【0067】
制御パラメータ変更部130は、渋滞発生判定部120による交通渋滞の発生有無の判定結果をもとに、交通信号機30の制御パラメータを変更する。具体的には、渋滞判定結果データ344を参照して、各判定地点における渋滞の発生有無の判定結果を判断する。その結果、一箇所でも渋滞の発生“有り”と判定されているならば、各判定地点における渋滞の発生有無の組合せを判断し、渋滞発生有無組合せテーブル325に従って、判断した組合せに対応する制御パターンを選択する。そして、渋滞時用制御パラメータテーブル326を参照して、選択した制御パターンとして定められている信号制御パラメータの値に、信号制御パラメータを変更する。
【0068】
渋滞発生有無組合せテーブル325は、各判定地点における渋滞の発生有無の組合せと制御パターンとの対応関係を定義したデータテーブルである。図20に、渋滞発生有無組合せテーブル325のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞発生有無組合せテーブル325は、各判定地点における渋滞の発生有無の組合せ325a毎に、制御パターン325bを対応付けて格納している。
【0069】
渋滞時用制御パラメータテーブル326は、渋滞の発生“有り”と判定されたとき(渋滞時)の信号制御パラメータを定義したデータテーブルである。図21に、渋滞時用制御パラメータテーブル326のデータ構成の一例を示す。同図によれば、渋滞時用制御パラメータテーブル326は、制御パターン326a毎に、信号制御パラメータであるサイクル長326b及びスプリット326cの値を対応付けて格納している。
【0070】
一方、全ての判定地点について渋滞の発生“無し”と判定されているならば、制御パラメータ変更部130は、到着交通流予測部110により生成された予測到着交通流データ332を基に、自交差点の各交通信号機30の制御パラメータ(サイクル長C、及びスプリット)を算出する。すなわち、到着交通流予測部110により予測された到着交通流や、後述の流出交通流予測部140により予測された流出交通流等をもとに各現示iの需要率ρiを算出し、算出した各需要率ρi加算して交差点の需要率λを算出する。次いで、算出した交差点需要率λをもとに、式(1)に従ってサイクル長Cを算出する。そして、算出したサイクル長C及び各現示iの需要率ρiをもとに、サイクル長Cから自交差点の損失時間Lを減算した時間(C−L)を各現示iの需要率ρiに比例するように配分して、スプリットを算出する。
【0071】
制御パラメータ変更部130により算出された制御パラメータは、信号制御パラメータデータ336として記憶される。制御パラメータ変更部130は、この信号制御パラメータの更新を、所定の時間間隔で繰り返し実行する。従って、信号制御パラメータは、所定時間間隔で更新される。
【0072】
流出交通流予測部140は、到着交通流予測部110により算出された予測到着交通流、及び制御パラメータ変更部130により算出された信号制御パラメータを基に、自交差点の各流入路から流出すると予測される交通流(予測流出交通流)を算出する。具体的には、自交差点の各流入路から各進行方向への流出台数を、予測対象の時間範囲内の各時刻tについて算出する。すなわち、信号制御パラメータデータ336を参照して、予測対象の時刻tにおける現示を判定し、判定した現示により各流入路に通行権が与えられるか否かを判定する。
【0073】
通行権が与えられない流入路については、図6を参照して説明したように、当該流入路の各レーンの滞留台数及び各進行方向への流出台数を算出する。すなわち、予測到着交通流データ332を参照して得られた、予測時刻tにおいて当該流入路に到着する台数(到着台数)を基に、各進行方向への進行率に従って、当該流入路の各レーンに到着する台数(レーン別到着台数)を算出する。
【0074】
各進行方向への進行率は、進行率テーブル323に格納されている。図22に、進行率テーブル323のデータ構成の一例を示す。同図によれば、進行率テーブル323は、進行方向323aと進行率323bとを対応付けて格納している。進行方向323aは、自交差点が十字交差点であるため、「直進」、「左折」及び「右折」の三方向である。進行率323bは、全ての進行方向についての合計が「1.0」となるように定められている。
【0075】
次いで、流出交通流予測部140は、当該流入路の各レーンについて、予測時刻tの直前時刻t−1における滞留台数に算出したレーン別到着台数を加算して、予測時刻tにおける当該レーンの滞留台数を算出する。
【0076】
ここで、算出した滞留台数は滞留台数データ334に、流出台数は流入路別流出台数データ335に、それぞれ格納される。
【0077】
流入路別流出台数データ335は、自交差点の各流入路から各進行方向への流出台数のデータである。図23に、流入路別流出台数データ335のデータ構成の一例を示す。同図によれば、流入路別流出台数データ335は、自交差点の流入路毎に生成され、予測対象の時刻範囲内の時刻335a毎に、当該流入路から各進行方向への流出台数335bを対応付けて格納している。同図では流入路Aについてのデータ構成を示しているが、他の流入路B〜Dについても同様の構成である。
【0078】
一方、通行権が与えられる流入路については、図7を参照して説明したように、当該流入路の各レーンの滞留台数、及び当該流入路から各進行方向への流出台数を算出する。すなわち、通行権が与えられる流入路と同様に、予測到着交通流データ332を参照して得られた予測時刻tにおける到着台数を基に、各進行方向への進行率に従って、当該流入路の各レーンへの到着台数(レーン別到着台数)を算出する。次いで、当該流入路の各レーンについて、予測時刻tの直前時刻t−1における滞留台数に算出したレーン別到着台数を加算して、予測時刻tにおける当該レーンの一時滞留台数を算出する。続いて、当該流入路の各レーンについて、飽和交通流テーブル324を参照して、算出した当該レーンの一時滞留台数が飽和交通流を超えるか否かを判定する。
【0079】
飽和交通流テーブル324は、自交差点の飽和交通流を定義したデータテーブルである。図24に、飽和交通流テーブル324のデータ構成の一例を示す。同図によれば、飽和交通流テーブル324は、各流入路324aのレーン324b毎に、飽和交通流324cを対応付けて格納している。なお、飽和交通流324cは、一車線当たりの値である。
【0080】
また、一時滞留台数が飽和交通流を超えないレーンについては、算出した一時滞留台数を当該レーンからの流出台数とする。そして、この流出台数を基に、各進行方向の進行率に従って当該レーンから各進行方向への流出台数を算出し、予測時刻tから所定の交差点通過時間Δt後の時刻(t+Δt)における、当該流入路から該当する進行方向への流出台数とする。また、予測時刻tにおける当該レーンの滞留台数を「0」とする。
【0081】
一方、一時滞留台数が飽和交通流を超えるレーンについては、この飽和交通流を当該レーンからの流出台数とする。そして、この流出台数を基に、各進行方向の進行率に従って当該レーンから各進行方向への流出台数を算出し、算出した流出台数を、予測時刻tから所定の交差点通過時間Δt後の時刻(t+Δt)における、当該流入路から該当する進行方向への流出台数とする。また、当該レーンの予測時刻tの直前時刻t−1における滞留台数から、算出した当該レーンからの流出台数を減算した台数を算出し、予測時刻tにおける当該レーンの滞留台数とする。
【0082】
信号制御部150は、制御パラメータ変更部130によって算出された信号制御パラメータに従って、自交差点の各交通信号機30を制御する。
【0083】
通信制御部200は、他の交通信号制御装置20や、中央管理装置10といった外部装置との間の通信を制御する。例えば、隣接交差点の交通信号制御装置20から送信されてくる予測流出交通流データ331を受信したり、流出交通流予測部140により算出された予測流出交通流データ331を、隣接交差点の交通信号制御装置20それぞれに送信する。
【0084】
記憶部300は、処理部100が交通信号制御装置20を統合的に制御するためのシステムプログラムや、本実施形態の交通信号制御を実現するためのプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部100の作業領域として用いられ、処理部100が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。この記憶部300は、例えば各種ICメモリやハードディスク、ROM、RAM等で実現される。本実施形態では、記憶部300には、交通信号制御プログラム310と、自交差点構成テーブル321と、渋滞判定地点テーブル322と、進行率テーブル323と、飽和交通流テーブル324と、渋滞発生有無組合せテーブル325と、渋滞時用パラメータテーブル326と、渋滞発生有無判定テーブル327と、予測流出交通流データ331と、予測到着交通流データ332と、滞留台数データ334と、流入路別流出台数データ335と、信号制御パラメータデータ336と、感知結果データ341と、渋滞判定結果データ344と、渋滞検出結果データ342と、渋滞推定結果データ343と、渋滞判定結果データ344とが記憶される。
【0085】
[処理の流れ]
図25は、交通信号制御処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、処理部100が交通信号制御プログラム310を実行することで実現される。同図によれば、先ず、到着交通流予測部110が、自交差点への到着交通流を予測する(ステップA1)。すなわち、隣接交差点の交通信号制御装置20から受信した予測流出交通流データ331をもとに、自交差点の各流入路に到着すると予測される交通流(到着交通流)を算出し、予測到着交通流データ332を生成する。この到着交通流の予測は、公知の方法を利用できる。次いで、制御パラメータ変更処理を実行して、自交差点の信号制御パラメータを変更する(ステップA3)。
【0086】
図26は、制御パラメータ変更処理を説明するためのフローチャートである。同図によれば、渋滞発生判定部120が、渋滞判定処理を実行して、各流入路における渋滞の発生有無を判定する(ステップB1)。
【0087】
図27は、渋滞発生判定処理を説明するためのフローチャートである。同図によれば、渋滞発生判定部120は、流入路それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、信号制御パラメータデータ336を参照して、対象流入路に通行権が有る現示から無い現示への切替タイミングを判定する(ステップC1)。次いで、滞留台数データ334を参照して、判定した切替タイミングの直前の予測される滞留台数を判定する(ステップC3)。そして、判定した予測滞留台数に所定の車両全長を乗じて予測渋滞長を算出する(ステップ5)。ループAはこのように行われる。
【0088】
全ての流入路を対象としたループAの処理を行うと、渋滞発生判定部120は、続いて、判定地点それぞれを対象としたループBの処理を行う。ループBでは、渋滞判定地点テーブル322を参照して、対象の判定地点(対象地点)に車両感知器40が設置されているか否かを判断する。車両感知器40が設置されているならば(ステップC7:YES)、感知結果データ341を参照して、対象地点に該当する流入路に通行権が有る期間を判断し、判断した期間における時間占有率の平均値を算出する(ステップC9)。そして、算出した平均占有率が所定の閾値を超えるならば(ステップC11:YES)、対象地点の渋滞の発生有無の検出結果を“有り”とし(ステップC13)、閾値を超えないならば(ステップC11:NO)、対象地点の渋滞の発生有無の検出結果を“無し”とする(ステップC15)。一方、対象地点に車両感知器40が設置されていないならば(ステップC7:NO)、対象地点の渋滞発生有無の感知結果を“不明”とする(ステップC17)。
【0089】
続いて、渋滞発生判定部120は、対象地点に該当する流入路の予測渋滞長が対象地点の位置に達しているか否かを判断する。その結果、予測渋滞長が対象地点に達しているならば(ステップC19:YES)、対象地点の渋滞発生有無の推定結果を“有り”とし、達していないならば(ステップC21:NO)、対象地点の渋滞発生有無の推定結果を“無し”とする(ステップC23)。
【0090】
その後、渋滞発生有無判定テーブル327に従って、対象地点の渋滞発生有無の検出結果及び推定結果の組合せに対応する渋滞有無を判定する(ステップC25)。ループBはこのように行われる。全ての判定地点を対象としたループBの処理を行うと、渋滞判定処理は終了となる。
【0091】
渋滞判定処理が終了すると、制御パラメータ変更部130は、渋滞判定結果データ344を参照して、各判定地点における交通渋滞の発生有無を判断する。判断の結果、一箇所でも渋滞の発生“有り”と判定されているならば(ステップB3:YES)、渋滞判定結果データ344をもとに、各判定地点における渋滞の発生有無の組合せを判断し、渋滞発生有無組合せテーブル325を参照して、判断した組合せに対応する制御パターンを選択する(ステップB5)。そして、渋滞時用制御パラメータテーブル326を参照して、選択した制御パターンに対応する信号制御パラメータの値に変更する(ステップB7)。
【0092】
一方、全ての判定地点について渋滞の発生“無し”と判定されているならば(ステップ3B:NO)、制御パラメータ変更部130は、予測到着交通流データ332や予測流出交通流データ331をもとに各現示iの需要率ρiを算出し(ステップB9)、算出した各現示需要率ρiを加算して交差点の需要率λを算出する(ステップB11)。次いで、算出した交差点需要率λをもとにサイクル長Cを算出し(ステップB13)、サイクル長C及び各現示iの需要率ρiをもとにスプリットを算出する(ステップB15)。そして、算出したサイクル長C及びスプリットに、信号制御パラメータを更新する(ステップB17)。以上の処理を行うと、制御パラメータ変更処理は終了となる。
【0093】
制御パラメータ変更処理が終了すると、続いて、流出交通流予測部140が、自交差点の各流入路から流出すると予測される交通流(流出交通流)を算出し、予測流出交通流データ331を生成する(ステップA5)。この流出交通流の予測も、公知の方法を利用できる。そして、処理部100は、生成された予測流出交通流データ331を、隣接交差点の交通信号制御装置20それぞれに送信する(ステップA7)。その後、ステップA1に戻る。処理部100は、このステップA1〜A7の処理を、所定時間間隔(例えば、5秒間隔)で繰り返し実行する。
【0094】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、自律分散型の交通信号制御装置20は、自交差点の各流入路の判定地点それぞれについて、当該判定地点に設置された車両感知器40からの感知結果信号(時間占有率)に基づく渋滞の発生有無の検出を行うとともに、該当する流入路の予測した交通流に基づく渋滞の発生有無の推定を行い、これらの検出結果及び推定結果をもとに、当該判定地点における渋滞の発生有無を判定する。そして、判定地点それぞれの判定結果の組合せに予め対応付けて定められている渋滞時用パラメータに、信号制御パラメータを変更する。これにより、渋滞の発生を判定し、各流入路の渋滞の発生有無の組合せに応じて適切な信号制御パラメータに可変して信号制御を行うといった、発生した渋滞を速やかに解消可能な適切な交通信号制御が実現される。
【0095】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0096】
(A)信号制御パラメータの変更
例えば、上述の実施形態では、渋滞の発生“有り”を判定した場合に、渋滞の発生有無の組合せに応じた信号制御パラメータに「変更」することにしたが、「補正」することにしても良い。具体的には、先ず、予測した到着交通流等をもとに信号制御パラメータを算出し、その後、渋滞の発生有無の判定結果に応じてこの信号制御パラメータの値を補正して変更する。すなわち、渋滞の発生“有り”と判定した流入路に通行権を与える現示の現示時間を所定時間だけ長くする。長くする時間は、一定時間(例えば、3秒)としても良いし、渋滞の発生有無の判定に用いた平均占有率や予測滞留台数に比例するように決定しても良い。この場合、現示時間の増加に伴ってサイクル長Cが長くなる。或いは、渋滞の発生“有り”と判定した流入路に通行権を与える現示のスプリットを大きくし、渋滞の発生“無し“と判定した流入路に通行権を与える現示のスプリットを小さくするように変更する。このとき、サイクル長Cも変更することにしても良い。何れにしても、渋滞の発生“有り”と判定した流入路に通行権を与える現示の現示時間を相対的に長くするよう補正する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】自律分散型交通信号制御システムの構成。
【図2】交差点の一例。
【図3】車両感知器の設置例。
【図4】現示方式の一例。
【図5】交通信号制御の概要。
【図6】通行権が無い流入路についての流出予測の原理。
【図7】通行権が有る流入路についての流出予測の原理。
【図8】交通信号制御装置の構成。
【図9】自交差点構成テーブルのデータ構成例。
【図10】渋滞判定地点テーブルのデータ構成例。
【図11】予測流出交通流データのデータ構成例。
【図12】予測到着交通流データのデータ構成例。
【図13】感知結果データのデータ構成例。
【図14】渋滞検出結果データのデータ構成例。
【図15】信号制御パラメータデータのデータ構成例。
【図16】滞留台数データのデータ構成例。
【図17】渋滞推定結果データのデータ構成例。
【図18】渋滞発生有無判定テーブルのデータ構成例。
【図19】渋滞判定結果データのデータ構成例。
【図20】渋滞発生有無組合せテーブルのデータ構成例。
【図21】渋滞時用制御パラメータテーブルのデータ構成例。
【図22】進行率テーブルのデータ構成例。
【図23】流入路別流出台数データのデータ構成例。
【図24】飽和交通流テーブルのデータ構成例。
【図25】交通信号制御処理のフローチャート。
【図26】交通信号制御処理中に実行される制御パラメータ変更処理のフローチャート。
【図27】制御パラメータ変更処理中に実行される渋滞判定処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0098】
1 自律分散型交通信号制御システム
20 交通信号制御装置
100 処理部
110 到着交通流算出部、120 渋滞発生判定部
30 制御パラメータ変更部、140 流出交通流予測部、150 信号制御部
200 通信制御部
300 記憶部
310 交通信号制御プログラム
321 自交差点構成テーブル、322 渋滞判定地点テーブル
323 進行率テーブル、324 飽和交通流テーブル
325 渋滞発生有無組合せテーブル、326 渋滞時用制御パラメータテーブル
327 渋滞発生有無判定テーブル
331 予測流出交通流データ、332 予測到着交通流データ
334 滞留台数データ、335 流入路別流出台数データ
336 信号制御パラメータデータ
341 感知結果データ、342 渋滞検出結果データ
343 渋滞推定結果データ、344 渋滞判定結果データ
30 交通信号機、40 車両感知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信する通信手段と、自交差点への到着交通流を予測する到着交通流予測手段と、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測する流出交通流予測手段と、予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する信号制御手段とを備えた自律分散型の交通信号制御装置であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定する渋滞発生判定手段と、
前記渋滞発生判定手段の判定に応じて、前記信号制御手段による自交差点の信号制御パラメータを、予め定められた渋滞時用パラメータに変更する渋滞時信号制御手段と、
を更に備えた交通信号制御装置。
【請求項2】
前記渋滞発生判定手段は、自交差点の流入路に配設された各車両感知器の感知結果に基づき流入路別の渋滞発生を判定し、
前記渋滞時信号制御手段は、流入路別の渋滞発生の有無の組合せそれぞれに対して予め定められた渋滞時用パラメータの中から、前記渋滞発生判定手段による流入路別の渋滞発生の有無の組合せに対応する渋滞時用パラメータを選択し、自交差点の信号制御パラメータを当該選択した渋滞時用パラメータに変更する、
請求項1に記載の交通信号制御装置。
【請求項3】
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信する通信手段と、自交差点への到着交通流を予測する到着交通流予測手段と、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測する流出交通流予測手段と、予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する信号制御手段とを備えた自律分散型の交通信号制御装置であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定する渋滞発生判定手段を更に備え、
前記信号制御手段が、前記渋滞発生判定手段による判定がなされた場合に当該判定結果に基づいて信号制御パラメータを補正する補正手段を有する、
交通信号制御装置。
【請求項4】
前記補正手段は、渋滞発生が判定された流入路に通行権を与える現示と渋滞発生が判定されていない流入路に通行権を与える現示とが存在する場合に、前者の現示の現示時間が、前記渋滞発生判定手段による判定がなされなかったときに比べて長くするように信号制御パラメータを補正する請求項3に記載の交通信号制御装置。
【請求項5】
前記流出交通流予測手段により予測された自交差点の各流入路の滞留台数に基づいて流入路別の渋滞発生を推定する渋滞発生推定手段を更に備え、
前記渋滞発生判定手段が、前記車両感知器の感知結果と前記渋滞発生推定手段による推定結果とに基づいて渋滞の発生を判定する、
請求項1〜4の何れか一項に記載の交通信号制御装置。
【請求項6】
前記渋滞発生判定手段が、流入路別の渋滞発生を、前記車両感知器が配設されている流入路については当該車両感知器の感知結果に基づいて判定し、前記車両感知器が配設されていない流入路については前記渋滞発生推定手段による当該流入路の推定結果に基づいて判定する、
請求項5に記載の交通信号制御装置。
【請求項7】
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信し、自交差点への到着交通流を予測し、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測し、前記予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する自律分散型の交通信号制御装置における交通信号制御方法であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定し、
前記渋滞発生の判定に応じて、前記予測結果に基づく信号制御パラメータを、予め定められた渋滞時用パラメータに変更する、
交通信号制御方法。
【請求項8】
他交差点の他交通信号制御装置との間で互いに流出交通流の情報を送受信し、交差点への到着交通流を予測し、自交差点の各流入路の滞留台数及び各流入路から他方路への流出方向別の流出台数を予測して自交差点からの流出交通流を予測し、前記予測結果に基づいて自交差点の信号制御パラメータを可変して自交差点の信号を制御する自律分散型の交通信号制御装置における交通信号制御方法であって、
自交差点の流入路に配設された車両感知器の感知結果に基づいて、当該流入路における渋滞発生を判定し、
前記渋滞発生の判定がなされた場合に当該判定結果に基づいて信号制御パラメータを補正する、
交通信号制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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