説明

交通標識板の支持金具

【課題】 交通標識板の取替え作業を簡単に行える装置を提供する。
【解決手段】 防護柵の支柱pに組付ける金具基枠2に、底部片6aとその両側に相対設した側部片6b,6bとで成る溝形枠6を設け、該溝形枠6の前記側部片6b,6b間に上、下の支持杆8,11を架設する。上支持杆8には先端に鉤状の係止部片10Aを設けた回動枠10を回動自在に支持させる。また、交通標識板5aを設けた標識支柱5を着脱自在に組付ける組付け手段3を一端に設けた支柱支持材4を前記溝形枠6に嵌挿する角筒体で構成する。そして、該支柱支持材4の他端には、係合切欠14を該支柱支持材4の長手方向に沿わせて設け、該係合切欠14に前記下側支持杆11を係合させたとき、前記係止部片10Aの先端が接する前記支柱支持材4の上面には、前記係止部片10Aが係止する受止孔9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概し、防護柵の支柱に交通標識板を取付ける際に用いる支持金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、防護柵支柱に締め付けて主取付具と、標識板を取付けた標識板支柱を締付ける補助取付具とを組合わせて構成した構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−39853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、防護柵支柱に主取付具を締め付けるボルトが、標識板支柱を補助取付具に締め付ける際に用いるボルトとを兼用する構造を採るため、交通標識板の取替えなど防護柵支柱に対する交通標識板の着脱に際しては、常に該防護柵支柱から支持金具の構成材全部を取外す必要があり、標識板の取替えに際しては多数個所にわたるためきわめて煩雑な作業となっている。
【0005】
本発明は、このような常況に鑑み、交通標識板の取替え作業を簡単に行える装置を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
防護柵の支柱に組付ける金具基枠に、底部片とその両側に相対設した側部片とで成る溝形枠を設け、該溝形枠の前記側部片間に上、下の支持杆を架設し、上支持杆には先端に鉤状の係止部片を設けた回動枠を回動自在に支持させると共に、交通標識板を設けた標識支柱を着脱自在に組付ける組付け手段を一端に設けた、支柱支持材を前記溝形枠に嵌挿する角筒体で構成し、該支柱支持材の他端には、係合切欠を該支柱支持材の長手方向に沿わせて設け、該係合切欠に前記下側支持杆を係合させたとき、前記係止部片の先端が接する前記支柱支持材の上面には、前記係止部片が係止する受止孔を設けた構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支柱に組付けた金具基枠に対し交通標識板を固定した組付け杆を組付けることにより、前記支柱に交通標識板を設けることができるから、現場に於いては金具基枠に対し組付け杆を着脱するだけで、交通標識板の取替えや、組付けを行うことができ、実用的である。しかも、本発明によれば、組付け杆を金具基枠の溝枠に嵌挿するだけで、組付けられ、かつ、該組付け状態を維持できるから金具基枠に対する組付け杆の組付け操作自体簡単に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】使用状態を示す正面図。
【図2】図1の一部欠截拡大図。
【図3】図2の平面図。
【図4】図2のx−x線断面図。
【図5】金具基枠の斜視図。
【図6】金具基枠に対する組付け杆の組付け操作過程を示す断面図。
【図7】第二実施形態の支柱支持材の斜視図。
【図8】第三実施形態の使用状態を示す一部欠截正面図。
【図9】図8のy−y線断面図。
【図10】図8の平面図。
【図11】組付け手段の他の実施例の正面図。
【図12】図11の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る交通標識板の支持金具A,A´,A´´は、支柱pに挟持片1,201を用いて締付ける金具基枠2と、標識支柱5を着脱自在に組付ける組付け手段3を備えた支柱支持材4を互いに組付けて構成し、例えば、防護柵の支柱pに金具基枠2を装着しておくことにより、該金具基枠2に着脱自在に組付ける支柱支持材4を介して標識支柱5(標識板を設けた)の取替えを簡易に行えるものである。
発明を実施するための第一実施形態
図1は、防護柵の支柱pの上下に本発明に係る支持金具A,A´を取付け、該一対の支持金具A,A´によって、上端部に交通標識板5aを取付けた標識支柱5を支持させた状態を示すもので、第一実施形態の支持金具Aは、前記支柱pに配設した支持金具A,A´の内、上側のものをいう。
【0010】
図2乃至図6は第一実施形態の支持金具Aを示し、以下、これら各図に従って、第一実施形態を説明する。
【0011】
第一実施形態の金具基枠2は、底部片6aと該底部片6aの両側に側部片6b,6bとで成る溝形枠6と、該溝形枠6の前記側部片6b,6bの後端上部に設けた切欠に係合して固着した断面コの字状の締付け枠7とで構成し、この金具基枠2の、前記支柱支持材4を組付ける溝形枠6の前記側部片6b,6bの先端側に、上、下の支持杆8,11を架設し、架設した上側支持杆8に支柱支持材4に設けた受止孔9に係止する係止部片10Aを設けた回動枠10を回動自在に支持させてある。
【0012】
なお、回動枠10は、中央部片10aと、その両側に相対して立設した側部片10b,10bとで成る断面コの字形体で構成し、支柱pに金具基枠2を取付けたときの前記中央部片10aの支柱p側の一側の、前記側部片10b,10b間の中央に、該中央に設けた舌状片を折り曲げ状にして前記係止部片10Aを設けて成るもので、側部片10b,10bに前記上側支持杆8を貫通させるようにして該上側支持杆8に回動自在に支持させてある。また、回動枠10は、側部片10bを回動軸部(上側支持杆8を貫通させた部分)から腕状に突出させ、その先端に係止部片10Aを備えた前記中央部片10aを配するものであるから、外力を付与しないときは、図6(a)で示すように、係止部片10Aが上側支持杆8の直下に位置する。そして、該直下部分を通過する支柱支持材4の主体13の上面(上壁13aの表面)が該係止部片10Aに接触し、該接触状態を維持したまま、図6(b)で示すように、支柱支持材4は金具基枠2の溝形枠6部内を受止孔9に至る(図6(c))まで移動する。
【0013】
前記支柱pに組付ける、溝形枠6の後端に設けた前記締付け枠7は、細長い帯状の中央部片7cと、該中央部片7cの上下両端を後方に折曲して相対設した上、下部片7a,7bとで成る断面コ字形の枠体で構成し、上、下部片7a,7bの自由端の中央部に円弧状の凹入縁7a´,7b´を設けて前記支柱pを係合させるようにし、中央部片7cの、前記溝形枠6より側方に突出する両側部には挟持材1を構成するU字ボルトの挿通孔12を設けてある。
【0014】
前記支柱支持材4は、前記溝形枠6の側部片6b,6b間の内径よりわずかに狭い外径幅を備え、上壁13a、底壁および左右の側壁で成る角筒体で成る支持材主体13の一端(先端)に、標識板5aを上部に備えた前記標識支柱5の組付け手段3を備え、他端(基端)側の上壁13a部には、前記受止孔9を設け、また、支持材主体13の相対する側壁13c,13cには、前記他端から一端方向に(支持主体13の長手方向に)長い係合切欠14を設け、該係合切欠14に前記溝形枠6に備えた下側支持杆11が係合するようにしてある。
【0015】
前記組付け手段3は、支持材主体13に蓋枠15を回動自在に枢着して構成する。すなわち、支柱支持材4の支持材主体13の先端側に、該主体13の一方の側壁13cを切欠して標識支柱5の一半側を嵌合する嵌合切欠24を設け、該嵌合切欠24に相対して標識支柱5の他半側を嵌合する嵌合切欠24´を設けた断面コ形の蓋枠15の一端側の基部を、前記嵌合切欠24を構成する支柱支持材4の先端部に支軸16で回動自在に枢着して構成する。そして、蓋枠15の上、下部片15a,15b間に支持材主体13を係合するようにして前記嵌合切欠14を閉塞し、該嵌合切欠14と蓋枠15側の嵌合切欠14´とで前記標識支柱5を保持するようにし、該保持状態を、支持材主体13の他方の側壁13c´側から貫通させた止着ボルト17の蓋枠15より突出する先端に止着ナット18を螺合、締付けて保つようにしたものである。
【0016】
そして、締付け枠7と挟持片1との間に支柱pを介在させるようにして、挟持片1であるU字ボルトの両端のねじ部1a,1aを金具基枠2の締付け枠7に設けた挿通孔12に挿通させ、締付け枠7の中央部片7cより突出する前記ねじ部1aに固定ナット19を螺合して締付けると、締付け枠7と挟持片1とで支柱pを挟持した状態で金具基枠2は防護柵の支柱pに取付けられ、固定される。
【0017】
この状態で金具基枠2の溝形枠6部の側部片6b,6b間に、支柱支持材4の係合切欠14がある側の基端(一端)部を差し込むと、該基端部は、溝形枠6に設けた下側支持杆11に前記係合切欠14が係合し、該下側支持杆11に案内されるようにして溝形枠6部内を移動する。
【0018】
そして、支柱支持材4の、支柱p方向(先端から基端方向)への押圧を継続すると、上側支持杆8に回動自在に支持させた回動枠10の係止部片10Aは、当初より支持材主体13に押されていた状態から該主体13に設けた受止孔9の当該位置への移動によりこれに係止し、支柱支持材4の金具基枠2に対する組付け作業を終了することとなる。
【0019】
なお、図示20は、軸8,11,16の抜け止め用のクリップである。
発明を実施するための第二実施形態
第二実施形態の交通標識板の支持金具A´は、第一実施形態の支持金具Aの下側に配して該第一実施形態の支持金具Aと協同して標識支柱5(標識板5a)を尚一層確実に支持させるもので、支持金具A´を構成する金具基枠2は第一実施形態のものと全く同様なのでその説明を省略し、相違点である支柱支持材104(図7参照)のみについて説明する。
【0020】
第一実施形態の支柱支持材4の組付け手段3が支持材主体13と、それと別体の蓋枠15とで構成するに対し、この第二実施形態の組付け手段103は、支持材主体113の先端(一端)に筒体30を設け、該筒体30に標識支柱5を嵌挿するようにして構成する一方(筒体30を省略して支持材主体113に標識支柱5を嵌挿する透孔を直接設けても良い)、第一実施形態の支持主体13と同様に、方形筒状の支持材主体113の基端側には受止孔109と係合切欠114を設け、これら受止孔109と係合切欠114を利用して第一実施形態の支持材主体13と同様に金具基枠102に組付けるようにしたものである。
【0021】
第一、第二の各実施形態の支持金具A,A´は、支柱pに組付けた金具基枠2,102に対し支柱支持材4,104を組付け、該組付け手段4,104に、第一実施形態のものにあっては嵌合切欠24に、第二実施形態のものにあっては筒体30に標識支柱5を順次係合し、次いで、第一実施形態側の蓋枠15を支軸16を中心に回動させて支持材主体13に重ね合わせ、これらに止着ボルト17を挿通させ、蓋枠15より突出させたボルト17の先端に止着ナット18を螺合し、締付けることにより、図1で示す標識板5aの標識支柱5を介する支持状態を得られる。
【0022】
なお、第一、第二の実施形態の支持金具A,A´は単独で用いても必ずしも不都合はないが、図1で示すような用い方をすると、安定した支持状態を得ることができる。
発明を実施するための第三実施形態
図8乃至図10は本発明の第三実施形態の、交通標識板の支持金具A´´を示す。
【0023】
第三実施形態の支持金具A´´の金具基枠202は、底部片206aと該底部片206aの両側に側部片206b,206bとで成る溝形枠206と、該溝形枠206の側部片206b,206b間の基端側に、後端を支柱pに係合する凹入縁を設けた当接部片31を設ける一方、側部片206bの基端側の外面にはバンドブレード32の一端を溶接して設けて構成したもので、この金具基枠202の溝形枠206部の先端側には、第一実施形態と同様に上、下の支持杆208,211を設け、上側支持杆208には、第一実施形態と同様に中央部片210aと両側部片210b,210bとで成る断面コ形枠体で構成し、中央部片210aに舌状片を折り曲げて設けた係止部片210Aを備えた回動枠210を回動自在に組付けてある。
【0024】
第三実施形態の金具基枠202は、U字ボルトで成る挟持片1に代えて支柱用バンドのブレード片で挟持片201を構成し、該挟持片201の両端と、金具基枠202側のバンドブレード32間に締付けボルト33を挿通させ、その先端に締付けナット34を螺合し、締付けることにより支柱pに組付けられる。
【0025】
そして、第一実施形態と同様に、この金具基枠202に支柱支持材204を嵌挿し、基枠202(溝形枠206)に沿う支柱支持材204の移動を、支持材204側の係合切欠214と金具基枠202側の下側支持杆211の係合関係により円滑に行わせ、金具基枠202側に設けた係止部片210Aが支持材204側の受止孔209に係合することにより移動死点位置となり、第一実施形態と同様に支柱pに取付けた金具基枠202に支柱支持材204を組付けることができる。
【0026】
第三実施形態の支柱支持材204に備えた組付け手段203は、第一実施形態とほぼ同様に支持材主体213に支軸216で蓋枠215が回動自在に枢着して構成され、主体213と蓋枠215には第一実施形態と同様に嵌合切欠224,224´を設けてこれらの間に標識支柱5が係合されるようにして用いられる。そして、主体213と蓋枠215(嵌合切欠224と224´)による標識支柱5の挟持状態は第一実施形態と同様に止着ボルト217とこれに螺合する止着ナット218との螺合関係によって維持される。
【0027】
第三実施形態の残余の点は図面で理解できることなので説明を省略する。もっとも、第三実施形態は、基本的には第一実施形態のものと同様に理解でき、矛盾のない限り、第一実施形態についてした説明を本実施形態に適用できる。
発明を実施するための第四実施形態
図11、図12は、本発明の第四実施形態を示し、この実施形態は、第一実施形態等が、止着ナット18,218を蝶ナットで構成したものに対し、該蝶ナットに代えて、中央部を等辺台形状にした飛鳥形状の操作材本体318aの中央部にナット材318bを取付けた構造の操作材318で構成したもので、残余は、第一実施形態等と同様である。すなわち、第一実施形態の止着ナット18,218に代えて操作材318を用いても不都合はない。
【0028】
もっとも、この実施例の止着ボルト317は、他実施例の止着ボルト17,217が、その頭部を支持材主体13の表面に係止させるようにしているに対し、主体13内に受部片35を設け、これに係止させるようにしている。
【0029】
第四実施形態の支持金具A´´´は、第一実施形態と組付け手段3の点が異なるだけなので、残余の点の説明は省略する(図で表わした部分中、第一実施形態と同じものは同一符号で示す)。
【符号の説明】
【0030】
2 金具基枠
4 支柱支持材
5 標識支柱
5a 交通標識板
6 溝形枠
6a 底部片
6b 側部片
8 上支持杆
9 受止孔
10 回動枠
10A 係止部片
11 下側支持杆
14 係合切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護柵の支柱に組付ける金具基枠に、底部片とその両側に相対設した側部片とで成る溝形枠を設け、該溝形枠の前記側部片間に上、下の支持杆を架設し、上支持杆には先端に鉤状の係止部片を設けた回動枠を回動自在に支持させると共に、交通標識板を設けた標識支柱を着脱自在に組付ける組付け手段を一端に設けた、支柱支持材を前記溝形枠に嵌挿する角筒体で構成し、該支柱支持材の他端には、係合切欠を該支柱支持材の長手方向に沿わせて設け、該係合切欠に前記下側支持杆を係合させたとき、前記係止部片の先端が接する前記支柱支持材の上面には、前記係止部片が係止する受止孔を設けた、交通標識板の支持金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−154064(P2012−154064A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12814(P2011−12814)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(595127001)日本ロード・メンテナンス株式会社 (1)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】