説明

人体検出装置

【課題】人体やペットの移動方向を確実に得られることができるようにするとともに、移動領域の長手方向を確実に得られることができるようにすることを目的とする。
【解決手段】住宅内の床面を撮影するとともに、撮影方向が床面と垂直になる位置に撮影装置1を設置し、撮影装置1によって撮影された画像の変化領域を解析して移動物体の移動方向を取得するとともに、取得した移動方向と変化領域の長手方向とが一致しなかった場合に、人体判定装置2にて人体が動いたと判定するようにしている。これにより、人体を検出するために使用される撮影装置1によって住宅内の床面が真上から撮影されるので、人体やペットが移動する際に撮影装置1に近付いたり遠ざかったりすることがなくなり、人体やペットの移動方向を確実に得ることができるとともに、移動領域の長手方向を確実に得ることができる。従って、人体とペットとをより確実に区別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内における住人や侵入者の動きを検出するための人体検出装置に関し、特に、撮影した画像に基づいて人体を検出する人体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅内で住人の動きが所定時間検出されなかった場合に、管理人などに通報する緊急通報システムが知られている。また、住宅内に侵入した侵入者の動きを検出して、警備会社などに通報する防犯システムも知られている。これらのシステムでは、住人の動きや侵入者の動きを検出するために、赤外線センサーが用いられることがある。しかしながら、赤外線センサーを用いた場合、住宅内に飼育されているペットも検出されてしまうため、ペットを飼育している住宅内では、誤報が発生してしまうという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、監視空間を撮影するためのCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子が出力する画像信号を解析して、移動領域の大きさが判定閾値以上であれば、当該移動領域を人体によるものと判定する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、撮像素子と人体やペットなどとの距離が一定である場合には、移動領域の大きさで人体を判定することができるものの、人体が撮像素子から離れていたり、ペットが撮像素子に近付いていたりした場合には、移動領域の大きさで人体を判定することができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
これに対して、監視空間を撮影するためのCCDイメージセンサ、C−MOSイメージセンサなどの撮像素子が出力する画像信号を解析して、主に四本足であるペットの移動方向と、撮影された画像の変化領域の形状の長手方向とが一致した場合に、ペットが動いたと判定する技術が知られている(例えば、特許文献2など)。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、撮影される画像の平面に対してペットの移動方向が平行である場合にはペットの移動方向と変化領域の長手方向とが一致するものの、撮影される画像の平面に対してペットの移動方向が垂直である場合(すなわち、人体やペットが撮像素子に近付いたり遠ざかったりした場合)には人体やペットの移動方向が得られず、人体やペットの動きが検出できなくなってしまったり、動きが検出できた場合でも、変化領域の長手方向が得られず、ペットが動いたと判定することができなくなってしまったりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−186282号公報
【特許文献2】特開2006−155167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、撮像素子によって撮影された画像を解析して人体とペットとを区別する際に、人体やペットの移動方向を確実に得られることができるようにするとともに、移動領域の長手方向を確実に得られることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明では、住宅内の床面を撮影するとともに、撮影方向が床面と垂直になる位置に撮影装置を設置し、撮影装置によって撮影された画像の変化領域を解析して移動物体の移動方向を取得するとともに、取得した移動方向と変化領域の長手方向とが一致しなかった場合に、人体が動いたと判定するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、人体を検出するために使用される撮影装置によって住宅内の床面が真上から撮影されるので、人体やペットが移動する際に撮影装置に近付いたり遠ざかったりすることがなくなり、人体やペットの移動方向を確実に得ることができるとともに、移動領域の長手方向を確実に得ることができる。従って、人体とペットとをより確実に区別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態による人体検出装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態による人体検出装置の物体検出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による人体検出装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態による人体検出装置は、撮影装置1および人体判定装置2を備えて構成されている。また、人体判定装置2は、インターフェース3、変化領域判定部4、移動方向特定部5、変化領域解析部6、一致判定部7、人体判定部8を備えて構成されている。ここで、撮影装置1は、CCDイメージセンサやC−MOSイメージセンサなどの撮像素子を備えて構成されており、撮影した画像を画像信号として出力する。また、撮影装置1は、住宅内の天井などに設置されており、住宅内の床面を撮影するとともに、撮影方向が床面と垂直になるような方向にレンズを向けて設置されている。
【0013】
インターフェース3は、撮影装置1と人体判定装置とを接続して通信を行うためのものであり、撮影装置1から出力された画像信号を入力する。インターフェース3に入力された画像信号は、変化領域判定部4および移動方向特定部5へ出力される。変化領域判定部4は、CPU(central processing unit)やメモリなどにより構成されており、インターフェース3から入力した画像信号を時系列で比較して、変化した領域を示す変化領域が存在するか否かを判定する。ここで、撮影装置1にて撮影された画像信号に移動物体が存在する場合には、変化領域判定部4は、変化領域が存在すると判定する。この場合、変化領域判定部4は、変化領域が存在すると判定された画像信号(例えば、比較に使用された画像信号)を移動方向特定部5および変化領域解析部6へ出力する。
【0014】
移動方向特定部5は、CPUやメモリなどにより構成されており、変化領域判定部4から画像信号を入力すると、変化領域を特定し、その変化領域から移動物体の移動方向を特定して、移動方向を示す移動方向信号を生成する。そして、移動方向特定部5は、生成した移動方向信号を一致判定部7へ出力する。
【0015】
変化領域解析部6は、CPUやメモリなどにより構成されており、変化領域判定部4から画像信号を入力すると、変化領域を特定し、その変化領域の形状を解析して、解析した変化領域に長手方向が存在するか否かを判定する。また、変化領域解析部6は、長手方向が存在すると判定した場合に長手方向有信号を生成し、長手方向が存在しないと判定した場合に長手方向無信号を生成する。そして、変化領域解析部6は、生成した長手方向有信号または長手方向無信号を人体判定部8へ出力する。また、変化領域解析部6は、長手方向が存在すると判定した場合に、その方向を特定して長手方向信号を生成する。そして、変化領域解析部6は、生成した長手方向信号を一致判定部7へ出力する。
【0016】
一致判定部7は、CPUやメモリなどにより構成されており、移動方向特定部5から入力した移動方向信号による移動方向と、変化領域解析部6から入力した長手方向信号による長手方向とが一致するか否かを判定する。ここで、移動方向信号による移動方向は一方向であり、長手方向信号による長手方向は二方向であることから、一致判定部7は、一方向のみの一致を判定する。また、一致判定部7は、移動方向と長手方向とが一致した場合に両者が一致したことを示す一致信号を生成し、一致しなかった場合に両者が一致しなかなったことを示す不一致信号を生成する。そして、一致判定部7は、一致信号または不一致信号を人体判定部8へ出力する。
【0017】
人体判定部8は、CPUやメモリなどにより構成されており、変化領域解析部6から長手方向有信号または長手方向無信号を入力するとともに、一致判定部7から一致信号または不一致信号を入力する。ここで、人体判定部8が長手方向有信号を入力した場合には、人体判定部8は、一致判定部7から一致信号または不一致信号を必ず入力する。一致信号を入力した場合には、人体判定部8は、ペットなどの動物が動いたと判定する。一方、不一致信号を入力した場合には、人体判定部8は、人体が動いたと判定する。また、人体判定部8が長手方向無信号を入力した場合には、人体判定部8は、一致判定部7から一致信号も不一致信号も入力せず、人体が動いたと判定する。
【0018】
また、人体判定部8は、人体が動いたと判定した場合に、人体検出信号を生成し、インターフェース3を介して、生成された人体検出信号をインターフェース3に接続された報知装置などへ出力する。この報知装置は、住宅内で住人の動きが所定時間検出されなかった場合に、管理人などに通報を行う緊急通報システムに用いられたり、住宅内に侵入した侵入者の動きを検出して、警備会社などに通報を行う防犯システムに用いられたりする。
【0019】
次に、本実施形態による人体検出装置の物体検出例を説明する。図2は、本実施形態による人体検出装置の物体検出例を示す図である。変化領域判定部4は、撮影装置1によって撮影された第一の画像を示す第一の画像信号および第二の画像を示す第二の画像信号をインターフェース3から入力し、第一の画像と第二の画像とを比較して、変化した領域を示す変化領域が存在するか否かを判定する。図2(A)に示す画像でも図2(B)に示す画像でも、変化領域判定部4は、変化領域が存在すると判定する。この場合、変化領域判定部4は、第一の画像信号および第二の画像信号を移動方向特定部5および変化領域解析部6へ出力する。
【0020】
移動方向特定部5は、変化領域判定部4から第一の画像信号および第二の画像信号を入力すると、変化領域を特定し、その変化領域から移動物体の移動方向を特定して、移動方向を示す移動方向信号を生成する。この場合、移動方向は右方向となる。そして、移動方向特定部5は、生成した移動方向信号を一致判定部7へ出力する。また、変化領域解析部6は、変化領域判定部4から第一の画像信号および第二の画像信号を入力すると、変化領域を特定し、その変化領域の形状を解析して、解析した変化領域に長手方向が存在するか否かを判定する。図2(A)に示す画像でも図2(B)に示す画像でも、変化領域解析部6は、長手方向が存在すると判定するため、長手方向有信号を生成する。そして、変化領域解析部6は、生成した長手方向有信号を人体判定部8へ出力する。また、変化領域解析部6は、長手方向が存在すると判定した場合に、その方向を特定して長手方向信号を生成する。図2(A)に示す画像では、長手方向信号により特定される長手方向は左右方向であり、図2(B)に示す画像では、長手方向信号により特定される長手方向は上下方向である。変化領域解析部6は、生成した長手方向信号を一致判定部7へ出力する。
【0021】
一致判定部7は、移動方向特定部5から入力した移動方向信号による移動方向(図2(A)、図2(B)何れも右方向)と、変化領域解析部6から入力した長手方向信号による長手方向(図2(A)の場合には左右方向、図2(B)の場合には上下方向)とが一致するか否かを判定する。図2(A)に示す画像では、一致判定部7は、両者が一致したことを示す一致信号を生成する。一方、図2(B)に示す画像では、一致判定部7は、両者が一致しなかったことを示す不一致信号を生成する。そして、一致判定部7は、一致信号または不一致信号を人体判定部8へ出力する。
【0022】
人体判定部8は、変化領域解析部6から長手方向有信号を入力するとともに、一致判定部7から一致信号または不一致信号を入力する。ここで、人体判定部8が一致信号を入力した場合には(図2(A))、人体判定部8は、ペットなどの動物が動いたと判定する。一方、不一致信号を入力した場合には(図2(B))、人体判定部8は、人体が動いたと判定する。
【0023】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、住宅内の床面を撮影するとともに、撮影方向が床面と垂直になる位置に撮影装置1を設置し、撮影装置1によって撮影された画像の変化領域を解析して移動物体の移動方向を取得するとともに、取得した移動方向と変化領域の長手方向とが一致しなかった場合に、人体判定装置2にて人体が動いたと判定するようにしている。これにより、人体を検出するために使用される撮影装置1によって住宅内の床面が真上から撮影されるので、人体やペットが移動する際に撮影装置1に近付いたり遠ざかったりすることがなくなり、人体やペットの移動方向を確実に得ることができるとともに、移動領域の長手方向を確実に得ることができる。従って、人体とペットとをより確実に区別することができる。
【0024】
なお、前述した実施形態では、変化領域判定部4、移動方向特定部5、変化領域解析部6、一致判定部7、人体判定部8がそれぞれCPUやメモリにより構成されているが、これに限定されない。例えば、これらの構成要素を構成するCPUやメモリを共用するようにしても良い。
【0025】
また、前述した実施形態では、撮影装置1は天井に直接設置されているが、これに限定されない。例えば、天井からぶら下がるように設置されていても良い。すなわち、床面を真上から撮影できるような状態であれば、撮影装置1をどのような場所に設置するようにしても良い。
【0026】
また、前述した実施形態では、移動方向と長手方向との一致を左右方向や上下方向の四方向で比較しているが、これに限定されない。例えば、より細かい方向を定義し、その方向が所定の範囲に入るようであれば、両者が一致すると判定するようにしても良い(方向が類似する)。
【0027】
また、前述した実施形態では、撮影装置1として、CCDイメージセンサやC−MOSイメージセンサなどの撮像素子を搭載した通常のものを使用しているが、これに限定されない。例えば、赤外線を用いた撮像装置1を使用するようにしても良い。この場合、赤外線により熱源が検知されるため、変化領域を一枚の画像で判定することができるという利点がある。
【0028】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 撮影装置
2 人体検出装置
3 インターフェース
4 変化領域判定部
5 移動方向特定部
6 変化領域解析部
7 一致判定部
8 人体判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内の床面を撮影するとともに、撮影方向が前記床面と垂直になる位置に設置された撮影装置と、
撮影装置によって撮影された画像を時系列で比較して、変化した領域を示す変化領域が存在するか否かを判定する変化領域判定部と、前記変化領域が存在すると前記変化領域判定部にて判定した場合に、前記変化領域を特定して、その変化領域から移動物体の移動方向を特定する移動方向特定部と、前記変化領域が存在すると前記変化領域判定部にて判定した場合に、前記変化領域の形状を解析して、長手方向が存在するか否か、および、長手方向が存在する場合には、その方向を特定する変化領域解析部と、前記移動方向特定部により特定された移動方向および前記変化領域解析部により特定された長手方向が一致するか否かを判定する一致判定部と、前記変化領域に長手方向が存在しないと前記変化領域解析部にて判定した場合、または、前記移動方向および前記長手方向が一致しないと前記一致判定部にて判定した場合に、人体が動いたと判定する人体判定部とを有する人体判定装置と、
を備えたことを特徴とする人体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−230575(P2012−230575A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98858(P2011−98858)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】