説明

人体通信を利用した決済システム及びその方法

【課題】人体通信を介して使用者決済情報をガソリンスタンド側の決済端末に伝達して決済を自動的に行うことができる人体通信を利用した決済システム及びその方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、人体を媒介して通信手段を連結する人体通信部と、使用者決済情報及び注油情報を格納する格納部と、前記人体通信部により人体通信が行なわれると、前記使用者決済情報の決済を行う端末に前記人体通信を介し送信するように制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記決済端末から注油情報を受信すると、車計簿にアップデートさせて管理し、前記人体通信連結に失敗すると、使用者の移動通信端末に人体通信連結失敗結果を通知し、前記車両端末と人体通信が連結されると、使用者認証を行い前記車両端末から受信した使用者決済情報を利用して決済を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体通信を利用した決済システム及びその方法に係り、より詳しくは、人体通信を介して使用者決済情報をガソリンスタンド側決済端末に提供して決済を自動に行う人体通信を利用した決済システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体を電気的な信号伝達の媒体に用いてデータを送受信する技法が提案されている。人体を媒体に用いて電気的な信号を送受信する装置は、医療診断装備を始め多様な分野で応用される。人体を電気的な信号伝達の媒体に用いてデータを送受信する装置は、人体と直接接触するための電極を備えて人体を媒体に用いる。
人体を媒体に用いて電気的な信号を送受信する装置は、人体を特定装置に接触することだけでも電気的な信号の伝達が可能であるため、別の有線あるいは無線通信装備を備えなくとも使用者とシステムの間のデータ送受信が可能である。このような人体通信装置を多様な分野に応用することにより、別の有無線通信装備や通信線路を構築せずとも、データ送信において使用者の利便性を向上させることができる。
【0003】
最近、車両を開発する際一番重点を置く事項が運転者の利便性である。運転者が注油したあと、決済時にカードを他人(ガソリンスタンドの従業員)に渡すか、カード情報を与えて決済をする行為はカードの不法複製又は悪用の可能性が高くカードの安全性が低い問題点がある。
さらに、運転者が注油後、自分の注油量と日付、場所などを記録する車計簿があるが、これを毎度記録するのが煩わしく実際に注油情報の管理が成り立たないとの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、人体通信を介して使用者決済情報をガソリンスタンド側の決済端末に伝達して決済を自動的に行うことができる人体通信を利用した決済システム及びその方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る人体通信を利用した決済システムは、人体を媒介として通信手段を連結する人体通信部と、使用者決済情報及び注油情報を格納する格納部と、前記人体通信部により人体通信が行なわれると、前記使用者決済情報の決済を行なう端末に、前記人体通信を介して送信するように制御する制御部とを備える車両端末を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る人体通信を利用した決済システムは、人体を媒介として通信手段を連結する人体通信部と、使用者から指紋の認識を受ける指紋認識部と、人体通信を介して受信した指紋情報と前記指紋認識部により認識された指紋情報を利用して使用者認証を行う認証部と、前記認証部により使用者認証に成功すると、前記人体通信を介し受信したカード情報を利用して決済を行う制御部とを備える決済端末を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る人体通信を利用した決済方法は、車両端末と決済端末が人体通信を行う過程と、前記車両端末が使用者決済情報を前記人体通信を介して前記決済端末に送信する過程と、前記決済端末が使用者認証を行う過程と、前記使用者認証に成功すると前記使用者決済情報を利用して決済を行う過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば人体通信部と接触するだけで、人体通信を介して使用者決済情報をガソリンスタンド側の決済端末に伝送し、決済を自動的に行なって運転者の利便性を増大させる効果がある。
また、カード情報を他人(ガソリンスタンド側の従業員)に提供せずに決済することができるので、カード不法複製などが防止できる効果がある。
さらに、注油情報を毎度使用者が記録せず自動的にアップデートされるようにすることにより、いつでも移動通信端末機又はインターネットを介して自分の注油情報を確認することができるので、使用者の利便性を増大させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る人体通信を利用した決済システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した人体通信部の詳細な構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る人体通信を利用した決済方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
本明細書で開示する交通手段、又はそれと類似の用語は、スポーツ機能車両(SUV)、バス、トラック、多様な商業車両を含む乗用自動車、多様なボートと船舶を含むウォータークラフト(watercraft)、エアクラフト(aircraft)等々のようなモーター車両、ハイブリッド(hybrid)車両、電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、水素(hydrogen−powered)車両、その外の他の燃料を利用する車両(例えば、石油外の燃料を利用する車両)などを含む。特に、前述したハイブリッド車両は、2つ又はそれ以上の資源(例えば、ガソリンと電気エネルギー二つとも利用する車両)を利用した車両である。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る人体通信を利用した決済システムの構成を示す図である。
本発明に係る人体通信を利用した決済システムは、車両内に備えられる車両端末100とガソリンスタンド側の決済端末200を、使用者の接触を介して人体通信を行うことにより決済を行う。
車両端末100は、人体を媒介してガソリンスタンド側の決済端末200と人体通信が連結されると、使用者決済情報(認証のための使用者の指紋情報、移動通信端末の電話番号、決済のためのカード情報)を人体通信を介して決済端末200に伝達する。
このため、車両端末100は人体通信部110、格納部120、制御部130、表示部140及び無線通信部150を備える。
【0013】
人体通信部110は、使用者の手が接触すると、これを認知し使用者人体に微細電流を通過させ、人体を媒介して決済端末200側の人体通信部210と通信路を設定して人体通信ができるようにする。
格納部120は、使用者の決済情報(認証のための使用者の指紋情報、移動通信端末の電話番号、決済のためのカード情報)、及び決済端末200から受信した注油情報を格納する。このとき、各情報は暗号化されているので、他人によるハッキングを不可にする。
【0014】
制御部130は、車両端末100の人体通信部110とガソリンスタンド側の決済端末200との間に、人体を媒介にする人体通信が成功裡に連結されたのかを判断し、人体通信連結に失敗した場合、無線通信部150を介して移動通信端末400に人体通信に失敗したことを通知し、人体通信連結に成功した場合、人体通信部110を介して格納部120に格納されている決済のための使用者の指紋情報、移動通信端末の電話番号、決済のためのカード情報を決済端末200に送信するように制御する。
【0015】
さらに、制御部130は決済端末200から人体通信を介して注油情報を受信すると、注油情報を車計簿に適用して登録し、表示部140に表示するように制御して運転者が注油情報を確認できるようにする。ここで、制御部130は、車両に備えられているECU(Electronic Control Units)が行うこともできる。
表示部140は、人体通信に成功すると、人体通信に連結された画面、注油情報、車計簿などの情報を画面に表示する。このとき、車計簿は、使用者が自分の移動通信端末機400又はインターネットサイトを介して何時何処でも提供されるようにするのが好ましい。
【0016】
無線通信部150は、ワイファイ(WiFi)、ワイブロ(WiBro)、3G通信網などを介して無線通信を行う。
図1では、人体通信部110を車両端末100の内部に備える例を開示したが、人体通信部110を車両端末100と別途の端末に構成して具現することもできる。
一方、ガソリンスタンド側の決済端末200は、車両端末100と人体通信が連結されると、車両端末100から受信した使用者の指紋情報を利用して使用者認証を行い、認証に成功すると車両端末100から受信したカード情報を利用して決済を行い、決済遂行に伴う注油情報を車両端末100に伝送する。
【0017】
このため、決済端末200は人体通信部210、指紋認識部220、認証部230、制御部240、無線通信部250及び表示部260を備える。
人体通信部210は、人体を媒介して車両端末100の人体通信部110と人体通信を行う。
指紋認識部220は、使用者の手がタッチされると指紋を撮影して認識し、認識された指紋データを認証部230に伝達する。
認証部230は、車両端末100から受信した指紋情報と、指紋認識部220を介して認識された指紋データとを比較して使用者認証を行う。即ち、認証部230は、車両端末100から受信した指紋情報と、指紋認識部220を介して認識された指紋データとが一致すると、使用者認証に成功したものと判断し、一致しなければ使用者認証に失敗したものと判断する。
【0018】
制御部240は、認証部230を介して使用者認証に成功すると、車両端末100から受信したカード情報を利用し決済サーバー300と連動して決済を行い、決済が完了すると、決済結果を無線通信部250を介して使用者の移動通信端末400に送信するよう制御し、注油情報を車両端末100に人体通信を介して送信するように制御する。さらに、制御部240は、認証部230を介して使用者認証に失敗すると、認証失敗結果を無線通信部250を介して使用者の移動通信端末400に送信する。
無線通信部250はワイファイ(WiFi)、ワイブロ(WiBro)、3G通信網などを介して無線通信を行う。
表示部260は、決済金額を画面に表示する。
【0019】
以下、図2を参照して、車両端末100の人体通信部110と決済端末200の人体通信部210との間の人体通信過程について詳しく検討する。
先ず、車両端末100の人体通信部110は、データ送信器(Data Transmitter)111、人体通信送信器(Human Body Communication Transmitter、HBC Transmitter)112及び人体接触点(Electrode)113を含む。
データ送信器111は、制御部130から伝達された認証情報を人体通信送信器112に伝達する。
人体通信送信器112は、データ送信器111から伝達された認証情報を、人体を媒体にして伝達することができる電気信号に変換したあと、人体接触点113に接触した人体を介して決済端末200に送信する。このとき、人体は車両端末100の人体接触点113と決済端末200の人体接触点211とに全て接触していなければならない。
【0020】
人体接触点113は、人体の皮膚と直接接触するか、又は被服を間に置いて人体と接触した状態で、人体通信送信器112からの電気信号を人体を媒体にして送信する。
次に、決済端末200の人体通信部210は人体接触点(Electrode)211、人体通信受信器(Human Body Communication Receiver、HBC Receiver)212、データ受信器213を含む。
人体接触点211は、人体の皮膚と直接接触するか、又は被服を間に置いて人体と接触した状態で、人体通信部113の人体通信送信器112から電気信号を人体を媒体にして送信される。このとき、人体接触点211は車両のドアハンドルに設けられるのが好ましい。
【0021】
人体通信受信器212は、人体接触点211を介して人体通信部113から人体を媒体に送信された電気信号を元来の認証情報を変換した後、データ受信器213に伝達する。
データ受信器213は、人体通信受信器212から認証情報を受信する。
一方、車両端末100の人体通信部113と決済端末200の人体通信部210は、両方向通信が可能になるよう具現することもできる。
即ち、車両端末100の人体通信部113が人体通信受信器及びデータ受信器をさらに備え、決済端末200の人体通信部210が人体通信送信器及びデータ送信器をさらに備えて両方向通信が可能になるよう具現することもできる。
【0022】
以下、図3を参照して、本発明の実施形態に係る人体通信を利用した決済方法を説明する。
先ず、使用者がガソリンスタンドで注油すると、決済端末200が決済金額を画面に表示し(S101)、使用者が決済金額を確認することができるようにする。
その後、決済のため、使用者により車両端末100の人体通信部110と、ガソリンスタンド側の決済端末200の人体通信部210とに同時に手が接触され、車両端末100と決済端末200との間に人体を媒介に通信が連結される(S102)。
その後、車両端末100の制御部130は、人体通信連結に成功したのかを確認し(S103)、失敗した場合は使用者の移動通信端末400に人体通信失敗を通知する(S104)。
【0023】
一方、人体通信連結に成功した場合、車両端末100は使用者決済情報(指紋情報、カード情報、移動通信端末電話番号)を人体通信を介して決済端末200に送信する(S105)。
ここに、決済端末200は使用者から指紋の入力を受けて認識し(S106)、認識された指紋データと、車両端末100から受信した指紋情報とを比較して使用者認証を行う(S107)。
使用者認証に失敗すると、決済端末200は車両端末100から受信した移動通信端末電話番号を利用して使用者の移動通信端末400に使用者認証失敗を通知し(S108)、使用者再認証のため使用者に指紋再認識を誘導し、再認識された指紋データで使用者認証をさらに行う。
【0024】
一方、使用者認証に成功すると、決済端末200は車両端末100から受信したカード情報を介し決済サーバー300と連動して決済を進め(S109)、決済が完了すると、注油情報を車両端末100に人体通信を介して送信し(S110)、無線通信網を介して決済結果を使用者の移動通信端末400に送信する(S111)。
ここに、車両端末100は決済端末200から受信した注油情報を車計簿に登録してアップデート及び管理する(S112)。
本発明では、ガソリンスタンドにおける決済過程を例に開示しているが、デパート、飲食店、マート、ハイパス充電システムなど、決済システムを適用している多様な分野で適用することができる。
【0025】
このように、本発明は、ガソリンスタンドで注油が終った後、カードや現金を利用せず、車両端末100の人体通信部110とガソリンスタンド側の人体通信部210とに指を同時に接触させることにより決済を進める。
さらに、本発明は、ガソリンスタンドで決済が完了したあと、決済端末200が注油情報を車両端末100に人体通信を介して送信し、車計簿に自動アップデートさせることにより車計簿管理が容易になる。
【0026】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0027】
100:車両端末
110、210:人体通信部
120:格納部
130、240:制御部
140、260:表示部
150、250:無線通信部
200:決済端末
220:指紋認識部
230:認証部
300:決済サーバー
400:移動通信端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を媒介して通信手段を連結する人体通信部と、
使用者決済情報及び注油情報を格納する格納部と、
前記人体通信部により人体通信が行なわれると、前記使用者決済情報の決済を行う端末に前記人体通信を介して送信するよう制御する制御部と、
を備える車両端末を含むことを特徴とする人体通信を利用した決済システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記決済端末から注油情報を受信すると、車計簿にアップデートさせて管理することを特徴とする請求項1に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記人体通信連結に失敗すると、使用者の移動通信端末に人体通信連結失敗結果を通知するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項4】
前記車両端末と人体通信が連結されると、使用者認証を行い前記車両端末から受信した使用者決済情報を利用して決済を行う決済端末をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項5】
前記決済端末は、
人体を媒介に通信を連結する人体通信部と、
使用者から指紋の認識を受ける指紋認識部と、
人体通信を介し受信した指紋情報と、前記指紋認識部により認識された指紋情報とを利用して使用者認証を行う認証部と、
前記認証部により使用者認証に成功すると、前記人体通信を介し受信したカード情報を利用して決済を行う制御部と
を含むことを特徴とする請求項4に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記決済遂行が完了すると、注油情報を車両端末に前記人体通信を介して伝達するように制御することを特徴とする請求項5に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項7】
前記使用者決済情報は、
カード情報、使用者の移動通信端末の電話番号、使用者の指紋情報のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項8】
人体を媒介して通信手段を連結する人体通信部と、
使用者から指紋の認識を受ける指紋認識部と、
人体通信を介し受信した指紋情報と、前記指紋認識部により認識された指紋情報とを利用して使用者認証を行う認証部と、
前記認証部により使用者認証に成功すると、前記人体通信を介し受信したカード情報を利用して決済を行う制御部と、
を備える決済端末を含むことを特徴とする人体通信を利用した決済システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記決済遂行が完了すると、注油情報を車両端末に前記人体通信を介して伝達するように制御することを特徴とする請求項8に記載の人体通信を利用した決済システム。
【請求項10】
車両端末と決済端末が人体通信を行う過程と、
前記車両端末が使用者決済情報を前記人体通信を介して前記決済端末に送信する過程と、
前記決済端末が使用者認証を行う過程と、
前記使用者認証に成功すると、前記使用者決済情報を利用して決済を行う過程と
を含むことを特徴とする人体通信を利用した決済方法。
【請求項11】
前記使用者認証を行う過程は、
前記決済端末が使用者から指紋の認識を受ける過程と、
前記使用者決済情報のうち指紋情報と、前記認識された指紋情報とを比較して使用者認証を行う過程と
を含むことを特徴とする請求項10に記載の人体通信を利用した決済方法。
【請求項12】
注油情報を前記車両端末に前記人体通信を介して送信する過程と、
前記車両端末が前記注油情報を車計簿にアップデートさせて管理する過程と
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の人体通信を利用した決済方法。
【請求項13】
注油情報を前記車両端末に前記人体通信を介して送信する過程と、
前記車両端末が前記注油情報を車計簿にアップデートさせて管理する過程と
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の人体通信を利用した決済方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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