説明

人員拘束装置用ガス発生器

【課題】車両に搭載する乗員拘束用のガス発生器に関する。
【解決手段】ハウジング13の複数のガス排出口16のそれぞれと、取り付け具50の複数の連通孔58のそれぞれが、半径方向に正対するように配置され、かつ1つのガス排出口16の直径(d1)と1つの連通孔58の直径(d2)がd2>d1の関係を満たしている。作動時においてガス発生器1内で発生した燃焼ガスは、ガス排出口16から排出された後、環状空間72を通り、連通孔58から外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載する乗員拘束装置用のガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
人員拘束装置用ガス発生器を自動車に取り付けるときには取り付け具が使用されている。同じ出力性能のガス発生器であっても、異なる車種や異なる場所に取り付ける使用場合は、取り付け場所の相違から取り付け具の形状を異ならせる必要がある。
【0003】
特許文献1のFIG2には、アッパーシェル12とロアーシェル14からなるハウジング10を有するガス発生器が開示されている。ハウジング10の外側には、環状のフランジ20が溶接によってアッパーシェル12に固定されている。このフランジ20は、ガス発生器を車両、ステアリングホイールのハブなどに取り付けるためのものである。
【0004】
特許文献1では、フランジ20が環状平板であることから、アッパーシェル12との接触面積が小さくなっている。このため、車両に搭載された場合、長年にわたる振動で絶えずハウジングとフランジとの接合面に荷重が加わること、またガス発生器の作動時にガス発生器自体に反力がかかることを考慮すると、固定強度が十分ではないことが考えられる。
【0005】
特許文献2には、エアバッグ装置が開示されている。FIG5では、インフレータ54がキャッピング72とリテーナ52で挟まれた状態で固定されている。
【0006】
FIG5のエアバッグ装置では、インフレータ54の周壁面の全面と、キャッピング72及びリテーナ52との間に筒状空間が形成されており、筒状空間内にエアバッグ56の開口部(袋口)周縁が位置している状態が示されている。
このため、インフレータ54が作動して高温の燃焼ガスがガス排出口54aから排出され、高温の燃焼ガスの一部が筒状空間内に入り込んで移動したとき、エアバッグ56の開口部(袋口)周縁と燃焼ガスが接触することにより、エアバッグ56の開口部(袋口)周縁が溶融(損傷)するおそれがあり、エアバッグの膨張展開に悪影響を与える可能性も考えられる。
さらにインフレータ54の位置決め手段や位置固定手段も明確にされていないことから、インフレータ54がキャッピング72の周壁面72a及びリテーナ52の周壁面60bと接触してしまい、ガス排出口54aが閉塞されるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,530,516号明細書
【特許文献2】米国特許第6,409, 209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガス発生器ハウジングと取り付け具が別体の構造であり、様々な取り付け形態に対応できる、乗員拘束装置用ガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔請求項1〕
本願請求項1の発明は、課題を解決するための手段として、
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開口部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開口部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部の一部面との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口のそれぞれと、前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔のそれぞれが、半径方向に正対するように配置され、かつ1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)がd2>d1の関係を満たしており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、そのまま前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器を提供する。
【0010】
請求項1の発明のガス発生器は、ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたものであるから、ガス発生剤のみを備えたパイロインフレータ、ガス発生剤と加圧ガスを併用するハイブリッドインフレータに適用することができる。
【0011】
請求項1の発明におけるガス発生器の内部構造自体は特に制限されるものではなく、公知のガス発生器と同じものでよい。
ガス発生器のハウジングは、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁面とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであるが、これ自体は公知のものと同じであり、例えば、ガス排出口を有するディフューザシェルとクロージャシェルが溶接にて一体化されたハウジングを用いることができる。
【0012】
請求項1の発明のガス発生器に含まれる取り付け具は、本発明のガス発生器をモジュールケースに取り付けたり、車両に直接取り付けたりするときに使用するものである。
取り付け具は、筒状本体部と、筒状本体部の一端側の開口部に形成された内側折曲部と、筒状本体部の反対側の開口部に形成されたフランジ部とを有しているものである。
【0013】
筒状本体部は、複数の連通孔を有しているものである。連通孔は周方向に均等間隔をおいて形成されていてもよいし、一部方向に偏らせて形成されていてもよい。
ハウジングには周方向に均等間隔でガス排出口が形成されていても、筒状本体部の連通孔を偏らせて配置することにより、ガスを特定方向のみ排出させることができる。例えばエアバッグを特定の方向に膨張させたいときや、モジュールの内部で所定の方向にガスを流す必要のあるときに適用できる。
【0014】
内側折曲部は、筒状本体部の端側の開口部が内側に折り曲げられた状態のものであり、環状に形成されたものでもよいし、ガス発生器のハウジングの天井部全面を覆うことができるもの(円板状のもの)でもよい。
【0015】
取り付け具は、ガス排出口を含むハウジング周壁部の一部面(天井部側の周壁面の一部)を包囲した状態で、環状空間を形成するように取り付けられている。平面形状で見れば、ハウジングと取り付け具は同心円を形成している。このとき、環状空間の軸方向の長さは、ハウジング周壁面の長さの半分以下であることが好ましく、三分の一程度にすることもできる。
【0016】
取り付け具をハウジングに取り付ける方法は特に制限されるものではないが、組立工程を簡略化できることから、圧入する方法を適用することができ、さらに圧入後に溶接して固定することもできる。このとき、内側折曲部の形状により、ハウジング天井部は、周辺部分のみが内側折曲部と圧接又は当接された状態(天井部の中央部が内側折曲部で覆われていない状態)であるか、又は全面が内側折曲部で覆われた状態である。
【0017】
環状空間は、ハウジング周壁部の形状に応じて取り付け具の取り付け位置を調整する方法、ハウジング周壁部の形状に応じて取り付け具の形状を変化させる方法、前記2つの方法を組み合わせる方法により形成することができる。
【0018】
ハウジングに形成されている複数のガス排出口のそれぞれと、取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔のそれぞれが、ハウジングの半径方向(即ち、取り付け具の半径方向)に正対するように配置されている。上記のとおり、ハウジングと取り付け具は同心円を形成しているから、ハウジングの中心と複数のガス排出口の中心を結ぶ線の延長上に複数の連通孔の中心が位置することになる。
【0019】
さらに、ハウジングのガス排出口を含む周壁面と取り付け具の間には環状空間が形成されているから、複数のガス排出口と複数の連通孔のそれぞれは、環状空間の存在により短い距離をおいて正対していることになる。
このため、取り付け具を圧入によりハウジングに取り付けた場合、長い間(車両の耐用年数は10年以上である)に加えられる振動により、複数のガス排出口と複数の連通孔の位置にずれが生じたような場合でも、複数のガス排出口が取り付け具(筒状本体部)の内周壁面で閉塞されることが防止され、ガスの排出経路が確保できる。
【0020】
請求項1の発明のガス発生器では、ガス排出口と連通孔が正対しており、かつ1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)がd2>d1の関係を満たしている。好ましくはd2/d1=1.5〜3程度である。前記のd2>d1の関係を満たしていることから、ガス排出口と連通孔を正対させることができる。
このため、作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスは、ハウジングのガス排出口から排出された後に直進して、そのまま正対する連通孔から外部に排出される。この排出過程において、一部ガスは連通孔周縁の内壁面に衝突する場合も考えられるが、前記の「そのまま」はそのような場合も含む意味である。
【0021】
請求項1の発明のガス発生器を乗員拘束装置であるエアバッグ装置に使用するとき、エアバッグは、ガス発生器の天井部側に取り付けられ、取り付け具のフランジ部にて開口部(袋口)が固定された状態で取り付けられることになる。
このため、ガス排出口から排出され、さらに連通孔から排出された高温の燃焼ガスは、エアバッグ内に流入するまではエアバッグのどの部分とも接触することはない。
なお、取り付け具は環状空間をおいてハウジングに取り付けられているため、ハウジング内部で発生した熱がエアバッグ等に伝わることを抑制する熱的な緩衝材としての作用効果(作用効果1)もする。
【0022】
〔請求項2〕
本願請求項2の発明は、課題を解決するための他の手段として、
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開孔部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開孔部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部の一部面との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口と前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔が、軸方向の高さが同じになるように配置され、かつ前記複数のガス排出口が前記取り付け具の筒状本体部の内壁面と正対するように配置されており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、前記環状空間内を移動して前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器を提供する。
【0023】
請求項2の発明は、ガス排出口と連通孔の形成位置が請求項1の発明と異なるものである。なお、請求項2の発明のガス発生器では、1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)の大小関係は特に制限されるものではない。
【0024】
ハウジングに形成されている複数のガス排出口と取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔は、軸方向の高さが同じになるように配置され、かつ前記複数のガス排出口が前記取り付け具の筒状本体部の内壁面と正対するように配置されている。
請求項1の発明にて説明したとおり、ハウジングと取り付け具は同心円を形成しているから、請求項2の発明においては、ハウジングの中心と複数のガス排出口の中心を結ぶ線の延長上には連通孔が存在せずに、前記線の延長上には筒状本体部の内壁面が存在することになる。
【0025】
このため、作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスは、ハウジングのガス排出口から排出された後、取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、環状空間内を移動して連通孔から外部に排出される。
このようにして燃焼ガスが取り付け具の内壁面に衝突した後、さらに環状空間内を移動した後で連通孔から排出されるため、上記した作用効果1に加えて、下記の作用効果2が得られる。
上記のとおり、燃焼ガスが環状空間を移動する間に燃焼ガスの温度が低下され、さらにミスト(ガス発生剤に含まれていた金属や金属酸化物等の固形残渣や溶融物)の除去効果も発揮される。このため、ガス発生器でクーラント・フィルタを使用するときには、取り付け具の前記作用の分だけクーラント・フィルタの量を減少させることができる。
【0026】
〔請求項3〕
本願請求項3の発明は、課題を解決するための他の手段として、
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開孔部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開孔部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口と前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔が、軸方向の高さ位置が異なるように配置されており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、前記環状空間内を移動して前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器を提供する。
【0027】
請求項3の発明は、ガス排出口と連通孔の形成位置が請求項1の発明と異なるものである。なお、請求項3の発明のガス発生器では、1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)の大小関係は特に制限されるものではない。
【0028】
ハウジングに形成されている複数のガス排出口と取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔は、軸方向の高さ位置が異なるように配置されている。このため、必然的に複数のガス排出口は取り付け具の筒状本体部の内壁面と正対するように配置されている。
このように複数のガス排出口と複数の連通孔は軸方向の高さ位置が異なっていることから、半径方向における位置関係は特に制限されるものではない。
よって、請求項1の発明にて説明したとおり、ハウジングと取り付け具は同心円を形成しているから、
(I)ハウジングの中心と複数のガス排出口のそれぞれの中心を結ぶ線と軸方向に重なった同じ線の先に複数の連通孔のそれぞれの中心が位置する場合と、
(II)ハウジングの中心と複数のガス排出口のそれぞれの中心を結ぶ線と軸方向に重なった同じ線の先には連通孔が存在せずに、筒状本体部の内壁面が存在する場合、のいずれでもよい。
【0029】
このため、作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスは、ハウジングのガス排出口から排出された後、取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、環状空間内を移動して連通孔から外部に排出される。
このようにして燃焼ガスが取り付け具の内壁面に衝突した後、さらに環状空間内を移動した後で連通孔から排出されるため、上記した作用効果1、2が得られる。
【0030】
本発明のガス発生器は、複数のガス排出口の総開口面積(a1)と、複数の連通孔の総開口面積(a2)と、環状空間の半径方向の断面積(a3)が、下記の関係を満たすものが好ましい。環状空間を形成しているハウジングの周壁部と取り付け具の筒状本体部との間隔は均一幅であり、前記均一幅の空間の断面積がa3となる。
a1<a2及びa1<a3
又はa2<a1及びa2<a3
a1<a2及びa1<a3の関係を満たすことにより、取り付け具を備えたガス発生器であっても、ガス排出口によりガス発生器の出力性能(単位時間当たりのガス発生量)を制御することができる。
a2<a1及びa2<a3の関係を満たすことにより、取り付け具の連通孔によりガス発生器の出力性能(単位時間当たりのガス発生量)を制御することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の取り付け具を備えたガス発生器によれば、異なる車種や異なる場所にガス発生器を取り付ける使用場合であっても、取り付け具の形状を変更するだけで、必要な出力性能を備えたガス発生器を容易に取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のガス発生器の実施形態を示す軸方向断面図。
【図2】本発明のガス発生器の別実施形態を示す軸方向の部分断面図。
【図3】図1のガス発生器の半径方向(軸方向と直交する方向)への概略断面図(図1のX1−X1間)。
【図4】図1のガス発生器が図3のガス発生器とは異なる実施形態のものである場合の半径方向への軸方向への概略断面図(図4で示すY1−Y1間及びY2−Y2間の断面図)。
【図5】図1のガス発生器とはさらに別実施形態の軸方向断面図。
【図6】図1、図2又は図5で示すガス発生器の別実施形態を示す半径方向への断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(1)図1及び図3で示すガス発生器
図1で示すガス発生器1は、ディフューザシェル11とクロージャシェル12からハウジング13が形成されている。
本発明で使用するガス発生器は、内部構造には特徴はなく、公知のガス発生器(例えば、特開2009−234346号公報の図1参照)と同じものでもよい。
【0034】
ディフューザシェル11は、ステンレス鋼板からプレス成形されたものであり、天井部14と、天井部14の周縁に形成された、開口端部11aを有する周壁部15とを備えた略カップ形状のものである。
周壁部15には、円周方向に等間隔で複数のガス排出口16が形成されており、内側からシールテープ17で閉塞されている。
【0035】
ディフューザシェル11の周壁部15は、天井部14に近い側にガス排出口16が形成された本体部40を有し、周壁部15の開口端部11a側に拡径部44を有し、さらに本体部40と拡径部44の間の段差部42を有している。
ディフューザシェル11は、いずれの部位もほぼ同じ板厚であり、本体部40の内径は拡径部44の内径より小さくなっており、本体部40の外径は拡径部44の外径より小さくなっている。
【0036】
クロージャシェル12は、ステンレス鋼板からプレス成形されたものであり、底部18と、底部18の外周部に形成された、開口端部12aを有する周壁部19を備えている。
【0037】
ディフューザシェル11とクロージャシェル12は、クロージャシェル12側の開口端部12aをディフューザシェル11周壁部15の拡径部44の内側にはめ込んだ状態で、接触部分が溶接されて一体化し、ハウジング13を形成している。
なお、図1で示す状態とは逆に、ディフューザシェル11の開口端部11aがクロージャシェル12の開口端部12aの内側に組み付けられるように配置して、接触部分が溶接一体化されたハウジングにすることもできる。このとき、クロージャシェル12の開口端部12a側の面が拡径部44を形成し、ディフューザシェル11の開口端部11aの面が本体部40を形成することになる。
【0038】
ディフューザシェル11とクロージャシェル12によるハウジング13の構成は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、図2で示すようにしてディフューザシェル11とクロージャシェル12が溶接一体化されたハウジング13が形成されたものでもよい。このようなハウジングを有するガス発生器は公知である(例えば、特開平11−334517号公報の図1、特開2001−97175号公報の図1参照)。
【0039】
ハウジング13内部には、燃焼ガスを冷却し、ミストを濾過するための筒状フィルタ21が配置されている。
【0040】
ハウジング13内部には、ステンレス鋼管からなる内筒部材22が配置されており、内筒部材22は、一端側開口部がディフューザシェル11の天井部14の中央部に固定されている。
【0041】
内筒部材22の内側には、点火手段収容室23が形成され、センサ(図示せず)からの信号により作動する公知の点火器24と、点火器24により着火される公知の伝火薬25が収容されている。
内筒部材22の周壁部には伝火孔26が形成されており、シールテープ27により外側から塞がれている。
【0042】
内筒部材22の外側には、燃焼室30が形成され、公知の固形のガス発生剤31が収容されている。
【0043】
フィルタ21の天井部14側の端部にはリテーナ32が配置され、底部18側の端部にはプレート部材33が配置されている。
リテーナ32は、フィルタ21の上端面21aと天井部14との隙間を塞ぎ、隙間から燃焼ガスがショートパスすることを防止している。リテーナ32は、フィルタ21と内筒部材22との間に固定されている。
プレート部材33は、内筒部材22に嵌合されており、ガス発生剤31の移動を抑止する機能と、フィルタ21の下端面21bと底部18との隙間からの燃焼ガスのショートパスを防止する機能を有している。
【0044】
ハウジング13の外側には、ガス発生器1をモジュールケースや車両内に取り付けるときに使用する取り付け具50が環状空間72を形成するようにして取り付けられている。
取り付け具50は、複数の連通孔58を有する筒状本体部52と、筒状本体部52の一端側の開口部において内向きに形成された内側折曲部(図1では環状折曲部である。以下、「環状折曲部」という)56と、筒状本体部52の反対側の開口部に形成されたフランジ部54とを有している。なお、内側折曲部56は、「環状折曲部(即ち、環状底部)」ではなく、天井部14の全面を覆うことができる「円板状折曲部(即ち、円板状底面部)」にすることができる。
フランジ部54には、等間隔に形成された4箇所の凸部61に取り付け孔60が形成されている。取り付け孔60は、ガス発生器1をモジュールケースなどに取り付けるときに使用されるものであり、凸部61がないフランジ部54に形成されていてもよい。
なお、フランジ部54の形状や大きさは、取り付け状態に応じて大きさを変えたり、変形したりすることができる。
【0045】
取り付け具50は、環状折曲部56がハウジングの天井部14に当接され、筒状本体部52がハウジング周壁部15の拡径部44に当接されている。
取り付け具50は、筒状本体部52の内径と拡径部44の外径とを調整することにより圧入されている。環状折曲部56とハウジングの天井部14との間と筒状本体部52と拡径部44との間は、それぞれ圧接状態にあるから、前記圧接部分を通して環状空間と外部雰囲気が接触することはない。なお、環状折曲部65は、圧入したときの取り付け強度(圧接強度)等を考慮して、中央部の穴の大きさを適宜設定することができる。また、環状折曲部(環状底部)に代えて円板状折曲部(円板状底面部)にした場合でも、同じ作用効果が得られる。
環状空間72は、取り付け具50の環状折曲部56及び筒状本体部52と、ハウジング周壁部15の本体部40及び段差部42で囲まれて形成されている。連通孔58と同じ高さ位置にある環状空間72の幅は均一幅であり、前記均一幅の空間の断面積がa3となる。
このようにしてガス排出口16を含むハウジング周壁部15の形状に応じて取り付け具50の取り付け方法(取り付け状態)を調整することにより、環状空間72が形成されている。
【0046】
ハウジング13が図2で示されている実施形態のものである場合には、取り付け具50として、図1に示されているものに代えて、複数の連通孔58を有する筒状本体部52と、筒状本体部52の一端側の開口部において内向きに形成された環状折曲部56と、筒状本体部52の反対側の開口部に形成されたフランジ部54と、筒状本体部52とフランジ部54を接続する環状斜面部57を有するものを使用する。環状斜面部57は、フランジ部54に近づくにつれて内径が少しずつ小さくなった形状のものである。
図2で示される取り付け具50は、ディフューザシェル11のハウジング周壁部15とフランジ部11aの境界部に環状斜面部57の角部が圧接されることで圧入されている。
このようにしてガス排出口16を含むハウジング周壁部15の形状に応じて取り付け具50の形状を変えることにより、環状空間72が形成されている。
【0047】
次に、図1、図3により、ハウジング13のガス排出口16、取り付け具50の連通孔58及び環状空間72の位置関係を説明する。
図3は、図1のガス排出口16と連通孔58を含む半径方向への断面図であるが、前記位置関係の説明に必要なもののみを図示し、他は省略している。
ハウジング13と取り付け具50は、同じ中心点Oを中心とする同心円を形成している。
【0048】
図1に示すように、ハウジング13のガス排出口16と取り付け具50の連通孔58の軸方向の高さ位置は同じである(それぞれの中心軸X1は一致している)。
そして、図3に示すように、全てのガス排出口16(図3では8個)と全ての連通孔58(図3では8個)は、環状空間72をおいて半径方向に正対している(それぞれの中心軸X2が一致している)。
【0049】
1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)はd2>d1の関係を満たしており、図1、図3では、d2/d1=約2.5となっている。
【0050】
複数のガス排出口16の総開口面積(a1)は90mm2、複数の連通孔58の総開口面積(a2)は180mm2、環状空間72の半径方向の断面積(a3)は220mm2であった。よって、a1<a2及びa1<a3の関係を満たしている。図2で示す実施形態の場合も同様である。
【0051】
次に、図1、図3で示すガス発生器1の動作を説明する。
衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器24に送られて点火器24が作動し、伝火薬25が着火される。
伝火薬25が燃焼すると燃焼生成物(高温のガスや火炎)が生成され、それが伝火孔26を通って燃焼室30内に噴出される。
するとその燃焼生成物によりガス発生剤31が着火される。ガス発生剤31の燃焼により、高温の燃焼ガスが生成するが、この燃焼ガスはフィルタ21を通過し、シールテープ17を破ってガス排出口16から噴出される。
【0052】
ガス排出口16から噴出された燃焼ガスは、環状空間72に流れ込むが、連通孔58とガス排出口16が半径方向に正対して形成されており、1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)はd2>d1の関係を満たしているため、筒状本体部の内壁面52aには衝突することなく、そのまま連通孔58を通って排出される。そして、a1<a2及びa1<a3の関係を満たしているから、ガス排出口16によりガス発生器1の出力性能(単位時間当たりのガス発生量)が制御される。
【0053】
図1のガス発生器1を乗員拘束装置であるエアバッグ装置に使用するとき、エアバッグは、ガス発生器1の天井部14側から取り付けられ、取り付け具50のフランジ部54にてエアバッグの開口部(袋口)が固定された状態で取り付けられることになる。
図1のガス発生器1において、取り付け具50は環状空間72を形成してハウジング13に取り付けられているため、ハウジング13内部で発生した熱がエアバッグ等に伝わることを抑制する熱的な緩衝材としての作用効果(作用効果1)が得られる。
さらにガス排出口16から排出され、さらに連通孔58から排出された高温の燃焼ガスは、エアバッグ内に流入するまではエアバッグのどの部分とも接触することはないため、特許文献2のFIG.5で示すインフレータにおける上記した問題が生じることがない。
【0054】
なお、図1及び図3で示すガス発生器1では、ガス排出口16と連通孔58の位置関係を図6(a)、(b)に示すように変えることもできる。
図6(a)は、図3において8個の連通孔58中の5個を閉塞し、3個のみを残した実施形態である。このようにすることにより、燃焼ガスを特定方向に排出させることができる。
また、3つの連通孔58に正対していない5つのガス排出口16から排出された燃焼ガスは、筒状本体部52の内壁面52aに衝突した後、環状空間72を移動してガス排出口から排出される。
図6(b)は、図2において8個のガス排出口16中の5個を閉塞し、8個の連通孔58中の5個を閉塞したものであり、それぞれの残った3個のガス排出口16と3個の連通孔58は、半径方向の反対方向に位置している。このようにすることにより、燃焼ガスを特定方向に排出させることができる。
なお、図6(a)に示す実施形態にするときは、上記したガス排出口16の総開口面積(a1)と連通孔58の総開口面積(a2)との関係(a1<a2)を満たすように直径を調整することができる。
【0055】
図6(a)、(b)に示す実施形態にしたときは、燃焼ガスの一部(図6(a))又は全部(図6(b))が筒状本体部52の内壁面52aに衝突した後、環状空間72を移動してガス排出口から排出されるため、下記の作用効果2が得られる。
環状空間72を移動する間に燃焼ガスの温度が低下され、さらにミスト(ガス発生剤に含まれていた金属の溶融物)の除去効果も発揮される。このため、ガス発生器1で使用するフィルタ21の量を減少させることができる。
【0056】
(2)図1及び図4で示すガス発生器
図1及び図4示すガス発生器は、図1及び図3で示すガス発生器とは、ガス排出口16と連通孔58の位置関係が異なるほかは同一のものである。
本実施形態においては、図1のガス発生器1は、ハウジング13は図4のY1−Y1間の断面図(正対するガス排出口16を通る断面図)で示しており、取り付け具50は図4のY2−Y2間の断面図(正対する連通孔58を通る断面図)で示している。
図4は、図1のガス排出口16と連通孔72を含む半径方向への断面図であるが、前記位置関係の説明に必要なもののみを図示し、他は省略している。
ハウジング13と取り付け具50は、同じ中心点Oを中心とする同心円を形成している。
【0057】
図1に示すように、ハウジング13のガス排出口16と取り付け具50の連通孔58の軸方向の高さ位置は同じである(それぞれの中心軸X1は一致している)。
図4に示すように、全てのガス排出口16(図4では8個)は、環状空間72をおいて筒状本体部52の内壁面52aのみに対して半径方向に正対しており、全てのガス排出口16は、全ての連通孔58(図4では8個)に対して半径方向には全く重なっていない。
【0058】
次に、図1、図4で示すガス発生器1の動作を説明する。
衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器24に送られて点火器24が作動し、伝火薬25が着火される。
伝火薬25が燃焼すると燃焼生成物(高温のガスや火炎)が生成され、それが伝火孔26を通って燃焼室30内に噴出される。
するとその燃焼生成物によりガス発生剤31が着火される。ガス発生剤31の燃焼により、高温の燃焼ガスが生成するが、この燃焼ガスはフィルタ21を通過し、シールテープ17を破ってガス排出口16から噴出される。
【0059】
ガス排出口16から噴出された燃焼ガスは、環状空間72に流れ込んだとき、連通孔58に正対している筒状本体部52の内壁面52aに衝突して拡散され、環状空間72内を移動した後、連通孔72から排出される。そして、a1<a2及びa1<a3の関係を満たしているから、ガス排出口16によりガス発生器1の出力性能(単位時間当たりのガス発生量)が制御される。
【0060】
図1、図4で示すガス発生器1は、上記の作用効果1に加えて、上記の作用効果2も得られる。
【0061】
なお、図1及び図4で示すガス発生器1では、ガス排出口16と連通孔58の位置関係を図6(a)、(b)に示すように変えることもできる。
図6(a)は、図4において8個の連通孔58中の5個を閉塞し、3個のみを残した実施形態である。このようにすることにより、燃焼ガスを特定方向に排出させることができる。
また、3つの連通孔58に正対していない5つのガス排出口16から排出された燃焼ガスは、図3の実施形態と比べると、筒状本体部52の内壁面52aに衝突した後、環状空間72内をより長い距離移動してからガス排出口から排出される。
【0062】
図6(b)は、図4において8個のガス排出口16中の5個を閉塞し、8個の連通孔58中の5個を閉塞したものであり、それぞれの残った3個のガス排出口16と3個の連通孔58は、半径方向の反対方向に位置している。このようにすることにより、燃焼ガスを特定方向に排出させることができる。
また、3つのガス排出口16から排出された燃焼ガスは、図4の実施形態と比べると、筒状本体部52の内壁面52aに衝突した後、環状空間72内をより長い距離移動してからガス排出口から排出される。
【0063】
なお、図6(a)に示す実施形態にするときは、上記したガス排出口16の総開口面積(a1)と連通孔58の総開口面積(a2)との関係(a1<a2)を満たすように直径を調整することができる。
図6(a)、(b)に示す実施形態にすることにより、上記した作用効果2がより高められる。
【0064】
(3)図5及び図3、図4で示すガス発生器
図5で示すガス発生器1は、ガス排出口16と連通孔58の位置関係が異なるほかは、図1で示すガス発生器1と同一のものである。また、図2に示す実施形態にすることもできる。
【0065】
図5に示すように、ハウジング13のガス排出口16と取り付け具50の連通孔58の軸方向の高さ位置は異なっており(それぞれの中心軸Z1と中心軸Z2は一致していない)、連通孔58の方がガス排出口16よりも高い位置にある。なお、この位置関係は逆であってもよい。
ハウジング13のガス排出口16は、環状空間72をおいて筒状本体部52の内壁面52aのみに対して半径方向に正対しており、全てのガス排出口16は、全ての連通孔58に対して半径方向には全く重なっていない。
【0066】
図5で示すガス発生器1では、ガス排出口16と連通孔58の半径方向の位置関係は、図3及び図4で示す位置関係のいずれの実施形態でもよい。
【0067】
次に、図5と、図3又は図4で示すガス発生器1の動作を説明する。
衝撃をセンサ(図示せず)が感知すると、その信号が点火器24に送られて点火器24が作動し、伝火薬25が着火される。
伝火薬25が燃焼すると燃焼生成物(高温のガスや火炎)が生成され、それが伝火孔26を通って燃焼室30内に噴出される。
するとその燃焼生成物によりガス発生剤31が着火される。ガス発生剤31の燃焼により、高温の燃焼ガスが生成するが、この燃焼ガスはフィルタ21を通過し、シールテープ17を破ってガス排出口16から噴出される。
【0068】
ガス排出口16から噴出された燃焼ガスは、環状空間72に流れ込んだとき、連通孔58に正対している筒状本体部52の内壁面52aに衝突して拡散され、環状空間72内を移動した後、連通孔72から排出される。このとき、図4で示す実施形態の方が、図3で示す実施形態と比べると、ガスの移動距離が若干長くなる。図5で示すガス発生器は、上記した作用効果1、2が得られる。
【0069】
なお、図5と、図3又は図4で示すガス発生器1では、ガス排出口16と連通孔58の位置関係を、図6(a)、(b)に示すように変えることもできる。
【0070】
本願発明では、ガス発生器が備えた取り付け具の取り付け状態や形状を適宜選択及び変更することにより、様々な仕様のガス発生器の様々な取り付け状態に対応できるようになる。
さらに複数のガス排出口16の総開口面積(a1)、複数の連通孔58の総開口面積(a2)及び環状空間72の半径方向の断面積(a3)が、a1<a2及びa1<a3又はa2<a1及びa2<a3の関係を満たすようにした場合には、安定した出力性能を維持することが容易になる。
【符号の説明】
【0071】
1 ガス発生器
11 ディフューザシェル
12 クロージャシェル
13 ハウジング
16 ガス排出口
50 取り付け具
52 筒状本体部
54 フランジ部
56 環状折曲部
58 連通孔
72 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開口部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開口部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部の一部面との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口のそれぞれと、前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔のそれぞれが、半径方向に正対するように配置され、かつ1つのガス排出口の直径(d1)と1つの連通孔の直径(d2)がd2>d1の関係を満たしており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、そのまま前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項2】
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開孔部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開孔部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部の一部面との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口と前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔が、軸方向の高さが同じになるように配置され、かつ前記複数のガス排出口が前記取り付け具の筒状本体部の内壁面と正対するように配置されており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、前記環状空間内を移動して前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項3】
ガス発生手段としてのガス発生剤を備えたガス発生器と、前記ガス発生器を取り付け対象部位に固定するための取り付け具とを有する乗員拘束装置用のガス発生器であって、
前記ガス発生器が、天井部及び底部、それらの間に形成されている複数のガス排出口を有する周壁部とを有するハウジングにより外殻が形成されたものであり、
前記取り付け具が、複数の連通孔を有する筒状本体部と、前記筒状本体部の一端側の開孔部に形成された内側折曲部と、前記筒状本体部の反対側の開孔部に形成されたフランジ部とを有しているものであり、
前記取り付け具が、前記ハウジングのガス排出口を含む周壁部の一部面との間に環状空間が形成されるようにして取り付けられており、
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口と前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔が、軸方向の高さ位置が異なるように配置されており、
作動時においてガス発生器内で発生した燃焼ガスが、前記ハウジングのガス排出口から排出された後、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に衝突した後、前記環状空間内を移動して前記連通孔から外部に排出されるものである、乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項4】
前記取り付け具と前記ハウジングの周壁部との間に形成された環状空間が、前記ハウジング周壁部の段差を含む面が前記取り付け具の筒状本体部と内側折曲部で包囲されて形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項5】
前記取り付け具と前記ハウジングの周壁部との間に形成された環状空間が、前記ハウジング周壁部の平坦面が前記取り付け具の筒状本体部と内側折曲部で包囲されて形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項6】
前記複数のガス排出口の総開口面積(a1)と、前記複数の連通孔の総開口面積(a2)と、前記環状空間の半径方向の断面積(a3)が、a1<a2及びa1<a3で示される関係を有しているものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項7】
前記複数のガス排出口の総開口面積(a1)と、前記複数の連通孔の総開口面積(a2)と、前記環状空間の半径方向の断面積(a3)が、a2<a1及びa2<a3で示される関係を有しているものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項8】
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口の一部が、前記取り付け具の筒状本体部に形成されている複数の連通孔と半径方向に正対するように配置され、
前記ガス排出口の残部が、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に正対するように配置されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項9】
前記ハウジングに形成されている複数のガス排出口の全部が、前記取り付け具の筒状本体部の内壁面に正対するように配置されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項10】
乗員拘束装置用のガス発生器がエアバッグ装置用のガス発生器であるとき、エアバッグの袋口が前記取り付け具のフランジ部に取り付けられるものである、請求項1〜9のいずれか1項記載の乗員拘束装置用のガス発生器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate