人工呼吸器循環路へのエアロゾル導入
本発明は、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路内に導入するエアロゾル導入器を提供する。人工呼吸器循環路は、気管内チューブと、人工呼吸器循環路から延びた吸気ラインと、該人工呼吸器循環路から延びた呼気ラインとを含む。本発明のエアロゾル導入器は、該吸気ラインと該呼気ラインとに接続可能な第一端と、該気管内チューブに接続可能な第二端と、該第一端から該第二端へ延びた第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びた第二の流路と、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適した該第一の流路内のインレットと、エアロゾル化薬剤調合物の該呼気ラインへの損失を減らす一つ以上のバルブを含むバルブ機構とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
患者の有効な治療的処置への必要性から、患者に薬剤調合物を送達するための多様な技術が開発されてきた。薬剤調合物を送達するための従来技術の一つは、錠剤、カプセル、エリキシルなどの形態で薬剤調合物を経口送達させるものである。しかし、状況によっては、経口送達は好ましくない場合もある。例えば、多くの薬剤調合物は、効果的に体内に吸収される前に、消化管内で劣化してしまうことがある。患者の気道に製剤を送達させるためのエアロゾル化(aerosolized)薬剤調合物が経口的又は経鼻的に患者に吸入される、吸入式の薬剤送達も、特に有効で好ましい送達の方法であることが実証されている。吸入技術の一つにおいて、エアロゾル化薬剤調合物は、気道の一部(肺など)に局所的治療や予防効果をもたらすことにより、喘息や気腫などの呼吸器疾患の治療や、真菌感染や嚢胞性繊維症などの局所的肺感染を治療可能である。別の吸入方式では、薬剤調合物は、患者の肺の奥まで送達され、そこから血流中へ吸収されて全身まで運ばれる。エアロゾル化装置は種々の種類があり、薬剤調合物を噴射剤の中に、又は噴射剤と共に保存する装置や、乾燥粉末をエアロゾル化する装置、圧縮ガスなどの機構を用いて液体薬剤調合物をエアロゾル化する装置などがある。
【0002】
従来型のエアロゾル化装置の一つは、一般にネブライザと呼ばれている。ネブライザは、液体薬剤調合物を収納するリザーバタンクを備える容器を有する。このような液体薬剤調合物は一般的に、活性作用物質(active agent)を液体に溶解させるか、液体の溶媒中に懸濁させる。リザーバタンクにエネルギーを導入すると、液体薬剤調合物がエアロゾル化し、使用者の肺に到達可能となる。一般に、ジェットネブライザと呼ばれているネブライザの一種では、容器のオリフィスを通るように圧縮ガスに圧力を加える。液体はこの圧縮エアに押され、ノズルを通って引き抜かれる。引き抜かれたこの液体は、ガス流と混合して、エアロゾル液滴を形成する。液滴が雲状になったものが使用者の気道に投与される。メッシュ振動式ネブライザと呼ばれる、別のネブライザでは、超音波などのエネルギーを発生させることにより、メッシュを振動させる。このメッシュ振動により、液体薬剤調合物がエアロゾル化し、雲状エアロゾルが発生するので、これを使用者の肺に投与する。ネブライザは使用が煩わしい場合もあるが、エアロゾル化薬剤調合物を入院患者や歩行不能な患者に投与する場合や、エアロゾル化活性作用物質を大量に投与する場合、また、エアロゾル化薬剤調合物を小児患者など、乾燥粉末や噴射剤ベースの薬剤調合物を受け付けられない患者に投与する場合には、ネブライザが特に有利である。
【0003】
ネブライザは、エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器の力を借りて呼吸している患者の気道に送達させる際に特に便利である。しかしながら、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路(circuit)に導入する作業に関連する問題がいくつか生ずる。例えば、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器の吸気ラインに導入することにより、導入ポイントと患者の肺との間に相当な量が残留してしまう。従って、エアロゾル化薬剤調合物が大量に必要となり、そのほとんどが呼気ラインに流出して失われてしまう。連続バイアスフローを作り出す人工呼吸器とネブライザを併用する場合、この問題は悪化する。その上、人工呼吸器ライン内に大量の残留があると、エアロゾル化薬剤調合物がかなり希釈され、患者送達量を一貫して再現することが難しくなることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器使用患者に、効果的・一貫的に導入する方法を提供することが望ましく、また、活性作用物質の損失量を低減するようにこれを導入することが望ましい。さらに、広範な人工呼吸器、広範な慣習の下で利用できるような方式で、エアロゾル化薬剤調合物を導入することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記要求を満たす。本発明の一態様では、2本の流路のエアロゾル導入器を提供する。
【0006】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路内へ導入するエアロゾル導入器を提供する。人工呼吸器循環路は、気管内チューブと、人工呼吸器から延びる吸気ラインと、該人工呼吸器から延びる呼気ラインとを有する。該エアロゾル導入器は、該吸気ラインと該呼気ラインとに接続可能な第一端と、該気管内チューブに接続可能な第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適するインレットと、エアロゾル化薬剤調合物の該呼気ラインへの損失を低減する一つ以上のバルブを備えるバルブ機構とを有する。
【0007】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を患者に送達させるエアロゾル導入器を提供する。該エアロゾル導入器は、第一端と、使用者の口又は鼻にエアロゾルを送達させる開口部を含む第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適するインレットと、該第一又は第二の流路内のバルブとを有する。
【0008】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路内に導入する方法には、第一端と、第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、該第一の流路内のインレットと、該第一及び/又は第二の流路内にあるバルブとを含むエアロゾル導入器を準備する段階と、該第一端を人工呼吸器から延びる吸気ラインと呼気ラインとに接続する段階、該第二端を気管内チューブに接続する段階、そして該インレットを介して、そして該第一の流路内へエアロゾル化該薬剤調合物を受け入れる段階が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、エアロゾル化可能な薬剤調合物に関するものである。特に、本発明は、人工呼吸器使用患者に送達させるためのエアロゾル化可能な液体薬剤調合物に関するものである。本発明は、ネブライザ用の液体薬剤調合物として説明されているが、本発明は、それ以外の方法にも用いることができ、ここに挙げた例のみに制限されるものではない。
【0010】
本発明によるエアロゾル化薬剤調合物送達システム100を、図1に示す。該エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、エアロゾル化薬剤調合物を、使用者の気道の一部(肺など)に送達させる。エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、該エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器105の力を借りて呼吸している患者に送達させる際に特に有利であるが、後述のように人工呼吸器を使用していない患者に送達させるために用いるように構成させてもよい。人工呼吸器循環路110の概略図を図1に示す。吸気ライン115と呼気ライン120とが、人工呼吸器105から延びている。吸気ライン115と呼気ライン120は、各々、貫通して延びているエア循環用ルーメン(孔)を有するチューブからできている。吸気ライン115と呼気ライン120とは、人工呼吸器105から離れた位置の合流部125で合流する。合流部125で、吸気ライン115のルーメンが、呼気ライン120のルーメンと連通し、上記ルーメンの両方が患者用ライン130と連通している。該患者用ライン130もルーメンを含み、このルーメンは患者の口に挿入される気管内チューブ135のルーメンに延びている。気管内チューブ135は、使用者の肺の中又はその付近へ延びている反対側の端を有する。従って、使用時には、人工呼吸器105により、酸素添加エアが吸気ライン115内に導入される。該酸素添加エアは、吸気ライン115のルーメンを通り、気管内チューブ135のルーメンを経由して患者用ライン130へと流れ、そして患者の肺に入る。次いで、患者が自然に、又は人工呼吸器から負圧がかかることにより息を吐き出すと、呼気が気管内チューブ135を通り、患者用ライン130を通り、そして呼気ライン120を通って人工呼吸器105に流れる。該サイクルを連続的に繰り返して、患者の呼吸を補助し、患者の呼吸を完全に管理する。
【0011】
エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、エアロゾル導入機構140をさらに含む。エアロゾル導入機構140は、該合流部125と患者の肺との間の位置で、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路110内に導入するエアロゾル導入器145を含む。例えば、エアロゾル導入器は、図1に示されるように、エアロゾル化薬剤調合物を患者用ライン130に導入することができるか、あるいは気管内チューブ135内又はその付近に該エアロゾル化薬剤調合物を導入させてもよい。エアロゾル導入器145により導入されるエアロゾルは、エアロゾル化装置150により発生し、エアロゾル化装置150は、薬剤調合物を収納するリザーバタンクを含む。エネルギー源160により、エアロゾル化エネルギーをエアロゾル化装置に供給し、エアロゾル化薬剤調合物を発生させる。エアロゾル化薬剤調合物は、経路165を通ってエアロゾル導入器145に到達し、ここで人工呼吸器循環路110内に導入される。エアロゾル化装置150は、例えば、エネルギー源が圧縮エアであるジェットネブライザや、エネルギー源がエネルギー波であるメッシュ振動式ネブライザ、エネルギー源が周囲条件下で沸騰する噴射剤である定量噴霧式吸入器(MDI)、エネルギー源が圧縮エア、気流、又は振動膜等である乾燥粉末吸入器でありうる。
【0012】
合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入するエアロゾル導入器145の例は、ジェラルド・スマルドン(Gerald Smaldone)らのPCT特許出願第PCT/US2003/014708号(名称「標的気管支内治療の方法、装置、及び調合物」(Methods,Devices and Formulations for Targeted Endobronchial Therapy)、2003年5月7日出願、国際公開第2004/071368号パンフレット);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号明細書;60/420,429号明細書;60/439,894号明細書;及び60/442,785号明細書に記載されている(これら文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。
【0013】
合流部125と患者の肺との間の位置でのエアロゾル化薬剤調合物の導入は、吸気ライン115内又は人工呼吸器105内へエアロゾルを導入する従来技術の方式よりも種々の点で優れている。例えば、合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入すると、導入ポイントから患者の肺までの人工呼吸器循環路の容量を大幅に低減することができる。よって、エアロゾル化薬剤調合物の濃度が高まり、人工呼吸器110全体での拡散量が低減される。さらに、従来技術によるエアロゾル化薬剤調合物の大部分は、吸気ライン115中に設置することにより、呼気ライン120へ引き込まれ、送達効率がさらに制限されてしまう。このような拡散や効率低減の故に、従来技術のシステムでは送達濃度(consistency)の管理は困難である。また、患者の肺に到達しないエアロゾル化薬剤調合物の量が多いと、大部分のエアロゾルが大気中に組込まれ、そこで医療従事者などが吸入してしまうという点で好ましくない。
【0014】
合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入することは、上述のように、従来技術の方式よりも優れているが、それでも、導入されたエアロゾル化薬剤調合物のかなりの量が患者に到達する前に呼気ライン120内に引き込まれてしまうということが発見された。そこで、本発明に従うエアロゾル導入器145を、送達効率及び/又は濃度を増すような改善された様式で、エアロゾル化薬剤調合物の導入するように設計した。従って、エアロゾル導入器145は、合流部125と患者の肺との間の位置で、エアロゾル化薬剤調合物を吸気フロー内に導入する。このように、エアロゾル導入器145は、人工呼吸器循環路120の呼気ライン120内に引き込まれるエアロゾル化薬剤調合物の量を低減する働きをする。
【0015】
バージョンの一つでは、エアロゾル導入器145は、エアロゾル化薬剤調合物の導入を制御するためのバルブ機構170を含む。バルブ機構170は、例えば、人工呼吸器サイクルの呼気相の際に患者用ライン130中へエアロゾル化薬剤調合物が導入される事態を防止又は低減し、そして/又は、呼気サイクルの呼気相の際に患者用ライン130から引き込まれ、患者用ライン130内に存在するエアロゾル化薬剤調合物を防止又は低減するバルブを一つ以上備えるようにしてもよい。
【0016】
呼気ライン120中へのエアロゾル化薬剤調合物の導入を防止又は低減するエアロゾル導入器145のバージョンの一つを、図2A及び図2Bに示す。このバージョンでは、エアロゾル導入器145は、ルーメン180を規定する本体175を含み、ルーメン180は患者用ライン130の少なくとも一部を構成する。エアロゾル導入器145の本体175は、延長部185を有し、該延長部185はエアロゾル化装置150と連通し、そしてエアロゾル化薬剤調合物190を受け入れることができる。該延長部185内に、選択的に開放可能なバルブ195を配置する。このバルブ195は、図2Aに示されるように、呼気200の際には「閉」位置にあり、次いで、図2Bに示されるように、吸気205の際には「開」位置になる。
【0017】
図2A及び図2Bのバージョンに従うエアロゾル導入器145の例を、図3A〜図3Cに示す。図3Aに示されるバージョンでは、フローセンサ等の検知器210を患者用ライン130、又はシステム中の位置に配置し、吸気相や呼気相の発生を検知する。該検知器210が、信号をマイクロプロセッサ又はASICなどの制御装置215に送信し、次いで、制御装置215が、検知器210からの信号に応答して制御信号を発生させ、バルブ195の作動を制御する。従って、検知器210からの信号が吸気相を表していると判定されると、制御装置215はバルブ195を「開」状態にし、そして呼気相が判定されると、制御装置215はバルブ195を「閉」状態にする。図3B及び図3Cに示されるバージョンでは、バルブ195は、ルーメン180内の気流に応答して作動する機械式バルブである。図3Bのバージョンでは、L字形部材220は、「閉」位置において延長部185を覆うカバー部225を含み、エアロゾル化薬剤調合物が、ルーメン180内に流れ込むことを防ぐ。吸気の際に、気流がL字形部材220上の突起部230に接触することにより、L字形部材220が、ヒンジ235の周囲を回転し、合流部125と患者の肺225との間の位置でカバー部が持ち上がり、そしてエアロゾル化薬剤調合物がルーメン180に導入される。図3Cのバージョンでは、圧縮可能部材240は、ルーメン180の気流により作動する突起部240を含む。吸気の際には、気流により、例えば、アコーデオン部250が圧縮されることにより、圧縮可能部材240が圧縮され、それにより延長部185が開き、そして呼気の際には、気流により、圧縮可能部材240が図3Cに示される位置まで延び、延長部185が閉じ、エアロゾル化薬剤調合物がルーメン180内へ流出することを防止又は低減する。
【0018】
別のバージョンでは、エアロゾル導入器145のルーメン180は、患者用ライン130中に存在するエアロゾル化薬剤調合物が人工呼吸器の呼気相の際に患者用ライン130から引き出されることを防止又は低減するような構成になっている。例えば、図4Aに示されるように、あるバージョンにおいて、ルーメン180の中に壁255を設け、ルーメンを、例えば、第一の流路265及び第二の流路260のような複数の流路に分割する。第一の流路265は、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れることができるよう、延長部185と連通している。図4Aのバージョンでは、吸気フローのみが第一の流路265を通るように、逆止弁270を第一の流路265内に設置する。従って、吸気エアが延長部185を通り越して流れる際のみに、エアロゾル化薬剤調合物がエアロゾル化装置から引き出され、そして気管内チューブ及び患者へと送達される。呼気の際には、第一の流路265を通るフローはなく、そしてエアロゾル化装置からエアロゾル化薬剤調合物が引き出されず、そして延長部185内及び第一の流路265内の過剰なエアロゾル化薬剤調合物は、呼気ライン120へ押し出されない。
【0019】
複数の流路を有するエアロゾル導入器145の別のバージョンが、図4B〜図4Dに示されている。図4Bのバージョンでは、逆止弁275を延長部185内に設置している。バージョンの一つでは、第一の流路265内にエアが流れる際に、逆止弁275が開く。上述のように、吸気フローのみが第一の流路265を通れるようになっているため、逆止弁275は吸気相の際のみに開く。図4Cのバージョンでは、第二の逆止弁280を、第一の流路265内に、第一の逆止弁270の延長部185の反対側に設置する。このバルブは、第一の流路265内のエアロゾル化薬剤調合物がエアロゾル化装置に逆戻りするのを防止し、第一の流路265内のエアロゾル化薬剤調合物が少しでも第一の流路260内の呼気フローに引き込まれることを防止する。図4Dのバージョンでは、逆方向の逆止弁290が、第二の流路260内に設置されている。このバージョンでは、吸気フローのみが第二の流路260を通り越して流れる。従って、吸気フローの全てが第一の流路265を通る。他のバージョンでは、エアロゾル導入器は、図4A〜図4Dに示される任意の特徴の組合せを含む。また、各流路の断面寸法を調節し、そして/又は互いに対してその断面寸法を変化させ、そして/又は患者用ライン130内で他の寸法と相対的に変化させ、該システム内の望ましいフロー特性にさせることができる。
【0020】
延長部185及び第一の流路265の方向は、エアロゾル化薬剤調合物送達システム100の送達効率を高めるように構成させることができる。例えば、バージョンの一つでは、図4A〜図4Dに示すように、延長部185を第一の流路265に対して直角とすることができる。別のバージョンでは、延長部185を、吸気ライン115からの吸気流方向に対して鋭角にすることができる。このバージョンでは、エアロゾル化装置150からのエアロゾル化薬剤調合物の流れは、壁255又は導入器145内の他の仕切りに衝撃を与える可能性はより低い。特定のバージョンでは、鋭角は約10°〜約89°、より好ましくは約20°〜約80°、最も好ましくは約30°〜約45°である。このバージョンは、エアロゾル化装置150が、ジェットネブライザを含む場合、特に有用である。別のバージョンでは、延長部185を吸気ライン115からの吸気流方向に対して鈍角にすることができる。このバージョンでは、エアロゾル化装置150からのエアロゾル化薬剤調合物の流れは、入ってくる吸気フローと混合する可能性がより高くなる。特定のバージョンでは、鈍角は約91°〜約179°、より好ましくは約110°〜約160、最も好ましくは約135°〜約150°である。
【0021】
エアロゾル導入器145は、従来型の人工呼吸器循環路110内に簡単に取り付けられるように構成することができる。例えば、図5Aに示すように、エアロゾル導入器145は、合流部125として機能する従来型のY字形ピースへの接続に適する第一端295を有するアダプターを含むことができる。このバージョンのエアロゾル導入器145はまた、従来型の気管内チューブ135の端部310への接続に適している第二端296を含む。このバージョンの延長部185は、エアロゾル化装置150のアウトプット端部への接続に適している。図5Bは、エアロゾル導入器145の別のバージョンである。このバージョンは、図5Aのバージョンと類似しており、そして軟質部分315をさらに含み、該軟質部分315により、患者の口から離れた位置にエアロゾル導入器を設置できる。図5Cは、図5A及び図5Bのバージョンに似ている別のバージョンであるが、エアロゾル化装置150とエアロゾル導入器とは、統合され、そして/又は、一体形に形成されている。
図5A、図5B及び図5Cのバージョンでは、エアロゾル導入器145は、図4Aに記載したバージョンによるものである。しかし、図示されたバージョンの代わりに、上述のバージョンのいずれかで代替させることができる。図5A〜5Cのバージョンを用いる場合、医療従事者は、気管内チューブ135からY字形ピース300を外し、両者の間にエアロゾル導入器145を挿入する。
【0022】
エアロゾル導入器145の別のバージョンを図6A〜6Cに示す。これらのバージョンは、各々、図5A〜5Cのバージョンと似ているが、Y字形ピースが、エアロゾル導入器145と統合及び/又は一体形成されている。図6A〜6Cのバージョンを用いる場合、医療従事者は、Y字形ピース300を、気管内チューブ135と、吸気ライン115と、呼気ライン120とから外す。次いで、図6A〜6Cのエアロゾル導入器145の一つを気管内チューブ135に、そして吸気ライン115及び呼気ライン120に接続する。
【0023】
Y字形ピース合流部125内に統合される、エアロゾル導入器145の特定のバージョンを図7に示す。このバージョンは、図4Dのバージョンに似ている。このバージョンでは、エアロゾル導入器145は、使用の際にエアロゾル化装置150の向きを調節する回り継手315をさらに含む。壁255を準備し、第一の流路265と第二の流路260とを分離する。随意選択的に、HMEフィルターを第二の流路260内、例えば、逆止弁290のすぐ手前の位置に設けることができる。
【0024】
Y字形ピース合流部内に統合されたエアロゾル導入器145の別のバージョンを、図8A及び図8Bに示す。図8A及び図8Bのエアロゾル導入器145は、H字形の本体400を含む。H字形の本体400の第一端においては、第一のコネクタ405及び第二のコネクタ410が、各々、人工呼吸器循環路110の吸気ライン115及び呼気ライン120に接続できるように適合されている。第一のコネクタ405から第二のコネクタ410へエアが流れるように、H字形の本体400と連続流路415の中にルーメンを設ける。そのようにして、該コネクタ405、410及び連絡流路415は、従来型のY字形ピースの様式と同様、吸気ライン115と呼気ライン120との合流部125として機能する。このバージョンにおける壁255は、第一の流路265と第二の流路260とを、各々規定する2本のチューブ256、257の形状である。図8Bの分解図に最も良く示されるように、第一の流路265の中で、連絡流路415の下流位置(吸気方向に関して)のところに上述の逆止弁270を準備する。このバージョンでは、逆止弁270は、軟質部材272を支持するバルブフレーム271を含む。第二の流路260内で、連絡流路415の上流位置(呼気方向に関して)のところに上述の逆止弁290を設ける。
【0025】
随意選択的に、図8Cに示すような、軟質部分315を準備し、患者に触れることなく人工呼吸器循環路内にエアロゾル導入器145の位置を容易に決定することができる。このバージョンでは、軟質部分315は、第一の流路265を構成するチューブ256と接続可能な第一の軟質チューブ420を含み、これにより、第一の流路265の容量を増やしている。このバージョンの軟質部分315はまた、第二の流路260を構成するチューブ257と接続可能な第二の軟質チューブ425を含む。該軟質チューブ420、425は、接続部435のところで、気管内チューブと直接又は間接的に接続可能なY字形コネクタ430の位置で合流する。
【0026】
該エアロゾル化装置150は、呼吸に適する粒子や液滴を作り出せるものであれば、どのようなタイプであってもよい。例えば、該薬剤調合物は、国際公開第99/16419号パンフレット;米国特許第6,051,256号明細書;又は米国特許第6,503,483号明細書に記載されるように、乾燥粉末の形態とすることもできる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。このような場合、エアロゾル化装置150は、米国特許第5,485,135号明細書;米国特許第5,740,794号明細書;米国特許第6,257,233号明細書に記載されるエアロゾル化装置等の能動的な粉末エアロゾル化装置を含むことができる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。あるいは、該エアロゾル化装置150は、米国特許第4,069,819号明細書及び米国特許第4,995,385号明細書に記載されるエアロゾル化装置等の受動的な粉末エアロゾル化装置を含むことができる(両文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。あるいは、該薬剤調合物は、米国特許第5,225,183号明細書;米国特許第5,681,545号明細書;米国特許第5,683,677号明細書;米国特許第5,474,759号明細書;米国特許第5,508,023号明細書;米国特許第6,309,623号明細書;米国特許第5,655,520号明細書に記載されるように液状の噴射剤に溶解又は懸濁させたものを含みうる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。このような場合、エアロゾル化装置150は、従来型の定量噴霧式吸入器(MDI)を含みうる。あるいは、該薬剤調合物は、上述のジェラルド・スマルドンらのPCT特許出願;ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号明細書;60/420,429号明細書;60/439,894号明細書;60/442,785号明細書に記載されるように、液状にし、そして従来型のネブライザを用いてエアロゾル化することもできる(これら文献の全体を参照し、本明細書に組み入れる)。他の適切なネブライザの例としては、カリフォルニア州マウンテン・ビューのエアロジェン社(Aerogen,Inc.)が市販するエアロネブ(商標)ゴー(Aeroneb Go)又はエアロネブ(商標)プロ(Aeroneb Pro);郵便番号23112バージニア州ミッドローシアンのパリ・レスピラトリー・イクイップメント社(PARI Respiratory Equipment, Inc.)が市販するパリ・イーフロー(PARI eFlow)及び他のパリ・ネブライザ;ニュージャージー州イースト・ブランスウィックのルミスコープ社(Lumiscope Company)が市販するルミスコープ(商標)(Lumiscope)ネブライザ6600又は6610;日本国京都市のオムロンヘルスケア)が市販するオムロンNE−U22が含まれる。
【0027】
エアロネブ・プロ及びパリ・イーフロー等の圧縮ガスを用いずに液滴を形成するネブライザは、送達効率及び濃度において、期待以上の向上を提供することが見出されている。圧縮エアを導入するのではなく、振動する有孔(perforated)、又は無孔(unperforated)膜を用いて、微細な液滴を発生させることにより、実質的に循環路内のフロー特性に影響を与えることはなく、そして人工呼吸器の設定を実質的に再選択する要求もなく、該エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路110内に導入できる。さらに、この種のネブライザを用いて発生した液滴が、低速で導入され、それにより、液滴が、人工呼吸器循環路110の望ましくない領域に動いてしまう可能性が低減される。さらに、液滴形成ネブライザと上述のエアロゾル導入器145の併用は、種々の一回換気量を人工呼吸器で行う際、用量のばらつきを低減する有用性があり、それにより該システムがさらに自在となる。
【0028】
第一の流路265の容量、すなわち、エアロゾル導入器145のうち、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れる部分であり、中を吸気フローが流れる部分の容量は、特定の人工呼吸器及び/又はエアロゾル化装置に関するエアロゾルの送達効率が向上するように選択可能である。例えば、図8A〜Cのバージョンでは、Y字形ピース430内で逆止弁270から第二の流路260との合流点へ延びる部分の容量を含む、第一の流路265の容量は、約10mL〜約1000mLとすることができる。エアロゾル導入器145をジェットネブライザと併用する場合、第一の流路の容量を大きくすることが望ましい場合もある。ジェットネブライザは、圧縮エアを人工呼吸器循環路に導入し、第一の流路容量が大きければこの導入による衝撃が低減される。従って、ジェットネブライザの適用において、第一の流路容量は、約50mL〜約1000mL、さらに好ましくは約100mL〜約500mL、さらに好ましくは約150mL〜約250mL、そして最も好ましくは約200mLにできることが見出された。エアロネブ・プロ及びパリ・イーフローのようなメッシュ振動式ネブライザの場合、再現可能な投与は、第一の流路容量を小さくすることにより得られる。例えば、メッシュ振動式ネブライザと併用するエアロゾル導入器145における第一の流路容量は、約10mL超、より好ましくは約10mL〜約1000mL、さらに好ましくは約50mL〜約200mL、そして最も好ましくは約90mLの任意の量でありうる。
【0029】
表1及び表2は、本発明に従うエアロゾル導入器の改良効果を示すため、得られたデータをまとめたものである。表1では、人工呼吸器の設定は、エアロゾル化薬剤調合物の送達効率が最適となるように選択した。このバージョンでは、湿度は「切」となっており、バイアスフローは「切」となっており、エアロゾル投与は呼吸動作させた(breath actuated)。対照試験をまず行い、その中で、エアロジェン社が市販するエアロテックII+型ジェットネブライザから、従来方式でエアロゾルを人工呼吸器の吸気ライン115内へ、直接投与した。第二の試験では、150mLの第一の流路容量を有する、図8A〜図8Cに記載されるタイプのエアロゾル導入器145を用い、エアロテックII+型ジェットネブライザから発生されるエアロゾルを導入した。第三回の試験では、図8A〜図8Cに記載されるタイプのエアロゾル導入器145を用い、エアロネブ・プロ型メッシュ振動式ネブライザから発生されるエアロゾルを導入し、そして第一の流路容量は90mLとした。表2では、人工呼吸器の設定は、エアロゾル送達に当たってそれほど好適とはならないように選択したが、それでも通常の人工呼吸器運転条件内とした。同一の3回の試験を行った。表1、表2のデータを見れば分かるように、本発明のエアロゾル導入器145を用いてエアロゾルを導入すると、好適及び好適でない人工呼吸器の設定のどちらにおいても、改良された吸入用量効率が提供された。従って、該エアロゾル導入器によって、薬剤送達が向上するのみでなく、人工呼吸器の設定条件がそれほど厳しくなくなる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
別のバージョンでは、図9に示すように、人工呼吸器を使用していない患者にエアロゾル化薬剤調合物を投与するため、エアロゾル導入器145を用いることができる。例えば、エアロゾル導入器145を、ネブライザ用のマウスピース500として用いることができる。従って、エアロゾル導入器145は、使用者の口又は鼻の中に受け入れられるような形状である一端505を有することができ、そしてエアロゾル導入器は、大気中に開放される第二端510を有しうる。前述の各バージョンのいずれも、この様式で変更可能である。
【0033】
該薬剤調合物は、使用者の気道への投与用の活性作用物質を含むことができる。本明細書で説明する該活性作用物質には、一定の薬理効果(有用であることが多い)を提供する物質の薬品(agent)、薬剤(drug)、化合物、合成物又はそれらの混合物が含まれる。これには、食品、栄養補助食品、栄養素、薬剤、ワクチン、ビタミン及び他の有用な薬剤が包含される。本明細書で用いられるように、該語句は、患者に局所的又は全身的な効果を生み出す一切の生理的又は薬理的活性物質をさらに含む。本明細書中に記述される薬剤調合物に導入される活性作用物質は、限定的なものとしてではなく:末梢神経、アドレナリン受容体、コリン受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部位、内分泌及びホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、自家薬物系(autacoid system)、消化排出系、ヒスタミン系及び中枢神経系に作用する薬剤を含む無機又は有機化合物でありうる。
【0034】
特定の態様の一つでは、該薬剤調合物は、人工呼吸器関連肺炎の治療又は予防のため、人工呼吸器使用患者への投与用の抗生物質を含む。上記投与は、上述のジェラルド・スマルドンらのPCT特許出願(名称「標的気管支内治療の方法、装置、及び調合物」;ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号;60/420,429号;60/439,894号;及び60/442,785号に記載されている(これら文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。エアロゾル化抗生物質の投与に関連し、本発明に従うエアロゾル導入器145を用いると、十分な効果が得られる。例えば、本発明に従うエアロゾル導入器145を用いると、非常に少ない薬剤調合物の量のみが大気中に失われ、その結果、抗生物質への細菌耐性が低減する。さらに、エアロゾル導入器145は、さらに一定の用量を送達でき、抗生物質療法向けに特に有用である。特定のバージョンの一つでは、該薬剤調合物はバンコマイシン及び/又はゲンタマイシンを含みうる。
【0035】
代替又は追加可能な、好適な活性作用物質は、例えば、催眠薬及び鎮静薬、精神賦活薬、精神安定剤、呼吸系薬剤、抗痙攣薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン病薬(ドーパミン拮抗剤)、鎮痛剤、抗炎症剤、抗不安薬(不安抑制剤)、食欲抑制剤、抗偏頭痛剤、筋収縮薬、抗感染薬(抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌薬、ワクチン)、抗関節炎薬、抗マラリア薬、鎮吐薬、抗てんかん薬、気管支拡張剤、サイトカイン、成長因子、抗ガン剤、抗血栓剤、血圧降下剤、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経興奮剤、利尿剤、脂質調整剤、抗アンドロゲン剤、抗寄生虫剤、抗凝血剤、新生剤(neoplastics)、抗新生剤、血糖降下剤、栄養剤(nutritional agent)及び栄養補助食品、成長補給食品、抗腸炎剤、ワクチン、抗体、診断薬、並びに造影剤から選択され得る。吸入により投与された際、該活性作用物質は、局所的又は全身的に作用し得る。
【0036】
該活性作用物質は、限定的なものとしてではなく、小分子、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、多糖、ステロイド、生理学的効果を誘発し得る蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質等を含む、多数の構造分類の一つに該当しうる。
【0037】
本発明で使用するのに好適な活性作用物質の例は、限定的なものとしてではなく、以下のものの一つ以上を含む:カルシトニン、アムホテリシンB、エリスロポイエチン(EPO)、因子VIII、因子IX、セレデース、セレザイム、サイクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポイエチン(TPO)、α−1プロテイナーゼ抑制剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−1受容体、インターロイキン−2、インターロイキン−1受容体拮抗体、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、因子IX、インスリン、プロインスリン、インスリン類似物(例えば、米国特許第5,922,675号明細書に記載されるようなモノアクリル化インスリン、全体を参照し、本明細書に組み入れる)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似物、バソプレシン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン(insulintropin)、マクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、角質細胞成長因子(KGF)、神経膠成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン状ペプチドチモシンα−I、IIb/IIIa抑制剤、α−1アンチトリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4抑制剤、ビスホスホネート、呼吸系発疹ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜横断制御因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)、殺菌/透過性増大蛋白質(BPI)、抗CMV抗体、13−cisレチノイン酸、マクロライド、例えば、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジスロマイシン、フルリスロマイシン(flurithromycin)、ディリスロマイシン(dirithromycin)、ジョサマイシン、スピロマイシン(spiromycin)、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、及びアジスロマイシン並びにスウィノライドA(swinolide A);フルオロキノン、例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン(levofloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、アラトロフロキサシン(alatrofloxacin)、モキシフロキシチン(moxifloxicin)、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、レメフロキサシン(lomefloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、テマフロキサシン(temafloxacin)、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン(fleroxacin)、トスフロキサシン(tosufloxacin)、プルリフロキサシン(prulifloxacin)、イルロキサシン(irloxacin)、パズフロキサシン(pazufloxacin)、クリナフロキサシン(clinafloxacin)及びシタフロキサシン(sitafloxacin)、アミノグリコシド、例えば、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン及びストレプトマイシン、バンコマイシン、タイコプラニン、ランポラニン(rampolanin)、ミデプラニン(mideplanin)、コリスチン、ダプトマイシン(daptomycin)、グラミシジン、コリスティメタート、ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム;ペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV等のペニシリナーゼ感応作用物質、耐ペニシリナーゼ作用物質、例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン;グラム陰性微生物活性作用物質、例えば、アンピシリン、アモキシシリン及びヘタシリン、シリン及びガランピシリン(galampicillin);抗緑膿菌ペニシリン類、例えば、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン及びピペラシリン;セファロスポリン、例えば、セフポドキシム、セフプロジル、セフトブテン(ceftbuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン(cephradrine)、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セホラニド、セホタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セホニシド、セホペラゾン、セホテタン、セフメタゾール、セフタジジム、ロラカーベフ(loracarbef)、及びモキサラクタム、モノバクタム、例えば、アズトレオナム;並びにカルバペナム、例えば、イミペナム、メロペネム、ペンタミジンイソチオネート、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone diprepionate)、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、フルチカソン(fluticasone)、イプラトロピウムブロミド、フルニソリド、クロモリン・ナトリウム、酒石酸エルゴタミン;並びに適切な場合には、上記の類似物、作用薬、拮抗剤、抑制剤、及び医薬的に容認可能な塩の形態。ペプチド及び蛋白質に関し、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、DDS製剤化(pegylated)された各形態、及び生物学的に活性であるそれらのフラグメント並びに類似物を包含することを意図する。
【0038】
本発明において用いられる活性作用物質は、核酸、例えば、裸の核酸分子、ベクター、会合ウイルス粒子、プラスミドDNA若しくはRNA又は細胞のトランスフェクション若しくはトランスフォーメーションに好適な、すなわち、アンチセンスを含む遺伝子療法に好適な形式の他の核酸構造をさらに含む。さらに、活性作用物質は、ワクチンとして使用するのに好適な生存弱毒化ウイルス又は死滅ウイルスを含みうる。他の有用な薬剤には、医師用卓上便覧(Physician’s Desk Reference)(最新版)に列挙されたものが含まれる。
【0039】
該薬剤調合物内の活性作用物質の量は、所望の結果を得るために、単位用量当たり、治療に有効な量の該活性作用物質を送達させることが必要な量でありうる。実際には、これは、特定の作用物質、その活性、治療すべき容態の深刻さ、患者集団、投与要件、及び所望の治療効果次第で広範囲に変化しうる。上記組成物は、一般的に、約1質量%〜約99質量%の活性作用物質、典型的には、約2質量%〜約95質量%の活性作用物質、さらに典型的には、約5質量%〜約85質量%の活性作用物質を含むことができ、そして該組成物に含まれる添加物の相対量よっても決まりうる。本発明の組成物は、0.001mg/日〜100mg/日の用量、好適には、0.01mg/日〜75mg/日の用量、さらに好適には、0.10mg/日〜50mg/日の用量で送達させる活性作用物質向けに特に有用である。本明細書中に記載される調合物中に、1種超の活性作用物質を導入することができ、そして用語「作用物質(agent)」の使用は、2種以上の上記作用物質の使用が排除されるものでないことを理解すべきである。
【0040】
該薬剤調合物は、対象者に対し、特に、対象者の肺に対して毒物学的にそれほどの悪影響を与えずに肺に導入される、医薬的に容認可能な賦形剤もしくは担体を含むことができる。上記活性作用物質に加え、薬剤調合物は、随意選択的に、肺投与に適する一種類以上の医薬賦形剤を含み得る。存在する場合には、これらの賦形剤は組成物中に、約0.01質量%〜約95質量%、好適には、約0.5質量%〜約80質量%、そしてさらに好適には約1質量%〜約60質量%の範囲の量で一般的に存在する。好適には、上記賦形剤は、部分的に、例えば、該活性作用物質のさらに効率的でかつ再現可能な送達を提供すること、粉末の取扱い性(流動性及び稠度等)を向上すること、そして/又は単位用量形態の製造及び充填を促進することにより活性作用物質組成物の特性をさらに向上させる役割を果たしうる。特に、賦形剤物質は、活性作用物質の物理的及び化学的安定性をさらに改善させ、残存水分を最小化して水分吸収を阻止し、そして粒子サイズ、凝集度、しわ(rugodity)等の粒子表面特性、吸入容易性、及び粒子の肺に対するターゲット化を向上すべく機能しうることが多い。該調合物中の活性作用物質の濃度を減少させることが望ましい場合に、充填剤としての役割を果たすために、一種類以上の賦形剤もまた供給され得る。
【0041】
本発明の薬剤調合物に有用な医薬賦形剤及び添加剤には、限定的なものとしてではなく、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、非生物学的ポリマー、生物学的ポリマー、炭水化物類、例えば、誘導糖類、例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖類、及び糖ポリマーが含まれ、これらは単独で又は組み合わせで存在しうる。好適な賦形剤は、国際公開第96/32096号パンフレット中で提供される賦形剤である(全体を参照し、本明細書に組み入れる)。上記賦形剤は、約35℃超、好適には、約40℃超、さらに好適には、約45℃超、最も好適には、約55℃超のガラス転移温度(Tg)を有しうる。
【0042】
例示的な蛋白質賦形剤には、アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒト・アルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン、ヘモグロビン等が含まれる。緩衝能においても機能し得る適切なアミノ酸(本発明のジロイシル−ペプチド以外)には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム、チロシン、トリプトファン等が含まれる。好適なのは、分散剤として機能するアミノ酸及びポリペプチドである。この範疇に入るアミノ酸には、疎水性アミノ酸、例えば、ロイシン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、及びプロリンが含まれる。分散性を向上するペプチド賦形剤には、上記のような一種類以上の疎水性アミノ酸成分を含む二量体、三量体、四量体及び五量体が含まれる。
【0043】
本発明において使用するのに好適な炭水化物賦形剤には、単糖類、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、Dマンノース、ソルボース等;二糖類、例えば、乳糖、スクロース、トレハロース、セロビオース等;多糖類、例えば、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、スターチ等;及びアルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール等が含まれる。
【0044】
該薬剤調合物はまた、緩衝剤又はpH調節剤、典型的には、有機酸、又は塩基から調製される塩を含み得る。代表的な緩衝剤には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸若しくはフタル酸の有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝液が含まれる。
【0045】
該薬剤調合物はまた、ポリマー賦形剤/添加剤、例えば、ポリビニルピロリドン、誘導セルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、フィコール(Ficoll)(ポリマー糖)、ヒドロキシエチルスターチ、デキストレート(dextrate)(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びスルフォブチルエーテル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール並びにペクチンを含み得る。
【0046】
該薬剤調合物は、香料添加剤、味覚マスキング剤、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗微生物剤(例えば、ベンザルコニウムクロリド)、甘味剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」等のポリソルベート)、ソルビタンエステル、脂質(例えば、レシチン及び他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質)、脂肪酸及び脂肪酸エステル、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA、亜鉛及び他の好適なカチオン)を含み得る。本発明に従う組成物中で用いるのに好適な他の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、「レミントン:製薬学の科学とその実際」第19版、ウィリアムス・アンド・ウィリアムス(1995)(“Remington: The Science & Practice of Pharmacy”,19th ed.,Williams & Williams,(1995))、及び「医師用卓上便覧」、第52版、メディカル・エコノミクス(1998)、ニュージャージー、モントベール(“Physician’s Desk Reference”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ (1998))に列挙されている(両者ともに全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。
【0047】
MDI用途に関し、該薬剤調合物をまた、安定性が高くなるように処理してもよい。HFA噴射剤中の表面活性化剤の溶解性を高めることにより、懸濁液安定性を高める試みもされている。この目的で、米国特許第5,118,494号明細書、国際公開第91/11173号パンフレット、及び国際公開第92/00107号パンフレットは、懸濁液の安定性を向上させるために、HFA可溶性フッ素化界面活性剤を利用することを開示している。その他のペルフルオロ化共溶剤とHFA噴射剤の混合物が、国際公開第91/04011号パンフレットに開示されている。他の安定性向上の試みには、非フッ素化界面活性剤が含まれる。この点では、米国特許第5,492,688号には、いくつかの親水性界面活性剤(親水/親油性のバランスが9.6以上)が、HFA中で薬物懸濁液を安定させるのに十分な溶解性を有することが開示されている。従来型の非フッ素化MDI界面活性剤(オレイン酸、レシチン等)の溶解性の増大は、米国特許第5,683,677号明細書及び米国特許第5,605,674号明細書、並びに国際公開第95/17195号パンフレットに記載されるような、アルコール等の共溶剤を用いて実現できることが報告されている。残念ながら、これまでに開示された従来型の共溶剤と同様に、粒子同士の反発を端に増大することが、MDI調製物等の非水性分散液における非常に効果的な安定化機構となることは証明されていない。上記文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる。
【0048】
「質量中央径(mass median diameter)」又は「MMD」は、平均粒子サイズの測定値である。なぜなら、本発明の粉末は、多分散系(すなわち、一定の範囲の粒子サイズから成る)が一般的だからである。本明細書中で報告されるようなMMD値は、遠心沈降で測定されるが、複数の一般技法が、平均粒子サイズを測定するために用いられうる。「空気力学系質量中央径(mass median aerodynamic diameter)」又は「MMAD」は、分散粒子の空気力学系サイズの測定値である。この空気力学系直径は、沈降挙動に関して、エアロゾル化粉末を表現すべく用いられ、そして粒子として、一般的にエア中で同一の沈降速度を有する単位密度球体(unit density sphere)の直径である。該空気力学系直径は、粒子形状、粒子密度及び粒子の物理的サイズを包含する。本明細書中で用いられるように、MMADは、カスケード衝撃により決定されるエアロゾル化粉末の空気力学系粒子サイズ分布の中点もしくは中央値を指している。
【0049】
バージョンの一つでは、本発明で用いられる粉末又は液体調合物には、肺の肺胞内への侵入を許容すべく選択される粒子又は液滴サイズ、すなわち、好ましくは、10μmの質量中央径(MMD)、好ましくは、7.5μm未満、そして最も好適には5μm未満、そして通常は、0.1μm〜5μmの直径を有するエアロゾルが含まれる。乾燥粉末の形態の際、該薬剤調合物は、約10質量%未満、通常は、約5質量%未満、そして好ましくは、約3質量%未満の含水率を有する。上記粉末は、国際公開第95/24183号パンフレット、国際公開第96/32149号パンフレット、国際公開第99/16419号パンフレット及び国際公開第99/16422号パンフレットに記載される(上記文献全体を参照し、本明細書に組み入れる)。
【0050】
本発明は、その一定の好ましいバージョンに対して相当詳細に記載されたが、他のバージョンも可能であり、そして本明細書の理解及び図面の考察により、当業者にとって、示されたバージョンの改変、置換及び均等範囲は明らかであろう。例えば、各構成要素の相対位置を変えることができ、そして軟質部品を、より硬質部品(軟質部品の動きをまねるため、ヒンジで動く硬質部品か、あるいは他の可動の硬質部品)で置き換えることができる。さらに、流経路は、図面に示されるように、必ずしも実質的に直線でなければならないわけではなく、例えば、曲線的にし、角度をつけることもできる。また、本明細書中の各バージョンの種々の特徴は、種々の手法で組み合わされ、本発明のさらなるバージョンを提供し得る。さらに、一定の用語は、説明の明瞭化を目的として用いられており、本発明を制限するものではない。従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書中に含まれる好ましいバージョンの記載に制限されるものではなく、そして本発明の真の精神及び範囲内に入るような改変、置換及び均等化の全てを包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明のこれらの特徴、態様、及び優位性は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び発明の特徴を例示的に説明する添付の図面に関して、より良く理解されるであろう。しかし、各特徴は、単に特定の図面との関係でのみでなく、本発明で一般的に用いることができるものであり、本発明はこれらの特徴の任意の組み合わせをも含むことが理解されるべきである。
【0052】
【図1】図1は、本発明従うエアロゾル化薬剤調合物送達システムの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明に従うエアロゾル導入器のバージョンの一つの概略断面側面図である。
【図2B】図2Bは、本発明に従うエアロゾル導入器のバージョンの一つの概略断面側面図である。
【図3A】図3Aは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図3B】図3Bは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図3C】図3Cは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図4A】図4Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4B】図4Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4C】図4Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4D】図4Dは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【0053】
【図5A】図5Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図5B】図5Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図5C】図5Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6A】図6Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6B】図6Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6C】図6Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図7】図7は、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図である。
【図8A】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Aは透視図を示している。
【図8B】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Bは分解図を示している。
【図8C】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Cは軟質部分を有するバージョンを示している。
【図9】図9は、ネブライザのマウスピースとして用いられているエアロゾル導入器の概略断面側面図である。
【背景技術】
【0001】
患者の有効な治療的処置への必要性から、患者に薬剤調合物を送達するための多様な技術が開発されてきた。薬剤調合物を送達するための従来技術の一つは、錠剤、カプセル、エリキシルなどの形態で薬剤調合物を経口送達させるものである。しかし、状況によっては、経口送達は好ましくない場合もある。例えば、多くの薬剤調合物は、効果的に体内に吸収される前に、消化管内で劣化してしまうことがある。患者の気道に製剤を送達させるためのエアロゾル化(aerosolized)薬剤調合物が経口的又は経鼻的に患者に吸入される、吸入式の薬剤送達も、特に有効で好ましい送達の方法であることが実証されている。吸入技術の一つにおいて、エアロゾル化薬剤調合物は、気道の一部(肺など)に局所的治療や予防効果をもたらすことにより、喘息や気腫などの呼吸器疾患の治療や、真菌感染や嚢胞性繊維症などの局所的肺感染を治療可能である。別の吸入方式では、薬剤調合物は、患者の肺の奥まで送達され、そこから血流中へ吸収されて全身まで運ばれる。エアロゾル化装置は種々の種類があり、薬剤調合物を噴射剤の中に、又は噴射剤と共に保存する装置や、乾燥粉末をエアロゾル化する装置、圧縮ガスなどの機構を用いて液体薬剤調合物をエアロゾル化する装置などがある。
【0002】
従来型のエアロゾル化装置の一つは、一般にネブライザと呼ばれている。ネブライザは、液体薬剤調合物を収納するリザーバタンクを備える容器を有する。このような液体薬剤調合物は一般的に、活性作用物質(active agent)を液体に溶解させるか、液体の溶媒中に懸濁させる。リザーバタンクにエネルギーを導入すると、液体薬剤調合物がエアロゾル化し、使用者の肺に到達可能となる。一般に、ジェットネブライザと呼ばれているネブライザの一種では、容器のオリフィスを通るように圧縮ガスに圧力を加える。液体はこの圧縮エアに押され、ノズルを通って引き抜かれる。引き抜かれたこの液体は、ガス流と混合して、エアロゾル液滴を形成する。液滴が雲状になったものが使用者の気道に投与される。メッシュ振動式ネブライザと呼ばれる、別のネブライザでは、超音波などのエネルギーを発生させることにより、メッシュを振動させる。このメッシュ振動により、液体薬剤調合物がエアロゾル化し、雲状エアロゾルが発生するので、これを使用者の肺に投与する。ネブライザは使用が煩わしい場合もあるが、エアロゾル化薬剤調合物を入院患者や歩行不能な患者に投与する場合や、エアロゾル化活性作用物質を大量に投与する場合、また、エアロゾル化薬剤調合物を小児患者など、乾燥粉末や噴射剤ベースの薬剤調合物を受け付けられない患者に投与する場合には、ネブライザが特に有利である。
【0003】
ネブライザは、エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器の力を借りて呼吸している患者の気道に送達させる際に特に便利である。しかしながら、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路(circuit)に導入する作業に関連する問題がいくつか生ずる。例えば、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器の吸気ラインに導入することにより、導入ポイントと患者の肺との間に相当な量が残留してしまう。従って、エアロゾル化薬剤調合物が大量に必要となり、そのほとんどが呼気ラインに流出して失われてしまう。連続バイアスフローを作り出す人工呼吸器とネブライザを併用する場合、この問題は悪化する。その上、人工呼吸器ライン内に大量の残留があると、エアロゾル化薬剤調合物がかなり希釈され、患者送達量を一貫して再現することが難しくなることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器使用患者に、効果的・一貫的に導入する方法を提供することが望ましく、また、活性作用物質の損失量を低減するようにこれを導入することが望ましい。さらに、広範な人工呼吸器、広範な慣習の下で利用できるような方式で、エアロゾル化薬剤調合物を導入することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記要求を満たす。本発明の一態様では、2本の流路のエアロゾル導入器を提供する。
【0006】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路内へ導入するエアロゾル導入器を提供する。人工呼吸器循環路は、気管内チューブと、人工呼吸器から延びる吸気ラインと、該人工呼吸器から延びる呼気ラインとを有する。該エアロゾル導入器は、該吸気ラインと該呼気ラインとに接続可能な第一端と、該気管内チューブに接続可能な第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適するインレットと、エアロゾル化薬剤調合物の該呼気ラインへの損失を低減する一つ以上のバルブを備えるバルブ機構とを有する。
【0007】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を患者に送達させるエアロゾル導入器を提供する。該エアロゾル導入器は、第一端と、使用者の口又は鼻にエアロゾルを送達させる開口部を含む第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適するインレットと、該第一又は第二の流路内のバルブとを有する。
【0008】
本発明の別の態様では、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路内に導入する方法には、第一端と、第二端と、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路と、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路と、該第一の流路内のインレットと、該第一及び/又は第二の流路内にあるバルブとを含むエアロゾル導入器を準備する段階と、該第一端を人工呼吸器から延びる吸気ラインと呼気ラインとに接続する段階、該第二端を気管内チューブに接続する段階、そして該インレットを介して、そして該第一の流路内へエアロゾル化該薬剤調合物を受け入れる段階が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、エアロゾル化可能な薬剤調合物に関するものである。特に、本発明は、人工呼吸器使用患者に送達させるためのエアロゾル化可能な液体薬剤調合物に関するものである。本発明は、ネブライザ用の液体薬剤調合物として説明されているが、本発明は、それ以外の方法にも用いることができ、ここに挙げた例のみに制限されるものではない。
【0010】
本発明によるエアロゾル化薬剤調合物送達システム100を、図1に示す。該エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、エアロゾル化薬剤調合物を、使用者の気道の一部(肺など)に送達させる。エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、該エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器105の力を借りて呼吸している患者に送達させる際に特に有利であるが、後述のように人工呼吸器を使用していない患者に送達させるために用いるように構成させてもよい。人工呼吸器循環路110の概略図を図1に示す。吸気ライン115と呼気ライン120とが、人工呼吸器105から延びている。吸気ライン115と呼気ライン120は、各々、貫通して延びているエア循環用ルーメン(孔)を有するチューブからできている。吸気ライン115と呼気ライン120とは、人工呼吸器105から離れた位置の合流部125で合流する。合流部125で、吸気ライン115のルーメンが、呼気ライン120のルーメンと連通し、上記ルーメンの両方が患者用ライン130と連通している。該患者用ライン130もルーメンを含み、このルーメンは患者の口に挿入される気管内チューブ135のルーメンに延びている。気管内チューブ135は、使用者の肺の中又はその付近へ延びている反対側の端を有する。従って、使用時には、人工呼吸器105により、酸素添加エアが吸気ライン115内に導入される。該酸素添加エアは、吸気ライン115のルーメンを通り、気管内チューブ135のルーメンを経由して患者用ライン130へと流れ、そして患者の肺に入る。次いで、患者が自然に、又は人工呼吸器から負圧がかかることにより息を吐き出すと、呼気が気管内チューブ135を通り、患者用ライン130を通り、そして呼気ライン120を通って人工呼吸器105に流れる。該サイクルを連続的に繰り返して、患者の呼吸を補助し、患者の呼吸を完全に管理する。
【0011】
エアロゾル化薬剤調合物送達システム100は、エアロゾル導入機構140をさらに含む。エアロゾル導入機構140は、該合流部125と患者の肺との間の位置で、エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路110内に導入するエアロゾル導入器145を含む。例えば、エアロゾル導入器は、図1に示されるように、エアロゾル化薬剤調合物を患者用ライン130に導入することができるか、あるいは気管内チューブ135内又はその付近に該エアロゾル化薬剤調合物を導入させてもよい。エアロゾル導入器145により導入されるエアロゾルは、エアロゾル化装置150により発生し、エアロゾル化装置150は、薬剤調合物を収納するリザーバタンクを含む。エネルギー源160により、エアロゾル化エネルギーをエアロゾル化装置に供給し、エアロゾル化薬剤調合物を発生させる。エアロゾル化薬剤調合物は、経路165を通ってエアロゾル導入器145に到達し、ここで人工呼吸器循環路110内に導入される。エアロゾル化装置150は、例えば、エネルギー源が圧縮エアであるジェットネブライザや、エネルギー源がエネルギー波であるメッシュ振動式ネブライザ、エネルギー源が周囲条件下で沸騰する噴射剤である定量噴霧式吸入器(MDI)、エネルギー源が圧縮エア、気流、又は振動膜等である乾燥粉末吸入器でありうる。
【0012】
合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入するエアロゾル導入器145の例は、ジェラルド・スマルドン(Gerald Smaldone)らのPCT特許出願第PCT/US2003/014708号(名称「標的気管支内治療の方法、装置、及び調合物」(Methods,Devices and Formulations for Targeted Endobronchial Therapy)、2003年5月7日出願、国際公開第2004/071368号パンフレット);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号明細書;60/420,429号明細書;60/439,894号明細書;及び60/442,785号明細書に記載されている(これら文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。
【0013】
合流部125と患者の肺との間の位置でのエアロゾル化薬剤調合物の導入は、吸気ライン115内又は人工呼吸器105内へエアロゾルを導入する従来技術の方式よりも種々の点で優れている。例えば、合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入すると、導入ポイントから患者の肺までの人工呼吸器循環路の容量を大幅に低減することができる。よって、エアロゾル化薬剤調合物の濃度が高まり、人工呼吸器110全体での拡散量が低減される。さらに、従来技術によるエアロゾル化薬剤調合物の大部分は、吸気ライン115中に設置することにより、呼気ライン120へ引き込まれ、送達効率がさらに制限されてしまう。このような拡散や効率低減の故に、従来技術のシステムでは送達濃度(consistency)の管理は困難である。また、患者の肺に到達しないエアロゾル化薬剤調合物の量が多いと、大部分のエアロゾルが大気中に組込まれ、そこで医療従事者などが吸入してしまうという点で好ましくない。
【0014】
合流部125と患者の肺との間の位置でエアロゾル化薬剤調合物を導入することは、上述のように、従来技術の方式よりも優れているが、それでも、導入されたエアロゾル化薬剤調合物のかなりの量が患者に到達する前に呼気ライン120内に引き込まれてしまうということが発見された。そこで、本発明に従うエアロゾル導入器145を、送達効率及び/又は濃度を増すような改善された様式で、エアロゾル化薬剤調合物の導入するように設計した。従って、エアロゾル導入器145は、合流部125と患者の肺との間の位置で、エアロゾル化薬剤調合物を吸気フロー内に導入する。このように、エアロゾル導入器145は、人工呼吸器循環路120の呼気ライン120内に引き込まれるエアロゾル化薬剤調合物の量を低減する働きをする。
【0015】
バージョンの一つでは、エアロゾル導入器145は、エアロゾル化薬剤調合物の導入を制御するためのバルブ機構170を含む。バルブ機構170は、例えば、人工呼吸器サイクルの呼気相の際に患者用ライン130中へエアロゾル化薬剤調合物が導入される事態を防止又は低減し、そして/又は、呼気サイクルの呼気相の際に患者用ライン130から引き込まれ、患者用ライン130内に存在するエアロゾル化薬剤調合物を防止又は低減するバルブを一つ以上備えるようにしてもよい。
【0016】
呼気ライン120中へのエアロゾル化薬剤調合物の導入を防止又は低減するエアロゾル導入器145のバージョンの一つを、図2A及び図2Bに示す。このバージョンでは、エアロゾル導入器145は、ルーメン180を規定する本体175を含み、ルーメン180は患者用ライン130の少なくとも一部を構成する。エアロゾル導入器145の本体175は、延長部185を有し、該延長部185はエアロゾル化装置150と連通し、そしてエアロゾル化薬剤調合物190を受け入れることができる。該延長部185内に、選択的に開放可能なバルブ195を配置する。このバルブ195は、図2Aに示されるように、呼気200の際には「閉」位置にあり、次いで、図2Bに示されるように、吸気205の際には「開」位置になる。
【0017】
図2A及び図2Bのバージョンに従うエアロゾル導入器145の例を、図3A〜図3Cに示す。図3Aに示されるバージョンでは、フローセンサ等の検知器210を患者用ライン130、又はシステム中の位置に配置し、吸気相や呼気相の発生を検知する。該検知器210が、信号をマイクロプロセッサ又はASICなどの制御装置215に送信し、次いで、制御装置215が、検知器210からの信号に応答して制御信号を発生させ、バルブ195の作動を制御する。従って、検知器210からの信号が吸気相を表していると判定されると、制御装置215はバルブ195を「開」状態にし、そして呼気相が判定されると、制御装置215はバルブ195を「閉」状態にする。図3B及び図3Cに示されるバージョンでは、バルブ195は、ルーメン180内の気流に応答して作動する機械式バルブである。図3Bのバージョンでは、L字形部材220は、「閉」位置において延長部185を覆うカバー部225を含み、エアロゾル化薬剤調合物が、ルーメン180内に流れ込むことを防ぐ。吸気の際に、気流がL字形部材220上の突起部230に接触することにより、L字形部材220が、ヒンジ235の周囲を回転し、合流部125と患者の肺225との間の位置でカバー部が持ち上がり、そしてエアロゾル化薬剤調合物がルーメン180に導入される。図3Cのバージョンでは、圧縮可能部材240は、ルーメン180の気流により作動する突起部240を含む。吸気の際には、気流により、例えば、アコーデオン部250が圧縮されることにより、圧縮可能部材240が圧縮され、それにより延長部185が開き、そして呼気の際には、気流により、圧縮可能部材240が図3Cに示される位置まで延び、延長部185が閉じ、エアロゾル化薬剤調合物がルーメン180内へ流出することを防止又は低減する。
【0018】
別のバージョンでは、エアロゾル導入器145のルーメン180は、患者用ライン130中に存在するエアロゾル化薬剤調合物が人工呼吸器の呼気相の際に患者用ライン130から引き出されることを防止又は低減するような構成になっている。例えば、図4Aに示されるように、あるバージョンにおいて、ルーメン180の中に壁255を設け、ルーメンを、例えば、第一の流路265及び第二の流路260のような複数の流路に分割する。第一の流路265は、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れることができるよう、延長部185と連通している。図4Aのバージョンでは、吸気フローのみが第一の流路265を通るように、逆止弁270を第一の流路265内に設置する。従って、吸気エアが延長部185を通り越して流れる際のみに、エアロゾル化薬剤調合物がエアロゾル化装置から引き出され、そして気管内チューブ及び患者へと送達される。呼気の際には、第一の流路265を通るフローはなく、そしてエアロゾル化装置からエアロゾル化薬剤調合物が引き出されず、そして延長部185内及び第一の流路265内の過剰なエアロゾル化薬剤調合物は、呼気ライン120へ押し出されない。
【0019】
複数の流路を有するエアロゾル導入器145の別のバージョンが、図4B〜図4Dに示されている。図4Bのバージョンでは、逆止弁275を延長部185内に設置している。バージョンの一つでは、第一の流路265内にエアが流れる際に、逆止弁275が開く。上述のように、吸気フローのみが第一の流路265を通れるようになっているため、逆止弁275は吸気相の際のみに開く。図4Cのバージョンでは、第二の逆止弁280を、第一の流路265内に、第一の逆止弁270の延長部185の反対側に設置する。このバルブは、第一の流路265内のエアロゾル化薬剤調合物がエアロゾル化装置に逆戻りするのを防止し、第一の流路265内のエアロゾル化薬剤調合物が少しでも第一の流路260内の呼気フローに引き込まれることを防止する。図4Dのバージョンでは、逆方向の逆止弁290が、第二の流路260内に設置されている。このバージョンでは、吸気フローのみが第二の流路260を通り越して流れる。従って、吸気フローの全てが第一の流路265を通る。他のバージョンでは、エアロゾル導入器は、図4A〜図4Dに示される任意の特徴の組合せを含む。また、各流路の断面寸法を調節し、そして/又は互いに対してその断面寸法を変化させ、そして/又は患者用ライン130内で他の寸法と相対的に変化させ、該システム内の望ましいフロー特性にさせることができる。
【0020】
延長部185及び第一の流路265の方向は、エアロゾル化薬剤調合物送達システム100の送達効率を高めるように構成させることができる。例えば、バージョンの一つでは、図4A〜図4Dに示すように、延長部185を第一の流路265に対して直角とすることができる。別のバージョンでは、延長部185を、吸気ライン115からの吸気流方向に対して鋭角にすることができる。このバージョンでは、エアロゾル化装置150からのエアロゾル化薬剤調合物の流れは、壁255又は導入器145内の他の仕切りに衝撃を与える可能性はより低い。特定のバージョンでは、鋭角は約10°〜約89°、より好ましくは約20°〜約80°、最も好ましくは約30°〜約45°である。このバージョンは、エアロゾル化装置150が、ジェットネブライザを含む場合、特に有用である。別のバージョンでは、延長部185を吸気ライン115からの吸気流方向に対して鈍角にすることができる。このバージョンでは、エアロゾル化装置150からのエアロゾル化薬剤調合物の流れは、入ってくる吸気フローと混合する可能性がより高くなる。特定のバージョンでは、鈍角は約91°〜約179°、より好ましくは約110°〜約160、最も好ましくは約135°〜約150°である。
【0021】
エアロゾル導入器145は、従来型の人工呼吸器循環路110内に簡単に取り付けられるように構成することができる。例えば、図5Aに示すように、エアロゾル導入器145は、合流部125として機能する従来型のY字形ピースへの接続に適する第一端295を有するアダプターを含むことができる。このバージョンのエアロゾル導入器145はまた、従来型の気管内チューブ135の端部310への接続に適している第二端296を含む。このバージョンの延長部185は、エアロゾル化装置150のアウトプット端部への接続に適している。図5Bは、エアロゾル導入器145の別のバージョンである。このバージョンは、図5Aのバージョンと類似しており、そして軟質部分315をさらに含み、該軟質部分315により、患者の口から離れた位置にエアロゾル導入器を設置できる。図5Cは、図5A及び図5Bのバージョンに似ている別のバージョンであるが、エアロゾル化装置150とエアロゾル導入器とは、統合され、そして/又は、一体形に形成されている。
図5A、図5B及び図5Cのバージョンでは、エアロゾル導入器145は、図4Aに記載したバージョンによるものである。しかし、図示されたバージョンの代わりに、上述のバージョンのいずれかで代替させることができる。図5A〜5Cのバージョンを用いる場合、医療従事者は、気管内チューブ135からY字形ピース300を外し、両者の間にエアロゾル導入器145を挿入する。
【0022】
エアロゾル導入器145の別のバージョンを図6A〜6Cに示す。これらのバージョンは、各々、図5A〜5Cのバージョンと似ているが、Y字形ピースが、エアロゾル導入器145と統合及び/又は一体形成されている。図6A〜6Cのバージョンを用いる場合、医療従事者は、Y字形ピース300を、気管内チューブ135と、吸気ライン115と、呼気ライン120とから外す。次いで、図6A〜6Cのエアロゾル導入器145の一つを気管内チューブ135に、そして吸気ライン115及び呼気ライン120に接続する。
【0023】
Y字形ピース合流部125内に統合される、エアロゾル導入器145の特定のバージョンを図7に示す。このバージョンは、図4Dのバージョンに似ている。このバージョンでは、エアロゾル導入器145は、使用の際にエアロゾル化装置150の向きを調節する回り継手315をさらに含む。壁255を準備し、第一の流路265と第二の流路260とを分離する。随意選択的に、HMEフィルターを第二の流路260内、例えば、逆止弁290のすぐ手前の位置に設けることができる。
【0024】
Y字形ピース合流部内に統合されたエアロゾル導入器145の別のバージョンを、図8A及び図8Bに示す。図8A及び図8Bのエアロゾル導入器145は、H字形の本体400を含む。H字形の本体400の第一端においては、第一のコネクタ405及び第二のコネクタ410が、各々、人工呼吸器循環路110の吸気ライン115及び呼気ライン120に接続できるように適合されている。第一のコネクタ405から第二のコネクタ410へエアが流れるように、H字形の本体400と連続流路415の中にルーメンを設ける。そのようにして、該コネクタ405、410及び連絡流路415は、従来型のY字形ピースの様式と同様、吸気ライン115と呼気ライン120との合流部125として機能する。このバージョンにおける壁255は、第一の流路265と第二の流路260とを、各々規定する2本のチューブ256、257の形状である。図8Bの分解図に最も良く示されるように、第一の流路265の中で、連絡流路415の下流位置(吸気方向に関して)のところに上述の逆止弁270を準備する。このバージョンでは、逆止弁270は、軟質部材272を支持するバルブフレーム271を含む。第二の流路260内で、連絡流路415の上流位置(呼気方向に関して)のところに上述の逆止弁290を設ける。
【0025】
随意選択的に、図8Cに示すような、軟質部分315を準備し、患者に触れることなく人工呼吸器循環路内にエアロゾル導入器145の位置を容易に決定することができる。このバージョンでは、軟質部分315は、第一の流路265を構成するチューブ256と接続可能な第一の軟質チューブ420を含み、これにより、第一の流路265の容量を増やしている。このバージョンの軟質部分315はまた、第二の流路260を構成するチューブ257と接続可能な第二の軟質チューブ425を含む。該軟質チューブ420、425は、接続部435のところで、気管内チューブと直接又は間接的に接続可能なY字形コネクタ430の位置で合流する。
【0026】
該エアロゾル化装置150は、呼吸に適する粒子や液滴を作り出せるものであれば、どのようなタイプであってもよい。例えば、該薬剤調合物は、国際公開第99/16419号パンフレット;米国特許第6,051,256号明細書;又は米国特許第6,503,483号明細書に記載されるように、乾燥粉末の形態とすることもできる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。このような場合、エアロゾル化装置150は、米国特許第5,485,135号明細書;米国特許第5,740,794号明細書;米国特許第6,257,233号明細書に記載されるエアロゾル化装置等の能動的な粉末エアロゾル化装置を含むことができる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。あるいは、該エアロゾル化装置150は、米国特許第4,069,819号明細書及び米国特許第4,995,385号明細書に記載されるエアロゾル化装置等の受動的な粉末エアロゾル化装置を含むことができる(両文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。あるいは、該薬剤調合物は、米国特許第5,225,183号明細書;米国特許第5,681,545号明細書;米国特許第5,683,677号明細書;米国特許第5,474,759号明細書;米国特許第5,508,023号明細書;米国特許第6,309,623号明細書;米国特許第5,655,520号明細書に記載されるように液状の噴射剤に溶解又は懸濁させたものを含みうる(これらの文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。このような場合、エアロゾル化装置150は、従来型の定量噴霧式吸入器(MDI)を含みうる。あるいは、該薬剤調合物は、上述のジェラルド・スマルドンらのPCT特許出願;ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドン他の米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号明細書;60/420,429号明細書;60/439,894号明細書;60/442,785号明細書に記載されるように、液状にし、そして従来型のネブライザを用いてエアロゾル化することもできる(これら文献の全体を参照し、本明細書に組み入れる)。他の適切なネブライザの例としては、カリフォルニア州マウンテン・ビューのエアロジェン社(Aerogen,Inc.)が市販するエアロネブ(商標)ゴー(Aeroneb Go)又はエアロネブ(商標)プロ(Aeroneb Pro);郵便番号23112バージニア州ミッドローシアンのパリ・レスピラトリー・イクイップメント社(PARI Respiratory Equipment, Inc.)が市販するパリ・イーフロー(PARI eFlow)及び他のパリ・ネブライザ;ニュージャージー州イースト・ブランスウィックのルミスコープ社(Lumiscope Company)が市販するルミスコープ(商標)(Lumiscope)ネブライザ6600又は6610;日本国京都市のオムロンヘルスケア)が市販するオムロンNE−U22が含まれる。
【0027】
エアロネブ・プロ及びパリ・イーフロー等の圧縮ガスを用いずに液滴を形成するネブライザは、送達効率及び濃度において、期待以上の向上を提供することが見出されている。圧縮エアを導入するのではなく、振動する有孔(perforated)、又は無孔(unperforated)膜を用いて、微細な液滴を発生させることにより、実質的に循環路内のフロー特性に影響を与えることはなく、そして人工呼吸器の設定を実質的に再選択する要求もなく、該エアロゾル化薬剤調合物を人工呼吸器循環路110内に導入できる。さらに、この種のネブライザを用いて発生した液滴が、低速で導入され、それにより、液滴が、人工呼吸器循環路110の望ましくない領域に動いてしまう可能性が低減される。さらに、液滴形成ネブライザと上述のエアロゾル導入器145の併用は、種々の一回換気量を人工呼吸器で行う際、用量のばらつきを低減する有用性があり、それにより該システムがさらに自在となる。
【0028】
第一の流路265の容量、すなわち、エアロゾル導入器145のうち、エアロゾル化薬剤調合物を受け入れる部分であり、中を吸気フローが流れる部分の容量は、特定の人工呼吸器及び/又はエアロゾル化装置に関するエアロゾルの送達効率が向上するように選択可能である。例えば、図8A〜Cのバージョンでは、Y字形ピース430内で逆止弁270から第二の流路260との合流点へ延びる部分の容量を含む、第一の流路265の容量は、約10mL〜約1000mLとすることができる。エアロゾル導入器145をジェットネブライザと併用する場合、第一の流路の容量を大きくすることが望ましい場合もある。ジェットネブライザは、圧縮エアを人工呼吸器循環路に導入し、第一の流路容量が大きければこの導入による衝撃が低減される。従って、ジェットネブライザの適用において、第一の流路容量は、約50mL〜約1000mL、さらに好ましくは約100mL〜約500mL、さらに好ましくは約150mL〜約250mL、そして最も好ましくは約200mLにできることが見出された。エアロネブ・プロ及びパリ・イーフローのようなメッシュ振動式ネブライザの場合、再現可能な投与は、第一の流路容量を小さくすることにより得られる。例えば、メッシュ振動式ネブライザと併用するエアロゾル導入器145における第一の流路容量は、約10mL超、より好ましくは約10mL〜約1000mL、さらに好ましくは約50mL〜約200mL、そして最も好ましくは約90mLの任意の量でありうる。
【0029】
表1及び表2は、本発明に従うエアロゾル導入器の改良効果を示すため、得られたデータをまとめたものである。表1では、人工呼吸器の設定は、エアロゾル化薬剤調合物の送達効率が最適となるように選択した。このバージョンでは、湿度は「切」となっており、バイアスフローは「切」となっており、エアロゾル投与は呼吸動作させた(breath actuated)。対照試験をまず行い、その中で、エアロジェン社が市販するエアロテックII+型ジェットネブライザから、従来方式でエアロゾルを人工呼吸器の吸気ライン115内へ、直接投与した。第二の試験では、150mLの第一の流路容量を有する、図8A〜図8Cに記載されるタイプのエアロゾル導入器145を用い、エアロテックII+型ジェットネブライザから発生されるエアロゾルを導入した。第三回の試験では、図8A〜図8Cに記載されるタイプのエアロゾル導入器145を用い、エアロネブ・プロ型メッシュ振動式ネブライザから発生されるエアロゾルを導入し、そして第一の流路容量は90mLとした。表2では、人工呼吸器の設定は、エアロゾル送達に当たってそれほど好適とはならないように選択したが、それでも通常の人工呼吸器運転条件内とした。同一の3回の試験を行った。表1、表2のデータを見れば分かるように、本発明のエアロゾル導入器145を用いてエアロゾルを導入すると、好適及び好適でない人工呼吸器の設定のどちらにおいても、改良された吸入用量効率が提供された。従って、該エアロゾル導入器によって、薬剤送達が向上するのみでなく、人工呼吸器の設定条件がそれほど厳しくなくなる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
別のバージョンでは、図9に示すように、人工呼吸器を使用していない患者にエアロゾル化薬剤調合物を投与するため、エアロゾル導入器145を用いることができる。例えば、エアロゾル導入器145を、ネブライザ用のマウスピース500として用いることができる。従って、エアロゾル導入器145は、使用者の口又は鼻の中に受け入れられるような形状である一端505を有することができ、そしてエアロゾル導入器は、大気中に開放される第二端510を有しうる。前述の各バージョンのいずれも、この様式で変更可能である。
【0033】
該薬剤調合物は、使用者の気道への投与用の活性作用物質を含むことができる。本明細書で説明する該活性作用物質には、一定の薬理効果(有用であることが多い)を提供する物質の薬品(agent)、薬剤(drug)、化合物、合成物又はそれらの混合物が含まれる。これには、食品、栄養補助食品、栄養素、薬剤、ワクチン、ビタミン及び他の有用な薬剤が包含される。本明細書で用いられるように、該語句は、患者に局所的又は全身的な効果を生み出す一切の生理的又は薬理的活性物質をさらに含む。本明細書中に記述される薬剤調合物に導入される活性作用物質は、限定的なものとしてではなく:末梢神経、アドレナリン受容体、コリン受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部位、内分泌及びホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、自家薬物系(autacoid system)、消化排出系、ヒスタミン系及び中枢神経系に作用する薬剤を含む無機又は有機化合物でありうる。
【0034】
特定の態様の一つでは、該薬剤調合物は、人工呼吸器関連肺炎の治療又は予防のため、人工呼吸器使用患者への投与用の抗生物質を含む。上記投与は、上述のジェラルド・スマルドンらのPCT特許出願(名称「標的気管支内治療の方法、装置、及び調合物」;ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,765号明細書(2003年5月6日出願);ジェラルド・スマルドンらの米国出願第10/430,658号明細書(2003年5月6日出願);米国仮特許出願第60/378,475号明細書;60/380,783号;60/420,429号;60/439,894号;及び60/442,785号に記載されている(これら文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。エアロゾル化抗生物質の投与に関連し、本発明に従うエアロゾル導入器145を用いると、十分な効果が得られる。例えば、本発明に従うエアロゾル導入器145を用いると、非常に少ない薬剤調合物の量のみが大気中に失われ、その結果、抗生物質への細菌耐性が低減する。さらに、エアロゾル導入器145は、さらに一定の用量を送達でき、抗生物質療法向けに特に有用である。特定のバージョンの一つでは、該薬剤調合物はバンコマイシン及び/又はゲンタマイシンを含みうる。
【0035】
代替又は追加可能な、好適な活性作用物質は、例えば、催眠薬及び鎮静薬、精神賦活薬、精神安定剤、呼吸系薬剤、抗痙攣薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン病薬(ドーパミン拮抗剤)、鎮痛剤、抗炎症剤、抗不安薬(不安抑制剤)、食欲抑制剤、抗偏頭痛剤、筋収縮薬、抗感染薬(抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌薬、ワクチン)、抗関節炎薬、抗マラリア薬、鎮吐薬、抗てんかん薬、気管支拡張剤、サイトカイン、成長因子、抗ガン剤、抗血栓剤、血圧降下剤、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経興奮剤、利尿剤、脂質調整剤、抗アンドロゲン剤、抗寄生虫剤、抗凝血剤、新生剤(neoplastics)、抗新生剤、血糖降下剤、栄養剤(nutritional agent)及び栄養補助食品、成長補給食品、抗腸炎剤、ワクチン、抗体、診断薬、並びに造影剤から選択され得る。吸入により投与された際、該活性作用物質は、局所的又は全身的に作用し得る。
【0036】
該活性作用物質は、限定的なものとしてではなく、小分子、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、多糖、ステロイド、生理学的効果を誘発し得る蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質等を含む、多数の構造分類の一つに該当しうる。
【0037】
本発明で使用するのに好適な活性作用物質の例は、限定的なものとしてではなく、以下のものの一つ以上を含む:カルシトニン、アムホテリシンB、エリスロポイエチン(EPO)、因子VIII、因子IX、セレデース、セレザイム、サイクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポイエチン(TPO)、α−1プロテイナーゼ抑制剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−1受容体、インターロイキン−2、インターロイキン−1受容体拮抗体、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、因子IX、インスリン、プロインスリン、インスリン類似物(例えば、米国特許第5,922,675号明細書に記載されるようなモノアクリル化インスリン、全体を参照し、本明細書に組み入れる)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似物、バソプレシン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン(insulintropin)、マクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、角質細胞成長因子(KGF)、神経膠成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン状ペプチドチモシンα−I、IIb/IIIa抑制剤、α−1アンチトリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4抑制剤、ビスホスホネート、呼吸系発疹ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜横断制御因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)、殺菌/透過性増大蛋白質(BPI)、抗CMV抗体、13−cisレチノイン酸、マクロライド、例えば、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジスロマイシン、フルリスロマイシン(flurithromycin)、ディリスロマイシン(dirithromycin)、ジョサマイシン、スピロマイシン(spiromycin)、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、及びアジスロマイシン並びにスウィノライドA(swinolide A);フルオロキノン、例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン(levofloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、アラトロフロキサシン(alatrofloxacin)、モキシフロキシチン(moxifloxicin)、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、レメフロキサシン(lomefloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、テマフロキサシン(temafloxacin)、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン(fleroxacin)、トスフロキサシン(tosufloxacin)、プルリフロキサシン(prulifloxacin)、イルロキサシン(irloxacin)、パズフロキサシン(pazufloxacin)、クリナフロキサシン(clinafloxacin)及びシタフロキサシン(sitafloxacin)、アミノグリコシド、例えば、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン及びストレプトマイシン、バンコマイシン、タイコプラニン、ランポラニン(rampolanin)、ミデプラニン(mideplanin)、コリスチン、ダプトマイシン(daptomycin)、グラミシジン、コリスティメタート、ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム;ペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV等のペニシリナーゼ感応作用物質、耐ペニシリナーゼ作用物質、例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン;グラム陰性微生物活性作用物質、例えば、アンピシリン、アモキシシリン及びヘタシリン、シリン及びガランピシリン(galampicillin);抗緑膿菌ペニシリン類、例えば、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン及びピペラシリン;セファロスポリン、例えば、セフポドキシム、セフプロジル、セフトブテン(ceftbuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン(cephradrine)、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セホラニド、セホタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セホニシド、セホペラゾン、セホテタン、セフメタゾール、セフタジジム、ロラカーベフ(loracarbef)、及びモキサラクタム、モノバクタム、例えば、アズトレオナム;並びにカルバペナム、例えば、イミペナム、メロペネム、ペンタミジンイソチオネート、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone diprepionate)、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、フルチカソン(fluticasone)、イプラトロピウムブロミド、フルニソリド、クロモリン・ナトリウム、酒石酸エルゴタミン;並びに適切な場合には、上記の類似物、作用薬、拮抗剤、抑制剤、及び医薬的に容認可能な塩の形態。ペプチド及び蛋白質に関し、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、DDS製剤化(pegylated)された各形態、及び生物学的に活性であるそれらのフラグメント並びに類似物を包含することを意図する。
【0038】
本発明において用いられる活性作用物質は、核酸、例えば、裸の核酸分子、ベクター、会合ウイルス粒子、プラスミドDNA若しくはRNA又は細胞のトランスフェクション若しくはトランスフォーメーションに好適な、すなわち、アンチセンスを含む遺伝子療法に好適な形式の他の核酸構造をさらに含む。さらに、活性作用物質は、ワクチンとして使用するのに好適な生存弱毒化ウイルス又は死滅ウイルスを含みうる。他の有用な薬剤には、医師用卓上便覧(Physician’s Desk Reference)(最新版)に列挙されたものが含まれる。
【0039】
該薬剤調合物内の活性作用物質の量は、所望の結果を得るために、単位用量当たり、治療に有効な量の該活性作用物質を送達させることが必要な量でありうる。実際には、これは、特定の作用物質、その活性、治療すべき容態の深刻さ、患者集団、投与要件、及び所望の治療効果次第で広範囲に変化しうる。上記組成物は、一般的に、約1質量%〜約99質量%の活性作用物質、典型的には、約2質量%〜約95質量%の活性作用物質、さらに典型的には、約5質量%〜約85質量%の活性作用物質を含むことができ、そして該組成物に含まれる添加物の相対量よっても決まりうる。本発明の組成物は、0.001mg/日〜100mg/日の用量、好適には、0.01mg/日〜75mg/日の用量、さらに好適には、0.10mg/日〜50mg/日の用量で送達させる活性作用物質向けに特に有用である。本明細書中に記載される調合物中に、1種超の活性作用物質を導入することができ、そして用語「作用物質(agent)」の使用は、2種以上の上記作用物質の使用が排除されるものでないことを理解すべきである。
【0040】
該薬剤調合物は、対象者に対し、特に、対象者の肺に対して毒物学的にそれほどの悪影響を与えずに肺に導入される、医薬的に容認可能な賦形剤もしくは担体を含むことができる。上記活性作用物質に加え、薬剤調合物は、随意選択的に、肺投与に適する一種類以上の医薬賦形剤を含み得る。存在する場合には、これらの賦形剤は組成物中に、約0.01質量%〜約95質量%、好適には、約0.5質量%〜約80質量%、そしてさらに好適には約1質量%〜約60質量%の範囲の量で一般的に存在する。好適には、上記賦形剤は、部分的に、例えば、該活性作用物質のさらに効率的でかつ再現可能な送達を提供すること、粉末の取扱い性(流動性及び稠度等)を向上すること、そして/又は単位用量形態の製造及び充填を促進することにより活性作用物質組成物の特性をさらに向上させる役割を果たしうる。特に、賦形剤物質は、活性作用物質の物理的及び化学的安定性をさらに改善させ、残存水分を最小化して水分吸収を阻止し、そして粒子サイズ、凝集度、しわ(rugodity)等の粒子表面特性、吸入容易性、及び粒子の肺に対するターゲット化を向上すべく機能しうることが多い。該調合物中の活性作用物質の濃度を減少させることが望ましい場合に、充填剤としての役割を果たすために、一種類以上の賦形剤もまた供給され得る。
【0041】
本発明の薬剤調合物に有用な医薬賦形剤及び添加剤には、限定的なものとしてではなく、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、非生物学的ポリマー、生物学的ポリマー、炭水化物類、例えば、誘導糖類、例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖類、及び糖ポリマーが含まれ、これらは単独で又は組み合わせで存在しうる。好適な賦形剤は、国際公開第96/32096号パンフレット中で提供される賦形剤である(全体を参照し、本明細書に組み入れる)。上記賦形剤は、約35℃超、好適には、約40℃超、さらに好適には、約45℃超、最も好適には、約55℃超のガラス転移温度(Tg)を有しうる。
【0042】
例示的な蛋白質賦形剤には、アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒト・アルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン、ヘモグロビン等が含まれる。緩衝能においても機能し得る適切なアミノ酸(本発明のジロイシル−ペプチド以外)には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム、チロシン、トリプトファン等が含まれる。好適なのは、分散剤として機能するアミノ酸及びポリペプチドである。この範疇に入るアミノ酸には、疎水性アミノ酸、例えば、ロイシン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、及びプロリンが含まれる。分散性を向上するペプチド賦形剤には、上記のような一種類以上の疎水性アミノ酸成分を含む二量体、三量体、四量体及び五量体が含まれる。
【0043】
本発明において使用するのに好適な炭水化物賦形剤には、単糖類、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、Dマンノース、ソルボース等;二糖類、例えば、乳糖、スクロース、トレハロース、セロビオース等;多糖類、例えば、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、スターチ等;及びアルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール等が含まれる。
【0044】
該薬剤調合物はまた、緩衝剤又はpH調節剤、典型的には、有機酸、又は塩基から調製される塩を含み得る。代表的な緩衝剤には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸若しくはフタル酸の有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝液が含まれる。
【0045】
該薬剤調合物はまた、ポリマー賦形剤/添加剤、例えば、ポリビニルピロリドン、誘導セルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、フィコール(Ficoll)(ポリマー糖)、ヒドロキシエチルスターチ、デキストレート(dextrate)(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びスルフォブチルエーテル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール並びにペクチンを含み得る。
【0046】
該薬剤調合物は、香料添加剤、味覚マスキング剤、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗微生物剤(例えば、ベンザルコニウムクロリド)、甘味剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」等のポリソルベート)、ソルビタンエステル、脂質(例えば、レシチン及び他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質)、脂肪酸及び脂肪酸エステル、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA、亜鉛及び他の好適なカチオン)を含み得る。本発明に従う組成物中で用いるのに好適な他の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、「レミントン:製薬学の科学とその実際」第19版、ウィリアムス・アンド・ウィリアムス(1995)(“Remington: The Science & Practice of Pharmacy”,19th ed.,Williams & Williams,(1995))、及び「医師用卓上便覧」、第52版、メディカル・エコノミクス(1998)、ニュージャージー、モントベール(“Physician’s Desk Reference”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ (1998))に列挙されている(両者ともに全体を参照し、本明細書中に組み入れる)。
【0047】
MDI用途に関し、該薬剤調合物をまた、安定性が高くなるように処理してもよい。HFA噴射剤中の表面活性化剤の溶解性を高めることにより、懸濁液安定性を高める試みもされている。この目的で、米国特許第5,118,494号明細書、国際公開第91/11173号パンフレット、及び国際公開第92/00107号パンフレットは、懸濁液の安定性を向上させるために、HFA可溶性フッ素化界面活性剤を利用することを開示している。その他のペルフルオロ化共溶剤とHFA噴射剤の混合物が、国際公開第91/04011号パンフレットに開示されている。他の安定性向上の試みには、非フッ素化界面活性剤が含まれる。この点では、米国特許第5,492,688号には、いくつかの親水性界面活性剤(親水/親油性のバランスが9.6以上)が、HFA中で薬物懸濁液を安定させるのに十分な溶解性を有することが開示されている。従来型の非フッ素化MDI界面活性剤(オレイン酸、レシチン等)の溶解性の増大は、米国特許第5,683,677号明細書及び米国特許第5,605,674号明細書、並びに国際公開第95/17195号パンフレットに記載されるような、アルコール等の共溶剤を用いて実現できることが報告されている。残念ながら、これまでに開示された従来型の共溶剤と同様に、粒子同士の反発を端に増大することが、MDI調製物等の非水性分散液における非常に効果的な安定化機構となることは証明されていない。上記文献の全体を参照し、本明細書中に組み入れる。
【0048】
「質量中央径(mass median diameter)」又は「MMD」は、平均粒子サイズの測定値である。なぜなら、本発明の粉末は、多分散系(すなわち、一定の範囲の粒子サイズから成る)が一般的だからである。本明細書中で報告されるようなMMD値は、遠心沈降で測定されるが、複数の一般技法が、平均粒子サイズを測定するために用いられうる。「空気力学系質量中央径(mass median aerodynamic diameter)」又は「MMAD」は、分散粒子の空気力学系サイズの測定値である。この空気力学系直径は、沈降挙動に関して、エアロゾル化粉末を表現すべく用いられ、そして粒子として、一般的にエア中で同一の沈降速度を有する単位密度球体(unit density sphere)の直径である。該空気力学系直径は、粒子形状、粒子密度及び粒子の物理的サイズを包含する。本明細書中で用いられるように、MMADは、カスケード衝撃により決定されるエアロゾル化粉末の空気力学系粒子サイズ分布の中点もしくは中央値を指している。
【0049】
バージョンの一つでは、本発明で用いられる粉末又は液体調合物には、肺の肺胞内への侵入を許容すべく選択される粒子又は液滴サイズ、すなわち、好ましくは、10μmの質量中央径(MMD)、好ましくは、7.5μm未満、そして最も好適には5μm未満、そして通常は、0.1μm〜5μmの直径を有するエアロゾルが含まれる。乾燥粉末の形態の際、該薬剤調合物は、約10質量%未満、通常は、約5質量%未満、そして好ましくは、約3質量%未満の含水率を有する。上記粉末は、国際公開第95/24183号パンフレット、国際公開第96/32149号パンフレット、国際公開第99/16419号パンフレット及び国際公開第99/16422号パンフレットに記載される(上記文献全体を参照し、本明細書に組み入れる)。
【0050】
本発明は、その一定の好ましいバージョンに対して相当詳細に記載されたが、他のバージョンも可能であり、そして本明細書の理解及び図面の考察により、当業者にとって、示されたバージョンの改変、置換及び均等範囲は明らかであろう。例えば、各構成要素の相対位置を変えることができ、そして軟質部品を、より硬質部品(軟質部品の動きをまねるため、ヒンジで動く硬質部品か、あるいは他の可動の硬質部品)で置き換えることができる。さらに、流経路は、図面に示されるように、必ずしも実質的に直線でなければならないわけではなく、例えば、曲線的にし、角度をつけることもできる。また、本明細書中の各バージョンの種々の特徴は、種々の手法で組み合わされ、本発明のさらなるバージョンを提供し得る。さらに、一定の用語は、説明の明瞭化を目的として用いられており、本発明を制限するものではない。従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書中に含まれる好ましいバージョンの記載に制限されるものではなく、そして本発明の真の精神及び範囲内に入るような改変、置換及び均等化の全てを包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明のこれらの特徴、態様、及び優位性は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び発明の特徴を例示的に説明する添付の図面に関して、より良く理解されるであろう。しかし、各特徴は、単に特定の図面との関係でのみでなく、本発明で一般的に用いることができるものであり、本発明はこれらの特徴の任意の組み合わせをも含むことが理解されるべきである。
【0052】
【図1】図1は、本発明従うエアロゾル化薬剤調合物送達システムの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明に従うエアロゾル導入器のバージョンの一つの概略断面側面図である。
【図2B】図2Bは、本発明に従うエアロゾル導入器のバージョンの一つの概略断面側面図である。
【図3A】図3Aは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図3B】図3Bは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図3C】図3Cは、エアロゾル導入器のバージョンの概略断面側面図である。
【図4A】図4Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4B】図4Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4C】図4Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図4D】図4Dは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【0053】
【図5A】図5Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図5B】図5Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図5C】図5Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6A】図6Aは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6B】図6Bは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図6C】図6Cは、エアロゾル導入器の他のバージョンの概略断面側面図である。
【図7】図7は、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図である。
【図8A】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Aは透視図を示している。
【図8B】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Bは分解図を示している。
【図8C】図8A〜図8Cは、エアロゾル導入器の別のバージョンの概略断面側面図であり、図8Cは軟質部分を有するバージョンを示している。
【図9】図9は、ネブライザのマウスピースとして用いられているエアロゾル導入器の概略断面側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器循環路内に導入するためのエアロゾル導入器であって、
該人工呼吸器循環路は、気管内チューブと、該人工呼吸器から延びる吸気ラインと、該人工呼吸器から延びる呼気ラインとを含み;
該エアロゾル導入器は、
該吸気ライン及び該呼気ラインに接続可能な第一端;
該気管内チューブに接続可能な第二端;
該第一端から該第二端へ延びる第一の流路;
該第一端から該第二端へ延びる第二の流路;
エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適している、該第一の流路内のインレット;及び
該呼気ラインへのエアロゾル化薬剤調合物の損失を減らす一つ又は二つ以上のバルブを含むバルブ機構:
を含んで成る。
【請求項2】
該バルブ機構が、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項3】
該バルブ機構が、該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項4】
該バルブ機構が、該第一の流路内に配置される逆止弁と、該第二の流路内に配置される逆止弁とを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項5】
該インレットがネブライザに接続される、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項6】
該ネブライザがジェットネブライザである、請求項5に記載のエアロゾル導入器。
【請求項7】
該ネブライザが振動するメッシュを含む、請求項5に記載のエアロゾル導入器。
【請求項8】
該第一端が、該吸気ラインと該呼気ラインとに取付けられているY字形ピースに接続可能である、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項9】
該第一端が、該吸気ラインへの接続用の第一のコネクタと、該呼気ラインへの接続用の第二のコネクタとを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項10】
該第二端が軟質チューブを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項11】
エアロゾル化薬剤調合物を患者に送達させるためのエアロゾル導入器であって;
第一端;
ユーザの口又は鼻にエアロゾルを送達させる開口部を含む第二端;
該第一端から該第二端へ延びる第一の流路;
該第一端から該第二端へ延びる第二の流路;
エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適している、該第一の流路内のインレット;及び
該第一又は第二の流路内のバルブ:
を含むエアロゾル導入器。
【請求項12】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項13】
該バルブが、該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項14】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含み、そして該第二の流路内に配置される逆止弁をさらに含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項15】
該インレットがネブライザに接続される、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項16】
該ネブライザがジェットネブライザである、請求項15に記載のエアロゾル導入器。
【請求項17】
該ネブライザが振動するメッシュを含む、請求項15に記載のエアロゾル導入器。
【請求項18】
エアロゾル化薬剤調合物の人工呼吸器循環路内への導入方法であって、
第一端、第二端、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路、該第一の流路内のインレット、並びに該第一及び/又は第二の流路内のバルブを含むエアロゾル導入器を準備する段階;
該第一端を人工呼吸器から延びる吸気ライン及び呼気ラインに接続する段階;
該第二端を気管内チューブに接続する段階;そして
該インレットを介して、該第一の流路内にエアロゾル化該薬剤調合物を受け入れる段階:
を含む導入方法。
【請求項19】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該バルブが、は該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁であり、そして該第二の流路内に配置される逆止弁をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
該エアロゾル化薬剤調合物をネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
該エアロゾル化薬剤調合物をジェットネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
該エアロゾル化薬剤調合物をメッシュ振動式ネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
該エアロゾル化薬剤調合物が抗生物質を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
該エアロゾル化薬剤調合物がバンコマイシンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
該エアロゾル化薬剤調合物がゲンタマイシンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
エアロゾル化薬剤調合物を、人工呼吸器循環路内に導入するためのエアロゾル導入器であって、
該人工呼吸器循環路は、気管内チューブと、該人工呼吸器から延びる吸気ラインと、該人工呼吸器から延びる呼気ラインとを含み;
該エアロゾル導入器は、
該吸気ライン及び該呼気ラインに接続可能な第一端;
該気管内チューブに接続可能な第二端;
該第一端から該第二端へ延びる第一の流路;
該第一端から該第二端へ延びる第二の流路;
エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適している、該第一の流路内のインレット;及び
該呼気ラインへのエアロゾル化薬剤調合物の損失を減らす一つ又は二つ以上のバルブを含むバルブ機構:
を含んで成る。
【請求項2】
該バルブ機構が、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項3】
該バルブ機構が、該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項4】
該バルブ機構が、該第一の流路内に配置される逆止弁と、該第二の流路内に配置される逆止弁とを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項5】
該インレットがネブライザに接続される、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項6】
該ネブライザがジェットネブライザである、請求項5に記載のエアロゾル導入器。
【請求項7】
該ネブライザが振動するメッシュを含む、請求項5に記載のエアロゾル導入器。
【請求項8】
該第一端が、該吸気ラインと該呼気ラインとに取付けられているY字形ピースに接続可能である、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項9】
該第一端が、該吸気ラインへの接続用の第一のコネクタと、該呼気ラインへの接続用の第二のコネクタとを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項10】
該第二端が軟質チューブを含む、請求項1に記載のエアロゾル導入器。
【請求項11】
エアロゾル化薬剤調合物を患者に送達させるためのエアロゾル導入器であって;
第一端;
ユーザの口又は鼻にエアロゾルを送達させる開口部を含む第二端;
該第一端から該第二端へ延びる第一の流路;
該第一端から該第二端へ延びる第二の流路;
エアロゾル化薬剤調合物を受け入れるのに適している、該第一の流路内のインレット;及び
該第一又は第二の流路内のバルブ:
を含むエアロゾル導入器。
【請求項12】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項13】
該バルブが、該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項14】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含み、そして該第二の流路内に配置される逆止弁をさらに含む、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項15】
該インレットがネブライザに接続される、請求項11に記載のエアロゾル導入器。
【請求項16】
該ネブライザがジェットネブライザである、請求項15に記載のエアロゾル導入器。
【請求項17】
該ネブライザが振動するメッシュを含む、請求項15に記載のエアロゾル導入器。
【請求項18】
エアロゾル化薬剤調合物の人工呼吸器循環路内への導入方法であって、
第一端、第二端、該第一端から該第二端へ延びる第一の流路、該第一端から該第二端へ延びる第二の流路、該第一の流路内のインレット、並びに該第一及び/又は第二の流路内のバルブを含むエアロゾル導入器を準備する段階;
該第一端を人工呼吸器から延びる吸気ライン及び呼気ラインに接続する段階;
該第二端を気管内チューブに接続する段階;そして
該インレットを介して、該第一の流路内にエアロゾル化該薬剤調合物を受け入れる段階:
を含む導入方法。
【請求項19】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該バルブが、は該第二の流路内に配置される逆止弁を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
該バルブが、該第一の流路内に配置される逆止弁であり、そして該第二の流路内に配置される逆止弁をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
該エアロゾル化薬剤調合物をネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
該エアロゾル化薬剤調合物をジェットネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
該エアロゾル化薬剤調合物をメッシュ振動式ネブライザから受け入れる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
該エアロゾル化薬剤調合物が抗生物質を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
該エアロゾル化薬剤調合物がバンコマイシンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
該エアロゾル化薬剤調合物がゲンタマイシンを含む、請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【公表番号】特表2007−511297(P2007−511297A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540021(P2006−540021)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038503
【国際公開番号】WO2005/048982
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(597148884)ネクター セラピューティクス (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038503
【国際公開番号】WO2005/048982
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(597148884)ネクター セラピューティクス (30)
【Fターム(参考)】
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