説明

人工椎間板置換法

本発明は、脊椎の2個の椎骨の間に位置する損傷した椎間板の置換術を行うための後方用人工椎間板の全般に関する。本発明は、人工椎間板を後方または後方側面からインプラントする方法にも関する。人工椎間板を植え込むその他の外科的手法も使用することができる。本発明は脊椎および神経細根への接触を回避または最低限に抑えるか、植え込み中の再設置時間を低減させながら、人工椎間板を植え込む方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、脊椎の2個の椎骨の間に位置する損傷した椎間板を一部または全部置換するための人工椎間板に関する。また本発明は、人工椎間板を後部または後側部からインプラントする方法にも関するが、それに限るものではない。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
脊椎とは、身体のほとんどの部分の体重を支持する骨格の軸である。正常な人の場合、脊椎は7個の頚椎、12個の胸椎および5個の腰椎から構成されている。腰椎は、仙骨の上に位置し続いて骨盤へつながり、仙骨および脚の骨格によって支持されている。関節のような働きをし、公知の程度の屈曲、伸展、横曲げおよび軸回転を可能にする椎間円板によって、脊椎の骨の構造は隔てられている。
【0003】
一般に、脊椎は椎体とよばれる厚い前面部と後面から隆起する椎骨中間部の神経(椎)弓を含む。隣接する椎体は、椎間円板によって支持されている。神経弓は、椎体の後面と係合し、椎孔を含む。隣接する椎体の椎孔は、一列に並び脊椎孔を形成し、脊柱管、脊椎、脊髄神経および神経細根経路を含む。神経弓の一部は、後方へ伸び椎弓板とよばれる脊髄の後ろ側を保護している。神経弓の後部から突き出している部分は、棘突起とよばれる。
【0004】
椎間板は、機械的な緩衝剤のような役目を果たし、脊椎の部分の間の動きのコントロールを可能としている。通常の椎間板は、3つの組織部分から構成され、独特で複雑な構造をしている。髄核(核部)、線維輪(輪部)および2枚の終板から構成されている。この2枚の終板は、薄く硬い皮質骨上の薄い軟骨から成り、脊椎の海綿状で血管に富む海綿状骨へ結合している。末端の脊椎板は、このように隣接する椎体および椎間板へ結合している。つまり、骨状の椎体と伸展性の椎間板の間の遷移部分が終板によって作成されている。
【0005】
椎間板は丈夫な外側の線維状の輪部から構成され、共に隣接する椎体へ結合している。繊維状の部分は、タイヤの外側の層に類似し、高さ約10〜15mm、厚さ約15〜20mmである。輪部の線維は、15〜20層の重なり合う複数の層からなり、上部および下部の椎体へ約40度の角度で両方向へ進入している。この配置によって特にねじれに強く、椎体が互いの方向に対し1つの方向へ回転すると、角度を有する線維の約50%が締まる構造になっている。層構造は、お互いがやや緩やかに結合している。
【0006】
この輪部の内側にあるのが髄核である。健康な人の髄核は、大部分が水分を多く含むジェル状で、線維輪部を柔軟かつ硬く維持するタイヤの中の空気のような役割をしている。髄核のジェルは、身体を曲げたり、持ち上げたりなどの運動中に隣接する椎体へ力が加わると、線維輪部内を僅かに移動する。
【0007】
椎間板は、外相、疾病、変異性の疾患または磨耗や加齢が原因となりずれたり損傷することがある。線維輪内の繊維が弱まったり、裂けたりすると、髄核内部の組織が正常に線維輪の内部へ収まる位置から恒久的に隆起、膨張または突出し、椎間板ヘルニアが起こる。このようにヘルニア部または髄核から突出した組織が、脊髄神経を圧迫し、脚の痛み、筋肉のコントロールの消失または麻痺などが起こる。また、円板部の劣化に伴い、髄核の水分を取り込む能力が低下し、ちょうどタイヤから空気が抜けるように髄核が萎むこともある。続いて、髄核の高さが低下し線維輪の層状の組織が結合が緩んだ場所で隆起するようになる。このように重なり合った層状組織が、隆起し分離し始めると、円状または放射状に破断が起こり、恒久的または障害の原因となる背部痛が起こることがある。隣接する付随の脊椎窩の関節も押された位置となりさらに背部痛が悪化するおそれがある。
【0008】
髄核組織がヘルニア化したり手術などによって除去されると、常に椎間板の空間は狭くなりさらに正常な安定性を失うおそれがある。多くの場合、劣化またはヘルニア化した椎間板が原因となる背部痛を緩和するためには、手術によって髄核を除去し、2個の隣接する椎骨を融合させる。この治療は、背部痛を緩和させることが可能であるが、融合部における椎間板の動きは全て消失してしまう。その結果として、この治療では、失われた動きを補おうとする融合させた部位に隣接する椎間板へ重いストレスがかかり、その椎間板の寿命は短縮されるようになる。
【0009】
椎骨融合治療の別の治療方法として、さまざまな人工椎間板が開発されてきた。初期の人工椎間板は、ボールベアリング、ばね、金属スパイクなどさまざまな考え得るアイデアに基づくものであった。これらの人工椎間板は、椎間板の空間を全て置換し、寸法が大きく硬い製品である。これらの装置の適応に対する疑問は、これらの装置は置換術が必然的に困難であることである。この大きく硬い装置をインプラントするためには、後方または後側方からの手術では、椎弓板やさらに重要な脊髄や神経細根が手術の妨げとなり、手術が困難となるため、前面からのインプラント術を実施する必要性がある。
【0010】
しかし、前方からのインプラント術では、術中に多くのリスクが伴う。患者の前面から損傷した椎間板へアクセスを試みるためには、さまざまな臓器という身体上の障害物が存在する。腹部へ切開を入れた後、妨害となる臓器を注意深く取り除きながら椎骨へアクセスしなければならない。前面からの手術の患者への大きなリスクは、取り除いた臓器が術中に不慮な損傷を受けることである。
【0011】
反対に、後方からの椎間板の手術では身体の臓器が損傷するリスクは回避することができる。このメリットに関わらず、後方からの手術にも選択を躊躇するような他のリスクが伴う。例えば、後方からの手術では脊髄への損傷のリスクが起こりうる。さらに、椎骨の幾何学的な構造から椎間板へのアクセスは限定的である。このように、後方または後側方からのインプラント手術を成功させるためには、椎骨の形状によって限定される狭い場所からのインプラントを実施しながら、脊髄への接触を回避することである。前方からの手術では、後方からの手術を限定するようなスペースの問題は無いが、現在の人工椎間板の設計では、装置は大きすぎて前面からの手術を安全に実施することが不可能である。従って、脊髄への接触を最低限度に抑えながら人工椎間板を元の椎間板の空間へインプラントする手術方法を選択する必要性がある。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
一般に、本発明の目的は人工椎間板の設計の改良である。本発明の1つの態様は、2個の椎骨の間の損傷した椎間板を置換するための人工椎間板である。人工椎間板には、硬質部材からなる向かい合う終板が含まれる。硬質な終板の1個は、椎体の終板と係合できる表面を含む。硬質の終板は、輪郭を有し、部分的に係合表面が球体でも良い。第2の椎体の終板と係合する硬質な表面は、輪郭を有し、部分的に円筒型の係合表面を有する。中核の構成物は、第1および第2の硬質板の間に少なくとも部分的に位置する。さらに、中核の構成物は、第1および第2の硬質の終板が係合する表面の形状に対応し、十分に適合する輪郭を有する表面で良い。
【0013】
1つの態様では、硬質の終板の1個または両方は、自家の椎体終板の自然な形状に対応する設計を有する。しかし、もう1つの態様では、硬質の終板の1個または両方は、あらかじめ切断された形状または輪郭に対応する設計である。このように、硬質な板へ接触する椎体表面は、人工椎間板を受けるため予め成形または調整されても良い。
【0014】
1つの実施例では、椎体と接触する1個または両方の終板は十分な平面である。もう1つの態様では、人工椎間板は複数の部品から形成されている。第1の組み立て品は、硬質な第1の終板、第2の終板および中核の構成物を含む。第2の組み立て品は、第1の椎体の第1の終板へ係合し配置される第3の硬質の終板を含み、部材は、第1の硬質の終板の係合表面の曲率と同じ半径を有する部分的に球状の係合表面を有する。第2の組み立て品は、第2の椎体の第2の終板へ係合し配置される第3の硬質の終板を含み、部材は、第2の硬質の終板の係合表面の曲率と同じ半径を有する部分的に円柱状の係合表面を有する。同様に、第2の組み立て品は少なくとも第3および第4の硬質の終板の間に一部が位置する第2の中核構成物を含み、第2の中核構成物は第3および第4の硬質な係合表面の曲率に十分対応する輪郭を有する表面を含む。
【0015】
もう1つの態様では、終板の1つの係合表面は、十分に矢状平面内の第2の硬質な板に対して中核部分の回転が可能である。もう1つの態様では、第2の硬質の終板は縦方向の軸を有し、中核部の回転軸は20〜70度の角度を形成する。さらにもう1つの態様では、第2の硬質の終板は縦方向の軸を有し、中核構成物の回転軸は十分に縦軸に対して垂直である。さらにもう1つの態様では、中核構成物の回転軸は第2の硬質の終板の縦軸に対して十分に平行である。
【0016】
硬質な1つまたは複数の終板の縦軸および中核構成物の回転軸は同じ方向でなくても良い。例えば、1つの態様では第2の硬質の終板の縦軸と中核構成物の回転軸は、第2の終板の係合表面を隔てて約30から60度の角度の位置にある。
【0017】
本発明の複数の態様は、可動瞬間回転軸(IAR)を提供することのできる人工椎間板である。1つの態様では、達成される可動IARは十分に矢状面内に位置している。
【0018】
多くの態様では、第1の硬質の終板の係合表面と第1の中核構成物の第1の輪郭を有する表面は、エリア上へ伸展している。同様に、第2の硬質の終板の係合表面および第1の中核構成物の第2の輪郭を有する表面もエリア上へ伸展しても良い。第1および第2の係合表面は共にエリア上で中核構成物と接触するのが好ましいが、1つまたは両方の表面が線または点に沿って中核構成物と接触する設計でも良い。例えば、1つの態様では、第2の硬質の終板係合表面および第1の中核構成物の第2の輪郭を有する表面は、接触部で線を形成している。
【0019】
態様によっては、係合表面の方向または相対的な位置が特定されても良い。例えば、1つの態様では、第1の硬質の終板は、第1の中核構成物上へ配置され、第2の硬質の終板は第1の中核構成物の下へ位置している。
【0020】
もう1つの態様では、1個または両方の硬質の終板には、接触する椎体の終板へ少なくとも一部が伸展する材質のキールまたは隆起端が含まれて良い。さまざまな材質を使用して本発明の部品を成形して良い。例えば、1つの態様では、第1の中核構成物は少なくとも一部が高分子弾性体から構成されている。
【0021】
人工椎間板は、椎間板の動きを制限する機械的なストッパーも有して良い。例えば、10度以上の側面方向への曲げを制限するために各々の方向へストッパーを配置しても良い。 さらに、機械的なストッパーは、5〜10度以上の全軸方向の回転を停止または抑制しても良い。
【0022】
係合表面の曲率は、凸状または凹状のいずれでも良い。1つの態様では、第2の硬質の終板の係合表面の形状は凸状である。もう1つの態様では、第2の硬質の終板の係合表面の形状は凹状である。各部品の寸法もさまざまで良い。例えば、1つの態様では、第1の硬質の終板の長さは約18〜35mm、また別の態様では、第1の硬質の終板の長さは約22〜26mmである。さらにまた別の態様では、第1の硬質の終板の幅は約9〜18mm、また別の態様では、第1の硬質の終板の幅は約7〜15mmである。さらにまた別の態様では第1の硬質の終板の幅は約8〜12mm、また別の態様では、第1の硬質の終板の幅は約12〜36mmである。さらに、また別の態様では、第1の硬質の終板の幅は約16〜28mm、また別の態様では、第1の硬質の終板の長さは約12〜14mmである。
【0023】
ある1つの態様では、中核構成物および第1の硬質の終板は十分に類似する材質から構成されるが、また別の態様では中核構成物は第1の硬質の終板とは全く異なる材質から構成されている。1つの態様では、中核構成物は高分子化合物からなり、さらに詳しくは高分子ポリエチレンからなる。さらに、中核物質は、ポリエーテルケトン(PEEK)またはその他の放射線透過物質で良い。放射線透過物質を使用する態様では、中核物質はその方向を表示できるように放射線マーカーを有して良い。例えば、放射線マーカーは、中核物質の方向を識別できるような方向を有する2個以上の金属ピンであって良い。
【0024】
本発明には、2個の椎骨間の損傷した椎間板を置換する方法も含まれる。1つの態様には、2個の椎骨の間に位置する損傷した椎間板を除去する手順および第1の人工椎間板を埋植および位置させる手順が含まれる。場合によっては、人工椎間板を受け入れるように椎体の1個または2個の終板を調整しても良い。また、人工椎間板は1個以上の椎間板部品からなっても良い。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、脊椎の2個の椎骨の間に位置する損傷した椎間板の置換術を行うための後方用人工椎間板の全般に関する。本発明は、人工椎間板を後方または後方側面からインプラントする方法にも関する。特に、本発明は、脊髄への接触を最低限に押さえながら人工椎間板をインプラントする手術方法を含む。
【0026】
以下に詳細を示すように、人工椎間板は、関節構造または非関節構造であって良い。さらに、本発明の人工椎間板は1個以上の部品から構成されていて良い。例えば、2個の部品をスペースで仕切られる場所の内側側面方向へ配置しても良く、各部品の上部および下部の部分に前後の方向へ弓を形成する接合表面を有しても良い。
【0027】
複数の部品を使用する場合には、互いにスペースで仕切ったり、患者へインプラントする前に組み立てたりまたは患者の身体内で組み立てても良い。部品を接続する能力によって、人工椎間板を脊髄、神経細根、椎弓板などを損傷するリスクがより低い後方からの手術方法でインプラントすることも可能である。さらに、複数の部品を使用することによって、各部品を多様な設計や配置のものと交換し、手術を行う医師が脊髄の治療部位の異なる身体の状況へ対応し、人工椎間板の可動範囲を選択することも可能である。
【0028】
本発明の複数の態様では、関節構造の人工椎間板の接合表面の形成方法の異なる実施例を示している。例えば、ボールおよび関節など(例、図21を参照されたい)1つの接合面に関節構造を形成しても、また上部および下部接合表面の中間に位置する中核構造など2個以上の接合表面を形成してもよい(例、図1Aを参照されたい)。表面接触部の配置は、人工椎間板の種類や治療部位の可動範囲の許容および制限に従って異なって良い。このように、接触表面部の形態は、面(ボールおよびソケット付の配置など)、線(ローラーまたはスリーブベアリング付など)または点(ボールベアリング付など)であって良い。
【0029】
本発明で異なる態様に使用する材質は、使用する接触表面の種類およびその結果起こる磨耗の範囲にある程度依存する。使用可能な材質の例には、金属上のポリエチレン(または他の高分子弾性物質)、金属上の金属またはセラミック上のセラミックなどがある。
【0030】
本発明は、1個の椎体を他の椎体に対して参照し、瞬間回転軸(IAR)および/または回転中心(COR)のカスタマイズも可能である。健康な人の椎体の他に対するIARおよびCORは、靭帯、輪、筋肉、椎間関節などによる押す、引くおよび結合するなどのさまざまな動きを通じて平面上で常に変動している。置換術用の人工椎間板の設計は、この可変IARおよびCORへの模倣にしばしば失敗している。例えば、固定ボールおよびソケット式の設計では、IARおよびCORは固定されている。制約的なインプラントである人工椎間板を使用することが原因となって起こる有害な結果の1つは、固定軸の回転のため解剖学的に装置を妨げる椎間関節へ損傷を与えることである。しかし、一般の制約的なIAR装置は、過去の可動性IARの設計のものよりも安定化が得られた。固定IARを有する人工椎間板の1例は、米国特許第5,314,477号に記載されている。
【0031】
反対に、可動式IARの設計である過去の装置は、伝達能力のせん断によって健康な人の自然なIARの動きを少なくとも一部は模倣することができる。しかし、過去の例ではこの長所を達成するために、装置の安定化の損失という短所が伴った。可動式IARの人工椎間板の設計の複数の例は、米国特許第4,759766、5,401,269および6,414,551号に記載されている。
【0032】
対照的に、本発明では変動するIARおよびCORを医師の決定に基づいて模倣または一部模倣しながら装置の安定化を達成するインプラントの設計が可能になる。例えば、本発明の1つの態様は、側面の曲げのIARの動きを制限しながら、矢状面上の可動IARを提供し、患者はより簡単に背骨の曲げ伸ばしが可能となるものである。現在の技術では、装置の安全性を最大限に確保するため側面への曲げを制限しながら、患者の日常生活での一般的で自然な動きを提供する可動IARに基づく本発明の設計が両者の観点から最良であると信じられている。本発明の複数の態様によって1個の椎体の他への動きの伝達が可能となる。1個の椎体の横断面への伝達を可能にすることで、IARおよびCORの横断面への伝達も可能となる。以下に詳細を示すとおり、三次元空間でさまざまなIARおよびCORを達成するもう1つの方法は互いに対向する2個の角度を有する表面を組み合わせることである。
【0033】
本発明の態様の角度付および角度なしの連結する表面によってさまざまな範囲の回転および直線の動きの伝達も可能となり、さらに本発明の複数の態様では同じ範囲の回転および直線の伝達が可能となっている。回転の動きの伝達は、屈曲、伸展および側面への曲げなどの動きの結果の椎体間の部品の動きである。伝達には2つの構成要素がある:1つは頭蓋骨/尾骨への方向であり、もう1つは横断面の方向である。線形の伝達は、椎間板の部品へせん断力が加わった結果の、横断面での伝達である。椎体の部品に対し1つの方向へ固定されたボールおよびソケット設計では、回転の伝達のみが可能となり線形の伝達は達成されないであろう。以下に示す多くの態様のように、ボールおよびソケットが横断面に沿って動くことができれば線形の伝達は達成可能である。
【0034】
終板は、人工椎間板を椎間板へ隣接する椎体と関連づける目的で使用される。終板は、終板/椎骨間のインターフェースとして好ましい形状を提供するよう複数の方法で設計して良い。例えば、終板は椎体の骨部へ伸展する1つ以上のキールから構成されて良い。時間が経つにつれて、骨が内部へ成長し終板を被覆し、さらに終板が椎骨に対して安定化するのを促進する。
【0035】
キールに加えて、終板が安定して定位置へ収まるように、終板はその他または追加の形状を有しても良い。例えば、終板は骨に対しより安定化させるため1個以上の歯、レイル、リブ、フランジまたはその他の形状を表面上に有しても良い。短期に終板を椎体へ堅持させるための固定を促すその他の方法には、ねじや他の固定装置による手段も含まれる。ある態様では、より長期的なインターフェースが達成された場合、その他の固定器具がしっかりと定位置に納まった場合、人工椎間板の調整や交換を実施するまでの必要がある場合などには、これらの固定器具を取り外すことが可能である。
【0036】
長期にわたりインターフェースの表面を安定させ堅持するために骨の内部への成長を促進する終板の形状および設計を提供するのに加えて、終板の設計はそれを短期的に椎体へ固定させる短期的なものでも良い。例えば、キールには終板に近い最初の末端の幅が遠位の末端へ比べて狭いくさび型のものでも良い。一度設置すれば、このキールの反転したくさび型の形状は、少なくともしっかりと終板を定位置へ安定化する骨の内部への成長が起こるまで、終板の椎体からの分離を防ぐのに有用である。
【0037】
椎体および終板間のインターフェースでの骨の内部成長をさらに促進し早めるため、終板に骨伝導性物質を塗装したり、多孔性またはマクロ組成の表面を有しても良い。例えば、終板へ骨の成長を促進する物質で塗装処理をしても良い。塗装の形態の態様には、ヒドロキシルアパタイト塗装、チタニウムプラズマスプレー、焼結ビードまたはチタニウム多孔塗装などがあるがこれに限るものではない。
【0038】
図1Aは、頸椎、胸椎および腰椎など1列に並ぶ椎体2および3の後方用人工椎間板1の側面図である。後方用人工椎間板1は、置換した椎間板と寸法も形状も一致するものであり、高さおよび自然の形状も修復している。後方用人工椎間板1は、2個の対向する終板5および7から構成され、(中度または重度の負荷の加わっていない)安静時には平行で水平な連続する平面上に位置している。
【0039】
終板5および7の外側の面は、椎体2および3へ直接接触し、特定の形状を有したり、椎体2および3へしっかりと結合し安定化させるために複数の歯を有しても良い。終板5および7の外側の表面は、骨の内部への成長を促進し、後部人工椎間板1がしっかりと椎体2および3へ固定されるように多孔性またはマクロ構造の表面を有しても良い。終板5および7の内側表面へ接続するのは係合部9および11であり、中核13は係合部9および11の中間にしっかりと設置されている。ストッパー部品15は、中核13の円周上に形成され、患者へリスクがあると判断されあらかじめ設定した限度まで椎体2および3の動きを制限する機能を有している。
【0040】
図1Aに示すように、ストッパー部は中核13上の同じ素材の隆起物であっても良い。背骨の動きに応じて中核に対し終板が動く時に、特定の方向へのさらなる動きを制限するため、ストッパー部は終板の1つまたは両方へ近接または結合しても良い。ストッパー部は、一度終板に対して結合後、追加の動きが十分に制限できるよう比較的硬質の物質から形成されても良い。または、ストッパー部の材質は、ある程度の緩衝または可動範囲が完全に制限される前に、ストッパー部の材質が変形し屈曲性を提供できるよう、柔軟性を有するものから構成されても良い。
【0041】
図1Aではストッパー部は中核13上に位置するが、1つまたは両方の終板上に位置しても良い。例えば、終板は、特定の方向への過度の動きを制限するため、隆起部を有したり、中核または対向する終板と係合する周囲へ隆起を有する設計でも良い。上述のように、終板上のストッパー部は、1つの方向に対しある方向へ大きな動きが制限する設計でも良い。このように、ストッパー部は、特定の面上の動きを選択し、可変的な範囲の動きを提供できるようなさまざまな形状および厚さを有して良い。例えば、ストッパー部は、前後方向への動きを可能にしながら、背骨の側面への動きをより制限的な範囲を提供できるるように中核側の厚さが増加するような設計でも良い。
【0042】
可動部分は、後方用人工椎間板1、隣接する上部および下部の椎体2および3から構成される。中核部13の正確な輪郭、係合部9および11およびストッパー部15は、屈曲および伸展、側面への曲げ、せん断および回転において可動範囲を決定する。
【0043】
図1Bは、後方用人工椎間板1の平面図であり、上部終板5および上部係合部9を示している。背骨への接触を避けながら後方からの挿入を可能にするため、終板はさまざまな形状を有して良い。図1Bに示すように、終板5および7は十分に不規則な楕円形または腎臓の形状に類似する屈曲した凸面でも良い。図2Aは、連続する椎骨の間へ挿入した人工椎間板1の正面図である。後部人工椎間板1は、第1のインプラントホルダー17で後方の角度付の到達方法によって背骨19への接触を確実に避けながら定位置へガイドする。後方用人工椎間板1は、一般に第1のインプラントホルダー17の縦軸と同じ方向である。後方用人工椎間板1が安全に操作されて背骨19を通過し、椎体21上の定位置に到達すると、インプラントは60度から120度の方向へ傾斜または回転しても良く、図2Bに示すように第1のインプラントホルダー17に対して約90度の方向を向いている。さまざまな方法でインプラントの方向を変えることも可能である。例えば、図2Bは第2のインプラントホルダー23を脊髄の反対側面上へ接続し、インプラントを最終の位置から再設置しそらしている。後方用人工椎間板1を定位置へインプラントすると、第1のインプラントホルダー17および第2のインプラントホルダー23は、後方用人工椎間板1より離脱する。
【0044】
後方用人工椎間板1は、置換する椎間板の機械的な機能およびさまざまな物理的な属性を密接に模倣するのが好ましい。しかし場合によっては、人工椎間板はさらに脊髄が損傷を受けるのを避けるために1つ以上の方向へ可動の範囲を限定しても良い。一般に人工椎間板は、適切な椎骨間の空間を維持するのを助け、適切な範囲の動きと著しい安定性も提供する。また、生理学的なストレスをより正確に伝達することができる。
【0045】
終板5および7、係合部9および11、中核部13およびストッパー15は、金属、セラミックおよびポリマーを含むさまざまな生物学的適合性の物質から構成されて良い。そのような物質には、アルミニウム、合金およびポリエチレンも含まれるがそれに限るものではない。終板5および7の外側表面も複数の骨伝導性物質、抗生物質または他の薬品で塗装された複数の歯を含んでよく、骨の内部新生を促進し、終板が椎体へしっかりと係合するのを助けるため多孔性またはマクロ構造の表面を有しても良い。その材質および機能は本明細書に記載する後方用人工椎間板のいずれでも適用して良い。
【0046】
図3は、はさみによって開放可能な後方用人工椎間板30の展開図であり、上部の終板32および下部の終板34は軸点36の周りを回転することができ、上部終板32および下部終板34の縦軸は、十分に垂直となる。人工椎間板30の表面部は、脊椎部をより安定して支持するように適宜増加することができる。後方用人工椎間板30の展開した形態は十分に小さく、脊椎への接触を避けながら後方からの挿入を簡単に実施することができる。
【0047】
図4A〜Bは、2個の終板への部品を有する後方用人工椎間板の例を示す。部品は、椎骨間へ別々に挿入することも、組み立てまたは統合して挿入することが可能である。第1の部品40を脊髄19への接触を避けながら椎骨間へ挿入する。続いて第2の部品42を、脊髄19への接触を避けながら椎骨間へ挿入し、第1の部品40と組み立てまたは統合し、より広い表面積を有する終板を形成させる。第1および第2の部品は適切な方法で組み立てて終板を形成して良い。1つの態様では、第1の部品は第2の部品の溝、切込み、歯へ噛み合う1個以上の突起または隆起を有している。第1の部品の突起部を第2の部品の溝へ組み込むと2個の部品をしっかりと組み立てることができる。同じ手順を繰り返して第2の終板を組み立てる。組み立てた終板の寸法は大きすぎて、脊髄19への接触を避けながら椎骨間へ挿入するのが不可能な場合もある。
【0048】
図5Aは、展開可能な後方用人工椎間板50で、展開可能な終板52および54を含み、開放または展開し、終板の隣接する椎体との境界線または接触面積を増加することができる。分解された状態では、展開可能な終板52は十分に小さく、脊髄への接触を避けながら椎体間へ挿入可能である。展開された状態では、展開可能な後方用人工椎間板50は、上部および下部表面52および54上でより広い表面積を有し、展開可能な後方用人工椎間板50および椎骨間の接触面積の増加によって少なくとも椎体への負荷を広い表面積へ分散させることができる。
【0049】
展開可能な終板は、2個以上の部品からなり、分解された状態で後方からの挿入を促進するために抵抗の少ない形状を有している。一度椎体上へ設置すれば、展開し終板の表面積を増加させることが可能である。表面積を増加させることによって、終板のより大きな安定性を提供可能である。終板の展開は、複数の方法で実施して良い。図5Aに示すように1つの態様では、第1の部品および第2の部品は選択的に展開または十分に線形の末端または表面に沿って滑り込ませることが可能である。このように、終板を完全に伸展させた場合第1および第2の終板端で定義される十分に線形のスロットとなるであろう。
【0050】
また、図5Bに示すように、第1および第2の部品の末端部は、曲線または球形で良い。本態様では、第1および第2の部品は、中核の末端または側面に沿ってより安定した係合を提供可能である。例えば、第1および第2の部品の曲線または球状の形態によって、縁66を形成し、線形のスロットからではなく片側で中核を広く支持することが可能になろう。この設計によって、中核のスロットまたは開口部上での第1および第2の部品端をわたす片持ち梁構造の負荷を避けることが可能である。言い換えれば、縁66は、終板68の係合部品70への支持の力を分散し、係合部を安定化するのに役立つ。
【0051】
展開式後方用人工椎間板の追加の縁構造は、他の形状でも良く、片持ち梁構造への負荷を低減または最小限度にする設計が好ましい。例えば、図5Cに示すように、展開式の後部用人工椎間板72は、横軸に沿って展開可能な展開式の終板74および76を含み、終板74および/または終板76上へ長方形の形状を有する追加の縁78を含む。また別の実施例では、図5Dに示すように、展開式の後部人工椎間板80は、横軸に沿って展開可能な展開式の終板82および84を含み、終板82および/または終板84上へ三角形の形状を有する追加の縁86を含む。さらに、展開式の後部人工椎間板は、横軸に沿って展開可能な展開式の終板および凸状の追加の縁を含む。図5Cおよび図5Dに共に示すように、追加の縁78および86は、片持ち梁構造による負荷を低減するため係合部品79および88と各々が十分に重なり合う。
【0052】
図6A〜Bは、一端で結合しC型の形状を有する上部終板92および下部終板94を含む後方用人工椎間板90の例を示す上部終板92および下部終板94が結合または重なる部分の一端へばね96が位置し、脊椎の柔軟な動きを可能にしている。好ましいさまざまな可動範囲に応じてばねの張力を変更することができる。上部の終板92および下部の終板94を接合する部品も、ばね96に対応しそれ自体が柔軟でも良く、終板92および94の動きを円滑にする。図6Bは、2個の独立する非関節型の後部用人工椎間板90を示し、部品を共に同じ隣接する2個の椎骨の間から挿入することができる。非関節型の後方用人工椎間板90の形態は小さく、脊椎への接触を避けながら後方からの挿入を可能にし、非関節型の後方用人工椎間板90は各々が独立して機能するために広い可動範囲の自由度を提供することができる。一般に、非関節型の後方用人工椎間板は、C型の形状を有し、開口部、スロットまたはばねによって素材へ柔軟性を提供し可動性が提供される。
【0053】
図7Aは、凸面に屈曲する曲線の終板102および104、柔軟な部分106およびストッパー108を有するC型人工椎間板100の例を示す。終板102および104の外側表面は、骨伝導性物質、抗生物質または他の薬品で塗装された複数の歯を含んでよく、C型の人工椎間板が椎体へ堅固に係合し、骨の内部新生を促進するために多孔性またはマクロ構造の表面を有しても良い。柔軟な部分106は、先細りの形状になり、先細りの程度はC型の人工椎間板を管理できる。例えば、先細りの程度を増加させるとC型の人工椎間板の柔軟性が増加する。柔軟な部分106に位置するスロット109によって柔軟性をさらに管理することが可能である。このスロットは、あらゆる形状に切断し、柔軟な部分の内部にどのような方向で設置されても良い。スロットの寸法は、柔軟性の微細調整に応じて異なっても良い。例えば、大きいスロット寸法はC型椎間板の柔軟性を提供する。また別の態様では、柔軟性を増加させるため1個以上のスロットを提供している。ストッパー108は、柔軟な部分106の末端に位置し、C型の人工椎間板100を制限している。ストッパー108のサイズおよび終板102および104の曲率の程度は、ストッパー108が接触するまで終板の可動範囲を管理するため異なって良い。中程度の負荷でストッパー108が接触すると、曲線の終板102および104は、大きな負荷で別の可動範囲を提供し、終板102および104は平坦化し曲率は減少する。
【0054】
図7Bは、側面への柔軟性を提供するため凸面に屈曲しストッパー108を有するC型人工椎間板110の例を示す。中程度の負荷でストッパー110が接触すると、曲線の表面によってストッパー110が回転し側面への動きを円滑にする。ストッパーの曲率は側面への大小の柔軟性を提供するためさまざまであって良い。1つの態様では、両方のストッパー110が曲線である。また別の態様では、1個のストッパーは曲線でもう1個のストッパーは平面、凸面または異なる曲率を有している。ストッパーは、側面への柔軟性を可能にするため、角度付の末端など他の表面の形状を有しても良い。さらに、側面の終板102および104の動きを円滑にするため、柔軟な部分の側面へスロットを形成しても良い。ストッパーは、側面への1つの方向への動きを他の方向へ大して増加させるため、曲線または形状を有して良い。
【0055】
図8Aは、終板121および122、ストッパー124および開口部126および128を有する柔軟な部分を有するC型人工椎間板120の例を示す。ストッパー124は、柔軟な部分の末端に位置し、C型の人工椎間板120の動きを制限している。ストッパー124の寸法および終板121および122の曲率の度合いは、ストッパー124が接触するまで終板の可動範囲を管理するためさまざまで良い。中程度の負荷でストッパー124が接触すると、曲線の終板121および122は、大きな負荷で別の可動範囲を提供し、終板121および122は平坦化し曲率は減少する。柔軟な部分には、側面軸を通過するスロット128が含まれ、スロットはいずれの形状でも良い。柔軟な部分は、縦軸に沿って広がる開口部126を含み柔軟性を提供している。スロットの数、スロットのサイズおよび形状、開口部のサイズおよび形状によって柔軟性の微調整が可能となり、例えば、スロットの数や大きさを増加させれば、より柔軟性が得られる。1つの態様では、柔軟な部分は人工椎間板の中央の近くへ位置して、図8Bに示すように歪んだH型の板となっている。H型の人工椎間板は、前方および後方の方向へより高度な柔軟性を提供する。終板121および122の外側表面は、C型の人工椎間板が椎体へ堅固に係合するため、複数の歯を含む、骨の内部新生を促進するために骨伝導性物質で塗装する、多孔性またはマクロ構造を表面に有して良い。
【0056】
図9は、終板131および132を含み、終板131および132を縦軸の末端で係合する2個の柔軟な部分を含む一般に楕円形またはO型の、人工椎間板を示す図である。各々の柔軟な部分には、側面軸を通過するスロット136が含まれ、スロットはいずれの形状でも良い。各々の柔軟な部分は、縦軸に沿って広がる開口部134を含み柔軟性を提供している。スロットの数、スロットのサイズおよび形状、開口部のサイズおよび形状によって柔軟性の微調整が可能となり、例えば、スロットの数や大きさを増加させれば、より大きな柔軟性が得られる。各々の柔軟な部分は、数、寸法、位置が同じまたは異なるスロットの形状および開口部の寸法と形状を有して良い。柔軟な部分は、人工椎間板の中心線の近隣に位置しても良い。さらに、終板の形状は大きな負荷では凸型であってよく、O型の椎間板は平坦化し終板131および132の曲率が減少する。曲率はさまざまな柔軟性を提供するためさまざまであって良い。終板131および132の外側表面は、C型の人工椎間板が椎体へ堅固に係合するため、複数の歯を含む、骨の内部新生を促進するために骨伝導性物質で塗装する、多孔性またはマクロ構造を表面に有して良い。
【0057】
図10は、椎間板の中間部へ追加のカラムと側面カラムにスロットを有する比較的平坦な二重の楕円形またはO型の人工椎間板を示す図である。椎間板は、終板141および142を、カラム144は柔軟性を低給するためスロット146を有している。椎間板の中央の追加のカラムがあると、終板141および142の屈曲性は図9が示すO型のものより低くなる。より堅固な椎間板を必要とする用途にこの設計は望ましい。スロット146はいずれの形状、寸法または位置でよく、図ではスロット146は各々の切り込みの内側の末端へ円柱状の孔を有する長方形の切り込みである。終板141および142の外側表面は、C型の人工椎間板が椎体へ堅固に係合するため、複数の歯を含む、骨の内部新生を促進するために骨伝導性物質で塗装する、多孔性またはマクロ構造を表面に有して良い。
【0058】
図10で示すように、中央のカラムは段または開口部を有してよく、この例では下のカラムの部分は上部のカラムの末端の下で終了している。1つの態様では、この段は約0.5mmから約5mmであり、上部カラムおよび下部カラムと接触しさらなる圧縮をさけるまで、終板141および142へ最初ある程度の屈曲能力を提供する。1つの態様では、1つ以上のカラムが高度に柔軟性を有する物質から成り、人工椎間板への負荷への耐性を増加しさらに分散するため緩衝作用の後にある程度の動きを制限することができる。
【0059】
図11は、本発明のもう1つの態様を示し、2個の終板151および152を含むC型の人工椎間板で、椎間板の後部端は柔軟な部分へ結合し、柔軟な部分は、椎間板の縦軸に添って形成されるコイルスロット156および開口部154を含む。コイルスロット156および開口部154は、柔軟性を提供し、コイルスロットのサイズ、コイルの巻き数および開口部154の寸法および形状を変化させることによって管理可能である。終板151および152の外側表面は、C型の人工椎間板が椎体へ堅固に係合するため、複数の歯、骨の内部新生を促進するために骨伝導性物質による塗装、多孔性またはマクロ構造を表面に有して良い。このように、終板および柔軟な部分は1つの材質から一体化させて形成しても良い。
【0060】
図12〜14に示す本発明のもう1つの態様では、牽引および圧縮性の構成物を組み合わせて使用し上部および下部終板の間へ配置している。牽引および圧縮性の構成物は、図13へ示すようにばねであってよく、伸張または圧縮時に適切な柔軟性を提供できるように柔軟性を有する物質から構成されても良い。圧縮性の構成物は、相対的な位置が自然の椎間板へ支持される健康な椎体の位置へ近似するように治療する椎体へ沿った縦軸への負荷の支持を促進する。さらに、少なくとも1個の牽引性の構成物は、相互の椎体間の曲げまたは可動性を管理する役割を提供する。
【0061】
牽引または圧縮性の構成要素も同様に、図12に示すように圧縮および伝達が可能になるような設計および配置で良い。ストッパー13および14を参照し、圧縮構成物は軸によって上部および下部終板へ連結されて良く、これによって圧縮構成物が軸で回転することによって終板の伝達は少なくとも1方向へ限定される。図14は、軸の接続を圧縮構成要素が、1個以上の終板へ接続するロッドまたはバーに沿ってスライドする設計にし、第2の方向へも提供される追加の伝達の例を示す。図13に示すように、第1および第2の伝達方向は一般に互いに直交する。この方法によって、伝達の制限は第2の方向への伝達の可動範囲に影響されず、いずれの方向へも達成できる。
【0062】
図15〜20は、互いに補完し、弓状または内側側面方向および前後方向へ曲面を形成する2個以上のインプラントを含む本発明のもう1つの態様を示す。図15は、内側側面方向へ形成された形状を、図16は前後方向へ形成された形状を示す。図17および図18に示すように、上部および下部のインプラントの互いに補完する曲面によって、自然の椎体間の距離を近似する距離を維持しながら上部椎体が下部の椎体に対し可動する。1つの態様では、好ましくは、ボールとソケットに類似して共同し機能できるようにインプラント部品の形状は球状である。
【0063】
椎体の大きさ、インプラントへの負荷の程度および望む可動範囲などの要素に従ってインプラントを近くまたは遠くに設置しても良い。インプラントは近くまたは遠くに設置できるが、スライド面の曲率を変えても良い。例えば、図18に示す態様では、インプラントの側面への方向の上部および下部の曲率は、半径R1またはR2に基づいている。離れて設置されているインプラントでは、半径R2はインプラント間の空間の増加に供なって大きくなる。インプラント間の空間に応じて半径Rを変更すると、インプラント全長にわたり比較的均一な曲率の半径を維持するのに役立つ。
【0064】
図19および20を参照すると、図15および16と同等の方向の、インプラントの上部および下部には1つの方向に対しある方向への動きを制限するのに役立つストッパーを有しても良い。例えば19図に示すように、インプラントの上部または下部の1つ以上の側へストッパーを設置すると内側側面方向への動きをコントロールまたは制限できる。ストッパーが対向する表面へ係合すると、その方向への追加の動きは制限される。また、ストッパー間および対向する表面へ、緩衝性と累進的に増加する追加の可動へ耐性を提供するため柔軟性を有する物質を配置しても良い。図20は、ストッパーを同等に前後方向への可動性の範囲を制限するため1個以上の側へ使用している例を示す。図19および20では、ストッパーは上下の方向へ突出しているが、動きを停止または制限するためのその他の設計も可能である。例えば、インプラントのスライド表面の一部は、単純に反対側の終板へ接触することによって、追加の動きが制御される。
【0065】
図21〜26は、本発明で、異なる動きの種類に応じた人工椎間板の異なる表面の1つの態様を示す。例えば、図22のように、上部Bは、接合表面が側面への曲げのみを許容するようにし、下部Aは軸方向の回転を伝達できるようにボールまたは半径を有するレイルである接合表面を有してよい。
【0066】
通常、側面への屈曲中は隣接する椎体の片側の空間が広がり、反対側の空間は小さくなる。本発明の1つの態様では、楕円形の挿入物で隔てた上部および下部を有する複数のインプラントを使用し、この側面への屈曲の特性を近似するのに役に立つ。
【0067】
図28に示すように、長楕円形の挿入物はインプラントの上部および下部の間へ屈曲中に1個の挿入物が回転し片側を持ち上げ、他の挿入物は同じ方向へ回転し反対側の側面を下げる角度で配置されている。側面への屈曲中へ椎体の反対側を上げ下げする組み合わせを達成するためには、長楕円形の挿入物を上部端が下部端よりもさらに遠方へ位置させる。
【0068】
好ましくは、長楕円形の挿入物は、側面への屈曲が存在しないなど脊椎が静的な状態にある時、垂直軸から5度から20度の角度を有するように位置させる。さらに好ましくは、脊椎が静的な状態にある時、長楕円形の挿入物を上部端から下部端への軸が約70度から130度垂直軸から離れるように位置させる。図27に示すように、椎体の反対側の挿入物は、ほぼ同じ角度で位置させるが、第1の挿入物と鏡像をなすようにする。この方法に従って、側面への屈曲時に片側が低くなり、反対側は高くなる。
【0069】
側面への屈曲中の挿入物の回転による高さの増減の程度は一部上部端から下部端への挿入物の長さによってコントロールすることが可能である。このように、長い挿入物は短いものよりも上下動の幅がより大きくなる。1つの態様では、挿入物の長さは約3mmから約15mmである。もう1つの態様では、挿入物の長さは約5mmから約10mmである。
【0070】
さらに、脊椎が静的な状態にある時、挿入物を最初に位置させる角度は側面への屈曲中の挿入物の回転による高さの上下の程度へも影響する。例えば、垂直の軸から僅かに離れる挿入物は側面の高さを僅かに上下させ、垂直軸からの最初の角度を大きく設置すると高さへより顕著な差が起こる。このように、少なくとも側面への屈曲中に挿入物の長さおよび位置の角度を変更すれば、高さの増減をコントロールすることが可能である。例えば、図29の配置に示すように、脊椎が静的な状態にある時、挿入物は垂直軸から約100度離れて位置させても良い。また別の態様では、角度は約3度から約150度である。
【0071】
上述のように、挿入物の上部および下部表面への接触は、さまざまな程度の内側側面方向または前後への動きを可能にするため、曲線の面を有するように設計しても良い。さらに動きをコントロールまたは制限するためにストッパーを使用しても良い。この機能に加えて、硬直の機能も可動性に対する大きな抵抗を提供するために利用することができる。例えば図30は、挿入物の上部および下部を示す。上部および下部の挿入物の表面が接する空間へ高分子弾力体のリングを配置している。圧縮すると、高分子弾力体のリングは非線形の耐性を補完する。
【0072】
高分子弾性体を使用すると、リングに加えてさまざまな配置を利用することによって圧縮に対する非線形の耐性が得られる。例えば、図31では複数の高分子弾性体の突起または節158が追加の硬直性または非線形の耐性を提供する。他の材質や構造が圧縮への耐性を増加させるのに利用可能なことは当業者には容易に理解できるであろう。例えば、1個以上の高分子弾力体の突起または節31をばねと置換しても良い。図32に示す別の態様では、ばねおよび/または高分子弾力体160を上部および下部の間の挿入物のさまざまな場所へ牽引物として設置することもできる。
【0073】
さらに別の態様では、1個以上の柔軟な片持ち梁構造を利用し、圧縮時の硬直性または耐性を増加させている。図33を参照し、1個以上のロッド162を挿入物の上部および下部などの一部から挿入物の反対側の表面へ向けるなど伸展させても良い。もう1つの態様では、各々のロッドの一端を挿入物の一部へ固定させながら挿入物の他方へは固定させていない。
【0074】
このように、負荷に対応して挿入物の一部へ一端を固定させ、別の端を固定させずに負荷に応じて可動させたり屈曲させても良い。自由な末端は挿入物反対側の一部の表面と接触させたり、または挿入物の反対側の一部表面に対して圧迫させて負荷を加えても良い。もう1つの態様では、あらかじめ設定した一部の他に対する相対的な動きの量へ到達するまで、自由な末端は挿入物反対側の一部の表面と接触しない。
【0075】
一度自由な末端は挿入物反対側の一部の表面と接触すると、ロッドまたはバーが追加の動きに対して屈曲し始める。バーが屈曲すると、屈曲する力は追加の可動や圧縮へ対向し、特定の方向への動きが増加すると、耐性も増加する。
【0076】
図33へ示すように、自由な端は反対側の部分の表面の磨耗を抑制または最低限にするため曲線、屈曲またはその他の形状で良い。各々の片持ち梁構造の柔軟性は、他方向よりも1方向への動きに対して迅速に耐性を有するように変更または調節して良い。例えば、側面への屈曲へ耐性のある片持ち梁構造のロッドはより柔軟性があり、前後方向への屈曲に対して耐性のある片持ち梁構造よりも動きに対して耐性が低い可能性がある。
【0077】
片持ち梁構造は、椎体の回転の動きに対し制御された耐性を提供するのに使用する。図34は、本発明の態様を有する挿入物の正面図である。機械的なストッパーを片持ち梁構造のロッドの自由な末端の近隣へ配置し回転が特定の点を超えた場合には、自由な末端はストッパーの片端と係合し片持ち梁構造のバーは追加の回転可動性に対し屈曲または抵抗する設計となっている。ストッパーから生成するねじれ抵抗は回転の継続に伴って増加する。
【0078】
本発明の別の態様では、挿入物の中心の近隣に柔軟なロッドまたは形状記憶金属ロッドを使用し、屈曲、伸展、側面への屈曲または回転に対しストッパー機能または累進的な抵抗を提供している。本態様の1例を図35へ示し、挿入物の下部へ接続し挿入物の上部の窪みへ伸展するロッドを示している。本明細書へ記述する態様のように挿入物の上部および下部はボールおよびソケットの設計でも良く、受け口へつながる簡単な半径を有する突起部で、内側側面、前後および回転の動きを可能にしても良い。
【0079】
挿入物の上部164は下部166に対し可動性を有するので、窪みの壁は結果的にロッドの自由な末端へ接触する。ロッドが非常に堅固な場合には、窪みの壁へ接触すると追加の動きを停止させる。反対に、ロッドが柔軟な場合には、窪みの壁への接触に対応して曲がる可能性があり、その方向の追加の動きに対して累進的な抵抗性を提供する。
【0080】
本明細書が示す片持ち梁構造ロッドの断面図は、いずれの形状でもよく円形の断面に限らない。例えば図37A〜Cへ示すように、片持ち梁構造のバーは、通常長方形の断面図を有し、1つの方向よりも他の方向に対して屈曲の負荷に対してより耐性を有する。
【0081】
本態様では図35へ示すように、回転の動きに対し耐性を提供するために、異なる断面図の形状も可能である。例えば、図37A〜Cに示すように片持ち梁構造のロッドは長方形の断面図を有し、円形ではない窪みに伸展する場合には、回転の動きは片持ち梁構造の自由な末端が窪みの壁へ接触する原因となる可能性がある。ここでも、片持ち梁構造の硬直性は特定の点を超えた場合に追加の回転へ抵抗するように変化させることができる(例、片持ち梁構造は、追加の回転に対して完全なストッパーとして機能する)または片持ち梁構造は追加の回転可動性に対し屈曲またはねじれる設計でも良い。
【0082】
もう1つの態様では、(図36A-Bに示すとおり)2個以上のロッドを中心部へ間隔をあけて配置し、回転によって複数のロッドが屈曲し、追加の回転運動に対しねじれ抵抗を分散させている。図38は、ソケット/ボール圧力機能を使用した本発明のもう1つの態様である。Aへ蝶番を配置し、ソケット/ボールが「浮遊」する設計である。脊椎への軸方向への圧縮負荷がかかると、ねじれバー168が緩衝作用を提供し屈曲または曲がることができる。
【0083】
図39〜41は、本発明の技術に基づく非関節型の挿入物であり、2個の終板が好ましくは最低2個以上の独立するばねに接続している。ばねは可動性(伝達)、圧縮およびその両方(屈曲/伸展および側面への屈曲)を提供する。図42A(脊椎の軸を示す)へ示すように、後方または後方側面からのインプラントの実施に1個の挿入物を使用しても良い。さらに、共同または独立した2個以上の挿入物を使用しても良い。例えば、図42B〜Cに示すように2個の挿入物を前後または内側側面方向へ設置しても良く、図42Dに示すように3個の挿入物を使用しても良い。複数の挿入物を、植え込み手術後に1個ずつ接合することも可能である。
【0084】
図43〜45は、軸170を図39〜41図の非関節型挿入物へ追加した態様を示す。軸によって可動性が得られ、ばねは衝撃吸収剤のような役割を果たしインプラントを静的な位置へ回復する。終板は、インプラントが椎体へしっかりと固定されるように歯、形状を有する表面、化学処理および他の手段を設置してよい。
【0085】
中空の編み上げ構造172も本発明の挿入物へ適用することが可能である。図46〜47は、強度および固定性を補強するために金属の支柱を配した編み上げ構造の態様である。さらに、挿入物は、バルーンまたはジェル、高分子弾力体、気体などの物質を含む空気袋で充填された中空のポケット174を有してよい。バルーンは空気または液体を充填しても良く、円柱、楕円、球状などさまざまな形状を有しても良い。
【0086】
以下に上述の複数の機能を人工椎間板に実際に実施する方法についての3つの実施例を示す。
【0087】
図48〜59および図50A〜Bに示す第1の実施例は、1箇所へ十分に固定または軸平面状を可動するIARを有する設計の人工椎間板を示している。図49に示すように、複数の上部および下部構造を離れた位置へ設置することも可能である。好ましくは、1個の上部および1個の下部構造が同時に挿入可能な組み立て品を形成する。2個の部品から組み立てる場合、図に示すように、1個の部品を脊椎の両側から挿入できるため、人工椎間板を挿入するのに必要とされるスペースを大きく削減させることが可能である。このように、後方からの人工椎間板の植え込み術に関連する多くのリスクを回避可能となる。
【0088】
以下に詳細を示すように、上部および下部の構成物には、上部および下部の接触面を最終的な位置に修正するため、患者の身体内へ設置してから再設置する部品を含んで良い。
【0089】
例えば、上部および/または下部の部品は、部品を一度患者の体内に挿入してから、接触する表面を再設置できるような可動部分を含む設計であってよい。この方法で、組み立て品の寸法を身体内へ埋め込む時により小型化し、同時に人工椎間板の接触面の最適な位置を達成するために身体内で再設置することが可能である。図50Aに示すように最初に抵抗の少ない形状で体内へ挿入した後に、部品を再設置した2個の部品の最終的な位置を図49へ示し、さらに図50Bに示すように治療部位で第2の位置へ再設置している。最初の位置は部品を小さく挿入した結果であり、第2の再設置によって人工椎間板は意図する機能を実行できる。図48に示すように、部品を再設置する方法を可能にするのは、部品がスライドできる道筋を提供することである。
【0090】
最初に個別に部品を身体内へ挿入した後に、図49へ示したように、部品を対応する第2の部品と内部でロックさせる。または、再設置の後でも、対応する部品と接触させずに再設置することも可能である。この発明の全ての態様では、部品を所定の位置へ埋め込んだ後に部品が意図せずに移動するのを防ぐため、部品の固定にロック機能を使用することが可能である。ロック機能の1つの実施例では、突起物またはツメを利用している。
【0091】
挿入時のスペースを最低限に抑えるため、1個の部品の高さを組み立て品が最終の位置にある時よりも挿入時に低くなるように設計することができる。図50A〜Bは本発明の機能を示している。特に、組み立て品の上部に連結する部品を下部の連結する部品の接触面に沿ってスライドさせることができる。上部の部品へ、対応する数の突起物、キールを上部の部品上でガイドする1個以上の溝、道筋を設置することができる。このように、下部の部品の表面で上部の部品が回転およびスライドして下降させて、挿入時に部品の高さが低くなるようにすることができる。一度身体に設置されても、部品は最終的な位置へスライドさせることができる。この手順によって、組み立て品の総合的な高さが増加する。もう1つの態様での、組み立て品の総合的な高さの増加は、約0.1mmから約3mmで、また別の態様では、部品の再設置による差の範囲は、約0.5mmから約1.5mmである。
【0092】
本発明の第2の実施例では、図51〜54へ示すように、2個の部品からなり固定IARを有する設計を示している。上部および下部の部品には、形状が十分に球形状であり、スライド表面の総合的な設計が線または点ではなく広く接触面を提供できるよう、十分に同等の曲率の半径を有しても良い。本実施例では、上記の実施例で示すように、上部および下部の部品はスライド可能な部品からは構成されていない。本実施例のスライド表面は、形状が十分に球形状であるので、線や点の場合とは異なり表面に渡って最適な接触面を得るためには、各部品を適切に配列することが重要である。
【0093】
図55〜61は、本発明の第3の実施例を示す。本実施例は、3個の組み立て部品へ2個の関節型の表面を使用し、前後方向のみの可動性IARを提供している。上記の実施例で示すように、挿入時のスペースを最低限に抑えるため、2個の部品を使用してもよい。各部品は3個の部品から構成されている。上部の部品176、下部の部品178および上部および下部部品の各々の表面へ対応する上部および下部表面を有する中央の部品180から構成されている。以下に示す表面の方向は、上部および下部の部品へ設置しても良く、本発明では以下に示す方向に限るものではない。上記の実施例2に示すものと同等の方法で1個の接触表面を設計している。つまり、曲率が十分に球形状で、接触面は線または点ではなく広い範囲にわたっている。図58A〜Cは、上部の部品および中央の部品の間に球形の接触面184を配置した例を示している。
【0094】
第2の接触面は、2個の円柱状の表面182から構成され、回転によるスライドが1つの方向へ限られる(ほぼ1軸方向)設計になっている。図57A〜Cへ示すように、中央部品の下部表面は、一般に下方へ突出する円柱状182であり、下部の部品には対応する円柱状の溝182が配置され、中央部品の円柱状の突起を受ける設計になっている。好ましくは、両方の円柱状の形状の曲率の半径は接触面が線または点ではなく広い範囲にわたるように、ほぼ同等である。このように、円柱状の表面は、回転を制限しながら側面への曲げを許容するようにできる。このように、両方の接合表面は屈曲や伸展中に動きを許容し、側面への曲げまたは軸方向の回転は、1個の接触面のみが許容するようにする。
【0095】
しかし、もう1つの態様では、第2の円柱状の接触面を球状の表面へ置き換えている。第2の円柱状の接触面は、第1の円柱状の接触面へ互いに直行する位置へ配置しても良い。このように、第1の表面は屈曲および伸展など1方向への動きを許容し、第2の表面は側面への曲げなどの動きを許容する。
【0096】
図59〜61は、通常は球状である第1の接触面と通常は円柱状である第2の接触面を使用した場合の動きの種類を示す。図59は、椎間板の高さHとする静的な状態で配置した人工椎間板を示す。屈曲および伸展中に、椎間板は軸方向および前後方向へ回転の伝達が提供できる。この手順によって、組み立て品の総合的な高さが増加する。さらに、椎間板は椎間板の高さを変えずに直線方向への伝達も可能となっている。図61に示すように、上部および下部の突起は、回転の必要性なしで互いに伝達が可能である。
【0097】
図62A〜Hに示すように、本発明では2個の部品を使用して人工椎間板を生成してもよい。複数の部品を使用する態様の1つの利点は、後方からの手術手法によって治療部位へ装置を設置することが可能であることである。さまざまな高さ、幅、長さ、伝達範囲および回転能力を有する複数の椎間板部品は、最終的で最適な選択を術中に行えるようにキットで医師へ提供することも可能である。例えば、複数の椎間板部品では、高さの範囲約10mmから20mmの範囲の部品を提供することも可能である。1つの態様では、椎間板の高さは約1mmおよび1.5mmごとなど一定の範囲で均一の増分で異なっている。
【0098】
同様に、椎間板部品の長さも各々の解剖学的な特徴へ応じてさまざまに選択することが可能である。例えば椎間板部品は、縦軸の幅は約20〜28mmであってよい。椎間板部品の増分は、2mmごとの長さの増分の部品としてキットで提供することも可能である。もう1つの態様では、約3mm以上異なる最低2種類の長さから構成される複数の部品を提供している。例えば、1個の部品の長さが約22mmともう1個の部品の長さが26mmである複数の椎間板部品を組み合わせても良い。好ましくは、椎間板の長さは、インプラント/終板の接触面積を最大限にするように選択すると良い。
【0099】
さまざまな範囲の軸回転を有する複数の椎間板部品を提供することも可能である。例えば、回転の動きに制限の無い部品、自然な脊椎の動きの範囲を超えた場合にのみ回転を抑制するストッパーや他の装置を有する1個以上の部品を含んでよい。部品の中には軸方向の回転を±15°、±10°、±5°または±2°の範囲で制限するものもある。
【0100】
本発明の他の椎間板部品の態様は、1つの方向へは軸方向の回転を許容し、反対方向へは許容しない設計の部品も含まれる。言い換えれば、態様では人工椎間板の回転が限られ、患者は1方向へは体を回転することが可能であるが、1方向へは回転不可能となる設計である。例えば、人工椎間板は、1つの方向のみ0度から約5度、約8度、約10度、約15度まで回転が可能となる。
【0101】
上述のように、椎間板部品は、球面の部分へ対応する第2の曲面表面の部品に加えて円柱状の表面を有する部品も提供可能である。この表面の組み合わせの1つの特徴は、椎間板が治療部位で隣接する上部椎体および下部椎体の間で伝達が可能となることである。
【0102】
もう1つの態様では、椎間板は前後方向で約3.0mmまで伝達を許容可能で、また別の態様では、5mmまで可能である。椎間板部品の中には、これ以上約7mmまたはさらに約10mmまで伝達が可能なものもある。図62A〜Hおよび上述の詳細のとおり、人工椎間板は、椎間板部品の可動範囲を制限する機械的なストッパー186も有してよい。図62Cは、複数の部品を間隔をあけて配置している態様であり、一般に球面の表面を提供する場合に重要である。例えば椎間板部品は、部品の中央縦軸の間隔を約9〜16mmまたより好ましくは11〜14mm空けたい場合に有効である。
【0103】
椎間板の上部および下部の部品へ隣接する椎体へ係合または接触するようにキール188を配置してもよい。キールを使用する1つの利点は、脊椎の治療部位へ装置部品を挿入する時にガイドとして利用であることである。例えば、図63A〜Bおよび64〜65へ示すように、治療部へ隣接する椎体へ道筋または溝を切削してもよい。次に医師は椎体へ部品を挿入しキールが椎体の道筋や溝をスライドする。キールおよび溝または道筋は、部品が所定の場所へ回転しスライドできるように十分に線形、直線、曲線または弓状であってよい。
【0104】
1個以上のキールを使用すると、骨とインプラント表面の接触面積を増加させることができ、椎間板部品がずれたり移動するリスクを低減することができる。1つの態様では、接触表面の増加は約5%以上で、また別の態様では、この増加は約15%以上である。
【0105】
キールの断面図の形状はさまざまである。片持ち梁構造ロッドの断面図は、くさび型、面取りのくさび型、長方形または正方形でもよい。図63Aへ示すように、道筋または溝は対応するキールの形状へ近似するように直交するように切削してもよい。面取りのくさび型の断面を有するキールの1つの利点は、同様な形状の道筋または溝によってキールが骨上表面へしっかりと係合できることである。この設計は、椎体部品の逸脱に対し抵抗を増加させることができる。
【0106】
時間が経つにつれ、治療部位の人工椎間板の安定性は、椎体部品の外側表面へ骨成長が認められるので、さらに増加すると確認されている。この成長を促進し安定性を増加させるため、骨と接触する椎間板部品の表面は骨の内部新生を促進する物質で処理しても良い。例えば、骨成長構造を提供するため、チタニウムプラズマをキールまたはその他の部品へ処理しても良い。さらに、キールへは長さに沿って切り込み、スロットまたは開口部を配置しても良い。骨がこれらの開口部に向かって成長すると、椎体部品はより安定して所定の場所へ係合するようになる。
【0107】
椎間板部品が最初に治療部位へ挿入された後に再設置、回転または移動させる必要性もあるであろう。例えば、キールが道筋や溝をスライドするために椎間板部品を再設置する必要性もあるであろう。図62Gに示すように、椎間板部品の先端Leは、キールなしで設計しても良い。このように1つの態様では、椎間板部品をキールなしまたは椎体への接触なしで治療部位へ部分的に挿入することが可能である。1つの態様では、先端の長さは約1mmから約10mmであり、もう1つの態様では、この長さは約2mmから約5mmである。また別の態様では、先端の長さは設置する部品の長さの約1%から約20%または約2%から約10%で良い。部品の長さは、部分または先端部を配置する部品の縦中央軸で測定して決定することができる。
【0108】
さらに、図62Gが示すように、キールは傾斜または高さが緩慢に増加する最初の部分を有してよい。傾斜した部分を有すると、キールが椎体へ形成されている道筋や溝をスライドするのを円滑化する。
【0109】
本発明は、後方用人工椎間板を植え込み手術方法も含む。特に、本発明の方法には、従来技術の方法および器具によって損傷のある椎間板を取り除く方法、後方用人工椎間板の挿入を実施するために隣接する椎体を分離または引き離す方法、脊椎への接触を避けながら後方または後側面の方向から後方用人工椎間板を挿入する方法および分離または引き離した隣接する椎体を回復する方法が含まれる。
【0110】
以下に詳細を示すように、本発明には、より自然な動きを回復または維持する必要のある患者へ置換術または人工椎間板を提供するため使用可能な複数の変形がある。1個の椎体部品を使用し人工椎間板を設置することも、場合によっては1個以上の人工椎間板を提供しても良い。例えば、大きな寸法の終板を有する椎体は、2個以上の椎間板部品を有するか、治療部位で人工椎間板を組み立てる小部品からなる。例えば、約9mm幅の人工椎間板部品は、約9mmから約11mmの幅の挿入用の開口部が必要である。1つの態様では、人工椎間板部品を展開するのに必要な開口部は、約7mmから約15mmの幅、より好ましくは約9mmから約12mmの幅である。
【0111】
複数の椎間板部品を使用する場合に複数の利点がある。例えば、複数の部品を使用する1つの結果に、小さな挿入用窓口では、大動脈や大静脈を著しく移動させた退行させたりする必要性が無くなる可能性がある。例えば、本発明の1つの態様では、複数の椎間板部品を挿入するのに、大動脈の移動は、1個の部品からなるフルサイズの人工椎間板を設置するための距離の半分以下で十分である。さらに、複数の部品を使用すると、大動脈、大静脈またはその他の解剖構成物を従来の位置から移動させる時間を短縮することができる。例えば、本発明の1つの態様では、1個以上の複数の椎間板部品を挿入するのに、1個の部品または単位からなる人工椎間板を設置するための時間の半分以下で十分である。さらに、複数の人工椎間板部品を使用した場合の小さな挿入用窓口では、椎間板の空間へアクセスすることが容易となり、到達方法の選択もより多く存在するであろう。
【0112】
さらに、複数の部品を使用すると、部品の挿入および設置の間に必要な退縮の程度と頻度を低減させることが可能である。例えば、後方からの手術で2個の部品を使用する場合には、前後方向の治療部位の中心部には退縮装置を設置するための十分な空間を提供できる。その結果、この設計の他の利点が達成されるであろう。例えば、本発明の多くの態様では、人工椎間板が椎体の中心線に沿って前後の方向へ適切な設置が確認できるので有効である。治療部位の中心へ退縮装置を設置することによって、本発明では、医師が椎間板に対する人工椎間板の中心線を選択し、中心部の退縮装置によって椎間板を退縮させ、放射線またはその他の方法で選択した中心線が適切に椎体の中心線と適合しているかを確認することが可能であり、人工椎間板の部品を挿入する前に退縮位置について希望する適切な調整を行うことができる。1つの態様では、医師が選択した中心線と椎体の中心線からの差は約3mm以下が好ましく、椎体間に位置する退縮器の長さに沿った全ての点で1mm以下がさらに好ましい。人工椎間板の選択した場所の中心線と確認した椎体の中心線との差が、許容範囲から逸脱する場合には、医師は退縮器を再設置し、新しい位置を再確認するか、適切な調整を行ってから椎間板部品の挿入を継続することができる。退縮器が許容可能または適切な位置へ一度設置されたら、続いて椎間板部品を治療部位へ設置することができる。退縮器の設置に、椎体の前後中心線に対する正しい設置を確認するためにその他のツールや装置を組み合わせることも可能である。
【0113】
椎間板部品は、以下の3個の組み立て部品から構成されてよい。上部の硬質な終板、下部の硬質な終板および中央の核または核部品である。中核部品は、一般に上部および下部終板の間の係合表面へ配置される。各々の終板の係合表面は、好ましい可動範囲を得るために形状を有することができる。例えば、1個以上の係合表面には十分な球状の曲率を有してよい。このように、係合表面は、一般にボールまたはソケットの部分に対応する設計でも良い。中央部品は、同様に一般に接触する係合表面と同じ曲率の形状のある表面を有してよい。このように、球状の係合表面は、同じ曲率の半径を有する球状の中央部品の一部を受けるまたは接触することが可能である。従って、2個の表面の接触面はボールおよびソケットの一部へ対応する。
【0114】
球状の表面の設計の態様では、2個の部品は、1個の椎体が他の椎体に対し屈曲および回転が可能となるように接触表面を横断し、回転しスライドすることが可能となる。この2個の接触面が可動性を許容する唯一の構成物であるならば、椎間板のIARは一定となる。第2の接触表面を提供することは、椎間板は変動IARを近似するようになる。例えば、第2の硬質な終板および中央の部品の間の第2の接触表面は、円柱状の形状を有してよく、好ましくは中核部品が前後の方向へ回転できると良い。このように、第2の硬質の終板および中核部品の円柱状の表面は、およそ側面の方向へ伸展する回転軸を有するのが好ましい。
【0115】
1個の終板および中核部品の一部の球状の形状の接触表面と、もう1個の終板と中核部品の別の部分の間の第2の一般に円柱の接触表面の組み合わせによって椎間板は変動性のIARを有することができる。この設計によって、1個の椎体のもう1個の椎体に対する伝達が、椎体の回転および椎体間の距離の増減なしで伝達が可能となる。
【0116】
終板の係合表面の形状は凸状で良く、対応する中核部品の部分の形状は凹状で表面間の接触を提供して良い。同様に、1個以上の形状を有する中核部品の表面は、凹状でよく、それが係合する表面は同様に反対の形状が良い。例えば1つの態様で、中核部品の表面が凹状の場合、一般に半球または球面の表面の一部へ対応し、凸状の場合、一般に半円柱または円柱の一部へ対応する。この設計の1つの利点は、2個の凹状の表面を有する中核部品よりも組み立て品の総合的な高さを低減できることである。
【0117】
上述のように、人工椎間板は1個以上の椎間板部品からなっても良い。例えば、第2の部品は終板と中核部品を有する同様の設計でよい。治療部位へ設置するとき、1個以上の部品をもう1つの組み立て品の対応する部品と接触または相互ロックさせても良い。例えば、2個の部品の底へ配置される終板の係合表面は、治療部位へ独立して挿入し、そこで結合させてもよい。反対に、組み立て品はあらかじめ決定した距離で他から離して配置してよい。例えば、2個以上の部品が大きい曲率の半径の半円形の表面を有する場合には、ボールとソケットの部品のように2個の接触表面が作動するように、部品をあらかじめ決定した距離で離して設置してよい。
【0118】
椎間板の接触表面の配置は、人工椎間板を挿入するための手術方法に応じて異なってよい。例えば、1つの態様では、治療部位へアクセスを提供するため椎間の関節包を椎体の片側から椎間孔経由で除去してよい。治療部位の椎体を切削、または終板を部品を受け入れるよう調整しても良い。好ましくは、椎体の骨上の解剖から関節包を除去した後も椎間孔がこの部位を含む。治療部位の調整が終了したら、部品を挿入することができる。後方または椎骨孔経由の方法に加えて、本発明では後側面、側面または前方など他の方法も利用できるが、これに限るものではない。
【0119】
椎骨孔経由の方法では、部品を挿入する方向または経路は、前後方向へ伸展する軸を有する角度を形成してよい。治療部位への方法は角度を有するので、係合表面は希望する機能を提供する設計である。例えば、上記に記述するように部品は脊椎の側面方向へ伸展する軸を有する円柱状の係合表面を有しても良い。組み立て品の終板は、一般に部品を挿入する経路に対応する縦軸を有しても良く、中核部品の円柱の形状を有する表面の回転軸は、縦軸から20度から70度の角度を有しても良い。さらに好ましくは、終板の縦軸と中核部品の回転軸は、約30から60度の角度を有する。
【0120】
関節包を除去する時、椎体の回転の安定性が妥協する可能性がある。解剖学的に椎体の過剰な回転は抑制されるので、妥協する方向へ向けて機械的なストッパーを提供すると有用である。1つの態様では、ストッパーは1つの方向の10度以下の回転のみを許容し、より好ましくは7度以上の回転を抑制する。もう1つの態様では、ストッパーは1つの方向の1度から7度までまたは1度から5度までの回転のみを許容する。椎体反対側の関節包みが残存していれば、反対方向への回転を抑制する機械的なストッパーを提供する必要が無いだろう。このように、回転ストッパーは解剖学的な機能が失われた場合にのみ提供すると良い。
【0121】
終板の係合表面と形状を有する中核の表面は、線または点よりも面で広がるほうが好ましい。さらに好ましくは、全ての接触面が面で広がると好ましい。しかし、凸面の半球表面が対応する凹面の表面ではなく、曲率の半径の小さな表面と接する場合には、2面の設定は点の接触となる場合もある。同様に、凸面の円柱上の表面が対応する凹面よりも小さな円柱状の表面へ接する場合には、接触し形成される表面は線に対応する。
【0122】
終板も、接触する椎体とより安定して係合するように設計することができる。例えば、1個以上の隆起端またはキールは椎体の終板へ少なくとも部分的に伸展して良い。同様に椎体は、キールを受ける同様の数の溝または道筋を切削し調整しても良い。溝または道筋は部品を治療部位の正しい位置へ挿入する時にガイドとして役に立つ。この機能は、椎体に対する椎間板に特定の方向をつけたい場合に特に有用である。
【0123】
キールおよび溝または道筋および対応する道筋や溝も人工椎間板を望む経路で挿入するため直線または曲線であってよい。1つの態様では、隆起またはキールの断面図は三角形または面取りのくさび型の形状である。上述のように、1個以上の部品を使用する場合には、部品をあらかじめ決定した距離で離して設置するとよい。椎体へ形成した溝または道筋は、部品の正しい方向と距離を達成する時にガイドとして役に立つ。
【0124】
現在までに、複数の部品からなる人工椎間板を正しく挿入するこの機能を有する装置や器具は未だ開発されていない。図63A〜Bおよび図64〜65に示すように、正確に道筋または溝をあらかじめ決定した距離で切削する場合に、トライアル190を使用することが可能である。図64へ戻り、トライアル190を使用して終板へ向かい合う2個の椎体の上部および下部の面へ道筋を切削することができる。さらに、トライアルは部品が移動または最終的に配置する終板の表面部分を滑らかにすることができる。部品を挿入するのに使用する経路へ対応する方向でトライアルを挿入してもよい。上述のように、部品の挿入経路は常に椎体の前後方向の軸へ対応するわけではない。例えば、部品を挿入物する方向および前後方向の軸は、約20度から70度または30度から60度の角度を形成してよい。経路も、終板の隆起端またはキールの曲率に対応する半径を有する円形の弓を形成してよい。このように、道筋や溝に沿って移動しながら最終的な位置へ、部品は回転させたり移動させても良い。
【0125】
一度最初の道筋および溝または複数の道筋および溝が形成されると、ガイド192を使用して第2の道筋および溝を切削する場所を決定することができる。一般に、ガイド192は第1のトライアル190と連携し、そこから伸展している。図63Bおよび図64〜65に示すように、ガイド192はトライアル190の中心部内へ配置することができる。トライアルが正しい位置へ設置されたら、ガイドをあらかじめ決定した距離で展開することが可能である。図65で示すように、ガイドの自由端の一部は第2の切削器194を受けるように設計しても良い。つぎに、第2の切削器194を使用して第2の複数の道筋や溝を作成し、第2の部品を受ける治療部位の第2の場所を調整することができる。ガイド192およびトライアル190を除去し、治療部位へ部品を配置することができる。
【0126】
治療部位の上部または下部椎体の終板と接触する板は、終板の損傷を防ぎ、椎体への負荷を面全体へ分散できるように十分な寸法を有する。このように1個以上の硬質の板は長さ約25〜32mm、より好ましくは約28〜30mmである。同様に、1個以上の硬質の板の幅は約10〜18mm、より好ましくは約12〜14mmである。
【0127】
図66〜67へ示すもう1つの態様では、トライアルは脱着可能なグリップを有するハンドルへ接続できる。1つの態様では、トライアルはチゼルガイド196および鍵穴のくぼみ198を有している。この器具などは、1個以上の部品を後方からの方法で以下に示すように挿入を促進するのに使用する。
【0128】
図68に示すように、医師は最初に治療部位を切開する。1つの態様では、切開術は輪部の周囲を切除しないで実施する。例えば、切開術後に椎体の後方の周辺にそった場所は1mmから7mmおよび好ましくは3mmから5mmの幅で残存させる。
【0129】
後方から観察すると、脊椎は椎体の中心部の眺めを阻害する可能性があるため、人工椎間板を挿入するために、2個の椎体の後ろ側を残存させる。好ましい場合には、トライアルを片側へ挿入したままで退縮器を反対側側面へ使用する。後方からの手術を行う場合には、好ましくは、2個の人工椎間板部品を使用して、1個を治療部へ脊椎の片側から設置し、もう1個を反対側から挿入する。
【0130】
もう1つの態様では、トライアル自身を使用して椎体を退縮させるのに使用しても良い。医師は治療部位を評価して最適な椎間板や適切な椎間板部品をキットから選択することも可能である。椎間板を選択する要素には、椎間板部品の形状、前弯、部品の高さおよび寸法がある。
【0131】
図62Cに示すように、本態様のスライド表面は、形状が十分に球形状であるので、共同するスライド表面を形成する2個の椎間板部品の一部が適切に並ぶように各部品を適切にあらかじめ決めた間隔をあけて設置することが重要である。キールを各々の椎間板へ配置すると、各部品を互いに、および可能ならば治療部位に対しても適切に間隔を置き、並べるのに役立つ。例えば2個の椎間板部品は、1個の部品上のキールの中央から約13mmの間隔を空けて2個目の部品を配置する場合に有効である。キール間の距離はスライド表面の曲率の半径、各々の椎間板部品上のキールの位置、治療部位の解剖学的所見などに応じてさまざまでよい。
【0132】
キール間の正確な距離は指定する必要は無いが、医師は椎間板部品の並べ方と位置決めに付いて理解する必要がある。例えば、正しく整列するキール間の距離は、約5〜20mmまたは約10〜15mmから選択可能で、選択した距離を医師へ提示するか、器具を提供しても良い。
【0133】
ひとつの態様では、椎体の中心線から前後方向へあらかじめ決定した距離を置いて各々2個の部品を設置し並べている。例えば、図71に示すように、治療部位へ脊椎の片側からチゼルガイドの中心が正しく配置した場合に約3〜10mmになるようにトライアルを挿入する。さらに好ましくは、チゼルガイドの中心が正しく配置した場合に椎体の中心から約4〜8mmになるようにトライアルを挿入する。
【0134】
トライアルが一度正しい位置へ設置されたら、ハンドルのグリップを取り除く。好ましくは、ハンドルは少なくとも脱着可能なトライアルに対応するグリップおよびシャフトを有する。グリップを取り外したら、追加のツールおよび装置としてシャフトを次にガイドロッドとして使用する。
【0135】
例えば、一度グリップを取り外したらシャフトは部品を治療部位の正しい位置へ挿入する時にガイドとして役に立つ。さらに詳しくは、図70〜72に示すように、チゼルが道筋または溝を治療部位へ隣接する1個または2個の椎体上へ作成するため正しい位置にあるかを確認するのに役立つハンドルのシャフトとスライドしながら係合するチゼル200を提供しても良い。1つの態様では、チゼル200の一部はチューブ206またはハンドルとほぼ同等に対応する断面図を有するアパーチャを形成している。チゼルがシャフト長に沿ってより簡単に動くようにするためチューブまたはアパーチャは僅かに大きくても良い。
【0136】
図70へ示すように、衝撃、切削または椎体と接触するチゼルの端には、形状を有し椎体へ好みの溝または経路を形成する設計のチゼルブレード202を有する。このように、1つの態様では、チゼルブレードの断面図は面取り付のくさび型である。1つの態様では、チゼルの断面図は、椎間板部品のキールと同等に対応する断面図を有している。チゼルブレードの反対側の端は、広がりを有する衝撃面204でもよい。このように、医師はチゼルブレード202を治療部位に隣接する1個以上の椎体に対し並べて設置し、ブレードを椎体へ操作するため衝撃面204を打ち付けることができる。チゼルブレードが治療部位へ進むとき、トライアル上に設置されるチゼルガイド196をスライドさせ係合することによってブレードを正しい位置へガイドし維持することができる。好ましくは、衝撃面がハンドルシャフトへ反射しチゼルブレードが正しい位置へ進むようにトライアルの長さは選択することができる。
【0137】
1つの態様では、チゼルブレードはトライアルから選択的に離脱することができる。図72〜74に示すように、衝撃面204およびチゼルチューブ206はチゼルブレードから分離することができる。同様に、トライアルは選択的にハンドルシャフトから離脱することができるこのように、図74に示すように、装置からこれらの部品を取り除きトライアルおよびチゼルブレードを治療部位へ残すことができる。
【0138】
図75に示すように、治療部位へトライアルおよびチゼルブレードを位置づけながら、治療部位の反対側面からアクセスするため脊椎の位置を修正したりまたは僅かに除去することができる。以前に述べたように、トライアルには鍵穴のくぼみ198を有してよい。鍵穴のくぼみ198は、治療部位の反対側側面へ面するように位置決めできる(A-P方向の椎体の中心線の方向)。また、トライアルは2個の鍵穴のくぼみ198を反対側の側面に有することもできる。この設計によってトライアルが脊椎のいずれ側からも挿入できる。図76に示すように、トライアルおよびチゼルブレードから反対側面の治療部位へ角度付ガイド208を続いて挿入する。好ましくは、角度付ガイドは角度付のヘッド210および十分にまっすぐのシャフト212から構成される。このようにシャフト212は、角度付ガイドを正しく鍵穴へ連結した時、チゼルブレードの縦軸214に対して十分に平行となってよい。
【0139】
角度付ガイドは、望むように接続または取り外しができるように選択的にトライアルの鍵穴へ係合して良い。好ましくは、角度付ガイドは、1つの角度および方向で鍵穴へ連結することができる。言い換えれば、角度付ガイドが、鍵穴へ連結する角度はあらかじめ決定されているかまたは既知である。ある態様では、角度付ガイドと鍵穴には、角度付ガイドを完全に鍵穴へ挿入した時に医師が決定できる補完的な表面を有している。一度角度付のガイドが連結または正しく鍵穴へ納まると、治療部位の外側へ伸展するシャフトを使用して第2のチゼルブレードを治療部位へ挿入することができる。図76へ示すように、角度付ガイドのシャフトの断面図は、一般に楕円であるが、長方形、正方形、長楕円形または挿入時にチゼルブレードの回転を抑えるその他の形状でも良い。もちろん、第2のチゼルブレードには角度付ガイドの断面図の形状へ一般に対応するチューブまたはアパーチャを有するのが好ましい。好ましくは、第2のチゼルは十分に第1のチゼルと同じ寸法である。ブレードは角度付ガイドのシャフト上へ配置し椎体の近くまたは隣接して設置してよい。チゼルチューブおよび衝撃面をもう一度展開しチゼルブレードを治療部位へ進出させる。
【0140】
角度付ガイドを正しく鍵穴へ連結する1つの利点は、椎体の反対側面へ進入させたチゼルブレードを第1のチゼルブレードから既知の間隔を置いて設置することができることである。角度付ガイドを使用するもう1つの利点は、椎体の反対側面へ進入させたチゼルブレードを十分に平行に第1に設置したチゼルブレードに対して設置することができることである。1つの態様では、好ましくは角度付ガイドは、第1のチゼルブレードから約8〜16mmの位置に反対側面のチゼルブレードが挿入されるように測定され設置されるとよい。より好ましくは、反対側面のチゼルブレードが第1のチゼルブレードから約10〜15mm、さらに好ましくは反対側面のチゼルブレードは約12〜14mmの位置に挿入されると良い。
【0141】
一度チゼルブレードが治療部位の反対側面へ完全に設置され挿入されると、治療部位の反対側面へ、治療部位から角度付ガイドと共に取り外すことができる。もう1つの態様では、角度付ガイドの第1のチゼルブレードは同時に取り外されている(例、角度付ガイドはチゼルブレードがシャフト上に位置したまま取り外される)。図78に示すように、椎間板部品216を反対側面へ展開させることができる。椎間板部品216の挿入を円滑にするため、インプラントホルダー218を使用して、キールがチゼルが生成した道筋または溝へ挿入されるまで部品をしっかりと保持しても良い。図78は、インプラントホルダーが選択的に背面または後方側の椎間板部品と選択的に1つの態様を示す。図62Aおよび78が示すように、部品の上部および下部部品の背面端には、ホルダーがしっかりと部品を保持できるようにソケット220が備わっていてもよい。さらに、ホルダー上に備わっているホック付の先端222は選択的に椎間板部品と係合してよい。椎間板部品およびインプラントホルダーをこの方法で設置すると、椎間板部品の挿入時に必要とされる総合的な高さおよび幅を最低限に抑えることができる。
【0142】
また別の態様として、インプラントホルダー218は、キールのいずれかの側で椎間板の外側最上部および下部と係合してもよい。しかし、この配置は椎体を挿入中に退縮させる必要があり、第1のチゼルブレードおよび/またはトライアルが定位置から外れる可能性もある。さらに、インプラントホルダーで椎間板部品を側面側から保持してもよいが、これによって総合的な寸法が増加し、装置を挿入するための開放部を増加させる必要もある。このように、別の態様を使用することは、本発明の範囲内ではあるが欠点が伴う場合もある。
【0143】
一度キールが道筋または溝へ挿入されると、インプラントホルダーを使用して治療部位へ椎間板部品を進入させてよい。椎間板部品が最終的な位置へ近づいたら、進入させるときに椎体と椎間板部品の間の抵抗が有意に高くなる。必要であれば、椎間板部品を所定の位置へ進めるため、インプラントホルダーへ緩慢な衝撃の力を加えても良い。
【0144】
第1のチゼルブレードおよびトライアルを取り除き第2の椎間板部品を同様な方法で挿入する。特に、チゼルブレードはチゼルチューブまたは他の装置と操作上連結し、身体内から取り除いてよい。同様に、ハンドルシャフトおよび追加のグリップはトライアルへ再接続し除去することもできる。トライアルおよびチゼルブレードの除去は同時または連続して実施してよい。トライアルおよびチゼルブレードを一度除去したら、第2の椎間板部品を挿入することができる。図68〜80は2個の椎間板部品を後方から所定の場所へ挿入する方法を一般に示す図である。
【0145】
上述のとおり、椎間板部品のキールは、骨の内部への成長を促進し、よりしっかりと椎間板部品を支持できる設計でよい。図82は、本発明のもう1つの態様を示し、キールは複数のスロットおよび切り込みを含む。図62Eおよび62Hは、スロット付キールのもう1つの実施例を示す。図82では、スロットまたは切り込みは約5〜40度、垂直方向から離れた角度で伸展するとよく、さらに好ましくは約10〜30度の角度で伸展する。キールには2個以上または3個以上のスロットまたは切り込みを有してよい。当業者は、他の手段でも、よりしっかりと椎間板部品を支持するため骨の内部への成長を促進すると理解するであろう。例えば、キールにはホールやアパーチャを切削したり、縦型または水平型のスロットを形成したり、キールの側面の壁へ反対側の壁へはキールを経由して完全に伸展しない1個以上の溝または道筋を作成してもよい。
【0146】
さらに、最初に道筋や溝へ挿入したキールの表面は先細りや面取りとなっていてよい。キールの表面は先細りや面取りとする1つの利点は、キールを道筋や溝の開口部へ並べる時に役立つことである。さらに、面取りや先細りの面は抵抗力を低下させるのに役立ち、キールが最終位置へ押された時に道筋や溝を意図せず切削や削ることを防ぐ。
【0147】
複数の人工椎間板部品を使用した場合の1つの利点は、著しい血管の退縮なしで椎間板を望む場所へ設置することができることである。このように、最低限の動脈や大静脈の移動によって椎体の後方からの挿入が達成できる。大静脈の壁は薄いので、他の血管に比べて容易に破裂したり裂けたりする。
【0148】
反対に、大動脈の壁は大静脈よりも厚く裂けや破裂に対してより耐性を有するが、血液供給のための圧力は非常に高い。その結果、大動脈へ損傷を与えると著しい血液の損失が起こる。従って、複数の部品を使用する1つの利点は、主要な血管を移動したり阻害したりすることを低減できることである。
【0149】
複数の部品からなる椎間板を使用するもう1つの利点は、医師は従来の椎間板の挿入よりも異なる方法で1個以上の部品を調節したり交換したりできることである。インプラントを脊椎の望む場所へ設置するとき、挿入部位の周囲が手術後に徐々に外傷によってただれたり閉塞したりすることである。この傷の組織は、主要な血管など、隣接の解剖構造へ癒着することもあり、患者へリスクなしで挿入物開口部を再度使用するのは極端に困難となる。
【0150】
複数の部品を使用する椎間板を使用すれば、人工椎間板の調整、除去または交換など第2の方法を選択することが可能である。例えば、人工椎間板部品を椎体の後方から挿入すると、本明細書へ記述する方法、装置および技術を適用して後方からの方法によって部品を除去したり調節することが可能となる。同様に、複数の部品からなる人工椎間板を後方からの方向で挿入すると、使用していない前方は人工椎間板へアクセスするため将来へその利用性を残しておくことが可能である。
【0151】
ある場合には、第2の方法を選択して、人工椎間板を後に調節、除去または交換することが望ましい。例えば、最初の手術で椎間板を挿入することができる。通常、時間が経過するにつれ身体の動きによって人工椎間板を調節する必要性が出てくる。本発明は、医師が第2の方法を使用して脊椎へ再進入することが可能となる。第2の方法は望む時期に行うことができる。例えば、第2の方法を適用する第2の手術は、初回の手術から約6ヵ月後に実施することが可能である。さらに好ましくは、第2の方法を適用する第2の手術は、初回の手術から約1年後に実施するとよい。さらに好ましくは、第2の方法を適用する第2の手術は、初回の手術から約5年後に実施するとよい。
【0152】
本明細書へ記載する本発明のさまざまな機能および態様は他の機能や態様と相補的に使用することが可能である。最後に、本明細書に開示する本発明の態様は上記の目的を満たすものであり、多くの改良および他の態様の開発も当業者には可能であることは明らかである。従って、添付の請求項は、本発明の目的および範囲から生じるそのような改良および態様の開発を全て含むように意図されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0153】
(図1)図1Aは1列に並ぶ椎体の側面図であり、頸椎、胸椎および腰椎を示し、椎体の間に人工椎間板が位置している。図1Bは、本発明の人工椎間板の1つの態様の平面図である。
(図2)図1Bの人工椎間板を使用して実施できるインプラント術の例である。
(図3)はさみによって開放した展開した後方用人工椎間板の図である。
(図4)椎骨の間の後方用人工椎間板とその部品の分解図である。
(図5)さまざまな展開式後方用人工椎間板の図である。
(図6)オープンサイド型またはスプリング付C型人工椎間板である。
(図7)柔軟な部分、曲線の終板およびストッパーを有するオープンサイド型またはC型人工椎間板の図である。
(図8)柔軟性を有する設計のスロット付オープンサイド型またはC型人工椎間板である。
(図9)2個のスロット付側面カラムを有する一般に長方形またはO型の平坦な人工椎間板を示す図である。
(図10)人工椎間板の中心部へ追加のカラムと側面カラムにスロットを有する一般に平坦で長方形またはO型の人工椎間板を示す図である。
(図11)コイルスロットを有するオープンサイド型またはC型の人工椎間板を示す図である。
(図12〜14)本発明で圧縮性の構成物を使用した態様を示す。
(図15〜26)異なる方向への動きを制限させるために、さまざまな種類の接触面を用いた本発明の態様である。
(図27〜29)楕円形の挿入物を使用した本発明の1つの態様を示す。
(図30〜45)硬直機能、ねじり棒、張力および圧縮ばねを使用した態様を示す。
(図46〜47)バルーンまたは空気袋の周囲へ編み上げ構造の補強材を使用した本発明の1つの態様を示している。
(図48〜50)本発明の1つの実施例を示す。
(図51〜54)固定IARを有する本発明の態様を示す。
(図55〜61)2個の関節構造の表面を有する本発明の1つの実施例を示す。
(図62〜67)人工椎間板の挿入のためにトライアルを用いてねじ山部分を調整した本発明の態様を示す図である。
(図68〜81)後方からの手術方法によって人工椎間板を挿入する治療部の調整手順を示す図である。
(図82)本発明の人工椎間板の1つの態様の図である。
(図83)人工椎間板を挿入する場合の治療部位の回転を示す2種類の追加の方法を示す図である。
(図84)角度付ガイドの自由な末端とトライアルの鍵穴のくぼみの選択的な相互作用を示す図である。
(図85)椎間板組み立て品と選択的に係合する椎間板組み立て品ホルダーの1つの態様を示す。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】

【図40】

【図41】

【図42】

【図43】

【図44】

【図45】

【図46】

【図47】

【図48】

【図49】

【図50】

【図51】

【図52】

【図53】

【図54】

【図55】

【図56】

【図57】

【図58】

【図59】

【図60】

【図61】

【図62A】

【図62B】

【図62C】

【図62D】

【図62E】

【図62F】

【図62G】

【図62H】

【図63】

【図64】

【図65】

【図66】

【図67】

【図68】

【図69】

【図70】

【図71】

【図72】

【図73】

【図74】

【図75】

【図76】

【図77】

【図78】

【図79】

【図80】

【図81】

【図82】

【図83】

【図84】

【図85】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、2つの椎骨の間の損傷した脊椎円板の置換のために、人工椎間板を挿入する装置であって;
角度付ヘッドおよび十分にまっすぐなシャフトを含むガイド;ならびに
鍵穴のくぼみ(keyed recess)およびロッドソケット(rod receptacle)を含むトライアル(trial)であって、鍵穴付くぼみが角度付ガイドのヘッドを受けることが可能である、トライアル;
ここで、角度付ガイドは、まっすぐなシャフトがトライアルの中心軸に対し十分に平行かつ一定間隔で配置されるように、選択的に鍵穴のくぼみへ係合することができる、装置。
【請求項2】
トライアルがチゼルガイドをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
鍵穴のくぼみが、公知の角度で角度付ガイドのヘッドを受けることが可能である、請求項1記載の装置。
【請求項4】
チゼルガイドと係合することが可能な第1のチゼルをさらに含む、請求項2記載の装置。
【請求項5】
角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトと係合することが可能な第2のチゼルをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
第1のチゼルがチゼルガイドと係合し、2個の椎骨の1つにおいて第1の道筋を形成することが可能である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
第2のチゼルが第1の道筋に対して十分に平行な第2の道筋を形成することが可能、請求項5記載の装置。
【請求項8】
第2のチゼルが第1の道筋から公知の間隔をおいて第2の道筋を形成することが可能である、請求項5記載の装置。
【請求項9】
角度付ガイドおよびトライアルが椎骨への2種類の到達方法に基づいて道筋を形成することが可能である、請求項1記載の装置。
【請求項10】
トライアルがロッドソケットをさらに含む、請求項4記載の装置。
【請求項11】
第1のチゼルがロッドとスライドしながら係合可能である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
第2のチゼルが角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトとスライドしながら係合することが可能である、請求項5記載の装置。
【請求項13】
第1のチゼルがロッドの一端と係合可能な衝撃面(impaction face)を含む、請求項10記載の装置。
【請求項14】
第2のチゼルが角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトの一端と係合可能な衝撃面を含む、請求項5記載の装置。
【請求項15】
第1および第2の十分に類似のチゼルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項16】
角度付ガイドがトライアルの反対側面に挿入される、請求項1記載の装置。
【請求項17】
以下を含む、2つの椎骨の間の損傷した脊椎円板の置換のために、人工椎間板を挿入する装置;
角度付ヘッドおよび十分にまっすぐなシャフトを含むガイド;ならびに
鍵穴のくぼみおよびチゼルガイドを含むトライアルであって、公知の角度で鍵穴付くぼみが角度付ガイドのヘッドを受けることが可能である、トライアル;ならびに、
角度付ガイドのシャフトおよびチゼルガイドと係合し規定の位置と間隔を有する2つの道筋を形成することが可能な、第1および第2のチゼル。
【請求項18】
トライアルがロッドを受けることのできるロッドソケットさらに含む、請求項17記載の装置。
【請求項19】
角度付ガイドが、ロッドへ十分に平行かつ一定間隔で配置されるように鍵穴のくぼみへ選択的に係合することが可能である、請求項18記載の装置。
【請求項20】
第1および第2のチゼルが、角度付ガイドおよびトライアルと選択的に係合し、椎骨への2種類の到達方法に基づいて道筋を形成することが可能である、請求項17記載の装置。
【請求項21】
第1のチゼルが、第1のチゼルの回転を防ぐためロッドの横断面と十分に対応するアパーチャを含む、請求項18記載の装置。
【請求項22】
第2のチゼルが、第2のチゼルの回転を防ぐため角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトの横断面と十分に対応するアパーチャを含む、請求項17記載の装置。
【請求項23】
第1のチゼルがロッドの一端と同一平面上にさせる衝撃面を含む、請求項18記載の装置。
【請求項24】
第2のチゼルが角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトの一端と同一平面上にさせる衝撃面を含む、請求項17記載の装置。
【請求項25】
第1および第2のチゼルが十分に類似している、請求項17記載の装置。
【請求項26】
角度付ガイドがトライアルの反対側面に挿入される、請求項17記載の装置。
【請求項27】
2種類の到達方法が前方および後方の少なくとも1つである、請求項20記載の装置。
【請求項28】
挿入物を含むキットを含む、2つの椎骨の間の損傷した脊椎円板の置換のために、人工椎間板を挿入する装置であって、ここで、挿入物は初回に2個の椎骨の間へ挿入可能であり、かつ2回目に挿入物の配置の改良が可能である、装置。
【請求項29】
2回目が1回目から約6ヶ月またはそれ以降である、請求項28記載の装置。
【請求項30】
2回目が1回目から約1年またはそれ以降である、請求項28記載の装置。
【請求項31】
2回目が1回目から約5年またはそれ以降である、請求項28記載の装置。
【請求項32】
挿入物の配置が第2の到達方法から調整可能である、請求項28記載の装置。
【請求項33】
挿入物が前方および後方の到達方法の少なくとも1つから挿入可能である、請求項28記載の装置。
【請求項34】
キットがさらに以下を含む、請求項28記載の装置:
角度付のヘッドおよび十分にまっすぐのシャフトを含む角度付ガイド;ならびに
鍵穴のくぼみおよびチゼルガイドを含むトライアルであって、鍵穴付くぼみは角度付ガイドのヘッドを公知の角度で受けることが可能である、トライアル;ならびに、
角度付ガイドのシャフトおよびチゼルガイドと係合し規定の位置と間隔を有する2つの道筋を形成することが可能な、第1および第2のチゼル。
【請求項35】
トライアルがロッドを受けることのできるロッドソケットをさらに含む、請求項34記載の装置。
【請求項36】
角度付ガイドが、ロッドへ十分に平行かつ一定間隔で配置されるように鍵穴のくぼみへ選択的に係合することが可能である、請求項35記載の装置。
【請求項37】
第1および第2のチゼルが、角度付ガイドおよびトライアルと選択的に係合し、椎骨への2種類の到達方法に基づいて道筋を形成することが可能である、請求項34記載の装置。
【請求項38】
第1のチゼルが、第1のチゼルの回転を防ぐためロッドの横断面と十分に対応するアパーチャを含む、請求項35記載の装置。
【請求項39】
第2のチゼルが、第2のチゼルの回転を防ぐため角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトの横断面と十分に対応するアパーチャを含む、請求項34記載の装置。
【請求項40】
第1のチゼルがロッドの一端と同一平面上にさせる衝撃面を含む、請求項35記載の装置。
【請求項41】
第2のチゼルが角度付ガイドの十分にまっすぐなシャフトの一端と同一平面上にさせる衝撃面を含む、請求項34記載の装置。
【請求項42】
第1および第2のチゼルが十分に類似している、請求項34記載の装置。
【請求項43】
角度付ガイドがトライアルの反対側面に挿入される、請求項34記載の装置。

【公表番号】特表2007−517531(P2007−517531A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522130(P2006−522130)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024933
【国際公開番号】WO2005/011522
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505434995)グローバス メディカル インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】