説明

人工浮島およびそれを用いた水質浄化方法

【課題】人工浮島において、水面を浮遊する生物を含めた水の出入りが円滑に行えるようにする。
【解決手段】人工浮島10を、表面が水面下に水没した植栽基盤20と、植栽基盤20の外縁21に相当する水面上に設けた断続部22を有するフロート30から構成する。断続部22を介して、浮遊物を含めた水の出入りが、人工浮島10の周辺水域との間で円滑に行われ、植栽基盤20に植栽した水性植物bによる水質浄化作用を十分に発揮することができる。フロート30を設けない断続部22に関しての浮力不足は、水中から底面側を支持する植栽基盤支持フロート31により確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロートで水没させた植栽基盤を有する人工浮島に関する技術であり、特に、水没させた植栽基盤表面側への浮遊物を含む水の出入りを円滑にして水質の浄化を行うのに適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
溜め池や湖沼等の水面に植生を有する浮島の造成技術として、浮島を水に浮かせるためのフロートを枠状に設けた構成が知られている。かかる構成では、枠状のフロートの内側に植物を植栽する植栽基盤が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、かかる構成の浮島が記載され、適切な水生植物の生育が行えるように植栽基盤の高さを、盤面高調節手段で管理する構成が記載されている。
【特許文献1】特開2004−135533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる構成の人工浮島の構成では、枠状に設けたフロート内の植栽基盤表面を常時水没させるように構成すると、フロート内の植栽基盤表面の水温変化が極端に大きくなる場合があることが分かった。例えば、夏季等にはフロート内の水温は、フロート外の水温変化よりも大きく、40℃の高温になる場合がある。また、冬季には、フロート外の水が氷結しないのに、フロート内の水が氷結する場合もみられた。
【0005】
本発明者は、かかるフロート内外での水温変化の大きな違いの原因を調べた。その結果、植栽基盤の周囲が枠状にフロートで囲われているため、フロート内外の水の出入りが阻止され、且つフロート内の水面積はフロート外の水面積に比べて格段に小さく、フロート内の水環境が孤立化するためであることが原因と判明した。かかる孤立化した水環境では、夏季に太陽に照らされると40℃もの高温にまで温められ、冬季にはフロート外の周囲の水が氷結しないのにフロート内の水のみが氷結する結果となるのである。
【0006】
すなわち、フロートで仕切られる内外の水の出入り、交換が円滑に行われないために起きる現象と判明した。かかる水温変化が大きいと、植栽基盤に植栽した植物の生育に著しい悪影響がでる場合がある。そこで、本出願人は、先に特願2005−209979で、植栽基盤周辺の水の交換可能な構成を提案した。
【0007】
かかる提案では、水面に浮かばせるフロートと、その下方に設けた水没フロートとを用いて、水面に浮かばせたフロートの下端側数センチ程度の水深における表層水のフロート内外の出入りを可能とするものであった。
【0008】
しかし、かかる提案の構成でも、植栽基盤の外縁側は全体が枠状にフロートにより囲まれているため、水面下では水の移動が起こり得ても、水面に浮遊する物質の自由な移動はフロートにより阻まれることとなる。そのため、植栽基盤が有している水質浄化機能を、かかる構成では十分に利用できないとの指摘があった。
【0009】
また、かかる構成では、フロートで囲まれた人工浮島の領域内では、例えば糸状性藻類等の微小生物が成長し、フロート外への自由な移動が阻まれているため、フロート域内で繁茂して景観等に悪影響を与える場合があるとも指摘されていた。
【0010】
本発明の目的は、水面を浮遊する生物を含めた物質の移動が円滑に行える人工浮島の技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0013】
すなわち、本発明は水に浮かせるフロートに植栽基盤を設けた人工浮島であって、前記植栽基盤は水面下に水没させられ、前記フロートは水没させた前記植栽基盤の外縁に相当する水面上に浮遊物の通行を阻害しない断続部を有し、水没させた前記植栽基盤には前記植栽基盤の底面を水中から支える植栽基盤支持フロートが設けられていることを特徴とする。かかる構成において、前記浮遊物の通行を阻害しない断続部を有するとは、水流方向に沿って前記フロートを設けるとともに、前記水流方向の横断方向に沿っては前記フロートを設けないことであることを特徴とする。
【0014】
あるいは、前記浮遊物の通行を阻害しない断続部を有するとは、前記植栽基盤の外縁が多辺形の場合には、少なくとも前記外縁の一辺に相当する水面上に前記フロートを設けるとともに、少なくとも前記外縁の異なる2辺に相当する水面上には前記フロートを設けないことであることを特徴とする。かかる構成において、前記植栽基盤の外縁が四辺形の場合には、二対の相対する対辺のうち、一方の相対する対辺に相当する水面上に前記フロートを設けるとともに、他方の相対する対辺に相当する水面上には前記フロートを設けないことであることを特徴とする。
【0015】
以上いずれかの構成において、前記人工浮島には前記フロートを設けない断続部分を少なくとも2箇所設定し、前記人工浮島を複数連結する際には各々の前記人工浮島における断続部同士を対向位置に設けて連結することを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記植栽基盤には前記植栽基盤の断続部方向への設置位置のずれを防止するずれ防止部材が設けられていることを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記植栽基盤は設置時の水深位置の調節を行う水深位置調節部材を介して前記フロートに係留されることを特徴とする。かかる構成において、前記水深位置調節部材は前記ずれ防止部材を兼ねていることを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記植栽基盤、あるいは前記フロートの少なくともいずれかには、前記断続部側が、水流方向の横断方向を向くように前記人工浮島の位置補正を行う人工浮島位置補正機構が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は人工浮島を用いた水質の浄化方法であって、前記人工浮島には水没させた植栽基盤の外縁の水面上に相当する位置にフロートを設けた部分と、水没させた植栽基盤の外縁の水面上に相当する位置にフロートを設けない断続部とを形成し、複数の前記人工浮島を各々の前記断続部同士を対向させて前記複数の人工浮島を通る水路を設けた人工浮島群を形成し、前記人工浮島群の前記水路に前記人工浮島群の周辺域の水を流入させて、各々の前記人工浮島の植栽基盤により水質の浄化を行い、浄化した水を前記人工浮島群から流出させることを特徴とする。かかる構成において、前記水路は、非直線状に曲げられていることを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記人工浮島には、前記いずれか記載の人工浮島が使用されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
本発明の人工浮島の構成では、フロートは水没させた植栽基盤の外縁に相当する水面上に、浮遊物の通行を阻害しない断続部を有しているので、かかる断続部から植栽基盤側への水の出入りが自由に行われ、水の出入りが自由に行えない場合に比較して、植栽基盤の有する水質浄化機能をより有効に利用することができる。
【0019】
また、かかる人工浮島を複数連結して人工浮島群を形成する場合には、断続部同士を対向させて連結することができるので、例えば、複数の人工浮島を貫く曲がりくねった水路を形成して、その水路に水を通して水質浄化を図り、水質浄化を行った水を人工浮島群から排出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
本発明は、水に浮かせたフロートに水没させた植栽基盤を係留させて構成した人工浮島に関する技術である。本発明では、従来は植栽基盤の外縁側の水面上に外縁側を全て囲むようにして枠状にフロートが設けられていたものを、一部にフロートを設けない断続部を敢えて設けるものである。フロートが設けられない断続部は、水面を隔てるバリアーが全くなく、水面上に浮遊した物をも含めて、周辺水域との水の出入りが自由に行えるのである。
【0022】
かかる断続部を採用することで、水面上の浮遊物の植栽基盤上面側への出入りを自由にして、植栽基盤のもつ水質浄化能力を有効に利用することができる。また、植栽基盤上の水面に、例えば、糸状藻類が繁茂する等のような特定の物質が滞留する等の虞も解消することができるのである。
【0023】
一方、かかる断続部を設けることにより、植栽基盤を水中に浮かせておく浮力が不足する場合も考えられるが、本発明の構成では、植栽基盤の底面側に植栽基盤支持フロートを設けることで、底面側を水中から支えて安定に浮遊させる構成を採用している。例えば、かかる植栽基盤支持フロートは、断続部が形成されている水中下に設ける等、浮力が不足する側に設ければよい。
【0024】
また、断続部の形成に際しては、水流方向に沿ってフロートを設けておき、水流方向の横断方向にはフロートを設けないようにすればよい。かかる構成を採用することにより、人工浮島周辺水域の浮遊物は水面上を水流方向に沿って流れ、人工浮島の断続部から植栽基盤表面側に到達することができる。
【0025】
あるいは、植栽基盤側の水面上に、例えば生育した糸状藻類等の浮遊物があれば、その浮遊物は流れに沿って断続部から周辺水域に流出し、植栽基盤側の水面上に滞留する虞もなくなる。
【0026】
かかる構成の植栽基盤としては、例えば、外縁が多辺形の場合を想定できるが、その場合には、少なくとも外縁の一辺に相当する水面上にフロートを設け、少なくとも外縁の異なる2辺に相当する水面上にはフロートを設けない構成にすることができる。このように構成すれば、少なくとも2箇所には断続部を設けることができ、一方の断続部を水の流入する開口部として、他方の断続部を水の流出する排出部として使用することができ、人工浮島の植栽基盤で浄化された水が、植栽基盤上に溜まらず周辺水域へ流れ出るようにすることができる。
【0027】
かかる植栽基盤の外縁形状としては、四辺形が考えられる。四辺形の場合には、二対の相対する対辺のうち、一方の相対する対辺に相当する水面上にフロートを設けるとともに、他方の相対する対辺に相当する水面上にはフロートを設けない断続部を形成すればよい。この場合には、開口部としての断続部、排出部としての断続部は、それぞれ直線状に結ばれ、曲がりくねった場合に比べて、水の流れ込み、流出が比較的円滑に行われることとなる。
【0028】
さらに、上記構成の断続部を設けた人工浮島は、複数の人工浮島を連結して人工浮島群を形成する場合に、今までにはない新規な構成を形成することができる。すなわち、人工浮島群を構成する各々の人工浮島には、少なくとも2箇所の断続部を設けておき、人工浮島同士を連結する際には、各々の断続部同士が繋がるように、すなわち、断続部同士が対向位置になるようにして連結して人工浮島群を形成することができる。
【0029】
かかる構成の人工浮島群では、人工浮島群を構成する各々の人工浮島を通過する水路が形成され、人工浮島群の一方の端に相当する人工浮島の断続部から入った水が、他方の端に相当する人工浮島の断続部から排出されることとなる。このように、人工浮島群を貫く水路を形成することで、水路長を長く設定して、水路に入った水に、人工浮島の植栽基盤による水質浄化作用を比較的に長く作用させることで、より水質の浄化を図ることができる。
【0030】
水路としては、例えば、人工浮島群を構成する人工浮島内を、曲がりくねった構成とすることもでき、水路内を通過する水を、敢えてゆっくりと時間をかけて通過させるようにして、植栽基盤の水質浄化作用を長く受けるようにすることができる。
【0031】
また、このようにして水質が浄化された水は、水路が上記の如く、開口部となる断続部と、排出部となる断続部とを有しているので、水は水路上を一端側から他端側へ流れて、水質浄化された水が水路内に滞留することがない。
【0032】
以上の構成を有する人工浮島では、断続部を設けることがその特徴点の一つであるが、一方、断続部を設けたために、植栽基盤がフロートのない断続部側へ移動する等して、位置が大幅にずれることも考えられる。特に、本発明の構成では、従来に比べて簡易なフレームを採用して植栽基盤を搭載しているため、水流方向に沿ってフロートを設け、その横断方向にそってはフロートを設けない断続部を形成する場合には、植栽基盤自体が水流方向に沿って流されやすくなる。
【0033】
これまでは枠状にフロートが設けられていたため、かかる懸念は無かったが、断続部を設ける本発明の構成では新たに問題となるのである。かかる点の問題点を解消するために、本発明の構成では、ずれ防止部材を設けることにより、かかる植栽基盤の断続方向への位置ずれを防止した。
【0034】
また、植栽基盤は、植栽される水性植物等により、その水没深度を調整することが好ましいが、かかる構成の植栽基盤をフロートに係留するに際しては、予め設定した長孔、あるいは所定間隔で複数設けたボルト孔を利用して、植栽基盤をボルト連結等の簡易締結手段の水深位置調節部材で、水深位置の調節を可能とした。さらに、かかる水深位置調節部材を用いて、フロートに係留するようにした。
【0035】
さらに、水深位置調節部材と、前記ずれ防止部材とを兼用できるような構成を採用して、一つの部材で二つの機能を発揮できるようにして、部材の効率化を図るとともに、全体として軽量にして、本発明における植栽基盤の浮力に関わる点の軽減を図った。
【0036】
以上の構成の人工浮島には、植栽基盤側、あるいはフロート側に、断続部側が水流方向の横断方向を向くように人工浮島の位置補正を行う人工浮島位置補正機構を設けるようにすることもできる。これまでは、一旦設置した人工浮島は、その設置位置の変更は行わないように設定されていたが、前記の如く、断続部を設けて水を流入させて水質浄化を積極的に行えるようにする本発明では、かかる断続部をより積極的に水流方向に向かわせるようにすることが好ましい。
【0037】
かかる機構としては、風向方向に向きを変えることができる風向板のようなものを植栽基盤、あるいはフロートに固定しておき、風の吹く方向に沿ってフロートが設けられていない部分を自然に向くようにしておいても構わない。特に、ある程度の風速で、風向板の方向が変えられるように固定することで、所定の強度の風が吹いた場合にのみ位置変更ができるようにしておけば好ましい。
【0038】
あるいは、水中に水流方向板を設けておき、その水流方向に沿って人工浮島が向きを変えて、フロートが設けられていない部分を水流方向に対して横断方向に自然に向かせる構成を採用しても一向に構わない。勿論、かかる水流方向板では、所定の水流強度に対して方向変換が行えるようにしておけばよい。
【0039】
あるいは、機械的手段で位置補正機構を構成しても一向に構わない。例えば、水流噴射ポンプをフロート、あるいは植栽基盤の水中側に設けておき、その噴射ポンプを遠隔操作で始動、停止させることで位置補正が行えるようにしておけばよい。
【0040】
かかる構成の機械的手段の位置補正機能は、人工浮島の設置水域の気象情報にリンクさせておき、気象情報に基づく風向に合わせて位置補正の指示を出すように管理しておいても構わない。かかる指示は、人為的に行っても、あるいは、所定の風力予報の場合にのみ自動的に行うようにしても一向に構わない。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態では、植栽基盤の外縁が四辺形に形成された場合について説明する。例えば、図1(a)に示すように、本発明の人工浮島10では、人工浮島10を構成する植栽基盤20は、四辺形に形成された多辺形の外縁21部分を有している。かかる植栽基盤20は、図1(b)に示すように、フロート30に係留されたフレーム40により、表面20aが水面下となるように水没状態で保持されている。
【0042】
植栽基盤20は、例えば、合成繊維のマットで形成されており、かかるマットの中にヤシ繊維製ポットaが、所定間隔で設けられている。かかるヤシ繊維製ポットaの中には土壌が入れられ、例えば、図1(b)に示すように、キショウブ等の水生植物bが植えられている。かかる水生植物bの根cは、合繊マット、ヤシ繊維製ポットaを通してしっかりと張られている。土壌としては、市販の通常の園芸用土等が使用されている。
【0043】
かかる人工浮島10に適用できる植物としては、詳細には、浮島表面が常時水没している状態で生育する植物で、抽水植物、浮葉植物、沈水植物等の水生植物b等が例として挙げられる。抽水植物は、根と茎の一部が水底にあり、水中葉と空中葉で形が異なるものがあり、例えば、ハナショウブ、カキツバタ、キショウブ、セキショウ、カンガレー、フトイ、パピルス、ミクリ等が挙げられる。
【0044】
また、浮葉植物は、根や茎は、水中または水底にあり、葉を水面に浮かべているもので、例えば、スイレン、ヒツジグサ、コウホネ、ハス等が挙げられる。さらに、沈水植物は、水面下に根、茎、葉の全てが存在するもので、クロモ、フサモ、エビモ、コカナダモ、オオカナダモ、トリゲモ等が挙げられる。
【0045】
かかる抽水植物、浮葉植物、沈水植物等の水性植物bが植栽基盤20を通して根cを張ることにより、人工浮島10での水質浄化作用が発揮される。また、水性植物bが根cを張ることにより、魚類、水性昆虫等が棲息しやすくなり、かかる動物によっても水面に浮遊する物質の分解等が促進され、水質浄化が行われるのである。
【0046】
また、特に汚濁が進んだ状況における人工浮島10での水質浄化には、ヨシ等を生育させて、ヨシにより水中の窒素、リン等を吸収させるようにすればよい。かかるヨシを植栽した場合には、定期的に刈り取りを行う必要がある。
【0047】
フロート30は、例えば、塩化ビニール製のパイプ、あるいはFRPパイプ等で形成され、水に浮くように構成されている。かかる構成のフロート30は、本実施の形態では、図1(a)に示すように、四辺形に形成された植栽基盤20の外縁21の相対する一対の対辺側に設けられている。他方の相対する一対の対辺側には、フロートが設けられず、断続部22が形成されている。
【0048】
尚、フロート30の水面上に露出する部分には、紫外線遮蔽効果がある所定層厚の薄いヤシマット等を設けておけば、フロート30の紫外線劣化が防止できて好ましい。特に、ヤシマット等の多孔質素材であれば、水生昆虫等の棲み家となり好ましい。あるいは、かかる効果のある合繊シート等を設けても構わない。さらには、かかる効果のある表面コート剤を塗布する等しても構わない。
【0049】
フレーム40は、図1(b)に示すように、植栽基盤20をその上に搭載できるように平板状にネットを張った搭載フレーム41と、搭載フレーム41の底面部に設けた支持フレーム42と、搭載フレーム41に搭載した植栽基盤20の側面位置を断続的に固定する位置固定フレーム43とから構成されている。すなわち、フレーム40は籠状には形成されておらず、籠状フレームを用いる場合に比べて極めて簡単な構成で、部材の制作コストの低減、施工時の手間等の短縮等が図れる構成となっている。
【0050】
搭載フレーム41は高密度プラスチック製ネット、あるいは硬質ポリエチレンネット等で構成され、その底面側には、搭載フレーム41上に植栽基盤20を載せた状態で、中央部が下側に撓まないように水平に保持する支持フレーム42が設けられている。かかる支持フレーム42には、例えば、L型に曲げられたL字型鋼等が用いられている。
【0051】
また、位置固定フレーム43は、搭載フレーム41の周囲に下端側が固定されて、例えば、搭載フレーム41に対して垂直方向に立設させられた板状等に構成されている。搭載フレーム41に植栽基盤20を載せた状態では、位置固定フレーム43は、植栽基盤20の側面側に沿って断続的に位置するようになっている。このようにして、位置固定フレーム43により、植栽基盤20は搭載フレーム41上に位置が固定され、位置ずれが発生しないようになっている。すなわち、位置固定フレーム43が、ずれ防止部材として機能しているのである。
【0052】
特に、植栽基盤20の角部分に設ける位置固定フレーム43a(43)は、L字型鋼等で構成され、植栽基盤20が前後左右に移動できないように規制している。植栽基盤20の角部分を除いた側面部分に設ける位置固定フレーム43b(43)は、板状のフラットに形成され、フラット面から外側には植栽基盤20の側面がはみ出さないようになっている。
【0053】
位置固定フレーム43bでは、図1(b)に示すように、水平に張り出したブラケット44が設けられ、フロート30の断面外形に合わせて形成したUバンド45にボルト連結等の連結手段で固定できるようになっている。位置固定フレーム43には、複数のボルト孔が設けられ、ブラケット44の取り付け位置の高さ調節が、ボルト締結手段等でできるようになっている。
【0054】
かかるブラケット44の高さ調節により、フロート30に係留する搭載フレーム41の高さ調節を行って、搭載フレーム41上に載せる植栽基盤20の水没位置の高さ調節を行うようになっている。すなわち、ブラケット44が、本実施の形態では、植栽基盤20の水深位置調整部材として機能しているのである。
【0055】
さらに、搭載フレーム41の底面側には、図1(b)に示すように、植栽基盤支持フロート31が設けられている。かかる植栽基盤支持フロート31により、フロート30だけでは植栽基盤20を浮かせるための浮力が不足する場合に、浮力の補助を行っているのである。かかる植栽基盤支持フロート31は、図に示す場合には、例えば、フロート30と同方向に沿って複数設けられている。
【0056】
上記構成の植栽基盤20を有する人工浮島10では、フロート30が設けられていない断続部22が形成されているので、2本のフロート30に挟まれて存在する植栽基盤20の水面側では、人工浮島10の周辺域の水が、その浮遊物とともに自由に流れ込むことができる。そのため、流れ込んだ水の水質の浄化が、植栽基盤20により行うことができるのである。
【0057】
これまでは、フロートが植栽基盤の外縁に相当する水面上に枠状に設けられていたため、フロート内外の浮遊物を含めた水の出入りが自由に行われず、人工浮島周辺域の水の水質浄化は十分に行えなかった。しかし、本発明のようにフロートを設けない断続部を形成しておくことで、人工浮島周辺域の水の出入りを自由にさせてかかる点の解消を図ることができた。
【0058】
また、フロートが枠状に設けられていたこれまでの人工浮島では、フロート内に閉じ込められた糸状藻類等が成長しても、フロート外への水域に出ることができず、畢竟、そのまま成長し過ぎて繁茂するようになり、景観等を悪くしていた。しかし、本発明の構成では、水面上の浮遊物が移動できるので、糸状藻類等も植栽基盤の外縁部分から外側に移動することができ、景観の悪化等を防止することができる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図2(a)、(b)に示すように、人工浮島10は、前記実施の形態1と略同様の構成の植栽基盤20、フロート30を有している。さらに、植栽基盤20は、前記実施の形態1と同様に、簡略構成のフレーム40に搭載されている。
【0060】
かかる構成の人工浮島10では、前記実施の形態1で述べた構成とは異なり、位置固定フレーム43bにはブラケット44が設けられておらず、図2(b)に示すように、位置固定フレーム43bにUバンド45を直接取り付けることで、植栽基盤20の水深位置の調節ができるようになっている。
【0061】
例えば、Uバンド45の両先端側をボルト状のネジに構成しておき、位置固定フレーム43bに設けたボルト孔に差し込み、ナットで固定する簡易調節手段で調節できるようにしておけばよい。
【0062】
(実施の形態3)
本実施の形態では、人工浮島10は、前記実施の形態1と略同様の植栽基盤20、フロート30等を有している。さらに、植栽基盤20は、簡略構成のフレーム40に保持されている。
【0063】
異なる点は、図3(a)、(b)に示すように、位置固定フレーム43のうち角に設ける位置固定フレーム43aにブラケット44が設けられ、かかるブラケット44をUバンド45に取り付けることで、フロート30に植栽基盤20の係留をすることである。
【0064】
かかる場合には、前記実施の形態1で述べた構成とは異なり、植栽基盤20の側面側に設けたフラットな位置固定フレーム43bは設けられていな点である。すなわち、植栽基盤20の角に、ずれ防止を図る構成の位置固定フレーム43aのみが設けられているだけである。本実施の形態の構成では、ずれ防止部材と、位置固定フレームとが、兼ねた構成となっているのである。
【0065】
(実施の形態4)
本実施の形態では、人工浮島10は、前記実施の形態2と略同様の植栽基盤20、フロート30等を有しており、さらに植栽基盤20は簡略フレーム40に搭載されている。異なる点は、図4(a)、(b)に示すように、位置固定フレーム43のうち角に設ける位置固定フレーム43aに、Uバンド45が直接に取り付けられている点である。かかるUバンド45を介して、フロート30に植栽基盤20が係留されている。
【0066】
かかる場合には、前記実施の形態2で述べた構成とは異なり、植栽基盤20の側面側に設けたフラットな位置固定フレーム43bは設けられていないため、植栽基盤20の角でずれ防止を図る構成の位置固定フレーム43aに、Uバンド45が所定高さで直接取り付けられている。本実施の形態の構成でも、ずれ防止部材と、位置固定フレームとが、それぞれの機能を兼ねた構成となっている。
【0067】
本実施の形態の構成を、より具体的には、例えば、図5(a)、(b)に示すように、植栽基盤20を、例えば880mm×1000mmの辺の長さを有する矩形に形成する。植栽基盤20の厚みは、例えば100mmの厚さに形成する。かかる構成の植栽基盤20は、多孔質の樹脂製マットで構成されている。
【0068】
また、植栽基盤20には、図5(a)に示すように、縦横4個ずつ、等間隔でヤシ繊維製ポットaが苗ポットとして設けられ、図5(b)に示すように、かかるポット内にキショウブ等の水性植物bが植栽されている。
【0069】
かかる構成の植栽基盤20が、搭載フレーム41に載せられている。搭載フレーム41は、高密度ポリエチレン製ネットで形成されている。一方、位置固定フレーム43aは、ステンレスで形成され、植栽基盤20がずれないように植栽基盤20の角位置で、位置規制がなされている。
【0070】
位置固定フレーム43aには、Uバンド45が植栽基盤20の高さ調節がなされて取り付けられている。例えば、図5(b)に示すように、植栽基盤20の表面位置が、水面下で水深50mm〜100mmになるように設定されている。また、支持フレーム42には断面角形の棒材が使用され、搭載フレーム41の下面側には植栽基盤支持フロート31が、2本、フロート30に平行に設けられている。
【0071】
このように構成された人工浮島10の植栽基盤20には、図5(b)に示すように、植生植物bがしっかりと根cを張り、植栽基盤20側に流れ込む水の水質浄化を行うようになっている。
【0072】
(実施の形態5)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示した構成の人工浮島10を、陸上植物の植栽に用いた場合を示している。植栽基盤20は、前記実施の形態1と同様に搭載フレーム41上に載せられている。かかる構成の搭載フレーム41は、植栽基盤20を載せた状態で、位置固定フレーム43bのブラケット44が、フロート30に係留するUバンド45に取り付けられている。
【0073】
かかる位置固定フレーム43bの取り付け状況は、取り付けた状態で、植栽基盤20の底面部分が水面位置、あるいは水面上にくるように設定されている。植栽基盤20の表面は、完全に水面上に設定され、水からあがった状態になっている。その他の構成は、前記実施の形態1と同様である。
【0074】
このように、本発明の人工浮島10は、元々は水性植物bを水没させた植栽基盤20に植栽して、その植栽により人工浮島10の周辺水域の水をフロート30を設けない断続部22から植栽基盤20の上面側に入れて、その水質浄化を図るものであるが、本実施の形態に示すように陸生植物の植生としても利用することができる。
【0075】
勿論、本実施の形態のように使用した場合には、植栽基盤20での水質浄化作用は基本的には期待することはできない。
【0076】
(実施の形態6)
本実施の形態では、植栽基盤20の外縁21を三角形に形成した場合である。断続部22は、図7(a)に示すように、三角形の異なる2辺に設けられ、残る1辺側には外縁21に相当する水面上にフロート30が設けられている。図7(b)は、図7(a)のA−A線での断面図である。
【0077】
かかる構成では、植栽基盤20は、前記実施の形態1と同様に、三角形状のフラットな搭載フレーム41上に載せられ、その状態で水没させられている。水没状態で、植栽基盤20は、図7(b)に示すように、植栽基盤20の三角形状の頂点側に植栽基盤支持フロート31が設けられ、フロート30では不足する浮力を補う構成となっている。
【0078】
水面上の浮遊物は、例えば、図7(a)の矢印で示すように、水の出入りに合わせて自由に移動することができる。図7(a)に示す構成では、支持フレーム42の構成は、植栽基盤20が小さいため設けられていない構成である。勿論、必要に応じて、設ければよい。フロート30への植栽基盤20の係留には、図示は省略したが、前記実施の形態1で示したように構成すればよい。
【0079】
図8(a)に示す構成では、植栽基盤20は、その外縁21は五角形に形成されており、その相対する2辺側にフロート30が設けられた構成である。また、残りの1辺と残りの相対する2辺側は、フロート30が設けられない断続部22に形成されている。また、水中から植栽基盤20を底面側から支持する植栽基盤支持フロート31は、五角形の2辺側のフロート30を設けない頂点側の水中に設けられている。
【0080】
かかる構成の人工浮島10では、水没した植栽基盤20の表面側には、人工浮島10の周辺水域から、例えば、図8(a)の矢印に示すように、水の出入りがあり、水質の浄化が行われる。図8(b)は、図8(a)のA−A線での断面図である。
【0081】
本実施の形態では、植栽基盤20のフロート30への係留は、実施の形態1でのべたように行えばよい。
【0082】
(実施の形態7)
前記実施の形態では、多辺形に形成した植栽基盤20の外縁21に沿って、相対する対辺側に断続部22を設けた場合を示したが、例えば、図9(a)、(b)に示すように、隣合う2辺に設けても一向に構わない。隣合う他の2辺には、フロート30が設けられている。かかるフロート30は、図に示すように、L型に曲げられたエルボ等の管接続部材30aを用いて隣合う2辺のフロート30同士を連結すればよい。あるいは、当初から、角の曲がりに合わせて曲げたフロート30を形成しておいても構わない。
【0083】
尚、本実施の形態では、植栽基盤20とフロート30との位置関係を示すため、植栽基盤20のフロート30への係留手段は図示を省略した。
【0084】
図9(a)に示す場合には、正方形に構成した植栽基盤20の隣接する2辺に相当する水面上に、断続部22を設けた場合である。例えば、水の出入り方向は、図中の矢印に示すようになる。
【0085】
図9(b)は、植栽基盤20の外縁21を長方形に形成した場合で、隣接する2辺に短辺の長さに相当するフロート30を設けた構成を示している。この場合には、同様のフロート30の構成を、相対する側に、植栽基盤支持フロート31として設ければよい。図では、水面上のフロート30は管接続部材30aにより接続構成しているが、水中の植栽基盤支持フロート31は、2個の独立した構成となっている。
【0086】
水面に浮かせるフロート30は、断続部22を別途所定位置に形成するため、他の箇所にはフロート30間に間隙部分が形成されないようにしている。このようにフロート30を形成することで、フロート30間の間隙から水の出入りが起きないようにすることができる。また、植栽基盤支持フロート31では、フロート間からの水の出入りには関係がないので、それぞれ独立構成の植栽基盤支持フロート31を用いればよい。勿論、管接続部材30aを用いて繋いでも構わない。
【0087】
前記実施の形態では、フロート30の長さが、植栽基盤20の多辺形の一辺の長さに等しい構成ばかりを示したが、かかるフロート30の長さは、任意で構わない。図9(b)に示すように、浮力が十分に得られる構成であれば、フロート30は長辺の半分以下の長さのように、適宜に設定して構わないのである。
【0088】
(実施の形態8)
本実施の形態では、図10(a)、(b)に示すように、植栽基盤20を円形に形成した場合を示す。図10(a)の構成では、フロート30を、植栽基盤20の外縁21に沿って円弧状に形成した場合である。フロート30は、相対する方向に設けておき、断続部22が相対す方向に直線状に設けられた場合である。植栽基盤支持フロート31は、断続部22側の底面側に設けておけばよい。
【0089】
図10(b)に示す場合は、植栽基盤20の外縁21を円形に形成して、フロート30を直状に構成した場合を示す。かかる構成の植栽基盤20では、植栽基盤支持フロート31が、水面下に複数設けられ、水面上にはフロート30を極力小さく設定したもので、全体としての景観を重視した構成である。
【0090】
尚、本実施の形態では、植栽基盤20とフロート30との位置関係を示すために、植栽基盤20のフロート30への係留手段は図示を省略した。
【0091】
(実施の形態9)
本実施の形態では、複数の人工浮島10を連結して人工浮島群100を構成したものである。特に、図11(a)、(b)、(c)に示すように、本実施の形態の構成では、個々の人工浮島10の断続部22が、互いに対向する位置に設定させられて連結されている。このように連結することで、人工浮島群100を構成する個々の人工浮島10を貫いて両矢印で水の出入り方向を示す水路50が形成されることとなり、水質浄化に際しては、水が、人工浮島群100の一方の端にある人工浮島10の断続部22から入り、他方の端にある人工浮島10の断続部22から排出されることとなる。
【0092】
図11(a)に示す構成では、植栽基盤20は、それぞれ三角形に形成され人工浮島10を連結して、人工浮島群100を構成した場合を示した。互いに隣り合う直状のフロート30は、直状の管接続部材30bにより接続されて、フロート30間に間隙ができないようになっている。人工浮島10の連結は、フロート30同士を管接続部材30bで連結するのと、併せて図示はしないが植栽基盤20同士を連結して行われている。
【0093】
図11(b)に示す構成では、植栽基盤20は、正方形に形成され、相対する対辺側にフロート30を設けた人工浮島10を連結して人工浮島群100を構成した場合を示している。隣合うフロート30間は、直状の管接続部材30bを介して連結されている。
【0094】
かかる構成では、人工浮島群100は、対辺にフロート30を設けた人工浮島10が横に直線状に繋げられているため、フロート30同士を管接続部材30bで連結するだけで人工浮島10の連結も行うことができる。
【0095】
図11(c)に示す構成は、植栽基盤20の構成を正方形に形成して、一方の植栽基盤20では相対する対辺側にフロート30を設け、他方の植栽基盤20側では隣接する2辺にフロート30を設けた場合である。フロート30の連結には、管接続部材30a、30bがそれぞれ使用されている。人工浮島10の連結は、植栽基盤20同士を連結しても構わないが、例えば、フロート30同士を管接続部材30bで連結することで行うようにしても構わない。
【0096】
かかる構成の人工浮島10を組み合わせることで、人工浮島群100内を通過する水路50を曲げた構成とすることができる。このように両矢印で水の出入り方向を示す水路50を曲げることで、人工浮島群10の組合せ如何で、自由な水路50のレイアウトが構成できる。
【0097】
尚、本実施の形態では、植栽基盤20とフロート30との位置関係を示すために、植栽基盤20のフロート30への係留手段は図示を省略した。
【0098】
(実施の形態10)
本実施の形態では、8個の人工浮島10を、断続部22同士を対向位置に設けた状態で連結して、両矢印で示す水路50を、人工浮島群100の一方の端の人工浮島10の断続部22から、他方の端の人工浮島10の断続部22へ抜けるように形成した場合である。
【0099】
図12に示すように、各々の人工浮島10を構成するフロート30は、L型に曲げられた管接続部材30aと、直状に形成された管接続部材30bと、三叉に形成された管接続部材30cとを適宜に用いて接続されている。かかる構成でも、人工浮島10の連結は、植栽基盤20同士を連結しても構わないが、フロート30同士を管接続部材30a、30b、30cで連結することで代えることができる。
【0100】
かかる構成は、前記実施の形態で述べた構成の人工浮島10を、組み合わせて可能となったものである。このように、水路50を曲がりくねって人工浮島群100の中に構成することで、水の水路50内を流れる時間を長く設定して、植栽基盤20の水質浄化作用を十分に働かせるようにしても構わない。
【0101】
尚、本実施の形態では、植栽基盤20とフロート30との位置関係を示すために、植栽基盤20のフロート30への係留手段は図示を省略した。
【0102】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、水質の浄化機能を有効に果たす人工浮島で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図2】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図3】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図4】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図6】(a)は本発明の人工浮島の状況を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図7】(a)は植栽基盤の形状の変形例を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図8】(a)は植栽基盤の形状の変形例を示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図9】(a)、(b)は植栽基盤の断続部の変形例を示す平面図である。
【図10】(a)、(b)は植栽基盤の形状の変形例を示す平面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は、複数の人工浮島を組み合わせて人工浮島群を構成した場合を示す平面図である。
【図12】複数の人工浮島を組み合わせて人工浮島群を構成した場合において、水路曲げて構成した場合を示す平面図である。
【符号の説明】
【0105】
10 人工浮島
20 植栽基盤
20a 表面
21 外縁
22 断続部
30 フロート
30a 管接続部材
30b 管接続部材
30c 管接続部材
31 植栽基盤支持フロート
40 フレーム
41 搭載フレーム
42 支持フレーム
43 位置固定フレーム
43a 位置固定フレーム
43b 位置固定フレーム
44 ブラケット
45 Uバンド
50 水路
100 人工浮島群
a ヤシ繊維製ポット
b 水性植物
c 根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浮かせるフロートに植栽基盤を設けた人工浮島であって、
前記植栽基盤は、水面下に水没させられ、
前記フロートは、水没させた前記植栽基盤の外縁に相当する水面上に、浮遊物の通行を阻害しない断続部を有し、
水没させた前記植栽基盤には、前記植栽基盤の底面を水中から支える植栽基盤支持フロートが設けられていることを特徴とする人工浮島。
【請求項2】
請求項1記載の人工浮島において、
前記浮遊物の通行を阻害しない断続部を有するとは、水流方向に沿って前記フロートを設けるとともに、前記水流方向の横断方向に沿っては前記フロートを設けないことであることを特徴とする人工浮島。
【請求項3】
請求項1記載の人工浮島において、
前記浮遊物の通行を阻害しない断続部を有するとは、前記植栽基盤の外縁が多辺形の場合には、少なくとも前記外縁の一辺に相当する水面上に前記フロートを設けるとともに、少なくとも前記外縁の異なる2辺に相当する水面上には前記フロートを設けないことであることを特徴とする人工浮島。
【請求項4】
請求項3記載の人工浮島において、
前記植栽基盤の外縁が四辺形の場合には、二対の相対する対辺のうち、一方の相対する対辺に相当する水面上に前記フロートを設けるとともに、他方の相対する対辺に相当する水面上には前記フロートを設けないことであることを特徴とする人工浮島。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工浮島において、
前記人工浮島には、前記フロートを設けない断続部分を少なくとも2箇所設定し、
前記人工浮島を複数連結する際には、各々の前記人工浮島における断続部同士を対向位置に設けて連結することを特徴とする人工浮島。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工浮島において、
前記植栽基盤には、前記植栽基盤の断続部方向への設置位置のずれを防止するずれ防止部材が設けられていることを特徴とする人工浮島。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の人工浮島において、
前記植栽基盤は、設置時の水深位置の調節を行う水深位置調節部材を介して前記フロートに係留されることを特徴とする人工浮島。
【請求項8】
請求項7記載の人工浮島において、
前記水深位置調節部材は、請求項6に記載の前記ずれ防止部材を兼ねていることを特徴とする人工浮島。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の人工浮島において、
前記植栽基盤、あるいは前記フロートの少なくともいずれかには、前記断続部側が、水流方向の横断方向を向くように前記人工浮島の位置補正を行う人工浮島位置補正機構が設けられていることを特徴とする人工浮島。
【請求項10】
人工浮島を用いた水質の浄化方法であって、
前記人工浮島には、水没させた植栽基盤の外縁の水面上に相当する位置にフロートを設けた部分と、水没させた植栽基盤の外縁の水面上に相当する位置にフロートを設けない断続部とを形成し、
複数の前記人工浮島を、各々の前記断続部同士を対向させて前記複数の人工浮島を通る水路を設けた人工浮島群を形成し、
前記人工浮島群の前記水路に前記人工浮島群の周辺域の水を流入させて、各々の前記人工浮島の植栽基盤により水質の浄化を行い、浄化した水を前記人工浮島群から流出させることを特徴とする人工浮島を用いた水質浄化方法。
【請求項11】
請求項10記載の水質浄化方法において、
前記水路は、非直線状に曲げられていることを特徴とする人工浮島を用いた水質浄化方法。
【請求項12】
請求項10または11記載の水質浄化方法において、
前記人工浮島には、前記請求項1〜9に記載のいずれか1項に記載の人工浮島が使用されていることを特徴とする人工浮島を用いた水質浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−182979(P2008−182979A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20862(P2007−20862)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】