説明

人形玩具の骨格構造及び当該連結構造を備えた骨格部材並びに当該骨格部材を外皮部材によって被覆した人形玩具

【課題】 ボールジョイント方式の連結構造を採用した骨格部材に近い可動範囲を有し、また、パーツを交換したり、新たなパーツを追加することなく、同じパーツを用いながら異なる体格に変形させることができる人形玩具の骨格構造を提供する。
【解決手段】 隣り合う骨格パーツが連結パーツを介して連結される人形玩具の骨格構造において、前記隣り合う骨格パーツに対してそれぞれ前記連結パーツを挟むことができる間隔を空けて伸びる一対の支持片を設け、当該連結パーツを当該一方の骨格パーツの両支持片間に挟んだ状態で回転可能に軸止めすると共に、当該他方の骨格パーツの両支持片間に挟んだ状態で回転可能に軸止めし、当該連結パーツの当該一方の骨格パーツに対する回転の軸と当該他方の骨格パーツに対する回転の軸とがねじれの位置となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形玩具の骨格構造及び当該連結構造を備えた骨格部材並びに当該骨格部材を外皮部材によって被覆した人形玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、骨格部材を外皮部材によって被覆した構造の人形玩具は、人体と同様の可動範囲を有しながら、関節部分に現れる機械的構造を外皮部材によってある程度隠すことができ、美しい外観を再現することができるため、従来から展示鑑賞用の人形玩具に対して多く採用されている。
【0003】
近年、骨格部材を外皮部材によって被覆した構造の人形玩具としては、次の各種人形玩具が提供されている。
【0004】
例えば、後出特許文献1には、骨格部材の胴体部の構造として、両端に設けた夫々の第一玉部と第二玉部を、夫々回動可能に嵌め込んだ断面視略U字状の腰部骨格連結部と胸部骨格連結部とからなり、腰部骨格連結部と胸部骨格連結部は、夫々が前後左右に回動可能で、かつ夫々が水平方向にも所望範囲で移動することができる腹骨格部を有するソフトビニル製大型可動人形が開示されている。
【0005】
また、後出特許文献2には、軸部材と、軸部材の両端に設けられた球状関節とからなる第1の部材と、筒状に形成され、一端開口側と他端開口側に第1の部材の球状関節を回動自在に抱持する抱持部が形成され、外周面にフランジが設けられている第2の部材とからなる関節装置の両端に第2の部材が配置された支骨部材を有しており、下半身部は、第1の下半体と第2の下半体に二分割され、第1の下半体と第2取付の下半体には、支骨部材の一端の第2の部材を挟んで取り付ける取付部が形成され、この部に第2の部材のフランジを係合する係合溝が形成されており、上半身部は、第1の上半体と第2の上半体に二分割され、第1の上半体と第2の上半体には、支骨部材の他端の第2の部材を挟んで取り付ける取付部が形成され、この取付部に第2の部材のフランジを係合する係合溝が形成されている人形体が開示されている。
【0006】
ところが、特許文献1及び特許文献2に開示された人形玩具においては、いずれも骨格部材の可動部分を構成する各パーツをボールジョイント方式によって連結しているので、人形玩具の関節を必要以上に屈曲させると、ボールジョイントの連結が外れてしまうという不具合が発生することがあった。また、ボールジョイント方式によって各パーツが連結された骨格部材においては、骨格部材の体格を変更するためには、パーツを交換したり、新たなパーツを追加する必要があるため、異なる体格の人形玩具に対して全く同じパーツからなる骨格部材を採用することができなかった。
【特許文献1】特開2004−222935 第12頁、図1
【特許文献2】特開2002―227829 第1頁、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ボールジョイント方式の連結構造を採用した骨格部材に近い可動範囲を有し、また、パーツを交換したり、新たなパーツを追加することなく、同じパーツを用いながら異なる体格に変更させることができる人形玩具の骨格構造を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、隣り合うパーツが連結パーツを介して連結される人形玩具の骨格構造において、前記隣り合うパーツに対してそれぞれ前記連結パーツを挟むことができる間隔を空けて伸びる一対の支持片を設け、当該連結パーツを当該一方のパーツの両支持片間に挟んだ状態で回転可能に軸止めすると共に、当該他方のパーツの両支持片間に挟んだ状態で回転可能に軸止めし、当該連結パーツの当該一方のパーツに対する回転の軸と当該他方のパーツに対する回転の軸とがねじれの位置となるようにすればよいという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0009】
即ち、本発明に係る人形玩具の骨格構造は、隣り合う骨格パーツが連結パーツを介して連結される人形玩具の骨格構造において、前記隣り合う骨格パーツのいずれもが前記連結パーツを挟むことができる間隔を空けて伸びる一対の支持片を有しており、当該連結パーツが当該一方の骨格パーツの両支持片間に挟まれた状態で回転可能に軸止めされていると共に当該他方の骨格パーツの両支持片間に挟まれた状態で回転可能に軸止めされており、当該連結パーツの当該一方の骨格パーツに対する回転の軸と当該他方の骨格パーツに対する回転の軸とがねじれの位置にあるものである。
【0010】
また、本発明は、前記人形玩具の骨格構造において、連結パーツの一方の骨格パーツに対する回転の軸と他方の骨格パーツに対する回転の軸とが直交していると共にねじれの位置にあるものである。
【0011】
また、本発明は、前記人形玩具の骨格構造において、少なくとも三つの連続する骨格パーツを有しており、隣り合う骨格パーツがそれぞれ異なる連結パーツによって連結されているものである。
【0012】
また、本発明に係る人形玩具の骨格部材は、前記いずれかの骨格構造を備えたものである。
【0013】
また、本発明に係る人形玩具は、前記骨格部材を外皮部材によって被覆したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人形玩具の骨格構造において、隣り合う骨格パーツにおける一方の骨格パーツに設けられた一対の支持片間に連結パーツを回転可能に軸止めすると共に、他方の骨格パーツに設けられた一対の上側支持片間に連結パーツを回転可能に軸止めし、一方の骨格パーツに対する連結パーツの回転軸と他方の骨格パーツに対する連結パーツの回転軸とをねじれの位置になるようにしたので、一方の骨格パーツの連結パーツに対する回転方向と他方の骨格パーツの連結パーツに対する回転方向とが異なるようになり、一方の骨格パーツの連結パーツに対する回転と他方の骨格パーツの連結パーツに対する回転を組み合わせることにより、連結パーツを基点として一方の骨格パーツを他方の骨格パーツに対してあらゆる方向に屈曲させることができる。
【0015】
また、隣り合う骨格パーツにおける一方の骨格パーツと他方の骨格パーツとを連結パーツを介して連結する際に、一方の骨格パーツの連結パーツに対する回転軸を他方の骨格パーツの連結パーツに対する回転軸よりも一方の骨格パーツに設けられた一対の支持片の元端側に位置付けることによって骨格を縮めることができ、また、先端側に位置付けることによって骨格を伸ばすことができるので、全く同じパーツを用いて異なる体格への変更が可能となる。
【0016】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0018】
実施の形態
【0019】
図1は実施の形態に係る人形玩具を示した正面視部分断面図である。図2は実施の形態に係る人形玩具を示した側面視部分断面図である。図3は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の頸椎部を示した分解斜視図である。図4は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の胸椎部を示した分解斜視部図である。図5は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部を示した分解斜視部図である。図6は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の骨盤部を示した分解斜視部図である。図7は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部の可動状態を示した説明図であり、図7の(a)は正面視した状態を示しており、図7の(b)は側面視した状態を示している。図8は図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部の伸縮状態を示した説明図であり、図8の(a)は縮んだ状態を示しており、図8の(b)は伸びた状態を示している。これらの図において、1は、人体の頭を構成する頭部2と、人体の胴体を構成する胴体部3と、人体の腕を構成する腕部4,4と、人体の脚を構成する脚部5,5とからなる人形玩具である。そして、人形玩具1の頭部2は、人体の首付け根に当たる部分に下方へ向かう首付け根部開口6が形成された頭外皮部材7によって構成されている。また、人形玩具1の胴体部3は、胴体骨格部材8を胴体外皮部材9によって被覆した構成となっており、胴体外皮部材9は、人体の首から胸を構成する上胴外皮部材10と、人体の腹から腰を構成する下胴外皮部材11とに二分割されている。
【0020】
上胴外皮部材10には、人体の首に当たる部分に上方へ向かう首部開口12が形成されていると共に、人体の肩に当たる部分に側方へ向かう肩部開口13,13が形成されており、下部には、下胴外皮部材11の上部が嵌り込む大きさの下部開口14が形成されている。また、下胴外皮部材11には、人体の股に当たる部分に下方へ向かう股部開口15,15が形成されており、上部には、上胴外皮部材10と連通するように上部開口16が形成されている。
【0021】
胴体骨格部材8は、人体の頸椎付近に設置される頸椎部17と、人体の胸椎付近に設置される胸椎部18と、人体の腰椎付近に設置される腰椎部19と、人体の骨盤付近に設置される骨盤部20とから構成されている。
【0022】
頸椎部17は、図3に示すように、球体21と該球体21の上面から突出する軸体22とからなる頭部連結軸23と、側面視凸状の円柱体24と該円柱体24の下面から突出した三角柱状の連結体25と該連結体25の下端に設けられた球体26とからなる頸椎部連結軸27と、頭部連結軸23と頸椎部連結軸27との間に介在する筒体28と、筒体28に挿入された状態で頭部連結軸23と頸椎部連結軸27とを牽引するコイル状引きバネ29と、引きバネ29の両端に形成されたリング部30,30を頭部連結軸23又は頸椎部連結軸27に掛け止めるための引きバネ止めピン31,31とから構成されている。そして、頭部連結軸23の球体21には、両側面を貫くピン穴32が形成されていると共に、軸体22が突出する面と反対側の面をピン穴32を含めて切り欠いてなる引きバネ受け凹部33が形成されている。また、頸椎部連結軸27の円柱体24には、側面の一部を中心軸を含めて切り欠いてなる引きバネ受け溝部34が形成されている。
【0023】
従って、頸椎部17は、引きバネ29における一方側のリング部30を頭部連結軸23の球体21に形成された受け凹部33に嵌め込んだ状態で、止めピン31をピン穴32に通すと共に一方側のリング部30に通し、止めピン31に一方側のリング部30を掛け止めた後、引きバネ29を筒体28に通し、引きバネ29の下部を頸椎部連結軸27の円柱体24に形成された受け溝部34に嵌め込んで引きバネ29の他方側のリング部30を頸椎部連結軸27の円柱体24下面に達するまで引き伸ばした状態で、止めピン31を受け溝部34を跨ぐように他方側のリング部30に通し、止めピン31に他方側のリング部30を掛け止める構造となっている。
【0024】
胸椎部18は、図4に示すように、T字パイプ35と、T字パイプ35の横方向に伸びるパイプの各先端部に嵌め込まれる補強リング36と、T字パイプ35の縦方向に伸びるパイプの先端部に嵌め込まれる二つの補強リング37とから構成されている。そして、T字パイプ35の横方向に伸びるパイプの上面には、隙間を空けて対向する一対の頸椎部支持板38が設けられており、両頸椎部支持板38には、互いに対向する面の中央に頸椎部17の頸椎部連結軸27に設けられた球体26が摺動可能な状態で嵌り込む球面状の受け凹部39が形成されていると共に、受け凹部39を挟むように一対のネジ穴40が形成されている。また、T字パイプ35の横方向に伸びるパイプの下面には、縦方向に伸びるパイプを挟んで両側に補強板41が設けられている。なお、T字パイプ35は、前後に二分するように分割されており、各ネジ穴40にボルト42を通し、ナット43によってネジ止めすることにより組み合わせる。
【0025】
腰椎部19は、図5に示すように、胸椎部18と連結する第一腰椎パーツ44(骨格パーツ)と、第一腰椎パーツ44と連結する第二腰椎パーツ45(骨格パーツ)と、第二腰椎パーツ45と連結する第三腰椎パーツ46(骨格パーツ)と、第一腰椎パーツ44と第二腰椎パーツ45との間に介在して両腰椎パーツ44,45を連結する上側連結パーツ47と、第二腰椎パーツ45と第三腰椎パーツ46との間に介在して両腰椎パーツ45,46を連結する下側連結パーツ48とから構成されている。
【0026】
第一腰椎パーツ44は、凸型軸部49と、凸型軸部49の上面中央から上方へ伸びて胸椎部18におけるT字パイプ35の縦方向に伸びるパイプに差し込まれる円柱状の胸椎部連結軸50と、凸型軸部49の下側両端から下方へ伸びる一対の支持片51とからなっている。そして、両支持片51には、先端部にネジ穴52が形成されていると共に、互いに対向する面からネジ穴52と連通する筒状の連結軸53が突出している。また、凸型軸部49には、左右方向に横切るネジ穴54が形成されている。なお、第一腰椎パーツ44は、凸型軸部49及び胸椎部連結軸50を左右に二分するように分割されており、各ネジ穴52,54にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めすることにより組み合わせる。
【0027】
第二腰椎パーツ45は、H型軸部55と、H型軸部55の上側両端から上方へ伸びる一対の上側支持片56と、H型軸部55の下側両端から下方へ伸びる一対の下側支持片57とからなっている。そして、両上側支持片56には、先端部にネジ穴58が形成されていると共に、互いに対向する面からネジ穴58と連通する筒状の連結軸59が突出しており、また、両下側支持片57にも、先端部にネジ穴58が形成されていると共に、互いに対向する面からネジ穴58と連通する筒状の連結軸59が突出している。また、H型軸部55には、前後方向に横切るネジ穴60が形成されている。なお、第二腰椎パーツ45は、H型軸部55を前後に二分するように分割されており、各ネジ穴55,58、59にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めすることにより組み合わせる。
【0028】
第三腰椎パーツ46は、凹型軸部61と、凹型軸部61の下側中央から下方へ伸びる円柱状の腰椎部連結軸62と、凹型軸部61の上側両端から上方へ伸びる支持片63とからなっている。そして、両支持片63には、先端部にネジ穴64が形成されていると共に、互いに対向する面からネジ穴64と連通する筒状の連結軸65が突出している。また、凹型軸部61には、左右方向に横切るネジ穴66が形成されている。なお、第三腰椎パーツ46は、凹型軸部61及び腰椎部連結軸62を左右に二分するように分割されており、各ネジ穴64,66にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めすることにより組み合わせる。
【0029】
なお、各腰椎パーツに設けられた支持片は、介在する連結パーツを挟むことができる間隔を空けて平行に並んでいる。
【0030】
両連結パーツ47,48は、共に略立方体状であり、前後方向に貫くように前後軸穴67が形成されていると共に、左右方向に貫くように左右軸穴68が形成されており、両軸穴67,68は、互いに直交し、かつ、ねじれの位置にある。そして、上側連結パーツ47は、左右軸穴68の開口部69が第一腰椎パーツ44の支持片51から突出した連結軸53が嵌るように僅かに大径に形成されており、前後軸穴67の開口部70が第二腰椎パーツ45の上側支持片56から突出した連結軸59が嵌るように僅かに大径に形成されている。また、下側連結パーツ48は、左右軸穴68の開口部69が第三腰椎パーツ45の下側支持片57から突出した連結軸59が嵌るように僅かに大径に形成されており、前後軸穴67の開口部70が第二腰椎パーツ46の支持片63から突出した連結軸65が嵌るように僅かに大径に形成されている。
【0031】
骨盤部20は、一つの頂点を下方へ向けた偏平三角状の骨盤体71と、骨盤体71に固定される脚部連結軸72とから構成されている。そして、骨盤体71には、両斜辺を延長してなる一対の受止片73が上面両端から突出しており、また、上部には、両側面を隆起させてなる円柱台74を囲むように両側面を貫く三つのネジ穴75が形成されていると共に、円柱台74に腰椎部19を構成する第三腰椎パーツ46の腰椎部連結軸62が水平方向に回転可能に嵌る形状に形成された腰椎部受け凹部75が形成されており、下部には、両側面を貫く大径の貫通孔76が形成されている。一方、脚部連結軸72は、偏平状の基部77と、基部77を挟んで両側面から伸びる軸体78とから構成されている。そして、骨盤体20は、両側面間で左右に二分するように分割されており、分割された骨盤体20の対向する面には、貫通孔76の周囲を窪ませてなる固定溝79が形成されており、各ネジ穴75にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めすることこより組み合わせる。
【0032】
次に、本実施の形態に係る人形玩具における胴体部の組み立て方法を説明する。
【0033】
先ず、胸椎部18を構成する分割されたT字パイプ35の両頸椎部支持板38の間に頸椎部17の頸椎部連結軸27に設けられた球体26を位置付けて各ネジ穴40にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めしてT字パイプ35を組み合わせる。この時、頸椎部連結軸27に設けられた球体26は、両頸椎部支持板38に形成された受け凹部39に嵌った状態で摺動可能に支持される。そして、組み合わしたT字パイプ35の各先端部に補強リング36,37を嵌め込む。
【0034】
次に、腰椎部19を組み立てる。先ず、分割された第一腰椎パーツ44の両支持片51から突出した連結軸53を上側連結パーツ47の左右軸穴68に形成された開口部69に対して嵌め込んで、第一腰椎パーツ44の両支持片51に形成されたネジ穴52と上側連結パーツ47の左右軸穴68とを連通させた後、連通した両支持片51のネジ穴52にボルト42を通すと共に、凸型軸部49のネジ穴54にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めして第一腰椎パーツ44を組み合わせる。これにより、上側連結パーツ47は両支持片51に挟まれた状態で左右軸穴68に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めされる。次に、分割された第二腰椎パーツ45の両上側支持片56から突出した連結軸59を上側連結パーツ47の前後軸穴67に形成された開口部70に嵌め込んで、第二腰椎パーツ45の両上側支持片56に形成されたネジ穴58と上側連結パーツ47の前後軸穴67とを連通させると共に、第二腰椎パーツ45の両下側支持片57から突出した連結軸59を下側連結パーツ48の前後軸穴67に形成された開口部70に嵌め込んで、第二腰椎パーツ45の両下側支持片57に形成されたネジ穴58と下側連結パーツ48の前後軸穴67とを連通させた後、連通した両上・下側支持片56,57のネジ穴58,58にボルト42を通すと共に、H型軸部55のネジ穴60にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めして第二腰椎パーツ45を組み合わせる。これにより、上側連結パーツ47が両上側支持片56に挟まれた状態で前後軸穴67に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めさると共に、下側連結パーツ48が両下側支持片57に挟まれた状態で前後軸穴67に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めされる。続いて、分割された第三腰椎パーツ46の両支持片63から突出した連結軸65を下側連結パーツ48の左右軸穴68に形成された開口部69に嵌め込んで、第三腰椎パーツ46の支持片63に形成されたネジ穴64と下側連結パーツ48の左右軸穴68とを連通させた後、連通した両支持片63のネジ穴64にボルト42を通すと共に、凹型軸部61のネジ穴66にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めして第三腰椎パーツ46を組み合わせる。これにより、下側連結パーツ48が両支持片63に挟まれた状態で左右軸穴68に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めされる。そして、組み立てられた腰椎部19の第一腰椎パーツ44に設けられた胸椎部連結軸50を胸椎部18におけるT字パイプ35の縦方向に伸びるパイプに差し込んで、胸椎部18と腰椎部19とを連結させる。
【0035】
次に、骨盤部20を構成する分割された骨盤体71の腰椎部受け凹部75に腰椎部19の第三腰椎パーツ46に設けられた腰椎部連結軸62を水平方向に対して回転可能に嵌め込み、脚部連結軸72の軸体78を分割された骨盤体71のそれぞれの貫通孔76に通過させると共に、基部77を固定溝79に嵌め込んだ状態で各ネジ穴75にボルト42を通し、ナット43にてネジ止めすることにより骨盤体71を組み合わせる。
【0036】
最後に、上胴外皮部材10の下部開口14から前記各工程を経て組み立てられた胴体骨格部材8の頸椎部17及び胸椎部18を挿入し、頸椎部17の頭部連結軸23を首部開口12から突出されると共に、胸椎部18におけるT字パイプ35の横方向に伸びるパイプの各先端を肩部開口13に一致させる。また、下胴外皮部材11の上部開口16から胴体骨格部材8の骨盤部20及び腰椎部19を挿入し、骨盤部20の脚部連結軸72に設けられた軸体78を股部開口15から突出させる。そして、頭外皮部材7の首付け根部開口6に頸椎部17の頭部連結軸2を差し込み、腕部4の人体の肩関節に当たる位置に設けられた腕部連結軸(図示せず)を胸椎部18のT字パイプ35における横方向に伸びるパイプの先端部に差し込み、脚部5の人体の股関節に当たる位置に設けられた脚部連結パイプ(図示せず)に骨盤部20の脚部連結軸72に設けられた軸体78を差し込む。
【0037】
本実施の形態によれば、胴体骨格部材8の腰椎部19において、第一腰椎パーツ44に設けられた一対の支持片51間に上側連結パーツ47を左右軸穴68に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めすると共に、第二腰椎パーツ45に設けられた一対の上側支持片56間に上側連結パーツ47を前後軸穴67に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めし、また、第二腰椎パーツ45に設けられた一対の下側支持片57間に下側連結パーツ48を前後軸穴67に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めすると共に、第三腰椎パーツ46に設けられた一対の支持片63間に下側連結パーツ48を左右軸穴68に通されるボルト42を回転軸として回転可能に軸止めする連結構造を採用したので、図7の(a)に示すように、第二腰椎パーツ45の上側連結パーツ47に対する回転運動又は/及び第二腰椎パーツ45の下側連結パーツ48に対する回転運動によって胴体部3を左右方向に屈曲させることができ、図7の(b)に示すように、第一腰椎パーツ44の上側連結パーツ47に対する回転運動又は/及び第三腰椎パーツ46の下側連結パーツ48に対する回転運動によって胴体部3を前後方向に屈曲させるとこができると共に、さらに、各回転運動を複合させることによって胴体部3をあらゆる方向へ屈曲させることができる。
【0038】
また、両連結パーツ47,48の前後軸穴67と左右軸穴68とは、ねじれの位置にあるため、隣り合う腰椎パーツにおける一方の腰椎パーツと他方の腰椎パーツとを連結パーツを介して連結する際に、一方の腰椎パーツの連結パーツに対する回転軸を他方の腰椎パーツの連結パーツに対する回転軸よりも一方の腰椎パーツに設けられた一対の支持片の元端側に位置付けることによって骨格を縮めることができ(図8の(a)参照)、また、先端側に位置付けることによって骨格を伸ばすことができる(図8の(b)参照)。
【0039】
なお、本実施の形態においては、胴体骨格部材の腰椎部を三つの腰椎パーツによって構成したが、二つの連結パーツによって構成してもよく、また、三つ以上の腰椎パーツによって構成してもよい。この場合、腰椎部を構成する腰椎パーツの数が増すほど胴体部の屈曲姿勢を細かく調節することができ、骨格のサイズも細かく調節することができる。
【0040】
また、本発明に係る骨格部材の連結構造は、人形玩具の胴体部に位置付けられる骨格部材に限定されることなく、腕部や脚部などに位置付けられる骨格部材に対しても採用することができる。
【0041】
なお、骨格部材はアルミニウム、真鍮、ステンレス綱等の金属やウレタン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチロール樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリスチレン樹脂、FRP樹脂等の硬質樹脂材料を使用して成型すればよく、外皮部材は、ポリ塩化ビニール樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー、合成ゴム等の軟質樹脂材料を使用して成型すればよい。なお、前記軟質樹脂材料としてはJIS K6301準拠の硬度37〜54のものが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態に係る人形玩具を示した正面視部分断面図である。
【図2】実施の形態に係る人形玩具を示した側面視部分断面図である。
【図3】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の頸椎部を示した分解斜視図である。
【図4】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の胸椎部を示した分解斜視部図である。
【図5】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部を示した分解斜視部図である。
【図6】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の骨盤部を示した分解斜視部図である。
【図7】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部の可動状態を示した説明図である。
【図8】図1に示す人形玩具における胴体骨格部材の腰椎部の伸縮状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 人形玩具
2 頭部
3 胴体部
4 腕部
5 脚部
6 首付け根部開口
7 頭外皮部材
8 胴体骨格部材
9 胴体外皮部材
10 上胴外皮部材
11 下胴外皮部材
12 首部開口
13 肩部開口
14 下部開口
15 股部開口
16 上部開口
17 頸椎部
18 胸椎部
19 腰椎部
20 骨盤部
21 球体
22 軸体
23 頭部連結軸
24 円柱体
25 連結体
26 球体
27 頸椎部連結軸
28 筒体
29 引きバネ
30 リング部
31 止めピン
32 ピン穴
33 受け凹部
34 受け溝部
35 T字パイプ
36,37 補強リング
38 頸椎部支持板
39 受け凹部
40 ネジ穴
41 補強板
42 ボルト
43 ナット
44 第一腰椎パーツ
45 第二腰椎パーツ
46 第三腰椎パーツ
47 上側連結パーツ
48 下側連結パーツ
49 凸型軸部
50 胸椎部連結軸
51 支持片
52 ネジ穴
53 連結軸
54 ネジ穴
55 H型軸部
56 上側支持片
57 下側支持片
58 ネジ穴
59 連結軸
60 ネジ穴
61 凹型軸部
62 腰椎部連結軸
63 支持片
64 ネジ穴
65 連結軸
66 ネジ穴
67 前後軸穴
68 左右軸穴
69,70 開口部
71 骨盤体
72 脚部連結軸
73 受止穴
74 円柱台
75 ネジ穴
76 貫通孔
77 基部
78 軸体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う骨格パーツが連結パーツを介して連結される人形玩具の骨格構造において、前記隣り合う骨格パーツのいずれもが前記連結パーツを挟むことができる間隔を空けて伸びる一対の支持片を有しており、当該連結パーツが当該一方の骨格パーツの両支持片間に挟まれた状態で回転可能に軸止めされていると共に当該他方の骨格パーツの両支持片間に挟まれた状態で回転可能に軸止めされており、当該連結パーツの当該一方の骨格パーツに対する回転の軸と当該他方の骨格パーツに対する回転の軸とがねじれの位置にあることを特徴とする人形玩具の骨格構造。
【請求項2】
連結パーツの一方の骨格パーツに対する回転の軸と他方の骨格パーツに対する回転の軸とが直交していると共にねじれの位置にある請求項1記載の人形玩具の骨格構造。
【請求項3】
少なくとも三つの連続する骨格パーツを有しており、隣り合う骨格パーツがそれぞれ異なる連結パーツによって連結されている請求項1記載の人形玩具の骨格構造。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載された骨格構造を備えた人形玩具の骨格部材。
【請求項5】
請求項4に記載された骨格部材を外皮部材によって被覆してなる人形玩具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−122248(P2006−122248A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312988(P2004−312988)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(399110362)株式会社ボークス (14)
【Fターム(参考)】