説明

仕分搬送装置

【課題】複数の搬送手段による物品の搬送、滞留、及び物品の搬送速度を適時に制御できる仕分搬送装置を提供する。
【解決手段】仕分搬送装置1は、上限検出手段51の送出する上限信号、及び仕分検出手段49の送出する仕分信号に基づき、搬送手段13の一端9に1つの物品43が導入される毎に、1つの物品43が搬送手段13に搬送される距離がその物品43の長さ以上に達した時点で、制御手段15が搬送手段13を停止させる。これにより物品43は搬送手段13の一端9と他端11との間で停止する。また、搬送手段13は、満量検出手段57の送出する満量信号に基づき、物品43が搬送手段13の一端9に導入されるよりも遅い速度で、搬送手段13の他端11から物品43を導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を仕分し所定の場所まで搬送する仕分搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品をそれぞれの種別、又は送り先別に複数の分岐路に仕分する仕分装置がある。個々の分岐路に仕分された物品はコンベヤにより搬送され、同コンベヤの終端、又はこれに接続されたシュート等から作業者によって台車に積み替えられる。例えば、複数の分岐路のうちの幾つかに仕分られる物品の個数がある時間帯に著しく増大することがある。この場合、作業者が台車に物品を積み替える作業が間に合わなくなり、コンベヤの終端、又はシュート等に複数の物品が停滞する事態となる。
【0003】
上記の物品の停滞を抑制するために、ある一つの分岐路に所定の時間当たりに仕分される物品の個数が著しく増加したときに、その他の分岐路に物品が仕分されるようにしている。或いは、上記のコンベヤ、又はシュート等に達した物品を仕分装置に回帰させることがある。これらの技術が下記の特許文献に記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−326720号公報
【特許文献2】特開2003−095424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、複数の搬送手段による物品の搬送、滞留、及び物品の搬送速度を適時に制御できる仕分搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンベヤにより搬送される複数の物品を前記コンベヤに隣接した複数の分岐路に仕分する仕分手段と、前記複数の物品が縦列する一群の物品群の長さを互いに隔てた一端と他端とを有し、個々の前記分岐路に仕分される物品を1つずつ前記一端から導入し前記他端から順次に導出するよう搬送する搬送手段と、前記搬送手段の他端から順次に導出される物品を1つずつ案内し、これらの物品を案内する順に縦列させる案内路と、前記案内路に縦列する物品の長さの上限を検出し上限信号を送出する上限検出手段と、前記分岐路に仕分された物品を検出し仕分信号を送出する仕分検出手段とを備え、前記制御手段は、前記上限検出手段の上限信号、及び前記仕分検出手段の仕分信号に基づき、前記搬送手段に物品を搬送させ、前記分岐路に仕分けられた物品の1つが前記搬送手段の一端に導入される毎に、前記搬送手段の物品を搬送する距離が前記搬送手段の一端に導入される1つの物品の長さ以上に達した時点で、前記搬送手段を停止させることにより、前記搬送手段の一端から導入された物品を前記搬送手段の一端と他端との間で停止させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記搬送手段の他端に物品が達したことを検出し満量信号を送出する満量検出手段を備え、前記案内路に縦列する物品の個数が上限に満たないとき、前記制御手段は、前記満量検出手段の満量信号に基づき前記搬送手段を動作させ、前記搬送手段の一端と他端との間の物品を前記案内路へ導出させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段が、前記満量検出手段の満量信号に基づき前記搬送手段の他端から物品を導出させる速度を、前記分岐路に仕分された物品を前記搬送手段の他端に導入させる速度よりも遅く設定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記搬送手段の一端から導入された1つの物品が、その長さ以上の距離を前記搬送手段により搬送されたことを検出し導入信号を送出する導入検出手段を備え、前記制御手段は、前記導入検出手段の導入信号に基づき前記搬送手段を停止させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記案内路に縦列する物品の個数が上限に満たないことを検出し解除信号を送出する満量解除手段を備え、前記制御手段は、前記満量解除手段の解除信号に基づき、前記搬送手段の一端と他端との間で停止させた総ての物品が前記搬送手段の他端から導出するまで前記搬送手段を動作させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記搬送手段と、前記案内路と、前記上限検出手段と、前記仕分検出手段とが、前記複数の分岐路にそれぞれ設けられ、前記制御手段は、前記複数の搬送手段の動作を統括制御するコンピューターに、前記複数の分岐路の中から選択される選択対象の分岐路、及びその選択に含まれない非選択の分岐路を認識させる切換機能と、前記コンピューターの認識する選択対象の分岐路に仕分される物品を前記上限検出手段、及び前記仕分検出手段がそれぞれ検出したときに送出する前記上限信号、及び前記仕分信号に基づき、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段に物品を搬送させ、前記選択対象の分岐路に仕分けられた物品の1つが、この分岐路に設けた搬送手段の一端に導入される毎に、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段の物品を搬送する距離が前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段の一端に導入される1つの物品の長さ以上に達した時点で、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段を停止させるフィル機能と、前記コンピューターの認識する非選択の分岐路に仕分けられる物品の搬送を、この分岐路に設けた搬送手段に継続させる定常機能と、を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記制御手段が、前記複数の分岐路の中から選択される選択対象の分岐路、及びその選択に含まれない非選択の分岐路を表示するディスプレイと、前記複数の分岐路に対応するコードをコンピューターに入力する入力手段とを備え、前記コンピューターが前記コードに基づき前記選択対象の分岐路を認識することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の仕分搬送装置によれば、仕分装置の分岐路に物品が仕分けられる毎に、搬送手段が物品を1つずつ搬送し、その順に案内路に複数の物品を縦列させることができる。更に、案内路に縦列する複数の物品の長さが予め定められた上限に達したとき、上限検出手段が上限信号を送出し、個々の分岐路に物品が仕分されたとき、仕分検出手段が仕分信号を送出する。これらの仕分信号、及び上限信号に基づき、制御手段が、分岐路に仕分けられた物品を搬送手段の一端と他端との間で停止させ、搬送手段がその他端から物品を案内路へ導出させるまでの時間を遅延させることができる。
【0014】
また、制御手段は、分岐路に仕分けられた物品の1つが搬送手段の一端に導入される毎に、搬送手段に上述の動作を繰り返させ、搬送手段の一端と他端との間に複数の物品を滞留させることができる。このため、本発明の仕分搬送装置は、ある1つの分岐路に仕分けられる物品の個数が比較的多い時間帯に、この分岐路に仕分される物品が案内路で停滞するのを抑制することができる。
【0015】
このように、本発明の仕分搬送装置は、案内路に物品を滞留させる工程と、案内路の物品の個数が上限に達した後で搬送手段の一端と他端との間に物品を滞留させる工程とを2段階に行うことができる。このため、複数の分岐路のうち特定の分岐路に仕分される物品の個数が増加する傾向にあっても、本発明の仕分搬送装置は、特定の分岐路に接続した案内路へ物品を送り続けることができ、或いは仕分装置への物品の回帰を減少させるという利点がある。
【0016】
更に、本発明の仕分搬送装置によれば、上述の動作の繰り返しにより搬送手段の他端に物品が達したとき、言い換えると搬送手段の一端と他端との間に滞留させることのできる物品の個数が限度を超える直前に、満量検出手段が満量信号を送出する。この段階で、案内路に縦列する物品の個数が上限に満たなければ、制御手段は、満量信号に基づき搬送手段に物品を搬送する動作を開始させ、搬送手段の一端と他端との間に滞留した総ての物品を案内路へ導出することができる。
【0017】
更に、本発明の仕分搬送装置によれば、満量検出手段の満量信号に基づき搬送手段がその他端から物品を導出する速度は、分岐路に仕分される物品を搬送手段がその一端に導入する速度よりも遅く設定されている。これにより、搬送手段の他端から導出される物品が案内路に縦列した物品に当接する際の力を緩和することができる。
【0018】
更に、本発明の仕分搬送装置によれば、搬送手段の一端から導入された1つの物品がその長さ以上の距離を搬送手段により搬送された時点で、導入検出手段の送出する導入信号に基づき、制御手段が搬送手段を停止させる。このため、分岐路に仕分される物品の固有の長さに関わらず、搬送手段の一端に物品が導入された直後、又は物品が他端へ向けて少し移動した時点で搬送手段を停止させることができる。
【0019】
更に、本発明の仕分搬送装置によれば、案内路に縦列する物品の個数が上限に満たないとき、満量解除手段が解除信号を送出する。制御手段は、解除信号に基づき搬送手段に物品を搬送する動作を継続させる。このため、本発明の仕分搬送装置は、ある1つの分岐路に仕分けられる物品の個数が比較的少ない時間帯に、この分岐路に仕分される物品を搬送手段の一端と他端との間に滞留させることなく、直ちに案内路に縦列させることができる。
【0020】
更に、本発明の仕分搬送装置は、複数の搬送手段の動作を統括制御するコンピューターに、複数の分岐路の中から選択される選択対象の分岐路、及びその選択に含まれない非選択の分岐路を認識させることができる。一方、本発明の仕分搬送装置を管理する管理者は、例えばコンピューターのディスプレイ、又はプログラマブルコントローラのモニター画面を目視するだけで、総ての搬送手段がコンピューターのフィル機能、又は定常機能の何れの機能により制御されるかを容易に確認することができる。
【0021】
しかも、管理者は、上記のディスプレイ、又はモニター画面に表示される総ての分岐路の中から随意に幾つかの分岐路を選択し、又はこの選択を解除することができる。このため、管理者は、本発明の仕分搬送装置による物品の仕分の状況に照らして、総ての搬送手段のうちの何れの分岐路に設けた搬送手段がコンピューターのフィル機能により制御されるようにするか、或いは定常機能により制御されるようにするかを一元的に管理することができる。
【0022】
更に、制御手段が選択対象の分岐路、及び非選択の分岐路を表示するディスプレイと、複数の分岐路に対応するコードをコンピューターに入力する入力手段とを備える場合、分岐路の選択、又はその解除を管理者はディスプレイを一見するだけで容易に確認することができる。例えば、複数の分岐路、又は複数の搬送手段に対応するコードをディスプレイにアイコンとして表示させても良く、入力手段がアイコンをクリックすることによりコンピューターにコードを直接入力できるマウスであれば、管理者は上記の管理を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の概略を示す平面図。
【図2】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置に適用した制御手段の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置に適用した分岐路、搬送手段、及び案内路の概略を示す側面図。
【図4】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第1の動作例を示す平面図。
【図5】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第2の動作例を示す平面図。
【図6】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第3の動作例を示す平面図。
【図7】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第4の動作例を示す平面図。
【図8】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第5の動作例を示す平面図。
【図9】本発明の実施形態に係る仕分搬送装置の要部の第6の動作例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1,2に示すように、本発明の実施形態に係る仕分搬送装置1は、コンベヤ3により搬送される物品を複数の分岐路5に仕分する仕分手段7と、個々の分岐路5に仕分される物品を1つずつ一端9から他端11へ向けてそれぞれ搬送する複数の搬送手段13と、複数の搬送手段13が物品を搬送する動作を制御する制御手段15と、複数の搬送手段13のそれぞれの他端11から順次に導出される物品を1つずつ案内する複数の案内路17とを備える。
【0025】
制御手段15は、コンピューター19と、ディスプレイ21と、マウス等の入力手段23と、後述の切換スイッチと、RAM等の記録媒体25とを備える。図1は、図2のディスプレイ21に表示された画像であり、物流施設の構内に設置された仕分搬送装置1の全体を示している。アイコン27に表された「1」〜「39」の番号は、39本の分岐路5、搬送手段13、及び案内路17に対応している。矢印a,bは、搬入コンベヤ29の始端31に搬入される荷物等の物品が搬入コンベヤ29、及び中継コンベヤ33に搬送されてコンベヤ3に至ることを意味する。
【0026】
仕分手段7は、物品をその種類、等階級、又は送り先別に割り当てられた複数の分岐路5へ導くことのできるものであれば良い。例えば、コンベヤ3により搬送される物品が所定の分岐路5の正面を通る時期を見計らって、この物品を分岐路5に押し込むプッシャーを動作させることが慣用されている。分岐路5は、物品をその自重により搬送手段13の一端9まで滑降させるフリーローラコンベヤを備える。図3は、分岐路5の要部の例として互いに並列する複数のローラ35を示している。複数のローラ35は、搬送手段13の一端9に近く配置されている順に高さが低くなるように、水平面に対して7°以上に傾斜したフレーム等に回転自在に支持されている。
【0027】
搬送手段13は、エンドレスベルト37をフレーム等に回転自在に支持されたローラ39,41に巻掛したベルトコンベヤである。ローラ41は電動機により回転し、エンドレスベルト37に受け止められた物品43は案内路17へ向けて搬送される。搬送手段13の一端9から他端11までの距離[L]は、複数の物品43を互いに等間隔に縦列させることのできる長さに相当する。案内路17は、複数のローラ45,47により物品43をそれぞれ受け止める2つのフリーローラコンベヤを一列に連ねたものである。複数のローラ45は、搬送手段13の他端11から離れて配置されている順に高さが低くなるように、水平面に対して7°以上に傾斜したフレーム等に回転自在に支持されている。複数のローラ47は、互いに水平方向に並列し、フレーム等に回転自在に支持されている。
【0028】
図4に示すように、案内路17の終端には物品43を位置決めするストッパー44が設けられている。分岐路5、及び案内路17には、仕分検出手段49、及び上限検出手段51がそれぞれ設置されている。仕分検出手段49は、発光部と受光部とを有する反射型光電センサー53、及び反射材55をそれぞれ分岐路5の両側に設けたものであり、発光部の照射する光線が分岐路5を滑降する物品43に遮られたとき上限信号を送出する。図中の一点鎖線は光線を表している。上限検出手段51は、反射型光電センサー53の照射する光線が案内路17に縦列した物品43に遮られたときに仕分信号を送出するものである。
【0029】
更に、仕分搬送装置1は、搬送手段13の他端11に物品43が達したことを検出し満量信号を送出する満量検出手段57と、搬送手段13の一端9から導入された1つの物品43がその長さ以上の距離を搬送手段13により搬送されたことを検出し導入信号を送出する導入検出手段59と、案内路17に縦列する物品43の個数が上限に満たないことを検出し解除信号を送出する満量解除手段61とを備えることが好ましい。図4は、ここに述べた要素が反射型光電センサー53であることを例示している。
【0030】
次に仕分搬送装置1の動作について説明する。図面は特に断らない限り図1〜3を参照する。また、制御手段15は、以下に述べる定常機能、フィル機能、及び切換機能をコンピューター19に実現させるプログラムを記録媒体25に記録させているものとする。
【0031】
図4に示すように、個々の分岐路5に仕分された物品43は、搬送手段13の一端9へ向けて滑降する。そして、搬送手段13の一端9に達した物品43は、エンドレスベルト37に乗り移り、エンドレスベルト37の走行に従い約80m/minの一定の速度で搬送され、搬送手段13の他端11から導出される。これがコンピューター19の定常機能である。更に、物品43は案内路17に沿って滑降し、ストッパー44に当たり停止する。1つの物品43が分岐路5に仕分される毎に、ここまでの工程が繰り返されることにより、複数の物品43が案内路17に縦列する。
【0032】
このように案内路17に縦列した物品43は作業者によって台車等に積み替えられる。また、案内路17に縦列する物品43の個数が増えるに従って、相隣接する物品43が互いに押し合う力が増大し、これらの物品43の間に作業者の手、又は指が差し入れられるのを妨げる。これが物品43の積み替え作業を遅らせる一因とならないように、仕分搬送装置1をディスプレイ21により監視する管理者は、コンピューター19を次のように操作する。
【0033】
例えば、アイコン27に表された「23」の番号に対応する分岐路5に仕分けられる物品43の著しい個数の増大が予測されるとする。この段階で、管理者は「23」の番号を表したアイコン27を入力手段23のマウス等を用いてクリックし、「23」の番号に対応する分岐路5は選択対象の分岐路5であることをコンピューター19に認識させる。二重枠のアイコン27は、クリックされたアイコン27の色が変化したことを意味する。また、クリックとは、管理者による入力手段23の操作に基づき、アイコン27に表された番号に相当するコードが入力手段23からコンピューター19に入力されることを含意する。
【0034】
選択対象の分岐路5に接続された案内路17の物品43を作業者が積み替える作業が間に合わず、案内路17に物品43が停滞し始めると、図5に示すように、案内路17に縦列する複数の物品43のうち最後に搬送手段13の他端11から導出された物品43が上限検出手段51により検出される。この状態で、上限検出手段51は上限信号を送出し続ける。
【0035】
制御手段15のコンピューター19は、上限検出手段51の上限信号を1秒間認識したことに基づき、搬送手段13の動作を次のように制御する。即ち、選択対象の分岐路5に仕分された1つ目の物品43は、搬送手段13の一端9へ向けて滑降する。この過程で、仕分検出手段49が搬送手段13の一端9に達する直前の物品43を検出し仕分信号を送出する。
【0036】
続いて、物品43がエンドレスベルト37に乗り移り、導入検出手段59の光線を遮る。エンドレスベルト37の走行に従い物品43が搬送され、図6に示すように物品43が搬送手段13の一端9よりも内方へ導入されたところで、導入検出手段59の受光部に光線が回帰する。この時点で、導入検出手段59から送出される導入信号に基づき、コンピューター19が搬送手段13を停止させるので、分岐路5に仕分される物品43の固有の長さに関わらず、搬送手段13の一端9から導入された1つの物品43は、その長さよりも少し長い距離を搬送手段13の一端9の内方へ進んだ位置で停止する。
【0037】
案内路17に縦列する物品43が上限検出手段51により検出された状態で、図6に示す物品43に後続する2つ目の物品が選択対象の分岐路5に新たに仕分されたとする。この2つ目の物品を仕分検出手段49が検出することにより送出する仕分信号に基づき、コンピューター19は搬送手段13の動作を再開させる。これにより、2つ目の物品はエンドレスベルト37の走行に従い搬送され、図7に示すように2つ目の物品43が搬送手段13の一端9に導入されたところで、導入検出手段59から導入信号が送出される。コンピューター19は、導入信号に基づき搬送手段13を停止させ、搬送手段13の一端9と他端11との間に2つの物品43を滞留させる。これがコンピューター19のフィル機能である。
【0038】
上記のように、選択対象の分岐路5に新たな物品43が仕分される毎に、搬送手段13が動作と停止を繰り返すことにより、搬送手段13の一端9と他端11との間に滞留する物品の個数が増加する。図8は、選択対象の分岐路5に仕分された1つ目の物品43が搬送手段13の他端11に達し、5つの物品43が搬送手段13の一端9と他端11との間に滞留した状態を表している。
【0039】
以上に述べた仕分搬送装置1によれば、ある1つの分岐路5に仕分けられる物品43の個数が比較的多い時間帯に、分岐路5に仕分けられた物品43を搬送手段13がその他端11から案内路17へ導出させるまでの時間を遅延させ、また搬送手段13の一端9と他端11との間に複数の物品43を滞留させることができる。このため、仕分搬送装置1は、物品43が案内路17で停滞するのを抑制することができる。
【0040】
また、仕分搬送装置1は、案内路17に物品43を滞留させる工程と、案内路17に縦列する物品43の個数が上限に達した後で搬送手段13の一端9と他端11との間に物品43を滞留させる工程とを2段階に行うことができる。このため、選択対象の分岐路17に仕分される物品43の個数が増加する傾向にあっても、仕分搬送装置1は、選択対象の分岐路17に接続した案内路17へ物品を送り続けることができ、或いは仕分手段7への物品43の回帰を減少させるという利点がある。
【0041】
また、作業者による物品43の積み替えが進行し、案内路17に縦列する物品43の個数が上限を下回ったとき、上限検出手段51の上限信号は断たれ、満量解除手段61が解除信号を送出する。この状況で、図8に示すように、搬送手段13の他端11に物品43が達したとする。言い換えれば、搬送手段13の一端9と他端11との間に滞留させることのできる物品43の個数が限度を超える直前に、満量検出手段57が満量信号を送出する。
【0042】
コンピューター19は、満量検出手段57が満量信号を送出し、かつ満量解除手段61が解除信号を2秒間続けて送出したことに基づき、搬送手段13に物品43を搬送する動作を開始させ、搬送手段13の一端9と他端11との間に滞留した総ての物品43が案内路17へ導出されるまで、搬送手段13の動作を継続させる。或いは、図9に示すように作業者が案内路17から積極的に物品43を払い出しても良い。これにより上限検出手段51の上限信号は断たれ、更に満量解除手段61が2秒間続けて送出する解除信号に基づき、コンピューター19が、搬送手段13にその一端9と他端11との間に滞留した5つの物品43を案内路17へ導出させるようにしても良い。
【0043】
また、仕分搬送装置1は、満量検出手段57の満量信号に基づきコンピューター19が搬送手段13にその他端11から物品43を導出させる速度は、約50m/minであることが好ましい。これは、コンピューター19の定常機能によって制御される搬送手段13が物品43を搬送する速度、或いはコンピューター19のフィル機能によって制御される搬送手段13が物品43をその一端9に導入する速度よりも遅く設定されている。これにより、搬送手段13の他端11から導出される物品43が案内路17に縦列した物品43に当接する際の力を緩和することができる。
【0044】
また、管理者が、仕分搬送装置1による物品43の仕分の状況に照らして上記の時間帯が過ぎたと判断し、「23」の番号を表したアイコン27を再度クリックすると、「23」の番号に対応する分岐路5が非選択の分岐路5に切り換えられたことをコンピューター19が認識し、「23」の番号に対応する搬送手段13の動作はコンピューター19の定常機能により制御される。このように、管理者は、何れの分岐路5に設けた搬送手段13がコンピューター19のフィル機能により制御されるようにするか、或いは定常機能により制御されるようにするかを一元的に管理することができる。
【0045】
更に、仕分搬送装置1は、複数の案内路17、又はその近傍に切換スイッチ24をそれぞれ設けることが好ましい。この場合、案内路17の物品43を台車に積み替える作業者が、切換スイッチ24を操作したときに、切換スイッチ24の送出する切換信号に基づき、コンピューター19に選択対象、又は非選択の分岐路5を認識させることができる。このため、個々の搬送手段13がコンピューター19のフィル機能により制御されるようにするか、或いは定常機能により制御されるようにするかの切換は、作業者の現場状況に鑑みた判断によっても行うことができる。
【0046】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。分岐路5は、搬送手段13と同様のベルトコンベヤであっても良く、又はこのようなベルトコンベヤにより物品を搬送し、その後に既述のフリーローラコンベヤにより物品を滑降させても良い。搬送手段13は、電動機によりローラを回転させるローラコンベヤであっても良い。コンピューター19に代えて、搬送手段13をシーケンス制御するプログラマブルコントローラを制御手段15として適用し、そのモニター画面で管理者が搬送手段13の動作を監視できるようにしよも良い。
【0047】
満量検出手段57、導入検出手段59、及び満量解除手段61を省略しても、本発明の実施が妨げられることはない。即ち、選択対象の分岐路5に仕分られた5つ目の物品43を導入検出手段59が検出したときに、搬送手段13の他端11に1つ目の物品43が達することをコンピューター19が認識するようにしても良い。搬送手段13の一端9から物品43が導入され、その長さ以上の距離を搬送手段13により搬送されるのに要する時間をコンピューター19に計時させ、この時間の経過に基づいてコンピューター19が搬送手段13を停止させても良い。
【0048】
また、コンピューター19の定常機能の説明として、搬送手段13が不断に動作することを前提としたが、非選択の分岐路5に物品43が仕分られていないときに搬送手段13を停止させても良い。この場合、非選択の分岐路5に物品43が仕分られる毎に、この物品43を仕分検出手段49が検出することにより送出する仕分信号に基づき、コンピューターが搬送手段13を起動させ、搬送手段13の他端11から物品43が導出された時点で搬送手段13を停止させても良い。記録媒体25はROM、CD、又はハードディスクであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、あらゆる荷姿の物品の搬送、又は物品を仕分するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0050】
1...仕分搬送装置、3...コンベヤ、5...分岐路、7...仕分手段、9...一端、11...他端、13...搬送手段、15...制御手段、17...案内路、19...コンピューター、21...ディスプレイ、23...入力手段、24...切換スイッチ、25...記録媒体、27...アイコン、29...搬入コンベヤ、31...始端、33...中継コンベヤ、35,39,41,45,47...ローラ、37...エンドレスベルト、43...物品、44...ストッパー、49...仕分検出手段、51...上限検出手段、53...反射型光電センサー、55...反射材、57...満量検出手段、59...導入検出手段、61...満量解除手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤにより搬送される複数の物品を前記コンベヤに隣接した複数の分岐路に仕分する仕分手段と、
前記複数の物品が縦列する一群の物品群の長さを互いに隔てた一端と他端とを有し、個々の前記分岐路に仕分される物品を1つずつ前記一端から導入し前記他端から順次に導出するよう搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の他端から順次に導出される物品を1つずつ案内し、これらの物品を案内する順に縦列させる案内路と、
前記案内路に縦列する物品の長さの上限を検出し上限信号を送出する上限検出手段と、
前記分岐路に仕分された物品を検出し仕分信号を送出する仕分検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記上限検出手段の上限信号、及び前記仕分検出手段の仕分信号に基づき、前記搬送手段に物品を搬送させ、前記分岐路に仕分けられた物品の1つが前記搬送手段の一端に導入される毎に、前記搬送手段の物品を搬送する距離が前記搬送手段の一端に導入される1つの物品の長さ以上に達した時点で、前記搬送手段を停止させることにより、前記搬送手段の一端から導入された物品を前記搬送手段の一端と他端との間で停止させることを特徴とする仕分搬送装置。
【請求項2】
前記搬送手段の他端に物品が達したことを検出し満量信号を送出する満量検出手段を備え、
前記案内路に縦列する物品の個数が上限に満たないとき、前記制御手段は、前記満量検出手段の満量信号に基づき前記搬送手段を動作させ、前記搬送手段の一端と他端との間の物品を前記案内路へ導出させることを特徴とする請求項1に記載の仕分搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記満量検出手段の満量信号に基づき前記搬送手段の他端から物品を導出させる速度を、前記分岐路に仕分された物品を前記搬送手段の他端に導入させる速度よりも遅く設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の仕分搬送装置。
【請求項4】
前記搬送手段の一端から導入された1つの物品が、その長さ以上の距離を前記搬送手段により搬送されたことを検出し導入信号を送出する導入検出手段を備え、
前記制御手段は、前記導入検出手段の導入信号に基づき前記搬送手段を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の仕分搬送装置。
【請求項5】
前記案内路に縦列する物品の個数が上限に満たないことを検出し解除信号を送出する満量解除手段を備え、
前記制御手段は、前記満量解除手段の解除信号に基づき、前記搬送手段の一端と他端との間で停止させた総ての物品が前記搬送手段の他端から導出するまで前記搬送手段を動作させることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の仕分搬送装置。
【請求項6】
前記搬送手段と、前記案内路と、前記上限検出手段と、前記仕分検出手段とが、前記複数の分岐路にそれぞれ設けられ、
前記制御手段は、前記複数の搬送手段の動作を統括制御するコンピューターに、前記複数の分岐路の中から選択される選択対象の分岐路、及びその選択に含まれない非選択の分岐路を認識させる切換機能と、
前記コンピューターの認識する選択対象の分岐路に仕分される物品を前記上限検出手段、及び前記仕分検出手段がそれぞれ検出したときに送出する前記上限信号、及び前記仕分信号に基づき、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段に物品を搬送させ、前記選択対象の分岐路に仕分けられた物品の1つが、この分岐路に設けた搬送手段の一端に導入される毎に、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段の物品を搬送する距離が前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段の一端に導入される1つの物品の長さ以上に達した時点で、前記選択対象の分岐路に設けた搬送手段を停止させるフィル機能と、
前記コンピューターの認識する非選択の分岐路に仕分けられる物品の搬送を、この分岐路に設けた搬送手段に継続させる定常機能と、
を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の仕分搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の分岐路の中から選択される選択対象の分岐路、及びその選択に含まれない非選択の分岐路を表示するディスプレイと、前記複数の分岐路に対応するコードをコンピューターに入力する入力手段とを備え、前記コンピューターが前記コードに基づき前記選択対象の分岐路を認識することを特徴とする請求項6に記載の仕分搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240783(P2012−240783A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112020(P2011−112020)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】