仕切弁
【課題】簡単な構成で高い信頼性の仕切り動作が可能な仕切弁を提供する。
【解決手段】流路となる第1開口部12a及び第2開口部12bとを有する弁箱10と、第1開口部を閉塞可能な可動弁部40と、閉開状態を切り替えする位置切り替え手段と、これらを接続する中立弁部30とを有し、可動弁部が、シール部61が設けられ中立弁部に位置変更可能に接続される第1可動弁部60と、シール部に対して付勢する第1付勢部70と、第1可動弁部60と摺動可能とされる第2可動弁部50と、可動弁部の厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部80と、第1可動弁部を前記中立弁部に対して位置変更可能に流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部90と、第1可動弁部と第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、を具備してなることを特徴とする仕切弁。
【解決手段】流路となる第1開口部12a及び第2開口部12bとを有する弁箱10と、第1開口部を閉塞可能な可動弁部40と、閉開状態を切り替えする位置切り替え手段と、これらを接続する中立弁部30とを有し、可動弁部が、シール部61が設けられ中立弁部に位置変更可能に接続される第1可動弁部60と、シール部に対して付勢する第1付勢部70と、第1可動弁部60と摺動可能とされる第2可動弁部50と、可動弁部の厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部80と、第1可動弁部を前記中立弁部に対して位置変更可能に流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部90と、第1可動弁部と第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、を具備してなることを特徴とする仕切弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体(弁板)による流路を開閉する動作に加えて、弁体をスライド動作させる振り子型,直動型等に適した仕切弁に関する。特に、本発明は、真空装置等において、異なる圧力、及び異なるプロセスを行う2つの空間をつなげている流路を仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(2つの空間をつなぐ)、仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
真空装置等においては、チャンバーと配管との間、配管と配管との間、あるいは配管とポンプ等との間等、異なる真空度の2つの空間の間を仕切り、仕切られた2つの空間をつなげる仕切りバルブが設けられている。このような仕切りバルブとしては、様々な形態の弁が知られている。
【0003】
例えば、弁板をスライドさせて流路の弁開閉位置に弁板を挿入し、更にこの弁板を作動させて流路を仕切り(閉弁動作)、あるいは上記弁板を作動させて流路をつなぎ(開弁動作)、更に弁板をスライドさせ、流路から弁箱内の退避位置に弁板を退避させる構造が知られている。このような構造を有する弁としては、振り子型,直動型,ドア型等が知られている。
【0004】
直動型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成された弁箱の中空部に、弁棒(支持体)に固設された弁板が配置された構造を有する。この構造においては、上記弁棒をその長手方向に直動させて、上記弁板を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁板を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0005】
従来の上記直動型仕切弁としては、ベローズで接続された2枚の第1弁板及び第2弁板からなる弁体と、この2つの弁板の間において弁板の中央部に配置されたアクチュエータと、流路を構成する開口部が形成された弁箱とを備えた仕切弁が知られている。この仕切弁においては、アクチュエータによって、弁箱の開口部の周囲の内面に第1弁板を当接及び押圧させて流路を閉鎖し、または、アクチュエータによって第1弁板を上記弁箱の内面から離間させて流路を開放する(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、振り子型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成されかつ中空部を有する弁箱と、中空部において回転軸に固設されて回転軸と垂直をなす面に平行な方向において広がっている支持体と、この支持体に固設された弁体(シールリング板が開口部に設けられている構造の場合には弁板)とが配置された構造を有する。この仕切弁においては、上記回転軸を回転させて、上記弁体を回動させ、上記弁体を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁体を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0007】
従来の上記振り子型仕切弁としては、ハウジングの中空部内に、回転軸において回動可能な弁板と、ハウジングの開口部に配置された摺動可能なシールリング板と、ハウジングに一体形成されたフランジに上記シールリング板を摺動させるアクチュエータとが設けられた構造が知られている。この仕切弁においては、上記シールリング板を上記弁板に当接及び押圧して流路を閉鎖し、または、上記シールリング板を上記弁板から離間させて流路を開放する(例えば特許文献2参照)。
【0008】
この振り子型仕切弁のアクチュエータは、ボルトと環状室(シリンダ)とピストンとスプリングとが、シールリング板の摺動方向に直列に配置された構造を有する。従って、流路を閉鎖するときは、スプリングに生じる復元力が、ピストン,シリンダ,及びボルトを介してシールリング板に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−181205号公報
【特許文献2】特許第3655715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような仕切弁においては、仕切弁の全体構成をコンパクトにする等の要請から、弁体の構造を簡単にする必要があり、かつ、仕切り動作の信頼性を確保する必要がある。
【0011】
しかしながら、上記従来の弁においては、アクチュエータが弁板の中央部に配置されているので、実際に空間をシールする弁板の面に十分な押し付け力を伝えるためには、弁板に高い剛性が要求される。弁板の剛性が不足すると、確実に仕切りをすることができず、高い信頼性を得られないという課題があった。
更に、上記従来の弁においては、2枚の弁板を連結する構造が採用されている。この連結構造とアクチュエータとは個別の構造部品であるので、弁体の構造が複雑であるという課題があった。
また、大口径バルブにおいては、逆圧に耐え得るためには大きな力を発生するシリンダが必要であり、弁体が大型化してしまうという課題があった。
【0012】
また、上記従来の振り子型仕切弁においては、シールリングを摺動させるアクチュエータがフランジに設けられており、このアクチュエータと、環状のシリンダと、スプリングとが直列に配置されている。
このため、実際に空間をシールする弁板の面は、アクチュエータの内側に位置しており、この面はアクチュエータの位置からずれており、更に、この面にはピストン,シリンダ,ボルトを介してスプリングによる押し付け力(スプリングによる復元力)が伝われる。このため、この押し付け力が不十分であると、確実に仕切りをすることができず、高い信頼性を得られないという課題があった。
また、大口径バルブにおいて逆圧に耐え得るためには、或いは、特殊な形状の弁板、シールリング板、フランジに適用するためには、シリンダを除いたアクチュエータ部品を多数配置する必要があり、仕切弁の構成が複雑になるという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で高い信頼性の仕切り動作が可能な仕切弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の仕切弁は、仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
前記中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、
を具備してなることにより上記課題を解決した。
本発明の前記締結部材には、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結解除した状態で弁開閉動作可能なようにこの締結部材が前記可動弁部から外れないようにする係止部材が設けられることができる。
本発明において、前記第1付勢部が複数設けられ、
前記中立弁体を流路方向に平面視して、前記第1付勢部が配置された中心位置に対して、前記締結部材が対称に配置される手段か、前記中立弁体が略円形の前記第1開口部を閉塞可能とされ、流路方向に平面視して、前記第1付勢部と前記締結部材とが前記中立弁体に対して同心状に配置される手段を採用することができる。
本発明において、前記係止部材がE型止め輪、あるいは、C型止め輪とされてなることもできる。
【0015】
さらに、本発明において、前記第2可動弁部には、前記第1付勢部の反力を前記第2開口部周囲の弁箱内面に伝達する反力伝達部が設けられることがより好ましい。
本発明の前記第2付勢部は、前記第2周囲領域において前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に形成されたエアシリンダであることが可能である。
また、本発明において、前記第2付勢部とされたエアシリンダには、摺動部分に2重シール部が設けられ、1重目のシールが破れた際に、2重目のシールより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす連絡路が設けられる手段を採用することもできる。
また、前記第2付勢部とされたエアシリンダに駆動用気体を供給する供給路が形成され、該供給路には、前記第1可動弁部と前記中立弁部との流路方向位置が変更した際にも、前記第1可動弁部と前記中立弁部との間で駆動用気体を供給可能に摺動接続する接続ピン部が設けられることができる。
本発明においては、前記接続ピン部には、摺動部分に2重シール部が設けられ、1重目のシールが破れた際に、2重目のシールより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす連絡路が設けられることが望ましい。
さらに、前記切り替え手段が、前記流路方向に延在する軸線を有する回転軸を含むものとされてなることが可能である。
また、前記切り替え手段が、前記流路方向と交差する方向に延在し直線状に駆動される弁棒を含むものとされてなることがある。
【0016】
本発明の仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な可動弁部と、
前記可動弁部を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
前記切り替え手段と前記可動弁部とを接続する中立弁部と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とされる第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
を具備してなることにより、中立弁部に流路方向の力を作用させることなく、第1可動弁部および第2可動弁部のみによって第1開口部を閉塞する際のシール部の変形をおこなうことができる。
【0017】
また、本発明の一態様の仕切弁においては、前記エアシリンダおよび接続ピン部は、第2シール部,第3シール部,及びワイパーを有することができ、前記ワイパーは、前記第3シール部よりも前記第2開口部に近い位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様の仕切弁においては、可動弁部が第1可動弁部と第2可動弁部とによって構成されている。更に、前記第1付勢部は、前記第1可動弁部を前記第1開口部に向けて移動させ、前記第1可動弁部を前記内面に接させ、前記第1可動弁部を前記内面に押圧し、前記流路を閉鎖する。更に、前記第2付勢部は、前記第1可動弁部を前記第2開口部に向けて移動させ、前記第1可動弁部を前記内面から離間させた後可動弁部を退避させることにより、前記流路を開放する。この構成によれば、2つの可動弁部と2つの付勢部とによって弁体を構成することができる。また、第1付勢部が第1、第2可動弁部を移動させて、仕切弁を直接かつ確実に閉弁することができる。また、第2付勢部が第1、第2可動弁部を移動させて、仕切弁を直接かつ確実に開弁できる。さらに締結部材により、中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能なため、第2付勢部によって付勢しない状態でも中立弁体の厚み寸法を縮んだ状態に維持することで、中立弁体を弁開の状態にし、メンテナンスをおこなうことができる。このため、簡単な構成で高い信頼性の仕切り動作を行う仕切弁を得ることができるという効果が得られる。
本発明によれば、前記切り替え手段の機構をより小さな出力に対応したものとして、弁の小型化を図ることができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図である。
【図3】図2におけるシリンダ付近の要部拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が弁閉位置とされている場合を示す図である。
【図5】図4におけるメインバネ付近の要部拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、シリンダ付近の要部拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図9】図8における中立弁部付近の要部拡大図である。
【図10】本発明の実施形態の仕切弁に適用可能な開口部及び可動弁部の形状を示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態における接続ピン付近の要部拡大図である。
【図12】本発明における締結部材付近の要部拡大図である。
【図13】本発明における締結部材とメインバネの配置の例を示す配置図である。
【図14】本発明における係止部材の例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る仕切弁の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
また、以下の説明に用いられる各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における仕切弁の構成を示す平面図であり、図2は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図であり、図3は、図2の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図であり、図4は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が密閉閉塞位置とされている場合を示す図であり、図5は、図4の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図であり、図3は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。
【0022】
[振り子型仕切弁]
第1実施形態の仕切弁100は、図1〜図3に示すように、振り子型仕切弁である。
この仕切弁100は、互いに対向した第1開口部12aと第2開口部12bとが設けられた弁箱10と、弁箱10を貫通した切り替え手段としての回転軸20と、回転軸20に接続された中立弁部30と、回転軸20の軸線方向に移動可能として中立弁部30に接続された可動弁部40と、可動弁部40の厚さ方向寸法を拡大する方向に付勢されるメインバネ(第1付勢部)70と、メインバネ70の付勢方向と反対方向に伸張可能な駆動用のエアシリンダ(第2付勢部)80と、可動弁部40を弁箱10の中央位置側にしようとする位置規制用の補助バネ(第3付勢部)90と、を備えている。中立弁部30及び可動弁部40は、中立弁体を構成している。また、可動弁部40は、第2可動弁部(可動弁板部)50と第1可動弁部(可動弁枠部)60とによって構成されている。第1開口部12aから第2開口部12bに向かって流路Hが設定されている。可動弁部40の厚み寸法が縮んだ状態で第2可動弁部(可動弁板部)50と第1可動弁部(可動弁枠部)60とを締結可能な締結ボルト(締結部材)43が設けられている。
【0023】
回転軸20が符号A1で示された方向(流路Hの方向に交差する方向)に回転すると、この回転に従って中立弁部30も方向A1に沿って回動する。また、可動弁部40は中立弁部30に厚さ方向のみ摺動可能として接続されているため、可動弁部40は、中立弁部30と一体に回転する。
このように中立弁部30を回転することにより、流路Hが設けられていない中空部11とされる退避位置から第1開口部12aに対応する位置とされる流路Hの弁閉位置に可動弁部40が振り子運動で移動する。
【0024】
そして、メインバネ70が伸張する方向に作用することで流路H方向に可動弁部40の厚さ寸法が拡大する動作により(閉弁動作)、後述するように、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧することにより、可動弁部40は流路Hを閉鎖する。逆に、エアシリンダ80が作用することで、メインバネ70の付勢力にエアシリンダ80の押圧力が打ち勝って流路H方向に可動弁部40の厚さ寸法が収縮する動作により可動弁部40が表裏とも弁箱10の内面15aおよび内面15bから離間した後に(解除動作)、回転軸20が符号A2で示された向きに回転する(退避動作)と、この回転に従って中立弁部30および可動弁部40も向きA2に回動する。
この解除動作と退避動作とにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避して弁開状態とする弁開動作がおこなわれる。
【0025】
[弁箱10]
弁箱10は、中空部11を有するフレームによって構成されている。フレームの図示上面には第1開口部12aが設けられており、フレームの図示下面には第2開口部12bが設けられている。
仕切弁100は、第1開口部12aが露出されている空間(第1空間)と第2開口部12bが露出されている空間(第2空間)の間に挿入される。仕切弁100は、第1開口部12aと第2開口部12bとをつなげている流路H、即ち、第1空間と第2空間とをつなげている流路Hを仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(第1空間と第2空間をつなぐ)。
弁箱10の中空部11には、回転軸20、中立弁部30、可動弁部40、メインバネ(第1付勢部)70、エアシリンダ(第2付勢部)80、及び補助バネ(第3付勢部)90が設けられている。
【0026】
[回転軸20、中立弁部30]
回転軸20は、流路Hとほぼ平行状態に延在して弁箱10を貫通するとともに回転可能に設けられている。
この回転軸20には、中立弁部30が固設されている。中立弁部30は、回転軸20の軸線に対して直行する方向に延在し、この方向に平行な面を有している。図1に示すように、中立弁部30は、可動弁部40に重なる円形部30aと、回転軸20の回転に伴って円形部を回転させる回転部30bとを有する。回転部30bは、回転軸20と円形部30aとの間に位置しており、回転部30bの幅は回転軸20から円形部30aに向けて徐々に増加している。これら回転軸20、中立弁部30は、弁箱10に対して回動はするが、流路H方向には位置変動しないように設けられている。
【0027】
[可動弁部40、第2可動弁部(可動弁板部)50、第1可動弁部(可動弁枠部)60]
可動弁部40は略円板状とされ、円形部30aと略同心円状に形成された可動弁板部50と、この可動弁板部50の周囲を囲むように配置された略円環状の第2可動弁部60とを有する。第2可動弁部60は、中立弁部30に流路H方向に摺動可能として接続されている。また、可動弁板部50は、第2可動弁部60に摺動可能として嵌合されている。可動弁板部50と第2可動弁部60とは、メインバネ70及びエアシリンダ80によって符号B1,B2で示された方向(往復方向)に摺動しながら移動可能である。ここで、符号B1,B2で示された方向とは、可動弁板部50および第2可動弁部60の面に垂直な方向であり、回転軸20の軸方向に平行な流路H方向である。
【0028】
また、可動弁板部50の外周付近における全領域には、内周クランク部50cが形成されている。また、可動弁枠部60の内周付近における全領域には、外周クランク部60cが形成されている。
第1実施形態においては、外周クランク部60cと内周クランク部50cとが、流路H方向と平行な摺動面50b、60bどうしで摺動可能に嵌合している。
【0029】
弁箱10の内面に対向(当接)する可動弁枠部60の表面には、第1開口部12aの形状に対応して円環状に形成された、例えば、Oリング等からなる第1シール部61(主シール部)が設けられている。
この第1シール部61は、閉弁時に可動弁部40が第1開口部12aを覆っている状態で、第1開口部12aの周縁となる弁箱10の内面15aに接触し、可動弁枠部60及び弁箱10の内面によって押圧される。これによって、第1空間は第2空間から確実に隔離される(仕切り状態が確保される)。
【0030】
[メインバネ(第1付勢部)70]
メインバネ(第1付勢部)70は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに隣接した第1周囲領域40bに配置されている。メインバネ70においては、可動弁枠部60を第1開口部12aに向けて(B1方向)に押圧するように、同時に、可動弁板部50を第2開口部12bに向けて(B2方向)に押圧するように復元力が生じている。これにより可動弁部40による弁閉状態において、メインバネ70は、可動弁板部50に力を加え(付勢し)、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bに向けて可動弁板部50を押圧して内面15bと可動弁板部50の反力伝達部59とを当接させているとともに、同時に、可動弁枠部60に力を加え(付勢し)、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに向けて可動弁枠部60を押圧して内面15aと可動弁枠部60の第1シール部61とを当接させている。
【0031】
第1実施形態においては、メインバネ70は、可動弁板部50に第2開口部12b側を向いて開口するよう設けられた凹部50aとこの凹部50aの対向位置に可動弁枠部60に第1開口部12a側を向いて開口するよう設けられた凹部60aとに嵌め込まれて設けられた弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
【0032】
メインバネ70は、第一端と第二端とを有する。第一端は、可動弁板部50の凹部50aの底面に当接している。第二端は、可動弁枠部60の凹部60aの天井面に当接している。また、図1に示すように、円環状の可動弁枠部60において、複数の第1付勢部70が周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0033】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧する可動弁部40の最大厚さ寸法となった状態における可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面との間の距離よりも大きい。このため、可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面とによって圧縮されつつ凹部50aおよび凹部60aの内部に配置されているメインバネ70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁枠部60がB1方向に、同時に、可動弁板部50がB2方向に摺動しながら、第1シール部61および反力伝達部59が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0034】
また、メインバネ70は、第1シール部61に対する押圧力を効率よく伝達して仕切弁100の閉塞を確実にするために、第1シール部61に近接した第2周囲領域40bに配置される。具体的には、第1シール部61直下のすぐ外周位置には後述する反力伝達部59となる突条が位置するのに対し、可動弁板部50の径方向位置として、この第1シール部61を挟んだ突条(反力伝達部)59の反対側位置にメインバネ70は位置される。これにより、メインバネ70の付勢力は効率よく可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とに伝達され、第1シール部61の変形による弁の密閉の確実性を向上することができる。
また、メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下付近とされる第2周囲領域40bに配置されることもできる。この場合、仕切弁においては、第1付勢部70を可動弁枠部60に設けられているので、第1付勢部70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0035】
このように、仕切弁100においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行う第2付勢部80(後述)とが近接して設けられている。この構成において、メインバネ70及び第2付勢部80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域(第1周囲領域40a及び第2周囲領域40b)において、互いに近接するように径方向に隣接して配置されている。また、メインバネ70は、第1シール部61の直下付近に位置している。つまり、仕切弁100の構造は、第1シール部61、反力伝達部59、メインバネ70の位置関係が、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造として効率よくシールをおこなうことができるように構成される。
【0036】
さらに、メインバネ70の付勢力が可動弁板部50と可動弁枠部60とを拡げる方向、つまり、可動弁部40の厚さを増大して、可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とを弁箱10の内面15a,15bに押圧する方向に設定されているので、停電等によってユーティリティ設備から仕切弁100を備える装置への電力供給(エネルギー供給)が停止した場合であっても、メインバネ70において生じる機械的な力のみで確実に仕切弁100を閉じることができる。このため、フェイルセーフな仕切弁を確実に実現できる。
一方、仕切弁40の厚さを減じる付勢がおこなわれているもの、あるいは、ユーティリティ設備から供給される電力等のエネルギーによって閉弁動作が行われている構造を有する仕切弁においては、ユーティリティ設備から装置へのエネルギー供給が停止した場合に閉弁動作を行うことができない場合がある。このため、このような構造においては、フェイルセーフな仕切弁を実現できない。
【0037】
[エアシリンダ(第2付勢部)80]
エアシリンダ80は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに配置されている。エアシリンダ80においては、エアシリンダ80に駆動流体として圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて(B2方向)移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。同時に、可動弁板部50を第1開口部12aに向けて(B1方向)に移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。これによって、メインバネ70の付勢力に打ち勝って、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから可動弁枠部60を離間させるのと同時に、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bから可動弁板部50を離間させる。
これにより、後述する補助バネ(第3付勢部)90の付勢力により体40は流路H方向において弁箱10の厚さ中央位置となりの弁箱10内で回動可能な状態となる。
【0038】
なお、可動弁部40において、第1周囲領域40aは、円環状である可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59との内側に位置する。同時に、可動弁部40において、第2周囲領域40bは、第1周囲領域40aの内側に位置する。即ち、可動弁部40の径方向において、メインバネ70は、エアシリンダ80の内側に配置されている。言い換えれば、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向(流路H方向)に交差する方向においてメインバネ70に隣接している。つまり、エアシリンダ80は、可動弁部40の径方向において、シール部61および反力伝達部59、と、メインバネ70との間に位置する。
【0039】
第1実施形態においては、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つのエアシリンダ(空隙)である。
具体的に、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の第1開口部12aに向けて開口した凹部60dと可動弁板部50の第2開口部12bに向けて突出した凸部50dとが勘合した状態で形成され、これら環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するように形成されている。また、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の周縁部に形成された円環状の空間、および、可動弁板部50の最外周に形成された突条(環状凸部)からなり、1つの円環シリンダ(円環空隙)として機能する。また、言い換えると、円環シリンダは、流路Hを囲むように形成されている。
【0040】
エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給されると、第2付勢部80の体積を膨張させる膨張力(付勢力)がB1,B2方向に生じる。膨張力の大きさがメインバネ70に生じる復元力よりも大きい場合、この膨張力がメインバネ70の付勢力に打ち勝ってメインバネ70が圧縮され、可動弁板部50がB1方向に可動弁枠部60がB2方向に摺動して弁体40の厚さ方向寸法が縮小して、第1シール部61が弁箱10の内面15aから離間し、同時に、反力伝達部59が弁箱10の内面15bから離間して、開弁動作が行われる。この際、円環状の凹部60dと凸部50dとが摺動することで、可動弁板部50と可動弁枠部60との移動する方向が流路方向のみに規制されるとともに、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、シール部61および反力伝達部59が弁箱10内面15a、15bに当接した状態から平行移動するように位置規制される。つまり、このエアシリンダ80は可動弁板部50と可動弁枠部60との相対移動方向とその姿勢を規制することができる。
【0041】
[補助バネ(第3付勢部)90]
補助バネ90は、中立弁部30と可動弁枠部60との間に設けられ、弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置する中立弁部30に対して、弁体40の厚さ寸法が縮小した際に、弁体40を弁箱10の中央よりに付勢するものである。
補助バネ90は、中立弁部30の外周位置(図2,図4では右側位置)に設けられた開口30aを貫通して可動弁枠部60に接続された棒状の位置規制部65に設けられている。補助バネ90もメインバネ70と同様に弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
補助バネ90は、中立弁部30開口30aの第1開口部12a側に設けられたフランジ部30bと、位置規制部65の先端65aとに係止されて、可動弁枠部60を第2開口部12b側に移動するB2に向かう向きに付勢されている。
【0042】
補助バネ90は、この中立弁部30より第1開口部12a側に位置する可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて付勢して、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに可動弁枠部60のシール部61が当接している場合であって、エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60が第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから離間するように付勢している。
これにより、エアシリンダ80に圧縮空気が供給された際に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に向かって移動し、最終的に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置するように姿勢制御される。また、補助バネ90の付勢力は、メインバネ70の付勢力とエアシリンダ80の付勢力の差よりも遙かに小さいものとされる。つまり、弁閉状態を実現するための能動的バネあるいは、アクチュエータとしてのメインバネ70やエアシリンダ80に比べて、弁体の厚さ寸法を変化させるものであるから極めて小さなものでよい。
【0043】
このように、仕切弁100においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、弁体40厚さを増大する動作を行うメインバネ70と、弁体40厚さを縮小する動作を行うエアシリンダ80と、弁体40を流路方向において弁箱10中央位置側にする姿勢制御をおこなう補助バネ90と、が設けられている。
この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダを構成している。この構成によれば、一方向に圧縮空気第2付勢部80に供給する供給路41が1つ設けられていれば、圧縮空気を円環状のエアシリンダ80に沿ってこの円環シリンダの内部に供給することができ、弁体40の厚さ寸法の伸縮(開弁動作及び閉弁動作)を行うことができるとともに、この動作中において補助バネ90により弁体40の伸縮に伴う弁体40の流路方向位置を弁箱10中央付近に容易に維持することができる。このため、簡易かつコンパクトな構成を有するアクチュエータを実現することができる。
【0044】
また、エアシリンダ80は、開弁動作を行うために用いられるので、第2付勢部80において発生する力の大きさ(出力)として、第1付勢部70を圧縮することができる大きさ(出力)があれば十分である。
【0045】
第1実施形態においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって1つの厚さ方向寸法を可変な可動弁部40が構成されているので、2枚の可動弁部を設ける必要がなく、簡単かつコンパクトな構造を有する可動弁部を実現することができる。
また、中立弁部30にはアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、中立弁部30には振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。また、回転軸20にもアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、回転軸20振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。同時に、回転軸20に弁密閉するためのモーメントが必要なものに比べて、弁体40の揺動機構の出力を抑えることができるので、この回転軸20の回動機構を小型化することができる。
この構造においては、剛性として、上記中立弁部30の強度に加えて、退避位置と弁開閉位置の間で可動弁部40を回動させる際にその自重を支える強度があれば十分である。
【0046】
図2は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに嵌合されている部分および中立弁部30と可動弁板部50とが互いに嵌合されている部分を示す拡大縦断面図であり、第1付勢部70及びガイドピン62が設けられた部位を示している。
【0047】
[第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52b]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面には、可動弁枠部60の環状凹部60dの内周面に当接し、可動弁板部50と可動弁枠部60との間をシールする2重シール部として、Oリング等の円環状の第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが設けられている。
【0048】
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51bが設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gに、第3シール部52a,52bが設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁枠部60の第2外周面60gに当接する。
第2シール部51a,51bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0049】
第2シール部51a,51bは、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、例えば圧力が低い空間である第1開口部12aに連通する第1空間側とを遮断するものであり、この仕切り状態を確保することができる。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間であって第2開口部12bに近い第2空間側とを仕切り、仕切り状態を確保することができる。
【0050】
[ガイドピン62]
ガイドピン62は、可動弁枠部60に固設されて流路方向に立設された太さ寸法均一の棒状体とされ、エアシリンダ80内を貫通し、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに形成された孔部50hに嵌合している。
このガイドピン62は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向が符号B1,B2に示された方向からずれないように、かつ、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動した際にもその姿勢が変化せずに平行移動をおこなうように、これらの位置規制を確実に誘導する。
【0051】
これによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、符号B1,B2に対して斜め方向に移動することを防止している。同時に、可動弁枠部60は、弁閉状態としてシール部61と反力伝達部59とがそれぞれ弁箱10の内面15a,15bに当接した状態に対して、可動弁板部50と可動弁枠部60との流路方向位置が変化した場合でも、これらが平行状態を維持して平行移動し、可動弁板部50と可動弁枠部60とが傾いてしまうことを防止している。
【0052】
この構造においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに位置決めされつつ、符号B1及びB2で示された方向に平行状態を維持したまま相対的に移動し、閉弁動作及び開弁動作を行うことができる。これによって、開弁動作においては、可動弁枠部60に設けられた第1シール部61に均一に押圧力を生じさせ、リークが抑制されたシール構造を実現できる。
【0053】
また、このようにガイドピン62を備えた構造においては、仕切弁100が真空装置に取り付けられる姿勢が決められていない場合、即ち、仕切弁100が取り付け方向が自由である場合に、弁体40の重量の負荷が第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bに局所的に加わることを防止することができる。例えば、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向に対して直角に重力が作用するように仕切弁100が取り付けられている場合、摺動する部材である可動弁板部50と可動弁枠部60との重量がガイドピン62に加わる。このため、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52b(O−ring)に可動弁板部50と可動弁枠部60との重量が直接的に加わることを防止される。これにより、仕切弁100が取り付けられる姿勢がいかなる姿勢であっても、シール部の寿命が短くならず、リークを防止する効果を確保・維持することができる。
【0054】
ガイドピン62と孔部50hとの摺動面の面積を低減するため、また、仕切弁100の外部である第1空間及び第2空間からガイドピン62を隔離するために、ガイドピン62は、エアシリンダ80内を貫通するように配置されている。
また、このように、エアシリンダ80内にガイドピン62を配置することにより、可動弁板部50と可動弁枠部60とを互いに滑らかに摺動させることができる。
なお、ガイドピンの強度が十分に得られていれば、大口径を有する仕切弁においても、可動弁部60が摺動する方向がずれることが防止される。また、ガイドピン62は、特殊な形状を有する可動弁部においても流路と直行する面内配置を設定して荷重を適宜分散することでより一層開閉動作の良好な仕切弁として適用可能である。
【0055】
[ワイパー53,54]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fには、可動弁部60の内周面に当接する円環状のワイパー53が設けられている。同様に、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gには、可動弁部60の外周面に当接する円環状のワイパー54が設けられている。
【0056】
ワイパー53は、第2シール部51a,51bと同様にして、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、ワイパー54は、第3シール部52a,52bと同様にして、可動弁枠部60の第1外周面60gに当接する。
ワイパー53,54、第2シール部51a,51b、第3シール部52a,52bは、いずれも、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに配置されている。第2シール部51aは、第1開口部12a(第1空間)に近い位置に配置されている。第3シール部52aは、第2開口部12b(第2空間)に近い位置に配置されている。
【0057】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するエアシリンダ80において、その可動弁枠部60の凹部60dの内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54を構成する部材(材料)として、例えば、スポンジ状のポーラスな弾性体を選択すれば、その部材の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0058】
[中間大気室55,56]
第2シール部51a,51bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室55が設けられている。同様に、第3シール部52a,52bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室56が設けられている。
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面50fで第2シール部51a,51bによって仕切られた部分に中間大気室55が設けられている。また、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの内周面50gで第3シール部52a,52bによって仕切られた部分に中間大気室56が設けられている。中間大気室55は、可動弁枠部60の第1内周面60fと可動弁板部50の外周面50fに設けられた溝とで形成された空間であり、中間大気室56は、可動弁枠部60の第1外周面60gと可動弁板部50の第2内周面50gに設けられた溝とで形成された空間である。
【0059】
そして、これらの中間大気室55,56は、後述する供給路41と同様の構成とされ図示しない連絡路によって仕切弁100の外部に連通され、エアシリンダ80の加圧中に1重目のシールが破れた場合でも、圧縮空気(駆動用気体)を仕切弁外部に向けて逃がして、圧縮空気が弁箱10内部に放出されてしまうことを防止するようになっている。
つまり、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第2シール部51bが破れた際に、2重目のシールである第2シール部51aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室55および連絡路が設けられている。また、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第3シール部52bが破れた際に、2重目のシールである第3シール部52aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室56および連絡路が設けられている。
これにより、圧縮空気が弁体10内部に噴出して、仕切弁100内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0060】
同時にまた、これらの中間大気室55,56の圧力は、連絡路によりモニタ可能である。即ち、圧力計が中間大気室55,56の圧力を測定するように仕切弁100外部に設けられるとともに連絡路によって接続されており、ユーザによってその圧力が監視される。
例えば、第1開口部12aに近い第1空間が減圧空間であり、第2シール部51aが破損している場合においては、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第2シール部51bが破損している場合には、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも高くなる。
同様に、第2開口部12bに近い第2空間が減圧空間であり、第3シール部52aが破損している場合においては、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第3シール部52bが破損している場合には、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも高くなる。
【0061】
このように仕切弁100は、中間大気室55,56の圧力をモニタする構造を有することができるので、例えば、中間大気室55,56の圧力値が大気圧よりも低い圧力であって閾値の圧力よりも低い場合、あるいは大気圧よりも高い圧力であって閾値の圧力よりも高い場合に、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常を検知することができる。
例えば、と中間大気室55,56中あるいは連絡路にアラーム装置が設けられた構造、或いは、仕切弁100に接続された制御装置にアラーム装置が設けられた構造が採用されていれば、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常をアラームによって報知することができる。従って、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが破損し、内部リークが仕切弁100に発生し、メンテナンスが必要であることをすぐに認識することができる。
これにより、真空装置等の外部から検知することができない、仕切弁において発生した内部リーク等の不具合を確実に判断することができる。
【0062】
[接続ピン部69、供給路41]
仕切弁100には、図に二点差線で示すように、エアシリンダ80に駆動用気体を供給する供給路41が形成され、この供給路41は、可動弁枠部60の躯体内部、および、中立弁部30の躯体内部、回転軸10内部を経由して、仕切弁100の外部に設けられた図示しない駆動用気体供給手段に連通するよう設けられている。
この供給路41には、可動弁枠部60と中立弁部30との流路方向位置が変化した際にも、可動弁枠部60と中立弁部30との間で駆動用気体を供給可能に摺動接続する接続ピン部69が設けられる。
【0063】
接続ピン部69は、中立弁部30に流路方向と平行に穿孔された円形断面の孔部38と、この孔部38に回動可能に勘合された棒状の接続ピン68とからなっている。孔部38の内面38aは、開口側の内面38aに比べて底部側の内面38bが縮径され、これに対応して、接続ピン68の径寸法も基部68aに対して先端68bが縮径している。そして、この径寸法が変化する部分にそれぞれ段差38c、段差68cが形成されている。
【0064】
接続ピン部69は、図に二点差線で示すように、その中心軸線付近に供給路41が形成されて管状となっており、可動弁枠部60内部の供給路41が連通されている。また、接続ピン68の先端面68daには供給路41が開口しており、この先端面68dと孔部38の底部38d付近とで形成される加圧空間69aには、中立弁部30躯体内に形成された供給路41が連通されている。
駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に供給される。
【0065】
接続ピン部69においては、接続ピン68の外周面68aには孔部38の内周面38aが当接するとともに、接続ピン68の外周面68bには孔部38の内周面38bが当接している。
接続ピン68には、孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動した場合でも、加圧面となる先端面68dと底面38dとの間ではなく、摺動方向となる面に、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間である加圧空間69aと、例えば圧力が低い空間である第2開口部1bに連通する第2空間側とを遮断する2重シール部が設けられる。
シール部は、加圧空間69aと中空部11との仕切り状態を確保できるものとされる。
【0066】
具体的には、接続ピン68には、接続ピン68と孔部38との間をシールする2重シール部として、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の太シール部68fが設けられるとともに、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の小シール部68gが外周面68bに設けられている。
同時に、段差68cおよび段差38cで形成された円環状の中間大気室69cが、この2重シールの間にあり、図示しない連絡路42に連通されることで、圧縮空気が弁箱10内部に噴出して、仕切弁100内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0067】
特に、加圧面となるとともにその距離が変化する先端面68dと底面38dとの間でシールするのではなく、直接的に加圧面とはならずかつ摺動面であり距離が変化しない外周面68aと内周面38aおよび外周面68bと内周面38bとの間でシールをおこなうので、より確実な密閉状態を維持することが可能となる。
このようなシール部68f、68gの構成によれば、上述したエアシリンダ80における第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52bおよびガイドピン62の構成と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0068】
孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動中あるいは移動して流路方向の相対位置が変化した場合でも、駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、この体積の変化した空間69aを介して、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に安定的に供給される。
【0069】
[締結ボルト(締結部材)43]
締結ボルト(締結部材)43は、図12に示すように、外周面に雄ネジの設けられた先端部分43aが可動弁枠部60に設けられた締結螺着部63に設けられたネジ穴63aに螺接されている。締結ボルト43は、可動弁体40の厚さ方向、つまり、可動弁板部50と可動弁枠部60との移動方向であるB1方向またはB2方向と平行な方向に軸線が向くように設けられている。
【0070】
締結ボルト43の中央部分43bは、先端部分43aと略同径とされ、可動弁板部50に設けられた締結螺着部63に設けられた貫通孔57bに軸方向移動可能として貫通されている。中央部分43bの径寸法は貫通孔57bの径寸法よりも小さく設定され、これらが軸方向に相対移動した場合でも互いに接触しないようになっている。
締結ボルト43の基端部分43cには、先端部分43aおよび中央部分43bよりも拡径したボルトヘッドとされ、先端部分43a側の当接面43dが、対向する締結部57における貫通孔57b外側の当接面57dと当接して、締結ボルト43と可動弁板部50との流路方向変動位置を規制可能になっている。
【0071】
締結ボルト43には、先端部分43aの雄ネジが螺設された部分より先端位置に、係止用溝43eが周設されて、この係止用溝43eに勘合されたワッシャ等の止め輪(係止部材)43fが、ネジ穴63aの外側面63fに当接することで締結ボルト43の軸方向(流路方向)における内側方向(図示下方向)の移動を規制し、締結ボルト43を回転させても可動弁枠部6位から離脱しないように係止している。
止め輪(係止部材)43fは、締結ボルト(締結部材)43が単純に外れないだけではなく、可動弁板部50と可動弁枠部60と締結解除した状態で、締結ボルト43が、長期的に緩みなく、かつ、位置を保持していることを可能とする。つまり止め輪(係止部材)43fが締付軸力を安定的に負担する必要があるため、図14(a)に示すように、E形止め輪とされるか、あるいは、図14(b)に示すように、C型止め輪を適用することが好ましい。なお、止め輪のタイプによって係止用溝43eの形状も対応したものとされる。また、係止部材としては、ピン型のものも適応可能で、この場合は、係止用溝43eに代えて締結ボルト43の径方向に設けられた係止孔に固定されることができる。
【0072】
締結ボルト43の長さは、止め輪43fが外側面63fに当接した状態で、可動弁部40が最大厚さとなっても、先端部分43a側の当接面43dが、対向する締結部57における貫通孔57b外側の当接面57dと当接しない程度に長く設定されている。また、可動弁部40が最小厚さとなった場合には、締結螺着部63と締結螺着部63との対向する当接面63gと、当接面57gとが当接することで、可動弁板部50と可動弁枠部60との位置規制がおこなわれる。つまり、螺接された締結ボルト43に対して、可動弁板部50は、B1方向には当接面57gが当接面63gに当接する位置まで、また、B2方向には当接面57dが当接面43dに当接する位置まで移動可能となる。
【0073】
したがって、締結ボルト43をネジ穴63aに対して回転し、締結長さを変化することで、可動弁板部50の移動範囲、つまり、可動弁板部50と可動弁枠部60との流路方向位置を規制することができる。特に、エアシリンダ80によって、メインバネ70の付勢力に打ち勝って可動弁部40の厚さが縮小した状態で、当接面57dが当接面43dに当接するように、締結ボルトを回動させることにより、エアシリンダ80の駆動を停止した状態でも、可動弁部40の厚さが縮小した状態を維持することが可能となる。これにより、メンテナンス時などに、中立弁体を弁箱10と接触しないように自由な状態で回動可能とすることができる。
【0074】
また、締結ボルト43は、複数設けられたメインバネ70の付勢力に打ち勝って安定的に可動弁部40の厚さが縮小した状態を維持するために、可動弁部40を流路方向に平面視して、複数のメインバネ70が配置された中心位置に対して、この締結ボルト43が対称に配置される。
具体的には、図13に示すように、可動弁部40が流路方向に平面視して略円形とされ、可動弁部40の最外周である第1周囲領域40aに複数のメインバネ70が同心状に位置するように配置された場合、締結ボルト43は、メインバネ70と同心状にかつ、メインバネ70と等間隔になるように、メインバネ70と同数設けられる。
【0075】
一例として、図13(a)には、メインバネ70と締結ボルト43とがメインバネとが4本ずつ配置された例を、図13(b)には、メインバネ70と締結ボルト43とがメインバネとが3本ずつ配置された例を示す。また、図13(c)には、6本のメインバネ70が同心状に配置され、締結ボルト43と中心に設けられた例を示す。
なお、これらの例はメインバネ70の付勢力が全て等しいものとして例示したが、複数のメインバネの付勢力が不均等である場合には、これらの付勢力を効率よく受けて、可動弁部40の厚み寸法の縮小幅が、中立弁体面方向全体で等しくなるように締結ボルトを設けることが好ましい。
【0076】
これにより、常にメインバネ70の付勢力が働いている可動弁部40に対してその厚さを縮小する冶具を別途用意することなく、中立弁部30と可動弁部40とからなる中立弁体の取り外しを可能とすることができる。
さらに、止め輪43fを設けることで、メンテナンス時に、締結ボルト43を取り外した上で紛失してしまうリスクを排除することができる。
【0077】
以上のように、第1実施形態においては、流路方向に互いに離間接近可能な可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成された可動弁部40が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを流路方向外側に向けて付勢するメインバネ70が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させるエアシリンダ80が設けられ、可動弁枠部60を中立弁部30に接近する方向に付勢する補助バネ90が設けられることによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱の内面15a、15bに押圧して、シール部61及び反力伝達部59とで確実に弁閉塞をおこなうことができる。
また、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させることで、弁箱10に弁体40が接触しないようにして回動させ、回動以外の動作が必要な機構に比べて小型で出力の小さい駆動機構によって退避位置まで弁体40を移動することができる。
【0078】
この構成においては、1つの可動弁部40と3つの付勢部70,80,90とによって弁体を形成することができる。また、可動弁部40の周囲領域に配置されたメインバネ70の復元力によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面に直接押し付けて、確実に閉弁できる。同様に、可動弁部40の周囲領域に配置されたエアシリンダ80に供給された圧縮空気の作用によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面から離間させて、確実に回動可能状態として開弁できる。従って、第1実施形態においては、簡単な構造を有し、高い信頼性で仕切り動作を行うことができる仕切弁を実現することができる。
【0079】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、固定弁部と可動弁部とが嵌合されているシリンダ付近の要部拡大図である。
図7において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0080】
第1実施形態においては、可動弁板部50の外周にU字形状のU字部が形成されており、可動弁枠部60の内周に逆U字形状の逆U字部が形成されている。また、可動弁板部50のU字部と可動弁枠部60の逆U字部とが互いに嵌合するように、可動弁板部50及び可動弁枠部60が設けられている。
一方、第2実施形態の可動弁部40の構造においては、図7に示すように可動弁板部50の外周に形成された外周クランク部と可動弁枠部60の内周に形成された内周クランク部とが嵌合されている。
【0081】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、凹部60aの深さよりも大きい。このため、凹部60aの天井面と可動弁板部50とによって圧縮されつつ凹部60a内に配置されている第1付勢部70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁部60がB1方向に摺動しながら、第1シール部61が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0082】
メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下に配置されることが望ましい。
本実施形態においては、メインバネ70が可動弁枠部60に設けられているので、メインバネ70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0083】
このような第2実施形態においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とが設けられている。この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。
具体的には、可動弁部40の最外周である第1周囲領域40aにメインバネ70が設けられ、第1周囲領域40aに隣接した第2周囲領域40bにはエアシリンダ80が配置される。また、メインバネ70は、第1シール部61の直下に位置している。
【0084】
この構造においては、メインバネ70は第1シール部61を直接押圧することができ、第1シール部61にほぼ垂直方向に荷重を直接加えることができる。
つまり、仕切弁100の構造は、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造ではない。このため、梃子に相当する部分の構造部材(強度)は必要なく、アクチュエータの構造を簡易化することができる。また、可動弁部60に要求される剛性として、可動弁部60の自重を支えることができる強度があれば十分である。
【0085】
本実施形態の構造においては、可動弁枠部60の第1シール部61の直下にメインバネ70が配置され、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダによって第2付勢部(エアシリンダ)80が形成されている。この構造においては、アクチュエータの構成も簡単にすることにでき、閉弁動作及び開弁動作の信頼性を向上させることができる。
また、このように可動弁部40の周囲領域にアクチュエータが配置された構成が大口径を有する仕切弁に適用された場合であっても、上述した同様の構造によって確実に閉弁動作及び開弁動作を行うことができ、逆圧が作用した場合においても同様の動作ができる。
【0086】
この第2実施形態においては、第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54の位置が、第1実施形態とは異なっている。
具体的に、第1実施形態においては、第1外周面50fとは反対の面である内側面50gに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられているが、第2実施形態においては、第2外周面50jに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられている。
【0087】
可動弁板部50の外周クランク部において、径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51b、ワイパー53が設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側であって第2シール部51a,51bの下方に位置する第2外周面50jに、第3シール部52a,52b、ワイパー54が設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60jに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁部60の第1内周面60jの下方に位置する第2内周面60kに当接する。
【0088】
第2シール部51a,51b、ワイパー53、中間大気室55は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い第1空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52b、ワイパー54、中間大気室56は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに近い第2空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0089】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって摺動する可動弁枠部60の内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0090】
以上のように、第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、第2実施形態においては、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とを、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域に配置しているので、弁箱10にアクチュエータを設ける必要がなく、簡単な構成を有する仕切弁を実現できる。
【0091】
(第3実施形態)
図8及び図9は、本発明の第3実施形態の仕切弁の構成を説明する図である。図8は仕切弁の横断面図であり、図9は弁体が弁開閉位置に配置されている場合の仕切弁の縦断面図である。
図8及び図9において、図1ないし図6に示した第1実施形態および図7に示した第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0092】
第3実施形態の仕切弁300は、弁箱10aと、弁棒25と、中立弁部30と、可動弁部40と、第1付勢部70(スプリング)と、第2付勢部80(エアシリンダ)とを備えている。中立弁部30及び可動弁部40は、弁体を構成している。また、可動弁部40は、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成されている。
【0093】
[直動型仕切弁]
第3実施形態の仕切弁300は、直動型仕切弁である。仕切弁300においては、上記第1実施形態の振り子型の仕切弁100を構成する弁体構造が、直動型仕切弁に適用されている。
ただし、上記実施形態1においては、第1開口部12a,第2開口部12b,及び可動弁部40(可動弁板部50および可動弁枠部60)の形状は、同心円形状であったが、第3実施形態においては、これらの形状の形状は、角部に丸みを有する略正方形である。
また、弁体を直動させるため、弁箱10aの横断面形状は略長方形である。中立弁部30は、切り替え手段としての弁棒25の端部に固設されている。
【0094】
圧縮空気が供給路41に供給されて、可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法が収縮し、弁箱10の内面15a、15bから可動弁部40が離間した状態で、符号D1で示された向きに直進するように弁棒25が駆動すると、この駆動に従って中立弁部30も向きD1に沿って直動する。このように中立弁部30が直動することにより、流路Hが設けられていない退避位置から流路Hの弁開位置に可動弁部40が挿入される。
【0095】
そして、エアシリンダ80の動作を切断しメインバネ70が作動することにより(閉弁動作)、可動弁部40の厚み寸法が増大して可動弁部40は流路Hを閉鎖する。逆に、エアシリンダ80が作動することにより可動弁部40を開いた後(開弁動作)に、弁棒25を向きD2に直進するように駆動すると、これに従って中立弁部30も向きD2に直動する。
これにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避する。
【0096】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、中立弁部と可動弁部(可動弁枠部)とが接続されている接続ピン部付近の要部拡大図である。
図11において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0097】
第1実施形態においては、接続ピン部69として、可動弁枠部60と一体とされた接続ピン68が形成されていたが、本実施形態の接続ピン部69としては、可動弁枠部60に接続されたフローティングピン(接続ピン)68Aが貫通孔67に勘合されている。
フローティングピン68Aは、図11に示すように、孔部38に回動可能かつ軸方向に摺動可能として勘合されている図示下部側が、上述した第1実施形態と略同等の構成とされている。
【0098】
本実施形態の接続ピン部69は、可動弁枠部60に流路方向と平行に穿孔された円形断面の貫通孔67を有し、この貫通孔67にフランジ部68Aaを有する棒状のフローティングピン68Aが回動可能かつ半径方向に微動可能で、かつ傾斜は最小限になる様に勘合されている。貫通孔67の内面67aは、フランジ部68Aaの径寸法に対応して可動弁枠部60に対向した孔部38よりも拡径したフランジ内面67aを有し、この開口側のフランジ内面67aに比べて図示上となる貫通側のガス接続位置内面38bが縮径され、このガス接続位置内面67bに比べて図示上となる貫通側の支持位置内面67cが縮径され、この支持位置内面67cに比べて図示上となる貫通側の外側内面67dが拡径されている。
【0099】
フローティングピン68Aは、その径寸法がこの貫通孔67の径寸法に対応して、フランジ部68Aaに対して縮径したガス接続部68Abが縮径し、ガス接続部68Abに対して固定端68Acが縮径している。
固定端68Acには、固定溝68Adが周設されて、この固定溝68Adに勘合されたワッシャ等の固定部材68Aeが、貫通孔67の外側面67eに当接することでフローティングピン68Aの軸方向(流路方向)における内側方向(図示下方向)の移動を規制し位置を固定している。
フランジ部68Aaの上側となるシール面68Afと、ガス接続部68Abの上側となるシール面68Agは、対向する段差面67fおよび段差面67gとの間に、Oリング等とされるシール部材67h、67jが設けられている。
【0100】
フローティングピン68Aの外径寸法として、固定端68Acは支持位置内面67cの内径寸法とほぼ等しく設定されているが、フランジ部68Aaおよびガス接続部68Abは、それぞれ、フランジ内面67aおよびガス接続位置内面38bに対して、微少寸法小さく設定されて、フローティングピン68Aが可動弁枠部60に対して径方向に僅かに遊びがある状態とされている。傾斜すると、シール部材67hの潰し代が変化してしまう為、傾斜は最低限に抑え、径方向に微小変位するというのが技術的特徴である。
【0101】
フローティングピン68Aは、固定端68Acの固定部材68Aeと、シール面68Afおよびシール面68Agのシール部材67h、67jで対向する方向に可動弁枠部60を挟持するように固定されている。これにより、フローティングピン68Aは、図示上側に押圧された状態で、軸線方向(貫通孔67の長さ方向)には移動しないように可動弁枠部60に固定されている。
同時に、フローティングピン68Aは、シール部材67hがシール面68Afと段差面67fとに押圧されて変形するとともに、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとに押圧されて変形するようになっている。
このように、フローティングピン68AのOリング等とされるシール部材67h、67jが段差面67fおよび段差面67gに押圧されて変形することで、ガス接続部68Ab、および、接続位置内面67b部分がシールされる。
【0102】
孔部38の底部38d付近には、供給路41となる開口が設けられる。
フローティングピン68Aの内部には、その先端面68dに開口し軸方向に沿って中心に開けられるとともに、接続位置内面67bに設けられた開口に対向する位置とされるガス接続部68Abの表面に開口する供給路41が設けられて、加圧空間69aとエアシリンダ80とを接続可能となっている。
【0103】
本実施形態においては、フローティングピン68Aは、摺動面と同じ方向となる内面67aとフランジ部68Aa外周、ガス接続位置内面67bとガス接続部68Abではなく、加圧面となる先端面68dと平行な方向、つまり、摺動方向と直行する面であるシール面68Afと段差面67fとの間、および、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとの間に、シール部材67h、シール部材67jが設けられることで、フローティングピン68Aが傾斜した場合や、フローティングピン68Aが僅かに径方向に移動した場合であっても、Oリング等とされるシール部材67h、67jの潰し代は変化しない。したがって、このようにフローティングピン68Aが移動した場合、つまり、中立弁部30と可動弁枠部60とが、流路方向以外の相対位置変動した場合であっても、加圧されたガス接続部68Ab付近の供給路41に対するシールを維持し、密閉が破れることがない。
【0104】
同時に、本実施形態においては、太シール部68fおよび小シール部68gにおいて、製作公差等によってフローティングピン68Aに対して半径方向の位置ズレなどがある場合においても、フローティングピン68Aと可動弁枠部60に流路と直交する方向(フローティングピン68A径方向)の遊びがあるため、太シール部68fおよび小シール部68gの摺動Oリングには偏芯が生じない。したがって、摺動時にも接続ピン68と孔部38との間のシールを維持し、密閉が破れることがない。
同時に、フローティングピン68Aの位置変動時においても、太シール部68fおよび小シール部68gに変形が集中することがないので、変形・破損の可能性を低減することができ、密閉維持をより確実におこなうことができる。
【0105】
なお、上記本発明の実施形態においては、第1付勢部70としてスプリングが用いられた構造について説明したが、他の弾性体を用いてもよい。
また、第2付勢部80の構造として、円環状の1つのエアシリンダが採用された構造について説明したが、油圧シリンダ等とされる他の駆動流体を使用する構成を採用してもよい。この場合にも、1つの円環状のシリンダが駆動することによって弁箱10(10a,10b)の内面から可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法を収縮させる駆動装置が第2付勢部として用いられる。
【0106】
また、上記本発明の実施形態においては、図10(a)に示すような円形に形成された開口部及び可動弁部、或いは図10(b)に示すような角部に丸みを有する略正方形に形成された開口部及び可動弁部について説明した。本発明の仕切弁はこれらの形状に限定されない。本発明の仕切弁は、可動弁部の周囲領域にアクチュエータが設けられた構造を有するので、例えば、図10(c)に示すような角部に丸みを有する略三角形に形成された開口部及び弁板(可動弁部)が採用されてもよい。また、図10(d)に示すような角部に丸みを有する略長方形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図10(e)に示すような角部に丸みを有する略六角形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図10(f)に示すような角部に丸みを有する略U字形に形成された開口部及び弁板に適用することも可能である。
更には、楕円形に形成された開口部及び弁板、あるいは角部に丸みを有する略八角形に形成された開口部及び弁板等、あらゆる形状に形成された開口部及び弁板を本発明に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、真空装置等において、真空度や温度あるいはガス雰囲気等性質の異なる2つの空間を連結している流路を仕切る状態と、この仕切り状態を開放した状態を切り替える用途の仕切弁に広く適用できる。
【符号の説明】
【0108】
10,10a,10b…弁箱、 11…中空部、 12a…第1開口部、 12b…第2開口部、 20…回転軸、 25…弁棒、 26…弁軸、 30…中立弁部、 40…可動弁部、 41…供給路、 42…連絡路、 43…締結ボルト(締結部材)、 43f…止め輪(係止部材)、 50…可動弁板部(第2可動弁部)、 51a,51b…第2シール部、 52a,52b…第3シール部、 53,54…ワイパー、 55,56…中間大気室、 60…可動弁枠部(第1可動弁部)、 61…第1シール部、 62…ガイドピン、 68…接続ピン、68A…フローティングピン、 69…接続ピン部、 70…メインバネ(第1付勢部)、 80…エアシリンダ(第2付勢部)、 90…補助バネ(第3付勢部)、 100,300,400…仕切弁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体(弁板)による流路を開閉する動作に加えて、弁体をスライド動作させる振り子型,直動型等に適した仕切弁に関する。特に、本発明は、真空装置等において、異なる圧力、及び異なるプロセスを行う2つの空間をつなげている流路を仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(2つの空間をつなぐ)、仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
真空装置等においては、チャンバーと配管との間、配管と配管との間、あるいは配管とポンプ等との間等、異なる真空度の2つの空間の間を仕切り、仕切られた2つの空間をつなげる仕切りバルブが設けられている。このような仕切りバルブとしては、様々な形態の弁が知られている。
【0003】
例えば、弁板をスライドさせて流路の弁開閉位置に弁板を挿入し、更にこの弁板を作動させて流路を仕切り(閉弁動作)、あるいは上記弁板を作動させて流路をつなぎ(開弁動作)、更に弁板をスライドさせ、流路から弁箱内の退避位置に弁板を退避させる構造が知られている。このような構造を有する弁としては、振り子型,直動型,ドア型等が知られている。
【0004】
直動型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成された弁箱の中空部に、弁棒(支持体)に固設された弁板が配置された構造を有する。この構造においては、上記弁棒をその長手方向に直動させて、上記弁板を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁板を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0005】
従来の上記直動型仕切弁としては、ベローズで接続された2枚の第1弁板及び第2弁板からなる弁体と、この2つの弁板の間において弁板の中央部に配置されたアクチュエータと、流路を構成する開口部が形成された弁箱とを備えた仕切弁が知られている。この仕切弁においては、アクチュエータによって、弁箱の開口部の周囲の内面に第1弁板を当接及び押圧させて流路を閉鎖し、または、アクチュエータによって第1弁板を上記弁箱の内面から離間させて流路を開放する(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、振り子型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成されかつ中空部を有する弁箱と、中空部において回転軸に固設されて回転軸と垂直をなす面に平行な方向において広がっている支持体と、この支持体に固設された弁体(シールリング板が開口部に設けられている構造の場合には弁板)とが配置された構造を有する。この仕切弁においては、上記回転軸を回転させて、上記弁体を回動させ、上記弁体を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁体を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0007】
従来の上記振り子型仕切弁としては、ハウジングの中空部内に、回転軸において回動可能な弁板と、ハウジングの開口部に配置された摺動可能なシールリング板と、ハウジングに一体形成されたフランジに上記シールリング板を摺動させるアクチュエータとが設けられた構造が知られている。この仕切弁においては、上記シールリング板を上記弁板に当接及び押圧して流路を閉鎖し、または、上記シールリング板を上記弁板から離間させて流路を開放する(例えば特許文献2参照)。
【0008】
この振り子型仕切弁のアクチュエータは、ボルトと環状室(シリンダ)とピストンとスプリングとが、シールリング板の摺動方向に直列に配置された構造を有する。従って、流路を閉鎖するときは、スプリングに生じる復元力が、ピストン,シリンダ,及びボルトを介してシールリング板に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−181205号公報
【特許文献2】特許第3655715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような仕切弁においては、仕切弁の全体構成をコンパクトにする等の要請から、弁体の構造を簡単にする必要があり、かつ、仕切り動作の信頼性を確保する必要がある。
【0011】
しかしながら、上記従来の弁においては、アクチュエータが弁板の中央部に配置されているので、実際に空間をシールする弁板の面に十分な押し付け力を伝えるためには、弁板に高い剛性が要求される。弁板の剛性が不足すると、確実に仕切りをすることができず、高い信頼性を得られないという課題があった。
更に、上記従来の弁においては、2枚の弁板を連結する構造が採用されている。この連結構造とアクチュエータとは個別の構造部品であるので、弁体の構造が複雑であるという課題があった。
また、大口径バルブにおいては、逆圧に耐え得るためには大きな力を発生するシリンダが必要であり、弁体が大型化してしまうという課題があった。
【0012】
また、上記従来の振り子型仕切弁においては、シールリングを摺動させるアクチュエータがフランジに設けられており、このアクチュエータと、環状のシリンダと、スプリングとが直列に配置されている。
このため、実際に空間をシールする弁板の面は、アクチュエータの内側に位置しており、この面はアクチュエータの位置からずれており、更に、この面にはピストン,シリンダ,ボルトを介してスプリングによる押し付け力(スプリングによる復元力)が伝われる。このため、この押し付け力が不十分であると、確実に仕切りをすることができず、高い信頼性を得られないという課題があった。
また、大口径バルブにおいて逆圧に耐え得るためには、或いは、特殊な形状の弁板、シールリング板、フランジに適用するためには、シリンダを除いたアクチュエータ部品を多数配置する必要があり、仕切弁の構成が複雑になるという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で高い信頼性の仕切り動作が可能な仕切弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の仕切弁は、仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
前記中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、
を具備してなることにより上記課題を解決した。
本発明の前記締結部材には、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結解除した状態で弁開閉動作可能なようにこの締結部材が前記可動弁部から外れないようにする係止部材が設けられることができる。
本発明において、前記第1付勢部が複数設けられ、
前記中立弁体を流路方向に平面視して、前記第1付勢部が配置された中心位置に対して、前記締結部材が対称に配置される手段か、前記中立弁体が略円形の前記第1開口部を閉塞可能とされ、流路方向に平面視して、前記第1付勢部と前記締結部材とが前記中立弁体に対して同心状に配置される手段を採用することができる。
本発明において、前記係止部材がE型止め輪、あるいは、C型止め輪とされてなることもできる。
【0015】
さらに、本発明において、前記第2可動弁部には、前記第1付勢部の反力を前記第2開口部周囲の弁箱内面に伝達する反力伝達部が設けられることがより好ましい。
本発明の前記第2付勢部は、前記第2周囲領域において前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に形成されたエアシリンダであることが可能である。
また、本発明において、前記第2付勢部とされたエアシリンダには、摺動部分に2重シール部が設けられ、1重目のシールが破れた際に、2重目のシールより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす連絡路が設けられる手段を採用することもできる。
また、前記第2付勢部とされたエアシリンダに駆動用気体を供給する供給路が形成され、該供給路には、前記第1可動弁部と前記中立弁部との流路方向位置が変更した際にも、前記第1可動弁部と前記中立弁部との間で駆動用気体を供給可能に摺動接続する接続ピン部が設けられることができる。
本発明においては、前記接続ピン部には、摺動部分に2重シール部が設けられ、1重目のシールが破れた際に、2重目のシールより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす連絡路が設けられることが望ましい。
さらに、前記切り替え手段が、前記流路方向に延在する軸線を有する回転軸を含むものとされてなることが可能である。
また、前記切り替え手段が、前記流路方向と交差する方向に延在し直線状に駆動される弁棒を含むものとされてなることがある。
【0016】
本発明の仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な可動弁部と、
前記可動弁部を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
前記切り替え手段と前記可動弁部とを接続する中立弁部と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とされる第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
を具備してなることにより、中立弁部に流路方向の力を作用させることなく、第1可動弁部および第2可動弁部のみによって第1開口部を閉塞する際のシール部の変形をおこなうことができる。
【0017】
また、本発明の一態様の仕切弁においては、前記エアシリンダおよび接続ピン部は、第2シール部,第3シール部,及びワイパーを有することができ、前記ワイパーは、前記第3シール部よりも前記第2開口部に近い位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様の仕切弁においては、可動弁部が第1可動弁部と第2可動弁部とによって構成されている。更に、前記第1付勢部は、前記第1可動弁部を前記第1開口部に向けて移動させ、前記第1可動弁部を前記内面に接させ、前記第1可動弁部を前記内面に押圧し、前記流路を閉鎖する。更に、前記第2付勢部は、前記第1可動弁部を前記第2開口部に向けて移動させ、前記第1可動弁部を前記内面から離間させた後可動弁部を退避させることにより、前記流路を開放する。この構成によれば、2つの可動弁部と2つの付勢部とによって弁体を構成することができる。また、第1付勢部が第1、第2可動弁部を移動させて、仕切弁を直接かつ確実に閉弁することができる。また、第2付勢部が第1、第2可動弁部を移動させて、仕切弁を直接かつ確実に開弁できる。さらに締結部材により、中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能なため、第2付勢部によって付勢しない状態でも中立弁体の厚み寸法を縮んだ状態に維持することで、中立弁体を弁開の状態にし、メンテナンスをおこなうことができる。このため、簡単な構成で高い信頼性の仕切り動作を行う仕切弁を得ることができるという効果が得られる。
本発明によれば、前記切り替え手段の機構をより小さな出力に対応したものとして、弁の小型化を図ることができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図である。
【図3】図2におけるシリンダ付近の要部拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が弁閉位置とされている場合を示す図である。
【図5】図4におけるメインバネ付近の要部拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、シリンダ付近の要部拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図9】図8における中立弁部付近の要部拡大図である。
【図10】本発明の実施形態の仕切弁に適用可能な開口部及び可動弁部の形状を示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態における接続ピン付近の要部拡大図である。
【図12】本発明における締結部材付近の要部拡大図である。
【図13】本発明における締結部材とメインバネの配置の例を示す配置図である。
【図14】本発明における係止部材の例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る仕切弁の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
また、以下の説明に用いられる各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における仕切弁の構成を示す平面図であり、図2は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図であり、図3は、図2の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図であり、図4は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が密閉閉塞位置とされている場合を示す図であり、図5は、図4の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図であり、図3は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。
【0022】
[振り子型仕切弁]
第1実施形態の仕切弁100は、図1〜図3に示すように、振り子型仕切弁である。
この仕切弁100は、互いに対向した第1開口部12aと第2開口部12bとが設けられた弁箱10と、弁箱10を貫通した切り替え手段としての回転軸20と、回転軸20に接続された中立弁部30と、回転軸20の軸線方向に移動可能として中立弁部30に接続された可動弁部40と、可動弁部40の厚さ方向寸法を拡大する方向に付勢されるメインバネ(第1付勢部)70と、メインバネ70の付勢方向と反対方向に伸張可能な駆動用のエアシリンダ(第2付勢部)80と、可動弁部40を弁箱10の中央位置側にしようとする位置規制用の補助バネ(第3付勢部)90と、を備えている。中立弁部30及び可動弁部40は、中立弁体を構成している。また、可動弁部40は、第2可動弁部(可動弁板部)50と第1可動弁部(可動弁枠部)60とによって構成されている。第1開口部12aから第2開口部12bに向かって流路Hが設定されている。可動弁部40の厚み寸法が縮んだ状態で第2可動弁部(可動弁板部)50と第1可動弁部(可動弁枠部)60とを締結可能な締結ボルト(締結部材)43が設けられている。
【0023】
回転軸20が符号A1で示された方向(流路Hの方向に交差する方向)に回転すると、この回転に従って中立弁部30も方向A1に沿って回動する。また、可動弁部40は中立弁部30に厚さ方向のみ摺動可能として接続されているため、可動弁部40は、中立弁部30と一体に回転する。
このように中立弁部30を回転することにより、流路Hが設けられていない中空部11とされる退避位置から第1開口部12aに対応する位置とされる流路Hの弁閉位置に可動弁部40が振り子運動で移動する。
【0024】
そして、メインバネ70が伸張する方向に作用することで流路H方向に可動弁部40の厚さ寸法が拡大する動作により(閉弁動作)、後述するように、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧することにより、可動弁部40は流路Hを閉鎖する。逆に、エアシリンダ80が作用することで、メインバネ70の付勢力にエアシリンダ80の押圧力が打ち勝って流路H方向に可動弁部40の厚さ寸法が収縮する動作により可動弁部40が表裏とも弁箱10の内面15aおよび内面15bから離間した後に(解除動作)、回転軸20が符号A2で示された向きに回転する(退避動作)と、この回転に従って中立弁部30および可動弁部40も向きA2に回動する。
この解除動作と退避動作とにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避して弁開状態とする弁開動作がおこなわれる。
【0025】
[弁箱10]
弁箱10は、中空部11を有するフレームによって構成されている。フレームの図示上面には第1開口部12aが設けられており、フレームの図示下面には第2開口部12bが設けられている。
仕切弁100は、第1開口部12aが露出されている空間(第1空間)と第2開口部12bが露出されている空間(第2空間)の間に挿入される。仕切弁100は、第1開口部12aと第2開口部12bとをつなげている流路H、即ち、第1空間と第2空間とをつなげている流路Hを仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(第1空間と第2空間をつなぐ)。
弁箱10の中空部11には、回転軸20、中立弁部30、可動弁部40、メインバネ(第1付勢部)70、エアシリンダ(第2付勢部)80、及び補助バネ(第3付勢部)90が設けられている。
【0026】
[回転軸20、中立弁部30]
回転軸20は、流路Hとほぼ平行状態に延在して弁箱10を貫通するとともに回転可能に設けられている。
この回転軸20には、中立弁部30が固設されている。中立弁部30は、回転軸20の軸線に対して直行する方向に延在し、この方向に平行な面を有している。図1に示すように、中立弁部30は、可動弁部40に重なる円形部30aと、回転軸20の回転に伴って円形部を回転させる回転部30bとを有する。回転部30bは、回転軸20と円形部30aとの間に位置しており、回転部30bの幅は回転軸20から円形部30aに向けて徐々に増加している。これら回転軸20、中立弁部30は、弁箱10に対して回動はするが、流路H方向には位置変動しないように設けられている。
【0027】
[可動弁部40、第2可動弁部(可動弁板部)50、第1可動弁部(可動弁枠部)60]
可動弁部40は略円板状とされ、円形部30aと略同心円状に形成された可動弁板部50と、この可動弁板部50の周囲を囲むように配置された略円環状の第2可動弁部60とを有する。第2可動弁部60は、中立弁部30に流路H方向に摺動可能として接続されている。また、可動弁板部50は、第2可動弁部60に摺動可能として嵌合されている。可動弁板部50と第2可動弁部60とは、メインバネ70及びエアシリンダ80によって符号B1,B2で示された方向(往復方向)に摺動しながら移動可能である。ここで、符号B1,B2で示された方向とは、可動弁板部50および第2可動弁部60の面に垂直な方向であり、回転軸20の軸方向に平行な流路H方向である。
【0028】
また、可動弁板部50の外周付近における全領域には、内周クランク部50cが形成されている。また、可動弁枠部60の内周付近における全領域には、外周クランク部60cが形成されている。
第1実施形態においては、外周クランク部60cと内周クランク部50cとが、流路H方向と平行な摺動面50b、60bどうしで摺動可能に嵌合している。
【0029】
弁箱10の内面に対向(当接)する可動弁枠部60の表面には、第1開口部12aの形状に対応して円環状に形成された、例えば、Oリング等からなる第1シール部61(主シール部)が設けられている。
この第1シール部61は、閉弁時に可動弁部40が第1開口部12aを覆っている状態で、第1開口部12aの周縁となる弁箱10の内面15aに接触し、可動弁枠部60及び弁箱10の内面によって押圧される。これによって、第1空間は第2空間から確実に隔離される(仕切り状態が確保される)。
【0030】
[メインバネ(第1付勢部)70]
メインバネ(第1付勢部)70は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに隣接した第1周囲領域40bに配置されている。メインバネ70においては、可動弁枠部60を第1開口部12aに向けて(B1方向)に押圧するように、同時に、可動弁板部50を第2開口部12bに向けて(B2方向)に押圧するように復元力が生じている。これにより可動弁部40による弁閉状態において、メインバネ70は、可動弁板部50に力を加え(付勢し)、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bに向けて可動弁板部50を押圧して内面15bと可動弁板部50の反力伝達部59とを当接させているとともに、同時に、可動弁枠部60に力を加え(付勢し)、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに向けて可動弁枠部60を押圧して内面15aと可動弁枠部60の第1シール部61とを当接させている。
【0031】
第1実施形態においては、メインバネ70は、可動弁板部50に第2開口部12b側を向いて開口するよう設けられた凹部50aとこの凹部50aの対向位置に可動弁枠部60に第1開口部12a側を向いて開口するよう設けられた凹部60aとに嵌め込まれて設けられた弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
【0032】
メインバネ70は、第一端と第二端とを有する。第一端は、可動弁板部50の凹部50aの底面に当接している。第二端は、可動弁枠部60の凹部60aの天井面に当接している。また、図1に示すように、円環状の可動弁枠部60において、複数の第1付勢部70が周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0033】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧する可動弁部40の最大厚さ寸法となった状態における可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面との間の距離よりも大きい。このため、可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面とによって圧縮されつつ凹部50aおよび凹部60aの内部に配置されているメインバネ70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁枠部60がB1方向に、同時に、可動弁板部50がB2方向に摺動しながら、第1シール部61および反力伝達部59が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0034】
また、メインバネ70は、第1シール部61に対する押圧力を効率よく伝達して仕切弁100の閉塞を確実にするために、第1シール部61に近接した第2周囲領域40bに配置される。具体的には、第1シール部61直下のすぐ外周位置には後述する反力伝達部59となる突条が位置するのに対し、可動弁板部50の径方向位置として、この第1シール部61を挟んだ突条(反力伝達部)59の反対側位置にメインバネ70は位置される。これにより、メインバネ70の付勢力は効率よく可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とに伝達され、第1シール部61の変形による弁の密閉の確実性を向上することができる。
また、メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下付近とされる第2周囲領域40bに配置されることもできる。この場合、仕切弁においては、第1付勢部70を可動弁枠部60に設けられているので、第1付勢部70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0035】
このように、仕切弁100においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行う第2付勢部80(後述)とが近接して設けられている。この構成において、メインバネ70及び第2付勢部80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域(第1周囲領域40a及び第2周囲領域40b)において、互いに近接するように径方向に隣接して配置されている。また、メインバネ70は、第1シール部61の直下付近に位置している。つまり、仕切弁100の構造は、第1シール部61、反力伝達部59、メインバネ70の位置関係が、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造として効率よくシールをおこなうことができるように構成される。
【0036】
さらに、メインバネ70の付勢力が可動弁板部50と可動弁枠部60とを拡げる方向、つまり、可動弁部40の厚さを増大して、可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とを弁箱10の内面15a,15bに押圧する方向に設定されているので、停電等によってユーティリティ設備から仕切弁100を備える装置への電力供給(エネルギー供給)が停止した場合であっても、メインバネ70において生じる機械的な力のみで確実に仕切弁100を閉じることができる。このため、フェイルセーフな仕切弁を確実に実現できる。
一方、仕切弁40の厚さを減じる付勢がおこなわれているもの、あるいは、ユーティリティ設備から供給される電力等のエネルギーによって閉弁動作が行われている構造を有する仕切弁においては、ユーティリティ設備から装置へのエネルギー供給が停止した場合に閉弁動作を行うことができない場合がある。このため、このような構造においては、フェイルセーフな仕切弁を実現できない。
【0037】
[エアシリンダ(第2付勢部)80]
エアシリンダ80は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに配置されている。エアシリンダ80においては、エアシリンダ80に駆動流体として圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて(B2方向)移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。同時に、可動弁板部50を第1開口部12aに向けて(B1方向)に移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。これによって、メインバネ70の付勢力に打ち勝って、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから可動弁枠部60を離間させるのと同時に、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bから可動弁板部50を離間させる。
これにより、後述する補助バネ(第3付勢部)90の付勢力により体40は流路H方向において弁箱10の厚さ中央位置となりの弁箱10内で回動可能な状態となる。
【0038】
なお、可動弁部40において、第1周囲領域40aは、円環状である可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59との内側に位置する。同時に、可動弁部40において、第2周囲領域40bは、第1周囲領域40aの内側に位置する。即ち、可動弁部40の径方向において、メインバネ70は、エアシリンダ80の内側に配置されている。言い換えれば、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向(流路H方向)に交差する方向においてメインバネ70に隣接している。つまり、エアシリンダ80は、可動弁部40の径方向において、シール部61および反力伝達部59、と、メインバネ70との間に位置する。
【0039】
第1実施形態においては、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つのエアシリンダ(空隙)である。
具体的に、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の第1開口部12aに向けて開口した凹部60dと可動弁板部50の第2開口部12bに向けて突出した凸部50dとが勘合した状態で形成され、これら環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するように形成されている。また、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の周縁部に形成された円環状の空間、および、可動弁板部50の最外周に形成された突条(環状凸部)からなり、1つの円環シリンダ(円環空隙)として機能する。また、言い換えると、円環シリンダは、流路Hを囲むように形成されている。
【0040】
エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給されると、第2付勢部80の体積を膨張させる膨張力(付勢力)がB1,B2方向に生じる。膨張力の大きさがメインバネ70に生じる復元力よりも大きい場合、この膨張力がメインバネ70の付勢力に打ち勝ってメインバネ70が圧縮され、可動弁板部50がB1方向に可動弁枠部60がB2方向に摺動して弁体40の厚さ方向寸法が縮小して、第1シール部61が弁箱10の内面15aから離間し、同時に、反力伝達部59が弁箱10の内面15bから離間して、開弁動作が行われる。この際、円環状の凹部60dと凸部50dとが摺動することで、可動弁板部50と可動弁枠部60との移動する方向が流路方向のみに規制されるとともに、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、シール部61および反力伝達部59が弁箱10内面15a、15bに当接した状態から平行移動するように位置規制される。つまり、このエアシリンダ80は可動弁板部50と可動弁枠部60との相対移動方向とその姿勢を規制することができる。
【0041】
[補助バネ(第3付勢部)90]
補助バネ90は、中立弁部30と可動弁枠部60との間に設けられ、弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置する中立弁部30に対して、弁体40の厚さ寸法が縮小した際に、弁体40を弁箱10の中央よりに付勢するものである。
補助バネ90は、中立弁部30の外周位置(図2,図4では右側位置)に設けられた開口30aを貫通して可動弁枠部60に接続された棒状の位置規制部65に設けられている。補助バネ90もメインバネ70と同様に弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
補助バネ90は、中立弁部30開口30aの第1開口部12a側に設けられたフランジ部30bと、位置規制部65の先端65aとに係止されて、可動弁枠部60を第2開口部12b側に移動するB2に向かう向きに付勢されている。
【0042】
補助バネ90は、この中立弁部30より第1開口部12a側に位置する可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて付勢して、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに可動弁枠部60のシール部61が当接している場合であって、エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60が第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから離間するように付勢している。
これにより、エアシリンダ80に圧縮空気が供給された際に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に向かって移動し、最終的に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置するように姿勢制御される。また、補助バネ90の付勢力は、メインバネ70の付勢力とエアシリンダ80の付勢力の差よりも遙かに小さいものとされる。つまり、弁閉状態を実現するための能動的バネあるいは、アクチュエータとしてのメインバネ70やエアシリンダ80に比べて、弁体の厚さ寸法を変化させるものであるから極めて小さなものでよい。
【0043】
このように、仕切弁100においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、弁体40厚さを増大する動作を行うメインバネ70と、弁体40厚さを縮小する動作を行うエアシリンダ80と、弁体40を流路方向において弁箱10中央位置側にする姿勢制御をおこなう補助バネ90と、が設けられている。
この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダを構成している。この構成によれば、一方向に圧縮空気第2付勢部80に供給する供給路41が1つ設けられていれば、圧縮空気を円環状のエアシリンダ80に沿ってこの円環シリンダの内部に供給することができ、弁体40の厚さ寸法の伸縮(開弁動作及び閉弁動作)を行うことができるとともに、この動作中において補助バネ90により弁体40の伸縮に伴う弁体40の流路方向位置を弁箱10中央付近に容易に維持することができる。このため、簡易かつコンパクトな構成を有するアクチュエータを実現することができる。
【0044】
また、エアシリンダ80は、開弁動作を行うために用いられるので、第2付勢部80において発生する力の大きさ(出力)として、第1付勢部70を圧縮することができる大きさ(出力)があれば十分である。
【0045】
第1実施形態においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって1つの厚さ方向寸法を可変な可動弁部40が構成されているので、2枚の可動弁部を設ける必要がなく、簡単かつコンパクトな構造を有する可動弁部を実現することができる。
また、中立弁部30にはアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、中立弁部30には振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。また、回転軸20にもアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、回転軸20振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。同時に、回転軸20に弁密閉するためのモーメントが必要なものに比べて、弁体40の揺動機構の出力を抑えることができるので、この回転軸20の回動機構を小型化することができる。
この構造においては、剛性として、上記中立弁部30の強度に加えて、退避位置と弁開閉位置の間で可動弁部40を回動させる際にその自重を支える強度があれば十分である。
【0046】
図2は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに嵌合されている部分および中立弁部30と可動弁板部50とが互いに嵌合されている部分を示す拡大縦断面図であり、第1付勢部70及びガイドピン62が設けられた部位を示している。
【0047】
[第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52b]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面には、可動弁枠部60の環状凹部60dの内周面に当接し、可動弁板部50と可動弁枠部60との間をシールする2重シール部として、Oリング等の円環状の第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが設けられている。
【0048】
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51bが設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gに、第3シール部52a,52bが設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁枠部60の第2外周面60gに当接する。
第2シール部51a,51bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0049】
第2シール部51a,51bは、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、例えば圧力が低い空間である第1開口部12aに連通する第1空間側とを遮断するものであり、この仕切り状態を確保することができる。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間であって第2開口部12bに近い第2空間側とを仕切り、仕切り状態を確保することができる。
【0050】
[ガイドピン62]
ガイドピン62は、可動弁枠部60に固設されて流路方向に立設された太さ寸法均一の棒状体とされ、エアシリンダ80内を貫通し、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに形成された孔部50hに嵌合している。
このガイドピン62は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向が符号B1,B2に示された方向からずれないように、かつ、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動した際にもその姿勢が変化せずに平行移動をおこなうように、これらの位置規制を確実に誘導する。
【0051】
これによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、符号B1,B2に対して斜め方向に移動することを防止している。同時に、可動弁枠部60は、弁閉状態としてシール部61と反力伝達部59とがそれぞれ弁箱10の内面15a,15bに当接した状態に対して、可動弁板部50と可動弁枠部60との流路方向位置が変化した場合でも、これらが平行状態を維持して平行移動し、可動弁板部50と可動弁枠部60とが傾いてしまうことを防止している。
【0052】
この構造においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに位置決めされつつ、符号B1及びB2で示された方向に平行状態を維持したまま相対的に移動し、閉弁動作及び開弁動作を行うことができる。これによって、開弁動作においては、可動弁枠部60に設けられた第1シール部61に均一に押圧力を生じさせ、リークが抑制されたシール構造を実現できる。
【0053】
また、このようにガイドピン62を備えた構造においては、仕切弁100が真空装置に取り付けられる姿勢が決められていない場合、即ち、仕切弁100が取り付け方向が自由である場合に、弁体40の重量の負荷が第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bに局所的に加わることを防止することができる。例えば、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向に対して直角に重力が作用するように仕切弁100が取り付けられている場合、摺動する部材である可動弁板部50と可動弁枠部60との重量がガイドピン62に加わる。このため、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52b(O−ring)に可動弁板部50と可動弁枠部60との重量が直接的に加わることを防止される。これにより、仕切弁100が取り付けられる姿勢がいかなる姿勢であっても、シール部の寿命が短くならず、リークを防止する効果を確保・維持することができる。
【0054】
ガイドピン62と孔部50hとの摺動面の面積を低減するため、また、仕切弁100の外部である第1空間及び第2空間からガイドピン62を隔離するために、ガイドピン62は、エアシリンダ80内を貫通するように配置されている。
また、このように、エアシリンダ80内にガイドピン62を配置することにより、可動弁板部50と可動弁枠部60とを互いに滑らかに摺動させることができる。
なお、ガイドピンの強度が十分に得られていれば、大口径を有する仕切弁においても、可動弁部60が摺動する方向がずれることが防止される。また、ガイドピン62は、特殊な形状を有する可動弁部においても流路と直行する面内配置を設定して荷重を適宜分散することでより一層開閉動作の良好な仕切弁として適用可能である。
【0055】
[ワイパー53,54]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fには、可動弁部60の内周面に当接する円環状のワイパー53が設けられている。同様に、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gには、可動弁部60の外周面に当接する円環状のワイパー54が設けられている。
【0056】
ワイパー53は、第2シール部51a,51bと同様にして、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、ワイパー54は、第3シール部52a,52bと同様にして、可動弁枠部60の第1外周面60gに当接する。
ワイパー53,54、第2シール部51a,51b、第3シール部52a,52bは、いずれも、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに配置されている。第2シール部51aは、第1開口部12a(第1空間)に近い位置に配置されている。第3シール部52aは、第2開口部12b(第2空間)に近い位置に配置されている。
【0057】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するエアシリンダ80において、その可動弁枠部60の凹部60dの内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54を構成する部材(材料)として、例えば、スポンジ状のポーラスな弾性体を選択すれば、その部材の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0058】
[中間大気室55,56]
第2シール部51a,51bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室55が設けられている。同様に、第3シール部52a,52bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室56が設けられている。
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面50fで第2シール部51a,51bによって仕切られた部分に中間大気室55が設けられている。また、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの内周面50gで第3シール部52a,52bによって仕切られた部分に中間大気室56が設けられている。中間大気室55は、可動弁枠部60の第1内周面60fと可動弁板部50の外周面50fに設けられた溝とで形成された空間であり、中間大気室56は、可動弁枠部60の第1外周面60gと可動弁板部50の第2内周面50gに設けられた溝とで形成された空間である。
【0059】
そして、これらの中間大気室55,56は、後述する供給路41と同様の構成とされ図示しない連絡路によって仕切弁100の外部に連通され、エアシリンダ80の加圧中に1重目のシールが破れた場合でも、圧縮空気(駆動用気体)を仕切弁外部に向けて逃がして、圧縮空気が弁箱10内部に放出されてしまうことを防止するようになっている。
つまり、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第2シール部51bが破れた際に、2重目のシールである第2シール部51aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室55および連絡路が設けられている。また、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第3シール部52bが破れた際に、2重目のシールである第3シール部52aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室56および連絡路が設けられている。
これにより、圧縮空気が弁体10内部に噴出して、仕切弁100内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0060】
同時にまた、これらの中間大気室55,56の圧力は、連絡路によりモニタ可能である。即ち、圧力計が中間大気室55,56の圧力を測定するように仕切弁100外部に設けられるとともに連絡路によって接続されており、ユーザによってその圧力が監視される。
例えば、第1開口部12aに近い第1空間が減圧空間であり、第2シール部51aが破損している場合においては、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第2シール部51bが破損している場合には、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも高くなる。
同様に、第2開口部12bに近い第2空間が減圧空間であり、第3シール部52aが破損している場合においては、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第3シール部52bが破損している場合には、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも高くなる。
【0061】
このように仕切弁100は、中間大気室55,56の圧力をモニタする構造を有することができるので、例えば、中間大気室55,56の圧力値が大気圧よりも低い圧力であって閾値の圧力よりも低い場合、あるいは大気圧よりも高い圧力であって閾値の圧力よりも高い場合に、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常を検知することができる。
例えば、と中間大気室55,56中あるいは連絡路にアラーム装置が設けられた構造、或いは、仕切弁100に接続された制御装置にアラーム装置が設けられた構造が採用されていれば、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常をアラームによって報知することができる。従って、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが破損し、内部リークが仕切弁100に発生し、メンテナンスが必要であることをすぐに認識することができる。
これにより、真空装置等の外部から検知することができない、仕切弁において発生した内部リーク等の不具合を確実に判断することができる。
【0062】
[接続ピン部69、供給路41]
仕切弁100には、図に二点差線で示すように、エアシリンダ80に駆動用気体を供給する供給路41が形成され、この供給路41は、可動弁枠部60の躯体内部、および、中立弁部30の躯体内部、回転軸10内部を経由して、仕切弁100の外部に設けられた図示しない駆動用気体供給手段に連通するよう設けられている。
この供給路41には、可動弁枠部60と中立弁部30との流路方向位置が変化した際にも、可動弁枠部60と中立弁部30との間で駆動用気体を供給可能に摺動接続する接続ピン部69が設けられる。
【0063】
接続ピン部69は、中立弁部30に流路方向と平行に穿孔された円形断面の孔部38と、この孔部38に回動可能に勘合された棒状の接続ピン68とからなっている。孔部38の内面38aは、開口側の内面38aに比べて底部側の内面38bが縮径され、これに対応して、接続ピン68の径寸法も基部68aに対して先端68bが縮径している。そして、この径寸法が変化する部分にそれぞれ段差38c、段差68cが形成されている。
【0064】
接続ピン部69は、図に二点差線で示すように、その中心軸線付近に供給路41が形成されて管状となっており、可動弁枠部60内部の供給路41が連通されている。また、接続ピン68の先端面68daには供給路41が開口しており、この先端面68dと孔部38の底部38d付近とで形成される加圧空間69aには、中立弁部30躯体内に形成された供給路41が連通されている。
駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に供給される。
【0065】
接続ピン部69においては、接続ピン68の外周面68aには孔部38の内周面38aが当接するとともに、接続ピン68の外周面68bには孔部38の内周面38bが当接している。
接続ピン68には、孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動した場合でも、加圧面となる先端面68dと底面38dとの間ではなく、摺動方向となる面に、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間である加圧空間69aと、例えば圧力が低い空間である第2開口部1bに連通する第2空間側とを遮断する2重シール部が設けられる。
シール部は、加圧空間69aと中空部11との仕切り状態を確保できるものとされる。
【0066】
具体的には、接続ピン68には、接続ピン68と孔部38との間をシールする2重シール部として、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の太シール部68fが設けられるとともに、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の小シール部68gが外周面68bに設けられている。
同時に、段差68cおよび段差38cで形成された円環状の中間大気室69cが、この2重シールの間にあり、図示しない連絡路42に連通されることで、圧縮空気が弁箱10内部に噴出して、仕切弁100内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0067】
特に、加圧面となるとともにその距離が変化する先端面68dと底面38dとの間でシールするのではなく、直接的に加圧面とはならずかつ摺動面であり距離が変化しない外周面68aと内周面38aおよび外周面68bと内周面38bとの間でシールをおこなうので、より確実な密閉状態を維持することが可能となる。
このようなシール部68f、68gの構成によれば、上述したエアシリンダ80における第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52bおよびガイドピン62の構成と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0068】
孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動中あるいは移動して流路方向の相対位置が変化した場合でも、駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、この体積の変化した空間69aを介して、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に安定的に供給される。
【0069】
[締結ボルト(締結部材)43]
締結ボルト(締結部材)43は、図12に示すように、外周面に雄ネジの設けられた先端部分43aが可動弁枠部60に設けられた締結螺着部63に設けられたネジ穴63aに螺接されている。締結ボルト43は、可動弁体40の厚さ方向、つまり、可動弁板部50と可動弁枠部60との移動方向であるB1方向またはB2方向と平行な方向に軸線が向くように設けられている。
【0070】
締結ボルト43の中央部分43bは、先端部分43aと略同径とされ、可動弁板部50に設けられた締結螺着部63に設けられた貫通孔57bに軸方向移動可能として貫通されている。中央部分43bの径寸法は貫通孔57bの径寸法よりも小さく設定され、これらが軸方向に相対移動した場合でも互いに接触しないようになっている。
締結ボルト43の基端部分43cには、先端部分43aおよび中央部分43bよりも拡径したボルトヘッドとされ、先端部分43a側の当接面43dが、対向する締結部57における貫通孔57b外側の当接面57dと当接して、締結ボルト43と可動弁板部50との流路方向変動位置を規制可能になっている。
【0071】
締結ボルト43には、先端部分43aの雄ネジが螺設された部分より先端位置に、係止用溝43eが周設されて、この係止用溝43eに勘合されたワッシャ等の止め輪(係止部材)43fが、ネジ穴63aの外側面63fに当接することで締結ボルト43の軸方向(流路方向)における内側方向(図示下方向)の移動を規制し、締結ボルト43を回転させても可動弁枠部6位から離脱しないように係止している。
止め輪(係止部材)43fは、締結ボルト(締結部材)43が単純に外れないだけではなく、可動弁板部50と可動弁枠部60と締結解除した状態で、締結ボルト43が、長期的に緩みなく、かつ、位置を保持していることを可能とする。つまり止め輪(係止部材)43fが締付軸力を安定的に負担する必要があるため、図14(a)に示すように、E形止め輪とされるか、あるいは、図14(b)に示すように、C型止め輪を適用することが好ましい。なお、止め輪のタイプによって係止用溝43eの形状も対応したものとされる。また、係止部材としては、ピン型のものも適応可能で、この場合は、係止用溝43eに代えて締結ボルト43の径方向に設けられた係止孔に固定されることができる。
【0072】
締結ボルト43の長さは、止め輪43fが外側面63fに当接した状態で、可動弁部40が最大厚さとなっても、先端部分43a側の当接面43dが、対向する締結部57における貫通孔57b外側の当接面57dと当接しない程度に長く設定されている。また、可動弁部40が最小厚さとなった場合には、締結螺着部63と締結螺着部63との対向する当接面63gと、当接面57gとが当接することで、可動弁板部50と可動弁枠部60との位置規制がおこなわれる。つまり、螺接された締結ボルト43に対して、可動弁板部50は、B1方向には当接面57gが当接面63gに当接する位置まで、また、B2方向には当接面57dが当接面43dに当接する位置まで移動可能となる。
【0073】
したがって、締結ボルト43をネジ穴63aに対して回転し、締結長さを変化することで、可動弁板部50の移動範囲、つまり、可動弁板部50と可動弁枠部60との流路方向位置を規制することができる。特に、エアシリンダ80によって、メインバネ70の付勢力に打ち勝って可動弁部40の厚さが縮小した状態で、当接面57dが当接面43dに当接するように、締結ボルトを回動させることにより、エアシリンダ80の駆動を停止した状態でも、可動弁部40の厚さが縮小した状態を維持することが可能となる。これにより、メンテナンス時などに、中立弁体を弁箱10と接触しないように自由な状態で回動可能とすることができる。
【0074】
また、締結ボルト43は、複数設けられたメインバネ70の付勢力に打ち勝って安定的に可動弁部40の厚さが縮小した状態を維持するために、可動弁部40を流路方向に平面視して、複数のメインバネ70が配置された中心位置に対して、この締結ボルト43が対称に配置される。
具体的には、図13に示すように、可動弁部40が流路方向に平面視して略円形とされ、可動弁部40の最外周である第1周囲領域40aに複数のメインバネ70が同心状に位置するように配置された場合、締結ボルト43は、メインバネ70と同心状にかつ、メインバネ70と等間隔になるように、メインバネ70と同数設けられる。
【0075】
一例として、図13(a)には、メインバネ70と締結ボルト43とがメインバネとが4本ずつ配置された例を、図13(b)には、メインバネ70と締結ボルト43とがメインバネとが3本ずつ配置された例を示す。また、図13(c)には、6本のメインバネ70が同心状に配置され、締結ボルト43と中心に設けられた例を示す。
なお、これらの例はメインバネ70の付勢力が全て等しいものとして例示したが、複数のメインバネの付勢力が不均等である場合には、これらの付勢力を効率よく受けて、可動弁部40の厚み寸法の縮小幅が、中立弁体面方向全体で等しくなるように締結ボルトを設けることが好ましい。
【0076】
これにより、常にメインバネ70の付勢力が働いている可動弁部40に対してその厚さを縮小する冶具を別途用意することなく、中立弁部30と可動弁部40とからなる中立弁体の取り外しを可能とすることができる。
さらに、止め輪43fを設けることで、メンテナンス時に、締結ボルト43を取り外した上で紛失してしまうリスクを排除することができる。
【0077】
以上のように、第1実施形態においては、流路方向に互いに離間接近可能な可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成された可動弁部40が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを流路方向外側に向けて付勢するメインバネ70が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させるエアシリンダ80が設けられ、可動弁枠部60を中立弁部30に接近する方向に付勢する補助バネ90が設けられることによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱の内面15a、15bに押圧して、シール部61及び反力伝達部59とで確実に弁閉塞をおこなうことができる。
また、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させることで、弁箱10に弁体40が接触しないようにして回動させ、回動以外の動作が必要な機構に比べて小型で出力の小さい駆動機構によって退避位置まで弁体40を移動することができる。
【0078】
この構成においては、1つの可動弁部40と3つの付勢部70,80,90とによって弁体を形成することができる。また、可動弁部40の周囲領域に配置されたメインバネ70の復元力によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面に直接押し付けて、確実に閉弁できる。同様に、可動弁部40の周囲領域に配置されたエアシリンダ80に供給された圧縮空気の作用によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面から離間させて、確実に回動可能状態として開弁できる。従って、第1実施形態においては、簡単な構造を有し、高い信頼性で仕切り動作を行うことができる仕切弁を実現することができる。
【0079】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、固定弁部と可動弁部とが嵌合されているシリンダ付近の要部拡大図である。
図7において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0080】
第1実施形態においては、可動弁板部50の外周にU字形状のU字部が形成されており、可動弁枠部60の内周に逆U字形状の逆U字部が形成されている。また、可動弁板部50のU字部と可動弁枠部60の逆U字部とが互いに嵌合するように、可動弁板部50及び可動弁枠部60が設けられている。
一方、第2実施形態の可動弁部40の構造においては、図7に示すように可動弁板部50の外周に形成された外周クランク部と可動弁枠部60の内周に形成された内周クランク部とが嵌合されている。
【0081】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、凹部60aの深さよりも大きい。このため、凹部60aの天井面と可動弁板部50とによって圧縮されつつ凹部60a内に配置されている第1付勢部70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁部60がB1方向に摺動しながら、第1シール部61が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0082】
メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下に配置されることが望ましい。
本実施形態においては、メインバネ70が可動弁枠部60に設けられているので、メインバネ70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0083】
このような第2実施形態においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とが設けられている。この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。
具体的には、可動弁部40の最外周である第1周囲領域40aにメインバネ70が設けられ、第1周囲領域40aに隣接した第2周囲領域40bにはエアシリンダ80が配置される。また、メインバネ70は、第1シール部61の直下に位置している。
【0084】
この構造においては、メインバネ70は第1シール部61を直接押圧することができ、第1シール部61にほぼ垂直方向に荷重を直接加えることができる。
つまり、仕切弁100の構造は、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造ではない。このため、梃子に相当する部分の構造部材(強度)は必要なく、アクチュエータの構造を簡易化することができる。また、可動弁部60に要求される剛性として、可動弁部60の自重を支えることができる強度があれば十分である。
【0085】
本実施形態の構造においては、可動弁枠部60の第1シール部61の直下にメインバネ70が配置され、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダによって第2付勢部(エアシリンダ)80が形成されている。この構造においては、アクチュエータの構成も簡単にすることにでき、閉弁動作及び開弁動作の信頼性を向上させることができる。
また、このように可動弁部40の周囲領域にアクチュエータが配置された構成が大口径を有する仕切弁に適用された場合であっても、上述した同様の構造によって確実に閉弁動作及び開弁動作を行うことができ、逆圧が作用した場合においても同様の動作ができる。
【0086】
この第2実施形態においては、第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54の位置が、第1実施形態とは異なっている。
具体的に、第1実施形態においては、第1外周面50fとは反対の面である内側面50gに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられているが、第2実施形態においては、第2外周面50jに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられている。
【0087】
可動弁板部50の外周クランク部において、径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51b、ワイパー53が設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側であって第2シール部51a,51bの下方に位置する第2外周面50jに、第3シール部52a,52b、ワイパー54が設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60jに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁部60の第1内周面60jの下方に位置する第2内周面60kに当接する。
【0088】
第2シール部51a,51b、ワイパー53、中間大気室55は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い第1空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52b、ワイパー54、中間大気室56は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに近い第2空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0089】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって摺動する可動弁枠部60の内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0090】
以上のように、第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、第2実施形態においては、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とを、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域に配置しているので、弁箱10にアクチュエータを設ける必要がなく、簡単な構成を有する仕切弁を実現できる。
【0091】
(第3実施形態)
図8及び図9は、本発明の第3実施形態の仕切弁の構成を説明する図である。図8は仕切弁の横断面図であり、図9は弁体が弁開閉位置に配置されている場合の仕切弁の縦断面図である。
図8及び図9において、図1ないし図6に示した第1実施形態および図7に示した第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0092】
第3実施形態の仕切弁300は、弁箱10aと、弁棒25と、中立弁部30と、可動弁部40と、第1付勢部70(スプリング)と、第2付勢部80(エアシリンダ)とを備えている。中立弁部30及び可動弁部40は、弁体を構成している。また、可動弁部40は、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成されている。
【0093】
[直動型仕切弁]
第3実施形態の仕切弁300は、直動型仕切弁である。仕切弁300においては、上記第1実施形態の振り子型の仕切弁100を構成する弁体構造が、直動型仕切弁に適用されている。
ただし、上記実施形態1においては、第1開口部12a,第2開口部12b,及び可動弁部40(可動弁板部50および可動弁枠部60)の形状は、同心円形状であったが、第3実施形態においては、これらの形状の形状は、角部に丸みを有する略正方形である。
また、弁体を直動させるため、弁箱10aの横断面形状は略長方形である。中立弁部30は、切り替え手段としての弁棒25の端部に固設されている。
【0094】
圧縮空気が供給路41に供給されて、可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法が収縮し、弁箱10の内面15a、15bから可動弁部40が離間した状態で、符号D1で示された向きに直進するように弁棒25が駆動すると、この駆動に従って中立弁部30も向きD1に沿って直動する。このように中立弁部30が直動することにより、流路Hが設けられていない退避位置から流路Hの弁開位置に可動弁部40が挿入される。
【0095】
そして、エアシリンダ80の動作を切断しメインバネ70が作動することにより(閉弁動作)、可動弁部40の厚み寸法が増大して可動弁部40は流路Hを閉鎖する。逆に、エアシリンダ80が作動することにより可動弁部40を開いた後(開弁動作)に、弁棒25を向きD2に直進するように駆動すると、これに従って中立弁部30も向きD2に直動する。
これにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避する。
【0096】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、中立弁部と可動弁部(可動弁枠部)とが接続されている接続ピン部付近の要部拡大図である。
図11において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0097】
第1実施形態においては、接続ピン部69として、可動弁枠部60と一体とされた接続ピン68が形成されていたが、本実施形態の接続ピン部69としては、可動弁枠部60に接続されたフローティングピン(接続ピン)68Aが貫通孔67に勘合されている。
フローティングピン68Aは、図11に示すように、孔部38に回動可能かつ軸方向に摺動可能として勘合されている図示下部側が、上述した第1実施形態と略同等の構成とされている。
【0098】
本実施形態の接続ピン部69は、可動弁枠部60に流路方向と平行に穿孔された円形断面の貫通孔67を有し、この貫通孔67にフランジ部68Aaを有する棒状のフローティングピン68Aが回動可能かつ半径方向に微動可能で、かつ傾斜は最小限になる様に勘合されている。貫通孔67の内面67aは、フランジ部68Aaの径寸法に対応して可動弁枠部60に対向した孔部38よりも拡径したフランジ内面67aを有し、この開口側のフランジ内面67aに比べて図示上となる貫通側のガス接続位置内面38bが縮径され、このガス接続位置内面67bに比べて図示上となる貫通側の支持位置内面67cが縮径され、この支持位置内面67cに比べて図示上となる貫通側の外側内面67dが拡径されている。
【0099】
フローティングピン68Aは、その径寸法がこの貫通孔67の径寸法に対応して、フランジ部68Aaに対して縮径したガス接続部68Abが縮径し、ガス接続部68Abに対して固定端68Acが縮径している。
固定端68Acには、固定溝68Adが周設されて、この固定溝68Adに勘合されたワッシャ等の固定部材68Aeが、貫通孔67の外側面67eに当接することでフローティングピン68Aの軸方向(流路方向)における内側方向(図示下方向)の移動を規制し位置を固定している。
フランジ部68Aaの上側となるシール面68Afと、ガス接続部68Abの上側となるシール面68Agは、対向する段差面67fおよび段差面67gとの間に、Oリング等とされるシール部材67h、67jが設けられている。
【0100】
フローティングピン68Aの外径寸法として、固定端68Acは支持位置内面67cの内径寸法とほぼ等しく設定されているが、フランジ部68Aaおよびガス接続部68Abは、それぞれ、フランジ内面67aおよびガス接続位置内面38bに対して、微少寸法小さく設定されて、フローティングピン68Aが可動弁枠部60に対して径方向に僅かに遊びがある状態とされている。傾斜すると、シール部材67hの潰し代が変化してしまう為、傾斜は最低限に抑え、径方向に微小変位するというのが技術的特徴である。
【0101】
フローティングピン68Aは、固定端68Acの固定部材68Aeと、シール面68Afおよびシール面68Agのシール部材67h、67jで対向する方向に可動弁枠部60を挟持するように固定されている。これにより、フローティングピン68Aは、図示上側に押圧された状態で、軸線方向(貫通孔67の長さ方向)には移動しないように可動弁枠部60に固定されている。
同時に、フローティングピン68Aは、シール部材67hがシール面68Afと段差面67fとに押圧されて変形するとともに、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとに押圧されて変形するようになっている。
このように、フローティングピン68AのOリング等とされるシール部材67h、67jが段差面67fおよび段差面67gに押圧されて変形することで、ガス接続部68Ab、および、接続位置内面67b部分がシールされる。
【0102】
孔部38の底部38d付近には、供給路41となる開口が設けられる。
フローティングピン68Aの内部には、その先端面68dに開口し軸方向に沿って中心に開けられるとともに、接続位置内面67bに設けられた開口に対向する位置とされるガス接続部68Abの表面に開口する供給路41が設けられて、加圧空間69aとエアシリンダ80とを接続可能となっている。
【0103】
本実施形態においては、フローティングピン68Aは、摺動面と同じ方向となる内面67aとフランジ部68Aa外周、ガス接続位置内面67bとガス接続部68Abではなく、加圧面となる先端面68dと平行な方向、つまり、摺動方向と直行する面であるシール面68Afと段差面67fとの間、および、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとの間に、シール部材67h、シール部材67jが設けられることで、フローティングピン68Aが傾斜した場合や、フローティングピン68Aが僅かに径方向に移動した場合であっても、Oリング等とされるシール部材67h、67jの潰し代は変化しない。したがって、このようにフローティングピン68Aが移動した場合、つまり、中立弁部30と可動弁枠部60とが、流路方向以外の相対位置変動した場合であっても、加圧されたガス接続部68Ab付近の供給路41に対するシールを維持し、密閉が破れることがない。
【0104】
同時に、本実施形態においては、太シール部68fおよび小シール部68gにおいて、製作公差等によってフローティングピン68Aに対して半径方向の位置ズレなどがある場合においても、フローティングピン68Aと可動弁枠部60に流路と直交する方向(フローティングピン68A径方向)の遊びがあるため、太シール部68fおよび小シール部68gの摺動Oリングには偏芯が生じない。したがって、摺動時にも接続ピン68と孔部38との間のシールを維持し、密閉が破れることがない。
同時に、フローティングピン68Aの位置変動時においても、太シール部68fおよび小シール部68gに変形が集中することがないので、変形・破損の可能性を低減することができ、密閉維持をより確実におこなうことができる。
【0105】
なお、上記本発明の実施形態においては、第1付勢部70としてスプリングが用いられた構造について説明したが、他の弾性体を用いてもよい。
また、第2付勢部80の構造として、円環状の1つのエアシリンダが採用された構造について説明したが、油圧シリンダ等とされる他の駆動流体を使用する構成を採用してもよい。この場合にも、1つの円環状のシリンダが駆動することによって弁箱10(10a,10b)の内面から可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法を収縮させる駆動装置が第2付勢部として用いられる。
【0106】
また、上記本発明の実施形態においては、図10(a)に示すような円形に形成された開口部及び可動弁部、或いは図10(b)に示すような角部に丸みを有する略正方形に形成された開口部及び可動弁部について説明した。本発明の仕切弁はこれらの形状に限定されない。本発明の仕切弁は、可動弁部の周囲領域にアクチュエータが設けられた構造を有するので、例えば、図10(c)に示すような角部に丸みを有する略三角形に形成された開口部及び弁板(可動弁部)が採用されてもよい。また、図10(d)に示すような角部に丸みを有する略長方形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図10(e)に示すような角部に丸みを有する略六角形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図10(f)に示すような角部に丸みを有する略U字形に形成された開口部及び弁板に適用することも可能である。
更には、楕円形に形成された開口部及び弁板、あるいは角部に丸みを有する略八角形に形成された開口部及び弁板等、あらゆる形状に形成された開口部及び弁板を本発明に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、真空装置等において、真空度や温度あるいはガス雰囲気等性質の異なる2つの空間を連結している流路を仕切る状態と、この仕切り状態を開放した状態を切り替える用途の仕切弁に広く適用できる。
【符号の説明】
【0108】
10,10a,10b…弁箱、 11…中空部、 12a…第1開口部、 12b…第2開口部、 20…回転軸、 25…弁棒、 26…弁軸、 30…中立弁部、 40…可動弁部、 41…供給路、 42…連絡路、 43…締結ボルト(締結部材)、 43f…止め輪(係止部材)、 50…可動弁板部(第2可動弁部)、 51a,51b…第2シール部、 52a,52b…第3シール部、 53,54…ワイパー、 55,56…中間大気室、 60…可動弁枠部(第1可動弁部)、 61…第1シール部、 62…ガイドピン、 68…接続ピン、68A…フローティングピン、 69…接続ピン部、 70…メインバネ(第1付勢部)、 80…エアシリンダ(第2付勢部)、 90…補助バネ(第3付勢部)、 100,300,400…仕切弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
前記中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、
を具備してなることを特徴とする仕切弁。
【請求項2】
請求項1に記載の仕切弁であって、
前記締結部材には、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結解除した状態で弁開閉動作可能なようにこの締結部材が前記可動弁部から外れないようにする係止部材が設けられることを特徴とする仕切弁。
【請求項3】
請求項2に記載の仕切弁であって、
前記第1付勢部が複数設けられ、
前記中立弁体を流路方向に平面視して、前記第1付勢部が配置された中心位置に対して、前記締結部材が対称に配置されることを特徴とする仕切弁。
【請求項4】
請求項1に記載の仕切弁であって、
前記中立弁体が略円形の前記第1開口部を閉塞可能とされ、流路方向に平面視して、前記第1付勢部と前記締結部材とが前記中立弁体に対して同心状に配置されることを特徴とする仕切弁。
【請求項5】
請求項2に記載の仕切弁であって、
前記係止部材がE型止め輪、あるいは、C型止め輪とされてなることを特徴とする仕切弁。
【請求項1】
仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で動作する位置切り替え手段と、
を具備するものとされ、
前記中立弁体が、前記切り替え手段に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記可動弁部が、該可動弁部に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、
前記中立弁体の厚み寸法が縮んだ状態で前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結可能な締結部材と、
を具備してなることを特徴とする仕切弁。
【請求項2】
請求項1に記載の仕切弁であって、
前記締結部材には、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部とを締結解除した状態で弁開閉動作可能なようにこの締結部材が前記可動弁部から外れないようにする係止部材が設けられることを特徴とする仕切弁。
【請求項3】
請求項2に記載の仕切弁であって、
前記第1付勢部が複数設けられ、
前記中立弁体を流路方向に平面視して、前記第1付勢部が配置された中心位置に対して、前記締結部材が対称に配置されることを特徴とする仕切弁。
【請求項4】
請求項1に記載の仕切弁であって、
前記中立弁体が略円形の前記第1開口部を閉塞可能とされ、流路方向に平面視して、前記第1付勢部と前記締結部材とが前記中立弁体に対して同心状に配置されることを特徴とする仕切弁。
【請求項5】
請求項2に記載の仕切弁であって、
前記係止部材がE型止め輪、あるいは、C型止め輪とされてなることを特徴とする仕切弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−193817(P2012−193817A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59778(P2011−59778)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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