仕口ダンパ及び仕口部の構造
【課題】筋交いを設けたフレーム構造に対して優れた制振効果を発揮するとともに、設置箇所に制限を受けない仕口ダンパおよび仕口部の構造を提供する。
【解決手段】仕口ダンパ1は、筋交い13に固定具(木ねじ5)にて固定される第一の高剛性部材2と、柱材11の側面11aに木ねじ5にて固定される第二の高剛性部材3と、第一の高剛性部材2と第二の高剛性部材3の対向部3aとの間に、粘弾性を有する高減衰ゴムからなる板状の減衰材4を挟み込み、加硫接着によって一体に定着される。
この仕口ダンパ1を木造フレームFの仕口部に設置することによって、地震などの揺れにより木造フレームFに横方向の力が作用した場合、筋交い13にかかる圧縮力又は引張り力を減衰材4のせん断変形により吸収し、木造フレームFの揺れを抑制する。
【解決手段】仕口ダンパ1は、筋交い13に固定具(木ねじ5)にて固定される第一の高剛性部材2と、柱材11の側面11aに木ねじ5にて固定される第二の高剛性部材3と、第一の高剛性部材2と第二の高剛性部材3の対向部3aとの間に、粘弾性を有する高減衰ゴムからなる板状の減衰材4を挟み込み、加硫接着によって一体に定着される。
この仕口ダンパ1を木造フレームFの仕口部に設置することによって、地震などの揺れにより木造フレームFに横方向の力が作用した場合、筋交い13にかかる圧縮力又は引張り力を減衰材4のせん断変形により吸収し、木造フレームFの揺れを抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅等の木造建築物に用いられる仕口ダンパ及び仕口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建木造住宅においては、耐震性を向上させるため、仕口部において柱材と横架材(土台や梁など)に補強用金物を固定し、剛性を高める構造とするのが一般的である。このような耐震型の補強用金物に対し、粘弾性体を配した構造とすることにより、地震の揺れを吸収・軽減し、建物の倒壊を防ぐ制振型の補強用金物(「制振金物」や「仕口ダンパ」とも呼ばれる)が提案されている。(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載の制振金物は、柱材のおもて面に固定される第一の鋼板と、この第一の鋼板よりも大きく横架台のおもて面に固定される第二の鋼板と、これらの鋼板間に配置される減衰材とを備え、これらが接着により一体構造となっている。この制振金物は、筋交いが設けられていないフレーム構造(オープンフレーム)に対しては剛性及び減衰性能ともに効果を発揮するものの、筋交いを設けたフレーム構造に対しては、制振効果が少ない。これは、筋交いの剛性と比較して制振金物の剛性が低いためと考えられる。
【0004】
また、特許文献1の明細書中に、第一の鋼板を筋交いのおもて面に固定し、第二の鋼板を柱材及び横架材のおもて面に固定するタイプの仕口ダンパも提案されているが、このタイプの仕口ダンパは、筋交いをたすき掛けに設ける場合、横架材どうしが交差している仕口部では使用できないなど、設置箇所が制限される。また、外壁や構造用合板などの外装材と干渉する課題もある。
【0005】
そこで、上記課題を解決すべく、出願人は筋交いを設けた耐力壁の種々のフレーム構造に対しても、仕口部に設置可能であり、制振効果を発揮できる仕口ダンパを別途出願している(特願2008−184860号)。
【0006】
特願2008−184860号(以下、先願という)に記載の仕口ダンパは、筋交いに固定具により固定可能な第一の高剛性部材と、柱材の側面と横架材の水平面とに固定具により固定可能な第二の高剛性部材と、前記第一と第二の高剛性部材の間に減衰材を配し、これらが一体に定着された仕口ダンパである。
【0007】
このように、先願の仕口ダンパは、木造フレームの内側に設置する構造であるため、筋交いがたすき掛けに設けられ横架材が交差するような仕口部においても設置でき、建物の揺れにより生じる力を吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−336260号(第4頁〜第5頁、第1図、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、先願に記載の仕口ダンパは、第二の高剛性部材が柱材の側面及び横架材の水平面に固定具により固定されているが、一般的にネジなどの固定具はせん断方向の力に対して耐力が高いが、固定具の引っ張り方向(引き抜く方向)の力に対しては耐力が低い。つまり、通常木造建物においては、柱材と筋交いとが45度以内に構成されているため、筋
交いにかかる力は縦方向成分が大きくなり、横架材との固定部は柱材との固定部に比べて、剛性・耐力が低い。
【0010】
また、建築基準法によると、仕口ダンパと横架材及び柱材との固定については、使用できる固定具(ネジ)の合計数が明確に規定されている(例えば、5本や8本など)。
【0011】
そこで、本発明は、先願の仕口ダンパの剛性・耐力をより向上すべく考案されたもので、筋交いを設けた耐力壁のフレーム構造に対して優れた制振効果を発揮するとともに設置箇所の制限が少なく、かつ、仕口部における固定具の合計数を変えずに筋交いの引っ張り方向の力に対し耐性があり、従来よりも剛性・耐力をより向上した仕口ダンパ及び仕口部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1にかかる仕口ダンパは、横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において用いられる仕口ダンパであって、前記筋交いに固定具により固定される第一の高剛性部材と、粘弾性を有する減衰材と、前記柱材の側面に固定具により固定される一つの側辺部と前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部を有する第二の高剛性部材とを備え、これらが積層され一体に固着されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、筋交いが設けられている耐力壁の木造フレームに対し、建物の揺れなどにより横方向から力が加わった場合、最も応力集中が生じる筋交いに作用する力を、減衰材が筋交いの圧縮方向や引張方向などにせん断変形することにより吸収することができる。つまり、建物が受ける地震や強風などの揺れによるエネルギーを、減衰材のせん断変形によって吸収し、建物の揺れを抑制することができる。
【0014】
しかも、本発明の仕口ダンパは、木造フレームの内側に設置する構造であるため、横架材が交差するような仕口部においても設置することができ、設置箇所の制限が少なく、外壁や構造用合板などの外装材との干渉も回避することができる。
【0015】
さらに、本発明の仕口ダンパは、柱材と筋交いのみに固定して取付けできるため、従来の仕口ダンパと異なり木造フレームの角隅以外、例えば角隅からやや上方に移動した位置などにも設置することができ、より設置箇所への制限が少ない。
【0016】
また、上記の通り、本発明の仕口ダンパは横架材とは固定せず、柱材と筋交いにのみ固定する構造であるため、従来の仕口ダンパにおいて横架材との固定に用いられていた固定具(数)を、柱材との固定に用いる固定具(数)にまわすことができ、全体の固定具数を変更することなく、当該仕口ダンパと柱材との固定に用いる固定具(数)を増加できる。なお、前述の通り、筋交いにかかる力は筋交いに沿って作用するため、縦方向成分が大きい。
【0017】
そうすると、従来、横架材との固定に用いられ引張方向の力に対抗していた固定具を、柱材の固定部分にかかるせん断方向の力に対抗するように用いることとできるため、全体として剛性及び耐力の向上が図れる。固定具としては、例えば釘やネジなどを用いることができる。これらは、いずれも引張方向(引き抜き方向)の力に弱く、せん断方向の力に強い(図14参照)。なお、図14中の矢印は、力の向きを示す。
【0018】
また、第一及び第二の高剛性部材としては、例えば鋼板や金属板、FRP等の合成樹脂板などを用いることができる。減衰材としては、例えば高減衰ゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴムなどを用いることができる。第一及び第二の高剛性部材と減衰材との定着は、例えば加硫接着や接着剤による固着などを用いることができる。
【0019】
ここで、高減衰ゴムとは、等価減衰定数heqが5〜40%、せん断弾性率Gが0.1〜2.0N/mm2
のゴムであり、高減衰ゴムを用いる場合には、好ましくは、等価減衰定数heqが15〜25%、せん断弾性率Gが0.3〜1.2N/mm2のものを用いるとよい。
【0020】
なお、高減衰ゴムの原料ゴムとしては、特に特定されるものではないが、天然ゴムやIR、SBR、BR、EPDM、NBR、IIR等の合成ゴムから選ばれる1種以上の原料ゴムを使用できる。また、クマロン樹脂、カーボンブラック等の一般的に使用されているゴム薬品(ゴム補強材)を必要に応じて添加してもよい。
【0021】
以上のように、減衰材は、ゴム組成物として特殊な原材料を使用するものではないため、安価に製造することができる。
【0022】
請求項2にかかる仕口ダンパは、前記対向部が、前記第一の高剛性部材よりも大きく形成され、前記対向部が前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材と固着され、前記対向部の周縁と、前記第一の高剛性部材及び前記減衰材の周縁との間にクリアランスが形成されるように配置してもよい。
【0023】
この構成によれば、仕口部に設置した際、第二の高剛性部材の対向部周縁と、第一の高剛性部材及び減衰材との間にクリアランスが形成されるため、減衰材を、筋交いの圧縮及び引張りのいずれの方向にもせん断変形させることができる。したがって、地震などの揺れによるエネルギーを効率良く吸収し、建物の変形を抑え、揺れをより早期に止めることができる。
【0024】
請求項3にかかる仕口ダンパは、前記側辺部が前記対向部と直交し、前記第一の高剛性部材側と反対方向に突出して設けられていることが望ましい。
【0025】
この構成によれば、通常の木造建物の仕口部においては柱材の側面と筋交いが直交しているため、一般的な木造建物の仕口部に対し制限を受けることなく設置可能である。なお、「前記側辺部が前記対向部と直交し」とは、例えば鋼板などを折り曲げることにより成形した断面略L字形のものを示す。
【0026】
請求項4にかかる仕口ダンパは、前記第一の高剛性部材に、その積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、前記減衰材及び前記対向部に、貫通孔を前記取付孔に対応する位置に配し、前記側辺部に複数の取付孔を設けたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、前記第一の高剛性部材をその積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、前記第二の高剛性部材及び前記減衰材に該取付孔に対応する位置に貫通孔を設けているため、前記第二の高剛性部材側から貫通孔を通り取付孔を介して、前記第一の高剛性部材を前記筋交いに容易に固定できる。
【0028】
また、前記第一の高剛性部材の複数の取付孔を散在して設けることで、前記筋交いの種々の設置角度に応じて使用する取付孔を選択することができる。
【0029】
なお、通常、筋交いの設置角度(柱材と筋交いのなす角度)は45度以内であるため、それに対応できればよいため、前記第一の高剛性部材の左右いずれか一方の下方部分には取付孔を設けなくともよい。このように取付孔を減らせば、前記第一の高剛性部材自体の剛性を高めることもできる。前記第二の高剛性部材及び前記減衰材に設ける貫通孔についても同様である。
【0030】
一方、前記第二の高剛性部材の側辺部には、複数の取付孔が設けられているため、ネジ等の固定具を用いて、柱材側面に容易に固定することができる。また、取付孔の数は、建築基準法により規定されており、仕口部における仕口ダンパと柱材及び横架材との固定に使用できる固定具数に対応した数以上を設けることとすればよい。
【0031】
例えば、建築基準法で8本と規定されている場合、従来の仕口ダンパであれば柱材への取付孔が4個、横架材への取付孔が4個であるところ、本発明では前記側辺部に8個又はそれ以上の取付孔を設けることとすればよい。なお、前記側辺部自体の剛性との兼ね合いがあるため、あまりに多数の取付孔を設けることは好ましくない。
【0032】
請求項5にかかる仕口ダンパは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、通常横架材と筋交いとがネジやボルトなどで固定された構造が一般的であるところ、本発明の仕口ダンパを使用することで、これらを固定せずとも設置することができる。これにより、通常の横架材と筋交いとが固定された構造に比べ、仕口ダンパの減衰性を効かすことができ、建物の揺れを効果的に抑制することができる。
【0034】
また、本発明の仕口ダンパは木造軸組構造に用いるものであるため、横架材と筋交いとをネジやボルトで固定すると、温度変化や湿度変化による木材の膨張・収縮によって固定部に負荷がかかる。さらに、このような負荷がかかるとネジやボルトまわりには応力が集中するため、木材の破損の原因にもなる。そこで、横架材と筋交いとを固定しない構造とすることで、木材の膨張・収縮に柔軟に対応できる上、ネジやボルトが必要ないためネジやボルトまわりへの応力集中もなく、固定部にかかる余分な負荷を抑制できる。ひいては、木材の長寿命化にも繋がる。
【0035】
請求項6にかかる仕口ダンパは、前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられていてもよい。
【0036】
請求項7にかかる仕口ダンパは、前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが当接されていてもよい。
【0037】
これら構成によると、横架材と筋交いとの間に積極的に隙間を設けた構造とすれば、仕口ダンパの減衰性をより効かすことができるし、一方、横架材と筋交いとを当接させた構造とすれば、隙間を設けた場合よりも筋交いの圧縮方向への力に対して、仕口部の剛性を高めた構造とすることもできる。また、上部横架材(梁)と筋交いとの間に隙間を設け、下部横架材(土台)と筋交いとを当接した構造としてもよく、この場合は、上部で仕口ダンパの減衰性を効かし、下部で剛性を高めた構成となる。
【0038】
請求項8にかかる仕口部の構造によれば、横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において、前記筋交いの端部に第一の高剛性部材が固定され、粘弾性を有する減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部とこの対向部に直交する一つの側辺部を有する第二の高剛性部材が、前記第一の高剛性部材と一体に固着され、前記側辺部が前記柱材の側面のみに固定されていることを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、前記請求項1の仕口ダンパを仕口部に設けた場合と同様、地震や強風などから建物が受ける揺れのエネルギーを、前記減衰材のせん断変形により吸収し、建物の変形を抑えて揺れを早期に止めることができる。
【0040】
しかも、前記第二の高剛性部材を、前記柱材の側面及び前記横架材の水平面との間に固定具にて固定する構造であるため、前記横架材が交差する仕口部に対しても適用することができる。また、この仕口部の構造によれば、外壁や構造用合板などの外装材を施工する際、前記第二高剛性部材との干渉を避けることができる。
【0041】
さらには、従来の仕口ダンパと比較して、筋交いに作用する力に対して高い剛性と耐力を有するため、より制振効果が高い。
【0042】
なお、この仕口ダンパの構造は、例えば、前記筋交いの引張方向にのみダンパ効果を発揮する構造にしたり、引張り方向及び圧縮方向の両方にダンパ効果を発揮する構造にしたりすることもできる。
【0043】
請求項9にかかる仕口部の構造によれば、前記柱材の側面と、前記筋交いの端部及び前記第一の高剛性部材並びに前記減衰材との間に隙間が形成されている構造とすることが望ましい。
【0044】
この構成によれば、前記請求項2の仕口ダンパを仕口部に設けた場合と同様、前記減衰材が、前記筋交いの圧縮及び引張りのいずれの方向にもせん断変形できるようになり、地震などの揺れによるエネルギーを効率良く吸収し、建物の変形を抑え、揺れをより早期に止めることができる。
【0045】
請求項10にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする。
【0046】
請求項11にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられていてもよい。
【0047】
請求項12にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとが当接されていてもよい。
【発明の効果】
【0048】
本発明にかかる仕口ダンパ及び仕口部の構造によれば、建物の揺れを緩やかに、かつ早期に止めることができるため、建物の倒壊を効果的に防ぐことができる。しかも、仕口部の構造によらず設置可能であるため、新築であるか否かに関わらず設置でき、仕口部の補強が容易に行え、かつ外壁や構造用合板などの外装材と干渉しないため外壁の施工が容易になる。さらに、減衰材のせん断変形を拘束しない構造にすれば、揺れのエネルギーをより効率良く吸収し、大きな地震等にも強い木造建築物の構築が可能になる。
【0049】
また、本発明の仕口ダンパは、横架材には固定せず、柱材側面と筋交いにのみ固定する
構造であるため、従来横架材との固定に使用されていた固定具(数)を柱材側面との固定に使用できるため、筋交いに主に作用する引張り方向の力に対して耐力が向上し、剛性が上がり、制振効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は本発明にかかる仕口ダンパの正面図、(b)は同左側面図、(c)は同底面図である。
【図2】木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である。
【図3】図2における仕口部(A)の部分拡大図である。
【図4】図3を逆方向から見た斜視図である。
【図5】(a)は図2におけるX方向断面図、(b)は筋交いの取付角度が異なる場合の説明図である。
【図6】柱材と梁とが交差する木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した仕口部の斜視図である。
【図7】本発明にかかる仕口部の構造の別の実施例を示す斜視図である。
【図8】筋交いをたすき掛けにした耐力壁に本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である。
【図9】(a)は本発明にかかる仕口ダンパの別の実施形態を示す正面図、(b)は同左側面図、(c)は同底面図である。
【図10】図9に示す仕口ダンパを設置した仕口部の斜視図である。
【図11】(a)は効果試験に用いた木造フレームの正面図である。(b)は効果試験に用いた試験装置の概要を示す正面図である。
【図12】(a)は効果試験により得られた本発明の仕口ダンパを設置した場合の頂部水平変位と荷重との関係を示すグラフである。(b)は効果試験により得られた比較例の仕口ダンパを設置した場合の同グラフである。
【図13】(a)は頂部水平変位が−60mm〜60mmにおける図12の両グラフを重ね合わせた比較図である。(b)は効果試験により得られた本発明の仕口ダンパと比較例の仕口ダンパを設置した場合との真の層間変形角と荷重との関係を示した比較図である。
【図14】(a)は本発明の仕口ダンパを設置した仕口部において、筋交いにかかる荷重の方向と固定具(木ネジ)にかかる荷重の方向とを示した正面図である。(b)は比較例の仕口ダンパを設置した場合の同正面図である。
【図15】(a)は比較例の仕口ダンパの正面図である。(b)は比較例の仕口ダンパを木造フレームの仕口部に設置した斜視図である。
【図16】木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である(設置方法3)。
【図17】図16における仕口部(B)の部分拡大図である。
【図18】図17を逆方向から見た斜視図である。
【図19】制振効果試験により得られた本発明の仕口ダンパを設置した場合の頂部水平変位と荷重との関係を示すグラフであり、筋交いと横架材及び柱材との間に隙間を設けた場合(設置方法1)と、隙間を設けず当接させた場合(設置方法3)との比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明にかかる仕口ダンパ及び仕口部の構造の実施形態について、図1〜図10を用いて説明する。
【実施例1】
【0052】
[仕口ダンパの構成]
図1は本発明にかかる仕口ダンパの構成を示す図である。図1において、仕口ダンパ1は、鋼板からなる第一の高剛性部材2と第二の高剛性部材3との間に、粘弾性を有する高減衰ゴムからなる板状の減衰材4を挟み込み、加硫接着によって一体に定着したものである。
【0053】
第一の高剛性部材2は、四隅に面取り加工を施した略正方形状に形成されている。第二の高剛性部材3は、第一の高剛性部材2よりも一回り大きい略正方形状の対向部3aと、対向部3aの四辺のうち一辺縁部に端部をL型に屈曲させた側辺部3bとにより形成されている。側辺部3bには、取付孔3cが8個設けられ、略M字形に所定の間隔で配置されている。一方、減衰材4は、第一の高剛性部材2よりもやや小さい略正方形状に形成され
ている。
【0054】
そして、第一の高剛性部材2と減衰材4と第二の高剛性部材3の対向部3aとを順に、それぞれの中心を一致させた状態で積層し、加硫接着により一体に定着している。また、一体化する際、第一の高剛性部材2及び減衰材4は第二の高剛性部材3に対して、積層方向(正面方向)から見て、第二の高剛性部材3の対向部3aの周縁と、第一の高剛性部材2及び減衰材4との間にクリアランスが形成されるように定着されている。
【0055】
このように構成されている仕口ダンパ1は、厚み方向に貫通する複数の取付孔1zが設けられている。これら取付孔1zは、第一の高剛性部材2に設けられた取付孔2zと、第二の高剛性部材3の対向部3aと減衰材4とにそれぞれ設けられた複数の貫通孔3z、4zを、加硫接着の際に貫通孔の配置を一致させることにより構成したもので、第二の高剛性部材3及び減衰材4の貫通孔3z,4zは、第一の高剛性部材2の取付孔2zよりもやや大径になっており、取付孔2zにはネジ止めのための座ぐりが設けられている(第5図(a)参照)。
【0056】
なお、取付孔1zは、筋交いの様々な設置角度に対応できるよう、例えば側辺部3b側から、5個、3個、1個の順で略三角形状様に所定の間隔をあけて設けられている。このように取付孔1zを配置することで、筋交いの設置角度に合わせて、取付孔1zを適宜選択できるようになっている(第5図(b)参照)。
【0057】
[仕口ダンパの設置方法1]
次に、この仕口ダンパ1を木造フレーム仕口部へ設置する設置方法の説明を行う。
図2は木造建築物の耐力壁となる木造フレームF(片筋交いの軸組)の斜視図であり、図3は図2においてAで示した仕口部10の部分拡大図、図4は仕口部10を図3と逆方向から見た斜視図であり、図5(a)は図2におけるX方向断面図である。符号11は柱材、符号12は土台、符号13は筋交い、符号14は基礎を示している。
【0058】
筋交い13は、柱材11及び土台12との間に隙間C1が生じるように、両端部を切断し長さを短縮している。下方の仕口部10において、第一の高剛性部材2を筋交い13の下方端部に当接させるとともに、第二の高剛性部材3の側辺部3bを柱材11の側面11aに当接させた状態で配置する。そして、側辺部3bの取付孔3yに木ねじ5をねじ込み、側辺部3bを柱材11に固定し、仕口ダンパ1の厚み方向に貫通している取付孔1zのうち、筋交い13に対向している取付孔1zに、第二の高剛性部材3側から木ねじ5をねじ込み、第一の高剛性部材2を筋交い13に固定する。
【0059】
このようにして仕口ダンパ1を仕口部10に設置すれば、筋交い13の下方端部と柱材11の側面11a及び土台12の上面12aとの間に隙間C1が形成された状態で、筋交い13と柱材11及び土台12とが仕口ダンパ1を介して結合された状態になる。同様に上方の仕口部においても筋交い13の上方端部に仕口ダンパ1を設置する。
【0060】
[仕口ダンパ設置の作用効果]
この木造建築物が地震などによる揺れを受け、木造フレームFに横方向(水平方向)の揺れ(力)が発生すると、木造フレームFの変形に伴って筋交い13に圧縮方向及び引張り方向の力が交互に作用する。そうすると、筋交い13に固定された仕口ダンパ1の減衰材4が、筋交い13の圧縮方向あるいは引張り方向に作用する力に応じてせん断変形することにより、木造フレームFにかかる地震等のエネルギーを効率良く吸収し、揺れを抑える。こうして、建物の揺れを効果的に抑えることによって、早期に揺れを止めることができるため、建物の倒壊を防止・抑制することができる。
【0061】
さらに、仕口ダンパ1は、木造フレームFの内側に設置されるため、土台12が交差している仕口部10にも設置することができ、設置箇所の制限を受けることがない。つまり、筋交い13をたすき掛けに設けた木造フレームFに対しても、各筋交い13に仕口ダンパ1を設置し、制振性能の向上を図ることができ、また、仕口ダンパ1の設置数によって建築物の剛性や減衰量などの調整を容易に行うことができる。
【0062】
このように、仕口ダンパ1は木造フレームFの内側に設置されるため、外壁や構造用合板などの外装材に干渉せず、外装材の施工を容易に行うことができる。
【0063】
[本発明の仕口ダンパと比較例の仕口ダンパを設置した場合の制振効果試験]
ここで、本発明の仕口ダンパ1を設置した場合と比較例の仕口ダンパ101(図15参照)を設置した場合とのそれぞれの制振効果について、試験装置を用い試験した。以下、試験装置の詳細及び試験結果について、図11〜図13により説明する。
【0064】
図11に示す通り、試験装置は土台(Sill)112と梁(Beam)115と柱材(Post)111×2と、筋交い(Brace)113を斜めに1本配した木造フレームを用い、筋交い113両
端部に仕口ダンパを設置する。そして、土台112を固定し、梁115にはライナーガイド116を装着して横方向に滑動可能とし、梁115の右側からオイルジャッキ117をピストンさせ圧縮方向と引張り方向と交互に横方向荷重を負荷し、この荷重を徐々に増加させていく。
【0065】
また、柱材111及び土台112は日本杉を使った105mm×105mmの角材、梁115は米松を使った180mm×105mmの角材、筋交い113はカナダツガを使った90mm×45mmの角材を用いて、高さ2730mm×横幅910mmの木造フレームとした。なお、本試験においては、柱材111と筋交い113は当接させ、土台112(梁115)と筋交い113端部にはそれぞれ20mmのクリアランスを設け、仕口ダンパ1(101)を筋交い113の両端部に設置する。
【0066】
一方、試験に用いる仕口ダンパ1(101)については、第一の高剛性部材2(102)及び第二の高剛性部材3(103)に厚さ5mmの鋼板を用い、減衰材4(104)に厚
さ5mmの高減衰ゴム(剛性率G=0.8N/mm2/等価減衰定数Heq=22.9%/せん断ひずみ破壊率Eb=600%over)を用いた。仕口ダンパ1(101)の寸法は双方ともに、対向部3a(103a)を120mm×120mmとし、側辺部3b(固定部103b・103b’)を120mm×35mmとした。仕口ダンパと木材との固定具として、木ねじ(φ=5mm/L=45mm)を使用した。
【0067】
なお、比較例の仕口ダンパ101は、柱材と横架材(土台又は梁)と筋交いの3箇所で固定する仕口ダンパであり、柱材111との固定に4本、土台112(梁115)との固定に4本、筋交い113との固定に6本の木ねじを使用した。
【0068】
一方、本発明の仕口ダンパ1は、柱材111との固定に8本、筋交い113との固定に6本の木ねじを使用した。いずれの仕口ダンパにおいても、1つの仕口ダンパにつき、木ねじを合計14本使用した。
【0069】
この試験装置により、横方向荷重(荷重:kN)と梁の横方向変位(頂部水平変位:mm)との関係、及び横方向荷重(荷重:kN)と角度変位(真の層間変形角:*103rad)との関
係を導き、本発明の仕口ダンパ1と比較例の仕口ダンパ101との効果を比較する。ここで角度変位とは、梁の横方向変位を柱材の高さで割った値である(梁の横方向変位は柱材高さに比べ微少であるため、tan((梁の横方向変位)/(柱材高さ))を角度変位に近
似できる。)
【0070】
[制振効果試験結果]
以上の試験により、次の結果が得られた。図12(a)は本発明の仕口ダンパ1を設置した場合の荷重と頂部水平変位の関係を示すグラフであり、図12(b)は従来の仕口ダンパ101を設置した場合の同グラフである。図13(a)は頂部水平変位が約−60mm〜60mmにおける上記2つのグラフを重ね合わせた比較図である。図13(b)は本発明の仕口ダンパ1を設置した場合と比較例の仕口ダンパ101を設置した場合とを比較した、荷重と真の層間変形角との関係を示す比較図である。
【0071】
1.図12及び図13(a)より、荷重1kNを負荷した時、比較例の仕口ダンパは本発明の仕口ダンパを設置した場合に比べ、約1.7倍程度も頂部が変位していることがわかる。
【0072】
2.図13(b)より、荷重2kNを負荷した時、比較例の仕口ダンパは本発明の仕口ダンパを設置した場合に比べ、約2倍程度も角度変位があることがわかる。
【0073】
以上から、同荷重を負荷した時、本発明の仕口ダンパを設置した場合、比較例の仕口ダンパを設置した場合に比べ、木造フレームの変形量を抑える効果が大きい。つまり、本発明の仕口ダンパは、比較例の仕口ダンパと比べ、より大きな力を吸収して揺れを抑えることができ、制振効果が非常に高いことがわかった。
【0074】
[仕口ダンパの設置方法2]
次に、前記設置方法1とは別の構造の木造フレームに設置する場合について説明する。前記設置方法1においては、柱材11と土台12とが交差する仕口部10に仕口ダンパ1を設置した例であるが、図6に示すように、柱材11と梁15とが交差する仕口部15に設置することも可能である。なお、図6の符号は、図2と同一又は対応する構成については同一のものを用いており、説明は重複を避けるため省略する。以下、符号について図7〜図10においても同様とする。
【0075】
図7に示すように、筋交い13を柱材11の側面11aに端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付けることもできる。仕口部10をこのような構造にすれば、木造フレームFが横方向から力を受けて、筋交い13に圧縮力が働くときは、筋交い13が圧縮材となり突っ張ることにより、横方向からの力に抵抗する。一方、筋交い13に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い13の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレームFの揺れを抑えることができる。
【0076】
[仕口ダンパの設置方法3]
また、前記設置方法1および2とは別の構造で設置する場合について説明する。前記設置方法1、2においては、筋交い13の両端部と、土台12および梁15との間に隙間C1を設けて仕口ダンパ1を取り付けた例であるが、図16〜図18に示す設置方法3では、筋交い13の両端部と、土台12および梁15とを当接するように仕口ダンパ1を取り付けた例である。
【0077】
仕口部Bを拡大した図17、図18に示すように、土台(横架材)12の上面12aおよび梁(横架材)15の下面15aに筋交い13の端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付ける。仕口部10’をこのような構造にすれば、木造フレームFが縦方向から力を受けて筋交い13に圧縮力が働くときにも、筋交い13が圧縮材となり突っ張ることにより、縦方向からの力に抵抗する。一方、筋交い13に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い13の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレームFの揺れを抑えることができる。これにより剛性の高い木造フレームに構成することができる。また、本設置方法3においては、さらに筋交い13の端部と柱材11の側面11aとも当接させているため、横方向からの圧縮力に対しても抵抗力が高い。なお、筋交い13と土台12および梁15ならびに柱材11とは固定しない。
【0078】
また、この場合の制振効果を確認するため、図11に示す試験装置を用いて制振試験を行った。その結果を図19に示す。図19は、筋交い13と土台12および梁15ならびに柱材11との間に隙間C1を設けた設置方法1の場合と、隙間C1を設けず当接させた設置方法3とにおける制振効果の試験結果を比較したグラフである。図19から、隙間無しの場合は隙間ありの場合と比較し、同一荷重における頂部水平変位が小さいことがわかる。したがって、隙間なしとすれば剛性が高まることが確認できた。
【0079】
[仕口ダンパの設置方法4]
図7に示した仕口ダンパ1の構造を、図8に示すような筋交い13’、13”をたすき掛けした耐力壁にも採用することもでき、優れた制振性能を持たせることができる。
【0080】
つまり、木造フレームFに右方向からの力が作用した場合、一方の筋交い13’に圧縮力が生じるとともに、もう一方の筋交い13”に引張力が生じる。すると、筋交い13’は圧縮材として作用し、突っ張って力に抵抗する。一方、筋交い13”に生じた引張力は、その両端にそれぞれ設置されている仕口ダンパ1の減衰材4のせん断変形により緩和される。
【0081】
これとは逆に、木造フレームFに左方向から力が作用した場合は、筋交い13”が圧縮材として作用し、突っ張って力に抵抗する。一方、筋交い13’に生じる引張力は、その両端にそれぞれ設置されている仕口ダンパ1の減衰材4のせん断変形によって緩和される。
【0082】
このように、筋交い13’、13”の一方が、外力に対して突っ張って抵抗し、これと同時に他方が減衰材4のせん断変形によって外力のエネルギーを吸収することができるため、揺れを効率良く減衰し早期に止めることができる。
【実施例2】
【0083】
図7に示した仕口部10の構造において、図9に示す仕口ダンパ1’を採用することもできる。図9(a)は仕口ダンパ1’の正面図を示し、図9(b)は同側面図、図9(c)は同底面図を示す。さらに、仕口ダンパ1’を設置した仕口部10の斜視図を図10に示す。なお、図1の仕口ダンパ1と同一又は対応するものには同じ符号を付して表している。
【0084】
仕口ダンパ1’は、第一の高剛性部材2’及び減衰材4’を第二の高剛性部材3とほぼ同一の大きさにしたこと以外は、仕口ダンパ1と同じ構成を備えている。そして、仕口ダンパ1と同様、図10に示すように、第二の高剛性部材3を柱材11の側面11aに固定し、第一の高剛性部材2’を筋交い13の端部に固定する。
【0085】
なお、上記の実施例1及び実施例2においては、仕口ダンパ1又は1’を筋交い13の両端に設置している例を示したが、一方にのみ設けることも可能であるし、他方に従来の金具を設置して組み合わせて使用することも可能である。
【0086】
また、仕口ダンパ1及び1’は、柱材11と筋交い13があれば設置可能であるため、土台12や梁15を有さない構造(例えば、柱材11が地面に直接打ちつけられたような構造)にも適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 仕口ダンパ
1z 取付孔
2 第一の高剛性部材
2z 取付孔
3 第二の高剛性部材
3a 対向部
3b 側辺部
3y 取付孔
3z 貫通孔
4 減衰材
4z 貫通孔
5 木ねじ
10 仕口部
11 柱材
11a 側面(柱材)
12 土台
12a 上面(土台)
13 筋交い
14 基礎
15 梁
15a 下面(梁)
C1 隙間
F 木造フレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅等の木造建築物に用いられる仕口ダンパ及び仕口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建木造住宅においては、耐震性を向上させるため、仕口部において柱材と横架材(土台や梁など)に補強用金物を固定し、剛性を高める構造とするのが一般的である。このような耐震型の補強用金物に対し、粘弾性体を配した構造とすることにより、地震の揺れを吸収・軽減し、建物の倒壊を防ぐ制振型の補強用金物(「制振金物」や「仕口ダンパ」とも呼ばれる)が提案されている。(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載の制振金物は、柱材のおもて面に固定される第一の鋼板と、この第一の鋼板よりも大きく横架台のおもて面に固定される第二の鋼板と、これらの鋼板間に配置される減衰材とを備え、これらが接着により一体構造となっている。この制振金物は、筋交いが設けられていないフレーム構造(オープンフレーム)に対しては剛性及び減衰性能ともに効果を発揮するものの、筋交いを設けたフレーム構造に対しては、制振効果が少ない。これは、筋交いの剛性と比較して制振金物の剛性が低いためと考えられる。
【0004】
また、特許文献1の明細書中に、第一の鋼板を筋交いのおもて面に固定し、第二の鋼板を柱材及び横架材のおもて面に固定するタイプの仕口ダンパも提案されているが、このタイプの仕口ダンパは、筋交いをたすき掛けに設ける場合、横架材どうしが交差している仕口部では使用できないなど、設置箇所が制限される。また、外壁や構造用合板などの外装材と干渉する課題もある。
【0005】
そこで、上記課題を解決すべく、出願人は筋交いを設けた耐力壁の種々のフレーム構造に対しても、仕口部に設置可能であり、制振効果を発揮できる仕口ダンパを別途出願している(特願2008−184860号)。
【0006】
特願2008−184860号(以下、先願という)に記載の仕口ダンパは、筋交いに固定具により固定可能な第一の高剛性部材と、柱材の側面と横架材の水平面とに固定具により固定可能な第二の高剛性部材と、前記第一と第二の高剛性部材の間に減衰材を配し、これらが一体に定着された仕口ダンパである。
【0007】
このように、先願の仕口ダンパは、木造フレームの内側に設置する構造であるため、筋交いがたすき掛けに設けられ横架材が交差するような仕口部においても設置でき、建物の揺れにより生じる力を吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−336260号(第4頁〜第5頁、第1図、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、先願に記載の仕口ダンパは、第二の高剛性部材が柱材の側面及び横架材の水平面に固定具により固定されているが、一般的にネジなどの固定具はせん断方向の力に対して耐力が高いが、固定具の引っ張り方向(引き抜く方向)の力に対しては耐力が低い。つまり、通常木造建物においては、柱材と筋交いとが45度以内に構成されているため、筋
交いにかかる力は縦方向成分が大きくなり、横架材との固定部は柱材との固定部に比べて、剛性・耐力が低い。
【0010】
また、建築基準法によると、仕口ダンパと横架材及び柱材との固定については、使用できる固定具(ネジ)の合計数が明確に規定されている(例えば、5本や8本など)。
【0011】
そこで、本発明は、先願の仕口ダンパの剛性・耐力をより向上すべく考案されたもので、筋交いを設けた耐力壁のフレーム構造に対して優れた制振効果を発揮するとともに設置箇所の制限が少なく、かつ、仕口部における固定具の合計数を変えずに筋交いの引っ張り方向の力に対し耐性があり、従来よりも剛性・耐力をより向上した仕口ダンパ及び仕口部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1にかかる仕口ダンパは、横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において用いられる仕口ダンパであって、前記筋交いに固定具により固定される第一の高剛性部材と、粘弾性を有する減衰材と、前記柱材の側面に固定具により固定される一つの側辺部と前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部を有する第二の高剛性部材とを備え、これらが積層され一体に固着されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、筋交いが設けられている耐力壁の木造フレームに対し、建物の揺れなどにより横方向から力が加わった場合、最も応力集中が生じる筋交いに作用する力を、減衰材が筋交いの圧縮方向や引張方向などにせん断変形することにより吸収することができる。つまり、建物が受ける地震や強風などの揺れによるエネルギーを、減衰材のせん断変形によって吸収し、建物の揺れを抑制することができる。
【0014】
しかも、本発明の仕口ダンパは、木造フレームの内側に設置する構造であるため、横架材が交差するような仕口部においても設置することができ、設置箇所の制限が少なく、外壁や構造用合板などの外装材との干渉も回避することができる。
【0015】
さらに、本発明の仕口ダンパは、柱材と筋交いのみに固定して取付けできるため、従来の仕口ダンパと異なり木造フレームの角隅以外、例えば角隅からやや上方に移動した位置などにも設置することができ、より設置箇所への制限が少ない。
【0016】
また、上記の通り、本発明の仕口ダンパは横架材とは固定せず、柱材と筋交いにのみ固定する構造であるため、従来の仕口ダンパにおいて横架材との固定に用いられていた固定具(数)を、柱材との固定に用いる固定具(数)にまわすことができ、全体の固定具数を変更することなく、当該仕口ダンパと柱材との固定に用いる固定具(数)を増加できる。なお、前述の通り、筋交いにかかる力は筋交いに沿って作用するため、縦方向成分が大きい。
【0017】
そうすると、従来、横架材との固定に用いられ引張方向の力に対抗していた固定具を、柱材の固定部分にかかるせん断方向の力に対抗するように用いることとできるため、全体として剛性及び耐力の向上が図れる。固定具としては、例えば釘やネジなどを用いることができる。これらは、いずれも引張方向(引き抜き方向)の力に弱く、せん断方向の力に強い(図14参照)。なお、図14中の矢印は、力の向きを示す。
【0018】
また、第一及び第二の高剛性部材としては、例えば鋼板や金属板、FRP等の合成樹脂板などを用いることができる。減衰材としては、例えば高減衰ゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴムなどを用いることができる。第一及び第二の高剛性部材と減衰材との定着は、例えば加硫接着や接着剤による固着などを用いることができる。
【0019】
ここで、高減衰ゴムとは、等価減衰定数heqが5〜40%、せん断弾性率Gが0.1〜2.0N/mm2
のゴムであり、高減衰ゴムを用いる場合には、好ましくは、等価減衰定数heqが15〜25%、せん断弾性率Gが0.3〜1.2N/mm2のものを用いるとよい。
【0020】
なお、高減衰ゴムの原料ゴムとしては、特に特定されるものではないが、天然ゴムやIR、SBR、BR、EPDM、NBR、IIR等の合成ゴムから選ばれる1種以上の原料ゴムを使用できる。また、クマロン樹脂、カーボンブラック等の一般的に使用されているゴム薬品(ゴム補強材)を必要に応じて添加してもよい。
【0021】
以上のように、減衰材は、ゴム組成物として特殊な原材料を使用するものではないため、安価に製造することができる。
【0022】
請求項2にかかる仕口ダンパは、前記対向部が、前記第一の高剛性部材よりも大きく形成され、前記対向部が前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材と固着され、前記対向部の周縁と、前記第一の高剛性部材及び前記減衰材の周縁との間にクリアランスが形成されるように配置してもよい。
【0023】
この構成によれば、仕口部に設置した際、第二の高剛性部材の対向部周縁と、第一の高剛性部材及び減衰材との間にクリアランスが形成されるため、減衰材を、筋交いの圧縮及び引張りのいずれの方向にもせん断変形させることができる。したがって、地震などの揺れによるエネルギーを効率良く吸収し、建物の変形を抑え、揺れをより早期に止めることができる。
【0024】
請求項3にかかる仕口ダンパは、前記側辺部が前記対向部と直交し、前記第一の高剛性部材側と反対方向に突出して設けられていることが望ましい。
【0025】
この構成によれば、通常の木造建物の仕口部においては柱材の側面と筋交いが直交しているため、一般的な木造建物の仕口部に対し制限を受けることなく設置可能である。なお、「前記側辺部が前記対向部と直交し」とは、例えば鋼板などを折り曲げることにより成形した断面略L字形のものを示す。
【0026】
請求項4にかかる仕口ダンパは、前記第一の高剛性部材に、その積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、前記減衰材及び前記対向部に、貫通孔を前記取付孔に対応する位置に配し、前記側辺部に複数の取付孔を設けたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、前記第一の高剛性部材をその積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、前記第二の高剛性部材及び前記減衰材に該取付孔に対応する位置に貫通孔を設けているため、前記第二の高剛性部材側から貫通孔を通り取付孔を介して、前記第一の高剛性部材を前記筋交いに容易に固定できる。
【0028】
また、前記第一の高剛性部材の複数の取付孔を散在して設けることで、前記筋交いの種々の設置角度に応じて使用する取付孔を選択することができる。
【0029】
なお、通常、筋交いの設置角度(柱材と筋交いのなす角度)は45度以内であるため、それに対応できればよいため、前記第一の高剛性部材の左右いずれか一方の下方部分には取付孔を設けなくともよい。このように取付孔を減らせば、前記第一の高剛性部材自体の剛性を高めることもできる。前記第二の高剛性部材及び前記減衰材に設ける貫通孔についても同様である。
【0030】
一方、前記第二の高剛性部材の側辺部には、複数の取付孔が設けられているため、ネジ等の固定具を用いて、柱材側面に容易に固定することができる。また、取付孔の数は、建築基準法により規定されており、仕口部における仕口ダンパと柱材及び横架材との固定に使用できる固定具数に対応した数以上を設けることとすればよい。
【0031】
例えば、建築基準法で8本と規定されている場合、従来の仕口ダンパであれば柱材への取付孔が4個、横架材への取付孔が4個であるところ、本発明では前記側辺部に8個又はそれ以上の取付孔を設けることとすればよい。なお、前記側辺部自体の剛性との兼ね合いがあるため、あまりに多数の取付孔を設けることは好ましくない。
【0032】
請求項5にかかる仕口ダンパは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、通常横架材と筋交いとがネジやボルトなどで固定された構造が一般的であるところ、本発明の仕口ダンパを使用することで、これらを固定せずとも設置することができる。これにより、通常の横架材と筋交いとが固定された構造に比べ、仕口ダンパの減衰性を効かすことができ、建物の揺れを効果的に抑制することができる。
【0034】
また、本発明の仕口ダンパは木造軸組構造に用いるものであるため、横架材と筋交いとをネジやボルトで固定すると、温度変化や湿度変化による木材の膨張・収縮によって固定部に負荷がかかる。さらに、このような負荷がかかるとネジやボルトまわりには応力が集中するため、木材の破損の原因にもなる。そこで、横架材と筋交いとを固定しない構造とすることで、木材の膨張・収縮に柔軟に対応できる上、ネジやボルトが必要ないためネジやボルトまわりへの応力集中もなく、固定部にかかる余分な負荷を抑制できる。ひいては、木材の長寿命化にも繋がる。
【0035】
請求項6にかかる仕口ダンパは、前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられていてもよい。
【0036】
請求項7にかかる仕口ダンパは、前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが当接されていてもよい。
【0037】
これら構成によると、横架材と筋交いとの間に積極的に隙間を設けた構造とすれば、仕口ダンパの減衰性をより効かすことができるし、一方、横架材と筋交いとを当接させた構造とすれば、隙間を設けた場合よりも筋交いの圧縮方向への力に対して、仕口部の剛性を高めた構造とすることもできる。また、上部横架材(梁)と筋交いとの間に隙間を設け、下部横架材(土台)と筋交いとを当接した構造としてもよく、この場合は、上部で仕口ダンパの減衰性を効かし、下部で剛性を高めた構成となる。
【0038】
請求項8にかかる仕口部の構造によれば、横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において、前記筋交いの端部に第一の高剛性部材が固定され、粘弾性を有する減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部とこの対向部に直交する一つの側辺部を有する第二の高剛性部材が、前記第一の高剛性部材と一体に固着され、前記側辺部が前記柱材の側面のみに固定されていることを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、前記請求項1の仕口ダンパを仕口部に設けた場合と同様、地震や強風などから建物が受ける揺れのエネルギーを、前記減衰材のせん断変形により吸収し、建物の変形を抑えて揺れを早期に止めることができる。
【0040】
しかも、前記第二の高剛性部材を、前記柱材の側面及び前記横架材の水平面との間に固定具にて固定する構造であるため、前記横架材が交差する仕口部に対しても適用することができる。また、この仕口部の構造によれば、外壁や構造用合板などの外装材を施工する際、前記第二高剛性部材との干渉を避けることができる。
【0041】
さらには、従来の仕口ダンパと比較して、筋交いに作用する力に対して高い剛性と耐力を有するため、より制振効果が高い。
【0042】
なお、この仕口ダンパの構造は、例えば、前記筋交いの引張方向にのみダンパ効果を発揮する構造にしたり、引張り方向及び圧縮方向の両方にダンパ効果を発揮する構造にしたりすることもできる。
【0043】
請求項9にかかる仕口部の構造によれば、前記柱材の側面と、前記筋交いの端部及び前記第一の高剛性部材並びに前記減衰材との間に隙間が形成されている構造とすることが望ましい。
【0044】
この構成によれば、前記請求項2の仕口ダンパを仕口部に設けた場合と同様、前記減衰材が、前記筋交いの圧縮及び引張りのいずれの方向にもせん断変形できるようになり、地震などの揺れによるエネルギーを効率良く吸収し、建物の変形を抑え、揺れをより早期に止めることができる。
【0045】
請求項10にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする。
【0046】
請求項11にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられていてもよい。
【0047】
請求項12にかかる仕口部の構造は、前記横架材と前記筋交いとが当接されていてもよい。
【発明の効果】
【0048】
本発明にかかる仕口ダンパ及び仕口部の構造によれば、建物の揺れを緩やかに、かつ早期に止めることができるため、建物の倒壊を効果的に防ぐことができる。しかも、仕口部の構造によらず設置可能であるため、新築であるか否かに関わらず設置でき、仕口部の補強が容易に行え、かつ外壁や構造用合板などの外装材と干渉しないため外壁の施工が容易になる。さらに、減衰材のせん断変形を拘束しない構造にすれば、揺れのエネルギーをより効率良く吸収し、大きな地震等にも強い木造建築物の構築が可能になる。
【0049】
また、本発明の仕口ダンパは、横架材には固定せず、柱材側面と筋交いにのみ固定する
構造であるため、従来横架材との固定に使用されていた固定具(数)を柱材側面との固定に使用できるため、筋交いに主に作用する引張り方向の力に対して耐力が向上し、剛性が上がり、制振効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は本発明にかかる仕口ダンパの正面図、(b)は同左側面図、(c)は同底面図である。
【図2】木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である。
【図3】図2における仕口部(A)の部分拡大図である。
【図4】図3を逆方向から見た斜視図である。
【図5】(a)は図2におけるX方向断面図、(b)は筋交いの取付角度が異なる場合の説明図である。
【図6】柱材と梁とが交差する木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した仕口部の斜視図である。
【図7】本発明にかかる仕口部の構造の別の実施例を示す斜視図である。
【図8】筋交いをたすき掛けにした耐力壁に本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である。
【図9】(a)は本発明にかかる仕口ダンパの別の実施形態を示す正面図、(b)は同左側面図、(c)は同底面図である。
【図10】図9に示す仕口ダンパを設置した仕口部の斜視図である。
【図11】(a)は効果試験に用いた木造フレームの正面図である。(b)は効果試験に用いた試験装置の概要を示す正面図である。
【図12】(a)は効果試験により得られた本発明の仕口ダンパを設置した場合の頂部水平変位と荷重との関係を示すグラフである。(b)は効果試験により得られた比較例の仕口ダンパを設置した場合の同グラフである。
【図13】(a)は頂部水平変位が−60mm〜60mmにおける図12の両グラフを重ね合わせた比較図である。(b)は効果試験により得られた本発明の仕口ダンパと比較例の仕口ダンパを設置した場合との真の層間変形角と荷重との関係を示した比較図である。
【図14】(a)は本発明の仕口ダンパを設置した仕口部において、筋交いにかかる荷重の方向と固定具(木ネジ)にかかる荷重の方向とを示した正面図である。(b)は比較例の仕口ダンパを設置した場合の同正面図である。
【図15】(a)は比較例の仕口ダンパの正面図である。(b)は比較例の仕口ダンパを木造フレームの仕口部に設置した斜視図である。
【図16】木造フレームに本発明の仕口ダンパを設置した斜視図である(設置方法3)。
【図17】図16における仕口部(B)の部分拡大図である。
【図18】図17を逆方向から見た斜視図である。
【図19】制振効果試験により得られた本発明の仕口ダンパを設置した場合の頂部水平変位と荷重との関係を示すグラフであり、筋交いと横架材及び柱材との間に隙間を設けた場合(設置方法1)と、隙間を設けず当接させた場合(設置方法3)との比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明にかかる仕口ダンパ及び仕口部の構造の実施形態について、図1〜図10を用いて説明する。
【実施例1】
【0052】
[仕口ダンパの構成]
図1は本発明にかかる仕口ダンパの構成を示す図である。図1において、仕口ダンパ1は、鋼板からなる第一の高剛性部材2と第二の高剛性部材3との間に、粘弾性を有する高減衰ゴムからなる板状の減衰材4を挟み込み、加硫接着によって一体に定着したものである。
【0053】
第一の高剛性部材2は、四隅に面取り加工を施した略正方形状に形成されている。第二の高剛性部材3は、第一の高剛性部材2よりも一回り大きい略正方形状の対向部3aと、対向部3aの四辺のうち一辺縁部に端部をL型に屈曲させた側辺部3bとにより形成されている。側辺部3bには、取付孔3cが8個設けられ、略M字形に所定の間隔で配置されている。一方、減衰材4は、第一の高剛性部材2よりもやや小さい略正方形状に形成され
ている。
【0054】
そして、第一の高剛性部材2と減衰材4と第二の高剛性部材3の対向部3aとを順に、それぞれの中心を一致させた状態で積層し、加硫接着により一体に定着している。また、一体化する際、第一の高剛性部材2及び減衰材4は第二の高剛性部材3に対して、積層方向(正面方向)から見て、第二の高剛性部材3の対向部3aの周縁と、第一の高剛性部材2及び減衰材4との間にクリアランスが形成されるように定着されている。
【0055】
このように構成されている仕口ダンパ1は、厚み方向に貫通する複数の取付孔1zが設けられている。これら取付孔1zは、第一の高剛性部材2に設けられた取付孔2zと、第二の高剛性部材3の対向部3aと減衰材4とにそれぞれ設けられた複数の貫通孔3z、4zを、加硫接着の際に貫通孔の配置を一致させることにより構成したもので、第二の高剛性部材3及び減衰材4の貫通孔3z,4zは、第一の高剛性部材2の取付孔2zよりもやや大径になっており、取付孔2zにはネジ止めのための座ぐりが設けられている(第5図(a)参照)。
【0056】
なお、取付孔1zは、筋交いの様々な設置角度に対応できるよう、例えば側辺部3b側から、5個、3個、1個の順で略三角形状様に所定の間隔をあけて設けられている。このように取付孔1zを配置することで、筋交いの設置角度に合わせて、取付孔1zを適宜選択できるようになっている(第5図(b)参照)。
【0057】
[仕口ダンパの設置方法1]
次に、この仕口ダンパ1を木造フレーム仕口部へ設置する設置方法の説明を行う。
図2は木造建築物の耐力壁となる木造フレームF(片筋交いの軸組)の斜視図であり、図3は図2においてAで示した仕口部10の部分拡大図、図4は仕口部10を図3と逆方向から見た斜視図であり、図5(a)は図2におけるX方向断面図である。符号11は柱材、符号12は土台、符号13は筋交い、符号14は基礎を示している。
【0058】
筋交い13は、柱材11及び土台12との間に隙間C1が生じるように、両端部を切断し長さを短縮している。下方の仕口部10において、第一の高剛性部材2を筋交い13の下方端部に当接させるとともに、第二の高剛性部材3の側辺部3bを柱材11の側面11aに当接させた状態で配置する。そして、側辺部3bの取付孔3yに木ねじ5をねじ込み、側辺部3bを柱材11に固定し、仕口ダンパ1の厚み方向に貫通している取付孔1zのうち、筋交い13に対向している取付孔1zに、第二の高剛性部材3側から木ねじ5をねじ込み、第一の高剛性部材2を筋交い13に固定する。
【0059】
このようにして仕口ダンパ1を仕口部10に設置すれば、筋交い13の下方端部と柱材11の側面11a及び土台12の上面12aとの間に隙間C1が形成された状態で、筋交い13と柱材11及び土台12とが仕口ダンパ1を介して結合された状態になる。同様に上方の仕口部においても筋交い13の上方端部に仕口ダンパ1を設置する。
【0060】
[仕口ダンパ設置の作用効果]
この木造建築物が地震などによる揺れを受け、木造フレームFに横方向(水平方向)の揺れ(力)が発生すると、木造フレームFの変形に伴って筋交い13に圧縮方向及び引張り方向の力が交互に作用する。そうすると、筋交い13に固定された仕口ダンパ1の減衰材4が、筋交い13の圧縮方向あるいは引張り方向に作用する力に応じてせん断変形することにより、木造フレームFにかかる地震等のエネルギーを効率良く吸収し、揺れを抑える。こうして、建物の揺れを効果的に抑えることによって、早期に揺れを止めることができるため、建物の倒壊を防止・抑制することができる。
【0061】
さらに、仕口ダンパ1は、木造フレームFの内側に設置されるため、土台12が交差している仕口部10にも設置することができ、設置箇所の制限を受けることがない。つまり、筋交い13をたすき掛けに設けた木造フレームFに対しても、各筋交い13に仕口ダンパ1を設置し、制振性能の向上を図ることができ、また、仕口ダンパ1の設置数によって建築物の剛性や減衰量などの調整を容易に行うことができる。
【0062】
このように、仕口ダンパ1は木造フレームFの内側に設置されるため、外壁や構造用合板などの外装材に干渉せず、外装材の施工を容易に行うことができる。
【0063】
[本発明の仕口ダンパと比較例の仕口ダンパを設置した場合の制振効果試験]
ここで、本発明の仕口ダンパ1を設置した場合と比較例の仕口ダンパ101(図15参照)を設置した場合とのそれぞれの制振効果について、試験装置を用い試験した。以下、試験装置の詳細及び試験結果について、図11〜図13により説明する。
【0064】
図11に示す通り、試験装置は土台(Sill)112と梁(Beam)115と柱材(Post)111×2と、筋交い(Brace)113を斜めに1本配した木造フレームを用い、筋交い113両
端部に仕口ダンパを設置する。そして、土台112を固定し、梁115にはライナーガイド116を装着して横方向に滑動可能とし、梁115の右側からオイルジャッキ117をピストンさせ圧縮方向と引張り方向と交互に横方向荷重を負荷し、この荷重を徐々に増加させていく。
【0065】
また、柱材111及び土台112は日本杉を使った105mm×105mmの角材、梁115は米松を使った180mm×105mmの角材、筋交い113はカナダツガを使った90mm×45mmの角材を用いて、高さ2730mm×横幅910mmの木造フレームとした。なお、本試験においては、柱材111と筋交い113は当接させ、土台112(梁115)と筋交い113端部にはそれぞれ20mmのクリアランスを設け、仕口ダンパ1(101)を筋交い113の両端部に設置する。
【0066】
一方、試験に用いる仕口ダンパ1(101)については、第一の高剛性部材2(102)及び第二の高剛性部材3(103)に厚さ5mmの鋼板を用い、減衰材4(104)に厚
さ5mmの高減衰ゴム(剛性率G=0.8N/mm2/等価減衰定数Heq=22.9%/せん断ひずみ破壊率Eb=600%over)を用いた。仕口ダンパ1(101)の寸法は双方ともに、対向部3a(103a)を120mm×120mmとし、側辺部3b(固定部103b・103b’)を120mm×35mmとした。仕口ダンパと木材との固定具として、木ねじ(φ=5mm/L=45mm)を使用した。
【0067】
なお、比較例の仕口ダンパ101は、柱材と横架材(土台又は梁)と筋交いの3箇所で固定する仕口ダンパであり、柱材111との固定に4本、土台112(梁115)との固定に4本、筋交い113との固定に6本の木ねじを使用した。
【0068】
一方、本発明の仕口ダンパ1は、柱材111との固定に8本、筋交い113との固定に6本の木ねじを使用した。いずれの仕口ダンパにおいても、1つの仕口ダンパにつき、木ねじを合計14本使用した。
【0069】
この試験装置により、横方向荷重(荷重:kN)と梁の横方向変位(頂部水平変位:mm)との関係、及び横方向荷重(荷重:kN)と角度変位(真の層間変形角:*103rad)との関
係を導き、本発明の仕口ダンパ1と比較例の仕口ダンパ101との効果を比較する。ここで角度変位とは、梁の横方向変位を柱材の高さで割った値である(梁の横方向変位は柱材高さに比べ微少であるため、tan((梁の横方向変位)/(柱材高さ))を角度変位に近
似できる。)
【0070】
[制振効果試験結果]
以上の試験により、次の結果が得られた。図12(a)は本発明の仕口ダンパ1を設置した場合の荷重と頂部水平変位の関係を示すグラフであり、図12(b)は従来の仕口ダンパ101を設置した場合の同グラフである。図13(a)は頂部水平変位が約−60mm〜60mmにおける上記2つのグラフを重ね合わせた比較図である。図13(b)は本発明の仕口ダンパ1を設置した場合と比較例の仕口ダンパ101を設置した場合とを比較した、荷重と真の層間変形角との関係を示す比較図である。
【0071】
1.図12及び図13(a)より、荷重1kNを負荷した時、比較例の仕口ダンパは本発明の仕口ダンパを設置した場合に比べ、約1.7倍程度も頂部が変位していることがわかる。
【0072】
2.図13(b)より、荷重2kNを負荷した時、比較例の仕口ダンパは本発明の仕口ダンパを設置した場合に比べ、約2倍程度も角度変位があることがわかる。
【0073】
以上から、同荷重を負荷した時、本発明の仕口ダンパを設置した場合、比較例の仕口ダンパを設置した場合に比べ、木造フレームの変形量を抑える効果が大きい。つまり、本発明の仕口ダンパは、比較例の仕口ダンパと比べ、より大きな力を吸収して揺れを抑えることができ、制振効果が非常に高いことがわかった。
【0074】
[仕口ダンパの設置方法2]
次に、前記設置方法1とは別の構造の木造フレームに設置する場合について説明する。前記設置方法1においては、柱材11と土台12とが交差する仕口部10に仕口ダンパ1を設置した例であるが、図6に示すように、柱材11と梁15とが交差する仕口部15に設置することも可能である。なお、図6の符号は、図2と同一又は対応する構成については同一のものを用いており、説明は重複を避けるため省略する。以下、符号について図7〜図10においても同様とする。
【0075】
図7に示すように、筋交い13を柱材11の側面11aに端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付けることもできる。仕口部10をこのような構造にすれば、木造フレームFが横方向から力を受けて、筋交い13に圧縮力が働くときは、筋交い13が圧縮材となり突っ張ることにより、横方向からの力に抵抗する。一方、筋交い13に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い13の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレームFの揺れを抑えることができる。
【0076】
[仕口ダンパの設置方法3]
また、前記設置方法1および2とは別の構造で設置する場合について説明する。前記設置方法1、2においては、筋交い13の両端部と、土台12および梁15との間に隙間C1を設けて仕口ダンパ1を取り付けた例であるが、図16〜図18に示す設置方法3では、筋交い13の両端部と、土台12および梁15とを当接するように仕口ダンパ1を取り付けた例である。
【0077】
仕口部Bを拡大した図17、図18に示すように、土台(横架材)12の上面12aおよび梁(横架材)15の下面15aに筋交い13の端部が当接するように配置して、仕口ダンパ1を取り付ける。仕口部10’をこのような構造にすれば、木造フレームFが縦方向から力を受けて筋交い13に圧縮力が働くときにも、筋交い13が圧縮材となり突っ張ることにより、縦方向からの力に抵抗する。一方、筋交い13に引張力が働くときは、仕口ダンパ1の減衰材4が筋交い13の引張り方向にせん断変形することにより、作用する力のエネルギーを吸収して木造フレームFの揺れを抑えることができる。これにより剛性の高い木造フレームに構成することができる。また、本設置方法3においては、さらに筋交い13の端部と柱材11の側面11aとも当接させているため、横方向からの圧縮力に対しても抵抗力が高い。なお、筋交い13と土台12および梁15ならびに柱材11とは固定しない。
【0078】
また、この場合の制振効果を確認するため、図11に示す試験装置を用いて制振試験を行った。その結果を図19に示す。図19は、筋交い13と土台12および梁15ならびに柱材11との間に隙間C1を設けた設置方法1の場合と、隙間C1を設けず当接させた設置方法3とにおける制振効果の試験結果を比較したグラフである。図19から、隙間無しの場合は隙間ありの場合と比較し、同一荷重における頂部水平変位が小さいことがわかる。したがって、隙間なしとすれば剛性が高まることが確認できた。
【0079】
[仕口ダンパの設置方法4]
図7に示した仕口ダンパ1の構造を、図8に示すような筋交い13’、13”をたすき掛けした耐力壁にも採用することもでき、優れた制振性能を持たせることができる。
【0080】
つまり、木造フレームFに右方向からの力が作用した場合、一方の筋交い13’に圧縮力が生じるとともに、もう一方の筋交い13”に引張力が生じる。すると、筋交い13’は圧縮材として作用し、突っ張って力に抵抗する。一方、筋交い13”に生じた引張力は、その両端にそれぞれ設置されている仕口ダンパ1の減衰材4のせん断変形により緩和される。
【0081】
これとは逆に、木造フレームFに左方向から力が作用した場合は、筋交い13”が圧縮材として作用し、突っ張って力に抵抗する。一方、筋交い13’に生じる引張力は、その両端にそれぞれ設置されている仕口ダンパ1の減衰材4のせん断変形によって緩和される。
【0082】
このように、筋交い13’、13”の一方が、外力に対して突っ張って抵抗し、これと同時に他方が減衰材4のせん断変形によって外力のエネルギーを吸収することができるため、揺れを効率良く減衰し早期に止めることができる。
【実施例2】
【0083】
図7に示した仕口部10の構造において、図9に示す仕口ダンパ1’を採用することもできる。図9(a)は仕口ダンパ1’の正面図を示し、図9(b)は同側面図、図9(c)は同底面図を示す。さらに、仕口ダンパ1’を設置した仕口部10の斜視図を図10に示す。なお、図1の仕口ダンパ1と同一又は対応するものには同じ符号を付して表している。
【0084】
仕口ダンパ1’は、第一の高剛性部材2’及び減衰材4’を第二の高剛性部材3とほぼ同一の大きさにしたこと以外は、仕口ダンパ1と同じ構成を備えている。そして、仕口ダンパ1と同様、図10に示すように、第二の高剛性部材3を柱材11の側面11aに固定し、第一の高剛性部材2’を筋交い13の端部に固定する。
【0085】
なお、上記の実施例1及び実施例2においては、仕口ダンパ1又は1’を筋交い13の両端に設置している例を示したが、一方にのみ設けることも可能であるし、他方に従来の金具を設置して組み合わせて使用することも可能である。
【0086】
また、仕口ダンパ1及び1’は、柱材11と筋交い13があれば設置可能であるため、土台12や梁15を有さない構造(例えば、柱材11が地面に直接打ちつけられたような構造)にも適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 仕口ダンパ
1z 取付孔
2 第一の高剛性部材
2z 取付孔
3 第二の高剛性部材
3a 対向部
3b 側辺部
3y 取付孔
3z 貫通孔
4 減衰材
4z 貫通孔
5 木ねじ
10 仕口部
11 柱材
11a 側面(柱材)
12 土台
12a 上面(土台)
13 筋交い
14 基礎
15 梁
15a 下面(梁)
C1 隙間
F 木造フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において用いられる仕口ダンパであって、
前記筋交いに固定具により固定される第一の高剛性部材と、
粘弾性を有する減衰材と、
前記柱材の側面に固定具により固定される一つの側辺部と前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部を有する第二の高剛性部材とを備え、
これらが積層され一体に固着されている仕口ダンパ。
【請求項2】
前記対向部が、前記第一の高剛性部材よりも大きく形成され、前記対向部が前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材と固着され、
前記対向部の周縁と、前記第一の高剛性部材及び前記減衰材の周縁との間にクリアランスが形成されるように配置した請求項1に記載の仕口ダンパ。
【請求項3】
前記側辺部が前記対向部と直交し、前記第一の高剛性部材側と反対方向に突出して設けられている請求項1又は2に記載の仕口ダンパ。
【請求項4】
前記第一の高剛性部材に、その積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、
前記減衰材及び前記対向部に、貫通孔を前記取付孔に対応する位置に配し、
前記側辺部に複数の取付孔を設けた請求項1〜3のいずれか1に記載の仕口ダンパ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする仕口ダンパ。
【請求項6】
前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられた請求項5に記載の仕口ダンパ。
【請求項7】
前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが当接された請求項5に記載の仕口ダンパ。
【請求項8】
横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において、
前記筋交いの端部に第一の高剛性部材が固定され、
粘弾性を有する減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部とこの対向部に直交する一つの側辺部を有する第二の高剛性部材が、前記第一の高剛性部材と一体に固着され、
前記側辺部が前記柱材の側面のみに固定されている仕口部の構造。
【請求項9】
前記柱材の側面と、前記筋交いの端部及び前記第一の高剛性部材並びに前記減衰材との間に隙間が形成されている請求項8に記載の仕口部の構造。
【請求項10】
前記横架材と前記筋交いとが固定されていない請求項8または9に記載の仕口部の構造。
【請求項11】
前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられた請求項10に記載の仕口部の構造。
【請求項12】
前記横架材と前記筋交いとが当接された請求項10に記載の仕口部の構造。
【請求項1】
横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において用いられる仕口ダンパであって、
前記筋交いに固定具により固定される第一の高剛性部材と、
粘弾性を有する減衰材と、
前記柱材の側面に固定具により固定される一つの側辺部と前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部を有する第二の高剛性部材とを備え、
これらが積層され一体に固着されている仕口ダンパ。
【請求項2】
前記対向部が、前記第一の高剛性部材よりも大きく形成され、前記対向部が前記減衰材を介して前記第一の高剛性部材と固着され、
前記対向部の周縁と、前記第一の高剛性部材及び前記減衰材の周縁との間にクリアランスが形成されるように配置した請求項1に記載の仕口ダンパ。
【請求項3】
前記側辺部が前記対向部と直交し、前記第一の高剛性部材側と反対方向に突出して設けられている請求項1又は2に記載の仕口ダンパ。
【請求項4】
前記第一の高剛性部材に、その積層方向に貫通する複数の取付孔を設け、
前記減衰材及び前記対向部に、貫通孔を前記取付孔に対応する位置に配し、
前記側辺部に複数の取付孔を設けた請求項1〜3のいずれか1に記載の仕口ダンパ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが固定されていないことを特徴とする仕口ダンパ。
【請求項6】
前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられた請求項5に記載の仕口ダンパ。
【請求項7】
前記仕口ダンパを前記仕口部に配置した状態において、前記横架材と前記筋交いとが当接された請求項5に記載の仕口ダンパ。
【請求項8】
横架材と柱材と筋交いとを有する木造軸組構造の仕口部において、
前記筋交いの端部に第一の高剛性部材が固定され、
粘弾性を有する減衰材を介して前記第一の高剛性部材に対向する対向部とこの対向部に直交する一つの側辺部を有する第二の高剛性部材が、前記第一の高剛性部材と一体に固着され、
前記側辺部が前記柱材の側面のみに固定されている仕口部の構造。
【請求項9】
前記柱材の側面と、前記筋交いの端部及び前記第一の高剛性部材並びに前記減衰材との間に隙間が形成されている請求項8に記載の仕口部の構造。
【請求項10】
前記横架材と前記筋交いとが固定されていない請求項8または9に記載の仕口部の構造。
【請求項11】
前記横架材と前記筋交いとの間に隙間が設けられた請求項10に記載の仕口部の構造。
【請求項12】
前記横架材と前記筋交いとが当接された請求項10に記載の仕口部の構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図19】
【公開番号】特開2011−174364(P2011−174364A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14062(P2011−14062)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
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