付着物除去方法及び付着物除去装置
【課題】 板材に付着した粘着テープ等の付着物を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去できるようにする。
【解決手段】 板材2の粘着テープ等の付着物4を除去するに際して、板材2を送りながら、軸心廻りに回転する研削ブラシ14,15により、付着物4の付着部位を含む板材2の表面を研削して付着物4を削り落とす。例えば、板材2と略平行な平面内で該板材2の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ14により、板材2の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ15により板材2の端面を研削する。
【解決手段】 板材2の粘着テープ等の付着物4を除去するに際して、板材2を送りながら、軸心廻りに回転する研削ブラシ14,15により、付着物4の付着部位を含む板材2の表面を研削して付着物4を削り落とす。例えば、板材2と略平行な平面内で該板材2の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ14により、板材2の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ15により板材2の端面を研削する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板にスルーホールをドリル加工する際に使用されるバックボード等の板材から粘着テープ等の付着物を除去するための付着物除去方法及び付着物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板1に微細なスルーホール等をドリル加工する場合には、図11、図12に示すように、ベークライト製のバックボード2上に数枚のプリント基板1を積層し、その上側にアルミ板等のトップボード3を重ねた後、これらの四辺を粘着テープ4により固定する。そして、これを穿孔装置にセットして、上側から下降するドリル5により複数枚のプリント基板1に同時にスルーホールを穿孔する。このとき各プリント基板1に確実にスルーホールを形成するには、ドリル5をバックボード2に達するまで下降させる。
【0003】
バックボード2は通常、2回使用するのが一般的である。即ち、1回目の使用でバックボード2の一側面にドリル凹部2aができれば、他側面の平滑面2bがプリント基板1側となるように表裏を反転させて使用する。しかし、1回使用したバックボード2には、図13に示すようにその平滑面2b側の端部から端面2cにかけて粘着テープ4が付着しているので、そのままで使用すればプリント基板1側に粘着テープ4の粘着剤が付着して、プリント基板1のエッチング、その他の後処理に悪影響を及ぼす惧れがある。このためバックボード2を再度使用する場合には、粘着テープ4を完全に除去する必要がある。
【0004】
このバックボード2の粘着テープ4は、従来、手作業により除去するのが一般的である。例えばカッターナイフ、へら等の適宜工具を使用して粘着テープ4を剥がし、バックボード2側に残った粘着剤を工具により擦り落とす方法を採っている。
【0005】
また半導体の製造技術分野での粘着テープ4、粘着剤の除去技術には、板材の表面の粘着テープ4を剥離した後、粘着剤の分解温度よりも高い温度で熱処理をして除去する方法がある(特許文献1)。その他、板材の表面を砥石で研削して仕上げる平面研削盤があり(特許文献2)、砥石によりバックボード2の表面を研削して粘着テープ4を除去することも考えられる。
【特許文献1】特開2004−172638号公報
【特許文献2】特開平11−854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の手作業での除去は、作業能率が非常に悪く労力と時間を要する上に、粘着剤を完全に除去することができず、バックボード2側に残った粘着剤がプリント基板1に付着して、プリント基板1の後処理に支障を来す等の問題がある。また熱処理による分解法、研削盤による研削法は、何れも設備が大型化するため非常に不経済であり、小規模生産用の設備としては不適当である。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑み、バックボード等の板材に付着した粘着テープ等の付着物を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去できる付着物除去方法及び付着物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の付着物除去方法は、板材2の粘着テープ等の付着物4を除去するに際して、軸心廻りに回転する研削ブラシ14,15により、前記付着物4の付着部位を含む前記板材2の表面を研削して前記付着物4を削り落とすものである。
【0009】
前記板材2は積層された複数枚のプリント基板1にスルーホールをドリル加工する際に、前記プリント基板1の下側に敷いて粘着テープ4により固定して使用されるバックボード2であり、前記付着物4が前記粘着テープである場合もある。
【0010】
前記板材2を送りながら、前記板材2と略平行な平面内で該板材2の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ14により、前記板材2の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ15により前記板材2の端面を研削しても良い。
【0011】
また本発明の付着物除去装置は、板材2の端縁の粘着テープ等の付着物4を除去するものであって、前記板材2を一方向に送る送りコンベア13と、該送りコンベア13により送られる前記板材2の前記端部側の上面を研削して前記付着物4を削り落とす上面研削ブラシ14と、前記送りコンベア13により送られる前記板材2の端面を研削して前記付着物4を削り落とす端面研削ブラシ15とを備えたものである。
【0012】
前記研削ブラシ14,15は、複数本の鋼線材40,50からなる線材束41,51を、隣り合う線材束41,51相互間に所定の間隔をおいて支持体39,49の植設面側に植設し、前記各線材束41,51の前記鋼線材40,50の先端をその長手方向と略直角に研磨して略一定長さに揃えても良い。
【0013】
前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端面研削ブラシ15を左右に備え、一方の前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端面研削ブラシ15を固定枠19に取り付け、他方の前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端 面研削ブラシ15を左右方向に移動可能な可動枠20に取り付けても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、バックボード等の板材に付着した粘着テープ等の付着物を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜図8は本発明の付着物除去装置の一例である粘着テープ除去装置の第1の実施例を示す。この粘着テープ除去装置は、図1〜図5に示すように、バックボード2の端縁の粘着テープ4を除去する除去部10と、除去部10にバックボード2を供給する供給部11と、除去部10で粘着テープ4を除去後のバックボード2を取り出す取り出し部12とを直線状に備えている。
【0017】
除去部10は、図3〜図5に示すように、バックボード2を一方向に送る左右一対の送りコンベア13と、一対の送りコンベア13の左右両側に配置され且つ送りコンベア13により送られるバックボード2の端部側の上面を研削して粘着テープ4を削り落とす一対の金属製の上面研削ブラシ14と、上面研削ブラシ14よりも下手側で一対の送りコンベア13の左右両側に配置され且つ送りコンベア13により送られるバックボード2の端面側を研削して粘着テープ4及びその細片等を除去する金属製の端面研削ブラシ15と、上面研削ブラシ14による研削時に、端面研削ブラシ15による除去時に発生した粉塵を集塵する上下一対の集塵フード16,17とを備え、基体18上に配置された固定枠19と可動枠20とに跨がって装着されている。
【0018】
固定枠19は基体18上に固定された固定台19aに立設され、また可動枠20は基体18上に案内レール21、送りネジ22等を介して左右方向に移動自在に支持された可動台20aに立設され、バックボード2の左右幅に合わせて送りコンベア13の幅、上面研削ブラシ14及び端面研削ブラシ15間の間隔を適宜調整可能である。
【0019】
固定枠19、可動枠20の内側にはブラケット23を介して側板24が固定され、その各側板24の内側に左右の送りコンベア13が設けられている。各送りコンベア13は、バックボード2を下側から支持する送りベルト25と、送りベルト25との間でバックボード2を挟む第1押さえローラ26及び第2押さえローラ27と、送りベルト25よりも内側でバックボード2を下側から支持する受けローラ28とを備えている。
【0020】
送りベルト25は下手側の駆動プーリ29と上手側の従動プーリ30とに巻き掛けられると共に、送り側が支持レール31により下側から案内されている。第1押さえローラ26は送りベルト25の上手部に送り方向に複数個(2個)あり、押さえシリンダ等の付勢手段32により送りベルト25側へと下方に付勢されている。
【0021】
第2押さえローラ27は上面研削ブラシ14の上手側及び下手側に所定間隔をおいて複数個配置され、その個々の第2押さえローラ27毎にアーム33を介して側板24側の支持板34に取り付けられ、図外のバネ等により送りベルト25側へと下方に付勢されている。なお、固定枠19側の側板24の内側に基準案内板35が装着され、この基準案内板35に端面が当接した状態でバックボード2を送りコンベア13により送るようになっている。受けローラ28は送りベルト25よりも内側に送り方向に所定間隔をおいて複数個配置され、バックボード2の中央側の垂れ下がりを防止するようになっている。
【0022】
各上面研削ブラシ14は図6、図7に示すように、上面研削モータ36の回転軸37の先端部に着脱自在に装着されると共に、側板24の開口部38内に、その中心がバックボード2の端部の上方に位置するように配置され、バックボード2の左右両側の端部の上面を研削するようになっている。上面研削ブラシ14は、合成樹脂製の円形状の支持体39と、ピアノ線等の複数本の鋼線材40からなり且つ支持体39の外周の植設面に植設された多数の線材束41とを備えている。
【0023】
各線材束41は周方向及び軸方向に間隔をおいて放射状に千鳥配置される等、隣り合う線材束41相互間に所定の間隔をおいて配置されており、各線材束41の鋼線材40の先端をその長手方向と略直角に研磨されて略一定長さに揃えられている。なお、線材束41は複数本のピアノ線等の鋼線材40をまとめたものであって、その基部が支持体39の外周側の孔に挿入され、線材束41の中央部に打ち込まれた楔等により固定されている。そして、各線材束41の鋼線材40の先端は、略同一円周面上にある。
【0024】
上面研削モータ36は上面研削ブラシ14よりも上手側で側板24の外側に、回転軸37がバックボード2と平行な平面(水平面)内でバックボード2の送り方向に対して略20〜40度、好ましくは30度程度傾斜するように配置され、固定枠19、可動枠20に対して上下調整手段42を介して上下方向に位置調整可能に取り付けられている。上下調整手段42は上面研削モータ36、回転軸37等を支持する摺動部43と、固定枠19、可動枠20に設けられ且つ摺動部43を上下方向に案内する案内部44と、摺動部43を上下に移動させる調整つまみ45と、任意の位置で摺動部43を固定枠19、可動枠20に固定する固定具46とを備えている。
【0025】
なお、上面研削モータ36は、上面研削ブラシ14がバックボード2の内側から外側に向かってその表面を研削するように駆動するのが望ましい。
【0026】
端面研削ブラシ15は図6、図7に示すように、端面研削モータ47の回転軸48の先端部に着脱自在に装着されると共に、その略中心側がバックボード2の端面に外側から対向するように側板24の開口部38内に配置され、上面研削ブラシ14によるバックボード2の研削後に、バックボード2の端面側に付着する粘着テープ4の細片等の付着物を除去するようになっている。
【0027】
端面研削ブラシ15は、合成樹脂製の円形状の支持体49と、ピアノ線等の複数本の鋼線材50からなり且つ支持体49の軸心方向の端面側の植設面の周縁部にリング状に植設された多数の線材束51とを備えている。各線材束51も各線材束41と同様に隣り合う線材束41相互間に所定の間隔をおいて配置されており、各線材束51の鋼線材50の先端がその長手方向と略直角に研磨されて略一定長さに揃えられている。なお、各線材束51は上面研削ブラシ14側と同様にして支持体49に植設されている。
【0028】
端面研削モータ47は回転軸48がバックボード2と平行な平面(水平面)内でバックボード2の送り方向に対して略直交するように側板24の外側に配置され、固定枠19、可動枠20に対して左右調整手段53を介して左右方向(バックボード2の端面に対して遠近方向)に位置調整可能に取り付けられている。左右調整手段53は端面研削モータ47、回転軸48等を支持する摺動部54と、固定枠19、可動枠20に設けられ且つ摺動部54を左右方向に案内する案内部55と、摺動部54を左右方向に移動させる調整つまみ56と、任意の位置で摺動部54を固定枠19、可動枠20に固定する固定具57とを備えている。
【0029】
端面研削ブラシ15の上手側及び下手側には、送りベルト25の外側でバックボード2の端部を上下両側から挟む上ローラ58と下ローラ59とが設けられている。上ローラ58はアーム60を介して側板24側のブラケット61に取り付けられ、図外のバネ等により下方に付勢されている。
【0030】
各側板24の内側には、送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等を覆うように上下一対の集塵フード16,17が設けられ、開口部38を覆う外側の集塵ダクト62等を介して図外の集塵機で粘着テープ4の細片等を集塵するようになっている。集塵フード16,17の開口端側は、送りコンベア13上のバックボード2の上下両面に夫々近接して配置されている。
【0031】
供給部11は左右一対の側板63と、この側板63間に配置された多数のローラ64とを含む供給コンベア65を備え、その供給コンベア65により、除去部10の基準案内板35側の側板63を案内用として、この側板63に端面を当接させた状態でバックボード2を除去部10へと1枚ずつ供給するようになっている。なお、ローラ64は、バックボード2を側板63側に押し付け勝手に送るように傾斜軸廻りに回転する。
【0032】
取り出し部12はバックボード2を取り出し方向に送る取り出しコンベア75と、取り出しコンベア75上のバックボード2を上側から叩いて振動させる振動手段66と、バックボード2の上下に付着する塵埃等を除去する上下一対の除去ブラシ67,68とを備えている。振動手段66は取り出しコンベア75上に配置された横軸69と、横軸69に左右方向に所定の間隔をおいて固定された支持板70と、各支持板70に略対称に設けられた叩きローラ71とを備え、その叩きローラ71でバックボード2を上側から叩くように構成されている。除去ブラシ67,68はナイロンブラシ等により構成されている。
【0033】
バックボード2の粘着テープ4の除去に際しては、先ず左右一対の側板24間の間隔をバックボード2の幅に合わせて調整する。この場合、送りネジ22を正逆方向に回転させれば、一方の送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等を支持する可動枠20が案内レール21に沿って左右方向に移動し、バックボード2の幅に合わせて左右の送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等の間隔を任意に調整できる。またバックボード2の厚さ等に応じて上面研削ブラシ14の上下位置、端面研削ブラシ15の左右位置等を調整する。
【0034】
実際の除去作業では、供給部11の供給コンベア65により、一側の端面が側板24に当接した状態でバックボード2を1枚ずつ除去部10へと供給する。このときバックボード2は、図8(A)に示すように粘着テープ4が上面側となり、ドリル凹部2aが下面側となるように送る。そして、バックボード2が端面研削ブラシ15に到達すると、送りベルト25と第1押さえローラ26とでバックボード2を上下両側から挟み、その状態で送りベルト25により基準案内板35に沿って下手側へと送って行く。
【0035】
各上面研削ブラシ14は上面研削モータ36の駆動により回転軸37廻りにa矢示方向に回転しており、バックボード2がその下側を通過するときに、各線材束41の鋼線材40の先端により、粘着テープ4を含むバックボード2の端部側の上面を研削して、そこに付着していた粘着テープ4及びその粘着剤を除去する。
【0036】
この場合、上面研削ブラシ14はバックボード2の内側から外側へと高速回転しており、バックボード2の端縁から内側の所定の研削幅W(例えば15〜20mm程度の幅)で上面を研削するため、バックボード2の送り方向への移動に伴って研削幅Wで帯状に研削することになる。従って、図6、図8(A)に示すようにその研削幅W内に粘着テープ4があれば、その粘着テープ4をバックボード2の研削によって同時に削り落とすことができる。またバックボード2の送り速度よりも上面研削ブラシ14の回転速度が遥かに速いため、粘着テープ4をその下手側から順次細かくしながら削ることになる。
【0037】
更に上面研削ブラシ14は内側から外側へと回転するため、バックボード2の端部を損傷することなく研削できると共に、粘着テープ4の細片等を上面研削ブラシ14の回転によって外側へと飛ばすことができる。このため、粘着剤を含む粘着テープ4の細片がバックボード2の表面に付着し難くなる。また送りベルト25、支持レール31でバックボード2を下側から支持しているが、その送りベルト25よりも外側で上面研削ブラシ14がバックボード2を研削するため、バックボード2が適度に下側へと弾性変形することができ、バックボード2を研削し過ぎることがない。
【0038】
上面研削ブラシ14によりバックボード2の端部の上面側の粘着テープ4を削り落とした後、端面研削ブラシ15でバックボード2の端面を研削して粘着テープ4等を削り落とす。即ち、バックボード2の上面側の粘着テープ4を除去しても、端面には図8(B)に示すように粘着テープ4の一部が残っており、また粘着剤を含む粘着テープ4の細片がバックボード2から離れずにその端面側に付着することもある。そこで、端面研削ブラシ15によりバックボード2の端面を研削して、その端面側の粘着テープ4等を同様にして削り落とす。
【0039】
この場合、端面研削ブラシ15はバックボード2の端面に外側から対向しているので、両者の左右方向の重なり量を適宜設定しておけば、上下両端側の隅部を含む状態でバックボード2の端面側を研削できる。また端面研削ブラシ15によりバックボード2の端面を研削する場合には、バックボード2に上下方向の外力が掛かるが、端面研削ブラシ15の両側の上ローラ58と下ローラ59とでバックボード2を挟んで規制しているため、バックボード2の端面を確実に研削できる。
【0040】
上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15によるバックボード2の研削時に粉塵が発生するが、その粉塵は左右の集塵フード16,17、集塵ダクト62を介して集塵機側に回収する。除去部10で粘着テープ4を除去した後のバックボード2は、取り出しコンベア75を経て順次取り出して行く。このとき振動手段66で取り出しコンベア75上のバックボード2を叩いて振動させて、下面側のドリル凹部2aに入った粉塵等を除去する。そして、その後、上下の除去ブラシ67,68によりバックボード2の上下両面のゴミ、その他を除去する。
【0041】
このような送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15を備えた粘着テープ除去装置を使用することにより、バックボード2の粘着テープ4を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去でき、プリント基板1を後処理する上での問題等を解消できる。また研削ブラシは複数本の鋼線材40,50からなる線材束41,51を、隣り合う線材41,51束相互間に所定の間隔をおいて支持体39,49の植設面側に植設しているので、乾式研削法でバックボード2を研削して粘着テープ4を削り落とすにも拘わらず、その粘着テープ4の細片等が研削ブラシ側に詰まるようなこともなく、研削ブラシ14,15の研削性能を安定的に維持できる。
【0042】
図9は本発明の第2の実施例を例示する。この第2の実施例では、上面研削ブラシ14はバックボード2と並行な平面内でその送り方向と直角方向に回転軸37に取り付けられており、その回転軸37廻りに回転してバックボード2の端部の上面を研削する。上面研削ブラシ14は第1の実施例と同様に支持体39の外周面に線材束41を植設したものである。端面研削ブラシ15は第1の実施例と同様である。
【0043】
このように上面研削ブラシ14をバックボード2の送り方向に沿って回転させながら、その上面研削ブラシ14によりバックボード2の端部の上面を送り方向に沿って研削幅Wの帯状に研削しても良い。上面研削ブラシ14は、バックボード2を送り方向の下手側へとダウンカット方向にa矢示方向に研削するように回転させることが望ましい。
【0044】
図10は本発明の第3の実施例を例示する。この第3の実施例では、上面研削ブラシ14には、支持体39の下面側の植設面の周縁部分にリング状に線材束41を植設したものが使用されている。そして、上面研削ブラシ14はバックボード2の幅方向の外側で上下方向に配置された回転軸37の下端に取り付けられており、縦軸心廻りに回転しながらバックボード2の端部の上面を研削する。端面研削ブラシ15は第1の実施例と同様である。
【0045】
このように上面研削ブラシ14を縦軸心廻りに回転させながら、バックボード2の端部の上面を送り方向に沿って帯状に研削しても良い。上面研削ブラシ14は、バックボード2を送り方向の下手側へと研削するようにa矢示方向に回転させることが望ましい。
【0046】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明は各実施例に限定されるものではない。例えば研削ブラシ14,15の線材束41,51の配置は千鳥状である必要はなく、適度な間隔をおいて列状に設けても良い。送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15間の間隔を調整する場合、左右両側を可動式にしても良い。
【0047】
バックボード2の四辺に粘着テープ4がある場合には、左右両側に上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15を備えた除去装置を使用し、その一方の相対向する二辺の粘着テープ4を除去した後、他の相対向する二辺が上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15に対応するように、そのバックボード2の向きを90度変えて再度除去装置に通して、他の相対向する二辺の粘着テープ4を除去すれば良い。
【0048】
研削ブラシ14,15は鋼線材41,51を使用した金属製のものが一般的であるが、金属製の線材の他、ナイロン繊維等の合成樹脂製の線材を使用したものでも良い。またその太さも適宜選択すれば良い。更に研削ブラシ14,15は外周側で線材が略揃っておれば十分であり、同一長さの線材を使用して、外周側を均一に揃えておく必要もない。板材として、プリント基板1のスルーホールのドリル加工時に使用するバックボード2を例示しているが、バックボード2以外のものでも同様に実施可能である。また板材に対する粘着テープ4等の付着部位は端部以外の部分、例えば板材の中央部分等でも良い。更に研削により削り落とすので、付着物は研削可能なものであれば良く、粘着テープ4以外の付着物の除去にも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の拡大平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の拡大側面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の平面図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の平面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の説明図である。
【図9】(A)は本発明の第2の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面図、(B)は平面図である。
【図10】(A)は本発明の第3の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面図、(B)は側面図である。
【図11】プリント基板のスルーホール加工前の状態を示す斜視図である。
【図12】プリント基板のスルーホール加工前の状態を示す斜視図である。
【図13】バックボードの断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 プリント基板
2 バックボード(板材)
4 粘着テープ(付着物)
13 送りコンベア
14 上面研削ブラシ
15 端面研削ブラシ
19 固定枠
20 可動枠
39,49 支持体
40,50 鋼線材
41,51 線材束
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板にスルーホールをドリル加工する際に使用されるバックボード等の板材から粘着テープ等の付着物を除去するための付着物除去方法及び付着物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板1に微細なスルーホール等をドリル加工する場合には、図11、図12に示すように、ベークライト製のバックボード2上に数枚のプリント基板1を積層し、その上側にアルミ板等のトップボード3を重ねた後、これらの四辺を粘着テープ4により固定する。そして、これを穿孔装置にセットして、上側から下降するドリル5により複数枚のプリント基板1に同時にスルーホールを穿孔する。このとき各プリント基板1に確実にスルーホールを形成するには、ドリル5をバックボード2に達するまで下降させる。
【0003】
バックボード2は通常、2回使用するのが一般的である。即ち、1回目の使用でバックボード2の一側面にドリル凹部2aができれば、他側面の平滑面2bがプリント基板1側となるように表裏を反転させて使用する。しかし、1回使用したバックボード2には、図13に示すようにその平滑面2b側の端部から端面2cにかけて粘着テープ4が付着しているので、そのままで使用すればプリント基板1側に粘着テープ4の粘着剤が付着して、プリント基板1のエッチング、その他の後処理に悪影響を及ぼす惧れがある。このためバックボード2を再度使用する場合には、粘着テープ4を完全に除去する必要がある。
【0004】
このバックボード2の粘着テープ4は、従来、手作業により除去するのが一般的である。例えばカッターナイフ、へら等の適宜工具を使用して粘着テープ4を剥がし、バックボード2側に残った粘着剤を工具により擦り落とす方法を採っている。
【0005】
また半導体の製造技術分野での粘着テープ4、粘着剤の除去技術には、板材の表面の粘着テープ4を剥離した後、粘着剤の分解温度よりも高い温度で熱処理をして除去する方法がある(特許文献1)。その他、板材の表面を砥石で研削して仕上げる平面研削盤があり(特許文献2)、砥石によりバックボード2の表面を研削して粘着テープ4を除去することも考えられる。
【特許文献1】特開2004−172638号公報
【特許文献2】特開平11−854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の手作業での除去は、作業能率が非常に悪く労力と時間を要する上に、粘着剤を完全に除去することができず、バックボード2側に残った粘着剤がプリント基板1に付着して、プリント基板1の後処理に支障を来す等の問題がある。また熱処理による分解法、研削盤による研削法は、何れも設備が大型化するため非常に不経済であり、小規模生産用の設備としては不適当である。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑み、バックボード等の板材に付着した粘着テープ等の付着物を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去できる付着物除去方法及び付着物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の付着物除去方法は、板材2の粘着テープ等の付着物4を除去するに際して、軸心廻りに回転する研削ブラシ14,15により、前記付着物4の付着部位を含む前記板材2の表面を研削して前記付着物4を削り落とすものである。
【0009】
前記板材2は積層された複数枚のプリント基板1にスルーホールをドリル加工する際に、前記プリント基板1の下側に敷いて粘着テープ4により固定して使用されるバックボード2であり、前記付着物4が前記粘着テープである場合もある。
【0010】
前記板材2を送りながら、前記板材2と略平行な平面内で該板材2の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ14により、前記板材2の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ15により前記板材2の端面を研削しても良い。
【0011】
また本発明の付着物除去装置は、板材2の端縁の粘着テープ等の付着物4を除去するものであって、前記板材2を一方向に送る送りコンベア13と、該送りコンベア13により送られる前記板材2の前記端部側の上面を研削して前記付着物4を削り落とす上面研削ブラシ14と、前記送りコンベア13により送られる前記板材2の端面を研削して前記付着物4を削り落とす端面研削ブラシ15とを備えたものである。
【0012】
前記研削ブラシ14,15は、複数本の鋼線材40,50からなる線材束41,51を、隣り合う線材束41,51相互間に所定の間隔をおいて支持体39,49の植設面側に植設し、前記各線材束41,51の前記鋼線材40,50の先端をその長手方向と略直角に研磨して略一定長さに揃えても良い。
【0013】
前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端面研削ブラシ15を左右に備え、一方の前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端面研削ブラシ15を固定枠19に取り付け、他方の前記送りコンベア13、前記上面研削ブラシ14、前記端 面研削ブラシ15を左右方向に移動可能な可動枠20に取り付けても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、バックボード等の板材に付着した粘着テープ等の付着物を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1〜図8は本発明の付着物除去装置の一例である粘着テープ除去装置の第1の実施例を示す。この粘着テープ除去装置は、図1〜図5に示すように、バックボード2の端縁の粘着テープ4を除去する除去部10と、除去部10にバックボード2を供給する供給部11と、除去部10で粘着テープ4を除去後のバックボード2を取り出す取り出し部12とを直線状に備えている。
【0017】
除去部10は、図3〜図5に示すように、バックボード2を一方向に送る左右一対の送りコンベア13と、一対の送りコンベア13の左右両側に配置され且つ送りコンベア13により送られるバックボード2の端部側の上面を研削して粘着テープ4を削り落とす一対の金属製の上面研削ブラシ14と、上面研削ブラシ14よりも下手側で一対の送りコンベア13の左右両側に配置され且つ送りコンベア13により送られるバックボード2の端面側を研削して粘着テープ4及びその細片等を除去する金属製の端面研削ブラシ15と、上面研削ブラシ14による研削時に、端面研削ブラシ15による除去時に発生した粉塵を集塵する上下一対の集塵フード16,17とを備え、基体18上に配置された固定枠19と可動枠20とに跨がって装着されている。
【0018】
固定枠19は基体18上に固定された固定台19aに立設され、また可動枠20は基体18上に案内レール21、送りネジ22等を介して左右方向に移動自在に支持された可動台20aに立設され、バックボード2の左右幅に合わせて送りコンベア13の幅、上面研削ブラシ14及び端面研削ブラシ15間の間隔を適宜調整可能である。
【0019】
固定枠19、可動枠20の内側にはブラケット23を介して側板24が固定され、その各側板24の内側に左右の送りコンベア13が設けられている。各送りコンベア13は、バックボード2を下側から支持する送りベルト25と、送りベルト25との間でバックボード2を挟む第1押さえローラ26及び第2押さえローラ27と、送りベルト25よりも内側でバックボード2を下側から支持する受けローラ28とを備えている。
【0020】
送りベルト25は下手側の駆動プーリ29と上手側の従動プーリ30とに巻き掛けられると共に、送り側が支持レール31により下側から案内されている。第1押さえローラ26は送りベルト25の上手部に送り方向に複数個(2個)あり、押さえシリンダ等の付勢手段32により送りベルト25側へと下方に付勢されている。
【0021】
第2押さえローラ27は上面研削ブラシ14の上手側及び下手側に所定間隔をおいて複数個配置され、その個々の第2押さえローラ27毎にアーム33を介して側板24側の支持板34に取り付けられ、図外のバネ等により送りベルト25側へと下方に付勢されている。なお、固定枠19側の側板24の内側に基準案内板35が装着され、この基準案内板35に端面が当接した状態でバックボード2を送りコンベア13により送るようになっている。受けローラ28は送りベルト25よりも内側に送り方向に所定間隔をおいて複数個配置され、バックボード2の中央側の垂れ下がりを防止するようになっている。
【0022】
各上面研削ブラシ14は図6、図7に示すように、上面研削モータ36の回転軸37の先端部に着脱自在に装着されると共に、側板24の開口部38内に、その中心がバックボード2の端部の上方に位置するように配置され、バックボード2の左右両側の端部の上面を研削するようになっている。上面研削ブラシ14は、合成樹脂製の円形状の支持体39と、ピアノ線等の複数本の鋼線材40からなり且つ支持体39の外周の植設面に植設された多数の線材束41とを備えている。
【0023】
各線材束41は周方向及び軸方向に間隔をおいて放射状に千鳥配置される等、隣り合う線材束41相互間に所定の間隔をおいて配置されており、各線材束41の鋼線材40の先端をその長手方向と略直角に研磨されて略一定長さに揃えられている。なお、線材束41は複数本のピアノ線等の鋼線材40をまとめたものであって、その基部が支持体39の外周側の孔に挿入され、線材束41の中央部に打ち込まれた楔等により固定されている。そして、各線材束41の鋼線材40の先端は、略同一円周面上にある。
【0024】
上面研削モータ36は上面研削ブラシ14よりも上手側で側板24の外側に、回転軸37がバックボード2と平行な平面(水平面)内でバックボード2の送り方向に対して略20〜40度、好ましくは30度程度傾斜するように配置され、固定枠19、可動枠20に対して上下調整手段42を介して上下方向に位置調整可能に取り付けられている。上下調整手段42は上面研削モータ36、回転軸37等を支持する摺動部43と、固定枠19、可動枠20に設けられ且つ摺動部43を上下方向に案内する案内部44と、摺動部43を上下に移動させる調整つまみ45と、任意の位置で摺動部43を固定枠19、可動枠20に固定する固定具46とを備えている。
【0025】
なお、上面研削モータ36は、上面研削ブラシ14がバックボード2の内側から外側に向かってその表面を研削するように駆動するのが望ましい。
【0026】
端面研削ブラシ15は図6、図7に示すように、端面研削モータ47の回転軸48の先端部に着脱自在に装着されると共に、その略中心側がバックボード2の端面に外側から対向するように側板24の開口部38内に配置され、上面研削ブラシ14によるバックボード2の研削後に、バックボード2の端面側に付着する粘着テープ4の細片等の付着物を除去するようになっている。
【0027】
端面研削ブラシ15は、合成樹脂製の円形状の支持体49と、ピアノ線等の複数本の鋼線材50からなり且つ支持体49の軸心方向の端面側の植設面の周縁部にリング状に植設された多数の線材束51とを備えている。各線材束51も各線材束41と同様に隣り合う線材束41相互間に所定の間隔をおいて配置されており、各線材束51の鋼線材50の先端がその長手方向と略直角に研磨されて略一定長さに揃えられている。なお、各線材束51は上面研削ブラシ14側と同様にして支持体49に植設されている。
【0028】
端面研削モータ47は回転軸48がバックボード2と平行な平面(水平面)内でバックボード2の送り方向に対して略直交するように側板24の外側に配置され、固定枠19、可動枠20に対して左右調整手段53を介して左右方向(バックボード2の端面に対して遠近方向)に位置調整可能に取り付けられている。左右調整手段53は端面研削モータ47、回転軸48等を支持する摺動部54と、固定枠19、可動枠20に設けられ且つ摺動部54を左右方向に案内する案内部55と、摺動部54を左右方向に移動させる調整つまみ56と、任意の位置で摺動部54を固定枠19、可動枠20に固定する固定具57とを備えている。
【0029】
端面研削ブラシ15の上手側及び下手側には、送りベルト25の外側でバックボード2の端部を上下両側から挟む上ローラ58と下ローラ59とが設けられている。上ローラ58はアーム60を介して側板24側のブラケット61に取り付けられ、図外のバネ等により下方に付勢されている。
【0030】
各側板24の内側には、送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等を覆うように上下一対の集塵フード16,17が設けられ、開口部38を覆う外側の集塵ダクト62等を介して図外の集塵機で粘着テープ4の細片等を集塵するようになっている。集塵フード16,17の開口端側は、送りコンベア13上のバックボード2の上下両面に夫々近接して配置されている。
【0031】
供給部11は左右一対の側板63と、この側板63間に配置された多数のローラ64とを含む供給コンベア65を備え、その供給コンベア65により、除去部10の基準案内板35側の側板63を案内用として、この側板63に端面を当接させた状態でバックボード2を除去部10へと1枚ずつ供給するようになっている。なお、ローラ64は、バックボード2を側板63側に押し付け勝手に送るように傾斜軸廻りに回転する。
【0032】
取り出し部12はバックボード2を取り出し方向に送る取り出しコンベア75と、取り出しコンベア75上のバックボード2を上側から叩いて振動させる振動手段66と、バックボード2の上下に付着する塵埃等を除去する上下一対の除去ブラシ67,68とを備えている。振動手段66は取り出しコンベア75上に配置された横軸69と、横軸69に左右方向に所定の間隔をおいて固定された支持板70と、各支持板70に略対称に設けられた叩きローラ71とを備え、その叩きローラ71でバックボード2を上側から叩くように構成されている。除去ブラシ67,68はナイロンブラシ等により構成されている。
【0033】
バックボード2の粘着テープ4の除去に際しては、先ず左右一対の側板24間の間隔をバックボード2の幅に合わせて調整する。この場合、送りネジ22を正逆方向に回転させれば、一方の送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等を支持する可動枠20が案内レール21に沿って左右方向に移動し、バックボード2の幅に合わせて左右の送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15等の間隔を任意に調整できる。またバックボード2の厚さ等に応じて上面研削ブラシ14の上下位置、端面研削ブラシ15の左右位置等を調整する。
【0034】
実際の除去作業では、供給部11の供給コンベア65により、一側の端面が側板24に当接した状態でバックボード2を1枚ずつ除去部10へと供給する。このときバックボード2は、図8(A)に示すように粘着テープ4が上面側となり、ドリル凹部2aが下面側となるように送る。そして、バックボード2が端面研削ブラシ15に到達すると、送りベルト25と第1押さえローラ26とでバックボード2を上下両側から挟み、その状態で送りベルト25により基準案内板35に沿って下手側へと送って行く。
【0035】
各上面研削ブラシ14は上面研削モータ36の駆動により回転軸37廻りにa矢示方向に回転しており、バックボード2がその下側を通過するときに、各線材束41の鋼線材40の先端により、粘着テープ4を含むバックボード2の端部側の上面を研削して、そこに付着していた粘着テープ4及びその粘着剤を除去する。
【0036】
この場合、上面研削ブラシ14はバックボード2の内側から外側へと高速回転しており、バックボード2の端縁から内側の所定の研削幅W(例えば15〜20mm程度の幅)で上面を研削するため、バックボード2の送り方向への移動に伴って研削幅Wで帯状に研削することになる。従って、図6、図8(A)に示すようにその研削幅W内に粘着テープ4があれば、その粘着テープ4をバックボード2の研削によって同時に削り落とすことができる。またバックボード2の送り速度よりも上面研削ブラシ14の回転速度が遥かに速いため、粘着テープ4をその下手側から順次細かくしながら削ることになる。
【0037】
更に上面研削ブラシ14は内側から外側へと回転するため、バックボード2の端部を損傷することなく研削できると共に、粘着テープ4の細片等を上面研削ブラシ14の回転によって外側へと飛ばすことができる。このため、粘着剤を含む粘着テープ4の細片がバックボード2の表面に付着し難くなる。また送りベルト25、支持レール31でバックボード2を下側から支持しているが、その送りベルト25よりも外側で上面研削ブラシ14がバックボード2を研削するため、バックボード2が適度に下側へと弾性変形することができ、バックボード2を研削し過ぎることがない。
【0038】
上面研削ブラシ14によりバックボード2の端部の上面側の粘着テープ4を削り落とした後、端面研削ブラシ15でバックボード2の端面を研削して粘着テープ4等を削り落とす。即ち、バックボード2の上面側の粘着テープ4を除去しても、端面には図8(B)に示すように粘着テープ4の一部が残っており、また粘着剤を含む粘着テープ4の細片がバックボード2から離れずにその端面側に付着することもある。そこで、端面研削ブラシ15によりバックボード2の端面を研削して、その端面側の粘着テープ4等を同様にして削り落とす。
【0039】
この場合、端面研削ブラシ15はバックボード2の端面に外側から対向しているので、両者の左右方向の重なり量を適宜設定しておけば、上下両端側の隅部を含む状態でバックボード2の端面側を研削できる。また端面研削ブラシ15によりバックボード2の端面を研削する場合には、バックボード2に上下方向の外力が掛かるが、端面研削ブラシ15の両側の上ローラ58と下ローラ59とでバックボード2を挟んで規制しているため、バックボード2の端面を確実に研削できる。
【0040】
上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15によるバックボード2の研削時に粉塵が発生するが、その粉塵は左右の集塵フード16,17、集塵ダクト62を介して集塵機側に回収する。除去部10で粘着テープ4を除去した後のバックボード2は、取り出しコンベア75を経て順次取り出して行く。このとき振動手段66で取り出しコンベア75上のバックボード2を叩いて振動させて、下面側のドリル凹部2aに入った粉塵等を除去する。そして、その後、上下の除去ブラシ67,68によりバックボード2の上下両面のゴミ、その他を除去する。
【0041】
このような送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15を備えた粘着テープ除去装置を使用することにより、バックボード2の粘着テープ4を比較的簡単な設備で容易且つ確実に除去でき、プリント基板1を後処理する上での問題等を解消できる。また研削ブラシは複数本の鋼線材40,50からなる線材束41,51を、隣り合う線材41,51束相互間に所定の間隔をおいて支持体39,49の植設面側に植設しているので、乾式研削法でバックボード2を研削して粘着テープ4を削り落とすにも拘わらず、その粘着テープ4の細片等が研削ブラシ側に詰まるようなこともなく、研削ブラシ14,15の研削性能を安定的に維持できる。
【0042】
図9は本発明の第2の実施例を例示する。この第2の実施例では、上面研削ブラシ14はバックボード2と並行な平面内でその送り方向と直角方向に回転軸37に取り付けられており、その回転軸37廻りに回転してバックボード2の端部の上面を研削する。上面研削ブラシ14は第1の実施例と同様に支持体39の外周面に線材束41を植設したものである。端面研削ブラシ15は第1の実施例と同様である。
【0043】
このように上面研削ブラシ14をバックボード2の送り方向に沿って回転させながら、その上面研削ブラシ14によりバックボード2の端部の上面を送り方向に沿って研削幅Wの帯状に研削しても良い。上面研削ブラシ14は、バックボード2を送り方向の下手側へとダウンカット方向にa矢示方向に研削するように回転させることが望ましい。
【0044】
図10は本発明の第3の実施例を例示する。この第3の実施例では、上面研削ブラシ14には、支持体39の下面側の植設面の周縁部分にリング状に線材束41を植設したものが使用されている。そして、上面研削ブラシ14はバックボード2の幅方向の外側で上下方向に配置された回転軸37の下端に取り付けられており、縦軸心廻りに回転しながらバックボード2の端部の上面を研削する。端面研削ブラシ15は第1の実施例と同様である。
【0045】
このように上面研削ブラシ14を縦軸心廻りに回転させながら、バックボード2の端部の上面を送り方向に沿って帯状に研削しても良い。上面研削ブラシ14は、バックボード2を送り方向の下手側へと研削するようにa矢示方向に回転させることが望ましい。
【0046】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明は各実施例に限定されるものではない。例えば研削ブラシ14,15の線材束41,51の配置は千鳥状である必要はなく、適度な間隔をおいて列状に設けても良い。送りコンベア13、上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15間の間隔を調整する場合、左右両側を可動式にしても良い。
【0047】
バックボード2の四辺に粘着テープ4がある場合には、左右両側に上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15を備えた除去装置を使用し、その一方の相対向する二辺の粘着テープ4を除去した後、他の相対向する二辺が上面研削ブラシ14、端面研削ブラシ15に対応するように、そのバックボード2の向きを90度変えて再度除去装置に通して、他の相対向する二辺の粘着テープ4を除去すれば良い。
【0048】
研削ブラシ14,15は鋼線材41,51を使用した金属製のものが一般的であるが、金属製の線材の他、ナイロン繊維等の合成樹脂製の線材を使用したものでも良い。またその太さも適宜選択すれば良い。更に研削ブラシ14,15は外周側で線材が略揃っておれば十分であり、同一長さの線材を使用して、外周側を均一に揃えておく必要もない。板材として、プリント基板1のスルーホールのドリル加工時に使用するバックボード2を例示しているが、バックボード2以外のものでも同様に実施可能である。また板材に対する粘着テープ4等の付着部位は端部以外の部分、例えば板材の中央部分等でも良い。更に研削により削り落とすので、付着物は研削可能なものであれば良く、粘着テープ4以外の付着物の除去にも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の拡大平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の拡大側面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の平面図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の平面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す粘着テープ除去過程の説明図である。
【図9】(A)は本発明の第2の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面図、(B)は平面図である。
【図10】(A)は本発明の第3の実施例を示す粘着テープ除去装置の正面図、(B)は側面図である。
【図11】プリント基板のスルーホール加工前の状態を示す斜視図である。
【図12】プリント基板のスルーホール加工前の状態を示す斜視図である。
【図13】バックボードの断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 プリント基板
2 バックボード(板材)
4 粘着テープ(付着物)
13 送りコンベア
14 上面研削ブラシ
15 端面研削ブラシ
19 固定枠
20 可動枠
39,49 支持体
40,50 鋼線材
41,51 線材束
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材(2)の粘着テープ等の付着物(4)を除去するに際して、軸心廻りに回転する研削ブラシ(14)(15)により、前記付着物(4)の付着部位を含む前記板材(2)の表面を研削して前記付着物(4)を削り落とすことを特徴とする付着物除去方法。
【請求項2】
前記板材(2)は積層された複数枚のプリント基板(1)にスルーホールをドリル加工する際に、前記プリント基板(1)の下側に敷いて粘着テープ(4)により固定して使用されるバックボード(2)であり、前記付着物(4)が前記粘着テープであることを特徴とする請求項1に記載の付着物除去方法。
【請求項3】
前記板材(2)を送りながら、前記板材(2)と略平行な平面内で該板材(2)の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ(14)により、前記板材(2)の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ(15)により前記板材(2)の端面を研削することを特徴とする請求項1又は2に記載の付着物除去方法。
【請求項4】
板材(2)の端縁の粘着テープ等の付着物(4)を除去する付着物除去装置であって、前記板材(2)を一方向に送る送りコンベア(13)と、該送りコンベア(13)により送られる前記板材(2)の前記端部側の上面を研削して前記付着物(4)を削り落とす上面研削ブラシ(14)と、前記送りコンベア(13)により送られる前記板材(2)の端面を研削して前記付着物(4)を削り落とす端面研削ブラシ(15)とを備えたことを特徴とする付着物除去装置。
【請求項5】
前記研削ブラシ(14)(15)は、複数本の鋼線材(40)(50)からなる線材束(41)(51)を、隣り合う線材束(41)(51)相互間に所定の間隔をおいて支持体(39)(49)の植設面側に植設し、前記各線材束(41)(51)の前記鋼線材(40)(50)の先端をその長手方向と略直角に研磨して略一定長さに揃えたことを特徴とする請求項4に記載の付着物除去装置。
【請求項6】
前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を左右に備え、一方の前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を固定枠(19)に取り付け、他方の前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を左右方向に移動可能な可動枠(20)に取り付けたことを特徴とする請求項4又は5に記載の付着物除去装置。
【請求項1】
板材(2)の粘着テープ等の付着物(4)を除去するに際して、軸心廻りに回転する研削ブラシ(14)(15)により、前記付着物(4)の付着部位を含む前記板材(2)の表面を研削して前記付着物(4)を削り落とすことを特徴とする付着物除去方法。
【請求項2】
前記板材(2)は積層された複数枚のプリント基板(1)にスルーホールをドリル加工する際に、前記プリント基板(1)の下側に敷いて粘着テープ(4)により固定して使用されるバックボード(2)であり、前記付着物(4)が前記粘着テープであることを特徴とする請求項1に記載の付着物除去方法。
【請求項3】
前記板材(2)を送りながら、前記板材(2)と略平行な平面内で該板材(2)の送り方向に対して傾斜する軸心廻りに回転する上面研削ブラシ(14)により、前記板材(2)の端部側の上面を内側から外側へと研削し、次いで端面研削ブラシ(15)により前記板材(2)の端面を研削することを特徴とする請求項1又は2に記載の付着物除去方法。
【請求項4】
板材(2)の端縁の粘着テープ等の付着物(4)を除去する付着物除去装置であって、前記板材(2)を一方向に送る送りコンベア(13)と、該送りコンベア(13)により送られる前記板材(2)の前記端部側の上面を研削して前記付着物(4)を削り落とす上面研削ブラシ(14)と、前記送りコンベア(13)により送られる前記板材(2)の端面を研削して前記付着物(4)を削り落とす端面研削ブラシ(15)とを備えたことを特徴とする付着物除去装置。
【請求項5】
前記研削ブラシ(14)(15)は、複数本の鋼線材(40)(50)からなる線材束(41)(51)を、隣り合う線材束(41)(51)相互間に所定の間隔をおいて支持体(39)(49)の植設面側に植設し、前記各線材束(41)(51)の前記鋼線材(40)(50)の先端をその長手方向と略直角に研磨して略一定長さに揃えたことを特徴とする請求項4に記載の付着物除去装置。
【請求項6】
前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を左右に備え、一方の前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を固定枠(19)に取り付け、他方の前記送りコンベア(13)、前記上面研削ブラシ(14)、前記端面研削ブラシ(15)を左右方向に移動可能な可動枠(20)に取り付けたことを特徴とする請求項4又は5に記載の付着物除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−43531(P2006−43531A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225438(P2004−225438)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(591135989)カワムラ精機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(591135989)カワムラ精機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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