説明

付着防止シート

【課題】埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを十分に抑制でき、耐光性にも優れる付着防止シートを提供すること。
【解決手段】本発明は、フィルムからなるフィルム層11と、該フィルム層11の表面に積層されたコート層12と、フィルム層11の裏面に形成された画像部13と、を備え、コート層12が、フッ素系樹脂と、シリコーン変性アクリル樹脂とが架橋された架橋体からなる付着防止シート10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埃やガムや粘着シートの付着を防止する付着防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
付着防止シートは、建築物の内装、道路や床に設置されるサイン等に用いられる。
このような付着防止シートは、道路や床に設置されるため、汚れやすいという欠点がある。また、付着防止シートは、恒常的に設置されるため、汚れが蓄積され易く、紫外線等による黄変も問題となっている。
【0003】
これに対し、撥水性を備えるシリコーン系を塗布する方法が検討されている。
例えば、シリコーンアクリル系樹脂からなる表面保護層が設けられた外装用化粧パネル(例えば、特許文献1参照)や、トップコート層にシリコーンオイルを含有させた化粧紙(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
【0004】
一方、基材フィルム上に、絵柄層を設け、該絵柄層上に密着性の良い合成樹脂層を介して、合成樹脂層とは異なる樹脂層すなわちシリコーン樹脂層またはフッ素樹脂層の合成樹脂を設けた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平05−222819号公報
【特許文献2】特開平10−58611号公報
【特許文献3】特開平11−58614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の化粧パネル、化粧紙及び化粧シートにおいて用いられるシリコーン系樹脂は、埃やガムや粘着シート等の付着を十分に抑制できない傾向にあり、また、耐光性も十分に優れるとはいえない。
中でも、上記特許文献3記載の化粧シートにおいて用いられるフッ素樹脂層は、一応、埃やガムや粘着シート等の付着を防止し、耐光性にも優れるものの、脂汚れに弱いという欠点がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを十分に抑制でき、耐光性にも優れる付着防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、シリコーン樹脂とフッ素系樹脂とを混合して付着防止シートに用いればよいのではないかと考えた。また、シリコーン系樹脂とフッ素系樹脂とを混合したところ、両者は相溶性に劣り、均一に混合できないことがわかった。そして、本発明者らは鋭意検討を繰り返し、シリコーン系樹脂をシリコーン変性アクリル樹脂とし、フッ素系樹脂と架橋させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)フィルムからなるフィルム層と、該フィルム層の表面に積層されたコート層と、フィルム層の裏面に形成された画像部と、を備え、コート層が、フッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とが架橋された架橋体からなる付着防止シートに存する。
【0009】
本発明は、(2)フッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とが共に水酸基を有しており、架橋体が、フッ素系樹脂の水酸基とシリコーン変性アクリル樹脂の水酸基とがイソシアネート架橋剤を介して架橋されたものである上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0010】
本発明は、(3)フィルム層の裏面に、画像部を介して接着層が積層されている上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0011】
本発明は、(4)フッ素系樹脂が、フルオロオレフィン及び水酸基含有ビニル単量体を共重合させたものである上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0012】
本発明は、(5)シリコーン変性アクリル樹脂が、シラン化合物及び水酸基含有アクリル系モノマーを共重合させたものである上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0013】
本発明は、(6)コート層が、フィラーを更に含む上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0014】
本発明は、(7)フィルム層の裏面に画像部を介してバックコート層が積層されており、該バックコート層の裏面に接着層が積層されており、バックコート層が、合成樹脂と白色顔料とを含む上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0015】
本発明は、(8)フィルム層の裏面に画像部を介して粘着層が積層されており、該粘着層の裏面に金属箔からなる金属箔層が積層されており、該金属箔層の裏面に接着層が積層されている上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0016】
本発明は、(9)バックコート層の裏面に粘着層が積層されており、該粘着層の裏面に金属箔からなる金属箔層が積層されており、該金属箔層の裏面に接着層が積層されている上記(7)記載の付着防止シートに存する。
【0017】
本発明は、(10)コート層の表面にエンボス加工が施されている上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0018】
本発明は、(11)コート層が、フィルム層にフッ素系樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂及び有機溶剤を含む塗料組成物と、イソシアネート架橋剤とを付与し、架橋させることにより、形成されたものである上記(1)記載の付着防止シートに存する。
【0019】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜(11)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の付着防止シートにおいては、コート層を表面とし、画像部をフィルム層の裏面に形成することで、画像部の破損を確実に抑制できる。
また、上記コート層はシリコーン変性アクリル樹脂とフッ素系樹脂とが架橋された架橋体からなるので、埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを十分に抑制でき、耐光性にも優れる。
なお、上記コート層においては、シリコーン系樹脂としてシリコーン変性アクリル樹脂を用いることで、フッ素系樹脂と均一に混合可能となり、且つコート層の耐久性が向上する。
【0021】
上記付着防止シートにおいては、フッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とが共に水酸基を有しており、架橋体が、フッ素系樹脂の水酸基とシリコーン変性アクリル樹脂の水酸基とがイソシアネート架橋剤を介して架橋されたものであると、コート層の強度が向上すると共に柔軟性を有するようになる。
【0022】
上記付着防止シートにおいては、フィルム層の裏面に、画像部を介して接着層が積層されていると、接着層を介して容易に床等の地面や壁等に設置できる。
【0023】
上記付着防止シートにおいては、フッ素系樹脂が、フルオロオレフィン及び水酸基含有ビニル単量体を共重合させたものであると、上述した効果を奏するフッ素系樹脂が容易に得られる。
【0024】
上記付着防止シートにおいては、シリコーン変性アクリル樹脂が、シラン化合物及び水酸基含有アクリル系モノマーを共重合させたものであると、上述した効果を奏するシリコーン変性アクリル樹脂が容易に得られる。
【0025】
上記付着防止シートにおいては、コート層が、フィラーを更に含むと、表面のつやを消すことができる。
したがって、この場合、光の反射等により、画像が見難くなることが抑制される。
【0026】
上記付着防止シートにおいては、フィルム層の裏面に画像部を介してバックコート層が積層されており、該バックコート層の裏面に接着層が積層されており、バックコート層が、合成樹脂と白色顔料とを含むと、画像部が浮き出たような印象を与え、画像部がより見え易くなる。
【0027】
上記付着防止シートにおいては、フィルム層の裏面に画像部を介して、又は、バックコート層の裏面に、粘着層が積層されており、該粘着層の裏面に金属箔からなる金属箔層が積層されており、該金属箔層の裏面に接着層が積層されていると、フィルム層及びコート層が金属箔層に追従するようになる。
すなわち、例えば、凹凸した場所に上記付着防止シートを設置する場合、フィルムには弾性があるため、凹凸面に沿って設置させることが困難であるが、金属箔層を備えていると、金属箔層は曲がった形でも固定されるため、凹凸面に沿って設置することができ、かつ金属箔層にフィルム層及びコート層を追従させることができる。
【0028】
上記付着防止シートにおいては、コート層の表面にエンボス加工が施されていると、床等の地面等に設置した場合、表面が滑りにくくなるという利点を有する。
【0029】
上記付着防止シートにおいては、コート層が、フィルム層にシリコーン変性アクリル樹脂とフッ素系樹脂と有機溶剤とを含む塗料組成物を付与し、乾燥させることにより、形成されたものであると、気泡が入るのが抑制され、フィルム表面に均一に塗布できるので、より十分に埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。更にまた、本明細書における「(メタ)アクリル」とは、それに対応する「アクリル」及び「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、それに対応する「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味する。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、本発明の付着防止シートの第1実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る付着防止シート10は、フィルムからなるフィルム層11と、該フィルム層11の表面に積層されたコート層12と、フィルム層11の裏面に形成された画像部13と、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して積層された接着層14と、該接着層14の裏面に積層された離型紙層15と、を備える。
すなわち、本実施形態に係る付着防止シート10は、コート層12、フィルム層11、接着層14及び離型紙層15がこの順序で積層された構造を有しており、フィルム層11と接着層14との間に画像部13が設けられている。
【0032】
本実施形態に係る付着防止シート10においては、フィルム層11の表面にコート層12を設け、フィルム層11の裏面に画像部13を形成するので、画像部13の破損を確実に抑制できる。
また、上記付着防止シート10においては、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して接着層14が積層されているので、接着層14を介して容易に床等の地面や壁等に設置できる。
【0033】
以下、フィルム層11、コート層12、画像部13、接着層14及び離型紙層15について更に詳細に説明する。
【0034】
(フィルム層)
フィルム層11は、フィルムからなる層である。
【0035】
かかるフィルムの材料としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチロール、ポリウレタン、アクリル又はポリカーボネート等の合成樹脂や、鉄、銅、アルミニウム等の金属等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
また、複数のフィルムを成形した後、それらを積層させたものを用いてもよい。
【0036】
これらの中でも、安価であり、取扱い性に優れることから、合成樹脂フィルムであることが好ましく、柔軟性の観点から、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート又はポリエステルであることがより好ましく、ポリウレタンであることが更に好ましい。
【0037】
なお、フィルム層11には、合成樹脂、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、分散剤、湿潤剤、潤滑剤、防腐剤、pH調整剤、難燃剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0038】
上記フィルム層11の厚みは、0.02〜5mmであることが好ましい。
厚みが0.02mm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、耐久性が劣る傾向にあり、厚みが5mmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、重量が大きくなるため取扱い性に劣る傾向にある。
【0039】
上記フィルム層11を構成するフィルムは、ブラスト処理やコロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。
この場合、フィルムの表面が凹凸となるので、コート層12等との接着性が優れるものとなる。
【0040】
(コート層)
コート層12は、上述したフィルム層11の表面に積層された層である。
本実施形態に係る付着防止シートにおいて、このコート層12には、シリコーン変性アクリル樹脂とフッ素系樹脂とが架橋された架橋体からなる。
【0041】
まず、フッ素系樹脂について説明する。
フッ素系樹脂は、公知のフッ素系樹脂を用いることができる。その中でも、水酸基を有するフッ素系樹脂であることが好ましい。
この場合、後述する水酸基を有するシリコーン変性アクリル樹脂と容易に架橋させることが可能となる。
【0042】
水酸基を有するフッ素系樹脂としては、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(THV)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、パーフロ環状重合体等に水酸基を付加させたものが挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0043】
また、水酸基を有するフッ素系樹脂は、フルオロオレフィンと水酸基含有ビニル単量体との共重合によっても得られる。なお、フルオロオレフィンと水酸基含有ビニル単量体との重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等、特に限定されない。
【0044】
上記フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0045】
一方、水酸基含有ビニル単量体としては、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシカルボン酸ビニルエステル、ヒドロキシカルボン酸アリルエステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0046】
ヒドロキシアルキルビニルエーテルとしては、炭素数4〜10のヒドロキシアルキルビニルエーテルが挙げられ、具体的には、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、2−(4−ヒドロキシシクロヘキシルエチル)ビニルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0047】
ヒドロキシアルキルアリルエーテルとしては、炭素数5〜11のヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられ、具体的には、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、ヒドロキシイソブチルアリルエーテル、ヒドロキシヘキシルアリルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルアリルエーテル、2−(4−ヒドロキシシクロヘキシルエチル)アリルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピルアリルエーテル等が挙げられる。
【0048】
ヒドロキシカルボン酸ビニルエステルとしては、炭素数4〜10のヒドロキシカルボン酸ビニルエステルが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロパン酸ビニル、ヒドロキシブタン酸ビニル、ヒドロキシヘキサン酸ビニル、4−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸ビニル等が挙げられる。
【0049】
ヒドロキシカルボン酸アリルエステルとしては、炭素数5〜11のヒドロキシカルボン酸アリルエステルが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ酢酸アリル、ヒドロキシプロパン酸アリル、ヒドロキシブタン酸アリル、ヒドロキシヘキサン酸アリル、4−ヒドロキシシキロヘキシル酢酸アリル等が挙げられる。
【0050】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数5〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、炭素数5〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、具体的には、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0052】
また、フルオロオレフィンと、水酸基含有ビニル単量体との共重合の際には、他の単量体を混合して、共重合させてもよい。
【0053】
他の単量体としては、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、カルボン酸アリルエステル、α−オレフィン、アルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0054】
アルキルビニルエーテルとしては、炭素数4〜10のアルキルビニルエーテルが挙げられ、具体的には、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0055】
アルキルアリルエーテルとしては、炭素数5〜11のアルキルアリルエーテルが挙げられ、具体的には、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、シクロヘキシルエチルアリルエーテル、2−エチルヘキシルアリルエーテル等が挙げられる。
【0056】
カルボン酸ビニルエステルとしては、炭素数4〜10のカルボン酸ビニルエステルが挙げられ、具体的には、酢酸ビニル、プロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、シクロヘキシル酢酸ビニル等が挙げられる。
【0057】
カルボン酸アリルエステルとしては、炭素数5〜11のカルボン酸アリルエステルが挙げられ、具体的には、酢酸アリル、プロパン酸アリル、ブタン酸アリル、ヘキサン酸アリル、シクロヘキシル酢酸アリル等が挙げられる。
【0058】
α−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−ヘキセン、スチレン等が挙げられる。
【0059】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数5〜8のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】
N−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、炭素数5〜8のアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、具体的には、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0061】
上記フルオロオレフィンの配合割合は、フッ素系樹脂全体に対して、40〜80モル%となるように調整することが好ましく、45〜70モル%となるように調整することがより好ましい。
一方、水酸基含有ビニル単量体の配合割合は、フッ素系樹脂全体に対して、20〜60モル%となるように調整することが好ましく、30〜55モル%となるように調整することがより好ましい。なお、他の単量体を含む場合、他の単量体の配合割合は、フッ素系樹脂全体に対して、30〜70モル%となるように調整することが好ましく、40〜60モル%となるように調整することがより好ましい。
【0062】
フッ素系樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、50〜120が好ましい。
この場合、埃の付着に対する防汚性がより向上する。なお、上記水酸基価は、JIS K0070−1992に準拠して、キシレンを溶媒として測定した値である。
【0063】
フッ素系樹脂は、分子量が5000〜15000であることが好ましい。
この場合、フッ素系樹脂を有機溶剤に溶かすことが可能となるので、フッ素系樹脂をフィルム層11に均一に付与できる。
【0064】
次に、シリコーン変性アクリル樹脂について説明する。
シリコーン変性アクリル樹脂は、アクリル系モノマーとシラン化合物とを公知の方法で重合して得られるものである。なお、アクリル系モノマーとシラン化合物との重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等、特に限定されない。
【0065】
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルオキシエチルモノサクシネート又はアクリロイルモルフォリン等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0066】
これらの中でも、アクリル系モノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
この場合、水酸基を含有するシリコーン変性アクリル樹脂を製造できる。
【0067】
上記シラン化合物は、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
この場合、撥水性及び脂汚れに対する防汚性が特に向上する。
【0068】
なお、上記シリコーン変性アクリル樹脂においても、上述した他の単量体を混合させて、共重合してもよい。かかる他の単量体は、上述したフッ素系樹脂における他の単量体と同義である。
【0069】
シリコーン変性アクリル樹脂が水酸基を有する場合の水酸基価(mgKOH/g)は、60〜240が好ましく、100〜180がより好ましい。
この場合、コート層12の強度がより向上する。なお、上記水酸基価は、JIS K0070−1992に準拠して、キシレンを溶媒として測定した値である。
【0070】
シリコーン変性アクリル樹脂は、分子量が5000〜20000であることが好ましい。
この場合、シリコーン変性アクリル樹脂を有機溶剤に溶かすことが可能となるので、シリコーン変性アクリル樹脂をフィルム層11に均一に付与できる。
【0071】
次に、架橋体について説明する。
架橋体は、上述したフッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とを架橋させることにより得られる。
【0072】
架橋させる方法としては、架橋剤を添加する方法が挙げられる。
かかる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、多塩基酸系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。
【0073】
イソシアネート系架橋剤としては、多価イソシアネートが含まれ、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び、これらのイソシアヌレート変性体、ウレトジオン変性体、ビウレット変性体等が挙げられる。
【0074】
メラミン系架橋剤としては、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミン、アルキルエーテル化メラミン等が挙げられる。
【0075】
尿素樹脂系架橋剤としては、メチル化尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂等が挙げられる。
【0076】
多塩基酸系架橋剤としては、ヘキサンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
【0077】
エポキシ系架橋剤としては、ジシクロペンタジエンジオキシド等が挙げられる。
【0078】
これらの中でも、架橋剤がイソシアネート系架橋剤であり、フッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とが互いの水酸基の部分でイソシアネート系架橋剤と結合し、ウレタン結合を形成するものであることが好ましい。
この場合、ウレタン結合を形成するので、コート層12の強度が向上すると共に柔軟性を有するようになる。
【0079】
架橋剤の添加量は、フッ素系樹脂100質量部に対して、20〜50質量部であることが好ましく、40〜50質量部であることがより好ましい。
この場合、コート層12が強固になると共に、埃の付着に対する防汚性が向上する。
【0080】
また、フッ素系樹脂及びシリコーン変性アクリル樹脂と、架橋剤との架橋反応の際には、反応触媒を加えてもよい。
かかる反応触媒としては、イソシアネート系架橋剤用であるジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン等、メラミン系架橋剤又は尿素樹脂系架橋剤用である酸性触媒等が挙げられる。
【0081】
これらの反応触媒の配合割合は、反応速度調整の観点から、架橋剤50質量部に対して、0.0001〜5質量部であることが好ましい。
【0082】
架橋体が、帯電防止剤を含んでいることが好ましい。
この場合、埃の付着に対する防汚性が一層向上する。
かかる帯電防止剤は、公知のものが使用でき、商品名としては、例えば、Baytron S V2(H.C.STACK社製)、ORMECON NW−D102MT(日産化学工業社製)、ノプコスタットHS(サンノプコ社製)、サンコノール0862−20R(三光化学工業社製)、サンコノールN−0220R(三光化学工業社製)、サンコノールPEO−20R(三光化学工業社製)、SE ECON−801(エネックス社製)、CIL−312(日本カーリット社製)等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0083】
上記架橋体には、帯電防止剤以外にも、合成樹脂、紫外線吸収剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、分散剤、湿潤剤、潤滑剤、防腐剤、pH調整剤、難燃剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0084】
上記コート層12の厚みは、5〜1000μmであることが好ましい。
厚みが5μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、耐久性が劣る傾向にあり、厚みが1000μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、ひび割れが発生する場合がある。
【0085】
また、上記厚みは、20〜1000μmであることがより好ましい。
この場合、難燃性が向上し、塩素ガス等の有害ガスの発生も防止できる。
【0086】
本実施形態に係る付着防止シート10においては、コート層12がシリコーン変性アクリル樹脂と、フッ素系樹脂とが架橋された架橋体からなるので、埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを十分に抑制でき、耐光性にも優れるものとなる。
【0087】
また、上記コート層12においては、シリコーン系樹脂としてシリコーン変性アクリル樹脂を用いることで、フッ素系樹脂と均一に混合可能となり、且つコート層の耐久性が向上する。
【0088】
(画像部)
画像部13は、フィルム層11の裏面、すなわち、フィルム層11のコート層12とは反対側の面に形成されており、フィルム層11と、後述する接着層14との間に挟まれた状態となっている。
このように、本実施形態に係る付着防止シート10は、紫外線がコート層12及びフィルム層11により遮断されるので、耐光性に優れるものとなる。
【0089】
上記付着防止シート10において、画像部13には、地図、模様、標識等の図柄や文字等の画像が形成される。
かかる画像は、公知の染料や顔料により描かれる。
【0090】
上記染料としては、天然染料、合成染料、蛍光染料等が挙げられる。
上記顔料としては、天然鉱物顔料、合成無機顔料、セラミック顔料等の無機顔料、不溶性色素、アゾ系顔料、多環式系顔料、レーキ顔料等の有機顔料が挙げられる。
なお、この染料又は顔料は、水性であっても油性であってもよい。
これらの中でも、耐光性に優れることから、無機顔料を用いることが好ましい。
【0091】
上記画像部13は、染料又は顔料の他、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0092】
画像部13は、紫外線吸収剤以外にも、合成樹脂、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、分散剤、湿潤剤、潤滑剤、防腐剤、pH調整剤、難燃剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0093】
(接着層)
接着層14は、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して積層された層である。
該接着剤により、フィルム層11が床、壁等の設置箇所に固定されることになる。
【0094】
接着層14には、例えば、天然ゴム、SBR、再生ゴム、ポリイソブチレン、ブロックゴム系等のゴム系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、(塩化)ビニル系接着剤等の材料が用いられる。なお、これらは、一液タイプであっても、二液タイプであってもよい。
【0095】
これらの中でも、接着性の観点から、上述したフィルム11と同質の材料を用いることが好ましい。
例えば、上記フィルム11がポリウレタンフィルムであれば、ポリウレタン系接着剤を用いることが好ましい。なお、接着層14として、両面テープを用いてもよい。
【0096】
(離型紙層)
離型紙層15は、上述した接着層14のフィルム層11とは反対側の面に積層された層である。
【0097】
かかる離型紙層15は、公知の離型紙からなる。
また、本実施形態に係る付着防止シートは、離型紙層15を剥がし、接着層14を被付着物に貼り合せることにより設置される。
よって、上記離型紙層15は、接着層14から剥がし易いものであることが好ましい。
【0098】
上記付着防止シート10は、建築物の内装等に用いられる化粧シート、道路や床に設置されるサイン板等に好適に用いられる。
【0099】
次に、本実施形態に係る付着防止シート10の製造方法について説明する。
まず、フィルムを準備する。
そして、そのフィルムの表面に、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素系樹脂及び有機溶剤を含む塗料組成物と、架橋剤とを付与し、乾燥させる。
こうして、フィルム層11の上面に架橋体(コート層12)が形成される。
【0100】
ここで、有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アミド類、スルホン酸エステル類、アセテート類等が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0101】
脂肪族炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0102】
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0103】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)、CFCHOH、F(CFCHOH、(CFCHOH、F(CFCHOH、F(CFOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコール等が挙げられる。
【0104】
エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、炭酸ジエチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、乳酸エチル等が挙げられる。
【0105】
エーテル類としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、クラウンエーテル、ベンジルエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0106】
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0107】
アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0108】
スルホン酸エステル類としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0109】
アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
【0110】
これらの中でも、芳香族炭化水素を用いることが好ましい。
特に、トルエン、キシレン等の沸点が120〜210℃の芳香族炭化水素であることがより好ましい。
この場合、フッ素系樹脂を容易に溶解できるので、後述するスプレー等の方式で容易に基体に付与できる。
【0111】
上記塗料組成物の配合割合は、フッ素系樹脂100質量部に対して、シリコーン変性アクリル樹脂が1〜30質量部、有機溶剤が100〜300質量部含まれていることが好ましい。
更に好ましくは、フッ素系樹脂100質量部に対して、シリコーン変性アクリル樹脂が10〜15質量部、有機溶剤が150〜250質量部含まれていることである。
【0112】
この場合、フッ素系樹脂及びシリコーン変性アクリル樹脂が有機溶剤に均一に溶け易くなる。
したがって、塗料組成物をフィルム層11に付与しやすくなると共に、フィルム層11に付与しコート層12を形成した場合の接着性を向上させることができる。
【0113】
上記塗料組成物の粘度は、50〜150cpsであることが好ましい。
この場合、取扱いが容易であり、形成される膜も容易に均一になる。
【0114】
塗料組成物をフィルムに付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。
【0115】
次に、フィルム層11の裏面に画像部13を設ける。
画像部13を設ける方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。
【0116】
次に、フィルム層11の裏面に画像部13を介して接着層14を付与する。
接着層14をフィルムに付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。なお、接着層14として両面テープを用いてもよい。
【0117】
そして、接着層14の裏面に離型紙15を貼り合せることにより、本実施形態に係る付着防止シート10が得られる。
【0118】
かかる付着防止シート10においては、コート層12が、フィルム層11にシリコーン変性アクリル樹脂、フッ素系樹脂及び有機溶剤を含む塗料組成物と、架橋剤とを付与し、乾燥させることにより、形成されるので、コート層12に気泡が入るのが抑制され、かつフィルム表面に均一に塗布できる。
よって、上記方法により得られる付着防止シート10は十分に埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを抑制できる。
【0119】
[第2実施形態]
図2は、本発明の付着防止シートの第2実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る付着防止シート20は、フィルムからなるフィルム層11と、該フィルム層11の表面に積層されたコート層12と、フィルム層11の裏面に形成された画像部13と、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して積層されたバックコート層26と、該バックコート層26の裏面に積層された接着層14と、該接着層14の裏面に積層された離型紙層15と、を備える。
すなわち、本実施形態に係る付着防止シート20は、コート層12、フィルム層11、バックコート層26、接着層14及び離型紙層15がこの順序で積層された構造を有しており、フィルム層11とバックコート層26との間に画像部13が設けられている。
【0120】
本実施形態に係る付着防止シート20においては、フィルム層11及び画像部13と、接着層14との間に、バックコート層26を有する点で、第1実施形態に係る付着防止シート10とは異なる。
【0121】
以下、バックコート層26について更に詳細に説明する。
(バックコート層)
バックコート層26は、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して積層される層である。
すなわち、バックコート層26は、フィルム層11及び画像部13と、接着層14との間に設けられている。
【0122】
かかるバックコート層26には、合成樹脂と白色顔料とが含まれる。
上記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチロール、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、アクリル又はポリカーボネート等が挙げられる。
【0123】
上記白色顔料としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等を原料とした白色顔料が好適に用いられる。
【0124】
上記付着防止シート20においては、バックコート層26が、合成樹脂と白色顔料とを含むと、画像部13が浮き出たような印象を与え、画像部13がより見え易くなるという利点がある。
【0125】
本実施形態に係る付着防止シート20の製造方法は、バックコート層26を設けること以外は、第1実施形態に係る付着防止シートと同様に製造することができる。
【0126】
なお、バックコート層26は、フィルム層11の裏面に画像部13を介して合成樹脂と白色顔料とを含む混合物を付与する。
混合物をフィルムに付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。
【0127】
[第3実施形態]
図3は、本発明の付着防止シートの第3実施形態を示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る付着防止シート30は、コート層32がフィラー31を含む点で、第2実施形態に係る付着防止シート20とは異なる。
【0128】
以下、コート層32について更に詳細に説明する。
(コート層)
コート層32は、フィラー31を含むこと以外は、第1実施形態に係る付着防止シートのコート層12と同じである。
【0129】
上記付着防止シート30においては、コート層32が、フィラー31を含むので、表面のつやを消すことができる。
したがって、この場合、光の反射等により、画像が見難くなることが抑制される。
【0130】
かかるフィラー31としては、シリカ系粉末、フッ素、アクリル、ウレタン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン等のプラスチック粉末、ガラス粉末、グラファイト粉末等が挙げられる。
これらの中でも、フッ素系粉末又はガラス系粉末を用いることが好ましい。
【0131】
フィラー31の粒子径は、30〜80μmであることが好ましい。
また、フィラー31の表面が露出していることが好ましい。
これらの場合、埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れをより十分に抑制でき、つや消し効果も発揮できる。
【0132】
フィラー31の混合割合は、コート層32の全固形分に対し、2〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることが更に好ましい。
フィラー31の混合割合が2質量%未満であると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、つや消し効果が十分に得られない傾向にあり、混合割合が30質量%を超えると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、表面が白っぽくなり、画像を認識しにくくなる傾向にある。
【0133】
なお、本実施形態に係る付着防止シート30の製造方法は、第1実施形態に係る付着防止シート10の製造方法における塗料組成物にフィラー31を分散させればよい。
すなわち、フィルムの表面に、フッ素系樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フィラー31及び有機溶剤を含む塗料組成物と、架橋剤とを付与し、乾燥させればよい。
【0134】
[第4実施形態]
図4は、本発明の付着防止シートの第4実施形態を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る付着防止シート40は、コート層42の表面が凹凸(エンボス)となっている点で、第2実施形態に係る付着防止シート20とは異なる。
【0135】
以下、コート層42について更に詳細に説明する。
(コート層)
コート層42は、表面にエンボス加工が施されていること以外は、第1実施形態に係る付着防止シートのコート層12と同じである。
【0136】
上記付着防止シート40においては、コート層32の表面にエンボス加工が施されているので、床等の地面等に設置した場合、表面が滑りにくくなるという利点を有する。
【0137】
上記エンボスは、一般のエンボスのみならず、マイクロエンボスであってもよく、花柄があしらわれていてもよい。
【0138】
本実施形態に係る付着防止シート40の製造方法は、フィルムの表面にコート層を形成した後、エンボス加工を施せばよい。
エンボス加工は、フィルム層11及びコート層をゴムのロールと凸凹の加工をした金属のロールとの間に通して、型押しすることにより得られる。
【0139】
[第5実施形態]
図5は、本発明の付着防止シートの第5実施形態を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る付着防止シート50は、フィルムからなるフィルム層11と、該フィルム層11の表面に積層されたコート層52と、フィルム層11の裏面に形成された画像部13と、フィルム層11の裏面に、画像部13を介して積層されたバックコート層26と、該バックコート層26の裏面に積層された粘着層53と、該粘着層53の裏面に積層された金属箔からなる金属箔層54と、該金属箔層54の裏面に積層された接着層14と、該接着層14の裏面に積層された離型紙層15と、を備える。
すなわち、本実施形態に係る付着防止シート50は、コート層52、フィルム層11、バックコート層26、粘着層53、金属箔層54、接着層14及び離型紙層15がこの順序で積層された構造を有しており、フィルム層11とバックコート層26との間に画像部13が設けられている。
【0140】
本実施形態に係る付着防止シート50においては、コート層52がフィラー51を含む点、及び、バックコート層26と接着層14との間に、粘着層53と金属箔層54とを備える点で、第4実施形態に係る付着防止シート40とは異なる。なお、上記フィラー51は、第3実施形態に係る付着防止シート30におけるフィラー51と同義である。
【0141】
上記付着防止シート50においては、粘着層53及び金属箔層54を備えるので、フィルム層11及びコート層52が金属箔層54に追従するようになる。
すなわち、例えば、凹凸した場所に上記付着防止シート50を設置する場合、フィルムには弾性があるため、凹凸面に沿って設置させることが困難であるが、金属箔層54を備えていると、金属箔層54は曲がった形でも固定されるため、凹凸面に沿って設置することができ、かつ金属箔層54にフィルム層11及びコート層52を追従させることができる。
【0142】
以下、粘着層53及び金属箔層54について更に詳細に説明する。
(粘着層)
粘着層53は、バックコート層26の裏面に、画像部13を介して積層される。
該粘着層53により、バックコート層26及び画像部13と後述する金属箔とが固着されることになる。
【0143】
粘着層53には、例えば、天然ゴム、SBR、再生ゴム、ポリイソブチレン、ブロックゴム系等のゴム系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、(塩化)ビニル系粘着剤等の材料が用いられる。なお、これらは、一液タイプであっても、二液タイプであってもよい。
また、粘着層53として両面テープを用いてもよい。
さらに、かかる粘着剤は、上述した接着剤と同一であってもよい。
【0144】
(金属箔層)
金属箔層54は、金属箔からなる層であり、上記粘着層53と接着層14との間に設けられる。
【0145】
上記金属箔としては、銀箔、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。
これらの中でも、軽量であり、汎用性に優れるアルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0146】
かかる金属箔の厚みは、0.1〜1.0mmであることが好ましい。
厚みが0.1mm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、十分な形態維持性が得られない傾向にあり、厚みが1.0mmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、折り曲げることが困難となる傾向にある。
【0147】
次に、本実施形態に係る付着防止シート50の製造方法について説明する。
まず、フィルムを準備する。
そして、そのフィルムの表面に、フッ素系樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フィラー51及び有機溶剤を含む塗料組成物と、架橋剤とを付与し、乾燥させる。
こうして、フィルム層11の上面にコート層52が形成される。
【0148】
ここで、上記有機溶剤としては、第1実施形態に係る付着防止シート50の製造方法で用いた有機溶剤と同義である。
【0149】
塗料組成物をフィルムに付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。
【0150】
次に、フィルム層11の裏面に画像部13を設ける。
画像部13は、第1実施形態に係る付着防止シート10の製造方法における画像部13と同様な方法で設けられる。
【0151】
次に、フィルム層11の裏面に画像部13を介してバックコート層26を設ける。
バックコート層26は、第2実施形態に係る付着防止シート20の製造方法におけるバックコート26と同様な方法で設けられる。
【0152】
次に、フィルム層11の裏面に画像部13を介して粘着層53を付与する。
粘着層53をフィルムに付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、転写、ロールコーティング法、スプレー法等が挙げられる。
なお、粘着層53として両面テープを用いてもよい。
【0153】
次に、粘着層53の裏面に金属箔層54を設ける。
金属箔層54は、粘着層53の裏面に金属箔を貼り合わせることにより形成される。
【0154】
次に、金属箔層54の裏面に接着層14を設ける。
接着層14は、第1実施形態に係る付着防止シート10の製造方法における接着層14と同様な方法で設けられる。
【0155】
次に、接着層14の裏面に離型紙15を貼り合せ、コート層52の表面に第4実施形態に係る付着防止シート40の製造方法におけるコート層42と同様な方法でエンボス加工を施すことにより、本実施形態に係る付着防止シート50が得られる。
【0156】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0157】
例えば、本発明の付着防止シートは、コート層12とフィルム層11と画像部13とを備えていれば、接着層14、離型紙層15は必ずしも備える必要がない。
この場合、上記付着防止シートの使用時に、適宜市販の接着剤等で貼り合わせたり、表面からガラス板等で押さえる等して固定すればよい。
【0158】
第1〜第5実施形態に係る付着防止シート10,20,30,40,50において、画像部13はフィルム層11の裏面全体に層状に形成されていてもよい。
また、第2〜第5実施形態に係る付着防止シート20,30,40,50においては、バックコート層26に白色顔料が含まれているが、他の色であってもよい。
【実施例】
【0159】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0160】
(実施例1)
[フィルム層]
厚みが1mmのポリウレタンフィルムを準備し、このポリウレタンフィルムの表面にショットブラスト装置を用いてアルミナショットブラスト加工を行った。
【0161】
[コート層]
次いで、フッ素系樹脂(商品名;ルミフロンLF200、旭硝子株式会社製、水酸基価52mgKOH/g、40%キシレン溶液)100質量部(固形分の量)と、シリコーン変性アクリル樹脂(商品名;BYK−SILCLEAN3700、ビックケミー・ジャパン株式会社製)13質量部(固形分の量)と、有機溶剤(キシレン)150質量部と、を混合し、塗料組成物を得た。
そして、これにイソシアネート系架橋剤(商品名;コロネートHX、日本ポリウレタン工業株式会社製)を46質量部添加して、上記ポリウレタンフィルムの表面に、スプレー塗装法で塗料組成物を塗布し、硬化させることにより、コート層を形成した。なお、かかるコート層の厚みは、500μmであった。
こうしてサンプルAを得た。
【0162】
(実施例2)
塗料組成物に帯電防止剤(商品名;CIL−312、日本カーリット社製、N−ブチル−3−メチルピリジニウムとビストリフルオロメタンスルホニルイミドとの混合物)を5質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルBを得た。なお、市販の帯電防止剤のなかでも、CIL−312は、塗料組成物と均一に混合することができ、埃付着防止効果も最も優れるものであった。
【0163】
(実施例3)
フッ素系樹脂としてルミフロンLF200の代わりにルミフロンLF906N(旭硝子株式会社製、水酸基価118mgKOH/g、35%キシレン溶液)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルCを得た。
【0164】
(比較例1)
イソシアネート系架橋剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルDを得た。
【0165】
(比較例2)
シリコーン変性アクリル樹脂を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてサンプルEを得た。
【0166】
[評価方法]
1.筆記ハジキ性
実施例1〜3及び比較例1,2で得られたサンプルA〜Eそれぞれの表面に、油性ペン(商品名;油性マジックインキ、寺西化学工業社製)又は水性ペン(商品名;ホワイトボードマーカー、ペンテル社製)を用いて、直線を引いた。
そして、直線のハジキ具合を目視で観察した。
筆記ハジキ性は、下記基準で評価した。すなわち、ハジキが完全にあるものを◎とし、ハジキが全くないものを×とし、その中間を○、△とした。なお、◎及び○が実用可能な範囲である。
得られた結果を表1に示す。
【0167】
2.布除去性
実施例1〜3及び比較例1,2で得られたサンプルA〜Eそれぞれの表面に、油性ペン又は水性ペンを用いて、直線を引いた。
そして、それを不織布(商品名;キムテックス、株式会社クレシア製)で拭き取る操作を10回繰り返し、付着防止体の表面の油性ペン又は水性ペンの残存具合を目視で観察した。
布除去性は、下記基準で評価した。すなわち、油性ペン又は水性ペンの残存が全くないものを◎とし、残存するものを×とし、その中間を○、△とした。なお、◎及び○が実用可能な範囲である。
得られた結果を表1に示す。
【0168】
3.テープ除去性
実施例1〜3及び比較例1,2で得られたサンプルA〜Eそれぞれの表面に、油性ペン又は水性ペンを用いて、直線を引いた。
そして、その上にテープ(ニチバン社製)を貼り、剥がす際の除去性を目視で観察した。
テープ除去性は、下記基準で評価した。すなわち、油性ペン又は水性ペンの残存が全くないものを◎とし、完全に残存するものを×とし、その中間を○、△とした。なお、◎及び○が実用可能な範囲である。
得られた結果を表1に示す。
【0169】
4.ダスト付着性
実施例1〜3及び比較例1,2で得られたサンプルA〜Eそれぞれを、トンネル内にて1週間放置し、ダストの付着具合を目視で観察した。
ダスト付着性は、下記基準で評価した。すなわち、ダストの付着が極めて少ないものを◎とし、ダストの付着が少なく下地が十分に認められるものを○とし、ダストの付着があるものの下地が認められるものを△とし、ダストの付着が多いものを×とした。なお、◎及び○が実用可能な範囲である。
得られた結果を表1に示す。
【0170】
5.耐候性試験
実施例1〜3及び比較例1,2で得られたサンプルA〜Eをサンシャインウェザーメーター(スガ試験機製)で780時間まで照射させ、その際の表面劣化具合を目視で観察した。表面劣化は、下記基準で評価した。すなわち、黄変がないものを◎とし、黄変があるものを×とし、その中間を○、△とした。なお、◎及び○が実用可能な範囲である。
得られた結果を表1に示す。
【0171】
【表1】

【0172】
表1の結果より、本発明の実施例1〜3のサンプルA〜Cによれば、筆記ハジキ性、布除去性、テープ除去性、ダスト付着性のいずれにおいても、比較例1,2のサンプルD,Eよりも優れることがわかった。
したがって、本発明によれば、埃やガムや粘着シート等の付着及び脂汚れを十分に抑制でき、耐光性にも優れることが確認された。
なお、フィルム層の裏面に、画像部、接着層、離型紙層、バックコート層、粘着層、金属箔層等を設けても、同様の結果が得られると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1は、本発明の付着防止シートの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の付着防止シートの第2実施形態を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の付着防止シートの第3実施形態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の付着防止シートの第4実施形態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の付着防止シートの第5実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0174】
10,20,30,40,50…付着防止シート
11…フィルム層
12,32,42,52…コート層
13…画像部
14…接着層
15…離型紙層
26…バックコート層
31,51…フィラー
53…粘着層
54…金属箔層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムからなるフィルム層と、
該フィルム層の表面に積層されたコート層と、
前記フィルム層の裏面に形成された画像部と、
を備え、
前記コート層が、フッ素系樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂とが架橋された架橋体からなることを特徴とする付着防止シート。
【請求項2】
前記フッ素系樹脂と前記シリコーン変性アクリル樹脂とが共に水酸基を有しており、
前記架橋体が、前記フッ素系樹脂の水酸基と前記シリコーン変性アクリル樹脂の水酸基とがイソシアネート架橋剤を介して架橋されたものであることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項3】
前記フィルム層の裏面に、前記画像部を介して接着層が積層されていることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項4】
前記フッ素系樹脂が、フルオロオレフィン及び水酸基含有ビニル単量体を共重合させたものであることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項5】
前記シリコーン変性アクリル樹脂が、シラン化合物及び水酸基含有アクリル系モノマーを共重合させたものであることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項6】
前記コート層が、フィラーを更に含むことを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項7】
前記フィルム層の裏面に前記画像部を介してバックコート層が積層されており、
該バックコート層の裏面に接着層が積層されており、
前記バックコート層が、合成樹脂と白色顔料とを含むことを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項8】
前記フィルム層の裏面に前記画像部を介して粘着層が積層されており、
該粘着層の裏面に金属箔からなる金属箔層が積層されており、
該金属箔層の裏面に接着層が積層されていることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項9】
前記バックコート層の裏面に粘着層が積層されており、
該粘着層の裏面に金属箔からなる金属箔層が積層されており、
該金属箔層の裏面に接着層が積層されていることを特徴とする請求項7記載の付着防止シート。
【請求項10】
前記コート層の表面にエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。
【請求項11】
前記コート層が、前記フィルム層にシリコーン変性アクリル樹脂、フッ素系樹脂及び有機溶剤を含む塗料組成物と、イソシアネート架橋剤とを付与し、架橋させることにより、形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の付着防止シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−188989(P2008−188989A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1785(P2008−1785)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(592205746)株式会社サカイ・シルクスクリーン (11)
【出願人】(592162564)株式会社ミノグループ (11)
【Fターム(参考)】