説明

代謝性疾患の予防及び/又は治療のための化合物を開発するために有用なアルコールデヒドロゲナーゼ配列

本発明は、糖尿病及び肥満などの代謝性疾患の予防及び治療のための化合物の特定及び開発において有用なアミノ酸配列をコードし、前記アミノ酸配列を発現するために使用しうるヌクレオチド配列、特に配列番号2、7及び9のヌクレオチド配列に関する。本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列によってコードされ、及び前記ヌクレオチド配列の適切な発現によって入手しうるアミノ酸配列−例えばタンパク質及び/又はポリペプチド−特に配列番号1、6及び8に示すアミノ酸配列に関する。本発明はさらに、本発明のヌクレオチド配列で形質転換され、及び本発明のアミノ酸配列を発現することができる遺伝子構築物、宿主細胞及び宿主生物、及び本発明のヌクレオチド及びアミノ酸配列を利用する方法及び組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野において有用なヌクレオチド配列に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
特に、本発明は、薬剤としての(潜在的)活性を有する化合物、特に代謝性疾患、例えば糖尿病及び肥満、の予防及び/又は治療のための化合物の特定及び/又は開発において有用なアミノ酸配列をコードする及び/又はアミノ酸配列を発現するために使用しうるヌクレオチド配列に関する。以下でさらに詳述するこれらのヌクレオチド配列はまた、ここでは「本発明のヌクレオチド配列」とも称する。
【0003】
本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列によってコードされる及び/又は本発明のヌクレオチド配列の適切な発現によって入手しうるアミノ酸配列、例えばタンパク質及び/又はポリペプチド、に関する。以下でさらに詳述するこれらのアミノ酸配列はまた、ここでは「本発明のアミノ酸配列」とも称する。
【0004】
本発明はまた、例えば本発明のアミノ酸配列の発現のための、宿主細胞及び/又は宿主生物の形質転換における、好ましくは後述の適切な遺伝子構築物の形態の、本発明のヌクレオチド配列の使用に関する。本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列で形質転換された及び/又は本発明のアミノ酸配列を発現することができる宿主細胞及び/又は宿主生物に関する。
【0005】
本発明はさらに、上述したヌクレオチド配列、アミノ酸配列、遺伝子構築物、宿主細胞及び/又は宿主生物を使用する、本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる化合物の特定及び/又は開発のための方法に関する。そのような方法は通常、以下でもさらに説明するように、アッセイ又はスクリーニングの形態である。
【0006】
本発明はまた、本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる化合物を特定する及び/又は開発すること(のための方法)における、本発明のヌクレオチド配列、アミノ酸配列、遺伝子構築物、宿主細胞及び/又は宿主生物の使用に関する。
【0007】
本発明はまた、本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる化合物、そのような化合物を含む組成物、及びそのような組成物の製造におけるそのような化合物の使用に関する。
【0008】
特に、本発明は、医薬組成物の形態、より特定すると代謝性疾患、例えば糖尿病及び肥満、の予防又は治療のための医薬組成物の形態であるそのような組成物、そしてまた、そのような医薬組成物の製造における、本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる化合物の使用に関する。
【0009】
本発明はさらに、代謝性疾患の予防又は治療において使用できる化合物を特定する及び/又は開発すること(のための方法)における、本発明のヌクレオチド配列、アミノ酸配列、遺伝子構築物、宿主細胞及び/又は宿主生物の使用に関する。
【0010】
本発明の他の態様、実施形態、適用及び利点は、以下のさらなる説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
付属の配列表において言及する配列は以下の通りである。
配列番号1:C.elegansタンパク質Y38F1A.6;C.elegansからのアミノ酸配列
配列番号2:C.elegans遺伝子Y38F1A.6;C.elegansからのヌクレオチド配列
配列番号3:Y38F1A.6についてのフォワードプライマー
配列番号4:Y38F1A.6についてのリバースプライマー
配列番号5:Y38F1A.6についてのRNAiフラグメント(相補物)
配列番号6:AAK44223.1又は「ADHFe1」としても知られる、Genbankヒトタンパク質25989126。登録日:2003年1月27日
Dengら, DNA Seq. 13 (5), 301-306 (2002)
配列番号7:GenbankヒトDNA AY033237(「ADHFel」に関する)。登録日:2003年1月27日
Dengら, DNA Seq. 13 (5), 301-306 (2002)
配列番号8:NP_653251.1(「仮想タンパク質FLJ32430」)としても知られる、Genbankヒトタンパク質21389519。登録日:2002年12月12日
配列番号9:GenbankヒトDNA21389518(「仮想タンパク質FLJ32430」に関する)。登録日:2002年12月12日。
【0012】
本発明は、本発明のアミノ酸配列が代謝過程に関与し(以下でさらに詳述する)、それ故化合物及び他の因子とのインビトロ及び/又はインビボでの相互作用に関する(潜在的)「標的」として使用できる(「標的」という用語は当技術分野におけるその通常の意味を有する、例えばWO98/06737号において与えられる定義参照)という発見から、及びまた本発明の核酸配列及びアミノ酸配列が代謝性疾患に関与するという発見から確立された。その結果として、本発明のアミノ酸配列と相互作用すると特定された(例えば以下で述べる方法によって)化合物及び/又は因子は、医薬分野における活性物質として、特に代謝性疾患の予防及び治療のための活性物質として有用であると考えられる。これはすべて、以下の実験データ/観察によって裏付けられる。
−モデル生物C.elegans(このモデルは実施例においてさらに説明する)を用いた脂肪の処理、代謝及び貯蔵に関する実験モデルにおいて、RNA干渉による配列番号2のC.elegans遺伝子(C.elegans遺伝子Y38F1A.6)のダウンレギュレーションは、前記線虫における脂肪蓄積表現型を強力に低下させる。
本発明のヌクレオチド配列の一部の特に好ましい例は、以下の通りである。
−線虫C.elegansに由来する配列である、配列番号2のヌクレオチド配列及び
−ヒトゲノムとC.elegans配列の生命情報科学比較によって特定されうる、前記C.elegans配列のヒトオーソログ。そのようなヒトオーソログのいくつかの好ましい、但し非限定的な例は、配列番号7及び/又は9の配列である。
【0013】
ここでは一般に、これらのヒトヌクレオチド配列の使用及び/又はそれらに由来するヌクレオチド配列(その最も広い意味で「本発明のヌクレオチド配列」という用語によって以下でさらに定義される)の使用は、特に本発明を医薬用途のための化合物を開発するために使用するとき、好ましい。
【0014】
また、特定の説明又は仮説に限定されることなく、配列番号8のアミノ酸配列と配列番号6のアミノ酸配列のアラインメントは、これらの配列が基本的に同じアミノ酸配列を有するが、配列番号8のアミノ酸配列では、配列番号6の配列と比較して、最初の48アミノ酸残基が欠けている(すなわち配列番号6の配列内の「MAAAA...」から「...DYAFE」まで)ことを示した。
【0015】
そこで、配列番号6の配列と配列番号8の配列はどちらも本発明において使用できると考えられるが、やはり特定の説明又は仮説に限定されることなく、現在のところ、配列番号6及び7の配列の使用が好ましいと考えられる。
【0016】
配列番号7の配列は、当技術分野において「アルコールデヒドロゲナーゼ」として、特に鉄含有デヒドロゲナーゼとして述べられており、すなわちADH−Fe1と呼ばれる。Dengら、前出参照。しかし、Dengらは、配列番号7の配列はヒト胎児脳cDNAライブラリーに由来すると述べている。彼らはまた、配列番号7の配列はノーザンブロット法によって成人肝組織においても検出できたと述べているが、彼らは、配列番号7の配列(又はそれによってコードされるタンパク質)が代謝性疾患においてある役割を果たすことには言及していない又は示唆していない。また、アルコールデヒドロゲナーゼとしての配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の活性が(ここで述べるような)代謝性疾患に関与しうることは可能であると考えられるが、本発明は、その最も広い意味において、どのようにして又はなぜ本発明のアミノ酸配列及び/又は本発明のヌクレオチド配列が代謝性疾患に関与するかに関して、あるいはどのようにして又はなぜ本発明のアミノ酸配列の調節、特に阻害が、代謝性疾患の症状又は合併症を予防する、治療する、緩和するため又は代謝性疾患を改善するために使用できるかに関して、いかなる仮説、作用機構又は説明にも限定されない。
【0017】
より広い意味で、「本発明のヌクレオチド配列」という用語はまた、
−配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、特に配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列のいずれかの部分及び/又はフラグメント、
−以下でさらに説明する、配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、特に配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列のいずれかの(天然及び/又は合成)突然変異体、変異体、対立遺伝子、類似体、オーソログ(以下、集合的に「突然変異体」と称する)、
−そのような(天然及び/又は合成)突然変異体の部分及び/又はフラグメント、
−少なくとも1つのさらなるヌクレオチド配列と、配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列のいずれか、特に配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列の1つ(又はその部分又はフラグメント)のヌクレオチド融合物、
−少なくとも1つのさらなるヌクレオチド配列と、(天然及び/又は合成)突然変異体(又はその部分又はフラグメント)のヌクレオチド融合物
を包含し、そのような突然変異体、部分、フラグメント及び/又は融合物は、好ましくは以下でさらに述べる通りである。
【0018】
本発明はまた、上記ヌクレオチド配列の種々のスプライシング変異体を含む。
【0019】
本発明のアミノ酸配列のいくつかの特に好ましい例は以下の通りである。
−線虫C.elegansに由来する配列である、配列番号1のアミノ酸配列及び
−ヒトゲノムとC.elegans配列の生命情報科学比較によって特定されうる、前記C.elegans配列のヒト類似体。いくつかの好ましい、但し非限定的な類似体は、配列番号6及び/又は8に示されている。
より広い意味で、「本発明のアミノ酸配列」という用語はまた、
−配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、特に配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つの部分及び/又はフラグメント、
−配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、特に配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つの(天然及び/又は合成)突然変異体、変異体、対立遺伝子、類似体、オーソログ(以下、集合的に「類似体」と称する)、
−そのような類似体の部分及び/又はフラグメント、
−少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基又は配列と、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、特に配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ(又はその部分又はフラグメント)の融合物、
−少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基又は配列と、類似体のアミノ酸配列(又はその部分又はフラグメント)の融合物
を包含し、そのような突然変異体、部分、フラグメント及び/又は融合物は、好ましくは以下でさらに述べる通りである。
【0020】
「本発明のアミノ酸配列」という用語はまた、上記アミノ酸配列の「未熟」形態、例えばプレ、プロ又はプレプロ形態及び/又は適切なリーダー配列との融合物を包含する。また、本発明のアミノ酸配列は、前記アミノ酸配列を発現/生産するために使用する宿主細胞又は宿主生物に依存して、翻訳後プロセシングに供されうる及び/又は適切にグリコシル化されうる及び/又はその他の方法で修飾されうる(例えば当技術分野でそれ自体公知の化学的手法によって)。
【0021】
ここでは一般に、配列番号6及び/又は8のヒトアミノ酸配列、及び/又はその部分、フラグメント又は(ここで定義する)突然変異体の使用が、特に本発明を医薬用途のための化合物を開発するために使用するとき、好ましい。
【0022】
上記配列に関するさらなる情報については、以下の配列表を参照のこと。
【0023】
そこで、第1の態様では、本発明は、(ここで定義する)本発明のアミノ酸配列、特に配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列をコードする及び/又はアミノ酸配列を発現するために使用できる、好ましくは(基本的に)単離された形態の、核酸に関する。
【0024】
もう1つの態様では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列、特に配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列を含む、好ましくは(基本的に)単離された形態の、核酸に関する。
【0025】
さらにもう1つの態様では、本発明は、基本的に本発明のヌクレオチド配列、特に配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列から成る、好ましくは(基本的に)単離された形態の、核酸に関する。
【0026】
集合的に、これらの核酸はまた、ここでは「本発明の核酸」とも称する。また、以下の本発明のさらなる説明に関して適切な場合は、「本発明のヌクレオチド配列」及び「本発明の核酸」という用語は、基本的に等価であり、及び基本的に交換可能であるとみなされうる。
【0027】
また、本発明のために、核酸又はアミノ酸配列は、それが通常結合している少なくとも1つの他の成分(特に巨大分子)、例えばもう1つ別の核酸、もう1つ別のタンパク質/ポリペプチド又はもう1つ別の(高分子)生物学的成分から分離されたとき−例えばその天然生物学的ソースから−「基本的に単離された(形態)(の)」とみなされる。特に、核酸又はアミノ酸配列は、少なくとも2倍、特に少なくとも10倍、より特定すると少なくとも100倍、及び1000倍又はそれ以上まで精製されたとき「基本的に単離された」とみなされる。
【0028】
本発明の核酸はまた、やはり以下でさらに説明するような、遺伝子構築物の形態でもありうる。これらの構築物はまた、ここでは「本発明の遺伝子構築物」とも称される。好ましい実施形態では、そのような構築物は、
a)以下のものに作動可能に連結された、本発明の核酸配列、
b)1又はそれ以上の調節エレメント、例えばプロモーター及び場合により適切なターミネーター、
及び場合により、同時に、
c)それ自体公知の遺伝子構築物の1またはそれ以上のさらなるエレメント
を含み、「調節エレメント」、「プロモーター」、「ターミネーター」、「さらなるエレメント」及び「作動可能に連結された」という用語は、以下で示す意味を有する。
【0029】
別の態様では、本発明は、(上記で定義した)本発明のアミノ酸配列、特に配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列を含む、好ましくは(基本的に)単離された形態の、前記タンパク質又はポリペプチドに関する。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、基本的に、(上記で定義した)本発明のアミノ酸配列、特に配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列から成る、好ましくは(基本的に)単離された形態の、前記タンパク質又はポリペプチドに関する。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列、核酸及び/又は遺伝子構築物で宿主細胞及び/又は宿主生物を形質転換するための方法に関する。本発明はまた、宿主細胞又は宿主生物を形質転換する本発明のヌクレオチド配列、核酸及び/又は遺伝子構築物の使用に関する。
【0032】
さらにもう1つの態様では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列、核酸及び/又は遺伝子構築物で形質転換された及び/又はそれらを含む、宿主細胞又は宿主生物に関する。本発明はまた、本発明のアミノ酸配列を発現する又は(少なくとも)発現することができる(例えば適切な条件下で)宿主細胞及び/又は宿主生物に関する。集合的に、そのような宿主細胞/宿主生物はまた、ここでは「本発明の宿主細胞/宿主生物」とも称する。
【0033】
さらにもう1つの態様では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列、核酸、遺伝子構築物、宿主細胞又は宿主生物を使用する、本発明のアミノ酸配列を生産するための方法に関する。そのような方法は、例えば適切な宿主細胞又は宿主生物(例えば適切な形質転換後の)において本発明のヌクレオチド配列を発現すること、及び/又は本発明の宿主細胞又は宿主生物を適切な条件下に、すなわち本発明のアミノ酸配列が発現される又は得られるように、維持する及び/又は培養することを含みうる。場合により、これらの方法はまた、そのようにして発現/生産されたアミノ酸配列を単離すること(のための1又はそれ以上の工程)を含みうる。本発明はまた、そのような方法における本発明のヌクレオチド配列、核酸、遺伝子構築物及び/又は宿主細胞/宿主生物の使用に関する。
【0034】
さらなる態様では、本発明は、以下でさらに説明する、本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる及び/又はさもなければ本発明のアミノ酸配列と相互作用することができる化合物を特定するための方法に関する。本発明はまた、そのような方法における本発明のヌクレオチド配列、核酸、遺伝子構築物、アミノ酸配列及び/又は宿主細胞/宿主生物の使用に関する。
【0035】
さらなる態様では、本発明は、以下でさらに説明する、(以下でさらに定義する)代謝性疾患の予防及び/又は治療(のための医薬組成物の製造)において使用することができる化合物を特定するための方法に関する。本発明はまた、そのような方法における本発明のヌクレオチド配列、核酸、遺伝子構築物、アミノ酸配列及び/又は宿主細胞/宿主生物の使用に関する。
【0036】
本発明はまた、以下でさらに説明する、インビトロで又は好ましくはインビボで(も)、本発明のアミノ酸配列(の生物活性)を調節することができる及び/又はさもなければ本発明のアミノ酸配列と相互作用することができる化合物に関する。本発明はまた、そのような化合物を含有する組成物、特にそのような化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0037】
本発明はさらに、これらの組成物の製造における、本発明のアミノ酸配列(の生物活性)を調節することができる及び/又はさもなければ本発明のアミノ酸配列と相互作用することができる化合物の使用、特に代謝性疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造におけるそのような化合物の使用に関する。
【0038】
本発明はまた、本発明の方法、核酸配列、アミノ酸配列及び/又は宿主細胞又は宿主生物を用いて特定された又は開発されたあるいは特定されうる及び/又は開発されうる、(以下でさらに定義する)代謝性疾患の予防及び/又は治療において使用することができる化合物に関する。本発明はまた、そのような化合物を含有する組成物、特に前記化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0039】
本発明はまた、医薬組成物の製造におけるそのような化合物の使用、特に代謝性疾患の予防又は治療のための医薬組成物の製造におけるそのような化合物の使用に関する。
【0040】
別段の明白な規定のない限り、本明細書において使用するすべての用語は当技術分野におけるそれらの通常の意味を有し、個々についてはWO98/06737号及びEP1 085 089号において与えられる定義が参照される。
【0041】
配列番号2のヌクレオチド配列は特定されており、関連配列に基づいて設計されるプライマーを用いて、C.elegansゲノムDNA又はC.elegansのcDNAライブラリから出発するPCRを含むがこれらに限定されない、それ自体公知の適切な方法で、線虫C.elegansから/C.elegansを使用して誘導/単離することができる。
【0042】
配列番号7及び9のヌクレオチド配列は特定されており、関連配列に基づいて設計されるプライマーを用いて、ヒトゲノムDNA又はヒトcDNAライブラリから出発するPCRを含むがこれらに限定されない、それ自体公知の適切な方法で、ヒト細胞から/ヒト細胞を使用して誘導/単離することができる。
【0043】
また、−ここでの開示に基づき−当業者は、上記ヌクレオチド配列の天然「突然変異体」(上記で述べたような)を特定する、誘導する及び/又は単離することができると予想される。例えばそのような突然変異体は、同じ種(の他の個体)から(例えば突然変異株又は系統を含むがこれらに限定されない、異なる株又は系統の個体から)及び/又は他の種(の個体)から(この場合、これらの突然変異体はまた、ここでは「オーソログ」とも称される)、誘導することができる。そのようなオーソログを誘導しうる種の一部の例は、
−単細胞及び/又は微生物、例えば細菌、及び酵母、
−無脊椎多細胞生物、例えば昆虫及び線虫(例えば作物栽培学上有害な昆虫又は線虫種)、
−脊椎多細胞生物、例えば魚類、鳥類、爬虫動物、両生動物及び哺乳動物
の種を含むが、これらに限定されない。

好ましくは、天然オーソログは哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ又はイヌから誘導される。
【0044】
そのような天然突然変異体は、上記で言及した先行技術において述べられている方法と基本的に同様の方法で、あるいは、
−適切な発現ベクター系における対象種からのDNAライブラリーの構築、次いで突然変異体配列の直接発現、
−適切な発現ベクター系における対象種からのDNAライブラリーの構築、次いで本発明の(以下で説明する)プローブでの及び/又は本発明の(もう1つ別の)ヌクレオチド配列での前記ライブラリーのスクリーニング、
−対象種からの突然変異体配列をコードするmRNAの単離、次いで逆転写酵素を用いたcDNA合成、
によって、及び/又は標準ハンドブック、例えばSambrookら,"Molecular Cloning : A Laboratory Manual" (第2版), 1-3巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)およびF. Ausubelら編,"Current protocols in molecular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)が参照される、それ自体公知の他の適切な方法又は手法によって、入手しうる。
【0045】
また、−ここでの開示に基づき−当業者は、上記ヌクレオチド配列の合成突然変異体(上記で定義したような)を提供する及び/又は誘導することができると予想される。
【0046】
そのような合成配列を生成するための手法は当業者に明らかであり、例えば自動DNA合成;部位指定突然変異誘発、1又はそれ以上の天然に生じる配列の2又はそれ以上の部分を組み合わせること、トランケートされた発現産物の発現を導く突然変異の導入、1又はそれ以上の制限部位の導入(例えば適切な制限酵素を用いて容易に消化しうる及び/又は連結しうるカセット及び/又は領域を創造するため)、及び/又は、例えば天然に生じるGPCRの配列を鋳型として使用する、1又はそれ以上の「ミスマッチ」プライマーを用いたPCR反応による突然変異の導入を含みうるが、これらに限定されない。これらや他の手法は当業者に明白であり、やはり上述したSambrookらおよびAusubelらなどの標準ハンドブックが参照される。
【0047】
好ましくは、ここで述べる突然変異体は、アルコールデヒドロゲナーゼ、特に鉄含有アルコールデヒドロゲナーゼ、例えば哺乳動物からの鉄含有アルコールデヒドロゲナーゼに関する公知の1又はそれ以上の、好ましくはすべての構造特性/保存された特徴を有するアミノ酸配列をコードする。これらの特性/特徴は、例えば配列番号1、6及び/又は8の配列から、特に配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列から、例えば、どちらも当業者に周知であるSMART分析(例えばSchultzら(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 5857-5864およびLetunicら(2004) Nucleic Acids Res 32, D142-D144参照)又はPFAM分析から決定することができる。
【0048】
また本発明では、配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列の部分又はフラグメント、あるいはそれらの(天然又は合成)突然変異体の部分又はフラグメントを使用することも可能である。これらは、例えば5’及び/又は3’が切り取られたヌクレオチド配列、又は導入されたインフレーム開始コドン又は終結コドンを有する配列でありうる。また、本発明の1又はそれ以上のヌクレオチド配列の2又はそれ以上のそのような部分又はフラグメントを適切に組み合わせて(例えばインフレームで連結して)、本発明の(さらなる)ヌクレオチド配列を提供しうる。
【0049】
好ましくは、そのような部分又はフラグメントは、1又はそれ以上の配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列の、少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも60ヌクレオチド、さらに一層好ましくは90ヌクレオチド以上の、少なくとも1つの連続ストレッチを含むものである。
【0050】
特に、ここで述べる何らかの突然変異体、部分又はフラグメントは、(少なくとも)本発明の対応するアミノ酸配列の活性/触媒部位及び/又は本発明の対応するアミノ酸配列の結合ドメインをコードするものでありうる。
【0051】
ここで述べる何らかの突然変異体、部分及び/又はフラグメントは、好ましくは、1又はそれ以上の配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列と、すなわち「中ストリンジェンシー」条件下で、好ましくは「高ストリンジェンシー」条件下で、ハイブリダイズすることができるもので(も)ある。そのような条件は、例えば上記のSambrookらおよびAusubelらなどの標準ハンドブック、並びにEP 0 967 284号、EP 1 085 089号又はWO00/55318号から、当業者に明白である。
【0052】
特に、ここで述べる何らかの突然変異体、部分及び/又はフラグメントは、WO00/78972号及びWO98/49185号に述べられている「ストリンジェント」ハイブリダイゼーション条件下で、及び/又はGB 2 357 768−A号に述べられているハイブリダイゼーション条件下で、配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるものでありうる。
【0053】
また、ここで述べる何らかの突然変異体、部分及び/又はフラグメントは、ヌクレオチドレベルで、1又はそれ以上の配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに一層好ましくは少なくとも80%、特に90%以上、及び95%又はそれ以上までの、「配列同一性」の程度を有する。
【0054】
これに関して、所与のヌクレオチド配列と本発明のヌクレオチド配列の1つとの間の「配列同一性」のパーセンテージは、[関連配列番号のヌクレオチド配列内の対応する位置のヌクレオチドと同一である所与のヌクレオチド配列内のヌクレオチドの数]を、[所与のヌクレオチド配列内のヌクレオチドの総数]で除して、[100%]を乗じることによって算定でき、−関連配列番号の配列と比較して−ヌクレオチドの各々の欠失、挿入、置換又は付加は、1個のヌクレオチド(位置)の相違とみなされる。
【0055】
あるいは、配列同一性の程度は、配列アラインメントのための公知のコンピュータアルゴリズム、例えばNCBI Blastバージョン2.0を用いて、標準設定で算定しうる。
【0056】
配列同一性の程度を判定するためのいくつかの他の手法、コンピュータアルゴリズム及び設定は、例えばEP0 967 284号、EP1 085 089号、WO00/55318号、WO00/78972号、WO98/49185号及びGB 2 357 768−A号に述べられている。
【0057】
また、好ましい態様では、ここで述べる何らかの突然変異体、部分又はフラグメントは、適切なアッセイ方法、例えばアルコールデヒドロゲナーゼ、特に鉄含有アルコールデヒドロゲナーゼ、より特定するとADHFe1の活性を測定するためのそれ自体公知のアッセイ方法によって測定したとき、配列番号1、6及び/又は8の配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列に関して上述した生物活性と基本的に類似する、すなわち少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、及び90%までの程度の、生物活性を有するタンパク質/ポリペプチドをコードする。そのようなアッセイ−例えばNADの還元から生じる340nmでの吸光度の割合を測定することに基づきうる−は、当業者に明らかであり、例えばValleeおよびHoch, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 41,327, 1955並びにValleeおよびHoch: J. Am. Chem. Soc. 77, 821,1955,並びにBlandinoら, Biotechnology Letters, 19 (7), 651-654)参照。これらのアッセイの何らかの適切な改変法も使用できる。例えばBorsonら, Biochemistry, 22:1852,1983は、ここでの使用のために特に好ましいと考えられる、ヒト肝臓からのアルコールデヒドロゲナーゼに関するアッセイを述べている。
【0058】
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列の何らかの突然変異体、部分及び/又はフラグメントは、アミノ酸レベルで、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると1又はそれ以上の配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに一層好ましくは少なくとも80%、特に90%以上、及び95%又はそれ以上までの、「配列同一性」の程度を有するアミノ酸配列をコードするもので(も)あり、「配列同一性」のパーセンテージは以下で述べるように算定される。
【0059】
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列は(また)、1又はそれ以上の配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると1又はそれ以上の配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列の長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに一層好ましくは少なくとも80%、特に90%以上、及び95%又はそれ以上までである、(ヌクレオチドの総数として表わされる)長さを有する。
【0060】
一般に、本発明のヌクレオチド配列は、核酸の形態であるとき、DNA又はRNAでありえ、一本鎖又は二本鎖でありうる。例えば本発明のヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(例えば意図する宿主細胞又は宿主生物における発現のために特異的に適合させたコドン使用頻度を有するDNA)でありうる。それ故、本発明のヌクレオチド配列はイントロン配列を含んでもよく、また一般に種々のスプライス変異体を包含する。
【0061】
また、1又はそれ以上のコード配列、非コード配列及び/又は調節配列を含むがこれらに限定されない、1又はそれ以上のさらなるヌクレオチド配列と(上述したような)本発明のヌクレオチド配列の融合物を使用することも本発明の範囲内である。好ましくは、そのような融合物において、前記の1又はそれ以上のさらなるヌクレオチド配列は、(例えばさらなるヌクレオチド配列がコード配列であるときは、ヌクレオチド融合物が以下で述べるタンパク質融合物をコードするように)本発明のヌクレオチド配列に(以下で説明するように)作動可能に連結されている。
【0062】
本発明のもう1つの実施形態は、中ストリンジェンシー条件下で、好ましくは高ストリンジェンシー条件下で、特にストリンジェント条件下で(すべて上述したように)、本発明のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができる核酸プローブに関する。そのようなヌクレオチドプローブは、例えば本発明の(もう1つ別の)ヌクレオチド配列を検出する及び/又は単離するために及び/又は本発明のヌクレオチド配列を増幅するためのプライマーとして使用でき、前記はすべて、やはり上述したSambrookらおよびAusubelらなどの一般的ハンドブックが参照される、それ自体公知の手法を使用する。
【0063】
一般に、そのようなプローブは、本発明のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列−特に1又はそれ以上の配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチド配列−から出発して、場合により適切なコンピュータアルゴリズムを使用して、当業者によって設計されうる。また、当業者には明白であるように、そのようなプローブは縮重プローブでもよい。
【0064】
もう1つの実施形態では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列に対するアンチセンス分子に関する。
【0065】
さらにもう1つの実施形態は、本発明のヌクレオチド配列に対する二本鎖RNA分子(そのうち1本の鎖は通常、本発明のヌクレオチド配列の少なくとも一部を含む)に関する。本発明はまた、そのような二本鎖RNA分子を提供するために使用することができる(例えば宿主細胞又は宿主生物、例えば大腸菌などの細菌株における適切な発現によって)遺伝子構築物に関する。そのような構築物に関しては、どちらも出願人による、国際特許出願WO01/88121号(PCT/IB01/01068号)及びWO00/01846号を参照のこと。
【0066】
配列番号1のアミノ酸配列は特定されており、Bermanらにおいて詳述されているように、又はそれ自体公知の他の何らかの適切な方法で、線虫C.elegansから/C.elegansを使用して誘導/単離することができる。
【0067】
配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列は特定されており、上記で言及した先行技術において詳述されているように、又はそれ自体公知の他の何らかの適切な方法で、ヒト細胞から/ヒト細胞を使用して誘導/単離することができる。
【0068】
一般に、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列は、それ自体公知のタンパク質単離及び/又は精製のための何らかの手法を用いて、上記の種から(すなわち、それぞれC.elegans及びヒト)から単離しうる。あるいは、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列は、以下でさらに説明するような適切な宿主細胞又は宿主生物における、適切なヌクレオチド配列−例えば配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチドの1つ、より特定すると配列番号7及び/又は9のヌクレオチドの1つ、それらの適用可能な又は適切な突然変異体−の適切な発現によって入手しうる。
【0069】
また、−ここでの開示に基づき−当業者は、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の天然「類似体」(上記で述べたような)を特定する、誘導する及び/又は単離することができると予想される。そのような類似体は、同じ種(の他の個体)から(例えば突然変異株又は系統を含むがこれらに限定されない、異なる株又は系統の個体から);及び/又は他の種(の個体)から誘導することができる。例えばそのような類似体は、上述した昆虫種又は他の有害生物種から誘導することができる。
【0070】
そのような天然類似体は、やはり、それ自体公知のタンパク質単離及び/又は精製のための何らかの手法を用いて、あるいは以下でさらに説明するように、適切な宿主細胞又は宿主生物における本発明の適切なヌクレオチド配列−例えば上述したような天然突然変異体−の適切な発現によって、それらの天然ソースから単離することによって入手しうる。
【0071】
また、−ここでの開示に基づき−当業者は、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の合成「類似体」(上記で述べたような)を提供する及び/又は誘導することができると予想される。
【0072】
一般に、そのような合成類似体は、以下でさらに説明するように、適切な宿主細胞又は宿主生物における本発明の適切なヌクレオチド配列−例えば上述したような合成突然変異体−の適切な発現によって入手しうる。
【0073】
好ましくは、ここで述べる類似体は、配列番号1、6及び/又は8の配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列について上記で言及した1又はそれ以上の、好ましくはすべての構造特性/保存された特徴を有する。
【0074】
また、本発明では、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の部分又はフラグメント、あるいはその(天然又は合成)類似体又は突然変異体の部分又はフラグメントを使用することも可能である。これは、例えばN及び/又はC末端が切り取られたアミノ酸配列でありうる。また、本発明の1又はそれ以上のアミノ酸配列の2又はそれ以上の部分又はフラグメントを適切に組み合わせて、本発明の(さらなる)アミノ酸配列を提供しうる。
【0075】
好ましくは、そのような部分又はフラグメントは、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の、少なくとも5アミノ酸、好ましくは少なくとも10アミノ酸、より好ましくは少なくとも20アミノ酸、さらに一層好ましくは30アミノ酸以上の、少なくとも1つの連続ストレッチを含むものである。
【0076】
特に、ここで述べる何らかの部分又はフラグメントは、(少なくとも)本発明の対応するアミノ酸配列の活性/触媒部位及び/又は本発明の対応するアミノ酸配列の結合ドメインを含むものである。当業者には明白であるように、そのような部分又はフラグメントは、アッセイ及びスクリーニング手法(以下で一般的に述べるような)及び/又は(前記部分又はフラグメントが結晶形態で提供されるときは)X線結晶解析において特に有用でありうる。
【0077】
一般に、本発明のアミノ酸配列のそのような部分又はフラグメントは、以下でさらに説明するように、適切な宿主細胞又は宿主生物における本発明の適切なヌクレオチド配列−例えば本発明のヌクレオチド配列に関してここで上述したような適切な部分又はフラグメント−の適切な発現によって入手しうる。
【0078】
上記の方法に加えて及び/又はその代わりに、本発明のアミノ酸配列はまた、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、特に配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列あるいはその部分、フラグメント、(天然及び/又は合成)突然変異体、変異体、対立遺伝子、類似体、オーソログの1又はそれ以上のアミノ酸残基の側鎖を(化学的及び/又は酵素的に)修飾することによって、例えばWO01/02560号に述べられているように1又はそれ以上の側鎖修飾によって及び/又は、やはりWO01/02560号に述べられているように、1又はそれ以上の非天然アミノ酸残基を(例えば挿入及び/又は置換によって)組み込むことによって提供されうる。
【0079】
好ましくは、ここで述べる何らかの類似体、部分及び/又はフラグメントは、アミノ酸レベルで、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、特に1又はそれ以上の配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに一層好ましくは少なくとも80%、特に90%以上、及び95%又はそれ以上までの、「配列同一性」の程度を有するものである。
【0080】
これに関して、所与のアミノ酸配列と配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つとの間の「配列同一性」のパーセンテージは、[関連配列番号のアミノ酸配列内の対応する位置のアミノ酸残基と同一である所与のアミノ酸配列内のアミノ酸残基の数]を、[所与のアミノ酸配列内のアミノ酸残基の総数]で除して、[100%]を乗じることによって算定でき、−関連配列番号の配列と比較して−アミノ酸残基の各々の欠失、挿入、置換又は付加は、1個のアミノ酸(位置)の相違とみなされる。
【0081】
あるいは、配列同一性の程度は、公知のコンピュータアルゴリズム、例えば上記で述べたものを用いて算定しうる。
【0082】
また、アミノ酸レベルでのそのような配列同一性は、例えばGB−A−2 357 768号、WO98/49185号、WO00/46383号及びWO01/09300号から、当技術分野において周知である、いわゆる「保存的アミノ酸置換」を考慮に入れてもよく、そのような置換の(好ましい)タイプ及び/又は組合せは、WO98/49185号において言及されている参考文献からの適切な教示に基づいて選択しうる。
【0083】
また好ましくは、ここで述べる類似体、部分及び/又はフラグメントは、配列番号1、6及び/又は8の配列について、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つについて上述した生物活性と基本的に類似する、すなわち適切なアッセイ方法によって、例えば上記で述べたものによって測定したとき、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、及び90%までの程度の、生物活性を有する。
【0084】
好ましくは、本発明のアミノ酸配列は(また)、1又はそれ以上の配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つの長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに一層好ましくは少なくとも80%、特に90%以上、及び95%又はそれ以上までである、(アミノ酸残基の総数として表わされる)長さを有する。
【0085】
また、1又はそれ以上のさらなるアミノ酸配列と(上述したような)本発明のアミノ酸配列の融合物を使用すること、例えばタンパク質融合物を提供することも本発明の範囲内である。一般に、そのような融合物は、以下でさらに説明するように、適切な宿主細胞又は宿主生物における本発明の適切なヌクレオチド配列の適切な発現によって入手しうる(例えば1又はそれ以上のコード配列と本発明のヌクレオチド配列の適切な融合物)。
【0086】
1つの特定実施形態では、そのような融合物は、レポータータンパク質、例えばGFP、ルシフェラーゼ又はもう1つ別の蛍光タンパク質成分、と融合した本発明のアミノ酸配列を含みうる。当業者には明白であるように、そのような融合物は、発現分析及び同様の方法において特に有用でありうる。
【0087】
もう1つの実施形態では、融合パートナーは、発現されたアミノ酸配列の精製において使用しうるアミノ酸配列又は残基でありえ、前記精製では、例えば前記配列又は残基に対するアフィニティー手法を用いる。その後、前記配列又は残基を除去して(例えば化学的又は酵素的切断によって)、本発明のヌクレオチド配列を提供しうる(このために、配列又は残基は、場合により、切断可能なリンカー配列によって本発明のアミノ酸配列に連結されうる)。そのような残基のいくつかの好ましい、但し非限定的な例は、多(multiple)ヒスチジン残基及びグルタチオン残基である。
【0088】
1つの好ましい、但し非限定的な態様では、そのような融合物は、配列番号1、6及び/又は8の配列について、より特定すると配列番号6及び/又は8のアミノ酸配列の1つについて上述した生物活性と基本的に類似する、すなわち適切なアッセイ方法によって、例えば上記で述べたものによって測定したとき、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、及び90%までの程度の、生物活性を有する。
【0089】
本発明の遺伝子構築物は、一般に、場合により以下で述べるようなそれ自体公知の遺伝子構築物の1又はそれ以上のエレメントに連結された、本発明の少なくとも1個のヌクレオチド配列を含む。
【0090】
そのような遺伝子構築物はDNA又はRNAでありえ、好ましくは二本鎖DNAである。その構築物はまた、意図する宿主細胞又は宿主生物の形質転換に適する形態、意図する宿主細胞のゲノムDNAへの組込みに適する形態又は意図する宿主細胞における独立複製、維持及び/又は遺伝に適する形態でありうる。例えば遺伝子構築物は、ベクターの形態、例えばプラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター又はトランスポゾンでありうる。特に、ベクターは発現ベクター、すなわちインビトロ及び/又はインビボで発現を提供する(例えば以下で述べるような適切な宿主細胞及び/又は宿主生物において)ことができるベクターでありうる。
【0091】
上記で言及した1又はそれ以上の「さらなるエレメント」として、本発明の遺伝子構築物は、一般に1又はそれ以上の適切な調節エレメント(例えば適切なプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)、3’−又は5’−UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は形質転換又は組込み(の効率)を促進しうる又は上昇させうるエレメントを含みうる。そのような遺伝子構築物のためのこれらや他の適切なエレメントは当業者に明らかであり、例えば使用する構築物の種類、意図する宿主細胞又は宿主生物、対象とする本発明のヌクレオチド配列が発現される方式(例えば構成的、一過性又は誘導的発現によって)、及び/又は使用する形質転換手法に依存しうる。
【0092】
好ましくは、本発明の遺伝子構築物においては、1又はそれ以上のさらなるエレメントは、本発明のヌクレオチド配列に及び/又は互いに「作動可能に連結されて」おり、前記用語は、一般に、互いに機能的関係にあることを意味する。例えばプロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写及び/又は発現を開始させる又はさもなければ制御/調節することができる場合、コード配列に「作動可能に連結されている」とみなされる(その場合、前記コード配列は前記プロモーターの「制御下に」あると理解されるべきである)。
【0093】
一般に、2個のヌクレオチド配列が作動可能に連結されているとき、それらは同じ方向であり、また通常は同じリーディングフレーム内である。それらはまた、これは必要でない場合もありうるが、通常は基本的に隣接している。
【0094】
好ましくは、本発明において使用する遺伝子構築物の任意のさらなるエレメントは、意図する宿主細胞又は宿主生物において意図する生物学的機能を提供することができるものである。
【0095】
例えばプロモーター、エンハンサー又はターミネーターは、意図する宿主細胞又は宿主生物において「作動可能」であるべきであり、前記用語は、(例えば)前記プロモーターが、それが作動可能に連結されている(上記で定義したように)ヌクレオチド配列−例えばコード配列−の転写及び/又は発現を開始させる又はさもなければ制御/調節することができるはずであることを意味する。
【0096】
そのようなプロモーターは、構成的プロモーター又は誘導的プロモーターでありえ、また宿主細胞又は宿主生物の特定発生段階における発現(だけ)を提供するもの、及び/又は多細胞宿主生物の特定細胞、組織、器官又は部分における発現(だけ)を提供するものでありうる。
【0097】
一部の特に好ましいプロモーターは、以下で言及する発現ベクター内に存在するものを含むが、これらに限定されない。
【0098】
選択マーカーは、本発明のヌクレオチド配列で(成功裏に)形質転換された宿主細胞及び/又は宿主生物を、(成功裏に)形質転換されなかった宿主細胞/生物から識別することを可能にする−すなわち適切な選択条件下で−ものであるべきである。そのようなマーカーの一部の好ましい、但し非限定的な例は、抗生物質(例えばカナマイシン又はアンピシリン)に対する耐性を与える遺伝子、温度耐性を与える遺伝子、又は非形質転換細胞又は生物の生存のために必須である培地中のある種の因子、化合物及び/又は(食物)成分の不在下で宿主細胞又は宿主生物を維持することを可能にする遺伝子である。
【0099】
リーダー配列は、−意図する宿主細胞又は宿主生物において−所望の翻訳後修飾を可能にするもの及び/又は転写されたmRNAを細胞の所望部分又は小器官へと方向付けするものであるべきである。リーダー配列はまた、前記細胞からの発現産物の分泌を可能にしうる。それ自体で、リーダー配列は、宿主細胞又は宿主生物において作動可能な何らかのプロ、プレ、又はプレプロ配列でありうる。
【0100】
発現マーカー又はレポーター遺伝子は、−宿主細胞又は宿主生物において−遺伝子構築物(上に存在する遺伝子又はヌクレオチド配列)の発現の検出を可能にするものであるべきである。発現マーカーはまた、場合により、発現産物の局在化、例えば細胞の特定部分又は小器官における及び/又は多細胞生物の特定細胞、組織、器官又は部分における局在化を可能にしうる。そのようなレポーター遺伝子はまた、本発明のアミノ酸配列とのタンパク質融合物としても発現されうる。一部の好ましい、但し非限定的な例は、蛍光タンパク質、例えばGFPを含む。
【0101】
プロモーター、選択マーカー、リーダー配列、発現マーカー及び本発明の遺伝子構築物において存在しうる/使用しうるさらなるエレメント−例えばターミネーター、転写及び/又は翻訳エンハンサー及び/又は組込み因子−のいくつかの(さらなる)非限定的な例に関しては、上記のSambrookらおよびAusubelらなどの一般的ハンドブック、W. B. Woodら,"The nematode Caenorhabditis elegans", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988)並びにD. L. Riddleら,"C.ELEGANSII", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1997)、並びにWO95/07463号、WO96/23810号、WO95/07463号、WO95/21191号、WO97/11094号、WO97/42320号、WO98/06737号、WO98/21355号、US−A−6,207,410号、US−A−5,693,492号及びEP1 085 089号の中で与えられる例が参照される。他の例は、当業者には明白である。
【0102】
本発明の遺伝子構築物は、一般に、例えば上記のSambrookら及びAusubelらなどの一般的ハンドブックに述べられている手法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を上述した1又はそれ以上のさらなるエレメントに適切に連結することによって提供されうる。
【0103】
しばしば、本発明の遺伝子構築物は、本発明のヌクレオチド配列を、それ自体公知の適切な(発現)ベクターに挿入することによって得られる。適切な発現ベクターの一部の好ましい、但し非限定的な例は、
−哺乳動物における発現のためのベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMClneo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC37146)、pUCTag(ATCC37460)及び1ZD35(ATCC37565); −細菌細胞における発現のためのベクター:pETベクター(Novagen)及びpQEベクター(Qiagen)、
−酵母又は他の真菌細胞における発現のためのベクター:pYES2(Invitrogen)及び Pichia発現ベクター(Invitrogen)、
−昆虫細胞における発現のためのベクター:pBlueBacII(Invitrogen)
を含む。
【0104】
本発明のヌクレオチド配列及び/又は遺伝子構築物は、宿主細胞又は宿主生物を形質転換するために使用しうる。
【0105】
宿主細胞は、何らかの適切な(真菌、原核又は真核)細胞又は細胞系、例えば、
−大腸菌、バチルス属、ストレプトミセス属及びシュードモナス属の菌株を含むがこれらに限定されない、細菌株、
−アスペルギルス属及びトリコデルマ属の種からの細胞を含むがこれらに限定されない、真菌細胞、
−クロイベロミセス属又はサッカロミセス属の種からの細胞を含むがこれらに限定されない、酵母細胞、
−両生類細胞又は細胞系、例えばツメガエル卵母細胞
でありうる。
【0106】
本発明のヌクレオチド配列を殺虫性化合物の発見及び開発において使用する(使用しようとする)とき特に有用であると考えられる、1つの特定実施形態では、宿主細胞は、昆虫由来細胞又は細胞系、例えば、
−Spodoptera SF9及びSF21細胞を含むがこれらに限定されない、鱗翅目由来の細胞/細胞系、
−ショウジョウバエ由来の細胞/細胞系、例えばシュナイダー及びKc細胞及び/又は
−対象とする有害生物種(以下で述べるような)由来の細胞/細胞系、例えばオオタバコガ(Heliothis virescens)
でありうる。
【0107】
1つの好ましい実施形態では、宿主細胞は、例えば上記で言及した哺乳動物由来の、哺乳動物細胞又は細胞系である。
【0108】
さらにより好ましい態様では、宿主細胞は、ヒト由来の細胞又は細胞系、CHO細胞及びBHK細胞並びにヒト細胞又は細胞系、例えばHeLa及びCOSを含むがこれらに限定されない、哺乳動物由来の細胞又は細胞系である。
【0109】
1つの特定の、但し非限定的な実施形態では、細胞又は細胞系は、代謝過程又は代謝性疾患に関連する及び/又は代謝性疾患のための細胞モデルとして使用される、例えば肝細胞又は細胞系、脂肪細胞あるいは筋細胞又は細胞系、例えばHEPG2細胞、3T3L1脂肪細胞、CTC12細胞及びL6筋管を含むがこれらに限定されない、ヒト細胞又は細胞系でありうる。
【0110】
宿主生物は、
−Caenorhabditis属からの線虫、例えばC.elegansを含むがこれらに限定されない、線虫、
−ショウジョウバエの種及び/又は対象とする特定有害生物種(以下で述べるものなど)を含むがこれらに限定されない、昆虫、
−他の周知のモデル生物、例えばゼブラフィッシュ、
−哺乳動物、例えばラット又はマウス
を含むがこれらに限定されない、何らかの適切な多細胞(脊椎又は無脊椎)生物でありうる。
【0111】
他の適切な宿主細胞又は宿主生物は、例えば上記のハンドブック及び特許出願から、当業者には明白である。
【0112】
本発明のヌクレオチド配列が多細胞生物において発現されるとき、生物全体にわたって、あるいは、例えば前記細胞、組織、器官又は部分に特異的なプロモーターの制御下での発現によって、1又はそれ以上の特定細胞、組織、器官及び/又はその部分においてのみ、発現されうることに留意すべきである。
【0113】
上記ヌクレオチド配列はまた、やはり例えばその発生段階又は生活環に特異的なプロモーターの制御下での発現によって、宿主細胞又は宿主生物の特定の発生段階又は生活環の間だけ発現されうる。また、既に上述したように、前記発現は構成的、一過性及び/又は誘導的でありうる。
【0114】
1つの特定実施形態によれば、宿主細胞又は宿主生物における本発明のヌクレオチド配列の発現は、もとの(例えば天然)宿主細胞又は宿主生物と比較して、部分的又は全面的に低下(すなわちノックアウト)させうる。これは、例えば当技術分野で周知のアンチセンス及び/又はRNA干渉手法を用いて一過性に、あるいは本発明のヌクレオチド配列のランダム、部位指定及び/又は化学的突然変異誘発を用いて構成的に、あるいは「ノックダウン」又は「ノックアウト」動物を作製するための他の何らかの適切な手法で達成しうる。
【0115】
適切な形質転換手法は当業者に明白であり、意図する宿主細胞/宿主生物及び使用する遺伝子構築物に依存しうる。適切な手法の一部の好ましい、但し非限定的な例は、バリスティック(ballistic)形質転換、(マイクロ)インジェクション、トランスフェクション(例えば適切なトランスポゾンを用いて)、エレクトロポレーション及びリポフェクションを含む。これらや他の適切な手法に関しては、やはり上記のハンドブック及び特許出願が参照される。
【0116】
形質転換後、本発明のヌクレオチド配列/遺伝子構築物で成功裏に形質転換された宿主細胞又は宿主生物を検出し、選択するための工程を実施しうる。これは、例えば本発明の遺伝子構築物内に存在する選択マーカーに基づく選択工程又は、例えば特異抗体を使用する、本発明のアミノ酸配列の検出を含む工程でありうる。
【0117】
形質転換宿主細胞(安定細胞系の形態でありうる)又は宿主生物(安定突然変異系又は突然変異株の形態でありうる)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0118】
好ましくは、これらの宿主細胞又は宿主生物は、(宿主生物の場合は、その少なくとも1つの細胞、部分、組織又は器官において)本発明のアミノ酸配列を発現する又は(少なくとも)発現することができる(例えば適切な条件下で)ものである。本発明はまた、例えば細胞分裂によって又は有性又は無性生殖によって得られうる、本発明の宿主細胞又は宿主生物のさらなる世代、後代及び/又は子孫を包含する。
【0119】
本発明のアミノ酸配列を生産するため/本発明のアミノ酸配列の発現を得るために、形質転換宿主細胞又は形質転換宿主生物を、一般に本発明の(所望)アミノ酸配列が発現される/生産される条件下に保持、維持及び/又は培養しうる。適切な条件は当業者に明白であり、通常は使用する宿主細胞/宿主生物、並びに本発明の(関連)ヌクレオチド配列の発現を制御する調節エレメントに依存する。やはり、本発明の遺伝子構築物に関する項で上述したハンドブック及び特許出願が参照される。
【0120】
一般に、適切な条件は、適切な培地の使用、適切な食物ソース及び/又は適切な栄養素の存在、適切な温度の使用、及び場合により適切な誘導因子又は化合物の存在(例えば本発明のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にあるとき)を含みうるが、それらはすべて当業者によって選択されうる。やはり、そのような条件下で、本発明のアミノ酸配列は、構成的に、一過性に、又は適切に誘導されたときのみ、発現されうる。
【0121】
また、本発明のアミノ酸配列を、(最初に)未熟形態(上述したような)で作製し、その後、使用する宿主細胞又は宿主生物に依存して翻訳後修飾に供しうることは、当業者に明白である。また、本発明のアミノ酸配列は、やはり使用する宿主細胞又は宿主生物に依存して、グリコシル化しうる。
【0122】
本発明のアミノ酸配列は、その後、それ自体公知のタンパク質単離及び/又は精製手法を用いて、例えば(分取)クロマトグラフィー及び/又は電気泳動手法、分別沈殿手法、アフィニティー手法(例えば本発明のアミノ酸配列と融合した特異的な切断可能アミノ酸配列を使用して)及び/又は分取免疫学的手法(すなわち単離するアミノ酸に対する抗体を使用して)を用いて、宿主細胞/宿主生物から及び/又は前記宿主細胞又は宿主生物を培養した培地から単離しうる。
【0123】
1つの実施形態では、このようにして得られたアミノ酸配列はまた、前記配列あるいはその抗原性部分又はエピトープに対して特異的な抗体を作製するために使用しうる。
【0124】
本発明のさらなる態様を形成するそのような抗体は、それ自体公知の方法で、例えばGB−A−2 357 768号、US−A−5,693,492号、WO95/32734号、WO96/23882号、WO98/02456号、WO98/41633号及び/又はWO98/49306号に述べられているように、及び/又は上記で言及した先行技術において述べられているように、作製しうる。しばしば、但し排他的ではないが、そのような方法は、免疫適格宿主を、本発明の関連アミノ酸配列又はその免疫原性部分(特異的エピトープなど)により、前記アミノ酸配列に対する抗体が惹起される量及びレジメンに従って免疫すること、及びその後、例えば前記宿主に由来する血液又は血清から、そのようにして作製した抗体を採集することを含む。
【0125】
例えばポリクローナル抗体は、適切な宿主、例えばヤギ、ウサギ、ヒツジ、ラット、ブタ又はマウスを、場合により免疫原性担体(例えばウシ血清アルブミン又はキーホールリンペットヘモシアニン)及び/又はアジュバント、例えばフロイントアジュバント、サポニン、ISCOM、水酸化アルミニウム又は同様の無機物ゲル、又はキーホールリンペットヘモシアニン又は同様の界面活性物質を使用して、本発明のアミノ酸配列(のエピトープ)で免疫することによって入手できる。適切な免疫反応が惹起された後(通常は1−7日以内)、場合により、例えばWO96/23882号が参照される、公知の免疫測定手法を用いて所望特性(すなわち特異性)を有する抗体をスクリーニングする工程を含みうる、それ自体公知の方法で免疫動物から採取した血液又は血清から抗体を単離することができる。
【0126】
モノクローナル抗体は、例えば、やはり基本的に上記で引用した参考文献に述べられているようにして、バイブリドーマに基づく及び同様の手法を含む、連続培養細胞系を用いて作製しうる。従って、本発明のアミノ酸配列に対するモノクローナル抗体を産生する細胞及び細胞系は、一般にそのような細胞を培養すること及び、やはりそれ自体公知の手法を用いて培養(培地)から抗体を単離することを含みうる、本発明のアミノ酸配列に対する抗体を作製するための方法と同様に、本発明のさらなる態様を形成する。
【0127】
また、本発明のアミノ酸配列に対するFabフラグメント(例えばF(ab)2、Fab’及びFabフラグメント)は、それぞれ、ペプシン又は別のプロテアーゼによる抗体の消化、ジスルフィド結合の還元、及びパパインと還元剤による処理によって入手しうる。Fab発現ライブラリーは、例えばHuseら, 1989, Science 245:1275-1281の方法によって入手しうる.
【0128】
もう1つの実施形態では、本発明のヌクレオチド配列、本発明のアミノ酸配列、及び/又はそのようなアミノ酸配列を発現する宿主細胞又は宿主生物はまた、一般にアッセイ又はアッセイ方法(診断アッセイ及び/又は、例えば特定の突然変異及び/又は遺伝子マーカーに関連する状態又は疾患に対する感受性を判定するために、前記突然変異及び/又はマーカーの存在及び/又は不在を判定するためのアッセイを含むが、これらに限定されない)において、特に本発明のアミノ酸配列の(生物)活性を調節することができる及び/又はさもなければ本発明のアミノ酸配列と相互作用することができる化合物及び/又は他の因子を特定する及び/又は(さらに)開発するためのアッセイにおいて、使用することができ、そのような使用は本発明のさらなる態様を形成する。当業者には明白であるように、これに関して、本発明のアミノ酸配列は、そのような化合物又は因子との相互作用の標的として役立つ。
【0129】
これに関して、「調節する」、「調節」、「調節物質」及び「標的」という用語は、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有し、特にWO98/06737号において与えられる定義が参照される。一般に、調節物資は、生物活性又はプロセス(例えば本発明のアミノ酸配列の生物活性)の機能特性を増強する、阻害する/低下させる又はさもなければ変化させる、作用する又は影響する(集合的に「調節」と称する)ことができる化合物又は因子である。
【0130】
これに関して、本発明のアミノ酸配列は、インビトロでの調節のため(例えばアッセイ又はスクリーニングの一部として)及び/又はインビボでの調節のため(例えば、農芸化学、獣医学及び/又は医薬用途のための活性化合物として使用しうる、標的を調節することが公知である化合物又は因子による調節のため)の標的として役立ちうる。
【0131】
本発明のアミノ酸配列、宿主細胞及び/又は宿主生物は、例えば、本発明のアミノ酸配列の調節物質を特定する及び/又は開発するために使用しうるアッセイ又はスクリーニング、例えば一次スクリーニング(例えば標的に関して未知の活性を有する試験化学物質のセット又はライブラリーから標的の調節物質を特定するために使用しうるスクリーニング)及び/又は二次アッセイ(例えば一次スクリーニングからのヒットを確認するために使用される及び/又はヒット分子を最適化するときに、例えばhits−to−leads化学の一部として使用されるアッセイ)の一部として使用しうる。
【0132】
例えばそのようなアッセイ又はスクリーニングは、一般に、標的についての潜在的調節物質として試験する化合物又は因子(以下「試験化学物質」とも称する)の標的への結合、その後前記結合によって生成されるシグナルを測定することを含む、インビトロアッセイ又はスクリーニングとして設計しうる。そのようなインビトロスクリーニングのための適切な手法は当業者に明らかであり、例えばEldefrawiら , (1987). FASEB J. , Vol. 1,262-271頁及びRauhら, (1990), Trends in Pharmacol. Sci., vol. 11, 325-329頁に述べられている。例えばそのようなアッセイ又はスクリーニングは、試験化学物質を使用して標的からの検出可能なリガンド(例えば放射性又は蛍光リガンド)を置換し、その後調節物質によって標的から置換されたリガンドの量を測定する、結合アッセイ又はスクリーニングとして設計しうる。本発明のアミノ酸配列のための他の適切なアッセイは当業者に明白であり、例えば上記で引用した先行技術中に見出しうる。そのようなアッセイはまた、場合により、自動化された中〜高スループット方式でのスクリーニングのために適合させうる及び/又は設計しうる。例えばNADの還元から生じる340nmでの吸光度の割合を測定することに基づく自動化された中〜高スループットアッセイは、例えば上述したアルコールデヒドロゲナーゼについてのアッセイを自動化高スループット方式での使用のために設計する/適合させることによって、使用することができる。
【0133】
また、本発明のアミノ酸配列の間の、及び/又は本発明の1又はそれ以上のアミノ酸配列と、それらと相互作用する(そして好ましくは同じ生物学的経路に属する)1又はそれ以上のさらなるアミノ酸配列との間の、そのような相互作用に影響を及ぼす化合物をスクリーニングすることは本発明の範囲内である。
【0134】
タンパク質−タンパク質相互作用をスクリーニングするための適切な手法は、当業者には明らかである。例えば、両方のパートナータンパク質が精製可溶性形態(組換え体)で入手しうることを条件として、タンパク質−タンパク質相互作用は、インビトロで、例えば各々が相互作用パートナーの1つに存在する、2つの標識の間の距離によるシグナル変化の原理に基づく手法を用いて、スクリーニングしうる。以下の方法が最も一般的に使用される。
−TRF(時間分解蛍光測定法)のFRET(蛍光共鳴エネルギー転移法)。通常は好ましい選択肢である、この手法によれば、相互作用タンパク質の1つを、供与体として知られる蛍光染料で標識し、他方を、アクセプターと呼ばれる、スペクトルがマッチする異なる染料で標識する。前記アッセイでは、供与体染料はすべての光を吸収し、アクセプターの近くでは、このエネルギーをアクセプターに転移する。アクセプターから測定される発光(蛍光)を観察する。タンパク質の間に相互作用が存在しなければ(阻害剤の存在)、アクセプター染料からの蛍光シグナルは認められないはずである。TRF選択肢は、この原理を、より長い距離で相互作用し(タンパク質−タンパク質相互作用にとって重要である)、その発光がスペクトルにおいてのみならず時間的にも良好に分離できる特殊設計された染料と組み合わせる。
−SPA(シンチレーション近接アッセイ)。この手法では、シンチラントを含むビーズに相互作用タンパク質の1つを結合し、放射性標識を担持する他方のタンパク質は溶液中で遊離させる。2つのパートナーが結合したときのみシンチレーションシグナルが測定される。
−BRET。この手法は基本的にFRETと同じであり、相違は、供与体が蛍光性ではなく発光性であることである。
−AlphaScreen(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ)。
【0135】
ELISAの原理に基づく、多くのノンホモジニアスアッセイ(例えばDELFIA)も考慮できるが、これらはあまり自動化に適さない。加えて、従来の酵母ツーハイブリッド法(Y2H)及び酵母スリーハイブリッド法(Y3H)及び同様の手法も可能である。
【0136】
本発明のアミノ酸配列と相互作用することができる化合物を特定するためのアッセイ又はスクリーニングはまた、本発明の宿主細胞を試験化学物質に接触させ/暴露し、その後宿主細胞による少なくとも1つの生物学的応答を測定する、細胞ベースのアッセイ又はスクリーニングとしても設計しうる。
【0137】
そのような細胞ベースのアッセイのための適切な細胞又は細胞系は、上記で挙げたものを含む。1つの好ましい、但し非限定的な実施形態では、前記細胞又は細胞系は、哺乳動物細胞又は細胞系、特に代謝過程又は代謝性疾患に関連する及び/又は代謝性疾患のための細胞モデルとして使用される、肝細胞又は細胞系、脂肪細胞あるいは筋細胞又は細胞系、例えばHEPG2細胞、3T3L1脂肪細胞、CTC12細胞及びL6筋管を含むがこれらに限定されない、ヒト細胞又は細胞系でありうる。
【0138】
また、そのようなアッセイ又はスクリーニングは、全動物スクリーニングとして設計することもでき、その場合は、本発明の宿主生物を試験化学物質に接触させ/暴露し、その後宿主生物による少なくとも1つの生物学的応答(例えば表現型、行動及び/又は、麻痺又は死亡を含むがこれらに限定されない、生理的変化)を測定する。そのようなスクリーニングは、酵母、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ又はC.elegansを含むがこれらに限定されない、それ自体公知の何らかのモデル生物において実施しうる。
【0139】
それ故、一般に、上述したアッセイ及びスクリーニングは、試験化学物質を標的(及び/又は標的を発現する宿主細胞又は宿主生物)と接触させる、特に試験化学物質による標的の調節を表わすシグナルが生成されるように接触させる、少なくとも1つの工程を含む。さらなる工程において、前記シグナルを検出しうる。
【0140】
従って、1つの態様では、本発明は、本発明のアミノ酸配列と試験化学物質の相互作用を表わすシグナルを生成するための方法に関し、前記方法は少なくとも、
a)本発明のアミノ酸配列、あるいは本発明のアミノ酸配列を含む/発現する宿主細胞又は宿主生物を、試験化学物質と、前記試験化学物質と前記アミノ酸配列の間の相互作用を表わすシグナルが生成されうるように接触させること及び場合により、
b)そのようにして生成されうるシグナルを検出すること
の工程を含む。
【0141】
もう1つの態様では、本発明は、本発明のアミノ酸配列の調節物質を特定する(例えば試験化学物質のセット又はライブラリーから)ための方法に関し、前記方法は少なくとも、
a)本発明のアミノ酸配列、あるいは本発明のアミノ酸配列を含む/発現する宿主細胞又は宿主生物を、試験化学物質と、前記試験化学物質と前記アミノ酸配列の間の相互作用を表わすシグナルが生成されうるように接触させること及び場合により、
b)そのようにして生成されうるシグナルを検出し、前記シグナルが前記アミノ酸配列の調節物質を特定すること
の工程を含む。
【0142】
本発明の方法を使用して試験しうる化合物を一般的に下記で述べる。
【0143】
本発明のアッセイ及びスクリーニングは、中スループットから高スループットで、例えば適切なロボット装置を使用して自動的に、実施しうる。特に、この実施形態では、本発明の方法は、標的をマルチウエルプレート、例えば標準24、96、384、1536又は3456穴プレートのウエルにおいて試験化合物と接触させることによって実施しうる。
【0144】
通常、本発明のスクリーニング又はアッセイでは、各々の測定に関して、標的又は宿主細胞/宿主生物を単一試験化合物とだけ接触させる。しかし、標的を2又はそれ以上の試験化合物と−同時に又は連続的に−、例えば前記組合せが相乗作用を提供するかどうかを判定するために、接触させることも本発明の範囲内である。
【0145】
ひとたび試験化学物質が本発明のアミノ酸配列についての調節物質として特定されれば(例えばここで上述したスクリーニング又はアッセイによって)、それ自体で本発明の関連アミノ酸配列の調節物質として使用してもよく(例えば医薬用途のための活性物質として)、あるいは場合により、最終的な用途のために、例えば特性を改善するため、例えば溶解度、ADME−TOX及び他の所望特性を改善するために、最適化しうる。本発明のヌクレオチド配列、アミノ酸配列、宿主細胞/宿主生物及び/又は方法がそのような最適化法において、例えば二次アッセイ(の一部)として、さらなる用途を見出しうることは、当業者には明白である。
【0146】
本発明は、調節物質(例えば試験化学物質、化合物及び/又は因子)が標的を調節する又は標的と相互作用する(インビボ及び/又はインビトロで)特定の方法又は機構には特に限定されない。例えば調節物質は、標的についてのアゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト、部分的アゴニスト、競合的阻害剤、非競合的阻害剤、補因子、アロステリック阻害剤又は他のアロステリック因子でありうる、及び/又はその(生物)活性に関連する別の生物学的成分、例えばもう1つ別のタンパク質又はポリペプチド、受容体、又は細胞の小器官の部分、への標的の結合を増強する又は低下させる化合物又は因子でありうる。それ自体で、調節物質は、標的と結合しうる(活性部位で、アロステリック部位で、結合ドメインで及び/又は標的上の別の部位で、例えば共有結合によって又は水素結合によって)、標的の活性部位をブロックしうる(可逆的に、不可逆的に又は競合的に)、標的の結合ドメインをブロックしうる(可逆的に、不可逆的に又は競合的に)、及び/又は標的の立体配座に影響を及ぼしうるか又は立体配座を変化させうる。
【0147】
それ自体、試験化学物質/調節物質は、例えば、
−標的の公知の基質の類似体、
−例えば2〜20個、好ましくは3〜15個のアミノ酸残基を含む、オリゴペプチド、
−アンチセンス又は二本鎖RNA分子、
−タンパク質、ポリペプチド、
−補因子又は補因子の類似体
でありうる。
【0148】
好ましくは、上記化合物は標的の阻害剤であるが、本発明は、その最も広い意味において、それに限定されない。
【0149】
試験化学物質/調節物質はまた、標的を調節する又はさもなければ標的と相互作用することが知られている化合物(例えば標的についての公知の基質又は阻害剤)、あるいは標的が属する一般的クラスからの他のメンバーを調節する又はさもなければそれと相互作用することが知られている一般的に公知の化合物又は因子(例えば前記クラスの公知の基質又は阻害剤)でありうる、標準化合物又は因子でもよい。
【0150】
しかしながら、好ましくは、前記化合物は、一般にここでは1500未満、好ましくは1000未満の分子量を有する分子実体を意味する、「低分子量分子」である。これは、例えば有機、無機又は有機金属分子でありえ、それらはまた、適切な塩、例えば水溶性の塩の形態であってもよく;また、その(全体)分子量が上記で示した範囲内である限り、複合体、キレート及び/又は同様の分子実体であってもよい。
【0151】
好ましい実施形態では、そのような「低分子量分子」は、薬剤の可能性予測についてのいわゆるリピンスキーの法則の少なくとも1つ、好ましくは少なくともいずれか2つ、より好ましくは少なくともいずれか3つ、及び全部までの判定基準に従って及び/又は判定基準を満たすように設計される(Lipinskiら, Advanced Drug Delivery Reviews 23 (1997)3-25頁参照)。当技術分野において公知であるように、これらの判定基準を満たす低分子量分子は、ヒト用医薬品の設計及び/又は開発のために(出発点として)特に適しており、例えばhits−to−leads化学のための出発点として、及び/又はリード開発のための出発点として(その場合、本発明の方法も適用しうる)使用しうる。
【0152】
また、これらの目的のために、そのような低分子量分子の設計(並びにそのような低分子量分子から成るライブラリーの設計)は、好ましくは、例えばI. Mueggeら , J. Med. Chem. 44,12 (2001),1-6頁によって述べられている方法及びその中で引用される資料に従って、薬理作用団部位の存在も考慮に入れる。
【0153】
「低分子量ペプチド」という用語は、一般に、合計2−35個、例えば3−25個のアミノ酸(例えば1又はそれ以上の連結鎖、好ましくは一本鎖において)を含む(オリゴ)ペプチドを包含する。これらの低分子量ペプチドの一部はまた、それらの分子量に依存して、ここで使用する低分子量分子の用語に包含されることは明白である。
【0154】
1つの好ましい、但し非限定的な実施形態では、本発明は、(関連する又はさもなければ無関係な)低分子量分子のセット又はライブラリー、例えば標準「頑健性(robustness)セット」、一次スクリーニングライブラリー(例えばさもなければ無関係な化合物の)、コンビナトリアルライブラリー、一連の密接に関連する化学的類似体をスクリーニングするために使用される。そのようなセット又はライブラリーは当業者には明白であり、例えば市販の化学物質ライブラリー、例えばTocris Cookson,Bristol,UKより入手可能な様々なライブラリーを含みうるが、これらに限定されない。
【0155】
さらなる態様では、本発明は、代謝性疾患の予防及び/又は治療(のための医薬組成物の製造)において使用できる化合物を(例えば試験化学物質のセット又はライブラリーから)特定するための方法に関し、前記方法は、少なくとも、
a)本発明のアミノ酸配列、及び/又は本発明のアミノ酸配列を含む/発現する宿主細胞又は宿主生物を、試験化学物質と、前記試験化学物質と本発明の前記アミノ酸配列の間の相互作用を表わすシグナルが生成されうるように接触させること及び場合により、
b)そのようにして生成されうるシグナルを検出し、前記シグナルが前記アミノ酸配列の調節物質を特定すること
の工程を含む。
【0156】
そのようにして特定された調節物質は、代謝性疾患の予防及び/又は治療(のための医薬組成物の製造)において使用でき、及び/又は代謝性疾患の予防及び/又は治療(のための医薬組成物の製造)において使用できる他の化合物を開発するために、すなわち既に上記で概説したように、使用できる。
【0157】
本発明はまた、そのような方法における本発明のアミノ酸配列及び/又は宿主細胞/宿主生物の使用に関する。
【0158】
また、既に上述したように、配列番号7及び/又は9のヒトヌクレオチド配列及び/又はそれらに由来する配列(例えばここで上述したようなそれらの突然変異体、部分、フラグメント及び/又は融合物)、配列番号6及び/又は8のヒトアミノ酸配列及び/又はそれらに由来する配列(例えばここで上述したようなそれらの類似体、部分、フラグメント及び/又は融合物)、及びこれらを含む/発現する宿主細胞/宿主生物の使用は、通常好ましく、特に医薬用途のための化合物を開発するために本発明を使用するとき好ましい。
【0159】
既に上述したように、本発明のアミノ酸配列の調節物質として特定された及び/又は開発された化合物及び/又は因子(及び/又はそのような化合物の前駆体)は、医薬分野における活性物質として、例えば医薬組成物の製造において有用であると考えられ、そのような調節物質並びにそれらを含有する(医薬)組成物は、どちらも本発明のさらなる態様である。
【0160】
特に、本発明の化合物及び組成物は、代謝性疾患の予防(例えば予防法)及び/又は治療(ここでの目的のためにその最も広い意味において、そのような代謝性疾患の症状及び/又は合併症を予防すること、治療すること及び/又は緩和することも含む)(のための医薬組成物の製造)において使用しうる。
【0161】
特に、そのような化合物及び組成物は、代謝性疾患の予防(例えば予防法)及び/又は治療(ここでの目的のためにその最も広い意味において、そのような代謝性疾患の症状及び/又は合併症を予防すること、治療すること及び/又は緩和することも含む)(のための医薬組成物の製造)において使用しうる。
【0162】
特に、本発明の化合物及び組成物は、
−すべての形態の糖尿病及びインスリン抵抗性から生じる疾患、例えばI型及びII型糖尿病、並びに重症インスリン抵抗性、高インスリン血症、及び高脂血症、例えば肥満被験者、及びインスリン抵抗性糖尿病、例えばメンデンホール症候群、ヴェルナー症候群、妖精症、脂肪組織萎縮性糖尿病、及び他の脂肪組織萎縮症を含むがこれらに限定されない、(主として)インスリン(に対する応答又は感受性)に関連する高血糖状態及び/又は他の状態及び/又は疾患、
−高血糖状態及び/又は肥満によって引き起こされる又は通常関連する状態、例えば高血圧、骨粗しょう症及び/又は脂肪異栄養症、
−以下の状態
高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病、脂質代謝異常及び/又は肥満、のいくつかが共存する状態である、いわゆる「代謝症候群」(「シンドロームX」としても知られる)
を予防する及び/又は治療するために使用しうる。
【0163】
特に、本発明の化合物及び組成物は、糖尿病、特にI型及びII型糖尿病を予防する及び/又は治療するために使用しうる。「糖尿病」自体は、インスリンの不適切な産生又は利用を含む炭水化物代謝の進行性疾患を指し、高血糖と糖尿によって特徴づけられる。
【0164】
また、上述したように、本発明のアミノ酸配列及び特に本発明のヌクレオチド配列、より特定すると本発明のヒトアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、診断のために、例えば診断アッセイの一部として及び/又はそのようなアッセイを実施するためのキットの一部として(そのようなキットは少なくとも本発明のヌクレオチド配列を含み、適切に包装され(例えば適切な容器中に)、場合により、それ自体公知のそのようなキットのための1又はそれ以上エレメント、例えば適切な試薬、緩衝液又は他の溶媒及び使用のための指示書をさらに含みうる)、使用しうる。
【0165】
特に、本発明のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列、並びにそのような配列を使用するアッセイ及びキットは、上記で示した代謝性疾患の1又はそれ以上に関する診断目的のために、例えば個体において上記で言及した代謝性疾患の1又はそれ以上に関する特定突然変異及び/又は遺伝子マーカーの存在及び/又は不在を判定するため、個体において上記で言及した代謝性疾患のいずれかに対する感受性及び/又は素因を判定するため、何らかの遺伝的に決定された因子が個体において代謝性疾患に寄与する又はさらには代謝性疾患を引き起こす(全面的に又は部分的に)かどうかを判定するため、個体が罹患している代謝性疾患の種類を判定する及び/又は確認するため、及び/又は個体における代謝性疾患のさらなる進行を予測するためのアッセイとして、使用しうる。また、そのような診断方法又はアッセイを使用して得られる結果はまた、個体において代謝性疾患をどのように治療すべきであるか、例えばどのような食事療法に従うべきか及び/又はどのような薬剤を処方すべきか及び/又は使用すべき用量レジメンに関して、臨床医への指針を提供しうることは明らかである。
【0166】
また、ヒトにおける代謝性疾患の治療のために、使用する化合物は、通常及び好ましくは本発明のアミノ酸配列の阻害剤であるが、本発明は、その最も広い意味において、それに限定されない。
【0167】
本発明の1つの特定の、但し非限定的な実施形態では、化合物は、適切なアッセイ、例えば上記で言及したキナーゼ活性アッセイ(又は、例えば部分的又は完全精製タンパク質を使用する、その適切な改変法)において、前記化合物が前記アミノ酸配列の活性を低下させる、すなわち前記化合物の不在下での活性に比べて少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、例えば20%又はそれ以上低下させる場合、本発明のアミノ酸配列の1つの阻害剤とみなされる。
【0168】
本発明のさらに一層特定の、但し非限定的な実施形態では、化合物は、適切なアッセイ、例えば結合アッセイにおいて、前記化合物が1000μm未満、好ましくは500μm未満、より好ましくは250μM未満、さらに一層好ましくは100μm未満、例えば50μm以下、例えば約10μm以下のIC50値を有する場合、本発明のアミノ酸配列の1つの阻害剤とみなされる。
【0169】
やはり、好ましくは、本発明では、配列番号6及び/又は8のヒトアミノ酸配列、及び/又はそれらに由来するアミノ酸配列、例えば上述したような類似体、突然変異体、部分、フラグメント及び/又は融合物、の調節物質、特に阻害剤である化合物を使用する。
【0170】
医薬用途のために、本発明の化合物は、遊離酸又は塩基として、及び/又は製薬上許容される酸付加塩及び/又は塩基付加塩(例えば非毒性有機又は無機酸又は塩基で得られる)の形態で、水和物、溶媒和物及び/又は複合体の形態で、及び/又はプレドラッグ、例えばエステルの形態で、使用しうる。そのような塩、水和物、溶媒和物等及びそれらの製剤は当業者に明白である。例えばUS−A−6,372,778号、US−A−6,369,086号及びUS6,369,067号に述べられている塩、水和物、溶媒和物等が参照される。
【0171】
一般に、医薬用途のために、本発明の化合物は、少なくとも1つの本発明の化合物及び少なくとも1つの製薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤及び/又はアジュバント、及び場合により1又はそれ以上のさらなる医薬活性化合物を含有する医薬製剤として製剤化しうる。非限定的な例として、そのような製剤は、経口投与、非経口投与(例えば静脈内、筋肉内又は皮下注射あるいは静脈内注入による)、局所投与、吸入による投与、皮膚パッチによる投与、インプラントによる投与、坐薬による投与等に適する形態でありうる。そのような適切な投与形態−投与方式に依存して、固体、半固体又は液体でありうる−並びにその製剤における使用のための方法及び担体は、当業者には明白である。やはり、例えばUS−A−6,372,778号、US−A−3,696,086号及びUS6,369,067号が参照される。
【0172】
本発明の医薬製剤は、好ましくは単位投与形態であり、例えば箱、ブリスター、バイアル、ビン、小袋、アンプル又は他の何らかの適切なホルダー又は容器(適切にラベリングされうる)中に、場合により製品情報及び/又は使用のための指示書を含む1又はそれ以上のリーフレットと共に、適切に包装されうる。一般に、そのような単位投与形態は、単位投与形態につき少なくとも1つの本発明の化合物1〜500mg、例えば約10、25、50、100、200、500又は1000mgを含有する。
【0173】
医薬用途のために、少なくとも1つの本発明の化合物は、一般に、1又はそれ以上の1日用量に分けて、0.01〜150mg/kg患者体重/日の量で投与される。投与する量及びさらなる治療レジメンは、患者の年齢、性別及び全身状態及び治療する疾患/症状の性質と重症度に依存して、治療する臨床医によって決定されうる。
【0174】
そこで、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物(すなわちここで述べる線虫又は方法を使用して特定された、発見された及び/又は開発された化合物)及び少なくとも1つの適切な担体(すなわち医薬用途に適する担体)を含有する組成物、特に医薬用途のための組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物の製剤における本発明の化合物の使用に関する。
【0175】
好ましくは、本発明の化合物及び組成物は、経口的に及び/又は経口投与を意図する及び/又は経口投与に適する形態で投与される。
【0176】
また、上記化合物及び組成物は、獣医学分野においても価値を有しうると考えられ、前記獣医学分野は、ここでの目的のために、動物における疾患の予防及び/又は治療だけでなく、−経済的に重要な動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、魚類等のために−動物の成長及び/又は体重及び/又は動物から得られる食肉又は他の製品の量及び/又は質を高めることも包含する。それ故、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物(すなわちここで述べる線虫又は方法を使用して特定された、発見された及び/又は開発された化合物)及び少なくとも1つの適切な担体(すなわち獣医学用途に適する担体)を含有する、獣医学用途のための組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物の製剤における本発明の化合物の使用に関する。
【0177】
農芸化学分野では、本発明は、農薬、殺虫剤、殺線虫剤及び/又は他の殺菌剤又は植物保護剤における使用に適する化合物を特定するために使用しうる。例えば本発明の化合物は、US−A−6,372,774号に列挙されている種を防除するために使用しうる。このために、本発明の化合物(又はその適切な塩、水和物又はエステル)は、当業者には明白であるように(例えばUS−A−6,372,774号に述べられている製剤及び使用が参照される)、農芸化学用途に適する製剤を提供するために、1又はそれ以上の農芸化学上許容される担体と共に適切に製剤化しうる。
【0178】
それ故、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物(すなわちここで述べる線虫又は方法を使用して特定された、発見された及び/又は開発された化合物)及び少なくとも1つの適切な担体(すなわち農芸化学用途に適する担体)を含有する、農芸化学用途のための組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物の製剤における本発明の化合物の使用に関する。
【0179】
以下の非限定的な「実験部分」によって本発明をさらに説明する。
【0180】
(実験部分)
【0181】
以下の実験部分では、別段の指示がない限り、C.elegansを取り扱う及び培養するためのすべての工程は、標準手法及び手順を用いて実施し、これについては標準C.elegansハンドブック、例えばW.B. Woodら,"The nematode Caenorhabditis elegans", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988) ; D. L. Riddleら,"C.ELEGANS II", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1997) ; "Caenorhabditis elegans, Modern Biological analysis of an organism": H. Epstein及びD. Shakes編, Methods in Cell Biology, Vol 48,1995 ;並びに"C. elegans, a practical approach", I.A. Hope編, Oxford University Press Inc. New York, USA, 1999が参照される。
【0182】
C.elegansにおける対象遺伝子のダウンレギュレーションは、特に、出願人による国際特許出願WO00/01846号及び上記で言及したハンドブックにおいて一般的に述べられているように、対象遺伝子に対応するdsRNAを発現することができる大腸菌株を使用したRNAiフィーディング手法によって実施した。
【0183】
また、別段の指示がない限り、すべてのクローニング及び他の分子生物学工程は、標準手法及びプロトコールを使用して、すなわち使用した試薬/キットの製造者によって提供されるように及び/又は標準ハンドブック、例えばSambrookら, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" (第2版), 1-3巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)及びF. Ausubelら編,"Current protocols in molecular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)に述べられているように実施した。
【0184】
C.elegans daf−2(e1370)における脂肪蓄積を、Oggら, Nature, Vol. 389,994 (1997)によって述べられている一般的方法の改変を用いて、ナイルレッドによる染色後に顕微鏡下で視覚的に判定した。一般的方法については、 Thadenら, 1999 International Worm Meeting abstract 837 ; Ashrafi及びRuvkun, 2000 East Coast Worm Meeting abstract 67; Ashrafi, Chang及びRuvkun, 2001 International Worm Meeting abstract 325;並びにRottiers及びAntebi, 2001 International Worm Meeting abstract 620 (すべての抄録はWorm Literature Indexよりhttp://elegans. swmed. edu/wli/で入手可能である)も参照される。
【実施例1】
【0185】
Y38F1A.6二本鎖RNAの発現のための大腸菌RNAフィーディング株の調製
【0186】
C.elegans遺伝子Y38F1A.6のダウンレギュレーションのために、dsRNAの発現のためのベクターを以下のように調製した。
【0187】
C.elegans Y38F1A.6遺伝子の418ヌクレオチド(配列番号2)に対応する、配列番号5のDNAフラグメントを、以下のプライマーを使用して、ゲノムC.elegans DNAからPCRによって得た:
−フォワードプライマー:GATGATGTGC TCATTGAGCC AAC [配列番号3]
−リバースプライマー:ATATTTGGGA CGGAGTGGCT G [配列番号4]。
【0188】
このフラグメントを発現ベクターpGN49aのSrfI部位に挿入した(図1、いずれも出願人による、WO00/01846号及びイギリス特許出願第0012233号も参照のこと)。このベクターは、SrfI部位に隣接する2つのT7プロモーターを含み、T7ポリメラーゼを前記プロモーターに結合したとき、前記SrfI部位に挿入したヌクレオチド配列を二本鎖RNAに転写することを可能にする(WO00/01846号参照)。
【0189】
pGN49A−Y38F1A.6と称する、生じたベクターを、一晩、大腸菌株AB309−105に形質転換した(出願人によるEP−A−1 093 526号、第17頁参照)。
【0190】
培養物を規格化するために、一晩の培養物250μl(1ml)を96穴プレートに移し、600nmでODを測定して(Fluostar GalaxyプレートリーダーBMG)、残りの750μlを遠心分離した。次にペレットをS−コンプリートフェッド(S-complete fed)(0.1mg/mlアンピシリン及び1mM IPTGを添加したS−コンプリート)に再懸濁し、1のOD600値が得られるように容積を調整した。
【実施例2】
【0191】
C.elegansにおける脂肪蓄積表現型の作製−C.elegans遺伝子Y38F1A.6についてのP0スクリーニング
【0192】
この実施例では、温度感受性daf−2対立遺伝子e−1370を含むC.elegans菌株CB1370を使用した(Oggら, 上掲)。CB1370は、例えばthe Caenorhabditis Genetics Center (CGC), Minnesota, USAより公的に入手可能である。
【0193】
脂肪蓄積表現型を作製するために、CB1370系統のL1線虫を、線虫がL2期に達するまで、基本的に同調条件下で96穴プレートのウエル(ウエル当たりL1線虫40頭)においてS−コンプリートフェッド培地中15℃の温度で培養した。
【0194】
次に、温度を25℃に上げて、線虫をL4期に達するまで前記温度でさらに培養した(約36〜48時間)。daf−2対立遺伝子e−1370の存在のゆえに、15℃から25℃へのこの温度上昇は、主として腸及び皮下組織において、線虫に脂肪の蓄積を生じさせる(Oggら並びに図2A及び2B参照)。
【0195】
ナイルレッド染色によって脂肪の蓄積(小滴の形態)を目視できるようにした:L4動物をM9(0.1%PEGを添加した)で数回洗って、残存する大腸菌を除去し、MeOH(fc.33%)で固定した。固定後、線虫をナイルレッド(37.5%MeOH中fc0.375mM)で4時間染色した。M9(0.1%PEGを添加した)で数回洗ってMeOHと過剰の染料を除去した。500nmロングパスフィルターを用いてUV下で染色パターンを視覚化した。
【0196】
脂肪蓄積への遺伝子Y38F1A.6の影響を試験するため、上述した工程の間に、線虫を、食物ソースとして、実施例1で得た(OD600=1)、Y38F1A.6についてのRNAiフラグメントがその中に挿入されたpGN49Aベクターを含む規格化大腸菌株20μlで増殖させた。対照として、daf−2(e1370)線虫を同様にして、但し、食物ソースとして、Y38F1A.6についてのRNAiフラグメントが挿入されていないpGN49Aベクターを含む大腸菌株AB309−105を同じ量で使用して、増殖させた。すべての試料を4回ずつ試験した。
【0197】
結果は以下の通りであった。RNA干渉を通してY38F1A.6の発現をダウンレギュレーションする、大腸菌pGN49A−Y38F1A.6菌株を給餌した線虫は、対照と比較して、脂肪蓄積の強力な低下を示した(図2A及び2B参照)。
【0198】
これらの結果は、Y38F1A.6が線虫における脂肪蓄積の(daf−2依存性)調節に関与することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1は、ベクターpGN49Aを図式的に示す(いずれも出願人による、WO00/01846号及びイギリス特許出願第0012233号も参照)。
【図2】図2A及び2Bは、ナイルレッド染色後のC.elegansにおける低脂肪吸収表現型を示す写真(Scion Image(Scion Corp)ソフトウエアパッケージを用いて増強した)である:図2A=低い脂肪貯蔵(dsRNAダウンレギュレーションによる);図2B=対照(脂肪貯蔵低下なし、RNAiフラグメントを含まないベクターgGN29を用いて得られた結果)。
【配列表】
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、あるいは配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つの類似体、変異体、対立遺伝子、オーソログ、部分及び/又はフラグメントをコードする、基本的に単離された形態の核酸。
【請求項2】
配列番号2、7及び/又は9のヌクレオチド配列の1つ、あるいはその突然変異体、変異体、対立遺伝子、類似体、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを含む、基本的に単離された形態の核酸。
【請求項3】
請求項1及び/又は請求項2に記載の核酸及び、場合により、それ自体公知の遺伝子構築物の1又はそれ以上のさらなるエレメントを含む、遺伝子構築物。
【請求項4】
請求項1及び/又は請求項2に記載の核酸及び/又は請求項3に記載の遺伝子構築物で形質転換された及び/又はそれらを含む、宿主細胞又は宿主生物。
【請求項5】
配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、あるいはその類似体、変異体、対立遺伝子、類似体、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを発現する及び/又は生産する(ことができる)宿主細胞又は宿主生物。
【請求項6】
少なくとも、
a)請求項1及び/又は2に記載の核酸を適切な宿主細胞又は宿主生物において発現させること及び場合により、
b)そのようにして発現されたアミノ酸配列を単離すること
の工程を含む、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、又はその類似体、変異体、対立遺伝子、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを生産するための方法。
【請求項7】
少なくとも、
a)請求項4又は5に記載の宿主細胞又は宿主生物を、前記宿主細胞又は宿主生物が配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、あるいはその類似体、変異体、対立遺伝子、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを発現する又は生産する条件下に維持する及び/又は培養すること及び場合により、
b)そのようにして発現/生産されたアミノ酸配列を単離すること
の工程を含む、配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、あるいはその類似体、変異体、対立遺伝子、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを生産するための方法。
【請求項8】
配列番号1、6及び/又は8のアミノ酸配列の1つ、あるいはその類似体、変異体、対立遺伝子、オーソログ、部分及び/又はフラグメントを含む、基本的に単離された形態のタンパク質又はポリペプチド。
【請求項9】
少なくとも、
a)請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドあるいは請求項4又は5に記載の宿主細胞又は宿主生物を、試験化学物質と、前記試験化学物質と前記タンパク質又はポリペプチドの間の相互作用を表わすシグナルが生成されうるように接触させること及び場合により、
b)そのようにして生成されうるシグナルを検出すること
の工程を含む、試験物質と請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドの相互作用を表わすシグナルを生成するための方法。
【請求項10】
少なくとも、
a)請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドあるいは請求項4又は5に記載の宿主細胞又は宿主生物を、試験化学物質と、前記試験化学物質と前記タンパク質又はポリペプチドの間の相互作用を表わすシグナルが生成されうるように接触させること及び場合により、
b)そのようにして生成されうるシグナルを検出し、前記シグナルが前記アミノ酸配列の調節物質を特定すること
の工程を含む、例えば試験物質のセット又はライブラリーから、請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドの調節物質を特定するための方法。
【請求項11】
請求項1及び/又は2に記載の核酸、請求項4及び/又は5に記載の宿主細胞、請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチド、及び/又は請求項9及び/又は10に記載の方法を用いて特定される及び/又は開発される、請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドの調節物質。
【請求項12】
請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドの阻害剤である、請求項11に記載の調節物質。
【請求項13】
請求項11及び/又は12に記載の少なくとも1つの調節物質と少なくとも1つの製薬上許容される担体を含有する、医薬組成物。
【請求項14】
経口投与に適する及び/又は経口投与を意図される組成物である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物の製造における、請求項11及び/又は12に記載の調節物質の使用。
【請求項16】
代謝性疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造における、請求項11及び/又は12に記載の調節物質の使用。
【請求項17】
請求項8に記載のタンパク質又はポリペプチドに対する抗体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−527593(P2006−527593A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516446(P2006−516446)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002628
【国際公開番号】WO2004/113519
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505466723)デヴゲン エヌブイ (1)
【Fターム(参考)】