説明

代謝症候群の抑制のためのスファランサス・インディクスおよびガルシニア・マンゴスターナ由来の組成物

本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される医薬品/栄養補助食品/食品の成分ならびに、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて含むそれらの組成物に関する。当該成分および組成物は、肥満、代謝症候群、糖尿病および他の代謝障害の抑制、予防および治療のため、そしてエネルギー消費を調節するため、冠動脈および腹大動脈における動脈硬化性プラークを予防するため、インスリン感受性を増大させるため、耐糖能を改善するため、トリグリセリドレベルを低下させるため、および哺乳類におけるグルコースレベルのバランスを取るためにも、使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スファランサス・インディクス(Sphaeranthus indicus)由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分およびガルシニア・マンゴスターナ(Garcinia mangostana)由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって1つ以上の医薬的および食事療法的に許容される希釈剤、ビヒクル、担体および活性物質またはそれらの混合物を含有する新規な医薬品または栄養補助食品の組成物に関する。
【0002】
本発明はさらに、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画および活性化合物、植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分またはそれらの組成物であって、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画および活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせたものの、代謝症候群もしくは肥満、および/または代謝症候群および代謝障害に関連または随伴する1つ以上の疾患の徴候を抑制、予防および治療するための使用に関する。
【0003】
本発明は、代謝症候群、肥満および他の関連または随伴する病態に関連するバイオマーカータンパク質または代謝過程の1つ以上を、スファランサス・インディクス由来成分またはそれらの組成物により改善することにも関する。
【背景技術】
【0004】
スファランサス・インディクスはキク科に属する。これはゴラクムンディ(Gorakhmundi)としても知られる。これは高度に分岐し、翼状の茎および鋸歯状の翼弁を有する、香りの強い一年草である。葉は、倒卵形の楕円形で、根もとが細く、歯状および鋸歯状である。花は、複頭の球状卵円体である。開花期はインドの条件では11月から1月までに及ぶ。医学的に有用な部分は、根、皮、葉、花、および種子である。
【0005】
植物スファランサス・インディクスの開花結実頭部(flowering and fruiting head)は、3a−ヒドロキシ−5a,9−ジメチル−3−メチレン−3a,4,5,5a,6,7,8,9b−オクタヒドロ−3H−ナフト[1,2−b]フラン−2−オン(7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリドまたは7−ヒドロキシフルラノリド)を主化合物として含む。これは炎症性サイトカインを強力に阻害する。
【0006】
精油の主成分としてメチルカビコール、α−イオノン、δ−カジネン、p−メトキシ桂皮アルデヒドならびに副成分としてα−テルピネン、シトラールゲラニオール、酢酸ゲラニル、β−イオノン、スフェレン(sphaerene)、インディクセン(indicusene)およびスフェラントール(sphaeranthol)(Perfum.Essent.Oil Record.1959,50,765;Chem.Abstr.1960,54,7980g);7α−ヒドロキシオイデスム−4エン−6,12−オリド、そのβ−異性体、ジヒドロラクトン、新規セスキテルペン酸、2−ヒドロキシコスト酸、β−オイデスモールおよびイリシン酸(illicic acid)(Jayant S.Sohoni et al,J.Chem.Soc,Perkin Trans.1,1988,157−160);11−アルファ−13−ジヒドロ−3アルファ,7アルファ−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−6ベータ,7−オイデスマノリド、11アルファ,13−ジヒドロ−7アルファ−アセトキシ−3ベータ−ヒドロキシ−6ベータ,7−オイデスム−4−エノリドおよび3−ケト−ベータ−オイデスモールなどのオイデスマノイド類(Pujar PP et al,Fitoterapia.2000 Jun;71(3):264−8)ならびにセスキテルペングリコシド(Shekhani MS et al,1990;Phytochemistry 29,2573−2576)などのスファランサス・インディクス由来の複数の他の化合物が報告されている。
【0007】
スファランサス・インディクスの非特許文献のいくつかを以下に引用する:
茜草(Rubia cordifolia)、ウコン(Curcuma longa)、インドサルサパリラ(Hemidesmus indicus)、インドセンダン(Azadirachta indica)およびスファランサス・インディクスの抗炎症作用を評価する研究では、スファランサス(Sphaeranthus)は、多形核白血球(PMNL)および単球における座瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)の培養上清においてより誘発された炎症性サイトカインであるインターロイキン−8(IL−8)および腫瘍壊死因子α(TNFα)の抑制において有効であることが判明した[Jain A et.al.;Phytomedicine.2003 Jan;10(1):34−8]。
【0008】
スファランサス・インディクス・リン(Sphaeranthus indicus Linn)の頭花からの石油エーテル抽出物は、マウスにおいて試験した場合、貧食作用、血球凝集抗体価および遅延型過敏性の増加に有効であることが判った。石油抽出物は、用量反応関係を示した。200mg/kgの用量が至適用量であることが判った。スファランサスは、体液性および細胞性免疫ならびに食細胞機能の両方を刺激することによって免疫調節剤として作用する。[Bafna AR et.al;J Herb Pharmacother.2007;7(1):25−37]。
【0009】
研究では、ラットにおいて、デキサメタゾン(10mg/kg/日、s.c)により誘発される脂質プロフィールの変化に対するスファランサス・インディクス(300mg/kg/日、i.p)の水性抽出物の効果が調べられた。エス・インディクス(S.indicus)は、血清総コレステロール、トリグリセリド、LDL、VLDLで有意な減少を示し、HDLレベルにおいては有意な変化は見られなかった。アテローム発生指数もエス・インディクス投与後に有意に減少しており、したがってこのことはエス・インディクスが潜在的な脂質低下作用を有することを示している[Tenpe CR et al;Biomed.Vol.02(4),2008;400−403]。
【0010】
近年、別の研究で、ニコチンアミド[120mg kg(−1)i.p.]およびストレプトゾトシン(STZ)[60mgkg(−1)i.p]によって糖尿病になったラットにおけるスファランサス・インディクスの血糖降下作用が研究された。エス・インディクスを15日間経口投与すると、血糖値が有意に減少し、肝グリコーゲンおよび血漿インスリン値が増大した。エス・インディクスのアルコール抽出物を投与した空腹時の正常ラットは、経口グルコース負荷試験において有意な改善を示した。グリベンクラミドを基準物質として使用した[Prabhu KS et al;J Pharm Pharmacol.2008;60(7):909−16]。
【0011】
上記文献のうち、スファランサス・インディクスによる、代謝症候群に関連するバイオマーカーの改善または代謝症候群もしくは代謝症候群に随伴する病態に対する治療効果について記載するものはない。
【0012】
スファランサス・インディクスの水性抽出物は、Tenpe CRらの研究で使用され、そこでは有意量の7−ヒドロキシフルラノリドが含まれていなかったが、一方、本発明の組成物は、活性化合物として7−ヒドロキシフルラノリドを含む親油性抽出物を含有する。したがって、本発明の組成物は、Tenpe CRらの研究で用いられたものとは異なっている。同様に、根および芽茎のアルコール抽出物がPrabhu KSらの研究で使用されている。しかし、本発明の組成物は、頭花由来であって、主に7−ヒドロキシフルラノリドを含有し、したがって、Prabhu KSらの研究で用いられたものとは異なっている。
【0013】
スファランサスの特許文献のいくつかを以下に引用する:
PCT公開WO07036900A2は、生物活性マーカーとして、3a−ヒドロキシ−5a,9−ジメチル−3−メチレン−3a,4,5,5a,6,7,8,9b−オクタヒドロ−3H−ナフト[1,2−b]フラン−2−オン(7−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド)を含有する植物スファランサス・インディクスの開花結実頭部の抽出物を含む新規な薬草組成物に関する。該特許は、該組成物の製造法にも関する。
【0014】
日本国特許公開JP07138180A2は、インドセンダン(Azadirachta indica)、シトロネラソウ(Cymbopogon nardus)、オオバゲッキツ(Murraya koenigii)、スファランサス・インディクス(Sphaeranthus indicus)、カミメボウキ(Ocimum sanctum)、イボナシツヅラフジ(Tinospora cordifolia)およびフィランサス・ヌリリ(Phyllanthus nuriri)からなる群から選択される少なくとも1つの薬草から分離される抽出物を含むヒアルロニダーゼの阻害剤、ならびに老化予防ならびに小皺および皮膚の乾燥の予防が可能な化粧品としての使用に関する。
【0015】
PCT公開WO06134609A2は、植物スファランサス・インディクスの抽出物または植物スファランサス・インディクスから得られる化合物群を含む薬草抗癌剤を開示する。これはまた、該薬剤を含む医薬組成物、当該組成物の調製法、ヒトをはじめとする哺乳類におけるあらゆる種類の癌を治療する方法、植物抽出物の調製法および活性成分を得るための方法も開示する。
【0016】
PCT公開WO06016228A2は、腫瘍疾患の予防および/または治療のための医薬製剤または食品サプリメントを調製するための、スファランサス種の植物由来の有効成分中に存在する化合物または化合物群に関する。該発明はさらに、癌の予防および/または治療において有効なスファランサス植物部分から活性成分を単離するための新規な方法にも関する。
【0017】
米国特許第US7344738号は、2つの薬草組成物の組み合わせ(以下の薬草:ワサビノキ(Moringa oleifera)、ナハカノコソウ(Boerhavia diffusa)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum)、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)、スファランサス・インディクス(Spheranthus indicus)、ロヒダ(Tecomella undulata)、クロロフィツム(Chlorophytum borivilianum)、ウドンゲ(Ficus racemosa)、およびハマスゲ(Cyperus rotundus)の混合物、またはこれらの薬草から抽出もしくは化学的に合成された活性成分の混合物を含むものを包含する)を含む医薬用または医療用製剤を提供する。この薬草製剤は、免疫系の衰弱または低下から起こる人体における広範囲の生理学的および病的状態の治療に有効である。
【0018】
本発明の新規組成物においても用いられるガルシニア・マンゴスターナは、オトギリソウ(Guttiferae)科に属する。ガルシニア(Garcinia)は、北米(現地ではレーディア(Rheedia)としても知られる)、アフリカ、マダガスカル、および東南アジアに分布するおよそ300種の雌雄異株木および灌木からなる。この属の種の多様性のほとんどはマレーシアに集中し、この属の種の2/3超はマレーシアで発見されている[http://www.mobot.org/MOBOT/Research/mangosteen/]。
【0019】
マンゴスチンは、ガルシニア・マンゴスターナ中の主要化合物である。マンゴスチンの構造は、Peter Yatesらによって確証された[Peter Yates,George H.Stout;J.Am.Chem.Soc;1958;80(7);1691−1700]。
【0020】
抗炎症性[Gopalakrishnan C et al.,Indian J Exp Biol.1980 Aug;18(8):843−6]、ヒスタミンおよびセロトニン受容体遮断薬[Chairungsrilerd N et al.,Planta Med.1996 Oct;62(5):471−2]、抗癌剤[Ee GC et al.,J Asian Nat Prod Res.2008 May;10(5):481−5]、抗菌剤[Sundaram B.M.,et al.;Planta Med.1983;48:59−60]等、複数の薬理活性がマンゴスチンについて報告され、新規な活性を調査するために多数の研究が行われている。
【0021】
ガルシニア(Garcinia)の非特許文献のいくつかを以下に引用する:
アッセイ誘導分画研究(assay guided fractionation study)において、混合溶媒抽出およびAmberlite XAD2吸着クロマトグラフィーを用いた親油性から親水性の異なる分画が研究された。マンゴスチン果皮抽出物をアルファ−アミラーゼ抑制活性について試験し、キサントンは阻害活性を有さないと結論付けられたが、親水性分画からのオリゴマープロアントシアニジンはアルファ−アミラーゼの阻害において56倍有効であると報告されている。[Eng Kiat Loo A,Huang D.;J Agric Food Chem.2007 Nov 28;55(24):9805−10]。
【0022】
前述の研究[Eng Kiat Loo et al,2007]において、アルファ−アミラーゼ阻害活性はオリゴマープロアントシアニジンによるものであったことを理解することは重要である。さらに、キサントン分画はアルファ−アミラーゼ抑制活性を有さないと記載された。したがって、この従来技術の論文の抽出物または分画の活性に関与する活性化合物は、本発明のものとは異なる。
【0023】
別の研究では、研究者らは、ジー・マンゴスターナ(G.mangostana)のアルドース還元酵素(ALR2)阻害効果を測定した。α−マンゴスチンは、ALR2に対して有効であることが判った。α−マンゴスチンは糖尿病合併症の予防に有用であると結論付けられた[Sri Fatmawatia et al.,Biology,Chemistry,Pharmacology and Clinical Studies of Asian Plants April 9−11,2007,Surabaya,Indonesia]。
【0024】
従来技術の大まかな再検討により、代謝症候群を治療するため、または代謝マーカータンパク質を改善するための、スファランサス・インディクスおよびガルシニア・マンゴスターナを含む組成物の使用に関する情報はないことが明らかである。
【0025】
代謝症候群は、X症候群、インスリン抵抗性症候群および代謝障害性症候群としても知られており、アテローム性動脈硬化症、脳卒中および糖尿病を増加させる病的状態の群である。
【0026】
代謝症候群は、Reavenにより、肥満、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血圧および高脂質血症を包含する、相互に関連する一般的な臨床的障害群として1988年にはじめて記載された[Reaven,(1988)Diabetes 37;1595−1607]。
【0027】
代謝症候群を診断するための基準は、2001年の米国コレステロール教育プログラムの成人治療パネルIII(ATP−III)(The Adult Treatment Panel−III(ATP−(III)of the National Cholesterol Education Program in 2001)によって確立された[JAMA(2001),285;2486−2497]。代謝症候群に罹患した個人を特定するために、腹部肥満、空腹時血糖値の異常、高トリグリセリド(TG)、低HDLコレステロール(HDL−C)濃度および血圧上昇を含む5つの基準がこのパネルによって選択された。この成分のうちのいずれか3つが個体において存在するならば、代謝症候群と診断される。
【0028】
代謝症候群を抑制するための薬剤を開発するために多数の研究が10年にわたって実施されている。この症候群を抑制するために代謝マーカーの適用も試みられている。
【0029】
代謝症候群の人は、冠動脈性心疾患、動脈壁におけるプラークの蓄積に関連する他の疾患(例えば、脳卒中および末梢血管疾患)ならびに2型糖尿病の危険性が高い。
【0030】
複数の生物学的状態も代謝症候群のマーカーと見なされ、これらには、高尿酸血症[Vuorinen−Markkola H et al;J Clin Endocrinol Metab.1994;78(1):25−9.];高トリグリセリド血症[Grundy SM.;Am J Cardiol.1998;81(4A):18B−25B];低アディポネクチン血症[Stern N et al;J Cardiometab Syndr.2007;2(4):288−94];微量アルブミン尿[Brahimi M et al;Arch Mal Coeur Vaiss.2007;100(8):673−6.]が含まれる。
【0031】
代謝症候群の治療および治癒について言及する複数の特許を以下に記載する。
【0032】
PCT公開WO08086403A1は、クロモンの同定および単離、ならびに脂肪細胞によるアディポネクチン産生の増大および脂肪酸生合成に関与する遺伝子の調節に有効な植物源由来の新規なクロモン組成物について記載する。この発明は、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、代謝症候群、高脂質血症、および高トリグリセリド血症を包含するがこれらに限定されない種々の疾患および状態の予防および治療のための方法も包含する。
【0033】
PCT公開WO08074935A2は、代謝障害、肥満および/またはこれらに随伴する疾患、例えばX症候群(代謝症候群)、2型糖尿病の予防もしくは治療、あるいは人間もしくは動物用の食品添加物の製造に有用な、植物から得ることができる組成物および生成物、例えば抽出物、分画および/または分子に関する。
【0034】
PCT公開WO08093848A1は、炎症マーカーの増加によって誘発される身体機能における障害を予防または改善することができ、代謝症候群の発生または疾患および代謝症候群の危険性を減少させることができ、そして健康な状態を維持または促進することができる、経口投与または口腔投与用の大豆由来のホスファチジルコリンを含む医薬品、機能性食品、および経口組成物を開示する。
【0035】
前述の情報および複数の他の文書に基づいて、本発明者等は、代謝症候群および複数の他の随伴および関連する疾患を抑制するために有効に使用できる有効な天然組成物が必要であると感じている。
【0036】
本発明者等の知識によれば、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画もしくは活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分と組み合わせた、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画もしくは活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分およびそれらの組成物の、肥満、代謝症候群および他の代謝障害に随伴または関連する病態の抑制、予防および治療の改善のための使用に関連する従来技術はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】PCT公開WO07036900A2
【特許文献2】日本国特許公開JP07138180A2
【特許文献3】PCT公開WO06134609A2
【特許文献4】PCT公開WO06016228A2
【特許文献5】米国特許第US7344738号
【特許文献6】PCT公開WO08086403A1
【特許文献7】PCT公開WO08074935A2
【特許文献8】PCT公開WO08093848A1
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】Perfum.Essent.Oil Record.1959,50,765;Chem.Abstr.1960,54,798Og
【非特許文献2】Jayant S.Sohoni et al,J.Chem.Soc,Perkin Trans.1,1988,157−160
【非特許文献3】Pujar PP et al,Fitoterapia.2000 Jun;71(3):264−8
【非特許文献4】Shekhani MS et al,1990;Phytochemistry 29,2573−2576
【非特許文献5】Jain A et.al.;Phytomedicine.2003 Jan;10(1):34−8
【非特許文献6】Bafna AR et.al;J Herb Pharmacother.2007;7(1):25−37
【非特許文献7】Tenpe CR et al;Biomed.Vol.02(4),2008;400−403
【非特許文献8】Prabhu KS et al;J Pharm Pharmacol.2008;60(7):909−16
【非特許文献9】Peter Yates,George H.Stout;J.Am.Chem.Soc;1958;80(7);1691−1700
【非特許文献10】Gopalakrishnan C et al.,Indian J Exp Biol.1980 Aug;18(8):843−6
【非特許文献11】Chairungsrilerd N et al.,Planta Med.1996 Oct;62(5):471−2
【非特許文献12】Ee GC et al.,J Asian Nat Prod Res.2008 May;10(5):481−5
【非特許文献13】Sundaram B.M.,et al.;Planta Med.1983;48:59−60
【非特許文献14】Eng Kiat Loo A,Huang D.;J Agric Food Chem.2007 Nov 28;55(24):9805−10
【非特許文献15】Sri Fatmawatia et al.,Biology,Chemistry,Pharmacology and Clinical Studies of Asian Plants April 9−11,2007,Surabaya,Indonesia
【非特許文献16】Reaven,(1988)Diabetes 37;1595−1607
【非特許文献17】JAMA(2001),285;2486−2497
【非特許文献18】Vuorinen−Markkola H et al;J Clin Endocrinol Metab.1994;78(1):25−9.
【非特許文献19】Grundy SM.;Am J Cardiol.1998;81(4A):18B−25B
【非特許文献20】Stern N et al;J Cardiometab Syndr.2007;2(4):288−94
【非特許文献21】Brahimi M et al;Arch Mal Coeur Vaiss.2007;100(8):673−6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0039】
第一の態様では、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって、1つ以上の医薬品としておよび食餌療法的に許容される植物化学活性物質、希釈剤、ビヒクル、担体および活性物質またはそれらの混合物を含有する新規な医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0040】
他の主要な態様では、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物であって、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画および活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせられたものの、代謝症候群もしくは肥満、および/または代謝症候群に関連または随伴する1つ以上の疾患の徴候の抑制、予防および治療のための使用を提供する。
【0041】
他の態様において、本発明は、例えばこれらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL(Ox−LDL)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3AR)、ペリリピン、アディポネクチンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)をはじめとする、代謝症候群、肥満および代謝症候群に随伴する病態に関連または随伴する1つ以上の生物学的マーカータンパク質の発現または産生を改善するための、抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質から選択されるスファランサス・インディクス由来成分もしくはそれらの混合物またはそれらの組成物であって、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせられたものを提供する。
【0042】
さらなる態様において、本発明は、脂質分解の促進、ならびに脂肪生成、アルファ−アミラーゼ酵素およびアルファ−グルコシダーゼ酵素活性の阻害などの代謝過程の改善のための、抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択されるスファランサス・インディクス由来成分またはそれらの組成物であって、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画および活性化合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせられたものを提供する。
【0043】
本発明の主要な態様において、医薬品/栄養補助食品/食品の成分は、代謝症候群または肥満、および/または代謝症候群に関連または随伴する1つ以上の疾患の兆候の抑制、予防および治療のための、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、純粋な化合物もしくは植物化学物質または該成分を含んだ組成物を含む。
【0044】
本発明の他の主要な態様において、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは濃縮分画もしくは純粋な化合物またはそれらの混合物は、単独で、または医薬品としてもしくは食事療法的に許容されるビヒクルもしくは担体もしくは希釈剤またはそれらの混合物と組み合わせて、代謝症候群または肥満および/またはこれらに関連もしくは随伴する1つ以上の病態の予防、抑制および治療のために用いることができる。
【0045】
本発明のさらなる態様において、代謝症候群および肥満ならびに他の関連する状態の予防、抑制および治療のための、スファランサス・インディクスの活性に関与する活性化合物としては、7−ヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−6β,7−オイデスマノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−アセトキシ−3β−ヒドロキシ−6β,7−オイデスム−4−エノリド;3−ケト−β−オイデスモール;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシオイデス−4−エン−6α,12−オリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α,13−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α,−ヒドロキシ−13−メタオキシフルラノリド;2α,7α−ジヒドロキシ−4−エン−11,13−ジヒドロオイデスン−6,12−オリド;2α−ヒドロキシコスト酸;3ケト,7α−ヒドロキシオイデスム−4−エン−6,12−オリド(クリプトメリジオール);4−エピクリプトメリジオール;スフェランタノリド;2α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシスフェラントリド;2α,7α−ジヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−7α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−5α−ヒドロキシイソスフェラントリド等、好ましくは7−ヒドロキシフルラノリドもしくは関連する化合物またはその類似体あるいはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
他の態様において、本発明で使用される7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリド)の供給源は、スファランサス・インディクスまたは任意の植物源または合成であり得る。
【0047】
本発明の他の態様では、スファランサス・インディクス由来成分およびそれらの組成物を、これらに限定されるものではないが、代謝症候群、肥満、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、インスリン抵抗性から選択される1つ以上の状態の予防、治療および抑制、エネルギー消費の調節、冠動脈および腹大動脈における動脈硬化性プラークの予防、インスリン感受性の増大、耐糖能の改善、トリグリセリドレベルの低下および哺乳類におけるグルコースレベルの均衡のために有効に使用することができる。
【0048】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、相乗作用を生じさせるためにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて含む、代謝症候群または代謝症候群に随伴する病態の予防または抑制または治療のため、および代謝症候群もしくは代謝症候群に随伴する病態に関連する異なる生物学的マーカータンパク質の産生の改善のための組成物を提供する。
【0049】
他の態様において、本発明は、代謝症候群、肥満および代謝症候群に随伴または関連する他の病態、特に、哺乳類におけるインスリン抵抗性が媒介する疾患および状態の予防、治療および抑制のための方法を提供し、この方法は、それを必要とする対象に有効量の、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される医薬品または栄養補助食品(場合によって、医薬的または食事療法的に許容されるビヒクル、担体、希釈剤および活性物質ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む)を投与することを含む。
【0050】
他の態様において、本発明は、代謝症候群、肥満および代謝症候群に随伴または関連する他の病態、特に、哺乳類においてインスリン抵抗性が媒介する疾患および状態の予防、治療および抑制のための方法を提供し、この方法は、それを必要とする対象に、有効量の、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される医薬品または栄養補助食品(好ましくは、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、濃縮分画または純粋な化合物から選択される少なくとも1つの成分との組み合わせであり、場合によって、医薬的または食事療法的に許容されるビヒクル、担体、希釈剤および活性化合物ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む)を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)により得られるA2058ヒト黒色腫細胞培養上清中のMMP−1の減少率(%)を示す棒グラフである。A2058細胞を、表示のように、24時間異なる濃度のLI/DD−II/054A/01の存在下または非存在下で、50nMのPMAで誘発させた。MMP−1 ELISA Development Kit(R&D System,Minneapolis,MN,USA)を用いて、無細胞培養上清中の分泌されたMMP−1濃度を測定した。培養上清中のMMP−1濃度は、既知の濃度のMMP−1を用いて作製した標準曲線から定量的に推定した。各濃度の試験化合物でのMMP−1阻害(%)を式:{(PMA誘発ウェル中のMMP−1の濃度−試験ウェル中のMMP−1の濃度)×100}÷PMA誘発ウェル中のMMP−1の濃度から計算した。
【図2】スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)によって得られたA549ヒト肺腫瘍細胞培養上清中のMMP−3濃度における減少(%)を示す棒グラフである。A549細胞を、表示のように異なる濃度のLI/DD−II/054A/01の存在下または非存在下で、24時間、10ng/mlのヒトIL−1βで誘発させた。MMP−3 ELISA Development Kit(R&D System,Minneapolis,MN,USA)を用いて、無細胞培養上清中の分泌されたMMP−3濃度を測定した。培養上清中のMMP−3濃度は、既知の濃度のMMP−3を用いて作製した標準曲線から定量的に推定した。各濃度の試験化合物でのMMP−3阻害(%)は、式:{(IL−1β誘発ウェル中のMMP−3の濃度−試験ウェル中のMMP−3の濃度)×100}÷IL−1β誘発ウェル中のMMP−3の濃度から計算した。
【図3】スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−H/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)による3T3−L1脂肪細胞における脂肪生成および脂質分解プロセスのマーカータンパク質の調節を示す図である。代表的なイムノブロットは、PPARγ(A)、ADRP(B)、CD36(C)、aP2(D)、β3AR(E)およびペリリピン(F)などの種々のマーカータンパク質の下方調節を示す。3T3−L1マウス前脂肪細胞を、表示のように異なる濃度のLI/DD−II/054A/01またはLI054A01の存在下または非存在下で分化させた。ビヒクル対照培養には同様の濃度のDMSOのみを添加した。アクチンタンパク質の発現を内部対照として各ブロットにおいて評価した。各タンパク質の発現をデンシトメトリーによって測定し、アクチン発現で正規化した。比較レベルを棒グラフとして表す(側方のパネル)。
【図4】スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)によるマクロファージ細胞における高グルコース誘発性CD36発現の下方調節を表す図である。J774マウスマクロファージ細胞を、表示のように種々の濃度のLI/DD−II/054A/01または1μg/mlのLI054A01の存在下または非存在下で5日間、高グルコース(600mg/dL)に曝露した。対照培養には低グルコース(100mg/dL)を添加した。代表的なイムノブロットアッセイは、CD36タンパク質の下方調節を示す。アクチンタンパク質の発現を内部対照と見なす。棒グラフは、アクチンタンパク質で正規化したCD36発現を示す(下側のパネル)。
【図5】表示のようにガルシニア・マンゴスターナのメタノール抽出物(AR933)で処理された3T3−L1脂肪細胞におけるPPARγ(A)、ADRP(B)、aP2(C)、CD36(D)、ペリリピン(E)およびβ3AR(F)タンパク質発現の調節を示す代表的なイムノブロットである。タンパク質発現をデンシトメトリーによって解析し、アクチン発現で正規化した。各パネル中の棒グラフは、任意単位で正規化されたタンパク質発現を示す。棒グラフにおいて、棒は、それぞれビヒクル対照(a)、2.5μg/ml(b)および5.0μg/ml(c)のAR933で処理された細胞におけるタンパク質発現を表す。
【図6】表示のように、スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)もしくはガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)またはこれら2種の抽出物を含む組成物1Bのいずれかで処理された3T3−L1脂肪細胞におけるPPARγ(A)、ADRP(B)、aP2(C)、CD36(D)、ペリリピン(E)およびβ3AR(F)タンパク質発現の調節を示す代表的なイムノブロットである。タンパク質発現をデンシトメトリーによって解析し、アクチン発現で正規化した。各パネル中の棒グラフは、任意単位で正規化タンパク質発現を示す。棒グラフにおいて、棒は、ビヒクル対照(a)、LI/DD−II/054A/01(b)、AR933(c)および組成物1B(d)で処理した細胞におけるタンパク質発現を表す。
【図7】スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)もしくはガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)または組成物1Bのいずれかで処理された高グルコース誘発性マクロファージ細胞におけるアテローム硬化性マーカーの下方調節を示す代表的なイムノブロットである。イムノブロットは、CD36(A)、MCP−1(B)およびOx−LDL(C)タンパク質発現の下方調節を示す。アクチンタンパク質の発現は、負荷対照と見なされる。各パネル中の棒グラフは、正規化されたタンパク質発現を示す。棒は、a:グルコース(100mg/dL)、b:グルコース(600mg/dL)、c:LI/DD−II/054A/01(5μg/ml)、d:AR933(5μg/ml)、およびe:組成物1B(5μg/ml)の発現レベルを表す。
【図8】5μg/mlの、LI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bのいずれかで処理された3T3−L1脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質の過剰発現を示す代表的なイムノブロットである。タンパク質発現をデンシトメトリーによって解析し、アクチン発現で正規化した。各パネル中の棒グラフは、任意単位の正規化タンパク質発現を示す。棒グラフにおいて、棒は、ビヒクル対照(a)、LI/DD−II/054A/01(b)、AR933(c)および組成物1B(d)で処理された細胞におけるタンパク質発現を表す。
【図9】5μg/mlの、LI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bのいずれかで処理された3T3−L1脂肪細胞におけるPTP−1Bタンパク質発現の下方調節を示す代表的なイムノブロットである。タンパク質発現をデンシトメトリーによって解析し、アクチン発現で正規化した。各パネル中の棒グラフは、任意単位で正規化タンパク質発現を示す。棒グラフにおいて、棒は、ビヒクル対照(a)、LI/DD−II/054A/01(b)、AR933(c)および組成物1B(d)で処理された細胞におけるタンパク質発現を表す。
【図10A】治療の1週から8週までの、LI/DD−II/054A/01を追加しなかった(1)あるいは追加した(2)SDラットのHFD誘発性代謝症候群モデルにおける平均体重増加の棒グラフ表示である。各棒は、平均±SDを表す(*p<0.05)。
【図10B】LI/DD−II/054A/01追加した(2)または追加しなかった(1)のSDラットの食餌誘発性代謝症候群モデルにおける体重の折れ線グラフ表示である。それぞれの線は、8週間の治療期間中の平均体重増加における変化を示す。
【図11】Sprague Dawleyラットの食餌誘発性代謝症候群モデルにおける血清アディポネクチン濃度の増加の棒グラフ表示である。それぞれの棒は、グラフに示すように、ビヒクル(1)またはLI/DD−II/054A/01(2)のいずれかでの治療の0日および56日後の血清アディポネクチン濃度の平均±SDを示す。N=6、*は統計的有意性を示す(t検定、8週対0週)。
【図12】Sprague DawleyラットのLI/DD−II/054A/01を追加した代謝症候群モデルにおけるHOMA指数の減少の棒グラフ表示である。それぞれの棒は、ビヒクル(1)または250mg/kgのLI/DD−II/054A/01(2)のいずれかを追加した0週および8週でのHOMA指数の平均±SD(任意単位)を示す。N=6;*は統計的有意性を示す(t検定、8週でのLI/DD−II/054A/01群対対照)。
【図13】Sprague Dawleyラットの食餌誘発性肥満モデルにおける体重の減少率(%)の棒グラフ表示である。棒1〜5は、LI/DD−II/054A/03(100mg/kg)、LI/DD−II/054A/03(250mg/kg)、AR933(250mg/kg)、組成物1D(250mg/kg)およびシブトラミン(7mg/kg)をそれぞれ追加した治療群における体重の減少率(%)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
肥満とは、エネルギー摂取とエネルギー消費との間の不均衡の結果として、特定の年齢、性別および身長に照らして過剰な体重である。肥満の主原因は、過食、運動不足または摂食障害、いくつかの遺伝性障害、基礎疾患(例えば、甲状腺機能低下症)、ある一定の薬物治療または座りがちなライフスタイルのいずれかによる。肥満は、高血圧、高脂質血症(例えば、高い総コレステロールまたは高トリグリセリドレベル)、2型糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠障害、呼吸障害、腫瘍(子宮内膜、乳房、および結腸)、動脈硬化症ならびに心不全などの多数の疾患および健康状態の危険性を増大させる。
【0053】
代謝症候群は、心臓病の危険性を増大させる一連の障害を含む状態である。代謝症候群の主成分は、過剰体重、心血管系パラメータ(高血圧、高脂質血症、血液中の高トリグリセリドレベルおよび低HDLレベル)、アテローム性動脈硬化症、糖尿病およびインスリン抵抗性である。これらの成分の複数、すなわち代謝症候群に罹っている対象は、それぞれの成分は危険因子であるが、心臓病に高度に罹患しやすい。
【0054】
脂肪細胞およびマクロファージは、代謝症候群およびこれらに随伴する疾患成分の発症において重要な役割を果たす。これらはいずれも、食菌および殺菌、ならびに腫瘍壊死因子(TNF)およびインターロイキン−1(IL−I)などのサイトカイン分泌の能力をはじめとする多数の共通の特性を共有する。サイトカイン、炎症分子、および脂肪酸トランスポーターの発現の調節に関与する脂肪細胞中の重要な転写因子も発現され、これらはマクロファージにおいて類似した生物学的作用を有する。例えば、PPAR(リガンド活性化転写因子の核受容体超科のメンバー)の活性化は、両種類の細胞の分化に随伴する。脂肪細胞において、PPARは、脂肪細胞発生およびグルコース恒常性を調節する。マクロファージでは、PPARは、炎症遺伝子の発現を調節し、アテローム硬化性病巣の発生に関与する。
【0055】
マクロファージは、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)を、代謝症候群と関連するある疾患条件下で過剰発現する。同様に、脂肪細胞は、肥満発症中に脂肪を蓄積することに加えて、身体全体にわたって強力な効果を有する複数の低分子量生物活性タンパク質分子を産生し、循環させる。これらのタンパク質マーカーは、代謝症候群の異なる成分と関連する。これらに限定されるものではないが、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチンおよびペリリピンを包含する、これらの代謝マーカーの複数の発現および産生は、肥満および代謝症候群ならびに代謝症候群に関連する他の病態の間に異常になる。
【0056】
アテローム性動脈硬化症(冠動脈性心疾患(CHD)としても知られる)は、主な血管合併症の1つであり、ヒトの健康に多大な影響を及ぼす代謝症候群の重要な成分である。これは、変性リポタンパク質、一次酸化低密度リポタンパク質(OxLDL)に対する慢性炎症反応である。アテローム性動脈硬化症は、血管壁マクロファージにより脂質が取り込まれ、泡沫細胞の発生に至り、またサイトカインおよびケモカインの同化の結果、平滑筋細胞が増殖する結果として発症すると考えられる(Berliner,J.A.,Circulation,91:2488−2496,1995,Boring,L.,et. al.,Nature,394:894−897,1998)。分化クラスター36(CD36)タンパク質は、アテローム性動脈硬化症のプロセスにおいて重要な役割を果たすことが証明されている。
【0057】
代謝症候群および随伴する病態の発症および抑制に関与する代謝バイオマーカー分子、消化酵素および代謝過程の複数の簡単な説明を以下に概説する:
【0058】
1.マトリックスメタロプロテイナーゼ:
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、組織中の細胞間の空間で通常見られる、コラーゲンなどのあらゆる種類の細胞外マトリックスタンパク質を分解することができる、亜鉛依存性エンドペプチダーゼである。MMPは主に3つの主要な群:コラゲナーゼから形成される線維芽細胞コラゲナーゼ−1(MMP−1)、ゼラチナーゼA(MMP−2)およびゼラチナーゼB(MMP−9)を含むゼラチナーゼ、ストロメリシン−1(MMP−3)およびマトリリシン(MMP−7)を含むストロメリシンに分類される。過剰のメタロプロテイナーゼは、コラーゲン、プロテオグリコンおよびゼラチンなどの生体分子の分解をもたらし、このことは表皮に対して致命的効果を及ぼす可能性があり、また軟骨の疾患、炎症等も生じる可能性がある。
【0059】
MMPは、冠動脈疾患(CAD)の発症、特に急性冠動脈症候群(ACS)の発生に関与すると考えられる。研究では、MMPおよびそれらの組織阻害物質(TIMP)の発現および調節を若年性CADにおいて評価した。臨床研究では80人の患者(49人はACSであり、31人は安定型CADである)および40人の対照におけるMMP−2、MMP−3およびMMP−9、TIMP−1、およびTIMP−2の血漿濃度/活性を評価し、若年性CADにおけるMMPおよびTIMP血漿レベルは、遺伝的多型ではなく、炎症および代謝障害の臨床像およびマーカーに関連すると結論付けられている。同様に、マクロファージ活性(単球走化性タンパク質−1、ネオプテリン)、組織改造(マトリックスメタロプロテイナーゼ−9)および血栓症(組織因子)関連バイオマーカーは、安定型冠動脈疾患(CAD)と比較して、急性冠動脈症候群(ACS)において一貫して上昇することが判った。
【0060】
肥満および脂肪組織の発生におけるMMPの役割[正の役割と負の役割との両方]が複数の研究者によって調査されている。いくつかを以下に引用する:
研究では、研究者等は2つの遺伝性肥満モデル(ob/obおよびdb/dbマウス)ならびに食餌誘導性肥満モデル(AKRマウス)においてノザンブロットおよびリアルタイムPCRによりMMPおよびTIMPの差示的発現を研究した。彼らは、MMP−2、MMP−3、MMP−12、MMP−14、MMP−19、およびTIMP−1のmRNAレベルは、脂肪のない組織と比較して肥満脂肪組織で強力に誘発されると結論付けている[Chavey C et al.,J Biol Chem. 2003;278(14):11888−96]。
【0061】
栄養的に誘発した肥満マウスに関する同様の研究では、MMP−3、MMP−11、MMP−12、MMP−13、およびMMP−14ならびにTIMP−1のmRNAの発現は、標準的食餌を与えたものと比較した場合、上方調節されることが判った。インビトロ研究では、脂肪生成が合成MMP阻害剤の存在下で減少することも観察された[Maquoi E et al.,Diabetes. 2002;51(4):1093−101]。
【0062】
2.ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)−γ:
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)は、肥満および糖尿病において極めて重要な役割を果たす核内受容体である。脂肪組織量における増加は、脂肪生成のプロセスによる新しい脂肪細胞の産生および細胞あたりの細胞質トリグリセリドまたは脂肪滴の沈着の増加の結果であり得る。脂肪生成プロセスでは、前脂肪細胞すなわち脂肪細胞の前駆体の増殖に続いて、これらの細胞が成熟脂肪細胞表現型に分化する。PPARγは主に脂肪組織中で発現され、ここで、脂肪細胞分化および脂肪沈着において重要な役割を果たすことが知られている。一方、PPARγの活性化は、インスリン作用の改善をもたらす。PPARγは、トログリタゾン(Rezulin)、ロシグリタゾン(Avandia)、およびピオグリタゾン(Actos)などのチアゾリジンジオン(TZD)クラスの抗糖尿病薬の分子標的である。脂肪組織発生およびインスリン感受性は、PPARγ2ノックアウトマウスにおいて大きく損なわれることが判明し、このことは、これが肥満および糖尿病に関与することを示す。PPARγは、脂質貯蔵および代謝に必要な酵素の産生に対する影響による脂肪細胞分化に加えて、脂肪酸取り込みおよび脂質生成における主要調節因子である(Zhang,J.,Proceedings of National Academy Sciences 2004;101;10703−10708,2004)。
【0063】
3.脂肪分化関連タンパク質(ADRP):
ADRPは50kDタンパク質であり、そのmRNA(ADRP mRNA)(1.7Kbの大きさ)は、脂肪組織において高レベルで発現される。ADRPの発現は、未分化脂肪細胞では非常に低いが、ADRP mRNAは、脂肪分化プロセスの開始後数時間で50〜100倍に達する。ADRPは、脂質を蓄積または合成する異なる種類の細胞および組織においても見られる。したがって、上記事項は、脂肪細胞および他の細胞における脂肪滴の形成または安定化におけるADRPの可能な役割を示す。ADRPは、脂肪組織による長鎖脂肪酸の取り込みを特異的に増大させる。したがって、ADRPは、ADRPの発現の調節により肥満および糖尿病を潜在的に抑制できる化合物を特定するための重要な標的である。
【0064】
4.脂肪細胞CD36:
CD36は、脂肪細胞とマクロファージとの両方で発現される共通のタンパク質マーカーである。脂肪細胞で発現されるCD36は、脂肪酸トランスポーター(FAT)として機能することが知られている。脂肪細胞に関する研究により、CD36 mRNAが脂肪細胞分化のマーカーであることが示された。これは、マクロファージにおいて酸化LDL(OxLDL)を結合し取り込む、スカベンジャー受容体である。CD36は、長鎖脂肪酸(LCFA)トランスポーターとして、脂肪細胞におけるLCFAの取り込みを促進する働きもする。CD36発現は、両種類の細胞の分化の間にPPARによって上方調節される。脂肪細胞は、OxLDLを取り込むことができ、そしてリソソームにより分解することができる(主にCD36によって媒介される)ことも示されている。CD36のない動物は、酸化低密度リポタンパク質の結合および取り込みにおいて有意な減少を示し、コレステロール、非エステル化遊離脂肪酸、およびトリアセチルグリセロールの空腹時レベルにおいて有意な増加を示した。
【0065】
5.マクロファージCD36:
CD36は、クラスBスカベンジャー受容体ファミリーの原型メンバーである。細胞の表面上のこのマルチリガンド受容体の内因性(例えば、マクロファージ、脂肪細胞、血小板、微小血管内皮細胞および特殊化上皮細胞)および異所性(例えば、黒色腫細胞および線維芽細胞)発現は、アポトーシスを起こした細胞を包囲するための貧食能を付与する。CD36は広く発現され、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、長鎖遊離脂肪酸(FFA)、変成(酸化)低密度リポタンパク質(Ox−LDL)、高次グリコシル化最終(AGE)産物、コラーゲンIおよびコラーゲンIVをはじめとする多数の細胞外リガンドと相互作用し得る[PLoS Medicine,2:152−161,2005]。CD36は、単球およびマクロファージの表面上で発現され、酸化低密度リポタンパク質(Ox−LDL)の取り込みに関与し[Nozaki,S.,J. Clin. Invest. 96 :1859−1865,1995]、また泡沫細胞形成、脂肪酸輸送、老化細胞の包囲および除去、血管形成の抑制、および細胞−マトリックス相互作用をはじめとする種々の細胞プロセスに関与する。Ox−LDLのCD36依存性取り込みは、コレステロール蓄積とその後の泡沫細胞形成(アテローム発生のマウスモデルにおいて観察されるCD36の関与の一因となる可能性がある活動)に重要であることが示されている[Michael E et al,J. Exp. Med.,203:2613−25,2006]。CD36は、アテローム硬化性病変を誘発し、心疾患の重要な危険因子であり得る。CD36受容体が欠失したマウスでは、泡沫細胞形成および血管病変発生が実際に中断した[Febbraio M.,et. al.,J Clin Invest 105:1049−1056,2000]。マクロファージにおけるCD36の高血糖症誘発性合成は、マクロファージによるOx−LDLの取り込みの増大および糖尿病患者におけるアテローム硬化性病変での泡沫細胞形成と関連する(PLoS Medicine,2:152−161,2005]。高グルコースレベルに反応して得られるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体−γ(PPAR−γ)の増加は、マクロファージにおけるCD36の発現の増加をもたらし、加速性アテローム性動脈硬化症の一因となる。前述のデータは、したがって、アテローム硬化性血管病変におけるCD36発現の増加と高血糖症との間の相関関係を示し、これはしたがって、CD36をアテローム性動脈硬化症の潜在的な分子マーカーとして使用する潜在的機会および利点を提供する。
【0066】
6.レプチン:
レプチンは、食品摂取に反応してエネルギー消費を調節する際に重要な役割を果たす。レプチンは、脂肪組織の重要なアディポサイトカインであり、脂肪組織は、アディポネクチン、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)、インターロイキン−6(IL−6)、レジスチン、プラスミノーゲン活性化阻害物質−I(PAI−1)、およびアンギオテンシノーゲンなどの低および中分子量タンパク質をさらに含む。これらのサイトカインは一緒になって、脂肪組織生理において重要な役割を果たし、肥満、インスリン抵抗性および内皮機能不全を関連づけると考えられる。
【0067】
皮下脂肪組織におけるレプチン、脂肪酸トランスロカーゼ(FAT/CD36)、PPAR−ガンマ2、脱共役タンパク質(UCP)−2、UCP−3、およびTNF−アルファのインビボ遺伝子発現は、インスリンと関係なく脂質を循環させることによって調節される。したがって、持続性高脂質血症は、これらのタンパク質発現の増加の結果として増加した脂肪代謝および貯蔵の一因となり得る[Nisoli E et al.;Diabetes. 2000 Mar;49(3):319−24]。
【0068】
7.酸化LDL:
悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロールは、酸化された場合にさらに危険になる。酸化LDLは、血液を異なる器官および組織に供給する動脈において炎症を起こし得る。これはアテローム性動脈硬化症に至り、心臓発作または脳卒中の危険性を増大させる。
【0069】
Holvoetらは、代謝症候群が高率の酸化LDLと関連し、したがって高レベルの血中酸化LDLと関連することを最初に示した。この研究では、酸化LDLは、モノクローナル抗体に基づいた酵素結合免疫吸着測定法を用いて測定した。彼らは、酸化LDL濃度の増加は、代謝症候群全体として、ならびにその腹部肥満、高血糖症、および高トリグリセリド血症の成分の発生率の増加と関連することを証明した[Holvoet P et al.,JAMA. 2008 May 21;299(19):2287−93.]。
【0070】
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性に関して行った研究により、上昇したOxLDLおよびApoE(アポリポタンパク質)および非エステル化脂肪酸とインスリン抵抗性との直接的関係は、おそらくはこれらの女性における早期のアテローム性動脈硬化症の危険性の増加であり得ることが明らかになった。
【0071】
8.単球走化性タンパク質(MCP−1):
小誘導性遺伝子(SIG)ファミリーのメンバーである単球走化性タンパク質−1(MCP−1)は、単球の損傷および感染部位への動員に関与する。MCP−1は、小誘導性サイトカインA2(SCYA2)ならびに単球走化性および活性化因子(MCAF)としても知られる。MCP−1は、関節リウマチ患者の関節において見られ、マクロファージを動員し、関節における炎症を持続させる働きをし得る。MCP−1は、腎臓の炎症の前兆として、紅斑性狼瘡患者の尿中でも高レベルで見られる。[http://www.medterms.com/script/main/art.asp?articlekey=33740]。近年、MCP−1は、肥満に関連するインスリン抵抗性およびアテローム性動脈硬化症の発症に関与する新規なアディポサイトカインであることが報告されている[Kawada T,et.al.,Asia Pac J Clin Nutr. 2008;17(1):126−30]。MCP−1は、レプチン、アディポネクチン、腫瘍壊死因子アルファ等をはじめとする多数の他のアディポカインとともに、炎症および炎症反応と関連する。肥満は、炎症マーカーの血中レベルおよび発現が上昇した、慢性の軽度炎症状態を特徴とする。この炎症に関連するアディポカインの産生の増大は、肥満と関連する疾患、特にII型糖尿病および代謝症候群の発症において重要であるとますます考えられている。[Trayhurn P. and Wood I. S.,Biochem Soc Trans. 2005;33(Pt 5):1078−81]。
【0072】
9.脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4):
FABPは、代謝経路および炎症経路と関連する分子シャペロンである。FABPファミリーの異なるメンバーは、独自の組織発現/分布パターンを示し、活発な脂質代謝に関与する組織において最も多数発現される。FABPは多数の機能を果たす。脂質シャペロンとして、例えば、FABPは、貯蔵のために脂肪滴へ;シグナル伝達、輸送および膜合成のために小胞体へ;酸化のためにミトコンドリアまたはペルオキシソームへなど、細胞における特定の区画への脂質の輸送を活発に促進し得る[Masato,F et al,Nature Reviews/Drug Discovery,Vol. 7:489−503,2008]。A−FABPは、主に成熟脂肪細胞およびマクロファージで発現される脂肪酸結合タンパク質である。これは、FABP−4およびaP2としてさらによく知られている。しかし、脂肪細胞は、それぞれ前脂肪細胞および単球から分化する際に、マクロファージよりも非常に高いレベル(約10000倍)のA−FABPを発現する。
【0073】
A−FABPは、ヒト血清中に豊富に存在し、脂肪細胞およびマクロファージにおけるその明確な作用ならびに代謝と炎症反応とを統合する能力により、肥満、2型糖尿病および心臓血管疾患などの代謝症候群の主成分の発症において中心的な役割を果たし得る[Masato,F et al,Nature Reviews/Drug Discovery,Vol. 7:489−503,2008]。脂肪細胞において発現されたaP2は、全身性グルコースおよび脂質代謝を調節する。aP2遮断機能は、肥満、追従型心臓病(tracking heart disease)、代謝症候群および代謝症候群の他の成分を治療するための新規な治療法である。
【0074】
10.β3−アドレナリン受容体(β3AR):
身体のアドレナリン作動系は、エネルギー消費および脂質分解の調節において大きな役割を果たす。このプロセスにおいて、カテコールアミンは、脂肪細胞中の脂質分解ならびに褐色脂肪組織および骨格筋中の熱発生を刺激することによって、高エネルギー脂質を動員する。β3ARは、褐色脂肪組織におけるカテコールアミン刺激性熱発生を媒介する主な受容体であり、ヒトにおいては胸部および腹部中の大血管の周囲に分布する[Thomas,GN,International Journal of Obesity,545−551,24,2000]。β3ARは、ヒトをはじめとする複数種の白色脂肪細胞におけるカテコールアミンによる脂質分解の刺激の媒介にも重要である。褐色脂肪組織は、酸化的リン酸化を刺激することができ、これによって代謝速度を増大させる、いわゆる脱共役タンパク質を含む多数のミトコンドリアを有する点で白色脂肪組織と異なる。褐色脂肪組織の役割は、脂質を酸化して熱を発生させ、身体から過剰な脂肪を取り除くことである。皮下および内臓脂肪組織を含む白色脂肪組織ははるかに豊富にある。これは、脂肪を蓄える働きをし、この脂肪は、脂質分解によって動員されて、他の組織により使用される遊離脂肪酸を生成させることができる。β3ARの選択的作動薬は、肥満の治療において潜在的に有用である。なぜなら、これらはβ1−またはβ2−アドレナリン作用性副作用がほとんどなくエネルギー消費を増大させることができるからである。多数のβ3−アドレナリン作動薬が開発され、実験的に試験されている。したがって、β3−選択的作動薬を用いた治療は、エネルギー消費を著しく増大させ、肥満を解消することができる。
【0075】
11.ペリリピン:
ペリリピンは、脂肪細胞と呼ばれる、脂肪組織における脂肪摂取細胞中の脂肪滴の周りにコーティングを形成するタンパク質である。ペリリピンは、脂質分解と呼ばれるプロセスによってトリグリセリドをグリセロールと遊離脂肪酸とに分解する、ホルモン感受性リパーゼなどの身体の自然のリパーゼに対する保護コーティングとしての働きをする。ある研究では、ペリリピン[PLIN]、アディポフィリンおよびTIP47タンパク質のファミリーは肥満において重要な役割を果たし得ることが示唆された。PLINは、ヒトにおける肥満の危険性の候補遺伝子であり、また体重および代謝症候群の危険性を減らすことを目的とする療法に対する食事反応のモジュレータである。[Tai ES et al;Curr Opin Lipidol. 2007;18(2):152−6]。
【0076】
β−アドレナリン受容体活性化後、タンパク質キナーゼA(PKA)は、脂肪滴の表面で局在化するペリリピンを高リン酸化する。リン酸化されたペリリピンは、構造を変え、脂肪滴から離れて移行し、貯蔵された脂質をトリグリセリドのホルモン感受性リパーゼ媒介性加水分解(脂質分解)に曝露して、非エステル化脂肪酸(NEFA)を放出する。ペリリピンはしがたって、脂質貯蔵、脂質分解およびエネルギーバランスの重要な調節物質である。ペリリピン発現は、肥満動物およびヒトにおいて上昇する。研究により、ペリリピン発現と肥満との間に有意な正の関係が示された(P<0.01、ペリリピンmRNA対体脂肪率)。肥満およびインスリン抵抗性に対する脂肪細胞脂質分解の潜在的重要性のために、ペリリピンは抗肥満薬開発の重要な標的である。ペリリピンを不活性化または阻害する薬剤は、潜在的な抗肥満薬物治療として有用であり得る。
【0077】
12.アディポネクチン:
アディポネクチンは、重要なアディポカインであり、低レベルのアディポネクチンは、肥満、糖尿病および心疾患などの疾患状態と関連することが証明された。アディポネクチンの投与は、糖尿病、肥満およびアテローム性動脈硬化症の動物モデルにおいて有用であることが証明された。
【0078】
血液中のアディポネクチンレベルは肥満において減少し、これは抗糖尿病および抗動脈硬化性作用を有すると考えられ、一方、肥満における血液中のレプチンレベルの増加は、食欲、エネルギー消費、脂質および炭水化物代謝、細胞分化の調節に関連する。肥満の家系の80人の患者(女性43人、男性37人)に関して行った研究では、空腹時レベルのレプチン(Elisa)、アディポネクチン(Elisa)およびフォン・ヴィレブランド因子(Elisa)リピドグラム(lipidogram)を実施した。血液中のレプチン対アディポネクチン比(Lep/AdipoR)は、正常BMIの人と比較して、肥満患者において有意に高いことが判明した。相対的動作特性(ROC)は、肥満に関して、Lep/AdipoRは識別上最も有益であることを示した。Lep/AdipoRの推定値を、インスリン抵抗性および内皮機能不全などの肥満合併症の評価におけるさらなる指数として用いることができる。
【0079】
高いアディポネクチンの血漿濃度は、男性において心筋梗塞の危険性が低いことと関連することも証明された。[Pischon T et al.、JAMA. 2004 Apr 14;291(14):1730−7]。したがって、アディポネクチンレベルを増大させる植物化学物質抽出物または分画または化合物は、肥満、糖尿病、心臓血管系および代謝症候群ならびに代謝症候群と関連する他の疾患成分に関して有用な効果を有し得る。
【0080】
13.タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B):
インスリンというホルモンに対する抵抗性は、2型糖尿病および肥満の特徴である。タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)は、脂肪細胞、筋肉細胞および肝細胞などのインスリン感受性細胞におけるインスリンシグナル変換の負の調節物質と見なされる。インスリン抵抗性糖尿病および肥満では、PTB−1Bが過剰発現され、その酵素活性が増大する。PTP1Bの過剰発現は、インスリン受容体およびIRS−1リン酸化を減少させ、かくしてインスリン抵抗性を生じる(Theodore O. J.,et al.,Nature Reviews Drug Discovery,1;696−709,2002;Carol L. V.,et. al.,J. Biol. Chem. 275:18318−18326,2000.)。したがって、PTP−1B阻害をもたらす薬剤は、肥満およびまたは2型糖尿病の潜在的危険性がある患者にとって新規の有望な治療法となっている。
【0081】
14.脂肪生成:
脂肪生成は、前脂肪細胞が分化し、増殖して、主要脂肪細胞すなわち脂肪の細胞になることであり、細胞分化の最も熱心に研究されているモデルの1つである。脂肪生成プロセスにおいて、前脂肪細胞すなわち前駆脂肪細胞の増殖に続いて、これらの細胞は成熟脂肪細胞表現型に分化する。核内受容体PPARγは主に脂肪組織で発現され、ここで、脂肪細胞分化および脂肪沈着において重要な役割を果たすことが知られている。しかし、II型糖尿病治療用の市販の多数の薬物は、PPARγの過剰発現および脂肪生成の促進を伴う。脂肪細胞は、有効な作用を示すタンパク質(レプチン、アディポネクチン)または有害な作用を示すタンパク質(アンギオテンシノーゲン)を分泌する。これらの種々の分泌された因子間のバランスのかく乱は、マクロファージからの分泌産物(サイトカイン)の作用と相まって、代謝症候群の発症に至る。
【0082】
15.脂質分解:
脂質分解とは、脂肪細胞における貯留脂質の分解である。β3−アドレナリン受容体作動薬は、白色脂肪組織における脂質分解および褐色脂肪組織における熱発生を刺激することができる。脂質分解活性を有する植物化学物質は、肥満、代謝症候群および他の代謝障害の治療において有用であり得る。脂肪組織脂質分解は、脂肪細胞中に貯蔵されたトリグリセリドの分解と、脂肪酸およびグリセロールの放出に至る異化プロセスである。脂質分解プロセスに関与するタンパク質は、肥満および代謝症候群の治療用薬剤標的を構成する。
【0083】
16.アルファ−アミラーゼ(α−アミラーゼ):
α−アミラーゼは、デンプンなどの複雑な炭水化物を糖に変換する酵素である。デンプンは、まずアミラーゼという消化酵素および他の第二の酵素によって分解されなければ吸収されない。炭水化物が消費される場合、消化管中の酵素がこれらの大きな分子を分解して、より小さな糖分子とし、これが腸から吸収される。近年、デンプン遮断薬が肥満を抑制するための有効な治療薬であることが示された。アミラーゼ阻害剤は、したがって糖尿病および肥満の治療に役立つ可能性がある胃腸作用および代謝作用を有する。
【0084】
植物は、α−アミラーゼ阻害剤を防衛戦略としても利用する。これらの阻害剤は、昆虫の腸中でのα−アミラーゼおよびプロテイナーゼの消化作用を妨げ、これにより昆虫の摂食阻害剤として作用する。植物から単離されるアルファ−アミラーゼ阻害剤は、食物中に存在するデンプン由来のグルコースの量を大幅に減少させるデンプン遮断薬として用いることができ、反復を投与した後食欲を低下させる。
【0085】
17.アルファ−グルコシダーゼ(α−グルコシダーゼ):
アルファ−グルコシダーゼは、複雑な炭水化物のグルコースへの分解を触媒する酵素である。このように、その作用はα−アミラーゼと似ている。この酵素を阻害することによって、炭水化物は効率的に分解されず、腸からのグルコース吸収は遅くなり、その結果、1日を通して、特に食事直後の血糖値の上昇が遅く、かつ低くなる。アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースなどの少数のα−グルコシダーゼ阻害剤は、2型真性糖尿病の治療および抑制のための市販されている経口抗糖尿病薬である。α−グルコシダーゼ阻害を有する植物抽出物、分画または純粋な化合物は、したがって、2型真性糖尿病における高血糖症、特に食後高血糖症に関して、さらに十分な血糖管理を確立するために有用であり得る。
【0086】
代謝症候群は、単一の疾患状態または、例えば肥満、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症などの一連の疾患状態であり得る重大な疾患として認識され、治療しないにまま放置すると複数の合併症に至る。数種の薬物が代謝症候群の異なる成分の治療用に市販されているが、それらの多くは多数の副作用を伴い、代謝症候群を治療するために利用可能な薬剤はほとんどなく、すべての関連疾患を包括的に対処するものはない。したがって、代謝症候群、肥満、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症に対し、特に安全かつ有用な天然化合物を用いた予防および治療法を開発することが医薬上非常に必要とされている。
【0087】
過去数十年における肥満研究での主な進歩の1つは、肥満が慢性的な低レベルの炎症であるという一般認識である。肥満と炎症との間の関連性は、肥満個体におけるサイトカイン(TNFα、IL−6)をはじめとする複数の炎症マーカーおよびC反応性タンパク質(CRP)などの急性期タンパク質の血漿レベルの増加から明らかである(Stienstra R.,et. al.,2007,article ID 95974)。したがって、肥満、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症ならびに代謝症候群の他の成分は、一般的に炎症と関連する。ここ数年、肥満に関連する慢性的な軽度の組織炎症は、2型糖尿病の主な原因であるインスリン抵抗性の一因となることが理論付けられている(Science News,Science Daily,U.S.,November 7,2007)。
【0088】
代謝障害の分野における研究活動は、世界中の多数の科学者にとって高い優先目標であり、合成起源の市販薬とは対照的に、植物由来産物は自然で安全と考えられるので、代替的方法、特に植物起源の産物に基づくものの発見に関心がある。このことに留意し、代謝症候群、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化症および内皮機能不全ならびに他の代謝障害の予防、抑制および治療に対する緊急の必要性と組み合わせて、本発明者等は、複数の植物抽出物、分画および純粋な化合物に対する複数のインビトロおよびインビボ実験を含む広範囲の研究を実施し、細胞ベースの研究において治療有効量の薬草スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物の投与が、脂肪生成の阻害および脂肪分解(脂質分解)の促進を含む代謝過程を強力に改善することを偶然発見した。本発明者等は意外にも、細胞ベースの研究において治療有効量の薬草スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物から選択される1つ以上の成分の投与は、代謝症候群、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全ならびに代謝症候群に関連する他の病態の期間中に改変されるあるバイオマーカー分子または生体タンパク質のレベルを強力に改善することも発見した。
【0089】
スファランサス・インディクスの頭花の酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)によって示される分化脂肪細胞における脂質蓄積の阻害を、3T3−L1マウス前脂肪細胞において評価した。処理された細胞における脂肪蓄積の阻害を偽処理分化脂肪細胞と比較し、阻害率(%)を測定した。意外にも、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)は脂肪生成を有意に阻害し、表1にまとめるように、10μg/mlで65.9%の阻害を示した。
【0090】
同様に、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)の前脂質分解活性(pro−lipolytic activity)を、3T3−L1前脂肪細胞を用いて分化/成熟脂肪細胞において評価した。脂質分解活性は、Adipolysis Assay Kit(Chemicon International,USA)の手順どおりに培地中に分泌された遊離グリセロールを測定することによって、成熟脂肪細胞中で評価した。既知の濃度のグリセロールを含む対照と比較した試料溶液中のグリセロール濃度の増加率(%)は、スファランサス・インディクスの抽出物LI/DD−II/054A/01によって示される脂質分解の促進率(%)に相当する。意外にも、LI/DD−II/054A/01は、脂質分解/脂肪分解の中程度の増大を示し、表2にまとめるように、25μg/mlで脂質分解が26.7%増大した。
【0091】
バイオアッセイにより誘導される精製(bio−assay guided purification)をLI/DD−II/054A/01に関して実施して、活性化合物を同定し、7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)(LI054A01;1)が活性に関与することが偶然判った。活性化合物7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)(LI054A01)は優れた活性を示し、表1および2にまとめるように、0.5μg/ml濃度で脂質蓄積(脂肪生成)の68.7%阻害を示し、5μg/ml濃度で脂質分解の47.8%増加を示した。
【化1】

【0092】
意外にも、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)は、PMA誘発性A2058ヒト黒色腫細胞において強力なマトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)阻害活性を有することも判った(図1)。ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)は強力な既知の細胞内酸化的ストレス誘発剤である。アテローム性動脈硬化症などの心血管症状においては、酸化的ストレスマーカーの過剰産生は重要な因子である。加えて、LI/DD−II/054A/01はさらに、インターロイキン−1β誘発性A549ヒト肺腫瘍細胞において強力なマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)阻害(図2)を示した。アテローム性動脈硬化症においては、IL−1βなどの炎症性サイトカインの影響下で、MMP−3、MMP−9、MMP−13などの炎症誘発性プロテアーゼの過剰産生は、アテローム硬化性病変の発生および進行ならびに動脈瘤形成に極めて重要である。
【0093】
本発明者等は、次に、イムノブロットアッセイを用いて、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)による3T3−L1脂肪細胞における脂肪生成プロセス中の、脂肪生成プロセス、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性、肥満、代謝症候群および他の代謝障害に主に関与する代謝バイオマーカー、例えばペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質4(FABP4またはaP2)、ペリリピン、およびベータ−3アドレナリン受容体(β3AR)の調節を評価した。ダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中で維持されたマウス前脂肪細胞3T3−L1細胞を、異なる濃度のLI/DD−II/054A/01で2時間前処理し、続いて500nMのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地を48時間添加した。その後、細胞を、分化後培地(post differentiation medium)(100nMのインスリンを含むDMEM)を用いてLI/DD−II/054A/01またはLI054A01の存在下もしくは非存在下でさらに8日間インキュベートした。最後に、細胞を溶解緩衝液で処理し、溶解させた。タンパク質抽出物をイムノブロットアッセイにより評価し、免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質で発現させ、ブロット画像をKodak Image Stationに保存し、アクチンの発現で正規化した。
【0094】
意外にも、酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)と活性化合物7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)との両方が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、CD36、脂肪酸結合タンパク質4(aP2/FABP4)および細胞内脂肪滴表面関連タンパク質(ペリリピン)などの複数の脂肪細胞分化マーカーのレベルを用量依存的に改善することが判った(図3)。LI/DD−II/054A/01処理脂肪細胞における複数のマーカータンパク質の下方調節は、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物が、(1)細胞分化、発生および代謝の調節のために転写因子として機能する核内受容体タンパク質であるPPARγを下方調節することによる細胞分化の阻害、(2)脂質取り込みに関与するクラスBスカベンジャー受容体であるCD36を阻害することによるコレステロールエステル取り込みの制限、(3)長鎖脂肪酸の輸送タンパク質として作用するFABP4/aP2レベルを減少させることによる細胞内脂肪蓄積および細胞内脂質輸送の軽減によって、脂肪生成分化プロセスを抑制する際に複数の有用な役割を果たすことを示唆する。さらに、LI/DD−II/054A/01処理脂肪細胞におけるペリリピンタンパク質の下方調節は、細胞質における脂肪貯蔵の減少を強力に示す。ペリリピンは、脂肪細胞中の脂肪滴をコーティングするタンパク質である。これは、トリグリセリドを代謝または脂質分解で使用されるグリセロールおよび遊離脂肪酸に分解するホルモン感受性リパーゼの作用から保護する。したがって、これは、スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物が、脂質充填小胞の周りのペリリピンコーティングを薄くすることによって、貯留脂質が酵素による分解を受けて、グリセロールと遊離脂肪酸になりやすい状態を提供することを示している。
【0095】
加えて、3T3−L1脂肪細胞におけるベータ−3アドレナリン受容体(β3AR)発現/産生は、図3に示すように、用量依存的にLI/DD−II/054A/01によって有意に増大した。このことは、脂肪組織における細胞内cAMPおよびミトコンドリア脱共役タンパク質1の活性化の増加によりエネルギー消費を増大させることによって体重が減少することを示している。
【0096】
マクロファージでは、CD36は、酸化低密度リポタンパク質(OxLDL)の取り込みとその後の泡沫細胞発生とを媒介するスカベンジャー受容体である。したがって、マクロファージにおけるCD36レベルの増加は、アテローム性動脈硬化症の発症についての予測マーカーと見なされてきている。LI/DD−II/054A/01およびLI054A01の存在下または非存在下での高グルコース誘発性J774マクロファージ細胞におけるCD36タンパク質発現の阻害を、イムノブロットアッセイを用いて評価した。簡単に述べると、細胞をLI/DD−II/054A/01またはLI054A01で処理した後に得られた等量の細胞溶解タンパク質を、7.5%のSDS−PAGEで分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜をCD36抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)とともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドを、West−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology,IL,USA)を用いて発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak,USA)に保存した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料におけるアクチンの発現で正規化した。結果を図4にまとめる。代表的なイムノブロット画像は、LI/DD−II/054A/01が高グルコース誘発性J774マクロファージ細胞におけるCD36タンパク質発現を用量依存的に阻害することを示した。しかし、活性化合物LI054A01はLI/DD−II/054A/01によって示されるものと比較して、10倍良好なCD36の阻害を示した。この予想外の観察結果は、スファランサス・インディクスの抽出物および化合物の抗アテローム硬化特性に有利な裏付けを提供する。
【0097】
酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)は、高グルコース誘発性マクロファージ細胞における単球走化性タンパク質−1(MCP−1)および酸化LDLも潜在的に阻害することに注目することも興味深い。これらのマーカーは、泡沫細胞へ分化して動脈硬化性プラークを発生するのに極めて重要であり、アテローム性動脈硬化症の発症および進行の潜在的な生物学的マーカーと見なされる(図7)。
【0098】
同様に、3T3−L1脂肪細胞におけるスファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)によるアディポネクチンタンパク質の調節をウェスタンイムノブロットアッセイによって評価した。細胞培養、処理プロトコルおよびイムノブロットアッセイ手順は、標準プロトコルに従い、代謝マーカーについて簡単に前述したとおりである。抽出物LI/DD−II/054A/01は、図8に図示するように、3T3−L1成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質発現の中程度の上方調節も示した。アディポネクチンは脂肪細胞により分泌されるホルモンである。これは、細胞内トリグリセリド含有量を減少させ、インスリンシグナル伝達を強化することにより、グルコース取り込みを上方調節し、したがって、脂質生成性からの保護と、インスリン抵抗性糖尿病または2型糖尿病の発症からの保護との両方を提供する。したがって、本発明者らの発見は、スファランサス・インディクスの抽出物が、肥満、インスリン抵抗性または2型糖尿病の発症に対する保護を提供し、内皮機能不全障害の減衰にも役立つことを示す。これらの抽出物は、したがって、上記代謝障害の予防、治療および抑制において有用であり得る。スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)のインスリン感受性に対する効果は、LI/DD−II/054A/01による3T3−L1前脂肪細胞におけるタンパク質チロシンホスファターゼ−IB(PTP−1B)活性の調節を研究することによって評価した。3T3−L1前脂肪細胞を、標準プロトコルによってダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中で培養し、LI/DD−II/054A/01で48時間処理した。細胞を細胞溶解緩衝液で溶解させ、細胞溶解物を14,000×gで5分間、4℃にて清澄化した。PTP−1B活性を、標準プロトコルにしたがって10mMの4−ニトロフェニルホスフェート(pNPP,Sigma Chemical Co.,MO,USA)を含む基質試薬を用いて評価し、呈色反応をマイクロプレートELISAリーダー(BioRad,USA)で読み取った。結果は意外にも、LI/DD−II/054A/01が3T3−L1前脂肪細胞におけるPTP−1B活性の強力な阻害剤であり得ることを示した(図9)。
【0099】
タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)−1Bは、インスリン受容体およびインスリン受容体−基質複合体1(IRS−I)のホスホチロシン残基を脱リン酸化することにより、インスリンシグナル伝達の生理学的な負の調節物質として作用する。以前の動物実験でPTP−1B遺伝子のサイレンシングは驚くべきことに2型糖尿病の発症に対する耐性を提供した。したがって、PTP−1Bの阻害は、近年、2型糖尿病を治療するための潜在的標的となってきている。興味深いことに、本発明において、LI/DD−II/054A/01は、脂肪細胞でPTP−1B活性の有意な阻害を示した(図9)。この観察結果は、したがって、スファランサス・インディクスの抽出物も2型糖尿病を治療するための潜在的な治療的介入法として使用できることを示す。
【0100】
スファランサス・インディクス由来の1つの成分が代謝症候群および他の代謝障害に随伴する多数の病態に関連するマーカータンパク質を調節することができる可能性があると考えることは全く予想外であり、意外であった。この予想外の結果は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画および化合物が、動物およびヒトにおける代謝症候群、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、慢性腎臓疾患(CKD)および他の代謝障害を予防、治療および抑制するための潜在的な治療剤であり得ることを示唆している。
【0101】
LI/DD−II/054A/01インビトロモデルにより示される強力な抗代謝症候群作用を、代謝症候群のインビボモデルでさらに評価した。高脂肪、高コレステロール、高塩分および高スクロース食を8週間雄のSprague Dawleyラットに与えることによって、ラットにおいて実験的に代謝症候群状態を誘発した。8週間の誘発期の後、ラットをランダムに各群6匹で2群に分け、治療群動物に10mLの0.5%水中CMC中250mg/kg体重のLI/DD−II/054A/01をさらに8週間経口により補った。対照群の動物には、この期間中にビヒクル(10mL/kgの0.5%水中CMC)のみを投与した。個々の動物の体重を研究の全期間中、毎週記録した。治療群および対照群の平均体重を測定した。体重増加を治療開始後の第1週、第4週および第8週の最後で初期体重と比較して計算した。LI/DD−II/054A/01は250mg/kgの用量で、対照群と比較して、非常に強力かつ統計的に有意な(p<0.01)体重増加における減少(66.04%)を示した。治療群および対照群における体重増加の結果を図10Aおよび10Bにまとめる。
【0102】
血清アディポネクチンの評価:アディポネクチンは、脂肪組織からのみ分泌されるタンパク質ホルモンであり、グルコース恒常性および脂質代謝を含む代謝過程の数を調節する。血中アディポネクチン濃度は体脂肪と逆相関する。低レベルのアディポネクチンは、肥満、心臓血管疾患およびインスリン抵抗性と関連する。したがって、このタンパク質ホルモンは、代謝症候群および代謝症候群に随伴する病態の有望なマーカーとして確立された。治療および対照群の動物における血清アディポネクチン濃度を、二重抗体に基づくサンドイッチ・ラット・アディポネクチンELISAキットを用いて評価した。データから、LI/DD−II/054A/01を250mg/kg体重で8週間、毎日追加すると、図11にまとめるように、ベースラインと比較した場合、血清アディポネクチン濃度において有意な(p=0.00618)改善が得られることが明らかになった。しかし、対照群は、血清アディポネクチン濃度において改善を示さなかった。したがって、LI/DD−II/054A/01は、肥満、心臓血管疾患、インスリン抵抗性II型糖尿病、代謝症候群および代謝症候群の他の関連する障害などの症状の軽減において潜在的に有益である。
【0103】
LI/DD−II/054A/01を250mg/kgで追加すると、脂肪プロフィールが改善され、血清コレステロール、LDLおよびトリグリセリドにおいてそれぞれ15.3、12.7および22.9パーセント減少した。このことは、アディポネクチンレベルの改善において観察されるその有効性で十分裏付けられる。
【0104】
恒常性モデル評価(HOMA):
式:空腹時インスリン濃度(μU/mL)×空腹時グルコース濃度(mmol/L)/22.5を用いて、血清インスリンおよびグルコースレベルに基づいてHOMA指数を計算した。図12に示すデータから、対照群と比較して、250mg/kgの1日量のLI/DD−II/054A/01を8週間追加することによって、HOMA指数が有意に減少したことが明らかになった。恒常性モデル評価(HOMA)は、臨床研究においてインスリン抵抗性およびベータ細胞機能の評価基準として広く認められている。データは、LI/DD−II/054A/01がインスリン感受性およびβ細胞機能を改善するための治療剤であり得ることを示す。
【0105】
この動物実験に基づいて、LI/DD−II/054A/01が肥満を軽減するだけでなく、体重増加、内臓および臓器脂肪沈着をはじめとする代謝症候群の種々の症状を改善し、脂質プロフィール、グルコース恒常性、β細胞機能等をも改善することは明らかである。LI/DD−II/054A/01治療によって得られる体重増加の減少は統計的に有意であった。さらに、脂肪組織重量もLI/DD−II/054A/01治療群において有意に減少した。結論として、LI/DD−II/054A/01は、肥満、代謝症候群および他の関連する代謝障害の治療に有効な薬剤であり得る。さらに、ランダムスクリーニング研究により、意外にも、ガルシニア・マンゴスターナ(AR933)外皮のメタノール抽出物は、酵素試験において強力なα−アミラーゼおよびα−グルコシダーゼ阻害活性を有し、3T3−L1細胞における細胞ベースのインビトロアッセイで強力な抗脂肪生成活性を呈することが示された。最も活性な化合物は、バイオアッセイにより誘導されるメタノール抽出物の分離の期間中、α−マンゴスチン(2)およびγ−マンゴスチン(3)であることが判った。α−マンゴスチンおよび/またはγ−マンゴスチンを含むメタノール抽出物も、強力な前脂質分解および抗脂肪生成活性を示した。メタノール抽出物は、脂肪生成および脂質分解プロセス、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性、代謝症候群に随伴する代謝障害および病態の主な原因である、種々の重要なバイオマーカー分子または生体タンパク質のレベルも有意に改善した。これらとしては、PPARγ、ADRP、脂肪細胞CD36、aP2/FABP4/A−FABP、β3AR、アディポネクチン、ペリリピンおよびPTP−1B(図5、8および9)が挙げられる。AR933も高グルコース誘発性マクロファージ細胞におけるマクロファージCD36、MCP−1、および酸化LDLを強く阻害することに注目することも興味深い(図7)。要するに、これらは、AR933も、肥満、アテローム性動脈硬化症等の心血管症状、代謝症候群および他の代謝障害を治療するための潜在的な候補として使用できることを示唆する。
【0106】
本発明者らは、次いで、代謝過程の改善および代謝障害に随伴するバイオマーカー分子の発現または産生においてさらに良好な有効性を示すことができる組成物を見つけるために、そして肥満、代謝症候群ならびに代謝症候群および代謝障害に随伴する病態の抑制、治療および予防のためのさらに良好な薬剤を同定するためにランダムにスファランサス・インディクスの抽出物を複数の植物抽出物と組み合わせて含む複数の組成物をランダムに調製し、試験した。スファランサス・インディクス由来の抽出物または分画または濃縮分画または化合物から選択される少なくとも1つの植物化学物質を、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物または濃縮分画または化合物から選択される少なくとも1つの植物化学物質成分と組み合わせて含む組成物が、ある一定の代謝過程の改善およびその代謝過程に関与する複数の重要な代謝バイオマーカーの調節に非常に有効であり得ることが偶然判明した。
【0107】
上記組成物によって抑制された代謝過程には、抗脂肪生成および前脂質分解、ならびにα−アミラーゼおよびα−グルコシダーゼ酵素阻害が含まれる。前記組成物によって改善されたバイオマーカーとしては、MMP−1、MMP−3、PPARγ、ADRP、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、MCP−1、Ox−LDL、aP2/FABP4/A−FABP、β3AR、アディポネクチン、ペリリピンおよびPTP−1Bが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
さらに重要なことには、これらの2つの薬草の抽出物間で、個々の成分を別々に使用するのではなくこれらを組み合わせた場合に、ある代謝過程の改善およびその代謝過程に関与する複数の重要な代謝バイオマーカーの調節において相乗的阻害効果があることが偶然にさらに観察された。例えば、単位用量の酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)とガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)とを1:3の比で組み合わせることにより得られる組成物1Bは、図6、7および9に示すように、脂肪細胞3T3−L1細胞におけるADRP、aP2、ペリリピンおよびPTP−1Bなどの選択されたバイオマーカータンパク質ならびにマウスマクロファージ細胞におけるCD36、MCP−1およびOx−LDLの相乗的阻害を示した。加えて、組成物1Bは、脂肪細胞においてアディポネクチンの産生の相乗的増強も示した(図8)。組成物によって示される有効性は、各成分それぞれによって示される効果よりも良好である。
【0109】
インビトロモデルにおいてスファランサス・インディクスおよびガルシニア・マンゴスターナの抽出物ならびにそれらの組成物によって示される強力な抗肥満特性および相乗作用を、肥満のインビボモデルにおいてさらに評価した。ラットに高脂肪食を8週間追加することによって、オスSprague Daleyラットにおいて肥満を誘発した。8週間の誘発期後に、ラットを各群中7匹の動物で種々の群にランダムに割り付け、治療群に属する動物に100もしくは250mg/kg体重のスファランサス・インディクスのメタノール抽出物(LI/DD−II/054A/03)または250mg/kg体重のAR933または250mg/kg体重のLI/DD−II/054A/03とAR933とを3:1の比で含む組成物1D(それぞれ10mLの0.5%水中CMC)をさらに8週間毎日経口で追加した。対照群の動物にはビヒクル(10mLの0.5%水中CMC)のみを投与した。各動物の体重を毎週記録し、各群における動物の平均体重を測定した。体重増加を、各初期体重と比較して、治療開始後第1週、第4週および第8週の最後で計算した。LI/DD−II/054A/03は治療群のラットにおいて体重増加を用量依存的に阻害した。100mg/kg体重のLI/DD−II/054A/03を追加されたラットは、対照動物と比較して体重増加において46.3%の減少を示した。同様に、250mg/kgの1日量でのAR933およびLI/DD−II/054A/03は、体重増加において、それぞれ41.3%および80.1%の減少を示した。興味深いことに、同じ用量レベル(250mg/kg)の組成物1Dは、ビヒクル投与対照群と比較して、体重増加においてさらに強力かつ有意な減少を示した(89%)。治療群および対照群に関する体重増加の結果を図13にまとめる。
【0110】
前述の事項から、スファランサス・インディクスメタノール抽出物(LI/DD−II/054A/03)およびガルシニア・マンゴスターナのメタノール抽出物(AR933)を3:1の比で含む組成物1Dによって示される体重増加における減少は、LI/DD−II/054A/03およびAR933の個々の成分によって示される効果よりも良好であることは明らかであり、これらの2成分間の相乗作用を明示する。
【0111】
複数の選択された抽出物をこの研究では使用したが、本発明は、活性成分7−ヒドロキシフルラノリドまたは他の活性成分を0.1%〜99.9%の範囲で含む、スファランサス・インディクスのすべての抽出物、活性分画および活性化合物を対象とする。好ましくは、スファランサス・インディクスの任意の有機溶媒抽出物またはこの抽出物由来の分画もしくは純粋な化合物(7−ヒドロキシフルラノリドに対する標準化の有無を問わない)を用いることができる。活性抽出物を得るための媒体は、有機溶媒または水または有機溶媒と水との混合物のいずれかから選択することができ、好ましくは有機溶媒である。有機溶媒のリストには、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。粗抽出物をそのまま医薬としてまたは、組成物を調製するために使用することができる。代替的には、抽出物を、任意の表示された濃度の7−ヒドロキシフルラノリドまたは0.1%〜99.9%の範囲の1つ以上の活性成分に、有機もしくは水性溶媒またはそれらの混合物を用いた溶媒分配もしくは洗浄またはシリカもしくは逆相シリカもしくは樹脂カラム上カラムクロマトグラフィーまたは結晶化あるいはそれらの組み合わせにより濃縮した後、これらを所望の本発明の衛生的用途または組成物の調製のために直接用いることができる。
【0112】
同様に、ガルシニア・マンゴスターナのメタノール抽出物を、本発明を証明するために使用した。しかし、任意の有機溶媒抽出物または混合有機溶媒抽出物または水または水および水混和性有機溶媒を含む混合溶媒を用いた抽出により得られる抽出物も使用することができる。
【0113】
本発明の新規組成物は、以下に記載する本発明の別の態様を含む:
本発明の明細書および特許請求の範囲で広く用いられる「成分」という用語は、薬草粉末、抽出物、分画、濃縮分画、活性化合物または植物化学物質および植物化学物質活性成分を指す。「成分」という用語は、以下の記載では、これらの用語の代用として用いられる。
【0114】
スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物は、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、代謝症候群および他の代謝障害の予防、治療および抑制のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分として使用できる。
【0115】
本発明で言及される医薬品/栄養補助食品/食品の成分とは、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物を指す。
【0116】
重要な態様では、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0117】
他の重要な態様において、本発明は、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択されるが、これらに限定されない1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分を提供する。
【0118】
別の態様では、本発明は、スファランサス・インディクスの抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上と組み合わせて含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物であって、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択されるが、これらに限定されない1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0119】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画および活性化合物または植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画および活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物であって、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択されるが、これらに限定されない1つ以上の病態の抑制および予防および治療のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0120】
別の態様では、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分およびガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含有する医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物であって、これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される少なくとも1つのバイオマーカータンパク質の発現または産生の改善のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0121】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分、ならびにスファランサス・インディクス由来の少なくとも1つの該成分を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上と組み合わせて含み、これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される、代謝症候群、肥満および他の代謝障害に関連または随伴する少なくとも1つのバイオマーカーの発現または産生の改善のための、医薬品/栄養補助食品/食品の成分提供する。
【0122】
別の態様において、本発明は、脂質分解の加速、脂肪生成の阻害、アルファ−アミラーゼの阻害およびアルファ−グルコシダーゼの阻害から選択される1つ以上の代謝過程を抑制するための、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分、ならびに植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上もしくは食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を組み合わせた組成物を提供する。
【0123】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて含む、医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0124】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含有する医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供し、この場合、組成物中のスファランサス・インディクス由来成分のパーセンテージは0.01%〜99.9%の範囲であり、ガルシニア・マンゴスターナ由来成分のパーセンテージは99.9%〜0.01%の範囲である。
【0125】
別の態様では、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上と組み合わせて含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供し、この場合、組成物中のスファランサス・インディクス由来成分のパーセンテージは、0.01%〜99.9%の範囲である。
【0126】
別の態様において、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物は、これらに限定されるものではないが、フルラノリド、7−ヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−6β,7−オイデスマノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−アセトキシ−3β−ヒドロキシ−6β,7−オイデスム−4−エノリド;3−ケト−β−オイデスモール;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシオイデスム−4−エン−6α,12−オリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α,13−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−ヒドロキシ−13−メタオキシフルラノリド;2α,7α−ジヒドロキシ−4−エン−11,13−ジヒドロオイデスム−6,12−オリド;2α−ヒドロキシコスト酸;3−ケト−7α−ヒドロキシオイデスム−4−エン−6,12−オリド(クリプトメリジオール);4−エピクリプトメリジオール;スフェラントリド;2α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシスフェラントリド;2α,7α−ジヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−7α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−5α−ヒドロキシイソスフェラントリドまたはそれらの混合物、好ましくは7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)もしくは関連化合物またはスファランサス・インディクス由来のその類似体から選択される少なくとも1つのスファランサス・インディクス由来のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン化合物を含む。
【0127】
別の態様において、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分および、スファランサス・インディクス由来の少なくとも1つの該植物化学物質成分を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上と組み合わせて含むそれらの組成物は、これらに限定されるものではないが、フルラノリド、7−ヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−6β,7−オイデスマノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−アセトキシ−3β−ヒドロキシ−6β,7−オイデスム−4−エノリド;3−ケト−β−オイデスモール;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシオイデスム−4−エン−6α,12−オリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α,13−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−ヒドロキシ−13−メタオキシフルラノリド;2α,7α−ジヒドロキシ−4−エン−11,13−ジヒドロオイデスム−6,12−オリド;2α−ヒドロキシコスト酸;3−ケト−7α−ヒドロキシオイデスム−4−エン−6,12−オリド(クリプトメリジオール);4−エピクリプトメリジオール;スフェラントリド;2α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシスフェラントリド;2α,7α−ジヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−7α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−5α−ヒドロキシイソスフェラントリドまたはそれらの混合物、好ましくは7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)もしくは関連化合物またはスファランサス・インディクス由来の類似体から選択される少なくとも1つのスファランサス・インディクス由来のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン化合物を含む。
【0128】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分、および前述のそれらの組成物を提供し、この場合、肥満、代謝症候群および他の代謝障害の予防、治療および抑制に関与するスファランサス・インディクス由来成分中の活性成分としては、フルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン類、好ましくは7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
肥満、代謝症候群および他の代謝障害の予防、治療および抑制もしくは本発明の組成物の調製に使用される7−ヒドロキシフルラノリドまたは関連化合物は、天然由来であり得るか、または合成もしくは半合成によって生成させることができる。
【0130】
別の態様において、本発明は、肥満、代謝症候群および他の代謝障害の予防、治療および抑制または前述の組成物を調製するために用いられる、抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質から選択されるスファランサス・インディクス由来成分、またはそれらの混合物を提供し、この場合、スファランサス・インディクス由来の抽出物中および分画中の活性化合物7−ヒドロキシフルラノリド/他のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン/他の植物化学物質の濃度は、0.001%〜100%であり、好ましくは0.01〜99%の範囲である。
【0131】
別の態様において、前述の実施形態において記載されるスファランサス・インディクス由来成分を含む組成物中の活性化合物7−ヒドロキシフルラノリド/他のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン/他の植物化学物質の濃度は、0.001重量%〜99重量%であり、好ましくは0.01〜95重量%の範囲である。
【0132】
別の態様において、本発明は、ガルシニア(Garcinia)種、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の成分を含む、肥満、代謝症候群および他の代謝障害の抑制、予防および治療のための組成物を提供し、この場合、活性化合物には、キサントン、好ましくはα−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
別の態様において、本発明は、既述の実施形態で記載するようなガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、濃縮分画、化合物から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を提供し、この場合、活性化合物であるα−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチン(それぞれ個別または組み合わせのいずれか)のガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物または分画中の濃度は、0.001%〜99.9%である。
【0134】
別の態様において、本発明は、前述の実施形態で記載するようなガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、濃縮分画、化合物から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を提供し、この場合、活性化合物であるα−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンの組成物中の濃度は、個別または組み合わせのいずれかで、0.001%〜99%であり、好ましくは0.01〜95%である。
【0135】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物であって、これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される少なくとも1つの代謝バイオマーカー分子の発現または産生を改善するための医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供する。
【0136】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を提供し、この場合、求められる健康上の利点を得る際に関与する代謝過程の改善は、これらに限定されるものではないが、脂質分解および脂肪生成、脂肪分解、脂肪細胞再生から選択することができるか、またはこれらに関連する任意の他の機構によるものであり得る。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、これらに限定されるものではないが、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、代謝症候群および他の代謝障害から選択される1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための、フルラノリド/オイデスマノリドおよび関連化合物、好ましくは7−ヒドロキシフルラノリドもしくはその類似体または、該化合物を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤から選択される少なくとも1つの成分もしくはその混合物と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)を包含するが、これらに限定されるものではない少なくとも1つの代謝バイオマーカー分子の発現または産生を改善するための、フルラノリド/オイデスマノリドおよび関連化合物、好ましくは7−ヒドロキシフルラノリドもしくはその類似体または前述の様な該化合物を含む組成物を提供する。
【0139】
別の態様において、本発明は、ガルシニア・マンゴスターナ由来成分を含む組成物を提供し、この場合、ガルシニア・マンゴスターナ由来の該抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物は、アルファ−アミラーゼおよびアルファ−グルコシダーゼを包含するがこれらに限定されない炭水化物吸収阻害酵素に対する阻害効果ならびに脂肪生成の阻害に対する効果を示す。
【0140】
本発明の別の態様では、先行の実施形態で記載する組成物を調製するために使用する生物活性成分は、これらに限定されるものではないが、抗糖尿病活性,抗高血糖活性、脂質低下活性、抗肥満活性、抗高血圧活性、血小板凝集阻害活性、抗感染活性、抗アテローム性動脈硬化活性および抗炎症活性、抗酸化および生体増強(bio−enhancing)作用から選択される任意の衛生的効果を有する植物、動物および微生物由来の抽出物または分画または純粋な化合物または植物化学物質または粉末から選択することができる。
【0141】
別の態様において、本発明は、先行の実施形態で記載するスファランサス・インディクス由来の医薬品/栄養補助食品/食品の成分を提供し、この場合、該抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物は、これらに限定されるものではないが、葉、頭花、茎、皮、根、植物全体またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの植物の部分、好ましくは頭花由来である。
【0142】
別の態様では、本発明は、先行の実施形態に記載される医薬品/栄養補助食品/食品の成分およびそれらの組成物を提供し、この場合、スファランサス・インディクスおよびガルシニア・マンゴスターナ由来の該抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物が、有機溶媒、アルコール、ヒドロアルコール、水またはそれらの混合物の1つ以上から選択される溶媒を用いた抽出によって得られる、
【0143】
本発明の別の態様では、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物は、ガルシニア、好ましくはガルシニア・マンゴスターナの果実全体または果実外皮または果実果肉由来である。
【0144】
別の実施形態では、抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物は、これらに限定されるものではないが、スファランサス・インディクス、スファランサス・アマラントイデス(Sphaeranthus amaranthoides)、タマバナソウ(S.africanus)、エス・ボルゲンシス(S.volgensis)、エス・コチイ(S.kotchyi)、エス・スアベオレンス(S.suaveolens)から選択される任意のスファランサス種由来のものとすることができ、意図される衛生的用途または本発明で請求される成分もしくは組成物の調製のためにも使用できる。
【0145】
別の実施形態では、組成物を調製するために使用される抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物は、これらに限定されるものではないが、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)、ジー・ハンブリイ(G.hanburyii)、ジー・ションブルギア(G.schomburgkiana)、オオバノマンゴスチン(G.dulcis)、ジー・トレリイ(G.thorelii)、タマゴノキ(G.xanthochymus)、雲南山竹子(G.cowa)、ジー・ブラクテアタ(G.bracteata)、ジー・ピリフェラ(G.pyrifera)およびジー・ネルボサ(G.nervosa)をはじめとする他のガルシニア種から誘導することができる。
【0146】
本発明で用いられる生物学的または医薬的に許容される担体の例としては、界面活性剤、賦形剤、バインダー、希釈剤、崩壊剤、滑剤、防腐剤、安定剤、緩衝液、懸濁液および薬物送達システムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
別の態様において、本発明は、先行の実施形態で記載するように、スファランサス・インディクス由来の少なくとも1つの成分抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物を、賦形剤、担体および希釈剤から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物を提供し、固体担体または希釈剤または賦形剤の好適な例としては、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、エアロゾル、微結晶性セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオシド、コーンシロップ、ラクトース、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−アルファ−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アカシア、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB群、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸、カルシウム塩、顔料、香料および防腐剤が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、液体担体またや希釈剤または賦形剤の好適な例としては、蒸留水、生理食塩水、グルコース水溶液、アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;ならびに油性担体、例えば種々の動物および植物油、白色軟パラフィン、パラフィンならびにワックスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
別の態様において、本発明は、先行の実施形態で請求される医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を提供し、この場合、該成分または組成物は、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、経口、局所もしくは非経口で投与されるか吸入により投与される。
【0149】
別の態様において、本発明は、先行の実施形態で請求される医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を提供し、この場合、前記成分または組成物は、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、丸薬、顆粒、粉末、乳剤、懸濁液、シロップ、ペレット、食品、飲料などの経口剤;ならびに注射液、滴剤、坐剤などの非経口剤;ならびに貼付剤、局所クリームおよびゲルなど経皮剤、ならびに食品成分または飲料として処方することができる。
【0150】
別の態様において、本発明は、これらに限定されるものではないが、肥満、代謝症候群および他の代謝障害から選択される病態を抑制/予防・治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の少なくとも1つの、先行の実施形態で記載するようなスファランサス・インディクスの抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0151】
別の態様において、本発明は、脂質分解の促進および/または脂肪生成の阻害の方法であって、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、治療有効量の先行の実施形態で記載したスファランサス・インディクス由来の少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0152】
脂肪生成を阻害するか、またはこれらに限定されるものではないが、アルファ−アミラーゼおよび/またはアルファ−グルコシダーゼから選択される消化酵素を阻害する方法であって、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、治療有効量のガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分または該ジー・マンゴスターナ由来成分を含む組成物を投与することを含む方法。
【0153】
別の態様において、本発明は、肥満、糖尿病、代謝症候群または他の代謝障害を治療する方法であって、それを必要とする対象または動物に、治療有効量の、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質から選択される少なくとも1つの成分またはそれらの組成物を、好ましくはガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画および活性化合物またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて(場合によって、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤の1つ以上またはそれらの混合物を含む)を投与することを含む方法を提供する。
【0154】
別の態様において、本発明は、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分およびそれらの組成物を、これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される生物学的マーカーの発現または産生を改善するために使用する方法を提供する。
【0155】
別の態様において、本発明は、これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される生物学的マーカーの発現を改善する方法であって、それを必要とする対象または動物に、治療有効量の、先行の実施形態に記載されるようなスファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分およびそれらの組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0156】
別の態様において、本発明は、脂質分解の促進、脂肪生成活性の阻害、脂質分解、脂肪細胞再生またはこれらに随伴もしくは関連する任意の他の機構から選択される1つ以上の代謝過程を改善するための、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物などの植物化学物質成分あるいは該スファランサス・インディクス由来成分を含む組成物を提供する。
【0157】
別の態様において、本発明は、アルファ−アミラーゼおよび/またはアルファ−グルコシダーゼなどの炭水化物分解酵素を阻害するための、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物などの成分およびそれらの組成物を提供する。
【0158】
別の態様において、本発明は、抗脂肪生成活性により肥満および代謝症候群を治療するための、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物などの成分を提供する。
【0159】
別の態様において、本発明は、肥満、糖尿病、代謝症候群または代謝症候群に随伴する病態の予防および治療のためのアルファ−アミラーゼ阻害、アルファ−グルコシダーゼ阻害などの消化酵素阻害/炭水化物吸収阻害のための、スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分、およびガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を提供する。
【0160】
別の態様において、本発明は、抗脂肪生成活性、脂質分解の促進、脂質分解、脂肪細胞再生またはこれらに随伴もしくは関連する任意の他の機構について先行の実施形態で記載したような、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質から選択される医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの混合物および、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせたそれらの組成物を提供する。
【0161】
本発明のさらなる実施形態において、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分あるいは前述のようなそれらの組成物は、場合によって、コショウ(Piper nigrum)抽出物およびヒハツ(Piper longum)、ピペリン由来の抽出物、分画、純粋な化合物から選択される生体利用能増強剤と組み合わせることができる。
【0162】
本発明の別の態様において、本発明で請求される、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分あるいはそれらの組成物は、ナノテクノロジー、マイクロカプセル化、コロイド担体システムおよび当該技術分野で公知の他の薬物送達システムをはじめとする技術によって徐放性ポリマー系コーティングを用いて、徐放性錠剤の形態で送達される。該処方は、1日1回投与または1日複数回投与のために設計することができる。
【0163】
本発明の他の態様では、本発明で請求される、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される成分あるいはそれらの組成物は、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害を包含するが、これらに限定されるものではない複数の疾患の抑制、予防および治療のために健康食品もしくは飲料または飼料として、既存もしくは新規の食品および飲料形態ならびに動物飼料中に配合または添加することもできる。
【0164】
1つ以上の肥満、代謝症候群および他の代謝障害に関連する酵素、代謝生物学的マーカーおよび代謝過程に対する、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画および活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物およびそれらの組成物(ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物または植物化学物質またはそれらの混合物との組み合わせ)の予想外かつ優れた効果を、以下の非限定的実施例によって説明する。
【実施例1】
【0165】
スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01):スファランサス・インディクス頭花(2.2kg)をパイロット抽出装置中に投入し、還流温度にて2時間酢酸エチル(22L)で抽出した。抽出物を濾過し、使用済みの原料を同様の条件下、酢酸エチルで2回再抽出した(2×13L)。合した抽出物を精密濾過にかけ、上昇薄膜型蒸発缶で濃縮して、残留物(174g)を得た。酢酸エチル抽出物は、HPLC解析法によって11%の7−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリド)を示した。
【実施例2】
【0166】
スファランサス・インディクスヘキサン抽出物(LI/DD−H/054A/02):スファランサス・インディクス頭花(1.0kg)をソックスレー装置中に取り、ヘキサン(6L)で還流温度にて4時間抽出した。抽出物を精密濾過にかけ、使用済み原料をヘキサンで2回再抽出した(2×4L)。抽出物を合し、真空下で濃縮して、残留物(43g)を得た。ヘキサン抽出物は、HPLC解析法により21%の7−ヒドロキシフルラノリドを示した。
【実施例3】
【0167】
スファランサス・インディクスメタノール抽出物(LI/DD−H/054A/03):スファランサス・インディクス頭花(1kg)をRBフラスコ中に取り、メタノール(8L)で80℃の温度にて2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済みの原料を同様の条件下、酢酸エチル(2×L)で2回再抽出した。合した抽出物を精密濾過にかけ、上昇薄膜型蒸発缶で濃縮して、残留物(110g)を得た。メタノール抽出物(LI/DD−II/054A/03)は、HPLC解析法により8.3%の7−ヒドロキシフルラノリドを示した。
【実施例4】
【0168】
7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)の精製:スファランサス・インディクスの頭花の酢酸エチル抽出物(90g)を、ヘキサンからアセトンまで極性が増大する溶離液を用いてシリカカラム上クロマトグラフィーにかけた。20%アセトン/ヘキサンで溶出した分画を合し、真空下で蒸発させて、63%の7−ヒドロキシフルラノリドを含む残留物(16g)を得た。残留物を、ヘキサンから酢酸エチルまで極性が増大する溶媒を用いてシリカ上再クロマトグラフィー(re−chromatography)にかけた。得られた20〜25%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出した分画を合し、蒸発させ、そして残留物アセトニトリルから沈殿させて、半純粋7−ヒドロキシフルラノリド(91%)を得た。残留物を最終的に、クロロホルム/ヘキサン混合物を用いてシリカカラム上で精製した。25〜35%のクロロホルム/ヘキサンで溶出した分画を合し、蒸発させて、純粋な7−ヒドロキシフルラノリド(7.3g、99%)を得た。
【実施例5】
【0169】
ガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933):ガルシニア・マンゴスターナの陰干しした果実外皮(1Kg)を粉砕して、粗粉末にし、メタノール(5L)で2時間、60〜65℃にて抽出した。溶媒を原料から濾過により分離した。メタノールを用いて抽出プロセスを3回繰り返した(2×3Lおよび1×2L)。合した抽出物を精密濾過にかけ、減圧下で濃縮し、常温で沈殿させた。分離した固体を濾過して、乾燥粉末(165g、α−マンゴスチン:32%およびγ−マンゴスチン:3%)を得た。
【実施例6】
【0170】
α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンの精製:32%α−マンゴスチンを有するジー・マンゴスターナのメタノール抽出物(90g)を、クロロホルムからメタノールまで極性が増大する溶離液を用いてシリカカラム上クロマトグラフィーにかけた。10〜15%メタノール/クロロホルムで溶出した分画をモニタリングし、α−マンゴスチンを含む分画を合し、真空下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン/メタノール混合物から結晶化して、99%のα−マンゴスチンを含む残留物(20g)を得た。25%メタノール/クロロホルムで溶出した分画をモニタリングし、γ−マンゴスチンを含む分画を合し、真空下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン/メタノール混合物から結晶化させて、99%のγ−マンゴスチンを含む残留物(2.1g)を得た。
【実施例7】
【0171】
組成物1A、組成物1B、組成物1Cおよび組成物1Dを調製するためのプロセス:
組成物−1Aを、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
3部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01、3g)および1部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933、1g)。
組成物1Bは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:1部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(1g)および3部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(3g)。
組成物1Cは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:1部のスファランサス・インディクスメタノール抽出物(1g)および3部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(3g)。
組成物1Dは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:3部のスファランサス・インディクスメタノール抽出物(3g)および1部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(1g)
【実施例8】
【0172】
組成物2A、2Bおよび2Cを調製するためのプロセス:
組成物2A:組成物2Aは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
2部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(2g)および
1部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(1g)
組成物2B:組成物2Bは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
1部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(1g)および
2部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(2g)
組成物2C:組成物2Cは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
1部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(1g)および
1部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(1g)
【実施例9】
【0173】
組成物2Dおよび2Eを調製するためのプロセス:
組成物2D:組成物2Dは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
4部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(4g)および
1部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(1g)。
組成物2E:組成物2Eは、単位用量の次の成分を混合することによって調製した:
1部のスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(1g)および
4部のガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(4g)。
【実施例10】
【0174】
ゴラクムンディ抽出物によるマトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)産生の阻害:MMP−1を、PMA誘発性ヒト黒色腫細胞(A2058)において評価した。簡単に述べると、細胞を、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび10%のウシ胎仔血清を含むダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)(Hyclone,Logan,UT)中で培養した。1ウェルあたり5000個の細胞を96ウェル細胞培養皿(Corning,USA)中に実験前日に播種した。培地を、10%ウシ胎仔血清を含む新鮮なDMEMと置換した。スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)を0.1〜10μg/mlの範囲で培地中にて連続希釈し、5%のCO2、37℃にて2時間細胞とともにプレインキュベートし、次いで50mMのPMAで24時間刺激した。上清を回収し、MMP−1 ELISA Development Kit(R&D System,Minneapolis,MN,USA)によりMMP−1産生を測定するために使用した。培養上清中のMMP−1濃度は、既知の濃度のMMP−1から作製した標準曲線に光学密度を内挿することによって定量的に評価した。
【0175】
種々の濃度のスファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)での阻害効果を図1に示す。MMP−1の50%阻害(IC50)の阻害濃度を、濃度に対して阻害率(%)をプロットすることにより作製したプロットから計算した。スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)は、10.14μg/mLのIC50値を示した。同様の手順を用いて、純粋化合物7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)のIC50値は1.2μg/mLであることが判明した。
【実施例11】
【0176】
ゴラクムンディ抽出物によるマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)産生の阻害:MMP−3をインターロイキン−1β誘発ヒト肺腫瘍細胞株A549において評価した。簡単に述べると、細胞を、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび10%のウシ胎仔血清を含むDMEM(Hyclone、Logan、UT)中で培養した。1ウェルあたり5000個の細胞を、96ウェル細胞培養皿(Corning、USA)中に実験前日に播種した。培地を、10%のウシ胎仔血清を含む新鮮なDMEMと置換した。スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)を培地中で0.1〜10μg/mlの範囲で連続希釈し、5%CO、37℃で2時間、細胞とともにプレインキュベートし、次いで10ng/mLのヒトIL−1β(R&D System,Minneapolis,MN)で24時間刺激した。上清を回収し、ELISA development kit(R&D System,Minneapolis,MN,USA)によりMMP−3産生を測定するために使用した。培養上清中のMMP−3濃度は、既知の濃度のMMP−3から作製した標準曲線に光学密度を内挿することによって定量的に評価した。MMP−3の50%阻害(IC50)の阻害濃度は、濃度に対する阻害率(%)をプロットすることにより作製したプロットから計算した。スファランサス・インディクスの酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)は、MMP−3に対して0.36μg/mLのIC50値を示した。データを図2にまとめる。同様の手順を用いて、純粋化合物7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)のIC50値は、0.075μg/mLであることが判明した。
【実施例12】
【0177】
スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)による分化脂肪細胞における脂質蓄積の阻害の評価:10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中の100000個の3T3−L1ヒト前脂肪細胞を24ウェルプレートの各ウェル中に取り、37℃および5%COで48時間インキュベートした。前脂肪細胞の分化を、10μg/mlのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地中で48時間開始した。この後、培地を、10ug/mlのインスリンを含むDMEMと置換し、3日間インキュベートした。次いで、分化細胞を10μg/mlのスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および0.5μg/mlの7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)で処理し、培地中でさらに3〜5日間維持した。0.1%のDMSOとともにインキュベートした細胞をビヒクル対照と見なした。インキュベーション期間の後、細胞をリン酸緩衝塩溶液(PBS)で洗浄し、10%緩衝ホルマリンで1時間室温にて固定した。細胞懸濁液の1つの小アリコートを血球計チャンバー中での細胞を計数するために分離した。固定された細胞をオイルレッドO溶液で染色して、細胞中性脂質蓄積を測定した。手短に説明すると、細胞をPBSで洗浄し、10%緩衝ホルマリンで固定し、オイルレッドO溶液(100mlのイソプロパノール中0.5g)で10分間染色した。染色液を除去した後、細胞中に残存する色素をイソプロパノール中に溶出させ、550nmでODを測定した。処置細胞における脂肪蓄積の阻害を、偽処理分化脂肪細胞と比較した。処理細胞および対照細胞も解析し、脂質蓄積の阻害について顕微鏡下で視覚的に比較し、好適な画像取り込み装置にデジタル方式で記録した。スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)およびLI054A01によって示される抗脂肪生成活性を以下の表にまとめる。
【表1】

スファランサス・インディクスの抗脂肪生成活性
【実施例13】
【0178】
分化脂肪細胞におけるスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)の前脂質分解活性の評価:脂質分解活性を、Chemicon International(米国)の手順にしたがって、培地中に分泌された遊離グリセロールを測定することによって、成熟脂肪細胞において評価した。10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中の100000個の3T3−L1ヒト前脂肪細胞を24ウェルプレートの各ウェル中にとり、48時間、37℃および5%COにてインキュベートした。前脂肪細胞の分化を、10μg/mlのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地中で開始した。細胞を5日間分化させ、次いで培地を除去した。単層を洗浄液(ハンクの平衡塩類溶液)で2回洗浄し、次いで250μLのインキュベーション溶液(ハンクの平衡塩類溶液+2%ウシ血清アルブミン)を三連でスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)の存在下または非存在下でウェルに添加し、そして細胞を16時間さらにインキュベートした。脂質分解を測定するために、200μLの遊離グリセロールアッセイ試薬を25μLの培養上清およびグリセロール標準を含有する対照に添加した。試料および対照を15分間インキュベートし、吸収を540nmで読み取った。グリセロールから作製した標準曲線を用いて、培養上清中の遊離グリセロールの濃度を計算した。既知の濃度のグリセロールを含む対照と比較した試料溶液中のグリセロール濃度の増加率(%)は、LI/DD−II/054A/01またはLI054A01による脂質分解の促進率(%)に相当する。LI/DD−II/054A/01およびLI054A01によって促進された脂質分解の増加率(%)を表2にまとめる。
【表2】

スファランサス・インディクスの前脂質分解活性
【実施例14】
【0179】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PP ARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3AR)およびペリリピンの3T3−L1脂肪細胞におけるスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)による阻害:
【0180】
実験プロトコル:マウス前脂肪細胞3T3−L1細胞を、2mMのグルタミン、4.5g/Lのグルコースおよび10%のウシ胎仔血清を追加したダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中に維持した。等数の細胞を24ウェル培養皿の各ウェル中に播種した。細胞を別々に2.5、5および10μg/mLのLI/DD−II/054A/01または1μg/mLの7−ヒドロキシフルラノリドで2時間前処理し、続いて500nMのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地を48時間添加した。その後、細胞を、分化後培地(100nMのインスリンを含むDMEM)を用いてスファランサス・インディクス抽出物LI/DD−II/054A/01抽出物および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)の存在下または非存在下でさらにインキュベートした。最後に、細胞を回収し、冷リン酸緩衝塩溶液で洗浄し、溶解緩衝液で溶解させた。タンパク質抽出物を14,000gで20分間清澄化した。タンパク質含有量をBradford法でクマシーブルー色素を用いることによって測定し、細胞溶解物をさらに使用するまでアリコートに分けて−80℃にて貯蔵した。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)などの脂肪細胞分化マーカーの調節;および細胞内脂肪滴表面関連タンパク質、ペリリピン発現をイムノブロットアッセイにより評価した。
【0181】
スファランサス・インディクス 抽出物LI/DD−II/054A/01および7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)の存在下または非存在下でのバイオマーカー分子脂肪細胞のタンパク質発現の阻害をイムノブロットアッセイで評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解タンパク質を7.5%SDS−PAGEで分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜を、抗PPARγ、または抗CD36、または抗aP2、または抗β3AR、または抗ADRP、または抗ペリリピン抗体のいずれかとともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology,IL,USA)で発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak,USA)で記録した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料においてアクチンの発現で正規化した。データを図3にまとめる。
【実施例15】
【0182】
マクロファージ細胞におけるスファランサス・インディクス抽出物酢酸エチル抽出物(LI/DD−H/054A/0nおよび7−ヒドロキシフルラノリド(LI054A01)によるCD36産生の阻害:
【0183】
実験プロトコル:これは、グルコース誘発性J774、マウスマクロファージ細胞において評価した。簡単に述べると、細胞を、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび10%のウシ胎仔血清を含むDMEM(Hyclone,Logan,UT)中で培養した。等数の細胞を35mmのペトリ皿(Corning,USA)中に実験前日に播種した。培地を、10%ウシ胎仔血清を添加した新しい無グルコースDMEMと置換した。スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)を1〜10μg/mlの範囲で上記培地中にて連続希釈し、LI054A0Iを1μgで希釈し、全培養物を5%CO、37℃で2時間プレインキュベートし、次いで600mg/dLのグルコースとともに5日間インキュベートした。対照培養に100mg/dLのグルコースを追加した。細胞を回収し、溶解緩衝液で溶解させた。細胞溶解物を14,000gで清澄化した。タンパク質濃度をBradford法により測定した。
【0184】
高グルコース誘発性J774マクロファージ細胞においてLI/DD−II/054A/01およびLI054A01の存在下または非存在下でのCD36タンパク質発現の阻害をイムノブロットアッセイで評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解タンパク質を7.5%のSDS−PAGEにおいて分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜をCD36抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)とともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology,IL,USA)で発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak,USA)で記録した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料においてアクチンの発現で正規化した。結果を図4にまとめる。
【実施例16】
【0185】
ガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)、α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンによる分化脂肪細胞における脂肪蓄積の阻害の評価:ガルシニア・マンゴスターナ抽出物(AR933)、α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンの抗脂肪生成活性を上記実施例12に記載した方法により評価した。抽出物AR933、α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンにより示される抗脂肪生成活性を以下の表にまとめる。
【表3】

ガルシニア・マンゴスターナの抗脂肪生成活性
【実施例17】
【0186】
分化脂肪細胞における前脂質分解性α−マンゴスチン、γ−マンゴスチンおよびガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)の評価:脂質分解活性を、上記実施例13に記載のように、成熟脂肪細胞において評価した。既知の濃度のグリセロールを含む対照と比較した試料溶液中のグリセロール濃度の増加率(%)は、試験化合物の脂質分解の促進率(%)に相当する。α−マンゴスチン、γ−マンゴスチンおよびガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)によって促進された脂質分解の増加率(%)を以下の表にまとめる。
【表4】

ガルシニア・マンゴスターナの前脂質分解活性
【実施例18】
【0187】
ガルシニア・マンゴスチンメタノール抽出物(AR933)、α−およびγ−マンゴスチンによるアルファ−アミラーゼの阻害:α−アミラーゼ阻害活性は、Bernfeldによって開発され(Methods in Enzymology,1955,Vol. 1,pp 149−158)、Jamiesonらによって改善され(Journal of Dental Research 1969;48(3):483)、M.C.M da Silvaらによって基質として1%可溶性デンプン用いて試験基質の阻害可能性の試験に適合された(2004,Pesq. Agropec. bras.,Brasilia,2004;39(3);pp 201−208)ジニトロサリチル酸(DNS)法を用い、測定した。
【0188】
試験物質(α−マンゴスチン、γ−マンゴスチンおよびAR933)をα−アミラーゼ100μL(10−25U/mL)とともに室温で20分間プレインキュベートした後、100μLのthp基質溶液を添加し、続いて37℃で10分間インキュベートした。200μLのDNS試薬を添加することにより反応を停止させ、続いて試験管を沸騰水中に5分間入れることにより発色させた。3.6mLの蒸留水を添加した後、吸収を470nmで読み取った。既知のα−アミラーゼ阻害剤を正の対照として使用し、ビヒクルを負の対照として使用した。アッセイを少なくとも二連で実施した。平均試験ODを対照ODと比較することにより、阻害率(%)を計算する。{阻害率(%)=[(COD−TOD)/COD]×100}。用量依存曲線の線形回帰解析によりIC50値を計算した。結果を以下の表にまとめる。
【表5】

【実施例19】
【0189】
ガルシニア・マンゴスチンメタノール抽出物(AR933),αおよびγマンゴスチンによるα−グルコシダーゼの阻害:α−グルコシダーゼ阻害活性を、D. Prasanthらによって開発されたインビトロ法(Fitoterapia 2001,72,686−688)を用いて測定した。マイクロプレートウェル中に、50μLのα−グルコシダーゼ酵素(0.4U/mL)を取り、90μLの100mMリン酸塩緩衝液(pH7)および10μLの試験物質(α−マンゴスチン、γ−マンゴスチンおよびAR933)またはビヒクル対照で処理した。内容物を十分に混合し、反応混合物を室温で5分間インキュベートし、次いで50μLのp−ニトロフェニルα−D−グルコピラノース(20mM)を基質として添加した。内容物を十分に混合し、再度室温で15分間インキュベートした。30μLの炭酸ナトリウム溶液(135mM)の添加によって反応を停止させた。マイクロプレートリーダーを用いて405nmで吸収を測定した。酵素を緩衝液と置換することによって、対照および試験ブランクODを得た。平均試験ODを対照ODと比較することによって、阻害率(%)を計算した。{阻害率(%)=[(COD−TOD)/COD]×100}。用量依存曲線の線形回帰解析によってIC50値を計算した。
【表6】

【実施例20】
【0190】
ガルシニア・マンゴスターナ抽出物(AR933)による3T3−L1脂肪細胞におけるPPARγ、ADRP、CD36、aP2、B3ARおよびペリリピンの阻害:
【0191】
実験プロトコル:2mMのグルタミン、4.5g/Lのグルコースおよび10%のウシ胎仔血清を追加したダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中で、マウス前脂肪細胞3T3−L1細胞を維持する。等数の細胞を24ウェル培養皿の各ウェル中に播種した。細胞を2.5および5μg/mLのガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)で別々に2時間前処理し、続いて500nMのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地を48時間添加した。その後、細胞を、分化後培地(100nMのインスリンを含むDMEM)を用いてガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)の存在下または非存在下でさらにインキュベートした。最後に、細胞を回収し、冷リン酸緩衝塩溶液で洗浄し、溶解緩衝液で溶解させた。タンパク質抽出物を14,000gで20分間清澄化した。タンパク質含有量をBradford法でクマシーブルー色素を用いることによって測定し、細胞溶解物をさらに使用するまでアリコートに分けて−80℃で貯蔵した。PPARγ、CD36、aP2および細胞内脂肪滴表面関連タンパク質、ペリリピン発現などの脂肪細胞分化マーカーの調節を、イムノブロットアッセイにより評価した。
【0192】
ガルシニア・マンゴスターナ抽出物の存在下または非存在下でのバイオマーカー分子脂肪細胞のタンパク質発現の阻害をイムノブロットアッセイで評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解タンパク質を7.5%SDS−PAGEにおいて分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜を、抗PPARγ、または抗CD36、または抗aP2、または抗β3AR、または抗ADRP、または抗ペリリピン抗体のいずれかとともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology,IL,USA)で発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak,USA)で記録した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料においてアクチンの発現で正規化した。データを図5にまとめる。
【実施例21】
【0193】
LI/DD−II/054A/01およびAR933を含む組成物1B、2Cおよび2Eによる分化脂肪細胞における脂質蓄積の阻害の評価:組成物1B、2Cおよび2Eの抗脂肪生成活性も前記実施例12に記載される方法によって評価した。組成物1B、2Cおよび2Eによって示される抗脂肪生成活性を表7にまとめる。
【表7】

組成物1B、2Cおよび2Eの抗脂肪生成活性
【実施例22】
【0194】
分化脂肪細胞におけるLI/DD−II/054A/01およびAR933を含む前脂質分解性組成物1B、2Cおよび2Eの評価:組成物1B、2Cおよび2Eの脂質分解活性を前記実施例13に記載のように成熟脂肪細胞において評価した。既知の濃度のグリセロールを含む対照と比較した試料溶液中のグリセロール濃度の増加率(%)は、組成物1B、2Cおよび2Eによる脂質分解の促進率(%)に対応する。組成物1B、2Cおよび2Eにより促進される脂質分解における増加率(%)を次の表にまとめる。
【表8】

組成物1B、2Cおよび2Eの前脂質分解活性
【実施例23】
【0195】
組成物1Bによる3T3−L1脂肪細胞におけるPPARγ、ADRP、CD36、aP2、B3ARおよびペリリピンの阻害:
【0196】
実験プロトコル:マウス前脂肪細胞3T3−L1細胞を、2mMのグルタミン、4.5g/Lのグルコースおよび10%のウシ胎仔血清を追加したダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中で維持する。等数の細胞を24ウェル培養皿の各ウェル中に播種した。細胞を、5μg/mlのLI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bのいずれかで2時間前処理し、続いて500nMのインスリン、1.0μMのデキサメタゾン、および0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む分化培地を48時間添加した。その後、細胞を、分化後培地(100nMのインスリンを含むDMEM)を用いて組成物1Bの存在下または非存在下でさらにインキュベートした。最後に、細胞を回収し、冷リン酸緩衝塩溶液で洗浄し、そして溶解緩衝液で溶解させた。タンパク質抽出物を14,000gで20分間清澄化した。タンパク質含有量をBradford法でクマシーブルー色素を用いることによって測定し、細胞溶解物をさらに使用するまでアリコートに分けて−80℃にて貯蔵した。ペルオキシソーム増殖剤活性化因子受容体−ガンマ(PPAR−γ)、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)などの脂肪細胞分化マーカーの調節;および細胞内脂肪滴表面関連タンパク質、ペリリピン発現をイムノブロットアッセイによって評価した。
【0197】
組成物1Bの存在下または非存在下でのバイオマーカー分子脂肪細胞のタンパク質発現の阻害を、イムノブロットアッセイで評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解タンパク質を7.5% SDS−PAGEで分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜を、抗PPARγ、または抗CD36、または抗aP2、または抗β3AR、または抗ADRP、または抗ペリリピン抗体のいずれかとともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドを、West−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology,IL,USA)で発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak,USA)に記録した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料においてアクチンの発現で正規化した。データを図6にまとめる。
【実施例24】
【0198】
組成物1Bによるアテローム硬化性マーカータンパク質の産生の下方調節:
実験プロトコル:組成物−1BによるCD36、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、および酸化低密度リポタンパク質(Ox−LDL)などのアテローム硬化性マーカータンパク質の産生阻害を高グルコース誘発性J774、マウスマクロファージ細胞において評価した。簡単に述べると、細胞を、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび10%ウシ胎仔血清(Hyclone、Logan、UT)を含むDMEM中で培養した。等数の細胞を、実験前日に35mmのペトリ皿(Corning、USA)中に播種した。培地を、10%のウシ胎仔血清を添加した新鮮なグルコース無DMEMと置換した。細胞を5ug/mlのLI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bのいずれかとともに2時間37℃、5%CO2でインキュベートし、次いで600mg/dLのグルコースとともに5日間インキュベートした。対照培養に100mg/dLのグルコースを添加した。細胞を回収し、溶解緩衝液で溶解させた。細胞溶解物を14,000gで清澄化した。タンパク質濃度をBradford法により測定した。
【0199】
組成物1Bの存在下または非存在下での高グルコース誘発性J774マクロファージ細胞におけるマーカータンパク質発現の阻害をイムノブロットアッセイにおいて評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解タンパク質を7.5%SDS−PAGEで分割し;その後、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。非特異的部位をブロックした後、膜をCD36、またはMCP−1またはOx−LDL特異的抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)のいずれかとともにインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology、IL、USA)で発現させ、イムノブロット画像をKodak Image Station(Kodak、USA)で記録した。バンド強度をデンシトメトリーによって計算し、各試料においてアクチンの発現で正規化した。結果を図7にまとめる。
【実施例25】
【0200】
LI/DD−II/054A/01、AR933および組成物1Bによるアディポネクチンの調節:LI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物−1Bによる3T3−L1脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質の調節をウェスタンイムノブロットアッセイにおいて評価した。細胞培養、処理プロトコルおよびイムノブロットアッセイ手順は実施例23に記載したものと同じであった。図8は組成物1Bまたはその個々の成分、例えばLI/DD−II/054A/01またはAR933による3T3−L1成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質発現の増大をまとめる。
【実施例26】
【0201】
LI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bによる3T3−L1前脂肪細胞におけるタンパク質チロシンホスファターゼ−IB(PTP−1B)の下方調節:3T3−L1前脂肪細胞を、2mMのグルタミン、4.5g/Lのグルコースおよび10%のウシ胎仔血清を添加したダルベッコ変成イーグル培地(DMEM)中で培養した。等数の細胞を各35cmの細胞培養皿中に一晩播種した。プレートを無血清および無フェノールレッドDMEMで洗浄し、次いで培養物を、5μg/mlのLI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1Bのいずれかで、0.2%のBSAおよびlg/リットルのグルコースを含む無FBSおよび無フェノールレッドDMEM中で前処理した。細胞溶解タンパク質を細胞溶解緩衝液中で抽出し、タンパク質濃度をBradford試薬により測定した。細胞溶解物におけるPTP−1B発現の調節を、抗PTP−lB抗体を用いたイムノブロットアッセイと、それに続いて実施例23に記載した方法によって解析した。図9は、LI/DD−II/054A/01またはAR933または組成物1B処理3T3−L1前脂肪細胞におけるPTP 1Bタンパク質発現の下方調節を示す。
【実施例27】
【0202】
代謝障害に対するスファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)のインビボ有効性
【0203】
スファランサス・インディクス酢酸エチル抽出物(LI/DD−II/054A/01)の有効性を、高脂肪、高コレステロール、高塩分、高スクロース食餌誘発性代謝症候群モデルで試験した。
【0204】
誘発:12匹のSprague Dawleyラットのバッチをランダムにそれぞれ6匹を含む2群に分けた。動物を7日間馴化させた後、実験を開始した。ラットに、100gあたり、32gの焼いたチャナ豆、27gのスクロース、17gの粉乳、5gのミネラル塩混合物、1gのイースト、2gのバター、11gの落花生油および5gのコレステロールを含む食餌を8週間与えることによって代謝症候群を誘発した。
【0205】
治療:8週間の誘発期の後、動物に、割り当てられた試験物質またはビヒクルを用いて8週間毎日経口投与した(経口強制飼養を使用)。治療群の動物に、10mLの0.5%水中CMC中、250mg/kg体重のLI/DD−II/054A/01をさらに8週間追加した。対照群の動物には、この期間、ビヒクル(10mLの0.5%水中CMC)のみを投与した。治療期の間、すべての動物に実験の最後まで標準的齧歯類用食餌を投与した。
【0206】
体重:個々の動物の体重を実験の期間全体にわたって毎週記録した。治療群および対照群の平均体重を測定した。体重増加は、初期体重と比較して、治療開始後第1週、第4週および第8週の最後に計算した。対照群と比較して、LI/DD−II/054A/01は250mg/kgの用量で、非常に強力かつ統計的に有意(p<0.01)な体重増加における減少(66.04%)を示した。治療群および対照群の体重増加の結果を図10Aおよび10Bにまとめる。
【0207】
脂肪組織重量:腹部および精巣上体の脂肪を単離し、実験の最後で秤量し、結果を表9に記載する。治療群における腹部および精巣上体の脂肪重量は、対照群よりも低い。全脂肪は、LI/DD−II/054A/01を追加した治療群では有意に減少した(p<0.05)。
【表9】

ラットの腹部および精巣上体の部分から単離された脂肪組織の重量

値は平均重量±SDとして表示
【0208】
血清生化学:誘発前、治療開始前および治療完了後に、軽く麻酔して、眼窩叢静脈洞(sinus orbital plexus)から採血した。脂質プロフィールをはじめとする種々の生化学的パラメータを、自動臨床化学解析装置HumaStar300,Make:Human(独国)でHuman(独国)製造の生化学試薬を用いて評価した。生化学的パラメータ、特に血清コレステロールレベルおよびトリグリセリドレベルの平均値を、誘発前、誘発後/治療前および治療後に評価した。LI/DD−II/054A/01を250mg/kgで追加すると、脂肪プロフィールが改善され、血清コレステロール、LDLおよびトリグリセリドがそれぞれ15.3%であり、12.7%および22.9%減少した。
【0209】
バイオマーカーアディポネクチンの評価:対照群および治療群の動物の血清アディポネクチン濃度を、二重抗体に基づくサンドイッチ・ラット・アディポネクチンELISAキットを用いて評価した。アッセイは、製造業者(Linco Research,USA)により提供された指示書にしたがって実施した。アッセイの感受性は0.155ng/mlである。アディポネクチンアッセイにより、LI/DD−II/054A/01を250mg/day/kg体重の用量で8週間追加すると、ベースラインと比較して、血清アディポネクチン濃度が有意に(p=0.00618)改善されることが明らかになった。しかし、対照群は血清アディポネクチン濃度の改善を示さなかった。結果を図11にまとめる。
【0210】
恒常性モデル評価(HOMA):HOMA指数を、以下の式を用いて、血清インスリンおよびグルコースレベルに基づいて計算した:
空腹時インスリン濃度(μU/mL)×空腹時グルコース濃度(mmol/L)/22.5。
【0211】
治療群のラットに8週間の治療期間、250mg/kg体重の1日量を追加した結果、対照群と比較して、HOMA指数が有意に減少した。データを図12に示す。
【実施例28】
【0212】
スファランサス・インディクスメタノール抽出物(LI/DD−H/054A/03)およびガルシニア・マンゴスターナメタノール抽出物(AR933)を3:1の比で含む組成物1Dの相乗的抗肥満活性:LI/DD−II/054A/03、AR933および組成物1Dの有効性をSprague−Dawleyラットの高脂肪食餌誘発性肥満モデルに対して試験した。
【0213】
誘発:選択された健常なSprague−Dawleyラットをランダムに対照群または種々の治療群に割り当てた(n=7)。肥満研究に当てられたすべての動物は、8週間の全誘発期間中、高脂肪食(高脂肪食100gあたり、チャナ豆32g、小麦粉15g、イースト1g、バター2g、落花生油8g、カゼイン5g、バナスパティ(Vanaspathi)20g、ビタミンミックス05g、粉乳12gおよびミネラル塩混合物4.5gを含む)を自由に与えることによる食事療法介入によって実験的に肥満にした。
【0214】
治療:誘発期の8週間後、動物を、割り当てられた試験物質またはビヒクルで8週間毎日、経口投与した(経口強制飼養を使用)。治療群の動物に、100mgもしくは250mg/kg体重のLI/DD−II/054A/03または250mg/kg体重のAR933または250mg/kg体重の組成物1Dを10mLの0.5%水中CMCでさらに8週間追加した。対照群の動物にはこの期間中、ビヒクル(10mLの0.5%水中CMC)のみを投与した。治療期の間中、全動物に標準的齧歯類用食餌を研究の最後まで与えた。
【0215】
体重:個々の動物の体重を、研究期間全体にわたって毎週記録した。治療群および対照群の平均体重を測定した。体重増加を、初期体重と比較して、治療開始後第1週、第4週および第8週の終わりで計算した。LI/DD−II/054A/03は、高脂肪食餌誘発性肥満ラットにおいて、用量依存的に体重増加を阻害した。100mg/kg体重のLI/DD−II/054A/03を追加した治療群において、体重増加の46.3%減少を示した。AR933およびLI/DD−II/054A/03は250mg/kgの用量で、それぞれ体重増加において40%および80.1%の減少を示した。しかし、組成物1Dは同じ用量レベル、すなわち250mg/kgで、個々の成分と比較して体重増加において有意に良好な減少(89%)を示した。治療群および対照群についての体重増加の結果を図13にまとめる。
【0216】
食物および水の消費量を毎日記録し、空腹時血液試料を実験の開始前、開始後第4週および第8週(終了時)に集めた。
【0217】
当業者らは、広範な発明の概念から逸脱することなく先行の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明は開示した特定の実施形態または実施例に限定されるのではなく、明細書で定義される本発明の目的および範囲内の変更を網羅すると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スファランサス・インディクス(Sphaeranthus indicus)由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分ならびにガルシニア・マンゴスターナ(Garcinia mangostana)由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含み、場合によって、植物、動物および微生物由来の生物学的に活性な成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル(賦形剤)、担体及び希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上を含む、医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項2】
スファランサス・インディクス由来の抽出物もしくは分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分であって、これらに限定されるものではないが、肥満、体重減少、糖尿病、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択される1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分。
【請求項3】
スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル(賦形剤)、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される1つ以上との組み合わせで含む医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物であって、これらに限定されるものではないが、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択される1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項4】
これらに限定されるものではないが、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心臓血管疾患、神経障害、アルツハイマー病、認知障害、酸化的ストレス、皮膚疾患、皮膚の老化、UV照射による損傷、高血圧、高コレステロール血症(LDL、HDL、VLDL)、高脂質血症(トリグリセリド)、免疫不全、癌、代謝症候群および他の代謝障害から選択される1つ以上の病態の抑制、予防および治療のための、請求項1記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項5】
これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される少なくとも1つのバイオマーカータンパク質の発現または産生の改善のための、請求項1記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項6】
これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される少なくとも1つのバイオマーカータンパク質の発現または産生を改善するための、請求項1もしくは2記載のスファランサス・インディクス由来の医薬品/栄養補助食品/食品の成分または請求項3記載のそれらの組成物。
【請求項7】
これらに限定されるものではないが、脂質分解の促進、脂肪生成の阻害、アルファ−アミラーゼの阻害およびアルファ−グルコシダーゼの阻害、インスリン感受性の増加から選択される1つ以上のプロセスを抑制するための、抽出物、分画、活性化合物または植物化学物質またはそれらの混合物から選択されるスファランサス・インディクス由来の医薬品/栄養補助食品/食品の成分および先行の請求項のいずれか1項に記載の前記スファランサス・インディクス由来成分を含む組成物。
【請求項8】
前記組成物が、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を、ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と組み合わせて含む、請求項1および4に記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項9】
スファランサス・インディクス由来成分の組成物中のパーセンテージが0.01%〜99.9%の範囲であり、ガルシニア・マンゴスターナ由来成分のパーセンテージが99.9%〜0.01%の範囲である、請求項1、4および8記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項10】
これらに限定されるものではないが、フルラノリド、7−ヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−6β,7−オイデスマノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−アセトキシ−3β−ヒドロキシ−6β,7−オイデスム−4−エノリド;3−ケト−β−オイデスモール;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシオイデスム−4−エン−6α,12−オリド;11α,13−ジヒドロ−3α,7α−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α,13−ジヒドロキシフルラノリド;11α,13−ジヒドロ−7α−ヒドロキシ−13−メタオキシフルラノリド;2α,7α−ジヒドロキシ−4−エン−11,13−ジヒドロオイデスム−6,12−オリド;2α−ヒドロキシコスト酸;3−ケト−7α−ヒドロキシオイデスム−4−エン−6,12−オリド(クリプトメリジオール);4−エピクリプトメリジオール;スフェラントリド;2α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシスフェラントリド;2α,7α−ジヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−7α−ヒドロキシスフェラントリド;2α−アセトキシ−5α−ヒドロキシイソスフェラントリドまたはこれらの混合物から選択される少なくとも1つのフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン化合物、好ましくは7−α−ヒドロキシ−4,11(13)−オイデスマジエン−12,6−オリド(7−ヒドロキシフルラノリドとしても知られる)から構成される、前記請求項のいずれかに記載のスファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物ならびにそれらの組成物。
【請求項11】
スファランサス・インディクス由来の抽出物および分画中の活性化合物7−ヒドロキシフルラノリド/他のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン/他の植物化学物質の濃度が0.001%〜100%の範囲である、請求項10記載のスファランサス・インディクス由来成分およびそれらの組成物。
【請求項12】
組成物中の活性化合物7−ヒドロキシフルラノリド/他のフルラノリド/オイデスマノイドセスキテルペン/他の植物化学物質の濃度が0.001%〜99%であり、好ましくは0.01〜95%の範囲である、請求項11記載のスファランサス・インディクス由来成分およびそれらの組成物。
【請求項13】
肥満、代謝症候群および他の代謝障害の抑制、予防および治療に関与するガルシニア・マンゴスターナ中の活性化合物が、α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンを含むが、これらに限定されるものではない、請求項1、4または8記載の組成物。
【請求項14】
ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物または分画中で個別または組み合わせのいずれかの活性化合物α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンの濃度が0.001%〜99.9%である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
組成物中の活性化合物α−マンゴスチンおよびγ−マンゴスチンの濃度が、個々にまたは一緒になってのいずれかで、0.001%〜99%であり、好ましくは0.01〜95%である、請求項1、4または8記載の組成物。
【請求項16】
これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される少なくとも1つの代謝バイオマーカー分子が改善される、請求項8記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項17】
求められる衛生的効果を得るのに関与する代謝過程の改善を、これらに限定されるものではないが、脂質分解、脂肪生成、脂肪分解、脂肪細胞再生またはこれらに随伴もしくは関連する任意の他の機構から選択することができる、請求項2記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分および請求項3記載のそれらの組成物。
【請求項18】
前記フルラノリド/オイデスマノリドおよび関連化合物、好ましくは7−ヒドロキシフルラノリドもしくはその類似体または、前記化合物を、植物、動物および微生物由来の生物活性成分、医薬上または食事療法上許容される活性成分、ビタミン、ミネラル、ビヒクル、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分を組み合わせて含む組成物が、これらに限定されるものではないが、肥満、体重減少、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、代謝症候群および他の代謝障害から選択される1つ以上の病態の抑制、予防および治療のためのものである、請求項10記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分。
【請求項19】
マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸−結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)を包含するが、これらに限定されるものではない少なくとも1つの代謝バイオマーカー分子の発現または産生を改善するための、請求項18記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分およびそれらの組成物。
【請求項20】
ガルシニア・マンゴスターナ由来の前記抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質またはそれらの混合物が、これらに限定されるものではないが、アルファ−アミラーゼおよびアルファ−グルコシダーゼを包含する炭水化物分解酵素に対する阻害効果ならびに脂肪生成の阻害に対する効果を示す、請求項1、4記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項21】
前記生物活性成分が、これらに限定されるものではないが、抗糖尿病活性、抗高血糖活性、脂質低下活性、抗肥満活性、抗高血圧活性、血小板凝集阻害活性、抗感染活性、抗アテローム性動脈硬化活性および抗炎症活性、抗酸化剤および生体増強作用から選択される任意の衛生的効果を有する、植物、動物および微生物由来の抽出物または分画または純粋な化合物または植物化学物質または粉末から選択される、請求項1または3記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項22】
前記抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物が、これらに限定されるものではないが、葉、頭花、茎、皮、根、植物全体またはそれらの混合物、好ましくは頭花由来から選択される少なくとも1つの植物の部分である、先行の請求項のいずれか1項に記載のスファランサス・インディクス由来の医薬品/栄養補助食品/食品の成分。
【請求項23】
前記ガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物が、ガルシニア種、好ましくはガルシニア・マンゴスターナの果実全体または果実の外皮または果実の果肉由来である、先行の請求項のいずれか1項に記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項24】
前記抽出物もしくは活性分画もしくは活性化合物もしくは植物化学物質またはそれらの混合物が、有機溶媒、アルコール、ヒドロアルコール、水またはそれらの混合物の1つ以上から選択される溶媒を用いた抽出によって得られる、請求項22または23記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分およびそれらの組成物。
【請求項25】
前記固体担体または希釈剤または賦形剤が、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、エアロゾル、微結晶性セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオシド、コーンシロップ、ラクトース、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−アルファ−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アカシア、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB群、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸、カルシウム塩、顔料、香料および防腐剤を包含するが、これらに限定されるものではなく、液体担体または希釈剤または賦形剤が、蒸留水、生理食塩水、グルコース水溶液、アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;ならびに油性担体、例えば種々の動物および植物油、白色軟パラフィン、パラフィンならびにワックスを包含する、先行の請求項のいずれか1項に記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分の組成物。
【請求項26】
経口、局所または非経口的に、または吸入により、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に投与される、先行の請求項のいずれか1項に記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物。
【請求項27】
先行の請求項のいずれか1項に記載の医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物であって、錠剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、丸薬、顆粒、粉末、乳剤、懸濁液、シロップ、ペレット、食品、飲料などの経口剤;および注射液、滴剤、坐剤などの非経口剤;および貼付剤、局所クリームおよびゲルなどの経皮剤、ならびに食品成分または飲料として処方することができる、成分または組成物。
【請求項28】
これらに限定されるものではないが、肥満、代謝症候群および他の代謝障害から選択される病態を抑制/予防/治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、請求項1、2、3および8記載のスファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分、またはそれらの組成物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
脂質分解の促進および/または脂肪生成の阻害の方法であって、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、治療有効量の、請求項1、2、3および8記載のスファランサス・インディクス由来の少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分またはそれらの組成物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
脂肪生成を阻害するか、またはこれらに限定されるものではないが、アルファ−アミラーゼおよび/またはアルファ−グルコシダーゼから選択される消化酵素を阻害する方法であって、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、治療有効量の、請求項1、4および8記載のガルシニア・マンゴスターナ由来の抽出物、分画、活性化合物、植物化学物質もしくはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分または前記ジー・マンゴスターナ由来成分を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項31】
これらに限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)、C反応性タンパク質(CRP)、PPAR−γ、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピンおよびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP 1B)から選択される生物学的マーカーの発現または産生を改善する方法であって、それを必要とする対象または哺乳類または温血動物に、治療有効量の、請求項1、2、3および8記載の、スファランサス・インディクス由来の抽出物、分画、活性化合物および植物化学物質から選択される少なくとも1つの医薬品/栄養補助食品/食品の成分もしくはそれらの混合物またはそれらの組成物を投与することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−516842(P2012−516842A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547063(P2011−547063)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000053
【国際公開番号】WO2010/100653
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(510067980)
【Fターム(参考)】