説明

代謝障害の処置のための化合物

種々の代謝障害(例えば、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化および動脈硬化)の処置に有用な因子が、開示される。式(I)において、nは、1または2であり;mは、2または3であり;qは、0または1であり;tは、0または1であり;Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;Aは、フェニルであって、このフェニルは、非置換であるかまたは:ハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換されたフェニル;あるいは3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルである。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
糖尿病は、病的状態および死亡の主要な原因である。慢性的に上昇した血糖は、体が衰弱する合併症:腎症(多くの場合、透析または腎移植を必要とする);末梢神経障害;盲目を引き起こす網膜症;足(足首から上の部分)および足(足首から下の部分)の潰瘍(切断を生じる);脂肪肝疾患(肝硬変を進行することもある)を引き起こし、そして冠状動脈疾患および心筋梗塞を生じやすい。
【0002】
糖尿病の二つの主な型が存在する。I型、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵島のインスリン産生β細胞の自己免疫破壊に起因する。この疾患の発症は通常、小児期または青年期である。処置は、主に毎日の複数回のインスリンの注射からなり、合わせてインスリン用量の調節を導くために頻繁に血糖値を試験する。なぜならば、過剰なインスリンが、低血糖症を引き起こし、結果として脳および他の機能の障害を引き起こし得るからである。II型、すなわち非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)は代表的に、成人に発症する。NIDDMは、脂肪組織、筋肉、および肝臓のようなブドウ糖利用組織のインスリンの作用に対する抵抗性に関する。始めに、この膵島細胞β細胞は、過剰なインスリンの分泌によって補填される。結果として生じる島細胞の損傷は、代償不全および慢性的な高血糖を生じる。逆に、適度な島細胞の不全は、末梢のインスリン耐性に先行するか、または一致し得る。NIDDMの処置に有用である薬物には以下の複数の種類が存在する。1)インスリン・リリーサーであって、これは、インスリン放出を直接的に刺激し、低血糖症の危険性を有する;2)食事のインスリン・リリーサーであって、これは、ブドウ糖誘導型インスリンの分泌を可能とし、各食事の前に摂取しなければならない;3)メトフォルミン(metformin)を含むビグアニドであって、これは、肝性糖新生(糖尿病において逆に上昇される)を小さくする;4)インスリン・センシタイザーであって、例えば、チアゾリジンジオン(thiazolidinedione)は、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンを誘導し、これは、インスリンに対する末梢の応答を改善するが、体重の増加、浮腫、および時々肝臓毒性といったような副作用を有する;5)インスリン注射であって、これは時々、慢性的な過剰刺激のもと島細胞が損失した場合、NIDDMの後期において必要とされる。インスリン耐性はまた、著しい高血糖を伴わず生じ得、一般にアテローム性動脈硬化、肥満、高脂血症、および本質的な高血圧に関係する。この異常のクラスターは、「代謝症候群(metabolic syndrome)」または「インスリン抵抗性症候群」からなる。インスリン耐性はまた、脂肪肝に関連し、これは、慢性的な炎症(NASH;「非アルコール性脂肪肝炎」)、線維症、および肝硬変を進行し得る。累積的に、インスリン抵抗性症候群(糖尿病を含むがこれに限定されない)は、40歳を超えた人々の病的状態および死亡の多数の主要な原因を構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような薬物の存在にかかわらず、糖尿病は、主要なおよび増大する公衆衛生上の問題であり続ける。糖尿病の後期合併症に、国民医療の財源の大部分を費やす。既存の薬物よりも副作用の少ないまたはより緩やかな副作用を有するインスリン耐性の主な不全および島細胞の不全に効果的に対応する新規の経口的に活性な治療剤に対する要求が存在する。
【0004】
現在、脂肪肝疾患に対する安全かつ効果的な処置は存在しない。従って、このような処置が、上記の状態の処置に価値を有する。
【0005】
WO 02/100341(Wellstat Therapeutics Corp.)は、4−[3−(2,6ジメチルベンジルオキシ)フェニル)−3−ブトエン酸を開示する。WO 02/100341は、以下の式I(ここでmは、2または3である)の範囲内の任意の化合物を開示しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、以下に記載されるような生物学的に活性な因子を提供する。本発明は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪液質、高脂血症、脂肪肝疾患、肥満、アテローム性動脈硬化または動脈硬化の処置のための医薬の製造における以下に記載される生物学的に活性な因子の使用を提供する。本発明は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪液質、高脂血症、脂肪肝疾患、肥満、アテローム性動脈硬化または動脈硬化の哺乳類の被験体を処置する方法を提供する。この方法は、有効量の以下に記載される生物学的に活性な因子をこの被験体に投与する工程を包含する。本発明は、以下に記載される生物学的に活性な因子および薬学的に受容可能なキャリアーを含む薬学的組成物を提供する。
【0007】
本発明による生物学的に活性な因子は、以下の式Iの化合物である:
【0008】
【化5】

ここで、nは、1または2であり;mは、2または3であり;qは、0または1であり;tは、0または1であり;Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;Aは、フェニルであって、このフェニルが、非置換であるか、またはハロ、1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換されるフェニルであるが、;あるいは3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここでこのシクロアルキルは、非置換であるか、または1個または2個の環炭素は、メチルまたはエチルで独立にモノ置換され;あるいはN、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ原子環であって、このヘテロ原子環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合し;そしてRは、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである。あるいは、Rが、水素である場合、この生物学的に活性な因子は、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩であり得る。
【0009】
上に記載されるこの生物学的に活性な因子は、以下に記載される一以上の生物学的活性アッセイにおける活性を有し、ヒト糖尿病およびインスリン抵抗性症候群の動物モデルを確立する。従って、このような因子は、糖尿病およびインスリン抵抗性症候群の処置に有用である。試験した全ての例示される化合物は、試験された生物学的活性アッセイの少なくとも一つにおいて活性を示した。
【0010】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。特定の数の炭素原子を有する場合に同定されるアルキル基は、特異的な数の炭素を有する任意のアルキル基を意味する。例えば、3個の炭素原子を有するアルキルは、プロピルまたはイソプロピルであり得、そして4個の炭素原子を有するアルキルは、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルまたはt−ブチルであり得る。
【0011】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」は、一以上のフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素をいう。
【0012】
本明細書中で使用される場合、ペルフルオロメチルまたはペルフルオロメトキシにおける場合、用語「ペルフルオロ」は、全ての水素原子の代わりにフッ素原子を有する問題の基を意味する。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「Ac」は、CHC(O)−基をいう。
【0014】
特定の化合物は、それらの化学名または以下に示される2文字の符号によって本明細書中に参照される。化合物COおよびCPは、上に示される式Iの範囲内に含まれる。
【0015】
CO 5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステル
CP 6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステル
本明細書中で使用される場合、過渡的な用語「含む(comprising)」は、開放型(open−ended)である。特許請求の範囲で使用するこの用語は、このような特許請求の範囲で列挙される要素に加えて複数の要素を含む。
【0016】
(本発明の化合物)
上に記載される因子、使用方法または薬学的組成物の実施形態において、nは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、このフェニルが、非置換であるか、またはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1個もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換されるフェニルである。より詳細な実施形態において、Aは、2,6ジメチルフェニルである。このような化合物の例としては、化合物COおよびCPが挙げられる。
【0017】
本発明の生物学的に活性な因子の好ましい実施形態において、この因子は、実質的に純粋な形態(少なくとも98%)である。
【0018】
(反応スキーム)
本発明の生物学的に活性な因子は、以下の反応スキームにより生成され得る。
【0019】
式Iの化合物、ここでmは、2または3であり、qは、0であり;tは、0または1であり、そしてnは、1または2であり、Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてRは、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキル、すなわち、以下の式の化合物:
【0020】
【化6】

ここでAは上に記載され、上記化合物は、スキーム1の反応を介して調製され得る。
【0021】
スキーム1の反応スキームにおいて、A、t、n、およびRは、上記のとおりである。Rは、1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、pは、3または4であり、そしてsは、2または3である。Yは、ハロゲン化合物または脱離基である。式IIの化合物は、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシレートを用いてIIとIIIの光延反応による工程(a)の反応を介して式Vの化合物へ変換される。この反応は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)で実施される。光延反応で用いられる従来の任意の条件が、工程(a)の反応を実施するために用いられ得る。
【0022】
式Vの化合物はまた、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジンなど)を用いることによって工程(b)の反応を介する式IIの化合物と式IVの化合物とのエーテル化またはアルキル化によって調製され得る。式IVの化合物において、Yとしては、メシロキシ、トシロキシ、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、これらに限定されない。ハライドまたは脱離基を用いてヒドロキシル基をアルキル化するための任意の従来の条件が、工程(b)の反応を実施するために用いられ得る。工程(b)の反応は、式IVの化合物が、容易に利用可能である場合、工程(a)よりも好ましい。
【0023】
式Vの化合物は、式Vの化合物と式VIの化合物との処理によってWittig反応を用いて工程(c)の反応を介して式VIIの化合物へと変換される。アルデヒドをトリアリールホスフィンヒドロハライドと反応させる任意の従来方法は、工程(c)の反応を実施するために用いられ得る。Wittig反応における任意の従来的な条件は、工程(c)の反応を実施するために用いられ得る。この生成物は、例えば、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、および再結晶化のような技術によって単離、精製され得る。
【0024】
式VIIの化合物は、式Iの化合物であり、ここでRは、1〜2個の炭素原子を有するアルキルである。
【0025】
式VIIの化合物は、エステルの加水分解によって工程(d)の反応を介して式VIIIの化合物へと変換され得る。エステルの加水分解の任意の従来方法は、式Iの化合物を生成し、ここでRは、Hである。
【0026】
(反応スキーム1)
【0027】
【化7】

式Iの化合物(すなわち、以下の式:
【0028】
【化8】

の化合物であって、ここでAは上に記載される)は、スキーム2の反応を介して調製され得、ここで、mは、2または3であり、qは、1であり、tは、0または1であり、そしてnは、1または2であり、Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてRは、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである。
【0029】
スキーム2の反応スキームにおいて、A、t、n、RおよびRは、上記のとおりである。Rは、1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、pは、3または4であり、sは、2または3であり、そしてYは、塩素、または臭素である。式IXの化合物は、メシル化され、工程(e)の反応を介して式Xの化合物を供給し得る。ヒドロキシル基のメシル化反応を実施するための任意の従来の条件が、工程(e)を実施するために用いられ得る。式Xの化合物は次いで、式XIの化合物とともに過熱され、式XIIの化合物を生成する。アミノアルコールを生成するための任意の従来的な条件が、工程(f)の反応を実施するために用いられ得る。
【0030】
式XIIの化合物において、アルコールは、塩化チオニル、臭素、三臭化リンなどで式XIIの化合物を処理することにより、塩素または臭素によって、置換され得、式XIIIの化合物を生成し得る。塩素、または臭素でアルコールを置換する任意の従来方法が、工程(g)の反応を実施するために用いられ得る。
【0031】
式XIIIの化合物は、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンなどのような適切な塩基の存在下において、工程(h)の反応を介して式IIの化合物と反応され得る。この反応は、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどのような従来の溶媒中で実施され、式XIVの類似化合物を生成する。塩基(好ましい塩基は炭酸カリウムである)の存在下においてヒドロキシル基のエーテル化の任意の従来方法が、工程(h)の反応を実施するために用いられ得る。
【0032】
式XIVの化合物は、式VIの化合物で式XIVの化合物を処理することによって、Wittig反応を用いて工程(i)の反応を介して式XVの化合物へと変換され得る。アルデヒドとトリアリールホスフィンヒドロハライドとを反応させる任意の従来方法が、工程(i)の反応を実施するために用いられ得る。Wittig反応における任意の従来的な条件が、工程(i)の反応を実施するために用いられ得る。この生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、および再結晶化のような技術によって単離、精製され得る。
【0033】
式XVの化合物は、Rが、1〜2個の炭素原子有するアルキルである式Iの化合物である。
【0034】
式XVの化合物は、エステルの加水分解によって工程(j)の反応を介して式XVIの化合物へと変換され得る。エステルの加水分解の任意の従来法は、Rが、Hである式Iの化合物を生成する。
【0035】
(反応スキーム2)
【0036】
【化9】

式IIの化合物I(すなわち以下の式:
【0037】
【化10】

の化合物)は、スキーム3の反応を介して調製され得、ここでRは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1〜3個の炭素原子を有するアルキルである。
スキーム3の反応スキームにおいて、Rは、1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてPは、保護基である。式XVIIの化合物は、T.Greeneによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載されるような適切な保護基および脱保護基を利用することによってヒドロキシ基を保護し、次いでエステル基を脱保護することによって工程(k)の反応を介して式XVIIIの化合物へと変換され得る。式XVIIIの化合物は、アルコールへ酸を還元することによって工程(l)の反応を介して式XIXの化合物へと変換され得る。この反応は、従来の還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウムのような水素化アルカリ金属)を用いて実施され得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で実施され得る。このような還元反応における任意の従来の条件が、工程(l)の反応を実施するために用いられ得る。式XIXの化合物は、アルデヒドへのアルコールの酸化によって、工程(m)の反応を介して式XXの化合物へと変換され得る。この反応は、適切な酸化剤(例えば、塩化クロム酸ピリジニウム、Swern酸化条件(J.O.C.2001,66,7907−7909)下で2,4,6−トリクロロ[1,3,5]−トリアジン(塩化シアヌル、TCT)など)によって活性化されるジメチルスルホキシド、を用いることによって実施され得る。このような酸化反応における任意の従来の条件が、工程(m)の反応を実施するために用いられ得る。式XXの化合物において、ヒドロキシ基が、T.Greeneによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載される脱保護試薬のような適切な脱保護試薬を利用することによって工程(n)の反応を介して脱保護されて、式IIの化合物を生じ得る。
【0038】
(反応スキーム3)
【0039】
【化11】

式VIの化合物(すなわち、式:
Ph−(CH2)CO}Br
の化合物)は、スキーム4の反応を介して調製され得、ここで、Rは、1個〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてpは、3または4である。
【0040】
スキーム4の反応スキームにおいて、Rおよびpは、上記のとおりである。式XXIの化合物は、反応工程(o)を介して式XXIIの化合物と反応し、式VIの化合物をもたらす。トリフェニルホスフィンとハロゲン化水素との反応において通常使用される任意の条件が、工程(o)の反応を実施するために利用され得る。
【0041】
(反応スキーム4)
【0042】
【化12】

式IIIの化合物(すなわち、式:
A(CHt+n−OH
の化合物であり、ここで、Aは、上に記載される)は、スキーム5の反応を介して調製され得、ここで、tは、0または1であり、そしてnは、1または2である。
【0043】
スキーム5の反応において、Aは、上に記載され、そしてYは、脱離基である。式XXIIIの化合物は、工程(p)の反応を介して、還元されて式XXIVの化合物になり得る。上記反応は、通常の還元剤(例えば、アルカリ金属ハライド(例えば、リチウムアルミニウムハライド))を利用して実施される。上記反応は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で実施される。このような還元反応における任意の通常の条件が、工程(p)の反応を実施するために利用され得る。式XXIVの化合物は、tが0であり、そしてnが1である式IIIの化合物である。
【0044】
式XXIVの化合物は、ヒドロキシル基を、ブロモまたはクロロであるハロゲンであることが好ましいハロゲン基に置換することにより、式XXVの化合物に変換され得る。適切なハロゲン化試薬としては、塩化チオニル、臭素、三臭化リン、四塩化臭素などが挙げられるが、これらに限定されない。このようなハロゲン化反応における任意の通常の条件が、工程(q)の反応を実施するために利用され得る。式XXVの化合物は、tが0であり、nが1である式IVの化合物である。
【0045】
式XXVの化合物は、シアン化アルキル金属(例えば、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウム)とのXXVの反応により、式XXVIの化合物に変換され得る。上記反応は、適切な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)中で実施され得る。ニトリルの調製において通常使用される任意の条件が、工程(r)の反応を実施するために利用され得る。
【0046】
式XXVIの化合物は、酸加水分解または塩基加水分解により、工程(s)の反応を介して式XXVIIの化合物に変換され得る。この反応の実施において、一般的に、塩基性加水分解(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を利用することが好ましい。ニトリルの加水分解において通常使用される任意の条件が、工程(s)の反応を実施するために利用され得る。
【0047】
式XXVIIの化合物は、工程(t)の反応を介して、還元されて式XXVIIIの化合物を生じ得る。この反応は、工程(p)の反応において本明細書中で上に記載したのと同じ様式で、実施され得る。式XXVIIIの化合物は、tが1であり、かつnが1である式IIIの化合物である。
【0048】
式XXVIIIの化合物は、工程(q)の反応に関して本明細書中で上に記載したのと同じ様式で、工程(u)の反応を介して、式XXIXの化合物に変換され得る。式XXIXの化合物は、tが1であり、かつnが1である式IVの化合物である。
【0049】
式XXIXの化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)を利用して、マロン酸ジメチルと反応し、式XXXの化合物を生じ得る。上記反応は、適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど)中で実施される。このようなアルキル化反応における任意の通常の条件が、工程(v)の反応を実施するために利用され得る。
【0050】
式XXXの化合物は、工程(w)の反応を介して、酸または塩基により加水分解されて式XXXIの化合物を生じ得る。
【0051】
式XXXIの化合物は、工程(p)の反応に関して本明細書中で上に記載したのと同じ様式で、工程(x)の反応を介して、式XXXIIの化合物に変換され得る。式XXXIIの化合物は、tが1であり、かつnが2である式IIIの化合物である。
【0052】
式XXXIIの化合物は、工程(q)の反応に関して本明細書中で上に記載したのと同じ様式で、工程(y)の反応を介して、式XXXIIIの化合物に変換され得る。式XXXIIIの化合物は、tが1であり、かつnが2である式IVの化合物である。
【0053】
(反応スキーム5)
【0054】
【化13】

式XVIIの化合物(すなわち、式:
【0055】
【化14】

の化合物)は、スキーム6の反応を介して調製され得、ここで、Rは、1個〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてRはハロ、1個〜3個の炭素原子を有するアルコキシまたは1個〜3個の炭素原子を有するアルキルである。
【0056】
スキーム6の反応において、Rは、Hである。RおよびRは、上記のとおりである。
【0057】
式XXXIVの化合物は、式XXXIVの化合物のメタノールまたはエタノールによるエステル化により、工程(z)の反応を介して、式XVIIの化合物に変換され得る。上記反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)を使用するか、または脱水剤(例えば、ジクロロヘキシルカルボジイミドなど)を使用するかのいずれかにより、実施され得る。このようなエステル化反応における任意の通常の条件が、工程(z)の反応を実施するために使用され得る。
【0058】
(反応スキーム6)
【0059】
【化15】

式XXXIVの化合物(すなわち、式:
【0060】
【化16】

の化合物)は、市販されるか、または以下のような文献に記載される方法に従って調製され得、ここで、Rは、Hであり、そしてRは、ハロである:
1.3−BrまたはF−2−OHCCO
Canadian Journal of Chemistry(2001),79(11)1541−1545
2.4−Br−2−OHCCO
WO9916747またはJP04154773
3.2−Br−6−OHCCO
JP47039101
4.2−Br−3−OHCCO
WO9628423
5.4−Br−3−OHCCO
WO2001002388
6.3−Br−5−OHCCO
Journal of labelled Compounds and Radiopharmaceuticals(1992),31(3),175−82
7.2−Br−5−OHCCOHおよび3−Cl−4−OHCCO
WO9405153およびUS5519133
8.2−Br−4−OHCCOHおよび3−Br−4−OHCCO
WO20022018323
9.2−Cl−6−OHCCO
JP06293700
10.2−Cl−3−OHCCO
Proceedings of the Indiana Academy of Science(1983),Volume date 1982,92,145−51
11.3−Cl−5−OHCCO
WO2002000633およびWO2002044145
12.2−Cl−5−OHCCO
WO9745400
13.5−I−2−OHCCOHおよび3−I,2−OHCCO
Z.Chem.(1976),16(8),319−320
14.4−I−2−OHCCO
Journal of Chemical Research,Synopses(1994),(11),405
15.6−I−2−OHCCO
US4932999
16.2−I−3−OHCCOHおよび4−I−3−OHCCO
WO9912928
17.5−I−3−OHCCO
J.Med.Chem.(1973),16(6),684−7
18.2−I−4−OHCCO
Collection of Czechoslovak Chemical Communications,(1991),56(2),459−77
19.3−I−4−OHCCO
J.O.C(1990),55(18),5287−91.
式XXXIVの化合物(ここで、RはHであり、Rは1個〜3個の炭素原子を有するアルコキシである)、すなわち、以下の式:
【0061】
【化17】

の化合物は、スキーム8の反応によって合成され得る。
【0062】
スキーム8の反応において、RおよびRは上記の通りであり、Rは、1個〜2個の炭素原子を有するアルキル基である。式XXXVの化合物は、アルデヒドを第1級アルコールに還元することによって、式XXXVIの化合物に変換され得る。この反応を実施する際に、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用することが好ましいが、これに限定されない。そのような還元反応における任意の適切な条件は、工程(a’)の反応を実施するために利用され得る。
【0063】
式XXXVIの化合物は、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを使用して1−3ジオールを保護することによる工程(b’)の反応によって、式XXXVIIの化合物に変換され得る。この保護基についての適切な条件は、T.Greeneによるthe Protecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0064】
式XXXVIIの化合物は、臭化ベンジルを使用してフェノール基を保護することによる工程(c’)の反応によって、式XXXVIIIの化合物に変換され得る。この保護基についての適切な条件は、T.Greeneによるthe Protecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0065】
式XXXVIIIの化合物は、工程(d’)の反応によってフッ化テトラブチルアンモニウムを使用する脱保護によって、式XXXIXの化合物に変換され得る。脱保護についての適切な条件は、T.Greeneによるthe Protecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0066】
式XXXIXの化合物は、酸化による工程(e’)の反応によって、式XLの化合物に変換され得る。第1級アルコールを酸に変換する任意の従来の酸化基(例えば酸化クロムなど)が、工程(e’)の反応を実施するために利用され得る。
【0067】
式XLの化合物は、メタノールまたはエタノールを用いる式XLの化合物のエステル化によって、式XLIの化合物に変換され得る。その反応は、触媒(例えば、HSO、TsOHなど)または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど)のいずれかを使用することによって実施され得る。そのようなエステル化反応における任意の従来の条件は、工程(f’)の反応を実施するために利用され得る。
【0068】
式XLIの化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなど)を使用することによってハロゲン化メチルまたはハロゲン化エチルまたはハロゲン化プロピルを用いて式XLIの化合物をエーテル化あるいはアルキル化することによって、式XLIIの化合物に変換され得る。その反応は、従来の溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド)において実施される。その反応は、一般に、0℃〜40℃の温度で実施される。そのようなアルキル化反応における任意の適切な条件は、工程(g’)の反応を実施するために利用され得る。
【0069】
式XLIIの化合物は、エステル基およびベンジル基の脱保護による工程(h’)の反応によって、式XLIIIの化合物に変換され得る。適切な脱保護試薬は、T.Greeneによるthe Protecting Groups in Organic Synthesisに記載され得る。
【0070】
【化18】

式XXXIVの化合物(ここで、RはHであり、そして、Rは1個〜3個の炭素原子を有するアルコキシである)、すなわち、以下の式:
【0071】
【化19】

の化合物は、市販されているか、または以下:
【0072】
【数1】

の文献に記載された方法に従って調製され得るかのいずれかである。
【0073】
式XXXIVの化合物(ここで、RはHであり、Rは1個〜3個の炭素原子を有するアルキルである)、すなわち、以下の式:
【0074】
【化20】

の化合物は、市販されているか、または以下:
【0075】
【数2】

【0076】
【数3】

の文献に記載された方法に従って調製され得るかのいずれかである。
【0077】
(処置方法における使用)
本発明は、インスリン抵抗性症候群および糖尿病(一次性の本態性糖尿病(例えば、I型糖尿病またはII型糖尿病)および二次的な非本態性糖尿病)からなる群から選択される状態を有する哺乳動物被験体を処置するための方法を提供し、その方法は、その状態を処置するために有効な本明細書中で記載された一定量の生物学的に活性な薬剤を、その被験体に投与する工程を包含する。本発明の方法に従って、糖尿病の症状または糖尿病の症状を発達させる可能性(例えば、アテローム性動脈硬化症、肥満症、高血圧症、高脂血症、脂肪肝疾患、腎症、神経障害、網膜症、足腫瘍形成および白内障、糖尿病に関連する各々のそのような症状)が、減少され得る。本発明はまた、高脂血症を処置するための方法を提供し、その方法は、その状態を処置するために有効な本明細書中で記載された一定量の生物学的に活性な薬剤を、その被験体に投与する工程を包含する。実施例に示すように、化合物は、高脂血症の動物における血清トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を減少させる。本発明はまた、悪液質を処置するための方法を提供し、その方法は、悪液質を処置するために有効な本明細書中で記載された一定量の生物学的に活性な薬剤を、その被験体に投与する工程を包含する。本発明はまた、肥満症を処置するための方法を提供し、その方法は、その状態を処置するために有効な本明細書中で記載された一定量の生物学的に活性な薬剤を、その被験体に投与する工程を包含する。本発明はまた、アテローム性動脈硬化症または動脈硬化症から選択される状態を処置するための方法を提供し、その方法は、その状態を処置するために有効な本明細書中で記載された一定量の生物学的に活性な薬剤を、その被験体に投与する工程を包含する。本発明の活性な薬剤は、被験体が糖尿病またはインスリン抵抗性症候群であろうとなかろうと、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満症、アテローム性動脈硬化症または動脈硬化症を処置するために効果的である。その薬剤は、任意の従来の全身投与の経路によって投与され得る。好ましくは、その薬剤は経口投与される。従って、経口投与で処方されるための医薬が好ましい。本発明に従って使用され得る他の投与の経路としては、直腸、非経口、注射(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射または腹腔内注射)、または鼻が挙げられる。
【0078】
本発明の処置の用途および方法の各々のさらなる実施形態は、上記の生物学的に活性な薬剤のいずれか1つの実施形態を投与する工程を包含する。不必要な重複性を避けるために、各々のそのような薬剤および薬剤の群は繰り返されないが、あたかもそれらが繰り返されるかのように、それらは処置の用途および方法に関して本明細書中に組み込まれる。
【0079】
本発明の化合物によって処置される多くの疾患または障害は、2つの広義のカテゴリー:インスリン抵抗性症候群および慢性的な高血糖の結果、に分類される。燃料代謝の調節不全、特にインスリン抵抗性は、それ自体が糖尿病の非存在下(持続性の高血糖)で起こり得、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、本態性高血圧症、脂肪肝疾患(NASH;非アルコール性脂肪性肝炎)、および、特に癌または全身炎症性疾患、悪液質との関連を含む、種々の症状に関連する。悪液質はまた、I型糖尿病または後期II型糖尿病との関連で起こり得る。組織の燃料代謝を改善することによって、本発明の活性な薬剤は、実施例の動物で例示したように、インスリン抵抗性に関連する疾患および症状を予防または改善することに有用である。インスリン抵抗性に関連する一団の徴候および症状は、個々の患者に共存し得るが、多くの場合1つの症状のみがインスリン抵抗性によって影響される多くの生理学的系の脆弱性における個々の相違に起因して優位を占め得る。それにもかかわらず、インスリン抵抗性は多くの疾患状態に対する主要な誘因であるので、この細胞欠損および分子欠損を処置する薬物は、インスリン抵抗性に起因し得るか、またはインスリン抵抗性により悪化し得る任意の器官系における実質的にいかなる症状の予防または改善に有用である。
【0080】
インスリン抵抗性および同時に起こる膵島による不十分なインスリン生産が十分に重篤である場合、慢性的な高血糖が起こり、II型真性糖尿病(NIDDM)の発症と定義される。上記に示したインスリン抵抗性に関する代謝異常に加えて、高血糖に対する疾患の二次的症状もまた、NIDDMを有する患者に起こる。これらとしては、腎症、末梢神経障害、網膜症、微小血管疾患、四肢の腫瘍形成、およびタンパク質の非酵素的なグリコシル化の結果(例えば、コラーゲンおよび他の結合組織への損傷)が挙げられる。高血糖の減衰は、発症およびこれらの疾患の結果の重篤度の割合を減少させる。実施例に示されるように、本発明の活性な薬剤および組成物は、糖尿病における高血糖を減少させるために役立つので、それらは、慢性的な高血糖の合併症の予防および改善に有用である。
【0081】
ヒト被験体および非ヒト哺乳動物被験体の両方は、本発明の処置方法に従って処置され得る。特定の被験体のための本発明の適量の特定の活性な薬剤は、熟練した臨床医によって臨床的な状況において決定され得る。インスリン抵抗性、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質または肥満症に関する障害の処置のためのヒトへの経口投与の場合については、薬剤は一般に、1日量で1mg〜400mg投与され、1日につき1回または2回投与される。マウスへの経口投与の場合には、薬剤は一般に、1日量で体重1キログラムにつき1mg〜300mgの薬剤を投与される。本発明の活性な薬剤は、糖尿病またはインスリン抵抗性症候群における単独療法として、あるいはこれらの疾患の型における有用性を有する1つ以上の他の薬物(例えば、インスリン放出剤、食事のインスリンリリーサー、ビグアナイド剤、またはインスリンそれ自体)と組み合わせて使用される。そのようなさらなる薬物は、標準的な臨床実務に従って投与される。いくつかの場合において、本発明の薬剤は、他の種類の薬物の効力を改善し、そのような薬剤のより低い(およびそのために毒性が少ない)用量が十分な治療結果を伴って患者に投与されることを可能にする。代表的な化合物について、ヒトにおいて確立した安全かつ有効な用量範囲は、1日あたりメトホルミン500mg〜2550mg;1日あたりグリブリド1.25mg〜20mg;GLUCOVANCE(メトホルミンとグリブリドとの組み合わせ処方物)1日あたりグリブリド1.25mg〜20mgおよび1日あたりメトホルミン250mg〜2000mg;1日あたりアトルバスタチン10mg〜80mg;1日あたりロバスタチン10mg〜80mg;1日あたりプラバスタチン10mg〜40mg;および1日あたりシンバスタチン5mg〜80mg;1日あたりクロフィブレート2000mg;1日あたりゲムフィブロジル1200mg〜2400mg、1日あたりロシグリタゾン4mg〜8mg;1日あたりピオグリタゾン15mg〜45mg;1日あたりアカルボース75mg〜300mg;1日あたりレパグリニド0.5mg〜16mgである。
【0082】
I型真性糖尿病:I型糖尿病を有する患者は、1日あたりインスリンの1用量〜数回用量の自己投与によってその患者の疾患を主に管理し、インスリン投与容量およびインスリン投与のタイミングの適切な調整を可能にするために頻繁に血糖をモニタリングする。慢性的な高血糖は、合併症(例えば、腎症、神経障害、網膜症、足潰瘍形成、および早死に;認知機能障害または意識消失を引き起こし得る過剰なインスリン投薬に起因する低血糖)を導く。I型糖尿病を有する患者は、単回投与または分割投与として錠剤形態あるいはカプセル形態のいずれかにおいて、1日あたり1mg〜400mgの本発明の活性な薬剤を用いて処置される。予想される効果は、十分な範囲の血糖を維持するために必要とされるインスリン投与の用量または頻度における減少、ならびに低血糖の発作の減少された発生率および重篤度である。臨床転帰は、血糖およびグリコシル化ヘモグロビン(数ヶ月間にわたって一体化された糖血症のコントロールの適性の指標)の測定、ならびに糖尿病の代表的な合併症の減少された発生率および重篤度によってモニタリングされる。本発明の生物学的に活性な薬剤は、島移植の抗糖尿病の効力を維持するのを助けるために島移植と併せて投与され得る。
【0083】
II型真性糖尿病:II型糖尿病(NIDDM)を有する代表的な患者は、食事および運動の計画、ならびに薬剤投与(例えば、メトホルミン、グリブリド、レパグリニド、ロシグリタゾン、またはアカルボース、それらの全ては、いくらかの患者における糖血症のコントロールにおいていくらかの改善を提供するが、しかしそれらの全ては疾患進行に起因する副作用または最終的な処置の失敗がないわけではない)を受けることによってその患者の疾患を管理する。島不全は、NIDDMを有する患者に長い時間をかけて起こり、大部分の患者においてインスリン注射を必要とする。本発明の活性な薬剤を用いる(さらなる種類の抗糖尿病薬を用いるかまたは用いない)毎日の処置は、血糖コントロールを改善し、島不全の割合を減少させ、そして代表的な糖尿病の症状の発生率および重篤度を減少させることが予想される。さらに、本発明の活性な薬剤は、増加した血清トリグリセリドおよび脂肪酸を減少させ、それによって心疾患の危険度、糖尿病患者の主要な死因を減少させる。糖尿病についての全ての他の治療薬の場合、用量最適化は、必要性、臨床効果、および副作用に対する感受性に従って、個々の患者に行われる。
【0084】
高脂血症:血中の増加したトリグリセリドおよび遊離脂肪酸のレベルは、実質的に一部分の集団に影響し、アテローム性動脈硬化および心筋梗塞についての重要な危険因子である。本発明の活性な薬剤は、高脂血症の患者における循環するトリグリセリドおよび遊離脂肪酸を減少させるために有用である。高脂血症の患者はまた、しばしば、増加した血液コレステロールのレベルも有し、それはまた、心疾患の危険度も増加させる。コレステロールを低減させる薬剤(例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビター(「スタチン」))は、本発明の薬剤に加えて高脂血症の患者に投与され得、必要に応じて、同じ薬学的組成物の中に組み込まれる。
【0085】
脂肪肝疾患:実質的に一部の集団は、脂肪肝疾患に影響され、また、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として公知である;NASHは、しばしば、肥満症および糖尿病に関連する。肝臓脂肪症(肝細胞を有するトリグリセリドの液滴の存在)は、肝臓を慢性的な炎症(炎症性の白血球の侵入として生検サンプルにおいて検出された)にかかりやすくし、それは、線維症および肝硬変を導く。脂肪肝疾患は、一般に、肝臓特異的酵素(例えば、トランスアミナーゼALTおよびAST)の増加した血清レベルの観測によって検出され、確定診断はしばしば生検を必要とするが、肝細胞障害の指標、ならびに肝臓の領域の疲労および痛みを含む症状の提示として役立つ。予想される利点は、肝炎および脂肪含有量の減少であり、その結果、線維症および肝硬変へのNASHの進行の減衰、停止、または転換が起こる。
【0086】
(薬学的組成物)
本発明は、本明細書において記載されるような生物学的活性因子および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物の更なる実施形態は、上述の生物学的に活性な因子の実施形態のいずれか一つを包含する。不必要な冗長性を避ける目的で、このような薬剤の各々およびこのような薬剤の群を、繰り返し述べることをしないが、これらの薬剤の各々およびこのような薬剤の群が繰り返し述べられたがごとく、これらは薬学的組成物の記載に援用される。
【0087】
好ましくは、上述の組成物は、経口投与に対して適合され、これらの組成物は、例えば、錠剤、被覆した錠剤、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセルまたは軟質ゲラチンカプセル、乳濁液または懸濁液の形態である。一般的に、この経口投与は、1mg〜400mgのこのような薬剤を含む。これは、その被験体が1日につき1以上の、錠剤、被覆した錠剤、糖衣錠、またはゼラチンカプセルを飲み込むのに都合がよい。しかし、この組成物はまた、全身投与における他の従来型手段のいずれかによる投与に適合され得る。この全身投与としては、経直腸なもの(例えば、座薬の形態)、非経口なもの(例えば、注射溶液の形態)または経鼻的なものが挙げられる。この生物学的に活性な化合物は、薬学的組成物の製造のために、薬学的に不活性な、無機キャリアもしくは有機キャリアで加工処理される。ラクトース、コーンスターチ、もしくはそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸もしくはそれらの塩などが、例えば、錠剤、被覆された錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセルのためのキャリアとして使用され得る。軟質ゼラチンカプセルに対する適切なキャリアは、例えば、サラダ油、ロウ、脂肪、半固体ポリオールおよび液体ポリオールなどである。しかし、その活性成分の特性に依存して、軟質ゼラチン自体以外の軟質ゼラチンカプセルの場合において、通常は、キャリアは、必要とされない。溶液およびシロップの産生のための適切なキャリアは、例えば、水、ポリオール、グリセロール、サラダ油などである。坐薬のための適切なキャリアは、例えば、天然油または硬化油、ロウ、脂肪、半固体ポリオールまたは液体ポリオールなどである。
【0088】
さらに、薬学的組成物は、保存剤、安定剤、湿潤化剤、乳化剤、甘味料、着色料、矯味矯臭剤(flavorant)、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、コーティング剤または抗酸化剤を含み得る。これらはまた、なお他の治療的に価値のある物質、特に、本発明の化合物の効果の基礎を成す機構以外の機構により作用する抗糖尿病剤または抗高脂血症剤を含み得る。単一の処方物内で本発明の化合物と都合よく組み合わせられ得る薬剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、インスリン放出剤(releasing agent)(例えば、スルホニルウレアインスリンリリーサーであるグリブリドおよび他のスルホニルウレアインスリンリリーサー)、コレステロール低下薬(例えば、「スタチン」、HMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチン))、PPAR−αアゴニスト(例えば、クロフィブラートおよびゲムフィブロジル)、PPAR−γアゴニスト(例えば、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびピオグリタゾン)、α−グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース(デンプンの消化を阻害する))および食事のインスリンリリーサー(prandial insulin releaser)(例えば、レパグリニド(repaglinide))。単一の処方物内で本発明の化合物と組合せられる相補的な薬剤の量は、標準的な臨床実務において使用される用量を踏まえる。特定の代表的な化合物についての確立された安全かつ有効な用量範囲は、上に示される。
【0089】
本発明は、本明細書中に記載される本発明を例示するが、これらには限定されない、以下の実施例を参照することにより、より理解される。
【実施例】
【0090】
(化学合成実施例)
(実施例1:5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステル)
【0091】
【化21】

工程A:5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルの調製:
ジメチルスルホキシド(45ml)中のトリフェニルエチルブチレートホスホニウムブロミド(10.06g,22mmol)および水素化ナトリウム(.581g,24.2mmol)の混合物を、窒素下で30分間撹拌した。この反応混合物を、26.7℃まで加熱し、3分間にわたって、ジメチルスルホキシド(15ml)中に希釈した3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(3.89g,16.2mmol)を滴下した。この反応混合物を、50℃にて3時間撹拌した。ジメチルスルホキシド(10ml)中のトリフェニルエチルブチレートホスホニウムブロミド(3.20g,70mmol)および水素化ナトリウム(0.185g)の混合物を、窒素下で30分間撹拌した。この混合物を、室温にて、一度に、上記の反応混合物に添加した。この反応混合物を50℃にて2時間撹拌し、室温まで冷却し、氷(50g)および水(50ml)の混合物に注いだ。水性混合物を、酢酸エチルで抽出した(3×125ml)。この合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、12.5gの褐色の油状物を得た。この油状物を、30mlのヘキサン:酢酸エチル(95:5)に溶解し、Biotage 75Sシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに供し、4.9gの黄色の油状物を生じた。この黄色の油状物を、ヘキサン:クロロフロム(1:1)〜ヘキサン:酢酸エチル(9:1)で溶出する、別のシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して、3.40g(62%)の微かに黄色の油状生成物を得、この油状生成物は、静置すると、固まった。
H NMR(CDCl):1.2(t,3H);2.4−2.7(m,10H);4.1(q,2H);5.1(s,2H);5.6−6.2(m,1H);6.5(t,1H);6.8(m,7H)。
【0092】
(実施例2:6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキサ−5−エン酸エチルエステル)
【0093】
【化22】

工程A:トリフェニルエチル吉草酸塩ホスホニウムブロミドの調製:
撹拌子、熱電対および還流凝縮器を備え付けた、窒素入口を有する100mlの三つ首フラスコ内で、トルエン(25ml)中にトリフェニルホスフィン(11.80g,45mmol)を溶解させ、エチル−5−ブロモ吉草酸塩(12.54g,60mmol)をこの溶液に添加し、そして、この反応混合物を、2時間還流させ、次いで、室温まで冷却した。トルエンを油状の固形物からデカントで捨て、この残留物を、ヘキサン(100ml)中でスラリーにした。ヘキサン(3×100ml)をこの油状残留物から3回デカントで捨て、油状残留物を、Kugelrohr装置で、40℃、0.1トールにて30分間加熱して、19.0g(89.6%)の表題化合物を得た。
【0094】
工程B:6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキサ−5−エン酸エチルエステル:
ジメチルスルホキシド(40ml)中のトリフェニルエチル吉草酸塩ホスホニウムブロミド(工程A、13.29g,28.2mmol)および水素化ナトリウム(.745g,31.0mmol)の混合物を、窒素下で30分間撹拌した。この反応混合物を26.7℃まで加熱し、4分間にわたって、ジメチルスルホキシド(20ml)中に希釈した3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(5.00g,20.8mmol)を添加した。この反応混合物を、50℃にて3時間撹拌した。ジメチルスルホキシド(15ml)中のトリフェニルエチル吉草酸塩ホスホニウムブロミド(工程A、5.56g,118mmol)および水素化ナトリウム(0.312g)の混合物を、窒素下で30分間撹拌した。この混合物を、室温にて、一度に、上記の反応混合物に添加した。この反応混合物を、50℃にて6時間撹拌し、室温まで冷却し、氷(60g)および水(60ml)の混合物に注いだ。水性混合物を、酢酸エチルで抽出した(3×150ml)。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、14.3gの褐色の油状物を得た。この油状物を、30mlのヘキサン:酢酸エチル(95:5)に溶解し、Biotage 75Sシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに供し、5.8gの黄色の油状物を生じた。この黄色の油状物を、ヘキサン:クロロフロム(1:1)〜ヘキサン:酢酸エチル(9:1)で溶出する、別のシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して、3.74g(51%)の暗黄色の油状物を得た。
H NMR(CDCl):1.2(t,3H);1.8(m,2H);2.2−2.4(m,10H);4.2(q,2H);5.1(s,2H);5.6−6.2(m,1H);6.4(t,1H);6.9−7.3(m,7H)。
【0095】
(生物学的活性の実施例)
以下の生物学的活性の実施例の全てのために、それぞれ、化学合成実施例1および2に従って、化合物COおよびCPを生成した。
【0096】
(実施例3:db/dbマウスにおける、本発明の化合物の抗糖尿病効果)
db/dbマウスは、レプチンのシグナル伝達に欠損を有し、高脂血症、肥満および糖尿病を生じる。さらに、C57BL/6Jバックグラウンドのob/obマウスとは異なり、C57BLKSバックグラウンドのdb/dbマウスは、インスリンを産生する膵島細胞を欠失しており、高インスリン血症(末梢のインスリン耐性に関連する)から低インスリン性糖尿病への進行を生じる。
【0097】
雄性糖尿病(db/dbホモ接合性)C57BL/Ksolaマウス(約8週齢)を、Jackson Lab(Bar Harbor,ME)から入手し、体重(40〜45g)および血清グルコースレベル(食事状態で>300mg/dl)が群間で同じになるように、ランダムに、5〜7匹の動物の群に割り当てた;雄性の痩せた(db/+ヘテロ接合性)マウスを、コホート対照(cohort control)として扱った。最低7日で、到着後の順応が可能となった。全ての動物を、制御された温度(23℃)、相対湿度(50±5℃)および光(7:00〜19:00)の下に維持し、標準的な食餌(Formulab Diet 5008,Quality Lab Products,Elkridge,MD)および水へのアクセスを自由にさせた。
【0098】
処置コホート(treatment cohort)には、4週間にわたって毎日、ビヒクル、化合物CO(100mg/kg)または化合物CP(100mg/kg)の経口投薬した。処置期間の終わりに、100μlの静脈血を、血清化学分析のために、後眼窩静脈から、ヘパリン処理した毛細管内に引いた。
【0099】
毎日の経口投薬の4週間後に、化合物COおよび化合物CPの両方が、血中グルコースの有意な減少を誘発した(表I)。両方の化合物はまた、ビヒクル処置したdb/dbマウスと比較して、血清トリグリセリドおよび遊離脂肪酸が減少した(表II)。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン抵抗性症候群ならびにI型糖尿病およびII型糖尿病を含む糖尿病からなる群から選択される状態を処置するための医薬;あるいは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肥満、高血圧症、高脂血症、脂肪肝疾患、腎症、神経病、網膜症、足の潰瘍または糖尿病関連の白内障を処置または発症の可能性を減ずるための医薬;あるいは高脂血症、悪液質、および肥満からなる群から選択される状態を処置するための医薬の製造における生物学的に活性な因子の使用であって、
ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、Rが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化1】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香族環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族環であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、もしくはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、使用。
【請求項3】
請求項2に記載の使用であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、使用。
【請求項4】
請求項3に記載の使用であって、ここで前記生物学的に活性な因子は、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステル;および6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、使用。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用であって、ここで前記医薬が、経口投与のために処方される、使用。
【請求項6】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化および動脈硬化からなる群選択される状態の哺乳動物の被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体にある量の生物学的に活性な因子を投与する工程を包含し、
ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化2】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族であって、該ヘテロ芳香族は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族であり;ならびに、
は、水素または1もしくは2個の炭素原子を有するアルキルである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法であって、ここで前記被験体が、ヒトである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、ここで前記因子は、1日あたり1mg〜400mgの量で経口的に投与される、方法。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法であって、ここで前記状態が、インスリン抵抗性症候群またはII型糖尿病である、方法。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法であって、ここで前記処置は、糖尿病の症状または糖尿病の症状の発症の可能性を減じ、ここで該症状が、アテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、高脂血症、脂肪肝疾患、腎症、神経病、網膜症、足の潰瘍および糖尿病関連の白内障からなる群から選択される、方法。
【請求項14】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化、動脈硬化からなる群から選択される状態の処置に使用するための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、経口投与のために適合され、薬学的に受容可能なキャリアーおよび1mg〜400mgの生物学的に活性な因子を含有し、ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化3】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、薬学的組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の薬学的組成物であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、薬学的組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の薬学的組成物であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、薬学的組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の薬学的組成物であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、薬学的組成物。
【請求項18】
経口投薬形態の請求項14〜17のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
生物学的に活性な因子であって、ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化4】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香族環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族環であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、生物学的に活性な因子。
【請求項20】
請求項19に記載の生物学的に活性な因子であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、生物学的に活性な因子。
【請求項21】
請求項19に記載の生物学的に活性な因子であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、生物学的に活性な因子。
【請求項22】
請求項21に記載の生物学的に活性な因子であって、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、生物学的に活性な因子。
【請求項23】
実質的に上に記載されるような発明。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン抵抗性症候群ならびにI型糖尿病およびII型糖尿病を含む糖尿病からなる群から選択される状態を処置するための医薬;あるいは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肥満、高血圧症、高脂血症、脂肪肝疾患、腎症、神経病、網膜症、足の潰瘍または糖尿病関連の白内障を処置または発症の可能性を減ずるための医薬;あるいは高脂血症、悪液質、および肥満からなる群から選択される状態を処置するための医薬の製造における生物学的に活性な因子の使用であって、
ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、Rが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化1】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香族環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族環であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、もしくはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、使用。
【請求項3】
請求項2に記載の使用であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、使用。
【請求項4】
請求項3に記載の使用であって、ここで前記生物学的に活性な因子は、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステル;および6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、使用。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用であって、ここで前記医薬が、経口投与のために処方される、使用。
【請求項6】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化および動脈硬化からなる群より選択される状態の哺乳動物の被験体を処置するための組成物であって、該組成物、ある量の生物学的に活性な因子を含有し、
ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化2】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族であって、該ヘテロ芳香族は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族であり;ならびに、
は、水素または1もしくは2個の炭素原子を有するアルキルである、組成物
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、組成物
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、組成物
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、組成物
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の組成物であって、ここで前記哺乳動物が、ヒトである、組成物
【請求項11】
請求項10に記載の組成物であって、ここで前記因子は、経口投与のために1日あたり1mg〜400mgの量でる、組成物
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物であって、ここで前記状態が、インスリン抵抗性症候群またはII型糖尿病である、組成物
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか1項に記載の組成物であって、ここで前記組成物は、糖尿病の症状または糖尿病の症状の発症の可能性を減じ、ここで該症状が、アテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、高脂血症、脂肪肝疾患、腎症、神経病、網膜症、足の潰瘍および糖尿病関連の白内障からなる群から選択される、組成物
【請求項14】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、高脂血症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化、動脈硬化からなる群から選択される状態の処置に使用するための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、経口投与のために適合され、薬学的に受容可能なキャリアーおよび1mg〜400mgの生物学的に活性な因子を含有し、ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化3】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1または2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1または2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香族環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、薬学的組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の薬学的組成物であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、薬学的組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の薬学的組成物であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、薬学的組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の薬学的組成物であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、薬学的組成物。
【請求項18】
経口投薬形態の請求項14〜17のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
生物学的に活性な因子であって、ここで該因子は、以下の式の化合物であるか、あるいはRが、水素である場合、該化合物の薬学的に受容可能な塩あって:
【化4】

ここで、
nは、1または2であり;
mは、2または3であり;
qは、0または1であり;
tは、0または1であり;
は、1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、または1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;
Aは、フェニルであって、該フェニルは、非置換であるかもしくはハロ、1〜2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1または2個の基で置換された、フェニル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、ここで該シクロアルキルは、非置換であるかまたは、1個もしくは2個の環炭素は、メチルもしくはエチルで独立にモノ置換された、シクロアルキル;または、
N、SおよびOから選択される1個もしくは2個の環へテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香族環であって、該ヘテロ芳香族環は、環炭素によって式Iの化合物の残りと共有結合する、ヘテロ芳香族環であり;ならびに、
は、水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキルである、生物学的に活性な因子。
【請求項20】
請求項19に記載の生物学的に活性な因子であって、ここでnは、1であり;qは、0であり;tは、0であり;Rは、水素であり;そしてAは、フェニルであって、該フェニルが、非置換であるか、またはハロ、1もしくは2個の炭素原子を有するアルキル、ペルフルオロメチル、1もしくは2個の炭素原子を有するアルコキシ、およびペルフルオロメトキシから選択される1個もしくは2個の基で置換される、生物学的に活性な因子。
【請求項21】
請求項19に記載の生物学的に活性な因子であって、ここでAは、2,6−ジメチルフェニルである、生物学的に活性な因子。
【請求項22】
請求項21に記載の生物学的に活性な因子であって、5−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ペント−4−エン酸エチルエステルおよび6−[3−(2,6−ジメチルベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキシ−5−エン酸エチルエステルからなる群から選択される、生物学的に活性な因子。
【請求項23】
実質的に上に記載されるような発明。

【公表番号】特表2006−524252(P2006−524252A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513151(P2006−513151)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/012142
【国際公開番号】WO2004/093806
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(501056821)ウェルスタット セラピューティクス コーポレイション (32)
【Fターム(参考)】