説明

仮想計画のための改善されたデータマッチングを提供する方法およびシステム

国際公開になし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に頭蓋顔面治療の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、頭蓋顔面空間における関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットをマッチングする方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本願と同一出願人の国際公開第2008/083857A1号には、患者の歯科修復処置を計画するため、および歯科修復物またはそれに関連する製品であって歯科修復処置で使用される製品を作製するための方法およびシステムが開示されており、その内容全体をあらゆる目的で参照によって本書に援用する。様々な源からの入力データ、例えば事前に調製した患者の歯科印象を含む歯科印象用トレーを患者の口内に設置した状態の患者のCTスキャンからの3Dデータが、同じ歯科印象の高解像度3Dスキャンからのデータとマッチングされる。結果的に得られたデータは、歯科印象用トレーに配置された基準マーカを使用してマッチングすることができる。
【0003】
しかし、国際公開第2008/083857A1号に開示された方法およびシステムは、頭蓋顔面空間における関心領域に関係する第1データセットおよび第2データセットのマッチングの手順に関して、さらに改善することができる。特に、第1データセットおよび第2データセットが国際公開第2008/083857A1号に記載されているものと比較して異なる空間解像度を有する2つの異なる入力源から提供される場合、このマッチングを容易化する必要がある。異なる空間解像度を有する入力源からのデータ要素をマッチングする場合、例えばマッチング用の基準マーカを識別する際の補間誤差のため、第1データセットおよび第2データセットからのマッチしたデータに基づいて生成された成果物の不整合が発生することがある。したがって、改善または洗練されたマッチングを提供または容易化する改善または洗練されたマッチング方法およびシステムは有利であろう。特に、仮想計画用のマッチしたデータを提供し、かつ確実な歯科修復処置を可能にするために、歯科修復物またはそれに関連する製品を作製するための作製データを仮想計画から提供することが必要である。
【0004】
米国特許第6947038号明細書には、タイポイントを持つ器具を生成するためのシステムおよび方法が開示されている。プラスチック担持体を有し、その上に放射線不透過性のタイポイントを装着した、歯に付着可能なマーカが記載されている。放射線不透過性タイポイントのトップポイントは、プラスチック担持体の表面に見える。トップポイントはX線マップおよび3D画像マップから識別可能である。異なるマップから再構成された3D物体は異なる解像度を有し、それはマッチングの不整合を導くので、米国特許第6947038号明細書に開示されたシステムおよび方法は、国際公開第2008/083857号と同じ問題を免れない。
【0005】
したがって、頭蓋顔面空間の関連領域に関する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化する改善された方法およびシステムは有利であろう。特に、改善された精度、増大する柔軟性、費用対効果、および/または患者の安全性を可能にすることは有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の実施形態は好ましくは、添付する特許請求の範囲に記載する方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供することによって、上に示したような1つ以上の欠陥、不利点、または技術上の問題を単独または任意の組合せで軽減、緩和、または排除しようと努めるものである。
【0007】
本発明の第1態様では、頭蓋顔面空間における関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化する方法を提供する。該方法は、(a)第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップと、(b)面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するステップと、(c)第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップと、(d)ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するステップとを含み、第1座標および第2座標は互いに所定の関係を有する。識別された第1座標および第2座標を使用することによって、第1データセットおよび第2データセットのマッチしたデータセットに対するマッチングは、第1座標および第2座標の所定の関係に基づくことができる。
【0008】
本発明の第2態様では、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1および第2データセットのマッチングを容易化するのに適するシステムを提供する。該システムは、(a)第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別し、(b)面オブジェクトに基づいて第1座標を識別し、(c)第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別し、(d)ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するように構成された少なくとも1つのユニットを含み、第1および第2座標は互いに所定の関係を有する。識別された第1座標および第2座標は、マッチしたデータセットに対する第1データセットおよび第2データセットのマッチングのためのシステムでさらに提供することができ、マッチングのためのユニットは、マッチングを第1座標および第2座標の所定の関係に基づくように構成される。
【0009】
本発明の第3態様では、実行されたときに本発明の第1態様の方法を遂行する命令を含む、プログラマブル装置で実行可能なコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体上に格納することができ、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1および第2データセットのマッチングを容易化するように構成される。コンピュータプログラム製品は、(a)第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するための第1コードセグメントと、(b)面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するための第2コードセグメントと、(c)第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するための第3コードセグメントと、(d)ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するための第4コードセグメントとを含み、第1および第2座標は互いに所定の関係を有する。さらなるコードセグメントを追加することによって、第1座標および第2座標の所定の関係に基づいて、マッチしたデータセットに対する第1データセットおよび第2データセットのマッチングのためのコンピュータプログラム製品を提供することができる。
【0010】
上記の方法およびシステムを用いることによって、第1データセットおよび第2データセットそれぞれにおいて少なくとも2つの点(座標)を決定することができる。点は互いに所定の関係を持つ。点は共通の点とすることができる。例えば点は、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクト両方の共通中心点である。共通中心点は、互いに2つのデータセットのスケーリングファクタとは関係なく、ベクトル的に常に厳密に同一である。こうして、そのような座標の所定の関係に基づいて提供されるマッチングデータは、非常に高精度でもたらされる。加えて、互いに所定の関係を有する複数のそのような共通点がこのようにして決定されると、画像アーチファクトのため、例えば第1および第2データセットの一方で1つ以上のオブジェクトが紛失している場合でも、データセットで識別可能な残りのオブジェクトに基づいて再構成することができるので、マッチングの信頼性はさらに改善される。より確実なマッチングのために、空間における少なくとも3つのそのような点または所定の方向を有する1つの軸を、互いにマッチングされる各データセットに提供することができる。
【0011】
以前には、表面のみが識別され互いにマッチングされただけなので、これは不可能であった。表面のデータは第1および第2データセットで異なる解像度を有するため、マッチングはこれまで特定の許容範囲で行われた。
【0012】
したがって、本発明の第4態様では、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1および第2データセットをマッチングする方法を提供する。該方法は、一実施形態では、本発明の第1態様に係る方法と、頭蓋顔面空間の関心領域のマッチしたデータセットを生成するために、第1座標および第2座標の間の所定の関係に基づいて、第1データセット座標系を第2データセットの座標系に変換するステップとを含む。
【0013】
本発明の第5態様では、歯科修復を仮想的に計画する方法を提供する。該方法は、本発明の第4態様に係るマッチングの方法と、マッチしたデータセットに基づいて仮想計画を実行するステップとを含む。該方法はさらに、マッチしたデータセットに基づいて仮想計画の結果として作製データセットを提供するステップを含む。
【0014】
本発明の第6態様では、歯科修復を達成するための医療処置用の製品を作製する方法を提供する。該方法は、本発明の第5態様の方法に基づく作製データセットに少なくとも部分的に基づいて、製品を作製するステップを含む。
【0015】
本発明の第7態様では、頭蓋顔面空間の一部分と一致するように適応された形状を備えた少なくとも1つの表面を有する走査器具を提供する。走査器具は、少なくとも部分的に第1データセットから識別可能である少なくとも1つの面オブジェクトと、少なくとも部分的に第2データセットから識別可能である少なくとも1つのボリュームオブジェクトとを含み、第1座標が面オブジェクトに基づいて識別可能であり、かつ第2座標がボリュームオブジェクトに基づいて識別可能であり、前記第1座標および前記第2座標が互いに所定の関係を有するように前記面オブジェクトは前記少なくとも1つのボリュームオブジェクトに関連して配置される。
【0016】
走査器具は、例えば歯科印象用トレーまたは少なくとも1つのボリュームオブジェクトまたはX線撮影ガイドとすることができる。
【0017】
本発明の第8態様では、歯科印象用トレーまたはX線撮影ガイドのような走査器具を製造する方法を提供する。該方法は、少なくとも1つの面オブジェクトおよび少なくとも1つのボリュームオブジェクトを含む走査器具を自由形式製造する(freeform manufacturing)ステップを含むことができる。
【0018】
本発明のさらなる実施態様は従属請求項で規定されており、そこでは、本発明の第2およびそれ以降の態様に関する特徴は、必要な変更が加えられるが、第1の態様に関する特徴と同様である。
【0019】
本発明の一部の実施形態は、第1データセットおよび第2データセットのより正確なマッチングを行い、より正確にマッチしたデータセットを提供する。
【0020】
本発明の一部の実施形態は、マッチしたデータセットに基づいてより正確な製造データを提供し、したがってこの製造に基づいて製造された製品はより高い精度を有する。
【0021】
本発明の一部の実施形態は、解剖学的頭蓋顔面の状況に対しマッチしたデータの改善された整合性をもたらす。
【0022】
本発明の一部の実施形態は、歯科計画および作製システムに導入される誤差を低減させる。
【0023】
本発明の一部の実施形態は、歯科計画および生産システムの一連の生産における誤差源を低減させる。
【0024】
本発明の一部の実施形態は、実際の解剖学的頭蓋顔面の状況に高精度で適合する最終製品を提供する。一部の実施形態はしたがって、フィット性を向上した歯科修復処置用の製品の生産を達成する。
【0025】
本明細書の文脈における用語「面オブジェクト」は、少なくとも部分的に外側外面を有するオブジェクトであり、その表面は、例えばレーザスキャナ、ホログラフィックスキャナ、および/またはカメラのような光をベースとするスキャナをはじめ、光学スキャナを含む表面スキャナのような非物質透過型走査装置または技術、またはタッチ・プローブ・スキャナのような接触スキャナによって検出可能である。面オブジェクトは少なくとも部分的に、それが付加されるかまたはそれと一体化される表面から見える形状または平面を有する。面オブジェクトは、そこから座標を識別することのできる定義された形状の表面とすることができる。加えて、面オブジェクトは外側外面に隣接するボリュームを有することができる。面オブジェクトは製品の実際の面オブジェクト、または実際の面オブジェクトから生成されたデータセットの仮想的面オブジェクトとすることができる。そのような面オブジェクトの幾つかの例を、実施形態の詳細な説明に掲げる。
【0026】
本明細書の文脈における用語「ボリュームオブジェクト」は、定義された形状のボリュームを有するオブジェクトである。ボリュームオブジェクトのボリュームの形状の少なくとも一部は、CTスキャナ、円錐ビームCTスキャナ、MRIスキャナ、または超音波をベースとするスキャナのような物質透過型データ生成装置または技術によって検出可能である。ボリュームオブジェクトは、製品上の実際のボリュームオブジェクトとするか、または実際の面オブジェクトから生成されたデータセットの仮想的ボリュームオブジェクトとすることができる。ボリュームオブジェクトは例えば少なくとも部分的に走査用構造のような構造内に埋め込むことができる。そのようなボリュームオブジェクトの幾つかの例を、実施形態の詳細な説明に掲げる。
【0027】
Houghton Mifflin CompanyのThe American Heritage(登録商標)Dictionary of the English Language、Fourth Edition、(c)2006によると、用語「座標」は、線または他の一定基準の系に対し所与の次元の空間における点、線、曲線、または平面の位置を決定するために使用される2つ以上の数字のセットのいずれかと定義される。点が線上にある場合は1つの数字のみが必要であり、点が平面内にある場合は2つ、空間内にある場合は3つ必要である。用語「座標」(単数または複数)のこの意味は、本明細書の文脈で使用される。座標は、面オブジェクトを識別し、識別された面オブジェクトに基づいて座標を計算することによって決定することができる。代替的に、または追加的に、座標は、座標が既知であるCADオブジェクトに対する識別された面オブジェクトの面マッチングによって決定することができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「含む/含んでいる」は、記載した特徴、整数、工程、または要素の存在を明記するものと解釈されるものであって、一つ以上の他の特徴、整数、工程、要素、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことを強調しておきたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の実施態様が可能なこれらのおよび他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照する本発明の実施態様の以下の説明から明らかになるであろう。
【0030】
【図1】図1は、方法のフローチャートである。
【0031】
【図2】図2は、複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトを有する歯科印象用トレーの略図である。
【図3】図3は、複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトを有する歯科印象用トレーの略図である。
【0032】
【図4A−4C】図4A〜4Cは、種々の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトの略図である。
【0033】
【図4D】図4Dは、幾何学的相互関係における複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトの複数の座標の略図である。
【0034】
【図5】図5は、複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトを有するX線撮影ガイドの略図である。
【0035】
【図6】図6は、マッチしたデータに基づいて作製データから生成された外科用ドリルガイドの略図である。
【0036】
【図7】図7は、システムの略図である。
【0037】
【図8】図8は、コンピュータプログラムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の特定の実施態様は添付の図面を参照しながら説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されることができ、本明細書中に記載される実施態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が充分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を充分に伝達できるように提供される。添付の図面において例示される実施態様の詳細な説明において使用される用語は、本発明を制限することを意図していない。図面において、類似の数字は類似の要素を示す。
【0039】
以下の説明は、ドリル案内歯科修復処置に適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせている。しかし、本発明はこの用途に限定されず、例えば外科用テンプレートを用いる骨整形、アンカリング要素の位置決め、歯科矯正処置等を含め、多くの他の歯科修復処置に適用することができることは理解されるであろう。
【0040】
背景技術の節に記載した通り、異なる源からの第1データセットおよび第2データセットは、コンピュータベースの環境で、歯科修復処置、歯科矯正処置、歯科外科処置等のような頭蓋顔面治療処置を仮想的に計画するためにマージされる。マージされたデータセットは、仮想計画の結果として、例えば歯科修復物またはそれに関連する製品を作製するための作製データを提供するための基礎となる。
【0041】
2つの異なるデータセットからのデータを使用する理由は、仮想計画のために異なる様相向けのデータを提供するためであり、それは異なるデータ生成装置を用いることから別々にしか得られない。
【0042】
外科処置の仮想計画中に、信頼できる計画を立てるためにはあらゆる様相(aspects)が必要である。例えば頭蓋顔面空間の手術部位における解剖学的状況の視覚化は、目に見える構造および隠された構造の両方を含む必要がある。例えば歯科インプラントの位置の計画には、適切な植設位置を見出すために、顎骨組織に関するデータが必要である。データは顎骨組織のトポグラフィ、骨密度等に関する情報を提供することができる。
【0043】
そのような仮想計画のための情報は、例えば口腔の表面構造用に提供される第1データセット、および表面の下に隠されている解剖学的構造用に提供される第2データセットからマージされたデータに基づいて提供される。
【0044】
さらに詳しくは、異なる様相は、例えば骨組織のような患者の解剖学的形態の隠れた構造、軟組織、残存歯、またはすでに植設された歯科インプラント等のような現存する構造の位置の高精度の決定に関係するかもしれない。歯科インプラント、歯冠フレームワーク、アンカピン、外科用テンプレート等のような歯科修復物または関連製品の作製には、その作製のために高精度データが必要である。
【0045】
例えば、第1データセットは、表面走査装置によって走査器具から生成される。走査器具は例えば、患者の口腔の少なくとも一部分から作られた歯科印象を含む印象トレーである。第1データセットはしたがって、頭蓋顔面空間における解剖学的表面のトポグラフィに関する情報を含む。こうして、第1データセットは口腔の実際の状況、例えば軟組織、現存歯、および現存する歯科インプラントの接続界面等の外側トポグラフィに関する情報を含むことができる。
【0046】
走査器具が少なくとも1つの面オブジェクトを含む場合、第1データセットは、面オブジェクトに基づいて第1座標の識別をもたらす。面オブジェクトの少なくとも1つの外面の位置および向きは、表面の位置および向きの識別を可能にする。したがって面オブジェクト全体を、少なくとも1つの外面から決定することができる。識別された面オブジェクトに基づいて、第1座標を識別することができる。複数の面オブジェクトがあり、各々が個別の少なくとも1つの外面を有し、面の位置および向きの識別を可能にする場合、複数の面オブジェクトのうちの幾つかを識別することができる。識別された面オブジェクトの各々に対し座標が識別可能である。
【0047】
患者の頭蓋顔面空間の第2データセットは、例えば患者のCTスキャンから生成される。この第2データセットを生成するときに、事前に調製された歯科印象用トレーおよび患者の歯科印象のような上述の走査器具が、患者の口内に配置される。第2データセットは、骨組織のような口腔内に隠蔽された解剖学的オブジェクトを識別するためのデータを提供する。さらに、骨組織に対する走査器具の位置は、第2データセットから決定される。
【0048】
少なくとも1つのボリュームオブジェクトが第2データセットで識別可能である。ボリュームオブジェクトは例えば走査器具に付加されるか、または走査器具と一体化される。代替的にボリュームオブジェクトは、解剖学的に現存する構造に付着させることができる。この構造は例えば歯とすることができ、それは次に、例えば口腔の印象または直接口腔内の表面走査によって、第1データセットで識別可能である。第2データセットから、ボリュームオブジェクトの少なくとも一部分は第2データセットで識別される。ボリュームオブジェクトに基づいて、第2座標が識別される。
【0049】
したがって、第1データセットには走査器具のデータのみが含まれる。第2データセットには、骨組織からのデータが提供されるが、走査器具自体のデータは提供されない。例えばCTスキャンパラメータは骨組織画像に合わせて調整されるので、軟組織はCT画像に信頼できるデータを生成しない。走査器具はしばしば軟組織と同様の放射線不透過性を有するので、走査器具自体に対して有用なデータは提供されない。仮想計画中に、骨組織に対して相対的な走査器具の位置を持つことが望ましい。
【0050】
第1データセットから決定された面オブジェクトは、第2データセットからの面オブジェクトの解像度とは異なる解像度を有する。例えば表面走査から決定された表面を有する基準マーカは、CTスキャンからのデータセットから決定された同じ基準マーカの表面とは異なる解像度を有する。さらに、走査器具はしばしばCTスキャンで放射線を透過するので、第1データセットは走査器具のCTスキャンからは得られない情報を含む。これらの問題は、本発明の実施形態によって効果的に回避される。
【0051】
実施形態において、第1座標および第2座標は互いに所定の関係を有し、それは第1データセットおよび第2データセットの改善されたマッチングを可能にする。
【0052】
第1座標および第2座標のこの所定の関係に基づいて2セットのデータをマッチングすると、仮想計画を高精度で実行することができる。したがって、仮想計画に基づく作製データも高精度を有する。これは、マッチしたデータに究極的精度がもたらされ、骨組織および現存する口腔内の解剖学的形態の両方に関して適正な計画が達成されるためである。上述の通り、従来は、マッチしたデータはそのような精度ではマッチしておらず、マッチしたデータに基づいて作製された歯科修復物の潜在的に間違ったフィット性等を含め、幾つかの問題が生じていた。これらの問題はこれで解決される。
【0053】
したがって、患者の歯科修復処置を計画し、かつ少なくとも1つの歯科修復物または歯科修復処置で使用するその関連製品を作製するために有用な方法およびシステムを以下で開示し、実施形態についてさらに詳述する。
【0054】
図1に係る本発明の実施形態では、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化する方法1を例証する。方法1は、上述の通り、頭蓋顔面治療処置の計画の1つ以上で使用することができる。方法1は、
(a)第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップ100と、
(b)面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するステップ110と、
(c)第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップ120と、
(d)ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するステップ130と、
を含み、第1および第2座標が互いに所定の関係を有する。
【0055】
第1データセットは、第1の非物質透過型3Dデータ生成装置を用いて生成することができる。
【0056】
第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップ100は、表面認識および/またはオブジェクト認識のような様々な技術によって実行することができる。識別は手動で、または半自動的に行うことができる。第1データセットは補足的CADデータと組み合わせることができるが、オブジェクトの形状または座標を決定するために充分な部分が第1データセット自体から識別可能である場合には、補足的CADデータは不要である。
【0057】
面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するステップ110は手動で、半自動的に、または自動的に行うことができ、以下でさらに詳述する。
【0058】
第2データセットは、第2の物質透過型のデータ生成装置を用いて、例えばCTスキャンにより、または円錐ビームCTスキャナで生成することができる。
【0059】
第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップ120は例えばHounsfieldグレー値および/または形状識別を介して、例えば閾値識別に基づくことができる。ボリュームオブジェクトは、識別可能な例えば既知のボリュームおよび/または形状等を有する。
【0060】
ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するステップ130は手動で、半自動的に、または自動的に行うことができ、以下でさらに詳述する。
【0061】
第1および第2座標は互いに所定の関係を有し、それは、以下でさらに詳述するマージされたデータに対する第1データセットおよび第2データセットの有利なマッチングをもたらす。
【0062】
実施形態では、第1の非物質透過型のデータ生成装置は3D表面スキャナである。3D表面スキャナはスタンドアロン型スキャナ、デスクトップ型スキャナ等とすることができる。3D表面スキャナは例えばレーザスキャナ、ホログラフィックスキャナ、および/またはカメラのような光ベーススキャナを含む光学スキャナである。光学スキャナは口腔内3D表面スキャナとすることができる。代替的に、または追加的に、3D表面スキャナはタッチ・プローブ・スキャナのような接触スキャナである。第1データセットの生成は、面オブジェクトの表面の少なくとも一部分を第1データ生成装置によって表面走査することを含む。
【0063】
実施形態では、第2の物質透過型のデータ生成装置はCTスキャナ、円錐ビームCTスキャナ、およびMRIスキャナ、または超音波ベーススキャナである。第2データセットの生成はしたがって、第2の3Dデータ生成装置を用いてボリュームオブジェクトをCTスキャン、MRIスキャン、または超音波スキャンすることを含む。
【0064】
第1および第2の3Dデータ生成装置は異なる。第1の3Dデータ生成装置は、例えば口腔内空間の表面データを提供するように構成され、そこから面オブジェクトが識別可能である。第1データセットは口腔内空間から直接提供されるか、あるいはそこから作製された印象から提供される。第2データ生成装置は、骨組織のような少なくとも部分的に表面下に被覆されたエンティティ、および/または他のエンティティに少なくとも部分的に、例えば印象トレー200の構造の内部に、埋め込まれたエンティティからデータを提供するように構成される。
【0065】
頭蓋顔面空間における関心領域が選択される。関心領域は例えば外科処置が行われる部位、例えば1つ以上の歯科インプラントが植設される口腔の部分である。仮想計画は関心領域で行われる。
【0066】
第1データセットおよび第2データセットの複合データは、頭蓋顔面空間の関心領域における歯科修復処置を仮想計画するために必要な全ての情報を含む。複合データが、歯科修復の仮想計画のような重要な用途に使用される場合、2つのデータセットを極めて高精度にマージすることが不可欠である。この目的のために、第1および第2の3Dデータセットのマージは、本書に記載する通り容易化される。データをマージするための有利な出発点は、該方法によって提供される。
【0067】
面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトの識別を容易化するために、それらは適切なユーザインタフェースを介してユーザ識別のために画像として表示することができる。識別は、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトの手動識別を含む。頭蓋顔面空間における関心領域に関係する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化するために、グラフィカル・ユーザ・インタフェースが設けられる。
【0068】
代替的に、または追加的に、選択は自動的にまたは半自動的に行われる。半自動識別の場合、ユーザは好ましくは面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトに隣接して、近接して、または該オブジェクトの位置に、関心領域の位置を識別する。次いでそれらは各々、適切なアルゴリズムによってさらに識別される。第1座標および/または第2座標が決定される。これはマッチング手順の時間を節約することができる。したがって面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトの識別はより迅速に行われる。その結果、マッチングもより迅速に実行される。必要な計算能力は従来より少なくてすむ。
【0069】
実施形態では、複数のこれら面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは、例えば図2ないし3に示すように、印象トレー2に示される。面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトは印象トレー2に付着させることができる。代替的に、または追加的に、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトの少なくとも1つは、印象トレー2の全体の一部分として不可欠な部分とすることができる。
【0070】
図4A〜4Cは、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトの様々な実施形態ならびに関連する第1座標および第2座標の略図であり、図4A〜4Cの上部に断面図を示し、図4A〜4Cの下部に上面図を示す。
【0071】
面オブジェクトは、ユニット上にまたはユニットの位置に少なくとも部分的に外側に配置される。ユニットは走査器具とすることができる。代替的に、または追加的に、ユニットは歯、骨アンカ、インプラント、インプラントのスクリュ、位置ロケータ等とすることができる。ユニットは、第2データセットを生成するときに、被験者の頭蓋顔面の解剖学的形態すなわち骨組織構造に対して固定される。第1データセットを生成するときは、面オブジェクトをユニットに付着させれば充分である。
【0072】
ボリュームオブジェクトは、一実施形態では、面オブジェクトによって閉囲されたボリュームである。閉囲されたボリュームには空気を充満させることができる。代替的に、または追加的に、物質透過型データ生成装置による検出のために、ボリュームには放射線不透過性の物質を充満させることができる。適切な物質は、グッタペルカ、アルミニウム、酸化アルミニウム、ガラス、セラミック材等を含む。これらの物質(および空気)は、骨とは異なる既知の所定のHounsfield(HU)値を有する。
【0073】
図4A、4B、および4Cの実施形態に示す通り、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは同心状に配置され、第1座標および第2座標は(これら図4A、4B、および4Cに示すオブジェクトの一断面内にある)それらの共通中心である。3D空間では、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは同軸上に配置され、第1座標および第2座標はそれらの共通軸、ここでは長手軸405、415、425である。
【0074】
より詳しくは、一実施形態では、第1集合体4aは、内部ボリューム403を閉囲する2つの半体401、402を有する面オブジェクトを含む。2つの半体は例えば、図2および3に示すように、歯科印象用トレー200の2つの半体230、240として一体に組み立てられる。
【0075】
代替的に、または追加的に、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは別々に配置することができる。面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは個別オブジェクトとすることができる。
【0076】
代替的に、または追加的に、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトは、円筒状以外の形態または形状を有することができる。面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトの形状は、長方形、正方形、楕円形、または非対称もしくは不規則な形状とすることができ、それは第1データセットから識別可能である。
【0077】
面オブジェクトは、検出可能でありかつ第1の非物質透過型のデータ生成装置を用いてデータ生成を可能にする、少なくとも1つの外面を有する。このようにして、上部半体401の頂面(図4Aの下部に上面図として示す)、下面、または側面のような1つ以上の表面が、表面識別、グレー値識別、特定形状の識別、パターン認識、放射線不透過性に関係する任意のスケールでの識別等を含め、オブジェクト識別CADオブジェクト識別のような当業界で公知の適切なアルゴリズムによって識別可能である。このようにして、面オブジェクト全体が外面から検出可能である。検出はまた1つ以上の表面を識別することを含むこともでき、面オブジェクトを含む歯科用トレー200のCADモデルのような補足的CADデータから、面オブジェクト全体を改善された精度で識別することができる。CADデータはベクトルをベースとし、したがってサンプリングピクセルまたはボクセル分解能を有する3Dデータ生成装置と比較して、最適な分解能を有する。面オブジェクトまたはボリュームオブジェクトのようなオブジェクトは、上述したような適切なアルゴリズムによって、3Dデータセットで識別される。識別されたオブジェクトは、CADデータセットの対応するオブジェクトと位置合わせされる。これを起点として、第1座標はCADデータに基づいて、最初に面オブジェクトに関連して識別される。このようにして、第1座標はベクトルベースのシステムで最適精度で識別される。
【0078】
したがって、集合体4aから、第1データセットが第1の非物質透過型のデータ生成装置を用いて生成される。第1データ生成装置は、例えば光学スキャナまたはタッチ・プローブ・スキャナのような表面スキャナである。第1データセットの面オブジェクトは、2つの半体401、402として識別される。面オブジェクトから、第1座標は面オブジェクトに基づいて識別される。ここで、長手軸405は第1座標として識別される。
【0079】
第1集合体4aの内部ボリューム403には放射線不透過性物質が充満される。
【0080】
ボリュームオブジェクトの実施形態の放射線不透過性物質は、例えば空気、または生成されたデータに検出可能な特定の放射線不透過性をもたらす任意の他の材料である。ボリュームオブジェクトの放射線不透過性物質は、例えばグッタペルカ、アルミニウム、酸化アルミニウム、ガラス、またはセラミック材である。こうして、ボリュームオブジェクトは、第2データセットから、ボリュームオブジェクトの放射線不透過性物質とボリュームオブジェクトを包囲する構造との間に、検出可能な放射線不透過性における差をもたらすように構成される。このようにしてボリュームオブジェクトは識別可能である。
【0081】
ボリュームオブジェクトは、印象トレーの2つの半体230、240を第1集合体の付着した2つの半体401、402と一体に組み立てるときに、有利に提供される。
【0082】
集合体4aでは、ボリュームオブジェクト403はその内部ボリュームである。内部ボリュームの形のボリュームオブジェクト403を識別するためのデータ要素を含む、第2データセットが生成される。これは、CT、円錐ビームCT、超音波、またはMRIのような第2の物質透過型の3Dデータ生成装置を用いて実行される。内部ボリュームの形のボリュームオブジェクト403はこうして、第2データセットで識別可能である。内部ボリュームの形のボリュームオブジェクト403が2つの半体401、402の内側に配置されるように、ボリュームオブジェクトは、組み立てられた第1および第2半体401、402を含む面オブジェクトに対し定義された空間関係に配置される。内部ボリュームに利用可能な3Dデータを持つと、上述の一致する第1座標および第2座標、すなわち長手軸405は次いで、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクト403に基づいて識別される。この識別は、上述したような画像処理アルゴリズムによって行うことができる。
【0083】
物質透過型装置によって生成されたデータ、例えばCTベースの3Dデータは、非物質透過型の3Dデータ生成装置と比較して低い解像度を有する。本発明の実施形態を使用することにより、ここでは長手軸405と一致する第1座標および第2座標は、ボリュームオブジェクト自体が物質透過型装置によって生成されるデータから内部ボリュームの形で識別されるよりずっと高い精度で識別される。これは、ピクセルまたはボクセルベースのオブジェクト識別が、3D物体の表面を生成する際の補間誤差による妥協の産物であるという事実によるものである。この妥協は、物質透過型装置によって生成されたデータに基づいて決定される内部ボリュームの空間の位置が、第1データセットから得られた面オブジェクトに基づいて決定される座標より低精度であるという事実を導く。
【0084】
加えて、ビーズまたは同様の基準マーカのような小さい面オブジェクトが第1および第2データセットにおける検出に使用される場合、物質透過型装置によって生成された3Dデータでその空間位置を検出する際の相対空間誤差はずっと大きくなり、そのような小さい面オブジェクトに基づいてデータをマッチングする場合、不整合誤差を導く。
【0085】
第1および第2座標は互いに所定の関係を有する。第1座標および第2座標は高精度で識別され、後者間の関係は事前に定義される(例えば同一長手軸)ので、今利用可能なデータ(第1および第2座標ならびに事前に定義された相互関係)は、例えば第1データセットと第2データセットとの間の適切な座標変換を用いて、第1データセットおよび第2データセットのマッチした3Dデータセットを提供するために使用することができる。
【0086】
図4bに示す実施形態では、集合体4bは、内部ボリューム413の形のボリュームオブジェクトを閉囲する本体411および蓋412の形の面オブジェクトを含む。内部ボリューム413および本体412は、共通の長手軸415を共有する。内部ボリューム413は本体412の凹所として形成される。蓋413は解放可能に取り付け可能な閉じ蓋であり、図4Bの上部に示すように、蓋が所定の位置に着くと、凹所は集合体4b内に閉鎖される。内部ボリューム413の形のボリュームオブジェクトは、蓋が図示した位置にあるときでも、第2の物質透過型の3Dデータ生成装置のためにアクセス可能である。加えて、凹所は、タッチ・プローブ・スキャナの場合のように、蓋が取り外されているときに、第1の非物質透過型のデータ生成装置のためにアクセス可能である。これを図4Bの下部に示す。
【0087】
凹所を有するが閉じ蓋の無い別の実施形態を図4Cに示す。本体421の形の面オブジェクトの集合体4cは、共通の長手軸425を中心に内部ボリューム423の形のボリュームオブジェクトを包囲する。内部ボリューム423には、上述した物質のような特定の放射線不透過性物質を、図4Cに示すように、充満させることができる。放射線不透過性物質は接着剤と共に提供するか、あるいは本体421の内部ボリュームに永久的に付着させるために固化材として提供することができる。
【0088】
実施形態では、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは実質的に同一の接合面(mating interface)を共有する。すなわち面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは、2つのオブジェクトが隣接する共通の表面を有する。例えば図4A〜4Cに示す実施形態では、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは、実質的に同一の接合面、すなわち面オブジェクトの本体401、411、421それぞれの内面を共有する。例えば集合体4cでは、本体421の形の面オブジェクトは、本体421の内側の内部ボリューム423の形のボリュームオブジェクトとの、円筒状内面の形の接合面を有する。ここで、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは同一接合面、すなわち本体421の円筒状内面を共有する。
【0089】
しかし、他の実施形態では、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは、互いに空間的に離れて配置された完全に異なる別個のエンティティとすることができる。しかし、全ての実施形態で、面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは共通して第1座標と第2座標との間に所定の関係を有する。例えば、面オブジェクト210ないし215の1つのような、外面を有する面オブジェクトの1つは、歯科印象用トレー200または解剖学的に固定されたユニットまたはその一部分に関連する中心、軸、平面、または外側表面のような第1座標に関連して決定することができる。
【0090】
上述の通り、複数の面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトは、一部の用途で、例えば現存する歯またはその充填物による散乱のため、ボリュームオブジェクトまたは面オブジェクトの画像データが該オブジェクトの識別、または該オブジェクトに基づく座標の識別に使用不能になる場合に、精度を改善することができる。
【0091】
典型的なCT関連の問題は、CTスキャンが時々、口腔の解剖学的形態を正確に表現できなくなることである。例えば患者内に現存する金属ベースの歯科修復物は、CTスキャン中に激しい散乱を引き起こすことがある。
【0092】
後者の場合、面オブジェクトの表面データのみならず、例えば散乱により潜在的に歪められたデータの領域外に位置するボリュームオブジェクトのデータも、確実に提供可能である。
【0093】
代替的に、または追加的に、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトは、実施形態では非円形の軸方向断面(図示せず)を有することがある。例えば面オブジェクトは、軸方向断面が楕円形、正方形、長方形、三角形等の外形を有することがある。ボリュームオブジェクトもまた、軸方向断面が正方形、長方形、または三角形の断面形状のような円形以外の断面形状を有することがある。代替的に、または追加的に、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトは非対称な形状を有することがある。これらの形状は、形状およびしたがって特定の形状を有することが分かっている面オブジェクトまたはボリュームオブジェクトを識別するために、有利に使用することができる。こうして、オブジェクトの空間における向きの識別が容易になり、それは面オブジェクトまたはボリュームオブジェクトに基づく座標の識別を容易にする。
【0094】
データのマッチング容易化の精度および信頼性をさらにいっそう改善するために、該方法は、1つ以上の共通の構造を共有する複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトを連携させることを含むことができる。図4Dは、互いにかつ複数の構造に対して幾何学的関係を有する面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトの複数の例示的キットの略図である。
【0095】
第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化する方法は、実施形態では、したがって複数の面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトの間の連携関係を識別することを含むことができる。該方法は、複数の前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトを識別し、かつ複数の第1座標および第2座標を識別することを含むことができ、前記複数の第1座標および第2座標の対は連携関係を有する。
【0096】
面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトのサブセットが、1つ以上の共通する第1座標および第2座標を共有することがある。この場合、識別された第1座標および関連する第2座標は、その後のマッチング動作の精度を改善するために、各サブセットに関連して互いに照合することができる。連携関係の識別または照合は、コンピュータベースの仮想環境で、手動で、半自動的に、または自動的に行うことができる。連携オブジェクトは、さらに改善された信頼性を含め、マッチしたデータを提供するための方法の微調整をもたらす。これは第1および第2データセットの有利なマッチングをもたらす。
【0097】
例えば、図4Dに示す通り、複数の集合体4a、4b、4cは、互いに空間的に定義された関係に配置される。実施例では、4つの集合体4a、4aii、4b、および4cは、中心450を有する仮想円線440上の異なる角度位置に配置される。4つの集合体の各々が、上述の通りそれぞれ識別可能な、この場合共通の第1および第2座標405i、405ii、425、415を有する。加えて、これらの座標は、仮想的直線状接続線460によって示す通り、互いに定義された関係で提供される。本実施形態では、1組3本の線が定義された面内に仮想三角形を形成し、それは連携関係として識別することができる。連携関係は、連携関係における残りの座標に基づくデータセットでは識別できない1つ以上のオブジェクトの座標を識別するために使用することができる。別の共通する識別可能な連携座標は、例えば円線440、その共通中心450、または3本の線460によって囲まれた三角形によって画定される平面である。
【0098】
例えば1つ以上のオブジェクトがデータ生成中に、例えば現存する歯の充填物または補綴物による画像アーチファクトによって打ち負かされたために、それらが識別できない場合、それらの位置は他のオブジェクトとの所定の関係に基づいて再構築することができる。
【0099】
例えば第1ボリュームオブジェクトは第2データセットから識別できず、2つの他のボリュームオブジェクトは第2データセットから識別可能である場合、排除された第1ボリュームオブジェクトの位置は、残り2つの他のボリュームオブジェクトが識別された後、それらとの所定の関係に基づいて、再構築することができる。
【0100】
同様に、例えば印象材が硬化する前に流出してしまい、硬化後に面オブジェクトの表面を被覆するので、面オブジェクトは第1データセットで識別できないことがある。少なくとも2つのさらなる識別可能な面オブジェクトおよび複数のオブジェクト間の所定の関係から、識別不能なオブジェクトの空間における位置は後者から再構築することができる。
【0101】
幾つかのオブジェクト間の現在の所定の関係は、様々な方法で、例えば走査器具のCADデータに基づいて定めることができる。代替的に、または追加的に、所定の関係は、第1または第2データセットのそれぞれ他方のデータセットにおける識別されたオブジェクトに基づいて定めることができる。例えば、第2データセットで3つのボリュームオブジェクトが識別可能であり、これらのボリュームオブジェクトが面オブジェクトに対して既知の空間関係を有する場合、少なくとも1つの識別不能な面オブジェクトの空間位置を第1データセットに再構築することができる。
【0102】
こうして残りのオブジェクトが識別されると、今識別されたオブジェクトに関連する座標は識別可能である。したがって、データセットは2つのデータセットのマッチングのために確実に循環させることができる。
【0103】
面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは例えば、図5に示すようにX線撮影ガイド5またはその全体の一部分として不可欠な部分に付着される。X線撮影ガイド5は、CTスキャン中に歯520、軟組織表面510、および欠歯空間をシミュレートするために使用される。X線撮影ガイドはアクリル系放射線不透過性材料から作られ、患者から採得した上顎骨の印象、下顎骨の印象、および咬合レジストレーションインデックスから技工所で製作することができる。例えば集合体500、501、502、503、504、505に配置された面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトがX線撮影ガイド5に含まれる。上述の通り、集合体およびそれらの関連座標を識別することによって、2つのデータセットのマッチングは容易化される。第1装置は表面スキャナ、第2装置はCTスキャナとすることができる。第1データセットはX線撮影ガイド5から提供される。第2データセットは、X線撮影ガイド5を装着した被験者のCTスキャンによって提供することができる。
【0104】
面オブジェクトおよびボリュームオブジェクトは代替的に、または追加的に、歯のような解剖学的に固定された構造または副木に固着することができる。そのような実施形態では、面オブジェクトおよび/またはボリュームオブジェクトのみのCADデータを提供することができる。
【0105】
一実施形態では、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングの方法を提供する。該マッチング方法は、上記方法を使用すること、および所定の関係に基づいて、第1データセットの座標系を第2データセットの座標系に変換することを含む。このようにして、マッチしたデータセットが高精度で得られる。
【0106】
頭蓋顔面治療処置を仮想的に計画する方法では、処置の仮想計画はマッチしたデータセットに基づいて行われ、作製データセットは仮想計画の結果として提供される。仮想計画は例えば、マッチしたデータセットに提供される実際の解剖学的状況、所望の生物学的、機能的、生体力学的、および審美的側面、修復の結果、修復用の製品の利用可能なサイズ等を含め、多数のパラメータに関して歯科修復を計画することを含む。仮想計画が完成すると、STLフォーマットのような適切なフォーマットで作製データが提供される。
【0107】
さらに、作製データは、頭蓋顔面治療処置、例えば歯科修復を行うための医療処置で使用される製品を作製する方法に使用することができる。該方法は、作製データセットに基づいて製品を作製することを含む。そのような製品の一実施形態を図6に示す。外科用ドリルガイド6は複数のドリルガイド601〜606を含む。ドリルガイドは、歯科インプラントの位置を含め、歯科修復の仮想計画の結果である。外科用ドリルガイドは、歯科インプラントを植設するための孔を高精度で口腔内に設けるために使用される。作製データから作製される製品の他の例として、ブリッジフレームワーク、アバットメント、アンカピン、歯科矯正器具等がある。
【0108】
図7は、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1および第2データセットのマッチングを容易化するように適応されたシステム7の実施形態の略図である。システムは、歯科修復、顎顔面骨手術のような頭蓋顔面治療処置、または歯科修復もしくは顎顔面骨手術のような頭蓋顔面治療処置で使用される製品の作製を計画するためのシステムにおけるサブシステムとすることができる。システム7は、第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するユニット700、面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するユニット710、第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するユニット720、およびボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するユニット730を含め、ユニット700〜730を含む。第1および第2座標は上述の通り、互いに所定の関係を有する。システム7は、上記の方法を実行するためにさらなるユニットを含むことができる。システム7のユニットは、互いに作動的に連結することができる。システムは、第1データセットおよび第2データセットのマッチングからマッチしたデータセットを提供するためのマッチングユニットでさらに処理するためのデータを提供することができる。システムは、第1および第2データセットを生成するために別個の装置を含むことができる。さらにシステムは、頭蓋顔面治療処置の仮想計画を実行するためのユニットを含むことができる。加えて、システムは仮想計画のためのユニットによって提供された作製データに基づいて、製品を作製するための作製ユニットを含むことができる。
【0109】
図8は、コードセグメント800〜830を含むプログラマブル装置81上で実行可能なコンピュータプログラム製品81の略図である。コードセグメント800〜830は、実行されたときに、一実施形態で、上述の通り方法1を遂行する。コンピュータプログラム製品81はコンピュータ可読媒体80に格納可能であり、頭蓋顔面空間の関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化するように構成される。コンピュータプログラム製品81は、歯科修復もしくは顎顔面骨手術のような頭蓋顔面治療処置、または歯科修復もしくは顎顔面骨手術のような頭蓋顔面治療処置で使用される製品の作製の計画の1つ以上で使用するように適応される。コードセグメントまたは命令は、第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するための第1コードセグメント800、面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するための第2コードセグメント810、第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するための第3コードセグメント820、およびボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するための第4コードセグメント830を含む。第1および第2座標は、上述の通り、互いに所定の関係を有する。第4コードセグメント830は、第1データセットおよび第2データセットのマッチングからマッチしたデータセットを提供するために、マッチングユニットまたはプログラム製品でさらに処理するためのデータを提供することができる。プログラム製品は、仮想計画を実行するためのさらなるコードセグメントを含むことができる。
【0110】
さらに、走査用構造または走査器具を提供する。走査用構造は、走査によるデータ生成に関係する。すでに上述した通り、走査用構造は、第2データセットの生成中に患者の口内に挿入される。走査用構造は、骨組織トポグラフィと基準構造との間の関係のみならず、頭蓋顔面空間の表面トポグラフィをも提供するという目的を有する。走査用構造は、頭蓋顔面空間のトポグラフィの表面と一致する形状を有する。走査用構造は例えば口腔の印象またはX線撮影ガイドを伴う印象トレーである。
【0111】
さらに詳しくは、頭蓋顔面空間の一部分と一致するように適応された形状の少なくとも1つの表面を有する、走査用構造が提供される。走査用構造は、第1データセットから少なくとも部分的に識別可能である少なくとも1つの面オブジェクトと、第2データセットから少なくとも部分的に識別可能である少なくとも1つのボリュームオブジェクトとを含み、面オブジェクトに基づいて第1座標が識別可能であり、かつボリュームオブジェクトに基づいて第2座標が識別可能であり、第1および第2座標は上で説明した通り所定の関係を有する。一実施形態では、面オブジェクトは、第1座標および第2座標が互いに所定の関係を有するように、少なくとも1つのボリュームオブジェクトに関連して配置される。
【0112】
一実施形態では、走査用構造は、歯科構造の少なくとも一部分の印象を採得するために使用される歯科印象用トレーである。歯科印象用トレーは、印象材を装填するように適応されたトレー部分であって、上部および/または下部歯科構造から印象を採得することができるように、患者の上部および/または下部歯科構造の少なくとも一部分に適合するように輪郭を作製されたトレー部分を含む。
【0113】
印象トレーには、第1の非物質透過型のデータ生成装置によって得られるデータから識別可能な外面を有する面オブジェクトが設けられる。構造は面オブジェクトに対し第1の関係を有する。トレーはさらに、物質透過型3Dデータ生成装置によって得られるデータから識別可能なボリュームオブジェクトを含む。
【0114】
さらに、歯科印象用トレーまたはX線撮影ガイドのような走査用構造を製造する方法を提供する。一実施形態では、該方法は、少なくとも1つの面オブジェクトおよび1つのボリュームオブジェクトを含む前記歯科印象用トレーを自由造形製造することを含む。歯科印象用トレーを製造する該方法は、各半体が前記面オブジェクトの一部分を含む2つの半体として前記歯科印象用トレーを製造するステップと、2つの半体を互いに組み立て、こうして面オブジェクトを歯科印象用トレーに統合するステップとを含むことができる。組立ては、ボリュームオブジェクトを2つの半体の間のボリュームに包封することを含むことができる。該方法は、走査用構造のボリュームに放射線不透過性媒体を充填し、こうしてボリュームオブジェクトを形成するステップを含むことができる。
【0115】
走査用構造を製造する方法は、面オブジェクトの少なくとも1つおよびボリュームオブジェクトの少なくとも1つを走査用構造に付加または統合するステップを含み、それによって少なくとも1つの面オブジェクトは少なくとも部分的に第1データセットから識別可能であり、第1座標は面オブジェクトに基づいて識別可能であり、それによって少なくとも1つのボリュームオブジェクトは少なくとも部分的に第2データセットから識別され、かつ第2座標はボリュームオブジェクトに基づいて識別可能であり、少なくとも1つの面オブジェクトおよび少なくとも1つのボリュームオブジェクトは、第1および第2座標が互いに所定の関係を持つように、走査用構造に付着または統合される。
【0116】
該方法は歯科印象用トレーを製造する方法とすることができ、少なくとも1つの面オブジェクトおよび1つのボリュームオブジェクトを含む歯科印象用トレーを自由造形製造するステップを含む。歯科印象用トレーは例えば2つの合わせ半体として作製され、各々の半体は面オブジェクトの一部分を含む。2つの半体は互いに組み立てられ、こうして面オブジェクトが歯科印象用トレーに統合される。ボリュームオブジェクトは、例えば図4および図4Aに示す通り、組み立てられた後、2つの半体の間のボリューム内に包封することができる。ボリュームには放射線不透過性媒体を充填することができる。該方法は、面オブジェクトの少なくとも1つを歯科印象用トレーに付着することを含むことができる。
【0117】
本発明を特定の実施態様に関連して上述した。しかし、上記以外の実施態様も本発明の範囲内で同等に可能である。上記とは異なる方法工程をハードウェアまたはソフトウェアによって実行することは、本発明の範囲内で提供されることができる。本発明の異なる特徴および工程は、記載したもの以外の組合せで組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋顔面空間における関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化する方法であって、
(a)前記第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップと、
(b)前記面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するステップと、
(c)前記第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別するステップと、
(d)前記ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するステップと、
を含み、前記第1座標および第2座標が互いに所定の関係を有する、
方法。
【請求項2】
前記第1座標が前記面オブジェクトの中心点であり、かつ前記第2座標が前記ボリュームオブジェクトの長手中心軸であり;または前記第1座標が前記面オブジェクトの中心点を通る中心軸であり、かつ前記第2座標が前記ボリュームオブジェクトの長手中心軸であり、前記第1座標および前記第2座標が共通中心軸となるように、前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが同軸上に配置され;または前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが同心状に配置され、かつ前記第1座標および前記第2座標が共通中心点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の関係は、前記第1座標および第2座標が一致することを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ボリュームオブジェクトが、前記面オブジェクトによって少なくとも部分的に閉囲される空気のボリュームである、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが実質的に同一の接合面を有し;または前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが実質的に同一の接合面を有しかつ前記ボリュームオブジェクトが前記面オブジェクトの凹所であり;または前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが実質的に同一の接合面を有しかつ前記ボリュームオブジェクトが前記面オブジェクトの凹所であり、かつ前記凹所が解放可能に取付け可能な閉じ蓋を備え、前記蓋が前記凹所に適切に配置されたときに前記凹所が閉囲される、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが両方とも走査用構造にまたはその全体の一部分として不可欠な部分に付着され;かつ/または前記面オブジェクトおよび前記ボリュームオブジェクトが、歯のような解剖学的に固定された構造または副木に付着される、請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記面オブジェクトの前記第1データセットが、第1の非物質透過型の3Dデータ生成装置を用いて前記面オブジェクトを走査することによって生成され;かつ前記ボリュームオブジェクトの前記第2データセットが物質透過型の3Dデータ生成装置を用いることによって生成され;かつ/または前記面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するステップが、前記面オブジェクトのCADデータに基づいて前記第1座標を識別するステップを含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
頭蓋顔面空間における関心領域に関連する第1および第2データセットをマッチングする方法であって、請求項1ないし7のいずれかに記載の前記方法と、前記頭蓋顔面空間における前記関心領域のマッチしたデータセットを生成するために、前記第1座標と前記第2座標との間の前記所定の関係に基づいて、前記第1データセットの座標系を前記第2データセットの座標系に変換するステップを含む方法。
【請求項9】
頭蓋顔面治療処置を仮想的に計画する方法であって、前記仮想計画方法が、請求項8に記載の前記方法と、前記マッチしたデータセットに基づいて前記仮想計画を実行するステップと、前記頭蓋顔面治療処置で使用される少なくとも1つの製品の作製のために、前記マッチしたデータセットに基づく前記仮想計画の結果として作製データセットを提供するステップとを含む方法。
【請求項10】
頭蓋顔面治療処置で使用するための製品を作製する方法であって、請求項9に記載の前記作製データセットに少なくとも部分的に基づいて、前記製品を作製するステップを含む方法。
【請求項11】
実行されたときに、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法を遂行する命令を含む、プログラム可能な装置上で実行可能なコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体に格納可能であり、かつ前記頭蓋顔面空間における関心領域に関連する第1データセットおよび第2データセットのマッチングを容易化するように構成され、前記コンピュータプログラム製品が、
(a)前記第1データセットで面オブジェクトの少なくとも一部分を識別するための第1コードセグメントと、
(b)前記面オブジェクトに基づいて第1座標を識別するための第2コードセグメントと、
(c)前記第2データセットでボリュームオブジェクトの少なくとも一部分を識別する第3コードセグメントと、
(d)前記ボリュームオブジェクトに基づいて第2座標を識別するための第4コードセグメントと、
を含み、前記第1および第2座標が互いに対して所定の関係を有する、
コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
頭蓋顔面空間の一部分と一致するように適応された形状を備えた少なくとも1つの表面を有する走査用構造であって、第1データセットから少なくとも部分的に識別可能である少なくとも1つの面オブジェクトと、第2データセットから少なくとも部分的に識別可能な少なくとも1つのボリュームオブジェクトとを有し、第1座標が前記面オブジェクトに基づいて識別可能であり、かつ第2座標が前記ボリュームオブジェクトに基づいて識別可能であり、前記第1座標および前記第2座標が互いに所定の関係を有するように、前記面オブジェクトが前記少なくとも1つのボリュームオブジェクトに関連して配置される、走査作用構造。
【請求項13】
前記走査用構造が歯科構造の少なくとも一部分の印象を採得するために使用される歯科印象用トレーであり、前記歯科印象用トレーが、印象材を装填するように適応されたトレー部分であって、上部および/または下部歯科構造から印象を採得することができるように、患者の上部および/または下部歯科構造の少なくとも一部分に適合するように輪郭を作製されたトレー部分を含み;または前記走査用構造がX線撮影ガイドである、請求項12に記載の走査用構造。
【請求項14】
請求項12または13のいずれかに記載の歯科印象用トレーまたはX線撮影ガイドのような走査用構造を製造する方法であって、前記方法が、それぞれが前記面オブジェクトの一部分を含む2つの半体として前記走査用構造を製造するステップと、前記2つの半体を互いに組み立て、こうして面オブジェクトを前記走査用構造に統合するステップとを含み;または前記方法が、それぞれが前記面オブジェクトの一部分を含む2つの半体として前記走査用構造を製造するステップと、前記2つの半体を互いに組み立て、こうして前記面オブジェクトを前記走査用構造に統合するステップとを含み、前記組立てステップが前記ボリュームオブジェクトを前記2つの半体の間のボリューム内に包封するステップを含み;かつ/または前記方法が、少なくとも1つの面オブジェクトおよび少なくとも1つのボリュームオブジェクトを含む前記走査用構造を自由造形製造するステップを含み;かつ/または前記方法が、前記走査用構造のボリュームに放射線不透過性媒体を充填し、こうして前記ボリュームオブジェクトを形成するステップを含むように構成される、方法。
【請求項15】
前記走査用構造に前記面オブジェクトの少なくとも1つおよび前記ボリュームオブジェクトの少なくとも1つを付着または統合するステップを含み、それによって前記少なくとも1つの面オブジェクトが第1データセットから少なくとも部分的に識別可能であり、第1座標が前記面オブジェクトに基づいて識別可能であり、それによって前記少なくとも1つのボリュームオブジェクトが第2データセットから少なくとも部分的に識別可能であり、第2座標が前記ボリュームオブジェクトに基づいて識別可能であり、前記第1および第2座標が互いに所定の関係を有するように、前記少なくとも1つの面オブジェクトおよび前記少なくとも1つのボリュームオブジェクトが前記走査用構造に付着または統合されるように構成される、請求項14に記載の走査用構造を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A−4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−527265(P2012−527265A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511184(P2012−511184)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002998
【国際公開番号】WO2010/133326
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(506260386)ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー (42)
【Fターム(参考)】