説明

仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維

【課題】生分解性ポリエステル繊維を仮撚加工した際の毛羽や断糸の発生が極めて少なく、仮撚加工以降の工程通過安定性にも優れた仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維を提供すること。
【解決手段】油剤が付与された生分解性ポリエステル繊維であって、該油剤が下記分子量250〜550の脂肪族エステル化合物成分を50〜80重量%、多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加されたPO/EO共重合体であって、平均分子量が2000〜10000であるとともに実質的に全ての末端が炭素数1〜12のアルキル基によってエーテル封鎖されたPO/EO共重合体成分を1〜20重量%含有し、かつ繊維−金属動摩擦係数が0.2〜0.35、繊維−繊維静摩擦係数が0.2〜0.35であることを特徴とする。さらには、油剤が水系エマルジョンであることや、油剤の付着量が繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性ポリエステルに関し、さらに詳しくは、仮撚加工工程以降の中間工程通過性に優れた仮撚加工用生分解性ポリエステルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル等の合成繊維は他の素材に比べ強度、コスト、および生産性の点で優れており今や社会において必要不可欠な素材となっている。しかしながら地球規模での環境問題の面からは、合成繊維の上記特徴を維持しながら、かつ、綿や絹のように自然環境で微生物により分解、無害化される生分解性ポリマ−の開発が強く望まれてきた。有機系廃棄物の処理方法としても焼却に代わるコンポストによる発酵分解が注目されており、今後汎用合成繊維にもコンポストレベルでの生分解性が要求されるようになると考えられる。
【0003】
そのような素材として、構成原子として酸素、水素、炭素からなり、分解して水と二酸化炭素のみを生成する脂肪族ポリエステルは潜在的に低環境負荷型の生分解性を有していることが知られている。特に微生物産生のポリ−ヒドロキシ酪酸エステルや合成高分子系のポリ−ε−カプロラクトン、ポリエチレンアジペ−ト、ポリグリコ−ル酸及びポリ−L−乳酸は代表的な生分解性ポリエステルとして多くが開発、商品化されている。
【0004】
しかし、これらの生分解性ポリエステル繊維を仮撚加工糸として用いる場合には、加工段階の延伸、仮撚加工の工程、およびそれ以降の整経、製織、製編工程等を通過する際、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルに比べて毛羽や断糸の発生が多く、工程通過性が不良に成り易いという問題があった。特に摩擦仮撚加工を用いた場合には仮撚具のウレタンやセラミックデスクとの擦過で更に毛羽や断糸は増大する傾向にある。
【0005】
現在、例えば特許文献1には生分解性ポリエステル繊維に油剤主要構成成分の平滑剤成分と活性剤成分を飽和結合で且つ活性剤成分として分子量1000〜5000のポリエーテル系高分子活性剤含有油剤が開示されている。しかしこの油剤は繊維への浸透性が高く、ポリマー膨潤による強度低下による毛羽や断糸を誘発し易いという問題があった。そこで、浸透性を減少させる手法として、特許文献2には油剤の平均HLB値(親水親油性バランス)を9以下とする方法が開示されている。しかしこの方法では油剤に使用できる界面活性剤に制限が多いという問題があり、十分に毛羽や断糸を防ぐことができないという問題があった。
このようにこれまで開示された生分解性ポリエステル繊維では摩擦仮撚加工で毛羽や断糸が極めて少なく工程通過性を満足できるものはなかったのである。
【0006】
【特許文献1】特開2005−29902号公報
【特許文献2】特開2004−27374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような問題点に着目してなされたものであり、その目的は、生分解性ポリエステル繊維を仮撚加工した際の毛羽や断糸の発生が極めて少なく、仮撚加工以降の工程通過安定性にも優れた仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維は、油剤が付与された生分解性ポリエステル繊維であって、該油剤が下記(a)成分を50〜80重量%、(b)成分を1〜20重量%含有し、かつ繊維−金属動摩擦係数が0.2〜0.35、繊維−繊維静摩擦係数が0.2〜0.35であることを特徴とする。
(a)分子量250〜550の脂肪族エステル化合物
(b)多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加されたPO/EO共重合体であって、平均分子量が2000〜10000であるとともに実質的に全ての末端が炭素数1〜12のアルキル基によってエーテル封鎖されたPO/EO共重合体
さらには、油剤が水系エマルジョンであることや、油剤の付着量が繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生分解性ポリエステル繊維を仮撚加工した際の毛羽や断糸の発生が極めて少なく、仮撚加工以降の工程通過安定性にも優れた仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の油剤が付与された生分解性ポリエステル繊維とは、土中での発酵分解が可能なポリエステル系の繊維であれば特に制限は無いが、より具体的には例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などのポリヒドロキシアルキレート(PHA)、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトンなどのポリラクトン(PL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)及びポリブチレンサクシネートとポリエチレンサクシネートの共重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサンアジペート、ポリデカンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサンセバケート、ポリデカンセバケートなど脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸から得られるポリアルキレンアルキレート(PAA)等のポリエステル重合原料に由来する成分が70重量%以上のポリエステルのブロック及び/またはランダム共重合体、及び該ポリエステル成分の他に、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン等を30重量%以下のブロックまたはランダム共重合したもの及び/またはそれらを混合したもの等が挙げられる。中でも生分解性ポリエステル繊維が脂肪族ポリエステルであることや、ポリ乳酸系繊維であることが好ましい。
【0011】
またアルカリ減量速度を調節したりポリマー界面の接着性を改善したりするために上記成分以外に少量の第3成分を共重合してもよい。第3成分としては例えば5−金属スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、アルキレンオキサイドブロックを有するグリシジルエーテルなどを使用することができる。
【0012】
本発明において、上記のような生分解性重合体の融点は、耐熱性の観点から120℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。更に好ましくは200℃以上である。
【0013】
本発明は、このような生分解性ポリエステル繊維に油剤が付与された繊維である。そして油剤としては、脂肪族エステル化合物である下記(a)成分を50〜80重量%、多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加された末端封鎖PO/EO共重合体である下記(b)成分を1〜20重量%含有することを必須とする。
(a)分子量250〜550の脂肪族エステル化合物
(b)多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加されたPO/EO共重合体であって、平均分子量が2000〜10000であるとともに実質的に全ての末端が炭素数1〜12のアルキル基によってエーテル封鎖されたPO/EO共重合体
【0014】
このような油剤を例えば紡糸時に付与することにより、製糸から製織、製編工程までの工程で毛羽や断糸が極めて少なく優れた工程通過性を得ることができる。
【0015】
さらに各油剤成分について説明すると(a)成分である脂肪族エステル化合物としては、脂肪酸モノアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、脂肪族多価アルコールのモノもしくは多脂肪酸エステル等の化合物をいい、分子量250〜550の範囲のものが好ましい。該エステルの分子量が250未満の場合には、熱により揮散されやすいため得られる生分解性繊維の平滑性が低下していく傾向にある。一方、550を越える場合には、得られる生分解性繊維の平滑性が不十分となるので好ましくない。好ましく用いられる脂肪族エステルとしては、例えば脂肪酸モノアルキルエステルとしては、オクチルオクタノエート、オクチルステアレート、イソトリデシルラウレート、イソトリデシルオレート、ラウリルオレートなどがあげられ、脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステルとしては、ジイソオクチルアジペートなどがあげられ、脂肪族多価アルコールのモノもしくは多脂肪酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリオクタネートなどがあげられるが、なかでも、脂肪酸モノアルキルエステルが好ましい。このような(a)成分を用いることにより、摩擦抵抗を小さくし擦過による毛羽の発生を抑制することが可能になる。
【0016】
脂肪族エステルの油剤に対して含有比率は50〜80重量%である。含有比率が50重量%未満では平滑性が劣り糸導ガイドとの擦過による平滑性が劣り又含有比率が80重量%越えると特に水系エマルジョンで使用する場合には、乳化剤成分の比率が低下し、安定水系エマルジョンを得ることは困難になる。
【0017】
次に(b)成分である多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加された末端封鎖PO/EO共重合体について説明すると、PO/EOを付加する多価アルコールとしてはジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ソルビトールなどが挙げられる。かかるアルコールに付加するPO及びEOは、ランダムあるいはブロック重合のいずれを用いることもできる。本発明で最も重要な点は、この多価アルコールPO/EO共重合体の末端OHが、全て炭素数1〜12のアルキル基によってエーテル結合封鎖されたものであることである。さらには封鎖しているアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の中から選ばれたものであることが好ましい。
【0018】
このような末端封鎖の多価アルコールPO/EO共重合体物を油剤として用いることにより、本発明では仮撚加工の際に繊維同士が容易にからみ易くなり、毛羽の発生が極めて少なくなる。特に摩擦仮撚加工において有効である。さらにこの(b)成分を用いることにより、油剤の親水性を抑制することで生分解性ポリマーを膨潤させない効果がある。また、繊維間静摩擦をダウンさせる効果もある。
【0019】
一般に生分解性ポリエステル繊維に親水性のPO/EO共重合体含有油剤を付与すると、油剤が繊維内部に浸透し易く、ポリマーが膨潤することによって繊維の強度が低下しその結果、毛羽や断糸を誘発し易いという問題が発生する。しかし本発明では末端OHの全てをアルキル基で封鎖したPO/EO共重合体を必須とすることによって、ポリマーの膨潤を防止し、耐毛羽性を確保することが可能となった。
【0020】
本発明においては、かかるアルキル基で封鎖したPO/EO共重合体である(b)成分の油剤中の含有量を1〜20重量%とする必要があり、好ましくは3〜15重量%である。含有量が1重量%未満の場合には摩擦低減効果が十分ではなく、単糸切れも起こりやすい。一方、20重量%を越える場合には繊維と繊維の静摩擦が低減しすぎる傾向にある。
【0021】
本発明で用いられる油剤は、上記の(a)、(b)の成分を主要成分とするものであるが、必要に応じて他の成分、例えば、エステル成分の乳化剤である非イオン性界面活性剤や、制電剤のアニオン性界面活性剤、さらには酸化防止剤、相溶化剤、安定性向上剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0022】
本発明の生分解性ポリエステル繊維は、以上説明した(a)、(b)の必須成分を含有する油剤が付与された生分解性繊維でかつ、繊維−金属動摩擦係数が0.2〜0.35、繊維−繊維静摩擦係数が0.2〜0.35の範囲の範囲にすることが重要である。生分解性繊維は通常のポリエステル繊維に比べて融点が低いため、繊維の熱融解によりヒータープレートやガイド類との摩擦が高く成り易く、毛羽や断糸の原因となりやすい。そこで、繊維に付与する油剤の平滑性(繊維−金属動摩擦係数)を低くすることが重要なのである。しかし単に平滑性が良好でも、仮撚加工の場合、特に摩擦仮撚加工の場合には、繊維−繊維の静摩擦係数が高いと、撚掛時に繊維同士の摩擦によって毛羽の発生は原因となる。我々の研究によれば繊維−繊維静摩擦係数が0.2〜0.35の範囲にすることで毛羽が大幅に改善できることが判明した。このような本発明の油剤を用いた場合、仮撚加工工程以降の製編織工程に至るまで、毛羽や断糸の発生が極めて少なく、工程安定化に優れた繊維となる。
【0023】
このような油剤を生分解性繊維に付着せしめるには、原液をそのまま用いても良いが、水に乳化させたエマルジョンを用いることが好ましい。本発明で用いる(b)成分は親水性のエチレンオキサイドを有しており、水に乳化させた場合にその効果をより発揮できる。非水系油剤の場合には、ポリエーテル系以外のエステルやエーテルエステル成分との相溶性が良くすることが難しく、油剤の安定性が悪くなり、油剤を繊維に均一に付与しにくいため仮撚加工性の確保が困難となる傾向にある。
【0024】
油剤の生分解性繊維への付与は、通常一般に公知の任意の手段を採用することができるが、なかでも糸に与える抵抗を少なくするオイリングノズルを介して計量された量を付与する方法がより好ましい方法である。
【0025】
油剤の生分解性繊維への付着量は、繊維に対して有効成分として0.2〜1.0重量%であることが好ましい。付着量が0.2重量%未満の場合には平滑性及び制電性が不十分となって毛羽や断糸、スカム発生などのトラブルを惹き起こす傾向にある。一方、1.0重量%を超えても毛羽や断糸、スカム発生の抑制効果の向上は少なく、逆に過剰の油剤が糸導等を汚染することになり、新たな問題を惹き起こすことにもなり工業上得策でない。
【0026】
このような本発明の仮撚加工用の生分解性ポリエステル繊維は、仮撚加工工程における毛羽発生が少なく、仮撚加工工程以降の工程通過安定性が優れたものであり、広く従来の仮撚繊維代替として使用できるものである。特に本発明の仮撚加工用の生分解性ポリエステル繊維は摩擦仮撚加工において有効であり、仮撚具のウレタンやセラミックデスク類との擦過による毛羽や断糸を有効に減少させることが可能である。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した。
【0028】
(1)OPU測定方法
83dtex/36フィラメントの生分解性繊維からなる延伸糸3gを105℃×2時間乾燥後直ちに、重量(A)を測定し、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダを主成分とする洗浄用水溶液300cm3中に浸漬し、40℃にて超音波を少なくとも10分かける。洗浄液を廃棄し、40℃の温水により30分流水洗浄後、室温にて風乾する。その後、105℃×2時間乾燥後直ちに重量(B)を測定する。
OPU%=(A−B)/B×100
上式よりOPU算出する。
【0029】
(2)繊維−金属動摩擦係数
83dtex/36フィラメントの生分解性繊維からなる延伸糸を用い、繊維・金属間走行摩擦測定機で、走行速度300m/分で摩擦体として径60mmの梨地クロムピン(表面粗度6s)を用いて、接触角180度、摩擦体入側張力10g(T)で摩擦体出側の張力(T)を測定した。繊維−金属動摩擦係数(μ)は、円筒上を走行するベルトの摩擦に関する下記式より算出した。
μ=1/π×ln(T/T
【0030】
(3)繊維−繊維静摩擦係数
マルチフィラメント糸をあらかじめ円筒の周りに、ラセン角±15°で9.8cN(約10g)の巻き張力で前後に巻き付ける。この円筒は直径が5.1cm(2インチ)で、長さが7.6cm(3インチ)である。このあらかじめマルチフィラメント糸が巻きついた円筒の上に、マルチフィラメント糸を別に30.5cm(12インチ)とって掛ける。この時、後でかけたマルチフィラメント糸はあらかじめ円筒に巻きつけたマルチフィラメント糸の上層部にのっており、かつその巻き付け方向と平行になるようにする。マルチフィラメント糸の繊度(単位;dtex)の0.04倍の荷重(単位;g)を後にかけたマルチフィラメント糸の一端にかけ、もう一方の端には、ストレインゲージを連結させる。円筒を0.0016cm/秒の周速で180度回転させて、その時の張力を連続記録する。フィラメント・フィラメント間静摩擦係数(f)は、円筒上を走行するベルトの摩擦に関する下記式より算出した。
f=(1/π)・(ln(T/T))
ここで、Tはピーク張力の平均値(n=25)、Tはマルチフィラメント糸の一端にかけられた荷重により与えられる張力、lnは自然対数記号である。
【0031】
(4)毛羽数
生分解性繊維83dtex/36フィラメントの延伸糸を毛羽試験機で測定し百万mあたりの毛羽数を求めた
【0032】
(5)白粉発生
実施例での仮撚加工条件で連続3日間加工した際、ウレタンディスク及びガイドに付着したスカムを○、△、×の3段階評価をした。
○;スカムの発生が殆ど認められない
△;スカムの発生がやや認められる
×;スカムの発生が非常に多い
【0033】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
ポリエチレンテレフタレートとポリカプロラクトンをエステル交換してブロック共重合体(融点は230℃)としたものを吐出孔36ホール有する紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化後3100m/分の速度で引取るに際し、該冷却固化糸条に表1に記載の各処理剤を水系エマルジョン(エマルジョン濃度10重量%)を純分付着量が0.40重量%となるように付着させ巻き取った。得られた丸断面の138dtex/36フィラメントの未延伸マルチフィラメント糸を直径45mmの円板を備えたウレタン製の外接式摩擦仮撚装置を用いて延伸倍率1.65、ヒーター温度150℃、摩擦円板回転数4690rpm、加工速度600m/分で延伸しながら仮撚加工を行い83dtex/36フィラメントの仮撚加工糸を得た。その結果を表1に合わせて示す。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油剤が付与された生分解性ポリエステル繊維であって、該油剤が下記(a)成分を50〜80重量%、(b)成分を1〜20重量%含有し、かつ繊維−金属動摩擦係数が0.2〜0.35、繊維−繊維静摩擦係数が0.2〜0.35であることを特徴とする仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維。
(a)分子量250〜550の脂肪族エステル化合物
(b)多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)が付加されたPO/EO共重合体であって、平均分子量が2000〜10000であるとともに実質的に全ての末端が炭素数1〜12のアルキル基によってエーテル封鎖されたPO/EO共重合体
【請求項2】
油剤が水系エマルジョンである請求項1記載の仮撚加工用生分解性ポリエステル繊維。
【請求項3】
油剤の付着量が繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%である請求項1または2に記載の仮撚加工用生分解ポリエステル繊維。

【公開番号】特開2007−321320(P2007−321320A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156141(P2006−156141)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】