説明

仮設貯液槽用の枠組体及び仮設貯液槽

【課題】組立作業及び解体作業を容易に行うことができるとともに、大容量化を図ることができる仮設貯液槽用の枠組体を提供する。
【解決手段】パネル14の両側端部に第1及び第2角パイプ15,16を溶接により連結して、第1〜第4パネル13A〜13Dを構成する。第1〜第4パネル13A〜13Dのパネル14を弾性変形させて円弧状に湾曲し、第1及び第2角パイプ15,16を互いに接触させ、第1及び第2角パイプ15,16に形成された貫通孔にボルト17を挿通し、該ボルト17にナット18を螺合することにより第1及び第2角パイプ15,16を互いに連結し、第1〜第4パネル13A〜13Dを全体として円筒状の枠組体12を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設貯液槽用の枠組体及び仮設貯液槽に関する。
【背景技術】
【0002】
公共施設の浄水供給システムに用いられている大型の貯水槽の本体は、鉄筋コンクリート製の底壁と、該底壁の上面に構築された四角筒状の側壁とにより構築されている。近年、構築された貯水槽は、二槽式となっており、貯水槽の内壁面の保守・点検作業は、一方の貯水槽の水を排水して行い、他方の貯水槽を使用状態とすることにより、利用者への給水を行うことができ、利用者が断水を強いられることはない。
【0003】
一方、構築年数が多い貯水槽は、一槽式となっており、このコンクリート製の底壁と側壁は、経年変化によって微細なクラックが生じ、漏水の恐れがある。このため、漏水対策として貯水槽の本体に貯留された水を一旦排出して、本体の内壁面にステンレススチール製の複数枚のパネルを接合し、隣接する各パネルの端縁を互いに溶接によって接合する対策が講じられていた。
【0004】
このような一槽式の既設の貯水槽の漏水防止構造を施工する作業を行う場合には、一時的に貯水槽が使用不能になって、給水が停止され、利用者が断水を強いられることになる。このため、貯水槽の漏水防止工事を行うのに先立って、仮設の貯水槽が必要となる。この仮設の貯水槽として、従来、特許文献1に開示されたものが提案されている。この仮水槽は、四角枠状に形成された貯水槽の内部に、水槽袋を収容し、該水槽袋に接続された送水ホース及び送水口から水を取り出せるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3179309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示された仮水槽は、貯水槽がパネルによって一体的に構成されていたので、例えば50トン以上の貯水が可能な大型の仮設の貯水槽としては、施工作業が非常に面倒で簡単に組み立て及び解体作業を行うことができないため、殆ど使用されていないという問題があった。従って、一槽式の大型の貯水槽の保守・点検を行う場合には、利用者が一時的に断水を強いられることもあった。
【0007】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、組立作業及び解体作業を容易に行うことができるとともに、大容量化を図ることができる仮設貯液槽用の枠組体及びそれを用いた仮設貯液槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、パネルの両側端部に第1及び第2被連結部をそれぞれ設け、複数枚の前記パネルを筒状に配設し、隣接するパネルの前記第1及び第2被連結部を接触させ、両被連結部を連結手段を用いて連結するようにしたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記パネルは、弾性変形可能な平板材により形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記パネルの第1及び第2被連結部は、パネルの両端部に連結された第1及び第2角パイプ、第1及び第2アングル材又は第1及び第2帯板であって、第1及び第2角パイプ、第1及び第2アングル材又は第1及び第2帯板には、連結手段としてのボルトを貫通する貫通孔が複数箇所に形成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2において、前記パネルの両側端部は、それ自体が第1及び第2被連結部となっていて、両被連結部には、前記連結手段としてのボルトを貫通する貫通孔が上下方向に所定のピッチでそれぞれ複数箇所に設けられ、隣接する各パネルの第1及び第2被連結部を互に重ね合わせ、前記貫通孔を対応させた状態で、該貫通孔に前記ボルトを挿入し、該ボルトにナットを螺合することにより隣接する各パネルが連結されるようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記パネルの第1及び第2被連結部には、隣接するパネルの第2及び第1被連結部を互いに重ね合わせた状態で、該被連結部の側端縁を位置規制して、前記貫通孔を対応させるための位置規制部が設けられ、一方の位置規制部は、パネルの片面に、他方の位置規制部は、パネルの他面に設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記パネルに設けた位置規制部は、パネルの上端縁から上方に突出され、この突出部によって該パネルの上端縁に支持される別のパネルの下端部の外周面及び内周面を位置規制するようにしたことを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1において、前記パネルの両側端部の一方には、係合溝を有する第1被連結部としての第1被連結枠が上下方向に指向するように連結され、他方には、隣接するパネルの第1被連結枠の係合溝に係合されるフック部を有する第2被連結部のとしての第2被連結枠が上下方向に指向するように連結され、前記係合溝及びフック部が前記連結手段を兼用するように構成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の枠組体の内側に貯液用の袋状のシートを収容したことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1,2,3,7のいずれか一項に記載の枠組体の下端縁を支持板の上面に支持し、枠組体の各パネルの突き合わせ端面を覆うように帯状シールをパネルの内面に接着するとともに、前記支持板の上面と前記各パネルの下端縁との接触部を覆うように帯状シールをパネル及び支持板の内面に接着したことを特徴とすることを要旨とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1,2,3,7のいずれか一項に記載の枠組体の下端縁を支持板の上面に支持し、枠組体の各パネルの突き合わせ端縁、前記支持板の上面と前記各パネルの下端縁との接触部をそれぞれ覆うように粘着剤を接着したことを特徴とすることを要旨とする。
【0016】
(作用)
この発明は、複数枚のパネルを筒状に配設し、隣接するパネルの被連結部を接触させ、両被連結部を連結手段を用いて連結するようにしたので、枠組体の構築作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組立作業及び解体作業を容易に行うことができるとともに、貯液槽の大容量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明を仮設貯水槽の枠組体として具体化した第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のパネルの斜視図。
【図3】第1の実施形態のパネルの平面図。
【図4】第1の実施形態の仮設貯水槽の縦断面図。
【図5】第1の実施形態のパネルの連結状態を示す部分拡大平断面図。
【図6】この発明の第2の実施形態を示す第1枠組体を構成するパネルを示す斜視図。
【図7】第2の実施形態の第2枠組体を構成するパネルを示す斜視図。
【図8】第2の実施形態のパネルの連結状態を示す部分拡大平断面図。
【図9】第2の実施形態の第1枠組体を示す斜視図。
【図10】第2の実施形態の第2枠組体を示す斜視図。
【図11】第2の実施形態の枠組体全体を示す斜視図。
【図12】この発明の第3の実施形態のパネルを示す斜視図。
【図13】第3の実施形態の枠組体の平面図。
【図14】この発明の別の実施形態を示す枠組体の平面図。
【図15】この発明の別の実施形態を示す枠組体の平面図。
【図16】この発明の別の実施形態を示すパネルの斜視図。
【図17】図16に示すパネルを用いた枠組体の平面図。
【図18】この発明の別の実施形態を示す仮設貯水槽の斜視図。
【図19】この発明の別の実施形態を示す仮設貯水槽の平面図。
【図20】図19に示す仮設貯水槽を積層した状態の縦断面図。
【図21】この発明の別の実施形態を示す仮設貯水槽の平面図。
【図22】この発明の別の実施形態を示す仮設貯水槽の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の枠組体を用いた仮設貯水槽を具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、地面に配設された円盤状の支持板11の上面に仮設貯水槽の枠組体12が構築されている。この枠組体12は第1〜第4パネル13A〜13Dを円筒状に連結することによって構成されている。前記第1〜第4パネル13A〜13Dは、それぞれ同一の構造となっているので、第1パネル13Aを図2及び図3に基づいて説明する。図2に示すように、例えばステンレススチール等の弾性材料よりなる四角形状のパネル14の横方向の両側端部には、第1被連結部としての第1角パイプ15及び第2被連結部としての第2角パイプ16が溶接(図示略)によって連結されている。前記角パイプ15,16には、水平方向に指向する貫通孔15a,16aが複数箇所に上下方向に所定のピッチで形成されている。前記第1パネル13Aは、前記パネル14が弾性材料によって形成されているので、図3に実線で示す平板状の状態から二点鎖線で示すように円弧状に湾曲することができるようになっている。
【0020】
図1に示すように、前記第1〜第4パネル13A〜13Dを、前記両角パイプ15,16が外側に位置するように、前記パネル14を円弧状に湾曲するとともに、隣接する第1〜第4パネル13A〜13Dの第1及び第2角パイプ15,16を互いに接触させる。この状態で、第1及び第2角パイプ15,16に形成された貫通孔15a,16aが互いに対応する。このため、図5に示すように、前記貫通孔15a,16aに連結手段としてのボルト17を貫通するとともに、該ボルト17の先端部に連結手段としてのナット18を螺合することにより両角パイプ15,16を締結して図1に示す円筒状の枠組体12を構築する。この枠組体12の構築に際しては、図示しないが、第1〜第4パネル13A〜13Dを直列に連結した後、第1〜第4パネル13A〜13Dの各パネル14を円弧状に湾曲する。その後、第1パネル13Aの第1角パイプ15と、第4パネル13Dの第2角パイプ16とを接触させて、ボルト17とナット18により両角パイプ15,16を締結するようにしてもよい。又、図示しないが、前記支持板11の上面に例えば四角柱状の位置決めピンを複数箇所に立設しておき、各位置決めピンに対し、円弧状に湾曲された第1〜第4パネル13A〜13Dの第1及び第2角パイプ15,16の下端開口部を嵌合することにより、第1〜第4パネル13A〜13Dが円弧状に保持されるようにしてもよい。さらに、図3に二点鎖線で示すように第1〜第4パネル13A〜13Dが円弧状に湾曲された状態において、図示しないが、ワイヤーの両端に連結したフックを前記第1及び第2角パイプ15,16に形成した係止孔(貫通孔15a,16aの一つを一時的に利用してもよい)に係止することにより、第1〜第4パネル13A〜13Dが円弧状に保持されるようにしてもよい。
【0021】
図4に示すように、前記枠組体12の内部には合成樹脂製の袋状の貯水用シート21が収容され、該シート21の上端縁部が枠組体12の上端開口縁に支持される。この状態で、キャップ状をなす蓋板22を枠組体12の上端開口縁に嵌合することにより、仮設貯水槽の構築が完了する。
【0022】
上記第1の実施形態の仮設貯液槽用の枠組体によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、パネル14の両端縁に貫通孔15a,16aを有する第1及び第2角パイプ15,16を溶接によって連結して第1〜第4パネル13A〜13Dを作成した。そして、前記第1〜第4パネル13A〜13Dを弾性変形させて円弧状に湾曲するとともに、第1及び第2角パイプ15,16を接触させて、ボルト17及びナット18によって両角パイプ15,16を締結し、円筒状の枠組体12を構築するようにした。このため、巨大な仮設貯水槽を簡単に構築することができる。又、前記ボルト17からナット18を外すことによって、使用済みの仮設貯水槽を容易に解体して、倉庫等に保管することもできる。
【0023】
(2)第1の実施形態では、第1〜第4パネル13A〜13Dのパネル14を弾性材料よりなる平板材により形成したので、不使用状態においては、パネル14が図3に実線で示すように平板状に保持される。このため、第1〜第4パネル13A〜13Dをコンパクトに積層することができ、第1〜第4パネル13A〜13Dの保管スペースを低減することができる。
【0024】
(3)第1の実施形態では、第1〜第4パネル13A〜13Dのパネル14が弾性材料よりなる平板材により形成されているので、図3に二点鎖線で示すように円弧状に湾曲する曲率半径を適宜に調整するとともに、使用するパネル13A・・・の枚数を増減することによって、仮設貯水槽の貯水容量に応じて、枠組体12の直径寸法を所望する寸法に容易に設定することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、この発明を具体化した第2の実施形態を、図6〜図11に基づいて説明する。
この実施形態においては、図11に示すように、円筒状をなす第1枠組体12A、第2枠組体12B及び第3枠組体12Cが上下方向に三段に積層されている。最下段の第1枠組体12Aを構築する第1〜第4パネル23A〜23Dは、図6に示すように、それぞれ同様に構成されている。二段目の第2枠組体12Bを構築する第1〜第4パネル24A〜24Dも図7に示すようにそれぞれ同様に構成されている。三段目の第3枠組体12Cは、図6に示す第1〜第4パネル23A〜23Dと同様のパネルを上下逆にして構築されている。なお、前記パネル14は後述するように弾性材料により形成され、単体では平板状になっているが、図6,7では以下の説明を判り易くするため、円弧状に湾曲して図示されている。そこで、前記第1〜第4パネル23A〜23D及び第1〜第4パネル24A〜24Dの構成について、順次説明する。
【0026】
図6に示すように、例えばステンレススチール等の弾性材料よりなる四角形状のパネル14の横方向の両側端部は、第1及び第2被連結部14a,14bとなっている。両被連結部14a,14bには、連結手段としての前記ボルト17を挿入する貫通孔14c,14dが上下方向に所定のピッチで形成されている。前記パネル14の第1被連結部14aの近傍の片面(図9に示す第1枠組体12Aの内周面)の上部には、第1位置規制部26が溶接(図示略)によって連結され、その上部はパネル14の上端縁から上方向に突出され、該突出部が上方に位置する図10に示す第2枠組体12Bのパネル14の下端部の内周面を位置規制する上部位置規制部26aとなっている。前記パネル14の第1被連結部14aの近傍の片面(図9に示す第1枠組体12Aの内周面)の下部には、第2位置規制部27が溶接(図示略)によって連結され、該第2位置規制部27によって、横方向に隣接するパネル14の端縁の位置規制を行うようになっている。前記パネル14の第2被連結部14bの近傍の他面(図9に示す第1枠組体12Aの外周面)の上部には、横方向に隣接するパネル14の端縁を位置規制する第3位置規制部28が溶接(図示略)によって連結されている。該第3位置規制部28の上部はパネル14の上端縁から上方向に突出され、該突出部が上方に位置する図10に示す第2枠組体12Bのパネル14の下端部の外周面を位置規制する上部位置規制部28aとなっている。前記パネル14の第2被連結部14bの近傍の他面(図9に示す第1枠組体12Aの外周面)の下部には、第4位置規制部29が溶接(図示略)によって連結され、該第4位置規制部29によって、横方向に隣接するパネル14の端縁の位置規制を行うようになっている。
【0027】
前記第2枠組体12Bを構築する図7に示す第1〜第4パネル24A〜24Dは、第1〜第4パネル23A〜23Dとほぼ同様に形成されており、異なる点について以下に説明する。第2位置規制部27は前記パネル14の下端縁から下方に突出され、この突出部が下方に位置する図9に示す第1枠組体12Aのパネル14の上端部の内周面を位置規制する下部位置規制部27aとなっている。前記第4位置規制部29もパネル14の下端縁から下方に突出され、この突出部が下方に位置する図9に示す第1枠組体12Aのパネル14の外周面の位置規制を行う下部位置規制部29aとなっている。
【0028】
次に、前記のように構成された第1〜第4パネル23A〜23D及び第1〜第4パネル24A〜24Dを用いて、図11に示す枠組体を構築する方法を以下に順次説明する。
最初に、第1〜第4パネル23A〜23Dを用いて、図9に示す第1枠組体12Aを構築する。この作業は、図8に示すように、隣接するパネル14の第1被連結部14a及び第2被連結部14bを互いに重ね合わせる。この状態では、前記第1及び第2位置規制部26,27に隣接するパネル14の第2被連結部14bの端縁が当接して位置規制されるとともに、パネル14の第1被連結部14aの端縁が前記第3及び第4位置規制部28,29に当接して位置規制される。このため、第1被連結部14aに形成された貫通孔14cと、第2被連結部14bに形成された貫通孔14dとが図8に示すように互いに対応して前記ボルト17が挿入可能となる。そして、対応された貫通孔14c,14dにボルト17を挿入し、該ボルト17にナット18を螺合することにより、隣接するパネル14,14の第1及び第2被連結部14a,14bが締結される。
【0029】
図9に示す第1枠組体12Aの構築状態においては、各パネル14の第1位置規制部26の上部位置規制部26a及び第3位置規制部28の上部位置規制部28aが上方に突出された状態となる。
【0030】
次に、図7に示す第1〜第4パネル24A〜24Dを用いて、前記第1枠組体12Aの上方において、図10に示す第2枠組体12Bの構築を行う。このとき、第1〜第4パネル24A〜24Dのパネル14の下端部に設けられた第2及び第4位置規制部27,29の下部位置規制部27a,29aが図11に示すように第1枠組体12Aのパネル14の外周面と内周面に接触される。又、前記第1枠組体12A側の第1及び第3位置規制部26,28の上部位置規制部26a,28aが第2枠組体12B側のパネル14の外周面と内周面に接触される。このため、第1枠組体12Aの各パネル14の上端縁に、第2枠組体12Bの各パネル14の下端縁が当接された状態で安定して支持される。
【0031】
次に、前記第2枠組体12Bの上端開口部に、図6に示す第1〜第4パネル23A〜23Dと同様のパネルを用いて第3枠組体12Cを構築する方法について説明する。
この第3枠組体12Cは前記第1〜第4パネル23A〜23Dを上下逆にした状態で互いに連結することにより行われる。この構築方法は、第1枠組体12Aと同様であるため、説明を省略する。
【0032】
上記第2の実施形態の枠組体の効果を以下に説明する。
(1)第2の実施形態では、図6に示すように、パネル14の横方向の両側端部に第1及び第2被連結部14a,14bを形成し、第1被連結部14aに複数の貫通孔14cを形成し、第2被連結部14bに複数の貫通孔14dを形成した。そして、隣接するパネル14の第1被連結部14aと、第2被連結部14bを互いに重ね合わせて、ボルト17とナット18により第1〜第4パネル23A〜23Dを連結するようにした。このため、前記第1及び第2角パイプ15,16が不要となり、第1〜第4パネル23A〜23Dを構成する部品点数を低減し、製造を容易に行い、製造及び材料コストを低減することができる。
【0033】
(2)第2の実施形態では、図6に示すように、各パネル14の上部及び下部に第1及び第2位置規制部26,27、第3及び第4位置規制部28,29を溶接によって連結した。このため、隣接するパネル14の第1及び第2被連結部14a,14bを互いに重ね合わせてボルト17及びナット18により連結する際に、第1〜第4位置規制部26〜29によって、隣接するパネル14の第1及び第2被連結部14a,14bの端縁を位置規制することにより、前記貫通孔14c,14dを互いに対応するように位置決めすることができ、前記第1及び第2被連結部14a,14bの連結作業を容易に行うことができる。
【0034】
(3)第2の実施形態では、図6に示すように、パネル14の上端部に連結された第1及び第3位置規制部26,28に上部位置規制部26a,28aを形成した。又、図7に示すようよに、パネル14の第2及び第4位置規制部27,29に下部位置規制部27a,29aを形成した。このため、下方に位置する第1枠組体12Aの各パネル14の上端縁に対し、上方向に位置する第2枠組体12Bの各パネル14の下端部を容易に位置合わせすることができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、図12〜図14に基づいて、この発明の第3の実施形態を説明する。
この実施形態においては、図12に示すように、前記第1〜第4パネル13A〜13Dの前記パネル14に代えて、弾性変形不能なパネル31を用いている。このパネル31は平面から見て円弧状に形成されるとともに、その外周面側に膨らむ円弧状の突条部31aが成形装置によって上下方向に複数段に押出成形されている。前記第1〜第4パネル13A〜13Dのパネル31に連結された角パイプ15,16を、図13に示すように接触した状態で、貫通孔15a,16aにボルト17を貫通して、ボルト17にナット18を螺合することにより、パネル第1〜第4パネル13A〜13Dを円筒状に連結して、枠組体12を構築する。
【0036】
前記パネル31の突き合わせ端縁の隙間のシールは、図13に示すようにパネル31の内面に接着剤32によって帯状シール33を接着することによって行われている。同様に、前記パネル31の下端縁と、前記支持板11の上面との接触部の隙間のシールは、図13及び図14に示すように支持板11及びパネル31の内面に接着剤32によって帯状シール33を接着することにより行われている。
【0037】
この実施形態では、前記接着剤32として、飲料水適合接着剤が用いられている。又、前記帯状シール33の材料として、飲料水適合シートが用いられている。
第3実施形態においては、第1〜第4パネル13A〜13Dのパネル31が突条部31aを有しているため変形することがないので、第1〜第4パネル13A〜13Dがそれぞれ単体で倒立状態に保持される。従って、第1〜第4パネル13A〜13Dの第1及び第2角パイプ15,16のボルト17、ナット18による連結作業を容易に行うことができる。又、各パネル31の突き合わせ端縁のシール及び支持板11とパネル31の接触面のシールが接着剤32及び帯状シール33によって行われるので、前記シート21を用いる仮設貯水槽と比較して、材料費を節減することができる。
【0038】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図15に示すように、前記パネル14の上端縁に前記角パイプ15,16を傾斜状態で連結し、角パイプ15,16をボルト17、ナット18によって連結し、枠組体12を四角筒状に構築してもよい。
【0039】
・図16に示すように、第1パネル13A及び第2パネル13Bを半円筒状に形成し、第1及び第2パネル13A,13Bによって、円筒状の枠組体12を構築するようにしてもよい。
【0040】
・図17に示すように、前記パネル14の一方の側端縁に係合溝35aを有する第1被連結部としての第1被連結枠35を溶接等によって上下方向に指向するように連結する。又、パネル14の他方の側端縁に対し、図17に示すように隣接するパネル14の前記第1被連結枠35の係合溝35aに係合されるフック部36aを有する第2被連結部としての第2被連結枠36を溶接等により上下方向に指向するように連結する。
【0041】
この実施形態においては、二枚のパネル14を弾性変形させてそれぞれ半円筒状に湾曲した状態で、図18に示すように、第1被連結枠35の係合溝35aに上方向から第2被連結枠36のフック部36aを係合することにより枠組体12を構築することができる。このため、前述したボルト17及びナット18を使用する構造のものと比較して、部品点数を低減することができるとともに、製造及び組付作業を容易に行うことができる。
【0042】
・図19に示すように、前記パネル14、第1角パイプ15及び第2角パイプ16の下端面にボルトの挿入孔41aを有する平面視円弧状の下部連結板41を溶接によって連結し、上端面に同様にボルトの挿入孔42aを有する平面視円弧状の上部連結板42を溶接によって連結するようにしてもよい。この実施形態においては、前記下部連結板41及び上部連結板42を利用して、図20に示すように仮設枠組体12を複数段に積層することができる。この積層状態において、二段の枠組体12の水平方向に隣接するパネル14の突合せ端縁の隙間が縦方向に指向する帯状シール33によってシールされる。又、支持板11の上面と、下段の枠組体12のパネル14の下端縁との隙間が帯状シール33によってシールされる。さらに、上段の枠組体12のパネル14と、下段の枠組体12のパネル14との接合部の隙間が帯状シール33によってシールされる。
【0043】
・図21に示すように、前記第1及び第2角パイプ15,16の間に各パネル31の突合せ端面をシールするためのシール用のパッキン45を介在するようにしてもよい。
・図22に示すように、前記パネル14の側端縁に第1帯板14e及び第2帯板14fを、パネル14と一体又は別体で形成し、第1及び第2帯板14e,14fをボルト17とナット18によって連結するようにしてもよい。
【0044】
・仮設貯水槽のシールを必要とする部分に対し、前述した接着剤32及び帯状シール33に代えて、例えばシリコーン系粘着剤、 等の粘着剤を粘着するようにしてもよい。又、粘着剤を接着しテープを仮設貯水槽のシールを必要とする部分に粘着するようにしてもよい。
【0045】
・前記角パイプ15,16に代えて、図示しないが、パネル14の両側端部に対し、複数の貫通孔を設けた第1アングル材(L型鋼)及び第2アングル材(L型鋼)を溶接等により連結してもよい。
【0046】
・図6に示す第1〜第4位置規制部26〜29を省略してもよい。
・前記実施形態では、仮設水槽用の枠組体を、円筒状又は四角筒状に形成したが、これを三角筒状、五角筒状、六角筒状、その他の多角筒状に形成してもよい。
【0047】
・前記実施形態では、本発明を仮設貯水槽の枠組体に具体化したが、各種の液体を収容する仮設貯液槽の枠組体に具体化してもよい。
(定義)
この明細書において、パネルは前述したように平板材により形成されたもの以外に、四角環状の枠の内部に多数の線材又は帯板を格子状或いは縦横に連結したもの、
あるいは多数の線材又は帯板を縦横に連結したものも含むものとする。
【符号の説明】
【0048】
11…支持板、12…枠組体、14,31…パネル、14a…第1被連結部、14b…第2被連結部、14c,14d,15a,16a…貫通孔、14e…第1帯板、14f…第2帯板、15…第1角パイプ、16…第2角パイプ、17…ボルト、18…ナット、21…シート、33…帯状シール、35…第1被連結枠、35a…係合溝、36…第2被連結枠、36a…フック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの両側端部に第1及び第2被連結部をそれぞれ設け、複数枚の前記パネルを筒状に配設し、隣接するパネルの前記第1及び第2被連結部を接触させ、両被連結部を連結手段を用いて連結するようにしたことを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項2】
請求項1において、前記パネルは、弾性変形可能な平板材により形成されていることを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記パネルの第1及び第2被連結部は、パネルの両端部に連結された第1及び第2角パイプ、第1及び第2アングル材又は第1及び第2帯板であって、第1及び第2角パイプ、第1及び第2アングル材又は第1及び第2帯板には、連結手段としてのボルトを貫通する貫通孔が複数箇所に形成されていることを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記パネルの両側端部は、それ自体が第1及び第2被連結部となっていて、両被連結部には、前記連結手段としてのボルトを貫通する貫通孔が上下方向に所定のピッチでそれぞれ複数箇所に設けられ、隣接する各パネルの第1及び第2被連結部を互に重ね合わせ、前記貫通孔を対応させた状態で、該貫通孔に前記ボルトを挿入し、該ボルトにナットを螺合することにより隣接する各パネルが連結されるようにしたことを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項5】
請求項4において、前記パネルの第1及び第2被連結部には、隣接するパネルの第2及び第1被連結部を互いに重ね合わせた状態で、該被連結部の側端縁を位置規制して、前記貫通孔を対応させるための位置規制部が設けられ、一方の位置規制部は、パネルの片面に、他方の位置規制部は、パネルの他面に設けられていることを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項6】
請求項5において、前記パネルに設けた位置規制部は、パネルの上端縁から上方に突出され、この突出部によって該パネルの上端縁に支持される別のパネルの下端部の外周面及び内周面を位置規制するようにしたことを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項7】
請求項1において、前記パネルの両側端部の一方には、係合溝を有する第1被連結部としての第1被連結枠が上下方向に指向するように連結され、他方には、隣接するパネルの第1被連結枠の係合溝に係合されるフック部を有する第2被連結部のとしての第2被連結枠が上下方向に指向するように連結され、前記係合溝及びフック部が前記連結手段を兼用するように構成されていることを特徴とする仮設貯液槽用の枠組体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の枠組体の内側に貯液用の袋状のシートを収容したことを特徴とする仮設貯液槽。
【請求項9】
請求項1,2,3,7のいずれか一項に記載の枠組体の下端縁を支持板の上面に支持し、枠組体の各パネルの突き合わせ端面を覆うように帯状シールをパネルの内面に接着するとともに、前記支持板の上面と前記各パネルの下端縁との接触部を覆うように帯状シールをパネル及び支持板の内面に接着したことを特徴とする仮設貯液槽。
【請求項10】
請求項1,2,3,7のいずれか一項に記載の枠組体の下端縁を支持板の上面に支持し、枠組体の各パネルの突き合わせ端縁、前記支持板の上面と前記各パネルの下端縁との接触部をそれぞれ覆うように粘着剤を接着したことを特徴とする仮設貯液槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−275852(P2010−275852A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289441(P2009−289441)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(396003434)株式会社森松総合研究所 (11)
【Fターム(参考)】