説明

会合基を含有する分岐分子から形成される材料の、衝撃吸収材としての使用

本発明は、会合基を含む分岐分子から形成される材料の衝撃吸収材としての使用に関する。前記分岐分子は、エステルまたはチオエステル橋単独またはアミドもしくはウレア橋との組合せにより一緒に結合している少なくとも二官能性であるフラグメントおよび少なくとも三官能性であるフラグメントからそれぞれ構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収材料の分野、さらに特定すると、会合基を含む樹枝状分子から形成される材料の衝撃吸収材としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃吸収材料は当業者に周知である。一般に、例えば、SBC(スチレンブロックコポリマー)等のブロックコポリマーといった熱可塑性エラストマー材料、または、架橋天然ゴムや例えば、BR、SBRもしくはNBR(ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムまたはニトリル−ブタジエンゴム)などの合成ゴムといった熱硬化性樹脂(加硫処理)材料を挙げることができる。さらに特定すると、これらの材料のうち、EVAをベースとするコポリマー、ポリノルボルネンまたはポリウレタンを挙げることができる。これらの材料は、数多くの用途、特に、フットウエアソール、手袋、防弾チョッキ、射撃の標的、特に矢、弾丸もしくはダーツ用の標的、さらには工具の柄用コーティング、グラウンドシートまたは防振部品の構造部品としての用途を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの数多くの可能な用途に起因して、衝撃を吸収することができる、即ち、良好な減衰特性を示すことができる新規製品へのニーズが常に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って本発明の主題は、会合基を含む樹枝状分子から形成される特有の材料の衝撃吸収材としての使用である。
【0005】
この特有の材料は、分子に減衰特性を付与する特有の樹枝状構造を示す分子を含み、該特性はこの合成に使用される反応物質の比率および他の特性により変動し得る。従って、出発化合物上に存在する反応官能基の数および合成の第1の段階の終了時に残留する反応官能基の数に応じて(この数は、出発材料の選択および適切な化学量論比の使用により容易に調節することができる。)、半結晶質もしくは非晶質固体、粘弾性液体またはさらには熱可塑性であり得るエラストマー材料を、好みに応じて、および制御された手法において得ることが可能である。さらに特定すると、モノマーの平均官能価が比較的低い場合、粘弾性挙動を有し、半結晶質または非晶質固相を示し得る本質的に直鎖の分子が生成される一方、この官能価が高い場合、不溶性画分を含み、エラストマー特性を示し得る網目が形成される。
【0006】
従って、良好な衝撃吸収能だけでなく、特性の折衷、例えば、良好な自己修復能、良好なクリープ強度および加工の間の良好な流動性も示す材料を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例4の生成物(HR)および実施例5の生成物(HM)のタンジェントデルタの変化を150Hzにおける剪断について温度(℃)の関数として表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記定義の材料の「衝撃吸収材としての使用」という用語は、本発明の意味の範囲内では、樹枝状構造を示す分子を含む上記定義の特有の材料の減衰能の使用を意味するものとして解される。
【0009】
「減衰」という用語は、本発明の意味の範囲内では、材料のタンジェントデルタ(損失係数としても知られている。)により計測される、使用温度における0.5以上、好ましくは、1超の減衰を意味するものと解され、前記タンジェントデルタは、動的損失弾性率(剪断または伸びにおけるもの、G”またはE”)と動的貯蔵弾性率(剪断または伸びにおけるもの、G’またはE’)との比として計算される。これらの動的弾性率は、動的機械分析(DMA)計測または50Hz超、好ましくは、100Hz以上の周波数におけるレオメータにおける動的計測により得られる。このタイプの計測は当業者に周知であり、文献に広く記載されており、例えば、標題「Viscoelastic properties of polymers」by J.D.Ferry,3rd edition,Wiley,1980の著作に記載されている。
【0010】
「衝撃吸収」という用語は、広範な意味の範囲内で、即ち、例えば、音波またはさらには任意の物体と上記定義の特有の材料との衝突により作出される運動エネルギーを吸収することと消散させることの両方ができるものと解されるべきである。この用語は、全般的な防振効果の意味にも解されるべきである。
【0011】
衝撃吸収特性だけでなく、熱可塑性エラストマー、即ち、周囲温度において有利には少なくとも20%の一軸歪に15分間供することができ、次いで応力が解放されると、この初期寸法をこの初期寸法の5%未満の残留歪で回復させることができ、高温において造形または再造形することができる材料の特性も有する材料を得ることも可能である。さらに、この材料は、自己回復性であり得ること、即ち、切断、引裂または引掻後、加熱または高圧の適用またはいかなる化学反応の実施も要求されることなく、破面を単に接触させることにより修復することができることが観察され、こうして修復された材料はエラストマー特性を保持する。
【0012】
本材料は、第1の段階において、高比率の少なくとも三官能性の分子を含む第1の化合物を、1個以上の会合基を担持する第2の化合物と、フリーの官能基が第1の化合物上に残留することを可能とする非化学量論比率で反応させて材料を得、第2の段階において該材料を少なくとも二官能性の化合物と反応させる方法により得ることができる。
【0013】
従って、本発明の主題は、エステルまたはチオエステル橋を単独またはアミドもしくはウレア橋との組合せで介して互いに結合している少なくとも二官能性のフラグメントおよび少なくとも三官能性のフラグメントからそれぞれ構成される樹枝状分子を含み、前記橋は、異なるフラグメントにより担持される2個の官能基から形成され、前記分子は、水素結合を介して互いに合することができ、および前記橋に関与しない官能基に共有結合している末端会合基を樹枝の末端に位置するフラグメント上にさらに含む材料の衝撃吸収材としての使用である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、この材料は、以下の連続的段階:
(a)第1の官能基および第2の官能基を担持する少なくとも1種の少なくとも三官能性の化合物(A)を、一方で(A)の第1の官能基と反応することができる少なくとも1個の反応基および他方で少なくとも1個の会合基を担持する少なくとも1種の化合物(B)と反応させる段階;
(b)段階(a)において得られた(1種以上の)化合物を、官能基が化合物(A)の第2の官能基と反応することができる少なくとも1種の少なくとも二官能性の化合物(C)と反応させてエステルまたはチオエステル橋を単独またはアミドもしくはウレア橋との組合せで形成させる段階
を含む方法により得ることができる。
【0015】
「樹枝状」という用語は、本発明によれば、骨格が少なくとも2個の分岐を含む分岐分子を意味するものと解される。この定義は、再度結合してループを形成することができる同一分子の種々の分岐を除外するものではない。
【0016】
本発明による樹枝状分子の画分は、水および任意の有機溶媒中で不溶性であってよい。
【0017】
「会合基」という用語は、水素結合を介して、有利には1から6個の水素結合を介して互いに合することができる基を意味するものと解される。本発明により使用することができる会合基の例は、イミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス−ウレイルおよびウレイド−ピリミジル基である。材料の1分子当たりの末端会合基の平均数は、少なくとも3個であることが好ましい。この平均数は、有利には多くとも6個である。会合基は、分子に共有結合している。「共有」という用語は、会合基が分子の末端官能基に直接結合または好ましくは、鎖、特にアルキレン鎖を介して結合していることを意味するものと解される。
【0018】
「反応基」または「官能基」という用語は、他の化学官能基と反応して共有結合を形成し、特にエステル、チオエステル、アミド、ウレアまたはウレタン橋、特にエステルおよびアミド橋の形成をもたらすことができる化学官能基を意味するものと解される。「二官能性」化合物は、2個の同一または異なる反応官能基を担持する化合物を示す。「少なくとも三官能性」の化合物は、少なくとも3個の同一または異なる反応官能基を担持する化合物を示す。
【0019】
「フラグメント」という用語は、本発明の意味の範囲内では、2または3個の上記定義の橋の間に位置する分子の単位を意味するものと解される。「二官能性」フラグメントは二官能性化合物から得ることができ、「三官能性」フラグメントは三官能性化合物から得ることができる。本発明による樹枝状分子は、少なくとも二官能性のフラグメント、有利には二官能性フラグメントおよび少なくとも三官能性のフラグメント、有利には三官能性フラグメントを含む。
【0020】
本発明による方法の第1の段階において用いられる化合物(A)は、特に、酸、エステルまたは塩化アシル官能基から選択される少なくとも3個の同一または異なる官能基を担持することができる。この化合物は、有利には、5から100個、好ましくは、12から100個、より好ましくは、24から90個の炭素原子を含む。
【0021】
化合物(A)は、本発明による方法の第1の段階において、一官能性および二官能性化合物、例えば、一酸および二酸、特に脂肪酸モノマーおよびダイマーとの混合物として存在することができる。
【0022】
トリマー(3個の同一または異なるモノマーのオリゴマー)ならびに植物由来の脂肪酸のダイマーおよびトリマーの混合物を使用することが好ましい。これらの化合物は、不飽和脂肪酸、例えば:ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エイコセン酸またはドコセン酸(これらの酸は、通常、マツ油(トール油脂肪酸)、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ブドウ種子油、アマニ油またはホホバ油中に見出される。)ならびにエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸(これらの酸は、魚油中に見出される。)のオリゴマー化から得られる。
【0023】
脂肪酸のトリマーの例として、18個の炭素原子を含む脂肪酸から得られる環式トリマーを説明する以下の式を有する化合物を挙げることができ、市販されている化合物は、任意に部分的または完全に水素化されているこれらの構造の立体異性体および位置異性体の混合物であることが知られている。
【0024】
【化1】

【0025】
従って、直鎖または環式C18脂肪酸のダイマー、トリマーおよびモノマーを含む脂肪酸のオリゴマーの混合物を使用することが可能であり、前記混合物は、主として、低い割合(通常、5%未満の)モノマーを含むダイマーおよびトリマーの混合物である。好ましくは、前記混合物は:
0.1から40重量%、好ましくは、0.1から5重量%の、同一または異なる脂肪酸のモノマー、
0.1から99重量%、好ましくは、18から85重量%の、同一または異なる脂肪酸のダイマーおよび
0.1から90重量%、好ましくは、5から85重量%の、同一または異なる脂肪酸のトリマー
を含む。
【0026】
脂肪酸のダイマー/トリマーの混合物(重量%)の例として、以下のものを挙げることができる:
Uniqema製のPripol(登録商標)1017、1−3%のオーダーの脂肪酸モノマーを有する75−80%のダイマーおよび18−22%のトリマーの混合物、
Uniqema製のPripol(登録商標)1048、ダイマー/トリマーの50/50%混合物、
Uniqema製のPripol(登録商標)1013、最大0.2%の脂肪酸モノマーを有する95−98%のダイマーおよび2−4%のトリマーの混合物、
Uniqema製のPripol(登録商標)1006、最大0.4%の脂肪酸モノマーを有する92−98%のダイマーおよび最大4%のトリマーの混合物、
Uniqema製のPripol(登録商標)1040、少なくとも75%のトリマーおよび1%未満の脂肪酸モノマーを有する脂肪酸ダイマーおよびトリマーの混合物、
Arizona Chemicals製のUnidyme(登録商標)60、1%未満の脂肪酸モノマーを有する33%のダイマーおよび67%のトリマーの混合物、
Arizona Chemicals製のUnidyme(登録商標)40、1%未満の脂肪酸モノマーを有する65%のダイマーおよび35%のトリマーの混合物、
Arizona Chemicals製のUnidyme(登録商標)14、1%のオーダーの脂肪酸モノマーを有する94%のダイマーおよび5%未満のトリマーならびに他の高級オリゴマーの混合物、
Cognis製のEmpol(登録商標)1008、5%のオーダーの脂肪酸モノマーを有する92%のダイマーおよび3%の高級オリゴマー、本質的にはトリマーの混合物、
Cognis製のEmpol(登録商標)1018、5%のオーダーの脂肪酸モノマーを有する81%のダイマーおよび14%の高級オリゴマー、本質的にはトリマーの混合物、
Oleon製のRadiacid(登録商標)0980、少なくとも70%のトリマーを有するダイマーおよびトリマーの混合物。
【0027】
Pripol(登録商標)、Unidyme(登録商標)、Empol(登録商標)およびRadiacid(登録商標)製品は、C18脂肪酸のモノマーおよびC18の倍数に対応する脂肪酸のオリゴマーを含む。
【0028】
本発明の代替形態によれば、三酸に代えて、化合物(A)として、少なくとも3個のエステルまたは塩化アシル官能基を含む化合物を使用することが可能である。
【0029】
エステルの例として、脂肪酸トリマーまたは上記定義の脂肪酸のオリゴマーの混合物のメチル、エステルまたはイソプロピル(好ましくは、メチル)エステルを挙げることができる。
【0030】
さらに別の代替形態において、化合物(A)は、有利には、酸、エステルおよび塩化アシル官能基から選択される少なくとも2個の異なる官能基を含む少なくとも三官能性の化合物であり得る。
【0031】
一方で、化合物(B)は、特に、アルコールまたは第1級もしくは第2級アミン基から選択することができる少なくとも1個の反応基を担持する。代替形態において、化合物(B)は、少なくとも2個のこのような同一または異なる基を担持することができる。
【0032】
特に、化合物(B)の反応基が化合物(A)の第1の官能基と第2の官能基の両方と反応することができる場合においては、本発明による方法の第1の段階において、化合物(B)の反応基の数と化合物(A)の官能基の合計との比を0.1から0.8、好ましくは、0.3から0.8の範囲とすることが好ましい。
【0033】
従って、化合物(B)は、式(B1)から(B3):
【0034】
【化2】

(式中、
Rは、少なくとも1個のアルコールまたは第1級もしくは第2級アミン基を含む単位を示し、
R’は、水素原子を示し、
Aは、酸素もしくは硫黄原子または−NH基、好ましくは、酸素原子を示す。)のいずれか1種に対応する。
【0035】
化合物(B)の好ましい例は、(2−アミノエチル)イミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−[2−({2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾールである。
【0036】
上記方法の第1の段階の終了時に得ることができる化合物の例として、以下のものを挙げることができる:
Empol(登録商標)1008とUDETAとの反応から得られるUDe 1008;
Unidyme(登録商標)60とUDETAとの反応から得られるUDe 1060;
Empol(登録商標)1008とUnidyme(登録商標)60とUDETAとの反応から得られるUDe 1060/1008;
Pripol(登録商標)1017とUDETAとの反応から得られるUDe 1017;
Pripol(登録商標)1048とUDETAとの反応から得られるUDe 1048;
Unidyme(登録商標)14とUDETAとの反応から得られるUDe 1014;
Pripol(登録商標)1040とUDETAとの反応から得られるUDe 1040;
Radiacid(登録商標)0980とUDETAとの反応から得られるUDe 0980。
【0037】
出発脂肪酸に応じて、一般に30から150℃の融点(M.p.)を有し、一般に−50℃から20℃のガラス転移温度(Tg)を有する半結晶質であり得る化合物が得られる。
【0038】
次いでこの化合物を、本発明による方法の第2の段階において、少なくとも二官能性の化合物(C)と、(C)の官能基が化合物(A)の第2の官能基、即ち、残留反応官能基と反応するように反応させる。この段階において、化合物(C)の単独重合をもたらすことができる触媒条件の使用は回避する。
【0039】
化合物(C)は、特に、エポキシ、アルコールおよびアミン官能基から選択される少なくとも2個の同一または異なる官能基を担持する。
【0040】
化合物(C)は、好ましくは、ジエポキシドである。従って、化合物(C)は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、エポキシ化多価不飽和脂肪酸およびエポキシ化リモネン;ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0041】
代替形態において、化合物(C)は、例えば、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシラートトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシラートトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(グリシジルアクリラート)、ポリグリシジルメタクリラート、エポキシ化多価不飽和脂肪酸、エポキシ化植物油、エポキシ化魚油およびこれらの混合物から選択される少なくとも3個のエポキシド官能基を含むポリエポキシドであり得る。
【0042】
別の代替形態において、化合物(C)は、ジオールであり得る。この場合において、化合物(C)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヒドロキシル末端を含むポリエステル、ヒドロキシル末端を含むポリブタジエン、ヒドロキシル末端を含むポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル末端を含むポリイソブチレン、ヒドロキシル末端を含むポリブタジエン−co−アクリロニトリルコポリマー、脂肪酸から得られるダイマージオールおよびこれらの混合物から選択することができる。
【0043】
別の可能性によれば、化合物(C)は、少なくとも3個のアルコール官能基を含むポリオールであり得る。このような化合物の例は、特に、糖、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンならびにさらにはグリセロールならびにこのエトキシ化およびプロポキシ化誘導体、ヒマシ油ならびに脂肪酸から得られるダイマージオール、例えば、Uniqema製のPripol 2033である。
【0044】
本発明による材料は、この合成の方法の第1の段階において化合物(B)の反応基(有利には、第1級または第2級アミン基)と化合物(A)の「第1の官能基」と称される反応官能基(有利には、酸官能基)と反応により形成される結合橋、好ましくは、アミド橋およびこの方法の第2の段階において化合物(A)の「第2の官能基」と称される残留反応官能基(好ましくは、酸官能基)と化合物(C)の反応官能基(有利には、エポキシ官能基)との反応により形成される結合橋(有利には、エステル橋)を含むことが理解される。この材料は、材料を構成する分子により担持される会合基間の水素結合も含む。温度上昇により開裂することおよび周囲温度において再形成することができるこれらの可逆性水素結合の存在により、本発明による材料は、当業者に周知の方法(射出成形、成形、押出しなど)により変換されるのに十分な溶融流動性および必要に応じて周囲温度における高い破断点伸びを示すことができるが、高分子量を示すことはない。
【0045】
前記材料を構成する樹枝状分子は、可溶性画分および場合により不溶性画分、即ち、材料の重量の0.1から90%を表し、いかなる溶媒中でもいかなる比率でも可溶性でない画分を含む。可溶性画分の数平均分子量は、好ましくは、GPCにより計測して300から300000g/molである。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、1分子当たりの末端会合基の平均数は、少なくとも1.2個、好ましくは、少なくとも2個、実際にはさらに少なくとも2.2個である。
【0047】
この材料は、特に、化合物(A)が脂肪酸のモノマーおよび/またはダイマーと混合している脂肪酸のトリマーを含む場合において上記樹枝状分子以外の分子を含むことができることがさらに理解される。有利には、本発明による材料は、少なくとも25数量%、さらにより良好には少なくとも50数量%の前記樹枝状分子を含む。
【0048】
本発明によれば、この材料は、有利には上記樹枝状分子のそれぞれにより担持されるアルキル基間の相互作用に起因して分子間疎水結合も含むことが好ましい。「アルキル」という用語は、本発明の意味の範囲内では、例えば、側基(CnH2n+1)を意味し、アルキレン鎖(CnH2n)を意味するものでないと解される。特に好ましくは、これらの分子のそれぞれはC6−C24アルキル鎖を、有利には前記末端会合基よりも多い数で含む。これらの分子は、特に脂肪酸のトリマーである場合、特に(A)化合物により提供することができる。
【0049】
上記の化合物(A)、(B)および(C)は、本発明による方法において、溶融状態で、または溶媒経路により導入することができる。
【0050】
本発明による方法において使用される(A)、(B)および(C)の比率により、本発明による材料の機械的特徴が決まる。
【0051】
上記定義の材料は、広い温度範囲にわたり高い衝撃吸収能を示す。
【0052】
従って、上記定義の材料は、好ましくは、20から50℃に及ぶ温度範囲にわたり、さらに一部の材料については、−5℃から80℃以上に及ぶ温度範囲にわたり、少なくとも50Hz、好ましくは、100Hz以上の周波数において0.5超のタンジェントデルタを示す。
【0053】
好都合にも、材料はさらに、エラストマー特性、即ち、周囲温度において一軸歪に供することおよびこの応力が解放されると、この初期寸法を、初期に適用される歪に応じてこの初期寸法の10%未満、好ましくは、5%未満の残留歪で回復させることができる特性を示す。
【0054】
さらに、本発明による材料は、自己修復特性を示すことが好ましい。この用語は、例えば、破断に及ぶ伸びから得られる切断または例えば、はさみもしくは別のスライスもしくは剪断工具により実施される切断またはさらには任意の他の非接触切断法、例えば、レーザー切断後に周囲温度において破断が生じた材料の面を接触させた後の、材料の再結合する能力および張力に再度供することができる能力を意味する。
【0055】
上記の通り、本発明による方法において使用される(A)、(B)および(C)比率および性質により、本発明による材料の機械的特徴が決まる。
【0056】
結果的に、本発明による材料は、以下のような材料であることが好ましい:
− 化合物(A)は、以下の酸の少なくとも1種のトリマー:ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エイコセン酸、ドコセン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸であり、
− 化合物(B)は、(2−アミノエチル)イミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−[2−({2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾールから選択され、
− 化合物(C)は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシラートトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシラートトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(グリシジルアクリラート)、ポリグリシジルメタクリラート、エポキシ化多価不飽和脂肪酸、エポキシ化植物油、エポキシ化魚油、エポキシ化リモネンおよびこれらの混合物から選択される。
【0057】
材料の衝撃吸収能は、化合物A、BおよびCの所与の比率について、化合物Cの選択により調節することができる従って、化合物Cがエポキシ化ダイズ油、ビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはビスフェノールFジグリシジルエーテルから選択される場合、材料の衝撃吸収能は極めて高い。
【0058】
材料は、特に、衝突または振動を減衰することが意図される任意のタイプの物品、例えば、地上車、特に列車、トラック、乗用車またはフォークリフトトラックを含む運搬車用のバンパーならびにフェンダー、さらには船用保護材、遊戯マット、防弾チョッキ、射撃の標的、特に矢、弾丸およびダーツ用の標的、スポーツ用防具、特に脛当て、肘当て、手袋、上下続きのスポーツウエアもしくは保護ヘルメット用のライニングまたは管および導管の保護部品を製造するため、または音波により作出されるエネルギーを消散させることが意図される商品、例えば、アコースティックブランケットを製造するために使用することができる。
【0059】
これらの用途において、本発明による材料は、このままで、または1種以上の化合物、例えば、石油留分、溶媒、無機および有機充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、顔料ならびに/もしくは染料との、例えば、エマルション、懸濁状態もしくは溶解状態の単相もしくは複相混合物中で使用することができる。
【0060】
本発明のより良好な理解は、以下の実施例に照らして得られ、該実施例は説明の目的のために挙げられるにすぎず、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定する目的を有するものではない。
【0061】
本発明を図1によっても説明し、この図は、実施例4の生成物(HR)および実施例5の生成物(HM)のタンジェントデルタの変化を150Hzにおける剪断について温度(℃)の関数として表す。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
本発明による材料の調製
1300gの脂肪酸のトリマー(Pripol(登録商標)1040、酸価=188(mgKOH/g)、即ち、4.36molの酸官能基)を、メカニカルスターラー、温度プローブ、浸管を介する窒素用入口、滴下漏斗、凝縮器を搭載するDean&Stark装置および加熱マントルを備える4リットルのガラス反応器中に導入した。299gの(2−アミノエチル)イミダゾリドン(UDETA、塩基価=7.3meq/g、即ち、2.18mol、0.5当量)を、溶融状態で滴下漏斗中に導入した。反応器を80℃に加熱し、次いでUDETAを撹拌しながら窒素流下で10分の時間にわたり流入させた。温度は4時間の時間にわたり180℃に徐々に上昇し、次いで混合物を180℃において2時間反応させておいた。回収された水の量は、39g(2.18mol)であった。混合物を130℃に放冷し、周囲温度において凝固する1475gの褐色粘性液体を回収した。得られた生成物の酸価(酸基を中和するのに必要な生成物のmgKOH/g)は、67.5mgKOH/gであった。
【0063】
次いで、この生成物の7.5gを、1.73gのAraldite(登録商標)LY556(1分子当たりのヒドロキシル基の平均数n=0.15、即ち、数平均分子量Mn=382.6のBADGEエポキシプレポリマー)とともに直径5cmのPTFEビーカー中に装入した。ビーカーを150℃に加熱した後、スパチュラを使用して混合物を均質化し、次いで直径8cmのPTFE型中に注ぎ、150℃において1時間維持し、次いで125℃において48時間維持した。次いで、型を周囲温度に冷却した。型からの取り出し後、RH−4と称する、中央部における厚さが約1mmの材料の可撓性フィルムを得た。このフィルムは、剃刀の刃により切断した後、断片を1時間未満の時間内に接触させた場合に自然に復元することが見出された。
【0064】
(実施例2)
本発明による材料の調製
手順は実施例1と同一であり、1625gのPripol(登録商標)1040(酸価=188mgKOH/g、即ち5.46molの酸官能基)および224.4gのUDETA(1.64mol、0.3当量)を使用した。26.5gの水(1.64mol)および周囲温度において凝固する1770gの褐色粘性液体を回収した。生成物の酸価は105.8mgKOH/gであった。
【0065】
次いで、この生成物の7.75gを、2.8gのAraldite(登録商標)LY556とともに直径8cmのPTFE型中に装入した。型を150℃に加熱した後、スパチュラを使用して混合物を均質化し、150℃において1時間維持し、次いで125℃において48時間維持した。次いで、型を周囲温度に冷却した。型からの取り出し後、中央部における厚さが約1.5mmの材料の可撓性フィルムを得た。このフィルムは、剃刀の刃により切断した後、断片を1時間未満の時間内に接触させた場合に自然に復元することが見出された。
【0066】
(実施例3)
本発明による材料の調製
5.62gの酸ダイマー/トリマー混合物Unidyme(登録商標)60および1.40gのモル純度95%超の(2−アミノエチル)イミダゾリドン(UDETA)を、加熱式マグネティックスターラー、ガス入口および系を真空下に配置することを可能とする接続部を備える50mlの三口丸底フラスコ中に注いだ。混合物を加熱し、窒素流により180℃において12時間フラッシュした。送水ポンプによりわずかな真空を規則的に適用して媒体中で溶解している水を除去した。液体混合物を150℃に冷却し、次いで1.91gのエポキシ樹脂Araldite(登録商標)LY556を添加した。150℃において45分間静置した後、混合物を直径8cmのPTFE型中に注ぎ、オーブン中に125℃において48時間装入した。
【0067】
型から取り出した後に得られた試料は、厚さ1.6mmの弾性フィルムの形態で存在した。
【0068】
(実施例4)
本発明による材料の調製
Uniqema(登録商標)製の1000gのPripol(登録商標)1040(酸価186)、即ち、3.32molのカルボン酸および重量による純度87.6%の245gのUDETA、即ち、1.66molのアミンを、電熱マントル上に位置させた、温度プローブ、アンカータイプのポリテトラフルオロエチレンローターを有するメカニカルスターラー、滴下漏斗、還流凝縮器、Dean&Stark装置およびポリテトラフルオロエチレン浸管を終端とする窒素入口を備える作業容積4000mlのSchott反応器中に導入する。UDETAの不純物は、追加の0.13molの当量を提供し得ることが想定される。混合物を170℃に加熱して凝縮水を除去する。凝縮水を除去し、Dean&Stark装置中で捕捉した場合、媒体を80℃に冷却する294gのBADGEタイプのエポキシ樹脂、Resolution(登録商標)製のEpikote(登録商標)828EL(5.2mol/kgのエポキシ含有量)、即ち、1.53molを80℃において添加し、混合物を80℃において15分間撹拌しておく。こうして得られた生成物を反応器から取り出し、ポリプロピレン容器中で硬化させることなく貯蔵することができる。最最終衝撃吸収材料を得るため、硬化を好ましくは、非接着担体、例えば、ポリテトラフルオロエチレンにより被覆されているプレート上の厚さ5mmの層として、オーブン中で120℃において24時間実施する。
【0069】
(実施例5)
本発明による材料の調製
Uniqema(登録商標)製の1000gのPripol(登録商標)1040(酸価186)、即ち、3.32molのカルボン酸および重量による純度87.6%の245gのUDETA、即ち、1.66molのアミンを、電熱マントル上に位置させた、温度プローブ、アンカータイプのポリテトラフルオロエチレンローターを有するメカニカルスターラー、滴下漏斗、還流凝縮器、Dean&Stark装置およびポリテトラフルオロエチレン浸管を終端とする窒素入口を備える作業容積4000mlのSchott反応器中に導入する。UDETAの不純物は、追加の0.13molの当量を提供し得ることが想定される。混合物を170℃に加熱して凝縮水を除去する。凝縮水を除去し、Dean&Stark装置中で捕捉した場合、媒体を120℃に冷却する。Arkema製の414gのエポキシ化ダイズ油Ecepox(登録商標)PB3(3.7mol/kgのエポキシ含有量)、即ち、1.53molを120℃において添加し、混合物を120℃において15分間撹拌しておく。こうして得られた生成物を反応器から取り出し、ポリプロピレン容器中で硬化させることなく貯蔵することができる。最終ハイブリッドエラストマー材料を得るため、硬化を好ましくは、非接着担体、例えば、ポリテトラフルオロエチレンにより被覆されているプレート上の厚さ5mmの層として、オーブン中で120℃において48時間実施する。生成物は粘着性であり、表面において滑石粉末により処理してこの取扱、特に機械的特性の計測を容易にすることができる。
【0070】
(実施例6)
機械的試験
以下の寸法:全長:35mm、全幅:6.5mm、中央帯の長さ:10mm、中央帯の幅:2mm、厚さ:1.6mmのダンベル形状の試験片を、穴あけパンチを使用して実施例3において得られたフィルムの打抜により得た。
【0071】
− 10Nの力センサを備えるInstron(登録商標)引張試験機を使用して引張試験を2mm/分の速度において25℃において実施した。この試験により以下の結果が得られた:
破断点歪:427%
破断応力:0.65MPa
− 同一機械を使用して、引張残留歪試験を25℃において以下の通り実施した:試験片を中央帯の各側部上で2本の線により標識し、解像度600dpiのスキャナを使用して試験片の画像を記録し、2本の線の間の距離を画像上で計測し、次いで試験片を2mm/分の速度において最大200%の歪まで伸びに供した。続いて、200%の歪を1時間維持した。この時間の終了時、試験片をジョーから取り外し、次いで25℃において12時間放置した。次いで、2本の線の間の距離を上記と同一の手法において再度計測した。
【0072】
伸び前の線の間の距離:12.5mm
伸び後の線の間の距離:12.9mm、即ち、3%の残留歪。
【0073】
− 25℃における自己修復に関する試験を以下の通り実施した:最初に試験片を、剃刀の刃を使用してこの中央において切断した。時間t1後、2つの表面を手で接触させた。これらの表面は、直ちに互いに接着することが見出された。次いで、試験片を時間t2にわたり放置した。この時間の終了時、引張試験を上記条件下で破断するまで実施した。
【0074】
以下の結果が記録された:
【0075】
【表1】

【0076】
本実施例は、自己修復後、試料が破断前にかなりの歪に再度耐えることができることを示す。本実施例は、自己修復の質が時間t2が増加するにつれて改善することも示す。
【0077】
(実施例7(比較例))
材料の合成および機械的特性
3.82gのAraldite(登録商標)LY556エポキシ樹脂+5.60gのUnidyme(登録商標)60酸トリマーを、マグネティックスターラーおよび加熱浴を備える100mlの丸底フラスコ中に装入した。混合物を混和性になるまで撹拌しながら160℃に加熱し、次いで直径80mmのPTFE型中に注ぎ、最後に、オーブン中に125℃において48時間装入した。約1.35mmの厚さを有する可撓性フィルムを得た。以下のことが赤外分光法により見出された:
− 1707cm−1における酸のνC=Oバンドの消失
− 914cm−1におけるエポキシのνバンドの消失
− 1736cm−1におけるエステルのνC=Oバンドの出現
このフィルムについて機械試験を上記と同一の条件下で実施した。
【0078】
引張試験により、以下の結果が得られた:
破断点伸び:195%
破断応力:5.5MPa
25℃における自己修復に関する試験を実施例6と同一の手法において実施した。
【0079】
時間t1=10分およびt2=3時間の時間の場合に以下の結果が記録された:
破断点伸び:5.1%
破断前の最大応力:0.07MPa。
【0080】
本比較例は、化学架橋された巨大分子から構成されるが分子間水素結合を欠く網目の場合において自己修復の特性が観察されないことを示す。
【0081】
(実施例8)
本発明による材料の合成および機械的特性
150gのPripol(登録商標)1040(販売元Uniqema、酸価=188、即ち、0.504molの酸官能基)を、メカニカルスターラー、還流凝縮器、Dean&Stark装置、窒素入口、滴下漏斗および温度プローブを備える500mlのSchott反応器中に導入した。80℃に加熱した後、36.5gのUDETA(販売元Arkema、塩基価=6.9meq/g、即ち、0.252molのアミン官能基)を滴下漏斗を介して導入した。窒素流下で160℃に5時間加熱した後、形成された水をDean&Stark装置中で除去した。次いで、温度を145℃に戻し、次いで62.9gのエポキシ化ダイズ油(Ecepox PB1、販売元Arkema、エポキシド価=4mmol/g、即ち、0.252molのエポキシド官能基)を添加し、混合物を145−150℃において15分間反応させておいた。反応混合物をTeflon(登録商標)プレート上に注ぎ、該プレートをオーブン中に120℃において40時間装入した。
【0082】
こうして得られた生成物にタルクを散粉してより良好にこの生成物を取り扱うことおよびこの生成物をプレートから取り出すことを可能とした。生成物を型から取り出したら、今度は他方の表面(プレートとの接触表面)をタルクにより処理した。機械試験を実施する目的のため、長さ8cm、幅1cmおよび厚さ2mmの細長片を切り取った。4cmだけ離隔した鉛筆による標識を試料上に作製した(長さ方向中央の各側部から2cm)。続いて、250%の歪に対応する14cmだけ標識が離隔されるまで試料に手で歪をかけた。試料を机上に置き、この弾性戻りが観察された。試料を解放してから5分後、標識間の距離は4.2cmに戻った。30分後、試料はこの元の寸法に完全に回復し、標識間の距離は、0%の残留歪に対応する4cmに戻った。
【0083】
本実施例は、本発明による材料のエラストマー特性を説明する。
【0084】
(実施例9)
本発明による材料の衝撃吸収特性
150Hz(材料が物体の降下の間に受ける材料表面における応力の代表的な高周波数)におけるタンデルタによる、実施例4により得られた生成物(HR)および実施例5により得られた生成物(HR)の減衰挙動を計測した。
【0085】
タンデルタを比G”/G’として計算することを可能とする動的機械弾性率の計測を、TA Instruments製のDMA Q800を使用して実施し;試験は、80℃から0℃まで、2℃/分において冷却しながら剪断条件下で実施した。
【0086】
この計測の結果を図1に提示する。
【0087】
−7℃から最大少なくとも80℃まで、実施例5による生成物(HM)が0.5超のタンジェントデルタを示すことが見出される。実施例4による生成物(HR)については、タンジェントデルタは、9℃から最大少なくとも80℃まで0.5超である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステルまたはチオエステル橋を単独またはアミドもしくはウレア橋との組合せで介して互いに結合している少なくとも二官能性のフラグメントおよび少なくとも三官能性のフラグメントからそれぞれ構成される樹枝状分子を含み、前記橋は、異なるフラグメントにより担持される2個の官能基から形成され、前記分子は、水素結合を介して互いに合することができ、および前記橋に関与しない官能基に共有結合している末端会合基を樹枝の末端に位置するフラグメント上にさらに含む材料の、衝撃吸収材としての使用。
【請求項2】
樹枝状分子の画分が不溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記樹枝状分子の可溶性画分が、300から300000g/molの数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記樹枝状分子が、C6−C20アルキル鎖を、好ましくは、前記末端会合基よりも多い数でさらにそれぞれ含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも25数量%、好ましくは、少なくとも50数量%の前記樹枝状分子を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
会合基が、イミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス−ウレイルおよびウレイド−ピリミジル基から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記材料を、以下の連続的段階:
a)第1の官能基および第2の官能基を担持する少なくとも1種の少なくとも三官能性の化合物(A)を、一方で(A)の第1の官能基と反応することができる少なくとも1個の反応基および他方で少なくとも1個の会合基を担持する少なくとも1種の化合物(B)と、好ましくは、化合物(B)の反応基と化合物(A)の第1の官能基の合計との数の比を0.1から0.8、好ましくは、0.3から0.8の範囲として反応させる段階;
b)段階(a)において得られた(1種以上の)化合物を、官能基が化合物(A)の第2の官能基と反応することができる少なくとも1種の少なくとも二官能性の化合物(C)と反応させてエステルまたはチオエステルを単独またはアミドもしくはウレア橋との組合せで形成させる段階
を含む方法により得ることができる、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
− 化合物(A)が、酸、エステルまたは塩化アシル官能基から選択される少なくとも3個の同一または異なる官能基を担持し、
− 化合物(B)が、アルコールまたは第1級もしくは第2級アミン基から選択される少なくとも1個の反応基を担持し、および
− 化合物(C)が、エポキシ、アルコールおよびアミン官能基から選択される少なくとも2個の同一または異なる官能基を担持する
ことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
化合物(A)が、植物由来の脂肪酸のトリマーであることを特徴とする、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
化合物(B)が、式(B1)、(B2)または(B3)
【化1】

(式中、
Rは、少なくとも1個のアルコールまたは第1級もしくは第2級アミン基を含む単位を示し、
R’は、水素原子を示し、
Aは、酸素もしくは硫黄原子または−NH基、好ましくは、酸素原子を示す。)
に対応することを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
化合物(B)が、(2−アミノエチル)イミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−[2−({2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾールから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
化合物(C)が、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシラートトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシラートトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(グリシジルアクリラート)、ポリグリシジルメタクリラート、エポキシ化多価不飽和脂肪酸、エポキシ化植物油、エポキシ化魚油、エポキシ化リモネンおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
化合物(C)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヒドロキシル末端を含むポリエステル、ヒドロキシル末端を含むポリブタジエン、ヒドロキシル末端を含むポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル末端を含むポリイソブチレン、ヒドロキシル末端を含むポリブタジエン−co−アクリロニトリルコポリマー、脂肪酸から得られるダイマージオールおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
地上車、特に列車、トラック、乗用車またはフォークリフトトラックを含む運搬車用のバンパーならびにフェンダー、船用保護材、遊戯マット、防弾チョッキ、射撃の標的、特に矢、弾丸およびダーツ用の標的、スポーツ用防具、特に脛当て、肘当ておよび手袋、上下続きのスポーツウエアおよび保護ヘルメット用のライニング、管および導管の保護部品ならびにアコースティックブランケットから選択される物品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の材料の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−522860(P2012−522860A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502741(P2012−502741)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050567
【国際公開番号】WO2010/112743
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】