説明

伝導性複合体の合成装置および方法

【課題】電気伝導性を向上させられる伝導性複合体の合成装置および方法が提供することにある。
【解決手段】伝導性複合体の合成装置の一実施形態は、炭素ナノチューブおよび高分子を混合して生成されたペレットを用いて射出成形を行う射出成形機と、前記射出成形中に溶融されたペレットに電磁場を印加して、射出成形製品である複合体に含まれた炭素ナノチューブを再配列させる電磁場形成部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導性複合体の合成装置および方法に関するものであって、より詳細には炭素ナノチューブおよびその他物質を合成して電気伝導性を向上させることができる伝導性複合体の合成装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に炭素ナノチューブ(Carbon nano−tube)は、炭素原子一つが周囲の他の炭素原子3つと結合をして蜂の巣状の構成をしており、その電気的、熱的、機械的特性が従来の素子に比べて優秀で、電界放出素子、電気化学およびエネルギー保存、超微細メカトロニクスシステム、有機および無機複合素材など多様な産業分野に応用されている。
【0003】
前記炭素ナノチューブを合成する方法では、レーザーを用いて金属と黒鉛粉を一定の比率で混ぜて作った試片を気化させて合成するレーザーアブレーション(ablation)法、直径が異なる二つの炭素棒に電圧を加えて、アーク放電を起こして、合成するアーク放電法(Arc discharge)、気体状態の原料ガスを反応炉の中に注入して熱やプラズマによって炭素ナノチューブを成長させる化学気相堆積法(Chemical vapor deposition:CVD)、液状または気相の炭化水素を遷移金属と共に加熱された反応観中に供給して炭化水素を分解させて気相状態で炭素ナノチューブを生成する熱分解法(Pyrolysis of hydrocarbon)などがある。
【0004】
上記のように製造される炭素ナノチューブは導電性物質であって、高分子との複合化により伝導性複合体の応用(静電気分散、電磁波遮蔽など)に応用されうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、炭素ナノチューブと高分子を混合して射出成形時に生成される複合体に含まれた炭素ナノチューブの方向性を制御して成形された複合体の表面抵抗を低くし電気伝導率を向上させることができる複合体合成装置および方法を提供することにある。
【0006】
これと共に、射出成形時に加えられる電磁場の強度、電磁場の方向などを調節して炭素ナノチューブの整列方向を調節することで、複合体の形状に応じて電気伝導性を制御できる複合体合成装置および方法を提供することにある。
【0007】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていないまた他の目的は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を達成するために本発明の伝導性複合体の合成装置の一実施形態(Aspect)は、炭素ナノチューブおよび高分子を混合して生成されたペレットを用いて射出成形を行う射出成形機と、前記射出成形中に溶融されたペレットに電磁場を印加して、射出成形製品である複合体に含まれた炭素ナノチューブを再配列させる電磁場形成部と、を含む。
【0009】
また、前記電極板を、成形される複合体の形状に対応して複数に配置する。
【0010】
さらに、本発明による電磁場形成部は、排出口に設置されて垂直方向の電磁場を形成する電極板と、前記電極板に電流を印加して炭素ナノチューブの方向性を制御する制御部と、を含む。
【0011】
また、本発明による電磁場形成部は、排出口に設置されて電磁場を形成することと共に複合体の形状に応じてそれぞれ設置されている複数の電極板と、前記複数の電極板にそれぞれ相異なる電流を印加して、複合体の形状の部分別にそれぞれ相異なる電気伝導率を形成するように構成された制御部と、を含む。
【0012】
前述した課題を達成するために本発明の伝導性複合体の合成方法の一実施形態(Aspect)は、炭素ナノチューブと高分子を圧出成形して生成されたペレットを射出成形機に投入して射出成形する段階と、前記射出成形段階で前記射出成形機により成形されている射出成形製品である複合体に電磁場を印加して前記炭素ナノチューブを再配列させる段階と、を含む。
【0013】
前述した課題を達成するために本発明の伝導性複合体の合成方法の他の実施形態(Aspect)は、炭素ナノチューブと高分子を圧出器で圧出成形してペレットで成形する段階と、前記ペレットを射出成形機に投入して射出成形する段階、および前記射出成形時に前記射出成形機の排出口で成形される複合体の形状に対応するように方向と強度が調節された電磁場を印加して、前記複合体の炭素ナノチューブを前記複合体の各部分別に表面抵抗値および電気伝導率を異に形成する段階と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明による一実施形態によると、炭素ナノチューブと高分子からなる複合体が射出成形機で排出される時、複合体に所定方向の電磁場を印加して炭素ナノチューブを再配列させて電気伝導率を高めることができる。
【0015】
さらに、複合体に所定方向の電磁場を印加して炭素ナノチューブを配列させて相互接触するようにすることで表面抵抗を減少させることができる。
【0016】
これと共に、加えられる電磁場の方向および/または強度などを調節して複合体の炭素ナノチューブが整列される方向などを調節することで、複合体の形状に適した伝導性を付与することができる。
【0017】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されなく、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明および図に含まれている。本発明の利点、特徴、およびそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、相異なる多様な形態で具現されることが可能である。単に本実施形態は本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。なお、明細書全体にかけて、同一の参照符号は同一の構成要素を指すものとする。
【0019】
一つの素子(elements)が、他の素子と「接続された(connected to)」または「カップリングされた(coupled to)」と参照されるときは、他の素子と直接連結またはカップリングされた場合、あるいは間に他の素子を介在させた場合のすべてを含む。これに対し、一つの素子が異なる素子と「直接接続された(directly connected to)」または「直接カップリングされた(directly coupled to)」と参照されるときは、間に他の素子を介在させないことを表わす。明細書全体にかけて、同一の参照符号は、同一の構成要素を参照する。「および/または」は、言及されたアイテムのそれぞれおよび一つ以上のすべての組合せを含む。
【0020】
第1、第2などが、多様な素子、構成要素および/またはセクションを説明するために使用される。しかしながら、これら素子、構成要素および/またはセクションは、これらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素、またはセクションを他の素子、構成要素、またはセクションと区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素、または第1セクションは、本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素、または第2セクションであり得ることはもちろんである。
【0021】
本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において単数形は、文言で特別に言及しない限り、複数形をも含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及した構成要素、段階、動作、および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作、および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0022】
他に定義されなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通に理解され得る意味において使用されるものである。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は、明確に特別に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付された図面を参照してより詳細に説明する。
【0024】
例えば、炭素ナノチューブは導電性物質であって、高分子との複合化により伝導性複合体の応用(静電気分散、電磁波遮蔽など)に多く使われることができる。炭素ナノチューブと高分子物質を合成するためには炭素ナノチューブとポリカーボネートを均一に混合して射出成形によって製造することができる。
【0025】
図5は、一般的な伝導性複合体の合成時使われる圧出器および射出機を用いた合成装置を示す概略図であり、図6は、図5で炭素ナノチューブと高分子の射出時、一方向に整列された高分子の配列を示す概略図である。図7は、図6で炭素ナノチューブと高分子の複合体で射出成形によって一方向に整列された炭素ナノチューブの配列を撮影したイメージを示す図である。
【0026】
図5に示すように、圧出と射出の工程を経るため、圧出器50にポリカーボネートと炭素ナノチューブを一定の比率で投入すると共に圧出器で炭素ナノチューブ(CNT)およびポリカーボネート(PC)を均一に混合させつつ圧出をする。
【0027】
圧出器50で炭素ナノチューブ(CNT)とポリカーボネート(PC)が圧出されると所定形状のペレット(Pellet)を生成することができる。生成されたペレットは、所定形状の粒子形態を有し、これをまた射出機51に投入すると所定形態の製品として成形されうる。
【0028】
例えば、射出成形された前記ポリカーボネート(PC)と炭素ナノチューブ(CNT)の複合体は電気伝導率が優秀な導電性複合体であって、上記のような静電気分散、電磁波遮蔽などの用途に多く使われうる。前記導電性複合体に含まれている炭素ナノチューブ(CNT)は、圧出成形後に形成されたペレットでは無秩序に配列されているが、射出成形時射出圧力などによって炭素ナノチューブ(CNT)が一定の方向に整列されることができる。
【0029】
例えば、図6および図7のように、ペレットに含まれている炭素ナノチューブ(CNT)が射出圧力などのような外部環境要因によって一方向に整列されつつ射出されうる。しかし、炭素ナノチューブと高分子の複合体を射出成形した後に射出成形された複合体で炭素ナノチューブが一方向に整列され、これによって炭素ナノチューブ間の接触が切れて表面抵抗が増加しうる。これと共に、炭素ナノチューブとポリカーボネートの複合体で電気伝導率が低くなり、導電性複合体としての効率が低くなりうる。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による伝導性複合体の合成装置を概ねに示す図である。図1を参照すると、本発明の一実施形態による伝導性複合体の合成装置は射出成形機100および電磁場形成部200を含み得る。
【0031】
射出成形機100は、炭素ナノチューブ(CNT)と高分子を圧出して成形されたペレットを受け入れてヒーター130およびスクリュー110を用いてペレットを加熱させて溶融させる。射出成形機100は、スクリュー110を回転させてペレットをスクリュー入口方向に送る(Feeding)。射出成形機100は、溶融されたペレットをピストン120による高い圧力で排出口140を通じて噴射して、噴射された溶融ペレットは所定の形状を有する金型150内に注入される(Inject)。したがって、注入された溶融ペレットは、金型150内に形成されている製品形状のキャビディ180に応じて所定の形状およびサイズに凝固されて炭素ナノチューブおよび高分子からなる複合体を形成することができる。本発明の一実施形態において、溶融ペレットは、炭素ナノチューブおよび高分子からなるペレットを射出成形機100のスクリュー110で溶融させた液体状態のペレットまたは金型150に注入されて固化される前の状態を意味する。
【0032】
電磁場形成部200は、溶融ペレットに所定形状の複合体に成形される過程に電磁場を印加する役割を果たす。電磁場形成部200は、溶融状態から凝固状態に進行されるペレットに電磁場を加えて溶融ペレットに含まれている炭素ナノチューブの方向性を再配列させることができる。例えば、高分子がポリカーボネート(PC)である場合に炭素ナノチューブおよびポリカーボネートからなるペレットを溶融させて、射出成形をしつつ溶融ペレットに電磁場を印加することで射出成形時に流動および圧力によって方向性を有する炭素ナノチューブの方向性(orientation)を再配列させることができる。一般的に、炭素ナノチューブ(CNT)が無秩序に配列されていれば互いに接触(Contact)されているため電気伝導率が高まると共に表面抵抗が低い状態を維持するようになり、炭素ナノチューブ(CNT)が一方向に配列されていれば互いに接触しないようになり、電気伝導率は低くなると共に表面抵抗が高まる。
【0033】
したがって、本発明の一実施形態による電磁場形成部200によって、射出成形時に溶融ペレットに電磁場を印加することで炭素ナノチューブの方向性を再配列させて、炭素ナノチューブの一方向への方向性を減らし相対的に等方性の方向性を有するように誘導して電気伝導性を高めることができる。
【0034】
電磁場形成部200は、一つ以上の電極板210、電極板210に電流または電圧を印加して炭素ナノチューブの方向性を制御する制御部220および前記電極板210に電源を印加する電源供給部230を含み得る。
【0035】
電極板210は、溶融ペレットに電磁場を提供する媒介体の役割を果たす。電極板210は、射出成形機100の溶融ペレットを金型150の内部に噴射させる排出口140、金型150のゲート185、製品形状を有するキャビディ180上に近接するように装着されることができる。ここで、排出口140は、射出成形機100のスクリュー110によって溶融ペレットを噴射させる出口をいい、ゲート185は、金型150の入口の役割を果たし、溶融ペレットが流入する通路をいい、キャビディ180は、成形される製品の形状に応じて製作されて溶融ペレットが満たされて凝固する部分をいう。
【0036】
電極板210の周囲の金属物質と絶縁のために絶縁体によって封印されうる。例えば、電極板210が排出口140またはゲート185上に位置する場合には狭い通路を通じて速く移動する溶融ペレットに電磁場を印加する。電極板210が金型150内のキャビディ180上に位置する場合に、相対的に大きい容積を占めるキャビディ180を満たす溶融ペレットに広い範囲に電磁場を印加することができる。
【0037】
電極板210は、溶融ペレットに加えられる電磁場の方向および強度によって一つ以上の電極板が装着されうる。例えば、電極板210が排出口140またはゲート185上に位置する場合には相対的に強い電磁場を印加し、電極板210が金型150内のキャビディ180上に位置する場合には相対的に弱い電磁場を印加することができる。電極板210は、電気伝導率が優秀な金属性材質、例えば銅、銀などの材質で製作することができる。
【0038】
制御部220は、電極板210に印加される電磁場の強度を調整する。例えば、電極板210が排出口140またはゲート185上に位置する場合には、相対的に強い電磁場を印加するように電源供給部の出力を高めることができる。制御部220は、電磁場を印加して溶融ペレットに含まれた炭素ナノチューブの整列状態を等方性状態になるほどの電流量(例えば、射出時加えられる力ほどに値する電流量)を演算して印加することができる。例えば、制御部220は、射出成形時溶融ペレットに印加される射出圧力によって炭素ナノチューブが一方向の方向性を有する時に溶融ペレットに印加される圧力または力を電流量で計算し、計算された電流量を再び溶融ペレットに印加することで炭素ナノチューブの方向性を再配列させることができる。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態による伝導性複合体の合成装置で電極板を複数にして電磁場を印加する電磁場形成部のブロック図である。
【0040】
図2を参照すると、金型150内のキャビディ180上に溶融ペレットが満たされて所定の成形製品が成形されうる。射出成形による製品は複雑な形状で製作されうるため、成形される製品の部分別に成形時に加えられる圧力および流動によって炭素ナノチューブの方向性がそれぞれ変わりうる。
【0041】
したがって、射出成形によって成形される複合体190の形状に応じて電極板210を配置して電磁場の強度、方向などを調節することができる。したがって、成形される複合体190の形状に応じて電気伝導率を制御することができ、複合体190の各部分別に相異なる電磁場を印加して各部分に合わせて炭素ナノチューブの方向性を再配列させることができる。
【0042】
例えば、図2に示すように射出成形される複合体190の形状に合わせて複数の電極板210を配列して、制御部220で各電極時210に印加される電流量を調節して複合体190の形状に合う表面抵抗値および電気伝導率を制御することができる。
【0043】
具体的には、例えば、複合体190の形状において上面の中央の電気伝導率を最も高くし、他の部分は一定の比率で電気伝導率を減少させるべきであれば、上面の中央に位置する電極板および残りの電極板の電流量を望む表面抵抗値に応じてそれぞれ制御することができる。ここで、表面抵抗(Ohn/sq)は電気伝導率(Electrical Conductivity siemens/m)の逆数で計算されるものであって、表面抵抗値が低くなることは電気伝導率が高いということを意味し得る。
【0044】
炭素ナノチューブは等方性整列状態になれば炭素ナノチューブが相互接触するようになり、炭素ナノチューブの相互接触によって表面抵抗値が減少されうる。したがって、炭素ナノチューブを含む複合体190の電気伝導率は高くなり得る。したがって、本発明の一実施形態によると、射出成形時に溶融ペレットに電磁場を印加して、炭素ナノチューブを再配列させることで炭素ナノチューブの等方性の性質が増加され、表面抵抗が低くなり、電気伝導率が向上した複合体190を得ることができる。電気伝導率が向上すれば炭素ナノチューブと高分子からなる複合体の導電率が向上することであり、したがって、より効率が優秀な導電性複合体を製造することができる。
【0045】
一方、炭素ナノチューブに電磁場を加えて炭素ナノチューブの方向性を再配列させる技法は、電界放出ディスプレイ(Field emission display FED)や液晶ディスプレイバックライト(LCD−Back light unit)の製造時に用いられるスクリーンプリンティング方法が使われている。したがって、炭素ナノチューブに電磁場を加えて炭素ナノチューブの方向性を再配列させる原理は詳細に説明しない。
【0046】
図3Aは、本発明の一実施形態による伝導性複合体合成装置によって成形された炭素ナノチューブの配列状態を概ねに示す図であり、図3Bは、本発明の一実施形態による伝導性複合体合成装置によって成形された炭素ナノチューブを撮影したイメージを示す図である。
【0047】
図3Aを参照すると、本発明の一実施形態による伝導性複合体合成装置によって成形された炭素ナノチューブ310は無秩序に配置されうる。一般的な射出成形によって図6の炭素ナノチューブ310は一方向に配列されるが、図3Aの炭素ナノチューブ310の方向は射出成形時に電磁場を印加して、溶融ペレットに含まれている炭素ナノチューブ310の方向性を再配列して無秩序にすることができる。
【0048】
図3Bを参照すると、実際的に炭素ナノチューブに電磁場を印加することで炭素ナノチューブが無秩序に配列されることが分かる。糸のように細く見える炭素ナノチューブが互いに接触された状態を維持しつつ、無秩序に配列されていることが確認できる。
【0049】
図4は、本発明の本発明の一実施形態による伝導性複合体合成方法を示すフローチャートである。
【0050】
図4を参照すると、先に炭素ナノチューブおよび高分子を混合して圧出器によりペレットを生成する(S410)。例えば、高分子材料としてポルリカボネイトを用いる場合、図5に示すような圧出器50に炭素ナノチューブ(CNT)とポリカーボネート(PC)を投入する。炭素ナノチューブおよびポリカーボネートが投入されると、圧出器50の出口を通じて炭素ナノチューブおよびポリカーボネートの混合体が空気中に圧出されつつ、冷却されて、これを所定のサイズに切ってペレットを形成することができる。
【0051】
生成されたペレットを射出成形機に投入して射出成形を行う(S420)。例えば、炭素ナノチューブと高分子であるポリカーボネートの混合物で形成されたペレットを射出成形機100に投入すると、射出成形機100は一定の圧力および温度で加圧、加熱しつつ、スクリュー110を通じて溶融ペレットを移動させて、金型内に注入して製品を成形することができる。ここで、溶融ペレットによって成形される製品を炭素ナノチューブおよび高分子の複合体と称する。
【0052】
射出成形時に移動中であったり凝固されている溶融ペレットに電磁場を印加して炭素ナノチューブを再配列させる(S430)。電磁場の印加は、電磁場形成部220によって溶融ペレットが移動する経路上の排出口140、ゲート185またはキャビディ180に隣接するように電極板210を配置して具現することができる。
【0053】
電極板210を用いて電磁場を印加し、前記溶融ペレットが移動する経路上で電磁場によって溶融ペレットに含まれている炭素ナノチューブを再配列させて、図3Aのように炭素ナノチューブを等方性の方向性を有するように誘導することができる。
【0054】
これと共に、制御部220は、それぞれの電極板210に印加される電流量を制御して、各電極時210で形成される電磁場のサイズ、方向などを調節することで、比較的複雑な形状で製造される製品である複合体190の各部分別に表面抵抗値および電気伝導率を制御することができる。
【0055】
さらに、電極板210の形状を成形する複合体190の形状に対応するように製作して、射出成形されている複合体190上に電磁場を印加することで複合体190の電気伝導率および表面抵抗値を制御することもできる。
【0056】
前記したように、本発明の一実施形態によれば炭素ナノチューブおよび高分子からなる溶融ペレットに射出成形をする過程において電磁場を印加することで炭素ナノチューブの方向性を調節することができる。これで、成形される複合体の電気伝導率を向上させることができる。これと共に、複合体の各部分別の電気伝導率および表面抵抗値を調整して、導電性複合体の製品を製作する時、電磁波遮蔽、静電気分散などの効果を適切に調節することができる。
【0057】
以上添付された図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴から外れない範囲で多様に置換、変形および変更が可能であるため、他の具体的な形態で実施され得るとことを理解できるものである。したがって、前記実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態による伝導性複合体の合成装置を概ねに示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による伝導性複合体の合成装置において電極板を複数にして電磁場を印加する電磁場形成部のブロック図である。
【図3A】本発明の一実施形態による伝導性複合体合成装置によって成形された炭素ナノチューブの配列状態を概ねに示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態による伝導性複合体合成装置によって成形された炭素ナノチューブを撮影したイメージを示す図である。
【図4】本発明の本発明の一実施形態による伝導性複合体合成方法を示すフローチャートである。
【図5】一般的な伝導性複合体の合成時用いられる圧出器および射出成形機を用いた合成装置を示す概略図である。
【図6】図5で炭素ナノチューブと高分子の射出時、一方向に整列された高分子の配列を示す概略図である。
【図7】図6で炭素ナノチューブと高分子の複合体で射出成形によって一方向に整列された炭素ナノチューブの配列を撮影したイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0059】
50 圧出器
100 射出成形機
110 スクリュー
120 ピストン
130 ヒーター
140 排出口
180 キャビディ
185 ゲート
200 電磁場形成部
210 電極板
220 制御部
230 電源供給部
310 炭素ナノチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ナノチューブおよび高分子を混合して生成されたペレットを用いて射出成形を行う射出成形機と、
前記射出成形中に溶融されたペレットに電磁場を印加して、射出成形製品である複合体に含まれた炭素ナノチューブを再配列させる電磁場形成部と、を含む、伝導性複合体の合成装置。
【請求項2】
前記電磁場形成部は、前記炭素ナノチューブに電磁場を印加して前記炭素ナノチューブを無秩序に配列させる、請求項1に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項3】
前記電磁場形成部は、
前記溶融ペレットが移動する経路上に一つ以上配置される電極板、および
前記電極板に電流量を調節して前記炭素ナノチューブを再配列させる制御部と、を含む、請求項1に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項4】
前記電極板は、前記射出成形機の排出口、金型のゲートおよび金型のキャビティのうち一部分に近接するように装着される、請求項3に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項5】
前記電極板は、成形される複合体の形状に応じて複数に配置されるか、または
前記成形される複合体の形状に対応するように製作される、請求項3に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項6】
前記電磁場形成部は、
前記複合体の形状に応じてそれぞれ設置されている複数の電極板、および
前記複数の電極板にそれぞれ異なる電流を印加して前記複合体の部分別にそれぞれ相異なる電気伝導率を形成するように制御する制御部を含む、請求項1に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項7】
前記複数の電極板は、
前記複合体の形状に対応するように形成されて部分別に相異なる電流を印加ができるようにそれぞれが相互絶縁される、請求項6に記載の伝導性複合体の合成装置。
【請求項8】
炭素ナノチューブと高分子を圧出成形して生成されたペレットを射出成形機に投入して射出成形する段階と、
前記射出成形段階で前記射出成形機により成形されている射出成形製品である複合体に電磁場を印加して前記炭素ナノチューブを再配列させる段階と、を含む、伝導性複合体の合成方法。
【請求項9】
前記炭素ナノチューブを再配列させる段階は、
移動中である溶融ペレットに垂直方向の電磁場を印加して前記複合体の炭素ナノチューブを再配列させて等方性を付与する段階を含む、請求項8に記載の伝導性複合体の合成方法。
【請求項10】
前記等方性を付与する段階は、
前記射出成形機の排出口に前記電極板を上下または左右に装着して前記電極板に電流を印加して電磁場を形成する段階を含む、請求項9に記載の伝導性複合体の合成方法。
【請求項11】
前記炭素ナノチューブを再配列させる段階は、
前記成形される複合体の形状に対応するように配置される複数の電極板によって前記成形体の形状に応じて相異なる電磁場を印加することで前記複合体の電気伝導率を制御する、請求項8に記載の伝導性複合体の合成方法。
【請求項12】
炭素ナノチューブと高分子を圧出器で圧出成形してペレットを成形する段階と、
前記ペレットを射出成形機に投入して射出成形する段階、および
前記射出成形時に前記射出成形機の排出口で成形される複合体の形状に対応するように方向と強度が調節された電磁場を印加して、前記複合体の炭素ナノチューブを前記複合体の各部分別に表面抵抗値および電気伝導率を異に形成する段階と、を含む、伝導性複合体の合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3B】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−120289(P2010−120289A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296639(P2008−296639)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507111210)株式会社 細美事 (16)
【Fターム(参考)】