説明

伝導膜においてH+プロトン及び/またはOH−イオンを置換することによる伝導度の最適化方法

本発明は、伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料から成る前記伝導膜においてH及び/またはOHイオンを置換することによってもたらされる伝導度の最適化方法であって、前記方法が、所定の温度で所望の伝導度が得られるように一定の分圧下で前記水蒸気を前記膜に送り込むために、水蒸気を含有するガスフローを加圧下で前記膜に挿入する段階を含み、前記分圧が1barと同等かそれより高く、所望の伝導度を得るために動作温度の降下が前記分圧における上昇によって補正されることを特徴とする方法に関する。本発明は、水素を生成するための高温水電解、水素燃料を使用した燃料電池の製造、並びに水素分離及び精製の分野における特に興味深い応用に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導膜におけるHプロトン及び/またはOHイオンの置換によってもたらされる伝導度を最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イオン伝導セラミック膜の性能を向上させるための集中した研究が行われており、以下の分野において特に興味深い応用が見出されている。
−水素を生成するための高温水電解
−水素燃料電池の製造
−炭素系生成物と比較した水素及びその同位体の分離及び精製
【0003】
水素(H)は、非常に興味深いエネルギーの進路となっているようであり、とりわけ石油生成物を処理するためにますます重要となっており、最終的には次の数十年でその埋蔵量が著しく減少するであろう石油及び化石エネルギーに代替することが好ましい。しかしながら、この側面において、水素調製の有効な方法を開発することが必要である。
【0004】
さまざまなソースから水素を合成する多くの方法が開示されているが、実際、これらの方法の多くは大規模な水素の工業生成には適応されていない。
【0005】
そこでは、例えば炭化水素から水素を合成することについて説明されている。この合成経路の主な問題点は、副生成物としてかなりの量のCO等の温室効果ガスを生成することである。現在は、実際に1トンの水素を生成するために、8から10トンのCOが排出されている。
【0006】
水を水素へと熱化学的変換する方法についても説明されているが、それらのほとんどは工業規模に置き換えることができない。特に水素の直接熱分解は、約3000から4000°Kという非現実的な温度を必要とするが、触媒の存在によって低減することができる。
【0007】
硫黄、ヨウ化物または臭化物触媒からのその他の種類の水の熱化学分解は、850℃という低温でなされるものであるが、深刻な腐食問題を引き起こすために工業化が困難である。
【0008】
水素の工業的生成のためのもっとも確実な経路は、高温水蒸気電解(HTE)に基づく技術である。
【0009】
現在、以下2つの実施形態が示されている。
−図1に示すようなO2−イオンを伝導することができる電解質を使用して、一般的に750℃から1000℃の間を含む温度で実施される電解。
−図2に示すようなプロトンを伝導することができる電解質を使用して、一般的に400℃から800℃の間を含む温度で実施される電解。所定の電解質は、温度に応じてプロトンまたはイオンO2−伝導体であり得る。
【0010】
図1は、アノード(3)とカソード(4)とを分離する電解質としてO2−イオン伝導セラミック膜(2)を備えた電解槽(1)を概略的に示す。アノード(3)とカソード(4)との間には電位差が与えられる。HO水蒸気は、カソード(4)側で還元される。水蒸気は、カソード(4)に浸透し、解離してカソード表面上で水素(H)及びO2−を形成する。O2−は電解質(2)を通って移動し、電子(e)を放出してアノード表面上で酸素(O)を形成する。一方で電解槽(1)の出力口で酸素が回収され、他方では残りの水蒸気と混合されて水素が回収される。
【0011】
図2は、アノード(12)とカソード(13)とを分離する電解質としてプロトン伝導セラミック膜(11)を備えた電解槽(10)を概略的に示す。アノード(12)とカソード(13)との間には電位差が与えられる。HO水蒸気は、アノード(12)側で電解質(11)に沿って電解される。水蒸気は、アノード(12)に浸透し、電子(e)を放出して酸化され、酸素(O)及びHイオンを形成する。Hイオンは電解質(11)を通過してカソード(13)表面上で水素(H)を形成する。その後、一方で電解槽(10)の出力口で水素が回収され、他方では残りの水蒸気と混合されて酸素が回収される。
【0012】
図2に示されたようなプロトン伝導電解は、O2−イオン伝導電解と比較して以下の2つの明らかな利点を有する。
−低温で実施されるため、いかなる腐食問題も引き起こさずに市販の構造材料を使用することができる。
−O2−イオン伝導電解とは異なって、水との分離を必要とせずに水素がカソードで回収されるため、高純度の水素が生成される。
【0013】
これらの2つの利点によって、設備費用が低減されるために水素生成コストを低減することができる。
【0014】
しかしながら、この種類の電解は依然として実験室レベルで開発段階である。
【0015】
これらの研究の目的は、水素生成の最大生産量を得ることである。このために、使用される電流の大部分は誘導電流プロセスで行われるものでなければならない。すなわち、水の還元及び水素の生成のために使用されなければならない。例えば、分極のために使用される電圧は、少なくとも、
−電極での過電圧、
−電極/電解質界面上の接触抵抗
−材料内、特に電解質内部における抵抗降下
の影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで、本発明は、イオン伝導膜内部において抵抗降下を制限することが可能な前記イオン伝導膜の伝導度を最適化する方法を提供することを目的とする。前記膜は、特に水素生成のための高温水電解用の電解質として使用することができるが、水素燃料電池または水素精製装置を製造することにも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料から成る前記伝導膜においてHプロトン及び/またはOHイオンを置換することによってもたらされる伝導度の最適化方法であって、前記方法が、所定の温度で所望の伝導度が得られるように一定の分圧下で前記水蒸気を前記膜に送り込むために、水蒸気を含有するガスフローを加圧下で前記膜に挿入する段階を含み、前記分圧が1barと同等かそれより高く、所望の伝導度を得るために動作温度の降下が前記分圧における上昇によって補われることを特徴とする方法を提供する。
【0018】
伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料とは、前記膜への水蒸気の吸着及び/または吸収をもたらすことができる材料を意味する。
【0019】
水蒸気を含有するガスフローとは、蒸気として水を含み、最終的にはその他の気体と混合される媒体を意味する。例えば、“分圧”との用語は、場合によって、ガスフローが水蒸気のみからなる場合におけるガスフローの全圧、またはガスフローが水蒸気以外の気体を含む場合における水蒸気の分圧のいずれかを指す。
【0020】
本発明の結果、水蒸気は加圧下で膜へと送り込まれる。この圧力は所定の温度で所望の伝導度が得られるように有利に使用される。図面を参照して以下で説明するように、出願人は、水蒸気の分圧が上昇することによって膜のイオン伝導度が上昇することを見出した。分圧の上昇と伝導度の上昇とのこの相関関係によって、低温での実施に起因する伝導度の低下が水蒸気の分圧の上昇によって釣り合いが保たれ、低温で作動する材料で実施することが可能となる。
【0021】
本発明による方法はまた、単独または任意の技術的の可能な組み合わせによって、1つ以上の以下の特性を示すことができる。
【0022】
好ましくは、水蒸気の分圧は1barから100barの間を含み、好ましくは、10barと同等かまたはそれより高く、100barと同等かそれより低く、さらに好ましくは15barと同等かそれより高い。
【0023】
温度が400℃より高いと有利である。
【0024】
イオン伝導度が10−3S/mと同等かそれより高いと有利である。
【0025】
本発明において使用される材料がO及びHガスに不透過性であると有利である。
【0026】
本発明において使用される材料が88%より高い緻密化レベルを有する材料であると有利であり、好ましくは98%と同等またはそれより高い。可能な限り高い緻密性レベル(特に電解質の機械抵抗及びガス透過性)と水の挿入が可能な材料の容量との間で妥協点を見つけることが推奨される。水蒸気の分圧の上昇は、水蒸気を膜に送り込み、緻密化レベルの上昇を補う。
【0027】
1特定の有利な実施形態によると、水の挿入が可能な材料は、プロトン伝導体として作用する酸素欠損ペロブスカイトなどの酸素欠損酸化物である。
【0028】
酸素欠損酸化物が化学量論的間隔を示し、且つ/またはドープされていると有利である。
【0029】
実際に、非化学量論及び/またはドープによって、酸素空孔を形成することが可能となる。例えば、プロトン伝導の場合、化学量論的間隔を示し且つ/またはドープされた(酸素が欠損した)ペロブスカイトを加圧下で水圧に暴露することによって、構造体における水分子の吸収が誘発される。水分子は酸素空孔を充填し、以下の反応によって2つのヒドロキシ基に解離する。
【0030】
【数1】

【0031】
ペロブスカイトといわれる材料は、以下のものである。
−図3に示すような立方構造によって表されることができる化学式ABOである単純ペロブスカイト。ペロブスカイトに含まれる元素の酸化状態は、以下の表1に示すように、Aは+1から+3の範囲であり、Bは+2から+5の範囲である。
【0032】
【表1】

【0033】
一般的に、Aの酸化状態が+2であり、Bが+4であり、Oが−2であることが認められている。ペロブスカイトの別の一般的形態は、斜方晶形態である。この構造は、温度降下によって立方構造から得られる。B元素が+4である以下の3つの重要な群がある。
・一般式ACeOを有するセリウム酸型ペロブスカイト(B=Ce)、
・一般式AZrOを有するジルコン酸型ペロブスカイト(B=Zr)、
・一般式ATiOを有するチタン酸型ペロブスカイト(B=Ti)、
・タンタル酸及びニオブ酸、
に言及することもできる。
−ABO以外に、他のペロブスカイト構造もある。二重ペロブスカイトABB’O(Bの酸化状態は+3であり、B’の酸化状態は+5である)、三重ペロブスカイトABB’(Bの酸化状態は+2であり、B’の酸化状態は+5である)があり、その特性はBサイトに含まれるものであり、さまざまな化学量論の元素がある。例えば、8面体BOの形状の変更、または立体障害によって酸素空孔の形成の現れが認められる。これらの構造の変化は、特に、水素イオンH(HO)及びOHがある8面体ネットワークから別の8面体ネットワークに移動する能力が認められる場合、プロトン伝導に影響を及ぼし得る。
【0034】
ペロブスカイトは、Dという元素によってAサイトまたはBサイトのいずれかにドープされることができ、Dは、ランタニドLnまたは特定の金属、アルカリ元素またはアルカリ土類元素から選択されると有利である。
【0035】
ドープ元素Dは、酸化状態が三価のイッテルビウム(Yb)であると好ましい。実際、Yb3+はZr4+に近いイオン半径を有するという特殊性を有する。三価イッテルビウムは、ペロブスカイト構造における四価ジルコニウムによって非常に効果的に置換されるため、効果的な酸素空孔の形成がもたらされる。
【0036】
本発明において使用される非化学量論ペロブスカイトは、例えば以下の式:A、ここでx及びyは1以外の2つの整数である、を有する。
【0037】
−Aが一価から三価までを含む酸化状態の金属原子であって、一般的に、例えばCa2+、Ba2+、またはSr2+等の二価の酸化状態の金属原子を表し、
−Bが三価から五価までを含む酸化状態の金属原子であって、一般的にZr4+、Ce4+、またはTi4+等の四価の酸化状態の金属原子を表すと有利である。
【0038】
例えば、本発明において使用されるペロブスカイトは、式SrZr0.9Yb0.12.95またはBaZr0.90.12.95を有する。
【0039】
実施例として、本発明に適合するその他のペロブスカイトとして以下のものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
−1つ以上の希土類元素、特にY3+、Ho3+、Er3+及び/またはYb3+でドープされたSrZrO型ペロブスカイト、
−少なくとも1つの土類元素、特にYb3+でドープされたBaZrO型ペロブスカイト、
−少なくとも1つの土類元素、特にYb3+でドープされたCaZrO型ペロブスカイト、
−1つ以上の元素、特にAl3+、Nb3+、Sc3+でドープされたSrTiO型ペロブスカイト、
−1つ以上の元素、特にAl3+でドープされたBaTiO型ペロブスカイト、
−1つ以上の元素、特にAl3+でドープされたCaTiO型ペロブスカイト、
−1つ以上の希土類元素、特にYb3+でドープされたSr1−xBaZrO型混合ペロブスカイト、
−少なくとも1つの土類元素、特にYb3+でドープされたSr1−xCaZrO型混合ペロブスカイト、
−少なくとも1つの土類元素、特にYb3+でドープされたCa1−xBaZrO型混合ペロブスカイト、
−特にAl3+でドープされたSr1−xBaTiO型混合ペロブスカイト
−特にAl3+でドープされたCa1−xSrTiO型混合ペロブスカイト、
−特にAl3+でドープされたCa1−xBaTiO型混合ペロブスカイト。
【0040】
非化学量論及び/またはドープされたペロブスカイト以外の材料も水の挿入並びにプロトン及び/または水酸化物の形態への解離を促進する材料として使用され得る。例えば、蛍石構造、パイクロア構造A、アパタイト構造Me10(XO、オキシアパタイト構造Me10(XO及びヒドロキシアパタイト構造Me10(XO(OH)等の結晶構造が挙げられる。
【0041】
例えば、8面体の三次元ネットワークによって形成されるパイクロア構造(B)は、水からのイオンの移動を可能にするトンネル、ケージ及び酸素空孔サイトを含む。
【0042】
同様に、アパタイト4面体(XO)から成る小型6面体構造は、イオンの移動及び容易な置換を可能にするトンネルの形成を引き起こす。水はこれらのトンネルに浸透し、プロトンはその中で循環することができる。アパタイトは、ケイ酸塩であってもよい。
【0043】
ケイ酸塩のその他の群もまた考慮する必要がある。
−フィロケイ酸塩(粘土)またはゼオライトのいずれかのアルミノケイ酸塩。シリカネットワークSi4+においてAl3+などの元素が挿入されると、このネットワークは負に帯電される。カチオンは、負電荷を相殺するためにこのネットワークに挿入される。それらのカチオンの中で、プロトンは優れた候補である。伝導性は、含水量及びシート間の間隔に応じて変化する。アンモニウムイオンNH4+等のイオンは、この含水量を高温で安定化する。また、アルミノケイ酸塩は、高温(300及び400℃)で高含水量を維持する。
−オキソ酸でグラフト化したケイ酸塩もまた優れた結果を示す。
−リン酸塩でグラフト化したケイ酸塩もまた無水溶媒(20%HO)中で興味深い結果を示す。
【0044】
高温または中温でイオン伝導体として使用されるあらゆる組成物は、そのトンネルまたはシート構造及び/または空孔の存在により、小さな分子サイズを有する水の挿入を可能にする。
【0045】
本発明の1つの目的は、本発明による方法を実施するための第1水素生成電解装置を提供することであり、前記装置は、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質と、
−アノードと、
−カソードと、
−前記アノードと前記カソードとの間に電位差を与える発電機と、
−前記アノードを介して加圧下で前記電解質へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0046】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための第2水素生成電解装置を提供することであり、前記装置は、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質と、
−アノードと、
−カソードと、
−前記アノードと前記カソードとの間に電位差を与える発電機と、
−前記カソードを介して加圧下で前記電解質へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0047】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための第1水素精製装置を提供することであり、前記装置は、
−プロトンろ過膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−フィードを介して、透過出口の電位がフィード側の電位より高くなるように選択される圧力下で、前記膜へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0048】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための第2水素精製装置を提供することであり、前記装置は、
−プロトンろ過膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−アノードと、
−カソードと、
−前記アノードの正分極及び前記カソードの負分極が可能な発電機と、
−前記カソードを介して加圧下で前記膜へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0049】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための第1水素燃料電池を提供することであり、前記装置は、
−プロトン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトン伝導膜としての電解質と、
−アノードと、
−カソードと、
−前記アノードを介して、前記カソードの電位が前記アノード側の電位より高くなるように選択される圧力下で前記電解質へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0050】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための第2水素燃料電池を提供することであり、前記装置は、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質と、
−アノードと、
−カソードと、
−前記カソードを介して加圧下で前記電解質へと水蒸気を挿入するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】電解槽の簡略図を示す。
【図2】電解槽の簡略図を示す。
【図3】単純ペロブスカイト構造ABOを示す。
【図4】さまざまなペロブスカイトサンプルで実施した熱重量分析結果を示す。
【図5】100%に近い緻密化レベルを示すサンプルで加圧下において実施した熱重量分析結果を示す。
【図6】本発明の方法における圧力の影響を表すナイキスト線図を示す。
【図7】本発明の方法における圧力の影響を表すナイキスト線図を示す。
【図8】本発明の方法における圧力の影響を表すナイキスト線図を示す。
【図9】本発明の方法における圧力の影響を表す温度に応じた複数の伝導度のグラフを示す。
【図10】本発明の方法を使用した電解装置の実施形態を簡略的に示す。
【図11】本発明の方法を使用した電解装置の実施形態を簡略的に示す。
【図12】本発明の方法を使用した水素精製装置の実施形態を簡略的に示す。
【図13】本発明の方法を使用した水素精製装置の実施形態を簡略的に示す。
【図14】本発明の方法を使用した水素燃料電池の実施形態を簡略的に示す。
【図15】本発明の方法を使用した水素燃料電池の実施形態を簡略的に示す。
【0052】
本発明のさらなる特性及び利点は、添付の図面を参照して、単に例示的目的で示され、限定的でない以下の詳細な説明から明らかとなるだろう。
【0053】
全ての図面において、共通の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0054】
図1及び3については、最新技術に関連して既に説明されている。
【0055】
図4は、実施された以下4つのATG−ATD分析(示差熱分析を伴う熱重量分析)a、b、c及びdを示す。
a.200℃、15barの水蒸気圧で含水させたABO型ペロブスカイト
b.200℃で非含水AB0.9Ln0.12.95型ペロブスカイト
c.200℃、O雰囲気下、15barの水蒸気圧で含水させたAB0.9Ln0.12.95型ペロブスカイト
d.200℃、N雰囲気下、15barの水蒸気圧で含水させたAB0.9Ln0.12.95型ペロブスカイト
【0056】
ATG−ATD分析は、温度に応じたサンプルの重量変化を測定することができる分析である。
【0057】
グラフa及びbから、
−非ドープ(aの場合)、または、
−水蒸気圧下で非含水(bの場合)
のペロブスカイトでは、重量減少が認められない。
【0058】
グラフc及びdから、温度上昇に応じて4つの際立った重量減少が認められる。これらの4つの重量減少に対応する温度は、グラフc及びd上の変曲点によって示され、それぞれ約150、350、700及び800℃である。最初の2つの重量減少は、ペロブスカイト表面上に吸収された水分子の減少に相当する。約0.33%の3番目及び4番目の重量減少は、HまたはOHイオン等のペロブスカイト中に挿入され可動性のイオンの実態の減少に相当する。Oの下でのサンプルに対応するグラフdにおいて、800℃を超えると重量増加が認められることは興味深い。この減少は、(800℃で脱水された)ペロブスカイト上の空孔がO2−酸化物イオンによって再度充填されるという事実によって説明され、その後O2−イオンによって伝導が提供される。もちろん変曲点は選択される材料及びこの材料に依存すし、HまたはOH伝導からO2−への伝導への転移温度はこの材料に依存する。
【0059】
ここで分析されたペロブスカイトは、緻密化レベル88%を有するペロブスカイトである。ペロブスカイトc及びdの水充填レベルは、100%である。緻密化レベル98%を有するペロブスカイトにおいて実施された同様の分析は、75%の水充填レベルを示している。従って、緻密化レベルが高いと(電解質を作製する上で興味深い)、ペロブスカイトへの水の挿入の速度が遅くなることがわかる(しかしながら、緻密化の増加は水の挿入への障害となるわけではない)。
【0060】
要約として、図4は、以下のことを示す。
−ペロブスカイトの伝導が、
・水の挿入及びイオン移動度(H及びOH、高温ではO2−)に起因する。
・結晶構造中に空孔を形成するためにドープされたペロブスカイトに好ましく作用する。
−88%の緻密化レベルのペロブスカイトにおいて100%の水充填レベルを得るため及び98%の緻密化レベルのペロブスカイトにおいて75%の水充填レベルを得るためには、15barと同等またはそれより高い圧力が必要である。
【0061】
図5は、100%に近い緻密化レベルを有するサンプルのATD−ATG分析を示す。この分析は、空孔充填率40%を得るために50barの圧力(36時間)が必要であることを示している。
【0062】
本発明による方法は、所定の温度で所望の伝導度を得るために、前述の結論を有利に使用し、一定の圧力下で水蒸気を膜へと送り込む膜の伝導度の最適化を目的とする。
【0063】
図6は、1atm未満の圧力、連続加湿アルゴンフロー雰囲気下の400℃の炉に配置された緻密化レベル88%のSrZr0.9Yb0.12.95ペロブスカイトのペレットで得られたさまざまなナイキスト線図を示す。それぞれの線図は、アルゴンフローが実施されたそれぞれの時間条件に対応し、乾燥ペレット、すなわち加湿されていないアルゴンフロー時間で得られた線図から加湿アルゴンフロー時間t=16時間で得られた線図である。
【0064】
ナイキスト線図は、材料の研究において頻繁に使用される電気化学的インピーダンス分光法によって得られる。インピーダンス分光法の原理は、通常電圧に低正弦波電圧を重畳し、応答電流の振幅及び位相シフトを分析する応用にある。振幅電圧/電流比は、インピーダンスの絶対値|z|を定義し、電圧と電流との間の位相シフトによって、複素インピーダンスzの実部と虚部へとつながる情報が満たされる。測定の間、かなり広い範囲の振動数がスキャンされる。結果は、Re(Z)に応じたIm(Z)のナイキスト線図に示されている。実験結果は、その妥当性を立証するモデルと相関性を示す。
【0065】
0から0.4MΩの範囲の実部Re(Z)のナイキスト線図の拡大図を図6に示す。
【0066】
それぞれの図は、実質的に円弧形状を有し、第一近似(並列RCフィルタによるペレットのモデル化に相当)において、ペレットの抵抗は、対応する円の直径から求められる。その結果として、加湿アルゴンフロー時間が増加すると抵抗の低下(その結果、伝導度の向上)が見られる。
【0067】
図7は、緻密化レベル88%のSrZr0.9Yb0.12.95ペロブスカイトのペレットで得られたさまざまなナイキスト線図を示す。従って、前記ペレットは、図6において使用されたペレットと同一であるが、オートクレーブにおいて(200℃において水を15barで事前加圧)事前に水で飽和されている。今回もこのペレットは、連続加湿アルゴンフロー雰囲気下の400℃の炉に配置された。それぞれの線図は、アルゴンフローが実施されたそれぞれの時間条件に対応する。フロー時間が増加すると、伝導度の低下が認められた。従って、加湿アルゴンフローであるにもかかわらず、伝導度は低下した。
【0068】
図6及び7を分析すると、ペロブスカイトが“スポンジ”のように作用する傾向がわかる。図6の場合、水がペレットに浸透して時間と共に伝導度が上昇し、図7の場合、水が事前加圧されたペレットから排出されて時間と共に伝導度が低下する。
【0069】
要約として、図6及び7は、以下のことを示す。
−水の挿入によって伝導度が上昇する(乾燥ペレットからアルゴンフローの下で)。
−進行性含水プロセス(及び伝導度の上昇)と進行性脱水状態(及び伝導度の低下)との間で“スポンジ”のように作用するペレットでの水の挿入及び脱離は、可逆性を有する。
−優れた伝導度を得るために、加圧下で水をペレットに挿入させることが必要である。
【0070】
図8は、異なる圧力下(水蒸気圧2、5及び10barに相当)で、SrZr0.9Yb0.12.95ペロブスカイトのペレットで得られたさまざまなナイキスト線図を示す。測定は、400℃で実施する。圧力とともに伝導度が上昇することが認められる。
【0071】
この挙動は、それぞれ2、5及び10barの水蒸気圧下でSrZr0.9Yb0.12.95ペロブスカイトのペレットで得られた温度に応じた3つの伝導度のグラフを表す図9によって確認される。図9は、圧力とともに伝導度が上昇することを明確に示している。約600℃の温度で10barの圧力では、約10−3S/cmの伝導度が得られる。5barで同じ伝導度を得るためには、約650℃の温度を必要とし、2barでは必要な温度は675℃まで上昇する。新たな圧力上昇によって10−2S/cmと同等またはそれより高い伝導度を得ることが可能となる。BaZr0.90.12.95等のその他のペロブスカイトでも同様の挙動が認められた。
【0072】
言い換えると、所定の伝導度を得るために、ペロブスカイトにおける水蒸気圧を上昇させることによってより低温で作用させることが可能となる。この結果から、高温で動作する材料の使用を避けることが可能となるという顕著な利点が示される。
【0073】
温度の上昇によってイオン種の移動度が上昇して伝導度が提供されるが、ペロブスカイトを脱水する効果も有する。ペロブスカイトの脱水は、ペロブスカイトを水蒸気圧下で維持することによって調整される。
【0074】
図10及び11は、それぞれ本発明による方法を使用した水素生成電解装置(20)及び(30)の実施形態を簡略的に示す。
【0075】
図10における電解装置(20)は、図2における装置(10)と実質的に同一である。従って、前記装置(20)は、
−プロトン伝導セラミック膜(21)への水蒸気の挿入が可能であり、分離電解質機能を提供する材料からなる前記プロトン伝導セラミック膜と、
−アノード(22)と、
−カソード(23)と、
−前記アノード(22)と前記カソード(23)との間に電位差を与える発電機(24)と、
を備える。
【0076】
プロトン伝導膜は、一般式AB1−x3−x/2であるドープされたペロブスカイト材料等、水の挿入を促進する材料から成る。アノード及びカソードに使用される材料は、サーメット(金属と電解質に使用されるペロブスカイト材料との混合物)である。好ましくは、膜はO及びHガスに不透過性である。
【0077】
装置(20)はさらに、アノード(22)を介して加圧下で膜(21)へと水を挿入するための手段(25)を備える。好ましくは、水蒸気圧は少なくとも15barを超え、50barと同等かそれより高い。膜の破裂を防ぐために、二つの部分の間の圧力差が約10barとなるように、ある部分において加えられる全圧は、他の部分において補正されなければならないことが重要である。従って、図10において、Hの圧力が増加され得る。
【0078】
装置(20)の動作温度T1は、膜(21)に使用される材料の種類に依存し、いかなる場合であってもこの温度は400℃を超え、一般的に650℃未満、さらには600度未満である。この動作温度はHプロトンによって提供される伝導性に対応する。
【0079】
加圧下のHO水蒸気はアノード(22)で酸化される。水蒸気は解離して酸素(O)及びHイオンを形成する。この反応では電子(e)が放出される。Hイオンは電解質(21)を通過してカソード(23)の表面上で水素(H)を形成する。
【0080】
本発明による方法を使用すると、特にHイオン伝導度を上昇させることが可能となる。
【0081】
図11における電解装置(30)は、図8における装置(20)と同様の構造を有する。前記装置は、
−アノード(32)と、
−カソード(33)と、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質(31)と、
−前記アノード(32)と前記カソード(33)との間に電位差を与える発電機(34)と、
−前記カソード(33)を介して加圧下で前記膜(31)へと水を挿入するための手段(35)と、
を備える。
【0082】
装置(30)の動作温度T2は、図10における装置(20)の動作温度T1より高い。T2は一般的に600℃を超え850℃未満であり、OHイオンによって提供される伝導度に対応する。加圧下で水蒸気を注入することによって、特に伝導度を上昇させることが可能となる。注入は、カソード(33)で手段(35)を介してなされる。カソード(33)では、水は電子を獲得して還元され水素を形成する。OHイオンは電解質(31)を通過してアノードで酸化されO、HO及び電子を形成する。図10における装置(20)と同じ方法で圧力の釣り合いを取ることが必要であり得る。
【0083】
図12及び13は、それぞれ本発明による方法を使用した水素精製装置(40)及び(50)の実施形態を簡略的に示す。
【0084】
図12における精製装置(40)は、
−プロトンろ過膜(41)への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−フィード(42)を介して加圧下で前記膜(41)へと水蒸気を挿入するための手段(45)と、を備える。
【0085】
プロトンろ過膜(41)は金属とペロブスカイトとの混合物を含む材料から成る。
【0086】
フィード(42)側では、水素(H)と不純物(CO、CO、CH炭素系生成物等)との混合物が加圧下で注入され、装置(40)の機能は、透過側に純水素(H)を提供するために不純物からHを分離することである。Hプロトンのみがプロトン膜(41)内において傾斜した濃度で透過出口(43)に向かって拡散する。膜における金属によって、電子が透過出口(43)に向かう透過が可能となり、その後、純水素を回復するために透過出口(43)において電子によるプロトンの還元が認められる。
【0087】
手段(45)は、プロトン伝導度を上昇させる。その一方で、アノード側の水圧はフィード(42)側の電位Eを上昇させる傾向にある。装置が作動するためには、透過側の電位Eが電位Eより常に高くなければならないことが認められている。従って、電位Eが常にEより高くなるように水圧を選択することが推奨される。
【0088】
図13において、精製装置(50)は、
−アノード(52)と、
−プロトンろ過膜(51)への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−カソード(53)と、
−前記カソード(53)を介して加圧下で前記膜(51)へと水を挿入するための手段(55)と、
−前記アノード(52)の正分極及び前記カソード(53)の負分極を行う発電機(54)と、を備える。
【0089】
アノード(52)の側では、水素(H)と非酸化不純物(例えばメタン等)との混合物が加圧下で注入され、装置の機能は、カソード(53)の側に純水素(H)を提供するために不純物からHを分離することである。加圧下で水蒸気を注入することによって、プロトン伝導度を上昇させることができる。この装置は、アノード側のH圧力が高い場合、さらによく動作することが認められている。さらに、この装置(50)は、水素ポンプとしても使用されることが可能であり、言い換えると、システムから水素を取り出すことに使用されることができる(この場合、水素はアノード側で不純物と混合される必要は無い)。
【0090】
図14及び15は、それぞれ本発明による方法を使用した水素燃料電池(60)及び(70)の実施形態を簡略的に示す。
【0091】
図14において、水素燃料電池(60)は、
−アノード(62)と、
−カソード(63)と、
−プロトン伝導膜(61)への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトン伝導膜と、
−前記アノード(62)を介して加圧下で前記電解質(61)へと水蒸気を挿入するための手段(65)と、を備える。
【0092】
電極(62)及び(63)は、触媒を使用して水素の酸化反応の側と、酸素の還元反応の側とを活性化させる。アノード(62)に導入された水素は、プロトンと電子とに解離する。膜(61)へのプロトンの挿入(つまり伝導度)の向上は、アノード(62)を介して電解質(61)へと水蒸気圧を挿入することができる手段(65)によって提供される。カソード(63)では、酸素と、電子と、プロトンとが再結合して水を形成する。
【0093】
アノード側の水圧は、アノード側の電位Eを上昇させる傾向にある。電池(60)が作動するためには、カソード側の電位EがEより常に高くなければならないことが認められている。従って、電位EがEより常に高くなるように水圧を選択することが望ましい。両方の水圧は同一であってよい。
【0094】
電池(60)のT1動作温度は、膜(61)に使用される材料の種類に依存し、いかなる場合においてもこの温度は常に400℃を超え、一般的に650℃未満、さらには600℃未満である。この動作温度は、Hプロトンによって提供される伝導度に対応する。
【0095】
図15において、水素燃料電池(70)は、
−アノード(72)と、
−カソード(73)と、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなるイオン伝導膜としての電解質(71)と、
−前記カソード(73)を介して加圧下で前記電解質(71)へと水を挿入するための手段(75)と、を備える。
【0096】
装置(70)のT2動作温度は、伝導度がOHイオンの移動度によって提供されるように、図12における装置(60)の動作温度T1より高く、伝導度は加圧下で手段(75)によって水蒸気を注入することで上昇する。電極(72)及び(73)は、触媒を使用してカソード側で反応:1/2O+HO+2e→2OH、アノード側で反応:H+2OH→2HO+2eを活性化させる。
【0097】
電池(60)とは異なって、水蒸気圧の上昇が2つの電極間の電位差によって制限されないため、伝導度を上昇させるために制限なく圧力を上昇させることができる。前述の装置の各々において、セラミックの破断を防ぐために水蒸気圧の釣り合いを取ることが必要となり得る。この反対圧力は膜厚に依存する。
【0098】
本発明が上記の実施形態に限定されないことは明らかである。
【0099】
特に、水蒸気圧に何度か言及したが、水蒸気が気体混合物の一部である場合は水蒸気の分圧を表し、所定の温度で水蒸気の分圧が上昇すると伝導度が上昇する。
【0100】
さらに、上記応用では400℃と同等またはそれより高い温度を使用するが、動作温度は使用される膜に依存することに留意されたい。従って、例えばアルミノケイ酸塩の場合、動作温度は400℃未満(例えば約300℃)となり得る。
【0101】
最後に、如何なる手段も同等の手段によって代替されることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1、10 電解槽
2 イオン伝導セラミック膜
3、12、22、32、52、62、72 アノード
4、13、23、33、53、63、73 カソード
11、21、61 プロトン伝導膜
20、30 水素生成電解装置
24、34、54 発電機
31、71 電解質
40、50 水素精製装置
41、51 プロトンろ過膜
60、70 水素燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料から成る前記伝導膜においてH及び/またはOHイオンを置換することによってもたらされる伝導度の最適化方法であって、前記方法が、所定の温度で所望の伝導度が得られるように一定の分圧下で前記水蒸気を前記膜に送り込むために、水蒸気を含有するガスフローを加圧下で前記膜に挿入する段階を含み、前記分圧が1barと同等かそれより高く、所望の伝導度を得るために動作温度の降下が前記分圧における上昇によって補われることを特徴とする方法。
【請求項2】
水蒸気の前記分圧が、10barと同等かそれより高く、100barと同等かそれより低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水蒸気の前記分圧が、15barと同等かそれより高いことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度が400℃より高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン伝導度が10−3S/mと同等かそれより高いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記材料がO及びHガスに不透過性であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記材料が、88%より高い緻密化レベルを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記材料が、98%と同等またはそれより高い緻密化レベルを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水の挿入が可能な前記材料が、酸素欠損酸化物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸素欠損酸化物が、化学量論的間隔を示し、且つ/または酸素空孔の形成が可能となるようにドープされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素欠損酸化物が、ペロブスカイトであることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記ペロブスカイトが、式AB1−x3−x/2、ここでDはドープ元素である、を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープ元素Dが、ランタニド元素、アルカリ元素、またはアルカリ土類元素から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ドープ元素Dが、好ましくは三価の酸化状態のイッテルビウムYbであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ペロブスカイトが、式A、ここでx及びyは1以外の2つの整数である、を有する非化学量論ペロブスカイトであることを特徴する請求項11に記載の方法。
【請求項16】
Aが一価から三価までを含む酸化状態の金属原子を表し、Bが三価から五価までを含む酸化状態の金属原子を表すことを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
AがCa2+、Ba2+、またはSr2+等の二価の酸化状態の金属原子を表し、BがZr4+、Ce4+、またはTi4+等の四価の酸化状態の金属原子を表すことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ペロブスカイトが、式SrZr0.9Yb0.12.95またはBaZr0.90.12.95を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水の挿入が可能な材料として使用される前記材料が、蛍石、パイクロアまたはアパタイトの構造から選択される結晶構造を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素生成電解装置(20)であって、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質(21)と、
−アノード(22)と、
−カソード(23)と、
−前記アノード(22)と前記カソード(23)との間に電位差を与える発電機(24)と、
−前記アノード(22)を介して加圧下で前記電解質(21)へと水蒸気を挿入するための手段(25)と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素生成電解装置(30)であって、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜として電解質(31)と、
−アノード(32)と、
−カソード(33)と、
−前記アノード(32)と前記カソード(33)との間に電位差を与える発電機(34)と、
−前記カソード(33)を介して加圧下で前記電解質(31)へと水蒸気を挿入するための手段(35)と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素精製またはポンプ装置(40)であって、
−プロトンろ過膜(41)への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−フィード(42)を介して加圧下で前記電解質(41)へと水蒸気を挿入するための手段(45)と、を備え、
透過出口(43)の電位(E)がフィード(42)側の電位(E)より高くなるように前記水蒸気圧が選択されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素精製またはポンプ装置(50)であって、
−プロトンろ過膜(51)への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記プロトンろ過膜と、
−アノード(52)と、
−カソード(53)と、
−前記アノード(52)の正分極及び前記カソード(53)の負分極を可能にする発電機(54)と、
−前記カソード(53)を介して加圧下で前記膜(51)へと水蒸気を挿入するための手段(55)と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素燃料電池(60)であって、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質(61)と、
−アノード(62)と、
−カソード(63)と、
−前記アノード(62)を介して加圧下で前記電解質(61)へと水蒸気を挿入するための手段(65)と、を備え、
前記カソード(63)の電位(E)がアノード(62)側の電位(E)より高くなるように前記水蒸気圧が選択されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実施するための水素燃料電池(70)であって、
−イオン伝導膜への水蒸気の挿入が可能な材料からなる前記イオン伝導膜としての電解質(71)と、
−アノード(72)と、
−カソード(73)と、
−前記カソード(73)を介して加圧下で前記電解質(71)へと水蒸気を挿入するための手段(75)と、を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−529291(P2010−529291A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509877(P2010−509877)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050953
【国際公開番号】WO2008/152317
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509337414)アレバ・エヌペ (18)
【出願人】(509331652)ソシエテ・デ・セラミック・テクニック (1)
【出願人】(596096205)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】