説明

伝搬特性計算方法及び装置並びに伝搬特性計算方法のプログラム

【課題】 反射面におけるエネルギー反射を考慮し、より現実に近い場の伝搬特性を計算することができる伝搬計算方法、装置等を得る。
【解決手段】 場において海水等の媒質を伝搬する音波等の弾性波の伝搬特性を、弾性振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーが海底面等の反射面において反射したエネルギーによる鏡像音線音場等の反射伝搬特性を音場計算器3−b、補間器4−bによって計算し、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、反射伝搬特性とを加算器7が加算するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒質による弾性波の伝搬特性を計算する方法等に関するものである。特に海水を媒質として音波が伝搬する場合に、海底において波(エネルギー)の反射を考慮したものである。
【背景技術】
【0002】
水中、特に海水中の音波の伝搬は、海水中での音波の屈折や、海面、海底での反射によって複雑な特性を示す。これらの現象を模擬し、水中の音波伝搬特性を計算する代表的なモデルとして、音線モデル、ノーマルモデル、放物線型方程式モデル等がある。ここで、例えば、音線モデルの一種であるガウシアンビームモデルを用いたガウシアンビームトレーシング法は、(古典)音線モデルに固有の現象である影領域で音圧0、焦線領域で音圧が無限大となる問題を補った方法である(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】M. B. Porter and H. P. Bucker, “Gaussian beam tracing for computing acoustic fields,” J. Acoust. Soc. Am. 82, 1349-1359(1987).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の方法は、音線を中心としたガウス分布状のエネルギーの拡がりを仮定して計算を行う。ここで、例えば、海底付近を通過する音線における伝搬特性の計算を行う場合、計算上、一部のエネルギー成分が海底境界(海底面)を越えた位置に分布されることがあるが、従来は海底境界の存在を無視して計算が行われていた。本来、海底境界を越える部分のエネルギー成分は、海底面において反射され、水中に折り返されて再度伝搬する。したがって、エネルギーの反射を無視した計算を行うことは、音場の伝搬特性計算における精度の劣化を招くことになる。
【0004】
そこで、海底面等、反射面におけるエネルギー反射を考慮し、より現実に近い伝搬特性を計算することができる伝搬計算方法、装置等の実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る伝搬特性計算方法は、場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーが反射面において反射したエネルギーによる反射伝搬特性を計算する工程と、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、反射伝搬特性とを加算する工程とを有するものである。
【0006】
また、本発明に係る伝搬特性計算装置は、弾性波による振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線を設定し、該音線上の点における、振動発生源からの伝搬経路長と伝搬時間とを計算してデータを生成する音線計算手段と、音線上の点の座標並びに振動発生源からの伝搬経路長及び伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性を計算してデータを生成する音線伝搬特性計算手段と、エネルギーを反射する反射面を表す直線を挟んで線対称となる鏡像音線を設定し、該鏡像音線上の点における伝搬経路長と伝搬時間とを計算し、データを生成する鏡像音線計算手段と、鏡像音線上の点の座標並びに伝搬経路長及び伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における反射伝搬特性を計算してデータを生成する反射伝搬特性計算手段と、音線伝搬特性計算手段が生成したデータと反射伝搬特性計算手段とが生成したデータに基づいて、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、反射伝搬特性とを加算した伝搬特性のデータを生成する加算手段とを少なくとも備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る伝搬特性計算方法のプログラムは、場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法のプログラムにおいて、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーが反射面において反射したエネルギーによる反射伝搬特性を計算処理する工程と、場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算処理する工程とをコンピュータに行わせるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、場において媒質を伝搬する弾性波の2次元における伝搬特性を音線理論で計算を行う際、反射面において反射したエネルギーに基づく反射伝搬特性を、音線を中心として広がったエネルギーの伝搬特性に加算して、最終的な伝搬特性を算出するようにしたので、場における反射面での反射の影響も十分考慮した上で、伝搬特性を計算することができる。例えば、海中での音波の伝搬特性を計算する場合に、海底境界の存在が無視されることなく、海底面におけるエネルギーの反射が考慮されるので、より高精度な音場の伝搬特性計算を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る音場伝搬特性計算方法を実現する伝搬特性計算装置のブロック図である。図1において、1は入力端子、2は音線計算器、3−a及び3−bは音場計算器、4−a及び4−bは補間器、6は海底鏡像音線算出器、7は加算器、5は出力端子である。ここで本実施の形態以後の実施の形態における伝搬特性計算装置では、海水を媒質として伝搬する音波の伝搬特性を計算してデータを生成するものとする。
【0010】
入力端子1は、環境条件や計算条件等、音場の伝搬特性(以後、これを音場ということにする)を計算するために必要となるパラメータ(データ)を含む信号を装置内に入力する(以下、パラメータ等、各種データを含む信号を入力、出力することをデータを入力、出力するという)ための端子である。音線計算器2は、入力端子1を介して入力されたパラメータに基づいて計算を行い、音線経路s、伝搬時間τ、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータを生成する。また、海底鏡像音線計算器6は海底鏡像に基づく音線経路s’、伝搬時間τ’、ビーム幅δα’、海底鏡像音線放射角α’及び海底鏡像音線に基づく俯角θs'i(以下、海底鏡像音線俯角θs'iという)のデータを生成する。
【0011】
音場計算器3−a及び3−bは、音線経路s、伝搬時間τ等に基づいて、ある受波深度Z上の点における音場を計算し、データを生成する。また、補間器4−a及び4−bは、音場計算器3−a、3−bによる点での音場に基づいて補間計算を行い、(音場計算器3−a及び3−bが計算していない)受波深度Z上の任意の点における音場のデータをそれぞれ生成する。ここで、音場計算器3−aは音源(振動発生源)から発せられた音波によって、音線を中心に、例えばガウス分布状に広がったエネルギーによって直接形成される音場(以下、実音場という)を計算してu(S,N)のデータを生成し、補間器4−aは補間計算によりu(R,Z)のデータを生成する、実音線の音場計算手段となる。また、音場計算器3−bは音線の海底鏡像に基づく、反射による音場 (以下、海底鏡像音場という)を計算してu'(S',N') のデータを生成し、補間器4−bは補間計算によりu'(R,Z) のデータを生成する、反射による音場計算手段となる。加算器7は、補間器4−a及び4−bからそれぞれ出力された音場のデータに基づいて加算を行い、計算結果(最終的な音場)のデータを生成する。出力端子5は加算器7が加算した計算結果のデータを出力する。
【0012】
ここで、伝搬特性計算装置の詳細な処理動作について説明を行う前に、ガウシアンビームトレーシング法の原理について説明する。音源から角周波数ω(=2πf、fは周波数)、音線放射角度(俯仰角)αで放射された音波は、音線に沿った座標変数sと音線座標に直交する座標変数nにおいて、次式(1)で表される音場uを生成する。
【0013】
【数1】

【0014】
(1)式において、Σは音線毎の加算を表す。また、c0 は基準音速、c(s)は座標(s,0)における音速、τは伝搬時間を表す。さらに、δαはビーム幅であり、α1 からα2 の間にN本の音線を発生させるとき次式(2)で表される。
δα=(α2−α1)/(N−1) …(2)
【0015】
また、p(s)、q(s)については次式(3)で表される関係で結ばれる。(3)式において、cnnは音速c(s,n)のnに関する2階微分を表す。
【0016】
【数2】

【0017】
ここで、s=0においてp(0)、q(0)は次式(4)で表される。(4)式におけるεは次式(5)で表される。
P(0)=1,q(0)=jε …(4)
ε=2c02/ω(δα)2 …(5)
【0018】
音速c0 の一様な媒質中では、式(4)を初期条件として式(3)を解くことにより、次式(6)が得られる。ここでは考えを簡単にするため、以下、一様な媒質を例として説明する。
P(s)=1,q(s)=c0s+jε …(6)
【0019】
(1)式において、加算項はn=0、すなわち、音線の軸を中心にガウス分布関数で重み付けされた複素関数となっている。一様な媒質では(6)式を(1)式に代入することによって分散σ2 が計算できる。この分散σ2 は次式(7)で表される。
【0020】
【数3】

【0021】
図2は設定した音線と海底面を表す線分との関係を表す図である。図2にはガウシアンビームモデルにおける強度分布(エネルギー分布)も表している。(7)式の右辺第1項は、音線経路sの2乗に比例して音が発散していく成分であり、1本の音線が影響を及ぼす空間が伝搬距離とともに広がっていくことを意味する。これは点音源から音が発散していく現象を表しているものと解釈できる。一方、第2項は、周波数と音線の放射間隔に依存する成分であり、音線の放射間隔の開口をもつ2次音源から放射される音波の指向性を計算している項と解釈できる。この項は音線経路sに依存しないために音源近傍では支配的となるが、遠方へ行くにつれて第1項が支配的になる。このような拡がった音波のエネルギー成分の一部が海底面で反射されることになる。以下の実施の形態では、反射を考慮した精度の高い音場を計算しようとするものである。
【0022】
次に第1の実施の形態における伝搬特性計算装置の各手段(機器)の計算処理等の動作について説明する。最初に、入力端子1を介して、外部の装置等から、少なくとも周波数f、音源深度Zs、受波深度Z、海中の音速分布、海底地形データ(rd1 ,zd1 )、(rd2 ,zd2 )、音源からの音線放射角度最小値α1 及び最大値α2 及び音線本数Nのパラメータが入力される。ここで、受波深度Zは水平距離Rに平行で深度Zの位置にある受波線(受波点の集まり)となる直線を表す。また、海底地形データの2点を結ぶことにより、海底地形は1本の直線として表される。
【0023】
音線計算器2は、入力端子1からパラメータが入力されると、パラメータに基づいて、複数の音線の音線経路sを計算し、音線経路s上の各点(ri ,zi )(i=1,2,…,n)における伝搬時間τi (i=1,2,…,n)、経路長Si (i=1,2,…,n)、音線俯角θsi (i=1,2,…,n)、ビーム幅δα及び音線放射角度αを計算し、各データを生成する。ここで音線放射角度αについては、音線放射角度最小値α1 及び最大値α2 間をビーム幅δα間隔で刻むことで求めることができる。そして、音線経路s上の各点(ri ,zi )、計算した伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータ並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 )、(rd2 ,zd2 )を音場計算器3−a及び海底鏡像音線計算器6に出力する。
【0024】
図3は音場計算器3−aで行われる計算処理の概念を表した図である。音場計算器3−aには、音線経路s上の各点(ri ,zi )、伝搬時間τi 、経路長Si 及び音線俯角θsi のデータ並びに受波深度Z、海底地形データ(rd1 ,zd1 )、(rd2 ,zd2 )、ビーム幅δα及び音線放射角度αが音線計算器2から入力される。音場計算器3−aは、それらのデータに基づいて、音線経路s上の各点(ri ,zi )について、音線に沿って設定した座標系(音源を原点とし、音線経路s上の各点(ri ,zi )における音線進行方向をsi 軸、si 軸に対して垂直な方向をni 軸としたsi −ni 平面の直交座標系)を設定する。そして、ni 軸が受波深度Zを表す直線と交わる受波深度Z上の受波点(Si ,Ni )の座標を計算する。さらに、上述した(1)式に基づいて、受波点(Si ,Ni )における実音場u(Si ,Ni )を計算し、生成した実音場u(Si ,Ni )及び受波深度Zのデータを補間器4に出力する。
【0025】
図4は補間器4−aにおいて行われる補間方法の一例を表す図である。音場計算器3からデータが入力されると、補間器4−aは、受波深度Z上の任意の水平距離Rにおける音場u(R,Z)を補間計算し、生成した実音場u(R,Z)のデータを出力する。本実施の形態では、実音場u(Sj ,Nj )と実音場u(Sj+1 ,Nj+1 )によって挟まれる任意の水平距離Rにおける実音場u(R,Z)を、線形補間により計算するものとする。
【0026】
図5は海底鏡像音線の一例を表す図である。一方、音線計算器2から音線経路s上の各点(ri ,zi )、伝搬時間τi 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータ並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 )が海底鏡像音線計算器6にも入力される。海底鏡像音線計算器6は、音線経路s上の各点(ri ,zi )について、次式(8)に基づいて海底面を表す直線を挟んで線対称となる点(r'i,z'i)を計算し、海底鏡像音線(上に位置する点)のデータを生成する。ここで、Di は音線経路上の座標(ri ,zi )の位置における水深を表す。
r'i=ri +(Di −zi )sin2θ
z'i=Di +(Di −zi )cos2θ …(8)
θ=arctan{(zd1 −zd2 )/(rd1 −rd2 )}
(i=1,2,…,n)
【0027】
そして、海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)における伝搬時間τ'i、経路長S'i、ビーム幅δα’、音線放射角度α’及び海底鏡像音線俯角θs'iを次式(9)に基づいて計算し、データを生成する。海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)、伝搬時間τ'i、経路長S'i、ビーム幅δα’、音線放射角度α’及び海底鏡像音線俯角θs'iのデータ並びに受波深度Zのデータを音場計算器3−bに出力する。
τ’i =τi
S’i =Si
δα’=δα
α’=−α
θs'i=−θsi …(9)
(i=1,2,…,n)
【0028】
図6は音場計算器3−bにおける計算処理の概念を表す図である。音場計算器3−bは、海底鏡像音線計算器6から海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)、伝搬時間τ'i、経路長S'i、ビーム幅δα’、音線放射角度α’及び海底鏡像音線俯角θs'iのデータ並びに受波深度Zのデータが入力されると、音場計算器3−aと同様に、海底鏡像音線経路上の各点(r'i,z'i)について、海底鏡像音線に沿った座標系における受波点の座標(S'i,N'i)(i=1,2,…,n)を計算する。そして、受波点(S'i,N'i)における海底鏡像音場u'(S'i,N'i) を、(1)式に基づいて計算し、生成した海底鏡像音場u'(S'i,N'i) 及び受波深度Zのデータを補間器4−bに出力する。
【0029】
補間器4−bは、音場計算器3−bから海底鏡像音場u'(S'i,N'i) 及び受波深度Zのデータが入力されると、補間器4−aと同様に、補間器4−aにおいて実音場を計算した座標(R,Z)と同じ座標の海底鏡像音場u'(R,Z) を計算し、データを生成する。そして、海底鏡像音場u'(R,Z) のデータを加算器7に出力する。
【0030】
加算器7は、次式(10)に基づいて実音場u(R,Z)と海底鏡像音場u'(R,Z) とを加算し、その計算結果である音場の伝搬特性U(R,Z)のデータを生成して出力端子5を介して出力する。出力端子5から出力されたU(R,Z)のデータは、例えば、表示装置(図示せず)による表示、記憶装置(図示せず)による記憶等が行われる。そして、受波深度Zを変更すると、受波線が深度方向にスキャンすることになるため、測定対象の海域における音場が得られる。
U(R,Z)=u(R,Z)+u'(R,Z) …(10)
【0031】
以上のように実施の形態1によれば、海底鏡像音線算出器6、音場計算器3−b、補間器4−b及び加算器7を備え、音源からの音線に対して、海底面を表す直線に対して線対称となる海底鏡像音線を計算し、その海底鏡像音線に対して伝搬特性を計算し、音源からの音線に基づく伝搬特性と加算して音場における伝搬特性を計算するようにしたので、本来、海底面での反射によって海中に折り返される、音波の広がり成分の影響を十分考慮した音場の伝搬特性を計算することができる。そのため、海底境界の存在が無視され、海底面におけるエネルギーの反射が考慮されない従来技術と比較して、より高精度な音場の伝搬特性計算を行い、データを生成することができる装置を得ることができる。さらに補間器4−a、4−bによる補間を行うことで受波点間を補間計算することで、音場計算器では計算されなかった点の音場計算を行い、データを生成することができる。
【0032】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2に係る伝搬特性計算装置を表す図である。図7において、図1と同じ符号を付している機器は、実施の形態1で説明したことと同様の動作を行うので説明を省略する。実施の形態2における伝搬特性計算装置は、海底鏡像音線計算器6の代わりに、海底鏡像受波線算出器8を備えた構成としている。海底鏡像受波線算出器8は、海底地形を表す直線を挟んで受波深度Zを表す直線と線対称となる直線(以下、海底鏡像受波線という)を海底面下に設定する計算を行う。
【0033】
次に本実施の形態における伝搬特性計算装置の動作について説明する。ここでは実施の形態1の装置と異なる部分について説明する。音線計算器2は、音線経路s上の各点(ri ,zi )及び計算した伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi 並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 )、(rd2 ,zd2 )を、海底鏡像受波線算出器8に出力する。音場計算器3−a、補間器4−aの処理動作については、実施の形態1と同様の処理動作を行う。
【0034】
図8は海底鏡像受波線算出器8の処理により計算される海底鏡像受波線を表す図である。海底鏡像受波線算出器8は、受波深度Zを表す直線に対する海底鏡像受波線を次式(11)に基づいて計算する。そして、海底鏡像受波線、音線経路上の各点(ri ,zi )、伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータを音場計算器3−bに出力する。D0 は海底地形データから求めた音源位置における水深を表す。
z=A・r+B …(11)
A=tan(2θ)
B=Z−(Z−D0 )・tan(2θ)/tanθ
θ=arctan{(zd1 −zd2 )/(rd1 −rd2 )}
【0035】
図9は音場計算器3−bにおける計算処理の概念を表す図である。音場計算器3−bは、海底鏡像受波線算出器8から海底鏡像受波線、音線経路上の各点(ri ,zi )、伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータが入力されると、音場計算器3−aの処理と同様に、音線経路s上の各点(ri ,zi )について、音線に沿って設定した座標系を設定する。そして、ni 軸が海底鏡像受波線と交わる海底鏡像受波点(S''i ,N''i )(i=1,2,…,n)の座標を計算する。さらに、海底鏡像受波点(S''i ,N''i )における海底鏡像音場u''(S''i ,N''i )を、(1)式に基づいて計算し、海底鏡像音場u''(S''i ,N''i )及び海底鏡像受波線のデータを補間器4−bに出力する。
【0036】
補間器4−bは、音場計算器3−bから各海底鏡像音場u''(S''i ,N''i )及び海底鏡像受波線のデータが入力されると、補間器4−aと同様の動作を行い、補間器4−aにおいて音場を計算した座標(R,Z)の海底地形を表す直線を挟んで線対称な点(R'',Z'')における海底鏡像音場u''(R'',Z'')を補間計算し、海底鏡像音場u''(R'',Z'')のデータを加算器7に出力する。
【0037】
加算器7は、次式(12)に基づき実音場u(R,Z)と海底鏡像音場u''(R'',Z'') とを加算し、その計算結果であるU(R,Z)のデータを生成して出力端子5を介して出力する。
U(R,Z)=u(R,Z)+u''(R'',Z'') …(12)
【0038】
以上のように実施の形態2によれば、海底鏡像受波線算出器8を備え、海底鏡像受波線算出器8が、受波深度Zを表す直線(受波線)について、海底地形を表す直線を挟んで線対称となる海底鏡像受波線を求め、音場計算器3−bが、音線に沿って設定した座標系に基づいて海底鏡像受波線上における海底鏡像受波点(S''i ,N''i )を計算し、さらに海底鏡像音場u''として計算するようにし、音場の伝搬特性U(R,Z)を計算し、データを生成することができるので、実施の形態1のように、海底鏡像音線上の点(r'i,z'i)を求め、さらに海底鏡像音場u(S'i,N'i)を計算する方法に比べて、全体の計算処理量がより少なく、音場の伝搬特性を計算するまでの処理速度が速い伝搬特性計算装置を得ることができる。
【0039】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3に係る伝搬特性計算装置を表す図である。図10において、図1と同じ符号を付している手段は、実施の形態1で説明したことと同様の動作を行うので説明を省略する。実施の形態3における伝搬特性計算装置は、音線計算器2と海底鏡像音線計算器6との間に海底地形近似器9を設けたものである。海底地形近似器9は、海底地形が3以上の海底地形データにより、複数の連続する線分により表される(つまり、凹凸を有している)場合に、その海底地形を直線近似する計算を行う。
【0040】
次に本実施の形態における伝搬特性計算装置の動作について説明する。ここでは実施の形態1の装置と異なる部分について説明する。実施の形態3では、実施の形態1の2つの海底地形データに代わって、凹凸として表される3以上の海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )(m>2(≧3))が入力端子1から入力される。音線計算器2は、音線経路s上の各点の座標(ri ,zi )、伝搬時間τi 、経路長S'i、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi のデータ並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )を、海底地形近似器9に出力する。
【0041】
図11は海底地形近似器9の処理による、近似した海底地形の概念を表す図である。海底地形近似器9には、音線計算器2から音線経路s上の各点の座標(ri ,zi )及び伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi 及び受波深度Z及び複数の連続する線分として表される海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )が入力される。海底地形近似器9は、海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )(m>2)を最小自乗法に基づいて直線近似し、海底地形データ(rd1 ,zd'1),(rdm ,zd'm)を生成する。最小自乗法については、一般的に用いられている方法を適用することができるので、ここでは説明を省略する。以上のようにして得られた(rd1 ,zd'1)と(rdm ,zd'm)とを通る直線が海底地形を表す直線となる。
【0042】
そして、生成した海底地形データ(rd1 ,zd'1),(rdm ,zd'm)並びに音線経路上の各点の座標(ri ,zi )、伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα、音線放射角度α及び音線俯角θsi 及び受波深度Zのデータを鏡像音線計算器6に出力する。以後の各手段(機器)の処理動作については、実施の形態1、2で説明したことと同様の処理を行うので説明を省略する。
【0043】
以上のように実施の形態3によれば、複数の連続する線分で海底地形が表されている場合に、海底地形近似器9が、複数の海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )に基づいて、最小自乗法により、海底地形データ(rd1 ,zd'1),(rdm ,zd'm)で表される近似した1つの直線(線分)で海底地形を表すようにしたので、より現実の音場の海底地形に近い海底地形データを用いて音場の伝搬特性を計算する装置を得ることができる。
【0044】
実施の形態4.
図12は本発明の実施の形態4に係る伝搬特性計算装置を表す図である。図12において、図1と同じ符号を付している手段は、実施の形態1で説明したことと同様の動作を行うので説明を省略する。実施の形態4における伝搬特性計算装置は、音場計算器3−bと補間器4−bとの間に、海底反射損失積算器11を設けて構成したものである。図12の海底反射損失の入力端子10からは海底反射損失のパラメータが入力される。
【0045】
上述した実施の形態では、海底での反射においてエネルギーの損失(以下、海底反射損失という)は生じないものとし、無視していた。しかしながら、一般に、海底質によっては海底反射損失が無視できないことがある。そこで、本実施の形態は、海底反射損失積算器11を備え、海底反射損失を考慮した海底鏡像音場u2'(S'i,Z'i)を計算し、データを生成しようとするものである。
【0046】
次に本実施の形態における伝搬特性計算装置の動作について説明する。ここでは実施の形態1の装置と異なる部分について説明する。音線計算器2、海底鏡像音線算出器6、音場計算器3−a、3−bの処理動作については、実施の形態1と同様の処理動作を行う。
【0047】
海底損失積算器11には、音場計算器3−bから海底鏡像音場u'(S'i,Z'i) 及び受波深度Zのデータが入力される。さらに、入力端子10を介し、例えば外部の機器から、対象となる海域(音場)の海底反射損失BL[dB]のデータが入力される。海底損失積算器11は、次式(13)に基づいて、海底鏡像音場u2'(S'i,Z'i) を計算し、データを生成する。そして、海底鏡像音場u2'(S'i,Z'i) 及び受波深度Zのデータを補間器4−bに出力する。以後の各手段については、実施の形態1で説明した処理と同様の処理を行うので説明を省略する。
【0048】
【数4】

【0049】
以上のように実施の形態4によれば、海底損失積算器11を備え、音場計算器3−bが計算した海底鏡像音場u'(S'i,Z'i) に海底反射損失BLに基づいた(13)式に示す劣化量を表す係数を乗して算出し、生成した海底鏡像音場u2'(S'i,Z'i) のデータと実音場のデータとを加算し、音場の伝搬特性のデータを生成するようにしたので、より精度よく、現実に近い音場の伝搬特性を計算することができる装置を得ることができる。
【0050】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5に係る伝搬特性計算装置を表す図である。図13において、図1と同じ符号を付している手段は、実施の形態1で説明したことと同様の動作を行うので説明を省略する。本実施の形態における伝搬特性計算装置は、音場計算器3−bの代わりに第2音場計算器13を備えたものである。そして、音線計算器2と第2音場計算器13との間に第2海底鏡像音線計算器12を備えたものである。さらには、海底反射損失計算器15を新たに備え、第2音場計算器13と補間器4−bとの間に第2海底反射損失積算器14を備えたものである。
【0051】
第2海底鏡像音線計算器12は、実施の形態1で説明した海底鏡像音線計算器6が出力するデータに加え、海底地形データ(rd1 ,zd1 )、(rd2 ,zd2 )を出力する点で海底鏡像音線計算器6と異なる。第2音場計算器13は、音場計算器3−bが行う計算に加え、音線に沿った座標系において設定した各ni 軸が海底地形を表す線分に対して入射する角度θrefi (つまり、伝搬したエネルギーが海底に入射する角度。以下、海底入射角θrefi という)(i=1,2,…n)を計算する。また、2つの出力系統を有し、第2海底反射損失積算器14と海底反射損失計算器15とにデータを出力することができる。特に海底反射損失計算器15には海底入射角θrefi のデータを出力する。また、第2海底反射損失算出器14は、音場計算器3−bによって計算した音場と固定の海底反射損失を掛け合わせる海底反射損失積算器11とは異なり、第2音場計算器13によって計算した海底鏡像音場と該音場に対応して海底反射損失計算器15が計算した海底反射損失とを乗算して新たな海底鏡像音場のデータを生成する。
【0052】
次に実施の形態5の伝搬特性計算装置の動作について、上述の実施の形態1及び4と異なる動作を行う部分について説明する。第2海底鏡像音線計算器12は、実施の形態1における海底鏡像音線計算器6と同様の処理を行って海底鏡像音線を生成する。そして、該海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)、伝搬時間τ'i、経路長Si 、ビーム幅δα’、音線放射角度α’及び海底鏡像音線俯角θs'iのデータ並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 )を第2音場計算器13に出力する。
【0053】
図14は第2音場計算器13における計算処理の概念を表す図である。第2音場計算器13には、第2海底鏡像音線計算器12から、海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)、伝搬時間τ'i、経路長Si 、ビーム幅δα’、音線放射角度α’及び海底鏡像音線俯角θs'iのデータ並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 )が入力される。第2音場計算器13は、実施の形態1の音場計算器3−bと同様の処理動作を行い、海底鏡像音線経路上の各点について、海底鏡像音線に沿った座標系における受波点(S'i,N'i)を計算する。そして、受波点(S'i,N'i)における海底鏡像音場u'(S'i,N'i) を、(1)式により計算し、該音場u'(S'i,N'i) 及び受波深度Zのデータを第2海底反射損失積算器14に出力する。さらに、海底鏡像音線上の各点(r'i,z'i)について、図14に示すように、海底鏡像音線に沿った座標系におけるn'1軸、n'2軸、…、n'n軸が海底地形を表す線分と交わる角度である、海底入射角θrefi を計算し、そのデータを海底反射損失計算器15に出力する。
【0054】
図15は海底反射損失と海底入射角との関係の一例をグラフとして表した図である。海底反射損失計算器15には、第2海底鏡像音場算出器13から海底入射角θrefi が入力される。一方、入力端子10を介して、図15に示すような海底反射損失の入射角度特性等のデータ(以降、海底反射損失データという)が入力される。海底反射損失計算器15は、入力されたそれぞれの海底入射角θref1 、θref2 、…、θrefn に対応する海底反射損失BL1 ,BL2 ,…,BLn を海底反射損失データから補間計算し、データを生成する。そして、海底反射損失BLi (i=1,2,…,n)のデータを第2海底反射損失積算器14に出力する。
【0055】
また、第2海底反射損失積算器14には、第2海底鏡像音場計算器13から音場u'(S'i,N'i) 及び受波深度Zのデータが入力される。さらに海底反射損失計算器15から海底反射損失BLi が入力される。第2海底反射損失積算器14は、次式(14)に基づいて、海底鏡像音場u3'(S'i,Z'i) を計算してデータを生成し、海底鏡像音場u3'(S'i,Z'i) 及び受波深度Zを補間器4−bに出力する。以後の各手段については、実施の形態1で説明した処理と同様の処理を行うので説明を省略する。
【0056】
【数5】

【0057】
以上のように実施の形態5によれば、第2海底反射損失積算器14及び海底反射損失計算器15を備え、あらかじめ定められた海底反射損失BLと海底入射角θrefとの関係に基づいて、海底反射損失計算器15が、各受波点(S'i,N'i)に基づく海底反射損失BL1 ,BL2 ,…,BLn のデータを生成し、第2海底反射損失積算器14が、海底鏡像音場u'(S'i,Z'i) に海底反射損失BLi に基づいた(14)式に示す劣化量を表す係数を乗して計算し、生成した海底鏡像音場u3'(S'i,Z'i) のデータと実音場のデータとを加算し、音場の伝搬特性のデータを生成するようにしたので、より精度よく、現実に近い音場の伝搬特性を計算することができる装置を得ることができる。実施の形態4では海底反射損失は固定値であったが、本実施の形態では海底反射角に応じた海底反射損失に基づく係数を乗ずるようにしたので、より精度よく、現実に近い音場の伝搬特性を計算することができる装置を得ることができる。ここでは海底鏡像音線に基づいて海底入射角θrefi を計算したが、音線に基づいて海底入射角θrefi を定めるようにしてもよい。
【0058】
実施の形態6.
図16は本発明の実施の形態6に係る伝搬特性計算装置を表す図である。図16において、図1と同じ符号を付している手段は、上述の実施の形態1〜5で説明したことと同様の動作を行うので説明を省略する。実施の形態6における伝搬特性計算装置は、海底折り返し音場計算器16を備えている。海底折り返し音場計算器16には、図1、図13における第2音場計算器13及び補間器4−bが内蔵されている。
【0059】
図17は海底折り返し音場計算器16の構成を表す図である。図17に示すように、海底折り返し音場計算器16は、入力端子17及び20音線進行方向右側処理器18、音線進行方向左側処理器19、出力端子21並びに加算器7−bを備えている。入力端子17には、音線計算器2からのデータが入力される。また、入力端子20には、入力端子10と同じように海底反射損失データが入力される。出力端子21からは海底鏡像音場u'(R,Z) のデータが出力される。
【0060】
図18は音線進行方向右側処理器18、音線進行方向左側処理器19の構成を表す図である。音線進行方向右側処理器18、音線進行方向左側処理器19は、上述した海底鏡像音線計算器6(第2海底鏡像音線計算器12)の代わりに、それぞれn軸海底パラメータ計算器23とn軸海底折り返し点計算器24とを備えている。また、入力端子22及び25並びに出力端子26を備えている。入力端子22には、入力端子17と同様に音線計算器2からのデータが入力される。また、入力端子25には、入力端子10、20と同じように海底反射損失データが入力される。また、音線進行方向右側処理器18の出力端子26からは音場Uright(R,Z) のデータが出力され、音線進行方向左側処理器19の出力端子26からは音場Uleft(R,Z)のデータが出力される。
【0061】
n軸海底パラメータ計算器23は、音線上の座標(ri ,zi )及び音線俯角θsi からni 軸を設定する。そして、さらに、海底面を表す線分との交点(反射点)の座標(Bri ,Bzi )及びni 軸の海底入射角θrefi を計算し、パラメータとする。ここで、音線の進行方向をsi 軸としたときに、音線進行方向右側処理器18のn軸海底パラメータ計算器23では、右手座標系の方向にni 軸を設定する。一方、音線進行方向左側処理器19のn軸海底パラメータ計算器23では、左手座標系の方向にni 軸を設定する。そして、座標(Bri ,Bzi )及び海底入射角θrefi を計算できない(海底面との交点がない)と判断したni 軸については計算を行わない。n軸海底折り返し点計算器24は、座標(Bri ,Bzi )で折り返されたni 軸を設定する。そして、設定した海底折り返し後のni 軸と受波深度を表す直線との交点(rzi,Z)を計算する。また、実施の形態1の加算器7を、加算器7−aと7−bに分けて構成している。
【0062】
図19は音線と海底地形との関係を表す図である。上述の実施の形態では、ni 軸と海底地形を表す線分(直線)との反射点(交点)が1つとして説明した。ここで、音線及び海底地形が例えば図19に示すような関係にある場合を考える。音線上のある点Si において音線に沿った座標系を設定した場合、ni 軸の正負側双方(音線進行方向右側及び左側)にそれぞれ別の反射点(反射点1、反射点2)を持つ。その結果、反射点1において反射した(折り返された)音波のエネルギーと反射点2において反射した音波のエネルギーは、受波深度Z(受波線)上の別の位置に伝搬する可能性が高くなる。そこで、実施の形態6は、音線進行方向右側(ここではni 軸の正方向とする)と左側(ここではni 軸の負方向とする)による伝搬特性を別々に計算し、加算する構成を提案するものである。
【0063】
次に本発明の第6実施例を適用した伝搬特性計算装置の動作について、図16、図17及び図18の図に沿って、実施の形態1〜5と異なる部分について説明する。ここでは、海底折り返し音場計算器16の音線進行方向右側処理器18の処理を主に説明する。
【0064】
海底折り返し音場計算器16には、音線計算器2から音線経路上の各点の座標(ri ,zi )及び該座標(ri ,zi )における音線俯角θsi 及び伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα及び音線放射角度α及び受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ) ,…,(rdm ,zdm )(m>2)が入力される。また、入力端子10から海底反射損失データが入力される。入力されたデータは、さらに海底折り返し音場計算器16の音線進行方向右側処理器18及び音線進行方向左側処理器19に入力される。
【0065】
図20はn軸海底パラメータ計算器23の処理により計算する座標(Bri ,Bzi )及びni 軸の海底入射角θrefi の関係を表す図である。音線進行方向右側処理器18のn軸海底パラメータ計算器23は、音線計算器2から出力された音線経路上の各点の座標(ri ,zi )及び該座標(ri ,zi )における音線俯角θsi 及び伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα及び音線放射角度α及び受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )(m>2)が入力されると、音線経路上の各点における音線に沿った座標系のni 軸を表す式を求めてni 軸を設定し、図20に示すように、ni 軸と海底地形を表す線分との反射点(Br1 ,Bz1 ),(Br2 ,Bz2 ),…,(Brn ,Bzn )を計算し、データを生成する。さらに、海底地形データに基づいて、ni 軸と交点をもつ海底地形を表す線分の傾きを計算し、線分の傾きとni 軸の傾きとから、各ni 軸の海底入射角θref1 ,θref2 ,…,θrefn を計算し、データを生成する。ここで、ni 軸と海底地形を表す線分との反射点が存在しなかった場合は、計算を行わない。そして、n軸海底パラメータ計算器23は、音線経路上の各点の座標(ri ,zi )及び該座標(ri ,zi )における音線俯角θsi 及び伝搬時間τi 及び経路長Si 及び受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ) ,…,(rdm ,zdm )(m>2)及び計算した反射点(Br1 ,Bz1 )及び海底入射角θrefiのデータをn軸海底折り返し点計算器24に出力する。さらに海底入射角θrefiを海底反射損失計算器15に出力する。
【0066】
図21はn軸海底折り返し点計算器24の処理により計算する交点(rzi ,Z)の関係を表す図である。n軸海底折り返し点計算器24には、n軸海底パラメータ計算器23から音線経路上の各点の座標(ri ,zi )及び該座標(ri ,zi )における音線俯角θsi 、伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα及び音線放射角度α並びに受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ) ,…,(rdm ,zdm )(m>2)及び計算した反射点(Br1 ,Bz1 )及び海底入射角θrefi のデータが入力される。
【0067】
n軸海底折り返し点計算器24は、まず、各反射点で折り返されたni 軸を表す式を求める。そして、図21に示すように、折り返し後のni 軸と受波深度Zを表す直線との交点(rz1,Z),(rz2,Z),…,(rzn,Z)を計算する。そして、音線経路上の各点の座標(ri ,zi )及び伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα及び音線放射角度α及び受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )(m>2)及びni 軸と海底地形を表す線分との交点(Bri ,Bzi )及び海底折り返し後のni 軸と受波深度を表す直線との交点(rzi ,Z)を音場計算器3−bに出力する。
【0068】
音場計算器3−bには、n軸海底折り返し点計算器24から音線経路s上の各点(ri ,zi )及び伝搬時間τi 、経路長Si 、ビーム幅δα及び音線放射角度α及び受波深度Z及び海底地形データ(rd1 ,zd1 ),(rd2 ,zd2 ),…,(rdm ,zdm )(m>2)及びni 軸と海底地形を表す線分との交点(Bri ,Bzi )及び海底折り返し後のni 軸と受波深度を表す直線との交点(rzi ,Z)が入力される。第2音場計算器13は、入力された海底折り返し後のni 軸と受波深度を表す直線との交点(rzi ,Z)を、次式(15)に基づいて音線に沿った座標系の点(S'''i ,N'''i )に変換する。
【0069】
【数6】

【0070】
点(S'''i ,N'''i )における音場u'''(S'''i ,N'''i ) を、上述した(1)式により計算し、該u'''(S'''i ,N'''i ) 及び前記受波深度Zを海底反射損失積算器14に出力する。海底反射損失積算器14及び海底反射損失計算器15の処理動作は、実施の形態4と同様の処理を行うため、説明は省略する。ここで、音線進行方向右側処理器18の海底反射損失積算器14から出力される音場をuright(S'''i ,N'''i ) とする。
【0071】
音線進行方向右側処理器18の補間器4−bは、uright(S'''i ,N'''i ) に基づいて、受波深度Z上の任意の水平距離Rにおける音場uright(R,Z) を、上述したように補間によって計算し、音場Uright(R,Z) のデータを生成して加算器7−bに出力する。
【0072】
一方、音線進行方向左側処理器19についても、上述した音線進行方向右側処理器18と同様の処理を行い、受波深度Z上の任意の水平距離Rにおける音場uleft(R,Z)を、上述したように補間によって計算し、音場uleft(R,Z)のデータを生成して加算器7−bに出力する。
【0073】
加算器7−bは、音場Uright(R,Z) 及び音場Uleft(R,Z)のデータに基づいて加算を行い、海底鏡像音場u'(R,Z) のデータを加算器7−aに出力する。他の各手段の処理は、第1実施例と同様の処理を行うので説明を省略する。
【0074】
以上のように、実施の形態6によれば、複数の線分で表される海底地形に対し、音線に基づいて設定するni 軸の正負側双方(音線進行方向右側及び左側)に対してそれぞれ反射点がある場合に、各反射点において反射されるエネルギーに基づく音場をそれぞれ計算し、加算して音場の伝搬特性のデータを生成するようにしたので、より現実の音場に近い海底地形に基づく音場の伝搬特性を計算する装置を得ることができる。実施の形態3のように直線近似でない、より現実に近い海底地形に基づく音場の伝搬特性のデータを生成することができる。
【0075】
実施の形態7.
上述の実施の形態においては、補間器4−a、補間器4−b等が行う補間処理を線形補間としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば放物線補間、スプライン補間等の補間処理を行うようにしてもよい。特に補間を行う際の点数を増やして放物線補間等を実施することで、音場計算の精度向上をさらに図ることができる。
【0076】
実施の形態8.
上述の実施の形態6では、実施の形態5と同様に、海底入射角に基づいて海底反射損失を計算するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態4と同様に、固定の海底反射損失データを用いても構わない。
【0077】
実施の形態9.
上述の実施の形態では、ガウシアンビームトレーシング法に基づいて、音源からの音波の伝搬におけるエネルギー分布がガウシアンビームモデルであることを前提にして説明したが、本発明はこれに限定するものではない。音線理論に属し、特に伝搬においてエネルギー分布の広がりを考慮するようなモデルであれば、他のモデルにおいても適用することができる。
【0078】
実施の形態10.
また、上述の実施の形態では、海水中を音波が伝搬する伝搬特性を装置が計算で求めたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、必ずしも海水が弾性波の伝達媒質でなく、他の固体、液体、気体であってもよいし、反射面が海底に限られるものではない。また、また、媒質中を伝搬する弾性波は音波である必要はなく、例えば超音波等でもよい。
【0079】
実施の形態11.
上述の実施の形態では、装置を各手段(機器)で構成し、ハードウェアにより、パラメータに基づく伝搬特性の計算を実現したが、例えば、装置をコンピュータ等のデータ処理装置で構成し、各手段が行うデータの処理をあらかじめプログラム化しておき、データ処理装置がプログラムを実行してデータ処理を行うことにより、音場の伝搬特性のデータ生成を実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1に係る音場伝搬特性計算方法を実現する伝搬特性計算装置のブロック図である。
【図2】設定した音線と海底面を表す線分との関係を表す図である。
【図3】音場計算器3−aで行われる計算処理の概念を表した図である。
【図4】補間器4−aにおいて行われる補間方法の一例の概念を表した図である。
【図5】海底鏡像音線の一例を表す図である。
【図6】音場計算器3−bにおける計算処理の概念を表す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る伝搬特性計算装置を表す図である。
【図8】海底鏡像受波線算出器8の処理により計算される海底鏡像受波線を表す図である。
【図9】音場計算器3−bにおける計算処理の概念を表す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る伝搬特性計算装置を表す図である。
【図11】海底地形近似器9の処理による、近似した海底地形の概念を表す図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る伝搬特性計算装置を表す図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係る伝搬特性計算装置を表す図である。
【図14】第2音場計算器13における計算処理の概念を表す図である。
【図15】海底反射損失と海底入射角との関係の一例をグラフとして表した図である。
【図16】本発明の実施の形態6に係る伝搬特性計算装置を表す図である。
【図17】海底折り返し音場計算器16の構成を表す図である。
【図18】音線進行方向右側処理器18、音線進行方向左側処理器19の構成を表す図である。
【図19】音線と海底地形との関係を表す図である。
【図20】n軸海底パラメータ計算器23の処理により計算する座標(Bri ,Bzi )及びni 軸の海底入射角θrefi の関係を概念的に表す図である。
【図21】n軸海底折り返し点計算器24の処理により計算する交点(rzi ,Z)の関係を表す図である。
【符号の説明】
【0081】
1、10、17、20、22、25 入力端子
2 音線計算器
3−a、3−b 音場計算器
4−a、4−b 補間器
5、21、26 出力端子
6 海底鏡像音線算出器
7、7−a、7−b 加算器
8 海底鏡像受波線算出器
9 海底地形近似器
11 海底反射損失積算器
12 第2海底鏡像音線算出器
13 第2音場計算器
14 第2海底反射損失積算器
15 海底反射損失計算器
16 海底折り返し音場計算器
18 音線進行方向右側処理器
19 音線進行方向左側処理器
23 n軸海底パラメータ計算器
24 n軸海底折り返し点計算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーが反射面において反射したエネルギーによる反射伝搬特性を計算する工程と、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算する工程と
を少なくとも有することを特徴とする伝搬特性計算方法。
【請求項2】
場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、
前記場に設定した音線に対し、前記エネルギーを反射する反射面を表す直線を挟んで線対称となる鏡像による音線を計算して設定し、該鏡像による音線に基づいて、前記場に設定した受波線における反射伝搬特性を計算する工程と、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる前記受波線における伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算する工程と
を少なくとも有することを特徴とする伝搬特性計算方法。
【請求項3】
場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、
前記場に設定した受波線に対し、前記エネルギーを反射する反射面を表す直線を挟んで線対称となる鏡像受波線を計算して設定し、前記場に設定した音線に基づいて、該鏡像受波線における反射伝搬特性を計算する工程と、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算する工程と
を少なくとも有することを特徴とする伝搬特性計算方法。
【請求項4】
凹凸面の前記反射面の各頂点を表す座標に基づいて、最小自乗法により前記反射面を表す直線を算出することを特徴とする請求項2又は3記載の伝搬特性計算方法。
【請求項5】
場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法において、
前記場に設定した音線に対し、前記音線上の点において、音線進行方向を一方の軸に設定した直交座標系の他方の軸が、前記反射面を表す線分との交点の座標、反射する軸方向を算出する工程と、
前記交点の座標及び前記反射する軸に基づいて、前記場に設定した受波線における反射伝搬特性を計算する工程と、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算する工程と
を少なくとも有することを特徴とする伝搬特性計算方法。
【請求項6】
音線に対し、前記音線上の点において、音線進行方向を一方の軸に設定した直交座標系の他方の軸が、前記反射面を表す直線と交わる角度を反射入射角として算出する工程と、
あらかじめ定めた前記反射入射角と前記反射面における前記エネルギーの反射損失との関係に基づいて、算出した前記反射入射角に対して決定した係数を前記音線上の点に基づいて算出した前記反射伝搬特性に乗じた値から、新たな反射伝搬特性を算出する工程と
をさらに有し、該新たな反射伝搬特性と、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性とを加算することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の伝搬特性計算方法。
【請求項7】
計算した前記反射伝搬特性に対し、あらかじめ定められた前記反射面の反射損失に基づく係数を乗じて算出した新たな反射伝搬特性と、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性とを加算することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の伝搬特性計算方法。
【請求項8】
前記媒質を海水、前記弾性波を音波、前記反射面を海底として、ガウシアンビームトレーシング法による海中における音場の伝搬特性を計算することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の伝搬特性計算方法。
【請求項9】
弾性波による振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線を設定し、該音線上の点における、振動発生源からの伝搬経路長と伝搬時間とを計算してデータを生成する音線計算手段と、
前記音線上の点の座標並びに前記振動発生源からの伝搬経路長及び前記伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性を計算してデータを生成する音線伝搬特性計算手段と、
前記エネルギーを反射する反射面を表す直線を挟んで線対称となる鏡像による音線を設定し、該鏡像による音線上の点における伝搬経路長と伝搬時間とを計算し、データを生成する鏡像音線計算手段と、
前記鏡像による音線上の点の座標並びに前記伝搬経路長及び前記伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における反射伝搬特性を計算してデータを生成する反射伝搬特性計算手段と、
前記音線伝搬特性計算手段が生成したデータと前記反射伝搬特性計算手段とが生成したデータに基づいて、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算した伝搬特性のデータを生成する加算手段と
を少なくとも備えることを特徴とする伝搬特性計算装置。
【請求項10】
弾性波による振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線を設定し、該音線上の点における、振動発生源からの伝搬経路長と伝搬時間とを計算してデータを生成する音線計算手段と、
音線上の点の座標並びに前記振動発生源からの伝搬経路長及び前記伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性を計算してデータを生成する音線伝搬特性計算手段と、
前記受波線に対し、前記エネルギーを反射する反射面を表す直線を挟んで線対称となる鏡像受波線を設定する鏡像受波線算出手段と、
前記音線に基づく前記鏡像受波線における反射伝搬特性を計算する反射伝搬特性計算手段と、
前記音線伝搬特性計算手段が生成したデータと前記反射伝搬特性計算手段とが生成したデータに基づいて、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と、前記反射伝搬特性とを加算した伝搬特性のデータを生成する加算手段と
を少なくとも備えることを特徴とする伝搬特性計算装置。
【請求項11】
前記各伝搬特性計算手段は、
前記音線上の複数の点に基づいて伝搬特性を計算してデータを生成する音場計算器と、
該音場計算器が計算した前記各点に基づく伝搬特性を補間して、前記伝搬特性を計算してデータを生成する補間器と
で構成することを特徴とする請求項9又は10記載の伝搬特性計算装置。
【請求項12】
前記反射面を表す複数の点の座標に基づいて、前記反射面を表す直線を計算し、データを生成する反射面近似器を有することを特徴とする請求項9〜11記載の伝搬特性計算装置。
【請求項13】
弾性波による振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線を設定し、該音線上の点における、振動発生源からの伝搬経路長と伝搬時間とを計算してデータを生成する音線計算手段と、
音線上の点の座標並びに前記振動発生源からの伝搬経路長及び前記伝搬時間のデータに基づいて、設定した受波線における、前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性を計算してデータを生成する音線伝搬特性計算手段と、
前記場に設定した音線に対し、前記音線上の点において、音線進行方向を一方の軸に設定した直交座標系の他方の軸が、前記反射面を表す線分との交点の座標、反射する軸方向を計算してデータを生成する軸計算手段と、
前記交点の座標及び前記反射する軸に基づいて、前記場に設定した受波線における反射伝搬特性を計算し、データを生成する反射伝搬特性計算手段と、
前記音線伝搬特性計算手段が生成したデータと前記反射伝搬特性計算手段とが生成したデータに基づいて、前記音線に基づく前記受波線における伝搬特性と前記反射伝搬特性とを加算した伝搬特性のデータを生成する加算手段と
を備えることを特徴とする伝搬特性計算装置。
【請求項14】
音線上において音線進行方向を一方の軸に設定した直交座標系の他方の軸が前記反射面を表す直線と交わる角度を反射入射角として算出し、データを生成する反射損失計算手段と、
あらかじめ定めた前記反射面における前記エネルギーの反射損失と前記反射入射角との関係に基づいて、前記反射損失計算手段が生成した前記反射入射角のデータから係数を決定し、該係数を前記反射伝搬特性に乗じて新たな反射伝搬特性を算出してデータを生成する反射損失積算手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の伝搬特性計算装置。
【請求項15】
計算した前記反射伝搬特性に対し、あらかじめ定められた前記反射面の反射損失に基づく係数を乗じて新たな反射伝搬特性を算出し、データを生成する反射損失積算手段をさらに備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の伝搬特性計算装置。
【請求項16】
場において媒質を伝搬する弾性波の伝搬特性を、振動に基づくエネルギーの伝搬経路を表す音線理論に基づいて計算する伝搬特性計算方法のプログラムにおいて、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーが反射面において反射したエネルギーによる反射伝搬特性を計算処理する工程と、
前記場に設定した音線を中心として広がったエネルギーによる伝搬特性と前記反射伝搬特性とを加算処理する工程と
をコンピュータに行わせることを特徴とする伝搬特性計算方法のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−3271(P2007−3271A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181845(P2005−181845)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】