説明

伝熱板の製造方法

【課題】摩擦撹拌接合により製造される伝熱板において、熱交換効率の高い伝熱板の製造方法及び熱交換効率の高い伝熱板を提供することを課題とする。
【解決手段】伝熱板の製造方法であって、ベース部材2の表面側に開口する蓋溝6の底面5cに形成された凹溝8に熱媒体用管16を挿入する挿入工程と、蓋溝6に蓋板10を配置する蓋溝閉塞工程と、蓋板10の表面(上面11)で凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25を移動させて熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pに、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Qを流入させる流入撹拌工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば熱交換器や加熱機器あるいは冷却機器などに用いられる伝熱板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換、加熱あるいは冷却すべき対象物に接触し又は近接して配置される伝熱板は、その本体であるベース部材に例えば高温液や冷却水などの熱媒体を循環させる熱媒体用管を挿通させて形成されている。
かかる伝熱板の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載された方法が知られている。図10は、特許文献1に係る伝熱板を示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は断面図である。特許文献1に係る伝熱板100は、表面に開口する断面視矩形の蓋溝106と、蓋溝106の底面に開口する凹溝108を有するベース材102と、凹溝108に挿入される熱媒体用管116と、蓋溝106に嵌合される蓋板110と、を備え、蓋溝106における両側壁105,105と蓋板110の両側面113,114とのそれぞれの突合せ面に沿って摩擦撹拌接合を施すことにより、塑性化領域W,Wが形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−314115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10の(b)に示すように、伝熱板100には、凹溝108と熱媒体用管116の外側面と蓋板110の下面とによって空隙部120が形成されているが、伝熱板100の内部に空隙部120が存在していると、熱媒体用管116から放熱された熱が蓋板110に伝わりにくくなるため、伝熱板100の熱交換効率が低下するという問題があった。
【0005】
このような観点から、本発明は、摩擦撹拌接合により製造される伝熱板において、熱交換効率の高い伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するための請求項1に係る発明は、ベース部材の表面側に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する挿入工程と、前記蓋溝に蓋板を配置する蓋溝閉塞工程と、前記蓋板の表面で、前記凹溝に沿って流入撹拌用回転ツールを移動させて前記熱媒体用管の周囲に形成された空隙部に、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材を流入させる流入撹拌工程と、を有することを特徴とする伝熱板の製造方法である。
【0007】
かかる製造方法によれば、空隙部に塑性流動材を流入させることで、空隙部を埋めることができるため、熱媒体用管とその周囲のベース部材および蓋板との間で、熱を効率よく伝達することができる。これにより、熱交換効率の高い伝熱板を製造することができ、例えば、熱媒体用管に冷却水を通して伝熱板および冷却対象物を効率的に冷却できる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記流入撹拌工程前に、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って接合用回転ツールを移動させて前記ベース部材と前記蓋板との摩擦撹拌接合を施す接合工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の伝熱板の製造方法である。
【0009】
かかる製造方法によれば、蓋板を確実に固定した状態で流入撹拌工程を行うことができるので、加工環境が良好で精度の高い伝熱板を製造することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記接合工程において、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って間欠的に摩擦撹拌接合を行う前記蓋板の仮付けを施すことを特徴とする請求項2に記載の伝熱板の製造方法である。
【0011】
かかる製造方法によれば、接合工程に要する手間と時間を低減しつつ、蓋板を確実に固定した状態で流入撹拌工程を行うことができ、加工環境が良好で精度の高い伝熱板を製造することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記流入撹拌用回転ツールが、前記接合用回転ツールよりも大型のものが使用されることを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法である。
【0013】
かかる製造方法によれば、流入撹拌用回転ツールで蓋板の底面よりも深い部分まで塑性流動化することができるとともに、接合工程での摩擦撹拌接合における塑性化領域は小さくて済むので、施工が容易になる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記流入撹拌工程において、前記流入撹拌用回転ツールの先端を、前記蓋溝の底面よりも深く挿入することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法である。
【0015】
かかる製造方法によれば、確実に流入撹拌用回転ツールで蓋板の底面よりも深い部分まで塑性流動化することができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記流入撹拌工程において、前記接合工程にて生成した塑性化領域を、前記流入撹拌用回転ツールによって再撹拌することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法である。
【0017】
かかる製造方法によれば、蓋板を確実に固定した状態で流入撹拌工程を行うことができるとともに、伝熱板の表面に露出される塑性化領域を流入撹拌用回転ツールによるものだけとすることができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記流入撹拌接合工程後に、前記ベース部材の前記蓋溝よりも表面側に、前記蓋溝よりも幅広に形成された上蓋溝に前記蓋板を覆う上蓋板を配置する上蓋溝閉塞工程と、前記上蓋溝の側壁と前記上蓋板の側面との上側突合せ部に沿って接合用回転ツールを移動させて前記ベース部材と前記上蓋板との摩擦攪拌接合を施す上蓋接合工程と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法である。
【0019】
かかる製造方法によれば、伝熱板の表面側において、蓋板よりも幅広の上蓋板を用いてさらに摩擦攪拌接合を施すため、伝熱板のより深い位置に熱媒体用管を配置させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る伝熱板の製造方法によれば、熱交換効率の高い伝熱板を提供することができるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第一実施形態]
本発明の最良の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施形態に係る伝熱板を示した斜視図である。図2は、実施形態に係る伝熱板を示した分解断面図である。図3は、実施形態に係る伝熱板を示した断面図である。
【0022】
第一実施形態に係る伝熱板1は、図1乃至図3に示すように、表面3および裏面4を有する厚板形状のベース部材2と、ベース部材2の表面3に開口した蓋溝6に配置される蓋板10と、蓋溝6の底面に開口する凹溝8に挿入される熱媒体用管16とを主に備えている。ベース部材2と蓋板10は、摩擦撹拌接合により形成された塑性化領域W,Wによって一体形成されている。ここで、「塑性化領域」とは、回転ツールの摩擦熱によって加熱されて現に塑性化している状態と、回転ツールが通り過ぎて常温に戻った状態の両方を含むこととする。塑性化領域W,Wは、蓋溝6の側壁5a,5bと蓋板10の側面13a,13bとの突合せ部Vに沿って構成されており、接合用回転ツール20(図4参照)を突合せ部Vに沿って移動させることで生成されている。一方、蓋板10には、前記の塑性化領域W,Wよりも深く、ベース部材2まで達する第2の塑性化領域W,Wが生成されている。この塑性化領域W,Wは、蓋板10の表面で、下方の凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25(図4参照)を移動させることで生成されており、熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pまで流入して生成されている。
【0023】
ベース部材2は、例えば、アルミニウム合金(JIS:A6061)で形成されている。ベース部材2は、熱媒体用管16に流れる熱媒体の熱を外部に伝達させる役割、あるいは、外部の熱を熱媒体用管16に流れる熱媒体に伝達させる役割を果たすものであって、図2に示すように、熱媒体用管16を内部に収容する。ベース部材2の表面3には、蓋溝6が凹設されており、蓋溝6の底面の中央には、蓋溝6よりも幅狭の凹溝8が凹設されている。蓋溝6は、熱媒体用管16を覆う蓋板10が配置される部分であって、ベース部材2の長手方向に亘って連続して形成されている。蓋溝6は、断面視矩形を呈しており、蓋溝6の底面5cから垂直に立ち上がる側壁5a,5bを備えている。凹溝8は、熱媒体用管16が挿入される部分であって、ベース部材2の長手方向に亘って連続して形成されている。凹溝8は、上方が開口した断面視U字状の溝であって、下端には熱媒体用管16の外周と同等の曲率半径を有する半円形の曲面7が形成されている。凹溝8の開口部分は、熱媒体用管16の外周直径と略同等の幅で形成されている。
【0024】
蓋板10は、図2および図3に示すように、ベース部材2と同様のアルミニウム合金からなり、ベース部材2の蓋溝6の断面と略同じ矩形断面を形成する上面(表面)11、下面12、側面13aおよび側面13bを有する。蓋板10は、図3に示すように、蓋溝6に挿入されて配置されている。蓋板10の側面13a,13bは、蓋溝6の側壁5a,5bと面接触するか又は微細な隙間をあけて対向する。ここで、図3に示すように、側面13aと側壁5aとの突合せ面を以下、突合せ部Vとし、側面13bと側壁5bとの突合せ面を以下、突合せ部Vとする。
【0025】
熱媒体用管16は、例えば、銅管にて構成されており、図2に示すように、断面視円形の中空部18を有する円筒管である。熱媒体用管16の外径は、凹溝8の幅と略同等に形成されており、図3に示すように、熱媒体用管16の下半部と凹溝8の曲面7とが面接触する。熱媒体用管16の上端は、蓋板10の下面12と接触部16aで線接触する。熱媒体用管16は、中空部18に、例えば高温液、高温ガスなどの熱媒体を循環させて、ベース部材2および蓋板10に熱を伝達させる部材、あるいは中空部18に、例えば冷却水、冷却ガスなどの熱媒体を循環させて、ベース部材2および蓋板10から熱を伝達される部材である。また、熱媒体用管16の中空部18に、例えばヒーターを通して、ヒーターから発生する熱をベース部材2および蓋板10に伝達させる部材として利用してもよい。
【0026】
なお、第一実施形態においては、凹溝8と熱媒体用管16の下半部を面接触させ、かつ、熱媒体用管16の上端と蓋板10の下面12とを線接触させたが、これに限定されるものではない。例えば、凹溝8の深さを、熱媒体用管16の外径と同等か、あるいはその1.2倍までの範囲となるようにしてもよい。また、凹溝8の幅を、熱媒体用管16の外径と同等か、あるいはその1.1倍までの範囲となるようにしてもよい。
【0027】
熱媒体用管16の周囲に形成される空隙部Pは、図2に示すように、熱媒体用管16と凹溝8と蓋板10の下面12とにより囲まれた空間である。第一実施形態においては、熱媒体用管16の上端と蓋板10の下面12とが、接触部16aで接触しているので、接触部16aを境界として、二つの空隙部P,Pが形成されている。なお、空隙部Pは、凹溝8、熱媒体用管16の形状等に基づいて適宜決定されるものであり、前記した形態に限定されるものではない。
【0028】
塑性化領域W,Wは、図1および図3に示すように、突合せ部V,Vに摩擦攪拌接合を施した際に、ベース部材2および蓋板10の一部が塑性流動して一体化された領域である。なお、塑性化領域とは、回転ツールの摩擦熱によって加熱されて現に塑性化している状態と、回転ツールが通り過ぎて常温に戻った状態の両方を含むこととする。塑性化領域W,Wは、図3においては、ハッチング部分で示す。即ち、突合せ部V,Vに沿って、後記する接合用回転ツール20を用いて摩擦攪拌接合を施すと、突合せ部V,Vの周辺にかかるベース部材2および蓋板10の金属材料が、接合用回転ツール20の摩擦熱により流動化して一体化されることで、ベース部材2と蓋板10が接合される。
【0029】
塑性化領域W,Wは、図1および図3に示すように、蓋板10の上面(表面)11で、下方の凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25(図4参照)を移動させることで生成されている。なお、塑性化領域とは、回転ツールの摩擦熱によって加熱されて現に塑性化している状態と、回転ツールが通り過ぎて常温に戻った状態の両方を含むこととする。塑性化領域W,Wは、流入撹拌用回転ツール25の回転による摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Q(塑性化領域W,Wの一部)を熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pに流入させる際に生成される部分である。すなわち、塑性化領域W,Wは、ベース部材2および蓋板10の一部が塑性流動して、空隙部Pに流入して一体化する領域であって、熱媒体用管16と接触する。塑性化領域W,Wは、図3においては、ハッチング部分で示す。
【0030】
摩擦攪拌接合を行う際には、空隙部Pの形状や大きさ等に基づいて、流入撹拌用回転ツール25の押込み量および挿入位置等を設定することにより、空隙部Pに塑性流動材Qを好適に流入させることができる。つまり、熱媒体用管16がつぶれない程度に、回転ツールを近づけて、空隙部Pに塑性流動材Qを隙間なく流入させることが好ましい。
【0031】
以上のような伝熱板1によれば、ベース部材2と蓋板10とが、塑性化領域W,Wにおいて、両者の金属材料が摩擦撹拌接合により塑性流動化されて一体化するとともに、塑性化領域W,Wにおいて、流動化された塑性流動材Qが空隙部Pに流入されている。これにより、ベース部材2と蓋板10とを接合するとともに、空隙部Pを埋めることができる。また、摩擦撹拌接合の際に、熱媒体用管16は、塑性流動材Qを介して、流入撹拌用回転ツール25のツール本体26の底面27(ショルダ)によって加圧されるので、凹溝8の曲面7と面接触させることができる。これにより、例えば、熱媒体用管16中を循環する熱媒体からの熱を、効率よく伝達することができる。
【0032】
次に、伝熱板1の製造方法について、図4を用いて説明する。図4は、第一実施形態に係る伝熱板の製造方法を示した断面図であって、(a)は、エンドミル工程および切削工程を示した図であり、(b)は、パイプを挿入した挿入工程を示した図であり、(c)は、蓋溝閉塞工程を示した図であり、(d)は、接合工程を示した図であり、(e)は、流入撹拌工程を示した図であり、(f)は、完成図である。図5は、第一実施形態に係る伝熱板を用いた伝熱ユニットを示した平面図である。
【0033】
第一実施形態に係る伝熱板の製造方法は、ベース部材2を形成するエンドミル工程および切削工程と、ベース部材2に形成された凹溝8に熱媒体用管16を挿入する挿入工程と、蓋溝6に蓋板10を配置する蓋溝閉塞工程と、突合せ部V,Vに沿って接合用回転ツール20を移動させて摩擦撹拌接合を施す接合工程と、蓋板10の表面で、凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツールを移動させて熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pに、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Qを流入させる流入撹拌工程と、を含むものである。
【0034】
(エンドミル工程および切削工程)
まず、図4の(a)に示すように、公知のエンドミル加工により、厚板部材に蓋溝6を形成する。そして、蓋溝6の底面に、切削加工等により半円形断面を備えた凹溝8を形成する。これにより、蓋溝6と、蓋溝6の底面に開口された凹溝8を備えたベース部材2が形成される。凹溝8は、下半部に断面半円形の曲面7を備えており、曲面7の上端から一定の幅で上方に向けて開口されている。なお、第一実施形態においては、ベース部材2をエンドミル加工および切削加工により形成したが、アルミニウム合金製の押出形材や鋳造品を用いてもよい。
【0035】
(挿入工程)
次に、図4の(b)に示すように、凹溝8に熱媒体用管16を挿入する。このとき、熱媒体用管16の下半部は、凹溝8の下半分を形成する曲面7と面接触する。
【0036】
(蓋溝閉塞工程)
次に、図4の(c)に示すように、ベース部材2の蓋溝6内に、アルミニウム合金からなる蓋板10を配置する。このとき、蓋板10の下面12と熱媒体用管16の上端が線接触すると共に、蓋板10の上面11が、ベース部材2の表面3と面一なる。また、ここで蓋溝6の側壁5a,5b(図4の(b)参照)と、蓋板10の側面13a,13bとによって突合せ部V,Vが形成される。
【0037】
(接合工程)
次に、図4の(d)に示すように、突合せ部V,Vに沿って、摩擦撹拌接合を施す。摩擦撹拌接合は、接合用回転ツール20(公知の回転ツール)を用いて行う。接合用回転ツール20は、例えば、工具鋼からなり、円柱形のツール本体21と、その底面22の中心部から同心軸で垂下するピン23とを有する。ピン23は、先端に向けて幅狭となるテーパ状に形成されている。なお、ピン23の周面には、その軸方向に沿って図示しない複数の小溝や径方向に沿ったネジ溝が形成されていてもよい。
【0038】
摩擦撹拌接合は、ベース部材2および蓋板10を図示しない治具により拘束した状態で、各突合せ部V,Vに高速回転する接合用回転ツール20を押し込み、突合せ部V,Vに沿って移動させる。高速回転するピン23により、その周囲のベース部材2および蓋板10のアルミニウム合金材料は、摩擦熱によって加熱され流動化した後に冷却されて一体化する。
【0039】
(流入撹拌工程)
次に、図4の(e)に示すように、蓋板10の上面(表面)11で、下方の凹溝8に沿って、摩擦撹拌接合を施す。流入撹拌工程は、熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部P(図3参照)に、摩擦撹拌接合によって流動化させた塑性流動材Qを流入させる工程であって、その摩擦撹拌接合は、流入撹拌用回転ツール25(公知の回転ツール)を用いて行う。流入撹拌用回転ツール25は、例えば、工具鋼からなり、接合用回転ツール20と同等の形状を有しており、円柱形のツール本体26と、その底面27の中心部から同心軸で垂下するピン28とを有する。流入撹拌用回転ツール25は、接合用回転ツール20よりも大型のものが使用されている。具体的には、流入撹拌用回転ツール25を蓋板10の上面11に押し込んで摩擦撹拌接合を施す際に、ピン28の下端部(流入撹拌用回転ツール25の先端)が、蓋溝6の底面5cよりも低くなる大きさのものが採用されている。
【0040】
流入撹拌工程における摩擦撹拌接合は、蓋板10の上面(表面)11で、高速回転する流入撹拌用回転ツール25を押し込み、下方の凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25を移動させる。流入撹拌用回転ツール25は、ツール本体26の底面27(ショルダ)の投影部分の一部が熱媒体用管16の空隙部Pと重なるように配置される。このとき、流入撹拌用回転ツール25の先端が、蓋溝6の底面5cよりも深く挿入され、高速回転するピン28により、その周囲の蓋板10およびベース部材2のアルミニウム合金材料は、摩擦熱によって加熱され流動化される。流入撹拌用回転ツール25は、ツール本体26の底面27が、蓋板10の上面11よりも低くなるように押し込まれる。その押込み量(長さ)は、ツール本体26が押し退ける蓋体10の金属の体積が、熱媒体用管16の周囲の一方の空隙部Pに充填される塑性流動化されたアルミニウム合金材料の体積、および塑性化領域W(W)の幅方向両側に発生するバリの体積との和と同等になるような長さとなっている。そして、流動化された塑性流動材Qは、流入撹拌用回転ツール25のツール本体26の底面27の押込み力によって、空隙部Pへと押し出されて流入される。流入撹拌工程における摩擦撹拌接合の後に、塑性化領域W,Wの幅方向両側に発生したバリを取り除く。前記の摩擦撹拌接合は、凹溝8の幅方向両側でそれぞれ施されて、熱媒体用管16の上側に位置する一対の空隙部P,Pに塑性流動材Qが流入される。
【0041】
以上説明した伝熱板の製造方法によれば、図4の(f)に示すように、突合せ部V,Vに沿って塑性化領域W,Wが形成されて、ベース部材2と蓋板10とが接合され、一方、蓋板10の上面11で凹溝8に沿って塑性化領域W,Wが形成され、ベース部材2と蓋板10とで熱媒体用管16が密閉される。さらに、空隙部Pに塑性流動材Qが流入されて空隙部Pが充填されるため、熱媒体用管16とベース部材2および蓋板10とが隙間なく密着することになるので、熱交換効率の高い伝熱板1を形成することができる。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、先に比較的小さい接合用回転ツール20を用いて、蓋板10をベース部材2に接合しているので、流入撹拌工程では、蓋板10が確実に固定された状態で摩擦撹拌接合を施すことができる。したがって、比較的大きい流入撹拌用回転ツール25を用いて大きい押込み力がかかる摩擦撹拌接合を、安定した状態で行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態では、接合工程の後に流入撹拌工程を行っているが、流入撹拌工程の後に接合工程を行うようにしてもよい。このとき、蓋板10を長手方向から図示しない治具を用いて固定しておけば、蓋板10の幅方向は、ベース部材2によって固定されているので、流入撹拌工程における摩擦撹拌接合を、蓋板10が確実に固定された状態で施すことができる。
【0044】
また、本実施形態では、接合工程において、突合せ部V,Vの全長に亘って、摩擦撹拌接合を施しているが、これに限定されるものではなく、突合せ部V,Vに沿って所定の間隔を隔てて摩擦撹拌接合を間欠的に行って、ベース部材2に蓋板10の仮付けを施すようにしてもよい。このような伝熱板の製造方法によれば、接合工程に要する手間と時間を低減しつつ、蓋板10を確実に固定した状態で流入撹拌工程を行うことができるとともに、前記した作用効果と同様に、加工環境が良好で精度の高い伝熱板を製造することができる。
【0045】
図5は、第一実施形態に係る伝熱板を用いた伝熱ユニットを示した平面図である。
伝熱板1は、例えば、図5に示すように、複数の伝熱板1を連結して伝熱ユニット90を形成して使用される。伝熱ユニット90は、複数の伝熱板1をベース部材2の短手方向に並設し、各ベース部材2の長手方向の両端から突出した熱媒体用管16を平面視U字状の連結パイプ91で連結して形成される。このような、伝熱ユニット90によれば、一の連通した熱媒体用管96が形成されているため、熱媒体用管96に熱媒体を流通させることにより、ベース部材2および蓋板10に接触又は近接する図示しない対象物を迅速に冷却又は加熱することができる。
【0046】
なお、伝熱板1の連結方法は、一例であって他の連結方法によって伝熱ユニットを形成してもよい。また、伝熱ユニット90においては、連結パイプ91が伝熱板1の外部に露出しているが、熱媒体用管16をS字状に形成して熱媒体用管16が伝熱板1の内部に納まるように形成してもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、連結パイプ91を介して複数の伝熱板1を連結して伝熱ユニット90を形成しているが、これに限られるものではない。例えば、図6に示すように、一つのベース部材51に複数の凹溝8,8・・を有する蓋溝53を形成して、一枚の蓋板54を接合用回転ツール(図示せず)でベース部材51に固定して、蓋板54の上面(表面)55から流入撹拌用回転ツール(図示せず)を各凹溝8に沿って移動させることで、熱媒体用管16の空隙部Pに、塑性流動材Qを流入させるようにしてもよい。このようにすれば、蓋板54の接合工程を一度行うだけで、複数の熱媒体用管16,16・・を固定することができる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る伝熱板について説明する。図7は、第二実施形態に係る伝熱板を示した斜視図である。図8は、第二実施形態に係る伝熱板を示した断面図である。
【0049】
図7および図8に示すように、第二実施形態に係る伝熱板31は、蓋板32と、ベース部材34の蓋溝35とが、第一実施形態よりも幅が狭く形成されている。具体的には、蓋板32の側面33と、ベース部材34の蓋溝35の側壁36との突合せ部V,Vが、流入撹拌工程における摩擦撹拌接合によって生成される塑性化領域W,Wに含まれるように、蓋板32と、ベース部材34の蓋溝35の幅が決まっている。すなわち、接合工程にて生成した塑性化領域W,W上を、流入撹拌工程において流入撹拌用回転ツール25が移動し、塑性化領域W,Wが再撹拌されるようになっている。流入撹拌用回転ツール25は、第一実施形態と同様のものが用いられる。なお、その他の構成については、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
次に、第二実施形態に係る伝熱板の製造方法を説明する。本実施形態の伝熱板の製造方法も、ベース部材34を形成するエンドミル工程および切削工程と、ベース部材34に形成された凹溝8に熱媒体用管16を挿入する挿入工程と、蓋溝35に蓋板32を配置する蓋溝閉塞工程と、突合せ部V,Vに沿って接合用回転ツール(図示せず)を移動させて摩擦撹拌接合を施す接合工程と、蓋板32の表面で、凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25(図8参照)を移動させて熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pに、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Qを流入させる流入撹拌工程と、を含むものである。
【0051】
エンドミル工程、切削工程、挿入工程および蓋溝閉塞工程は、蓋板32と、ベース部材34の蓋溝35の幅が狭い構成以外は、第一実施形態と同様である。
【0052】
接合工程では、図7および図8の(a)に示すように、突合せ部V,Vに沿って所定の間隔をあけて摩擦撹拌接合を間欠的に行い破線状に塑性化領域W,Wを形成し、蓋板32をベース部材34に仮止めしておく。このとき用いられる接合用回転ツール(図示せず)は、第一実施形態の接合用回転ツール20と同様のものであって、流入撹拌用回転ツール25よりも小型のものである。
【0053】
次に、図8の(b)に示すように、蓋板10の上面(表面)11で、下方の凹溝8に沿って、摩擦撹拌接合を施す。流入撹拌工程は、第一実施形態と同様に、熱媒体用管16の周囲に形成された空隙部Pに、摩擦撹拌接合によって流動化させた塑性流動材Qを流入させる工程であって、その摩擦撹拌接合は、流入撹拌用回転ツール25(公知の回転ツール)を用いて行う。
【0054】
流入撹拌工程における摩擦撹拌接合は、蓋板10の上面(表面)11で、高速回転する流入撹拌用回転ツール25を押し込み、下方の凹溝8に沿って流入撹拌用回転ツール25を移動させる。流入撹拌用回転ツール25は、ツール本体26の底面27(ショルダ)の投影部分の一部が熱媒体用管16の空隙部P、および接合工程で生成された塑性化領域W(W)と重なるように配置される。このとき、流入撹拌用回転ツール25の先端が、蓋溝6の底面5cよりも深く挿入され、高速回転するピン28により、その周囲の蓋板10およびベース部材2のアルミニウム合金材料は、摩擦熱によって加熱され流動化され、流動化された塑性流動材Qは、流入撹拌用回転ツール25のツール本体26の底面27の押込み力によって、空隙部Pへと押し出されて流入される。これとともに、塑性化領域W(W)は、流入撹拌用回転ツール25によって生成される塑性化領域W(W)に含まれることとなり、再撹拌される。
【0055】
以上説明した伝熱板の製造方法によれば、蓋板10をベース部材2に固定した状態で安定して流入撹拌工程を行うことができるとともに、図7に示すように、突合せ部V,V(図8の(a)参照)に沿って塑性化領域W,Wが形成されて、ベース部材2と蓋板10とで熱媒体用管16が密閉され、さらに、塑性化領域W,Wには、塑性化領域W,Wが含まれて、ベース部材2と蓋板10とが接合される。このように塑性化領域W,Wは、流入撹拌用回転ツール25で再撹拌されて塑性化領域W,Wに含まれるので、伝熱板1の表面に露出される塑性化領域を少なくすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、接合工程において、突合せ部V,Vに沿って間欠的に摩擦撹拌接合を行ってベース部材34に蓋板32の仮付けを施すようになっているが、ベース部材34と蓋板32との接合は、仮付けに限定されるものではなく、突合せ部V,Vの全長に亘って摩擦撹拌接合を行ってもよい。このように、突合せ部V,Vの全長に亘って摩擦撹拌接合を行った場合、蓋板10をより一層確実に固定した状態で流入撹拌工程を行うことができる。
【0057】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る伝熱板について説明する。図9の(a)は、第三実施形態に係る伝熱板を示した分解断面図で、(b)は、第三実施形態に係る伝熱板を示した断面図である。
【0058】
第三実施形態に係る伝熱板61は、前記した伝熱板1と略同等の構造を内包し、蓋板10の表面側にさらに上蓋板70を配置して、摩擦撹拌接合を施して接合した点で第一実施形態と相違する。
【0059】
なお、前記した伝熱板1と同等の構造を以下、下蓋部Mともいう。また、第一実施形態に係る伝熱板1と重複する部材については、同等の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
伝熱板61は、ベース部材62と、凹溝8に挿入された熱媒体用管16と、蓋板10と、蓋板10の表面側に配置された上蓋板70とを有し、塑性化領域W〜Wで摩擦攪拌接合により一体化されている。
【0061】
ベース部材62は、図9の(a)および(b)に示すように、例えばアルミニウム合金からなり、ベース部材62の表面63に、長手方向に亘って形成された上蓋溝64と、上蓋溝64の底面に長手方向に亘って連続して形成された蓋溝6と、蓋溝6の底面に長手方向に亘って形成された凹溝8とを有する。上蓋溝64は、断面視矩形を呈し、底面から垂直に立ち上がる側壁65a,65bを備えている。上蓋溝64の幅は、蓋溝6の幅よりも大きく形成されている。上蓋溝64の底面65cは、塑性化領域W,Wの生成後に、面削加工されて、塑性化領域W,Wの表面と面一となっている。
【0062】
ベース部材62の下部に形成された凹溝8には、熱媒体用管16が挿入されており、蓋板10によって閉塞され、摩擦撹拌接合により塑性化領域W,Wで接合され、さらに蓋板10の表面から、蓋溝6の底面5cの下側まで塑性化領域W,Wが形成されて熱媒体用管16の周囲の空隙部P,Pに塑性流動材Qが流入されている。即ち、ベース部材62の内部に形成された下蓋部Mは、第一実施形態に係る伝熱板1と面削された部分を除いて略同等に形成されている。
【0063】
上蓋板70は、図9の(a)および(b)に示すように、例えば、アルミニウム合金からなり、上蓋溝64の断面と略同じ矩形断面を形成し、上面71と、下面72と、この下面72から垂直に形成された側面73aおよび側面73bとを有する。上蓋板70は、上蓋溝64に嵌合される。即ち、上蓋板70の側面73a,73bは、上蓋溝64の側壁65a,65bと面接触されるか又は微細な隙間をあけて配置されている。ここで、側面73aと側壁65aとの突合せ面を以下、上側突合せ部Vとし、側面73bと側壁65bとの突合せ面を以下、上側突合せ部Vとする。上側突合せ部V,Vは、摩擦攪拌接合により、塑性化領域W,Wで一体化されている。
【0064】
伝熱板61の製造方法は、伝熱板1と同等の製造方法により、ベース部材62の下部に下蓋部Mを形成した後、上蓋板70を配置する上蓋溝閉塞工程と、上側突合せ部V,Vに沿って摩擦攪拌接合を施す上蓋接合工程を含むものである。
【0065】
上蓋溝閉塞工程は、下蓋部Mを形成した後、上蓋溝64に上蓋板70を配置する。この際、上蓋溝64の底面65c、蓋板10および塑性化領域W〜Wの上面は、前記した接合工程により平面状でない(凹凸がある)ので、上蓋溝64の底面65c、蓋板10および塑性化領域W〜Wの上面を削って平坦にする面削加工を施す(図9の(a)の破線部分参照)。
【0066】
上蓋接合工程は、上側突合せ部V,Vに沿って接合用回転ツール(図示せず)を移動させて摩擦撹拌接合を施す。上蓋接合工程における接合用回転ツールの埋設深さは、ピンの長さおよび上蓋板70の厚み等の各種条件によって、適宜設定すればよい。
【0067】
実施形態に係る伝熱板61によれば、下蓋部Mの上方にさらに上蓋板70を配置して、摩擦攪拌接合を施すことにより、より深い位置に熱媒体用管16を配置させることができる。
【0068】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これに限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更が可能である。例えば、前記した実施形態においては、蓋板10,32,55および上蓋板70は、ベース部材2,34,51,62の上面側に配置したが、下面側に配置させてもよい。
【0069】
また、前記した実施形態では、流入撹拌工程で使用する流入撹拌用回転ツール25を接合工程で使用する接合用回転ツール20よりも大型のものとしているが、接合工程で流入撹拌用回転ツール25を使用するようにしてもよい。このようにすれば、各工程で使用する回転ツールを統一することができ、回転ツールの交換時間を省略することができ、施工時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第一実施形態に係る伝熱板を示した斜視図である。
【図2】第一実施形態に係る伝熱板を示した分解断面図である。
【図3】第一実施形態に係る伝熱板を示した断面図である。
【図4】第一実施形態に係る伝熱板の製造方法を示した断面図であって、(a)は、エンドミル工程および切削工程を示した図であり、(b)は、パイプを挿入した挿入工程を示した図であり、(c)は、閉塞工程を示した図であり、(d)は、接合工程を示した図であり、(e)は、流入撹拌工程を示した図であり、(f)は、完成図である。
【図5】第一実施形態に係る伝熱板を用いた伝熱ユニットを示した平面図である。
【図6】伝熱板の変形例を示した断面図である。
【図7】第二実施形態に係る伝熱板を示した斜視図である。
【図8】第二実施形態に係る伝熱板の製造方法を示した断面図であって、(a)は、流入撹拌工程の流入撹拌用回転ツールの押込み前の状態を示した図、(b)は、流入撹拌工程の流入撹拌用回転ツールの押込み中の状態を示した図である。
【図9】第三実施形態に係る伝熱板を示した図であって、(a)は、分解断面図、(b)は、断面図である。
【図10】従来の伝熱板を示した図であって(a)は、斜視図、(b)は、断面図である。
【0071】
1 伝熱板
2 ベース部材
5a (蓋溝の)側壁
5b (蓋溝の)側壁
5c (蓋溝の)底面
6 蓋溝
8 凹溝
10 蓋板
11 (蓋板の)上面(表面)
13a (蓋板の)側面
13b (蓋板の)側面
16 熱媒体用管
20 接合用回転ツール
25 流入撹拌用回転ツール
31 伝熱板
32 蓋板
33 (蓋板の)側面
34 ベース部材
35 蓋溝
36 (蓋溝の)側壁
51 ベース部材
53 蓋溝
54 蓋板
61 伝熱板
62 ベース部材
64 上蓋溝
65a (上蓋溝の)側壁
65b (上蓋溝の)側壁
70 上蓋板
73a (上蓋板の)側面
73b (上蓋板の)側面
P 空隙部
Q 塑性流動材
V 突合せ部
W 塑性化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材の表面側に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する挿入工程と、
前記蓋溝に蓋板を配置する蓋溝閉塞工程と、
前記蓋板の表面で、前記凹溝に沿って流入撹拌用回転ツールを移動させて前記熱媒体用管の周囲に形成された空隙部に、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材を流入させる流入撹拌工程と、を有する
ことを特徴とする伝熱板の製造方法。
【請求項2】
前記流入撹拌工程前に、
前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って接合用回転ツールを移動させて前記ベース部材と前記蓋板との摩擦撹拌接合を施す接合工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の伝熱板の製造方法。
【請求項3】
前記接合工程において、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って間欠的に摩擦撹拌接合を行う前記蓋板の仮付けを施す
ことを特徴とする請求項2に記載の伝熱板の製造方法。
【請求項4】
前記流入撹拌用回転ツールは、前記接合用回転ツールよりも大型のものが使用される
ことを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法。
【請求項5】
前記流入撹拌工程において、前記流入撹拌用回転ツールの先端を、前記蓋溝の底面よりも深く挿入する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法。
【請求項6】
前記流入撹拌工程において、前記接合工程にて生成した塑性化領域を、前記流入撹拌用回転ツールによって再撹拌する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法。
【請求項7】
前記流入撹拌接合工程後に、
前記ベース部材の前記蓋溝よりも表面側に、前記蓋溝よりも幅広に形成された上蓋溝に前記蓋板を覆う上蓋板を配置する上蓋溝閉塞工程と、
前記上蓋溝の側壁と前記上蓋板の側面との上側突合せ部に沿って接合用回転ツールを移動させて前記ベース部材と前記上蓋板との摩擦攪拌接合を施す上蓋接合工程と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の伝熱板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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