説明

伝票類貼付用フィルムロール体及び貼付用フィルム付伝票

【課題】 出荷業者における包装容器への伝票類の貼付作業が容易で且つ作業によるゴミの発生がなく、受取人側においては伝票類回収及び後始末が便利なように伝票類を包装容器に貼付できる伝票類貼付用フィルムロール体及び貼付用フィルム付伝票を提供する。
【解決手段】 フィルムの片面の該ロール体の幅方向両側に、前記包装容器に貼着するための強粘着剤帯を有し、前記強粘着剤帯が設けられている面と同一面の前記強粘着剤帯間に、前記伝票類に剥離可能に貼着するための弱粘着剤帯を有する透明フィルムが巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送伝票や請求書、保証書などを包装容器に貼着するためのフィルムのロール体及び当該フィルムロール体を利用した貼付用フィルム付伝票に関し、伝票類の貼付け作業において廃棄部分がなく、経済的且つ環境面で効率よい伝票類貼付用フィルムロール体及び貼付用フィルム付伝票に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の流通配送において、納品伝票や請求書を商品と共に送る場合、伝票や請求書などの存否が受取人にわかりやすいように、あるいは配送先を明記した伝票が配送業者にわかりやすいように、通常、商品を梱包包装した包装容器の見えやすい位置に、配送伝票が貼付される。貼付方法としては、(1)伝票や請求書の裏面に粘着剤層を形成し、この粘着剤層により直接伝票や請求書を包装容器に貼付するという方法、(2)請求書や保証書などの伝票類を封筒にいれた状態で貼付するという方法、(3)形成した方形状透明フィルムの三辺に塗工された粘着剤帯で収納部を形成し、この収納部に伝票等を取り出し自在に収納しておく方法に大別される。
【0003】
(1)の方法では、伝票を直接、包装容器に貼付けるために、伝票の裏面全面には粘着剤が塗布されていて、この粘着剤を保護するために離型紙が積層された状態で、使用前は保管されている。このような方法では、納品業者の手元には、貼付に際して剥がされた大量の離型紙が廃棄物として残ることになるため、近年のゴミ減量化の観点から、離型紙を使用していない配送伝票が求められている。また、(1)の方法では請求書や保証書のように受取人側で回収される伝票類には適用できない。
【0004】
剥離紙を使用しないで、ラベルを貼付する方法として、例えば、特許文献1(特開2002−145228)に、ラベル原反シートから繰り出された、片面に粘着剤が塗布され、切り出されたラベルを、包装用フィルムシートに、直接貼付けるラベル貼付方法及び貼付装置が提案されている。
【0005】
しかし、この場合、貼付対象としての包装フィルムが限定的なものとなり、大量に自動的にラベルを貼付するような仕様に限定され、適宜梱包包装した包装容器に貼付していく配送伝票には適用できない。
【0006】
さらに、(1)の方法では、通常、伝票の裏面全面に粘着剤が塗布されているため、伝票等が箱体に強固に密着でき、伝票が流通過程において剥がれる心配がないといった利点がある反面、近年の個人情報保護の観点から、廃棄物として包装容器を処分する際に、伝票等を剥がしておきたいという受取人が多く、この点の改善を求める要望がある。また、近年のリサイクル意識の発展から、ダンボール箱を資源ゴミとして扱うために、回収には、粘着テープ、粘着剤により貼着された伝票類などを剥がして、廃棄することを求める都道府県が増えてきた。このため、個別に梱包包装された包装容器に対して、納品業者からは離型紙を使わず、受取側からは剥がしやすく、且つ粘着剤があまり使われていない伝票貼付方法が求められている。
【0007】
(2)の方法では、伝票等の取り出しが簡単で請求書、保証書のように受取人側で回収される伝票類には好適であるが、納品業者にとっては、個々に封筒が必要となり、商品によってはコスト的にあわない場合が少なくなく、この方法の採用は限られたものになっている。このため、(2)の方法は、(3)の方法への切り替えが進んでいる。
【0008】
(3)の方法では、伝票類の貼付に使用するフィルムが、両側に粘着剤帯が塗布されたロール体として納品業者側が保持することになる。フィルムロール体を適宜長さでカットして、伝票等を収納できるように、包装容器に貼付すればよいので、納品業者側で排出されるゴミはなくなる。また、全面粘着剤で貼着された場合と比べて、三辺の縁部だけに粘着剤が塗布されているだけなので、受取側において、伝票収納用フィルムを剥がすのは容易であり、伝票取り出しに関しても、容易であるという利点がある。しかしながら、この方法で用いるロール体は、幅方向の両側縁に粘着剤が塗工されているだけでなく、収納部の底辺となる粘着剤帯を形成するために、ロール体の長手方向の所定間隔毎に粘着剤塗工が必要となるため、ロール体の生産コストアップの原因となる。
【0009】
商品明細等の取り出し必要な書類を封筒や箱に挿入することなく、包装容器に貼付するための収納部の形成について、3辺を粘着または貼着しないで済む配送伝票として、特許文献2(特開2004−54074)に、印字されたラベル部とは別に、ラベル基材を折り返すことにより、添付書類を入れるためのポケット部を形成したポケット付ラベル式伝票が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開2002−145228
【特許文献2】特開2004−54074
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、離型紙を使用しないで、貼付作業が容易であり、受取人側にとっても、後始末、回収が便利な伝票類に用いられる伝票類貼付用フィルムロール体及び貼付用フィルム付伝票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の伝票類貼付用フィルムロール体は、伝票類を包装容器に貼付するための透明フィルムを巻回してなるフィルムロール体であって、該フィルムの片面の該ロール体の幅方向両側に、前記包装容器に貼着するための強粘着剤帯を有し、前記強粘着剤帯が設けられている面と同一面の前記強粘着剤帯間に、前記配送伝票等に剥離可能に貼着するための弱粘着剤帯を有している。
【0013】
前記強粘着剤帯間距離は貼付される横長方形状伝票の横方向長さよりやや広く、且つ前記弱粘着剤帯は、前記強粘着剤帯間の中央近傍に設けられていることが好ましい。また、前記ロールの側端縁から前記強粘着剤帯との間に、粘着剤が塗布されていない非粘着剤帯が設けられていることが好ましい。
【0014】
前記強粘着剤帯には、包装容器に対する粘着力が1.0N/cm以上の粘着剤が塗工されていて、前記弱粘着剤帯は、前記伝票に印字又は記載された文字のインクは移ることができるが、伝票紙に対しては剥離可能な粘着剤が塗工されていることが好ましい。具体的には、前記強粘着剤帯には、JIS Z0237に基づいて測定される対被着体剥離粘着力が2.5N/cm以上の粘着剤が塗工されていて、前記弱粘着剤帯には、JIS Z0237に基づいて測定される対被着体剥離粘着力が0.1〜1.5N/cmの粘着剤が塗工されていることが好ましい。
【0015】
前記包装容器としては、ダンボール箱が好適である。
【0016】
本発明の貼付用フィルム付伝票は、包装容器に貼付される配送伝票であって、所定事項が記載又は印字される少なくとも1枚の書類を有する伝票と、該伝票の最表面を覆う透明フィルムとを有し、前記透明フィルムの両側に、前記包装容器に前記伝票を貼付するための強粘着剤帯が設けられ、前記強粘着剤帯間に、前記透明フィルムを前記伝票に貼着するための弱粘着剤帯が設けられている。
【0017】
前記強粘着剤帯の一部が前記伝票表面に貼着され、残部が前記包装容器に貼着するために露出されていて、前記伝票の強粘着剤貼着部分以外を切り離せるように、前記伝票にミシン目が設けられていることが好ましい。また、前記強粘着剤帯は、前記透明フィルムの側端縁から所定間隔をあけて設けられていることが好ましい。
【0018】
本明細書において、JIS Z0237に基づいて測定される対被着体剥離粘着力とは、JIS G4305に規定するSUS304鋼板で鏡面仕上げした試験板に試験片である本発明のフィルムを圧着した後、試験片の遊び部分を180度に折り返し、試験板から引き剥がすのに要する力(試験片に対する180度引き剥がし粘着力)をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明の伝票類貼付用フィルムロールを適宜切り取ったフィルムを用いて伝票類を包装容器に貼付すれば、商品出荷業者における伝票類貼付作業において、廃棄部分が全くなく、安価に伝票類を包装容器に貼付することができる。また、受取人側においても、伝票類の回収が容易であり、また後始末が便利で、近年のゴミ分別回収や個人情報保護の要請に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の伝票類貼付用フィルムロール体について、図1及び図2に基づいて説明する。
図1は、本発明の伝票類貼付用フィルムロール体の一実施形態を示す構成模式図であり、図2は、図1のフィルムロール体の構成を説明するためのロール体の幅方向断面図である。
【0021】
本実施形態の伝票類貼付用フィルムロール体1は、フィルム基材10の片面(ロール体1の内周面)の両側に、側端縁から粘着剤が塗布されていない非粘着剤帯を13,13をおいて、強粘着剤が塗工されてなる強粘着剤帯11,11、両強粘着剤帯11,11間のほぼ中央に、前記強粘着剤よりも粘着力が弱い弱粘着剤を長手方向に塗工してなる弱粘着剤帯12が設けられている。フィルム基材10の他面(ロール体1の外周面)全面には離型剤が塗工処理された離型剤層20が積層された貼付用フィルムを、紙管30に巻回したものである。
【0022】
本発明が対象とする伝票類には、所定事項が記載又は印字された1枚の書類または複数枚の書類が一対となったもので、書類には、配送先住所等が記載された配送票、納品書、受領書、配達証、請求書、商品の保証書などが含まれる。具体的には、納品書、配送先を明記したラベル、受領書が一対となった配送伝票;納品書及び請求書、受領書が一対となった配送伝票;さらには配送先のみが記載された1枚のラベルも含まれる。
【0023】
配送伝票が貼付される包装容器の種類は特に限定せず、ダンボール箱、包装用袋体、木箱、プラスチック容器などに適用することができるが、好ましくはダンボール箱である。
前記フィルム基材10としては、伝票を包装容器に貼付するための粘着テープ基材としての役割とともに、伝票に印字された配送先等がフィルムを通して読めるような透明フィルムであって、その材質は特に限定せず、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アセテート、セロハン、ポリ乳酸等のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。
【0024】
フィルム基材10の厚みは、特に限定しないが、20〜100μm程度であることが好ましい。20μm未満では、フィルムが薄すぎて、取扱いが困難であり、100μm以上では、剛性が大きくなりすぎて、円形容器などには適用できないからである。
【0025】
強粘着剤帯11は、フィルムを包装に用いる容器に貼着するための粘着剤が塗工された部分で、フィルムを容器に安全に保持できるように、配送中にフィルムが剥がれないような粘着力を有する必要がある。被着体となる包装容器、特に段ボール紙に対する粘着力が大きいこと、具体的には、JIS Z0237で測定される対被着体剥離粘着力(対SUS304板に対する180°引き剥がし粘着力)が2.5N/cm以上であることが好ましく、また被着体を段ボール紙に変えて同様にして測定される粘着力(対段ボール紙180°引き剥がし粘着力)が1.0N/cm以上であることが好ましい。
【0026】
強粘着帯の幅は、ロール体の幅の3〜20%程度であることが好ましい。強粘着帯11はフィルム基材10を包装容器に保持するのに必要十分な粘着力を有すればよく、強粘着帯11の占有割合が大きくなりすぎると、伝票収容部分となる強粘着剤帯11間の間隔が狭くなるからである。
【0027】
強粘着帯11に塗工される強粘着剤としては、JIS Z0237で測定される対被着体剥離粘着力(対SUS304板に対する180°引き剥がし粘着力)が2.5N/cm以上であればよく、具体的には、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、SIS系、シリコーン系、又はこれらの2種以上をブレンドした混合系の溶剤系、水系、ホットメルト系、ドライブレンド系粘着剤等で、粘着剤の主要構成材料であるゴム、エラストマー、ポリマーを構成するモノマーの種類、その組合わせ、架橋度等を適宜調整することにより、上記SUS304板に対する180°引き剥がし粘着力)が2.5N/cm以上とした粘着剤とすることができる。例えば、アクリル系粘着剤では、粘着剤構成成分において、粘着性を発現するエチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)等のモノマーの含有割合を増やすことにより、さらには架橋化起点を付与するアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸(IA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタアクリレート(HPMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)、アクリルアミド(AM)、グリシジルメタクリレート(GMA)、無水マレイン酸などの架橋モノマーを含有させておくことにより、粘着力の高いアクリル系粘着剤を得ることができる。
【0028】
強粘着剤帯11の粘着剤層の厚みは、5〜50μmであることが好ましい。薄すぎると封入された伝票類の張力により剥離しやすくなり、一方、分厚すぎると、伝票が抜け落ちてしまうおそれがあるからである。
【0029】
ロール体1の両側縁から強粘着剤帯11までの間に設けられた非粘着帯13,13は、受取人が伝票を取り出すために、貼付用フィルムを剥がすときの取りしろとして作用することができる。また、ロール体1の数個〜10個分の幅を有する幅広の原反ロールからロール体1を製造する際に、強粘着剤帯11間隙に該当する非粘着剤帯13でスリットしていくことにより、強粘着剤によるカッターの傷みを防止することができるという利点もある。また、スリットの際にスリッター(又はカッター)が蛇行することがあるが、蛇行した場合でも非粘着剤帯13内での蛇行に留まることにより、強粘着剤帯11の幅を一定に保つことができ、ロール体1の製造ロット間でのばらつきをなくすという効果もある。
【0030】
弱粘着剤帯12は、フィルムロール体1の強粘着剤帯11、11間に、弱粘着剤を塗工することにより設けられる。
【0031】
弱粘着剤帯12は、強粘着剤帯11、11間隙に保持される伝票の最表面に粘着して、伝票が配送中に抜け落ちたりしないように、フィルムに貼着しておくための役割を有する。一方、弱粘着剤の伝票に対する粘着力は、貼付用フィルムを容器から剥がしたときに、弱粘着剤帯貼着部分とともに伝票も一緒に剥がれようとして、伝票が破損したりすることがない程度の粘着力でなければならない。従って、弱粘着剤帯12の役割は、伝票をフィルム基材10の粘着剤塗布面に保持して、強粘着剤帯11,11間に形成される収納部から抜け落ちたりすることを防止するのに必要十分な粘着力を有すればよいので、強粘着剤帯に使用する粘着剤よりも被着体剥離粘着力は弱い。包装容器、特にダンボール箱に対する粘着力は弱い。具体的には、被着体剥離粘着力がJIS Z0237で測定される対被着体剥離粘着力(対SUS304板に対する180°引き剥がし粘着力)が0.1〜1.5N/cmであることが好ましい。
【0032】
弱粘着剤帯12に用いられる粘着剤は、上記粘着力の範囲内のものであればよいが、好ましくは、伝票に印字又は記載されたインクが粘着面に転写されるような粘膠性を有するものである。粘膠性を有することにより、対SUS304板に対する180°引き剥がし粘着力が0.1〜1.5N/cmといった弱い粘着力であっても、書類と密着することができ、さらに粘着面に伝票印字又は記載されたインキが転写されることにより、流通配送過程において、第三者により伝票が入れ替え封入された場合であっても粘着面をチェックすればわかるので、配送、流通過程における伝票の入れ替え事故防止にもつながる。
【0033】
弱粘着剤帯12に用いることができる弱粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、又はこれらの混合系の溶剤系、水系、ホットメルト系粘着剤で、例えば、アクリル系粘着剤では粘着剤の凝集成分となる酢酸ビニル(VAc)、メチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレート(MA)、アクリルニトリル(AN)、アクリルアミド(AM)、スチレン(St)などのコモノマーの含有割合を増やしたり、充填剤を添加することにより、またゴム系粘着剤等を添加することや粘着付与樹脂(タッキファイヤー)の添加量を少なくすることにより、粘着力を上記範囲内に調節したものが用いられる。また、これらの粘着剤にワックス、ワセリン、プロセスオイル、可塑剤等の軟化剤やステアリン酸等の高級脂肪酸などを含有させることにより、初期粘着力(タック)は有するが、粘着力を低く抑えるようにした粘着剤も好ましく用いられる。
【0034】
弱粘着剤帯12の幅は、特に限定しないが、上記粘着力との関係から、0.2〜40mm程度であることが好ましい。0.2mm未満では、細すぎて、伝票保持力が不十分となり、一方、広すぎると、貼付用フィルムを伝票からスムーズに剥がすことが困難となり、ひどい場合には、伝票を破損してしまうからである。
【0035】
弱粘着剤帯12は、フィルムロール体1の強粘着剤帯11、11間のほぼ中央に、強粘着剤帯11と並行して延設されていることが好ましい。また、弱粘着剤帯12は1本に限らず、図3のように、2本以上の弱粘着剤帯12’、12’が並設されていてもよい。
【0036】
弱粘着剤帯12の厚みは、強粘着剤帯11の厚みと同じか又はそれ以下であることが好ましい。強粘着剤より分厚すぎると、伝票の厚み分が加わって、封入された伝票類の張力により剥離しやすくなるからである。
【0037】
フィルム基材10の粘着剤帯塗布面(ロール体1の内周面)と反対側の面(ロール体1の外周面)には、離型剤が塗布されてなる離型剤層20が積層されている。ロール体1において、貼付用フイルムが巻回されるにあたり、巻回されたフィルム基材10の外周面と巻回されるフィルム基材10の内周面に設けられた強粘着剤帯11、弱粘着剤帯12が直接積層されることを防止するためである。離型剤としては、シリコーン系、フッ素系、有機長鎖アルキル系ポリマーなどが用いられる。
【0038】
ロール体1には、適宜間隔ごとに切り取り容易とするためにミシン目が設けられていてもよい。図3に示すロール体1’において、2がミシン目である。伝票のサイズが決まっている場合には、一定サイズでの切断に限定されるので、予めミシン目2が一定間隔ごとに設けられることにより、貼付用フィルムの貼付作業が容易になる。あるいはミシン目にかえて、所定間隔毎に、フィルムの側端縁にVカットなどが切り欠きされていてもよい。
【0039】
以上のような構成を有するフィルムロール体1の使用方法について、図4に基づいて説明する。容器となる段ボール箱3の上面に伝票4を載置し、該伝票4を、ロール体1から繰り出したフィルムで覆うとともに、強粘着剤帯11を容器に貼着し、さらに弱粘着剤帯12を伝票4におしつけて、フィルムをカットする。図4中、1aがカットされたフィルムである。あるいは、ロール体1からフィルムを繰り出し、所定長さでカッティングする。フィルム1aの一側の強粘着剤帯11を包装容器となる段ボール箱3の上面又は側面に貼着し、フィルム1aと段ボール箱3の間に伝票4を挟みいれ、次いで、フィルム1aで伝票を覆うようにして、もう一方の強粘着剤帯11を段ボール箱3に貼着する。フィルム1aの弱粘着剤帯12が伝票4に貼着することで、伝票4がフィルム1aと段ボール箱3表面との間に保持される。以上のような貼付作業において、離型紙といった一切の廃棄物は発生しない。伝票に配送先が記載されている場合には、透明フィルムを介して、伝票の最表面に記載された配送先を読みとることができる。
【0040】
次に、配送荷物を受け取った受取人では、請求書のように、伝票の一部を回収する必要がある場合、フィルム1a側端縁の非粘着剤帯13をつかんで、段ボール箱3からフィルム1aを剥がす。このとき、弱粘着剤帯12が貼着している部分は、インキ転写により伝票4の最表面書類の印字部が薄くなることはあっても、伝票4自体が破損したりする程ではない。フィルム1aの剥離後、伝票4は直接的に段ボール箱3には貼着されていないので、最表面紙以外の第2番目又は当初の第3番目の紙面を回収することができる。このように、受取側において、容易に必要な伝票を回収することができる。また、宅配便のように、受取人が個人の場合、荷物を取り出した後の包装容器の廃棄にあたっては、配送先の住所又は内容物が明記された伝票(配送ラベル)を取り剥がしたい場合が多い。この場合にも、フィルム1aを剥がせば、配送ラベルとしての伝票を容易に取り出せるので、適宜破って捨てればよい。従って、従来のように、段ボール箱廃棄に際して、一般に取りしろのないラベルを剥がすといった面倒な作業から開放される。
【0041】
上記実施形態のフィルムロール体は、図5に示すような収納ケース40に収納しておくことが好ましい。図6は、図5に示す収納ケース40に貼付用フィルムロール本体1を収納した状態を示しており、図7は、収納ケース40に収納されたフィルムロール体1から繰り出したフィルムを切断する部分の拡大図である。
【0042】
図5に示すフィルムロール体収納ケース40は、上面が開口した略直方体状のケース本体41と該ケース本体41の上面を覆う蓋体42とからなる。
ケース本体41の開口部43に、蓋体42が開閉自在に取り付けられていて、該蓋体42の開閉端縁42aが当接することになる部分、すなわちケース本体41においてロール本体1の引出し端側となる面41aに、カッター44が取り付けられている。また、ケース本体41の両側面には、ロール体1の芯材となる紙管30又は紙管30に挿通された軸を支持するための軸受け部となるU字状カット部41cが切り欠きされている。ケース本体41において、カッター44の取付方法は特に限定されないが、例えば、カッター取付面41aが二重になっていて、その間にカッターが挟持されているか、あるいは、カッター取付面41aが、図7に示すように、2段段付溝を有している厚板で構成され、二段目の溝45にカッター44が埋設され、1段目の溝46にカッター刃先部分44aが露出するようになっていてもよい。
【0043】
蓋体42は、カッター取付面41aの開口上端縁41bと当接することにより、開口部43を閉じることができるもので、フィルム1bを引出した状態で蓋体42を閉じたときに、開口上端縁41bに保持されているカッター44に、フィルム1bが押しつけられて、カットされる。
【0044】
カッター取付面41bが、図7に示すような、2段段付溝を開口縁44bに有している厚板で構成されている場合には、蓋体42の開閉端縁42aは、開口上端縁41bの1段目溝部内に嵌合できるような厚みで、更に露出しているカッター刃先44aと当接しないような切り込み部47を有する構成であることが好ましい。ケース本体41及び蓋体42が図7に示す構成を有している場合、フィルム1bは、開口上端縁41bにおいて、開閉端縁44aによりカッター刃先43に押しつけられることにより切断される。
【0045】
以上のような構成を有する収納ケース40に、図6に示すように、ロール体1を収納する。収納ケース40のU字状カット部41cにロール体1の紙管をセットするだけでもよいし、好ましくは紙管カバー49でロール体1を固定する。伝票類貼付作業を行なう場合、ケース40に収納したままで、ロール体1からフィルム1bを引出し、片手で伝票類貼付作業を行ない、もう一方の手で蓋体42をおろしてカッター44に押し当てて、フィルム1bを切断することができる。
【0046】
本発明のフィルムロール体は、伝票とは個別に生産され、梱包包装業者が伝票の種類に応じて適宜使用できる汎用性あるものであったが、伝票の種類が決まっている場合には、伝票と貼付用フィルムとを一体型とした配送伝票としてもよい。
【0047】
図8は、貼付用フィルム50と伝票5とが一体型となったフィルム付伝票の構成を示すフィルムの幅方向断面図である。
【0048】
貼付用フィルム50は、フィルム基材10の片面に、両側縁から非粘着剤帯13a、13bをおいて、強粘着剤帯11a、11bが塗工されていて、強粘着剤帯11a、11b間に、弱粘着剤帯12が塗工されたものであり、フィルム基材10の粘着剤が塗工されていない側の面には、離型剤層20が積層されている。伝票5は、一側端が貼付用フィルム50の一側の強粘着剤帯11aの一部に固着され、他側端は、もう一方の強粘着剤帯11bに接しない程度のサイズである。また伝票5の強粘着剤帯11aに固着した部分よりやや内側に、伝票切り取り用のミシン目5aが設けられている。伝票5の最表面のほぼ中央部に弱粘着剤帯12が貼着することにより、伝票5が貼付用フィルム50に保持されたようになっている。
【0049】
このような貼付用フィルム付伝票は、上記実施形態のフィルムロール体に、所定事項を印字した伝票の一側端を強粘着剤帯に貼着してから、所定長さでカットすることにより作製することができる。また、予め、ロール体状の貼付用フィルムに、伝票5を貼付し、伝票サイズにあわせてカットできるようにしたものであってもよい。この場合、伝票5のサイズにあわせてフィルム基材に折目又はミシン目をいれておき、ロール体でなく、つづら折り状態としてもよい。
【0050】
いずれの場合であっても、伝票のサイズにあわせてカットされた貼付用フィルム付伝票は、露出している強粘着剤帯11a、11bを包装容器に貼着するだけでよく、伝票をフィルムと包装容器表面の間に挟み込むといった作業が不要になる。従って、貼着作業がよりスピーディになり、また、伝票5の保持もより強固なものとなるので、包装容器が種々の配送業者をわたって配送されるような複雑な配送経路を経る場合であっても、伝票の紛失、脱落の心配がない。そして、この場合も、貼着作業において、廃棄部分はないので、ゴミの減量化に役立つ。また、受取人側においては、伝票5が固着されていない強粘着剤帯11bが隣接する非粘着剤帯13bをつまんでフィルムを剥がし、ミシン目5aで伝票5を切り取って回収すればよい。たとえ、貼付用フィルム50を全部剥がしてしまった場合であっても、伝票5の一側端が引っ付いて破れてしまうことがあるだけであるから、伝票自体はもちろん、請求書のように、受取人側に回収される必要がある伝票は、通常2枚目、3枚目となっているので、これらは破損されることなく、受取人側において受け取ることができる。
【実施例】
【0051】
実施例1
1000mm幅、厚み40μmの延伸ポリプロピン(OPP)フィルムを原反ロールから引出し、このフィルムの背面全面に長鎖アルキルポリマーを秤量1g/mで塗工することにより離型処理し、表面には、強粘着剤としてアクリル系の強粘着剤であるポリシック310SK(三洋化成工業(株)、固形分37%)に架橋剤1.0g/100gを添加したものと、弱粘着剤として天然ゴム100gに対してタッキファイヤー30gを配合させたもの(固形分12.5%)を、それぞれの糊タンクから、ノズルコーター方式で、図1のように塗工し、巻取りスリッター及びミシン目加工を行ない、直径32mmの紙管に巻取ることにより、表1に示す特性を有する貼付用フィルムロール体(幅170mm)を作製した。尚、表1に示す粘着力は、被着体としてSUS304板又は段ボール紙を用いて、JIS Z0237に準じて測定した180°引き剥がし粘着力である。
【0052】
【表1】

【0053】
赤線をひいた配送伝票を、試験用段ボール紙上に載置し、上記で作製したフィルムでカバーすることにより、挟持した試験片を20個作製した。赤線は、弱粘着剤帯が当接するように、引かれている。かかる状態で、段ボール紙の片側を挟持した片持ち梁状態にして、10000回振動させた後、配送伝票の様子を目視で観察した。
【0054】
いずれの試験片からも伝票の抜け落ちは認められず、本実施例の貼付用フィルムで保持できることが確認できた。振動試験後、非粘着剤帯からフィルムを手で剥がしたところ、いずれの試験片についても、伝票の破れ等はなかった。弱粘着帯に、赤線のインク転写が認められただけであった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の伝票類貼付用フィルムロール体は、廃棄部分が全くないので、配送荷物の包装容器に、大量に貼付される伝票等の貼付に便利である。また、本発明の伝票類貼付用フィルムロール体を用いれば、従来より使用されている配送伝票を容器に貼付するだけでよいから、従来の伝票をそのまま使用することができ、しかも封筒のような別部材が不要となる。従って、大量に荷物の配送を取り扱う配送業者、個別に伝票等を送っていたような製造メーカーにおける配送伝票として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明一実施形態の貼付用フィルムロール体の外観を示す模式図である。
【図2】図1の実施形態の貼付用フィルムの幅方向断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の貼付用フィルムロール体体の外観を示す模式図及びそのフィルムの幅方向断面図である。
【図4】上記第一実施形態の貼付用フィルムの使用状態を説明するための図である。
【図5】本発明の貼付用フィルムロール体に好適な収納ケースを示す図である。
【図6】図5の収納ケースの使用状態を示す図である。
【図7】収納ケースにおけるカッター取付部分の拡大図である。
【図8】本発明の貼付用フィルム付伝票の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 貼付用フィルムロール体
1a、1b フィルム
3 段ボール箱
4、5 伝票
10 フィルム基材
11 強粘着剤帯
12 弱粘着剤帯
13 非粘着剤帯
20 離型剤層
40 収納ケース
41 ケース本体
42 蓋体
43 開口部
44 カッター
50 貼付用フィルム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝票類を包装容器に貼付するための透明フィルムを巻回してなるフィルムロール体であって、
該フィルムの片面の該ロール体の幅方向両側に、前記包装容器に貼着するための強粘着剤帯を有し、
前記強粘着剤帯が設けられている面と同一面の前記強粘着剤帯間に、前記配送伝票等に剥離可能に貼着するための弱粘着剤帯を有している
伝票類貼付用フィルムロール体。
【請求項2】
前記強粘着剤帯間距離は貼付される横長方形状伝票の横方向長さよりやや広く、
且つ前記弱粘着剤帯は、前記強粘着剤帯間の中央近傍に設けられている請求項1に記載のフィルムロール体。
【請求項3】
前記ロールの側端縁から前記強粘着剤帯との間に、粘着剤が塗布されていない非粘着剤帯が設けられている請求項1又は2に記載のフィルムロール体。
【請求項4】
前記強粘着剤帯には、包装容器に対する粘着力が1.0N/cm以上の粘着剤が塗工されていて、
前記弱粘着剤帯には、前記伝票に印字又は記載された文字のインクは移ることができるが、伝票紙に対しては剥離可能な粘着剤が塗工されている請求項1〜3のいずれかに記載のフィルムロール体。
【請求項5】
前記強粘着剤帯には、JIS Z0237に基づいて測定される対被着体剥離粘着力が2.5N/cm以上の粘着剤が塗工されていて、
前記弱粘着剤帯には、JIS Z0237に基づいて測定される対被着体剥離粘着力が0.1〜1.5N/cmの粘着剤が塗工されている請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムロール体。
【請求項6】
前記包装容器は、ダンボール箱である請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロール体。
【請求項7】
包装容器に貼付される伝票であって、
所定事項が記載又は印字される少なくとも1枚の書類を有する伝票と、該伝票の最表面を覆う透明フィルムとを有し、
前記透明フィルムの両側に、前記包装容器に前記伝票を貼付するための強粘着剤帯が設けられ、
前記強粘着剤帯間に、前記透明フィルムを前記伝票に貼着するための弱粘着剤帯が設けられている貼付用フィルム付伝票。
【請求項8】
前記強粘着剤帯の一部が前記伝票表面に貼着され、残部が前記包装容器に貼着するために露出されていて、
前記伝票の強粘着剤貼着部分以外を切り離せるように、前記伝票にミシン目が設けられている請求項7に記載の貼付用フィルム付伝票。
【請求項9】
前記強粘着剤帯は、前記透明フィルムの側端縁から所定間隔をあけて設けられている請求項7又は8に記載の貼付用フィルム付伝票。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−308531(P2007−308531A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136433(P2006−136433)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000142034)株式会社共和 (12)
【Fターム(参考)】