説明

伝言板システム

【課題】銭湯やプール等において、お互いに離れて行動をする相手に対して連絡を取るための手段として携帯電話機を持ち歩く場合、携帯電話機を誤って水に濡らし、故障をさせてしまうという危険性がある。
【解決手段】伝言板システム10は、伝言データベース14(以下DBという)を有する伝言サーバ12と、グループ登録装置20と、伝言装置(40,60他)等がネットワーク16を介して相互に接続されている。グループ登録装置20は、銭湯のフロントに設置され、伝言装置(40,60)はフロント、男風呂、女風呂、及び休憩室等に、おのおの設置されている。また、脱衣場の鍵にはRFIDタグが内蔵されており、脱衣場のロッカーの鍵をフロントで貸し出す時に、グループ又はペアとなるRFIDタグを一箇所に集め、グループ登録装置20を用いてワンタッチで登録することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝言板システムに関し、特に、携帯電話機などが利用できない場所で用いられる伝言板システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、お互いに離れて行動をする相手に対して伝言を残すために、公共施設や駅の伝言板を利用して意思の疎通をはかることが行われている。しかし、このような伝言板は、伝言板が設置されている公共施設や駅のみで伝言が残されるので、伝言を受ける利用者は、その場所まで行かなければならず、また、駅員等の係員が所定時間経過した伝言を消さなければならないという管理作業を必要としていた。
【0003】
このような欠点を解決するために、特許文献1には、伝言を行う利用者とその伝言を受け取る利用者とが離れていても、伝言を受け取ることができ、また、駅員などの係員が管理する必要がなく、さらに、伝言者が画像を用いて伝言することのできる伝言装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−172958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯電話機の普及により、公共施設や遊園地などの場所では、携帯電話機による通話やメールなどで用件を伝えることができるため、伝言装置に対するニーズが減っている。しかし、銭湯やプール等において、お互いに離れて行動をする相手に対して連絡を取るための手段として携帯電話機を持ち歩く場合、携帯電話機を誤って水に濡らし、故障をさせてしまうという危険性がある。
【0006】
特に、夫婦や家族で銭湯に行くと、男風呂と女風呂との意思疎通が難しい。また、伝言を残す場合でも、伝言の内容が自分と相手が風呂から出るタイミングに関することが主であり、特許文献1に示されるように、画像を用いて伝言を残すほどのこともない。
【0007】
銭湯などでは、子供からお年寄りまで多くの人が利用することから簡単に操作できることが望まれているが、特許文献1に示されているように、入力された伝言相手の氏名を選択する等の操作が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような問題を解決するために、本発明に係る伝言板システムは、相手に伝言内容を伝達する伝言板システムにおいて、自分と相手をグループとして登録するグループ登録手段と、グループ登録手段で登録された相手に伝言内容を入力する伝言入力手段と、伝言入力手段により入力された伝言内容をグループに関連付けて記憶するグループ別伝言記憶手段と、関連付けられたグループを基にしてグループ別伝言記憶手段から伝言内容を抽出する伝言抽出手段と、抽出された伝言内容を出力する伝言出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る伝言板システムにおいて、グループ登録手段は、各人に割り当てられた無線タグを集め、集められた複数の無線タグを読み取る無線タグ読取器と、自分と相手の少なくとも一人をペアとして認識するペアリング手段と、を有し、読み取った無線タグの情報をグループの構成情報としてグループ別伝言記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る伝言板システムにおいて、伝言入力手段は、少なくとも伝言内容が入力された時間、場所に関する情報をグループ別伝言記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0011】
さらにまた、本発明に係る伝言板システムにおいて、伝言出力手段は、関連付けられたグループを基にしてグループ別伝言記憶手段から伝言内容を抽出する場合、伝言内容が入力された時間と、場所の情報と、共に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、携帯電話機を持ち歩く必要もなく、簡単な操作で伝言を受け渡すことができるという効果がある。特に、RFIDタグを用いることで、グループ登録時に個々の登録作業を行うことなしに簡単な方法でグループ登録又はペア登録できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。本実施形態では、本発明を銭湯(お風呂屋、スーパ銭湯を含む。)に適用した。
【0014】
図1は、本実施形態に係る伝言板システム10の全体構成を示している。伝言板システム10は、伝言データベース14(以下DBという)を有する伝言サーバ12と、グループ登録装置20と、伝言装置(40,60,・・・(以下40,60と示す))等がネットワーク16を介して相互に接続されている。グループ登録装置20は、銭湯のフロントに設置され、伝言装置(40,60)はフロント、男風呂、女風呂、及び休憩室等に、おのおの設置されている。また、脱衣場の鍵にはRFIDタグが内蔵されており、脱衣場のロッカーの鍵をフロントで貸し出す時に、グループ又はペアとなるRFIDタグを一箇所に集め、グループ登録装置20を用いてワンタッチで登録することができる。
【0015】
伝言装置(40,60)に記録された伝言は、伝言サーバ12の伝言DB14に格納され、利用者の要求に基づいてそれぞれの伝言装置(40,60)へ伝言が送信される。
【0016】
図2は、グループ登録装置20の構成を示している。グループ登録装置20は、RFIDタグ30の読取り及び操作を行う読取器22と、パーソナル・コンピュータ(以下、PCという。)と、無線LAN装置26と、を有している。読取器22と無線LAN装置26とはPC(24)に接続され、PC(24)により制御されている。また、読取器22は、RFID読取部32と、グループ登録ボタン27とグループ解除ボタン28とを有している。
【0017】
図3は、伝言装置40の構成を示している。図3に示す伝言装置40は、図示しないコンピュータを内蔵し、無線LAN装置44と接続され、伝言装置40は、伝言表示部100と、伝言入力操作部200とを有している。伝言表示部100は、時刻を示す時計108と、スピーカ106と、伝言が全表示の場合に点灯する全表示LED(102)と、伝言がグループ表示の場合に点灯するグループLED(104)と、伝言内容を表示するメッセージ表示部110と、を含んでいる。
【0018】
また、伝言入力操作部200は、脱衣場の鍵に内蔵されているRFIDタグを読取る「1.鍵読取」部と、「2.伝言作成」部と、「3.書込文の選択」部と、「4.伝言の書込」部と、を含んでいる。「1.鍵読取」部は、RFIDタグを読取るRFID読取部202と、読取り状況を表示するOK−LED(204)とNG−LED(206)を有している。さらに、「2.伝言作成」部は伝言作成ボタン208を有し、「3.書込文の選択」部は定型文入力パネル210の定型文に割り当てられているボタンを有し、「4.伝言の書込」部は決定ボタン214と取消ボタン216と書込が終了したことを示す書込終了LED212とを有している。
【0019】
図4は、伝言板システム10の処理工程を示すブロック図であり、図5は伝言板システム10の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0020】
利用者が銭湯に入ると、入口の靴用ロッカーに靴を入れて鍵を取る。次に、フロントで入浴料を払って靴用のロッカーの鍵と交換に脱衣場のロッカーの鍵をもらう。この時、フロント担当者は、図4に示すグループ登録手段80を用いる。フロント担当者は、利用者がグループ又はペアであるかを確認し、利用者の脱衣場の鍵を図2に示す読取器22上のRFID読取部に集めて登録ボタン27を押す。この操作により、ペアで来場したことがグループ別伝言記憶手段82に登録される。
【0021】
表1は、グループ別伝言記憶手段82記憶されているグループ登録表である。例えば、男女のペアが来場し、男性のロッカーの番号が「0123」であり、女性のロッカーの番号が「4567」の時、この2つの番号が表1に示すグループ番号1として登録される。
【0022】
さらに、夫婦と長男及び長女を連れた家族4名が来場した場合、同様にグループ番号2として登録される。なお、表の備考には、説明のために長男「9876」、長女「3456」などの情報を示したが、グループ登録手段80で男、女、大人、子供等を入力しても良い。
【0023】
【表1】

【0024】
表1に示すグループ登録表は、グループに割り当てられるグループ番号と、グループ又はペアの鍵番号と、各鍵番号のステータスが記憶される。フロント担当者は、図4に示すグループ登録手段80を来場時に実行させ、ペア又はグループとして登録されたことをPC(24)の画面上で確認後、脱衣場のロッカーの鍵を利用者に手渡す。その後、利用者は、ロッカーに貴重品と脱いだ服を入れて、風呂場へ入る。
【0025】
風呂場から出るときに、例えば男性が風呂場内に設置されている伝言装置40を用いて伝言を残す場合、図5に示す処理が実行される。最初に、男性が「1.鍵読取」部のRFID読取部202に鍵をかざすと、伝言装置40は、ステップS10を実行し、鍵に内蔵されているRFIDタグの番号である「0123」を読取り、正常に読みとれたことを示すOK−LED204を点灯させる。次に、伝言装置40は、ステップS12において、RFIDタグの「0123」を伝言サーバに送信し、グループ検索を実行させる。
【0026】
伝言サーバ12は、表1に示すグループ登録表から「0123」はグループ番号が「1」であり、ペアは「4567」であることを特定する。もし、グループ番号「1」に関連する伝言メッセージがあれば伝言をステップS14において表示し、既読処理を実行する(ステップS16)。
【0027】
男性が、図3の伝言作成ボタン208を押すと、伝言装置40は伝言作成と判定(ステップS18)し、伝言作成処理(ステップS20)を実行する。男性は、定型文入力パネル210の「そろそろ、出ます。ごゆっくりどうぞ。」を選択するために定型文ボタンを押し、伝言の書き込みの決定ボタン214を押す。この操作により伝言装置40は、伝言内容入力手段84を終了し、書込終了LED212を点灯させて、伝言をグループ別伝言記憶手段82に記憶させる。
【0028】
グループ別伝言記憶手段82は、グループ登録表から「0123」はグループ番号が「1」、ペアは「4567」であることを特定する。さらに、「0123」から書込があったことを示す「書込」にステータスを変更する。
【0029】
伝言サーバ12は、特定したペアである「4567」に伝言を送信するために、すべての伝言装置(40,60)にメッセージを送信する伝言出力手段88を有している。伝言出力手段88は、メッセージを受信した伝言装置(40,60)のメッセージ表示部110にメッセージ更新の音と共に「14:54 0123 そろそろ、出ます。ごゆっくりどうぞ。(男湯)」と表示し、スピーカ106にて音声による出力が行われる。通常は、全表示(全表示LED102が点灯)となっているため、様々なメッセージが表示されているが、脱衣場の鍵を伝言入力操作部のRFID読取部202にかざすと(ステップS10)、グループ検索が実行され(ステップS12)、「0123」と「4567」とに関するメッセージだけが表示される(ステップS14)。なお、この時グループLED104が点灯し、所定時間経過後は全表示となる。
【0030】
「4567」の鍵を持った女性は、自分への伝言を見ることができ、さらに、「了解しました」等のメッセージを返信することも可能であり、相手に合わせて風呂場を出てもよい。
【0031】
また、自分へのメッセージや自分が残したメッセージを相手が未読であるか既読であるかを見ることも自分の鍵をかざすだけで、メッセージがあれば表示部に表示され、グループ登録表のステータスから既読か未読であるかも表示される(図示せず)。
【0032】
ペアやグループの解除は、グループの内の1つの鍵によりグループ解除ボタンを押されたのち、所定時間が経過する(ステップS22)と、伝言を消去しても良い状態に設定される(ステップS24)。この時、メッセージはそのまま、確認することも可能であるが、グループが解除されたことを示す表示が行われ、どの鍵で解除されたことも表示される(図示せず)。
【0033】
以上、上述したように、本実施形態では、RFIDタグを使用する伝言システムにより簡単な操作でグループやペアの登録ができ、予め用意されたメッセージから選択して簡単に送信できることで、使い勝手が向上するという効果がある。
【0034】
なお、本実施形態では、機器間は無線を使うことにより設置を容易としたが、RFIDタグと小型ポケットベルを組み合わせることにより伝言装置が無い場所であってもコミニュケーションを取れる構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る伝言板システムの全体の構成を示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るグループ登録装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る伝言装置の外観を示す外観図である。
【図4】本発明の実施形態に係る伝言板システムの処理工程を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る伝言板システムの処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0036】
10 伝言板システム、12 伝言サーバ、14 伝言データベース、16 ネットワーク、20 グループ登録装置、22 読取器、26,44 無線LAN装置、27 グループ登録ボタン、28 グループ解除ボタン、30 RFIDタグ、32,202 RFID読取部、40,60 伝言装置、80 グループ登録手段、82 グループ別伝言記憶手段、84 伝言内容入力手段、88 伝言出力手段、100 伝言表示部、102 全表示LED、104 グループLED、106 スピーカ、108 時計、110 メッセージ表示部、200 伝言入力操作部、204 OK−LED、206 NG−LED、208 伝言作成ボタン、210 定型文入力パネル、212 書込終了LED、214 決定ボタン、216 取消ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手に伝言内容を伝達する伝言板システムにおいて、
自分と相手をグループとして登録するグループ登録手段と、
グループ登録手段で登録された相手に伝言内容を入力する伝言入力手段と、
伝言入力手段により入力された伝言内容をグループに関連付けて記憶するグループ別伝言記憶手段と、
関連付けられたグループを基にしてグループ別伝言記憶手段から伝言内容を抽出する伝言抽出手段と、
抽出された伝言内容を出力する伝言出力手段と、
を備えることを特徴とする伝言板システム。
【請求項2】
請求項1に記載の伝言板システムにおいて、
グループ登録手段は、
各人に割り当てられた無線タグを集め、集められた複数の無線タグを読み取る無線タグ読取器と、
自分と相手の少なくとも一人をペアとして認識するペアリング手段と、
を有し、
読み取った無線タグの情報をグループの構成情報としてグループ別伝言記憶手段に記憶させることを特徴とする伝言板システム。
【請求項3】
請求項1に記載の伝言板システムにおいて、
伝言入力手段は、
少なくとも伝言内容が入力された時間、場所に関する情報をグループ別伝言記憶手段に記憶させることを特徴とする伝言板システム。
【請求項4】
請求項1に記載の伝言板システムにおいて、
伝言出力手段は、
関連付けられたグループを基にしてグループ別伝言記憶手段から伝言内容を抽出する場合、伝言内容が入力された時間と、場所の情報と、共に出力することを特徴とする伝言板システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−213334(P2007−213334A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32778(P2006−32778)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000204424)大井電気株式会社 (25)
【Fターム(参考)】