説明

伝送制御システム、および、伝送制御方法

【課題】共通同期信号に基づいて、各パルス計数装置から出力されるデータ信号を、同一時刻でのデータ群として1伝送周期内で高精度にかつ瞬時に一括して取得すること。複数のパルス計数装置から出力される各計数値群のサンプリングにおける時間精度を向上させること。
【解決手段】シリアル伝送信号の1伝送周期内の先頭の伝送フレームを共通同期信号とし、共通同期信号に基づいて該同一の1伝送周期内の先頭以外の残り伝送フレームを各パルス計数装置からのデータ信号に割り当てるか、該1伝送周期内の先頭の伝送フレームを全同期信号とし、全同期信号から所定のラッチタイミング調整期間後の全パルス計数器同時ラッチ信号に基づいて該同一の1伝送周期内の先頭以外の残り伝送フレームを各パルス計数装置からのデータ信号に割り当てるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位制御装置から複数のパルス計数装置へ同期ラッチ信号を送り、各パルス計数装置からの計数値データ群を上位制御装置へ順次読上げるような伝送制御システム、および、伝送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来のデータ伝送システムの構成例を示す。
【0003】
パルス計数部1は、パルス発生源3のパルス出力をカウンタ4に接続している。カウンタ4はラッチ5に接続され、ラッチ5はシリアル伝送I/F(インターフェース)6に接続されている。一方、上位制御部2は、シリアル伝送I/F7を有している。
【0004】
図14は、シリアル伝送I/F6とシリアル伝送I/F7との間で伝送される、シリアル伝送信号8の例を示す。
【0005】
ここでのシリアル伝送I/F6とシリアル伝送I/F7との間のシリアル伝送は、シリアル伝送I/F7が同期(兼ラッチ)信号を出力し、その出力に応答して、シリアル伝送I/F6が計数値を返送することによって行われる。
【0006】
このシリアル伝送信号8には、パルス計数部1側へ送られるラッチ信号10や、上位制御部2側へ送られる計数値9等の情報が含まれる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−168971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のデータ伝送システムにおける問題点を列挙すると、
(1)同時に複数の計数値が入力できない点、
(2)複数のパルス計数器を使用して計数値群を読上げたとしても、
各々の計数値を同一時刻で同期してサンプリングできない点、
(3)従来方式で読上げた計数値群を基にした演算結果の精度も悪い点、
という問題がある。
【0009】
さらに、従来のデータ伝送システムにおいては、
(4)特に、シリアル伝送信号の伝送周期が長い場合、計数値群を同一時刻でラッチしてから、上位制御部で読み上げるまでの時間差のため、実計数値に対して読み上げ計数値が遅れる点、
(5)全同期信号と全パルス計数器同時ラッチ信号とが兼用なので、上位制御部が制御の最適化をするための計数値群のラッチタイミングを調整することができない点、
という問題もある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、異なる位置に配置された複数のパルス計数装置を、1台の上位制御装置で管理する制御システムにおいて、共通同期信号に基づき各パルス計数装置から出力される各データ信号を、同一時刻での計数値群として1伝送周期内で高精度にかつ瞬時に一括して取得することが可能な、伝送制御システム、および、伝送制御方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、複数のパルス計数装置から出力される各計数値群のサンプリングにおける時間精度を向上させることが可能な、伝送制御システム、および、伝送制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、シリアル伝送信号の1伝送周期内において、該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとして構成され、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される共通同期信号と、前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域を、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号に対応して各々割り当てられた複数の伝送フレームとを具えたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、シリアル伝送信号の1伝送周期内において、該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての共通同期信号を、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号の伝送フレーム分に対応して割り当てると共に、該各データ信号を前記各パルス計数装置から順次出力する工程とを具えたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する手段と、前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段とを具え、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から送信される前記共通同期信号を受信する受信手段と、前記上位制御装置に対して前記データ信号を出力するための前記出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0015】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、前記出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する手段と、前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する手段と、前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段とを具え、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報、前記遅延時間に関する情報、および前記共通同期信号を受信する手段と、前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0016】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置に対してデータ信号を出力するための出力優先順位を設定する工程と、前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する工程と、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記送信された共通同期信号を受信する工程と、前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程とを具えたことを特徴とする。
【0017】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する工程と、前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する工程と、前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を受信する工程と、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記送信された共通同期信号を受信する工程と、前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程とを具えたことを特徴とする。
【0018】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、シリアル伝送信号の1伝送周期内において、該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとして構成され、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される全同期信号と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される全同時ラッチ信号と、前記1伝送周期内の前記全同期信号から前記全同時ラッチ信号までの領域以外の残り領域を、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号に対応して各々割り当てられた複数の伝送フレームとを具えたことを特徴とする。
【0019】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、シリアル伝送信号の1伝送周期内において、該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての全同期信号を、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号の伝送フレーム分に対応して割り当てると共に、該各データ信号を前記各パルス計数装置から順次出力する工程とを具えたことを特徴とする。
【0020】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、前記上位制御装置において、
前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する手段と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する手段と、前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段とを具え、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から送信される前記全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する受信手段と、前記上位制御装置に対して前記データ信号を出力するための前記出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、前記設定され出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0021】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、前記出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する手段と、前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する手段と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する手段と、前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段とを具え、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を記憶すると共に、前記全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する手段と、前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0022】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置に対してデータ信号を出力するための出力優先順位を設定する工程と、前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する工程と、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する工程と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記送信された全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する工程と、前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程とを具えたことを特徴とする。
【0023】
本発明は、複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する工程と、前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する工程と、前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を受信する工程と、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する工程と、前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、前記各パルス計数装置において、前記送信された全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する工程と、前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記記憶された出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程とを具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数のパルス計数装置から計数値等のデータ信号をシリアル伝送信号として上位制御装置へ順次読上げるようなシステムにおいて、シリアル伝送信号の1伝送周期内の先頭の伝送フレームを共通同期信号とし、該同一の1伝送周期内の先頭以外の残り伝送フレームを各パルス計数装置からのデータ信号に割り当てるようにしたので、共通同期信号に基づき全部のパルス計数装置において同時に計数値のラッチを行い、各パルス計数装置にてラッチした計数値等のデータ信号を、1伝送周期内で同一の伝送フレームにて一括して読上げることができ、これにより、シリアル伝送制御において同一時刻での計数値群を1伝送周期内で一括してサンプリングすることが可能となり、同一時刻でのデータ群の取得を高精度にかつ瞬時に行うことができる。
【0025】
また、本発明によれば、複数のパルス計数装置から計数値等のデータ信号をシリアル伝送信号として上位制御装置へ順次読上げるようなシステムにおいて、上位制御装置に対してデータ信号を出力するための出力優先順位と、該出力優先順位に従ってデータ信号を出力するための遅延時間とを予め求めておき、各パルス計数装置が共通同期信号を同時に受信した時点からの経過時間が遅延時間と一致した時点で、各パルス計数装置からのデータ信号を上位制御装置へ順次出力するようにしたので、共通同期信号により、全部のパルス計数装置において同時にデータラッチを行い、各パルス計数装置にてラッチした計数値のデータ信号を、同一伝送フレームにて一括して読上げることが可能となり、これにより、同一時刻でのデータ群の取得を高精度に行うことができる。
【0026】
また、本発明によれば、上位制御装置は、各パルス計数装置からの同一時刻のデータ信号を1伝送周期内で同一の伝送フレームにて受信することができるので、上位制御装置側での中央演算処理および集中管理が容易となり、これにより、シリアル伝送システムの構築を単純化して、小型化を図ることができる。
【0027】
また、本発明によれば、共通接続された全てのパルス計数装置からのデータ信号を同一の伝送フレームで一括して受信するので、各パルス計数装置が遠方に分散して配置されていても、外乱影響に強く、同一時刻での高精度な現在位置データ群を瞬時に把握することが可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、遠方に分散配置されている複数のパルス計数装置に対して、上位制御部がシリアル伝送ラインを介して、同一の全同期信号(全パルス計数器同時ラッチ信号)で各計数値をラッチして、それら各計数値からなる計数値群を同一の伝送フレームにてサンプリングを行うシリアル伝送システムにおいて、全同期信号と全パルス計数器同時ラッチ信号とを時間的に分離し、上位制御部から全同期信号と全パルス計数器同時ラッチ信号との時間差を調整して、所定のラッチタイミング調整期間の経過後の全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が別途算出された遅延時間と一致した時点で、そのラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から上位制御装置へ出力優先順位に従って順次出力するようにしたので、伝送周期が長い場合でも、伝送周期内での、計数値群のラッチタイミングを調整することにより、データ信号の現在位置データ群の実在値と上位制御装置で受け取る現在値との時間差を改善して、上位制御装置へデータ信号を出力する直前のタイミングで直前データをサンプリングして出力することが可能となり、これにより、複数のパルス計数装置からの計数値群のサンプリングにおける時間精度を向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、全同期信号から全パルス計数器同時ラッチ信号までの時間差は、上位制御部が伝送周期と伝送フレーム長とから認識することができるので、シリアル伝送中においても時間差の調整を行うことが可能となり、サンプリング調整作業の効率化を一段と図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[第1の例]
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図4に基づいて説明する。なお、前述した従来例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
【0031】
(構成)
図1は、本発明に係るデータ伝送制御システム10の構成を示す。
本システム10は、複数のパルス計数装置100(ここでは、パルス計数器1〜パルス計数器n)と、上位制御装置200とから構成される。
【0032】
各パルス計数装置100と、上位制御装置200とは、シリアル伝送信号30を伝送するシリアル伝送ライン20によって接続されている。このシリアル伝送信号30は、各パルス計数装置100に共通した共通同期信号(全同期兼ラッチ信号)31、又は、計数値等のデータ信号32からなる。共通同期信号31は、上位制御装置200から各パルス計数装置100へ送られる信号である。データ信号32は、各パルス計数装置100から上位制御装置200へ送られる信号である。各シリアル伝送信号30は、同一の伝送フレームから構成される。
【0033】
各パルス計数装置100は、発信器発振器、エンコーダ等からなるパルス発生源101と、カウンタ102と、ラッチ回路103と、シリアル伝送I/F(インターフェース)部104と、シリアル伝送I/F部201に対して複数ビット(例えば、4ビット)からなるSW(スイッチ)信号33を送出する局番SW105とを備えている。
【0034】
上位制御装置200は、シリアル伝送I/F部201と、制御部202とを備えている。
【0035】
図2は、各パルス計数装置100におけるシリアル伝送I/F部104の構成を示す。
シリアル伝送I/F部104には、シリアル伝送信号30をシリアル伝送ライン20を介して送受信する入出力部110と、出力優先順位設定部111と、遅延時間算出部112と、データ出力制御部113とが設けられている。
【0036】
(動作)
次に、本システム10の動作について説明する。
図3は、本システム10の動作を示すフローチャートを示す。
ステップS1では、まず、各パルス計数装置100において、各局番SW105をオンして、SW信号33をシリアル伝送I/F部104内の出力優先順位設定部111に送る。この出力優先順位設定部111では、そのSW信号33を受けることにより、上位制御装置200に対して計数値からなるデータ信号32を出力するための出力優先順位を設定する。ここでは、n個のパルス計数装置100が存在するので、1からn番目までの出力順位が設定される。
【0037】
ステップS2では、遅延時間算出部112により、その設定された出力優先順位に従ってデータ信号32を出力するための遅延時間を算出する。
【0038】
ステップS3では、上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に、共通同期信号31を送信する。
【0039】
ステップS4では、入出力部110により、上位制御装置200から送信された共通同期信号31を受信する。この共通同期信号31を受信した時点で、データ信号32を出力するためのデータをラッチ回路103によってラッチするようにしてもよい。
【0040】
ステップS5では、データ出力制御部113により、その共通同期信号31を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が上記算出された遅延時間と一致した時点で、データ信号32を上位制御装置200へ出力するように制御する。
【0041】
ステップS6では、上位制御装置200において、各パルス計数装置100から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号32を受信する。
【0042】
(1伝送周期内の伝送フレームの構成)
図4は、本システム10の具体的な動作のタイミングチャートを示す。
【0043】
シリアル伝送信号30の1伝送周期内の伝送フレームは、シリアル伝送信号30の1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームを、各パルス計数装置100に対する共通同期信号31とし、1伝送周期内の先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、各パルス計数装置100から出力されるデータ信号32に各々割り当てることによって構成される。
【0044】
そして、各パルス計数装置100から出力された各データ信号32を、シリアル伝送信号30として上位制御装置200へ順次読上げる際には、以下の手順で行う。
【0045】
シリアル伝送信号30の1伝送周期内において、まず、該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての共通同期信号31を、上位制御装置200から各パルス計数装置100へ送信する。次に、1伝送周期内の先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、各パルス計数装置100から出力されるデータ信号32に各々割り当て、該割り当てられた伝送フレーム分に対応したデータ信号32を各パルス計数装置100から順次出力する。
【0046】
(タイミングチャート)
以下、図4について具体的に説明する。
図4に示すタイミングチャートは、パルス計数装置100として、パルス計数器1〜パルス計数器nのn個のパルス計数器群からなる場合の例である。
【0047】
上位制御装置200のシリアル伝送I/F部201により、シリアル伝送ライン20に共通接続されたパルス計数器1〜パルス計数器nに対して、共通同期信号31としての全同期兼ラッチ信号を送出する。
【0048】
一方、パルス計数器1〜パルス計数器nにおいては、パルス発生源101によりパルス信号20を生成し、その生成されたパルス信号20をカウンタ102で計数する。そのカウンタ102の計数値21は、ラッチ回路103により一旦ラッチされる。
【0049】
その後、共通同期信号31を受信することにより、そのラッチされた計数値21はデータ信号32としてシリアル伝送I/F部104に送られる。シリアル伝送I/F部104では、前述した図2の構成および図3のフローチャートに示したように、予め設定された個々の出力優先順位に従い、所定の遅延時間が経過した後、そのデータ信号32をシリアル伝送ライン20を介して上位制御装置200へ順次送出する。
【0050】
本例では、上位制御装置200が送出する共通同期信号31の伝送周期Tは、少なくとも、n番目のパルス計数器nからデータ信号32の出力が完了するまでの時間以上の長さを有するものとする。個々のデータ信号32は、同一伝送フレームにて構成されているものとし、各パルス計数器1〜nから同一のフレーム数が出力されるものとする。
【0051】
図4の例では、各パルス計数器1〜nが、同一伝送フレームからなるデータ信号32を3個ずつ順次出力する場合の例として示したものである。これにより、上位制御装置200では、各パルス計数器1〜nから出力優先順位に従って順次送信されるデータ信号32を3個ずつ振り分けることにより、各パルス計数器1〜nの動作状態を精度良く検査することができる。
【0052】
以上より、全部のパルス計数器1〜nに対して同時にデータラッチを行うことが可能となり、各パルス計数器1〜nにてラッチした計数値群(データ信号32)を、同一伝送フレームにて一括して読上げることが可能となる。
【0053】
また、高速処理対応の場合は、伝送信号周波数を上げ、伝送周期を短くすることによって、読上げ計数値群の同期性だけでなく、演算結果のリアルタイム性も確保することができる。
【0054】
すなわち、1例として、伝送データ(2ワード×16ビット)×計数器(4台)/伝送周波数(1Mbps)=128μsで読上げすることが可能となる。
【0055】
これにより、本システム10においては、伝送周期T(伝送信号周波数)を、上位制御装置200側の必要性に応じて最適化することができる。
【0056】
従って、1台の上位制御装置200に対して、複数のパルス計数器群(パルス計数器1〜n)の制御が可能となり、例えば、同一時刻の精度の高い現在位置データ群の制御を必要とするシステムや伝送方式を提供することができる。
【0057】
[第2の例]
本発明の第2の実施の形態を、図5〜図7に基づいて説明する。なお、前述した第1の例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
【0058】
(構成)
本発明に係るデータ伝送制御システム10の基本的な構成は、前述した第1の例の図1の構成と同様である。
本例では、前述した第1の例の図2に示した各パルス計数装置100のシリアル伝送I/F部104がもつ機能を、上位制御装置200の制御部202側に持たせた場合の例である。
【0059】
図5は、制御部202の構成を示す。
制御部202には、データ信号32の出力優先順位に関する情報40を設定する出力優先順位設定部211と、データ信号32を出力するための遅延時間に関する情報41を算出する遅延時間算出部212とが設けられている。
【0060】
図6は、各パルス計数装置100におけるシリアル伝送I/F部104の構成を示す。
シリアル伝送I/F部104には、入出力部110と、データ出力制御部113と、情報記憶部115とが設けられ、図2のような、出力優先順位設定部111、遅延時間算出部112は存在しない。
【0061】
(動作)
次に、本システム10の動作について説明する。
図7は、本システム10の動作を示すフローチャートを示す。
ステップS11では、出力優先順位設定部211により、各パルス計数装置100(ここでは、パルス計数器1〜パルス計数器n)の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置100から出力されるデータ信号32の出力優先順位を設定する。
この場合、接続状態の認識は、例えば、各パルス計数装置100の局番SW105をオンすることにより、その各パルス計数装置100から出力されたSW信号33が上位制御装置200に送られ処理されることによって認識できる。
【0062】
ステップS12では、遅延時間算出部212により、その設定された出力優先順位に従ってデータ信号32を出力するための遅延時間を算出する。
【0063】
ステップS13では、各パルス計数装置100に対して、設定された出力優先順位に関する情報40および算出された遅延時間に関する情報41を送信する。
【0064】
ステップS14では、各パルス計数装置100において、上位制御装置200から出力される出力優先順位に関する情報40および遅延時間に関する情報41を受信して、情報記憶部115に記憶しておく。
【0065】
ステップS15では、上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に、共通同期信号31を送信する。
【0066】
ステップS16では、各パルス計数装置100において、上位制御装置200からの共通同期信号31を受信する。この共通同期信号31を受信した時点で、データ信号32を出力するためのデータをラッチ回路103によってラッチするようにしてもよい。
【0067】
ステップS17では、共通同期信号31を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が情報記憶部115に記憶された遅延時間と一致した時点で、データ信号32を上位制御装置200へ出力するように制御する。
【0068】
ステップS18では、上位制御装置200において、各パルス計数装置100から、その情報記憶部115に記憶された出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号32を受信する。
【0069】
また、本システム10の具体的な動作のタイミングチャートは、前述した図4の例と同様に考えることができる。
【0070】
従って、遠方に分散配置されている複数のパルス計数装置100に対して、同一時間での計数値をラッチする共通同期(ラッチ)信号31をシリアル伝送ライン30経由で出力し、これら各パルス計数装置100から出力された計数値群(データ信号32)を同一伝送フレームにて上位制御装置200で受信する制御システムにおいて、同一時刻の精度の高い現在位置データ群の制御を必要とするシステムや伝送方式を提供することが可能となる。
【0071】
[第3の例]
本発明の第3の実施の形態を、図8〜図11に基づいて説明する。なお、前述した各例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
本例は、前述した第1の例で示した伝送システムを基本として、1伝送周期内の伝送フレームの構成を変えた場合の例である。
【0072】
(構成)
図8は、本発明に係るデータ伝送制御システム10の構成を示す。
図9は、各パルス計数装置100におけるシリアル伝送I/F部104の構成を示す。
【0073】
本発明に係る図8および図9に示すデータ伝送制御システム10の基本的な構成は、前述した第1の例の図1および図2の構成と同様である。
以下、図1の構成とは異なる部分を中心に説明する。
【0074】
シリアル伝送信号30は、各パルス計数装置100に共通した全同期信号51、全パルス計数器同時ラッチ信号52、又は、計数値等のデータ信号32からなる。全同期信号51および全パルス計数器同時ラッチ信号52は、上位制御装置200から各パルス計数装置100へ送られる信号である。データ信号32は、各パルス計数装置100から上位制御装置200へ送られる信号である。各シリアル伝送信号30は、同一の伝送フレームから構成される。
【0075】
(1伝送周期内の伝送フレームの構成)
図10は、本システム10の具体的な動作のタイミングチャートを示す。
【0076】
シリアル伝送信号30の構成について説明する。
全同期信号51は、シリアル伝送信号30の1伝送周期T内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとして構成され、各パルス計数装置100(計数器1〜計数器nのn個からなる)に対して同時に出力される。
全パルス計数器同時ラッチ信号52は、全同期信号51の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後に、各パルス計数装置100に対して同時に出力される。
データ信号32は、1伝送周期T内の全同期信号51から全パルス計数器同時ラッチ信号52までのラッチタイミング調整期間Rに相当する領域以外の残り領域Sを、各パルス計数装置100から出力される各データ信号32に対応して各々割り当てられた複数の伝送フレームとして構成される。
【0077】
ここで、1伝送周期T内において、ラッチタイミング調整期間Rに相当する領域以外の残り領域Sの長さ(時間幅)は、計数器1〜計数器nまでの各データ信号32の伝送フレーム長(時間幅)の和よりも大きいことを条件とし、できれば、計数器nの後の終端部分の空き領域Qでの時間幅が極力小さくなるように設定することが望ましい。
【0078】
そして、各パルス計数装置100から出力された各データ信号32を、シリアル伝送信号30として上位制御装置200へ順次読上げる際には、以下の手順で行う。
シリアル伝送信号30の1伝送周期T内において、まず、1伝送周期T内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての全同期信号51を、上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に送信する。次に、全同期信号51の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後に、全同期信号51を上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に送信する。次に、1伝送周期T内の先頭位置以外の残り領域Sで構成される複数の伝送フレームを、各パルス計数装置100から出力される各データ信号32の伝送フレーム分に対応して割り当てる(計数器1〜nのn分割)と共に、該各データ信号32を各パルス計数装置100から順次出力する。
【0079】
(動作)
次に、本システム10の動作について説明する。
図3は、本システム10の動作を示すフローチャートを示す。
【0080】
ステップS1では、まず、各パルス計数装置100において、各局番SW105をオンして、SW信号33をシリアル伝送I/F部104内の出力優先順位設定部111に送る。この出力優先順位設定部111では、そのSW信号33を受けることにより、上位制御装置200に対して計数値からなるデータ信号32を出力するための出力優先順位を設定する。ここでは、n個のパルス計数装置100が存在するので、1からn番目までの出力順位が設定される。
【0081】
ステップS2では、遅延時間算出部112により、その設定された出力優先順位に従ってデータ信号32をラッチして出力するための遅延時間を算出する。
【0082】
ステップS20では、上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に、全同期信号51を送信する。
【0083】
ステップS21は、全同期信号51の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後に、全パルス計数器同時ラッチ信号52を上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に送信する。
ステップS22では、各パルス計数装置100において、全同期信号51を受信し、その後、所定のラッチタイミング調整期間Rを経過したに全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信する。
【0084】
ステップS23では、所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後の全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信した時点でデータをラッチして、該全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が別途算出された遅延時間と一致した時点で、ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置100から上位制御装置200へ上記出力優先順位に従って順次出力するように制御する。
【0085】
ステップS6では、上位制御装置200において、各パルス計数装置100から出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する。
【0086】
例えば、伝送周期T=1ms、伝送信号周波数f=1Mbp、パルス計数装置100の台数n=4台(計数値2ワード/1台)の場合、伝送フレーム長=4×2×16/1Mbp=128μsとなる。
【0087】
これにより、計数値群の読み上げ遅れ時間(ラッチタイミング調整期間R)は、
R=1000μs(伝送周期T)−128μs(伝送フレーム長)
≒800μs
となる。
【0088】
以上より、
(1)伝送周期T、伝送信号周波数fは、上位制御装置200側の必要性に応じて最適化することができる。
(2)伝送周期Tが長くても計数値群の読み上げ遅れ時間が改善するため、上位制御装置200における演算処理のリアルタイム性を向上することができる。
【0089】
[第4の例]
本発明の第4の実施の形態を、図12に基づいて説明する。なお、前述した各例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
本例は、前述した第2の例で示した伝送システムを基本として、シリアル伝送信号30の1伝送周期内の伝送フレームの構成を変えた場合の例である。
【0090】
データ伝送制御システム10の基本的な構成は、第2の例の図5および図6の構成と同様である。
【0091】
シリアル伝送信号30の1伝送周期内の伝送フレームの構成は、第3の例の図10の構成と同様である。すなわち、シリアル伝送信号30は、各パルス計数装置100に共通した全同期信号51、全パルス計数器同時ラッチ信号52、又は、計数値等のデータ信号32からなる。
【0092】
(動作)
以下、本システム10の動作を、図1、図5、および図6を参照して説明する。
図12は、本システム10の動作を示すフローチャートを示す。
【0093】
ステップS11では、図5の出力優先順位設定部211により、各パルス計数装置100(ここでは、パルス計数器1〜パルス計数器n)の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置100から出力されるデータ信号32の出力優先順位を設定する。
【0094】
この場合、接続状態の認識は、例えば、各パルス計数装置100の局番SW105をオンすることにより、その各パルス計数装置100から出力されたSW信号33が上位制御装置200に送られ処理されることによって認識できる。
【0095】
ステップS12では、図5の遅延時間算出部212により、その設定された出力優先順位に従ってデータ信号32をラッチして出力するための遅延時間を算出する。
【0096】
ステップS13では、各パルス計数装置100に対して、設定された出力優先順位に関する情報40および算出された遅延時間に関する情報41を送信する。
【0097】
ステップS14では、各パルス計数装置100において、上位制御装置200から出力される出力優先順位に関する情報40および遅延時間に関する情報41を受信して、図6の情報記憶部116に記憶する。
【0098】
ステップS30では、上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に、全同期信号51を送信する。
【0099】
ステップS31では、全同期信号51の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後に、全パルス計数器同時ラッチ信号52を上位制御装置200から各パルス計数装置100に対して同時に送信する。
ステップS32では、各パルス計数装置100において、全同期信号51を受信し、その後、所定のラッチタイミング調整期間Rを経過したに全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信する。
【0100】
ステップS33では、所定のラッチタイミング調整期間Rの経過後の全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信した時点でデータをラッチして、該全パルス計数器同時ラッチ信号52を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が別途算出された遅延時間と一致した時点で、ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置100から上位制御装置200へ上記出力優先順位に従って順次出力するように制御する。
【0101】
ステップS18では、上位制御装置200において、各パルス計数装置100から、その情報記憶部115に記憶された出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号32を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態である、伝送制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】各パルス計数装置におけるシリアル伝送I/F部の構成を示すブロック図である。
【図3】本伝送制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本伝送制御システムに用いられるシリアル伝送信号の1伝送周期内の伝送フレームの構成例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態である、上位制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】各パルス計数装置におけるシリアル伝送I/F部の構成を示すブロック図である。
【図7】本伝送制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態である、伝送制御システムの構成を示すブロック図である。
【図9】各パルス計数装置におけるシリアル伝送I/F部の構成を示すブロック図である。
【図10】本伝送制御システムに用いられるシリアル伝送信号の1伝送周期内の伝送フレームの構成例を示すタイミングチャートである。
【図11】本伝送制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態である、本伝送制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図13】従来のデータ伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図14】シリアル伝送信号の従来例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 パルス計数部
2 上位制御部
3 パルス発生源
4 カウンタ
5 ラッチ
6,7 シリアル伝送I/F
10 データ伝送システム
20 シリアル伝送ライン
21 計数値
30 シリアル伝送信号
31 共通同期信号(全同期兼ラッチ信号)
32 データ信号
33 SW信号
40 出力優先順位
41 遅延時間
51 全同期信号
52 全パルス計数器同時ラッチ信号
100 パルス計数装置(パルス計数器1〜パルス計数器n)
101 パルス発生源
102 カウンタ
103 ラッチ回路
104 シリアル伝送I/F部
105 局番SW
110 入出力部
111 出力優先順位設定部
112 遅延時間算出部
113 データ出力制御部
115 情報記憶部
200 上位制御装置
201 シリアル伝送I/F部
202 制御部
211 出力優先順位設定部
212 遅延時間算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
シリアル伝送信号の1伝送周期内において、
該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとして構成され、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される共通同期信号と、
前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域を、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号に対応して各々割り当てられた複数の伝送フレームと
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項2】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
シリアル伝送信号の1伝送周期内において、
該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての共通同期信号を、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、
前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号の伝送フレーム分に対応して割り当てると共に、該各データ信号を前記各パルス計数装置から順次出力する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項3】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
前記上位制御装置において、
前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する手段と、
前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段と
を具え、
前記各パルス計数装置において、
前記上位制御装置から送信される前記共通同期信号を受信する受信手段と、
前記上位制御装置に対して前記データ信号を出力するための前記出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段と
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項4】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
前記上位制御装置において、
前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、
前記出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する手段と、
前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する手段と、
前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段と
を具え、
前記各パルス計数装置において、
前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報、前記遅延時間に関する情報、および前記共通同期信号を受信する手段と、
前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段と
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項5】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置に対してデータ信号を出力するための出力優先順位を設定する工程と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する工程と、
前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記送信された共通同期信号を受信する工程と、
前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、
前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項6】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する工程と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号を出力するための遅延時間を算出する工程と、
前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を受信する工程と、
前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、共通同期信号を送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記送信された共通同期信号を受信する工程と、
前記共通同期信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記データ信号を該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、
前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項7】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
シリアル伝送信号の1伝送周期内において、
該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとして構成され、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される全同期信号と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、前記各パルス計数装置に対して同時に出力される全同時ラッチ信号と、
前記1伝送周期内の前記全同期信号から前記全同時ラッチ信号までの領域以外の残り領域を、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号に対応して各々割り当てられた複数の伝送フレームと
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項8】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
シリアル伝送信号の1伝送周期内において、
該1伝送周期内の先頭位置に当たる先頭伝送フレームとしての全同期信号を、前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、
前記1伝送周期内の前記先頭位置以外の残り領域で構成される複数の伝送フレームを、前記各パルス計数装置から出力される各データ信号の伝送フレーム分に対応して割り当てると共に、該各データ信号を前記各パルス計数装置から順次出力する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項9】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
前記上位制御装置において、
前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する手段と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する手段と、
前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段と
を具え、
前記各パルス計数装置において、
前記上位制御装置から送信される前記全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する受信手段と、
前記上位制御装置に対して前記データ信号を出力するための前記出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段と
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項10】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御システムであって、
前記上位制御装置において、
前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する出力優先順位設定手段と、
前記出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する手段と、
前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する手段と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する手段と、
前記各パルス計数装置から所定の出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する手段と
を具え、
前記各パルス計数装置において、
前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を記憶すると共に、前記全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する手段と、
前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御するデータ出力制御手段と
を具えたことを特徴とする伝送制御システム。
【請求項11】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置に対してデータ信号を出力するための出力優先順位を設定する工程と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する工程と、
前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する工程と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記送信された全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する工程と、
前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、
前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項12】
複数のパルス計数装置と、該各パルス計数装置に共通接続された上位制御装置との間でシリアル伝送を行う伝送制御方法であって、
前記上位制御装置において、前記各パルス計数装置の接続状態を認識し、該認識結果に基づいて該各パルス計数装置から出力される前記データ信号の出力優先順位を設定する工程と、
前記設定された出力優先順位に従って前記データ信号をラッチして出力するための遅延時間を算出する工程と、
前記各パルス計数装置に対して、前記設定された出力優先順位に関する情報および前記算出された遅延時間に関する情報を送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記上位制御装置から出力される前記出力優先順位に関する情報および前記遅延時間に関する情報を受信する工程と、
前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に、全同期信号を送信する工程と、
前記全同期信号の出力時点から所定のラッチタイミング調整期間の経過後に、全同時ラッチ信号を前記上位制御装置から前記各パルス計数装置に対して同時に送信する工程と、
前記各パルス計数装置において、前記送信された全同期信号および前記全同時ラッチ信号を受信する工程と、
前記所定のラッチタイミング調整期間の経過後の前記全同時ラッチ信号を受信した時点でデータをラッチして、該全同時ラッチ信号を受信した時点からの経過時間を計測し、該経過時間が前記算出された遅延時間と一致した時点で、前記ラッチしたデータをデータ信号として該各パルス計数装置から前記上位制御装置へ出力するように制御する工程と、
前記各パルス計数装置から前記上位制御装置へ前記記憶された出力優先順位に従って順次出力されるデータ信号を受信する工程と
を具えたことを特徴とする伝送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−313527(P2006−313527A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35625(P2006−35625)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(503361927)富士電機機器制御株式会社 (402)
【Fターム(参考)】