説明

伝送装置、伝送システム及び伝送方法

【課題】Pauseフレームを1度送信するだけで、外部装置からのデータの送信停止及び送信開始を制御し、外部装置へのデータ送信の負荷を低減すること。
【解決手段】第1のネットワークを介して第1の外部装置から受信したデータを、第2のネットワークを介して第2の外部装置へ送信する伝送装置であって、第1の外部装置からデータを受信する受信手段と、受信手段によって受信されたデータを格納する格納手段と、格納手段に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で第2の外部装置に送信する送信手段と、格納手段に格納されたデータの量を、第1の閾値から第2の閾値へ低減させるまでに必要な時間を、送信停止時間として算出する送信停止時間算出手段と、送信停止時間を停止要求フレームに付加し、当該停止要求フレームを、第1の外部装置へ送信する停止要求フレーム送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伝送装置、伝送システム及び伝送方法に関し、特に、Pauseフレームを1度送信するだけで、外部装置からのデータの送信停止及び送信開始を制御することができ、外部装置へのデータ送信の負荷を低減することができる伝送装置、伝送システム及び伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、Ethernet(登録商標)回線を介して外部装置から受信したEthernetフレーム等のデータを、SONET(Synchronous Optical Network)フレーム上にマッピングして、SONET伝送路を介して他の外部装置へ送信する伝送装置が広く用いられている。Ethrnet回線とSONET伝送路とでは、データの伝送能力が異なることがある。この場合、Ethernet回線を介して伝送装置へ入力されるデータの量が、SONET伝送路を介して伝送装置から出力されるデータの量を上回ると、伝送装置は、Ethernet回線を介して外部装置から受信したデータを、SONET伝送路を介して出力できない事態となる。つまり、伝送装置は、輻輳状態となり、伝送装置内で受信データの廃棄が発生してしまう。
【0003】
そこで、かかる事態を回避するため、特許文献1及び特許文献2には、Ethernet回線を介して外部装置から受信したデータを一時的に格納するバッファを有し、このバッファが溢れそうになった場合、データを送信する外部装置に対してデータの送信を停止するように要求するPauseフレーム(停止要求フレーム)を送信する伝送装置が開示されている。Pauseフレームを受信した外部装置は、伝送装置へのデータの送信を停止する。したがって、伝送装置におけるバッファ内のデータ量が減少し、輻輳状態が解消される。
【0004】
図7は、かかる従来の伝送装置を備えた伝送システム100の構成を示すブロック図である。図7に示すように、伝送システム100は、第1の外部装置102と、第1のネットワークであるEthernet回線を介して第1の外部装置102から受信したデータを、第2のネットワークであるSONET伝送路を介して第2の外部装置103へ送信する伝送装置101とを有している。
【0005】
まず、伝送装置101の構成について説明する。伝送装置101は、データ受信部110と、RXバッファ部112と、SONET FRAME Mapping部(以下、「SFM部」と言う。)114と、SONET FRAME Demapping部(以下、「SFDM部」と言う)116と、TXバッファ部118と、データ送信部120とを有する。
【0006】
データ受信部110は、第1の外部装置102からEthernetフレーム等のデータを受信する受信手段であり、RXPHY部110aと、RXMAC部110bとを有する。RXPHY部110aは、第1の外部装置102から受信したデータをデスクランブル変換する。RXMAC部110bは、RXPHY部110aから出力されるデータにMAC(media access contorol)処理を施し、RXバッファ部112へ出力する。
【0007】
RXバッファ部112は、データ受信部110によって受信されたデータを格納する。RXバッファ部112には、Pauseフレーム送信開始閾値112aと、Pauseフレーム送信開始閾値112aよりも小さいデータ送信再開閾値112bとが設定されている。Pauseフレーム送信開始閾値112aは、データ送信部120における後述のPauseフレーム作成部120cに対して、既定の送信停止時間を付加したPauseフレームの作成を指示する際に、停止要求制御部122が参照する閾値である。データ送信再開閾値112bは、Pauseフレーム作成部120cに対して、送信停止時間「0」値を付加したPauseフレームの作成を指示する際に停止要求制御部122が参照する閾値である。なお、送信停止時間とは、伝送装置101からPauseフレームを受信した第1の外部装置102が、伝送装置101へのデータの送信を停止する時間である。
【0008】
SFM部114は、RXバッファ部112に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で第2の外部装置103に送信する送信手段として機能する。SFM部114は、RXバッファ部112から読み出したデータを所定のSONETフレームに多重マッピングし、このSONETフレームを第2の外部装置103に送信する。
【0009】
SFDM部116は、Ethernetフレームの多重マッピングされたSONETフレーム等のデータを、第2の外部装置103から受信すると、このデータをデマッピングして、TXバッファ部118に出力する。
【0010】
TXバッファ部118は、SFDM部116から出力されたデータを一時的に格納する。
【0011】
データ送信部120は、TXMAC部120aと、TXPHY部120bとを有する。TXMAC部120aは、TXバッファ部118に格納されたデータを読み出し、このデータにMAC処理を施す。TXPHY部120bは、TXバッファ部118から出力されるデータをスクランブル変換し、第1の外部装置102へ送信する。
【0012】
また、TXMAC部120aは、Pauseフレーム作成部120cと、Pauseフレーム送信部120dとを有している。Pauseフレーム作成部120cは、停止要求制御部122の指示に従って、Pauseフレームを作成する。Pauseフレーム送信部120dは、Pauseフレーム作成部120cの作成したPauseフレームを、TXPHY部120bを介して第1の外部装置12へ送信する。
【0013】
停止要求制御部122は、RXバッファ部112に格納されたデータの量を監視し、そのデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値112aに達した場合に、既定の送信停止時間を付加したPauseフレームの作成を、Pauseフレーム作成部120cに指示する。また、停止要求制御部122は、RXバッファ部112に格納されたデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値112aからデータ送信再開閾値112bへ低減した場合に、送信停止時間「0」値を付加したPauseフレームの作成をPauseフレーム作成部120cに指示する。
【0014】
このように構成した伝送システム100にて、データ伝送方法を実行することにより、伝送装置101内で発生した輻輳を解消する手順について、図8−1〜図8−5を参照して説明する。図8−1〜図8−5は、従来の伝送システム100のデータ伝送方法を説明するための図である。ここでは、Ethernet回線を介して伝送装置101へ入力されるデータの量が、SONET伝送路を介して伝送装置101から出力されるデータの量を上回る場合について説明する。
【0015】
図8−1に示すように、Ethernet回線を介して伝送装置101へ入力されるデータの量が、SONET伝送路を介して伝送装置101から出力されるデータの量を上回る場合、伝送装置101は、第1の外部装置102から受信したEthernetフレームを、SONET伝送路に効率よく出力できない。すなわち、図7に示すRXバッファ部112に格納されたデータの量が、増加し、Pauseフレーム送信開始閾値112aに到達する。その結果、伝送装置101では、輻輳Aが発生する。
【0016】
RXバッファ部112に格納されたデータの量がPauseフレーム送信開始閾値112aに達した場合、図8−2に示すように、伝送装置101は、既定の送信停止時間を付加したPauseフレームを第1の外部装置102に送信する。すなわち、伝送装置101では、停止要求制御部122の指示に従って、Pauseフレーム作成部120cが既定の送信停止時間を付加したPauseフレームを作成し、Pauseフレーム送信部120dがこのPauseフレームを第1の外部装置102に送信する。Pauseフレームを受信した第1の外部装置102は、既定の送信停止時間をタイマ値にセットして、伝送装置101へのEthernetフレームの送信を停止する。
【0017】
次いで、図8−3に示すように、伝送装置101は、SONETフレームを所定の送信速度で第2の外部装置103へ送信する。すなわち、伝送装置101では、SFM部114が、RXバッファ部112に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で第2の外部装置103に送信する。これにより、RXバッファ部112に格納されたデータの量が減少するため、輻輳Aが徐々に解消される。
【0018】
図8−4に示すように、RXバッファ部112に格納されたデータの量が低減し、輻輳Aが完全に解消されると、伝送装置101は、送信停止時間「0」値を付加したPauseフレームを、第1の外部装置102に送信する。すなわち、伝送装置101では、RXバッファ部112に格納されたデータの量が、データ送信再開閾値112bまで減少すると、停止要求制御部122の指示に従って、Pauseフレーム作成部120cが送信停止時間「0」値を付加したPauseフレームを作成し、Pauseフレーム送信部120dがこのPauseフレームを第1の外部装置102に送信する。
【0019】
次いで、図8−5に示すように、Pauseフレームを受信した第1の外部装置102は、送信停止時間「0」値をタイマ値にセットして、伝送装置101へのEthernetフレームの送信を再開する。
【0020】
【特許文献1】特許第3997513号公報
【特許文献2】特開2002−368803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、従来のデータ伝送方法では、伝送装置101内で発生した輻輳Aを解消する際、伝送装置101から第1の外部装置102へPauseフレームを2度送信する必要があった。すなわち、第1の外部装置102からのデータの送信を停止するPauseフレーム(既定の送信停止時間を付加したPauseフレーム)と、第1の外部装置102からのデータの送信を再開するPauseフレーム(送信停止時間「0」値を付加したPauseフレーム)とを、伝送装置101が第1の外部装置102へ送信していた。
【0022】
伝送装置101から第1の外部装置102へPauseフレームを2度送信すると、伝送装置101における第1の外部装置102へのデータ送信の負荷が増加する。すなわち、図9に示すように、Pauseフレームが、伝送装置101から第1の外部装置102へ2度送信されると、本来送信されるべきEthernetフレームが伝送装置101内に停滞する。このため、図9中で左方向のデータの送信速度が低下する。したがって、図7に示すTXバッファ部118に格納されるデータが、増加し、TXバッファ部118の容量を超え、その結果、RXバッファ部112における輻輳Aに加えて、TXバッファ部118における新たな輻輳Bが発生してしまう。
【0023】
開示の技術は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、Pauseフレームを1度送信するだけで、外部装置からのデータの送信停止及び送信開始を制御することができ、外部装置へのデータ送信の負荷を低減することができる伝送装置、伝送システム及び伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願の開示する伝送装置は、一つの態様において、前記第1の外部装置からデータを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信されたデータを格納する格納手段と、前記格納手段に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で前記第2の外部装置に送信する送信手段と、前記格納手段に格納されたデータの量が第1の閾値に達した場合に、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する停止要求フレームを作成する停止要求フレーム作成手段と、前記格納手段に格納されたデータの量を、前記第1の閾値から当該第1の閾値よりも小さい第2の閾値へ低減させるまで、前記送信手段が、前記格納手段に格納されたデータを前記送信速度で前記第2の外部装置に送信する時間を、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間として、算出する送信停止時間算出手段と、前記送信停止時間算出手段によって算出された送信停止時間を前記停止要求フレームに付加し、当該停止要求フレームを、前記第1の外部装置へ送信する停止要求フレーム送信手段とを有する。
【0025】
この態様によれば、Pauseフレームを1度送信するだけで、外部装置からのデータの送信停止及び送信開始を実現でき、外部装置へのデータ送信の負荷を低減することができる。
【0026】
なお、本願の開示する伝送装置の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも上述した課題を解決するために有効である。
【発明の効果】
【0027】
本願の開示する伝送装置の一つの態様によれば、Pauseフレームを1度送信するだけで、外部装置からのデータの送信停止及び送信開始を実現でき、外部装置へのデータ送信の負荷を低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する伝送装置、伝送システム及び伝送方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、第1の外部装置と伝送装置とを接続する第1のネットワークを、Ethernet回線として、また、伝送装置と第2の外部装置とを接続する第2のネットワークをSONET伝送路として説明するが、これに限られず、第1のネットワーク及び第2のネットワークとして、その他の各種ネットワークを採用しても良い。
【実施例1】
【0029】
まず、図1を参照して、実施例1に係る伝送システム1の構成について説明する。図1は、実施例1に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、伝送システム1は、第1の外部装置3と、第1のネットワークであるEthernet回線を介して第1の外部装置3から受信したデータを、第2のネットワークであるSONET伝送路を介して第2の外部装置4へ送信する伝送装置2とを有している。なお、以下では、伝送装置2の構成について説明した後に、第1の外部装置3の構成について説明するものとする。
【0030】
伝送装置2は、データ受信部10と、RXバッファ部12と、SONET FRAME Mapping部(以下、「SFM部」と言う。)14と、SONET FRAME Demapping部(以下、「SFDM部」と言う)16と、TXバッファ部18と、データ送信部20と、送信停止時間算出部24とを有する。
【0031】
データ受信部10は、第1の外部装置3からEthernetフレーム等のデータを受信する受信手段であり、RXPHY部10aと、RXMAC部10bとを有する。RXPHY部10aは、第1の外部装置3から受信したデータをデスクランブル変換する。RXMAC部10bは、RXPHY部10aから出力されるデータにMAC(media access contorol)処理を施し、RXバッファ部12へ出力する。
【0032】
RXバッファ部12は、データ受信部10によって受信されたデータを格納する格納手段である。RXバッファ部12には、Pauseフレーム送信開始閾値12aと、Pauseフレーム送信開始閾値12aよりも小さいデータ送信再開閾値12bとが設定されている。Pauseフレーム送信開始閾値12aは、データ送信部20における後述のPauseフレーム作成部20cに対して、Pauseフレームの作成を指示する際に、停止要求制御部22が参照する閾値である。なお、送信停止時間とは、伝送装置2からPauseフレームを受信した第1の外部装置3が、伝送装置2へのデータの送信を停止する時間である。
【0033】
SFM部14は、RXバッファ部12に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で第2の外部装置4に送信する送信手段として機能する。SFM部14は、RXバッファ部12から読み出したデータを所定のSONETフレームに多重マッピングし、このSONETフレームを第2の外部装置4に所定の送信速度で送信する。
【0034】
本実施例では、SFM部14がデータを多重マッピングする対象となるSONETフレームとして、STS1−XV(X=1、2、3、…)、又はSTS3C−YV(Y=1、2、3、…)が採用されている。なお、STS1−XVは、X個のSTS(Synchronous transport signal)1で仮想連結(VCAT:Virtual Concatenation)されたチャネル群を意味し、STS3C−YVは、Y個のSTS3Cで仮想連結されたチャネル群を意味する。
【0035】
また、STS1とSTS3Cとは、それぞれ異なる既定の送信速度(データレート)を有している。同一の送信速度を有するチャネルがn個仮想連結されたチャネル群の送信速度は、各チャネルの送信速度のn倍となる。例えば、STS1−1Vのデータレートは、48.384Mbpsであるので、STS1−2Vのデータレートは、48.384Mbps×2=96.768Mbpsとなり、STS1−3Vのデータレートは、48.384Mbps×3=145.152Mbpsとなる。このように、SFM部14によって第2の外部装置4へ送信されるデータの送信速度は、そのデータのマッピングされたSONETフレームの種類、すなわち、STS1−XV(X=1、2、3、…)又はSTS3C−YV(Y=1、2、3、…)ごとに異なる。
【0036】
SFDM部16は、Ethernetフレームの多重マッピングされたSONETフレーム等のデータを、第2の外部装置4から受信すると、このデータをデマッピングして、TXバッファ部18に出力する。
【0037】
TXバッファ部18は、SFDM部16から出力されたデータを一時的に格納する。
【0038】
データ送信部20は、TXMAC部20aと、TXPHY部20bとを有する。TXMAC部20aは、TXバッファ部18に格納されたデータを読み出し、このデータにMAC処理を施す。TXPHY部20bは、TXバッファ部18から出力されるデータをスクランブル変換し、Ethernetフレームとして第1の外部装置3へ送信する。
【0039】
また、TXMAC部20aは、Pauseフレーム作成部20cと、Pauseフレーム送信部20dとを有している。Pauseフレーム作成部20cは、停止要求制御部22の指示に従って、Pauseフレームを作成する。Pauseフレーム送信部20dは、送信停止時間算出部24によって算出された送信停止時間をPauseフレームに付加し、この送信停止時間を付加したPauseフレームを、TXPHY部20bを介して、第1の外部装置3へ送信する。なお、送信停止時間算出部24によって送信停止時間を算出する具体的な手順については、後に詳細に説明する。
【0040】
停止要求制御部22は、RXバッファ部12に格納されたデータの量を監視し、そのデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達した場合に、Pauseフレームの作成を、Pauseフレーム作成部20cに指示する。また、停止要求制御部22は、第1の外部装置3からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間の算出を、送信停止時間算出部24に指示する。
【0041】
送信停止時間算出部24は、停止要求制御部22の指示に従って、送信停止時間を算出する。すなわち、送信停止時間算出部24は、RXバッファ部12に格納されたデータの量を、Pauseフレーム送信開始閾値12aからデータ送信再開閾値12bへ低減させるまで、SFM部14が、RXバッファ部12に格納されたデータを所定の送信速度で第2の外部装置4に送信する時間を、送信停止時間として、算出する。より具体的には、送信停止時間算出部24は、Pauseフレーム送信開始閾値12aとデータ送信再開閾値12bとの間における、RXバッファ部12に格納されたデータの量を、SFM部14におけるデータの送信速度で除算することによって、送信停止時間を算出する。
【0042】
ここで、送信停止時間算出部24によって送信停止時間を算出する具体的な手順について、説明する。上述したように、SFM部14におけるデータの送信速度は、そのデータのマッピングされたSONETフレームの種類、すなわち、STS1−XV(X=1、2、3、…)又はSTS3C−YV(Y=1、2、3、…)ごとに異なる。つまり、送信停止時間算出部24によって算出される送信停止時間は、SFM部14におけるデータの送信速度ごとに異なる。
【0043】
例えば、SFM部14が、RXバッファ部12から読み出したデータをSTS3C−2Vにマッピングしたとする。STS3C−2Vの送信速度は、299.5Mbpsである。仮に、Pauseフレーム送信開始閾値12aとデータ送信再開閾値12bとの間における、RXバッファ部12に格納されたデータの量が、8kbyte(64kbit)であるとすると、送信停止時間は、64kbit/299.5Mbps=214μsと算出される。また、SFM部14が、RXバッファ部12から読み出したデータをSTS1−5Vにマッピングしたとする。STS1−5Vの送信速度は、241.92Mbpsである。仮に、Pauseフレーム送信開始閾値12aとデータ送信再開閾値12bとの間における、RXバッファ部12に格納されたデータの量が、8kbyte(64kbit)であるとすると、送信停止時間は、64kbit/241.92Mbps=265μsと算出される。
【0044】
そして、送信停止時間算出部24は、算出した送信停止時間を、Pauseフレーム送信部20dへ出力し、Pauseフレーム送信部20dは、この送信停止時間を付加したPauseフレームを、第1の外部装置3へ送信する。送信停止時間は、上述したように、SFM部14におけるデータの送信によって、RXバッファ部12に格納されたデータの量を、Pauseフレーム送信開始閾値12aからデータ送信再開閾値12bへ低減させるのに最低限必要な時間である。したがって、本実施例の伝送装置2では、従来の伝送装置のように、データの送信を再開するPauseフレームを第1の外部装置3へ送信する必要はなく、伝送装置2から第1の外部装置3へのPauseフレームの送信回数は、1回で済む。
【0045】
続いて、第1の外部装置3の構成について説明する。第1の外部装置3は、データ送信部30と、データ受信部32とを有している。データ送信部30は、Ethernetフレーム等のデータを、Ethernet回線を介して伝送装置2へ送信する。データ受信部32は、Ethernetフレーム等のデータを、Ethernet回線を介して伝送装置2から受信する。また、データ受信部32は、送信制御部34を有している。送信制御部34は、送信停止部34aと、送信開始部34bとを有している。
【0046】
送信停止部34aは、伝送装置2から送信されるPauseフレームを受信したときに、伝送装置2へのデータの送信を停止する。具体的には、送信停止部34aは、伝送装置2からPauseフレームを受信すると、データの送信を停止するようにデータ送信部30に指示し、データ送信部30にデータの送信を停止させる。
【0047】
送信開始部34bは、送信停止部34aの受信したPauseフレームから、送信停止時間を抽出する。また、送信開始部34bは、抽出した送信停止時間が経過したときに、伝送装置2へのデータの送信を開始する。具体的には、送信開始部34bは、送信停止時間が経過したときに、データの送信を再開するようにデータ送信部30に指示し、データ送信部30にデータの送信を再開させる。
【0048】
次に、実施例1に係る伝送装置2におけるデータ伝送処理の処理手順について説明する。図2は、実施例1に係る伝送装置2におけるデータ伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
図2に示すように、伝送装置2では、停止要求制御部22は、まず、第1の外部装置3からEthernetフレームを受信したか否かを判定する(ステップS11)。第1の外部装置3からEthernetフレームを受信したと判定すると(ステップS11:Yes)、停止要求制御部22は、処理をステップS12に移行する。一方、伝送装置2からEthernetフレームを受信していないと判定すると(ステップS11:No)、処理をステップS14に移行する。
【0050】
ステップS12において、データ受信部10が、第1の外部装置3からEthernetフレームを受信する(ステップS12)。続いて、RXバッファ部12は、データ受信部10によって受信されたEthernetフレームを格納する(ステップS13)。
【0051】
ステップS14において、停止要求制御部22は、RXバッファ部12にEthernetフレームが格納されているか否かを判定する(ステップS14)。RXバッファ部12にEthernetフレームが格納されていると判定すると(ステップS14:Yes)、処理をステップS15に移行する。一方、RXバッファ部12にEthernetフレームが格納されていないと判定すると(ステップS14:No)、処理をステップS11に戻す。
【0052】
ステップS15において、SFM部14は、RXバッファ部12からEthernetフレームを読み出し、所定のSONETフレームに多重マッピングした後、所定の送信速度で第2の外部装置4に送信する(ステップS15)。
【0053】
続いて、停止要求制御部22は、RXバッファ部12に格納されたデータの量を監視し、そのデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達したか否かを判定する(ステップS16)。RXバッファ部12に格納されたデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達していないと判定すると(ステップS16:No)、停止要求制御部22は、処理をステップS11に戻す。
【0054】
一方、第1の外部装置3からのEthernetフレームの送信量が増大し、RXバッファ部12に格納されたデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達したと判定すると(ステップS16:Yes)、停止要求制御部22は、Pauseフレームの作成を、Pauseフレーム作成部20cに指示する。この指示に従って、Pauseフレーム作成部20cは、Pauseフレームを作成する(ステップS17)。また、RXバッファ部12に格納されたデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達したと判定すると(ステップS16:Yes)、停止要求制御部22は、送信停止時間の算出を、送信停止時間算出部24に指示する。この指示に従って、送信停止時間算出部24は、送信停止時間を算出する(ステップS18)。
【0055】
続いて、Pauseフレーム送信部20dは、送信停止時間算出部24によって算出された送信停止時間を、Pauseフレーム作成部20cによって作成されたPauseフレームに付加し、この送信停止時間を付加したPauseフレームを、第1の外部装置3へ送信する(ステップS19)。
【0056】
第1の外部装置3は、伝送装置2からPauseフレームを受信すると、伝送装置2へのEthernetフレームの送信を停止する。これにより、伝送装置2では、Ethernetフレームの受信が、送信停止時間だけ中断される(ステップS11:No)。この送信停止時間中に、SFM部14は、RXバッファ部12から読み出したデータを、所定の送信速度で第2の外部装置4に送信し続ける(ステップS14:Yes、ステップS15、ステップS16:No)。したがって、送信停止時間が経過すると、RXバッファ部12に格納されたデータの量がPauseフレーム送信開始閾値12aからデータ送信再開閾値12bまで低減する。送信停止時間が経過すると、第1の外部装置3は、伝送装置2へのEthernetフレームの送信を再開する。これにより、伝送装置では、Ethernetフレームの受信が再開される(ステップS11:Yes)。
【0057】
上述してきたように、本実施例に係る伝送装置2では、RXバッファ部12に格納されたデータの量を、Pauseフレーム送信開始閾値12aからデータ送信再開閾値12bへ低減させるまでに必要な時間を、送信停止時間として算出し、この送信停止時間を付加したPauseフレームを第1の外部装置3へ送信する。このため、第1の外部装置3へPauseフレームを1度送信するだけで、第1の外部装置3からのデータの送信停止及び送信開始を制御することができる。したがって、外部装置へPauseフレームを2度送信する必要のあった従来の伝送装置に比べて、伝送装置から外部装置へのデータ送信の負荷を低減することができ、この結果、伝送装置から外部装置へ向かう方向の輻輳の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、図3を参照して、実施例2に係る伝送システムの構成について説明する。図3は、実施例2に係る伝送システム5の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施例に係る伝送システム5では、伝送装置6が、図1に示した伝送装置2の構成に加えて、対応テーブル記憶部26を有する。なお、伝送装置6における対応テーブル記憶部26以外の構成は、基本的に実施例1と同様であるので、図3にて図1と同一の部位については、同一の符号を付して、重複した説明を省略するものとする。
【0059】
対応テーブル記憶部26は、対応テーブル28を記憶している。対応テーブル28は、SFM部14が、RXバッファ部12から読み出したデータを第2の外部装置4へ送信する送信速度(データレート)と、第1の外部装置3からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間とを予め対応させたテーブルである。
【0060】
図4及び図5は、図3に示す対応テーブル28の一例を示す図である。図4では、SFM部14によってデータを多重マッピングするSONETフレームが、STS1−XV(X=1、2、3、…)である場合の対応テーブル28を示している。図5では、SFM部14によってデータを多重マッピングするSONETフレームが、STS3C−YV(Y=1、2、3、…)である場合の対応テーブル28を示している。なお、Pauseフレーム送信開始閾値12aとデータ送信再開閾値12bとの間における、RXバッファ部12に格納されたデータの量は、8kbyte(64kbit)であるとする。
【0061】
図4及び図5に示すように、対応テーブル28には、SFM部14が、RXバッファ部12から読み出したデータを第2の外部装置4へ送信する複数段階の送信速度(データレート)と、これらSFM部14のデータレートに対応する複数の送信停止時間とが設定されている。例えば、SFM部14が、RXバッファ部12から読み出したデータをSTS3C−2にマッピングしたとすると、STS3C−2Vのデータレートは、299.5Mbpsであるので、このデータレートに対応する送信停止時間は、214μsである。このように、対応テーブル28には、SFM部14におけるデータレートに対応して、予め得られた適正な送信停止時間が設定されている。
【0062】
送信停止時間算出部24は、停止要求制御部22から送信停止時間の算出を指示されると、上述の対応テーブル28を参照し、SFM部14における現時点のデータレートに対応する最適な送信停止時間を算出する。
【0063】
そして、送信停止時間算出部24は、算出した送信停止時間を、Pauseフレーム送信部20dへ出力し、Pauseフレーム送信部20dは、この送信停止時間を付加したPauseフレームを、第1の外部装置3へ送信する。
【0064】
次に、本実施例に係る伝送装置6におけるデータ伝送処理の処理手順について説明する。図6は、実施例2に係る伝送装置6におけるデータ伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施例が実施例1と異なる点は、図2に示すステップS18が、図6に示すステップS18aに置き換えられた点である。その他の処理(ステップS11〜ステップS17及びステップS19)は基本的に実施例1と同様であるので、図6にて図2と同一の処理については、その詳しい説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、RXバッファ部12に格納されたデータの量が、Pauseフレーム送信開始閾値12aに達したと判定すると(ステップS16:Yes)、停止要求制御部22は、送信停止時間の算出を、送信停止時間算出部24に指示する。そして、停止要求制御部22からの指示に従って、送信停止時間算出部24は、対応テーブル記憶部26から対応テーブル28を読み出し、この対応テーブル28を用いて送信停止時間を算出し(ステップS18a)、処理をステップS19に移行する。
【0066】
上述してきたように、本実施例に係る伝送装置6では、SFM部14の送信速度(データレート)と、送信停止時間とを予め対応させた対応テーブル28を用いて、送信停止時間を算出する。このため、送信停止時間算出部24における送信停止時間の算出を高効率化することができる。したがって、送信停止時間をPauseフレームに付加して第1の外部装置3へ送信するまでの処理をより高速化することができるため、従来の伝送装置に比べて、伝送装置から外部装置へのデータ送信の負荷をより一層低減することができる。この結果、伝送装置から外部装置へ向かう方向の輻輳の発生をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1に係る伝送装置におけるデータ伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】実施例2に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す対応テーブルの一例を示す図である。
【図5】図3に示す対応テーブルの一例を示す図である。
【図6】実施例2に係る伝送装置におけるデータ伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来の伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図8−1】従来の伝送システムのデータ伝送方法を説明するための図である。
【図8−2】従来の伝送システムのデータ伝送方法を説明するための図である。
【図8−3】従来の伝送システムのデータ伝送方法を説明するための図である。
【図8−4】従来の伝送システムのデータ伝送方法を説明するための図である。
【図8−5】従来の伝送システムのデータ伝送方法を説明するための図である。
【図9】第1の外部装置へのデータ送信中に伝送装置で発生する輻輳を説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
1 伝送システム
2 伝送装置
3 第1の外部装置
4 第2の外部装置
5 伝送システム
6 伝送装置
10 データ受信部(受信手段)
12 RXバッファ部(格納手段)
12a Pauseフレーム送信開始閾値(第1の閾値)
12b データ送信再開閾値(第2の閾値)
14 SFM部(送信手段)
20c Pauseフレーム作成部(停止要求フレーム作成手段)
20d Pauseフレーム送信部(停止要求フレーム送信手段)
22 停止要求制御部
24 送信停止時間算出部(送信停止時間算出手段)
26 対応テーブル記憶部(対応テーブル記憶手段)
28 対応テーブル
34a 送信停止部(送信停止手段)
34b 送信開始部(送信開始手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークを介して第1の外部装置から受信したデータを、第2のネットワークを介して第2の外部装置へ送信する伝送装置であって、
前記第1の外部装置からデータを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたデータを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で前記第2の外部装置に送信する送信手段と、
前記格納手段に格納されたデータの量が第1の閾値に達した場合に、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する停止要求フレームを作成する停止要求フレーム作成手段と、
前記格納手段に格納されたデータの量を、前記第1の閾値から当該第1の閾値よりも小さい第2の閾値へ低減させるまで、前記送信手段が、前記格納手段に格納されたデータを前記送信速度で前記第2の外部装置に送信する時間を、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間として、算出する送信停止時間算出手段と、
前記送信停止時間算出手段によって算出された送信停止時間を前記停止要求フレームに付加し、当該停止要求フレームを、前記第1の外部装置へ送信する停止要求フレーム送信手段と
を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記送信停止時間算出手段は、
前記第1の閾値と前記第2の閾値との間における前記格納手段に格納されたデータの量を、前記送信速度で除算することによって、前記送信停止時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記送信速度と前記送信停止時間とを予め対応させた対応テーブルを記憶した対応テーブル記憶手段を有し、
前記送信停止時間算出手段は、前記対応テーブルを用いて、前記送信停止時間を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送装置。
【請求項4】
第1の外部装置と、第1のネットワークを介して前記第1の外部装置から受信したデータを、第2のネットワークを介して第2の外部装置へ送信する伝送装置とを有する伝送システムであって、
前記伝送装置は、
前記第1の外部装置からデータを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたデータを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で前記第2の外部装置に送信する送信手段と、
前記格納手段に格納されたデータの量が第1の閾値に達した場合に、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する停止要求フレームを作成する停止要求フレーム作成手段と、
前記格納手段に格納されたデータの量を、前記第1の閾値から当該第1の閾値よりも小さい第2の閾値へ低減させるまで、前記送信手段が、前記格納手段に格納されたデータを前記送信速度で前記第2の外部装置に送信する時間を、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間として、算出する送信停止時間算出手段と、
前記送信停止時間算出手段によって算出された送信停止時間を前記停止要求フレームに付加し、当該停止要求フレームを、前記第1の外部装置へ送信する停止要求フレーム送信手段と
を有し、
前記第1の外部装置は、
前記伝送装置から送信される前記停止要求フレームを受信したときに、前記伝送装置へのデータの送信を停止する送信停止手段と、
前記停止要求フレームに付加された前記送信停止時間が経過したときに、前記伝送装置へのデータの送信を開始する送信開始手段と
を有することを特徴とする伝送システム。
【請求項5】
第1のネットワークを介して第1の外部装置から受信したデータを、第2のネットワークを介して第2の外部装置へ送信する伝送方法であって、
前記第1の外部装置からデータを受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信されたデータを格納手段に格納する格納ステップと、
前記格納手段に格納されたデータを読み出し、所定の送信速度で前記第2の外部装置に送信する送信ステップと、
前記格納手段に格納されたデータの量が第1の閾値に達した場合に、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する停止要求フレームを作成する停止要求フレーム作成ステップと、
前記格納手段に格納されたデータの量を、前記第1の閾値から当該第1の閾値よりも小さい第2の閾値へ低減させるまで、前記送信ステップによって、前記格納手段に格納されたデータを前記送信速度で前記第2の外部装置に送信する時間を、前記第1の外部装置からのデータの送信を停止する時間である送信停止時間として、算出する送信停止時間算出ステップと、
前記送信停止時間算出ステップによって算出された送信停止時間を前記停止要求フレームに付加し、当該停止要求フレームを、前記第1の外部装置へ送信する停止要求フレーム送信ステップと
を含むことを特徴とする伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109490(P2010−109490A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277339(P2008−277339)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】